JP2023112871A - 車両制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】道路及び道路周辺の状況に適した自動運転制御が可能な車両制御装置を提供する。【解決手段】本発明は、自動運転において目標軌道を演算する目標軌道演算部31と、目標軌道に基づいて目標転舵角を演算する目標転舵角演算部32と、目標転舵角演算部32での目標転舵角の演算に組み込まれる補正ゲインを演算する補正ゲイン演算部33と、目標転舵角に基づいて転舵装置2Aを制御する転舵制御部2Bと、を備える車両制御装置であって、自車両が走行している道路の路面状態を判定する路面状態判定部34と、自車両が走行している道路における、道幅、自車両から道路端までの距離、及び道路端状況の少なくとも1つに基づいて、自車両の左右方向の余裕度を演算する余裕度演算部35と、をさらに備え、補正ゲイン演算部33は、路面状態判定部34の判定結果と余裕度演算部35の演算結果とに基づいて、補正ゲインを演算する。【選択図】図4
Description
本発明は、車両制御装置に関する。
自動運転を実行可能な車両制御装置の技術として、例えば特開2018-154304号公報には、急な外乱が自車両に加わると予測すると、目標経路の曲率に対するフィードフォワード制御のゲインを補正する技術が開示されている。この装置によれば、外乱が横風によるものと判断された場合、通常よりも目標経路に対する追従性が強くなる方向にゲインが補正され、外乱が轍によるものと判断された場合、通常よりも目標経路に対する追従性が大幅に弱まる方向にゲインが補正される。これにより、外乱に備えて自車両の走行状態が予め調整され、外乱の影響が緩和される。
車両が走行する道路及び道路周辺の状況は、様々な状況が考えられ、例えば鉱山等では轍等が存在する未舗装路がほとんどである。また、道路の道幅や道路端(左右端)の状況も、様々なケースが考えられ、例えば道路の左端又は右端が崖である場合も考えられる。上記装置の制御では、このような道路及び道路周辺の状況が考慮されておらず、上記装置には改良の余地がある。
本発明の目的は、道路及び道路周辺の状況に適した自動運転制御が可能な車両制御装置を提供することである。
本発明の目的は、道路及び道路周辺の状況に適した自動運転制御が可能な車両制御装置を提供することである。
本発明の車両制御装置は、車輪を転舵する転舵装置と、自動運転において、地図データ、自車両の位置、及び目的地に基づいて目標軌道を演算する目標軌道演算部と、前記目標軌道演算部で演算された前記目標軌道に基づいて目標転舵角を演算する目標転舵角演算部と、前記目標転舵角演算部での前記目標転舵角の演算に組み込まれる補正ゲインを演算する補正ゲイン演算部と、前記目標転舵角に基づいて前記転舵装置を制御する転舵制御部と、を備える車両制御装置であって、前記自車両が走行している道路の路面状態を判定する路面状態判定部と、前記自車両が走行している道路における、道幅、前記自車両から道路端までの距離、及び道路端状況の少なくとも1つに基づいて、前記自車両の左右方向の余裕度を演算する余裕度演算部と、をさらに備え、前記補正ゲイン演算部は、前記路面状態判定部の判定結果と前記余裕度演算部の演算結果とに基づいて、前記補正ゲインを演算する。
本発明によれば、目標転舵角の演算に組み込まれる補正ゲインが、路面状態と自車両の左右方向の余裕度とに基づいて演算される。つまり、本発明によれば、自車両の左右方向に余裕がある場合と余裕がない場合とで補正ゲインを変更することができる。例えば、道幅が大きいほど余裕度は大きいといえ、道路の左端又は右端が崖である場合には余裕度が小さいといえる。本発明によれば、演算された余裕度に応じて補正ゲインの大小を調整し、目標軌道に対する追従性の強弱を調整することができる。このように、本発明によれば、道路及び道路周辺の状況に適した自動運転制御が可能となる。
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の一実施形態である車両制御装置1を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、下記実施例の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の形態で実施することができる。
