JP2023110819A - 血液採取容器、血漿の分離方法、細胞外遊離核酸の分離方法及び細胞外小胞の分離方法 - Google Patents

血液採取容器、血漿の分離方法、細胞外遊離核酸の分離方法及び細胞外小胞の分離方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2023110819000001
【課題】検体保存中における血漿への白血球由来DNAの混入を抑えることができる血液採取容器を提供する。
【解決手段】本発明に係る血液採取容器は、血液採取容器本体と、前記血液採取容器本体内に収容された血漿分離材と、前記血液採取容器本体内に収容された水溶液とを備え、前記血漿分離材の25℃での比重が、1.030以上1.060以下であり、前記水溶液が、抗凝固剤を含み、かつ、数平均分子量が2,000以上150,000以下の水溶性高分子化合物又は硫酸アンモニウムを含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、血液採取容器に関する。また、本発明は、上記血液採取容器を用いた血漿の分離方法、細胞外遊離核酸の分離方法及び細胞外小胞の分離方法に関する。
臨床検査において、血液を採取するために採血管等の血液採取容器が広く用いられている。血漿分離材が収容された血液採取容器に血液を採取した後、血液採取容器を遠心分離することで、血液を血漿と血球とに分離することができる。このとき、血漿は血漿分離材よりも上側に位置し、血球は下側に位置する。血漿分離材が収容された血液採取容器としては、樹脂及び無機粉末を含む血漿分離用組成物が収容された血液採取容器(例えば、特許文献1)や、血漿分離用冶具が収容された血液採取容器(例えば、特許文献2)が知られている。
WO2010/053180A1 WO2010/132783A1
血漿分離材が収容された血液採取容器を用いて血液から血漿を分離した場合、分離された血漿中に白血球が混入していることがある。
ところで、分離された血漿は、検査に用いられるまで、凍結させずに一定期間保管される。特許文献1,2に記載のような従来の血液採取容器では、血漿中に混入している白血球が死滅等によって経時的に破壊されて、白血球中のDNAが血漿中に漏れ出ることがある。白血球中のDNAが血漿中に漏れ出ると、検査結果に影響を及ぼすことがある。
例えば、血漿中の細胞外遊離核酸(例えばcell free DNA)を検出する検査では、白血球から漏れ出たDNAによって、検査結果が大きく変動する。
本発明の目的は、検体保存中における血漿への白血球由来DNAの混入を抑えることができる血液採取容器を提供することである。また、本発明は、上記血液採取容器を用いた血漿の分離方法、細胞外遊離核酸の分離方法及び細胞外小胞の分離方法を提供することも目的とする。
本発明の広い局面によれば、血液採取容器本体と、前記血液採取容器本体内に収容された血漿分離材と、前記血液採取容器本体内に収容された水溶液とを備え、前記血漿分離材の25℃での比重が、1.030以上1.060以下であり、前記水溶液が、抗凝固剤を含み、かつ、数平均分子量が2,000以上150,000以下の水溶性高分子化合物又は硫酸アンモニウムを含む、血液採取容器が提供される。
本発明に係る血液採取容器のある特定の局面では、前記水溶液が、前記数平均分子量が2,000以上150,000以下の水溶性高分子化合物を含む。
本発明に係る血液採取容器のある特定の局面では、前記水溶液が、前記硫酸アンモニウムを含む。
本発明に係る血液採取容器のある特定の局面では、前記水溶液が、前記数平均分子量が2,000以上150,000以下の水溶性高分子化合物と、前記硫酸アンモニウムとを含む。
本発明に係る血液採取容器のある特定の局面では、前記数平均分子量が2,000以上150,000以下の水溶性高分子化合物が、デキストラン、ポリエチレングリコール、又はポリビニルピロリドンである。
本発明に係る血液採取容器のある特定の局面では、前記水溶液が、トレハロースをさらに含む。
本発明に係る血液採取容器のある特定の局面では、前記水溶液が、グルコース、アデニン又はイノシトールをさらに含む。
本発明に係る血液採取容器のある特定の局面では、前記血液採取容器は、所定量の血液が採取される血液採取容器であり、血液採取容器に採取される血液の所定量と等量の生理食塩水を血液採取容器内に採取して、前記生理食塩水と前記水溶液とが混合された混合液を得たときに、前記混合液の浸透圧が、300mOsm/L以上である。
本発明に係る血液採取容器のある特定の局面では、前記水溶液が、プロピレングリコールをさらに含む。
本発明に係る血液採取容器のある特定の局面では、前記血漿分離材が、血漿分離用組成物である。
本発明に係る血液採取容器のある特定の局面では、前記血漿分離用組成物が、25℃で流動性を有する有機成分と、無機微粉末とを含み、前記有機成分が、樹脂を含み、前記無機微粉末が、微粉末シリカを含む。
本発明に係る血液採取容器のある特定の局面では、前記微粉末シリカが、親水性シリカを含む。
本発明に係る血液採取容器のある特定の局面では、前記血漿分離用組成物100重量%中、前記親水性シリカの含有量が、0.01重量%以上2.50重量%以下である。
本発明に係る血液採取容器のある特定の局面では、前記微粉末シリカが、親水性シリカと疎水性シリカとを含む。
本発明に係る血液採取容器のある特定の局面では、前記血漿分離用組成物の25℃での比重が1.050以上であり、前記無機微粉末が、前記微粉末シリカよりも比重が大きい無機微粉末を含む。
本発明に係る血液採取容器のある特定の局面では、前記樹脂が、石油樹脂、シクロペンタジエン系樹脂、ポリエステル樹脂又は(メタ)アクリル系樹脂を含む。
本発明に係る血液採取容器のある特定の局面では、前記血液採取容器は、血液中の細胞外遊離核酸又は細胞外小胞を分離するために用いられる。
本発明の広い局面によれば、上述した血液採取容器内に血液を採取する工程と、前記血液が採取された前記血液採取容器を遠心分離する工程とを備える、血漿の分離方法が提供される。
本発明の広い局面によれば、上述した血液採取容器内に血液を採取する工程と、前記血液が採取された前記血液採取容器を遠心分離して、血液から血漿を分離する工程と、分離された前記血漿から、細胞外遊離核酸を分離する工程とを備える、細胞外遊離核酸の分離方法が提供される。
本発明の広い局面によれば、上述した血液採取容器内に血液を採取する工程と、前記血液が採取された前記血液採取容器を遠心分離して、血液から血漿を分離する工程と、分離された前記血漿から、細胞外小胞を分離する工程とを備える、細胞外小胞の分離方法が提供される。
本発明に係る血液採取容器は、血液採取容器本体と、上記血液採取容器本体内に収容された血漿分離材と、上記血液採取容器本体内に収容された水溶液とを備え、上記血漿分離材の25℃での比重が1.030以上1.060以下である。本発明に係る血液採取容器では、上記水溶液が、抗凝固剤を含み、かつ、数平均分子量が2,000以上150,000以下の水溶性高分子化合物又は硫酸アンモニウムを含む。本発明に係る血液採取容器では、上記の構成が備えられているので、検体保存中における血漿への白血球由来DNAの混入を抑えることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る血液採取容器を模式的に示す正面断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る血液採取容器は、血液採取容器本体と、上記血液採取容器本体内に収容された血漿分離材と、上記血液採取容器本体内に収容された水溶液とを備え、上記血漿分離材の25℃での比重が1.030以上1.060以下である。本発明に係る血液採取容器では、上記水溶液が、抗凝固剤を含み、かつ、数平均分子量が2,000以上150,000以下の水溶性高分子化合物又は硫酸アンモニウムを含む。
