JP2023105609A - 保持部材及び静電チャック - Google Patents

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Hideki Uematsu
貴司 山口
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Abstract

【課題】保持する対象物との熱交換効率を向上させることができる保持部材及び静電チャックを提供すること。【解決手段】保持面11と、保持面11とは反対側に設けられる下面12とを備える板状部材10であって、保持面11に開口する複数のガス孔16と、保持面11から突出して形成される複数の凸部13,14と、を有し、複数の凸部13,14は、保持面面の外周に沿って環状に形成される環状凸部13と、環状凸部13の内側に形成された複数のピン状凸部14と、を備え、保持面11のうち、ガス孔16と環状凸部13との間における領域Rの少なくとも一部に複数の凸部13,14の高さより低い高さの突起50を含むテクスチャパターンTPが形成されている。【選択図】図2

Description

本開示は、対象物を保持する保持部材及び静電チャックに関する。
対象物を保持する保持部材や静電チャックとして、例えば、対象物との接触部分を少なくなるために、対象物を保持する保持面を凹凸面にするとともに、保持面の外周縁部に環状凸部を形成したものがある(特許文献1参照)。そして、このような保持部材や静電チャックでは、凹凸面の凹部に不活性ガス(ヘリウムなど)を供給して、保持部材と対象物との非接触部分における熱交換を補助し、保持部材と対象物との間における熱交換効率の悪化を防いでいる。
特開2017-199790号公報
しかしながら、凹部に供給される不活性ガスは、環状凸部から一定量がリークするので、ガス孔から環状凸部へ向うガスの流れが発生するが、このガスの流れは層流であるため、不活性ガスと対象物との間における熱交換効率が良くない。そのため、対象物と不活性ガスひいては保持部材との間における熱交換が促進されず、対象物の抜熱や加熱を迅速に行うことが困難であった。
そこで、本開示は上記した問題点を解決するためになされたものであり、保持する対象物との熱交換効率を向上させることができる保持部材及び静電チャックを提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本開示の一形態は、
第1の面と、前記第1の面とは反対側に設けられる第2の面とを備える保持部材であって、
前記第1の面に開口する複数の通気孔と、
前記第1の面から突出して形成される複数の凸部と、を有し、
前記複数の凸部は、
前記第1の面の外周に沿って環状に形成される環状凸部と、
前記環状凸部の内側に形成された複数のピン状凸部と、を備え、
前記第1の面のうち、前記通気孔と前記環状凸部との間における領域の少なくとも一部に前記複数の凸部の高さより低い高さの突起を含むテクスチャパターンが形成されていることを特徴とする。
このような保持部材では、保持部材と保持部材に保持する対象物との非接触部分における熱交換を補助するために、第1の面に開口する複数の通気孔から第1の面(より正確には第1の面に保持される対象物と第1の面との間)に不活性ガスが供給される。通気孔から第1の面に供給される不活性ガスは、環状凸部の内側に充填されていくが、不活性ガスの一部(一定量)は環状凸部の外側へリークする。そのため、第1の面において、通気孔と環状凸部との間における領域では、通気孔から環状凸部へ向う不活性ガスの流れが発生する。
そして、この保持部材では、通気孔と環状凸部との間における領域の少なくとも一部に突起を含むテクスチャパターンが形成されている。なお、テクスチャパターンとは、規則的に凹凸形状が配列されたパターンであり、例えば、格子形状や周期構造等を挙げることができる。そのため、通気孔から環状凸部へ向う不活性ガスの流れは、テクスチャパターンに衝突する。そうすると、不活性ガスの流れは、テクスチャパターンとの衝突により乱されて乱流となる。これにより、不活性ガスと保持部材が保持する対象物との接触頻度が高まるため、不活性ガスと保持部材が保持する対象物の間における熱交換を促進することができ、熱交換効率を向上させることができる。
上記した保持装置において、
前記テクスチャパターンは、前記第1の面の全域に形成されていることが好ましい。
ここで、環状凸部から外部への不活性ガスのリーク量は全周域でほぼ均等であるため、第1の面において、通気孔よりも内側の領域ではガスの流れがほとんど生じない。ところが、何らかの原因(例えば、製品バラツキや環状凸部の摩耗等)で環状凸部の特定部分からの不活性ガスのリーク量が増えてしまことがある。こうなると、第1の面の通気孔よりも内側の領域においても不活性ガスの流れが生じてしまう。
