JP2023112817A - 造形装置の調整方法、造形システム、及び確認用造形物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】造形装置の構成に適した方法により、造形装置の調整を適切に行う。【解決手段】造形装置12の調整を行う調整方法であって、造形装置12の動作を確認するために用いる確認用造形物を造形する造形段階と、確認用造形物の状態を確認する確認段階と、確認段階で確認した確認用造形物の状態に基づいて造形装置12の調整を行う調整段階とを備え、造形装置12は、吐出ヘッドであるインクジェットヘッド202と、平坦化ローラ206とを備え、造形段階において、平坦化ローラ206による層の平坦化の動作を確認するための部分である平坦化動作確認用部分を有する確認用造形物を造形装置12に造形させる。【選択図】図1
Description
本発明は、造形装置の調整方法、造形システム、及び確認用造形物の製造方法に関する。
従来、インクジェットヘッドを用いて造形物を造形する造形装置(3Dプリンタ)が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このような造形装置においては、例えば、インクジェットヘッドにより形成するインクの層を複数層重ねることにより、積層造形法で造形物を造形する。
造形装置を用いて造形物を造形する場合において、造形装置の動作に狂いがあると、高い品質での造形を行うことが難しくなる。この点に関し、例えば2次元の画像を印刷するインクジェットプリンタの場合、所定のテストパターンを印刷して、インクジェットヘッドの調整を行う方法が広く用いられている。そのため、造形装置においても、インクジェットヘッド等の吐出ヘッドに対し、インクジェットプリンタでの調整と同様の調整を行うことが考えられる。また、この場合、例えば、造形装置における吐出ヘッドからシート状の部材に対して造形の材料を吐出して、吐出ヘッドの吐出特性の確認等を行うことが考えられる。しかし、造形装置で造形物を造形する場合、インクジェットプリンタと同様の調整を行うのみでは、高い精度で造形物の造形を行うことが難しい場合もある。そのため、造形装置の調整について、より適切な方法で行うことが望まれる。そこで、本発明は、上記の課題を解決できる造形装置の調整方法、造形システム、及び確認用造形物の製造方法を提供することを目的とする。
本願の発明者は、造形装置の調整の仕方について、鋭意研究を行い、造形装置の動作を確認するために用いる造形物である確認用造形物を造形することを考えた。この場合、確認状造形物の状態を確認し、その確認結果に基づいて造形装置の調整を行うことで、造形物に求められる品質等に合わせて、適切に造形装置の調整を行うことができる。また、造形装置では、例えば、造形の材料で形成される層を重ねることで造形物を造形することが考えられる。そして、この場合、造形装置において、例えば、平坦化ローラにより、造形の材料で形成される層を平坦化することが考えられる。また、この場合、平坦化ローラの状態にズレや傾き等があると、層の平坦化を適切に行えず、造形物の品質への影響が特に大きくなる。そこで、本願の発明者は、平坦化ローラによる層の平坦化の動作を確認するための部分を有する確認用造形物を造形装置に造形させて、造形装置の調整を行うことを考えた。このように構成すれば、例えば、造形装置の構成に適した方法により、造形装置の調整を適切に行うことができる。
また、本願の発明者は、更なる鋭意研究により、このような効果を得るために必要な特徴を見出し、本発明に至った。上記の課題を解決するために、本発明は、造形の材料で形成される層を重ねることで造形物を造形する造形装置の調整を行う造形装置の調整方法であって、前記造形装置の動作を確認するために用いる前記造形物である確認用造形物を造形する造形段階と、前記造形段階で造形した前記確認用造形物の状態を確認する確認段階と、前記確認段階で確認した前記確認用造形物の状態に基づいて前記造形装置の調整を行う調整段階とを備え、前記造形装置は、前記造形の材料を吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドから吐出された前記材料で形成される前記層を平坦化する平坦化ローラとを備え、前記造形段階において、前記造形装置における前記平坦化ローラによる前記層の平坦化の動作を確認するための部分である平坦化動作確認用部分を有する前記確認用造形物を前記造形装置に造形させる。
このように構成した場合、例えば、確認用造形物における平坦化動作確認用部分の状態を確認することで、平坦化ローラによる平坦化の動作を確認することができる。この場合、平坦化ローラによる平坦化の動作に関し、例えば、平坦化が適切に行えているか否かの確認を行うことが考えられる。また、平坦化が適切に行えてない場合において、平坦化動作確認用部分の状態に基づき、例えば、平坦化ローラの状態のズレ方や傾き具合等を確認することも考えられる。また、この場合、調整段階において、確認した確認用造形物の状態に基づいて造形装置の調整を行うことで、例えば、造形装置の調整を適切に行うことができる。より具体的に、この場合、例えば、平坦化動作確認用部分に対する確認の結果に基づき、平坦化ローラに対する調整を行うことが考えられる。このように構成すれば、例えば、造形装置の構成に適した方法により、造形装置の調整を適切に行うことができる。
また、この構成のように、層を重ねることで造形物を造形する場合、曲面形状の部分において、造形の解像度に応じて生じる段差が形成されることが考えられる。そして、このような段差がある部分の見え方については、例えば、平坦化ローラでの平坦化のされ方に応じて変化することが考えられる。より具体的に、例えば、平坦化ローラの調整が適切に行われていない場合、このような部分の見え方について、調整が適切に行われている場合との差が大きくなることが考えられる。そのため、この構成において、平坦化動作確認用部分としては、例えば、造形装置での造形の解像度に応じて生じる段差によって表現した曲面形状の部分を含む部分を用いることが考えられる。このように構成すれば、例えば、平坦化ローラによる平坦化の動作をより適切に確認することができる。また、これにより、例えば、平坦化ローラの調整をより適切に行うことができる。
また、この構成において、造形装置は、例えば、有色材料を吐出する吐出ヘッドである有色材料用ヘッドを備える。有色材料については、例えば、着色された造形物の造形時に用いる有色の材料等と考えることができる。そして、この場合、造形段階において、例えば、有色材料用ヘッドから吐出する有色材料を用いて、確認用造形物の少なくとも一部を形成することが考えられる。このように構成した場合、確認用造形物の少なくとも一部を着色することで、例えば、確認用造形物の状態をより容易かつ適切に確認することができる。また、確認用造形物の少なくとも一部を着色することで、例えば、有色材料用ヘッドの状態を確認すること等も可能になる。
確認用造形物としては、例えば、上記の曲面形状の部分以外の部分を更に有する造形物を造形してもよい。より具体的に、この構成において、造形装置は、例えば、光反射性の材料である光反射性材料を吐出する吐出ヘッドである光反射性材料用ヘッドを更に備える。そして、この場合、造形段階において、例えば、所定の範囲における少なくとも一部が有色材料を用いて塗りつぶすように着色される部分であるベタ着色部を上面に有する確認用造形物を造形装置に造形させる。また、この場合、上面におけるベタ着色部の周囲は、例えば、光反射性材料を用いて、ベタ着色部と異なる色で形成される。
この場合、平坦化ローラの調整が適切に行われていないと、例えば、ベタ着色部を形成するために吐出された有色材料が平坦化ローラに引きずられて、ベタ着色部の外側に意図しない着色がされること等が考えられる。そのため、このように構成すれば、例えば、平坦化ローラによる平坦化の動作について、より適切に確認することができる。また、この場合、ベタ着色部について、例えば、確認用造形物における平坦化動作確認用部分の一部になっていると考えることができる。また、平坦化動作確認用部分について、例えば、上記の曲面形状の部分に加えてベタ着色部を含んでいると考えることもできる。また、このようなベタ着色部を形成する場合、例えば、平坦化ローラによる平坦化の動作以外の確認を更に行うこともできる。この場合、例えば、ベタ着色部の状態に基づき、有色材料用ヘッドによる塗りつぶしの動作の確認を行うことが考えられる。また、例えば、ベタ着色部及びその周囲の状態に基づき、有色材料用ヘッド及び光反射性材料用ヘッドの状態を確認すること等も考えられる。
