JP2023108838A - 負極、二次電池、電池パック、車両、及び二次電池の充電方法 - Google Patents

負極、二次電池、電池パック、車両、及び二次電池の充電方法 Download PDF

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Mitsuru Ishibashi
文 張
Mun Chang
義彦 中野
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圭吾 保科
Keigo Hoshina
康宏 原田
Yasuhiro Harada
則雄 高見
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Abstract

【課題】高容量であり且つサイクル寿命特性に優れた負極を提供すること。【解決手段】実施形態によると、負極が提供される。負極は、集電体と、集電体に担持され、複数の活物質粒子、導電剤、バインダ及びセルロース繊維を含む活物質含有層とを備える。セルロース繊維の平均繊維直径は1nm以上80nm以下の範囲内にある。負極の満充電時における活物質含有層は繊維状物質を含む。活物質含有層の断面を走査型電子顕微鏡により2万倍の倍率で観察して得られる画像において、画像の視野内に存在する複数の活物質粒子の総数TNに対する、視野内の他の活物質粒子に対して繊維状物質によって接続されている活物質粒子の数LNの割合Pは、50%以上である。【選択図】 図3

Description

本発明の実施形態は、負極、二次電池、電池パック、車両、及び二次電池の充電方法に関する。
近年、負極活物質として、チタン酸リチウム(LiTi12)などのチタン含有酸化物が注目されている。チタン含有酸化物は、従来の負極活物質である黒鉛等の炭素材料と比較して、安全性及びサイクル性能に優れる。しかしながら、チタン酸リチウムは、電極のエネルギー密度を高めにくい。そこで、チタン酸リチウムよりも高容量で、かつ、出力性能及び寿命性能に優れたニオブチタン複合酸化物が検討されている。
国際公開第2019/187129号 特開2021-150214号公報
実施形態によると、高容量であり且つサイクル寿命特性に優れた負極が提供される。
一実施形態によると、負極が提供される。負極は、集電体と、集電体に担持され、複数の活物質粒子、導電剤、バインダ及びセルロース繊維を含む活物質含有層とを備える。セルロース繊維の平均繊維直径は1nm以上80nm以下の範囲内にある。負極の満充電時における活物質含有層は繊維状物質を含む。活物質含有層の断面を走査型電子顕微鏡により2万倍の倍率で観察して得られる画像において、画像の視野内に存在する複数の活物質粒子の総数TNに対する、視野内の他の活物質粒子に対して繊維状物質によって接続されている活物質粒子の数LNの割合Pは、50%以上である。
他の実施形態によると、二次電池が提供される。この二次電池は、正極と、実施形態に係る負極と、電解質とを備える。
他の実施形態によると、電池パックが提供される。この電池パックは、実施形態に係る二次電池を具備する。
他の実施形態によると、車両が提供される。この車両は、実施形態に係る電池パックを具備する。
他の実施形態によると、実施形態に係る二次電池を、負極の充電電位が1.0V(vs. Li/Li+)未満となるように充電することを含む、二次電池の充電方法が提供される。
実施形態に係る負極の一例を概略的に示す断面図。 実施例に係る負極が備える活物質含有層断面の走査型電子顕微鏡画像。 図2に示す画像を加工したSEM画像。 実施形態に係る二次電池の一例を概略的に示す断面図。 図4に示す二次電池のA部を拡大した断面図。 実施形態に係る二次電池の他の例を模式的に示す部分切欠斜視図。 図6に示す二次電池のB部を拡大した断面図。 実施形態に係る組電池の一例を概略的に示す斜視図。 実施形態に係る電池パックの一例を概略的に示す分解斜視図。 図9に示す電池パックの電気回路の一例を示すブロック図。 実施形態に係る車両の一例を概略的に示す部分透過図。 実施形態に係る車両における電気系統に関する制御システムの一例を概略的に示す図。 第6実施形態の充電方法を実施可能な充電システムの一例を示すブロック図。
ニオブチタン複合酸化物などの一部の活物質は、充放電に応じて結晶の格子定数が変化する。例えば、活物質粒子に対してLiイオンが挿入して格子定数が増大すると、活物質粒子の体積が膨張するため、活物質粒子同士の導電パスが切断される傾向がある。このため、充放電サイクルを繰り返すことで容量維持率が低下する傾向がある。
一方で、ニオブチタン複合酸化物の結晶構造中にリチウムイオンが挿入される場合、Tiイオンが4価から3価へ還元されるだけでなく、Nbイオンが5価から3価へと還元される。つまり、活物質重量あたりの還元価数が大きいため、ニオブチタン複合酸化物は、多くのリチウムイオンが挿入されても結晶の電気的中性を保つことが可能である。このため、4価カチオンだけを含む酸化チタンのような化合物に比べて、エネルギー密度が高いという特徴がある。
実施形態に係る負極では、満充電時において複数の活物質粒子間に繊維状物質が存在する。これらの繊維状物質は、複数の活物質粒子同士をつなぎ止める作用を示す。これにより、活物質含有層の体積変化が起きた場合でも、層内の電子導電パスが崩れるのを抑制することができる。加えて、繊維状物質に導電剤が付着している場合には、導電剤による導電性向上効果も得られる。即ち、実施形態に係る負極は、充放電サイクルを繰り返すことによるレート特性の低下を抑制することができるため、優れたサイクル寿命特性を示す。
更に、活物質含有層の体積変化によって、活物質含有層と集電体との剥離、及び、活物質含有層内でのひび割れなどが発生する可能性があるが、これらの欠陥を抑制することにより、容量維持率の低下抑制、電極抵抗上昇の抑制、電池膨れの抑制が期待できる。
(第1実施形態)
実施形態によると、負極が提供される。負極は、集電体と、集電体に担持され、複数の活物質粒子、導電剤、バインダ及びセルロース繊維を含む活物質含有層とを備える。セルロース繊維の平均繊維直径は1nm以上80nm以下の範囲内にある。負極の満充電時における活物質含有層は繊維状物質を含む。活物質含有層の断面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscopy)により2万倍の倍率で観察して得られる画像において、画像の視野内に存在する複数の活物質粒子の総数TNに対する、視野内の他の活物質粒子に対して繊維状物質によって接続されている活物質粒子の数LNの割合Pは、50%以上である。
図1は、実施形態に係る負極3の一例を示す概略的に示す断面図である。X軸方向及びY軸方向は互いに直交する方向である。Z軸方向は、X軸方向及びY軸方向の双方と直交する方向である。Z軸方向は、例えば、負極集電体3a及び負極活物質含有層3bの積層方向と平行な方向である。
負極3は、負極集電体3aと、負極集電体3aの少なくとも一方の面上に担持された負極活物質含有層3bとを含む。負極集電体3aは、例えば、X軸方向及びY軸方向に沿って伸びるシート形状を有する。図1では、負極活物質含有層3bが負極集電体3aの両面に形成されている場合を示しているが、負極活物質含有層3bは負極集電体3aの片面にのみ形成されていてもよい。
本願発明者らは、セルロース繊維を含む負極活物質含有層を満充電状態とすることにより、活物質粒子間に繊維状物質が出現することを見出した。繊維状物質の詳細は明らかになっていないが、セルロース繊維に沿って形成されるリチウム化合物であると考えられる。このリチウム化合物は、例えば炭酸リチウム、水酸化リチウム、フッ化リチウム及び/又は、電解質がLiPF6を含む場合に析出する化合物でありうる。或いは、繊維状物質は、電解質に含まれる可能性がある硫黄化合物が析出したものである可能性がある。繊維状物質は、セルロース繊維及びリチウム化合物を含みうる。
繊維状物質の平均繊維長は、例えば0.05μm~2.0μmの範囲内にある。繊維状物質の平均繊維直径は、例えば10nm~60nmの範囲内にある。繊維状物質のアスペクト比、即ち、平均繊維直径に対する平均繊維長の値は、例えば1.5~200の範囲内にある。
満充電とは、SOC(State of Charge)が100%の状態である。即ち、二次電池の(定格)容量が100%となるまでの充電を行った状態を指している。繊維状物質は、満充電時にはSEM画像の視野内に存在しているが、二次電池を放電することによって(SOCが低下するにつれて)、徐々に観測されなくなる。SEM画像の視野内において繊維状物質が観測されない場合であっても、セルロース繊維は存在している。セルロース繊維は微細なため、走査型電子顕微鏡による観察は難しい。充電時には、このセルロース繊維に沿って繊維状物質が観測されるものと推察される。
活物質含有層内において、繊維状物質によって互いに結合されている活物質粒子が多いほど、互いの粒子の位置関係を維持しようとする応力が働く。即ち、活物質含有層の体積増大を抑制することができる。それ故、活物質含有層内における導電パスが寸断されるのを抑制することができる。
実施形態に係る負極では、満充電時の活物質含有層の断面を走査型電子顕微鏡により2万倍の倍率で観察して得られる画像において、当該画像の視野内に存在する複数の活物質粒子の総数TNに対する、視野内の他の活物質粒子に対して繊維状物質によって接続されている活物質粒子の数LNの割合が50%以上である。本願明細書及び特許請求の範囲において、当該割合をPとも呼ぶ。割合Pは、60%以上であってもよく、70%以上であってもよく、80%以上であってもよい。一例によれば、割合Pは100%以下であってもよく、90%以下であってもよく、80%以下であってもよい。割合Pは、下記式(1)で算出される百分率である。
P=LN/TN×100・・・(1)。
繊維状物質によって互いに結合されている活物質粒子の数LNを増やすには、例えば、実施形態に係る負極を備えた二次電池、又は当該二次電池を備える電池パックを以下の条件で充電する。0.1C~15Cの電流で、定電流定電圧(CCCV)充電により負極電位が1.0V(vs. Li/Li+)未満となるまで充電する。一例によると、負極電位が1.0V(vs. Li/Li+)未満となるまで充電することにより、割合Pを50%以上とすることができる。充電時の温度範囲は、例えば-30℃~60℃の範囲内とする。
<走査型電子顕微鏡(SEM)観察>
満充電になるまで充電を行った負極についてSEM観察する方法を説明する。
観察対象の負極を内蔵する二次電池を、アルゴンを充填したグローブボックス中で分解する。分解した二次電池から負極を取り出す。この負極を適切な溶媒で洗浄する。洗浄に用いる溶媒としては、例えばエチルメチルカーボネートなどを用いると良い。洗浄が不十分であると、負極中に残留した炭酸リチウムやフッ化リチウムなどの影響により、粒子を観察しにくくなる場合がある。このようにして取り出した対象の負極を、イオンミリング装置にて裁断する。負極を裁断する際は、負極を厚み方向に沿って裁断する。裁断後の負極の断面を、SEM試料台に貼り付ける。このとき、負極が試料台から剥がれたり浮いたりしないように、導電性テープなどを用いて処理を施す。SEM試料台に貼り付けた負極(活物質含有層)を、SEMで観察してSEM画像を得る。SEM測定時には2万倍の倍率で観察する。観察は、通常は二次電子像で行うが、反射電子像で行ってもよい。また、負極を試料室に導入する際には、不活性雰囲気を維持することが好ましい。
