以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る造形システム10の一例を示す。図1(a)は、造形システム10の構成の一例を示す。本例において、造形システム10は、立体的な造形物を造形する造形システムであり、造形実行部12及びデータ生成部14を備える。造形システム10において造形する造形物については、例えば、立体的な3次元構造物等と考えることができる。
造形実行部12は、造形システム10において造形物の造形を実行する造形実行装置の一例であり、造形実行部12に造形させる造形物(造形しようとする造形物)を示すデータである造形物データをデータ生成部14から受け取り、造形物データに基づき、造形の動作を実行する。造形実行部12については、例えば、造形システム10において造形装置として機能する構成等と考えることもできる。また、本例において、造形実行部12は、フルカラーでの着色がされた造形物を造形可能なフルカラー造形装置である。
データ生成部14は、造形物データ生成装置の一例であり、造形物データを生成して、造形実行部12へ供給することにより、造形実行部12による造形の動作を制御する。データ生成部14としては、例えば、所定のプログラムに従って動作するコンピュータ等を好適に用いることができる。この場合、データ生成部14について、例えば、造形実行部12の動作を制御するコンピュータ(ホストPC)等と考えることもできる。データ生成部14において造形物データを生成する動作については、後に更に詳しく説明をする。
尚、本例において、造形システム10は、複数の装置である造形実行部12及びデータ生成部14により構成されている。造形システム10の変形例において、造形システム10は、一台の装置により構成されてもよい。この場合、例えば、造形実行部12及びデータ生成部14の機能を含む一台の装置(造形装置)により造形システム10を構成すること等が考えられる。また、造形システム10は、造形実行部12及びデータ生成部14以外の装置を更に備えてもよい。また、造形システム10の構成の変形例においては、以下において説明をするデータ生成部14の機能の一部について、造形実行部12で実行すること等も考えられる。この場合、例えば、データ生成部14の一部を造形実行部12が兼ねていると考えることができる。また、この場合、造形実行部12において造形の動作を実行する本体部分について、造形実行装置の一例と考えることもできる。
続いて、造形実行部12の具体的な構成について、説明をする。図1(b)は、造形実行部12の要部の構成の一例を示す。本例において、造形実行部12は、立体的な造形物50を造形する造形装置であり、ヘッド部102、造形台104、走査駆動部106、及び制御部110を有する。以下に説明をする点を除き、造形実行部12は、公知の造形装置と同一又は同様の構成を有してよい。より具体的に、以下に説明をする点を除き、造形実行部12は、インクジェットヘッドを用いて造形物50の材料となる液滴を吐出することで造形を行う公知の造形装置と同一又は同様の特徴を有してよい。また、造形実行部12は、図示した構成以外にも、例えば、造形物50の造形等に必要な各種構成を更に備えてよい。また、本例において、造形実行部12は、積層造形法により立体的な造形物50を造形する造形装置(3Dプリンタ)である。積層造形法については、例えば、造形の材料で形成される層を複数層重ねて形成することで造形物50の造形を行う方法等と考えることができる。
ヘッド部102は、造形物50の材料を吐出する構成である。また、本例において、造形物50の材料としては、インクを用いる。この場合、造形物50の材料については、例えば、造形物50の製造が完了した時点で造形物50を構成する材料等と考えることができる。造形物50の製造が完了した時点については、例えば、造形実行部12で造形物50を造形する動作や、その後の後処理等を行った時点等と考えることができる。また、より具体的に、造形物50の材料については、例えば、以下において説明をするサポート層52を除去する処理を行った後に残る材料等と考えることができる。また、本例において、インクについては、例えば、機能性の液体等と考えることができる。また、インクについて、例えば、インクジェットヘッドから吐出する液体等と考えることもできる。本例において、ヘッド部102は、造形物50の材料として、複数のインクジェットヘッドから、所定の条件に応じて硬化するインクを吐出する。そして、着弾後のインクを硬化させることにより、造形物50を構成する各層を重ねて形成して、積層造形法で造形物50を造形する。また、本例では、このようなインクとして、紫外線の照射により液体状態から硬化する紫外線硬化型インク(UVインク)を用いる。
また、本例において、ヘッド部102は、造形物50の材料に加え、サポート層52の材料であるサポート材を更に吐出する。これにより、ヘッド部102は、造形物50の周囲等に、必要に応じて、サポート層52を形成する。サポート層52については、例えば、造形中の造形物50の少なくとも一部を支持する積層構造物等と考えることができる。サポート層52は、造形物50の造形時において、必要に応じて形成され、例えば造形実行部12での造形の動作を行った後に行われる後処理によって、除去される。サポート材については、例えば、造形中の造形物50の少なくとも一部を支持するために用いられる材料等と考えることもできる。
造形台104は、造形中の造形物50を支持する台状部材であり、ヘッド部102におけるインクジェットヘッドと対向する位置に配設され、造形中の造形物50及びサポート層52を上面に載置する。また、本例において、造形台104は、積層方向(図中のZ方向)へ移動可能な構成を有しており、走査駆動部106に駆動されることにより、造形物50の造形の進行に合わせて、積層方向への移動を行う。この場合、積層方向については、例えば、積層造形法において造形の材料が積層される方向等と考えることができる。また、本例において、積層方向は、造形実行部12において予め設定される主走査方向(図中のY方向)及び副走査方向(図中のX方向)と直交する方向である。
走査駆動部106は、造形中の造形物50に対して相対的に移動する走査動作をヘッド部102に行わせる駆動部である。本例において、造形中の造形物50に対して相対的に移動することについては、例えば、造形台104に対して相対的に移動すること等と考えることができる。また、ヘッド部102に走査動作を行わせることについては、例えば、ヘッド部102が有するインクジェットヘッドに走査動作を行わせること等と考えることができる。また、本例において、走査駆動部106は、走査動作として、主走査動作(Y走査)、副走査動作(X走査)、及び積層方向走査動作(Z走査)をヘッド部102に行わせる。
この場合、主走査動作については、例えば、造形中の造形物50に対して相対的に主走査方向へ移動しつつインクを吐出する動作等と考えることができる。副走査動作については、例えば、主走査方向と直交する副走査方向へ造形中の造形物50に対して相対的に移動する動作等と考えることができる。また、副走査動作については、例えば、予め設定された送り量だけ副走査方向へ造形台104に対して相対的に移動する動作等と考えることもできる。本例において、走査駆動部106は、ヘッド部102に主走査動作及び副走査動作を行わせることで、ヘッド部102にインクの層を形成させる。また、積層方向走査動作については、例えば、造形中の造形物50に対して相対的に積層方向へ移動する動作等と考えることができる。走査駆動部106は、造形の動作の進行に合わせてヘッド部102に積層方向走査動作を行わせることにより、積層方向において、造形中の造形物50に対するインクジェットヘッドの相対位置を調整する。
制御部110は、例えば造形実行部12のCPUを含む構成であり、造形実行部12の各部を制御することにより、造形物50の造形の動作を制御する。また、本例において、制御部110は、データ生成部14から受け取る造形物データに基づき、造形物の造形に用いるインクをヘッド部102における各インクジェットヘッドに吐出させる。本例によれば、例えば、造形物50の造形を適切に実行することができる。また、本例において造形する造形物50の構成等については、後に更に詳しく説明をする。
続いて、造形実行部12におけるヘッド部102の構成について、更に詳しく説明をする。図1(c)は、ヘッド部102の構成の一例を示す。本例において、ヘッド部102は、複数のインクジェットヘッド202、複数の紫外線光源204、及び平坦化ローラ206を有する。また、複数のインクジェットヘッド202として、図中において文字s~tを付して区別して示すように、インクジェットヘッド202s、インクジェットヘッド202w、インクジェットヘッド202y、インクジェットヘッド202m、インクジェットヘッド202c、インクジェットヘッド202k、及びインクジェットヘッド202tを有する。これらの複数のインクジェットヘッド202は、副走査方向における位置を揃えて、主走査方向へ並べて配設される。また、それぞれのインクジェットヘッド202は、造形台104と対向する面に、所定のノズル列方向へ複数のノズルが並ぶノズル列を有する。本例において、ノズル列方向は、副走査方向と平行な方向である。
また、これらのインクジェットヘッド202のうち、インクジェットヘッド202sは、サポート材を吐出するインクジェットヘッドである。サポート材としては、例えば、サポート層用の公知の材料を好適に用いることができる。インクジェットヘッド202wは、白色(W色)のインクを吐出するインクジェットヘッドである。本例において、白色のインクは、光反射性の材料の一例であり、例えば造形物50において光を反射する性質の領域(光反射領域)を形成する場合に用いられる。この光反射領域は、例えば、造形物50表面に対してフルカラー表現での着色を行う場合に、造形物50の外部から入射する光を反射する。フルカラー表現については、例えば、プロセスカラーのインクによる減法混色法の可能な組み合わせで行う色の表現等と考えることができる。