また、ベタ着色部を有する確認用造形物を造形する場合、例えば、ベタ着色部の一部を白抜き状態にすること等も考えられる。このように構成した場合、例えば、白抜きの部分が適切に形成されるか否かを確認することで、造形装置の状態をより適切に確認することができる。また、この場合、例えば、白抜き文字を含むベタ着色部を形成することが考えられる。白抜き文字については、例えば、ベタ着色部の中で光反射性材料の色で表現される文字等と考えることができる。また、より具体的に、この場合、ベタ着色部として、例えば、互いに異なる複数種類のサイズの文字が光反射性材料の色で表現されることで一部を除いた部分が有色材料を用いて塗りつぶすように着色される部分を形成することが考えられる。このように構成すれば、例えば、造形装置の状態をより適切に確認することができる。また、ベタ印字部において複数種類のサイズの白抜き文字を表現することで、例えば、所望の品質での造形が行われているか否かについて、より適切に確認することができる。また、造形段階では、例えば、下面にもベタ着色部を有する確認用造形物を造形装置に造形させてもよい。この場合、確認用造形物は、例えば、上面におけるベタ着色部と下面におけるベタ着色部との間に、光反射性材料を用いて形成される光反射性の領域を有する。このように構成すれば、例えば、造形装置の状態をより適切に確認することができる。
また、着色された造形物を造形する場合、例えば、着色材料を用いて、造形物の表面に文字を描くこと等も考えられる。そして、この場合、描かれた文字が崩れた状態になっていると、造形の品質が低い印象を与えやすい。そのため、造形装置の調整時には、例えば、必要な精度で文字を適切に描けることを確認することがより好ましい。そして、この場合、例えば、造形段階において、有色材料を用いて表現した文字を確認するための部分である文字確認用部分を更に有する確認用造形物を造形装置に造形させることが考えられる。また、この場合、文字確認用部分として、例えば、文字の周囲が光反射性材料の色になる領域の中で有色材料を用いて互いに異なる複数種類のサイズの文字を表現した部分を形成することが考えられる。このように構成すれば、例えば、造形時における文字の描かれ方を適切に確認することができる。また、文字確認用部分において複数種類のサイズの文字を表現することで、例えば、所望の品質での造形が行われているか否かについて、より適切に確認することができる。
また、この構成において、造形装置は、例えば、互いに異なる色の有色材料をそれぞれが吐出する複数の有色材料用ヘッドを備える。そして、この場合、例えば、複数色の有色材料を用いて形成される部分を含む確認用造形物を用いることが考えられる。また、このような部分として、例えば、階段状の形状のような立体的な形状の部分を形成することが考えられる。より具体的に、この場合、造形段階において、例えば、端部の位置が互いに異なる複数の層が重なることで形成される階段状の部分を更に有する確認用造形物を造形装置に造形させる。また、この場合、階段状の部分における少なくとも上面は、複数の有色材料用ヘッドから吐出される複数色の有色材料を用いて着色される。このように構成すれば、例えば、立体的な形状の部分における着色のされ方等について、適切に確認することができる。また、複数色の有色材料を用い、様々な色での着色がされた立体的な形状の部分を形成することで、例えば、平坦化ローラによる平坦化の動作等についても、より詳細に確認することができる。
また、確認用造形物としては、上記以外の様々な状態を確認するための部分を更に有する造形物を造形してもよい。例えば、造形段階において、有色材料を用いて表現した線を確認するための部分である線確認用部分を更に有する確認用造形物を造形装置に造形させることが考えられる。また、この場合、線確認用部分としては、例えば、互いに異なる線幅の複数種類の線を表現する部分を形成する。また、それぞれの線幅の線として、例えば、互いに異なる複数の方向へ延伸する複数の線を表現する。このように構成すれば、例えば、造形物の表面に描く画像等の要素となる様々な幅及び方向の線を描ける状態に造形装置が調整されているか否か等について、適切に確認することができる。また、造形段階において、例えば、上面から下面へ貫通する貫通孔を有する確認用造形物を造形装置に造形させること等も考えられる。このように構成すれば、例えば、貫通孔を有する造形物を造形できる状態に造形装置が調整されているか否か等について、適切に確認することができる。
また、本発明の構成として、上記と同様の特徴を有する造形システムや確認用造形物の製造方法等を用いることも考えられる。また、造形システムでの造形物の造形時において、造形装置は、例えば、確認用造形物の状態を確認した結果に基づいて調整がされた平坦化ローラにより、層を平坦化する。これらの場合も、例えば、上記と同様の効果を得ることができる。
本発明によれば、例えば、造形装置の構成に適した方法により、造形装置の調整を適切に行うことができる。
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る造形装置の調整方法を実行する造形システム10について説明をする図である。図1(a)は、造形システム10の構成の一例を示す。本例において、造形システム10は、立体的な造形物を造形する造形システムであり、造形装置12及び制御PC14を備える。造形システム10において造形する造形物については、例えば、立体的な三次元構造物等と考えることができる。
造形装置12は、造形物の造形を実行する装置であり、制御PC14の制御に応じて、造形物を造形する。また、本例において、造形装置12は、フルカラーでの着色がされた造形物を造形可能なフルカラー造形装置であり、造形しようとする造形物を示すデータである造形物データを制御PC14から受け取り、造形物データに基づいて、造形物を造形する。制御PC14は、造形装置12の動作を制御するコンピュータ(ホストPC)であり、造形物データを造形装置12へ供給することにより、造形装置12による造形の動作を制御する。また、本例において、制御PC14は、外部から色彩を視認できる表面に着色がされた造形物を示す造形物データを造形装置12へ供給する。
尚、本例において、造形システム10は、複数の装置である造形装置12及び制御PC14により構成されている。造形システム10の変形例において、造形システム10は、一台の装置により構成されてもよい。この場合、例えば、制御PC14の機能を含む一台の造形装置12により造形システム10を構成すること等が考えられる。また、造形システム10は、造形装置12及び制御PC14以外の装置を更に備えてもよい。
続いて、造形装置12の具体的な構成について、説明をする。図1(b)は、造形装置12の要部の構成の一例を示す。本例において、造形装置12は、積層造形法により立体的な造形物50を造形する造形装置(3Dプリンタ)であり、ヘッド部102、造形台104、走査駆動部106、及び制御部110を有する。この場合、積層造形法については、例えば、造形の材料で形成される層を重ねることで造形物50を造形する方法等と考えることができる。また、以下に説明をする点を除き、造形装置12は、公知の造形装置と同一又は同様の構成を有してよい。より具体的に、以下に説明をする点を除き、造形装置12は、インクジェットヘッドを用いて造形物50の材料となる液滴を吐出することで造形を行う公知の造形装置と同一又は同様の特徴を有してよい。また、造形装置12は、図示した構成以外にも、例えば、造形物50の造形等に必要な各種構成を更に備えてよい。
ヘッド部102は、造形物50の材料を吐出する構成である。本例において、造形物50の材料としては、インクを用いる。インクについては、例えば、機能性の液体等と考えることができる。また、インクについて、例えば、インクジェットヘッドから吐出する液体等と考えることもできる。本例において、ヘッド部102は、造形物50の材料として、複数のインクジェットヘッドから、所定の条件に応じて硬化するインクを吐出する。そして、着弾後のインクを硬化させることにより、造形物50を構成する各層を重ねて形成して、積層造形法で造形物を造形する。また、本例では、このようなインクとして、紫外線の照射により液体状態から硬化する紫外線硬化型インク(UVインク)を用いる。また、ヘッド部102は、造形物50の材料に加え、サポート層52の材料を更に吐出する。これにより、ヘッド部102は、造形物50の周囲等に、必要に応じて、サポート層52を形成する。サポート層52については、例えば、造形中の造形物50の少なくとも一部を支持する積層構造物等と考えることができる。サポート層52は、造形物50の造形時において、必要に応じて形成され、造形の完了後に除去される。
造形台104は、造形中の造形物50を支持する台状部材であり、ヘッド部102におけるインクジェットヘッドと対向する位置に配設され、造形中の造形物50及びサポート層52を上面に載置する。また、本例において、造形台104は、積層方向(図中のZ方向)へ移動可能な構成を有しており、走査駆動部106に駆動されることにより、造形物50の造形の進行に合わせて、積層方向への移動を行う。この場合、積層方向については、例えば、積層造形法において造形の材料が積層される方向等と考えることができる。また、本例において、積層方向は、造形装置12において予め設定される主走査方向(図中のY方向)及び副走査方向(図中のX方向)と直交する方向である。
走査駆動部106は、造形中の造形物50に対して相対的に移動する走査動作をヘッド部102に行わせる駆動部である。本例において、造形中の造形物50に対して相対的に移動することについては、例えば、造形台104に対して相対的に移動すること等と考えることができる。また、ヘッド部102に走査動作を行わせることについては、例えば、ヘッド部102が有するインクジェットヘッドに走査動作を行わせること等と考えることができる。また、本例において、走査駆動部106は、走査動作として、主走査動作(Y走査)、副走査動作(X走査)、及び積層方向走査動作(Z走査)をヘッド部102に行わせる。