測定対象の負極を裁断する位置は、当該負極の短手方向を四等分にしたそれぞれの位置とする。例えば、長辺と短辺とを有する矩形の負極の場合には、その長辺方向と平行に四等分となるように当該負極を裁断する。裁断した各位置において、活物質含有層断面のSEM画像を取得する。そして、取得した各画像について以下に説明する方法で、視野内の他の活物質粒子に対して繊維状物質によって接続されている活物質粒子の数LNを数える。
各画像について、視野内に存在する前記複数の活物質粒子の総数TNに対する、視野内の他の活物質粒子に対して繊維状物質によって接続されている活物質粒子の数LNの割合を算出し、これら値を単純平均した値を、測定対象の負極活物質含有層についての割合Pとする。
繊維状物質によって他の活物質粒子に接続されている活物質粒子の数LNの数え方を説明する。図2は、後述する実施例1に係る負極(負極活物質含有層)の一断面を示すSEM画像である。図3は、図2に示すSEM画像において、繊維状物質で結合された複数の活物質粒子を示す仮想的な線分を付与した画像である。
実施形態に係る負極の活物質含有層では、満充電時において、図2に示すように、複数の活物質粒子間の少なくとも一部に繊維状物質51が存在する。図2に係るSEM画像に示しているように、繊維状物質51は活物質粒子間に無数に存在している。本願明細書及び特許請求の範囲においては、繊維径が1nm以上50nm以下の繊維状物質を介して、互いに接続されている活物質粒子の総数をLNとする。繊維径は、以下の通り決定される。繊維径を決定する際は、後述する活物資粒子の総数LNの算出に使用するものと同じ画像を使用する。そのため、2万倍のSEM画像において、前述の2万倍のSEM画像を取得した個所の繊維状物質が含まれる個所についてSEM画像の倍率を5万倍に拡大した画像から認識し得る最小繊維について、当該繊維が伸びる方向と直交する距離を繊維径と見なす。最小繊維は、SEM画像の倍率を5万倍に拡大して認識し得る繊維であって、これと同じコントラストを持つ繊維部分、即ち白色部が繊維部分であり、黒色部がバックグラウンドを指す。
また、繊維状物質の端部(又は端点)が、活物質粒子表面から20nm以内の距離まで到達していることをもって、当該繊維状物質が活物質粒子に接続されていると判断する。なお、繊維径が50nm以下の繊維状物質であっても、局部的に45度以上の角度で折れ曲がっている場合には、上記の繊維状物質としてカウントしない。
図3は、上述の条件で、繊維状物質によって互いに接続された複数の活物質粒子を示す、加工されたSEM画像である。視野内の他の活物質粒子に対して繊維状物質によって接続されている活物質粒子の数LNを算出するには、まず、図3に示すように、仮想的な線分52を画像に付す。仮想的な線分52は、繊維径が50nm以下の繊維状物質を介して、互いに接続されている複数の活物質粒子間に付される。ここでは、仮想的な線分52は、黒色の線分を白色で縁取りしたものである。
次に、視野内に存在する複数の活物質粒子の総数TNを数える。図3において、視野内に存在する複数の活物質粒子の総数TNは49個である。他方、仮想的な線分52で互いに接続されている活物質粒子の数を数える。図3において、視野内の他の活物質粒子に対して繊維状物質によって接続されている活物質粒子の数LNは、38個である。従って、図2及び図3に示すSEM画像における割合Pは77%である。
なお、数LNの数え方の一例として、観察対象の視野内において、10個の粒子が連続して結合している複数の活物質粒子と、2個の粒子のみが互いに結合している複数の活物質粒子とが共存している場合には、当該視野内における数LNを12個と見なす。
視野内に存在する複数の活物質粒子の総数TNは、特に制限されないが、例えば20個~80個の範囲内にあり得る。視野内の他の活物質粒子に対して繊維状物質によって接続されている活物質粒子の数LNは、特に制限されないが、例えば10個~70個の範囲内にあり得る。
活物質粒子間に複数の繊維状物質が存在する場合には、これら繊維状物質は配向していることが好ましい。具体的には、2つの活物質粒子間において、前述した定義に従う最小繊維を1本としてカウントし、隣り合う5本以上の最小繊維が、プラスマイナス20度の範囲内の角度で互いに隣接している場合を、複数の繊維状物質が配向していると規定する。視野内において、配向している繊維群が、1つ又は2つ以上存在していることが好ましい。
以下に、実施形態に係る負極の詳細について説明する。
実施形態に係る負極は、活物質含有層(負極活物質含有層)と、集電体とを含む。活物質含有層は、集電体の少なくとも一方の面に支持される。活物質含有層は、集電体の片方の面に支持されていてもよく、両方の面に支持されていてもよい。活物質含有層は、活物質、導電剤、バインダ及びセルロース繊維を含む。活物質含有層が集電体の両面に支持されている場合、少なくとも一方の面に支持された活物質含有層において、割合Pが50%以上であればよい。
(負極活物質)
負極活物質は、例えば、チタン含有酸化物、シリコン及びシリコン酸化物からなる群より選択される少なくとも一種を含む複数の活物質粒子を含む。
チタン含有酸化物としては、例えば、ラムスデライト構造を有するチタン酸リチウム(例えばLi2+yTi37、0≦y≦3)、スピネル構造を有するチタン酸リチウム(例えば、Li4+xTi512、0≦x≦3)、単斜晶型二酸化チタン(TiO2)、アナターゼ型二酸化チタン、ルチル型二酸化チタン、ホランダイト型チタン複合酸化物、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物、及び直方晶型(orthorhombic)チタン含有複合酸化物が挙げられる。中でも、高い容量と高いレート性能を両立できる観点から、負極活物質はチタン含有酸化物を含むことが好ましい。
上述の活物質の中でも、充放電の際に体積の膨張収縮が生じる活物質を使用する場合、本発明の効果が得られやすいため好ましい。例えば、負極活物質としての複数の活物質粒子は、ニオブチタン複合酸化物、シリコン及びシリコン酸化物からなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。活物質の充放電時の体積変化は、充電電位を下げるほど大きくなる。体積変化が大きくなると、サイクル寿命特性が低下する傾向があるため、これまでのところ、ニオブチタン複合酸化物については1.0V未満での充電が行われていなかった。
単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の例として、LixTi1-yM1yNb2-zM2z7+δで表される化合物が挙げられる。ここで、M1は、Zr,Si,及びSnからなる群より選択される少なくとも1つである。M2は、V,Ta,及びBiからなる群より選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦x≦5、0≦y<1、0≦z<2、-0.3≦δ≦0.3である。単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の具体例として、LixNb2TiO7(0≦x≦5)が挙げられる。
単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の他の例として、Ti1-yM3y+zNb2-z7-δで表される化合物が挙げられる。ここで、M3は、Mg,Fe,Ni,Co,W,Ta,及びMoより選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦y<1、0≦z≦2、-0.3≦δ≦0.3である。
直方晶型チタン含有複合酸化物の例として、Li2+aM(I)2-bTi6-cM(II)d14+σで表される化合物が挙げられる。ここで、M(I)は、Sr,Ba,Ca,Mg,Na,Cs,Rb及びKからなる群より選択される少なくとも1つでる。M(II)はZr,Sn,V,Nb,Ta,Mo,W,Y,Fe,Co,Cr,Mn,Ni,及びAlからなる群より選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦a≦6、0≦b<2、0≦c<6、0≦d<6、-0.5≦σ≦0.5である。直方晶型チタン含有複合酸化物の具体例として、Li2+aNa2Ti614(0≦a≦6)が挙げられる。
以上説明した活物質は、単独で用いることも、混合して用いることもできる。活物質の粒子形状は、粒状、繊維状のいずれの形態でも良好な性能が得られる。繊維状の場合は、0.1μm以下の繊維径を有することが好ましい。
活物質の平均一次粒子径(直径)は、2μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。この粒子サイズにすることにより、粒子内のLiイオンやNaイオンの拡散に伴う抵抗が小さくなり、大電流放電性能と急速充電性能が大幅に向上する。平均一次粒子径(直径)の下限値は、0.05μmにすることが望ましい。平均一次粒子径(直径)を0.05μm以上にすることにより、高い結晶性が得られるため、高容量を得ることができる。
平均一次粒子径が2μmを超える活物質を用いると、電極の密度が低下する恐れがある。平均一次粒子径が0.05μm未満の活物質を用いると、粒子の凝集が起こりやすくなり、電解質の分布が偏り、他方の電極(正極)において電解質の枯渇を招くおそれがある。
ここで、活物質の粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置(島津製作所社製;SALD-300)を用いて次のような方法により測定できる。すなわち、ビーカーに試料を約0.1gと界面活性剤と1~2mLの蒸留水を添加して十分に攪拌した後、攪拌水槽に注入し、レーザ回折式粒度分布測定装置により2秒間隔で64回光強度分布を測定し、粒度分布データを解析する方法にて活物質の一次粒子の平均粒径を測定する。
活物質の比表面積は、3m/g以上50m/g以下であることが好ましい。活物質の比表面積は、N吸着によるBET法で測定される。このような比表面積を有する活物質を用いると、電解質との親和性をさらに高めることができる。
活物質含有層の比表面積は、3m2/g以上50m/g以下であることが好ましい。比表面積を3m/g未満にすると、活物質含有層と電解質との親和性が低くなり界面抵抗が増加し、出力性能及び充放電性能が低下するおそれがある。一方、比表面積が50m/gを超えると、電解質の分布が偏り、他方の電極(正極)での電解質不足を生じるおそれがある。より好ましい活物質含有層の比表面積は、5~50m/gである。
活物質含有層における負極活物質の含有量は、例えば、70質量%以上96質量%以下である。
(導電剤)
導電剤は、活物質含有層の集電性能を高め、また、活物質含有層と集電体との接触抵抗を抑えるために用いられる。導電剤の例には、気相成長カーボン繊維(Vapor Grown Carbon Fiber;VGCF)、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、及び、黒鉛などの粒状炭素が含まれる。これらの1つを導電剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて導電剤として用いてもよい。