本実施形態の車両制御装置1は、ステアリングシステム2と、自動運転ECU3と、周辺監視装置53を含む各種センサと、を備えている。ステアリングシステム2は、転舵装置2Aと、転舵ECU(「転舵制御部」に相当する)2Bと、を備えている。転舵装置2Aは、転舵輪である左右の前輪10Aを転舵する。転舵装置2Aは、電動パワーステアリングであって、ステアリングナックル21と、ステアリングロッド22と、ステアリング操作部材であるステアリングホイール23と、ステアリングシャフト24と、動作変換機構25と、転舵アクチュエータ26と、操作角センサ27と、操作力センサ28と、を備えている。
1対のステアリングナックル21は、それぞれ前輪10Aを回転可能に保持している。ステアリングロッド22の両端は、それぞれタイロッド22aを介してステアリングナックル21に接続されている。ステアリングシャフト24は、ステアリングホイール23と一体的に回転する。動作変換機構25は、ステアリングシャフト24の回転動作をステアリングロッド22の左右方向への直線移動動作に変換するラックアンドピニオン機構である。転舵アクチュエータ26は、ステアリングロッド22に対して、ステアリングロッド22を左右方向に移動させる力(以下「軸力」ともいう)を付与するように構成されている。転舵アクチュエータ26は、ステアリングロッド22に軸力を付与する転舵モータ261を備えている。
操作角センサ27は、ステアリングホイール23の操作量であるステアリング操作角(以下、単に「操作角」ともいう)を検出するためのセンサである。操作力センサ28は、運転者のステアリング操作によって生じるステアリングシャフト24に設けられたトーションバー(図示略)の捩じれ量を検出するためのセンサ、すなわち、運転者がステアリングホイール23に加える操作力としての操作トルクを検出するためのセンサである。
転舵ECU2Bは、CPUやメモリ等を備える電子制御ユニットであって、転舵装置2Aを制御する。転舵ECU2Bは、操作力センサ28で検出された操作トルク及び操作方向(さらに例えば車速情報)に基づいて、転舵モータ261に供給する制御電流値(以下「アシスト電流値」ともいう)を設定し、アシスト電流値に応じた制御電流を転舵モータ261に供給する。転舵ECU2Bは、転舵モータ261を駆動させる駆動回路を備えている。前輪10Aの実際の転舵角(転舵量)である実転舵角は、転舵モータ261に設けられている回転角センサ261aの検出値に基づいて判定される。また、アシスト電流値は、転舵モータ261に設けられている電流センサ261bにより検出される。
自動運転ECU3は、CPUやメモリ等を備える電子制御ユニットであって、車両の自動運転に関する制御を行う。自動運転ECU3は、周辺監視装置53の検出結果と地図データとに基づいて、車両の位置を判定する。自動運転ECU3の詳細については後述する。周辺監視装置53は、複数のセンサで構成され、例えば、車両周辺を撮像するカメラと、車両と車両周辺の物体との距離を測定するミリ波レーダー及び/又はライダー(LiDAR)とを含んで構成されている。周辺監視装置53は、車両の位置を判定するために、車両と車両周辺の物体との距離を測定するための装置ともいえる。
転舵ECU2Bは、自動運転時、自動運転ECU3から受信した目標転舵角(指令値)に基づいて、アシスト電流値を設定し、アシスト電流値に応じた制御電流を転舵モータ261に供給する。転舵ECU2Bは、目標転舵角と実転舵角との差が小さくなるように、アシスト電流値(軸力、トルク)を決定する。転舵装置2Aは、ステアリングホイール23が操作されていなくても、制御電流が印加された転舵モータ261によって作動する。自動運転時には、ステアリングホイール23の操作なしに、目標軌道及び目標転舵角に基づくアシスト電流値に応じて前輪10Aが転舵される。なお、この際、自動運転ECU3は、目標転舵角に応じたステアリングホイール23の目標操作角も算出する。
このように、転舵ECU2Bは、自動運転時には自動運転ECU3から受信した目標転舵角に応じて、また手動運転時には運転者によるステアリングホイール23への操作に応じて、転舵装置2Aを制御する。自動運転ECU3は、自動運転における目標軌道を地図データに対して設定し、自動運転時に当該目標軌道に基づく目標転舵角を転舵ECU2Bに送信する。
(各種センサ)
