JP2018114655A - 立体物造形方法及び立体物造形装置 - Google Patents

立体物造形方法及び立体物造形装置 Download PDF

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Abstract

【課題】所望の色味で着色した立体物を造形すること。【解決手段】複数の有色のインクによって形成される単位層71を複数積層して着色層70を形成することにより立体物5を造形する立体物造形方法であって、着色層70を形成する複数の単位層71のうち、少なくとも一部の単位層71を、単位層71を形成する有色のインクの明度及び濃度の少なくとも一方に基づいて着色層70の厚み方向に任意の順で配置して着色層70を形成する着色層形成工程を有する。【選択図】図9

Description

本発明は、立体物造形方法及び立体物造形装置に関する。
近年、3次元形状の立体物を造形する3次元プリンタが様々な用途に用いられつつあり、このような3次元プリンタでは、吐出したインクなどの造形材を積層していくことによって、立体物を造形することが可能になっている。例えば、特許文献1に記載されたカラー立体モデル形成装置は、立体物の形状を特定するための形状データと表面の画像を示す表面画像データとから構成される3次元データを複数の層に区画し、各層の表面画像データに中間調処理(誤差拡散、FMスクリーニング、AMスクリーニング)を施して、各層の表面画像データの各画素の色を特定する。そして、その最下層から順に吐出部から特定された色の造形材を吐出し硬化して積層していくことによって、その3次元データに合わせた立体物を形作る。また、この種の3次元プリンタは、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、黒、クリア等の造形材としてのインクを吐出するインクジェット式の吐出部を色毎に備えている。
特開2001−18297号公報
しかしながら、上述したカラー立体モデル形成装置では、3次元データを複数の層に区画した各層に対して、いわゆるディザリング処理を行うため、各層で色の配列が同じ配列となって、積層されることになる。また、着色層の厚み方向においても色材の着弾順は考慮されずに、着色層が形成される。このような場合、明度が低い色が着色層の外側に配置された際に全体的に暗いトーンになったり、カバー率が高い色が外側に配置された際に彩度が低くなったりするなど、意図した色で立体物を表現できない虞がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、所望の色味で着色した立体物を造形することのできる立体物造形方法及び立体物造形装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る立体物造形方法は、複数の着色材によって形成される単位層を複数積層して着色層を形成することにより立体物を造形する立体物造形方法であって、前記着色層を形成する複数の前記単位層のうち、少なくとも一部の前記単位層を、前記単位層を形成する前記着色材の明度及び濃度の少なくとも一方に基づいて前記着色層の厚み方向に任意の順で配置して前記着色層を形成する着色層形成工程を有することを特徴とする。
この発明では、着色層を形成する単位層を、着色材の明度及び濃度の少なくとも一方に基づいて着色層の厚み方向に任意の順で配置することにより単位層を形成し、着色層を形成するため、表面の色を実現するための着色材の構成に関わらず、着色層を意図した色味にすることができる。この結果、所望の色味で着色した立体物を造形することができる。
また、上記立体物造形方法において、前記立体物は、前記立体物の本体を形成するモデル材と、前記モデル材の表面に形成される前記着色層と、を有し、前記着色層形成工程は、前記モデル材の最表面側に、前記着色層を形成する前記着色材において最も明度の低い前記着色材と最も濃度の高い前記着色材とのうち、少なくともいずれか一方に該当する前記着色材を有する前記単位層を配置して前記着色層を形成することが好ましい。
この発明では、モデル材側に最も明度の低い、または濃度の高い着色材を配置するため、明度が高かったり濃度が低かったりする他の着色材が、明度が低かったり濃度が高かったりする着色材によって認識され難くなることを抑制でき、より確実に、着色層を意図した色味にすることができる。この結果、画像品位の高いカラーの立体物を造形することができる。
また、上記立体物造形方法において、前記着色層形成工程は、前記着色層を形成するための表面画像データの少なくとも一部に対して、セルごとの色についての情報を含む断面スライス情報を複数算出するスライス情報算出工程と、複数の前記断面スライス情報の各層に中間調処理を行う中間調処理工程と、前記中間調処理が行われた少なくとも1以上の前記断面スライス情報において、前記着色層の厚み方向に隣接する前記セルの位置を、前記セルの色情報における明度と濃度とのうち少なくとも一方に基づいて、任意の順に再配置する再配置処理工程と、再配置された前記セルを含む少なくとも1以上の前記断面スライス情報に基づき前記単位層を形成する単位層形成工程と、を含み、前記単位層形成工程を複数繰り返すことで、前記着色層を形成することが好ましい。
この発明では、中間調処理が行われた断面スライス情報の厚み方向の色の並びに対して、再配置処理工程によって、着色材を任意の順番に再配置するため、着色層の厚み方向における色の順番を、確実に所望の通りにすることができる。この結果、着色層を、より確実に意図した色味にすることができ、画像品位の高いカラーの立体物を造形することができる。
また、上記立体物造形方法において、前記表面画像データは、原点位置に対する前記立体物の表面上の位置の角度情報を有しており、前記再配置処理工程において、前記角度情報に基づいて前記着色層の厚み方向を特定することが好ましい。
この発明では、立体物の原点の位置に対する、立体物の最表面上の角度情報を基に着色層の厚み方向を特定するため、立体物の曲面や側面に形成された着色層のセルであっても、同一の単位層だけでなく、上下の単位層も含めてセルの再配置を行うことができる。この結果、着色層の角度によって色味が変わることを抑制できる。