インクジェットヘッド202y、インクジェットヘッド202m、インクジェットヘッド202c、インクジェットヘッド202k(以下、インクジェットヘッド202y~kという)は、着色された造形物50の造形時に用いられる着色用のインクジェットヘッドである。より具体的に、インクジェットヘッド202yは、イエロー色(Y色)のインクを吐出する。インクジェットヘッド202mは、マゼンタ色(M色)のインクを吐出する。インクジェットヘッド202cは、シアン色(C色)のインクを吐出する。インクジェットヘッド202kは、ブラック色(K色)のインクを吐出する。また、本例において、YMCKの各色は、プロセスカラーの一例である。インクジェットヘッド202tは、クリアインクを吐出するインクジェットヘッドである。クリアインクについては、例えば、可視光に対して無色で透明(T)なクリア色のインク等と考えることができる。また、クリアインクについて、例えば、意図的に色材を添加していないインク等と考えることもできる。
複数の紫外線光源204は、インクを硬化させるための光源(UV光源)であり、紫外線硬化型インクを硬化させる紫外線を発生する。本例において、複数の紫外線光源204のそれぞれは、間にインクジェットヘッド202の並びを挟むように、ヘッド部102における主走査方向の一端側及び他端側のそれぞれに配設される。紫外線光源204としては、例えば、UVLED(紫外LED)等を好適に用いることができる。また、紫外線光源204として、メタルハライドランプや水銀ランプ等を用いることも考えられる。平坦化ローラ206は、造形物50の造形中に形成されるインクの層を平坦化するための平坦化手段である。平坦化ローラ206は、例えば主走査動作時において、インクの層の表面と接触して、硬化前のインクの一部を除去することにより、インクの層を平坦化する。以上のような構成のヘッド部102を用いることにより、例えば、造形物50を構成するインクの層を適切に形成できる。また、複数のインクの層を重ねて形成することにより、例えば、造形物50を適切に造形できる。
尚、ヘッド部102の具体的な構成については、上記において説明をした構成に限らず、様々に変形することもできる。例えば、ヘッド部102は、着色用のインクジェットヘッドとして、上記以外の色用のインクジェットヘッドを更に有してもよい。また、ヘッド部102における複数のインクジェットヘッドの並べ方についても、様々に変形可能である。例えば、一部のインクジェットヘッドについて、他のインクジェットヘッドと副走査方向における位置をずらしてもよい。
続いて、本例の造形実行部12により造形する造形物50の構成について、更に詳しく説明をする。図2は、本例の造形実行部12(図1参照)により造形する造形物50について更に詳しく説明をする図である。図2(a)は、造形物50の構成の一例を示す図であり、積層方向(Z方向)と直交する造形物50の断面であるX-Y断面の構成の一例を示す。この場合、Y方向やZ方向と垂直な造形物50のZ-X断面やZ-Y断面の構成も、同様の構成になる。
上記においても説明をしたように、本例において、造形実行部12は、インクジェットヘッド202y~k(図1参照)等を用いて、着色された造形物50を造形する。また、この場合、造形物50として、少なくとも表面が着色された造形物50を造形する。造形物50の表面が着色されることについては、例えば、造形物50において外部から色彩を視認できる領域の少なくとも一部が着色されること等と考えることができる。また、この場合、造形実行部12は、例えば図中に示すように、光反射領域152及び着色領域154を備える造形物50を造形する。また、必要に応じて、造形物50の周囲等にサポート層52(図1参照)を形成する。
光反射領域152は、着色領域154等を介して造形物50の外側から入射する光を反射するための光反射性の領域(反射層)である。本例において、造形実行部12は、インクジェットヘッド202w(図1参照)から吐出する白色のインクを用いて、造形物50の内部に光反射領域152を形成する。また、本例において、造形実行部12は、内部領域を兼ねた光反射領域152を形成する。この場合、内部領域については、例えば、造形物50の内部を構成する領域等と考えることができる。造形物50の構成の変形例においては、内部領域について、光反射領域152とは別の領域として形成してもよい。この場合、造形実行部12は、例えば、サポート層52の材料以外の任意のインクを用いて、内部領域を形成する。また、内部領域の周囲に、光反射領域152を形成する。
着色領域154は、インクジェットヘッド202y~kから吐出する着色用のインクによって少なくとも一部が着色される領域(カラー層)である。造形実行部12は、インクジェットヘッド202y~kから吐出する着色用のインクを少なくとも用いて、光反射領域152の周囲(外側)に着色領域154を形成する。また、本例において、造形実行部12は、着色領域154について、単に着色された領域として形成するのではなく、例えば図2(b)、(c)に示すように、予め設定された形状の単位構造302が並ぶ構成で着色がされた着色領域154を形成する。
図2(b)は、着色領域154のより詳細な構成の一例を示す図であり、本例において造形実行部12が造形する造形物50が備える着色領域154における一部の構成の一例を光反射領域152の一部と共に示す。図中に示すように、本例において、着色領域154は、複数の単位構造302が並ぶ構成を有している。この場合、単位構造302について、例えば、着色領域154の構造を決定する単位となる構造等と考えることができる。また、着色領域154の構成について、例えば、単位構造302が繰り返す構造になっている等と考えることもできる。また、本例において、着色領域154を構成する複数の単位構造302は、光反射領域152の外側において、造形物50の表面の形状に沿って並ぶ。この場合、複数の単位構造302について、例えば、造形物50の法線方向と直交する面内に並んでいると考えることもできる。法線方向については、例えば、造形物50の表面と直交する方向(例えば、造形物50の表面と直交し、かつ、造形物50の外側へ向かう外向きの方向)等と考えることができる。また、図中に示すように、本例において、複数の単位構造302は、法線方向に重なる単位構造302の数が1個になるように、造形物50の表面に沿って並ぶ。造形物50の構成の変形例においては、法線方向に重なる単位構造302の数について、2個以上にすること等も考えられる。また、造形物50の形状等によっては、例えば一部の領域において、法線方向に重なる単位構造302の数を他の領域と異ならせてもよい。
また、本例において、それぞれの単位構造302は、例えば図2(c)に示すように、複数のセル312により構成される立体的な形状を有する。図2(c)は、着色領域154を構成する単位構造302の形状の一例を示す図であり、一つの単位構造302の設計上の形状の一例を示す。この場合、単位構造302の設計上の形状については、例えば、単位構造302を構成するそれぞれのセル312を所定の形状で示す形状等と考えることができる。また、より具体的に、図2(b)、(c)や以降において説明をする図では、セル312の形状を立方体で示すことで、単位構造302の構成等を図示している。
また、単位構造302において、それぞれのセル312については、例えば、予め設定された数のインクの吐出位置に対応する部分等と考えることができる。この場合、インクの吐出位置については、例えば、造形実行部12において実行する造形の解像度に応じて設定されるドット位置等と考えることができる。また、より具体的に、本例において、それぞれのセル312は、一つの吐出位置に対応している。この場合、それぞれのセル312について、造形の解像度でのボクセルに対応していると考えることもできる。
また、本例において、造形実行部12は、着色領域154を構成する少なくとも一部の単位構造302の少なくとも一部を着色して形成することで、着色された着色領域154を形成する。また、この場合、単位構造302に対し、例えば図3に示すように着色を行うことが考えられる。図3は、単位構造302に対する着色の仕方の例を示す図である。図3(a)~(c)は、単位構造302に対する様々な着色の仕方の例を示す。
図3(a)~(c)においては、単位構造302に対する着色の仕方をわかりやすく示すために、一つの単位構造302に着目して、単位構造302におけるそれぞれのセル312に設定される色の例を図示している。この場合、セル312に設定される色については、例えば、データ生成部14(図1参照)で生成する造形物データにおいてそれぞれのセル312に設定される色等と考えることができる。また、上記においても説明をしたように、本例の造形実行部12では、YMCKの各色のインクを用いて、減法混色法により、様々な色を表現する。そして、この場合、それぞれのセル312に対応する吐出位置へ吐出するインクの色等については、カラーマッチングやハーフトーニング等の処理を行って決定することになる。これに対し、図3においては、図示及び説明の便宜上、それぞれのセル312の色として、カラーマッチングやハーフトーニング等の処理を行う前の色を示している。この場合、図3(a)~(c)について、例えば、一つの単位構造302について設計所の形状及び色を示していると考えることができる。また、図3(a)~(c)では、図示の便宜上、色の違いを網掛け模様の違いで示すことで、それぞれのセル312の色を示している。
また、より具体的に、図3(a)、(b)では、図中にメインカラー及びサブカラーと示す2つの色で単位構造302に対する着色を行う場合の例を示している。この場合、メインカラーは、単位構造302の一部に着色される第1の色の例である。サブカラーは、単位構造302の他の一部に着色される第2の色の例である。また、本例においては、メインカラー及びサブカラーとして互いに異なる色を用い、単位構造302における一部のセル312にメインカラーを設定し、他のセル312にサブカラーを設定する。また、これにより、単位構造302について、位置によって色が異なるように、着色をする。