そこで、第1の面の全域にテクスチャパターンを形成することにより、通気孔から環状凸部へ向う不活性ガスの流れの他に、通気孔より内側の領域で生じた不活性ガスの流れもテクスチャパターンに衝突させて乱流にすることができる。すなわち、第1の面上で生じた不活性ガスの流れをすべて乱流にすることができる。従って、不活性ガスと保持部材に保持される対象物との接触頻度が高まる領域が増えるため、不活性ガスと保持部材に保持される対象物の間における熱交換がさらに促進され、熱交換効率をより向上させることができる。
上記した保持装置において、
前記突起は、等方的な形状であることが好ましい。
なお、等方的な形状としては、例えば、円柱、ディンプル形状、半球、ドーム形状、円錐等を挙げることができる。
突起をこのような形状にすることにより、どの方向からの不活性ガスの流れに対しても、テクスチャパターンに備わる突起に衝突させて乱流を発生させるのに必要とされる、ガスの流れを遮蔽するための有効な面積を一定にすることができる。これにより、どの方向からの不活性ガスの流れであっても確実に乱流を発生させることができる。従って、不活性ガスが保持部材に保持される対象物に接触する頻度を確実に高めることができる。よって、不活性ガスと保持部材に保持される対象物の間における熱交換をより促進することができ、熱交換効率を一層向上させることができる。
上記した保持装置において、
前記突起は、ドーム形状であることが好ましい。
突起をドーム形状にすることにより、どの方向からの不活性ガスの流れに対しても、保持部材に保持される対象物に向かう流れを含む乱流を確実に発生させることができる。従って、不活性ガスが保持部材に保持される対象物に接触する頻度を確実に高めることができる。よって、不活性ガスと保持部材に保持される対象物の間における熱交換を一層促進することができ、熱交換効率をより一層向上させることができる。
上記した保持装置において、
前記突起の高さは、前記複数の凸部の高さの10%以上95%以下であることが好ましい。
ここで、突起の高さが、複数の凸部の高さの95%より大きいと、突起が保持部材に保持される対象物に接触するおそれがある一方、複数の凸部の高さの10%より小さいと、不活性ガスの流れを乱流にすることができないおそれがある。なお、複数の凸部に高さが異なる凸部がある場合には、突起の高さは、複数の凸部のうち高さが一番低い凸部と比較した場合の高さとなる。
そこで、突起の高さを、このような範囲内に設定することにより、突起と保持部材に保持される対象物との接触を確実に防止しながら、テクスチャパターンにより不活性ガスの流れを確実に乱流にして、不活性ガスが保持部材に保持される対象物に接触する頻度を高めることができる。
また、上記課題を解決するためになされた本開示の別形態は、
上記した保持装置のいずれか1つの保持部材を備え、
前記保持部材は、対象物を前記第1の面に固定するための静電引力を発生させる静電電極を有する静電チャックである。
この静電チャックによれば、不活性ガスと対象物との熱交換、ひいては対象物と保持部材(ベース部材を備える場合にはベース部材)との熱交換を促進することができるため、対象物の抜熱や加熱を迅速に行うことができる。従って、対象物に対して実施される各種の処理を効率良く行うことができ、生産性を向上させることができる。
本開示によれば、保持する対象物との熱交換効率を向上させることができる保持部材及び静電チャックを提供することができる。
第1実施形態の静電チャックの概略斜視図である。 第1実施形態の静電チャックの概略断面図である。 第1実施形態の静電チャックの概略平面図である。 テクスチャパターンの一例を示す図である。 テクスチャパターンの一例を示す図である。 テクスチャパターンの一例を示す図である。 テクスチャパターンの一例を示す図である。 テクスチャパターンの一例を示す図である。 テクスチャパターンの一例を示す図である。 テクスチャパターンの一例を示す図である。 第1実施形態における突起の概略斜視図である。 不活性ガスの流れを模式的に示すである。 第2実施形態の静電チャックの概略断面図である。 第3実施形態の静電チャックの概略断面図である。 第4実施形態の静電チャックの概略断面図である。
本開示に係る実施形態である保持部材及び静電チャックについて、図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、例えば、成膜装置(CVD成膜装置やスパッタリング成膜装置など)やエッチング装置(プラズマエッチング装置など)といった半導体製造装置に使用される静電チャックを例示して説明する。