また、本発明に係る立体物造形装置は、立体物の形状を示す3次元データに基づいて、複数の着色材によって形成される単位層を積層して着色層を形成することで前記立体物を造形する立体物造形装置であって、前記立体物を造形するための液滴を吐出する複数のノズルを有し、作業面に対して液滴を吐出する吐出部と、前記吐出部と前記作業面とを主走査方向及び副走査方向の少なくとも一方に相対的に移動させる相対移動部と、前記吐出部と前記相体移動部の動作を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記吐出部と前記相体移動部とを制御することによって前記単位層を形成すると共に、前記着色層を形成する複数の前記単位層のうち、少なくとも一部の前記単位層を、前記単位層を形成する前記着色材の明度及び濃度の少なくとも一方に基づいて前記着色層の厚み方向に任意の順で配置して前記着色層を形成することを特徴とする。
この発明では、着色層を形成する単位層を、着色材の明度及び濃度の少なくとも一方に基づいて着色層の厚み方向に任意の順で配置することにより単位層を形成し、着色層を形成するため、表面の色を実現するための着色材の構成に関わらず、着色層を意図した色味にすることができる。この結果、所望の色味で着色した立体物を造形することができる。
本発明に係る立体物造形方法及び立体物造形装置は、所望の色味で着色した立体物を造形することができる、という効果を奏する。
図1は、実施形態に係る立体物造形装置の模式図である。 図2は、図1に示す立体物造形装置により造形される立体物の一例を示す斜視図である。 図3は、吐出ユニットをインク滴の吐出面側から見た説明図である。 図4は、立体物の造形に用いる3次元データの説明図である。 図5は、3次元データの構成図である。 図6は、立体物の鉛直方向の断面図であり、単位層についての説明図である。 図7は、有色のインクを配置する際における基準についての説明図である。 図8は、着色層形成工程の処理手順を示すフロー図である。 図9は、スライス情報算出工程で算出する断面スライス情報についての説明図である。 図10は、図9のA部詳細図である。 図11は、図10に示す断面スライス情報に対して再配置処理を行った後の説明図である。 図12は、図9のB部詳細図である。 図13は、図12に示す断面スライス情報に対して再配置処理を行った後の説明図である。 図14は、鋭角部がある立体物の平面図である。 図15は、図14のC部詳細図である。 図16は、図15のD−D断面図である。 図17は、図15のE−E断面図である。 図18は、図15のF−F断面図である。 図19は、図15のG−G断面図である。 図20は、6色の有色インクを用いる場合における配置の基準についての説明図である。 図21は、6色のインクを用いる場合における配置の基準のその他の例についての説明図である。 図22は、4色のインクを用いる場合において明度が近いインク同士の順番をランダムに設定する場合における説明図である。 図23は、6色のインクを用いる場合において所定の組以外のインクの順番をランダムに設定する場合における説明図である。 図24は、6色のインクを用いる場合において所定の組以外のインクの順番をランダムに設定する場合における説明図である。
以下に、本発明に係る立体物造形方法及び立体物造形装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易に想到できるもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
〔実施形態〕
図1は、実施形態に係る立体物造形装置の模式図である。図2は、図1に示す立体物造形装置により造形される立体物の一例を示す斜視図である。図1に示す立体物造形装置10は、積層造形法により立体の立体物5を造形する装置である。この場合、積層造形法とは、例えば、複数の層を重ねて立体物5を造形する方法である。また、立体物5とは、例えば、3次元構造物のことである。また、立体物造形装置10において実行する立体物造形方法は、例えば、3次元構造物の形状情報とカラー画像情報とから、積層法によって3次元構造物を造形するカラー造形方法であってもよい。
また、以下に説明する点を除き、立体物造形装置10は、公知の立体物造形装置と同一、または同様の構成を有してよい。また、立体物造形装置10は、例えば、公知の平面への印刷装置であるインクジェットプリンタの構成の一部を変更した装置であってよい。例えば、立体物造形装置10は、紫外線硬化型インク(UVインク)を用いるインクジェットプリンタの一部を変更した装置であってよい。
本実施形態に係る立体物造形装置10は、吐出ユニット12と、主走査駆動部14と、立体物5を載置する載置台である造形台16と、制御部20と、を備えている。吐出ユニット12は、立体物5の材料となる液滴を吐出する部分であり、所定の条件に応じて硬化する樹脂である硬化性樹脂の液滴等を吐出し、硬化させることにより、立体物5を構成する各層を形成する。より具体的には、吐出ユニット12は、例えば、制御部20の指示に応じて液滴を吐出することにより、硬化性樹脂の層を形成する層形成動作と、層形成動作で形成された硬化性樹脂の層を硬化させる硬化動作とを複数回繰り返して行う。吐出ユニット12は、これらの動作を繰り返し行うことにより、硬化した硬化性樹脂の層を複数層重ねて形成する。
この吐出ユニット12から吐出する硬化性樹脂としては、例えば、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化型樹脂を用いる。この場合、吐出ユニット12は、立体物5の材料となる液滴として、例えば、紫外線硬化型インクのインク滴を吐出する。また、硬化動作では、紫外線光源により紫外線を照射することにより、硬化性樹脂の層を硬化させる。この場合、硬化性樹脂の層とは、紫外線硬化型インクのことである。
また、本実施形態に係る立体物造形装置10では、吐出ユニット12は、立体物5を造形するためのインクを、造形台16の上面に位置する作業面18に吐出する吐出部として設けられている。つまり、吐出ユニット12は、有色の紫外線硬化型インクのインク滴を吐出することにより、立体物5の表面、或いは内部に対して着色を行い、着色された立体物5を造形する。また、吐出ユニット12は、立体物5の造形時において、図2に示すように、立体物5の周囲にサポート6を形成する。サポート6は、造形中の立体物5を支えるための積層構造物(サポート層)であり、立体物5の造形完了後に、水等により溶解除去される。なお、吐出ユニット12のより具体的な構成及び動作については、後にさらに詳しく説明をする。
