JP6852205B2 - 次亜塩素酸系水溶液 - Google Patents

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Description

本発明は、次亜塩素酸系水溶液に関する。
次亜塩素酸ナトリウム等の次亜塩素酸塩または次亜塩素酸は、水道水、食品産業、医療施設、介護施設等において、菌やウイルスの除去を行う除菌剤として長年使用されている(例えば、非特許文献1参照)。次亜塩素酸塩または次亜塩素酸は強い酸化作用を有し、菌やウイルスに対する除菌効果の他に、臭いの元である臭気物質等を分解することによって、消臭効果も発揮する。
特許文献1には、次亜ハロゲン酸および安定量の溶解無機炭素(DIC)を含む安定化溶液またはその製剤であって、溶液の遊離有効塩素(AFC)含量が約10〜約10,000ppmであり、溶液のpHが約4.0〜約7.5である、安定化溶液またはその製剤が記載されている。特許文献2には、哺乳動物の炎症の処理の使用のために容器内にパッケージされた安定化製剤であって、塩化ナトリウム溶液を含む電解液に由来する次亜塩素酸と、アルカリまたはアルカリ土類金属の重炭酸塩または炭酸塩の形態の安定量の溶存無機炭素(DIC)とを含み、前記製剤が、100〜1,000ppmの遊離有効塩素(AFC)含量、4.0〜7.0のpH、2:1〜1:2のAFCに対するDICの比を有し、DICは炭酸塩、重炭酸塩、炭酸、およびCOを含み、前記容器が、COまたはOを透過しない、安定化製剤が記載されている。特許文献3には、安定希釈組成物を製造するための方法であって、前記組成物が、次亜ハロゲン酸、次亜ハロゲン酸塩及びその混合物から成る群から選択されるものであり、当該方法が、(a)次亜ハロゲン酸、次亜ハロゲン酸塩、次亜ハロゲン酸生成種、次亜ハロゲン酸塩生成種、およびその混合物から成る群から選択される活性材料のソースを調製する工程、および(b)前記安定希釈組成物を与えるために、前記ソースを純水で希釈する工程、を含み、(c)前記安定希釈組成物が、1.0ppmと約1200ppmとの間の範囲にある有効塩素量の濃度を有する、方法が記載されている。
しかし、次亜塩素酸塩または次亜塩素酸は不安定な物質であり、除菌効果等の指標となる有効塩素濃度や、pHが安定しないという問題があった。このため、長期間保存すると、除菌効果、消臭効果等が低減してしまう。特許文献1,2の安定化溶液、特許文献3の安定希釈組成物でも、長期間保存したときの有効塩素濃度の安定性、pHの安定性は不十分である。特許文献1,2の安定化溶液のうち、有効塩素濃度が500ppm以上の場合、容器が気体をある程度透過するものでないと、内部が加圧される場合がある。また、有効塩素濃度が300ppmを超えると、噴霧した場合に気中の塩素ガス濃度が0.5ppm(作業環境基準)を超える可能性があり、塩素臭も強くなり、腐食性も高まる。また、有効塩素濃度が50ppm未満の場合、噴霧した場合に除菌、消臭効果が低減してしまう。
特開2018−141016号公報 特許第6355926号公報 特表2007−530731号公報
福▲崎▼智司 著、次亜塩素酸の科学−基礎と応用−
本発明の目的は、有効塩素濃度およびpHの安定性に優れる次亜塩素酸系水溶液を提供することにある。
本発明は、次亜塩素酸またはその塩と、炭酸ガスと、導電率が1mS/m以下、全有機炭素が0.1mg/L以下である水と、を含み、pHが4〜7の範囲であり、有効塩素濃度が50〜300mg/Lの範囲であり、アルミパウチ容器に収容されている、次亜塩素酸系水溶液である。
前記次亜塩素酸系水溶液において、前記水が、逆浸透膜処理水、イオン交換水、蒸留水、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせのうちの1つであることが好ましい。
前記次亜塩素酸系水溶液において、製造後25℃保管における有効塩素の分解速度が、0.20mg/L/日以下であることが好ましい。
前記次亜塩素酸系水溶液において、製造後25℃保管におけるpH変化量が、1.0以下であることが好ましい。
本発明により、有効塩素濃度およびpHの安定性に優れる次亜塩素酸系水溶液を提供することができる。