また、図3(c)では、1色のメインカラーと、図中にサブカラー1~4と示す複数色のサブカラーとを用いて単位構造302に対する着色を行う場合の例を示している。この場合も、メインカラーは、第1の色の一例である。また、この場合、複数のサブカラーのそれぞれについて、第2の色の一例と考えることができる。また、複数のサブカラーのそれぞれについて、例えば、互いに異なる第2~5の色の例等と考えることもできる。また、この場合、例えば図中に示すように、単位構造302を構成するそれぞれのセル312に対し、メインカラー、又はいずれかのサブカラーを設定する。また、これにより、単位構造302について、位置によって色が異なるように、着色をする。
上記のように単位構造302に対する着色を行った場合、例えば図4を用いて以下において説明をするように、単位構造302を観察する方向等により、色の見え方に差が生じることが考えられる。図4は、単位構造302の色の見え方について説明をする図であり、図3(a)に示すように単位構造302の着色を行う場合について、単位構造302の各位置の色と単位構造302を観察する向きとの関係の例を示す。
単位構造302に対してメインカラー及びサブカラーでの着色を行う場合、単位構造302の形状や各色での着色を行う位置の設定の仕方等により、例えば、それぞれの色を視認可能な角度(向き)の範囲について、色によって異ならせることが考えられる。この場合、それぞれの色を視認可能な角度の範囲については、例えば、単独の単位構造302を観察するのではなく、複数の単位構造302が並ぶ着色領域154(図2参照)を観察する場合にそれぞれの色を視認可能な角度の範囲等と考えることができる。より具体的に、例えば、図中に示すように単位構造302の着色を行う場合、メインカラーでの着色がされるセル312について、例えば、造形物の法線方向と平行な視点から見た場合に見えやすくなる位置にあると考えることができる。また、サブカラーでの着色がされるセル312について、同じ単位構造302や隣接する単位構造302においてメインカラーでの着色がされるセル312の影に隠れやすくなると考えられる。また、その結果、サブカラーを視認可能な角度の範囲について、メインカラーを視認可能な角度の範囲がよりも小さくなると考えることができる。
そして、このようにして単位構造302の着色を行う場合、図中に視点A~Cと示す視点のような様々な角度から着色領域154を観察すると、例えば、より広い角度の範囲でメインカラーが視認され、かつ、より狭い一部の角度の範囲でサブカラーが視認されることになる。また、その結果、例えば、着色領域154を構成する単位構造302について、観察する角度や距離によって見え方が変化することになる。また、これにより、着色領域154の色は、例えば、観察する角度や距離によって変化するような印象になる。そのため、このように構成すれば、例えば、観察する方向を変えることで造形物の色が変化するような印象を観察者に与えることができる。また、これにより、造形物において、例えば、多様な意匠を適切に表現すること等が可能になる。そのため、本例によれば、例えば、意匠性の高い造形物を適切に造形することができる。
ここで、本例において、単位構造302を構成する複数のセル312のうち、メインカラーでの着色がされるセルについては、例えば、セル312におけるメインセル等と考えることができる。また、単位構造302を構成する複数のセル312のうち、サブカラーでの着色がされるセルについては、例えば、セル312におけるサブセル等と考えることができる。また、この場合、サブセルとして用いるセル312の位置について、上記の視点Aから見える範囲(エリア)と、視点B、Cから見える範囲との差分に応じて選択される位置等と考えることもできる。
また、上記のような色の見え方の変化については、例えば、図3(b)、(c)に示すように単位構造302の着色を行う場合にも、同様に生じると考えることができる。そのため、これらのように単位構造302の着色を行う場合にも、同様に、例えば、意匠性の高い造形物を適切に造形することができる。また、単位構造302への着色の仕方について、より一般化して考えた場合、例えば、単位構造に着色する少なくとも一部の色(例えば、サブカラー)について、一部の角度から観察した場合にのみ視認できるように着色をすると考えることができる。また、この場合も、着色領域154の色の見え方について、例えば、着色領域154を観察する角度や距離等に応じて変化すると考えることができる。また、上記の説明等から理解できるように、本例において、着色領域154の色の見え方については、例えば、単位構造302の形状や単位構造302の並び等により構成される着色領域154の構造に起因して変化すると考えることができる。そのため、着色領域154によって表現される造形物の色については、例えば、着色領域154の構造に起因する色(構造起因色)等と考えることもできる。
また、上記のような単位構造302より構成される着色領域154を形成するためには、例えば、造形物データにおいて、個々の単位構造302の形状及び色を指定することが考えられる。また、このような造形物データの生成の仕方について、特に工夫をすることなく行うのであれば、例えば、全ての単位構造302の形状や単位構造302の各位置の色について、例えばユーザの指示により直接的に指定すること等が考えられる。しかし、この場合、造形物データを生成するための工数が極めて大きくなることが考えられる。そこで、本例においては、着色領域154を構成する単位構造302の形状や色について、3次元マトリクスを用いた処理により、決定する。このように構成すれば、例えば、着色された単位構造302により構成される着色領域154を備える造形物を示す造形物データについて、より容易かつ適切に生成することができる。また、本例において造形物データを生成する動作については、以下において、更に詳しく説明をする。
図5及び図6は、本例においてデータ生成部14(図1参照)が造形物データを生成する動作の概要について説明をする図であり、造形物データを生成する動作の中で着色領域154の構造及び色を設定する動作の一例を模式的に示す。図5(a)、(b)、及び図6(a)、(b)は、造形物データを生成する動作の中で行う処理について説明をする図であり、造形物データを生成する処理の途中において光反射領域152及び着色領域154の一部に対応する部分を簡略化して示す。また、より具体的に、図5及び図6に示す部分は、例えば、着色領域154における一つの単位構造302とその付近の光反射領域152に対応する部分である。
上記においても説明をしたように、本例の造形実行部12が造形する造形物は、着色された単位構造302により構成される着色領域154を備える。そのため、造形物データを生成する動作において、データ生成部14は、着色領域154を構成する単位構造302について、形状や色の設定を行う。また、この場合、データ生成部14は、単位構造302の形状や色を設定する前に、例えば図5(a)に示すように、光反射領域152及び着色領域154に対応する領域の設定を行う。より具体的に、本例において、データ生成部14は、造形物の表面での法線方向における所定の厚さ部分が着色領域154になり、その他の部分が光反射領域152になるように、領域を設定する。また、この時点において、データ生成部14は、例えば、着色領域154を構成する単位構造302を考慮せずに、着色領域154に対応する領域を設定する。また、光反射領域152及び着色領域154以外の領域を更に備える造形物の造形を行う場合、データ生成部14は、その領域も考慮して、各領域の設定を行う。
また、上記のように各領域の設定を行った後、データ生成部14は、例えば図5(b)に示すように、単位構造302により構成される着色領域154の構造の設定を行う。また、より具体的に、本例において、データ生成部14は、単位構造302の立体的な構造(形状)を指定する3次元マトリクスである構造設定用マトリクスを用いて、着色領域154の構造を設定する。この場合、構造設定用マトリクスとしては、例えば、単位構造302を構成するセル312の位置を指定するマトリクス等を用いることが考えられる。構造設定用マトリクスを用いて着色領域154の構造を設定する動作については、後に更に詳しく説明をする。また、本例において、着色領域154の構造を設定する動作については、例えば、構造起因色を生じさせるためのモデルに着色領域154を変形する動作等と考えることもできる。
また、上記のように着色領域154の構造を設定した後、データ生成部14は、着色領域154におけるそれぞれの単位構造302に対し、メインカラー及びサブカラーの設定(着色)を行う。この場合、データ生成部14は、例えば図6(a)に示すように、単位構造302においてメインカラーでの着色がされるセル312を決定する。また、例えば図6(b)に示すように、単位構造302においてサブカラーでの着色がされるセル312を決定する。これにより、データ生成部14は、例えば、単位構造302においてメインカラーを設定する位置、及び、サブカラーを設定する位置を決定する。
また、本例においては、メインカラー及びサブカラーを設定する処理についても、3次元マトリクスを用いて行う。より具体的に、本例において、データ生成部14は、メインカラー用の3次元マトリクスであるメインカラー用マトリクスを用いて、メインカラーでの着色がされるセル312を決定する。メインカラー用マトリクスは、単位構造302の中で第1の色を設定する位置を示すマトリクスである第1色用マトリクスの一例である。また、データ生成部14は、サブカラー用の3次元マトリクスであるサブカラー用マトリクスを用いて、サブカラーでの着色がされるセル312を決定する。サブカラー用マトリクスは、単位構造の中で第2の色を設定する位置を示すマトリクスである第2色用マトリクスの一例である。
メインカラー用マトリクス及びサブカラー用マトリクスを用いることにより、例えば、単位構造302に対してメインカラー及びサブカラーを設定する位置を容易かつ適切に決定することができる。また、本例において、データ生成部14は、メインカラー用マトリクス及びサブカラー用マトリクスのそれぞれとして、構造設定用マトリクスと同じサイズの3次元マトリクスを用いる。メインカラー用マトリクス及びサブカラー用マトリクスを用いてメインカラー及びサブカラーを設定する位置を決定する動作についても、後に更に詳しく説明をする。本例によれば、例えば、造形物における着色領域154を構成する単位構造302について、形状や色の設定を適切に行うことができる。また、これにより、例えば、着色された単位構造302により構成される着色領域154を備える造形物を示す造形物データを適切に生成することができる。また、本例において造形物データを生成する動作についても、後に更に詳しく説明をする。
