JP2023108431A - パルプモールド成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 表面性状に優れ、高い美粧性及び印刷性を有するパルプモールド成形品を提供する。【解決手段】 本発明の実施形態に係るパルプモールド成形品は、入射角75°の光に対する正反射強度が7%以上である領域を表面に有する。【選択図】 図1

Description

本発明は、パルプモールド成形品に関する。
近年、廃棄物の増加等に関連した環境問題が多発している。これに鑑み、トイレタリー製品、飲料及び食品などの収納には、プラスチック容器や金属容器に代わり、紙製容器が使用されつつある。例えば、牛乳容器等の液体用紙製容器としては、紙の両面にポリエチレン樹脂をコートした板紙からなり、上部が切妻屋根型を有する容器、所謂、ゲーブルトップ紙容器がある。そのような紙製容器は、省資源や省エネルギーに貢献するものであるのに加え、廃棄に際してもリサイクルや焼却し易いなど環境保全に貢献するものである。それ故、紙製容器は、様々な分野で普及している。
しかしながら、上記のような紙製容器は、板紙を折り曲げ、貼り合わせて成形されるものであることから、製造工程が複雑であり、製造コストが嵩む。また、上記のような紙製容器は、その形状の自由度が低いため、容器の形状に基づく商品の訴求力を充分に発揮できないなどの問題があった。
紙製容器の形状の自由度を高める手段の1つとして、パルプと水とを含んだスラリーから成形品を製造するパルプモールドがある。パルプモールドでは、一般的に、スラリー中のパルプを抄型上に堆積させてパルプ層を形成し、このパルプ層を脱水し、その後、これを炉内で乾燥させる。この技術によって得られる成形品、即ち、パルプモールド成形品は、紙系包装材の物性面での特徴である、耐熱性、耐寒性及び吸放湿性等に優れており、食品用の紙製トレー容器や果物などの固定緩衝材等として広く使用されるようになってきている(例えば、特許文献1参照)。
特開2008-285188号公報
一般に、パルプモールド成形品は、表面に高低差が大きな凹凸を有している。そのようなパルプモールド成形品は、外観上の美粧性が求められる容器には不向きであり、また、印刷層やコーティング層の形成が困難である。
本発明は、表面性状に優れ、高い美粧性及び印刷性を有するパルプモールド成形品を提供することを目的とする。
本発明の第1側面によると、入射角75°の光に対する正反射強度が7%以上である領域を表面に有するパルプモールド成形品が提供される。
本発明によれば、表面性状に優れ、高い美粧性及び印刷性を有するパルプモールド成形品を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係るパルプモールド成形品を示す斜視図。 図1のパルプモールド成形品の製造に利用可能な製造装置の一例を概略的に示す図。 図2の装置を用いたパルプモールド成形におけるパルプ層形成工程を示す図。 抄型上に形成されたパルプ層の一例を概略的に示す断面図。 図2の装置を用いたパルプモールド成形における脱水工程を示す図。 図2の装置を用いたパルプモールド成形におけるパルプ層の搬送工程を示す図。 図2の装置を用いたパルプモールド成形における熱プレス形成工程を示す図。 熱プレス工程によって得られるパルプモールド成形品の一例を概略的に示す断面図。 図2の装置を用いたパルプモールド成形におけるパルプモールド成形品の搬送工程を示す図。 図9の搬送工程を完了した状態を示す図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には全ての図面を通じて同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
<1>パルプモールド成形品
図1は、本発明の一実施形態に係るパルプモールド成形品を示す斜視図である。
図1に示すパルプモールド成形品MP2は、開口部を有し、開口部から離れる方向へ先細りしている。このパルプモールド成形品MP2は、容器である。このパルプモールド成形品MP2は、底部と側壁部とを含んでおり、上部で開口している。
底部は、円盤形状を有している。底部は、容器の深さ方向に対して垂直な平面への正射影が、円以外の形状を、例えば、四角形状などの多角形状を有していてもよい。
側壁部は、底部の縁から上方へ伸びた筒形状を有している。側壁部は、底部から開口部へ向けて拡径している。側壁部の内面及び外面は、底部の上面に対して垂直であってもよい。但し、側壁部が底部から開口部へ向けて拡径しているパルプモールド成形品MP2は、高い離型性を実現するうえで有利であるとともに、積み重ね易い。
パルプモールド成形品MP2は、カップ形状、ボウル形状、トレー形状、及び箱形状などの様々な形状を有し得る。パルプモールド成形品MP2は、立体成形品、即ち、シートのように二次元形状を有するものではなく、三次元形状を有する成形品であれば、容器でなくてもよい。
パルプモールド成形品MP2は、入射角75°の光に対する正反射強度が7%以上である領域を表面に有する。後述するパルプモールド成形品MP2の製造方法によると、表面にこのような正反射強度を有する領域を含んだパルプモールド成形品MP2が得られる。このような正反射強度を有するパルプモールド成形品は、凹凸が少なく光沢度の高い表面性状を有し、美粧性及び印刷性に優れる。
正反射強度は7.5%以上であることが好ましい。正反射強度の上限値は特に設定されるものではないが、一例によれば30%以下であってよい。パルプモールド成形品MP2は、表面の全体が上記正反射強度を有していてもよく、表面の一部の領域のみが上記正反射強度を有していてもよい。