この場合、主走査動作については、例えば、造形中の造形物50に対して相対的に主走査方向へ移動しつつインクを吐出する動作等と考えることができる。副走査動作については、例えば、主走査方向と直交する副走査方向へ造形中の造形物50に対して相対的に移動する動作等と考えることができる。また、副走査動作については、例えば、予め設定された送り量だけ副走査方向へ造形台104に対して相対的に移動する動作等と考えることもできる。本例において、走査駆動部106は、ヘッド部102に主走査動作及び副走査動作を行わせることで、ヘッド部102にインクの層を形成させる。また、積層方向走査動作については、例えば、造形中の造形物50に対して相対的に積層方向へ移動する動作等と考えることができる。走査駆動部106は、造形の動作の進行に合わせてヘッド部102に積層方向走査動作を行わせることにより、積層方向において、造形中の造形物50に対するインクジェットヘッドの相対位置を調整する。
制御部110は、例えば造形装置12のCPUを含む構成であり、造形装置12の各部を制御することにより、造形物50の造形の動作を制御する。また、本例において、制御部110は、制御PC14から受け取る造形物データに基づき、造形しようとする造形物50の断面を示すデータであるスライスデータを生成する。そして、造形物50を構成するそれぞれのインクの層を形成する動作において、スライスデータに基づいてヘッド部102における各インクジェットヘッドの動作を制御することにより、造形物の造形に用いるインクを各インクジェットヘッドに吐出させる。本例によれば、例えば、造形物50の造形を適切に実行することができる。
続いて、造形装置12におけるヘッド部102の構成について、更に詳しく説明をする。図1(c)は、ヘッド部102の構成の一例を示す。本例において、ヘッド部102は、複数のインクジェットヘッド202、複数の紫外線光源204、及び平坦化ローラ206を有する。また、複数のインクジェットヘッド202として、図中において文字s~tを付して区別して示すように、インクジェットヘッド202s、インクジェットヘッド202w、インクジェットヘッド202y、インクジェットヘッド202m、インクジェットヘッド202c、インクジェットヘッド202k、及びインクジェットヘッド202tを有する。これらの複数のインクジェットヘッド202は、副走査方向における位置を揃えて、主走査方向へ並べて配設される。また、それぞれのインクジェットヘッド202は、造形台104と対向する面に、所定のノズル列方向へ複数のノズルが並ぶノズル列を有する。本例において、ノズル列方向は、副走査方向と平行な方向である。
また、これらのインクジェットヘッド202のうち、インクジェットヘッド202sは、サポート層52の材料を吐出するインクジェットヘッドである。サポート層52の材料としては、例えば、サポート層用の公知の材料を好適に用いることができる。インクジェットヘッド202s以外のインクジェットヘッド202は、造形物50の材料を吐出するインクジェットヘッドである。また、本例において、インクジェットヘッド202s以外のインクジェットヘッド202については、例えば、造形物50を構成する造形の材料を吐出する吐出ヘッドの一例等と考えることができる。また、インクジェットヘッド202s以外のインクジェットヘッド202のうち、インクジェットヘッド202wは、白色(W色)のインクを吐出するインクジェットヘッドである。また、本例において、インクジェットヘッド202wは、光反射性材料を吐出する吐出ヘッドである光反射性材料用ヘッドの一例である。白色のインクは、光反射性の材料である光反射性材料の一例であり、例えば造形物50において光を反射する性質の領域(光反射領域)を形成する場合に用いられる。この光反射領域は、例えば、造形物50表面に対してフルカラー表現での着色を行う場合に、造形物50の外部から入射する光を反射する。フルカラー表現については、例えば、プロセスカラーのインクによる減法混色法の可能な組み合わせで行う色の表現等と考えることができる。プロセスカラーについては、例えば、色表現に用いる基本色等と考えることができる。
インクジェットヘッド202y、インクジェットヘッド202m、インクジェットヘッド202c、インクジェットヘッド202k(以下、インクジェットヘッド202y~kという)は、着色された造形物50の造形時に用いられる着色用のインクジェットヘッドである。より具体的に、インクジェットヘッド202yは、イエロー色(Y色)のインクを吐出する。インクジェットヘッド202mは、マゼンタ色(M色)のインクを吐出する。インクジェットヘッド202cは、シアン色(C色)のインクを吐出する。インクジェットヘッド202kは、黒色(K色)のインクを吐出する。また、本例において、インクジェットヘッド202y~kは、有色材料を吐出する吐出ヘッドである有色材料用ヘッドの一例である。この場合、有色材料については、例えば、着色された造形物の造形時に用いる有色の材料等と考えることができる。また、YMCKの各色は、プロセスカラーの一例である。YMCKの各色のインクは、有色材料の一例である。YMCKの各色のインクについては、例えば、着色用のインク等と考えることもできる。インクジェットヘッド202tは、クリアインクを吐出するインクジェットヘッドである。クリアインクについては、例えば、可視光に対して無色で透明(T)なインク等と考えることができる。また、クリアインクについて、例えば、意図的に色材を添加していないインク等と考えることもできる。
複数の紫外線光源204は、インクを硬化させるための光源(UV光源)であり、紫外線硬化型インクを硬化させる紫外線を発生する。本例において、複数の紫外線光源204のそれぞれは、間にインクジェットヘッド202の並びを挟むように、ヘッド部102における主走査方向の一端側及び他端側のそれぞれに配設される。紫外線光源204としては、例えば、UVLED(紫外LED)等を好適に用いることができる。また、紫外線光源204として、メタルハライドランプや水銀ランプ等を用いることも考えられる。平坦化ローラ206は、造形物50の造形中に形成されるインクの層を平坦化するための平坦化手段である。平坦化ローラ206については、例えば、吐出ヘッドから吐出される材料で形成される層を平坦化するための構成等と考えることもできる。また、本例において、平坦化ローラ206は、主走査動作時にインクの層の表面と接触して、硬化前のインクの一部を除去することにより、インクの層を平坦化する。以上のような構成のヘッド部102を用いることにより、例えば、造形物50を構成するインクの層を適切に形成できる。また、複数のインクの層を重ねて形成することにより、例えば、造形物50を適切に造形できる。
尚、ヘッド部102の具体的な構成については、上記において説明をした構成に限らず、様々に変形することもできる。例えば、ヘッド部102は、着色用のインクジェットヘッドとして、上記以外の色用のインクジェットヘッドを更に有してもよい。また、ヘッド部102における複数のインクジェットヘッドの並べ方についても、様々に変形可能である。例えば、一部のインクジェットヘッドについて、他のインクジェットヘッドと副走査方向における位置をずらしてもよい。
続いて、本例の造形装置12により造形する造形物50の構成について、更に詳しく説明をする。図2は、本例の造形装置12により造形する造形物50について説明をする図である。図2(a)は、造形物50の構成の一例を示す図であり、積層方向(Z方向)と直交する造形物50の断面であるX-Y断面の構成の一例を示す。この場合、X方向やY方向と垂直な造形物50のY-Z断面やX-Z断面の構成も、同様の構成になる。
上記においても説明をしたように、本例において、造形装置12(図1参照)は、インクジェットヘッド202y~k(図1参照)等を用いて、着色された造形物50を造形する。また、この場合、造形物50として、少なくとも表面が着色された造形物50を造形する。造形物50の表面が着色されることについては、例えば、造形物50において外部から色彩を視認できる領域の少なくとも一部が着色されること等と考えることができる。また、この場合、造形装置12は、例えば図中に示すように、光反射領域152及び着色領域154を備える造形物50を造形する。また、必要に応じて、造形物50の周囲等にサポート層52(図1参照)を形成する。
光反射領域152は、着色領域154等を介して造形物50の外側から入射する光を反射するための光反射性の領域である。本例において、造形装置12は、インクジェットヘッド202w(図1参照)から吐出する白色のインクを用いて、造形物50の内部に光反射領域152を形成する。この場合、光反射領域152について、例えば、内部領域を兼ねた領域になっていると考えることができる。内部領域については、例えば、造形物50の内部を構成する領域等と考えることができる。造形物50の構成の変形例においては、内部領域について、光反射領域152とは別の領域として形成してもよい。この場合、造形装置12は、例えば、サポート層52の材料以外の任意のインクを用いて、内部領域を形成する。また、内部領域の周囲に、光反射領域152を形成する。