続いて、構造設定用マトリクス、メインカラー用マトリクス、及びサブカラー用マトリクスを用いてデータ生成部14が行う処理等について、更に詳しく説明をする。上記においても説明をしたように、本例においては、構造設定用マトリクス、メインカラー用マトリクス、及びサブカラー用マトリクスとして、3次元マトリクスを用いる。この場合、3次元マトリクスについては、例えば、要素が並ぶ配列方向が3つの配列等と考えることができる。このような3次元マトリクスとしては、例えば、互いに直交する3つの方向に対応する3つの次元を有するマトリクスを用いることが考えられる。また、本例において、構造設定用マトリクス、メインカラー用マトリクス、及びサブカラー用マトリクスのそれぞれとしては、上記において説明をした主走査方向(Y方向)、副走査方向(X方向)、及び積層方向(Z方向)に対応する3つの方向を配列方向とする3次元マトリクスを用いる。この場合、3次元マトリクスの配列方向が主走査方向等に対応することについては、例えば、造形物データを生成する動作において、配列方向が主走査方向等に対応するように3次元マトリクスを用いること等と考えることができる。また、構造設定用マトリクス、メインカラー用マトリクス、及びサブカラー用マトリクスのそれぞれとしては、例えば、4次元以上の多次元マトリクスの一部を用いること等も考えられる。この場合、例えば、多次元マトリクスの一部において3次元マトリクスと見なせる部分について、構造設定用マトリクス、メインカラー用マトリクス、及びサブカラー用マトリクスのそれぞれに対応する3次元マトリクスと考えることができる。
また、より具体的に、本例においては、構造設定用マトリクス、メインカラー用マトリクス、及びサブカラー用マトリクスのそれぞれとして、例えば、図7及び図8に示すような3次元マトリクスを用いる。図7は、構造設定用マトリクスを用いて着色領域154の構造を設定する動作について更に詳しく説明をする図である。図7(a)は、単位構造302の一例を示す図であり、上記において説明をした単位構造302と同じ形状の単位構造302について、単位構造302を構成するそれぞれのセルに網掛け模様を付けて示す。図7(b)は、図7(a)に示す単位構造302に対応する構造設定用マトリクス402の一例を示す。
本例において、構造設定用マトリクス402としては、単位構造302の大きさに合わせたサイズのマトリクスを用いる。この場合、構造設定用マトリクス402のサイズが単位構造302の大きさに合わせたサイズであることについては、例えば、構造設定用マトリクス402のそれぞれの要素412と、造形実行部12(図1参照)でのインクの吐出位置との関係について、一つの要素412が所定の一定の数の吐出位置に対応すること等と考えることができる。また、造形実行部12でのインクの吐出位置については、例えば、造形実行部12において実行する造形の解像度に応じて設定されるインクの吐出位置等と考えることができる。また、この場合、構造設定用マトリクス402について、例えば、一つの単位構造302の形を示していると考えることができる。
また、より具体的に、本例において、構造設定用マトリクス402のそれぞれの要素412と、インクの吐出位置との関係については、それぞれの要素412が一つの単位構造302における一つの吐出位置に対応付けられる関係にする。このように構成すれば、例えば、単位構造302の大きさに合わせたサイズの構造設定用マトリクス402を適切に用いることができる。また、この場合、構造設定用マトリクス402のそれぞれの要素412について、例えば、造形の解像度でのボクセルに対応していると考えることができる。また、このような構造設定用マトリクス402を用いる場合、例えば上記においても説明をしたように、単位構造302におけるそれぞれのセルについても、ボクセルに対応していると考えることができる。
また、本例においては、構造設定用マトリクス402を構成する要素412のうちの一部の要素412に対し、単位構造302のセルに対応する位置を示す値である有効値を設定する。また、構造設定用マトリクス402において、有効値が設定される要素412以外の要素412には、有効値と異なる所定の値である無効値を設定する。この場合、有効値は、造形物の材料として用いるインクが残る位置を示す第1の値の一例である。無効値は、第1の値と異なる所定の第2の値の一例である。また、本例において、構造設定用マトリクス402のそれぞれの要素412には、有効値又は無効値のいずれかを設定する。
また、図7(b)においては、構造設定用マトリクス402の例について、それぞれの要素412を立方体で表現し、有効値を設定する要素412に網掛け模様を付けて図示している。図7(b)において、左側の図は、構造設定用マトリクス402の全体を示している。また、右側の図は、構造設定用マトリクス402を構成する複数の要素412について、Z方向の位置毎に分けて示している。本例によれば、例えば、構造設定用マトリクス402によって単位構造302の形状を適切に示すことができる。
ここで、本例において、構造設定用マトリクス402については、例えば、造形物データを用いて行う造形の動作の完了後にインクが残る位置を示すことで単位構造302の形状を示していると考えることもできる。また、構造設定用マトリクス402に設定する有効値については、例えば、造形物の一部を構成する位置になることを示す値等と考えることもできる。無効値については、例えば、造形物の一部を構成する位置にならないことを示す値等と考えることもできる。また、有効値について、例えば、単位構造302の一部として有効になることを示す値等と考えることもできる。無効値について、例えば、単位構造302の一部にならないことを示す値等と考えることもできる。また、本例において、データ生成部14が構造設定用マトリクス402を用いる動作については、例えば、構造設定用マトリクス402のそれぞれの要素に設定されている値が有効値又は無効値のいずれであるかに応じて、造形物の材料が残る位置と、それ以外の位置とを判別していると考えることができる。
また、上記においても説明をしたように、本例において、着色領域154は、複数の単位構造302が並ぶ構成を有している。この場合、データ生成部14は、例えば、着色領域154に対し、位置をずらしつつ構造設定用マトリクス402を繰り返して適用することで、構造設定用マトリクス402を適用するそれぞれの位置に対し、単位構造302を構成するセルの位置を決定する。また、これにより、データ生成部14は、例えば、構造設定用マトリクス402を用いて、着色領域154の構造を設定する。この場合、位置をずらしつつ構造設定用マトリクス402を繰り返して適用する処理については、例えば、構造設定用マトリクス402において各方向へ要素が並ぶ数に対応するボクセルの数だけ順次位置をずらしつつ、着色領域154の各位置に対して構造設定用マトリクス402を適用する処理等と考えることができる。また、このようにして構造設定用マトリクス402を繰り返して適用する処理については、例えば、3次元でのディザ処理と同一又は同様に行うと考えることができる。
また、構造設定用マトリクス402を用いて着色領域154の構造を設定する処理については、例えば、広い意味でのディザ処理と考えることもできる。この場合、構造設定用マトリクス402について、例えば、3次元のディザマトリクス等と考えることもできる。また、構造設定用マトリクス402を用いて行うディザ処理について、例えば、構造設定用マトリクス402の各要素の値を処理対象の各位置に対して加算して行う処理等と考えることもできる。また、構造設定用マトリクス402を用いて着色領域154の構造を設定する処理について、例えば、複数の単位構造302によって構成される着色領域154のモデル化を3次元のディザ処理によって行う処理等と考えることもできる。着色領域154のモデル化については、例えば、着色領域154の形状を単位構造302で表現されるモデルに変化させること等と考えることができる。構造設定用マトリクス402を用いて着色領域154の構造を設定する処理については、後に更に詳しく説明をする。本例によれば、例えば、複数の単位構造302により構成される着色領域154の形状を設定する構造化の処理を容易かつ適切に設定することができる。
また、上記においても説明をしたように、本例においては、単位構造302に対するメインカラー及びサブカラーの設定についても、3次元マトリクスであるメインカラー用マトリクス及びサブカラー用マトリクスを用いて行う。この場合、メインカラー用マトリクスとしては、例えば、単位構造302においてメインカラーを設定するセルに対応する要素に有効値を設定し、その他の要素に無効値を設定したマトリクスを用いることが考えられる。サブカラー用マトリクスとしては、例えば、単位構造302においてサブカラーを設定するセルに対応する要素に有効値を設定し、その他の要素に無効値を設定したマトリクスを用いることが考えられる。この場合、メインカラー用マトリクスマトリクスにおける有効値については、例えば、メインカラーを設定する位置を示す値等と考えることができる。無効値については、メインカラーを設定しない位置を示す値等と考えることができる。サブカラー用マトリクスマトリクスにおける有効値については、例えば、サブカラーを設定する位置を示す値等と考えることができる。無効値については、サブカラーを設定しない位置を示す値等と考えることができる。また、本例においては、メインカラー及びサブカラーを設定する処理についても、広い意味でのディザ処理等と考えることもできる。この場合、メインカラー用マトリクス及びサブカラー用マトリクスについても、3次元のディザマトリクス等と考えることができる。