ここで、正反射強度は、パルプモールド成形品MP2の表面に対して、JIS P8142:2005「紙及び板紙-75度鏡面光沢度の測定方法」で規定される方法によって得られる値である。
パルプモールド成形品MP2において、パルプに占める繊維長が1mm以下であるものの割合は、35乃至55%の範囲内にあることが好ましい。この割合は、40乃至50%の範囲内にあることがより好ましい。この割合を大きくすると、パルプモールド成形品MP2の密度を高くすることが容易になり、また、その強度が高くなる。パルプモールド成形品MP2において、密度及び強度は上述した正反射強度の調整において密接な関連性を有する。密度及び強度が高いと上述した正反射強度を有するパルプモールド成形品MP2を得ることが容易となり、美粧性及び印刷性に優れたパルプモールド成形品MP2を得ることが可能となる。但し、この割合を過剰に大きくすると、その製造時の乾燥を短時間で完了することが難しくなるか、又は、乾燥不良に起因した亀裂や離型性の低下を生じ易くなる。
ここで、パルプに占める繊維長が1mm以下であるものの割合は、パルプの全繊維数(本)に占める、繊維長が1mm以下である繊維の数(本)の割合である。この割合は、以下の方法によって得る。
先ず、パルプモールド成形品MP2から、5gの試験片を取得する。次に、この試験片を細かく千切り、500mLの水に一晩浸漬させる。次いで、これを撹拌機で撹拌して、パルプを互いから離解させる。このようにして、パルプを含んだ分散液を得る。次に、この分散液から10gを採取し、これを水で希釈する。この希釈は、合計質量が200gとなるように行う。
このようにして得られた試料を使用して、JIS P8226-2:2011「パルプ-光学的自動分析法による繊維長測定方法-第2部:非偏光法」に従って繊維長測定を行う。この繊維長測定によって得られる繊維長の頻度分布から、パルプに占める繊維長が1mm以下であるものの割合を求める。
パルプモールド成形品MP2において、パルプの平均繊維長は、1.7mm未満であることが好ましく、0.5mm乃至1.6mmの範囲内にあることがより好ましく、0.6mm乃至1.5mmの範囲内にあることが更に好ましい。平均繊維長を大きくすると、パルプモールド成形品MP2の密度及び強度が低下し、上述した正反射強度の調整が困難となる。平均繊維長を小さくすると、その製造時における乾燥により長い時間が必要になる。
パルプモールド成形品MP2が含んでいるパルプを水に分散させてなるパルプ懸濁液は、カナダ標準ろ水度(CSF)が700mL以下であることが好ましく、680mL以下であることがより好ましい。このカナダ標準ろ水度が大きい場合、パルプモールド成形品MP2は強度が低い傾向にある。
上記のカナダ標準ろ水度は、500mL以上であることが好ましく、550mL以上であることがより好ましい。このカナダ標準ろ水度が小さい場合、パルプモールド成形品MP2は、その製造時における乾燥に長い時間を要する傾向にある。
ここで、上記のカナダ標準ろ水度は、以下の方法によって得られる値である。先ず、パルプモールド成形品MP2から試験片を取得し、上記と同様の方法により、パルプを含んだ分散液を得る。次に、この分散液を、固形分濃度が0.3質量%となるように水で希釈して、パルプの水懸濁液を得る。次いで、この懸濁液1Lを使用して、JIS P8121-2:2012「パルプ-ろ水度試験方法-第2部:カナダ標準ろ水度法」に規定された測定を行う。この測定には、例えば、熊谷理機工業社製のカナディアンフリーテスターを使用する。また、測定値は、予め測定しておいた懸濁液の温度を補正表へ参照することにより補正する。このようにして、カナダ標準ろ水度を得る。
パルプモールド成形品MP2は、密度が0.5g/cm以上であることが好ましく、0.52g/cm以上であることがより好ましい。なお、パルプモールド成形品MP2の密度の上限値は特に設定されるものではないが、一例によれば、1.2g/cm以下であってよい。
ここで、上記の密度は、以下の方法によって得られる値である。即ち、パルプモールド成形品MP2のうち表面が湾曲していない部分から、正方形または長方形の試験片を切り出し、寸法、質量、及び厚さを計測する。得られた値から密度を算出する。
パルプモールド成形品MP2は、比引張強さが15N・m/g以上であることが好ましく、16N・m/g以上であることがより好ましい。なお、パルプモールド成形品MP2の比引張強さの上限値は特に設定されるものではないが、一例によれば、28N・m/g以下であってよい。
ここで、上記の比引張強さは、以下の方法によって得られる値である。先ず、パルプモールド成形品MP2のうち表面が湾曲していない部分から、幅が10mmであり、長さが100mmの短冊形状を有している試験片を切り出す。次に、この試験片の厚さ及び質量を測定する。次いで、この試験片を使用して、JIS P8113:2006「紙及び板紙-引張特性の試験方法-第2部:定速伸張法」に規定された測定を行う。ここでは、掴み具の間隔が50mmとなるように短冊を掴む。また、それら掴み具の移動速度、即ち、試験片の伸長速度は20mm/分とする。比引張強さは、3回の測定によって得られた値の平均値とする。
パルプモールド成形品MP2は、層間剥離強度が8N以上であることが好ましく、9N以上であることがより好ましい。なお、パルプモールド成形品MP2の層間剥離強度の上限値は特に設定されるものではないが、一例によれば、30N以下であってよい。