着色領域154は、インクジェットヘッド202y~kから吐出する着色用のインクにより着色がされる領域である。本例において、造形装置12は、インクジェットヘッド202y~kから吐出する着色用のインクと、インクジェットヘッド202t(図1参照)から吐出するクリアインクとを用いて、光反射領域152の周囲(外側)に着色領域154を形成する。また、この場合、造形装置12では、例えば、各位置への各色の着色用のインクの吐出量を調整することにより、様々な色を表現する。また、色の違いによって生じる着色用のインクの量の変化を補填するために、クリアインクを用いる。このように構成すれば、例えば、着色領域154の各位置を所望の色で適切に着色できる。
ここで、上記においても説明をしたように、本例において、造形装置12は、積層造形法で造形物50を造形する。そして、この場合、積層方向と平行な面での造形物50の断面では、例えば図2(b)に示すように、複数の層172が重なる構成になると考えることができる。図2(b)は、積層造形法で形成される複数の層172が重なっている様態の一例を示す図である。図示の便宜上、図2(b)では、図2(a)に示す造形物50と異なる形状の造形物50の一部について、積層方向と平行な面での造形物50の断面の一部を拡大して、それぞれの層172の特徴を強調して示している。また、より具体的に、図2(b)に示した構成において、複数の層172のそれぞれは、造形物50の造形時にヘッド部102(図1参照)における複数のインクジェットヘッド202によって形成されるインクの層である。それぞれの層172は、図中の上側が鉛直方向の上側になる向きで、積層方向へ重なっている。
また、本例において、それぞれの層172は、白色部182及び着色部184を有する。白色部182は、造形物50において光反射領域152の一部になる部分である。着色部184は、造形物50において着色領域154の一部になる部分である。造形物50の造形時において、造形装置12は、インクジェットヘッド202wから吐出する白色のインクにより、白色部182を形成する。また、インクジェットヘッド202y~kから吐出する着色用のインクと、インクジェットヘッド202tから吐出するクリアインクとを用いて、白色部182の周囲(外側)に着色部184を形成する。また、それぞれの層172の形成時において、造形装置12は、平坦化ローラ206で平坦化を行うことで、予め設定された厚さで層172を形成する。
また、高い品質の造形物50を造形するためには、例えば、造形物50を構成するそれぞれの層172について、高い精度で形成することが必要になる。そして、この場合、造形装置12において、それぞれのインクジェットヘッド202から適切にインクを吐出し、かつ、平坦化ローラ206で適切に平坦化を行うことが重要になる。また、この場合、特に、平坦化の動作に問題が生じると、造形の品質が大きく低下することになる。そのため、本例においては、造形装置12の動作を確認するために用いる造形物である確認用造形物を造形装置12で造形し、その確認用造形物の状態に基づき、造形装置12に対する調整を行う。このように構成すれば、例えば、所望の品質での造形を行えるように、造形装置12の調整を適切に行うことができる。また、この場合、確認用造形物としては、例えば、図3に示す構成の造形物を用いることが考えられる。
図3は、本例において用いる確認用造形物300について説明をする図である。図3(a)は、確認用造形物300の構成の一例を示す上面図である。確認用造形物300の上面図については、例えば、積層方向における上側から見た確認用造形物300を示す図等と考えることができる。また、上面図について、例えば、造形装置12での造形時の位置関係においてインクジェットヘッド202(図1参照)の側から確認用造形物300を見た状態を示す図等と考えることもできる。図3(b)は、確認用造形物300の側面図である。確認用造形物300の側面図については、例えば、上下方向と直交する側面方向から見た確認用造形物300を示す図等と考えることができる。また、図3(b)においては、確認用造形物300の側面図として、副走査方向と平行な方向から見た確認用造形物300を図示している。図3(c)は、確認用造形物300の下面図である。確認用造形物300の下面図については、例えば、上面図とは反対の側から見た確認用造形物300を示す図等と考えることができる。
本例において、確認用造形物300は、板状部302、曲面部304、及び複数の段差部306を備える。板状部302は、積層方向と直交する主表面を有する板状の部分である。この場合、主表面については、例えば、板状の部材において最も面積が広い面等と考えることができる。より具体的に、本例の板状部302においては、図3(a)、(c)に示す上面及び下面について、板状部302の主表面と考えることができる。また、本例において、確認用造形物300は、表面の一部が着色された造形物である。より具体的に、確認用造形物300において、上面及び下面のそれぞれの一部は、着色用のインクであるYMCKの各色のインクの少なくともいずれかを用いて、着色される。また、確認用造形物300において、YMCKのいずれかの色のインクを用いて着色される部分以外の箇所は、白色のインクを用いて、白色で形成されている。また、本例において、確認用造形物300は、少なくとも一部が着色される領域として、上面及び下面のそれぞれに、ベタ着色部312、文字表現部314、線表現部316、及び複数のカラーパターン318を有する。また、上面のみに、突起文字320を有する。更に、一部が着色されていること以外の特徴として、確認用造形物300は、貫通孔322を有する。
確認用造形物300におけるこれらの構成のうち、ベタ着色部312は、所定の範囲における少なくとも一部がいずれかの色の着色用のインクを用いて塗りつぶすように着色される部分である。また、本例の確認用造形物300の上面及び下面のそれぞれにおいて、ベタ着色部312の周囲は、白色のインクで白色に形成されることで、ベタ着色部312と異なる色で形成される。この場合、上面におけるベタ着色部312と下面におけるベタ着色部312との間について、例えば、白色のインクを用いて光反射性の領域が形成されていると考えることができる。このようなベタ着色部312を形成した場合、例えば、造形装置12における平坦化ローラ206(図1参照)の状態にズレや傾き等が生じていると、ベタ着色部312において着色用のインクで塗りつぶされている部分に対する平坦化の実行時において、ベタ着色部312を形成するために吐出された着色用のインクが本来のベタ着色部312の範囲の外にまで平坦化ローラ206によって引きずられ、ベタ着色部312の外側に意図しない着色がされること等が考えられる。そのため、このようなベタ着色部312を形成することで、例えば、平坦化ローラ206によるインクの層の平坦化の動作等を確認することができる。また、これにより、例えば、平坦化ローラ206の状態に問題が生じている場合に、その旨を確認することができる。更には、ベタ着色部312の状態の乱れ方等に基づき、例えば、平坦化ローラ206の状態を推測し、必要な調整を行うこと等も可能になる。
また、より具体的に、本例のベタ着色部312は、着色用のインクとして黒色のインクを用いて、一部を白抜き状態にして形成される。この場合、白抜き状態の部分については、例えば、着色用のインクによって塗りつぶされた領域の中に白色のインクで白色に形成される部分等と考えることができる。また、本例において、ベタ着色部312は、白抜き状態の部分として、互いに異なる複数種類のサイズの白抜き文字を含む。この場合、白抜き文字については、例えば、ベタ着色部312の中で白色のインクの色で表現される文字等と考えることができる。また、このようなベタ着色部312については、例えば、互いに異なる複数種類のサイズの文字が白色のインクの色で表現されることで一部を除いた部分が黒色のインクを用いて塗りつぶすように着色される部分等と考えることもできる。
このように構成した場合、黒色のインクでベタ着色部312に対する塗りつぶしを行うことで、例えば、平坦化ローラ206による平坦化の動作によって本来のベタ着色部312の範囲の外へ着色用のインクが引きずられた場合等に、ベタ着色部312の状態の乱れをより容易かつ適切に確認することができる。また、このような構成のベタ着色部312を形成する場合、造形装置12の調整が正しく行われていないと、例えば、ベタ着色部312における白抜き文字に乱れが生じること等も考えられる。この場合、例えば、平坦化ローラ206によって黒色のインクが引きずられることで、白抜き文字の一部がつぶれること等が考えられる。また、この場合、ベタ着色部312が含む複数種類のサイズの白抜き文字のうち、どのサイズの文字までを判別できるかを確認することで、例えば、造形装置12や平坦化ローラ206の状態をより詳細に確認することができる。また、このようなベタ着色部312を形成することで、ベタ着色部312の状態に基づき、例えば、インクジェットヘッド202k(図1参照)による塗りつぶしの動作の確認を行うこともできる。また、ベタ着色部312及びその周囲の状態に基づき、例えば、インクジェットヘッド202k及びインクジェットヘッド202wの状態等を確認することもできる。