主走査駆動部14は、吐出ユニット12に主走査動作を行わせる駆動部であり、吐出ユニット12に主走査動作を行わせることにより、吐出ユニット12と作業面18とを相対的に移動させる相対移動部として設けられている。なお、本実施形態における、吐出ユニット12に主走査動作を行わせるとは、例えば、吐出ユニット12が有するインクジェットヘッドに主走査動作を行わせることである。また、主走査動作とは、例えば、予め設定された主走査方向(図中のY方向)へ移動しつつ、インク滴を吐出する動作である。
この主走査駆動部14は、キャリッジ22及びガイドレール24を有している。このうち、キャリッジ22は、造形台16の作業面18と対向させて吐出ユニット12を保持する保持部である。即ち、キャリッジ22は、吐出ユニット12から吐出するインク滴の吐出方向が作業面18へ向かう方向になるように、吐出ユニット12を保持している。主走査動作時において、キャリッジ22は、吐出ユニット12を保持した状態で、ガイドレール24に沿って移動する。ガイドレール24は、キャリッジ22の移動をガイドするレール部材であり、主走査動作時において、制御部20の指示に応じて、キャリッジ22を移動させる。
なお、主走査動作時における吐出ユニット12の移動は、立体物5に対する相対的な移動であってよい。そのため、立体物造形装置10の構成の変形例においては、例えば、吐出ユニット12の位置を固定して、造形台16を移動させることにより、立体物5側を移動させてもよい。
造形台16は、造形中の立体物5を上面の作業面18に載置する載置台である。この造形台16は、上面を上下方向(図中のZ方向)へ移動させる機能を有しており、制御部20の指示に応じて、立体物5の造形の進行に合わせて、上面を移動させる。これにより、造形途中の立体物5における被造形面と、吐出ユニット12との間の距離(ギャップ)を適宜調整することが可能になっている。なお、この場合における立体物5の被造形面とは、吐出ユニット12による次の層が形成される面のことである。また、吐出ユニット12に対して造形台16を上下動させるZ方向への走査は、吐出ユニット12側をZ方向へ移動させることで行ってもよい。
制御部20は、吐出ユニット12や主走査駆動部14の動作を制御する等の立体物造形装置10の各部を制御する制御装置になっており、各種処理を実行するコントローラとして機能するCPU(Central Processing Unit)や、各種情報を記憶するメモリとして機能するRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等を有している。制御部20は、造形すべき立体物5の形状情報や、カラー画像情報等に基づいて立体物造形装置10の各部を制御することにより、立体物5を造形するための動作の制御を行う。
なお、立体物造形装置10は、立体物5の造形や着色等に必要な各種構成をさらに備えてよい。例えば、立体物造形装置10は、吐出ユニット12に副走査動作を行わせる副走査駆動部等を備えてもよい。この場合、副走査動作とは、例えば、造形中の立体物5に対して相対的に、主走査方向と直交する副走査方向(図中のX方向)へ、吐出ユニット12におけるインクジェットヘッドを移動させる動作である。即ち、相対移動部は、吐出ユニット12と作業面18とを副走査方向に相対的に移動させるように構成されていてもよい。この場合における相対移動部である副走査駆動部は、例えば、副走査方向における長さが吐出ユニット12におけるインクジェットヘッドの造形幅よりも長い立体物5を造形する場合等に、必要に応じて吐出ユニット12に副走査動作を行わせる。より具体的には、副走査駆動部は、造形台16を副走査方向へ移動させる駆動部であってもよく、または、吐出ユニット12を保持するキャリッジ22と共にガイドレール24を副走査方向へ移動させる駆動部であってもよい。これらのように、相対移動部は、吐出ユニット12と作業面18とを主走査方向及び副走査方向の少なくとも一方に相対的に移動させるように構成されていればよい。
図3は、吐出ユニットをインク滴の吐出面側から見た説明図である。吐出ユニット12は、複数の有色インク用ヘッド32y、32m、32c、32k(以下、複数の有色インク用ヘッド32y〜kと記載する)、白インク用ヘッド36、クリアインク用ヘッド38、造形材用ヘッド34、サポート材用ヘッド40、複数の紫外線光源44、及び平坦化ローラユニット50を有している。
有色インク用ヘッド32y〜k、白インク用ヘッド36、クリアインク用ヘッド38、及び造形材用ヘッド34は、インクジェット方式で硬化性樹脂の液滴を吐出する吐出手段である吐出ヘッドになっている。これらの有色インク用ヘッド32y〜k、白インク用ヘッド36、クリアインク用ヘッド38、及び造形材用ヘッド34は、紫外線硬化型インクのインク滴を吐出するインクジェットヘッドになっており、副走査方向(X方向)における位置を揃えて、主走査方向(Y方向)へ並んで配設されている。
有色インク用ヘッド32y〜kは、互いに異なる色の着色材として用いられる有色のインクのインク滴をそれぞれ吐出するインクジェットヘッドになっている。この有色インク用ヘッド32y〜kは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の紫外線硬化型インクのインク滴を吐出することが可能になっている。また、白インク用ヘッド36は、白色(W)の紫外線硬化型インクのインク滴を吐出するインクジェットヘッドになっている。着色材は、このように色の異なる複数の着色材料から構成されている。
また、クリアインク用ヘッド38は、紫外線硬化型の透明材であるクリアインクのインク滴を吐出するインクジェットヘッドになっている。このクリアインクとは、透明色(CL)であるクリア色のインクであり、無色透明のインクになっている。このクリアインクは、紫外線硬化型の樹脂を含み、且つ、着色材を含まないインクになっている。
また、造形材用ヘッド34は、立体物5を形成するための流動性を有する造形材として用いる紫外線硬化型インクのインク滴を吐出するインクジェットヘッドになっている。この造形材用ヘッド34は、所定の色の造形用インク(MO)のインク滴を吐出することが可能になっている。造形用インクとしては、例えば、透明材であるクリアインクが用いられる。
また、サポート材用ヘッド40は、サポート6(図2参照)の材料(S)を含むインク滴を吐出するインクジェットヘッドになっている。この場合におけるサポート6の材料としては、立体物5の造形後に水で溶解可能な水溶性の材料を用いることが好ましい。なお、サポート6の材料としては、サポート6用の公知の材料を適宜用いてもよい。また、サポート材用ヘッド40は、有色インク用ヘッド32y〜k、白インク用ヘッド36、クリアインク用ヘッド38、及び造形材用ヘッド34に対し、副走査方向における位置を揃えて、主走査方向へ並んで配設される。