ここで、上記の層間剥離強度は、以下の方法によって得られる値である。先ず、パルプモールド成形品MP2から、直径が12mmの円盤形状を有している試験片を切り出す。次に、この試験片を、両面粘着テープで試験片に固定する。両面粘着テープとしては、例えば、ニチバン社製のナイスタック(登録商標)NW-P15を使用する。加圧面が直径13mmの円形状を有する圧子を準備し、その加圧面に、直径が10mmの円形状に切り出した両面粘着テープを、それらの中心が一致するように貼り付ける。そして、試験片と加圧面とを、それらの中心が一致するように向かい合わせ、圧子を試験片へ向けて2mm/分の速度で降下させる。加圧面上の両面粘着テープが試験片と接触した後、荷重を高める。荷重が10Nに達した時点で、圧子の降下を停止し、この状態に20秒間保持する。その後、10mm/分の速度で圧子を上昇させて、試験片の層間剥離を生じさせ、その際の最大荷重を得る。層間剥離強度は、3回の測定によって得られた最大荷重の平均値とする。
パルプモールド成形品MP2は、算術平均粗さRaが200μm以下である領域を表面に有することが好ましく、Raは190μm以下であることがより好ましい。なお、パルプモールド成形品MP2の算術平均粗さRaの下限値は特に設定されるものではないが、一例によれば、10μm以上であってよい。パルプモールド成形品MP2において、算術平均粗さRaは上述した正反射強度の調整において密接な関連性を有する。算術平均粗さRaが低いと上述した正反射強度を有するパルプモールド成形品MP2を得ることが容易となり、美粧性及び印刷性に優れたパルプモールド成形品MP2を得ることが可能となる。
ここで、「算術平均粗さRa」は、JIS B0601:2013で規定される表面性状パラメータである。
パルプモールド成形品MP2は、壁部の厚さ、ここでは、底部及び側壁部の厚さ(以下において、単に「厚さ」ともいう。)が、例えば1.5mm以下であることが好ましく、1.2mm以下であることがより好ましい。厚いパルプモールド成形品MP2は、特に積み重ねた場合に嵩張る。また、パルプモールド成形品MP2の壁部を薄くすることは、その製造時の乾燥を短時間で完了可能とするうえで有利である。
パルプモールド成形品MP2は、厚さが0.6mm以上であることが好ましく、0.65mm以上であることがより好ましい。壁部が薄いパルプモールド成形品MP2は、壁部の厚さにばらつきを生じ易い。
ここで、パルプモールド成形品MP2の厚さは、以下の方法によって得られる値である。即ち、パルプモールド成形品MP2の任意の位置から5つの試験片を切り出す。次いで、各試験片について、厚さを測定する。厚さの測定には、例えば、ミツトヨ社製のシックネスゲージを使用する。パルプモールド成形品MP2の厚さは、5つの試験片について得られた測定結果の平均値とする。
パルプモールド成形品MP2は、ポリアクリルアミドなどの紙力増強剤を更に含むことができる。紙力増強剤を使用すると、パルプモールド成形品MP2の強度を高めることができる。
紙力増強剤を使用して製造したパルプモールド成形品MP2は、紙力増強剤を使用せずに製造したパルプモールド成形品MP2と比較して、窒素含有率が多い。紙力増強剤を使用して製造したパルプモールド成形品MP2の窒素含有率は、一例によれば300μg/g以上であり、他の例によれば500μg/g以上である。なお、パルプモールド成形品MP2の窒素含有率の上限値は設定されるものではないが、一例によれば、1000μg/g以下であってよい。
パルプモールド成形品MP2の窒素含有率は、以下の方法によって得る。先ず、パルプモールド成形品MP2の任意の位置から2つの試験片を採取する。各試験片の質量は10mgとする。次に、各試験片について、JIS K2609:1998「原油及び石油製品-窒素分析試験法」において規定される化学発光法による測定を行う。この測定には、例えば、日東精工エアナリテック社製のTN-2100Hを使用することができる。窒素含有率は、2つの試験片について得られた測定結果の平均値とする。なお、上述したパルプモールド成形品MP2は、紙力増強剤を省略しても高い強度を維持することができる。
<2>パルプモールド成形品の製造装置
次に、パルプモールド成形品MP2の製造に利用可能な製造装置について説明する。
図2は、図1のパルプモールド成形品の製造に利用可能な製造装置の一例を概略的に示す図である。
図2に示す製造装置1は、支持体10と、第1ステーション20と、第2ステーション30と、第3ステーション40とを含んでいる。
支持体10は、枠体と、その上部に設置されたレールとを含んでいる。
第1ステーション20は、容器210と、昇降装置220と、カバー体230と、抄型240と、移動装置250と、昇降装置260と、上型270とを含んでいる。
容器210は、支持体10の枠体内に設置されている。容器210は、上部で開口している。容器210は、パルプと水とを含んだスラリーSを収容している。
昇降装置220は、容器210よりも上方で、支持体10の枠体に取り付けられている。昇降装置220は、例えば、油圧シリンダを含む。昇降装置220は、カバー体230を支持している。昇降装置220は、カバー体230を、容器210の開口部の位置で昇降させ得る。
カバー体230は、上部に開口部を有する中空体である。カバー体230には、図示しないポンプが接続されている。
抄型240は、カバー体230の開口部に固定されている。具体的には、抄型240は、その一方の面と隣接した空間が、抄型240とカバー体230とによって囲まれるように、カバー体230の開口部に固定されている。