[第1実施形態]
まず、第1実施形態の静電チャック1について、図1~図12を参照しながら説明する。本実施形態の静電チャック1は、半導体ウエハW(対象物)を静電引力により吸着して保持する装置であり、例えば、半導体製造装置の真空チャンバー内で半導体ウエハWを固定するために使用される。図1に示すように、静電チャック1は、半導体ウエハWを保持する保持面11を備える円盤状の板状部材10と、半導体ウエハWを保持面11に吸着固定するためのチャック電極40とを有する。
板状部材10は、半導体ウエハWを保持する保持面11と、板状部材10の厚み方向(Z軸方向、図1では上下方向)について保持面11とは反対側に設けられる下面12とを備えている。なお、保持面11は本開示の「第1の面」の一例であり、下面12は本開示の「第2の面」の一例である。
この板状部材10は、セラミックスにより形成されている。セラミックスとしては、様々なセラミックスが用いられるが、強度や耐摩耗性、耐プラズマ性等の観点から、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ、Al)または窒化アルミニウム(AlN)を主成分とするセラミックスが用いられることが好ましい。なお、ここでいう主成分とは、含有割合の最も多い成分(例えば、体積含有率が90vol%以上の成分)を意味する。
また、板状部材10の直径は、例えば150mm~350mm程度である。板状部材10の厚さは、例えば2mm~6mm程度である。なお、板状部材10の熱伝導率は、10W/mK~200W/mK(より好ましくは、18W/mK~180W/mK)の範囲内が望ましい。
板状部材10の保持面11には複数の凸部が形成されており、保持面11は凹凸形状をなしている。具体的には、保持面11には、図2、図3に示すように、その外縁付近に環状の環状凸部13が形成され、環状凸部13の内側に複数の独立した柱状のピン状凸部14が形成されている。このようにして、保持面11には、ピン状凸部14のすべてを囲むように配置された環状凸部13が形成されている。なお、環状凸部13は、シールバンドとも呼ばれる。環状凸部13の断面(XZ断面)の形状は、図2に示すように、略矩形である。環状凸部13の高さ(Z軸方向の寸法)は、例えば、10μm~20μm程度である。また、環状凸部13の幅(X軸方向の寸法)は、例えば、0.5mm~5.0mm程度である。
各々のピン状凸部14は、図3に示すように、Z軸方向視(平面視)で略円形をなしており、略均等間隔で配置されている。また、各々のピン状凸部14の断面(XZ断面)の形状は、図2に示すように、略矩形である。ピン状凸部14の高さは、環状凸部13の高さより若干低くなっており、例えば、10μm~20μm程度である。また、ピン状凸部14の幅(Z軸方向視でのピン状凸部14の最大径)は、例えば、0.5mm~1.5mm程度である。なお、板状部材10の保持面11における環状凸部13より内側において、ピン状凸部14が形成されていない部分は、凹部15となっている。
そして、半導体ウエハWは、板状部材10の保持面11における複数のピン状凸部14に支持されて、静電チャック1に保持される。これにより、板状部材10では、半導体ウエハWとの接触箇所を少なくしている。そのため、半導体ウエハWが静電チャック1に保持された状態では、半導体ウエハWの表面(下面)と、板状部材10の保持面11(詳細には、保持面11の凹部15)との間に、空間Sが存在することとなる(図2参照)。この空間Sには、静電チャック1内に形成された円環流路17及び導入流路18(詳細は項後述する)を介して、保持面11に開口するガス孔16から不活性ガス(例えば、ヘリウムガス)が供給される。このようにして、板状部材10では、半導体ウエハWとの接触箇所を少なくしたことによる熱交換効率の低下を防止している。本実施形態では、ガス孔16が、円周状に等間隔で6個設けられている。なお、ガス孔16は、本開示の「通気孔」の一例である。
また、凹部15のうち、ガス孔16と環状凸部13との間における領域Rの少なくとも一部には、突起50を含むテクスチャパターンTPが形成されている。このテクスチャパターンTPは、ガス孔16から空間S(保持面11上)に供給された不活性ガスの流れを遮蔽することにより乱流にする。つまり、空間Sに供給された不活性ガスがテクスチャパターンTPを通過することにより、不活性ガスの流れが乱流にされる。なお、領域Rは、図3に網掛けで示すように、円周状に配置された各ガス孔16の中心を通る仮想円(図中の一点鎖線)と、環状凸部13の内側(内周面)との間に形成される環状領域である。
