JP2023108471A - 噴霧用除菌剤及び除菌方法 - Google Patents

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幸子 浅野
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Abstract

【課題】光が届きにくい箇所や時間においても持続的な除菌効果を発揮することができる噴霧用除菌剤を提供する。【解決手段】タングステン酸アンモニウムを含む噴霧用除菌剤。タングステン酸アンモニウムは、暗所においても除菌効果を有するため、これを含む噴霧用除菌剤を噴霧することで、光が届きにくい箇所や時間においても持続的な除菌効果を得ることができる。この噴霧用除菌剤には、次亜塩素酸をさらに含むことが好ましい。これにより、タングステン酸アンモニウムによる持続的な除菌効果に加えて、次亜塩素酸による即効性の高い除菌効果も得ることができる。【選択図】 図1

Description

特許法第30条第2項適用申請有り (1) 日本経済新聞における公開,令和3年8月18日 (2) おかやまテクノロジー展2021におけるパンフレット頒布,令和3年11月16日 (3) Yahoo!ショッピングにおける販売,令和3年2月
本発明は、噴霧用除菌剤に関する。本発明は、また、この噴霧用除菌剤を用いた除菌方法にも関する。
近年、除菌効果を有する光触媒に注目が集まっている。光触媒は、一般的に無機触媒であり、機能を発揮する前後で自身の構造が変化しない(一度機能を発揮した後でも活性を失わない)という特徴を有している。このため、光触媒を用いると、持続的な除菌効果を得ることができる。
中でも酸化チタンは、除菌効果を有する光触媒として、既に塗料等の用途に広く用いられている。ところが、酸化チタンは、紫外領域(波長380nm以下)では光触媒活性を有するものの、可視光領域(波長380~780nm程度)では活性を有しないため、紫外線の届きにくい屋内では除菌効果が得られにくいという問題を有している。
このような状況に鑑みてか、特許文献1には、可視光領域で除菌効果を有する光触媒として、酸化タングステンを含有する光触媒塗布液が記載されている。同文献の段落0072~0150には、この光触媒塗布液を塗布したPETフィルムやステンレス箔を、菌濃度1×10/mlの大腸菌培養液に浸漬し、蛍光灯の光(可視光)を照射したところ、2~3時間後には培養液中の大腸菌数が0になったと記載されている。
特開2018-153787号公報
ところが、酸化チタンや酸化タングステン等の光触媒は、光が当たっていない状態では除菌効果を発揮することができない。このため、酸化チタンや酸化タングステンを用いた場合には、光が届きにくい箇所(例えば、家具等の陰になる箇所等)や、光を得にくい時間帯(例えば、夜間等)においては、除菌効果が得られにくいという問題がある。
加えて、近年では、新型コロナウイルスの世界的流行等によって、空間や物(例えば、衣服や、カーテンや、壁紙や、カーペット等)等に対して噴霧することにより手軽に除菌を行うことができる噴霧用除菌剤の需要が高まっているところ、酸化チタンや酸化タングステンは、噴霧用除菌剤には適さないという問題も有している。というのも、酸化チタンの分散液は、不透明な白色をしており、酸化タングステンの分散液は、やや不透明で黄色味を帯びた色をしているため、これらを被除菌空間や被除菌物に対して噴霧すると、被除菌空間内にある物や被除菌物が着色されてしまうからである。