抄型240は、液体透過性を有する型である。抄型240は、立体形状を有している。即ち、抄型240は、パルプが堆積する面に、1以上の凸部及び/又は1以上の凹部を有している。具体的には、抄型240の外面、即ち、上記空間と隣接した面の裏面は、パルプモールド成形品に対応した形状を有している。ここでは、抄型240は、上面が突き出た雄型である。
抄型240は、例えば、多数の貫通孔が設けられ、外面がパルプモールド成形品に対応した形状を有している抄型本体と、抄型本体の外面上に、この外面に沿うように設けられた網体とを含んでいる。
移動装置250は、支持体10のレールに沿って、第1ステーション20と第2ステーション30との間で移動可能である。移動装置250は、動力源として、例えば、モータを含んでいる。移動装置250には、昇降装置260が取り付けられており、これを第1ステーション20と第2ステーション30との間で移送し得る。
昇降装置260は、上記の通り、移動装置250に取り付けられている。昇降装置260は、例えば、油圧シリンダを含む。昇降装置260は、上型270を支持している。昇降装置260は、上型270を昇降させ得る。
上型270は、抄型240との間に後述するパルプ層を挟み、パルプ層を真空吸着式で保持する保持具である。上型270の下面は、抄型240の上記外面に対応した形状を有している。ここでは、上型270は、下面が凹んだ雌型である。上型270は、例えば、一端が下面で開口し、他端がポンプに接続された多数の貫通孔を有している。
第2ステーション30は、第1ステーション20の近傍に設けられている。第2ステーション30は、台310と、下型320と、移動装置330と、プレス装置340と、上型350とを含んでいる。
台310は、支持体10の枠体内に設置されている。台310上には、下型320が設置されている。
下型320は、気体及び/又は液体透過性を有する型である。下型320は、上面が抄型240の上記外面に対応した形状を有している。ここでは、下型320は、上面が突き出た雄型である。下型320は、例えば、多数の貫通孔を有し、抄型240の上記外面に対応した形状を有している面が滑らかである。
移動装置330は、支持体10のレールに沿って、第2ステーション30と図示しない第4ステーションとの間で移動可能である。移動装置330は、動力源として、例えば、モータを含んでいる。移動装置330は、第2ステーション30に位置している場合には、ロック機構により、上下、左右及び前後方向の移動が規制され得る。また、移動装置330には、プレス装置340が取り付けられており、これを第2ステーション30と第4ステーションとの間で移送し得る。
プレス装置340は、上記の通り、移動装置330に取り付けられている。プレス装置340は、例えば、油圧シリンダを含む。プレス装置340は、上型350を支持している。プレス装置340は、上型350を昇降させ得る。
上型350は、気体透過性及び液体透過性を有していない型である。上型350の下面は、抄型240の上記外面に対応した形状を有している。ここでは、上型350は、下面が凹んだ雌型である。上型350は、抄型240の上記外面に対応した形状を有している面が滑らかである。
第2ステーション30は、ヒータ及びポンプを更に含んでいる(何れも図示せず)。ヒータは、下型320及び上型350の少なくとも一方を加熱する。ポンプは、下型320の下部空間に接続されている。
第3ステーション40は、第2ステーション30の近傍に設けられている。第3ステーション40は、台410と、移動装置420と、昇降装置430と、保持具440とを含んでいる。
台410は、支持体10の枠体内に設置されている。台410上には、パルプモールド成形品が配置される。
移動装置420は、支持体10のレールに沿って、第2ステーション30と第3ステーション40との間で移動可能である。移動装置420は、動力源として、例えば、モータを含んでいる。移動装置420には、昇降装置430が取り付けられており、これを第2ステーション30と第3ステーション40との間で移送し得る。
昇降装置430は、上記の通り、移動装置420に取り付けられている。昇降装置430は、例えば、油圧シリンダを含む。昇降装置430は、保持具440を支持している。昇降装置430は、保持具440を昇降させ得る。
保持具440は、後述するパルプモールド成形品を真空吸着式で保持する保持具である。保持具440の下面は、抄型240の上記外面に対応した形状を有している。ここでは、保持具440は、下面が凹んだ形状を有している。保持具440は、例えば、一端が下面で開口し、他端がポンプに接続された多数の貫通孔を有している。
<3>パルプモールド成形品の製造方法
本発明の一実施形態に係る製造方法では、例えば、上記の製造装置1を用いてパルプモールド成形品MP2を製造する。これについて、図1乃至図10を参照しながら説明する。
図3は、図2の装置を用いたパルプモールド成形におけるパルプ層形成工程を示す図である。図4は、抄型上に形成されたパルプ層の一例を概略的に示す断面図である。図5は、図2の装置を用いたパルプモールド成形における脱水工程を示す図である。図6は、図2の装置を用いたパルプモールド成形におけるパルプ層の搬送工程を示す図である。図7は、図2の装置を用いたパルプモールド成形における熱プレス形成工程を示す図である。図8は、熱プレス工程によって得られるパルプモールド成形品の一例を概略的に示す断面図である。図9は、図2の装置を用いたパルプモールド成形におけるパルプモールド成形品の搬送工程を示す図である。図10は、図9の搬送工程を完了した状態を示す図である。
この方法では、先ず、スラリーSを準備する。
スラリーSは、上記の通り、パルプと水とを含んでいる。スラリーSは、パルプが水に分散され、高い粘度を有する懸濁液である。