また、より具体的に、図7(a)に示す形状の単位構造302を用い、図3(a)に示すようにメインカラー及びサブカラーの設定を行う場合、例えば、図8に示すような3次元マトリクスを用いることが考えられる。図8は、本例において用いる3次元マトリクスの一例を示す。図8(a)は、構造設定用マトリクスの一例を示す。図8(b)は、メインカラー用マトリクスの一例を示す。図8(c)は、サブカラー用マトリクスの一例を示す。図8(a)~(c)においては、それぞれの3次元マトリクスを構成する複数の要素の値について、Z方向の位置毎に分けて示している。また、要素の値について、有効値を1とし、無効値を0とする場合の例を示している。
また、より具体的に、例えば、構造設定用マトリクスの場合、有効値である値1が設定されている要素の位置が、単位構造302を構成するセルの位置になる。また、上記においても説明をしたように、構造設定用マトリクスを繰り返して適用する処理については、例えば、3次元でのディザ処理と同一又は同様に行うと考えることができる。この場合、例えば、着色領域154(図2参照)の範囲を示すデータに対して構造設定用マトリクスを適用することで、複数の単位構造302によって構成される着色領域154のモデル化を行うことが考えられる。また、この場合、着色領域154の範囲を示すデータについては、例えば図5(a)に示す着色領域154のように、単位構造302の形状を考慮せずに着色領域154を示すデータ等と考えることができる。また、このようなデータについては、例えば、複数の単位構造302によって構成される構造への変更処理の対象となる領域を着色領域154とするデータ等と考えることもできる。
また、着色領域154の範囲については、例えば、造形物の法線方向における着色領域の厚み分の範囲等と考えることもできる。また、着色領域154の範囲を示すデータとしては、例えば、着色領域154の範囲内にある各ボクセルの値に所定の有効値を設定したデータを用いることが考えられる。この場合、この有効値については、例えば、着色領域154の範囲内にあるボクセルであることを示す値等と考えることができる。そして、この場合、構造設定用マトリクスを適用する処理において、例えば、着色領域154の範囲を示すデータにおいてボクセルの値(ボクセル値)が有効値であり、かつ、構造設定用マトリクスの要素の値も有効値であるボクセルについて、単位構造302のセルとして有効にすることが考えられる。また、このような処理については、例えば、着色領域154の範囲を示すデータでのボクセル値と構造設定用マトリクスの要素の値との論理積に基づいて単位構造302のセルに対応する値を設定する処理等と考えることもできる。
また、より具体的に、例えば、着色領域154の範囲を示すデータでのボクセル値、及び構造設定用マトリクスの要素において、有効値として値1を用い、有効値が設定されないボクセル値や要素の値を0とする場合、着色領域154の各位置に形成される単位構造302を構成するセルの位置を決定する処理において、その位置におけるボクセル値と構造設定用マトリクスの要素の値との論理積を演算することが考えられる。この場合、ボクセル値が1であり、かつ、構造設定用マトリクスの要素の値が1(ボクセル値1 AND マトリクス1)であれば、その位置は、処理後も有効なボクセル(有効ボクセル1)であり、単位構造302を構成するセルになる。これに対し、ボクセル値が1であっても、構造設定用マトリクスの要素の値が0(ボクセル値1 AND マトリクス0)であれば、その位置は、処理後に無効になるボクセル(無効ボクセル0)であり、単位構造302のセルにはならない。また、ボクセル値が0であれば、構造設定用マトリクスの要素の値が1(ボクセル値0 AND マトリクス1)であっても、その位置は、処理後に無効になるボクセル(無効ボクセル0)であり、単位構造302のセルにはならない。更に、ボクセル値が0であり、構造設定用マトリクスの要素の値も0(ボクセル値0 AND マトリクス0)である場合も、その位置は、処理後に無効になるボクセル(無効ボクセル0)であり、単位構造302のセルにはならない。本例によれば、例えば、着色領域154について、複数の単位構造302により構成される着色領域154へのモデル化を容易かつ適切に行うことができる。
また、この場合、メインカラー及びサブカラーの設定については、例えば、構造設定用マトリクスを適用した後のボクセル値と、メインカラー用マトリクス及びサブカラー用マトリクスの要素の値とに基づいて行うことが考えられる。また、この場合も、例えば、ボクセル値と要素の値との論理積を演算することが考えられる。このように構成すれば、例えば、単位構造302を構成するそれぞれのセルの位置に対し、メインカラーやサブカラーを設定するか否かの決定を適切に行うことができる。また、メインカラー及びサブカラーの設定については、例えば、構造設定用マトリクスを適用する前のボクセル値と、メインカラー用マトリクスやサブカラー用マトリクスの要素の値とに基づいて行うこと等も考えられる。この場合も、単位構造302のセルを構成しないボクセルについては構造設定用マトリクスを用いた処理で無効値が設定されるため、最終的には、単位構造302のセルの位置のみにメインカラーやサブカラーが設定されることになる。このように構成すれば、例えば、形状が互いに異なる単位構造302に対して、同じメインカラー用マトリクスやサブカラー用マトリクスを用いることが可能になる。
続いて、本例のデータ生成部14(図1参照)において造形物データを生成する動作について、更に詳しく説明をする。図9は、造形物データを生成する動作の一例を示すフローチャートである。また、以下において説明をする点を除き、造形物データを生成する動作については、造形物データを生成するために行う公知の動作と同一又は同様に行うことができる。より具体的に、例えば、複数の単位構造302により構成される着色領域154を示すデータを生成することに関連する処理以外の処理については、公知の処理と同一又は同様に行うことができる。
本例において、造形物データの生成を行う場合、データ生成部14は、先ず、生成すべき造形物データの元になる入力データの入力を受け付ける(S102)。本例において、ステップS102の動作は、データ入力処理の動作の一例である。入力データとしては、例えば、造形実行部12の機種等に依存しない形式で造形しようとする造形物を示すデータ等を用いることが考えられる。また、このような入力データについては、例えば、造形物データとは異なる形式で造形物の少なくとも一部の特徴を示すデータ等と考えることもできる。データ生成部14は、例えば、ネットワークや記憶媒体等を介して他のコンピュータで作成された入力データを取得することで、入力データの入力を受け付ける。また、入力データについては、例えば、ユーザの操作等に応じて、データ生成部14で生成してもよい。この場合、入力データを生成するためのユーザの操作を受け付ける動作等について、入力データを受け付ける動作等と考えることができる。
また、本例において、入力データとしては、造形物の立体形状、メインカラー、及びサブカラーを少なくとも示すデータを用いる。このような入力データとしては、例えば、複数のデータを組み合わせたデータ等を用いてもよい。より具体的に、この場合、入力データとして、例えば、造形物の形状を示すデータ、メインカラーを示すデータ、及びサブカラーを示すデータを含む複合データ等を用いることが考えられる。また、入力データにおいて、造形物の形状については、例えば、公知の汎用の形式で立体形状を示すことが考えられる。メインカラー及びサブカラーについては、例えば、RGBカラー等の公知の形式で色を示すことが考えられる。
また、造形物の色については、例えば、造形物の形状と対応付けた形式で指定をすること等も考えられる。この場合、例えば、立体形状の表面に貼り付けるテクスチャにより、造形物の各位置の色を示すことが考えられる。また、この場合、例えば、このようなテクスチャにより、メインカラー又はサブカラーを指定すること等も考えられる。また、例えば、造形物の形状を示す立体形状の各位置に対し、複数のテクスチャを貼り付け、いずれかのテクスチャをメインカラー用のテクスチャとして用い、他のテクスチャをサブカラー用のテクスチャとして用いること等も考えられる。また、本例においては、例えば、メインカラーについてモデルのオリジナルの色と考えることができる。そして、サブカラーについては、例えば、色の見え方を変化させるための色等と考えることができる。そして、この場合、例えば、メインカラーについては、上記のように、立体形状の表面に貼り付けるテクスチャにより指定することが考えられる。また、サブカラーについては、メインカラーの指定の仕方と異なる方法で指定してもよい。この場合、サブカラーについては、例えば、立体形状の表面に貼り付けるテクスチャを用いずに、ユーザの選択等によって色を直接指定すること等が考えられる。また、入力データにおいて、メインカラー及びサブカラーについては、例えば、テクスチャ等を用いずに、直接に色の指定を行ってもよい。
また、上記においても説明をしたように、本例において、データ生成部14は、構造設定用マトリクス、メインカラー用マトリクス、及びサブカラー用マトリクスを用いて、複数の単位構造302により構成される着色領域154へのモデル化を行う。この場合、構造設定用マトリクス、メインカラー用マトリクス、及びサブカラー用マトリクスとしては、例えば、データ生成部14において予め用意されている3次元マトリクスを用いることが考えられる。また、この場合、例えば、構造設定用マトリクス、メインカラー用マトリクス、及びサブカラー用マトリクスのそれぞれに対して複数種類の3次元マトリクスを予め用意しておき、使用する3次元マトリクスをユーザの指示に応じて決定すること等も考えられる。また、これらの3次元マトリクスの用い方の変形例においては、例えば、入力データにより、構造設定用マトリクス、メインカラー用マトリクス、及びサブカラー用マトリクスのうちの少なくともいずれかを指定してもよい。この場合、データ生成部14は、例えば、入力データの一部として、3次元マトリクスを受け取る。