文字表現部314は、有色材料を用いて表現した文字を確認するための文字確認用部分の一例である。本例において、文字表現部314としては、文字の周囲が白色のインクの色になる領域の中で互いに異なる複数種類のサイズの文字を表現した部分を形成する。また、それぞれのサイズの文字について、黒色のインクを用いて表現する。このように構成すれば、例えば、造形時における文字の描かれ方を適切に確認することができる。また、文字表現部314において複数種類のサイズの文字を表現することで、例えば、所望の品質での造形が行われているか否かについて、より適切に確認することができる。また、この場合、文字表現部314が含む複数種類のサイズの文字のうち、どのサイズの文字までを判別できるかを確認することで、例えば、造形装置12等の状態をより詳細に確認することができる。
尚、着色された造形物を造形する場合、着色用のインクを用いて、造形物の表面に文字を描く場合がある。そして、この場合、描かれた文字が崩れた状態になっていると、造形の品質が低い印象を与えやすい。そのため、造形装置12の調整時には、必要な精度で文字を適切に描けることを確認することが好ましい。これに対し、本例によれば、文字表現部314を含む確認用造形物300を用いることで、例えば、上記のように、必要な精度で文字を描けるか否か等を適切に確認することができる。また、これにより、例えば、造形装置12に対し、所望の品質での造形ができるように、適切に調整を行うことができる。
線表現部316は、有色材料を用いて表現した線を確認するための線確認用部分の一例である。本例において、線表現部316としては、互いに異なる線幅の複数種類の線を表現する部分を形成する。この場合、それぞれの線については、線の周囲が白色のインクの色になる領域の中に、黒色のインクを用いて、黒色で形成する。また、それぞれの線幅の線として、互いに異なる複数の方向へ延伸する複数の線を表現する。このように構成すれば、例えば、造形物の表面に描く画像等の要素となる様々な幅及び方向の線を描ける状態に造形装置12が調整されているか否か等について、適切に確認することができる。また、図示した構成の確認用造形物300では、線表現部316における複数種類の幅の線として、0.05mm、0.1mm、0.2mm、及び0.3mmのそれぞれの幅の線を描いている。このような線幅の線の状態を確認することで、例えば、造形装置12について、高い品質での造形が可能な状態への調整をより適切に行うことができる。
複数のカラーパターン318は、様々な色で所定のパターンを表現した部分である。本例において、複数のカラーパターン318のそれぞれでは、サイズの異なる複数個の長方形が入れ子状になるパターンを表現する。また、それぞれの長方形については、所定の太さの線で辺を描くことで表現する。この場合、長方形が入れ子状になることについては、例えば、より大きなサイズの長方形の中により小さなサイズの長方形が入ること等と考えることができる。この場合、カラーパターン318における長方形の辺以外の部分は、白色になる。また、本例において、一つのカラーパターン318における複数の長方形は、同じ色で描かれる。そして、異なるカラーパターン318の間では、長方形を描く色を異ならせる。また、本例では、それぞれのカラーパターン318において、互いに異なる2次色で描かれるパターンを表現する。この場合、2次色については、例えば、複数色の着色用のインクを用いて表現する色等と考えることができる。より具体的に、本例のように、着色用のインクとしてYMCKの各色のインクを用いる場合、黒色以外から選ぶ2色分の着色用のインクを用いて、レッド色(R色)、グリーン色(G色)、及びブルー色(B色)の各色を表現することができる。そして、この場合、複数のカラーパターン318のそれぞれとして、例えば、RGBの各色のパターンを描くことが考えられる。このように構成した場合、ベタ着色部312及び文字表現部314の形成に用いる黒色以外の色のインクを用いて複数のカラーパターン318を形成することで、例えば、黒色以外の着色用のインクを用いて造形を行った結果等についても、適切に確認することができる。また、この場合において、RGB表色系での基本色となるRGBの各色でそれぞれのカラーパターン318を形成することで、例えば、造形物の着色のされ方等についても、より適切に確認をすることができる。
突起文字320は、板状部302の表面から突出するように立体的に文字が形成される部分である。本例において、突起文字320は、積層造形法で形成されるインクの層の複数層分の厚さで、上面が着色された状態で形成される。突起文字320の突出する高さについては、例えば、200μm程度(例えば、150~250μm程度)にすることが考えられる。また、突起文字320の上面については、例えば、いずれかの2次色(例えば、R色)で着色することが考えられる。このような突起文字320を形成することで、例えば、造形装置12の状態について、より多様な観点での確認を行うことができる。また、これにより、例えば、造形装置12について、高い品質での造形が可能な状態への調整をより適切に行うことができる。
貫通孔322は、板状部302の上面から下面へ貫通する孔である。貫通孔322としては、例えば、直径が1mm程度(例えば、0.5~1.5mm程度)の孔を形成することが考えられる。また、確認用造形物300の造形時においては、例えば、貫通孔322内にサポート層を形成した状態で造形装置12での造形の動作を行い、その後にサポート層を除去することで、貫通孔322を形成する。このような小さなサイズの貫通孔322を形成し、その状態を確認することで、例えば、造形装置12の状態について、更に多様な観点での確認を行うことができる。また、これにより、例えば、造形装置12について、高い品質での造形が可能な状態への調整をより適切に行うことができる。また、この場合、例えば、貫通孔を有する造形物を造形できる状態に造形装置12が調整されているか否か等についても、適切に確認することができる。
このような板状部302を備える確認用造形物300を造形することにより、上記のように、造形装置12の状態を様々な観点で確認することができる。また、この場合において、上面及び下面の両方にベタ着色部312、文字表現部314、線表現部316、及びカラーパターン318を形成することで、造形装置12の状態について、より適切に確認をすることができる。また、上記のように、本例において、確認用造形物300は、板状部302以外に、曲面部304及び複数の段差部306を更に備える。この場合、曲面部304及び複数の段差部306は、例えば、確認用造形物300の側面につながるように形成される。より具体的に、本例において、確認用造形物300は、造形装置12での造形時に長手方向が主走査方向と平行になる向きで形成される。そして、曲面部304及び複数の段差部306は、主走査方向における一方の側において、板状部302の側面につながる。また、この場合、平坦化ローラ206での平坦化を行う主走査動作での平坦化ローラ206の移動の向きにおいて、曲面部304及び複数の段差部306は、板状部302よりも下流側になる。曲面部304及び複数の段差部306と板状部302との位置関係については、例えば、造形時に平坦化ローラ206での平坦化を行う主走査動作において、板状部302に対応する部分が先に平坦化され、曲面部304及び複数の段差部306に対応する部分が後で平坦化される位置関係等と考えることもできる。
また、本例において、曲面部304及び複数の段差部306は、板状部302と比べて複雑な立体的な形状で形成される部分である。より具体的に、本例において、曲面部304は、造形装置12での造形の解像度に応じて生じる段差によって表現した曲面形状の部分を含む部分である。複数の段差部306のそれぞれは、複数色の着色用のインクを用いて形成される階段状の形状の部分である。このような曲面部304及び複数の段差部306を備える確認用造形物300を造形することで、例えば、造形装置12の状態等について、より詳細に確認をすることができる。また、曲面部304及びそれぞれの段差部306としては、例えば、図4に示す立体的な形状の部分を形成することが考えられる。
図4は、確認用造形物300(図3参照)における曲面部304及び段差部306について更に詳しく説明をする図である。図4(a)は、曲面部304の構成の一例を簡略化して板状部302の一部と共に示す曲面部304の断面図である。図4(b)は、段差部306の構成の一例を簡略化して板状部302の一部と共に示す段差部306の断面図である。図4(c)は、段差部306における斜面342の形状を拡大して模式的に示す図である。
本例において、曲面部304は、表面が着色されたドーム状の部分であり、内部における光反射領域152の周囲に着色領域154が形成される構成により、表面が着色された状態で形成される。この場合、ドーム状の形状については、例えば、最も高い位置から周囲に向かって徐々に高さが下がる形状の上面を有する形状等と考えることができる。また、曲面部304の上面については、例えば、所定の形状の曲面332になっていると考えることができる。また、本例において、曲面部304における着色領域154は、黒色のインクを用いて、黒色に着色される。