スラリーSが含んでいるパルプは、パルプモールド成形品MP2が含んでいるパルプについて上述したのとほぼ同様の特徴を有している。
スラリーSに使用するパルプの種類に、特に制限はない。パルプとしては、化学パルプを使用することが好ましい。パルプとしては、例えば、製紙において原料パルプとして通常に使用される、針葉樹の晒クラフトパルプ(NBKP)又は未晒クラフトパルプ(NUKP)及び広葉樹の晒クラフトパルプ(LBKP)又は未晒クラフトパルプ(LUKP)等の木材パルプや、ワラ、木綿、ケナフ、竹及びサトウキビ等の非木材パルプを、単独で又は2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。
パルプは、その原料や製造方法に応じて、繊維長等が異なっている。例えば、一般に、サトウキビを原料とするパルプは、竹を原料とするパルプと比較して、平均繊維長が短い。また、パルプの平均繊維長は、任意の手法により、例えば、叩解や粉砕などの機械的な処理により調節することができる。従って、或る特徴を有しているパルプは、例えば、複数種のパルプの中から適当なものを選択すること、又は、2種以上のパルプを適宜組み合わせることにより得ることができる。
スラリーSのパルプ含有率は、0.1乃至0.3質量%の範囲内にあることが好ましく、0.15乃至0.28質量%の範囲内にあることがより好ましい。パルプ含有率が小さいと、高い生産性を達成することが難しい。パルプ含有率が大きいと、パルプ層の厚さのばらつきが大きくなる可能性がある。
スラリーSは、添加剤を更に含むことができる。添加剤としては、有機系低分子材料、有機系高分子材料、無機系材料、又はそれらの組み合わせを使用することができ、例えば耐水性や耐油性を付与する薬剤などが挙げられるが、パルプモールド容器としての要求性能に応じた薬剤を選定すればよい。パルプと添加剤との合計に占める添加剤の割合は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。即ち、スラリーSが含む全固形分に占めるパルプの割合は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましい。
次に、スラリーSを容器210内へ供給する。次いで、図3に示すように、昇降装置220によりカバー体230を下降させて、抄型240の上面をスラリーSの液面よりも十分に下方へ位置させる。この状態でポンプを駆動して、カバー体230と抄型240とによって囲まれた空間を減圧する。これにより、抄型240を横切るスラリーSの流れを生じさせ、抄型240上にパルプを堆積させる。以上のようにして、図4に示すように、抄型240上にパルプ層MP1を形成する。
次に、ポンプを駆動したまま、図5に示すように、昇降装置220によりカバー体230を上昇させて、抄型240の下部をスラリーSの液面よりも十分に上方へ位置させる。これにより、パルプ層MP1を減圧脱水する。次に、昇降装置260を駆動して、上型270を、その下面がパルプ層MP1に接触するまで下降させる。なお、図5には、パルプ層MP1は描いていない。この脱水工程は、上型270及び抄型240の何れも加熱することなしに行う。
脱水工程における減圧時間は、3秒乃至7秒の範囲内にあることが好ましく、3.5秒乃至6.5秒の範囲内にあることがより好ましい。
脱水直後のパルプ層MP1の水分含有率は、66質量%乃至73質量%の範囲内にあることが好ましく、67質量%乃至72質量%の範囲内にあることがより好ましい。水分含有率が小さいと、熱プレス工程において、パルプ層内での面内方向への繊維の移動が不十分となる可能性がある。水分含有率が大きいと、熱プレス工程において、パルプ層内での面内方向への繊維の移動が過剰となるか、又は、脱水工程を終了してから熱プレス工程を開始するまでの期間内において、パルプ層MP1の形状保持性が不十分となる可能性がある。
上記空間の減圧及び上記の加圧を停止した後、ポンプを駆動して、上型270にパルプ層MP1を吸着保持させる。なお、ポンプと上型270とによる吸引は、パルプ層MP1の更なる脱水を生じさせるものではない。
次いで、上型270にパルプ層MP1を吸着保持させた状態で昇降装置260を駆動して、図2に示すように、上型270を上昇させる。これにより、パルプ層MP1を抄型240から剥離する。
次に、移動装置250及び330を駆動して、図6に示すように、プレス装置340及び上型350を第2ステーション30から第4ステーションへ移動させるとともに、昇降装置260及び上型270を第1ステーション20から第2ステーション30へ移動させる。続いて、昇降装置260を駆動して、パルプ層MP1が下型320と接触するまで上型270を下降させる。その後、ポンプと上型270とによる吸引を停止して、上型270からパルプ層MP1を解放する。次いで、昇降装置260を駆動して、上型270を上昇させる。このようにして、パルプ層MP1を第1ステーション20から第2ステーション30へ移送するとともに、パルプ層MP1を下型320上に載置する。
次に、移動装置250及び330を駆動して、図2に示すように、昇降装置260及び上型270を第2ステーション30から第1ステーション20へ移動させるとともに、プレス装置340及び上型350を第4ステーションから第2ステーション30へ移動させる。続いて、プレス装置340を駆動して、図7に示すように上型350を下降させる。そして、上型350と下型320とによって、それらの間に挟まれたパルプ層MP1を加圧する。また、これとともに、ヒータを駆動してパルプ層MP1を加熱する。更に、これとともに、ポンプを駆動して、上型350と下型320とによって挟まれた空間から水及び/又は水蒸気を吸引除去する。これにより、パルプ層MP1の表面形状を整えるとともに、パルプ層MP1を緻密化及び乾燥させる。以上のようにして、図8に示すパルプモールド成形品MP2を得る。