導電剤は、炭素繊維を含むことが好ましい。炭素繊維は、平均繊維長L1と、長さ方向に対して垂直な断面の平均直径S1との比L1/S1が50以上の繊維状の炭素でありうる。比L1/S1は、200以上40000以下であることが好ましい。炭素繊維の平均直径は、1nm以上50nm以下であることが好ましい。炭素繊維の平均繊維長は、1μm以上200μm以下であることが好ましい。炭素繊維の平均直径及び平均繊維長は、SEMもしくは透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)などの電子顕微鏡観察により測定できる。
炭素繊維の例には、気相成長カーボン繊維(Vapor Grown Carbon Fiber;VGCF)が挙げられる。気相成長カーボン繊維の例には、カーボンナノチューブ(Carbon Nanotube:CNT)、及びカーボンナノファイバー(Carbon Nanofiber:CNF)が挙げられる。これらの1つを炭素繊維として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて炭素繊維として用いてもよい。
カーボンナノチューブは、単層ナノチューブでもよく、単層ナノチューブが同心円状に積層した多層ナノチューブを用いてもよい。コストの点からは、多層カーボンナノチューブを用いることが好ましい。また、これらを併用して使用してもよい。特に、2~3層の薄層カーボンナノチューブはコストと性能の両面で好適である。
多層カーボンナノチューブの平均直径は、3nm以上30nm以下であることが好ましく、平均繊維長は1μm以上20μm以下であることが好ましい。また、単層カーボンナノチューブの平均直径は、1nm以上3nm以下であることが好ましく、平均繊維長は0.2μm以上10μm以下であることが好ましい。また、薄層カーボンナノチューブの平均直径は、6nm以上25nm以下であることが好ましく、平均繊維長は20μm以上200μm以下であることが好ましい。
炭素繊維は、Fe、Co、Ni、Znから選ばれる1種類以上の金属元素を含有していてもよい。これらの金属元素の含有率は、0.0001質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.0003質量%以上0.5質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以上0.5質量%以下であることが更に好ましい。炭素繊維が上記の金属元素を含むと、活物質、粒状炭素、及び集電体への吸着効果が高まる。ただし、金属元素を過剰に含むと、金属イオンが電極内に溶け出して電池反応に悪影響を及ぼすおそれがある。炭素繊維中の上記金属元素の含有量は、IPC(ICP-MS:Inductively Coupled Plasma-Mass Spectrometry 誘導結合プラズマ質量分析)により測定できる。
粒状炭素は、長軸の長さL2と、短軸の長さS2との比L2/S2が50より低い粒状の炭素である。カーボンブラックとしてはアセチレンブラック、ケッチェンブラックなどがあげられる。電池用途ではアセチレンブラックが好ましい。粒状炭素として、黒鉛、活性炭、コークス等を用いてもよい。黒鉛は板状の形状を有し、滑りやすいため、活物質粒子の配向を偏らせずに電極密度を上昇させることができる。また、導電剤として、金属粉末、金属化合物粉末又はこれらの混合物を用いてもよい。
活物質含有層における導電剤の含有量は2質量%以上10質量%以下であることが好ましい。活物質含有層における炭素繊維の含有量は、0.05質量%以上5質量%以下であることが好ましい。活物質含有層において、100質量部の活物質に対する導電剤の量は、2質量部以上12質量部以下であることが好ましい。活物質含有層における炭素繊維の含有量は、0.05質量部以上6質量部以下であることが好ましい。
(セルロース繊維)
セルロース繊維の例として、セルロースナノ繊維が挙げられる。セルロースナノ繊維は、主に木材繊維(パルプ)などの天然セルロース繊維を水中で微細化し分散させたものである。上述したように、セルロースナノ繊維は、導電剤の分散剤として機能する。更に、セルロースナノ繊維は、十分な粘度および接着性を有し、バインダとして機能し得る。
セルロースナノ繊維の平均直径は、例えば、1nm以上80nm以下である。セルロースナノ繊維の平均繊維長は、例えば、100nm以上10μm以下である。セルロースナノ繊維の長さが短いと、導電剤の分散性が高まる傾向にある。セルロースナノ繊維の長さが長いと、バインダとしての効果が高まる傾向にある。セルロースナノ繊維の平均直径及び平均繊維長は、TEM等の電子顕微鏡観察により測定できる。平均直径及び平均繊維長を決定する場合には、任意に選択した10個以上の繊維のそれぞれについて繊維直径と繊維長とを測定して平均値を算出し、平均直径及び平均繊維長とする。
セルロースナノ繊維の微細化の方法としては、高圧ホモジナイザー又は相対する高圧水流の衝突を利用した水中カウンターコリジョン法などの機械的処理や、化学的処理が挙げられる。
セルロースナノ繊維としては、化学的な微細化処理としてTEMPO(2,2,6,6,-テトラメチルピペリジン-1-オキシラジカル)触媒酸化法により得られたものを用いることが好ましい。この方法によると、セルロースミクロフィブリル表面に高密度でカルボキシル基を導入することができるため、より微細化が可能である。TEMPO酸化セルロースナノ繊維は、カルボキシル基を有しているため、導電剤又は活物質に吸着し易く、導電剤の分散性向上性能に更に優れている。また、TEMPO酸化セルロースナノ繊維が吸着した導電剤は、活物質間を架橋することができるため、導電パスがより強固となる。更に、TEMPO酸化セルロースナノ繊維は、集電体にも吸着可能なため、活物質含有層の集電体への密着性をより高めることができる。
TEMPO酸化セルロースナノ繊維の平均直径は、3nm以上4nm以下であることが好ましく、平均繊維長は100nm以上1μm以下であることが好ましい。
セルロースナノ繊維として、機械的処理で得られたセルロースナノ繊維と、TEMPO酸化セルロースナノ繊維とを併用してもよい。
活物質含有層におけるセルロース繊維の含有量は、0.08質量%以上2.2質量%以下であることが好ましい。セルロース繊維の量が過剰に少ないと、導電剤の分散性が低下する傾向にある。セルロース繊維の量が過剰に多いと、電極の内部抵抗が高まり、また、強度が過剰に高まり、生産効率が低下するおそれがある。活物質含有層において、100質量部の活物質に対するセルロース繊維の量は、0.1質量部以上2.5質量部以下であることが好ましい。また、セルロース繊維と、導電剤との質量比は、0.05~50:1であることが好ましい。
(バインダ)
バインダは、活物質と導電剤とを結着させるために用いられる。電極形成用のスラリーの溶媒として水系溶媒を用いる場合には、バインダとして、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンアクリレート系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素系ゴム、ポリイミド系樹脂、コアシェルバインダ、及びカルボキシメチルセルロース(CMC)からなる群より選ばれる少なくとも一種を用い得る。有機溶媒を用いる場合には、バインダとして、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、及びアクリロニトリル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を用い得る。
中でも、バインダは、カルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンゴム及びポリアクリルイミドからなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。特には、カルボキシメチルセルロース及びスチレンブタジエンゴムの双方を含むか、又は、ポリアクリルアミドを含むことが好ましい。CMCを加えると、電極スラリーの粘度調整がしやすく塗工性が向上するほか、密着性の向上や、活物質の被覆により電池の充放電における副反応の抑制などが期待できる。またセルロースナノ繊維の分散性向上も期待できる。CMCは、エーテル化度が1.0以上であるものを用いることが好ましい。CMCのエーテル化度が高いと、チクソ性低減による塗布性向上や、電極柔軟性向上、電極のプレス性向上などが期待できる。
SBRとCMCとを併用すると、SBRにより良好な結着性が得られると共に、CMCによる優れた増粘作用が得られるため、優れたサイクル寿命特性を達成可能である。また、ポリアクリルアミドによれば、充放電容量が増加する上、電極の柔軟性向上により電極の耐久性を向上させることができる。
100質量部の活物質に対するバインダの量は、0.7質量部以上4.7質量部以下であることが好ましい。
(負極集電体)
負極集電体は、金属箔から形成される。典型的には、アルミニウム箔若しくはMg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、及びSiのような元素を含むアルミニウム合金箔、銅箔、ステンレス箔若しくはニッケル箔から形成される。また、金属箔はカーボンコートされていてもよい。カーボンコートは全面若しくは格子状などの一部であってもよい。金属箔の厚さは、20μm以下であることが好ましく、より好ましくは15μm以下である。
(負極作製方法)
負極は、電極スラリーを集電体の片面若しくは両面に塗布して塗膜を設け、これを乾燥した後、プレス処理を行うことにより作製できる。電極スラリーの調製に際しては、先ず、セルロース繊維を水に分散させた懸濁体を準備する。懸濁体は、液状であってもよく、ゲル状であってもよく、固体状であってもよい。この懸濁体に、導電剤を混合して撹拌して、導電剤ペーストを調製する。この導電剤ペーストに、任意にカルボキシルセルロース水溶液を混合した後、活物質を更に加えて撹拌して、活物質ペーストを調製する。この活物質ペーストに、任意にバインダ水溶液を混合し、ビーズミル等を用いて撹拌して、電極スラリーを得る。
分散処理の方法は特に限定はされないが、通常、ラボディスパ等の高速撹拌機やホモミキサー、プラネタリミキサー、ジェットペースター、フィルミックスミキサー、自転公転ミキサー等が使用可能である。また必要に応じてビーズミル分散を行ってもよい。分散処理に際しては、ジェットペースター、フィルミックスミキサー又は自転公転ミキサーを使用することが好ましい。
電極用スラリーの集電体への塗布方法は特に限定されない。例えば、ダイコーター、グラビアコーター、シルクスクリーンコーター、コンマコーター、ブレードコーター等が使用可能である。集電体に塗布された電極スラリーの乾燥方法としては特に限定されず温風乾燥、遠赤外線乾燥、マイクロ波乾燥等があげられる。
塗布したスラリーを乾燥させて、負極活物質含有層と負極集電体との積層体を得る。その後、この積層体にプレスを施す。このようにして、負極を作製する。