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、光が届きにくい箇所や時間においても持続的な除菌効果を発揮することができる噴霧用除菌剤を提供するものである。また、この噴霧用除菌剤を用いた除菌方法を提供することも本発明の目的である。
上記課題は、
タングステン酸アンモニウムを含む噴霧用除菌剤
を提供することによって解決される。
ここで、「除菌」とは、細菌や真菌を取り除くことに加えて、ウイルスを取り除くことも意味するものとする。ただし、本発明に係る噴霧用除菌剤は、細菌、真菌及びウイルスの全てを取り除くことができるものである必要はなく、少なくとも1種の細菌、真菌又はウイルスを取り除くことができるものであればよい。
上記の噴霧用除菌剤は、無機触媒であるタングステン酸アンモニウムを含んでいる。タングステン酸アンモニウムは、後で詳しく説明するように、明所だけでなく暗所においても除菌効果を発揮することができるという特徴を有している。このため、上記の噴霧用除菌剤は、光が届きにくい箇所や時間においても持続的な除菌効果を発揮することができる。加えて、タングステン酸アンモニウムは、酸化チタンや酸化タングステンとは異なり、その分散液が略透明かつ略無色であるという特徴も有している。このため、上記の噴霧用除菌剤を被除菌空間や被除菌物に対して噴霧した際にも、被除菌空間内にある物や被除菌物が着色されにくくすることができる。
上記の噴霧用除菌剤においては、次亜塩素酸をさらに含むことが好ましい。というのも、タングステン酸アンモニウムによる除菌効果は、持続的である一方、即効性には乏しいところ、次亜塩素酸をさらに含むことにより、上記の噴霧用除菌剤を、持続性と即効性とを併せ持つものとすることができるからである。この場合の次亜塩素酸は、塩化物イオンを含む水溶液の電気分解によって得たものであってもよいが、次亜塩素酸ナトリウム由来又はジクロロイソシアヌル酸由来のものであることが好ましい。これにより、次亜塩素酸の濃度を容易に調整することができる。また、噴霧用除菌剤の製造コストを低く抑えることもできる。
上記の噴霧用除菌剤においては、ジプロピレングリコールをさらに含むことが好ましい。これにより、タングステン酸アンモニウムが噴霧用除菌剤の液中で分散しやすくすることができる。また、噴霧用除菌剤を被除菌空間や被除菌物に対して噴霧した際に、被除菌空間にある物の表面や被除菌物の表面にタングステン酸アンモニウムが留まりやすくすることもできる。
上記の噴霧用除菌剤においては、パラジウム化合物をさらに含むことが好ましい。これにより、タングステン酸アンモニウムの除菌効果をさらに高めることができる。
上記の噴霧用除菌剤に含まれるタングステン酸アンモニウムの平均粒径は、2nm以上500nm以下であることが好ましい。この理由については、後で詳しく説明する。
上記の噴霧用除菌剤は、そのまま噴霧できる状態(濃さ)で提供することもできる。ただし、この場合には、噴霧用除菌剤を輸送する際の輸送コスト等が高くつくおそれがある。このため、上記の噴霧用除菌剤は、上記の噴霧用除菌剤を作ることができる噴霧用除菌剤の元として提供することができる。この噴霧用除菌剤の元に、適当な液状基材(例えば、水や水溶液等)を加えることにより、上記の噴霧用除菌剤を作ることができる。噴霧用除菌剤の元は、その形態を特に限定されない。噴霧用除菌剤の元は、例えば、液状物や、粉末状物や、液状物と粉末状物との組み合わせ等とすることができる。
上記の噴霧用除菌剤は、その用途を特に限定されない。上記の噴霧用除菌剤は、例えば、これを空間に噴霧する空間の除菌方法に用いることができる。あるいは、上記の噴霧用除菌剤は、これを被除菌物に対して吹きかける被除菌物の除菌方法にも用いることができる。