本発明に係る血液採取容器では、上記の構成が備えられているので、検体保存中における血漿への白血球由来DNAの混入を抑えることができる。
本発明に係る血液採取容器内に血液を採取すると、血液と上記水溶液とが混合される。本発明者らは、上記水溶液に含まれる特定の水溶性高分子化合物又は硫酸アンモニウムにより、分離された血漿中への白血球の混入を抑制できることを見出した。また、上記水溶液中に含まれる特定の水溶性高分子化合物又は硫酸アンモニウムにより、分離された血漿に混入している白血球を安定化させることができることも見出した。そのため、本発明に係る血液採取容器では、白血球の経時的な破壊による白血球からのDNA漏出が効果的に抑えられ、検体保存中における血漿中のDNA量の増加を抑えることができる。また、本発明に係る血液採取容器では、血漿に混入している白血球の経時的な破壊が効果的に抑えられるので、該白血球からの蛋白質等の内容物の漏出も効果的に抑えることができる。
以下、本発明に係る血液採取容器の詳細などを説明する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」と「メタクリル」との一方又は双方を意味する。
(血漿分離材)
上記血液採取容器は、上記血液採取容器本体内に収容された血漿分離材を備える。上記血漿分離材として、従来公知の血漿分離材を用いることができる。上記血漿分離材としては、血漿分離用組成物、及び血漿分離用冶具等が挙げられる。血漿分離材の作製が容易であることから、上記血漿分離材は、上記血漿分離用組成物であることが好ましい。
血液から血漿を良好に分離する観点から、上記血漿分離材の25℃での比重は、1.030以上1.060以下である。
上記血漿分離材の25℃での比重は、好ましくは1.032以上、好ましくは1.055以下、より好ましくは1.050以下である。上記血漿分離材の25℃での比重が上記下限以上及び上記上限以下であると、血液から血漿をより一層良好に分離することができ、また、血漿への白血球及び赤血球の混入をより一層効果的に抑えることができる。
上記血漿分離材の収容箇所は、上記血液採取容器本体内であれば特に限定されない。上記血漿分離材は、上記血液採取容器本体の底部に配置されていてもよく、上記血液採取容器本体の内壁面上に配置されていてもよい。
<血漿分離用組成物>
上記血漿分離用組成物は、遠心分離時に血漿層と血球層との間に移動して隔壁を形成する組成物である。また、上記血漿分離用組成物は、遠心分離後に血漿層と血球層との間の成分移行を防止する目的で用いられる。上記血漿分離用組成物は、チクソトロピー性を有することが好ましい。上記血漿分離用組成物は、上記血液採取容器本体の底部に収容されていてもよく、内壁面上に配置されていてもよい。本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点から、上記血漿分離用組成物は、上記血液採取容器本体の底部に収容されていることが好ましい。
上記血漿分離用組成物として、従来公知の血漿分離用組成物を用いることができる。
上記血漿分離用組成物は、25℃で流動性を有する有機成分と、無機微粉末とを含むことが好ましい。上記25℃で流動性を有する有機成分、及び上記無機微粉末はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
25℃で流動性を有する有機成分:
上記「25℃で流動性を有する」とは、25℃での粘度が500Pa・s以下であることを意味する。
上記有機成分の25℃での粘度は、好ましくは10Pa・s以上、より好ましくは30Pa・s以上、好ましくは200Pa・s以下、より好ましくは100Pa・s以下である。上記粘度が上記下限以上及び上記上限以下であると、血漿分離用組成物の流動性が高められ、遠心分離操作により形成される隔壁の強度を高めることができる。
上記有機成分の25℃での粘度は、E型粘度計(例えば、東機産業社製「TVE-35」)を用いて、25℃及びせん断速度1.0秒-1の条件で測定される。
上記有機成分としては、樹脂、及び樹脂と可塑剤等の有機化合物との混合物等が挙げられる。したがって、上記有機成分は、上記樹脂を含むことが好ましく、上記樹脂と上記有機化合物とを含むことがより好ましい。上記有機成分が、上記樹脂と上記有機化合物との混合物である場合に、該混合物(上記有機成分)として流動性を有していればよく、該樹脂又は該有機化合物が流動性を有していなくてもよい。上記有機成分が、上記樹脂と上記有機化合物との混合物である場合に、該樹脂は、例えば、25℃で固体の樹脂であってもよい。上記樹脂及び上記有機化合物はそれぞれ1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記樹脂としては、石油樹脂、シクロペンタジエン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、シリコーン樹脂、α-オレフィン-フマル酸エステル共重合体、セバシン酸と2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオールと1,2-プロパンジオールとの共重合体、ポリエーテルポリウレタン系樹脂、及びポリエーテルポリエステル系樹脂等が挙げられる。上記樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記樹脂は、石油樹脂、シクロペンタジエン系樹脂、ポリエステル樹脂又は(メタ)アクリル系樹脂を含むことが好ましい。
上記石油樹脂の市販品としては、イーストマンケミカル社製「リガライトS5090」等が挙げられる。
上記シクロペンタジエン系樹脂としては、シクロペンタジエン系モノマーの重合体、シクロペンタジエン系モノマーと芳香族系モノマーとの共重合体、及びジシクロペンタジエン樹脂等が挙げられる。上記シクロペンタジエン系樹脂は、水素添加されていてもよい。上記シクロペンタジエン系モノマーの重合体及び上記シクロペンタジエン系モノマーと芳香族系モノマーとの共重合体は、オリゴマーであってもよい。
上記シクロペンタジエン系モノマーとしては、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、及びシクロペンタジエンのアルキル置換誘導体等が挙げられる。
上記芳香族系モノマーとしては、スチレン、メチルスチレン、インデン、及びメチルインデン等が挙げられる。
上記ジシクロペンタジエン樹脂の市販品としては、コロン社製「スコレッツSU500」及び「スコレッツSU90」等が挙げられる。
上記ポリエステル樹脂としては、ポリアルキレンテレフタレート樹脂、及びポリアルキレンナフタレート樹脂等が挙げられる。上記ポリアルキレンテレフタレート樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリ-1,4-シクロヘキサンジメチレンテレフタレート等が挙げられる。