ここで、上記においても説明をしたように、本例において、造形装置12(図1参照)は、積層造形法で造形物を造形する。そして、この場合、造形物の様々な形状について、いわば、造形の解像度に応じた精度で近似した形状で表現することになる。また、その結果、例えば曲面部304の上面における曲面332のような曲面形状の部分には、造形の解像度に応じて生じる段差が形成されることになる。この場合、造形の解像度に応じて生じる段差について、例えば、積層造形法で積層されるインクの層の厚さに対応する高さをそれぞれの段の高さとする段差等と考えることができる。そのため、積層造形法で造形される造形物においては、通常、いわゆる積層縞が生じることになる。そして、このような積層縞の見え方については、例えば、造形装置12の状態を反映すると考えることができる。より具体的に、例えば、造形装置12の各部について、所定の正しい状態に適切に調整がされている場合、上記の段差によって生じる積層縞の見え方について、所定の標準的な見え方になると考えることができる。これに対し、造形装置12におけるいずれかの箇所の調整が適切に行われておらず、造形の動作に影響が生じた場合、積層縞の見え方について、標準的な見え方と異なることが考えられる。そのため、曲面部304の曲面332に生じる積層縞を観察することで、例えば、造形装置12の状態を確認することができる。また、曲面部304における曲面332の見え方については、特に、造形装置12における平坦化ローラ206(図1参照)での平坦化のされ方に応じて変化することが考えられる。より具体的に、例えば、平坦化ローラ206の調整が適切に行われていない場合、曲面332における積層縞の見え方について、調整が適切に行われている場合との差が大きくなることが考えられる。そのため、上記のような構成の曲面部304を備える確認用造形物300を造形することで、例えば、平坦化ローラ206による平坦化の動作をより適切に確認することができる。また、これにより、例えば、平坦化ローラ206の調整をより適切に行うことができる。
また、本例において、曲面部304は、確認用造形物300における平坦化動作確認用部分の一例である。この場合、平坦化動作確認用部分については、例えば、造形装置12における平坦化ローラ206によるインクの層の平坦化の動作を確認するための部分等と考えることができる。また、上記においても説明をしたように、平坦化ローラ206によるインクの層の平坦化の動作は、例えば確認用造形物300の板状部302におけるベタ着色部312等の、曲面部304以外の部分に対しても、影響を生じる。そのため、確認用造形物300の状態の確認時には、例えば、曲面部304以外の部分の状態に更に基づき、平坦化ローラ206によるインクの層の平坦化の動作を確認することもできる。そして、この場合、曲面部304について、例えば、平坦化動作確認用部分の一部に対応する構成等と考えることもできる。また、平坦化動作確認用部分について、例えば、曲面部304及びベタ着色部312等を含むと考えることができる。
また、本例において、段差部306は、表面が着色された階段状の部分であり、内部における光反射領域152の周囲に着色領域154が形成される構成により、表面が着色された状態で形成される。この場合、階段状の部分については、例えば、端部の位置が互いに異なる複数のインクの層が重なることで形成される複数の段差を含む部分等と考えることができる。この段差については、例えば、積層造形法で形成されるインクの層の厚さの整数倍の高さの段差等と考えることができる。また、段差部306における階段状の部分については、例えば、所定の方向へ段差が連なることで、斜面342を構成すると考えることもできる。この場合、斜面342について、例えば、造形の解像度に応じて生じる段差の連なりで近似的に表現された斜めの面等と考えることができる。斜めの面については、例えば、積層方向に対して非平行かつ非直交の面等と考えることができる。また、図示の便宜上、図4(b)では、段差部306において階段状になっている部分である斜面342について、破線によって簡略化して図示をしている。図4(b)における斜面342の表面部分を拡大して示す場合、斜面342について、例えば、図4(c)に示すように階段状になっていると考えることができる。
また、段差部306において、階段状の部分である斜面342の少なくとも上面については、例えば、インクジェットヘッド202y~k(図1参照)のうちの複数のインクジェットヘッド202から吐出される複数色の着色用のインクを用いて着色することが考えられる。この場合、斜面342の上面については、例えば、斜面342の上側から視認できる面等と考えることができる。また、斜面342の上面について、例えば、段差部306における斜面342の部分で積層されているそれぞれのインクの層において上面側に露出している部分等と考えることもできる。また、上記においても説明をしたように、本例において、確認用造形物300は、複数の段差部306を有する。この場合、例えば、それぞれの段差部306に対し、互いに異なる2次色での着色をすることが考えられる。より具体的に、本例においては、それぞれの段差部306に対し、レッド色(R色)、グリーン色(G色)、及びブルー色(B色)の各色での着色をする。また、この場合において、それぞれの段差部306における着色領域154の全体について、RGBのいずれかの色での着色を行う。このように構成した場合、例えば、立体的な形状の部分における着色のされ方等について、より適切に確認することができる。また、段差部306においては、例えば、斜面342におけるそれぞれの段差の形状について、平坦化ローラ206によるインクの層の平坦化の動作の影響を受けると考えることもできる。そのため、段差部306の状態に基づき、平坦化ローラ206によるインクの層の平坦化の動作を確認すること等も考えられる。この場合、複数色のインクを用い、様々な色での着色がされた立体的な形状の段差部306を形成することで、例えば、平坦化ローラ206による平坦化の動作の等についても、より詳細に確認することができる。また、この場合、例えば、段差部306についても、平坦化動作確認用部分の一部になっていると考えることができる。
続いて、本例において造形装置12(図1参照)の調整を行う調整方法法の動作について、更に詳しく説明をする。図5は、造形装置12の調整を行う動作の一例を示すフローチャートである。上記においても説明をしたように、本例においては、確認用造形物300を用いて、造形装置12の調整を行う。この場合、例えば、確認用造形物300を示す造形物データを制御PC14(図1参照)から造形装置12へ供給することで、造形装置12により、確認用造形物300の造形を実行する(S102)。この場合、ステップS102の動作は、造形段階の動作の一例である。また、ステップS102では、例えば、造形装置12の動作を指定する制御値について、予め設定された所定の値に設定する。このように構成すれば、例えば、確認用造形物300の造形時の造形の条件について、一定の条件に適切に合わせることができる。また、上記において説明をした確認用造形物300の構成等から理解できるように、本例のステップS102において、造形装置12は、着色用のインクジェットヘッド202y~kの少なくともいずれかから吐出する着色用のインクを用いて、確認用造形物300の少なくとも一部を形成する。また、これにより、造形装置12は、少なくとも一部が着色される確認用造形物300を造形する。このように構成すれば、例えば、後の工程において、確認用造形物300の状態をより容易かつ適切に確認することができる。また、確認用造形物300の少なくとも一部を着色することで、例えば、着色用のインクジェットヘッド202y~kの状態を確認すること等も可能になる。
また、ステップS102での動作に続いて、ステップS102で造形した確認用造形物300の状態を確認することで、造形結果を確認し(S104)、所定の基準に対して合格しているか否かを判定する(S106)。この場合、ステップS104及びS106の動作は、確認段階の動作の一例である。また、本例において、ステップS104及びステップS106では、調整対象の造形装置12で造形した確認用造形物300について、予め用意された見本と比較することで、状態の確認や合否の判定を行う。また、この見本としては、適切に調整がされている基準用の造形装置によって予め作成された比較用の造形物を用いる。この場合、基準用の造形装置では、例えば、確認用造形物300を示す造形物データに基づき、この見本を造形する。この見本については、例えば、造形装置での造形品質の限度を示す限度見本等と考えることもできる。
また、ステップS106において確認用造形物300の状態の合否を判定する基準としては、例えば、見本と比較して判断する基準と、確認用造形物300の単独での状態に基づいて判断する基準とを用いることが考えられる。この場合、見本と比較して判断する基準としては、例えば、細線の再現性、積層縞感、及び色ムラに関する基準を用いることが考えられる。また、細線の再現性に関しては、例えば、確認用造形物300における線表現部316(図3参照)で表現する様々な線幅の線を見本と比較する基準を用いることが考えられる。また、この場合、例えば、見本と比較して線幅が同等の場合に合格とすることが考えられる。積層縞感に関しては、例えば、確認用造形物300の曲面部304(図3参照)に生じる積層縞や、段差部306(図3参照)における段差の状態を見本と比較する基準を用いることが考えられる。また、この場合、例えば、見本と比較して積層縞や段差の状態が同等レベルの場合に合格とすることが考えられる。