ここで、本実施形態の静電チャック1では、領域Rだけではなく、凹部15の全域、つまり保持面11において環状凸部13の内側でピン状凸部14が配置されていない領域に、テクスチャパターンTPが形成されている。このテクスチャパターンTPは、多数の突起50が規則性をもつ周期的な配列パターンで密集して配置されており幾何学模様状になっている。このテクスチャパターンTPは、複数の突起が連続して配置されており、ピン状凸部14の配列と比較してより狭い間隔で密集して配列されている。例えば、テクスチャパターンTPとしては、図4、図5、図6、図7に示すような格子溝形状や、図8、図9、図10に示すような周期構造等を挙げることができる。
このようなテクスチャパターンTPは、ブラスト加工やレーザ加工により形成することができるが、特に比熱レーザにより加工することが好ましい。比熱レーザによって加工すれば、環状凸部13及びピン状凸部14の形成と、テクスチャパターンTPの形成とを一度に(同時に)行うことができるため、静電チャック1の生産性が向上するからである。
テクスチャパターンTPの突起50の高さは、保持面11に形成されている複数の凸部である環状凸部13及びピン状凸部14の高さの10%以上95%以下となっている。より詳細には、環状凸部13の高さはピン状凸部14の高さよりも若干低いため、突起50の高さは、環状凸部13の高さの10%以上95%以下に設定されている。好ましくは、突起50の高さを、環状凸部13の高さの30%以上60%以下に設定するとよい。これにより、突起50が半導体ウエハWに接触することを確実に防止しつつ、テクスチャパターンTPによって不活性ガスの流れを確実に乱流することができる。
また、突起50の形状は、図4や図8に示すようなリブ形状(板形状)、図5に示すような多角柱形状、図6や図7に示すような円錐形状、図9や図10に示すような多角錐形状など、保持面11から突出して不活性ガスの流れを遮蔽できる形であれば特に限定されないが、等方的な形状であることが好ましい。等方的な形状としては、例えば、円柱、ディンプル形状、半球、ドーム形状、円錐等を挙げることができる。突起50を等方的な形状にすることにより、どの方向からの不活性ガスの流れに対しても、乱流を発生させるために必要となる、ガスの流れを遮蔽するための有効な面積を一定にすることができ、どの方向からの不活性ガスの流れであっても確実に乱流を発生させることができるからである。
本実施形態では、突起50は、図11に示すようなドーム形状となっている。そのため、突起50は、どの方向からの不活性ガスの流れに対しても、半導体ウエハWに向かう流れ(Z軸方向への流れ)を含む乱流を確実に発生させることができるようになっている。
このような保持面11を備える板状部材10の内部には、図2、図3に示すように、ガス孔16に連通する円環流路17と導入流路18とが設けられている。円環流路17は、各ガス孔16同士を接続する流路である。導入流路18は、Z軸方向に延びて設けられており、一端が下面12に開口し、他端が円環流路17に連通する流路である。これにより、板状部材10の下面12側から導入流路18を介して円環流路17に供給された不活性ガスが、各ガス孔16を介して空間S(保持面11上)に排出されるようになっている。
そして、チャック電極40は、図2に示すように、板状部材10の内部に設けられている。詳細には、チャック電極40は、板状部材10の保持面11側に配置されている。このチャック電極40は、Z軸方向視で、例えば略円板形をなしており、導電性材料(例えば、タングステンやモリブデン等)により形成されている。なお、チャック電極40は、本開示の「静電電極」の一例である。このチャック電極40に対して図示しない外部電源から電力が供給されることによって、静電引力(吸着力)が発生し、この静電引力により半導体ウエハWが板状部材10の保持面11に吸着固定されるようになっている。
上記の構成を有する静電チャック1では、使用時つまり半導体ウエハWを保持した状態において、外部から導入流路18、円環流路17、及びガス孔16を介して不活性ガスが空間S(保持面11上)に供給される。このとき、環状凸部13は半導体ウエハWに接触しておらず、環状凸部13と半導体ウエハWとの間に微小な隙間が形成されているため、空間Sに供給された不活性ガスは、環状凸部13から外部へ一定量がリークする。そのため、保持面11上において、ガス孔16から環状凸部13へ向う不活性ガスの流れが発生する。