上記ポリウレタン樹脂としては、ポリオール化合物とイソシアネート化合物との反応物等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル系樹脂としては、少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステル単量体を重合することにより得られる樹脂、及び少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステル単量体と少なくとも1種の該(メタ)アクリル酸エステル単量体以外の単量体とを重合することにより得られる樹脂が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、例えば、炭素数が1以上20以下であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ポリアルキレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、(メタ)アクリル酸フェノキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸イソボルニルエステル、及び(メタ)アクリル酸アルコキシシリルアルキルエステル等が挙げられる。上記(メタ)アクリル酸エステル単量体は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記有機化合物としては、ベンゼンポリカルボン酸アルキルエステル誘導体等が挙げられる。上記有機化合物は、ベンゼンポリカルボン酸アルキルエステル誘導体であることが好ましい。したがって、上記有機成分は、上記樹脂と、上記ベンゼンポリカルボン酸アルキルエステル誘導体との混合物であることが好ましい。
上記ベンゼンポリカルボン酸アルキルエステル誘導体としては、フタル酸エステル、トリメリット酸エステル、及びピロメリット酸エステル等が挙げられる。上記ベンゼンポリカルボン酸アルキルエステル誘導体は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記トリメリット酸エステルとしては、トリメリット酸トリn-オクチル、トリメリット酸トリイソオクチル、及びトリメリット酸トリイソデシル等が挙げられる。
上記ピロメリット酸エステルとしては、ピロメリット酸テトライソオクチル等が挙げられる。
上記トリメリット酸エステルの市販品としては、DIC社製「モノサイザーW700」、及び「モノサイザーW-750」、新日本理化社製「サンソサイザーTOTM」及び「サンソサイザーTITM」等が挙げられる。
上記ピロメリット酸エステルの市販品としては、DIC社製「モノサイザーW-7010」等が挙げられる。
上記ベンゼンポリカルボン酸アルキルエステル誘導体は、フタル酸エステル、トリメリット酸エステル、又はピロメリット酸エステルであることが好ましく、トリメリット酸エステルであることがより好ましい。
上記血漿分離用組成物100重量%中、上記有機成分の含有量は、好ましくは80重量%以上、より好ましくは85重量%以上、更に好ましくは90重量%以上、好ましくは97重量%以下である。
無機微粉末:
上記無機微粉末としては、微粉末シリカ、酸化チタン粉末、炭酸カルシウム粉末、酸化亜鉛粉末、アルミナ粉末、ガラス微粉末、タルク粉末、カオリン粉末、ベントナイト粉末、チタニア粉末、及びジルコニウム粉末等が挙げられる。
血漿分離用組成物の比重とチクソトロピー性との双方を共に好適な範囲に維持する観点からは、上記無機微粉末は、微粉末シリカを含むことが好ましい。25℃での比重が1.050以上である血漿分離用組成物を得る場合には、上記無機微粉末は、微粉末シリカと、微粉末シリカ以外の無機微粉末(第2の無機微粉末)とを含むことがより好ましい。ただし、血漿分離用組成物の25℃での比重が1.050以上である場合であっても、上記無機微粉末は、上記第2の無機微粉末を含んでいなくてもよい。また、血漿分離用組成物の25℃での比重が1.050未満である場合であっても、上記無機微粉末は、上記第2の無機微粉末を含んでいてもよい。上記無機微粉末、上記微粉末シリカ及び上記第2の無機微粉末はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記微粉末シリカとしては、天然シリカ及び合成シリカが挙げられる。合成シリカとしては、親水性シリカ及び疎水性シリカが挙げられる。親水性シリカは、例えば、粒子表面の水酸基同士が水素結合することにより、血漿分離用組成物にチクソトロピー性を付与すると共に、比重を調整する作用を有する。一方、疎水性シリカは、親水性シリカに比べてチクソトロピー性の付与効果は小さい。
血漿分離用組成物の比重とチクソトロピー性との双方を共に好適な範囲に維持する観点からは、上記微粉末シリカは、親水性シリカを含むことが好ましく、親水性シリカと疎水性シリカとを含むことがより好ましい。
上記第2の無機微粉末は、微粉末シリカよりも比重が大きい無機微粉末であることが好ましく、酸化亜鉛粉末、酸化チタン粉末、アルミナ粉末等の比重が3以上である無機微粉末であることがより好ましい。
上記第2の無機微粉末の比重は、好ましくは3以上、より好ましくは3.5以上、更に好ましくは4以上である。上記第2の無機微粉末の比重は大きいほどよい。上記比重が上記下限以上であると、血漿分離用組成物の比重を効果的に大きくすることができる。
上記無機微粉末、上記微粉末シリカ及び上記第2の無機微粉末の平均粒子径は、特に限定されない。上記無機微粉末、上記微粉末シリカ及び上記第2の無機微粉末の平均粒子径は、1nm以上であってもよく、10nm以上であってもよく、500nm以下であってもよく、100nm以下であってもよい。
上記無機微粉末、上記微粉末シリカ及び上記第2の無機微粉末の平均粒子径は、体積基準で測定される平均径であり、50%となるメディアン径(D50)の値である。上記体積平均粒子径(D50)は、レーザー回折・散乱法、画像解析法、コールター法、及び遠心沈降法等により測定可能である。上記体積平均粒子径(D50)は、レーザー回折・散乱法又は画像解析法による測定により求めることが好ましい。
上記微粉末シリカの比表面積は、特に限定されない。上記微粉末シリカの比表面積は、20m/g以上であってもよく、100m/g以上であってもよく、500m/g以下であってもよく、300m/g以下であってもよい。
上記微粉末シリカの比表面積は、BET法により測定される。
上記血漿分離用組成物100重量%中、上記親水性シリカの含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.10重量%以上、更に好ましくは0.30重量%以上、好ましくは2.50重量%以下、より好ましくは2.00重量%以下である。上記親水性シリカの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、血漿分離用組成物の比重とチクソトロピー性との双方をより一層好適な範囲に維持することができる。
上記血漿分離用組成物100重量%中、上記微粉末シリカの含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、好ましくは10重量%以下、より好ましくは7重量%以下である。上記微粉末シリカの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、血漿分離用組成物の比重とチクソトロピー性との双方をより一層好適な範囲に維持することができる。
上記血漿分離用組成物100重量%中、上記第2の無機微粉末の含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、好ましくは10重量%以下、より好ましくは7重量%以下である。上記第2の無機微粉末の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、血漿分離用組成物の比重を効果的に大きくすることができる。
上記血漿分離用組成物100重量%中、上記無機微粉末の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、好ましくは10重量%以下、より好ましくは7重量%以下である。上記無機微粉末の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、血漿分離用組成物の比重を効果的に大きくすることができる。
他の成分:
上記血漿分離用組成物は、本発明の効果を損なわない限り、上述した成分以外の他の成分を含んでいてもよい。上記他の成分としては、有機ゲル化剤、熱可塑性エラストマー、ポリアルキレングリコール、シリコーンオイル、補助溶媒、酸化防止剤、着色剤及び水等が挙げられる。上記他の成分はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記血漿分離用組成物の25℃での比重は、好ましくは1.030以上、より好ましくは1.032以上、好ましくは1.060以下、より好ましくは1.055以下、更に好ましくは1.050以下である。上記血漿分離用組成物の25℃での比重が上記下限以上及び上記上限以下であると、血液から血漿を良好に分離することができ、また、血漿への白血球の混入を効果的に抑えることができる。また、上記血漿分離用組成物の25℃での比重が上記下限以上及び上記上限以下であると、血漿への赤血球の混入も効果的に抑えることができる。但し、上記血漿分離用組成物の25℃での比重は、1.050以上であってもよく、1.050を超えていてもよい。
上記血漿分離用組成物の25℃での比重は、血漿分離用組成物1滴を、比重を0.002の間隔で段階的に調整した25℃の食塩水中に順次滴下し、食塩水中における浮沈により測定される。
上記血漿分離用組成物の25℃での粘度は、好ましくは50Pa・s以上、より好ましくは70Pa・s以上、好ましくは500Pa・s以下、より好ましくは400Pa・s以下である。上記粘度が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮させることができる。
上記血漿分離用組成物の25℃での粘度は、E型粘度計(例えば、東機産業社製「TVE-35」)を用いて、25℃及びせん断速度1.0秒-1の条件で測定される。
<血漿分離用冶具>
上記血漿分離用冶具は、遠心分離時に血漿層と血球層との間に移動して隔壁を形成する冶具である。また、上記血漿分離用冶具は、血漿層と血球層との間の成分移行を防止する目的で用いられる。
上記血漿分離用冶具として、従来公知の血漿分離用冶具を用いることができる。上記血漿分離用冶具としては、例えば、WO2010/132783A1等に記載の機械的セパレータ(血漿分離用冶具)等が挙げられる。
上記血漿分離用冶具の材料としては、例えば、エラストマー等が挙げられる。
(水溶液)
上記血液採取容器は、上記血液採取容器本体内に収容された水溶液を備える。上記水溶液は、抗凝固剤と、水とを含むことが好ましい。上記水溶液は、数平均分子量が2,000以上150,000以下の水溶性高分子化合物(以下、水溶性高分子化合物(X)と記載することがある)又は硫酸アンモニウムを含む。上記水溶液に含まれる溶質は、抗凝固剤を含む。上記水溶液に含まれる溶質は、水溶性高分子化合物(X)又は硫酸アンモニウムを含む。上記水溶液は、水溶性高分子化合物(X)と硫酸アンモニウムとを含んでいてもよい。
<抗凝固剤>
上記水溶液は、抗凝固剤を含む。上記抗凝固剤として、従来公知の抗凝固剤を用いることができる。上記抗凝固剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記抗凝固剤としては、ヘパリン、ヘパリンの金属塩、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、EDTAの金属塩、クエン酸及びクエン酸ナトリウム等が挙げられる。
抗凝固性能を良好に発揮させる観点から、上記抗凝固剤は、EDTA、EDTAの金属塩、ヘパリン、ヘパリンの金属塩又はクエン酸ナトリウムであることが好ましい。
上記水溶液における上記抗凝固剤の濃度は、好ましくは2mM以上、より好ましくは5mM以上、更に好ましくは10mM以上、好ましくは2000mM以下、より好ましくは1000mM以下、より一層好ましくは500mM以下、更に好ましくは250mM以下、更により一層好ましくは100mM以下、特に好ましくは50mM以下である。上記抗凝固剤の濃度が上記下限以上及び上記上限以下であると、抗凝固性能を良好に発揮させることができる。
<数平均分子量が2,000以上150,000以下の水溶性高分子化合物(水溶性高分子化合物(X))>
上記水溶液は、数平均分子量が2,000以上150,000以下(2千以上15万以下)の水溶性高分子化合物(水溶性高分子化合物(X))を含むことが好ましい。水溶性高分子化合物(X)を用いることにより、分離された血漿中への白血球の混入を抑制することができる理由は、水溶性高分子化合物(X)が血液の粘度を良好に保つことで、遠心分離時の白血球の移動がよりスムーズに行われるためであると推察されるが、これに限定されない。また、水溶性高分子化合物(X)を用いることにより、血漿に混入している白血球からのDNAの漏出が抑えられる理由は、水溶性高分子化合物(X)が白血球の細胞膜を効果的に保護することによって、白血球を安定化させるためであると推察されるが、これに限定されない。なお、水溶性高分子化合物(X)における水溶性とは、25℃の水100gに、0.1g以上溶解することを意味する。水溶性高分子化合物(X)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明の効果を発揮させる観点から、水溶性高分子化合物(X)の数平均分子量は2,000以上150,000以下である。
水溶性高分子化合物(X)の数平均分子量は、好ましくは2,500以上、好ましくは120,000以下、より好ましくは100,000以下である。水溶性高分子化合物(X)の数平均分子量が上記下限以上及び上記上限以下であると、分離された血漿中への白血球の混入をより一層抑制することができ、また、白血球をより一層安定化させることができ、本発明の効果をより一層効果的に発揮させることができる。
水溶性高分子化合物(X)の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される標準ポリエチレングリコール換算での数平均分子量である。
水溶性高分子化合物(X)としては、デキストラン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びコーンスターチ等が挙げられる。
水溶性高分子化合物(X)は、デキストラン、ポリエチレングリコール、又はポリビニルピロリドンであることが好ましい。この場合には、白血球をより一層安定化させることができ、本発明の効果をより一層効果的に発揮させることができる。
上記水溶液100重量%中、水溶性高分子化合物(X)の各含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、更に好ましくは1重量%以上、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは7重量%以下である。水溶性高分子化合物(X)の各含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、白血球をより一層安定化させることができ、本発明の効果をより一層効果的に発揮させることができる。また、水溶性高分子化合物(X)の各含有量が上記下限以上であると、採取した血液と上記水溶液とが混合された混合液の浸透圧を効果的に大きくすることができるので、血漿への白血球の混入量をより一層少なくすることができる。なお、上記「水溶性高分子化合物(X)の各含有量」とは、上記水溶液が1種類の水溶性高分子化合物(X)を含む場合に、該水溶性高分子化合物(X)の含有量を意味し、上記水溶液が2種類以上の水溶性高分子化合物(X)を含む場合に、水溶性高分子化合物(X)それぞれの含有量を意味する。