実施例1、比較例1における次亜塩素酸系水溶液の有効塩素濃度の経時変化を示すグラフである。 実施例1、比較例1における次亜塩素酸系水溶液のpHの経時変化を示すグラフである。 実施例2、比較例2における次亜塩素酸系水溶液の有効塩素濃度の経時変化を示すグラフである。 実施例2、比較例2における次亜塩素酸系水溶液のpHの経時変化を示すグラフである。 実施例4における、経過時間ごとの浮遊ウイルス数の変化を示すグラフである。 実施例4における、経過時間ごとの浮遊ウイルス数の対数減少値と減少率(%)を示すグラフである。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
本発明の実施形態に係る次亜塩素酸系水溶液は、次亜塩素酸またはその塩と、炭酸ガスと、導電率が1mS/m以下、全有機炭素が0.1mg/L以下である水と、を含み、pHが4〜7の範囲であり、有効塩素濃度が50〜300mg/Lの範囲であり、アルミパウチ容器に収容されている。
本発明者らが鋭意検討した結果、除菌剤である次亜塩素酸またはその塩を水と混和させて有効塩素濃度を50〜300mg/Lの範囲とし、pH調整剤として炭酸ガスを用いてpH4〜7の範囲に調整し、水として逆浸透膜処理水等の導電率が1mS/m以下、全有機炭素が0.1mg/L以下である水を用い、アルミパウチ容器に収容することによって、有効塩素濃度およびpHの安定性に優れる次亜塩素酸系水溶液が得られることを見出した。有効塩素濃度が安定しているため、長期間保存しても、除菌効果、消臭効果等が低減しにくい。特に、噴霧することを目的とした、有効塩素濃度およびpHの安定性に優れる噴霧用次亜塩素酸系水溶液が得られることを見出した。
本実施形態に係る次亜塩素酸系水溶液は、次亜塩素酸またはその塩を含む。次亜塩素酸の塩としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム等の次亜塩素酸アルカリ金属塩、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸バリウム等の次亜塩素酸アルカリ土類金属塩等が挙げられる。これらの次亜塩素酸またはその塩は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。次亜塩素酸またはその塩としては、取り扱い性、流通性、価格等の点から、次亜塩素酸ナトリウムを用いるのが好ましい。次亜塩素酸またはその塩が塩化ナトリウム溶液を含む電解液に由来するものであると、蒸発残留物が多くなり、噴霧した場合、白色塩類が多くなるという問題がある。
本実施形態に係る次亜塩素酸系水溶液は、pH調整剤として炭酸ガス(CO)を含む。pH調整剤として炭酸ガスを用いることにより、容易にpHを調整することができる、pH緩衝性を高める、着色がない、取り扱いが簡便、安価等の利点がある。pH調整剤としてアルカリ金属またはアルカリ土類金属の重炭酸塩または炭酸塩等があるが、炭酸ガスはそれらに比べて有効塩素濃度およびpHの安定性に優れる。本実施形態に係る次亜塩素酸系水溶液は、pH調整剤としてアルカリ金属またはアルカリ土類金属の重炭酸塩または炭酸塩を含まない。「アルカリ金属またはアルカリ土類金属の重炭酸塩または炭酸塩を含まない」とは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の重炭酸塩または炭酸塩の含有量が0.1%(v/v)以下のことをいう。pH調整剤として炭酸ガスではなく、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の重炭酸塩または炭酸塩を用いることによって、蒸発残留物が多くなり、噴霧した場合の白色塩類が多くなる場合がある。
本実施形態に係る次亜塩素酸系水溶液は、導電率が1mS/m以下、全有機炭素が0.1mg/L以下である水を含む。水の導電率は、1mS/m以下であることが好ましく、0.6mS/m以下であることがより好ましい。水の導電率が1mS/mを超えると、有効塩素の分解速度が高くなり、pH変化量が大きくなる。水の全有機炭素は、0.1mg/L以下であることが好ましく、0.06mg/L以下であることがより好ましい。水の全有機炭素が0.1mg/Lを超えると、有効塩素の分解速度が高くなる。