そして、本実施形態の静電チャック1には、凹部15の全域にテクスチャパターンTPが形成されている。そのため、ガス孔16から環状凸部13へ向う不活性ガスは、テクスチャパターンTPを通過する。このとき、ガス孔16から供給された不活性ガスは、図12に矢印で示すように、テクスチャパターンTPの突起50に衝突しながら環状凸部13(外周側)へ流れていくため、流れが乱されて乱流となる。これにより、静電チャック1において、不活性ガスと半導体ウエハWとの接触頻度が高まるため、不活性ガスと半導体ウエハWの間における熱交換を促進することができ、熱交換効率を向上させることができる。
ここで、環状凸部13と半導体ウエハWとの隙間からの不活性ガスのリーク量は全周域でほぼ均等である。そのため、保持面11において、ガス孔16よりも内側の領域では不活性ガスの流れはほとんど生じない。ところが、何らかの原因(例えば、製品バラツキや環状凸部13やピン状凸部14の摩耗等)で環状凸部13の特定部分からの不活性ガスのリーク量が増えてしまことがある。こうなると、保持面11において、ガス孔16よりも内側の領域においても不活性ガスの流れが生じてしまう。
そこで、本実施形態の静電チャック1では、凹部15(保持面11)の全域にテクスチャパターンTPを形成している。そのため、ガス孔16から環状凸部13へ向う不活性ガスの流れの他に、ガス孔16より内側の領域で生じた不活性ガスの流れもテクスチャパターンTPに衝突させて乱流にすることができる。これにより、不活性ガスと半導体ウエハWとの接触頻度が高まる領域が増えるため、不活性ガスと半導体ウエハWの間における熱交換効率をさらに向上させることができる。
また、本実施形態の静電チャック1では、テクスチャパターンTPに備わる突起50を、等方的な形状の1つであるドーム形状にしている。そのため、どの方向からの不活性ガスの流れに対しても、テクスチャパターンTPに備わる突起50に衝突させて乱流を発生させるために必要となる、不活性ガスの流れを遮蔽するための有効な面積を一定にすることができる。従って、どの方向からの不活性ガスの流れであっても確実に乱流を発生させることができる。そして、本実施形態では、突起50がドーム形状であるため、どの方向からの不活性ガスの流れに対しても、半導体ウエハWに向かう流れ(Z軸方向の流れ)を含む乱流を確実に発生させることができる。これにより、不活性ガスが半導体ウエハWに接触する頻度を確実に高めることができるため、不活性ガスと半導体ウエハWとの間における熱交換効率をより一層向上させることができる。
そして、本実施形態では、突起50の高さが、環状凸部13の高さの10%以上95%以下に設定されている。そのため、突起50が半導体ウエハWに接触することを確実に防止しつつ、テクスチャパターンTPによって不活性ガスの流れを確実に乱流することができる。これにより、静電チャック1では、このような突起50を備えるテクスチャパターンTPが設けることにより、半導体ウエハWに悪影響を与えることなく不活性ガスとの接触頻度を確実に高めることができる。
以上のように、本実施形態の静電チャック1によれば、凹部15に突起50を備えるテクスチャパターンTPを設けている。そのため、凹部15に供給され保持面11上を流れる不活性ガスは、テクスチャパターンTPに衝突する。そして、テクスチャパターンTPとの衝突により、不活性ガスの流れは乱されて乱流となる。これにより、不活性ガスと半導体ウエハWとの接触頻度が高まるため、不活性ガスと半導体ウエハWの間における熱交換を促進することができ、不活性ガスと半導体ウエハWとの間における熱交換効率を向上させることができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について、図13を参照しながら説明する。第2実施形態は、第1実施形態と基本的な構成は同じであるが、テクスチャパターンTPを設ける領域が第1実施形態とは異なる。そこで、第1実施形態と同様の構成については同符号を付して説明を適宜省略し、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
本実施形態の静電チャック1aでは、図13に示すように、凹部15(保持面11)の全域ではなく、領域RにのみテクスチャパターンTPが設けられている。これにより、静電チャック1aの使用時には常に不活性ガスの流れが生じる領域Rにおいて、不活性ガスの流れが乱流となる。従って、静電チャック1aでは、領域Rにおいて、不活性ガスと半導体ウエハWとの接触頻度が高まるため、不活性ガスと半導体ウエハWの間における熱交換を促進することができ、熱交換効率を向上させることができる。