上記水溶液100重量%中、水溶性高分子化合物(X)の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、更に好ましくは1重量%以上、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、更に好ましくは10重量%以下である。水溶性高分子化合物(X)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、白血球をより一層安定化させることができ、本発明の効果をより一層効果的に発揮させることができる。また、水溶性高分子化合物(X)の含有量が上記下限以上であると、採取した血液と上記水溶液とが混合された混合液の浸透圧を効果的に大きくすることができるので、血漿への白血球の混入量をより一層少なくすることができる。
<硫酸アンモニウム>
上記水溶液は、硫酸アンモニウムを含むことが好ましい。本発明者らは、硫酸アンモニウムを用いることにより、分離された血漿中への白血球の混入をより一層抑制することができ、また、血漿に混入している白血球からのDNAの漏出が抑えられることを見出した。なお、上記水溶液が水溶性高分子化合物(X)と硫酸アンモニウムとを含む場合には、本発明の効果がより一層効果的に発揮される。
上記水溶液100重量%中、硫酸アンモニウムの含有量は、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、更に好ましくは4重量%以上、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、更に好ましくは10重量%以下である。上記硫酸アンモニウムの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、分離された血漿中への白血球の混入をより一層抑制することができ、また、白血球をより一層安定化させることができ、本発明の効果をより一層効果的に発揮させることができる。また、上記硫酸アンモニウムの含有量が上記下限以上であると、採取した血液と上記水溶液とが混合された混合液の浸透圧を効果的に大きくすることができるので、血漿への白血球の混入量をより一層少なくすることができる。
<トレハロース>
本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記水溶液は、トレハロースを含むことが好ましい。上記水溶液に含まれる溶質は、トレハロースを含むことが好ましい。トレハロースを用いることにより、白血球の細胞膜が効果的に保護され、白血球を安定化させることができ、その結果、血漿に混入している白血球からのDNAの漏出をより一層抑えることができる。
上記水溶液100重量%中、トレハロースの含有量は、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、更に好ましくは2重量%以上、好ましくは10重量%以下、より好ましくは7重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。上記トレハロースの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、白血球をより一層安定化させることができ、本発明の効果をより一層効果的に発揮させることができる。また、上記トレハロースの含有量が上記下限以上であると、採取した血液と上記水溶液とが混合された混合液の浸透圧を効果的に大きくすることができるので、血漿への白血球の混入量をより一層少なくすることができる。
<グルコース、アデニン、イノシトール>
本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記水溶液は、グルコース、アデニン又はイノシトールを含むことが好ましい。上記水溶液に含まれる溶質は、グルコース、アデニン又はイノシトールを含むことが好ましい。この場合に、上記水溶液は、グルコース、アデニン及びイノシトールの内の1種のみを含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。これらの化合物を用いることにより、白血球へ栄養源が供給されるので、白血球の生存率を高めることができ、その結果、血漿に混入している白血球からのDNAの漏出をより一層抑えることができる。
上記水溶液がグルコースを含む場合に、上記水溶液100重量%中、グルコースの含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.3重量%以上、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。上記グルコースの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮させることができる。また、上記グルコースの含有量が上記下限以上であると、採取した血液と上記水溶液とが混合された混合液の浸透圧を効果的に大きくすることができるので、血漿への白血球の混入量をより一層少なくすることができる。
上記水溶液がアデニンを含む場合に、上記水溶液100重量%中、アデニンの含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。上記アデニンの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮させることができる。また、上記アデニンの含有量が上記下限以上であると、採取した血液と上記水溶液とが混合された混合液の浸透圧を効果的に大きくすることができるので、血漿への白血球の混入量をより一層少なくすることができる。
上記水溶液がイノシトールを含む場合に、上記水溶液100重量%中、イノシトールの含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。上記イノシトールの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮させることができる。また、上記イノシトールの含有量が上記下限以上であると、採取した血液と上記水溶液とが混合された混合液の浸透圧を効果的に大きくすることができるので、血漿への白血球の混入量をより一層少なくすることができる。
<プロピレングリコール>
本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記水溶液は、プロピレングリコールを含むことが好ましい。上記水溶液に含まれる溶質は、プロピレングリコールを含むことが好ましい。
上記水溶液100重量%中、プロピレングリコールの含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。
<他の成分>
上記水溶液は、上述した成分(抗凝固剤、水溶性高分子化合物(X)、硫酸アンモニウム、トレハロース、グルコース、アデニン、イノシトール及びプロピレングリコール)以外の他の成分を含んでいてもよい。
上記他の成分としては、無機塩、糖類、及び糖アルコール等が挙げられる。上記他の成分は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記無機塩としては、塩化ナトリウム及びリン酸水素ナトリウム等のナトリウム塩、並びに、塩化カリウム及び炭酸水素カリウム等のカリウム塩等が挙げられる。
上記糖類としては、ジヒドロキシアセトン、フルクトース、ガラクトース、スクロース、マルトース、ラクツロース、及び水溶性高分子化合物(X)に相当しない多糖類等が挙げられる。
上記糖アルコールとしては、D-マンニトール及びD-ソルビトール等が挙げられる。