車両は、各種センサとして、車両前後方向の加速度を検出する前後加速度センサ51、車両の左右方向の加速度を検出する横加速度センサ52、車両の周辺を監視する周辺監視装置53、車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサ54、車両のロールレートを検出するロールレートセンサ55、車両のピッチレートを検出するピッチレートセンサ56、車輪速度を検出する車輪速度センサ57、及び車両の上下方向の加速度を検出する上下加速度センサ58等を備えている。車速は、例えば車輪速度センサ57の検出結果に基づいて算出できる。例えば、センサ51、52、54、55、56、58は、それぞれ車両挙動状態を検出するセンサといえる。
車両は、各種センサとして、車両前後方向の加速度を検出する前後加速度センサ51、車両の左右方向の加速度を検出する横加速度センサ52、車両の周辺を監視する周辺監視装置53、車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサ54、車両のロールレートを検出するロールレートセンサ55、車両のピッチレートを検出するピッチレートセンサ56、車輪速度を検出する車輪速度センサ57、及び車両の上下方向の加速度を検出する上下加速度センサ58等を備えている。車速は、例えば車輪速度センサ57の検出結果に基づいて算出できる。例えば、センサ51、52、54、55、56、58は、それぞれ車両挙動状態を検出するセンサといえる。
(自動運転ECUの詳細)
自動運転ECU3は、目標軌道演算部31と、目標転舵角演算部32と、補正ゲイン演算部33と、路面状態判定部34と、余裕度演算部35と、を備えている。目標軌道演算部31は、地図データ、自車両の位置、及び目的地に基づいて目標軌道を演算する。地図データは、自動運転ECU3、又は自動運転ECU3から通信によりデータ取得可能な他の記憶媒体に記憶されている。自車両の位置は、周辺監視装置53の検出結果と地図データとに基づいて判定されてもよいし、GPSデータに基づいて判定されてもよい。目的地は、ユーザにより予め設定された地図データ上の任意の地点である。
自動運転ECU3は、目標軌道演算部31と、目標転舵角演算部32と、補正ゲイン演算部33と、路面状態判定部34と、余裕度演算部35と、を備えている。目標軌道演算部31は、地図データ、自車両の位置、及び目的地に基づいて目標軌道を演算する。地図データは、自動運転ECU3、又は自動運転ECU3から通信によりデータ取得可能な他の記憶媒体に記憶されている。自車両の位置は、周辺監視装置53の検出結果と地図データとに基づいて判定されてもよいし、GPSデータに基づいて判定されてもよい。目的地は、ユーザにより予め設定された地図データ上の任意の地点である。
目標転舵角演算部32は、自動運転において、目標軌道演算部31で演算された目標軌道に基づいて目標転舵角を演算する。換言すると、目標転舵角演算部32は、自車両の走行軌道が目標軌道に沿うように(追従するように)、自車両の位置に対応する目標転舵角を演算する。目標転舵角演算部32は、フィードフォワード制御及びフィードバック制御を実行する。目標転舵角演算部32は、フィードフォワード制御で目標軌道に基づいて演算されたFF目標角αff、及びフィードバック制御で演算されたFB目標角αfbに基づいて、目標転舵角の指令値αtを演算する。
目標転舵角演算部32は、フィードフォワード制御において、目標軌道の曲率kに基づいて、FF目標角αffを演算する。目標転舵角演算部32は、例えば、曲率kにFF補正ゲインGffを乗算してFF目標角αffを演算する(αff=k×Gff)。なお、補正ゲインは、係数ともいえる。
目標転舵角演算部32は、フィードバック制御において、目標車両状態と現在の車両状態との差に基づいて、現在の車両状態を目標車両状態に近づけるように、FB目標角αfbを演算する。具体的に、目標転舵角演算部32は、例えば、目標軌道に対する自車両の左右位置の偏差である横偏差δと、目標軌道に基づくヨー角偏差θyに基づいて、FB目標角αfbを演算する。
一例として、FB目標角αfbは、現在の転舵角で所定距離走行した場合の自車両の目標軌道に対する横偏差δ1に対する比例制御項αp、自車両の目標軌道に対する現在の横偏差δ2の積分制御項αi、自車両の目標軌道に対するヨー角偏差θyの比例制御項αy、及び自車両の目標軌道に対するヨー角偏差θyの微分制御項αrを含んでいる(αfb=αp+αi+αy+αr)。比例制御項αpは、横偏差δ1にFB補正ゲインGpを乗算した値である(αp=Gp×δ1)。積分制御項αiは、横偏差δ2の積分値にFB補正ゲインGiを乗算した値である(αi=Gi×∫δ2dt)。比例制御項αyはヨー角偏差θyにFB補正ゲインGyを乗算した値である(αy=Gy×θy)。微分制御項αrは、ヨー角偏差θyの微分値にFB補正ゲインGrを乗算した値である(αr=Gr×dθy/dt)。