なお、この熱プレス工程を開始する直前におけるパルプ層MP1の水分含有率は、脱水工程を終了した直後におけるパルプ層MP1の水分含有率とほぼ等しい。
この熱プレス工程において、プレス圧は、0.1MPa以上であることが好ましく、0.2MPa以上であることがより好ましい。プレス圧が低いと、高密度なパルプモールド成形品MP2が得られない可能性がある。プレス圧は、2MPa以下であることが好ましく、1.8MPa以下であることがより好ましい。パルプ層MP1が繊維長が短いパルプを多く含んでいる場合、そのようなパルプは、特にプレス圧が過剰に高い場合に、パルプ層MP1内での移動を生じ易い。従って、プレス圧が過剰に高いと、パルプモールド成形品MP2の厚さにばらつきを生じ易い。
この熱プレス工程において、パルプ層MP1の加熱温度、即ち、ヒータによって加熱する上型350又は下型320の温度は、100℃乃至200℃の範囲内にあることが好ましく、110℃乃至190℃の範囲内にあることがより好ましい。パルプ層MP1が繊維長が短いパルプを多く含んでいる場合、水蒸気が外部へ逃げ難い。それ故、加熱温度が低いと、パルプ層MP1の乾燥に長時間を要する。加熱温度を高くすると、乾燥に伴うパルプ層MP1の収縮がより大きくなり、その結果、パルプモールド成形品MP2における歪がより大きくなる可能性がある。
熱プレス工程におけるプレス時間は、加熱温度や成形品の形状等にもよるが、70秒乃至120秒の範囲内にあることが好ましく、75秒乃至110秒の範囲内にあることがより好ましい。
上記の熱プレス工程を終了するに当たり、上型350が上昇するようにプレス装置340を駆動すると、パルプモールド成形品MP2は上型350から剥離する。
次に、移動装置330及び420を駆動して、図9に示すように、プレス装置340及び上型350を第2ステーション30から第4ステーションへ移動させるとともに、昇降装置430及び保持具440を第3ステーション40から第2ステーション30へ移動させる。続いて、昇降装置430を駆動して、保持具440がパルプモールド成形品MP2と接触するまで保持具440を下降させる。下型320内部からエアーを噴出させてパルプモールド成型品MP2を下型320から離型させ、その後、ポンプを駆動して、保持具440にパルプモールド成形品MP2を吸着保持させる。
次いで、保持具440にパルプモールド成形品MP2を吸着保持させた状態で昇降装置430を駆動して、保持具440を上昇させる。続いて、移動装置330及び420を駆動して、図10に示すように、昇降装置430及び保持具440を第2ステーション30から第3ステーション40へ移動させるとともに、プレス装置340及び上型350を第4ステーションから第2ステーション30へ移動させる。続いて、ポンプと保持具440とによる吸引を停止して、保持具440からパルプモールド成形品MP2を解放する。このようにして、パルプモールド成形品MP2を第2ステーション30から第3ステーション40へ移送するとともに、パルプモールド成形品MP2を台410上に載置する。
以上のようにして、パルプモールド成形品MP2を製造する。
その後、必要に応じて、パルプモールド成形品MP2に対して、後処理、例えば、絵柄印刷及び無地印刷等の印刷、コーティング、又はそれらの組み合わせを行う。後処理によって形成するコーティング層は、例えば、耐水性や耐油性を付与する薬剤を含んだ層、断熱性を付与する材料が充填された層、発泡剤によって発泡させた層、又はそれらの組み合わせである。後処理を行うことにより、例えば、パルプモールド成形品MP2の美粧性を更に高めることや、パルプモールド成形品MP2に新たな機能を付与することができる。
上記の方法によると、高い密度を有し且つ密度のばらつきが小さく、緻密なパルプモールド成形品MP2を製造できる。このようなパルプモールド成形品MP2は、厚さが小さい場合であっても、高い強度を有している。具体的には、このようなパルプモールド成形品MP2は、高い比引張強さ及び高い引張弾性率を有している。
上記の方法により得られる緻密で強度の高いパルプモールド成形品MP2は、表面性状に優れ、正反射強度が高く光沢性に優れている。この理由について、以下に説明する。
熱プレス工程の代わりに、オーブンを使用した乾燥を行った場合、パルプ層には、その収縮によって、表面に高低差が大きな凹凸を生じる。また、このような方法では、パルプ層は十分に緻密化されず、それ故、パルプモールド成形品は高い多孔度を有する。従って、この場合、表面性状に優れたパルプモールド成形品を製造することはできない。
また、このような高い多孔度を有するパルプモールド成形品では、高い強度を達成するために坪量を増やす必要がある。しかしながら、坪量を増やした場合、質量及び厚さの増加が問題となる。
また、脱水工程後に、オーブンを使用した乾燥を行い、この乾燥品を必要に応じて加湿して、これを熱プレス処理に供した場合、乾燥に伴って表面に生じた凹凸の高低差は、その後の加湿及び熱プレス処理によって小さくすることができる。また、加湿及び熱プレス処理によって、多孔度を小さくすることができる。しかしながら、オーブンを使用した乾燥に伴って表面に生じる凹凸の高低差は非常に大きいため、その後の加湿及び熱プレス処理によって十分に小さくすることはできない。また、乾燥後に加湿及び熱プレス処理を行っても、多孔度を十分に低下させることは難しい。
