JP2023107400A - 印刷装置、印刷異常検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】印刷画像に基づいて、印刷異常を検出し、印刷異常の要因を識別する。【解決手段】キャリッジと媒体とを相対的に主走査方向に往復させながら印刷を行う印刷装置であって、元画像データを含むジョブデータを取得する取得部と、ノズルからインクを吐出して前記元画像データの印刷を行う印刷ヘッドと、印刷結果を読み取るリーダーと、前記リーダーが読み取った印刷画像データから生成したエッジ画像データと前記元画像データから生成したエッジ画像データとから差分画像データを生成し、前記差分画像データに基づいて、印刷異常を検出するプロセッサーと、を備える印刷装置を構成する。【選択図】図1
Description
本発明は、印刷装置、印刷異常検出方法に関する。
従来、印刷物をカメラで撮影した画像に基づいて印刷エラーを検出する手法が知られている。例えば特許文献1には、印刷エラーとしてホワイトラインエラーまたはダークラインエラーを検出する手法が記載されている。
印刷物においてホワイトラインまたはダークラインは、ノズル抜け以外にも印刷媒体の搬送機構の不調等の要因によっても生じうる。しかし、特許文献1の手法では、これらの要因を区別することができない。印刷画像に基づいて、印刷異常を検出し、印刷異常の要因を識別できることが望まれる。
印刷装置は、キャリッジと媒体とを相対的に主走査方向に往復させながら印刷を行う印刷装置であって、元画像データを含むジョブデータを取得する取得部と、ノズルからインクを吐出して元画像データの印刷を行う印刷ヘッドと、印刷結果を読み取るリーダーと、リーダーが読み取った印刷画像データから生成したエッジ画像データと元画像データから生成したエッジ画像データとから差分画像データを生成し、差分画像データに基づいて、印刷異常を検出するプロセッサーと、を備える。
印刷異常検出方法は、キャリッジと媒体とを相対的に主走査方向に往復させながら印刷を行う印刷装置における印刷異常を検出する方法であって、元画像データを含むジョブデータを取得し、ノズルからインクを吐出して印刷を行い、印刷結果を読み取り、読み取った印刷画像データから生成されたエッジ画像データと元画像データから生成されたエッジ画像データとから差分画像データを生成し、差分画像データに基づいて、印刷異常を検出する、ことを含む。
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)印刷装置の構成:
(2)印刷異常検出処理:
(3)他の実施形態:
(1)印刷装置の構成:
(2)印刷異常検出処理:
(3)他の実施形態:
(1)印刷装置の構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかる印刷装置10の構成を示すブロック図である。印刷装置10は、RAM,CPU等を備えるプロセッサー20と不揮発性メモリー30とを備えており、不揮発性メモリー30に記録された図示しない印刷制御プログラムや印刷異常検出プログラムをプロセッサー20で実行することができる。むろん、不揮発性メモリー30は他の種類の記憶媒体であっても良い。
図1は、本発明の一実施形態にかかる印刷装置10の構成を示すブロック図である。印刷装置10は、RAM,CPU等を備えるプロセッサー20と不揮発性メモリー30とを備えており、不揮発性メモリー30に記録された図示しない印刷制御プログラムや印刷異常検出プログラムをプロセッサー20で実行することができる。むろん、不揮発性メモリー30は他の種類の記憶媒体であっても良い。
本実施形態にかかる印刷装置10は、インクジェット方式のプリンターである。印刷装置10は、キャリッジ40、通信部50、搬送機構60、UI部70を備えている。UI部70は、ユーザーの入力を受け付け、また、ユーザーに対して各種の情報を出力する装置である。本実施形態においてUI部70は、タッチパネルディスプレイと機械式キーを有している。タッチパネルディスプレイは、各種の情報を表示する表示パネルと、表示パネルに重ねられたタッチ操作検出部とを備える。UI部70は、プロセッサー20の制御に従って様々な情報をUI部70の表示パネルに表示する。また、プロセッサー20は、UI部70を制御し、タッチパネルディスプレイに設けられたソフトキーや、UI部70に設けられた機械式キーに対するユーザーの入力を受け付けることができる。プロセッサー20は、入力された内容に対応する処理を実行する。
通信部50(取得部)は、有線通信や無線通信等で接続されたPCやタブレット端末等の外部装置と通信するための通信回路を含んでおり、プロセッサー20は、外部装置から印刷対象の画像データ(元画像データ)を含むジョブデータを取得することができる。また、通信部50は、図示しない可搬型の記憶媒体を装着可能なインターフェースを備えており、プロセッサー20は、装着された記憶媒体から印刷対象の画像データを取得することができる。
搬送機構60は、印刷媒体を既定の方向に搬送する装置である。プロセッサー20は、搬送機構60を制御して、既定の手順で印刷媒体を搬送することができる。キャリッジ40には、印刷部41とリーダー42とが搭載されている。プロセッサー20は、キャリッジ40を特定の方向に沿って往復移動させることが可能である。非印刷動作時のキャリッジ40の退避位置(ホームポジション)から当該退避位置の主走査方向における反対側に向かう移動を往動と呼び、往動の反対の向きの移動を復動と呼ぶ。印刷装置10においては、印刷媒体から所定の距離が維持された状態でキャリッジ40が特定の方向に移動されるように構成されている。
印刷部41は、CMYK(C:シアン、M:マゼンタ、Y:イエロー、K:ブラック)の4種類のインクを吐出する印刷ヘッドと、印刷ヘッドに装着されたCMYK各色のインクのインクタンクとを備えている。むろん、インクの色や色数は一例であり、他の色のインクや他の色数が利用されても良い。印刷ヘッドは、キャリッジ40の移動方向と直交する方向に並ぶ複数個の吐出ノズルを備えており、プロセッサー20は、各吐出ノズルからのインク吐出量や吐出タイミング等を制御することができる。
従って、キャリッジ40を特定の方向に移動させる過程で吐出ノズルから各色のインクが吐出されることにより、印刷媒体に画像を印刷することができる。そして、搬送機構60による印刷媒体の搬送と、キャリッジ40の移動および印刷ヘッドからのインクの吐出とを繰り返すことにより、印刷媒体における印刷可能範囲の任意の位置に画像を印刷することが可能である。本実施形態においては、印刷媒体が搬送される方向を副走査方向、キャリッジ40が移動する方向を主走査方向と呼ぶ。