目標転舵角演算部32は、目標転舵角に関する転舵ECU2Bへの指令値αtを、FF目標角αffとFB目標角αfbとの和により算出する(αt=αff+αfb)。転舵ECU2Bは、目標転舵角の指令値αtに基づいて、転舵装置2Aを制御する。なお、上記のFF目標角αff及びFB目標角αfbの演算は一例であって、上記とは異なる演算であってもよい。
補正ゲイン演算部33は、上記のように、目標転舵角演算部32での目標転舵角(指令値αt)の演算に組み込まれるFF補正ゲインGff及びFB補正ゲインGp、Gi、Gy、Gr(以下、まとめて「Gfb」と表記する)の少なくとも一方を演算する。本実施形態の補正ゲイン演算部33は、所定条件下で、FB補正ゲインGfbを演算する。FF補正ゲインGffは、所定値に設定されている。FB補正ゲインGfbの演算については後述する。
路面状態判定部34は、自車両が走行している道路の路面状態を判定する。路面は、道路を構成する面といえる。道路は、車両進行方向における左右の端部に、道幅を決めることができる何らかの仕切り(例えば白線、盛り土、ガードレール、崖等)があるものといえる。「道路」には、未舗装路及び舗装路が含まれる。
路面状態判定部34は、目標軌道又は目標転舵角に基づいて設定された、実転舵角に対する転舵ECU2Bの基準となる制御量を基準値として記憶している。制御量は、転舵ECU2Bが転舵装置2Aに供給する制御電流の電流値(アシスト電流値)である。基準値は、目標軌道又は目標転舵角に対応して予め設定されており、実転舵角に対して規範となるアシスト電流値であるといえる。換言すると、基準値は、車両が平らな路面を走行している際における、実転舵角に対するアシスト電流値に相当する。
路面状態判定部34は、前輪10Aの実転舵角に対する転舵ECU2Bの制御量を検出する。路面状態判定部34は、例えば、実転舵角の時系列データとアシスト電流値の時系列データとを記憶する。これにより、時間(時刻)を基準として、実転舵角とアシスト電流値とを関連付けられる。路面状態判定部34は、自動運転中において、基準値に対する実制御量の偏差である対基準偏差が所定閾値を超えた場合、路面が悪路(凹凸路、轍あり等)であると判定する。
転舵ECU2Bは、例えばフィードバック制御により、実転舵角と目標転舵角との差が小さくなるように、アシスト電流値を設定する。したがって、転舵ECU2Bは、路面の凹凸により実転舵角と目標転舵角との差が小さくなりにくい状況では、アシスト電流値を大きくして、転舵アシスト力を大きくする。例えば車両が轍を旋回により乗り越えようとした場合、車両が舗装路を旋回している場合と比較して、転舵に対する路面抵抗が大きくなり、実転舵角に対するアシスト電流値は大きくなる。つまり、目標軌道及び目標転舵角を達成させるにあたり、路面状態に応じてアシスト電流値及び軸力に差が発生する。この差に基づいて、路面が悪路であるか否かが判定される。
また、路面の凹凸の有無によって、各種センサ(例えば回転角センサ261a、ヨーレートセンサ54、及び電流センサ261b等)の検出値及び検出値に基づく演算値には、違いが表れる。路面状態判定部34は、この違いを利用して路面が悪路であるか否かを判定してもよい。
また、路面状態判定部34は、各車輪10A、10Bの車輪速度に基づいて、路面の状態を判定してもよい。路面状態判定部34は、例えば、所定時間内に、車輪速度の変化量が所定閾値を超えた回数が、回数閾値以上となった場合に、路面が悪路であると判定してもよい。
また、路面状態判定部34は、周辺監視装置53の検出結果に基づいて、路面が悪路であるか否かを判定してもよい。また、路面状態判定部34は、路面情報を記憶するサーバ等で構成された中央管制装置(図示略)から無線通信により取得した路面状態データに基づいて、路面が悪路であるか否かを判定してもよい。
このように、路面状態判定部34は、例えば、転舵ECU2Bによる転舵装置2Aの制御量(アシスト電流値)、各種センサによる車両挙動状態(ヨーレート等)の検出結果、車輪速度、周辺監視装置53の検出結果、及び無線通信により外部記憶装置(例えば管制システムのサーバ)から取得した路面状態データのうちの少なくとも1つに基づいて、路面の状態を判定する。