なお、有色インク用ヘッド32y〜k、白インク用ヘッド36、クリアインク用ヘッド38、造形材用ヘッド34、及びサポート材用ヘッド40としては、例えば、公知のインクジェットヘッドを好適に用いることができる。これらのインクジェットヘッドは、造形台16における作業面18(図1参照)と対向する面に、複数のノズルが副走査方向へ並ぶノズル列を有する。この場合、それぞれのインクジェットヘッドにおけるノズル列は、並び方向が同一で、且つ、互いに平行になる。また、主走査動作時において、ノズルが並ぶ方向と直交する主走査方向へ移動しつつ、Z方向へインク滴をそれぞれ吐出する。
複数の紫外線光源44は、紫外線硬化型インクを硬化させる紫外線の光源であり、紫外LED(Light Emitting Diode)、メタルハライドランプ、水銀ランプ等が用いられる。複数の紫外線光源44のそれぞれは、間に有色インク用ヘッド32y〜k、白インク用ヘッド36、クリアインク用ヘッド38、造形材用ヘッド34、及びサポート材用ヘッド40を挟むように、吐出ユニット12における主走査方向の一端側及び他端側のそれぞれに配設される。本実施形態に係る立体物造形装置10では、紫外線光源44としてUV1とUV2とが設けられており、UV1は、主走査方向(Y方向)における吐出ユニット12の一端側に配設されており、UV2は、主走査方向(Y方向)における吐出ユニット12の他端側に配設されている。
平坦化ローラユニット50は、立体物5の造形中に形成される紫外線硬化型インクの層を平坦化するための構成である。この平坦化ローラユニット50は、有色インク用ヘッド32y〜k、白インク用ヘッド36、クリアインク用ヘッド38、造形材用ヘッド34、及びサポート材用ヘッド40の並びと、吐出ユニット12の他端側に配設される紫外線光源44であるUV2との間に配設される。これにより、平坦化ローラユニット50は、有色インク用ヘッド32y〜k、白インク用ヘッド36、クリアインク用ヘッド38、造形材用ヘッド34、及びサポート材用ヘッド40の並びに対して、副走査方向の位置を揃えて、主走査方向へ並べて配設される。この平坦化ローラユニット50は、吐出ユニット12に対して上下方向に移動可能に吐出ユニット12に設けられている。
本実施形態に係る立体物造形装置10は、以上のような構成からなり、以下、その作用について説明する。図4は、立体物の造形に用いる3次元データの説明図である。図5は、3次元データの構成図である。立体物造形装置10によって立体物5を造形する際には、パーソナルコンピュータ等の外部装置(図示省略)から、立体物5を造形するためのデータである3次元データ60を制御部20で取得し、3次元データ60に基づいて制御部20によって吐出ユニット12を制御することにより、造形台16上で立体物5の造形を行う。この立体物5の造形に用いる3次元データ60は、立体物5の形状を特定するための形状データ61と、立体物5の表面の画像を示す表面画像データ62とを含んでいる。また、3次元データ60は、目的とする立体物5をZ方向に多数に分割して多数の層として扱う際におけるデータも含んでいる。このため、3次元データ60は、各層ごとに主走査方向と副走査方向とにおいて、インク滴を吐出すべき位置をインク滴の種類ごとに定めたデータになっている。さらに、表面画像データ62は、原点位置に対する立体物5の表面上の位置の角度情報を有しており、即ち、表面上の位置の色に関するデータと、原点O(図6参照)の位置に対する表面上の位置の角度情報とを有している。なお、この原点Oは、3次元データ60において各位置を特定するための基準として、適宜設定される。
図6は、立体物の鉛直方向の断面図であり、単位層についての説明図である。吐出ユニット12によって立体物5の造形を行う際には、吐出ユニット12が造形台16の作業面18に対して、主走査方向及び副走査方向の少なくとも一方に相対的に移動しながら、このデータに基づいて各インクジェットヘッドのノズルからインク滴を吐出する。これにより、Z方向に単位層71を形成し、各層において吐出したインク滴を硬化させる前に、平坦化ローラユニット50によって各層の平坦化を行うことを繰り返しながら造形をする。即ち、単位層71を形成する単位層形成工程を複数回繰り返し、単位層71を積層することにより、立体物5を造形する。
立体物5を造形するために単位層71を形成する際には、具体的には、制御部20で主走査駆動部14を制御することにより、ガイドレール24に沿ってキャリッジ22を主走査方向(Y方向)に移動させ、吐出ユニット12を主走査方向に移動させながら、吐出ユニット12が有するノズルからインク滴を吐出する。ここで、吐出ユニット12が有する各インクジェットヘッドは、複数のノズルが副走査方向へ並ぶノズル列を有している。このため、吐出ユニット12を移動させながら、造形用のデータで定められている主走査方向の位置で、当該データで定められている副走査方向の位置に位置するノズルからインク滴を吐出することにより、吐出ユニット12は、主走査方向と副走査方向とにおいて、インク滴を吐出すべき位置にインク滴を吐出する。
吐出ユニット12が有するインクジェットヘッドとしては、有色インク用ヘッド32y〜k、白インク用ヘッド36、クリアインク用ヘッド38、造形材用ヘッド34、及びサポート材用ヘッド40が設けられている。このうち、有色インク用ヘッド32y〜kは、立体物5の着色に用いる有色のインク滴を、着色材として吐出する。造形用のデータには、立体物5の着色に関するデータも含まれており、有色インク用ヘッド32y〜kは、このデータに基づいて有色のインク滴を吐出する。
また、造形材用ヘッド34は、立体物5を形成するための基になる造形材として用いるインク滴を吐出する。造形材用ヘッド34は、造形用のデータに基づいて造形材として用いるインク滴を吐出することにより、各層ごとに、それぞれの層における立体物5の形状を形成する。その際に、有色インク用ヘッド32y〜kや、白インク用ヘッド36、クリアインク用ヘッド38から、各色のインク滴を吐出することにより、造形材によって形成される各層を、造形用のデータに基づいた色にして形成する。
また、サポート材用ヘッド40は、立体物5の形状に関わらず、立体物5を高い精度で形成するために、各層において、立体物5を形成する部分以外の部分に、サポート6(図2参照)の材料となるインク滴を吐出する。これにより、立体物5は、各層においてインクが硬化する前でも、このサポート6の材料となるインク滴によって形状が保持される。