水としては、導電率が1mS/m以下、全有機炭素が0.1mg/L以下である水であればよく、特に制限はなく、例えば、逆浸透膜処理水、イオン交換水、蒸留水等の清浄な水が挙げられ、逆浸透膜処理水が好ましく、これらのうちの2つ以上を組み合わせて用いてもよい。導電率が1mS/m以下、全有機炭素が0.1mg/L以下である水、例えば、逆浸透膜処理水、イオン交換水、蒸留水等の清浄な水を用いることにより、本実施形態に係る次亜塩素酸系水溶液を例えば超音波噴霧等により噴霧した場合の白色塩類の析出を減少させることができる。水としては、導電率が0.6mS/m以下、全有機炭素が0.06mg/L以下である逆浸透膜処理水が好ましい。
本実施形態に係る次亜塩素酸系水溶液のpHは、4〜7の範囲であり、5.0〜6.5の範囲であることが好ましく、5.0〜6.0の範囲であることがより好ましい。pHが4未満であると、有効塩素の分解速度が高くなり、7を超えると、除菌効果、消臭効果等が低減する。
本実施形態に係る次亜塩素酸系水溶液の有効塩素濃度は、50〜300mg/Lの範囲であり、50〜260mg/Lの範囲であることが好ましく、50〜100mg/Lの範囲であることがより好ましく、50〜70mg/Lの範囲であることがさらに好ましく、初期値は65〜70mg/Lの範囲であることが特に好ましい。有効塩素濃度が50mg/L未満であると、除菌効果、消臭効果等が低減し、300mg/Lを超えると、有効塩素の分解速度が高くなる。また、有効塩素濃度が500mg/L以上の場合、容器が気体をある程度透過するものでないと、内部が加圧される場合がある。また、有効塩素濃度が300mg/Lを超えると、噴霧した場合に気中の塩素ガス濃度が0.5ppm(作業環境基準)を超える可能性があり、塩素臭も強くなり、腐食性も高まる。
本実施形態に係る次亜塩素酸系水溶液は、アルミパウチ容器に密閉されて収容されている。アルミパウチ容器とは、アルミニウムフィルムと樹脂フィルムとの積層構造を有する積層フィルムで作製された容器であり、例えば、アルミニウムフィルムの両面に樹脂フィルムを積層した多層構造を有する積層フィルムで作製された容器である。アルミパウチ容器としては、例えば、アルミパウチ袋、アルミパウチ包材等が挙げられる。樹脂フィルムは、例えば、ポリエチレン樹脂フィルム、ポリエステル樹脂フィルム等が挙げられる。アルミニウムフィルムの厚みは、例えば、5μm〜10μmの範囲であり、樹脂フィルムの厚みは、例えば、10μm〜200μmの範囲である。アルミパウチ容器は、遮光性、ガスバリア性等に優れ、紫外線および炭酸ガスが透過しづらいため、有効塩素が分解しにくく、pH安定性に優れると考えられる。アルミパウチ容器の酸素ガス透過性は、例えば、0.5mL/m・d・MPa以下であり、10mL/m・d・MPa以下であることが好ましい。炭酸ガス等のガスバリア性に優れる容器にはプラスチック、ガラス瓶、缶等があるが、有効塩素濃度およびpHの安定性、遮光性、腐食性、密閉性等の点でそれらに比べてアルミパウチ容器が優れる。
本実施形態に係る次亜塩素酸系水溶液は、有効塩素濃度が安定しており、製造後25℃保管における有効塩素の分解速度が0.20mg/L/日以下であることが好ましく、0.10mg/L/日以下であることがより好ましく、0.08mg/L/日以下であることがさらに好ましく、0.06mg/L/日以下であることが特に好ましい。本実施形態に係る次亜塩素酸系水溶液は、製造後25℃保管で少なくとも180日は、好ましくは少なくとも220日は、より好ましくは少なくとも365日は、さらに好ましくは少なくとも450日は、有効塩素の分解速度が0.10mg/L/日以下である。
本実施形態に係る次亜塩素酸系水溶液は、pHが安定しており、製造後25℃保管におけるpH変化量が、1.0以下であることが好ましく、0.5以下であることがより好ましく、0.2以下であることがさらに好ましい。pH変化量は、製造後25℃で保管した最大pH−最小pHとして算出される。本実施形態に係る次亜塩素酸系水溶液は、製造後25℃保管で少なくとも180日は、好ましくは少なくとも220日は、より好ましくは少なくとも365日は、さらに好ましくは少なくとも450日は、pH変化量が1.0以下である。
本実施形態に係る次亜塩素酸系水溶液は、次亜塩素酸またはその塩、炭酸ガス、水以外に、界面活性剤等の除菌効果を含む薬剤、塩酸等の無機酸等を含んでもよい。