リーダー42は、印刷部41によって印刷が行われる印刷媒体を読み取ることが可能なセンサーユニットである。本実施形態においてリーダー42は、印刷部41の印刷ヘッドに対して主走査方向に隣接した状態でキャリッジ40に備えられている。従って、プロセッサー20は、キャリッジ40を移動させることにより、リーダー42を主走査方向に移動させることができる。このような構成により、本実施形態においては、リーダー42が移動することにより、主走査方向における印刷媒体上の印刷可能範囲の全てを視野に含めることができ、主走査方向のいずれの位置であっても印刷された画像を読み取ることができる。すなわち、リーダー42は、印刷媒体に対して画像が印刷された領域である印刷領域(印刷結果を示す領域)および印刷媒体の余白である非印刷領域を読み取ることができる。
本実施形態においては、リーダー42によって読み取った印刷媒体を示す印刷画像データを印刷部41の印刷異常の検出のために使用することができる。印刷部41における印刷品質は、吐出ノズルからインクが吐出されるタイミングや吐出方向等の基準からのずれ、吐出ノズルの詰まり、搬送機構60による搬送量のずれ、など、種々の要因により悪化し得る。昨今、印刷装置10が無人の施設で長時間稼働する事例が増加してきており、そのような場合、印刷開始時には印刷装置10が調整され印刷品質に問題がない状態であっても、長時間、連続的に印刷が行われていくうちに、様々な要因によって印刷品質が悪化しうる。ユーザーが印刷物を目視で確認し印刷品質が悪化している場合に印刷を停止させて印刷装置10の調整を行う場合もあるが、上述のように長時間無人稼働している状態においては、自動で印刷品質の悪化を検出できることが望ましい。
このような印刷品質の悪化(印刷異常)は、印刷部41によって印刷された画像において顕在化するため、印刷された画像をリーダー42によって読み取った読取結果に基づいて、印刷異常の要因を推定することが可能になる。仮に、印刷品質をチェックするためのテストパターンを定期的に印刷し、印刷されたテストパターンを読み取って印刷異常を検出する手法もあるが、その場合、テストパターン印刷のために印刷媒体とインクを消費してしまうこととなる。印刷品質チェックのための印刷媒体とインクの消費を抑制するため、本実施形態においては、予め決められたテストパターンではなく、生産の対象物である、元画像データが印刷された印刷媒体をリーダー42によって読み取り、読み取り結果に基づいて印刷異常の有無を検出し、その要因を判別する構成を採用する。
図2は、リーダー42の構造を模式的に示す図である。図2においては、リーダー42と印刷媒体Pを模式的に示しており、副走査方向をy方向、印刷面に垂直な方向をz方向として示している。従って、主走査方向は、y方向およびz方向に垂直な図面の奥行き方向である。本実施形態においては、主走査方向をx方向とも呼ぶ。
本実施形態にかかるリーダー42は、図2に示すように、筐体42aを備えており、筐体42aによってリーダー42の内部に空間が形成されている。筐体42aの内部には、エリアセンサー42bとLED42c,42dとレンズ42eとが備えられている。エリアセンサー42bは、2次元的に配置されたセンサー素子を備えている。各センサー素子はRGB(R:レッド、G:グリーン、B:ブルー)の各色のフィルターを通して各色の明るさを読み取り、明るさを出力するセンサーである。
LED42c,42dは、印刷媒体に光を照射する光源であり、本実施形態にかかるリーダー42は、2カ所に設置されたLED42c,42dで印刷媒体を照明する構成となっている。また、本実施形態において、2個のLED42c,42dは、y方向に沿って並べられており、エリアセンサー42bの中央を通り、z方向に平行な線から見て対称の位置にLED42c,42dが配置されている。
エリアセンサー42bからみたz軸負方向側にはレンズ42eが配置されており、LED42c,42dから出力された後に印刷媒体Pで反射し、拡散した光はレンズ42eを通ってエリアセンサー42bのセンサー素子に結像する。従って、エリアセンサー42bは、LED42c,42dで照明された印刷媒体Pを読み取ることができる。図2においては、印刷媒体P上の読み取り範囲Ysに照射される光の光路と、印刷媒体Pからレンズ42eを通ってエリアセンサー42bに達する光の光路との一部を一点鎖線の矢印で示している。なお、レンズ42eは1又は複数のレンズで構成される。
プロセッサー20は、エリアセンサー42bの各センサー素子で読み取られたRGBの各色の明るさに基づいて、印刷媒体P上に印刷された画像を読み取ることができる。また、プロセッサー20は、キャリッジ40を主走査方向に移動させることができ、移動後のキャリッジ40の位置を取得することができる。従って、プロセッサー20は、リーダー42によって画像が撮影された場合におけるキャリッジ40の主走査方向の位置(リーダー42の主走査方向の位置と同等)を取得し、両者を対応づけることができる。
本実施形態においては、所定の印刷パスにおいて、キャリッジ40が所定の位置にある場合にリーダー42に読み取りを行わせるように構成されている。プロセッサー20は、1枚の元画像データの印刷の過程でリーダー42が読み取った複数の読取データを取得する。複数の読取データにおいては、印刷媒体の同位置を重複して読み取った画素が含まれる。プロセッサー20は、重複部分においていずれか一方の読取データの画素値(あるいは平均値でもよい)を採用して複数の読取データを結合し1枚の印刷画像データを生成する。また、プロセッサー20は、元画像データの解像度と印刷画像データの解像度とが合致しない場合は、両者の解像度が合致するように、少なくともいずれか一方の画像データの解像度を変換する。このようにして生成された印刷画像データは、RGB3チャンネルの階調値で表されたデータである。また、本実施形態において元画像データもRGB3チャンネルの階調値で表されたデータであるとして説明を続ける。
プロセッサー20は、このようにして生成された印刷画像データと元画像データを比較して印刷異常の有無を検出する。本実施形態で検出対象とする印刷異常は、双方向印刷ずれ、媒体搬送ずれ、ノズル抜けである。キャリッジ40の往動と復動の両方の動作時に印刷を行う場合に、往動と復動とでドット形成位置が主走査方向にずれることがあり、このずれを本明細書では双方向印刷ずれ(Bi-Dずれともいう)と呼ぶ。具体的には例えば、主走査方向の同じ位置(副走査位置は異なりうる)に往動と復動でドットを形成するように対応付けられている画素が、実際には主走査方向に異なる位置でドットが形成された場合に双方向印刷ずれが生じる。印刷画像上において、双方向印刷ずれは、印刷画像内のオブジェクトの主走査方向の微分におけるエッジ(輪郭)部でより顕著に観測されうる。元画像データにおけるエッジと印刷画像データにおけるエッジとを比較した場合、主走査方向の微分によるエッジ部で両者に主走査方向のずれが生じていることが検出できる。主走査方向の微分によるエッジ部は副走査方向に長い形状となる傾向にある。