制御部20は、吐出ユニット12を主走査方向に移動させながら、3次元データ60に基づいて、各層ごとにこれらのようにインク滴を吐出することにより、単位層71を形成する。このように1つの単位層71を形成したら、造形台16が吐出ユニット12から離れる方向に、1層の厚さ分、造形台16をZ方向に移動させ、直前に形成した単位層71に対してZ方向に重ねるようにして次の単位層71を形成する。また、これらのように形成する単位層71には、紫外線光源44によって紫外線を照射することにより、単位層形成工程において適宜インクを仮硬化させたり本硬化させたりする。立体物造形装置10は、これらを繰り返すことにより、立体の立体物5を造形する。
吐出ユニット12では、これらのようにインクジェットヘッドごとにインク滴を吐出しながら、吐出したインクによって各層を形成するが、インクジェットヘッドに設けられる各ノズルから吐出されるインク滴の量には、僅かな誤差が発生することがある。このため、吐出ユニット12では、各ノズルから吐出するインク滴の量を僅かに多めにして吐出し、本硬化させる前のインクを平坦化ローラユニット50で掻き取ることにより、1層の厚さを所望の厚さにする。
これらのように、立体物造形装置10によって単位層71を積層することにより造形する立体物5は、立体物5の本体を形成するモデル材65と、モデル材65の表面に形成される着色層70と、を有している。即ち、モデル材65と着色層70とは、共に単位層71を積層することにより形成され、モデル材65は、造形用インク(MO)によって形成される単位層71を複数積層することにより形成される。また、着色層70は、複数の有色のインクとクリアインク(CL)とによって形成される単位層71を複数積層することにより形成される。
このうち、着色層70は、立体物5を表面から見た際に所望の色味を実現するために、クリアインクと有色のインクとを任意の順番で、着色層70の厚み方向に積層する。一方、単位層71は、Z方向、即ち、上下方向に積層しながら形成する。このため、着色層70は、多くの位置で、単位層71が積層される方向とは異なる方向に複数の有色のインクとクリアインクとが配置されることにより形成される。換言すると、単位層71は、着色層70の各位置において、着色層70の厚み方向に所望の順番でクリアインクや複数の有色のインクを配置することができるように、クリアインクや複数の有色のインクが水平方向に配置されながら上下方向に積層される。これにより、着色層70は、立体物5を表面から見た際に、着色層70の厚み方向に配置される複数の有色のインクが視覚的に混ざり合い、所望の色味が表現される。
立体物造形装置10で立体物5を造形する際には、着色層70は、着色層形成工程によって形成する。この着色層形成工程では、着色層70を形成する複数の単位層71のうち、少なくとも一部の単位層71を、単位層71を形成する有色のインクの明度及び濃度の少なくとも一方に基づいて着色層70の厚み方向に任意の順で配置して着色層70を形成する。つまり、単位層71を形成するためにクリアインクと共に吐出ユニット12から吐出する有色のインクを、着色層70を立体物5の表面側から見た場合に所望の色味になるように有色のインクの明度及び濃度の少なくとも一方に基づいて着色層70の厚み方向に配置可能な順番で吐出する。
なお、この場合における明度は、色の明るさを表しており、例えば、L表色系におけるLで表される値になっている。また、濃度は、印刷されたインクの表面で反射される光の量になっており、例えば、光学濃度計によって測定される反射絶対濃度、或いは透過濃度になっている。この場合における透過濃度は、いわゆるマクベス濃度計に代表される透過濃度計で測定される透過濃度であり、通常、測定する色によって赤、青、緑等の各種フィルターを介して測定されるが、ここでは白色系の透過濃度を効率良く測定できる青色フィルターを介して測定される透過濃度である。
図7は、有色のインクを配置する際における基準についての説明図である。立体物造形装置10は、着色層70の厚み方向において、立体物5の内側に向かうに従って明度が低い、または濃度が高い有色のインクを配置するようにし、立体物5の外側に向かうに従って明度が高い、または濃度が低い有色のインクを配置するように単位層71を形成する。このため、着色層形成工程では、モデル材65の最表面側に、着色層70を形成する有色のインクにおいて最も明度の低い有色のインクと最も濃度の高い有色のインクとのうち、少なくともいずれか一方に該当する有色のインクが配置されるようにする。着色層70を形成する着色層形成工程では、このような有色のインクを有する単位層71を配置することによって、所望の色味になる着色層70を形成する。
有色のインクとして、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色が用いられる場合には、インクの明度及び濃度の少なくとも一方に基づき、インクを配置する順番の基準を、着色層70の厚さ方向において立体物5の内側から外側に向かってブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順にする。例えば、4色のインクの明度に基づいて順番を決めることにより、4色のインクを配置する基準を、これらの順にする。着色層70を形成する際において、着色層70の厚み方向に複数の異なる有色のインクを配置する際には、他の色のインクとの相対的な位置関係が、これらの関係になるように配置する。
なお、着色層70は、立体物5の表層に設けられるため、着色層70に用いられるインクの順番に関わらず、着色層70の内側には、立体物5の造形するための造形用インク(MO)が位置することになる。また、着色層70に用いられるインクの順番に関わらず、着色層70の最表面側には、クリアインク(CL)が配置されるのが好ましい。
図8は、着色層形成工程の処理手順を示すフロー図である。立体物造形装置10で複数の単位層71を重ねることによって立体物5を造形する際に、立体物5に着色する場合には、クリアインクと、少なくとも1色以上の有色のインクとによって着色層70を形成することにより行う。着色層70を形成することによって立体物5に着色する場合には、まず、着色層形成工程を行う(ステップST11)。この着色層形成工程では、有色のインクの明度及び濃度の少なくとも一方に基づいて、有色のインクを着色層70の厚み方向に任意の順で配置することができるように単位層71を形成することにより、着色層70を形成する。