上記血液採取容器本体内に収容されている水溶液の量は、血液採取容器本体のサイズ、及び採取される血液量等により適宜変更される。上記血液採取容器本体内に収容されている水溶液の量は、好ましくは0.1mL以上、より好ましくは0.5mL以上、更に好ましくは0.7mL以上、好ましくは5mL以下、より好ましくは3mL以下、更に好ましくは2.5mL以下である。上記水溶液の量が上記下限以上及び上記上限以下であると、血液が過度に希釈されることなく、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
(血液採取容器本体)
上記血液採取容器本体の形状としては、特に限定されない。上記血液採取容器本体は、有底の管状容器であることが好ましい。
上記血液採取容器本体の素材は特に限定されない。上記血液採取容器本体の素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル等の熱可塑性樹脂;不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ-アクリレート樹脂等の熱硬化性樹脂;酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、エチルセルロース、エチルキチン等の変性天然樹脂;ソーダ石灰ガラス、リンケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス等のケイ酸塩ガラス、石英ガラス等のガラスが挙げられる。上記血液採取容器本体の素材は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
(栓体)
上記血液採取容器は、栓体を備えることが好ましい。上記栓体として、従来公知の栓体を用いることができる。上記栓体は、血液採取容器本体の開口に、気密的かつ液密的に取付けることが可能な素材、形状からなる栓体であることが好ましい。上記栓体は、採血針が刺通され得るように構成されていることが好ましい。
上記栓体としては、血液採取容器本体の開口に嵌合する形状を有する栓体、シート状のシール栓体等が挙げられる。
また、上記栓体は、ゴム栓等の栓本体と、プラスチック等で構成されたキャップ部材とを備える栓体であってもよい。この場合には、血液採取後に、血液採取容器本体の開口から栓体を引き抜く際に、血液が人体と接触するリスクを抑えることができる。
上記栓体(又は上記栓本体)の材料としては、例えば、合成樹脂、エラストマー、ゴム、金属箔等が挙げられる。上記ゴムとしては、ブチルゴム、及びハロゲン化ブチルゴム等が挙げられる。上記金属箔としては、アルミニウム箔等が挙げられる。密封性を高める観点からは、上記栓体の材料は、ブチルゴムであることが好ましい。上記栓体(又は上記栓本体)は、ブチルゴム栓であることが好ましい。
(血液採取容器の他の詳細)
上記血液採取容器は、所定量の血液が採取される血液採取容器である。上記血液の上記所定量は、血液採取容器のサイズ及び内圧等により適宜変更される。上記血液の上記所定量は、1mL以上であってもよく、2mL以上であってもよく、4mL以上であってもよく、12mL以下であってもよく、11mL以下であってもよく、10mL以下であってもよい。
上記血液採取容器に採取される血液の所定量と等量の生理食塩水を上記血液採取容器内に採取して、上記生理食塩水と上記水溶液とが混合された混合液を得る。例えば、5mLの血液が採取される血液採取容器では、5mLの生理食塩水を該血液採取容器内に採取して、転倒混和するなどして、上記生理食塩水と上記水溶液とを混合し、混合液を得る。上記生理食塩水と上記水溶液とが混合された上記混合液の浸透圧は、好ましくは300mOsm/L以上、より好ましくは330mOsm/L以上、更に好ましくは350mOsm/L以上、好ましくは1300mOsm/L以下、より好ましくは1000mOsm/L以下、更に好ましくは800mOsm/L以下である。上記混合液の浸透圧が上記下限以上であると、血液採取容器内に血液を採取したときに、血液と上記水溶液とが混合されて、血液の浸透圧が大きくなる。そのため、白血球内の水分及び赤血球内の水分が血球外へ移動し、白血球及び赤血球の比重が大きくなる。比重が大きくなった白血球及び赤血球は、血液採取容器を遠心分離することにより、血漿分離材よりも下方に良好に移動する。その結果、血漿中への白血球及び赤血球の混入を効果的に抑えることができる。また、上記混合液の浸透圧が上記下限以上及び上記上限以下であると、白血球への過度なストレスが抑えられ、白血球をより一層安定化させることができるので、本発明の効果をより一層効果的に発揮させることができる。
上記混合液の浸透圧は、浸透圧計(例えば、アークレイ社製「OM-6060」)を用いて、氷点降下法により測定される。
上記血液採取容器では、収容されている上記水溶液1mLに対して、血液が3mL以上採取されることが好ましく、4mL以上採取されることがより好ましく、11mL以下採取されることが好ましく、10mL以下採取されることがより好ましい。この場合には、血液が過度に希釈されることなく、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
上記血液採取容器は、採血管であることが好ましい。上記血液採取容器本体は、採血管本体であることが好ましい。
上記血液採取容器は、血液から血漿を分離するために用いられることが好ましい。また、上記血液採取容器は、血液中の細胞外遊離核酸又は細胞外小胞を分離するために用いられることが好ましく、血液中の細胞外遊離核酸又は細胞外小胞を単離するために用いられることが好ましい。
上記血液採取容器は、例えば、以下のようにして製造することができる。
抗凝固剤と、水溶性高分子化合物(X)又は硫酸アンモニウムとを水に溶解して水溶液を得る。なお、必要に応じてこれら以外の成分(トレハロース、グルコース、アデニン、イノシトール、プロピレングリコール又は上記他の成分等)も水に溶解して水溶液を得る。得られた水溶液を血液採取容器本体内に添加する。水溶液を添加する前又は添加した後に、血液採取容器本体内に血漿分離材を収容する。
図1は、本発明の一実施形態に係る血液採取容器を模式的に示す正面断面図である。
図1に示す血液採取容器1は、血液採取容器本体2と、血漿分離用組成物3と、水溶液4と、栓体5とを備える。血液採取容器本体2は、一端に開口を有し、他端に閉じられている底部を有する。血漿分離用組成物3は、血液採取容器本体2の底部に収容されている。水溶液4は、抗凝固剤を含み、かつ、水溶性高分子化合物(X)又は硫酸アンモニウムを含む。栓体5は、血液採取容器本体2の開口に挿入されている。
水溶液4は、血漿分離用組成物3の表面上に配置されており、より具体的には、血漿分離用組成物3の上面(一端側の表面)に配置されている。水溶液4は、血液採取容器1を正立状態としたときに、血漿分離用組成物3の表面上に配置されている。
本発明に係る血液採取容器では、上記血漿分離用組成物が上記血液採取容器本体の側壁面上に配置されており、かつ上記水溶液が、血液採取容器を正立状態としたときに、血液採取容器本体の底部に配置されていてもよい。また、上記血漿分離用組成物の代わりに上記血漿分離用冶具が用いられてもよい。
上記血液採取容器の内圧は特に限定されない。上記血液採取容器は、内部が排気された上で、上記栓体によって密閉された真空採血管として用いることもできる。真空採血管である場合、採血者の技術差によらず一定量の血液採取を簡便に行うことができる。
細菌感染を防止する観点から、血液採取容器の内部はISO又はJISの基準に則って滅菌されていることが好ましい。
(血漿の分離方法)
上記血液採取容器を用いて、血液から血漿を分離することができる。本発明に係る血漿の分離方法は、上述した血液採取容器内に血液を採取する工程と、上記血液が採取された上記血液採取容器を遠心分離する工程とを備える。
本発明に係る血漿の分離方法では、上記血液を採取する工程と上記遠心分離する工程との間に、採取された血液と、上記水溶液とを混合する工程を備えることが好ましい。採取された血液と上記水溶液とを混合する方法としては、転倒混和等が挙げられる。