一方、搬送機構60において、搬送ローラーを回転させるモーターの駆動量と印刷媒体の搬送距離の対応が予想と実際とで差異がある場合に、印刷媒体上のドット形成位置に関して副走査方向にずれが生じる。差異は搬送ローラーの摩耗や印刷媒体のすべり等によって生じる。このずれを本明細書では媒体搬送ずれ(PF(Paper Feed)ずれともいう)と呼ぶ。モーターの駆動量に対応する搬送距離と実際の搬送距離とが一致しない場合、副走査方向におけるドット形成位置が本来の位置に対してずれる。印刷画像データを副走査方向に分けた領域をブロックと呼ぶとすると、媒体搬送ずれが発生して以降に印刷されるブロック全体が副走査方向にずれる。印刷画像上では、印刷順に前後で隣り合うブロックと一部重なる場合は、主走査方向に延びる濃い色の線が観測され、隣り合うブロックと離間する場合は、印刷媒体の地色の線(主走査方向に延びる)が観測される。また、ブロック全体がずれるため、元画像データにおけるエッジ(輪郭線)と印刷画像データにおけるエッジ(輪郭線)とを比較した場合、副走査方向の微分によるエッジ部で両者に副走査方向のずれが生じていることが検出できる。副走査方向の微分によるエッジ部は主走査方向に長い形状となる傾向にある。
また、特定のノズルに詰まりが生じている場合、詰まっているノズルに対応するドット形成位置を示す主走査方向に延びる線として印刷異常が観測される。このような印刷異常を本明細書ではノズル抜けと呼ぶ。ノズル抜けが生じている場合、印刷媒体が搬送されて次のブロックでのインク吐出においても、当該ノズルからインクが吐出されないこととなる。そのため、ノズル抜けの該当箇所は、印刷の副走査方向の搬送距離の間隔で離間して周期的に出現する線として観測されうる。ノズル抜けの場合は、ブロック全体はずれず、該当の箇所のみ薄い色の筋が出現することとなる。
本実施形態では、これらの印刷異常が印刷画像データにおいて生じているか否かを、元画像データと印刷画像データとを比較することによって検知する。以降では、印刷異常検出方法について、詳細に説明する。
(2)印刷異常検出処理:
図3は、本実施形態における印刷異常検出処理を行う過程で行われる画像処理の流れの概略を説明した図である。本実施形態においてプロセッサー20は、リーダー42が読み取った印刷画像データから生成したエッジ画像データと元画像データから生成したエッジ画像データとから差分画像データを生成し、差分画像データに基づいて、印刷異常を検出する。すなわち、プロセッサー20は、元画像データA1および印刷画像データB1をそれぞれグレースケール化して元画像データA2および印刷画像データB2を生成し、元画像データA2および印刷画像データB2についてそれぞれ、主走査方向(x方向)のエッジ画像データAX,BXと、副走査方向(y方向)のエッジ画像データAY,BYを生成する。さらに、プロセッサー20は、x方向エッジ画像データAXとx方向エッジ画像データBXの差分画像データDX1を生成し、y方向エッジ画像データAYとy方向エッジ画像データBYの差分画像データDY1を生成する。そして、プロセッサー20は、差分画像データDX1,DY1に対してそれぞれ2値化(DX2,DY2)、モルフォロジー演算のオープニング処理(DX3,DY3)、ラベリング(DX4,DY4)を順に実施する。
図3は、本実施形態における印刷異常検出処理を行う過程で行われる画像処理の流れの概略を説明した図である。本実施形態においてプロセッサー20は、リーダー42が読み取った印刷画像データから生成したエッジ画像データと元画像データから生成したエッジ画像データとから差分画像データを生成し、差分画像データに基づいて、印刷異常を検出する。すなわち、プロセッサー20は、元画像データA1および印刷画像データB1をそれぞれグレースケール化して元画像データA2および印刷画像データB2を生成し、元画像データA2および印刷画像データB2についてそれぞれ、主走査方向(x方向)のエッジ画像データAX,BXと、副走査方向(y方向)のエッジ画像データAY,BYを生成する。さらに、プロセッサー20は、x方向エッジ画像データAXとx方向エッジ画像データBXの差分画像データDX1を生成し、y方向エッジ画像データAYとy方向エッジ画像データBYの差分画像データDY1を生成する。そして、プロセッサー20は、差分画像データDX1,DY1に対してそれぞれ2値化(DX2,DY2)、モルフォロジー演算のオープニング処理(DX3,DY3)、ラベリング(DX4,DY4)を順に実施する。
本実施形態では、プロセッサー20は、このような処理を経て生成された差分画像データDX4,DY4に対して形状検出処理を行い、形状検出処理の結果に基づいて位置ずれを検出する。形状検出処理は、ラベルの主走査方向のサイズと副走査方向のサイズとの大小に応じて、媒体搬送ずれと双方向印刷ずれとを区別する処理である。より具体的に、プロセッサー20は、x方向の差分画像データDX4に対してラベルの形状検出処理を行って双方向印刷ずれの有無を判定する。また、プロセッサー20はy方向の差分画像データDY4に対してラベルの形状検出処理を行って媒体搬送ずれの有無を判定する。
さらに、プロセッサー20は、y方向の差分画像データDY3(モルフォロジー演算後、ラベリング処理前)に対して直線検出処理を行って、ノズル抜けの有無を判定する。
さらに、プロセッサー20は、y方向の差分画像データDY3(モルフォロジー演算後、ラベリング処理前)に対して直線検出処理を行って、ノズル抜けの有無を判定する。
仮に、カラーあるいはグレースケールの状態の画像データ間で、同位置の画素値の差分を示す差分画像データを生成する場合、撮影の照明環境や印刷媒体の色の影響、元画像データをRGBからCMYKに色変換する処理の影響等によって画像全体の明るさや色味が元画像データと印刷画像データとで相違しうる。そのため、カラーまたはグレースケールの状態で単純に、印刷画像データと元画像データの差分を算出したのでは、画像内において差分が大きい画素が増加し、印刷異常の要因を示す特徴を差分画像データから抽出することが困難となり得る。本実施形態のように、元画像データのエッジ画像データと印刷画像データのエッジ画像データを比較する場合、上述の影響を受けたとしても、印刷異常の要因を示す画像の特徴を抽出しやすくすることができ、ロバスト性が向上する。