また、入力データを受け付けた後、本例のデータ生成部14は、入力データに基づき、造形物を構成する各領域(造形物領域)の生成を行う(S104)。より具体的に、例えば図2等を用いて説明をしたように、光反射領域152及び着色領域154を備える造形物の造形を行う場合、ステップS104において、データ生成部14は、入力データから造形物データを生成するまでの中間のデータに対し、例えば図5(a)等を用いて上記において説明をしたように、光反射領域152及び着色領域154に対応する領域の設定を行う。この場合、中間のデータについては、例えば、生成途中の造形物データ等と考えることができる。また、以下においては、説明の便宜上、上記の中間のデータのような生成途中の造形物データについても、単に、造形物データという。また、この場合、ステップS104の動作について、例えば、光反射領域152及び着色領域154等の構成を示す造形物データを生成する動作等と考えることもできる。また、ステップS104でのデータ生成部14の動作については、例えば、造形物データに対して造形物領域の生成を行う動作等と考えることもできる。また、この場合、データ生成部14は、着色領域154について、例えば上記においても説明をしたように、単位構造302の形状を考慮せずに、領域の設定を行う。
そして、このようにして領域の設定(生成)を行った後、データ生成部14は、構造設定用マトリクス、メインカラー用マトリクス、及びサブカラー用マトリクス等を用いて、着色領域154の形状や色の設定を行う(S106)。また、これにより、データ生成部14は、複数の単位構造302により構成される着色領域154へのモデル化等を行う。ステップS106においてデータ生成部14が行う処理については、後に更に詳しく説明をする。
また、これらの処理に続いて、データ生成部14は、造形物データに対し、サポート領域の生成を行う(S108)。この場合、サポート領域については、例えば、造形実行部12での造形時にサポート層を形成する領域等と考えることができる。また、より具体的に、ステップS108において、データ生成部14は、例えば、造形物の全体の形状や、着色領域154における単位構造302の形状等に基づき、サポート層の形成が必要な位置の特定を行う。そして、特定した位置に基づき、サポート領域の生成を行う。この場合、データ生成部14は、例えば、公知の方法と同一又は同様にして、造形物の全体の形状に関するサポート領域を生成する。また、本例においては、複数の単位構造302により着色領域154を構成することで、単位構造302の形状に応じて、着色領域154の中にもオーバーハング形状が生じる場合がある。そのため、本例において、データ生成部14は、単位構造302の形状等に基づき、複数の単位構造302の周囲等にも、サポート領域を生成する。このような動作については、例えば、着色領域154のうち、造形物の材料となるインクが残る位置以外の位置にはサポート材が吐出されるように、造形物データを生成する動作等と考えることができる。このように構成すれば、例えば、造形実行部12での造形の動作の実行時において、複数の単位構造302により構成される着色領域154を備える造形物の造形を適切に行うことができる。
また、サポート領域の生成を行った後、データ生成部14は、造形物データに対するスライシングを行う(S110)。この場合、スライシングについては、例えば、造形物の断面を示すデータへの変換を行う動作等と考えることができる。また、ステップS110において、データ生成部14は、例えば、造形実行部12での造形の動作の実行時に積層されるそれぞれのインクの層の位置(積層方向における)位置に対応する断面をそれぞれが示す断面データが生成されるように、スライシングの処理を行う。この場合、ステップS110が完了した時点以降において、造形物データについては、例えば、それぞれが各位置での断面を示す複数の断面データ(スライスデータ)により構成されると考えることができる。また、ステップS110が完了した時点において、それぞれの断面データでは、例えば、入力データにおいて指定された色をそのまま用いて色の措定が行われている。そのため、本例においては、ステップS110の後で行う処理において、断面データでの色について、造形実行部12で用いるインクで表現可能な形式で色を示すように、変換等を行う。また、本例において、ステップS110以降の処理については、例えば、公知の方法と同一又は同様に行うことができる。
また、より具体的に、本例において、スライシングの処理を行った後、データ生成部14は、カラーマッチングの処理を行うことで、断面データにおいて用いられている色について、造形実行部12で使用するインクの色に合わせた色変換を行う(S112)。この場合、例えば、使用するインクの特性に合わせて予め用意されたICCプロファイルを用いて、色の変換を行うことが考えられる。また、カラーマッチングの処理に続いて、データ生成部14は、ハーフトーニングの処理(ハーフトーン処理)を更に行うことで、インクジェットヘッドでのインクの吐出により表現可能な階調数に、色の階調数を量子化する(S114)。また、これにより、データ生成部14は、断面データについて、限られた色数のインクによって様々な色を表現可能データに変換する。ハーフトーン処理については、例えば、単位面積あたりに吐出する各色のYMCKの各色のインクの配合率を決定する処理等と考えることができる。
ここで、ステップS114では、色の階調数について、例えば、2階調への量子化を行うことが考えられる。また、吐出するインクの容量を複数段階で可変にするインクジェットヘッドを用いて造形を行う場合等には、インクジェットヘッドの性能に応じて、2階調よりも大きな階調数への量子化を行ってもよい。そして、これらの場合、ハーフトーン処理を行った後の造形物データ(生成途中の造形物データ)において、造形物の各位置の色は、量子化後の少ない階調数(例えば2階調)で表現されることになる。そのため、着色領域154について、例えば個々の単位構造302毎に見ると、単位構造302のそれぞれのセルへの着色の仕方について、必ずしも図3等に示した状態にならないとも考えられる。しかし、この場合も、ステップS106で着色領域154の構造及び色の設定を行い、その後にカラーマッチングの処理やハーフトーン処理を行うことで、ステップS106でモデル化された着色領域154を表現するためのハーフトーン処理を適切に行うことができる。また、この場合、ハーフトーン処理を行った後の造形物データについて、例えば、造形実行部12で造形可能な形式でモデル化された着色領域154及び単位構造302等を示していると考えることができる。また、この場合、ハーフトーン処理については、例えば、単位構造302によって着色領域154が構成されていること等を意識せずに、公知のハーフトーン処理と同一又は同様に行うことが考えられる。このように構成すれば、例えば、容易かつ適切にハーフトーン処理を行うことができる。
また、本例のように、限られた色数の着色用のインク(YMCKの各色のインク)を用いて減法混色法で様々な色を表現する場合、表現する色によって、使用するインクの色数に差が生じる場合がある。そして、この場合、例えば、色の違いによって生じる着色用のインクの量の変化を補填するために、クリアインクを用いることが考えられる。このように構成すれば、例えば、着色領域154の各位置を所望の色で適切に着色することができる。また、この場合、クリアインクでの補填量や、補填を行う位置等についても、ステップS106で決定することが考えられる。また、この場合、造形実行部12での造形時において、着色領域154における少なくとも一部の単位構造302の少なくとも一部がクリアインクで形成されると考えることもできる。
また、本例において、データ生成部14は、これらの処理を行った造形物データに対し、更に、造形実行部12での処理が可能な形式への変換を行うコマンド化を行う(S116)。また、これにより、データ生成部14は、造形実行部12に合わせた形式で造形物を示す造形物データを生成する。この場合、造形物データについて、例えば、造形実行部12で処理可能な所定の形式で造形物の構成を示すデータ等と考えることもできる。また、本例においては、造形物データの生成を完了するステップS116の動作について、例えば、造形物データ生成処理の動作の一例と考えることができる。本例によれば、例えば、造形物データの生成を適切に行うことができる。
また、本例において、データ生成部14は、最終的に生成される造形物データについて、造形実行部12へ供給する。この場合、造形実行部12へ供給する造形物データについて、例えば、入力データが示す立体形状及び色の造形物を造形実行部12に造形させるためのデータ等と考えることもできる。また、上記の説明等から理解できるように、本例において、データ生成部14では、積層されるそれぞれのインクの層の位置での造形物の断面を示す造形物データを生成する。このような造形物データについては、例えば、積層されるそれぞれのインクの層に対応する断面位置で造形物の各領域(光反射領域152及び着色領域154等)の構成を示すデータ等と考えることもできる。また、造形物データについて、例えば、造形実行部12での造形の動作時に各位置へ吐出するインクの色を示している等と考えることもできる。また、造形システム10の構成の変形例においては、例えば、造形物データを生成するための処理の少なくとも一部について、造形実行部12において実行してもよい。この場合、例えば、ステップS110以降の動作等について、造形実行部12において実行すること等も考えられる。また、この場合、造形実行部12について、造形物データ生成装置の少なくとも一部を兼ねていると考えることができる。
続いて、ステップS106でデータ生成部14が行う動作等について、更に詳しく説明をする。図10は、ステップS106でデータ生成部14が行う動作の一例を示すフローチャートである。上記においても説明をしたように、本例において、データ生成部14は、構造設定用マトリクス、メインカラー用マトリクス、及びサブカラー用マトリクス等を用いて、着色領域154の形状や色の設定を行う。また、この場合、データ生成部14は、例えば図中に示すように、着色領域154の構造を設定する処理(S202)、メインカラーを設定する処理(S204)、及びサブカラーを設定する処理(S206)を、順次行う。