(余裕度演算)
余裕度演算部35は、自車両が走行している道路における、道幅、自車両から道路端までの距離、及び道路端状況の少なくとも1つに基づいて、自車両の左右方向の余裕度を演算する。一例として、余裕度は、道幅が大きいほど大きくなり、対向車が存在することで小さくなる。また、余裕度は、道路端状況、すなわち道路の左右端の状況によって異なる値となる。例えば、道路端に防護手段(例えば盛り土又はガードレール)がある場合、比較的安全であるとして、余裕度は大きくなるか又は変化しない。一方、例えば道路端に防護手段がなく危険地形(例えば崖)がある場合、比較的危険であるとして、余裕度は小さくなる。道路端状況については、危険度が小さいほど、余裕度が大きくなる。防護手段は、道路端に設けられた、車両が道路外に出るのを抑制する手段といえる。
余裕度演算部35は、自車両が走行している道路における、道幅、自車両から道路端までの距離、及び道路端状況の少なくとも1つに基づいて、自車両の左右方向の余裕度を演算する。一例として、余裕度は、道幅が大きいほど大きくなり、対向車が存在することで小さくなる。また、余裕度は、道路端状況、すなわち道路の左右端の状況によって異なる値となる。例えば、道路端に防護手段(例えば盛り土又はガードレール)がある場合、比較的安全であるとして、余裕度は大きくなるか又は変化しない。一方、例えば道路端に防護手段がなく危険地形(例えば崖)がある場合、比較的危険であるとして、余裕度は小さくなる。道路端状況については、危険度が小さいほど、余裕度が大きくなる。防護手段は、道路端に設けられた、車両が道路外に出るのを抑制する手段といえる。
余裕度演算部35は、例えば、周辺監視装置53の検出結果に基づいて、道幅又は自車両から道路端までの距離(以下「道幅等」ともいう)を演算する。余裕度演算部35は、演算した道幅等が大きいほど、余裕度を大きくする。余裕度演算部35は、地図データ及びGPSデータに基づいて、又はサーバから取得した路面状態データに基づいて、道幅等を演算してもよい。
また、余裕度演算部35は、例えば、周辺監視装置53の検出結果に基づいて、道路端状況を判定する。余裕度演算部35は、地形情報及び防護手段情報を含む、地図データ、及び/又はサーバから取得した路面状態データに基づいて、道路端状況を判定してもよい。余裕度演算部35は、判定した道路端状況(例えば、防護手段の有無、防護手段の種類、地形等)に応じて、余裕度を変更する。
また、余裕度演算部35は、例えば、周辺監視装置53の検出結果に基づいて、対向車の有無を判定する。余裕度演算部35は、例えば、周辺監視装置53のカメラによる車両前方の撮像データに基づいて、対向車の有無を判定する。余裕度演算部35は、対向車が存在すると判定した場合、余裕度を小さくする。余裕度演算部35は、対向車が存在しないと判定した場合、余裕度を変更しないか又は大きくする。余裕度演算部35は、さらに対向車の大きさや種別(例えば自動車、重機等)を判定し、その判定結果に応じて余裕度を演算してもよい。例えば、余裕度演算部35は、対向車が大きいほど余裕度を小さくし、対向車が重機であれば対向車が自動車であるときよりも余裕度を小さくしてもよい。
余裕度演算部35は、道幅等の演算結果に基づく余裕度±M1と、道路端状況の判定結果に基づく余裕度±M2と、対向車の有無や種類に基づく余裕度±M3に基づいて、現在の余裕度Mを演算する。余裕度演算部35は、例えば、余裕度の初期値に対して、余裕度±M1~±M3を加算して、現在の余裕度Mを演算する。あるいは、余裕度演算部35は、例えば、随時、余裕度±M1~±M3の合計を余裕度Mとして演算する。
(補正ゲイン演算)
補正ゲイン演算部33は、路面状態判定部34の判定結果と余裕度演算部35の演算結果とに基づいて、補正ゲインを演算する。より詳細に、補正ゲイン演算部33は、FF目標角αffの演算に組み込まれる補正ゲインであるFF補正ゲインGff、及びFB目標角αfbの演算に組み込まれる補正ゲインであるFB補正ゲインGfbのうち少なくとも一方を、路面状態判定部34の判定結果と余裕度演算部35の演算結果とに基づいて演算する。