上記遠心分離する工程における遠心分離条件は、上記血漿分離材により隔壁を形成させて、血漿と血球とを分離させることができる限り、特に限定されない。上記遠心分離条件としては、例えば、400G以上4000G以下で10分間以上120分間以下で遠心分離する条件等が挙げられる。
(細胞外遊離核酸の分離方法及び細胞外小胞の分離方法)
本発明に係る細胞外遊離核酸の分離方法は、上述した血液採取容器内に血液を採取する工程と、上記血液が採取された上記血液採取容器を遠心分離して、血液から血漿を分離する工程と、分離された上記血漿から、細胞外遊離核酸を分離する工程とを備える。
本発明に係る細胞外小胞の分離方法は、上述した血液採取容器内に血液を採取する工程と、上記血液が採取された上記血液採取容器を遠心分離して、血液から血漿を分離する工程と、分離された上記血漿から、細胞外小胞を分離する工程とを備える。
本発明に係る細胞外遊離核酸の分離方法及び細胞外小胞の分離方法では、上記血液を採取する工程と上記遠心分離する工程との間に、採取された血液と、上記水溶液とを混合する工程を備えることが好ましい。採取された血液と上記水溶液とを混合する方法としては、転倒混和等が挙げられる。
上記遠心分離する工程における遠心分離条件は、上記血漿分離材により隔壁を形成させて、血漿と血球とを分離させることができる限り、特に限定されない。上記遠心分離条件としては、例えば、400G以上4000G以下で10分間以上120分間以下で遠心分離する条件等が挙げられる。
上記細胞外遊離核酸を分離する工程では、従来公知の方法を用いて、血漿から細胞外遊離核酸を分離することができる。上記細胞外遊離核酸としては、cell free DNA(cfDNA)、cell free RNA(cfRNA)等が挙げられる。上記血漿から細胞外遊離核酸を分離する方法としては、市販の核酸精製キットを用いる方法等が挙げられる。市販の核酸精製キットを用いることで、血漿から細胞外遊離核酸を簡便に分離することができる。核酸精製キットの市販品としては、QIAamp Circulating Nucleic Acid Kit(QIAGEN社製)、QIAamp MinElute ccfDNA Kits(QIAGEN社製)及びMagMAX Cell-Free DNA Isolation Kit(Applied biosystems社製)等が挙げられる。
上記細胞外小胞を分離する工程では、従来公知の方法を用いて、血漿から細胞外小胞を分離することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明は以下の実施例のみに限定されない。
血漿分離用組成物の材料として、以下を用意した。
(25℃で流動性を有する有機成分の材料)
(メタ)アクリル系樹脂:
アクリル酸-2-エチルヘキシルとアクリル酸ブチルとをアゾ系重合開始剤の存在下で溶液重合法によりラジカル重合させ、25℃で流動性を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体を得た。
その他の樹脂:
石油樹脂(イーストマンケミカル社製「リガライトS5090」)
ジシクロペンタジエン樹脂1(コロン社製「スコレッツSU500」)
ジシクロペンタジエン樹脂2(コロン社製「スコレッツSU90」)
有機化合物:
トリメリット酸エステル(ベンゼンポリカルボン酸アルキルエステル誘導体、DIC社製「モノサイザーW700」)
(無機微粉末)
親水性シリカ(微粉末シリカ、日本アエロジル社製「200CF」)
疎水性シリカ(微粉末シリカ、日本アエロジル社製「R974」)
酸化チタン粉末(石原産業社製「A-100」)
(その他の成分)
シリコーンオイル(東レダウコーニング社製「SF8410」)
有機ゲル化剤(新日本理化社製「ゲルオールD」)
1-メチル-2-ピロリドン(補助溶媒)
血漿分離用組成物A,Bの作製:
表1に記載の配合割合で、25℃で流動性を有する有機成分と無機微粉末とその他の成分とを混合し、血漿分離用組成物A,Bを作製した。
血漿分離用組成物Cの作製:
表1に記載の25℃で流動性を有する有機成分の材料を配合し、130℃で加熱溶解し、混合して、25℃で流動性を有する有機成分を作製した。次いで、表1に記載の配合割合で、25℃で流動性を有する有機成分と無機微粉末とその他の成分とを混合し、血漿分離用組成物Cを作製した。
Figure 2023110819000002
得られた血漿分離用組成物1滴を、比重を0.002の間隔で段階的に調整した25℃の食塩水中に順次滴下し、食塩水中における浮沈により比重を測定した。得られた血漿分離用組成物の25℃での比重は表2~4に示した。
水溶液の溶質として、以下を用意した。
(抗凝固剤)
エチレンジアミン四酢酸二カリウム二水和物(EDTA2K・2HO)
(水溶性高分子化合物(X))
デキストラン(数平均分子量:70,000)
ポリエチレングリコール(数平均分子量:3,000)
ポリビニルピロリドン(数平均分子量:10,000)
(水溶性高分子化合物(X)に相当しない水溶性高分子化合物)
デキストラン(数平均分子量:200,000)
ポリエチレングリコール(数平均分子量:500,000)
硫酸アンモニウム
トレハロース
グルコース
アデニン
myo-イノシトール
プロピレングリコール
(他の成分)
塩化ナトリウム(浸透圧調整剤)
血液採取容器本体として、以下を用意した。
長さ100mm、開口部の内径14mmのPET有底管(ポリエチレンテレフタレート管)
(実施例1)
表2に示す成分を水に溶解して水溶液を得た。得られた水溶液の成分の種類及び濃度を表2に示す。
1.2gの血漿分離用組成物Aを、血液採取容器本体の底部に収容した。また、得られた水溶液1mLを血漿分離用組成物Aの表面上に添加した。血液採取容器内部を、血液採取量が8mLとなるように減圧し、ブチルゴム栓により密封した。このようにして血液採取容器を作製した。
(実施例2~9及び比較例2,3)
血漿分離用組成物の種類、及び水溶液の組成を表2~4のように変更した。これら以外は、実施例1と同様にして、血液採取容器を作製した。
(比較例1)
抗凝固剤24重量部を、水76重量部に溶解して、混合液を得た。1.2gの血漿分離用組成物Aを、血液採取容器本体の底部に収容した。また、得られた混合液60mgを、血液採取容器本体の内壁面に塗布し、乾燥させた。血液採取容器内部を、血液採取量が8mLとなるように減圧し、ブチルゴム栓により密封した。このようにして血液採取容器を作製した。
(評価)
(1)混合液の浸透圧
得られた血液採取容器に生理食塩水8mLを採取した。生理食塩水を採取した後、転倒混和して、生理食塩水と血液採取容器内に収容された水溶液(実施例1~9及び比較例2,3)又は水溶成分(比較例1)とを混合し、混合液を得た。得られた混合液の浸透圧を、浸透圧計(アークレイ社製「OM-6060」)を用いて、氷点降下法により測定した。
(2)白血球の残存量
3名の血液を用意し、それぞれについて以下の操作を行った。血液採取容器を各1本用意し、それぞれに血液8mLを採取した。血液を採取した後、転倒混和して、血液と血液採取容器内に収容された水溶液(実施例1~9及び比較例2,3)又は水溶成分(比較例1)とを混合した。次いで、血液採取容器を1500Gで15分間遠心分離した。遠心分離後、血漿分離用組成物により形成された隔壁よりも上方に血漿が位置していた。上記隔壁よりも上方に位置する血漿をピペッティングにより撹拌し、該隔壁上に堆積して残存した血球を懸濁してから、血漿を回収した。多項目自動血球分析装置(シスメックス社製「XE5000」)を用いて、回収した血漿を分析することにより、血漿中の白血球数を測定した。また、用意した血液(全血サンプル)についても、同様にして、全血サンプル中の白血球数を測定した。なお、上記白血球数は、用意した3名の血液で評価して得られた結果の平均値である。下記式により、白血球の残存率を算出した。