上記の噴霧用除菌剤は、水又は水溶液にタングステン酸アンモニウムを加えることにより製造することができる。
以上のように、本発明によって、光が届きにくい箇所や時間においても持続的な除菌効果を発揮することができる噴霧用除菌剤を提供することが可能になる。また、この噴霧用除菌剤を用いた除菌方法を提供することも可能になる。
本実施形態の噴霧用除菌剤に含まれるタングステン酸アンモニウム粒子の電子顕微鏡写真である。
本発明の好適な実施形態について、より具体的に説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、以下に述べる実施形態に限定されない。
1.概要
本実施形態の噴霧用除菌剤は、水を基材としており、タングステン酸アンモニウムと、次亜塩素酸と、ジプロピレングリコールと、パラジウム化合物とを含んでいる。この噴霧用除菌剤は、タングステン酸アンモニウム(無機触媒)による持続性に優れた除菌効果と、次亜塩素酸による即効性に優れた除菌効果とを併せ持っている。すなわち、例えば、この噴霧用除菌剤を空間に噴霧すると、次亜塩素酸が、空間中を漂う埃や飛沫等に含まれるウイルス、細菌、真菌等を素早く除菌するとともに、タングステン酸アンモニウムが、被除菌空間中にある物の表面等に付着して、その付着した箇所で持続的な除菌効果を発揮する。タングステン酸アンモニウムは、酸化チタンや酸化タングステン等とは異なり、光が届きにくい箇所や時間においても除菌効果を発揮することができる。
2.タングステン酸アンモニウム
図1は、本実施形態の噴霧用除菌剤に含まれるタングステン酸アンモニウム粒子10の電子顕微鏡写真である。図1の顕微鏡写真は、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)H-7560を用いて撮影した。同図右下のスケールの1目盛は、5nmである。
噴霧用除菌剤に含まれるタングステン酸アンモニウムは、その粒子径を特に限定されない。ただし、タングステン酸アンモニウムの粒子径を小さくすることにより、比表面積を高めて、単位重量当たりの活性を高めることができる。このため、タングステン酸アンモニウムの平均粒径(動的光散乱法により測定される平均粒径。以下同じ。)は、500nm以下であることが好ましい。タングステン酸アンモニウムの平均粒径は、300nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることがさらに好ましく、20nm以下であることがよりさらに好ましい。一方、タングステン酸アンモニウムの粒子径を小さくしすぎると、タングステン酸アンモニウムが液中で分散しにくくなる(アグリゲーションを起こしやすくなる)おそれがある。また、被除菌物等の表面に付着したタングステン酸アンモニウムが、弱い風等でも吹き飛ばされやすくなり、被除菌物表面に留まりにくくなるおそれもある。このため、タングステン酸アンモニウムの平均粒径は、2nm以上であることが好ましい。タングステン酸アンモニウムの平均粒径は、3nm以上であることがより好ましく、4nm以上であることがさらに好ましい。本実施形態においては、図1に示すように、粒子径が約5~10nm程度のタングステン酸アンモニウム粒子10を用いている。
タングステン酸アンモニウムの具体的な種類(分子構造)は、特に限定されない。タングステン酸アンモニウムとしては、例えば、下記の一般式(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)のいずれかで表されるものを用いることができる。