作製した負極を、例えば、後述する二次電池又は電池パックに組み込んだ上で、これらのSOCが100%となるまで充電する。一例によると、負極充電電位が1.0V(vs. Li/Li+)未満となるまで充電することにより、繊維状物質が生成して、割合Pを50%以上とすることができる。負極充電電位が1.0V(vs. Li/Li+)以上では、活物質粒子間に繊維状物質が生成しないか、又は、割合Pが50%未満である可能性がある。
以上説明した第1実施形態に係る負極が提供される。負極は、集電体と、集電体に担持され、複数の活物質粒子、導電剤、バインダ及びセルロース繊維を含む活物質含有層とを備える。セルロース繊維の平均繊維直径は1nm以上80nm以下の範囲内にある。負極の満充電時における活物質含有層は繊維状物質を含む。活物質含有層の断面を走査型電子顕微鏡により2万倍の倍率で観察して得られる画像において、画像の視野内に存在する複数の活物質粒子の総数TNに対する、視野内の他の活物質粒子に対して繊維状物質によって接続されている活物質粒子の数LNの割合は、50%以上である。この負極によると、充放電サイクルを繰り返した場合にも、電子導電パスが切断されにくいため、高容量であり且つ優れたサイクル寿命特性を達成することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態によると、第1実施形態に係る負極と、正極と、電解質とを含む二次電池が提供される。
第2実施形態に係る二次電池は、正極と負極との間に配されたセパレータを更に具備することもできる。負極、正極及びセパレータは、電極群を構成することができる。電解質は、電極群に保持され得る。
また、第2実施形態に係る二次電池は、電極群及び電解質を収容する外装部材を更に具備することができる。
さらに、第2実施形態に係る二次電池は、負極に電気的に接続された負極端子及び正極に電気的に接続された正極端子を更に具備することができる。
第2実施形態に係る二次電池は、例えばリチウムイオン二次電池であり得る。また、二次電池は、非水電解質を含んだ非水電解質二次電池を含む。
以下、正極、電解質、セパレータ、外装部材、負極端子及び正極端子について詳細に説明する。
(1)正極
正極は、正極集電体と、正極活物質含有層とを含むことができる。正極活物質含有層は、正極集電体の片面又は両面に形成され得る。正極活物質含有層は、正極活物質と、任意に導電剤及び結着剤を含むことができる。
正極活物質としては、例えば、酸化物又は硫化物を用いることができる。正極は、正極活物質として、1種類の化合物を単独で含んでいてもよく、或いは2種類以上の化合物を組み合わせて含んでいてもよい。酸化物及び硫化物の例には、Li又はLiイオンを挿入及び脱離させることができる化合物を挙げることができる。
このような化合物としては、例えば、二酸化マンガン(MnO2)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn24又はLixMnO2;0<x≦1)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLixNiO2;0<x≦1)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLixCoO2;0<x≦1)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLixNi1-yCoy2;0<x≦1、0<y<1)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLixMnyCo1-y2;0<x≦1、0<y<1)、スピネル構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLixMn2-yNiy4;0<x≦1、0<y<2)、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物(例えばLixFePO4;0<x≦1、LixFe1-yMnyPO4;0<x≦1、0<y<1、LixCoPO4;0<x≦1)、硫酸鉄(Fe2(SO4)3)、バナジウム酸化物(例えばV25)、及び、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LixNi1-y-zCoyMnz2;0<x≦1、0<y<1、0<z<1、y+z<1)が含まれる。
上記のうち、正極活物質としてより好ましい化合物の例には、スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn24;0<x≦1)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLixNiO2;0<x≦1)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLixCoO2;0<x≦1)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLixNi1-yCoy2;0<x≦1、0<y<1)、スピネル構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLixMn2-yNiy4;0<x≦1、0<y<2)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLixMnyCo1-y2;0<x≦1、0<y<1)、リチウムリン酸鉄(例えばLixFePO4;0<x≦1)、及び、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LixNi1-y-zCoyMnz2;0<x≦1、0<y<1、0<z<1、y+z<1)が含まれる。これらの化合物を正極活物質に用いると、正極電位を高めることができる。
電池の電解質として常温溶融塩を用いる場合、リチウムリン酸鉄、LixVPO4F(0≦x≦1)、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムニッケルコバルト複合酸化物、又はこれらの混合物を含む正極活物質を用いることが好ましい。これらの化合物は常温溶融塩との反応性が低いため、サイクル寿命を向上させることができる。常温溶融塩の詳細については、後述する。
正極活物質の一次粒子径は、100nm以上1μm以下であることが好ましい。一次粒子径が100nm以上の正極活物質は、工業生産上の取り扱いが容易である。一次粒径が1μm以下の正極活物質は、リチウムイオンの固体内拡散をスムーズに進行させることが可能である。
正極活物質の比表面積は、0.1m2/g以上10m2/g以下であることが好ましい。0.1m2/g以上の比表面積を有する正極活物質は、Liイオンの吸蔵・放出サイトを十分に確保できる。10m2/g以下の比表面積を有する正極活物質は、工業生産の上で取り扱い易く、かつ良好な充放電サイクル性能を確保できる。
結着剤は、分散された正極活物質の間隙を埋め、また、正極活物質と正極集電体とを結着させるために配合される。結着剤の例には、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoro ethylene;PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)、フッ素系ゴム、ポリアクリル酸化合物、イミド化合物、カルボキシメチルセルロース(carboxy methyl cellulose;CMC)、及びCMCの塩が含まれる。これらの1つを結着剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて結着剤として用いてもよい。
導電剤は、集電性能を高め、且つ、正極活物質と正極集電体との接触抵抗を抑えるために配合される。導電剤の例には、気相成長カーボン繊維(Vapor Grown Carbon Fiber;VGCF)、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、黒鉛、カーボンナノファイバー及びカーボンナノチューブのような炭素質物が含まれる。これらの1つを導電剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて導電剤として用いてもよい。また、導電剤を省略することもできる。
正極活物質含有層において、正極活物質及び結着剤は、それぞれ、80質量%以上98質量%以下、及び2質量%以上20質量%以下の割合で配合することが好ましい。
結着剤の量を2質量%以上にすることにより、十分な電極強度が得られる。また、結着剤は、絶縁体として機能し得る。そのため、結着剤の量を20質量%以下にすると、電極に含まれる絶縁体の量が減るため、内部抵抗を減少できる。
導電剤を加える場合には、正極活物質、結着剤及び導電剤は、それぞれ、77質量%以上95質量%以下、2質量%以上20質量%以下、及び3質量%以上15質量%以下の割合で配合することが好ましい。
導電剤の量を3質量%以上にすることにより、上述した効果を発揮することができる。また、導電剤の量を15質量%以下にすることにより、電解質と接触する導電剤の割合を低くすることができる。この割合が低いと、高温保存下において、電解質の分解を低減することができる。
正極集電体は、アルミニウム箔、又は、Mg、Ti、Zn、Ni、Cr、Mn、Fe、Cu及びSiから選択される一以上の元素を含むアルミニウム合金箔であることが好ましい。
アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔の厚さは、5μm以上20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。アルミニウム箔の純度は99質量%以上であることが好ましい。アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔に含まれる鉄、銅、ニッケル、及びクロムなどの遷移金属の含有量は、1質量%以下であることが好ましい。
また、正極集電体は、その表面に正極活物質含有層が形成されていない部分を含むことができる。この部分は、正極集電タブとして働くことができる。
正極は、例えば次の方法により作製することができる。まず、活物質、導電剤及び結着剤を溶媒に懸濁してスラリーを調製する。このスラリーを、集電体の片面又は両面に塗布する。次いで、塗布したスラリーを乾燥させて、活物質含有層と集電体との積層体を得る。その後、この積層体にプレスを施す。このようにして、正極を作製する。
或いは、正極は、次の方法により作製してもよい。まず、活物質、導電剤及び結着剤を混合して、混合物を得る。次いで、この混合物をペレット状に成形する。次いで、これらのペレットを集電体上に配置することにより、正極を得ることができる。
(2)電解質
電解質としては、例えば液状非水電解質又はゲル状非水電解質を用いることができる。液状非水電解質は、溶質としての電解質塩を有機溶媒に溶解することにより調製される。電解質塩の濃度は、0.5mol/L以上2.5mol/L以下であることが好ましい。
電解質塩の例には、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、及びビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム(LiN(CF3SO2)2)のようなリチウム塩、及び、これらの混合物が含まれる。電解質塩は、高電位でも酸化し難いものであることが好ましく、LiPF6が最も好ましい。