図2乃至図10を参照しながら説明した方法では、熱プレス工程において、パルプ層MP1を乾燥させる。即ち、上記の方法では、脱水工程後に、乾燥工程を経ることなしに、熱プレス工程を実施する。
熱プレス工程前に乾燥工程を行わないので、パルプ層MP1の表面に、高低差が大きな凹凸を生じることはない。熱プレス工程では、乾燥に伴うパルプ層MP1の変形を、上型350及び下型320が防止する。また、熱プレス工程は、水分含有率が高いパルプ層MP1に対して行うので、パルプ層MP1内での面内方向への繊維の移動が適度に生じ得る。厚さのばらつきを生じることなしに、パルプ層MP1を緻密化することができる。
従って、図2乃至図10を参照しながら説明した方法によると、多孔度が低く且つ算術平均粗さRaが小さいパルプモールド成形品MP2を製造することができる。例えば、算術平均粗さRaについては、200μm以下である領域を含んだパルプモールド成形品MP2が得られる。このように上記の方法によれば、表面粗さRaを小さく調整することが容易で、入射角75°の光に対する正反射強度が7%以上の領域を有するパルプモールド成形品を実現することができる。このように表面の正反射強度が7%以上であると、高光沢で平滑な表面性状が得られる。このような表面性状を有するパルプモールド成形品は、美粧性に優れるとともに、印刷性及びコーティング性に優れる。
パルプモールド成形品MP2は、表面の全体が上記の表面性状を有していてもよく、表面の一部の領域のみが上記の表面性状を有していてもよい。例えば、印刷等の後処理を行う部分を含む領域のみが上記の表面性状を有し、他の領域は上記の表面性状を有していなくてもよい。或いは、パルプモールド成形品MP2の一方の面が上記の表面性状を有し、その裏面は上記の表面性状を有していなくてもよい。そのような構造は、例えば、上型350及び下型320のパルプ層MP1と接する面の一部の領域と他の領域とで表面性状を異ならしめることにより実現することができる。
また、パルプモールド成形品MP2は、壁部の厚さが小さい場合であっても、高い強度を有しているため、軽量化可能であり、積み重ねた場合の高さも小さい。それ故、パルプモールド成形品MP2は、高い輸送効率を達成し得る。
ところで、パルプモールド成形品の製造方法として、金型と中子とを用いた方法がある。しかしながら、以下に説明するように、そのような方法では、大きな正反射強度を達成することができない。
この方法では、先ず、内面がネットで被覆された2つの割型からなる金型のキャビティを、パルプ繊維を含んだスラリーで満たす。この割型には、キャビティと金型の外部とを連通させる複数の連通孔が設けられている。次に、スラリーを補充しながら、上記の連通孔を介した吸引を行うことにより、キャビティ内のスラリーが含んでいる水を金型の外部へと排出させるとともに、金型の内面にパルプ繊維を堆積させて、パルプ層を形成する。このような方法では、キャビティをスラリーで満たした後に、キャビティの全体を循環するようなスラリーの流れは生じず、パルプ繊維は、連通孔から離れた領域と比較して、連通孔の近傍でより多く堆積する。
次に、パルプ層を形成したキャビティ内へ、伸縮自在且つ中空状である中子を挿入し、これを膨らませることで、パルプ層を金型の内面に押し付ける。この押し付けにより、パルプ層の形状が金型の内面の形状に沿った形状となる。
上述した通り、中子による押し付けを行う直前において、連通孔の近傍では、連通孔から離れた領域と比較して、パルプ繊維が多く堆積している。即ち、中子による押圧の直前において、パルプ層は、連通孔の近傍で厚く、連通孔から離れた領域で薄い。従って、上記の押圧によって、パルプ層では、その厚さのばらつきに応じた密度のばらつきを生じる。即ち、パルプ層のうち、連通孔の近傍に位置した部分では密度が高く、連通孔から離れた領域に位置した部分では密度が低くなる。
このようにパルプ層の場所によって密度にばらつきがあり、緻密性に欠ける場合、正反射強度は低くなる。このため上記方法によって得られるパルプ層から、大きな正反射強度を有するパルプモールド成型品を製造することはできない。
一方、実施形態に係るパルプモールド成形品の製造方法では、先ず、液体透過性を有する抄型をスラリー中に浸漬させ、その後ポンプの駆動により抄型を横切るスラリーの流れを生じさせることによって抄型上にパルプを堆積させる。このような方法によると、パルプは均一に堆積する。次に、この堆積によって得られたパルプ層を適切な水分含有量になるように脱水する。次に、上型と下型とによって、水分含有量が比較的高いパルプ層を熱プレスする。このような熱プレスでは、パルプ層内での面内方向への繊維の移動が適度に生じ得る。このため、厚さのばらつきを生じることなしに、パルプ層を緻密化することができる。
このように、上述した方法では、パルプを均一に堆積させることができ、また、熱プレスの際にパルプの適度な移動を生じさせ、パルプ層の密度は均一化する。このため、上述した方法では、パルプ層に密度が低い部分が生じにくく緻密な層となる。よって、実施形態に係るパルプモールド成形品は大きい正反射強度を達成することができる。
なお、図2乃至図10は、本発明の一実施形態に係るパルプモールド成形品の製造方法の理解を容易にするためのものである。上述した方法は、他の構造を有する製造装置を使用して実施することも可能である。
以下に、本発明の具体例を記載する。本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
<1>パルプモールド成形品の製造
(例1)