特に、保持面11において、外周に位置する領域Rでは、領域Rより内側の領域と比べると、半導体ウエハWが板状部材10(ピン状凸部14)に接触する接触部分と、半導体ウエハWが板状部材10(ピン状凸部14)に接触しない非接触部分とで、半導体ウエハWと板状部材10との間における熱移動に差が生じやすい。そのため、領域RにのみテクスチャパターンTPを設けることにより、領域Rにおいて非接触部分で、凹部15(空間S)に供給される不活性ガスを介しての板状部材10と半導体ウエハWとの間における熱移動が改善される。
従って、本実施形態の静電チャック1aによれば、領域Rと領域Rより内側の領域とで生じやすい、板状部材10と半導体ウエハWとの間における熱移動の差を小さくすることができる。その結果として、保持面11の全域において、半導体ウエハWとの熱交換を均一かつ効率良く行うことができるようになる。このように領域RにのみテクスチャパターンTPを設けた場合でも、板状部材10と半導体ウエハWとの間における熱交換効率を向上させるとともに、半導体ウエハWの面内温度の均一性を向上させることができる。
[第3実施形態]
続いて、第3実施形態について、図14を参照しながら説明する。第3実施形態は、第1実施形態と基本的な構成は同じであるが、ヒータ電極を備える点が第1実施形態とは異なる。そこで、第1実施形態と同様の構成については同符号を付して説明を適宜省略し、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
本実施形態の静電チャック1bでは、図14に示すように、板状部材10にヒータ電極42が設けられている。ヒータ電極42は、Z軸方向視で、例えば略螺旋状に延びるパターンを構成しており、導電性材料(例えば、タングステンやモリブデン、白金等)により形成されている。そして、ヒータ電極42に対して図示しない電源から電力が供給されてヒータ電極42が発熱することによって、保持面11ひいては半導体ウエハWが加熱されるようになっている。
そして、静電チャック1bには、第1実施形態と同様、 凹部15にテクスチャパターンTPが形成されている。そのため、凹部15に供給され保持面11上を流れる不活性ガスは、テクスチャパターンTPに衝突するので、不活性ガスの流れは乱されて乱流となる。これにより、不活性ガスと半導体ウエハWとの接触頻度が高まるため、不活性ガスと半導体ウエハWの間における熱交換を促進することができ、不活性ガスと半導体ウエハWとの間における熱交換効率を向上させることができる。その結果として、本実施形態の静電チャック1bによれば、半導体ウエハWからの抜熱(熱引き)を効率良く行うことができることに加えて、半導体ウエハWの全域を効率良く均一に加熱することができる。
[第4実施形態]
最後に、第4実施形態について、図15を参照しながら説明する。第4実施形態は、第1実施形態と基本的な構成は同じであるが、ベース部材を備える点が第1実施形態とは異なる。そこで、第1実施形態と同様の構成については同符号を付して説明を適宜省略し、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
本実施形態の静電チャック1cは、図15に示すように、板状部材10の他に、ベース部材20と、板状部材10とベース部材20とを接合する接合層30とを有する。すなわち、静電チャック1cは、板状部材10に対して、冷却機能を有するベース部材20が接合されており、静電チャック1cが保持する半導体ウエハWを効率的に冷却(半導体ウエハWから熱引き)することができるようになっている。例えば、静電チャック1cでは、半導体ウエハWに対するプロセス実施中に、プラズマからの入熱により加熱された半導体ウエハWから熱引きを行って半導体ウエハWを短時間で冷却することができる。
ベース部材20は、図15に示すように、上面21と、ベース部材20の厚さ方向(すなわち、Z軸方向)について上面21とは反対側に設けられる下面22とを備え、円柱状に形成されている。このベース部材20は、金属(例えば、アルミニウムやアルミニウム合金等)により形成されていることが好ましいが、金属以外であってもよい。
ベース部材20の直径は、例えば180mm~350mm程度である。また、ベース部材20の厚さ(Z軸方向の寸法)は、例えば20mm~50mm程度である。なお、ベース部材20(アルミニウムを想定)の熱伝導率は、板状部材10よりも大きく、180~250W/mK(好ましくは、230W/mK程度)の範囲内が望ましい。
そして、ベース部材20には、冷媒(例えば、フッ素系不活性液体や水等)を流すための冷媒流路23が形成されており、この冷媒流路23内に冷媒を流すことにより、ベース部材20が冷却され、これにより、接合層30を介して板状部材10が効率良く冷却される。