図4は印刷異常検出処理を示すフローチャートである。印刷異常検出処理は、プロセッサー20が印刷対象の元画像データを含むジョブデータを取得し、ジョブデータが示す印刷条件に従って元画像データの印刷を開始した場合に実行される。ステップS100からS125は、元画像データと印刷画像データとの差分を算出するための前処理である。ステップS130からS145は印刷異常を検出するための画像データを生成する処理である。ステップS150からS155,S175,S195は、印刷異常の要因を特定するための画像データを生成する処理である。ステップS160からS170、S180からS190、S200からS215は、印刷異常の検知と要因の特定を行う処理である。なお、図3において画像データ間を繋ぐ矢印に対応して付されているステップ番号は、図4のフローチャートのステップ番号と対応している。
以降では、図4のフローチャートに沿って処理内容を詳細に説明する。印刷が開始されると、プロセッサー20は、印刷媒体の非印刷領域の画素値を取得して正規化を行う(ステップS100)。すなわち、プロセッサー20は、印刷の過程で読み取られた非印刷領域の画素値を取得し、非印刷領域の画素値が基準の白を示す値((R,G,B)=(255,255,255))となるように、読み取られた各画素値の値を補正する。プロセッサー20は、ステップS105において印刷が終了したと判定されるまで画素値の補正を行う。
ステップS105において印刷が終了したと判定されると、プロセッサー20は、元画像データと印刷画像データを取得する(ステップS110)。すなわち、プロセッサー20は、ジョブデータに含まれる元画像データを取得する。また、プロセッサー20は、印刷画像をリーダー42が読み取り画素値が正規化された読み取り結果を結合して1枚の印刷画像データを生成する。また、印刷画像データと元画像データの解像度が合致していない場合、プロセッサー20は、解像度変換により両者の解像度を合致させる。
続いて、プロセッサー20は、印刷画像の任意の領域を切り取り、テンプレートマッチングを行う(ステップS115)。すなわち、プロセッサー20は、印刷画像データの任意の領域をテンプレート画像とし、テンプレート画像と元画像データとが最も類似する箇所を探索する。SSD(Sum of Squared Difference)、SAD(Sum of Absolute Difference)、NCC(Normalized Cross Correlation)等の公知のテンプレートマッチングアルゴリズムを採用可能であるが、本実施形態では、SSDを採用する。SSDの評価値(画素値の差分の二乗和)は類似度を示しており、SSDの評価値が小さいほど両画像が類似していることを示している。
続いて、プロセッサー20は、類似度を示す評価値が閾値以下であるか否かを判定し(ステップS120)、評価値が予め決められた閾値以下でない場合、印刷異常検出処理を終了する。すなわち、プロセッサー20は、SSDの評価値が閾値より大きい場合、元画像データとテンプレート画像がマッチしていないと見なし、印刷異常検出処理を終了する。
ステップS120において評価値が閾値以下であると判定された場合、プロセッサー20は、位置合わせを行う(ステップS125)。すなわちプロセッサー20は、SSDの評価値が最小の位置でマッチしていると見なす。そして、プロセッサー20は、元画像データの基準位置(例えば左上の画素)とマッチする印刷画像データにおける画素を特定する。図3のA1およびB1は、このようにマッチさせた状態の印刷画像データと印刷画像データとをそれぞれ示している。
続いて、プロセッサー20は、元画像データおよび印刷画像データのそれぞれについて、x方向およびy方向のエッジ画像データを生成する(ステップS130)。元画像データA1および印刷画像データB1は、RGB3チャンネルの階調値(256階調として説明を続ける)で表された画像データである。プロセッサー20は、元画像データA1を公知の変換式によりグレースケール化(256階調として説明を続ける)し、グレースケール化した元画像データA2に対して公知のSobelフィルターを用いた畳み込み演算を行う。x方向のエッジ検出のためのSobelフィルターとy方向のエッジ検出のためのSobelフィルターを用いてそれぞれ畳み込み演算を行うことにより、元画像データA2から、ノイズを低減しつつ、x方向のエッジを強調したエッジ画像データAXとy方向のエッジを強調したエッジ画像データAYとを生成することができる。プロセッサー20は同様の処理を印刷画像データB1に対しても行う。すなわちプロセッサー20は、印刷画像データB1をグレースケール化し(B2生成)、Sobelフィルターを用いた畳み込み演算によりノイズを低減しつつ、x方向のエッジを強調したエッジ画像データBXとy方向のエッジを強調したエッジ画像データBYとを生成する。Sobelフィルターのサイズ(カーネルのサイズ)は3×3や5×5等、適宜選択してよい。なお、グレースケール化した画像データに対して畳み込み演算を行うことにより、RGB3チャンネルそれぞれにおいて畳み込み演算を行う場合より計算コストを低減できる。また、上述したように、双方向印刷ずれや媒体搬送ずれ、は、主走査方向または副走査方向にずれる印刷ずれであり、ノズル抜けの場合は、主走査方向に延びる筋が生じるため、Sobelフィルターのように主走査方向(x方向)のエッジ画像と副走査方向(y方向)のエッジ画像をそれぞれ生成することで、各エッジ画像を用いてこれらの特徴を検出しやすい。
続いて、プロセッサー20は、元画像データおよび印刷画像データのx方向の差分画像とy方向の差分画像を生成し(ステップS140)、差分が閾値以上である画素を示す2値の差分画像データを生成する(ステップS145)。すなわち、プロセッサー20は、元画像データのx方向エッジ画像データAXおよび印刷画像データのx方向エッジ画像データBXの各画素の値(グレースケール階調値)の差分を算出する(DX1生成)。そしてプロセッサー20は各画素の差分の値と閾値thとを比較し、差分が閾値th以上である場合に当該画素の値を0とし、閾値th未満である場合は当該画素の値を255とする(DX2生成)。同様にして、プロセッサー20は、元画像データのy方向エッジ画像データAYおよび印刷画像データのy方向エッジ画像データBYの各画素の値の差分(DY1)と閾値thとを比較し、差分(DY1)が閾値th以上である場合に当該画素の値を0とし、閾値th未満である場合は当該画素の値を255とする(DY2生成)。このようにすることで、x方向のエッジ画像における差分が閾値th以上の画素を抽出した差分画像データDX2(2値)とy方向のエッジ画像における差分が閾値th以上の画素を抽出した差分画像データDY2(2値)を生成することができる。値が0の画素を黒、値が255の画素を白として扱う。