着色層形成工程は、スライス情報算出工程と、中間調処理工程と、再配置処理工程と、単位層形成工程と、を有している。このため、着色層形成工程を行う際には、まず、スライス情報算出工程を行う(ステップST12)。図9は、スライス情報算出工程で算出する断面スライス情報についての説明図である。スライス情報算出工程は、着色層70を形成するための表面画像データ62の少なくとも一部に対して、セル81ごとの色についての情報を含む断面スライス情報80を複数算出する工程になっている。つまり、立体物造形装置10での立体物5の造形は、複数の単位層71を上下方向に積層することによって行うのに対し、3次元データ60が有する表面画像データ62は、上下方向に積層する単位層71を考慮することなく生成されたデータになっている。このため、スライス情報算出工程では、多数のセル81によって構成される単位層71が上下方向に積層されるデータである断面スライス情報80を、3次元データ60が有する表面画像データ62に基づいて算出する。
この断面スライス情報80は、多数のセル81を有するデータになっており、各セル81の位置が、インクの配置位置についての情報になっていると共に、セル81には、配置するインクの色の情報も含まれている。スライス情報算出工程では、表面画像データ62に基づいて制御部20で断面スライス情報80を算出することにより、単位層71ごとに、単位層71を構成する各セル81の着色情報と、原点位置に対するセル81の位置の角度情報を含むセル81の位置情報とを算出する。
次に、中間調処理工程を行う(ステップST13)。この中間調処理工程では、複数の断面スライス情報80の各層に中間調処理を行う。つまり、断面スライス情報80に対して、例えば、ディザリングを行うことにより、立体物5の造形に使用されるインクを用いて、元の表面画像データ62で示す所望の色を表現できるようにする。このように、中間調処理工程では、表面画像データ62で示す色を表現できるように、制御部20で断面スライス情報80に対して中間調処理を行う。
次に、再配置処理工程を行う(ステップST14)。この再配置処理工程は、中間調処理が行われた少なくとも1以上の断面スライス情報80において、着色層70の厚みt方向に隣接するセル81の位置を、セル81の色情報における明度と濃度とのうち少なくとも一方に基づいて、任意の順に再配置する。つまり、断面スライス情報80は、各セル81がそれぞれ色の情報を有するデータになっているが、再配置処理工程では、断面スライス情報80が有する各セル81のうち、着色層70の厚みt方向に並ぶ複数のセル81の順番を、セル81の色情報に基づいて並べ替える。
図10は、図9のA部詳細図である。図11は、図10に示す断面スライス情報に対して再配置処理を行った後の説明図である。断面スライス情報80のうち、例えば厚みt方向が水平方向になる位置では、水平方向に並ぶセル81同士の色情報を比較し、色情報における明度と濃度とのうち少なくとも一方に基づいて、必要に応じてセル81を並べ替える。つまり、インクを配置する順番の基準が、インクの明度に基づいて立体物5の内側から外側に向かってブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)である場合に、相対的な位置関係が、これ以外の位置関係になっている場合には、該当するセル81の色情報を入れ替える。例えば、着色層70の厚みt方向において、イエロー(Y)がシアン(C)よりも内側に位置していたり、イエロー(Y)がブラック(K)よりも内側に位置していたりする場合には、これらのイエロー(Y)とシアン(C)や、イエロー(Y)とブラック(K)を、それぞれ入れ替える(図11中のハッチングされたセル81と、図10における同じ位置のセル81参照)。なお、このように並べ替えを行う際には、色情報がクリアインク(CL)や白色インク(W)となるセル81については、並べ替えは行わない。また、並べ替えは、インクの明度を優先して行い、明度が同じインク同士では、濃度に基づいて並べ替えを行う。
図12は、図9のB部詳細図である。図13は、図12に示す断面スライス情報に対して再配置処理を行った後の説明図である。また、断面スライス情報80のうち、厚みt方向が水平方向以外の方向になる位置、例えば、厚みt方向が斜め方向になる位置では、当該斜め方向に並ぶセル81同士の色情報を比較し、色情報における明度と濃度とのうち少なくとも一方に基づいて、必要に応じてセル81を並べ替える。即ち、表面画像データ62では、原点Oの位置に対する立体物5の表面上における各位置の角度情報を有しており、この角度情報は、断面スライス情報80においても、原点Oに対するセル81の位置の角度情報として用いられる。
再配置処理工程では、この角度情報に基づいて着色層70の厚みt方向を特定し、特定した厚みt方向に並ぶセル81の色情報を比較する。このように、セル81の色情報を比較することにより、着色層70の厚みt方向における相対的な位置関係が、基準となる順番以外の位置関係になっている場合には、該当するセル81の色情報を入れ替える。例えば、着色層70の厚みt方向において、イエロー(Y)がブラック(K)よりも内側に位置していたり、イエロー(Y)がマゼンタ(M)よりも内側に位置していたりする場合には、これらのイエロー(Y)とブラック(K)や、イエロー(Y)とマゼンタ(M)を、それぞれ入れ替える(図13中のハッチングされたセル81と、図12における同じ位置のセル81参照)。
再配置処理工程でセル81の再配置処理を行ったら、次に、単位層形成工程を行う(ステップST15)。この単位層形成工程では、再配置されたセル81を含む少なくとも1以上の断面スライス情報80に基づき単位層71を形成する。即ち、再配置されたセル81を含む断面スライス情報80に基づいて、作業面18に対して吐出ユニット12を相対的に移動させながら、セル81の色情報に応じたインクを吐出ユニット12のノズルから吐出することにより、水平方向に延びる単位層71を形成する。このようにして単位層71を形成する単位層形成工程を複数繰り返すことで、単位層71を上下方向(Z方向)に積層することにより、着色層70を形成する。
図14は、鋭角部がある立体物の平面図である。図15は、図14のC部詳細図である。本実施形態に係る立体物造形方法では、これらのようにセル81の色情報に基づいて断面スライス情報80のセル81の再配置を行うことにより、立体物5の形状に関わらず、着色層70の厚みt方向に有色のインクを任意の順で配置することができる。例えば、立体物5が有する着色層70の厚みt方向におけるインクの配置の順番が、着色層70の位置に関わらず同じ順番である場合において、当該立体物5に鋭角部分が形成される場合でも、最も表面の色を同じ色にすることができる。