補正ゲイン演算部33は、路面状態判定部34の判定結果と余裕度演算部35の演算結果とに基づいて、補正ゲインを演算する。より詳細に、補正ゲイン演算部33は、FF目標角αffの演算に組み込まれる補正ゲインであるFF補正ゲインGff、及びFB目標角αfbの演算に組み込まれる補正ゲインであるFB補正ゲインGfbのうち少なくとも一方を、路面状態判定部34の判定結果と余裕度演算部35の演算結果とに基づいて演算する。
本実施形態の補正ゲイン演算部33は、路面状態判定部34により路面が悪路であると判定されている場合、余裕度演算部35で演算された余裕度Mに基づいてFB補正ゲインを演算する。補正ゲイン演算部33は、路面が悪路であると判定されていない場合、余裕度Mにかかわらず、FB補正ゲインを所定値(例えば初期値)に設定する。
補正ゲイン演算部33は、路面が悪路であると判定された状況(以下、「悪路状況」ともいう)において、余裕度Mが大きいほど目標軌道に対する追従性が弱くなるように、FB補正ゲインGfbの少なくとも1つを演算し設定する。すなわち、補正ゲイン演算部33は、悪路状況において、余裕度Mが大きいほど、FB補正ゲインGfbの少なくとも1つを小さくする。さらに換言すると、補正ゲイン演算部33は、悪路状況において、余裕度Mが小さいほど目標軌道に対する追従性が強くなるように、FB補正ゲインGfbの少なくとも1つを演算し設定する。すなわち、補正ゲイン演算部33は、悪路状況において、余裕度Mが小さいほど、FB補正ゲインGfbの少なくとも1つを大きくする。FB補正ゲインGfbの少なくとも1つは、余裕度Mが大きいほど初期値よりも小さくなり、余裕度Mが小さいほど初期値よりも大きくなる。補正ゲイン演算部33には、例えば、余裕度Mと各FB補正ゲインGfbとの関係を示すマップが予め記憶されている。
例えば図2に示すように、悪路状況において、道幅が大きく、道路端が盛り土で構成され、対向車が存在しない場合、FB補正ゲインは相対的に小さくなり、目標軌道に対する追従性は相対的に弱くなる。一方で、例えば図3に示すように、悪路状況において、道幅が小さく、一方の道路端に防護手段がなく崖があり、対向車が存在する場合、FB補正ゲインは相対的に大きくなり、目標軌道に対する追従性は相対的に強くなる。余裕度Mが異なれば、路面状態が同じような悪路でも(例えば同じ轍がある路面でも)、FB補正ゲイン(すなわち追従性)は異なる。
自動運転の概要として、図4に示すように、自動運転ECU3は、地図データ、自車両の推定位置、及び目的地から目標軌道を演算する。自動運転ECU3は、目標軌道に基づいてFF目標角αffを演算する。自動運転ECU3は、各種センサ等の情報に基づく周辺状況の認識に応じて、路面状態を判定し且つ余裕度を演算する。自動運転ECU3は、路面状態及び余裕度Mに基づいてFB補正ゲインGfbを演算する。自動運転ECU3は、FB補正ゲインGfbと横偏差δとヨー角偏差θy等に基づいてFB目標角αfbを演算する。自動運転ECU3は、FF目標角αffとFB目標角αfbとの和である目標転舵角の指令値αtを演算し、転舵ECU2Bに指令値αtの情報を送信する。
自動運転ECU3による自動運転中のFB目標角αffの演算の一例を説明すると、図5に示すように、まず路面が悪路であるか否かが判定される(S1)。路面が悪路であると判定された場合(S1:Yes)、道路に関する各種データに基づいて余裕度Mが演算される(S2)。続いて、演算された余裕度Mに基づいて、FB補正ゲインGfbが演算される(S3)。そして、余裕度Mを加味して決定されたFB補正ゲインGfb、横偏差δ、及びヨー角偏差θyに基づいて、FB目標角αfbが演算される(S4)。一方、路面が悪路であると判定されなかった場合、すなわち路面が悪路でないと判定された場合(S1:No)、余裕度Mにかかわらず、FB補正ゲインが所定値(例えば初期値又は通常値)に設定される(S5)。そして、所定値に設定されたFB補正ゲイン、横偏差δ、及びヨー角偏差θyに基づいて、FB目標角αfbが演算される(S4)。
なお、余裕度Mに基づく補正ゲインの演算は、FF補正ゲインGffの演算に対して適用されてもよい。つまり、補正ゲイン演算部33は、悪路状況において、余裕度Mを演算し、演算された余裕度Mに基づいて、FF補正ゲインGffを演算するように構成されてもよい。また、余裕度Mに基づく補正ゲインの演算は、路面が悪路でない状態で実行されてもよい。この場合、例えば、余裕度演算部35は、路面状態判定部34の判定結果によらず、余裕度Mを演算し、補正ゲイン演算部33は、余裕度Mに基づいて、FF補正ゲインGff及びFB補正ゲインGfbの少なくとも一方を演算する。また、余裕度演算部35は、路面状態判定部34の判定結果に応じて余裕度Mを変更してもよい。