本実施形態に係る次亜塩素酸系水溶液は、例えば、水道水、食品産業、医療施設、介護施設、プール等があるレジャー施設、冷却塔、農業施設等における菌やウイルスの除去を行う除菌剤(抗菌剤とも呼ばれることがある)、医薬品として用いることができる。また、本実施形態に係る次亜塩素酸系水溶液は、例えば、臭気物質等を分解する消臭剤としても用いることができる。
本実施形態に係る次亜塩素酸系水溶液は、例えば、空間除菌に用いられ、例えば、適した有効塩素濃度で超音波噴霧器等の噴霧装置を用いて除菌、消臭等の対象となる空間、物等に噴霧してもよいし、スプレーボトル等の噴霧容器に収容して除菌、消臭等の対象となる空間、物等に噴霧してもよい。例えば、アルミパウチ容器に収容された本実施形態に係る次亜塩素酸系水溶液を、噴霧装置のタンクや、スプレーボトル等の噴霧容器に入れ換えて用いればよい。
本実施形態に係る次亜塩素酸系水溶液を適切に使用するためには、使用期限を例えば製造後6ヶ月とし、定期配送システム等により、ユーザーに定期的に配送する等の使用方法が望ましい。
本実施形態に係る次亜塩素酸系水溶液は、超音波噴霧器等の噴霧装置を用いて例えば0.3〜10μmのミストとして、除菌、消臭等の対象となる空間等へ噴霧すればよい。次亜塩素酸またはその塩は、空気よりも重く、超音波噴霧器等の噴霧装置で噴霧する場合、除菌、消臭等の対象となる空間等の全体に超音波噴霧器等の噴霧装置を用いて行き渡らせることが困難な場合がある。その場合は、例えば、本実施形態に係る次亜塩素酸系水溶液を、0.3〜0.5μmのミストとして噴霧することによって拡散効果を高めて、除菌、消臭等の対象となる空間等の全体に次亜塩素酸またはその塩を行き渡らせることができ、除菌効果、消臭効果等を高めることができる。
本実施形態に係る次亜塩素酸系水溶液は、例えば、5〜35℃で、次亜塩素酸またはその塩と、炭酸ガスと、導電率が1mS/m以下、全有機炭素が0.1mg/L以下である水とを、pHが4〜7の範囲となり、有効塩素濃度が50〜300mg/Lの範囲となるように混合した後、アルミパウチ容器に収容して、密閉することにより製造することができる。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
12%次亜塩素酸ナトリウム1質量部を、室温(25±1.0℃)で逆浸透膜処理水(導電率の測定値:0.51mS/m、全有機炭素の測定値:0.06mg/L)1700質量部に混合し、炭酸ガスを加えることによって、pH6.3に調整した。得られた次亜塩素酸系水溶液の有効塩素濃度は、70mg/Lであった。調製した次亜塩素酸系水溶液をアルミパウチ容器(アルミニウムフィルムの両面に樹脂フィルムを積層した4層構造)に収容し、密閉した。
なお、有効塩素濃度は、JIS K 0102 33.3により、室温(25±1.0℃)で測定した。pHは、pH測定装置((株)堀場製作所製、9615型)を用いて、室温(25±1.0℃)で測定した。逆浸透膜処理水の導電率は、導電率メータ((株)堀場製作所製、ES−51型)を用いて、室温(25±1.0℃)で測定した。逆浸透膜処理水の全有機炭素は、全有機炭素分析装置(Sievers製、M9型)を用いて、室温(25±1.0℃)で測定した。
アルミパウチ容器に収容した未開封の次亜塩素酸系水溶液を25℃の条件で保管し、197日後、318日後、480日後の有効塩素濃度およびpHの経時変化を測定した。有効塩素分解速度(mg/L/日)、pH変化量の結果を表1に示す。また、有効塩素濃度の経時変化を図1に示し、pHの経時変化を図2に示す。
<比較例1>
実施例1と同様にして調製した次亜塩素酸系水溶液をバッグインボックス(BIB)容器(ポリエチレン製内装容器をダンボール製外装容器に収納した複合容器)に収容し、密閉した。BIB容器に収容した未開封の次亜塩素酸系水溶液について、実施例1と同様にして、197日後の有効塩素濃度およびpHの経時変化を測定した。有効塩素分解速度、pH変化量の結果を表1に示す。また、有効塩素濃度の経時変化を図1に示し、pHの経時変化を図2に示す。
このように、アルミパウチ容器に収容した実施例1の次亜塩素酸系水溶液は、BIB容器に収容した比較例1の次亜塩素酸系水溶液に比べて、pHの安定性に優れていた。
Figure 0006852205