図16は、図15のD−D断面図である。図17は、図15のE−E断面図である。図18は、図15のF−F断面図である。図19は、図15のG−G断面図である。つまり、着色層70におけるインクを配置する順番の基準が、着色層70の厚みt方向において立体物5の内側から外側に向かってブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順番である場合には、鋭角部分の先端は、イエロー(Y)のみによって形成される(図16)。また、鋭角部分の先端付近で、着色層70の厚みt方向における表層の2層目までが形成される位置では、着色層70は、イエロー(Y)とマゼンタ(M)とにより形成される(図17)。同様に、鋭角部分の先端付近で、着色層70の厚みt方向における表層の3層目までが形成される位置では、着色層70は、イエロー(Y)とマゼンタ(M)とシアン(C)とにより形成される(図18)。また、鋭角部分の先端付近で、着色層70はイエロー(Y)とマゼンタ(M)とシアン(C)との三層からなり、モデル材65が含まれる位置では、造形用インク(MO)からなるモデル材65と、このモデル材65を挟む着色層70とにより形成される(図19)。立体物5の鋭角部分付近を、これらのように形成することにより、立体物5に鋭角部分がある場合でも、立体物5の表面、即ち、着色層70の表面から見た色味を、所望の色味で均一化することができる。
以上の実施形態に係る立体物造形方法は、着色層70を形成する単位層71を、有色のインクの明度及び濃度の少なくとも一方に基づいて着色層70の厚みt方向に任意の順で配置することにより単位層71を形成し、着色層70を形成するため、表面の色を実現するためのインクの構成に関わらず、着色層70を意図した色味にすることができる。この結果、所望の色味で着色した立体物5を造形することができる。
また、モデル材65側に最も明度の低い、または濃度の高いインクを配置するため、明度が高かったり濃度が低かったりする他のインクが、明度が低かったり濃度が高かったりするインクによって認識され難くなることを抑制でき、より確実に、着色層70を意図した色味にすることができる。この結果、画像品位の高いカラーの立体物5を造形することができる。
また、中間調処理が行われた断面スライス情報80の厚みt方向の色の並びに対して、再配置処理工程によって、有色のインクを任意の順番に再配置するため、着色層70の厚みt方向における色の順番を、確実に所望の通りにすることができる。この結果、着色層70を、より確実に意図した色味にすることができ、画像品位の高いカラーの立体物5を造形することができる。
また、立体物5の原点Oの位置に対する、立体物5の最表面上の角度情報を基に着色層70の厚みt方向を特定するため、立体物5の曲面や側面に形成された着色層70のセル81であっても、同一の単位層71だけでなく、上下の単位層71も含めてセル81の再配置を行うことができる。この結果、着色層70の角度によって色味が変わることを抑制できる。
また、実施形態に係る立体物造形装置10は、着色層70を形成する単位層71を、有色のインクの明度及び濃度の少なくとも一方に基づいて着色層70の厚みt方向に任意の順で配置することにより単位層71を形成し、着色層70を形成するため、表面の色を実現するためのインクの構成に関わらず、着色層70を意図した色味にすることができる。この結果、所望の色味で着色した立体物5を造形することができる。
〔変形例〕
なお、上述した実施形態に係る立体物造形方法及び立体物造形装置10では、着色材である有色のインクは4色が用いられているが、有色のインクは4色以外であってもよい。図20は、6色の有色インクを用いる場合における配置の基準についての説明図である。着色材として用いる有色のインクは、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の他に、ライトシアン(LC)とライトマゼンタ(LM)とを含む、計6色が用いられてもよい。この場合、これらの6色のインクの明度及び濃度の少なくとも一方に基づき、インクを配置する順番の基準を、着色層70の厚み方向において立体物5の内側から外側に向かってブラック(K)、シアン(C)、ライトシアン(LC)、マゼンタ(M)、ライトマゼンタ(LM)、イエロー(Y)の順にするのが好ましい。これにより、有色のインクが4色以外の場合でも、例えば明度が低い色が着色層70の厚みt方向における内側に配置されることを抑制することができ、着色層70を意図した色味にすることができる。
また、有色のインクを6色にする場合には、インクの配置はこれ以外の順番を基準にしてもよい。図21は、6色のインクを用いる場合における配置の基準のその他の例についての説明図である。有色のインクは、同じ名称の色であっても、明度や濃度が異なることがあるため、実際に使用するインクの明度や濃度に基づいて、インクを配置する際の基準を適宜設定するのが好ましい。なお、このように、インクの順番を設定する場合には、基準を設けて設定してもよく、例えば、着色層70の厚みt方向における最も内側に配置するインクと最も外側に配置するインクとは固定し、それ以外のインクを適宜設定してもよい。即ち、着色層70の厚みt方向におけるいずれかの位置にブラック(K)が配置される際には、最も内側にブラック(K)を配置するようにし、着色層70の厚みt方向におけるいずれかの位置にイエロー(Y)が配置される際には、最も外側にイエロー(Y)を配置するようにし、それ以外のインクの基準となる順番を適宜設定してもよい。
また、インクの配置の基準となる順番を設定する際において、明度が近いインク同士の順番は、ランダムで設定してもよい。図22は、4色のインクを用いる場合において明度が近いインク同士の順番をランダムに設定する場合における説明図である。着色層70を形成するための有色のインクとして、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のインクを用いる場合において、例えば、ブラック(K)とマゼンタ(M)の明度が近く、シアン(C)とイエロー(Y)の明度が近い場合には、これらをそれぞれ組とし、各組の中で順番をランダムに設定してもよい。つまり、ブラック(K)とマゼンタ(M)は、配置位置の順番を適宜入れ替えて設定してもよく、同様にシアン(C)とイエロー(Y)も、配置位置の順番を適宜入れ替えて設定してもよい。