有機溶媒の例には、プロピレンカーボネート(propylene carbonate;PC)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate;EC)、ビニレンカーボネート(vinylene carbonate;VC)のような環状カーボネート;ジエチルカーボネート(diethyl carbonate;DEC)、ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate;DMC)、メチルエチルカーボネート(methyl ethyl carbonate;MEC)のような鎖状カーボネート;テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran;THF)、2メチルテトラヒドロフラン(2-methyl tetrahydrofuran;2MeTHF)、ジオキソラン(dioxolane;DOX)のような環状エーテル;ジメトキシエタン(dimethoxy ethane;DME)、ジエトキシエタン(diethoxy ethane;DEE)のような鎖状エーテル;γ-ブチロラクトン(γ-butyrolactone;GBL)、アセトニトリル(acetonitrile;AN)、及びスルホラン(sulfolane;SL)が含まれる。これらの有機溶媒は、単独で、又は混合溶媒として用いることができる。
ゲル状非水電解質は、液状非水電解質と高分子材料とを複合化することにより調製される。高分子材料の例には、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile;PAN)、ポリエチレンオキサイド(polyethylene oxide;PEO)、又はこれらの混合物が含まれる。
或いは、非水電解質としては、液状非水電解質及びゲル状非水電解質の他に、リチウムイオンを含有した常温溶融塩(イオン性融体)、高分子固体電解質、及び無機固体電解質等を用いてもよい。
常温溶融塩(イオン性融体)は、有機物カチオンとアニオンとの組合せからなる有機塩の内、常温(15℃以上25℃以下)で液体として存在し得る化合物を指す。常温溶融塩には、単体で液体として存在する常温溶融塩、電解質塩と混合させることで液体となる常温溶融塩、有機溶媒に溶解させることで液体となる常温溶融塩、又はこれらの混合物が含まれる。一般に、二次電池に用いられる常温溶融塩の融点は、25℃以下である。また、有機物カチオンは、一般に4級アンモニウム骨格を有する。
高分子固体電解質は、電解質塩を高分子材料に溶解し、固体化することによって調製される。
(3)セパレータ
セパレータは、例えば、ポリエチレン(polyethylene;PE)、ポリプロピレン(polypropylene;PP)、セルロース、若しくはポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)を含む多孔質フィルム、又は合成樹脂製不織布から形成される。安全性の観点からは、ポリエチレン又はポリプロピレンから形成された多孔質フィルムを用いることが好ましい。これらの多孔質フィルムは、一定温度において溶融し、電流を遮断することが可能なためである。
(4)外装部材
外装部材としては、例えば、ラミネートフィルムからなる容器、又は金属製容器を用いることができる。
ラミネートフィルムの厚さは、例えば、0.5mm以下であり、好ましくは、0.2mm以下である。
ラミネートフィルムとしては、複数の樹脂層とこれらの樹脂層間に介在した金属層とを含む多層フィルムが用いられる。樹脂層は、例えば、ポリプロピレン(polypropylene;PP)、ポリエチレン(polyethylene;PE)、ナイロン、及びポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)等の高分子材料を含んでいる。金属層は、軽量化のためにアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔からなることが好ましい。ラミネートフィルムは、熱融着によりシールを行うことにより、外装部材の形状に成形され得る。
金属製容器の壁の厚さは、例えば、1mm以下であり、より好ましくは0.5mm以下であり、更に好ましくは、0.2mm以下である。
金属製容器は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金等から作られる。アルミニウム合金は、マグネシウム、亜鉛、及びケイ素等の元素を含むことが好ましい。アルミニウム合金は、鉄、銅、ニッケル、及びクロム等の遷移金属を含む場合、その含有量は100質量ppm以下であることが好ましい。
外装部材の形状は、特に限定されない。外装部材の形状は、例えば、扁平型(薄型)、角型、円筒型、コイン型、又はボタン型等であってもよい。外装部材は、電池寸法や電池の用途に応じて適宜選択することができる。
(5)負極端子
負極端子は、上述の負極活物質のLi吸蔵放出電位において電気化学的に安定であり、かつ導電性を有する材料から形成することができる。具体的には、負極端子の材料としては、銅、ニッケル、ステンレス若しくはアルミニウム、又は、Mg,Ti,Zn,Mn,Fe,Cu,及びSiからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むアルミニウム合金が挙げられる。負極端子の材料としては、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いることが好ましい。負極端子は、負極集電体との接触抵抗を低減するために、負極集電体と同様の材料からなることが好ましい。
(6)正極端子
正極端子は、リチウムの酸化還元電位に対し3V以上4.5V以下の電位範囲(vs.Li/Li)において電気的に安定であり、且つ導電性を有する材料から形成することができる。正極端子の材料としては、アルミニウム、或いは、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu及びSiからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むアルミニウム合金が挙げられる。正極端子は、正極集電体との接触抵抗を低減するために、正極集電体と同様の材料から形成されることが好ましい。
次に、第2実施形態に係る二次電池について、図面を参照しながらより具体的に説明する。
図4は、第2実施形態に係る二次電池の一例を概略的に示す断面図である。図5は、図4に示す二次電池のA部を拡大した断面図である。
図4及び図5に示す二次電池100は、図4に示す袋状外装部材2と、図4及び図5に示す電極群1と、図示しない電解質とを具備する。電極群1及び電解質は、袋状外装部材2内に収納されている。電解質(図示しない)は、電極群1に保持されている。
袋状外装部材2は、2つの樹脂層とこれらの間に介在した金属層とを含むラミネートフィルムからなる。
図4に示すように、電極群1は、扁平状の捲回型電極群である。扁平状で捲回型である電極群1は、図5に示すように、負極3と、セパレータ4と、正極5とを含む。セパレータ4は、負極3と正極5との間に介在している。
負極3は、負極集電体3aと負極活物質含有層3bとを含む。負極3のうち、捲回型の電極群1の最外殻に位置する部分は、図5に示すように負極集電体3aの内面側のみに負極活物質含有層3bが形成されている。負極3におけるその他の部分では、負極集電体3aの両面に負極活物質含有層3bが形成されている。
正極5は、正極集電体5aと、その両面に形成された正極活物質含有層5bとを含んでいる。
図4に示すように、負極端子6及び正極端子7は、捲回型の電極群1の外周端近傍に位置している。この負極端子6は、負極集電体3aの最外殻に位置する部分に接続されている。また、正極端子7は、正極集電体5aの最外殻に位置する部分に接続されている。これらの負極端子6及び正極端子7は、袋状外装部材2の開口部から外部に延出されている。袋状外装部材2の内面には、熱可塑性樹脂層が設置されており、これが熱融着されていることにより、開口部が閉じられている。
第2実施形態に係る二次電池は、図4及び図5に示す構成の二次電池に限らず、例えば図6及び図7に示す構成の電池であってもよい。
図6は、第2実施形態に係る二次電池の他の例を模式的に示す部分切欠斜視図である。図7は、図6に示す二次電池のB部を拡大した断面図である。
図6及び図7に示す二次電池100は、図6及び図7に示す電極群1と、図6に示す外装部材2と、図示しない電解質とを具備する。電極群1及び電解質は、外装部材2内に収納されている。電解質は、電極群1に保持されている。
外装部材2は、2つの樹脂層とこれらの間に介在した金属層とを含むラミネートフィルムからなる。
電極群1は、図7に示すように、積層型の電極群である。積層型の電極群1は、負極3と正極5とをその間にセパレータ4を介在させながら交互に積層した構造を有している。
電極群1は、複数の負極3を含んでいる。複数の負極3は、それぞれが、負極集電体3aと、負極集電体3aの両面に担持された負極活物質含有層3bとを備えている。また、電極群1は、複数の正極5を含んでいる。複数の正極5は、それぞれが、正極集電体5aと、正極集電体5aの両面に担持された正極活物質含有層5bとを備えている。
各負極3の負極集電体3aは、その一辺において、いずれの表面にも負極活物質含有層3bが担持されていない部分3cを含む。この部分3cは、負極集電タブとして働く。図7に示すように、負極集電タブとして働く部分3cは、正極5と重なっていない。また、複数の負極集電タブ(部分3c)は、帯状の負極端子6に電気的に接続されている。帯状の負極端子6の先端は、外装部材2の外部に引き出されている。
また、図示しないが、各正極5の正極集電体5aは、その一辺において、いずれの表面にも正極活物質含有層5bが担持されていない部分を含む。この部分は、正極集電タブとして働く。正極集電タブは、負極集電タブ(部分3c)と同様に、負極3と重なっていない。また、正極集電タブは、負極集電タブ(部分3c)に対し電極群1の反対側に位置する。正極集電タブは、帯状の正極端子7に電気的に接続されている。帯状の正極端子7の先端は、負極端子6とは反対側に位置し、外装部材2の外部に引き出されている。
第2実施形態に係る二次電池は、第1実施形態に係る負極を含んでいる。そのため、第2実施形態に係る二次電池は、高容量であり且つサイクル寿命特性に優れる。
(第3実施形態)
第3実施形態によると、組電池が提供される。第3実施形態に係る組電池は、第2実施形態に係る二次電池を複数個具備している。
第3実施形態に係る組電池において、各単電池は、電気的に直列若しくは並列に接続して配置してもよく、又は直列接続及び並列接続を組み合わせて配置してもよい。
次に、第3実施形態に係る組電池の一例について、図面を参照しながら説明する。
図8は、第3実施形態に係る組電池の一例を概略的に示す斜視図である。図8に示す組電池200は、5つの単電池100a~100eと、4つのバスバー21と、正極側リード22と、負極側リード23とを具備している。5つの単電池100a~100eのそれぞれは、第2実施形態に係る二次電池である。