<実施例2>
12%次亜塩素酸ナトリウム1質量部を、室温(25±1.0℃)で逆浸透膜処理水(導電率の測定値:0.51mS/m、全有機炭素の測定値:0.06mg/L)1700質量部に混合し、炭酸ガスを加えることによって、pH5.8に調整した。得られた次亜塩素酸系水溶液の有効塩素濃度は、268mg/Lであった。調製した次亜塩素酸系水溶液をアルミパウチ容器(アルミニウムフィルムの両面に樹脂フィルムを積層した4層構造)に収容し、密閉した。
アルミパウチ容器に収容した未開封の次亜塩素酸系水溶液を25℃の条件で保管し、73日後、178日後、261日後の有効塩素濃度およびpHの経時変化を測定した。有効塩素分解速度(mg/L/日)、pH変化量の結果を表2に示す。また、有効塩素濃度の経時変化を図3に示し、pHの経時変化を図4に示す。
<比較例2>
12%次亜塩素酸ナトリウム1質量部を、室温(25±1.0℃)で逆浸透膜処理水(導電率の測定値:0.51mS/m、全有機炭素の測定値:0.06mg/L)1700質量部に混合し、塩酸(1+2)を加えることによって、pH5.8に調整した。得られた次亜塩素酸系水溶液の有効塩素濃度は、275mg/Lであった。調製した次亜塩素酸系水溶液をアルミパウチ容器(アルミニウムフィルムの両面に樹脂フィルムを積層した4層構造)に収容し、密閉した。
アルミパウチ容器に収容した未開封の次亜塩素酸系水溶液を25℃の条件で保管し、69日後、166日後、257日後の有効塩素濃度およびpHの経時変化を測定した。有効塩素分解速度(mg/L/日)、pH変化量の結果を表2に示す。また、有効塩素濃度の経時変化を図3に示し、pHの経時変化を図4に示す。
Figure 0006852205
このように、pH調整剤として炭酸ガスを用いた実施例2の次亜塩素酸系水溶液は、pH調整剤として希塩酸を用いた比較例2の次亜塩素酸系水溶液に比べて、有効塩素濃度およびpHの安定性に優れていた。
以上の通り、実施例の次亜塩素酸系水溶液は、有効塩素濃度およびpHの安定性に優れていた。
<実施例3、比較例3>
[白色塩類の析出について]
次亜塩素酸系水溶液を超音波噴霧した場合、机等に白色塩類が析出することがある。その白色塩類を定量するため、逆浸透膜処理水(実施例3)および水道水(比較例3)を原料にした次亜塩素酸系水溶液を製造し、その蒸発残留物を調べることで検証した。蒸発残留物は、上水試験方法(2011年版)II.理化学編 II−3.11.2により測定した。超音波噴霧器を用いて、逆浸透膜処理水を原料にした次亜塩素酸系水溶液、水道水を原料にした次亜塩素酸系水溶液それぞれについて、噴霧前の次亜塩素酸系水溶液の蒸発残留物と、80分間噴霧後に超音波噴霧器のタンクに残った次亜塩素酸系水溶液の蒸発残留物の量を、測定した。結果を表3に示す。なお、用いた水道水の導電率の測定値は、27.5mS/m、全有機炭素の測定値は、0.28mg/Lであった。
Figure 0006852205
噴霧前の蒸発残留物と、噴霧後タンクに残った次亜塩素酸系水溶液の蒸発残留物の量はほぼ同じであり、次亜塩素酸系水溶液中の蒸発残留物がそのまま噴霧器から放出されていることがわかった。つまり、次亜塩素酸系水溶液を超音波噴霧した場合、どの程度の白色塩類が噴霧器から排出されるかは、その次亜塩素酸系水溶液の蒸発残留物を測定することで、予測ができる。実施例3の逆浸透膜処理水を原料として製造した次亜塩素酸系水溶液の蒸発残留物は、比較例3の水道水を原料として製造した次亜塩素酸系水溶液より、蒸発残留物が3分の1程度少なかった。つまり、原料に水道水よりも逆浸透膜処理水のような清浄な水を使用することによって、次亜塩素酸系水溶液を超音波噴霧した場合の白色塩類の析出を減少させることができた。
<実施例4>
[浮遊ウイルスの抑制試験]
次亜塩素酸系水溶液を噴霧することによって、浮遊ウイルスをどの程度抑制できるかを、一般社団法人日本電機工業会規格 JEM1467「家庭用空気清浄機」の附属書D「浮遊ウイルスに対する除去性能評価試験」に準じて、6畳の空間に相当する25m試験チャンバーを用いて評価した。
実施例1と同様にして調製した次亜塩素酸系水溶液3Lを超音波式噴霧器(次亜塩素酸水霧化量:約340mL/h)のタンクに入れ、噴霧器を運転した試験空間における試験ウイルス数の経時変動を測定した。