(NH・M・qWO・zHO (1)

(NH・M・(WO・zHO (2)

(NH・M・(WO・(WO・zHO (3)

(NH・M・O・qWO・zHO (4)

(NH・M[H]・zHO (5)

(一般式(1)~(5)中、Mは、Li、Na、K、Cs及びRbから成る群より選ばれる1種以上の元素であり;x>0、y≧0、z≧0、n≧0、m>0、q>0、r>0であり;x、y、z、n、m、q及びrは、整数でなくともよい。)
タングステン酸アンモニウムとしては、より具体的には、下記の式(I)、(II)、(III)、(IV)又は(V)のいずれかで表されるものを用いることができる。

(NH・H(W10・20HO (I)

5(NHO・12WO・11HO (II)

5(NHO・12WO・7HO (III)

(NH10・W1241・5HO (IV)

(NH10・H1242・4HO (V)

本実施形態においては、上記式(I)で表されるタングステン酸アンモニウムを用いている。
タングステン酸アンモニウムの製造方法も、特に限定されない。上記の式(I)~(V)で表されるタングステン酸アンモニウムは、例えば、パラタングステン酸アンモニウム水溶液に塩酸を添加して加熱することで得ることができる。
噴霧用除菌剤に含まれるタングステン酸アンモニウムの量は、特に限定されない。ただし、タングステン酸アンモニウムの含有量が少なすぎると、所望の除菌効果が得られにくいおそれがある。このため、噴霧用除菌剤に含まれるタングステン酸アンモニウムの量は、0.01mg/L以上であることが好ましく、0.05mg/L以上であることがより好ましく、0.1mg/L以上であることがさらに好ましい。一方、タングステン酸アンモニウムの含有量が多すぎると、噴霧用除菌剤の製造コストが高くなりすぎるおそれがある。このため、噴霧用除菌剤に含まれるタングステン酸アンモニウムの量は、1.0mg/L以下であることが好ましく、0.5mg/L以下であることがより好ましく、0.3mg/L以下であることがさらに好ましい。本実施形態における噴霧用除菌剤は、0.25mg/L程度のタングステン酸アンモニウムを含んでいる。
噴霧用除菌剤には、タングステン酸アンモニウム以外の無機触媒を加えることもできる。ただし、光触媒として広く用いられている酸化チタンは、非常に強い酸化力を有しているため、これを被除菌空間に対して噴霧すると、被除菌空間内にある金属製品等が錆びてしまうおそれがある。このため、噴霧用除菌剤には、酸化チタンを実質的に含有しないことが好ましい。ここで、「実質的に含有しない」とは、噴霧用除菌剤又はこれに含まれる各成分の製造過程において、積極的に添加又は生成されなかったことを意味する。したがって、例えば不純物等として微量の酸化チタンが混入している場合等も、「実質的に含有しない」に該当する。以下においても同様とする。
3.次亜塩素酸
本実施形態の噴霧用除菌剤には、次亜塩素酸が含まれている。次亜塩素酸は、即効性の高い除菌効果を発揮することができる。即効性除菌成分としては、他にアルコール(エタノールやイソプロパノール等)が広く用いられているが、アルコール類は一般的に引火点が低く、安全性への懸念がある。また、アルコールは非常に高い濃度(70%程度以上)でなければ十分な除菌効果を得られないため、例えば濡れた被除菌物にアルコール系除菌液を噴霧した場合には、除菌効果が得られにくくなるおそれがある。この点、次亜塩素酸は、水系で用いられるため引火の心配がない。また、濡れた被除菌物に噴霧した場合にも高い除菌効果を発揮することができる。さらに、アルコールに比べて手荒れの心配も少ない。以上のような理由から、本実施形態においてはアルコールではなく次亜塩素酸を採用している。