色ムラに関しては、例えば、確認用造形物300において着色用のインクを用いて着色をする部分を見本と比較する基準を用いることが考えられる。また、この場合、例えば、見本と比較して色ムラの状態が同等レベルの場合に合格とすることが考えられる。また、色ムラに関しては、例えば、平面部分及び立体的な形状部分のそれぞれについて、色ムラの状態を確認することが好ましい。この場合、平面部分については、例えば、確認用造形物300におけるベタ着色部312(図3参照)に生じる色ムラを確認することが考えられる。また、平面部分について、例えば、確認用造形物300におけるカラーパターン318(図3参照)に生じる色ムラを確認すること等も考えられる。立体的な形状部分については、例えば、確認用造形物300における曲面部304の曲面332(図4参照)に生じる色ムラを確認することが考えられる。また、立体的な形状部分について、例えば、確認用造形物300における段差部306の斜面342(図4参照)に生じる色ムラを確認すること等も考えられる。また、色ムラに関しては、パス間の色差についても、確認をすることが好ましい。パス間の色差については、例えば、確認用造形物300の各領域のうち、異なる回の主走査動作で形成する領域間で生じる色合いの違い等と考えることができる。また、この場合、曲面部304の曲面332において、高さが違う箇所については、互いに異なる回の主走査動作で形成されると考えることができる。そのため、曲面部304の曲面332に生じる色ムラについて、例えば、パス間の色差に対応する色ムラ等と考えることができる。また、パス間の色差に関し、例えば、段差部306の斜面342に生じる色ムラを確認すること等も考えられる。
また、確認用造形物300の単独での状態に基づいて判断する基準としては、例えば、確認用造形物300の板状部302に描かれる文字の可読性や、貫通孔322(図3参照)の状態等を確認することが考えられる。この場合、例えば、確認用造形物300における文字表現部314(図3参照)で表現する様々なサイズの文字のうち、所定のサイズ(例えば3pt程度)の文字が読める場合に合格とする基準を用いることが考えられる。また、文字の可読性に関し、ベタ着色部312に描く白抜き文字の可読性に対する判定を更に行ってもよい。また、貫通孔322の状態については、例えば、所定の孔径(穴径、例えば、1mm程度)の貫通孔322が適切に形成されている場合に合格とする基準を用いることが考えられる。また、ステップS104及びS106では、上記以外の事項について更に確認をし、その結果に更に基づいて合否の判定を行ってもよい。この場合、例えば、意図しないスジの発生の有無や、確認用造形物300の各位置の形状や色の見え方等を確認し、その結果に更に基づいて合否の判定を行うこと等が考えられる。
また、上記においても説明をしたように、本例において、確認用造形物300におけるベタ着色部312や曲面部304については、平坦化動作確認用部分の一部に対応する部分等と考えることができる。そして、この場合、これらの部分の状態に基づき、例えば、平坦化ローラ206による平坦化の動作に関し、平坦化が適切に行えているか否かの確認を行うことが考えられる。また、例えば平坦化が適切に行えてない場合において、これらの部分の状態に基づき、例えば、平坦化ローラ206の状態のズレ方や傾き具合等を確認することが考えられる。このように構成すれば、例えば、平坦化ローラ206による平坦化の動作を適切に確認することができる。
また、ステップS106において、全ての基準に対して合格した場合(S106、Yes)、造形装置12が適切に調整されていると判断することができる。この場合、新たな調整を行うことなく、造形装置12を用いて造形物の造形を行うことができる。これに対し、ステップS106において、いずれかの基準に対して不合格になった場合(S106、No)、ステップS104で確認した確認用造形物300の状態や、ステップS106での判定の結果に基づき、造形装置12に対する調整を行う(S108)。この場合、ステップS108の動作は、調整段階の動作の一例である。
また、ステップS108では、例えば、ステップS104で確認した確認用造形物300の状態に基づき、造形装置12におけるいずれの箇所に問題が生じているかを推定し、その箇所に対し、確認用造形物300の状態が見本の状態に近づくように、適宜調整を行う。より具体的に、例えば、確認用造形物300の状態に基づき、平坦化ローラ206による平坦化の動作に問題が生じている可能性が高いと判断した場合、平坦化ローラ206の高さや傾きに対する調整を行うことが考えられる。また、この場合、例えば、確認用造形物300における曲面部304での積層縞の状態や、段差部306での段差の状態に基づき、平坦化ローラ206の高さの適否を判断することが考えられる。また、例えば確認用造形物300における曲面部304の状態や、ベタ着色部312の付近での着色用のインクの引きずられ方等に基づき、平坦化ローラ206の傾きの方向や大きさ等を判断することが考えられる。また、この場合、これらの判断の結果に基づき、平坦化ローラ206の高さや傾きに対し、調整を行うことが考えられる。このように構成すれば、例えば、造形装置12の構成に適した方法により、造形装置12の調整を適切に行うことができる。
また、ステップS108において造形装置12に対する調整を行った後には、ステップS102に戻り、以降の動作を繰り返す。また、これにより、調整後の造形装置12によって新たな確認用造形物300を造形し、造形装置12の状態を改めて確認する。本例によれば、例えば、所望の品質で確認用造形物300の造形が行われているか否かについて、適切に確認することができる。また、確認用造形物300の状態の確認結果に基づいて造形装置12の調整を行うことで、造形装置12の調整を適切に行うことができる。更には、造形装置12に対し、必要に応じて状態の確認と調整とを繰り返して行うことで、例えば、造形装置12の調整をより適切に行うことができる。
続いて、上記において説明をした事項に関する補足説明等を行う。上記においても説明をしたように、本例においては、造形装置12に確認用造形物300を造形させることで、造形装置12に対する調整を行う。しかし、造形装置12に対して調整すべき事項の中には、確認用造形物300の造形を行わなくても調整が可能な事項もある。そのため、確認用造形物300の造形を行わなくても調整が可能な事項については、造形装置12に確認用造形物300を造形させる前に、予め調整をしておくことが好ましい。
より具体的に、本例の造形装置12のように、複数のインクジェットヘッド202を用いて造形を行う場合、通常、それぞれのインクジェットヘッド202の各ノズルからインクを吐出する吐出特性や、それぞれのインクジェットヘッド202の相対位置関係等について、所定の基準に合わせて調整することが必要になる。そして、このような調整については、例えば2次元の画像を印刷するインクジェットプリンタにおいてインクジェットヘッドの吐出特性や位置関係の調整を行う場合の方法と同一又は同様にして、確認用造形物300の造形を行うことなく、適切に実行することができる。この場合、例えば、造形装置12において、フィルム等のシート状の部材(媒体)に対してそれぞれのインクジェットヘッド202の各ノズルからインクを吐出し、媒体上に形成されるインクのドットの位置や状態等を確認することで、インクジェットヘッド202の吐出特性や位置関係の調整を行うことが考えられる。このような調整を行う動作については、例えば、造形装置12に確認用造形物300を造形させる前に行う事前調整段階の動作等と考えることができる。また、事前調整段階の動作について、例えば、複数のインクジェットの吐出特性及び位置関係等の調整を予め行う動作等を考えることもできる。このように構成すれば、例えば、確認用造形物300を用いて行う造形装置12の調整をより高い精度で適切に行うことができる。また、このような事前の調整を行った後に確認用造形物300を用いた造形装置12の調整を行う場合、確認用造形物300の状態に基づき、実際に造形装置12で造形を行わないと確認が難しい事項について、確認及び調整を行うことが考えられる。また、このような項目の確認及び調整の少なくとも一部としては、例えば上記においても説明をしたように、平坦化ローラ206による平坦化の動作に関する確認及び調整等を行うことが考えられる。
また、上記のような事前の調整を行う場合、造形装置12に確認用造形物300を造形させる時点において、造形装置12における複数のインクジェットヘッド202について、造形に求められる精度に応じてそれぞれのインクジェットヘッド202の吐出特性等が揃っていると考えることができる。そして、この場合、例えば、確認用造形物300の状態の確認時において、着色用のインクジェットヘッド202y~kのうちのいずれかから吐出するインクの色で形成した部分の着色のされ方を確認することで、他のインクジェットヘッド202から吐出するインクの色で形成した場合にも同一又は同様の状態になると推測することができる。より具体的に、例えば、本例の確認用造形物300では、ベタ着色部312、文字表現部314、線表現部316、及び曲面部304について、1色のインク(黒色のインク)のみで着色をしている。この場合、これらの領域の状態について、例えば、他の色のインクで着色をした場合も、同一又は同様の状態になると考えることができる。そのため、このように構成すれば、例えば、確認用造形物300を用いて、複数のインクジェットヘッド202の状態等を効率的かつ適切に確認することができる。また、この場合、これらの領域について、黒色のインクで着色を行うことで、より容易かつ適切に状態の確認を行うことができる。また、本例の確認用造形物300では、カラーパターン318や段差部306について、黒色以外の各色の着色用のインクを用いて着色をしている。このように構成すれば、例えば、黒色以外の色用のインクジェットヘッド202の動作等についても、より適切に確認することができる。