続いて、プロセッサー20は、差分画像データ(2値)に対してモルフォロジー演算(オープニング処理)を行う(ステップS150)。本実施形態においてモルフォロジー演算(オープニング処理)は、直線検出やラベルの形状検出を行い易くするために実施される。ラベリングは、本実施形態において、画像データ内の白画素が連続する場合に当該画素に同じ番号を割り振る処理である。モルフォロジー演算(オープニング処理)では、具体的に、プロセッサー20は、ステップS145で生成したx方向およびy方向の差分画像データ(2値)DX2,DY2のそれぞれに対してn回収縮処理を行い、その後m回膨張処理を行う(DX3,DY3生成)。収縮処理により、エッジを示す白画素の領域が狭まる。n回収縮処理を行うことにより、撮影環境の影響で画素値が変動する部分が局所的に現れている場合にもその影響を受けにくいようにノイズを低減することができる。本実施形態においては、m>nであり、収縮処理の回数よりもその後の膨張処理の回数を多くする。膨張処理により、エッジを示す白画素の領域が広がる。m回膨張処理を行うことにより、距離の近い白画素が連続しやすくし1つのラベルとしてラベリングしやすくなる。収縮処理および膨張処理に用いるカーネル(フィルター)は、4近傍、8近傍、十字、円等様々な構成の中から適宜選択してよい。
ステップS150に続いて、プロセッサー20は、x方向の差分画像データ(2値)を近傍探索によってラベリングする(ステップS155)。すなわち、本実施形態においてプロセッサー20は、x方向の差分画像データDX3において、白画素が4近傍または8近傍において連続する場合に当該画素に同じ番号を割り振る(DX4生成)。プロセッサー20は、次のステップS160においてラベルの形状検出処理を行い、主走査方向の位置ずれ、すなわち、双方向印刷ずれの有無を検出する。
続いて、プロセッサー20は、面積が閾値より大きいラベルを抽出し、抽出した各ラベルの縦横のサイズを取得する(ステップS160)。プロセッサー20は、各ラベルに外接する矩形であって、x方向に平行な2辺とy方向に平行な2辺を有する矩形の、縦のサイズ(y方向(副走査方向)の画素数)と、横のサイズ(x方向(主走査方向)の画素数)とを取得する。本実施形態では、プロセッサー20は、ラベルに外接する上述の矩形の面積(x方向画素数×y方向画素数)をラベルの面積として扱う。なお、同一ラベルを構成する連続する白画素の画素数をラベルの面積として扱う構成であってもよい。プロセッサー20は、面積が予め決められた閾値より大きいラベルを抽出してステップS165以降の処理を行う。
続いて、プロセッサー20は、縦に長いラベルが横に長いラベルより多いか否かを判定する(ステップS165)。プロセッサー20は、縦に長い、すなわちy方向(副走査方向)の長さがx方向(主走査方向)の長さより長いラベルの個数をカウントする。また、プロセッサー20は、横に長い、すなわちx方向(主走査方向)の長さがy方向(副走査方向)の長さより長いラベルの個数をカウントする。そして、プロセッサー20は、縦に長いラベルの個数と横に長いラベルの個数を比較する。
ステップS165において縦に長いラベルが横に長いラベルよりも多いと判定された場合、プロセッサー20は、双方向印刷ずれが生じていると推定する(ステップS170)。仮に双方向ずれが生じている場合、上述したように、x方向のエッジ画像データの差分画像データDX4において、y方向に長いラベルがx方向に長いラベルより多くなる傾向にある。そのため、y方向に長いラベルがx方向に長いラベルより多い場合に、プロセッサー20は、双方向印刷ずれが生じていると判定する。
図5は、印刷画像に双方向印刷ずれが生じている場合のx方向の差分画像データDX4における、ラベルに外接する矩形枠の一例を示す模式図である。この例では、y方向に長い矩形枠が3個、x方向に長い矩形枠が1個であり、前者の方が多い。そのため、このような場合は、ステップS170において、双方向印刷ずれが生じていると推定する。ステップS165において縦に長いラベルが横に長いラベルより多いと判定されなかった場合、プロセッサー20は、双方向印刷ずれが生じていると推定しない。
ステップS165において縦に長いラベルが横に長いラベルよりも多いと判定されない場合、または、ステップS170を実行後、プロセッサー20は、y方向の差分画像データ(2値)を近傍探索によってラベリングする(ステップS175)。すなわち、本実施形態においてプロセッサー20は、y方向の差分画像データDY3において、白画素が連続する場合に当該画素に同じ番号を割り振る(DY4生成)。プロセッサー20は、次のステップS180においてラベル毎の形状検出処理を行い、副走査方向の位置ずれ、すなわち、媒体搬送ずれの有無を検出する。
ステップS175に続いて、プロセッサー20は、面積が閾値より大きいラベルを抽出し、抽出したラベルの縦横のサイズを取得する(ステップS180)。すなわち、プロセッサー20は、各ラベルに外接する矩形であって、x方向に平行な2辺とy方向に平行な2辺を有する矩形の、縦の長さ(y方向(副走査方向)の長さ)と、横の長さ(x方向(主走査方向)の長さ)とを取得する。プロセッサー20は、ラベルの面積が予め決められた閾値より大きいラベルを抽出し、ステップS185以降の処理を行う。
続いて、プロセッサー20は、横に長いラベルが縦に長いラベルより多いか否かを判定する(ステップS185)。プロセッサー20は、横に長い、すなわちx方向(主走査方向)の長さがy方向(副走査方向)の長さより長いラベルの個数をカウントする。また、プロセッサー20は、縦に長い、すなわちy方向(副走査方向)の長さがx方向(主走査方向)の長さより長いラベルの個数をカウントする。そして、プロセッサー20は、横に長いラベルの個数と縦に長いラベルの個数を比較する。
ステップS185において、横に長いラベルが縦に長いラベルより多いと判定された場合、プロセッサー20は、媒体搬送ずれが生じていると推定する(ステップS190)。仮に媒体搬送ずれが生じている場合、上述したように、y方向のエッジ画像データの差分画像データDY4において、x方向に長いラベルがy方向に長いラベルより多くなる傾向にある。そのため、x方向に長いラベルがy方向に長いラベルより多い場合に、プロセッサー20は、媒体搬送ずれが生じていると判定する。
図6は、印刷画像に媒体搬送ずれが生じている場合のy方向の差分画像データDY4における、ラベルに外接する矩形枠の一例を示す模式図である。この例では、x方向に長い矩形枠が2個、y方向に長い矩形枠が0個であり、前者の方が多い。そのため、このような場合は、ステップS190において、媒体搬送ずれが生じていると推定される。ステップS185において横に長いラベルが縦に長いラベルより多いと判定されない場合、プロセッサー20は媒体搬送ずれが生じていると推定しない。