次亜塩素酸の製造方法は、特に限定されない。次亜塩素酸は、例えば、塩化物イオンを含む水溶液の電気分解によって得られたものであってもよい。ただし、この場合には、生成する次亜塩素酸の濃度を調整しにくいおそれがある。また、電気分解には高価な装置が必要であるため、コストが高くなりすぎるおそれもある。このため、噴霧用除菌剤に含まれる次亜塩素酸は、化学的な方法により得られたものであることが好ましい。具体的には、次亜塩素酸は、次亜塩素酸ナトリウム由来又はジクロロイソシアヌル酸由来のものであることが好ましい。これにより、次亜塩素酸の濃度を容易に調整することができるとともに、コストを低く抑えることもできる。
噴霧用除菌剤に含まれる次亜塩素酸の濃度は、特に限定されない。ただし、次亜塩素酸の濃度が低すぎると、即効性の除菌効果が得られにくくなるおそれがある。このため、噴霧用除菌剤に含まれる次亜塩素酸の濃度は、50ppm以上とすることが好ましい。噴霧用除菌剤に含まれる次亜塩素酸の濃度は、100ppm以上とするとより好ましく、150ppm以上とするとさらに好ましい。一方、次亜塩素酸の濃度が高すぎると、被除菌空間にある物や被除菌物を傷めるおそれがある。このため、噴霧用除菌剤に含まれる次亜塩素酸の濃度は、500ppm以下とすることが好ましい。噴霧用除菌剤に含まれる次亜塩素酸の濃度は、400ppm以下とすることがより好ましく、300ppm以下とすることがさらに好ましい。本実施形態の噴霧用除菌剤に含まれる次亜塩素酸の濃度は、200ppm程度である。
4.ジプロピレングリコール
本実施形態の噴霧用除菌剤には、ポリオールの一種であるジプロピレングリコールを添加している。ジプロピレングリコールは、分散剤として機能し、図1に示すように、タングステン酸アンモニウムを液中で分散させやすくすることができる。
ジプロピレングリコールは、また、付着剤としての機能も担っている。すなわち、空間や被除菌物に対して噴霧用除菌剤を噴霧すると、タングステン酸アンモニウム粒子は被除菌空間にある物の表面や被除菌物の表面に付着し、そこで持続的に除菌効果を発揮する。ところが、付着していたタングステン酸アンモニウム粒子が風や摩擦等によって取り除かれてしまうと、その箇所では除菌効果が得られなくなってしまう。この点、噴霧用除菌剤にジプロピレングリコールを添加しておくと、ジプロピレングリコールが糊のような役目を果たし、物の表面に付着したタングステン酸アンモニウム粒子がそこに留まりやすくすることができる。加えて、タングステン酸アンモニウム粒子が既に付着している表面に、重ねてタングステン酸アンモニウム粒子が積層しやすくすることもできる(積層効果)。これにより、その表面により多くのタングステン酸アンモニウム粒子を付着させることができ、より高い除菌効果を得ることができる。
噴霧用除菌剤に含まれるジプロピレングリコールの量は、特に限定されない。ただし、ジプロピレングリコールの含有量が少なすぎると、分散剤や付着剤としての効果が得られにくくなるおそれがある。このため、ジプロピレングリコールの含有量は、タングステン酸アンモニウム100重量部に対して100重量部以上であることが好ましく、200重量部以上であることがより好ましい。また、噴霧用除菌剤におけるジプロピレングリコールの濃度は、0.01w/v%以上であることが好ましく、0.03w/v%以上であることがより好ましく、0.05w/v%以上であることがさらに好ましい。
一方、ジプロピレングリコールの含有量が多すぎると、噴霧用除菌剤の粘度が高くなりすぎてしまい、噴霧しにくくなるおそれがある。このため、ジプロピレングリコールの含有量は、タングステン酸アンモニウム100重量部に対して600重量部以下であることが好ましく、400重量部以下であることがより好ましい。また、噴霧用除菌剤におけるジプロピレングリコールの濃度は、1.0w/v%以下であることが好ましく、0.5w/v%以下であることがより好ましく、0.1w/v%以下であることがさらに好ましい。本実施形態においては、タングステン酸アンモニウム100重量部に対して300重量部程度のジプロピレングリコールを加えており、噴霧用除菌剤におけるジプロピレングリコールの濃度は、0.075w/v%程度である。