また、上記においても説明をしたように、本例の確認用造形物300では、ベタ着色部312や曲面部304について、平坦化動作確認用部分の一部と考えることができる。この点に関し、例えば、平坦化ローラ206の調整が適切に行われていない場合、確認用造形物300におけるベタ着色部312及び曲面部304以外の部分の造形の品質にも、影響が生じることが考えられる。そのため、平坦化動作確認用部分について、例えば、ベタ着色部312及び曲面部304以外の部分を更に含むと考えることもできる。より具体的に、平坦化ローラ206の調整が適切に行われていない場合、例えば、ベタ着色部312及び曲面部304以外の箇所でも、着色用のインクが平坦化ローラ206に引きずられること等が考えられる。また、その結果、確認用造形物300における文字表現部314では、例えば、文字のかすれやつぶれ等が生じること等が考えられる。線表現部316では、例えば、線の状態に乱れが生じること等が考えられる。カラーパターン318では、例えば、パターンの形状や色合いに乱れが生じること等が考えられる。突起文字320では、例えば、突出部分の形状や文字の色に乱れが生じること等が考えられる。貫通孔322では、例えば、周囲のインクが貫通孔322の位置へ引きずられることで、孔の形状に乱れが生じることや、孔が埋まること等が考えられる。また、段差部306では、例えば、段差の形状や色合いに乱れが生じること等が考えられる。そのため、平坦化ローラ206による平坦化の動作については、これらの各部分の状態に更に基づき、確認をすることが好ましい。また、この場合、これらの部分の少なくとも一部について、平坦化動作確認用部分の一部になると考えることができる。
本発明は、例えば造形装置の調整方法に好適に利用できる。
10・・・造形システム、102・・・ヘッド部、104・・・造形台、106・・・走査駆動部、110・・・制御部、12・・・造形装置、14・・・制御PC、152・・・光反射領域、154・・・着色領域、172・・・層、182・・・白色部、184・・・着色部、202・・・インクジェットヘッド、204・・・紫外線光源、206・・・平坦化ローラ、300・・・確認用造形物、302・・・板状部、304・・・曲面部、306・・・段差部、312・・・ベタ着色部、314・・・文字表現部、316・・・線表現部、318・・・カラーパターン、320・・・突起文字、322・・・貫通孔、332・・・曲面、342・・・斜面、50・・・造形物、52・・・サポート層
Claims (12)
- 造形の材料で形成される層を重ねることで造形物を造形する造形装置の調整を行う造形装置の調整方法であって、
前記造形装置の動作を確認するために用いる前記造形物である確認用造形物を造形する造形段階と、
前記造形段階で造形した前記確認用造形物の状態を確認する確認段階と、
前記確認段階で確認した前記確認用造形物の状態に基づいて前記造形装置の調整を行う調整段階と
を備え、
前記造形装置は、
前記造形の材料を吐出する吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドから吐出された前記材料で形成される前記層を平坦化する平坦化ローラと
を備え、
前記造形段階において、前記造形装置における前記平坦化ローラによる前記層の平坦化の動作を確認するための部分である平坦化動作確認用部分を有する前記確認用造形物を前記造形装置に造形させることを特徴とする造形装置の調整方法。 - 前記平坦化動作確認用部分は、前記造形装置での造形の解像度に応じて生じる段差によって表現した曲面形状の部分を含むことを特徴とする請求項1に記載の造形装置の調整方法。
- 前記造形装置は、着色された前記造形物の造形時に用いる有色の前記材料である有色材料を吐出する前記吐出ヘッドである有色材料用ヘッドを備え、
前記造形段階において、前記有色材料用ヘッドから吐出する前記有色材料を用いて、前記確認用造形物の少なくとも一部を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の造形装置の調整方法。 - 前記造形装置は、光反射性の前記材料である光反射性材料を吐出する前記吐出ヘッドである光反射性材料用ヘッドを更に備え、
前記造形段階において、所定の範囲における少なくとも一部が前記有色材料を用いて塗りつぶすように着色される部分であるベタ着色部を上面に有し、かつ、前記上面における前記ベタ着色部の周囲が、前記光反射性材料を用いて、前記ベタ着色部と異なる色で形成される前記確認用造形物を前記造形装置に造形させることを特徴とする請求項3に記載の造形装置の調整方法。 - 前記ベタ着色部は、互いに異なる複数種類のサイズの文字が前記光反射性材料の色で表現されることで一部を除いた部分が前記有色材料を用いて塗りつぶすように着色される部分であることを特徴とする請求項4に記載の造形装置の調整方法。
- 前記造形段階において、前記確認用造形物の下面にも前記ベタ着色部を有し、かつ、前記光反射性材料を用いて形成される光反射性の領域を前記上面における前記ベタ着色部と前記下面における前記ベタ着色部との間に有する前記確認用造形物を前記造形装置に造形させることを特徴とする請求項4又は5に記載の造形装置の調整方法。
- 前記造形装置は、光反射性の前記材料である光反射性材料を吐出する前記吐出ヘッドである光反射性材料用ヘッドを更に備え、
前記造形段階において、前記有色材料を用いて表現した文字を確認するための部分である文字確認用部分を更に有する前記確認用造形物を前記造形装置に造形させ、
前記文字確認用部分は、文字の周囲が前記光反射性材料の色になる領域の中で前記有色材料を用いて互いに異なる複数種類のサイズの文字を表現した部分であることを特徴とする請求項3から6のいずれかに記載の造形装置の調整方法。 - 前記造形装置は、互いに異なる色の前記有色材料をそれぞれが吐出する複数の前記有色材料用ヘッドを備え、
前記造形段階において、端部の位置が互いに異なる複数の前記層が重なることで形成される階段状の部分を更に有する前記確認用造形物を前記造形装置に造形させ、
前記階段状の部分における少なくとも上面は、複数の前記有色材料用ヘッドから吐出される複数色の前記有色材料を用いて着色されることを特徴とする請求項3から7のいずれかに記載の造形装置の調整方法。 - 前記造形段階において、前記有色材料を用いて表現した線を確認するための部分である線確認用部分を更に有する前記確認用造形物を前記造形装置に造形させ、
前記線確認用部分は、互いに異なる線幅の複数種類の線を表現する部分であり、それぞれの線幅の線として、互いに異なる複数の方向へ延伸する複数の線を表現することを特徴とする請求項3から8のいずれかに記載の造形装置の調整方法。 - 前記造形段階において、上面から下面へ貫通する貫通孔を有する前記確認用造形物を前記造形装置に造形させることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の造形装置の調整方法。
- 造形の材料で形成される層を重ねることで造形物を造形する造形システムであって、
前記造形の材料を吐出する吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドから吐出された前記材料で形成される前記層を平坦化する平坦化ローラと
を有する造形装置を備え、
前記造形装置により、前記造形装置の動作を確認するために用いる前記造形物である確認用造形物を造形し、
前記確認用造形物は、前記造形装置における前記平坦化ローラによる前記層の平坦化の動作を確認するための部分である平坦化動作確認用部分を有し、
前記造形物の造形時において、前記造形装置は、前記確認用造形物の状態を確認した結果に基づいて調整がされた前記平坦化ローラにより、前記層を平坦化することを特徴とする造形システム。 - 造形の材料で形成される層を重ねることで造形物を造形する造形装置の動作を確認するために用いる前記造形物である確認用造形物の製造方法であって、
前記造形の材料を吐出する吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドから吐出された前記材料で形成される前記層を平坦化する平坦化ローラと
を有する造形装置を用いて、
前記造形装置における前記平坦化ローラによる前記層の平坦化の動作を確認するための部分である平坦化動作確認用部分を有する前記確認用造形物を造形することを特徴とする確認用造形物の製造方法。
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