ステップS185において横に長いラベルが縦に長いラベルよりも多いと判定されない場合、または、ステップS180を実行後、プロセッサー20は、ハフ変換を用いた直線検出処理を行う(ステップS195)。すなわち、プロセッサー20は、y方向の差分画像データDY3についてハフ変換により直線検出を行う。プロセッサー20は、x方向に平行(または略平行)の直線であって、差分画像データのx方向の長さの1/N以上(Nは自然数)の長さを有する直線を検出する。
続いて、プロセッサー20は、検出された直線が等間隔であるか否かを判定する(ステップS200)。すなわち、プロセッサー20は、x方向に平行(または略平行)な複数の(3以上)直線を検出した場合に、それらx方向に平行な複数の直線が、印刷の印刷媒体の搬送距離に相当する間隔で差分画像データDY3内に位置しているか否かを判定する。
ステップS200において直線が等間隔であると判定された場合、プロセッサー20は、直線全体の色は均一であるか否かを判定する(ステップS205)。本実施形態において、プロセッサー20は、x方向に平行な複数の直線全体の色がそれぞれ、白色であるか否かを判定する。具体的には、プロセッサー20は、検出した直線上の任意の複数の点の画素値(0または255)を取得し、その平均値が予め決められた閾値以上(すなわち白に近い)値であれば当該直線の色が全体に渡って均一であると見なす。あるいは、誤差の影響を排除するため、検出した直線上の任意の複数の点について、各点およびその周囲(例えば8近傍)の画素値(0または255)の最大値を取得し、その平均値が予め決められた閾値以上であれば直線全体の色が均一であると見なす構成であってもよい。
ステップS205において色が均一であると判定された場合、プロセッサー20は、媒体搬送ずれと判定されたか否かを判定する(ステップS210)。ステップS185において横に長いラベルが縦に長いラベルより多いと判定された場合、ステップS210においてプロセッサー20は、媒体搬送ずれと判定されたと見なす。ステップS210において媒体搬送ずれと判定されなかった場合、プロセッサー20は、ノズル抜けが生じていると推定する(ステップS215)。ステップS200にて直線が等間隔であると判定されなかった場合、または、ステップS205にて直線全体の色が均一であると判定されなかった場合、または、ステップS210にて媒体搬送ずれと判定された場合、プロセッサー20はノズル抜けが生じていると推定しない。
図7は、印刷画像にノズル抜けが生じている場合のy方向の差分画像データDX3において検出された直線の一例を示す模式図である。y方向の差分画像データDX3において、x方向に平行な等間隔に出現する複数の直線が存在しており、直線全体の色が均一である場合、ノズル抜けが生じている可能性がある。しかし媒体搬送ずれが生じている場合もこのような色が均一のx方向に平行な等間隔の複数の直線が検出される場合もある。そのため、プロセッサー20は、y方向の差分画像データのラベル形状検出処理において媒体搬送ずれが生じていると推定されている場合には、ノズル抜けが生じていると推定せず、媒体搬送ずれは生じていない場合であって図7のような直線が複数検出された場合に、ノズル抜けが生じていると推定する。
なお、ノズル抜けも双方向印刷ずれも媒体搬送ずれも生じていない場合、x方向の差分画像データDX4にもy方向の差分画像データDY4にも閾値以上の面積を有するラベルが存在せず、また、y方向の差分画像データDY4において主走査方向に平行(または略平行)で搬送距離に相当する間隔を隔てた複数の直線も検出されないこととなる。そのため、このような場合は、プロセッサー20は印刷異常が生じていないと見なす。
プロセッサー20は、印刷異常検出処理において、上述の3つの要因による印刷異常の少なくともいずれかが生じていると推定した場合に、印刷装置10における印刷を中断する。例えば、1つの印刷ジョブが完了していなかったとしても、プロセッサー20は印刷異常を検出した場合に当該印刷ジョブの印刷を中断する。プロセッサー20は、UI部70のディスプレイに、印刷異常によって印刷を中断した旨と印刷異常の要因を表示する。また、プロセッサー20は、通信部50を介してジョブデータの送信元に印刷異常検出によって印刷を中断した旨と、印刷異常の要因を通知する。当該通知によってユーザーに要因別の対処を行うことを促しても良い。当該通知によってユーザーは、印刷装置10のノズルメンテナンスや吐出タイミング調整や搬送モーターの駆動量の調整を行うことができる。あるいは、ユーザーは、中断した印刷ジョブの残りを別の印刷装置10に実行させるようにすることもできる。
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、本発明は、印刷機能と画像読み取り機能を有する複合機に適用することも可能である。また、印刷画像を読み取るリーダーは、キャリッジに搭載されて印刷ヘッドと共に往復動する構成に限定されない。例えば、カメラが、印刷媒体の排紙口に印刷媒体の印刷面全体を視野角に含むように設置されており、印刷済みの印刷媒体を撮影するように構成されていてもよい。また、印刷済みの印刷媒体の搬送経路上に印刷媒体の印刷面を読み取るスキャナーが設けられていても良く、当該スキャナーによって印刷媒体を読み取るように構成されていてもよい。また、リーダーは単色で読取を行ってもよい。特にモノクロプリンターであれば、モノクロで読み取るリーダーを採用することが望ましい。
また、画像全体を対象として印刷異常検出処理を行うことに限られず、画像の一部を対象として印刷異常検出処理を行うようにしてもよい。この場合対象外の位置で生じた異常は検出できない可能性があるものの、計算資源の節約になる。
また、プロセッサーは、複数の画像を連続して印刷する場合には、一画像ごとに印刷異常検出処理を行ってもよいし、複数の画像ごとに印刷異常検出処理を行ってもよい。さらに、一画像を複数領域に分けて印刷が完了した領域ごとに印刷異常検出処理を行ってもよい。例えば、ユーザーから要求されている印刷品質が高い場合には領域ごとに印刷異常検出処理を行い、要求されている印刷品質が中程度の場合には一画像ごとに印刷異常検出処理を行い、要求されている印刷品質が低い場合には複数画像ごとに印刷異常検出処理を行うようにしてもよい。