(本実施形態の効果)
本実施形態によれば、目標転舵角の演算に組み込まれる補正ゲインが、路面状態と自車両の左右方向の余裕度Mとに基づいて演算される。つまり、本実施形態によれば、自車両の左右方向に余裕がある場合と余裕がない場合とで補正ゲインを変更することができる。例えば、道幅が大きいほど余裕度Mは大きいといえ、道路の左端又は右端が崖である場合、余裕度Mが小さいといえる。本実施形態によれば、演算された余裕度Mに応じて補正ゲインの大小を調整し、目標軌道に対する追従性の強弱を調整することができる。つまり、本実施形態によれば、道路及び道路周辺の状況に適した自動運転制御が可能となる。
本実施形態によれば、目標転舵角の演算に組み込まれる補正ゲインが、路面状態と自車両の左右方向の余裕度Mとに基づいて演算される。つまり、本実施形態によれば、自車両の左右方向に余裕がある場合と余裕がない場合とで補正ゲインを変更することができる。例えば、道幅が大きいほど余裕度Mは大きいといえ、道路の左端又は右端が崖である場合、余裕度Mが小さいといえる。本実施形態によれば、演算された余裕度Mに応じて補正ゲインの大小を調整し、目標軌道に対する追従性の強弱を調整することができる。つまり、本実施形態によれば、道路及び道路周辺の状況に適した自動運転制御が可能となる。
例えば図2に示すように、悪路状況であるが余裕度Mが大きい状況では、補正ゲインを小さくして過度な追従制御を避けることが可能となる。これにより、例えば、車両に対して轍に逆らわず走行させることができ、轍を乗り越える際の衝撃発生を抑制でき、悪路状況での乗員の快適性の悪化は抑制され、運搬物への過度の衝撃付与も抑制される。また、轍の乗り越えるためのアシスト電流値の上昇を抑制でき、消費電力の増大を抑制することができる。
また、例えば図3に示すように、悪路状況で且つ余裕度Mが小さい状況では、補正ゲインを大きくして目標軌道への追従性を優先することが可能なる。これにより、例えば、車両に対して轍に逆らってでも目標軌道に沿うように走行させることができ、より安全性を優先した走行が可能となる。このように、目標転舵角の演算に余裕度Mの考え方を組み込むことで、車両の自動運転において、状況により適した性能(快適性・省エネ重視、又は安全性重視)を発揮させることができる。補正ゲイン演算部33は、初期の補正ゲイン又は他の演算により設定された補正ゲインを、余裕度Mに基づいて変更するゲイン変更手段ともいえる。
(その他)
本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、路面状態判定部34による路面状態の判定結果として、上記実施形態では路面が悪路であるか否かの2パターンが例示されているが、例えば、平坦路、やや悪路、ひどい悪路等のように3パターン以上の段階的な判定結果が設定されてもよい。この場合、自動運転ECU3は、余裕度又は補正ゲインを、当該判定結果に合わせて段階的に変化するように演算してもよい。また、ステアリングシステム2は、ステアバイワイヤ型のシステムであってもよい。また、自動運転ECU3は、転舵ECU2Bを介さずに、転舵装置2Aを制御する機能・構成(例えば駆動回路)を備えていてもよい。また、自車両の位置の推定に、GPSデータが用いられてもよい。
本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、路面状態判定部34による路面状態の判定結果として、上記実施形態では路面が悪路であるか否かの2パターンが例示されているが、例えば、平坦路、やや悪路、ひどい悪路等のように3パターン以上の段階的な判定結果が設定されてもよい。この場合、自動運転ECU3は、余裕度又は補正ゲインを、当該判定結果に合わせて段階的に変化するように演算してもよい。また、ステアリングシステム2は、ステアバイワイヤ型のシステムであってもよい。また、自動運転ECU3は、転舵ECU2Bを介さずに、転舵装置2Aを制御する機能・構成(例えば駆動回路)を備えていてもよい。また、自車両の位置の推定に、GPSデータが用いられてもよい。
1…車両制御装置、2A…転舵装置、2B…転舵制御部、31…目標軌道演算部、32…目標転舵角演算部、33…補正ゲイン演算部、34…路面状態判定部、35…余裕度演算部、53…周辺監視装置。
Claims (9)
