JP6550570B2 - 固形薬剤を封入した薬液噴霧装置 - Google Patents
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ここで、「着脱可能」とは、溶媒を薬液収納容器に加えることができる程度に開放できる態様であれば、形態の如何を問わない。
また、薬液は、水溶液として使用することが一般的であり、塩素系酸化剤は、殺菌・消毒、消臭用途に汎用されているからである。
図2は、本発明の固形薬剤を封入した薬液噴霧装置の薬剤を溶解した使用時の1実施態様を示す模式図である。装着部12を外して、水、精製水などの溶媒を薬液収納容器11に加え、封入して収納された固形薬剤13を溶解して薬液18とする。薬液は、保護キャップ15を外して噴射ボタン17を押すことで、吸引チューブ14から噴霧ノズル16を通して噴霧される。
図3及び図4は、本発明の固形薬剤を封入した薬液噴霧装置の他の実施態様を示す模式図である。
本発明の薬液収納容器11は、固形薬剤13及び薬液18、特に塩素系薬剤からなる固形薬剤13及び薬液18に不活性な素材で構成されていれば特に限定されるものではない。また、薬剤の保存安定性の観点から酸素、水蒸気の透過性が低い素材で構成されることが好ましく、紫外線の影響で薬剤が分解、変性するため遮光性素材や遮光性フィルムで外装することが好ましい。外装するのは、容器そのものとすると塩素系薬剤と構成成分が反応するからである。
具体的な素材としては、ガラス、樹脂素材が好適に用いられる。ガラス素材としては、アルカリガラス、石英ガラスがあり、樹脂素材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、ポリカーボネート、ポリアリレートなどのエンジニアリング樹脂がある。
遮光性素材としては、ポリエステル樹脂に酸化チタンや遮光剤を配合させたものがあり、遮光性フィルムとしては、金属蒸着したポリエステルフィルムがある。
噴霧装置(スプレー)とは、圧縮した空気や高圧ガスを用いて液体を霧、泡などの状態で噴霧する装置をいい、 液体の種類や噴霧の量などについて、さまざまな種類のスプレーがある。 また駆動源の違いにより缶内の高圧ガスを利用した缶スプレー、電動ポンプなどによる電動スプレー、外部の空気圧を利用したエアスプレーなどがある。本発明の噴霧装置は、外部の空気圧を利用したエアスプレーが好適に用いられる。薬液噴霧部は、装着部12を外して、水、精製水などの溶媒を薬液収納容器11に加え、封入して収納された固形薬剤13を溶解して薬液18とする必要があることから、薬液収納容器11と着脱できる構造であることが必要である。したがって、缶内の高圧ガスを利用した缶スプレータイプのものではない。また、小型軽量な汎用品であることから、電動ポンプなどによる電動スプレーも望ましくない。
本発明の薬液噴霧部は、噴霧ノズル16に細長い吸引チューブ14を備え、噴射ボタン17を押すことで薬液収納容器11の薬液18を噴霧する。薬液噴霧部を構成する素材は、薬剤、特に特に塩素系薬剤に不活性な樹脂素材で構成されていれば特に限定されるものではない。樹脂素材としては、樹脂素材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、ポリカーボネート、ポリアリレートなどのエンジニアリング樹脂がある。
本発明の装着部12は、薬液噴霧部を薬液収納容器11に装着する機能を果たすものである。薬液噴出装置1を使用する前は、薬液収納容器11に封入して収納された固形薬剤13を機密性よく保存する機能を果たす。また、薬液噴出装置1を使用する直前には、着脱して、薬液収納容器11内に固形薬剤13を溶解して薬液18とする溶媒の導入口の機能を果たす。
本発明の装着部12の構造は、薬液噴霧部を薬液収納容器11に装着する機能及び薬液噴霧部を薬液収納容器11から着脱する機能を容易に果たす構造であれば特に限定されない。図1〜図4に示す螺合する構造であっても、嵌合する(図示せず)構造であってもよい。
装着部12を構成する素材は、薬剤、特に特に塩素系薬剤に不活性な樹脂素材で構成されていれば特に限定されるものではない。樹脂素材としては、樹脂素材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、ポリカーボネート、ポリアリレートなどのエンジニアリング樹脂がある。
本発明の薬液収納容器11に収納して封入される固形薬剤は、溶解可能な殺菌、消毒または消臭作用のある常温で固体の薬剤であれば特に限定されない。しかし、殺菌、消毒または消臭用途に一般的に使用され、認知度が高く、汎用性も高いという観点から、塩素系薬剤が好適に用いられる。固形タイプの塩素系薬剤は、適切に密封管理されていれば、水に溶解させるまでは、活性塩素の劣化が発生しにくく、長期保存に適しているからである。