パルパーを用いて、パルプと水とからなるスラリーを調製した。スラリーのパルプ含有率は0.2質量%とした。パルプとしては、平均繊維長が1.6mmのパルプを使用した。ここで平均繊維長は上述した方法により測定した。
このスラリーを使用して、図2乃至図10を参照しながら説明した方法により、パルプモールド成形品を製造した。ここでは、脱水工程は、脱水直後のパルプ層の水分含有率が69質量%となるように行った。熱プレス工程は、加熱温度を180℃、プレス圧を1.5MPa、プレス時間を90秒として行った。脱水工程及び熱プレス工程では、壁部の厚さが0.7mmのパルプモールド成形品が得られるように、上型と下型とのクリアランスを0.7mmとした。
以上のようにして、壁部の厚さが0.7mm、密度が0.55g/cmのパルプモールド成形品を製造した。ここで壁部の厚さ及び密度は上述した方法により測定した。
(例2)
壁部の厚さと密度が例1と異なるパルプモールド成形品を得るために、パルプ堆積量を増加させ、プレス圧を2MPaとし、脱水工程及び熱プレス工程において、上型と下型とのクリアランスを1mmとした以外は例1と同様の方法により、パルプモールド成形品を製造した。得られたパルプモールド成形品は、壁部の厚さが1mm、密度が0.79g/cmであった。
(比較例1)
脱水工程までは例1と同様の方法を使用した。脱水後、熱プレス工程に替えて、加圧することなく180℃で90秒の乾燥を行うことにより、壁部の厚さが1.5mm、密度が0.35g/cmのパルプモールド成形品を製造した。
(比較例2)
脱水工程までは例2と同様の方法を使用した。脱水後、乾燥工程を経た後で熱プレスを行った。すなわち、脱水後、熱プレス工程に替えて、加圧することなく180℃で90秒の乾燥を行った。次いで、加湿した状態で熱プレスを行った。加湿はスチーム吹き付けにより行い、熱プレスは、加熱温度150℃、プレス圧0.3MPa、プレス時間15秒で行った。
以上のようにして、壁部の厚さが2mm、密度が0.4g/cmのパルプモールド成形品を製造した。
<2>評価
例1及び2、並びに、比較例1及び2において製造したパルプモールド成形品の各々について、以下の評価を行った。評価結果を表1に記載する。
(正反射強度)
JIS P8142:2005「紙及び板紙-75度鏡面光沢度の測定方法」で規定される方法によって、正反射強度を測定した。正反射強度が7%以上である場合、光沢度が高く美粧性に優れる。
(印刷性)
各パルプモールド成形品にインクジェットプリンターを用いて印字した。印字の滲みの有無を肉眼で判断し、印字の滲みがなければA、印字の滲みがあればBと評価した。
(算術平均粗さRa)
JIS B0601:2013で規定される方法によって、算術平均粗さRa(μm)を測定した。
(比引張強さ)
上述した方法で、JIS P8113:2006「紙及び板紙-引張特性の試験方法-第2部:定速伸張法」に従い、比引張強さ(N・m/g)を測定した。
(層間剥離強度)
上述した方法により層間剥離強度(N)を測定した。
表1において、「膜厚」は、パルプモールド成形品MP2の「壁部の厚さ」、すなわち、底部及び側壁部の厚さを示している。
例1及び2と比較例1との対比から、熱プレス工程を行うことにより、入射角75°の光に対する正反射強度が7%以上であるパルプモールド成形品が得られ、プレス圧を加えることなく乾燥だけ行った場合はこのような高い正反射強度を有するパルプモールド成形品は得られないことがわかる。
更に、例1及び2と比較例2との対比から、乾燥した後に熱プレスを行っても、例1及び2のような高い正反射強度を有するパルプモールド成形品は得られないことがわかる。
正反射強度が7%以上である例1及び2のパルプモールド成形品は、高い密度、高い印刷性、小さい算術平均粗さRa、高い比引張強さ、及び高い層間剥離強度を有していることがわかる。一方、正反射強度が7%未満である比較例1及び2のパルプモールド成形品は、低い密度、低い印刷性、大きい算術平均粗さRa、低い比引張強さ、及び低い層間剥離強度を有していることがわかる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
1…製造装置、10…支持体、20…第1ステーション、30…第2ステーション、40…第3ステーション、210…容器、220…昇降装置、230…カバー体、240…抄型、250…移動装置、260…昇降装置、270…上型、310…台、320…下型、330…移動装置、340…プレス装置、350…上型、410…台、420…移動装置、430…昇降装置、440…保持具、MP1…パルプ層、MP2…パルプモールド成形品、S…スラリー。

Claims (8)

  1. 入射角75°の光に対する正反射強度が7%以上である領域を表面に有するパルプモールド成形品。
  2. 密度が0.5g/cm以上である請求項1に記載のパルプモールド成形品。
  3. 算術平均粗さRaが200μm以下である領域を表面に有する請求項1又は2に記載のパルプモールド成形品。
  4. 比引張強さが15N・m/g以上である請求項1乃至3の何れか1項に記載のパルプモールド成形品。
  5. 層間剥離強度が8N以上である請求項1乃至4の何れか1項に記載のパルプモールド成形品。
  6. パルプの平均繊維長が1.7mm未満である請求項1乃至5の何れか1項に記載のパルプモールド成形品。
  7. 開口部を有し、前記開口部から離れる方向へ先細りしている請求項1乃至6の何れか1項に記載のパルプモールド成形品。
  8. 容器である請求項1乃至7の何れか1項に記載のパルプモールド成形品。
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