より具体的に、ステップS202において、データ生成部14は、上記において説明をしたうように、構造設定用マトリクスを用いて、複数の単位構造302により構成される着色領域154の形状を決定する。また、これにより、データ生成部14は、着色領域154の構造を設定する。本例において、ステップS202でデータ生成部14が行う動作は、構造設定処理の動作の一例である。また、ステップS204において、データ生成部14は、上記において説明をしたうように、メインカラー用マトリクスを用いて、メインカラーでの着色がされるセルを決定する。また、これにより、データ生成部14は、メインカラーの設定を行う。更に、ステップS206において、データ生成部14は、上記において説明をしたうように、サブカラー用マトリクスを用いて、サブカラーでの着色がされるセルを決定する。また、これにより、データ生成部14は、サブカラーの設定を行う。本例において、ステップS204及びS206でデータ生成部14が行う動作は、色設定処理の動作の一例である。色設定処理については、例えば、着色領域154に対して着色する色を設定する処理等と考えることができる。
本例によれば、例えば、着色領域154の形状や色の設定を適切に行うことができる。また、この場合、例えば、単位構造の形状やメインカラー及びサブカラーで着色する位置の設定の仕方により、造形物の色の見え方を多様化すること等が可能になる。より具体的に、この場合、ステップS204及びステップS206において、例えば、造形物を観察する方向によって造形物の色の見え方が変化するように、単位構造の一部にメインカラーを設定し、単位構造302においてメインカラー色が設定されない部分の少なくとも一部にサブカラーを設定すること等が考えられる。このように構成すれば、例えば、観察する方向等を変えることで造形物の色が変化するような印象を観察者に与えることができる。
また、この場合、例えば図9を用いて説明をしたステップS116において、上記のようにして設定される着色領域154の構造及び色に基づき、造形物データを生成する。また、このようにして生成される造形物データを用いて造形実行部12において造形物の造形を行うことで、例えば、複数の単位構造302により構成される着色領域154を備える造形物の造形を行う。本例によれば、例えば、意匠性の高い造形物を示す造形物データの生成を適切に生成し、造形物データが示す造形物の造形を適切に行うことができる。
また、この場合において、例えば、構造設定用マトリクスを用いることで、単位構造302が並ぶ着色領域154の構造について、容易かつ適切に設定することができる。また、メインカラー用マトリクス及びサブカラー用マトリクスを用いることで、メインカラー及びサブカラーでの着色を行う位置についても、容易かつ適切に設定することができる。また、上記においても説明をしたように、本例において、構造設定用マトリクス、メインカラー用マトリクス、及びサブカラー用マトリクスを用いる処理については、例えば、3次元でのディザ処理等と同様に実行することが考えられる。この場合、シンプルな処理で着色領域154の形状や色の設定を行うことが可能になるため、例えば、処理を高速化することが容易になる。
更には、この場合、例えば、構造設定用マトリクスを変更することで、例えば、単位構造302の形状を容易に変更することができる。また、例えば、メインカラー用マトリクスやサブカラー用マトリクスを変更することで、例えば、メインカラーやサブカラーでの着色を行う位置を容易に変更することができる。そのため、本例によれば、例えば、着色領域154の形状や色の設定を行う処理について、容易かつ適切にカスタム化することができる。また、より具体的に、この場合、例えば、構造設定用マトリクスにおいて有効値を設定する要素の位置を変更することで、単位構造302の形状を変更することが考えられる。また、メインカラー用マトリクスやサブカラー用マトリクスにおいて有効値を設定する位置を変更することで、メインカラーやサブカラーでの着色を行う位置を変更することが考えられる。
また、本例において、構造設定用マトリクス、メインカラー用マトリクス、サブカラー用マトリクス等の3次元マトリクスについては、例えば、図9を用いて説明をしたステップS102においてユーザの指示を受け付け、指示に基づき、使用する3次元マトリクスを決定することが考えられる。また、この場合、例えば、構造設定用マトリクス、メインカラー用マトリクス、及びサブカラー用マトリクスのそれぞれについて、複数種類の3次元マトリクスをユーザに提示して、ユーザによる選択の指示を受け付けること等が考えられる。また、例えば、構造設定用マトリクス、メインカラー用マトリクス、及びサブカラー用マトリクスの少なくともいずれかについて、3次元マトリクスの各要素の値を直接示すデータを受け付けてもよい。
また、メインカラーやサブカラーでの着色を行う位置の設定の仕方については、例えば、上記に説明をした場合とは異なる考え方で行うこと等も考えられる。より具体的に、上記においては、主に、単位構造302の各位置に対し、メインカラー又はサブカラーのいずれかを必ず設定する場合の動作について、説明をした。この場合、単位構造302の各位置については、例えば、構造設定用マトリクスにおいて有効値が設定されている要素に対応する位置等を考えることができる。また、この場合、上記のステップS204及びS206において、データ生成部14は、単位構造302単位構造の全ての位置に対し、メインカラー及びサブカラーのうちのいずれかの色を設定する。
これに対し、メインカラーやサブカラーを設定する位置に関し、より一般化して考えた場合、例えば、着色領域154におけるそれぞれの単位構造302の一部にメインカラーを設定し、単位構造302においてメインカラーが設定されない部分の少なくとも一部にサブカラーを設定すると考えることもできる。また、この場合、例えばステップS206又はその後に更に行う処理において、単位構造302におけるいずれかの位置に対し、メインカラー及びサブカラー以外の色を更に設定すること等が考えられる。この場合、単位構造302を構成するセルの位置の中でメインカラー及びサブカラーのいずれも設定されない位置に対しては、例えば、ユーザの指定によらない既定の色を設定することが考えられる。この場合、メインカラー及びサブカラーのいずれも設定されない位置については、例えば、造形の材料であるインクが造形の完了後にも残る位置であり、かつ、メインカラー及びサブカラーのいずれも設定されない位置等と考えることができる。また、この場合、データ生成部14は、例えば、単位構造302の中でメインカラー及びサブカラーのいずれも設定されない位置に対し、予め設定された色を設定する。また、このような予め設定された色としては、例えば白色やクリア色等の、色彩に影響を与えにくい色を用いることが考えられる。このように構成すれば、例えば、単位構造302における一部のセルに対してメインカラー及びサブカラーのいずれも設定しない場合にも、単位構造302の各位置に対する色の設定を適切に行うことができる。
また、メインカラー及びサブカラーのいずれも設定されない位置に対して設定される色(メインカラー及びサブカラー以外の色)としては、例えば、ユーザに指定される色を用いること等も考えられる。この場合、単位構造302の中でメインカラー及びサブカラーのいずれも設定されない位置に対し、例えば、ユーザに指定される第3の色を設定する。このような第3の色としては、例えば、メインカラー及びサブカラーのいずれとも異なる色を用いること等が考えられる。このように構成すれば、例えば、より多様な意匠を表現すること等が可能になる。
また、単位構造302の一部にメインカラー及びサブカラー以外の色を設定する場合の色の設定の仕方として、例えば、単位構造302の内部が光反射性の色になるように色の設定を行うこと等も考えられる。より具体的に、この場合、ステップS204、ステップS206、又はその後に更に行う処理において、データ生成部14は、例えば、構造設定用マトリクスにおける内部の要素に対応する位置(単位構造302のセルの位置)の少なくとも一部に対し、光反射性の色を設定する。この場合、構造設定用マトリクスにおける内部の要素については、例えば、構造設定用マトリクスの要素のうち、周囲の全体が他の要素に囲まれる要素等と考えることができる。また、内部の要素については、例えば、構造設定用マトリクスにおいて要素が並ぶ配列方向において、いずれの方向でも一番端にならない要素等と考えられる。また、光反射性の色としては、例えば、白色を用いることが考えられる。このように構成した場合、例えば、単位構造302の中に光反射性の領域を形成することができる。また、これにより、例えば、単位構造302における発色性を高めること等が可能になる。また、このようにして単位構造302の中に光反射性の領域を形成する場合、例えば、造形物において、光反射領域152を省略すること等も考えられる。また、この場合、例えば、光反射領域152に代えて、任意の色での内部領域を形成すること等が考えられる。
続いて、上記において説明をした各構成に関する補足説明や、変形例の説明等を行う。上記においても説明をしたように、本例においては、複数の単位構造302により構成される着色領域154を形成することで、意匠性の高い造形物を造形する。この場合、造形物での意匠の表現について、例えば、単位構造302により色を表現するモデルである構造色モデルを適用したサーフェスイメージング等と考えることができる。
また、上記においても説明をしたように、本例において、データ生成部14は、造形物データ生成装置の一例である。この場合、データ生成部14の全体又は一部について、造形物データ生成装置の各部として動作していると考えることができる。より具体的に、この場合、例えば、データ生成部14のCPUについて、プログラムに従って、例えば、データ入力処理を実行するデータ入力部、構造設定処理を実行する構造設定部、色設定処理を実行する色設定部、及び造形物データ生成部等として機能すると考えることができる。また、この場合、データ生成部14について、データ入力部、構造設定部、色設定部、及び造形物データ生成部等を備えていると考えることができる。