バスバー21は、例えば、1つの単電池100aの負極端子6と、隣に位置する単電池100bの正極端子7とを接続している。このようにして、5つの単電池100は、4つのバスバー21により直列に接続されている。すなわち、図8の組電池200は、5直列の組電池である。例を図示しないが、電気的に並列に接続されている複数の単電池を含む組電池では、例えば、複数の負極端子同士がバスバーにより接続されるとともに複数の正極端子同士がバスバーにより接続されることで、複数の単電池が電気的に接続され得る。
5つの単電池100a~100eのうち少なくとも1つの電池の正極端子7は、外部接続用の正極側リード22に電気的に接続されている。また、5つの単電池100a~100eうち少なくとも1つの電池の負極端子6は、外部接続用の負極側リード23に電気的に接続されている。
第3実施形態に係る組電池は、第2実施形態に係る二次電池を具備する。従って、第3実施形態に係る組電池は、高容量であり且つサイクル寿命特性に優れる。
(第4実施形態)
第4実施形態によると、電池パックが提供される。この電池パックは、第3実施形態に係る組電池を具備している。この電池パックは、第3実施形態に係る組電池の代わりに、単一の第2実施形態に係る二次電池を具備していてもよい。
第4実施形態に係る電池パックは、保護回路を更に具備することができる。保護回路は、二次電池の充放電を制御する機能を有する。或いは、電池パックを電源として使用する装置(例えば、電子機器、自動車等)に含まれる回路を、電池パックの保護回路として使用してもよい。
また、第4実施形態に係る電池パックは、通電用の外部端子を更に具備することもできる。通電用の外部端子は、外部に二次電池からの電流を出力するため、及び/又は二次電池に外部からの電流を入力するためのものである。言い換えれば、電池パックを電源として使用する際、電流が通電用の外部端子を通して外部に供給される。また、電池パックを充電する際、充電電流(自動車などの動力の回生エネルギーを含む)は通電用の外部端子を通して電池パックに供給される。
次に、第4実施形態に係る電池パックの一例について、図面を参照しながら説明する。
図9は、第4実施形態に係る電池パックの一例を概略的に示す分解斜視図である。図10は、図9に示す電池パックの電気回路の一例を示すブロック図である。
図9及び図10に示す電池パック300は、収容容器31と、蓋32と、保護シート33と、組電池200と、プリント配線基板34と、配線35と、図示しない絶縁板とを備えている。
図9に示す収容容器31は、長方形の底面を有する有底角型容器である。収容容器31は、保護シート33と、組電池200と、プリント配線基板34と、配線35とを収容可能に構成されている。蓋32は、矩形型の形状を有する。蓋32は、収容容器31を覆うことにより、上記組電池200等を収容する。収容容器31及び蓋32には、図示していないが、外部機器等へと接続するための開口部又は接続端子等が設けられている。
組電池200は、複数の単電池100と、正極側リード22と、負極側リード23と、粘着テープ24とを備えている。
複数の単電池100の少なくとも1つは、第2実施形態に係る二次電池である。複数の単電池100の各々は、図10に示すように電気的に直列に接続されている。複数の単電池100は、電気的に並列に接続されていてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されていてもよい。複数の単電池100を並列接続すると、直列接続した場合と比較して、電池容量が増大する。
粘着テープ24は、複数の単電池100を締結している。粘着テープ24の代わりに、熱収縮テープを用いて複数の単電池100を固定してもよい。この場合、組電池200の両側面に保護シート33を配置し、熱収縮テープを周回させた後、熱収縮テープを熱収縮させて複数の単電池100を結束させる。
正極側リード22の一端は、組電池200に接続されている。正極側リード22の一端は、1以上の単電池100の正極と電気的に接続されている。負極側リード23の一端は、組電池200に接続されている。負極側リード23の一端は、1以上の単電池100の負極と電気的に接続されている。
プリント配線基板34は、収容容器31の内側面のうち、一方の短辺方向の面に沿って設置されている。プリント配線基板34は、正極側コネクタ342と、負極側コネクタ343と、サーミスタ345と、保護回路346と、配線342a及び343aと、通電用の外部端子350と、プラス側配線(正側配線)348aと、マイナス側配線(負側配線)348bとを備えている。プリント配線基板34の一方の主面は、組電池200の一側面と向き合っている。プリント配線基板34と組電池200との間には、図示しない絶縁板が介在している。
正極側コネクタ342に、正極側リード22の他端22aが電気的に接続されている。負極側コネクタ343に、負極側リード23の他端23aが電気的に接続されている。
サーミスタ345は、プリント配線基板34の一方の主面に固定されている。サーミスタ345は、単電池100の各々の温度を検出し、その検出信号を保護回路346に送信する。
通電用の外部端子350は、プリント配線基板34の他方の主面に固定されている。通電用の外部端子350は、電池パック300の外部に存在する機器と電気的に接続されている。通電用の外部端子350は、正側端子352と負側端子353とを含む。
保護回路346は、プリント配線基板34の他方の主面に固定されている。保護回路346は、プラス側配線348aを介して正側端子352と接続されている。保護回路346は、マイナス側配線348bを介して負側端子353と接続されている。また、保護回路346は、配線342aを介して正極側コネクタ342に電気的に接続されている。保護回路346は、配線343aを介して負極側コネクタ343に電気的に接続されている。更に、保護回路346は、複数の単電池100の各々と配線35を介して電気的に接続されている。
保護シート33は、収容容器31の長辺方向の両方の内側面と、組電池200を介してプリント配線基板34と向き合う短辺方向の内側面とに配置されている。保護シート33は、例えば、樹脂又はゴムからなる。
保護回路346は、複数の単電池100の充放電を制御する。また、保護回路346は、サーミスタ345から送信される検出信号、又は、個々の単電池100若しくは組電池200から送信される検出信号に基づいて、保護回路346と外部機器への通電用の外部端子350(正側端子352、負側端子353)との電気的な接続を遮断する。
サーミスタ345から送信される検出信号としては、例えば、単電池100の温度が所定の温度以上であることを検出した信号を挙げることができる。個々の単電池100若しくは組電池200から送信される検出信号としては、例えば、単電池100の過充電、過放電及び過電流を検出した信号を挙げることができる。個々の単電池100について過充電等を検出する場合、電池電圧を検出してもよく、正極電位又は負極電位を検出してもよい。後者の場合、参照極として用いるリチウム電極を個々の単電池100に挿入する。
なお、保護回路346としては、電池パック300を電源として使用する装置(例えば、電子機器、自動車等)に含まれる回路を用いてもよい。
また、この電池パック300は、上述したように通電用の外部端子350を備えている。したがって、この電池パック300は、通電用の外部端子350を介して、組電池200からの電流を外部機器に出力するとともに、外部機器からの電流を、組電池200に入力することができる。言い換えると、電池パック300を電源として使用する際には、組電池200からの電流が、通電用の外部端子350を通して外部機器に供給される。また、電池パック300を充電する際には、外部機器からの充電電流が、通電用の外部端子350を通して電池パック300に供給される。この電池パック300を車載用電池として用いた場合、外部機器からの充電電流として、車両の動力の回生エネルギーを用いることができる。
なお、電池パック300は、複数の組電池200を備えていてもよい。この場合、複数の組電池200は、直列に接続されてもよく、並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されてもよい。また、プリント配線基板34及び配線35は省略してもよい。この場合、正極側リード22及び負極側リード23を通電用の外部端子の正側端子と負側端子としてそれぞれ用いてもよい。
このような電池パックは、例えば大電流を取り出したときにサイクル性能が優れていることが要求される用途に用いられる。この電池パックは、具体的には、例えば、電子機器の電源、定置用電池、各種車両の車載用電池として用いられる。電子機器としては、例えば、デジタルカメラを挙げることができる。この電池パックは、車載用電池として特に好適に用いられる。
第4実施形態に係る電池パックは、第2実施形態に係る二次電池又は第3実施形態に係る組電池を備えている。したがって、第4実施形態に係る電池パックは、高容量であり且つサイクル寿命特性に優れる。
(第5実施形態)
第5実施形態によると、車両が提供される。この車両は、第4実施形態に係る電池パックを搭載している。
第5実施形態に係る車両において、電池パックは、例えば、車両の動力の回生エネルギーを回収するものである。車両は、この車両の運動エネルギーを回生エネルギーに変換する機構(Regenerator:再生器)を含んでいてもよい。
第5実施形態に係る車両の例としては、例えば、二輪乃至四輪のハイブリッド電気自動車、二輪乃至四輪の電気自動車、アシスト自転車、及び鉄道用車両が挙げられる。
第5実施形態に係る車両における電池パックの搭載位置は、特には限定されない。例えば、電池パックを自動車に搭載する場合、電池パックは、車両のエンジンルーム、車体後方又は座席の下に搭載することができる。
第5実施形態に係る車両は、複数の電池パックを搭載してもよい。この場合、それぞれの電池パックが含む電池同士は、電気的に直列に接続されてもよく、電気的に並列に接続されてもよく、又は直列接続及び並列接続を組み合わせて電気的に接続されてもよい。例えば、各電池パックが組電池を含む場合は、組電池同士が電気的に直列に接続されてもよく、又は電気的に並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて電気的に接続されてもよい。或いは、各電池パックが単一の電池を含む場合は、それぞれの電池同士が電気的に直列に接続されてもよく、電気的に並列に接続されてもよく、又は直列接続及び並列接続を組み合わせて電気的に接続されてもよい。
次に、第5実施形態に係る車両の一例について、図面を参照しながら説明する。
図11は、実施形態に係る車両の一例を概略的に示す部分透過図である。
図11に示す車両400は、車両本体40と、第4実施形態に係る電池パック300とを含んでいる。図11に示す例では、車両400は、四輪の自動車である。
この車両400は、複数の電池パック300を搭載してもよい。この場合、電池パック300が含む電池(例えば、単電池または組電池)は、直列に接続されてもよく、並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されてもよい。
図11では、電池パック300が車両本体40の前方に位置するエンジンルーム内に搭載されている例を図示している。上述したとおり、電池パック300は、例えば、車両本体40の後方又は座席の下に搭載してもよい。この電池パック300は、車両400の電源として用いることができる。また、この電池パック300は、車両400の動力の回生エネルギーを回収することができる。