固形タイプの好ましい塩素系薬剤としては、次亜塩素酸カルシウム(高度さらし粉)、塩素化イソシアヌル酸(例、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、トリクロロイソシアヌル酸)があり、これらを単独あるいは混合して用いることができる。剤型としては、溶解性に優れる粉末状、顆粒状が好適に用いられ、粒子径が400μm以下のものが溶解速度は高い。
固形薬剤13の封入量は、薬液収入容器11に水を加えて調製した薬液18の有効塩素濃度が50〜400ppmとなる封入量とする。加える水の量を薬液収入容器11に目印を付けて表示することにより、簡単かつ即座に使用することができるからである。
本発明の固形薬剤13には、増量剤として水溶性の無機塩を添加することができる。殺菌・消毒、消臭に使用する塩素系薬剤の有効塩素濃度は、50〜400ppmであり、有効塩素濃度を発現するために封入する薬剤量は微量であり、固形薬剤が薬液収納容器内に封入されていることを使用者が視認しにくい。このため、固形薬剤に不活性な増量剤を加えることで、固形薬剤が薬液収納容器内に封入されていることの視認性を高めることができるからである。
本発明の増量剤としては、固形薬剤に不活性な無機塩が好ましい。固形薬剤が塩素系酸化剤である場合は、活性塩素の低減をさけるため増量剤は有機物を含まないことが必要だからである。さらに、固形薬剤が水溶性塩素系酸化剤である場合は、水溶性無機塩がより好ましい。
水溶性無機塩としては、中性から弱酸性領域(pH4〜7)において可溶性の高い無機塩であることが必要である。この点からは、硫酸ナトリウムが好ましい。水溶液が中性(pH7)であり、増量剤として使用しても、塩素系酸化剤のpHのみに注目しておけば良く、利便性が高いからである。また、塩素系酸化剤の水溶液における活性塩素の殺菌力は、主に、次亜塩素酸の酸化力によるものであり、水溶液が弱酸性(pH4〜6)の場合に次亜塩素酸の存在割合は高くなるため、殺菌効力も高くなるからである。さらに、水溶液が強酸性(pH4未満)の場合には塩素ガスが発生する危険があるからである。
ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム(南海化学製 ハイスターG、有効塩素量60%)0.01gを薬液噴霧装置(薬液収納容器の容量25ml)に封入した薬液噴霧装置を作製した。その後、水24mlを加えて活性塩素を含む薬液を調製した。調製後の薬液について、腸管出血性大腸菌(O−157)の除菌試験(25℃、5min放置後)を行った。LRV(対数減少値)は、4.4であった。
ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム(南海化学製 ハイスターG、有効塩素量60%)0.01gに硫酸ナトリウム0.09gを加えて混合した後、全量を薬液噴霧装置(薬液収納容器の容量25ml)に封入した薬液噴霧装置を作製した。その後、水24mlを加えて活性塩素を含む薬液を調製した。調製後の薬液について、腸管出血性大腸菌(O−157)の除菌試験(25℃、5min放置後)を行った。LRV(対数減少値)は、4.4であった。
11 薬液収納容器
12 装着部
13 固形薬剤
14 吸引チューブ
15 保護キャップ
16 噴霧ノズル
17 噴射ボタン、噴射トリガー
18 薬液
Claims (4)
- 薬液収納容器と、薬液収納容器から吸引した薬液を噴霧する薬液噴霧部とからなる薬液噴霧装置であって、前記薬液収納容器と前記薬液噴霧部とが着脱可能であり、かつ前記薬液収納容器には、あらかじめ薬液成分となる水溶性の塩素系酸化剤からなる固形薬剤のみが封入されており、使用時に溶媒を加えて薬液を調製することを特徴とする水溶性の塩素系酸化剤からなる固形薬剤を封入した薬液噴霧装置。
- 前記水溶性の塩素系酸化剤がジクロロイソシアヌル酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1に記載した水溶性の塩素系酸化剤からなる固形薬剤を封入した薬液噴霧装置。
- 前記水溶性の塩素系酸化剤からなる固形薬剤は、増量剤として水溶性無機塩を含むことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載した固形薬剤を封入した薬液噴霧装置。
- 前記水溶性の塩素系酸化剤からなる固形薬剤の封入量は、前記薬液収納容器に水を加えて調製した薬液の有効塩素濃度が50〜400ppmとなる封入量であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載した水溶性の塩素系酸化剤からなる固形薬剤を封入した薬液噴霧装置。
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