また、上記においては、構造設定用マトリクスについて、主に、各方向への要素が並ぶ数(配列数)が4個の場合について、説明をした。しかし、各方向における配列数については、4個の限らず、様々に変更が可能である。また、配列数について、例えば、方向によって異ならせてもよい。例えば、本例のように、インクの層を積層して造形を行う場合、一つのインクのドットの形状について、主走査方向及び副走査方向の幅と比べて、積層方向における幅(高さ)が小さくなること等が考えられる。そして、この場合、例えば、積層方向における配列数について、主走査方向及び副走査方向における配列数よりも多くすること等が考えられる。より具体的に、この場合、例えば、主走査方向及び副走査方向における配列数を同じにして、積層方向における配列数について、インクのドットの主走査方向及び副走査方向における幅と、積層方向における幅との比率に応じて、主走査方向及び副走査方向における配列数よりも大きくすること等が考えられる。また、この場合、積層方向における配列数について、例えば、主走査方向及び副走査方向における配列数の1.5~4倍程度(好ましくは、2~3倍程度)にすること等が考えられる。このように構成すれば、例えば、実際に形成される単位構造302の形状について、積層方向における高さと、主走査方向及ぶ副走査方向における幅との差を適切に低減することができる。
また、上記においては、主に、構造設定用マトリクス等の3次元マトリクスにおける一つの要素に一つのボクセルを対応させる場合の例について、説明をした。しかし、構造設定用マトリクス等の3次元マトリクスの用い方の変形例においては、3次元マトリクスにおける一つの要素に対し、複数のボクセルを対応させてもよい。この場合、単位構造302を構成するそれぞれのセルについて、複数のボクセルにより構成されると考えることもできる。また、この場合、一つのセルを構成するボクセルの並び方について、各方向に並ぶボクセルの数を方向によって異ならせてもよい。より具体的に、この場合、一つのセルを構成するボクセルの並び方について、積層方向に並ぶボクセルの数を、主走査方向や副走査方向に並ぶボクセルの数よりも多くすること等が考えられる。
また、上記においては、説明の便宜上、主に、着色領域154を構成する全ての単位構造302に対して同じ形状及び色を設定する場合の例について、説明をした。しかし、単位構造302の形状や色の設定については、着色領域154の位置によって異ならせてもよい。この場合、例えば、単位構造302の形状については着色領域154の全体に対して共通にして、色の設定を着色領域154における位置によって異ならせること等が考えられる。より具体的に、この場合、例えば、メインカラー及びサブカラーを設定するセルの位置について、単位構造302が形成される位置における造形物の法線方向等に応じて異ならせること等が考えられる。また、更に多様な意匠での着色を行う場合等には、単位構造302の形状についても、着色領域154における位置によって異ならせること等が考えられる。
また、単位構造302については、必ずしも着色領域154の全体に形成するのではなく、例えば、着色領域154の一部のみに形成すること等も考えられる。この場合、例えば、着色領域154の一部について、構造設定用マトリクスにより指定される単位構造302が複数並ぶことで構成される領域等と考えることができる。また、この場合、着色領域154の形状を構造設定用マトリクスを用いて決定する動作において、例えば、着色領域154において構造を決定する対象となる領域に対し、位置をずらしつつ構造設定用マトリクスを繰り返して適用することで、着色領域154の構造を設定する。また、この場合、構造設定用マトリクスを適用しない領域については、例えば、公知の方法と同一又は同様の方法での着色を行うことが考えられる。また、この場合、データ生成部14は、入力データを受け付ける動作において、例えば、着色領域154において複数の単位構造302により構成する領域を指定する指示を更に受け付ける。
また、上記のような様々な形状及び色の単位構造302で構成される着色領域154を形成することを考えた場合、例えば着色領域154の構成を決定する要素設計等において人工知能(AI)を利用して、単位構造302の形状や色を設定すること等も考えられる。また、人工知能を用いて、着色領域154の見え方の制御を行うことや、単位構造302の形状やサイズ等を示す微細構造モデルの最適化を行うこと等も考えられる。
また、造形物を造形する動作に関し、上記において主に説明をした動作については、例えば、いわゆる3D印刷の動作を実行することで3D造形物を造形する動作等と考えることができる。これに対し、造形実行部12においては、例えば図11に示すように、いわゆる2D印刷や2.5D印刷に対応する動作によって造形物の造形を行うこと等も考えられる。
図11は、造形物を造形する動作の変形例について説明をする図であり、2D印刷に対応する動作によって造形物の造形を行う動作の一例を示す。図11(a)は、本変形例において造形される造形物50の構成の一例を示す。2D印刷に対応する動作については、例えば、媒体502上に平面的な画像を描く動作等と考えることができる。媒体502としては、例えば、平面状のシートや板状体等を用いることが考えられる。
また、本変形例において、造形実行部12は、複数の単位構造302により構成される着色領域154を媒体502上に形成することで、媒体502上に画像を描く。この場合、媒体502上に形成される着色領域154について、単位構造302が並ぶ構成で立体的に形成されることで、造形物50になっていると考えることができる。また、本変形例においては、例えば、少なくとも一部が光反射性になっている媒体502を用いることが考えられる。このように構成すれば、例えば、造形物50の領域として光反射領域を形成しない場合でも、着色領域154によって様々な色を適切に表現することができる。また、これにより、例えば、2D印刷に対応する動作での画像の描画を適切に行うことができる。
また、本変形例のように、媒体502上に造形物50を造形する動作については、例えば、造形の材料を媒体502の上に吐出することで媒体502に付着した造形物50を造形する動作等と考えることができる。本変形例によれば、例えば、造形実行部12において、媒体502を用いて行う造形物50の造形の動作を適切に行うことができる。また、本変形例においても、造形実行部12は、データ生成部14から受け取る造形物データに基づき、造形物50を造形する動作を実行する。この場合、データ生成部14は、例えば図11(b)に示すフローチャートの動作により、造形物データを生成する。
図11(b)は、本変形例においてデータ生成部14が造形物データを生成する動作の一例を示すフローチャートである。以下において説明をする点を除き、本変形例のデータ生成部14は、例えば、2D印刷を行う場合に行うデータの生成処理での公知の動作や、図9及び図10等を用いて説明をした動作と同一又は同様にして、造形物データを生成する。
より具体的に、この場合、データ生成部14は、例えば、生成すべき造形物データの元になる入力データとして、媒体502上に形成すべき着色領域154を示す入力データを受け付ける(S122)。ステップS122において、データ生成部14は、例えば、図9に示したフローチャートにおけるステップS102での動作と同一又は同様にして、メインカラー及びサブカラー等を示す入力データを受け付ける。また、本変形例においても、入力データについて、例えば、造形物データとは異なる形式で造形物50の少なくとも一部の特徴を示すと考えることができる。また、入力データについては、例えば、媒体502上に描く画像を示していると考えることもできる。また、データ生成部14は、入力データに基づき、ラスタライズの処理を行う(S124)。ステップS124において、データ生成部14は、例えば、2D印刷を行う場合に行う公知のラスタライズの動作と同一又は同様にして、入力データに基づき、ラスタ画像を生成する。また、本変形例において、ステップS124では、例えば、着色領域154を構成する単位構造302を考慮せずに、ラスタライズの処理を行う。
また、その後、図9に示したフローチャートにおけるステップS106での動作と同一又は同様にして、着色領域154の形状や色の設定を行う(S126)。また、これにより、本変形例においても、データ生成部14は、複数の単位構造302により構成される着色領域154へのモデル化を行う。そして、データ生成部14は、更に、図9に示したフローチャートにおけるステップS112~S116での動作や2D印刷を行う場合に行う公知の動作と同一又は同様にして、カラーマッチングの処理(S128)、ハーフトーニングの処理(S130)、及びコマンド化の処理(S132)を行って、造形物データを生成する。このように構成すれば、例えば、2D印刷に対応する動作によって造形物50の造形を行うための造形物データを適切に生成することができる。
また、上記の説明から理解できるように、本変形例においては、立体的な形状を有する単位構造302が並ぶように、媒体502上に着色領域154を形成する。そのため、本変形例での造形実行部12の動作について、例えば、2.5D印刷に対応する動作等と考えることもできる。この場合、2.5D印刷に対応する動作については、例えば、媒体502上に造形物50の材料を吐出することで媒体502と繋がった立体形状を造形する動作等と考えることができる。また、造形実行部12の動作の更なる変形例においては、例えば、2.5D印刷に対応する動作によって、より複雑な立体的な形状を有する造形物50を媒体502上に造形すること等も考えられる。この場合、例えば、着色領域154の内側に光反射領域を更に形成することで、光反射領域及び着色領域154を備える造形物50を媒体502上に造形すること等が考えられる。また、この場合、媒体502上に造形物50を造形することに関連する事項以外については、例えば図1~10を用いて説明をした造形の動作と同一又は同様に行うことが考えられる。このように構成すれば、例えば、媒体502上に造形物50を造形する場合において、より多様な意匠を適切に表現することができる。