次に、図12を参照しながら、第5実施形態に係る車両の実施態様について説明する。
図12は、実施形態に係る車両における電気系統に関する制御システムの一例を概略的に示した図である。図12に示す車両400は、電気自動車である。
図12に示す車両400は、車両本体40と、車両用電源41と、車両用電源41の上位の制御装置である車両ECU(ECU:Electric Control Unit;電気制御装置)42と、外部端子(外部電源に接続するための端子)43と、インバータ44と、駆動モータ45とを備えている。
車両400は、車両用電源41を、例えばエンジンルーム、自動車の車体後方又は座席の下に搭載している。なお、図12に示す車両400では、車両用電源41の搭載箇所については概略的に示している。
車両用電源41は、複数(例えば3つ)の電池パック300a、300b及び300cと、電池管理装置(BMU:Battery Management Unit)411と、通信バス412とを備えている。
電池パック300aは、組電池200aと組電池監視装置301a(例えば、VTM: Voltage Temperature Monitoring)とを備えている。電池パック300bは、組電池200bと組電池監視装置301bとを備えている。電池パック300cは、組電池200cと組電池監視装置301cとを備えている。電池パック300a~300cは、前述の電池パック300と同様の電池パックであり、組電池200a~200cは、前述の組電池200と同様の組電池である。組電池200a~200cは、電気的に直列に接続されている。電池パック300a、300b、及び300cは、それぞれ独立して取り外すことが可能であり、別の電池パック300と交換することができる。
組電池200a~200cのそれぞれは、直列に接続された複数の単電池を備えている。複数の単電池の少なくとも1つは、第2実施形態に係る二次電池である。組電池200a~200cは、それぞれ、正極端子413及び負極端子414を通じて充放電を行う。
電池管理装置411は、組電池監視装置301a~301cとの間で通信を行い、車両用電源41に含まれる組電池200a~200cに含まれる単電池100のそれぞれについて電圧及び温度などに関する情報を収集する。これにより、電池管理装置411は、車両用電源41の保全に関する情報を収集する。
電池管理装置411と組電池監視装置301a~301cとは、通信バス412を介して接続されている。通信バス412では、1組の通信線が複数のノード(電池管理装置411と1つ以上の組電池監視装置301a~301cと)で共有されている。通信バス412は、例えばCAN(Control Area Network)規格に基づいて構成された通信バスである。
組電池監視装置301a~301cは、電池管理装置411からの通信による指令に基づいて、組電池200a~200cを構成する個々の単電池の電圧及び温度を計測する。ただし、温度は1つの組電池につき数箇所だけで測定することができ、全ての単電池の温度を測定しなくてもよい。
車両用電源41は、正極端子413と負極端子414との間の電気的な接続の有無を切り替える電磁接触器(例えば図12に示すスイッチ装置415)を有することもできる。スイッチ装置415は、組電池200a~200cへの充電が行われるときにオンになるプリチャージスイッチ(図示せず)、及び、組電池200a~200cからの出力が負荷へ供給されるときにオンになるメインスイッチ(図示せず)を含んでいる。プリチャージスイッチ及びメインスイッチのそれぞれは、スイッチ素子の近傍に配置されたコイルに供給される信号によりオン又はオフに切り替わるリレー回路(図示せず)を備えている。スイッチ装置415等の電磁接触器は、電池管理装置411又は車両400全体の動作を制御する車両ECU42からの制御信号に基づいて、制御される。
インバータ44は、入力された直流電圧を、モータ駆動用の3相の交流(AC)の高電圧に変換する。インバータ44の3相の出力端子は、駆動モータ45の各3相の入力端子に接続されている。インバータ44は、電池管理装置411又は車両全体の動作を制御するための車両ECU42からの制御信号に基づいて、制御される。インバータ44が制御されることにより、インバータ44からの出力電圧が調整される。
駆動モータ45は、インバータ44から供給される電力により回転する。駆動モータ45の回転によって発生する駆動力は、例えば差動ギアユニットを介して車軸および駆動輪Wに伝達される。
また、図示はしていないが、車両400は、回生ブレーキ機構(リジェネレータ)を備えている。回生ブレーキ機構は、車両400を制動した際に駆動モータ45を回転させ、運動エネルギーを電気エネルギーとしての回生エネルギーに変換する。回生ブレーキ機構で回収した回生エネルギーは、インバータ44に入力され、直流電流に変換される。変換された直流電流は、車両用電源41に入力される。
車両用電源41の負極端子414には、接続ラインL1の一方の端子が接続されている。接続ラインL1の他方の端子は、インバータ44の負極入力端子417に接続されている。接続ラインL1には、負極端子414と負極入力端子417との間に電池管理装置411内の電流検出部(電流検出回路)416が設けられている。
車両用電源41の正極端子413には、接続ラインL2の一方の端子が、接続されている。接続ラインL2の他方の端子は、インバータ44の正極入力端子418に接続されている。接続ラインL2には、正極端子413と正極入力端子418との間にスイッチ装置415が設けられている。
外部端子43は、電池管理装置411に接続されている。外部端子43は、例えば、外部電源に接続することができる。
車両ECU42は、運転者などの操作入力に応答して電池管理装置411を含む他の管理装置及び制御装置とともに車両用電源41、スイッチ装置415、及びインバータ44等を協調制御する。車両ECU42等の協調制御によって、車両用電源41からの電力の出力及び車両用電源41の充電等が制御され、車両400全体の管理が行われる。電池管理装置411と車両ECU42との間では、通信線により、車両用電源41の残容量など、車両用電源41の保全に関するデータ転送が行われる。
第5実施形態に係る車両は、第4実施形態に係る電池パックを搭載している。第5実施形態によれば、高容量であり且つサイクル寿命特性に優れた電池パックを搭載した車両を提供することができる。
(第6実施形態)
第6実施形態によると、第2実施形態に係る二次電池を、負極電位が1.0V(vs. Li/Li+)未満となるまで充電することを含む充電方法が提供される。
本実施形態に係る充電方法は、例えば、第1実施形態に係る負極を備えた二次電池部と、充電制御部とを備える充電システムにより行われる。二次電池部の形態は、特に限定されず、セル単独、複数の単位セルが電気的に接続された組電池のいずれであってもよい。組電池において単位セルを電気的に接続する方法は、特に限定されず、直列、並列、並びに、直列及び並列を組み合わせたものを挙げることができる。
充電制御部は、例えば、二次電池部に対して、0.1C~15Cの電流で、定電流定電圧(CCCV)充電によって負極電位が1.0V(vs. Li/Li+)未満となるまで充電を施す。充電時の二次電池部の温度範囲は、例えば-30℃~60℃の範囲内である。
充電システムの形態は、特に限定されず、例えば、二次電池部と充電制御部が筐体内に収納された電池パックでありうる。或いは、例えば、車載用マイクロコントローラに充電制御部を組み込み、充電制御部に二次電池部を電気的に接続することにより充電システムを形成してもよい。また、充電システムは、様々な用途に使用可能であり、例えば、定置用や車載用、具体的には、定置用電源、二輪乃至四輪のハイブリッド電気自動車、二輪乃至四輪の電気自動車等が挙げられる。
充電システムの一例を図13に示す。図13に示す充電システムは、少なくとも1つの二次電池部25と、少なくとも1つの電池管理回路26とを含む。二次電池部25は、複数の二次電池単位セル10が直列に接続された組電池を含む。電池管理回路26は、充電制御部として機能するものである。電池管理回路26は、配線28によって二次電池単位セル10のそれぞれに電気的に接続されている。二次電池部25は、配線29により充電器27に電気的に接続されている
第6実施形態に係る充電方法によると、第1実施形態に係る負極を備える二次電池を充電することにより、負極の満充電時において繊維状物質を生成させることができる。それ故、本実施形態に係る充電方法は、或る側面によれば、第1実施形態に係る負極の製造方法の一工程であり得る。
[実施例]
(実施例1)
先ず、セルロースナノ繊維を水に分散させて液状の懸濁体を準備した。セルロースナノ繊維としては、平均繊維長が0.7μmであり、平均繊維直径が4nmであるTEMPO酸化により微細化されたセルロースナノ繊維を用いた。この懸濁体に、炭素繊維を混合して撹拌した後、粒状炭素を更に添加し撹拌して、導電剤ペーストを調製した。炭素繊維としては、平均繊維長が15μmであり、平均繊維直径が7nmである多層カーボンナノチューブ(CNT)を用いた。粒状炭素としては、平均粒径が36μnmであるアセチレンブラック及び平均粒径が6.4μmであるグラファイトの混合物を用いた。混合物におけるアセチレンブラックとグラファイトとの質量比は、1:1であった。導電剤ペーストに、カルボキシメチルセルロース水溶液を混合した後、活物質を更に加えて撹拌して、活物質ペーストを調製した。カルボキシメチルセルロース(CMC)としては、エーテル化度が 1.38であるものを用いた。活物質としては、平均粒径が1.0μmであるニオブチタン複合酸化物(NTO:Nb2TiO7)を用いた。ニオブチタン複合酸化物Nb2TiO7を、以下、「NTO」とも呼ぶ。上記の分散処理には、シンキー社製自転公転ミキサーを用いた。この活物質ペーストに、スチレンブタジエンゴム(SBR)を含むバインダ水溶液を混合し、ビーズミルを用いて撹拌して、負極スラリーを得た。CMCとSBRはバインダとして機能し得る。
負極スラリーにおいて、100質量部の活物質に対する炭素繊維、粒状炭素、セルロースナノ繊維、CMC及びSBRの量は、それぞれ、2質量部、2質量部、1質量部、1.5質量部、及び1.5質量部であった。
負極スラリーをアルミニウム箔の一方の面に塗布し、乾燥させた後、ロールプレス機を用いて圧延処理を行い、負極を得た。活物質含有層の密度は2.6g/cmであった。
<サイクル性能評価>
乾燥アルゴン雰囲気下で、作用極としての負極(20mm×20mm角)と、対極としてのリチウム金属とを、間にセパレータとしてのグラスフィルターを介して対向させて、3極式ガラスセルに入れた。更に、作用極及び対極に接触しないように、参照極としてのリチウム金属を前記3極式ガラスセルに挿入した。
その後、作用極、対極及び参照極のそれぞれをガラスセルの端子に接続した。続いて、ガラスセル内に電解液を注ぎ、セパレータ、並びに作用極、対極及び参照極に充分に電解液が含浸された状態で、ガラスセルを密閉して評価用セルを作製した。電解液の溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)を体積比率1:2で混合した混合溶媒を用いた。電解液の電解質としては、LiPF6を用いた。電解液中の電解質の濃度は1.0mol/Lとした。