噴霧用除菌剤には、ジプロピレングリコール以外のポリオールを加えることもできる。噴霧用除菌剤に添加することができるポリオールとしては、例えば、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレンリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、テトラメチレングリコール、イソプレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、1,2-ドデカンジオール、グリセロール、ペンタエリスリトール等が挙げられる。ポリオールは、1種類だけを用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
5.パラジウム化合物
本実施形態の噴霧用除菌剤には、パラジウム化合物が含まれている。これにより、タングステン酸アンモニウムの除菌効果を高めることができる。
パラジウム化合物は、その種類を特に限定されない。パラジウム化合物としては、有機パラジウムを用いることもできるが、通常、無機パラジウム塩を用いる。具体的には、例えば、塩化パラジウム、塩化パラジウム酸ナトリウム、塩化パラジウム酸カリウム、塩化パラジウム酸アンモニウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム等を用いることができる。本実施形態においては、パラジウム化合物として、塩化パラジウム(II)を採用している。なお、噴霧用除菌剤には、他の種類の金属化合物や金属粒子を添加することもできる。具体的には、例えば、金属パラジウム、白金、銅、酸化銅等の微粒子を添加することができる。
噴霧用除菌剤に含まれるパラジウム化合物の量は、特に限定されない。ただし、パラジウム化合物の含有量が少なすぎると、所望の効果を得られにくくなるおそれがある。このため、パラジウム化合物の含有量は、タングステン酸アンモニウム100重量部に対して0.005重量部以上であることが好ましく、0.01重量部以上であることがより好ましく、0.02重量部以上であることがさらに好ましい。また、噴霧用除菌剤におけるパラジウム化合物の含有量は、0.01mg/L以上であることが好ましく、0.03mg/L以上であることがより好ましく、0.05mg/L以上であることがさらに好ましい。
一方、パラジウム化合物の含有量が多すぎると、噴霧用除菌剤のコストが高くなりすぎるおそれがある。このため、パラジウム化合物の含有量は、タングステン酸アンモニウム100重量部に対して0.2重量部以下であることが好ましく、0.1重量部以下であることがより好ましく、0.05重量部以下であることがさらに好ましい。また、噴霧用除菌剤におけるパラジウム化合物の含有量は、1.0mg/L以下であることが好ましく、0.5mg/L以下であることがより好ましく、0.1mg/L以下であることがさらに好ましい。本実施形態においては、タングステン酸アンモニウム100重量部に対して0.03重量部程度のパラジウム化合物を加えており、噴霧用除菌剤におけるパラジウム化合物の含有量は、0.075mg/L程度である。
6.製造方法
噴霧用除菌剤は、その製造方法を特に限定されない。本実施形態の噴霧用除菌剤は、次亜塩素酸水溶液製造工程と、混合工程とを経ることにより製造することができる。
次亜塩素酸水溶液製造工程は、次亜塩素酸水溶液を製造する工程である。次亜塩素酸水溶液は、電気分解によって製造しても良いが、既に述べたように、次亜塩素酸ナトリウム又はジクロロイソシアヌル酸を用いて製造することが好ましい。本実施形態においては、次亜塩素酸ナトリウムを用いた希釈混合方式により次亜塩素酸水溶液を製造している。すなわち、次亜塩素酸ナトリウム水溶液に、酸水溶液(例えば、塩酸水溶液等)を加えて液性をpH5.0~7.5程度とすることで、次亜塩素酸水溶液を製造している。一方、ジクロロイソシアヌル酸を用いる場合には、ジクロロイソシアヌル酸粉末を水に溶解することで、次亜塩素酸水溶液を製造することができる。次亜塩素酸水溶液製造工程で製造する次亜塩素酸水溶液の濃度は特に限定されないが、本実施形態においては200ppm程度としている。