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、本発明は、印刷機能と画像読み取り機能を有する複合機に適用することも可能である。また、印刷画像を読み取るリーダーは、キャリッジに搭載されて印刷ヘッドと共に往復動する構成に限定されない。例えば、カメラが、印刷媒体の排紙口に印刷媒体の印刷面全体を視野角に含むように設置されており、印刷済みの印刷媒体を撮影するように構成されていてもよい。また、印刷済みの印刷媒体の搬送経路上に印刷媒体の印刷面を読み取るスキャナーが設けられていても良く、当該スキャナーによって印刷媒体を読み取るように構成されていてもよい。また、リーダーは単色で読取を行ってもよい。特にモノクロプリンターであれば、モノクロで読み取るリーダーを採用することが望ましい。
また、画像全体を対象として印刷異常検出処理を行うことに限られず、画像の一部を対象として印刷異常検出処理を行うようにしてもよい。この場合対象外の位置で生じた異常は検出できない可能性があるものの、計算資源の節約になる。
また、プロセッサーは、複数の画像を連続して印刷する場合には、一画像ごとに印刷異常検出処理を行ってもよいし、複数の画像ごとに印刷異常検出処理を行ってもよい。さらに、一画像を複数領域に分けて印刷が完了した領域ごとに印刷異常検出処理を行ってもよい。例えば、ユーザーから要求されている印刷品質が高い場合には領域ごとに印刷異常検出処理を行い、要求されている印刷品質が中程度の場合には一画像ごとに印刷異常検出処理を行い、要求されている印刷品質が低い場合には複数画像ごとに印刷異常検出処理を行うようにしてもよい。
プロセッサーが検出する印刷異常は、リーダーが読み取った印刷画像データから生成したエッジ画像データと当該元画像データから生成したエッジ画像データとから差分画像データを生成し、当該差分画像データに基づいて検出可能ものであればよい。例えばインクの吐出方向が異常な状態であるノズルの有無を検出するように構成されてもよい。
印刷媒体はロール紙であってもよいし、カット紙であってもよい。印刷異常処理は、任意の頻度で行われても良い。1ページ分の印刷毎に行われても良いし、数ページ分の印刷毎に行われても良いし、連続印刷中に一定時間経過毎に行われてもよい。
さらに、印刷画像データおよび元画像データは画像全体を比較する構成に限定されない。例えば、複数パスでの印刷領域をリーダー42による1回の読取結果に含むことができる程度の視野角をリーダー42が有している場合、元画像データの一部と、当該一部に対応する印刷画像データの一部について、エッジの差分を算出して比較する構成であってもよい。
プロセッサーは、印刷画像データと元画像データとのそれぞれについてエッジフィルターを用いた畳み込み演算を行ってエッジ画像データを生成し、印刷画像データのエッジ画像データと元画像データのエッジ画像データとの差分を示す差分画像データを生成し、差分画像データにモルフォロジー演算のオープニング処理を行い、オープニング処理を行った差分画像データに基づいて、直線検出処理と形状検出処理と、の少なくともいずれかを実施する構成であってもよい。直線検出処理と形状検出処理のいずれか一方のみ実施する構成であってもよい。また、媒体搬送ずれ、ノズル抜け、双方向印刷ずれの全てを検出可能に構成されてもよいし、そのうちのいずれかを検出可能に構成されてもよい。
なお、直線検出処理は、y方向の差分画像データDY1(グレースケール)に対して行われても良い。エッジフィルターは、画像に含まれるオブジェクトの輪郭を検出するためのフィルターであり、Sobelフィルター以外では例えばDoG(Difference of Gaussian)フィルター等を採用してもよい。モルフォロジー演算のオープニング処理は、収縮処理の後に膨張処理を行う処理である。収縮処理の回数と膨張処理の回数は同じであってもよい。
印刷異常の原因の判定は機械学習モデルを用いて行う構成であってもよい。機械学習モデル(判定部)は、第1画像データと異常印刷された第1画像データを読み取って生成された第2画像データとの差分である第1差分画像データと、印刷異常の原因と、を含む教師データを用いた機械学習によって生成される構成であってもよい。教師データは、入力としての第1差分画像データと、出力としての印刷異常の原因を含む。なお、教師データには、第3画像データと正常印刷された第3画像データを読み取って生成された第4画像データとの差分である第2差分画像データ(入力)と、印刷異常なしを示す情報(出力)と、が含まれてもよい。プロセッサーは、リーダーが読み取った印刷画像データと元画像データとから生成した差分画像データを機械学習モデル(判定部)に入力して印刷異常の原因を出力させるように構成されていてもよい。判定部は、プリンターに備えられていても良いし、遠隔地に設けられたコンピューターに備えられていても良い。その場合に、この発明の印刷装置は、プリンターと遠隔地のコンピューターを含んで構成される。
さらに、プロセッサーは、印刷異常が検出されたことに応じて、検出された異常に応じた印字調整モードを開始させるように構成されてもよい。印字調整モードでは、プロセッサーは、各要因に応じた調整パターンを印刷し、印刷された調整パターンをリーダー42で読み取り、読取結果から調整パターンが正しく印刷されているか否かを判定する。さらにプロセッサーは、正しく印刷されていないと判定される場合に、印刷異常を解消するための要因別の調整動作を行って、再度調整パターンの印刷を行う。プロセッサー20は、調整動作と調整パターンの印刷と読取による判定とを、正しく調整パターンが印刷されるか所定の繰り返し回数に達するまで繰り返す。各要因に応じた調整パターンは、当該要因による印刷異常の発生を顕著に観察できるように設計された図形である。この構成によれば、発生していると推定される要因に対応する調整パターンのみを印刷して判定するため、全要因用の調整パターンを印刷する必要がなく、インクの消費を抑えることができる。印刷異常を解消するための調整動作は、例えば、ノズル抜けの場合はフラッシングやノズル面のワイプ等であり、媒体搬送ずれの場合は搬送ローラーの駆動量の調整であり、双方向印刷ずれの場合は例えば往路における吐出タイミングの調整等を想定してよい。プロセッサーは、最初に調整パターンを印刷する前に、検出された異常の要因とその程度に応じた調整を行い、その後に調整パターンを印刷するようにしてもよい。
また、プロセッサーは、異常が検出されたことに応じて、印刷中にジョブの印刷を中止して印字調整モードを開始させ、印字調整が完了したことに応じて印刷中であったジョブの再印刷を開始する構成であってもよい。すなわち、印刷異常が検出された場合、プロセッサーは、印刷ジョブの途中であっても自動で印刷を一旦中止して上述の印字調整モードを実行し、印刷異常が解消された場合に印字調整モードを終了して印刷ジョブの印刷を自動で再開するように構成されてもよい。このように構成されていることによって、無人の状態で長時間稼働している環境下でも、印刷品質の低下を防止し、インクや印刷媒体の無用な消費を抑制して、印刷を続行することができる。