白血球の残存率(%)=(分離した血漿中に含まれる白血球の数(cells))/(全血サンプルに含まれる白血球の数(cells))×100
<白血球の残存量の判定基準>
〇:白血球の残存率が10%未満
×:白血球の残存率が10%以上
(3)cfDNAの回収量
3名の血液を用意し、それぞれについて以下の操作を行った。血液採取容器を各2本用意し、それぞれに血液8mLを採取した。血液を採取した後、転倒混和して、血液と血液採取容器内に収容された水溶液(実施例1~9及び比較例2,3)又は水溶成分(比較例1)とを混合した。次いで、血液採取容器を1500Gで15分間遠心分離した。遠心分離後、血漿分離用組成物により形成された隔壁よりも上方に血漿が位置していた。
血漿分離後の血液採取容器2本のうちの1本については、血液を採取した当日に血液採取容器から血漿を回収した。また、血漿分離後の血液採取容器2本のうちの残りの1本については、血漿が分離された状態の血液採取容器を室温(25℃)で7日間保管した後、血液採取容器から血漿を回収した。
cfDNA精製キット(QIAGEN社製「QIAamp Circulating Nucleic Acid Kit」)を用いて、回収した血漿に含まれるDNAを精製した。なお、DNAの精製操作は、血液採取容器から血漿を回収した日に実施した。
精製後の抽出液中のDNA濃度を、Qubit dsDNA HS Assay kit(Invitrogen社製)を用いて測定した。次いで、以下の式に従い、cfDNA濃度(血漿1mLあたりに含まれるcfDNAの含量)を算出した。
cfDNA濃度(ng/血漿1mL)=[A]×[B]/[C]
[A]:精製後の抽出液中のDNA濃度の測定値(ng/mL)
[B]:精製後の抽出液の全用量(mL)
[C]:DNA精製に使用した血漿の用量(mL)
血液採取当日の血漿から回収したcfDNAの濃度の平均値を「cfDNA濃度(採取当日)」とし、7日間保管後の血漿から回収したcfDNAの濃度の平均値を「cfDNA濃度(7日保管)」とした。また、cfDNA濃度(7日保管)とcfDNA濃度(採取当日)との差を「cfDNA濃度の増加量」とした。なお、上記cfDNAの濃度の平均値とは、3名の血液を用いた結果の平均値である。
cfDNAの回収量を以下の基準で判定した。なお、保管中に、血漿に混入している白血球が破壊されるほどcfDNA濃度の増加量が大きくなる。したがって、cfDNA濃度の増加量が小さいほど、血漿に混入している白血球からのDNAの漏出が抑えられており、検体保存中における血漿への白血球由来DNAの混入が抑えられている。
<cfDNAの回収量の判定基準>
〇〇:cfDNA濃度の増加量が10ng/血漿1mL未満である
○:cfDNA濃度の増加量が10ng/血漿1mL以上70ng/血漿1mL未満である
×:cfDNA濃度の増加量が70ng/血漿1mL以上である
構成及び結果を下記の表2~4に示す。なお、表中、抗凝固剤の濃度は、EDTA2K・2HOの濃度ではなく、EDTA2Kの濃度を意味する。
Figure 2023110819000003
Figure 2023110819000004
Figure 2023110819000005
1…血液採取容器
2…血液採取容器本体
3…血漿分離用組成物
4…水溶液
5…栓体

Claims (19)

  1. 血液採取容器本体と、
    前記血液採取容器本体内に収容された血漿分離材と、
    前記血液採取容器本体内に収容された水溶液とを備え、
    前記血漿分離材の25℃での比重が、1.030以上1.060以下であり、
    前記水溶液が、抗凝固剤を含み、かつ、数平均分子量が2,000以上150,000以下の水溶性高分子化合物又は硫酸アンモニウムを含む、血液採取容器。
  2. 前記水溶液が、前記数平均分子量が2,000以上150,000以下の水溶性高分子化合物を含む、請求項1に記載の血液採取容器。
  3. 前記水溶液が、前記硫酸アンモニウムを含む、請求項1又は2に記載の血液採取容器。
  4. 前記水溶液が、前記数平均分子量が2,000以上150,000以下の水溶性高分子化合物と、前記硫酸アンモニウムとを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の血液採取容器。
  5. 前記数平均分子量が2,000以上150,000以下の水溶性高分子化合物が、デキストラン、ポリエチレングリコール、又はポリビニルピロリドンである、請求項1~4のいずれか1項に記載の血液採取容器。
  6. 前記水溶液が、トレハロースをさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の血液採取容器。
  7. 前記水溶液が、グルコース、アデニン又はイノシトールをさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の血液採取容器。
  8. 所定量の血液が採取される血液採取容器であり、
    血液採取容器に採取される血液の所定量と等量の生理食塩水を血液採取容器内に採取して、前記生理食塩水と前記水溶液とが混合された混合液を得たときに、前記混合液の浸透圧が、300mOsm/L以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載の血液採取容器。
  9. 前記水溶液が、プロピレングリコールをさらに含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の血液採取容器。
  10. 前記血漿分離材が、血漿分離用組成物である、請求項1~9のいずれか1項に記載の血液採取容器。
  11. 前記血漿分離用組成物が、25℃で流動性を有する有機成分と、無機微粉末とを含み、 前記有機成分が、樹脂を含み、
    前記無機微粉末が、微粉末シリカを含む、請求項10に記載の血液採取容器。
  12. 前記微粉末シリカが、親水性シリカを含む、請求項11に記載の血液採取容器。
  13. 前記血漿分離用組成物100重量%中、前記親水性シリカの含有量が、0.01重量%以上2.50重量%以下である、請求項12に記載の血液採取容器。
  14. 前記微粉末シリカが、親水性シリカと疎水性シリカとを含む、請求項11~13のいずれか1項に記載の血液採取容器。
  15. 前記血漿分離用組成物の25℃での比重が1.050以上であり、
    前記無機微粉末が、前記微粉末シリカよりも比重が大きい無機微粉末を含む、請求項11~14のいずれか1項に記載の血液採取容器。
  16. 血液中の細胞外遊離核酸又は細胞外小胞を分離するために用いられる、請求項1~15のいずれか1項に記載の血液採取容器。
  17. 請求項1~15のいずれか1項に記載の血液採取容器内に血液を採取する工程と、
    前記血液が採取された前記血液採取容器を遠心分離する工程とを備える、血漿の分離方法。
  18. 請求項1~16のいずれか1項に記載の血液採取容器内に血液を採取する工程と、
    前記血液が採取された前記血液採取容器を遠心分離して、血液から血漿を分離する工程と、
    分離された前記血漿から、細胞外遊離核酸を分離する工程とを備える、細胞外遊離核酸の分離方法。
  19. 請求項1~16のいずれか1項に記載の血液採取容器内に血液を採取する工程と、
    前記血液が採取された前記血液採取容器を遠心分離して、血液から血漿を分離する工程と、
    分離された前記血漿から、細胞外小胞を分離する工程とを備える、細胞外小胞の分離方法。
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