Nutrient Broth(Difco)培地で、36±2℃にて一晩培養した宿主菌(Escherichia coli NBRC 13898(=ATCC 13706)(大腸菌))液に、試験ウイルス(Escherichia coli phage φX-174 NBRC 103405(=ATCC 13706-B1)(大腸菌ファージ))を接種し、半流動寒天(Nutrient Broth+0.5%塩化ナトリウム+0.5%Agar(Difco))と混合して普通寒天培地(日水)に重層した。36±2℃で18時間培養後、宿主菌を遠心除去し、孔径0.22μmのメンブランフィルタでろ過して約1010PFU/mLの試験ウイルス液を得た。これを滅菌イオン交換水で10倍に希釈し、試験に供した。
25m試験チャンバー(3.3×3.5×2.2m)内に試験品(次亜塩素酸系水溶液)と撹拌ファン、およびレーザー式パーティクルカウンター(MODEL3886、日本カノマックス)、温湿度計をそれぞれ設置した。チャンバーの一側面には、ウイルス液噴霧口と浮遊ウイルス捕集口を設け、それぞれウイルス液噴霧器具と浮遊ウイルス捕集器具を接続した。試験操作は、チャンバー内の撹拌ファンを作動させながらウイルス液を約0.2mL/分で10分間噴霧し、2分撹拌した後にチャンバー内空気から初発(0分)の浮遊ウイルスを捕集液(0.015%チオ硫酸ナトリウム添加リン酸緩衝生理食塩20mLを入れたインピンジャー)に捕集した(2分間、10L/min)。その後、撹拌ファンを稼働させた状態で次亜塩素酸系水溶液を噴霧し、10分、20分、30分後に浮遊ウイルスを同様にして捕集した。コントロールとして、次亜塩素酸系水溶液を噴霧しない条件(自然減衰)について同様に試験した。
初期(0分)のウイルス数から経過時間ごとのウイルス数を差し引き、対数減少値を計算し、さらに、コントロールを差し引いた正味の対数減少値(減少率)を求め、試験品による浮遊ウイルスの抑制性能を求めた。本試験方法によって得られる正味の対数減少値が90分以内で2.0以上のときに試験品の浮遊ウイルスに対する抑制効果があるものと判断した。
対数減少値=Log10(初期ウイルス数÷経過時間ごとのウイルス数)
正味の対数減少値=試験品運転時の対数減少値−コントロールの対数減少値
減少率(%)=(1−1/10(対数減少値))×100(%)
噴霧した試験ウイルス液のウイルス数は、1.4×10PFU/mLであった。表4および図5に経過時間ごとの浮遊ウイルス数の変化を示す。また、経過時間ごとの浮遊ウイルス数から経過時間ごとの浮遊ウイルス数の対数減少値および正味の対数減少値(減少率)を算出し、表5および図6に示す。
Figure 0006852205
Figure 0006852205
次亜塩素酸系水溶液を用いた運転20分後の対数減少値(減少率)は、3.02(99.90%)であった。次亜塩素酸系水溶液の噴霧により、90分以内での対数減少値(減少率)が2.0(99%)以上を満たしており、浮遊ウイルスに対する抑制性能があると認められた。

Claims (4)

  1. 次亜塩素酸またはその塩と、炭酸ガスと、導電率が1mS/m以下、全有機炭素が0.1mg/L以下である水と、を含み、
    pHが4〜7の範囲であり、有効塩素濃度が50〜300mg/Lの範囲であり、
    アルミパウチ容器に収容されていることを特徴とする次亜塩素酸系水溶液。
  2. 請求項1に記載の次亜塩素酸系水溶液であって、
    前記水が、逆浸透膜処理水、イオン交換水、蒸留水、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせのうちの1つであることを特徴とする次亜塩素酸系水溶液。
  3. 請求項1または2に記載の次亜塩素酸系水溶液であって、
    製造後25℃保管における有効塩素の分解速度が、0.20mg/L/日以下であることを特徴とする次亜塩素酸系水溶液。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の次亜塩素酸系水溶液であって、
    製造後25℃保管におけるpH変化量が、1.0以下であることを特徴とする次亜塩素酸系水溶液。
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