さらに、本発明は、コンピューターが実行するプログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、複数の装置が備える部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。プリンターと該プリンターと通信を行うサーバーとが連携して、本発明を実施する印刷装置を構成してもよい。例えば、サーバーがプリンターから印刷画像データを取得し、サーバーが印刷異常を推定し、その結果をサーバーからプリンターに通知してもよい。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのプログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリーであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
10…印刷装置、20…プロセッサー、30…不揮発性メモリー、40…キャリッジ、41…印刷部、42…リーダー、42a…筐体、42b…エリアセンサー、42e…レンズ、50…通信部、60…搬送機構、70…UI部、P…印刷媒体、Ys…読み取り範囲
Claims (11)
- キャリッジと媒体とを相対的に主走査方向に往復させながら印刷を行う印刷装置であって、
元画像データを含むジョブデータを取得する取得部と、
ノズルからインクを吐出して前記元画像データの印刷を行う印刷ヘッドと、
印刷結果を読み取るリーダーと、
前記リーダーが読み取った印刷画像データから生成したエッジ画像データと前記元画像データから生成したエッジ画像データとから差分画像データを生成し、前記差分画像データに基づいて、印刷異常を検出するプロセッサーと、
を備える印刷装置。 - 前記プロセッサーは、前記差分画像データをハフ変換したデータに対して主走査方向の直線検出処理を実施し、
前記直線検出処理の結果に基づいて、ノズル抜けの有無を検出する、
請求項1に記載の印刷装置。 - 前記直線検出処理は、印刷の副走査の搬送距離の間隔の筋を検出する処理である、
請求項2に記載の印刷装置。 - 前記プロセッサーは、前記差分画像データに対してラベリングを行い、ラベル毎の形状検出処理を実施し、
前記形状検出処理の結果に基づいて、位置ずれを検出する、
請求項1に記載の印刷装置。 - 前記形状検出処理は、前記ラベルの主走査方向のサイズと副走査方向のサイズとの大小に応じて、媒体搬送ずれと双方向印刷ずれとを区別する処理である、
請求項4に記載の印刷装置。 - 前記形状検出処理において前記プロセッサーは、
前記印刷画像データの主走査方向の前記エッジ画像データと前記元画像データの主走査方向の前記エッジ画像データとの前記差分画像データに対してラベリングを行い、前記ラベルの副走査方向のサイズが主走査方向のサイズより大きい場合に双方向印刷ずれを検出し、
前記印刷画像データの副走査方向の前記エッジ画像データと前記元画像データの副走査方向の前記エッジ画像データとの前記差分画像データに対してラベリングを行い、前記ラベルの主走査方向のサイズが副走査方向のサイズより大きい場合に媒体搬送ずれを検出する、
請求項5に記載の印刷装置。 - 前記プロセッサーは、前記印刷画像データと前記元画像データとのそれぞれについてエッジフィルターを用いた畳み込み演算を行ってエッジ画像データを生成し、前記印刷画像データのエッジ画像データと前記元画像データのエッジ画像データとの差分を示す前記差分画像データを生成し、前記差分画像データにモルフォロジー演算のオープニング処理を行い、オープニング処理を行った前記差分画像データに基づいて、直線検出処理と形状検出処理と、の少なくともいずれかを実施する、
請求項1に記載の印刷装置。 - 第1画像データと異常印刷された前記第1画像データを読み取って生成された第2画像データとの差分である第1差分画像データと、印刷異常の原因と、を含む教師データを用いた機械学習によって生成された判定部を備え、
前記プロセッサーは、前記リーダーが読み取った前記印刷画像データと前記元画像データとから生成した前記差分画像データを前記判定部に入力して印刷異常の原因を出力させる、
請求項1に記載の印刷装置。 - 前記プロセッサーは、異常が検出されたことに応じて、検出された異常に応じた印字調整モードを開始させる、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の印刷装置。 - 前記プロセッサーは、異常が検出されたことに応じて、印刷中にジョブの印刷を中止して前記印字調整モードを開始させ、印字調整が完了したことに応じて印刷中であったジョブの再印刷を開始する、
請求項9に記載の印刷装置。 - キャリッジと媒体とを相対的に主走査方向に往復させながら印刷を行う印刷装置における印刷異常を検出する方法であって、
元画像データを取得し、
前記印刷装置によって前記元画像データに基づいた印刷を行った印刷物を読み取った印刷画像データを取得し、
取得した前記印刷画像データから生成されたエッジ画像データと取得した前記元画像データから生成されたエッジ画像データとから差分画像データを生成し、前記差分画像データに基づいて、印刷異常を検出する、
ことを含む印刷異常検出方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN117358615A (zh) * | 2023-10-08 | 2024-01-09 | 南京三隆包装有限公司 | 一种自动喷码印刷缺陷检测方法及系统 |
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2022
- 2022-01-24 JP JP2022008586A patent/JP2023107400A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN117358615A (zh) * | 2023-10-08 | 2024-01-09 | 南京三隆包装有限公司 | 一种自动喷码印刷缺陷检测方法及系统 |
CN117358615B (zh) * | 2023-10-08 | 2024-04-30 | 南京三隆包装有限公司 | 一种自动喷码印刷缺陷检测方法及系统 |
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