また、これとは反対に、明度が近いインク同士を1つの組としてその配置の順番は固定し、それ以外のインクの配置の順番がランダムになるように設定してもよい。図23は、6色のインクを用いる場合においてKとMを1つの組とし、YとLCとを1つの組として、それ以外のインクの順番をランダムに設定する場合における説明図である。着色層70を形成するための有色のインクとして、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)、ライトマゼンタ(LM)、ライトシアン(LC)の6色が用いられる場合において、例えば、ブラック(K)とマゼンタ(M)の明度が近く、イエロー(Y)とライトシアン(LC)の明度が近い場合には、これらをそれぞれ1つの組とし、これ以外のインクの順番をランダムに設定してもよい。つまり、ブラック(K)とマゼンタ(M)、及びイエロー(Y)とライトシアン(LC)は、順番を固定し、これ以外のインクの順番、即ち、シアン(C)とライトマゼンタ(LM)の順番を、適宜入れ替えてランダムに設定してもよい。
図24は、6色のインクを用いる場合においてKとCを1つの組とし、YとLMとを1つの組として、それ以外のインクの順番をランダムに設定する場合における説明図である。明度が近いインク同士を1つの組としてその配置の順番を固定する際には、他の色のインク同士を、1つの組として設定してもよい。例えば、ブラック(K)とシアン(C)を1つの組とし、イエロー(Y)とライトマゼンタ(LM)を1つの組とし、これ以外のインクの順番をランダムに設定してもよい。つまり、ブラック(K)とシアン(C)、及びイエロー(Y)とライトマゼンタ(LM)は、順番を固定し、これ以外のインクの順番、即ち、マゼンタ(M)とライトシアン(LC)の順番を、適宜入れ替えてランダムに設定してもよい。
また、上述した実施形態に係る立体物造形方法及び立体物造形装置10では、濃度が低い色の視認性を高めるために、そのような色のインクを着色層70の表層寄りの位置に配置するようにしているが、有色のインクを配置する順番は、実施形態に例示した形態以外でもよい。例えば、着色層70の色味を、全体的にシックなカラートーンにする場合には、明度が低かったり、濃度が高かったりするインクが、着色層70の表層側に位置する順番にしてもよい。つまり、有色のインクをこのような順番で配置する場合には、4色のインクと6色のインクを用いる場合でそれぞれ例示した基準となる配置の順番を、着色層70の厚みt方向において反対方向にする。例えば、着色層70に4色のインクを用いる場合には、着色層70の厚みt方向において立体物5の内側から外側に向かってイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順番で配置するようにする。即ち、造形用インク(MO)側にイエロー(Y)が位置し、クリアインク(CL)側にブラック(K)が位置するような順番を、有色のインクを配置する際の基準にしてもよい。これにより、着色層70の色味を、シックなカラートーンにすることができる。
5 立体物
6 サポート
10 立体物造形装置
12 吐出ユニット(吐出部)
14 主走査駆動部(相対移動部)
16 造形台
18 作業面
20 制御部(制御装置)
22 キャリッジ
24 ガイドレール
32y、32m、32c、32k 有色インク用ヘッド
34 造形材用ヘッド
36 白インク用ヘッド
38 クリアインク用ヘッド
40 サポート材用ヘッド
44 紫外線光源
50 平坦化ローラユニット
60 3次元データ
61 形状データ
62 表面画像データ
65 モデル材
70 着色層
71 単位層
80 断面スライス情報
81 セル

Claims (5)

  1. 複数の着色材によって形成される単位層を複数積層して着色層を形成することにより立体物を造形する立体物造形方法であって、
    前記着色層を形成する複数の前記単位層のうち、少なくとも一部の前記単位層を、前記単位層を形成する前記着色材の明度及び濃度の少なくとも一方に基づいて前記着色層の厚み方向に任意の順で配置して前記着色層を形成する着色層形成工程を有することを特徴とする立体物造形方法。
  2. 前記立体物は、前記立体物の本体を形成するモデル材と、前記モデル材の表面に形成される前記着色層と、を有し、
    前記着色層形成工程は、前記モデル材の最表面側に、前記着色層を形成する前記着色材において最も明度の低い前記着色材と最も濃度の高い前記着色材とのうち、少なくともいずれか一方に該当する前記着色材を有する前記単位層を配置して前記着色層を形成する請求項1に記載の立体物造形方法。
  3. 前記着色層形成工程は、
    前記着色層を形成するための表面画像データの少なくとも一部に対して、セルごとの色についての情報を含む断面スライス情報を複数算出するスライス情報算出工程と、
    複数の前記断面スライス情報の各層に中間調処理を行う中間調処理工程と、
    前記中間調処理が行われた少なくとも1以上の前記断面スライス情報において、前記着色層の厚み方向に隣接する前記セルの位置を、前記セルの色情報における明度と濃度とのうち少なくとも一方に基づいて、任意の順に再配置する再配置処理工程と、
    再配置された前記セルを含む少なくとも1以上の前記断面スライス情報に基づき前記単位層を形成する単位層形成工程と、
    を含み、
    前記単位層形成工程を複数繰り返すことで、前記着色層を形成する請求項1または2に記載の立体物造形方法。
  4. 前記表面画像データは、原点位置に対する前記立体物の表面上の位置の角度情報を有しており、
    前記再配置処理工程において、前記角度情報に基づいて前記着色層の厚み方向を特定する請求項3に記載の立体物造形方法。
  5. 立体物の形状を示す3次元データに基づいて、複数の着色材によって形成される単位層を積層して着色層を形成することで前記立体物を造形する立体物造形装置であって、
    前記立体物を造形するための液滴を吐出する複数のノズルを有し、作業面に対して液滴を吐出する吐出部と、
    前記吐出部と前記作業面とを主走査方向及び副走査方向の少なくとも一方に相対的に移動させる相対移動部と、
    前記吐出部と前記相体移動部の動作を制御する制御装置と、
    を備え、
    前記制御装置は、前記吐出部と前記相体移動部とを制御することによって前記単位層を形成すると共に、前記着色層を形成する複数の前記単位層のうち、少なくとも一部の前記単位層を、前記単位層を形成する前記着色材の明度及び濃度の少なくとも一方に基づいて前記着色層の厚み方向に任意の順で配置して前記着色層を形成することを特徴とする立体物造形装置。
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