- 車輪を転舵する転舵装置と、
自動運転において、地図データ、自車両の位置、及び目的地に基づいて目標軌道を演算する目標軌道演算部と、
前記目標軌道演算部で演算された前記目標軌道に基づいて目標転舵角を演算する目標転舵角演算部と、
前記目標転舵角演算部での前記目標転舵角の演算に組み込まれる補正ゲインを演算する補正ゲイン演算部と、
前記目標転舵角に基づいて前記転舵装置を制御する転舵制御部と、
を備える車両制御装置であって、
前記自車両が走行している道路の路面状態を判定する路面状態判定部と、
前記自車両が走行している道路における、道幅、前記自車両から道路端までの距離、及び道路端状況の少なくとも1つに基づいて、前記自車両の左右方向の余裕度を演算する余裕度演算部と、
をさらに備え、
前記補正ゲイン演算部は、前記路面状態判定部の判定結果と前記余裕度演算部の演算結果とに基づいて、前記補正ゲインを演算する、
車両制御装置。 - 前記補正ゲイン演算部は、前記余裕度が小さいほど、前記目標軌道に対する追従性が強くなるように前記補正ゲインを設定する、
請求項1に記載の車両制御装置。 - 前記路面状態判定部は、路面が悪路であるか否かを判定し、
前記余裕度演算部は、前記路面状態判定部により路面が悪路であると判定された場合、前記余裕度を演算する、
請求項1又は2に記載の車両制御装置。 - 前記余裕度演算部は、道幅が小さいほど前記余裕度を小さくする、
請求項1~3の何れか一項に記載の車両制御装置。 - 前記余裕度演算部は、前記自車両から道路端までの距離が小さいほど前記余裕度を小さくする、
請求項1~4の何れか一項に記載の車両制御装置。 - 前記道路端状況には、道路端に防護手段がある状況と、道路端に前記防護手段がなく危険地形がある状況が含まれ、
前記余裕度演算部は、前記道路端状況を道路端に前記防護手段がある状況と判定した場合、前記余裕度を大きくし又は変化させず、前記道路端状況を道路端に前記防護手段がなく危険地形がある状況と判定した場合、前記余裕度を小さくする、
請求項1~5の何れか一項に記載の車両制御装置。 - 前記余裕度演算部は、対向車が存在する場合、前記余裕度を小さくする、
請求項1~6の何れか一項に記載の車両制御装置。 - 前記路面状態判定部は、前記転舵制御部による前記転舵装置の制御量、車輪速度、車両挙動状態の検出結果、カメラを含む周辺監視装置の検出結果、及び無線通信により外部記憶装置から取得した路面状態データのうちの少なくとも1つに基づいて、路面が悪路であるか否かを判定する、
請求項1~7の何れか一項に記載の車両制御装置。 - 前記目標転舵角演算部は、フィードフォワード制御で前記目標軌道に基づいて演算されたFF目標角、及びフィードバック制御で演算されたFB目標角に基づいて、前記目標転舵角を演算し、
前記補正ゲイン演算部は、前記FF目標角の演算に組み込まれる前記補正ゲインであるFF補正ゲイン及び前記FB目標角の演算に組み込まれる前記補正ゲインであるFB補正ゲインのうち少なくとも一方を、前記路面状態判定部の判定結果と前記余裕度演算部の演算結果とに基づいて演算する、
請求項1~8の何れか一項に記載の車両制御装置。
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Applications Claiming Priority (1)
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ID=87565506
Family Applications (1)
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JP2022014870A Pending JP2023112871A (ja) | 2022-02-02 | 2022-02-02 | 車両制御装置 |
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Country | Link |
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2022
- 2022-02-02 JP JP2022014870A patent/JP2023112871A/ja active Pending
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