なお、ベース部材20には、板状部材10の導入流路18に連通する貫通孔26が形成されている。
また、接合層30は、板状部材10の下面12とベース部材20の上面21との間に配置され、板状部材10とベース部材20とを接合している。この接合層30を介して、板状部材10の下面12とベース部材20の上面21とが熱的に接続されている。接合層30は、例えばシリコーン系樹脂やアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等の接着材により構成されている。なお、接合層30の厚さ(Z軸方向の寸法)は、例えば0.1~1.0mm程度である。また、接合層30の熱伝導率は、例えば1.0W/mKである。なお、接合層30(シリコーン系樹脂を想定)の熱伝導率は、0.1~2.0W/mK(好ましくは、0.5~1.5W/mK)の範囲内が望ましい。
なお、接合層30には、板状部材10の導入流路18とベース部材の貫通孔26とを連通させる貫通孔が形成されている。
そして、静電チャック1cには、第1実施形態と同様、 凹部15にテクスチャパターンTPが形成されている。そのため、凹部15に供給され保持面11上を流れる不活性ガスは、テクスチャパターンTPに衝突するので、不活性ガスの流れは乱されて乱流となる。これにより、不活性ガスと半導体ウエハWとの接触頻度が高まるため、不活性ガスと半導体ウエハWの間における熱交換を促進することができ、不活性ガスと半導体ウエハWとの間における熱交換効率を向上させることができる。その結果として、本実施形態の静電チャック1cによれば、半導体ウエハWからの抜熱(熱引き)を非常に効率良く短時間で行うことができる。
なお、上記の実施形態は単なる例示にすぎず、本開示を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。例えば、上記の実施形態では、本開示を静電チャックに適用した場合を例示したが、本開示は、静電チャックに限られることなく、表面に対象物を保持する保持装置全般について適用することができる。
また、上記の第3実施形態では、ヒータ電極42が板状部材10に内蔵されている場合を例示したが、ヒータ電極42は板状部材10に内蔵されずに下面12に設けられていてもよい。
また、上記の第4実施形態では、板状部材10にヒータ電極を備えていない場合を例示したが、板状部材10にヒータ電極を設けることもできる。
また、上記の第3、第4実施形態では、凹部15の全域にテクスチャパターンTPを設けた場合を例示したが、第2実施形態のように領域RにのみにテクスチャパターンTPを設けてもよい。
1 静電チャック
10 板状部材
11 保持面
12 下面
13 環状凸部
14 ピン状凸部
15 凹部
16 ガス孔
40 チャック電極
50 突起
R 領域
TP テクスチャパターン

Claims (6)

  1. 第1の面と、前記第1の面とは反対側に設けられる第2の面とを備える保持部材であって、
    前記第1の面に開口する複数の通気孔と、
    前記第1の面から突出して形成される複数の凸部と、を有し、
    前記複数の凸部は、
    前記第1の面の外周に沿って環状に形成される環状凸部と、
    前記環状凸部の内側に形成された複数のピン状凸部と、を備え、
    前記第1の面のうち、前記通気孔と前記環状凸部との間における領域の少なくとも一部に前記複数の凸部の高さより低い高さの突起を含むテクスチャパターンが形成されている
    ことを特徴とする保持部材。
  2. 請求項1に記載する保持部材において、
    前記テクスチャパターンは、前記第1の面の全域に形成されている
    ことを特徴とする保持部材。
  3. 請求項1又は請求項2に記載する保持部材において、
    前記突起は、等方的な形状である
    ことを特徴とする保持部材。
  4. 請求項3に記載する保持部材において、
    前記突起は、ドーム形状である
    ことを特徴とする保持部材。
  5. 請求項1から請求項4に記載するいずれか1つの保持部材において、
    前記突起の高さは、前記複数の凸部の高さの10%以上95%以下である
    ことを特徴とする保持部材。
  6. 請求項1から請求項5に記載するいずれか1つの保持部材を備え、
    前記保持部材は、対象物を前記第1の面に固定するための静電引力を発生させる静電電極を有する
    ことを特徴とする静電チャック。


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