混合工程は、次亜塩素酸水溶液製造工程で製造された次亜塩素酸水溶液に、タングステン酸アンモニウムを加えて混合する工程である。これにより、噴霧用除菌剤を得ることができる。
タングステン酸アンモニウムは、粉末等の状態で次亜塩素酸水溶液に加えてもよい。ただし、タングステン酸アンモニウムの粒径が小さい場合には、これを粉末状とすると、取り扱いがしにくくなるおそれがある。このため、本実施形態においては、タングステン酸アンモニウムを、水を基材としたタングステン酸アンモニウム分散液の状態で次亜塩素酸水溶液に加えている。タングステン酸アンモニウム分散液には、予め、ジプロピレングリコールと、パラジウム化合物(塩化パラジウム)とが含まれている。タングステン酸アンモニウム分散液における各要素の含有量は特に限定されない。本実施形態におけるタングステン酸アンモニウム分散液には、タングステン酸アンモニウムが10mg/L程度、ジプロピレングリコールが3%程度、塩化パラジウムが3μg/L程度含まれている。なお、ジプロピレングリコールやパラジウム化合物は、タングステン酸アンモニウムとは別に次亜塩素酸水溶液に加えてもよい。
7.その他
噴霧用除菌剤のpHは、特に限定されない。ただし、pHが高すぎたり低すぎたりすると、被除菌空間内にある物や被除菌物等を傷めるおそれがある。また、本実施形態の噴霧用除菌剤に含まれる次亜塩素酸は、pH7.5以上では、その大半が除菌効果の低い次亜塩素酸イオンとなってしまう。このため、噴霧用除菌剤のpHは、pH5.0~7.5程度であることが好ましく、pH5.5~7.0程度であることがより好ましく、pH5.2~6.3程度であることがさらに好ましい。本実施形態の噴霧用除菌剤は、pH6.0程度となっている。
噴霧用除菌剤には、適当な添加物を加えてもよい。このような添加物としては、例えば、分散剤、安定剤、pH調整剤、香料(例えば、精油等)、保湿剤、界面活性剤、アルコール、ポリマー等が挙げられる。
噴霧用除菌剤は、そのまま噴霧できる状態(濃さ)で提供してもよい。ただし、この場合には、噴霧用除菌剤の輸送コストが高くなるおそれがある。このため、噴霧用除菌剤は、適当な液状基材(例えば、水や水溶液等)を加えることで噴霧用除菌剤を作ることができる「噴霧用除菌剤の元」として提供することができる。「噴霧用除菌剤の元」は、その形態を特に限定されない。「噴霧用除菌剤の元」は、例えば、液状物や、粉末状物や、液状物と粉末状物との組み合わせ等とすることができる。液状物と粉末状物との組み合わせとしては、例えば、ジプロピレングリコール及びパラジウム化合物を含むタングステン酸アンモニウム分散液(これらの各成分を、噴霧時の噴霧用除菌剤よりも多く含む分散液)と、ジクロロイソシアヌル酸粉末との組み合わせ等が挙げられる。このように、噴霧用除菌剤を「噴霧用除菌剤の元」として提供することにより、体積が小さい状態で輸送することができるため、輸送コストを低く抑えることができる。
8.実験
本発明に係る噴霧用除菌剤の持続的な除菌効果を確かめるために、実験を行った。実験は、JIS R 1702:2012のフィルム密着法に準拠して、下記の要領で行った。すなわち、プラスチック板製の試験片(50mm角)を用意し、タングステン酸アンモニウムを含む噴霧用除菌剤を当該試験片の片面に塗布し乾燥させた。続いて、除菌剤塗布後の試験片に、照度1mW/cmの紫外線を24時間照射することによって、試験片の事前清浄を行った。事前清浄が完了した試験片における、噴霧用除菌剤を塗布した面に、下記の試験菌A又は試験菌Bを含む試験菌液を滴下した。試験菌Aは、試験片1枚当たりの菌数が2.1×10個となるようにし、試験菌Bは、試験片1枚当たりの菌数が1.2×10個となるようにした。試験菌液滴下後の試験片を、25±5°C環境下、照度0.1mW/cmの紫外線照射状態又は遮光状態において、8時間静置した。