45℃の温度下で、充放電レートを1Cとし、0.7V(対Li/Li+)以上3.0V(対Li/Li+)以下の電圧範囲でサイクル試験を行った。1サイクル目の放電容量と50サイクル目の放電容量とを測定し、1サイクル目の放電容量に対する50サイクル目の放電容量の割合を、容量維持率とした。なお、初回充電は定電流定電圧(CCCV)の条件で10時間に亘る充電を行い、放電は定電流(CC)条件で設定電位まで行った。SEM観察は初回充電後に行った。また、サイクル性能評価は、充電をCCCVの条件(カットオフ条件1/20C)、放電はCC放電として試験を行った。
(実施例2)
実施例2では、以下の事項を除いて、実施例1と同様に負極の作製及びサイクル性能評価を行った。
活物質として、ニオブチタン複合酸化物(Nb2TiO7)の代わりにSi/SiO複合体を使用した。バインダとして、CMC及びSBRを使用する代わりに、ポリイミドを使用し且つその添加量を、活物質100質量部に対して22質量部とした。また、サイクル性能評価では、負極充電電位を0.01V(vs. Li/Li+)、放電電位を2.5V(vs. Li/Li+)とした。
(実施例3)
負極充電電位を0.9V(vs. Li/Li+)としたことを除いて、実施例1と同様に負極を作製し、サイクル性能評価を行った。
(実施例4)
バインダとして、SBRに代えてポリアクリルアミドを使用したことを除いて、実施例1と同様に負極を作製し、サイクル性能評価を行った。
(実施例5)
バインダとして、SBRに代えてアクリル系バインダを使用したことを除いて、実施例1と同様に負極を作製し、サイクル性能評価を行った。
(実施例6)
バインダとして、CMCに代えてアルギン酸ナトリウムを使用したことを除いて、実施例1と同様に負極を作製し、サイクル性能評価を行った。
(実施例7)
セルロースナノ繊維添加量を0.1質量部としたことを除いて、実施例1と同様に負極を作製し、サイクル性能評価を行った。
(実施例8)
セルロースナノ繊維添加量を2質量部としたことを除いて、実施例1と同様に負極を作製し、サイクル性能評価を行った。
(実施例9)
CNT添加量を4質量部としたことを除いて、実施例1と同様に負極を作製し、サイクル性能評価を行った。
(実施例10)
セルロースナノ繊維として、TEMPO酸化されておらず、且つ、機械的に微細化されたものを使用したことを除いて、実施例1と同様に負極を作製し、サイクル性能評価を行った。
(実施例11)
活物質として、ニオブチタン複合酸化物(NTO)の代わりにスピネル構造を有するチタン酸リチウム(Li4Ti512)を使用したことを除いて、実施例1と同様に負極を作製し、サイクル性能評価を行った。チタン酸リチウムLi4Ti512を、以下、「LTO」とも呼ぶ。
(比較例1)
セルロースナノ繊維を添加しなかったことを除いて、実施例1と同様に負極を作製し、サイクル性能評価を行った。
(比較例2)
CNTを添加しなかったことを除いて、実施例1と同様に負極を作製し、サイクル性能評価を行った。
(比較例3)
負極充電電位を1.2V(vs. Li/Li+)としたことを除いて、実施例1と同様に負極を作製し、サイクル性能評価を行った。
(比較例4)
セルロースナノ繊維の平均繊維径を200nmとしたことを除いて、実施例1と同様に負極を作製し、サイクル性能評価を行った。
(比較例5)
セルロースナノ繊維を添加しなかったことを除いて、実施例11と同様に負極を作製し、サイクル性能評価を行った。
<SEM観察>
各例にて得られた負極について、第1実施形態において説明した方法に従ってSEM観察を行い、視野内に存在する前記複数の活物質粒子の総数TNに対する、視野内の他の活物質粒子に対して繊維状物質によって接続されている活物質粒子の数LNの割合Pを算出した。
実施例及び比較例に係る負極について、下記の表1にまとめる。
表1において、「質量部」として記載している列には、各材料について、100質量部の活物質に対する当該材料の配合量を示している。「サイクル試験電圧範囲」として記載している列には、金属リチウムの酸化還元電位を基準とした値を示している。「割合P」と記載している列には、各例におけるSEM画像観察の結果から算出された、画像の視野内に存在する複数の活物質粒子の総数TNに対する、視野内の他の活物質粒子に対して繊維状物質によって接続されている活物質粒子の数LNの割合を百分率で示している。
実施例1~11に示すように、導電剤、バインダ及びセルロース繊維を含み、且つ、満充電時における活物質含有層をSEM観察した場合に得られる画像についての割合Pが50%以上である負極によると、高い容量及び優れた容量維持率を達成することができた。
実施例1及び2に示すように、活物質の種類を変更しても高容量であり且つ優れた容量維持率を実現できた。実施例1、2及び4~9では、割合Pが65%以上であったが、実施例3及び10に示すように、サイクル試験における充放電条件を変化させたり、使用するセルロースナノ繊維の種類を変更したりして、割合Pを50%~65%未満の範囲となるように低めに制御した場合であっても優れた容量維持率を実現できた。また、実施例10に示すように、セルロースナノ繊維としてTEMPO酸化されていないものを使用した場合には、粒子間における繊維状物質の発現量が若干低下する傾向があったが、優れた容量維持率を実現できた。
実施例4~6に示すように、バインダの種類を変更しても高い容量及び優れた容量維持率を実現できた。実施例8及び9に示すように、セルロースナノ繊維の含有量を増減させた場合にも、高い容量及び優れた容量維持率を実現できた。
比較例1に示すように、セルロースナノ繊維を添加しない場合には、満充電時の負極についての割合Pが22%であった。低い割合Pを示す負極の活物質含有層では、満充電時にニオブチタン複合酸化物の体積膨張の影響を受けやすいため層内の導電パスが切断されやすかったと考えられる。そのため、比較例1に係る容量維持率は実施例1~11と比較して劣っていた。
比較例3では、サイクル試験における負極充電電位が1.2Vであった。このような電位では、負極活物質粒子間に繊維状物質が生成しなかった。比較例3は容量維持率に優れていたが、放電容量が、NTOを含む実施例1及び3~10と比較して劣っていた。
比較例4では、セルロースナノ繊維の平均繊維径が過度に大きかったため、本願明細書及び特許請求の範囲における繊維状物質の繊維径の定義、即ち1nm以上50nm以下を満たしていない繊維を多く含んでいた。そのため、割合Pが非常に低く、容量維持率が乏しかったと考えられる。
以上説明した少なくとも一つの実施形態及び実施例に係る負極が提供される。負極は、集電体と、集電体に担持され、複数の活物質粒子、導電剤、バインダ及びセルロース繊維を含む活物質含有層とを備える。セルロース繊維の平均繊維直径は1nm以上80nm以下の範囲内にある。負極の満充電時における活物質含有層は繊維状物質を含む。活物質含有層の断面を走査型電子顕微鏡により2万倍の倍率で観察して得られる画像において、画像の視野内に存在する複数の活物質粒子の総数TNに対する、視野内の他の活物質粒子に対して繊維状物質によって接続されている活物質粒子の数LNの割合は、50%以上である。この負極によると、充放電サイクルを繰り返した場合にも、電子導電パスが切断されにくいため、高い容量及び優れたサイクル寿命特性を達成することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…電極群、2…外装部材、3…負極、3a…負極集電体、3b…負極活物質含有層、3c…負極集電タブ、4…セパレータ、5…正極、5a…正極集電体、5b…正極活物質含有層、6…負極端子、7…正極端子、21…バスバー、22…正極側リード、22a…他端、23…負極側リード、23a…他端、24…粘着テープ、31…収容容器、32…蓋、33…保護シート、34…プリント配線基板、35…配線、40…車両本体、41…車両用電源、42…電気制御装置、43…外部端子、44…インバータ、45…駆動モータ、50…電極、100…二次電池、200…組電池、200a…組電池、200b…組電池、200c…組電池、300…電池パック、300a…電池パック、300b…電池パック、300c…電池パック、301a…組電池監視装置、301b…組電池監視装置、301c…組電池監視装置、342…正極側コネクタ、343…負極側コネクタ、345…サーミスタ、342a…配線、343a…配線、350…通電用の外部端子、352…正側端子、353…負側端子、348a…プラス側配線、348b…マイナス側配線、400…車両、411…電池管理装置、412…通信バス、413…正極端子、414…負極端子、415…スイッチ装置、416…電流検出部、417…負極入力端子、418…正極入力端子、L1…接続ライン、L2…接続ライン、W…駆動輪。

Claims (13)

  1. 集電体と、前記集電体に担持され、複数の活物質粒子、導電剤、バインダ及びセルロース繊維を含む活物質含有層とを備える負極であって、
    前記セルロース繊維の平均繊維直径は1nm以上80nm以下の範囲内にあり、
    前記負極の満充電時における前記活物質含有層は繊維状物質を含み、
    前記活物質含有層の断面を走査型電子顕微鏡により2万倍の倍率で観察して得られる画像において、前記画像の視野内に存在する前記複数の活物質粒子の総数TNに対する、前記視野内の他の活物質粒子に対して前記繊維状物質によって接続されている活物質粒子の数LNの割合Pは、50%以上である負極。
  2. 前記繊維状物質は、リチウム化合物を含む請求項1に記載の負極。
  3. 前記複数の活物質粒子は、ニオブチタン複合酸化物、シリコン及びシリコン酸化物からなる群より選択される少なくとも一種を含む請求項1又は2に記載の負極。
  4. 100質量部の前記複数の活物質粒子に対する前記セルロース繊維の量は、0.1質量部以上2.5質量部以下である請求項1~3の何れか1項に記載の負極。
  5. 前記導電剤は、炭素繊維を含む請求項1~4の何れか1項に記載の負極。
  6. 前記バインダは、カルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンゴム及びポリアクリルイミドからなる群より選択される少なくとも一種を含む請求項1~5の何れか1項に記載の負極。
  7. 正極と、
    請求項1~6の何れか1項に記載の負極と、
    電解質とを備える二次電池。
  8. 請求項7に記載の二次電池を具備する電池パック。
  9. 通電用の外部端子と、
    保護回路とを更に具備する請求項8に記載の電池パック。
  10. 複数の前記二次電池を具備し、
    前記二次電池が、直列、並列、又は直列及び並列を組み合わせて電気的に接続されている請求項8又は9に記載の電池パック。
  11. 請求項8~10の何れか1項に記載の電池パックを搭載した車両。
  12. 前記車両の運動エネルギーを回生エネルギーに変換する機構を含む請求項11に記載の車両。
  13. 請求項7に係る二次電池を、
    前記負極の充電電位が1.0V(vs. Li/Li+)未満となるように充電することを含む、二次電池の充電方法。


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