試験菌A:黄色ぶどう球菌(Staphylococcus aureus NBRC12732)
試験菌B:大腸菌(Escherichia coli NBRC3972)

対照試験としては、プラスチック板製の試験片の代わりに、噴霧用除菌剤を塗布していないガラス板製の試験片を用いて、上記と同様の実験を行った。
試験菌Aを用いた場合の実験結果は以下の通りであった。すなわち、噴霧用除菌剤を塗布した試験片では、実験開始時に2.1×10個であった生菌数が、8時間後、紫外線照射状態においては10個未満まで減少し、遮光状態においても2.2×10個まで減少した。一方、対象試験の生菌数は、紫外線照射状態においては2.9×10個に増加し、遮光状態においては3.7×10個に増加した。
試験菌Bを用いた場合の実験結果は以下の通りであった。すなわち、噴霧用除菌剤を塗布した試験片では、実験開始時に1.2×10個であった生菌数が、8時間後、紫外線照射状態においては4.3×10個まで減少し、遮光状態においても3.3×10個まで減少した。一方、対象試験の生菌数は、紫外線照射状態においては4.9×10個に増加し、遮光状態においては7.3×10個に増加した。
以上の結果から、本発明に係る噴霧用除菌剤が、紫外線照射状態だけでなく、遮光状態においても優れた除菌効果を有していることが示された。
なお、本発明に係る噴霧用除菌剤は、除菌効果だけでなく消臭効果も有することが分かっている。本発明に係る噴霧用除菌剤は、例えば、アンモニアやホルムアルデヒド等の悪臭物質に対して優れた消臭効果を有している。しかも、本発明に係る噴霧用除菌剤は紫外線下や可視光下だけでなく、暗所においても消臭効果を発揮することができる。このため、本発明に係る噴霧用除菌剤を用いると、被除菌空間や被除菌物の除菌だけではなく消臭も同時に行うことができる。この消臭効果は、次亜塩素酸が含まれている場合にも同様に発揮されることが、発明者らの実験により確認されている。
9.用途
本発明に係る噴霧用除菌剤は、その用途を特に限定されない。噴霧用除菌剤は、例えば、これを空間に噴霧する空間の除菌方法に用いることができる。この場合において、噴霧手段は特に限定されない。この場合の噴霧手段としては、超音波式の噴霧装置を用いることが好ましい。これにより、噴霧用除菌剤の微細な霧(例えば、平均粒子径が1~4μm程度の霧)を効率よく生成することができる。あるいは、スプレー式の噴霧装置を用いることも好ましい。これにより、手軽に空間の除菌を行うことができる。
噴霧用除菌剤は、例えば、これを被除菌物に対して吹きかける被除菌物の除菌方法にも用いることができる。この場合においても、噴霧手段は特に限定されない。この場合の噴霧手段としては、スプレー式の噴霧装置を用いることが好ましい。これにより、電源等を用いなくとも、手軽に噴霧用除菌剤を噴霧することができる。あるいは、コンプレッサー式の噴霧装置を用いることも好ましい。これにより、例えばホテルの個室等において、カーテン、壁紙、カーペット等、広範囲の除菌を行う場合にも、効率よく噴霧を行うことができる。
10 タングステン酸アンモニウム粒子

Claims (10)

  1. タングステン酸アンモニウムを含む噴霧用除菌剤。
  2. 次亜塩素酸をさらに含む請求項1記載の噴霧用除菌剤。
  3. 次亜塩素酸が、次亜塩素酸ナトリウム由来又はジクロロイソシアヌル酸由来のものである請求項2記載の噴霧用除菌剤。
  4. ジプロピレングリコールをさらに含む請求項1~3いずれか記載の噴霧用除菌剤。
  5. パラジウム化合物をさらに含む請求項1~4いずれか記載の噴霧用除菌剤。
  6. タングステン酸アンモニウムの平均粒径が、2nm以上500nm以下である請求項1~5いずれか記載の噴霧用除菌剤。
  7. 請求項1~6いずれか記載の噴霧用除菌剤を作ることができる噴霧用除菌剤の元。
  8. 請求項1~6いずれか記載の噴霧用除菌剤を空間に噴霧する空間の除菌方法。
  9. 請求項1~6いずれか記載の噴霧用除菌剤を被除菌物に対して吹きかける被除菌物の除菌方法。
  10. 水又は水溶液にタングステン酸アンモニウムを加えることにより噴霧用除菌剤を製造する噴霧用除菌剤の製造方法。
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