JP2023104748A - 電池およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】抵抗損失の低減に適した構成を有する電池を提供する。【解決手段】本開示の電池1100は、第1電極100、固体電解質層300、および第2電極200、をこの順で備える。第1電極100は、第1集電体110および第1活物質層120を含む。第1集電体110は、メッキ膜を含む。第2電極200は、第2集電体210および第2活物質層220を含んでいてもよい。本開示の電池の製造方法は、メッキ法を用いて第1集電体110を形成すること、を含む。【選択図】図1

Description

本開示は、電池およびその製造方法に関する。
特許文献1には、正極集電体層と、正極活物質層と、負極集電体層と、負極活物質層と、正極活物質層及び負極活物質層の間に配置されている固体電解質層と、を備える積層型の全固体電池が開示されている。このような積層型の全固体電池は、従来、焼成法を用いて製造されている。特許文献1に開示されている全固体電池は、正極集電体層等の各層を形成する材料のペーストを順次印刷して積層体を形成し、それを焼成することによって製造された、焼結型の積層電池である。
国際公開第2019/189311号
本開示の目的は、抵抗損失の低減に適した構成を有する電池を提供することにある。
本開示の電池は、
第1電極、
固体電解質層、および
第2電極、
をこの順で備え、
前記第1電極は、第1集電体および第1活物質層を含み、
前記第1集電体は、メッキ膜を含む。
本開示は、抵抗損失の低減に適した構成を有する電池を提供する。
図1は、第1実施形態による電池1100の概略構成を示す断面図および平面図である。 図2は、第2実施形態による電池1200の概略構成を示す断面図および平面図である。 図3は、第3実施形態による電池1300の概略構成を示す断面図および平面図である。 図4は、第4実施形態による電池1400の概略構成を示す断面図および平面図である。 図5は、第5実施形態による電池1500の概略構成を示す断面図および平面図である。 図6は、第6実施形態による電池1600の概略構成を示す断面図および平面図である。 図7は、第7実施形態による電池1700の概略構成を示す断面図および平面図である。 図8は、本開示の電池の製造方法の一例を示すフローチャートである。
以下、本開示の実施形態が図面を参照しながら具体的に説明される。
以下で説明する実施形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。
本明細書において、平行などの要素間の関係性を示す用語、および、矩形などの要素の形状を示す用語、並びに、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
本明細書および図面において、x軸、y軸、およびz軸は、三次元直交座標系の三軸を示している。各実施形態では、z軸方向を電池の厚み方向としている。また、本明細書において、特に記載が無い限り、「厚み方向」とは、電池における各層が積層された面に垂直な方向のことである。なお、電池における各層が積層された面の方向を、「面方向」ということがある。すなわち、各実施形態では、xy平面方向が面方向に相当する。
本明細書において、特に記載が無い限り、「平面視」とは、電池における各層の積層方向に沿って電池を見た場合を意味する。本明細書において、特に記載が無い限り、「厚み」とは、電池および各層についての上記積層方向の長さである。
本明細書において、特に記載が無い限り、電池および電池を構成する各層において、「側面」とは、電池および各層の上記積層方向に沿う面を意味し、「主面」とは側面以外の面を意味する。
本明細書において「内側」および「外側」などにおける「内」および「外」とは、上記積層方向に沿って電池を見た場合において、電池の中心側が「内」であり、電池の周縁側が「外」である。
本明細書において、電池の構成における「上」および「下」という用語は、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)および下方向(鉛直下方)を指すものではなく、積層構成における積層順を基に相対的な位置関係により規定される用語として用いる。また、「上」および「下」という用語は、2つの構成要素が互いに間隔を空けて配置されて2つの構成要素の間に別の構成要素が存在する場合のみならず、2つの構成要素が互いに密着して配置されて2つの構成要素が接する場合にも適用される。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態による電池について説明する。
第1実施形態による電池は、第1電極、固体電解質層、および第2電極をこの順で備える。第1電極は、第1集電体および第1活物質層を含む。第1集電体は、メッキ膜を含む。以下、第1電極、固体電解質層、および第2電極で構成される積層体が、電池素子と記載されることがある。
上記のとおり、第1実施形態による電池において、第1集電体は、メッキ膜を含む。メッキ膜は、メッキ法によって形成された膜である。メッキ法によって形成された金属膜は、金属粉を焼結させた金属膜および一般的な圧延加工によって形成された金属箔よりも緻密なメッキ膜組織となるため、高い導電率を実現できる。このようなメッキ膜を含む第1集電体は、金属粉を焼結させた金属膜または一般的な圧延加工によって形成された金属箔によって形成された集電体と比較して、高い導電率を有することができる。したがって、以上の構成によれば、抵抗損失の低減に適した構成を有する電池を実現できる。抵抗損失の低減によれば、例えば電池の充放電特性が向上し、さらに電池の高容量化も可能となる。
また、メッキ法によれば、複雑な形状を有する金属膜を形成することができる。したがって、第1実施形態による電池は、複雑なパターン形状を有する集電体を実現できる。
第1実施形態による電池では、上記のとおり、抵抗損失の低減および複雑なパターン形状が可能である。したがって、第1実施形態による電池は、例えば、並列接続および直列接続などの多様な組電池を容易に実現できるとともに、優れた性能も有することができる。
第1集電体におけるメッキ膜の体積割合は、例えば90%以上であってもよい。第1集電体におけるメッキ膜の体積割合が上記範囲を満たすことにより、第1集電体は導電率をより高めることができる。したがって、第1実施形態による電池は、抵抗損失をより低減することができる。
第1集電体は、実質的にメッキ膜のみからなっていてもよく、メッキ膜のみからなっていてもよい。なお、「第1集電体は、実質的にメッキ膜のみからなる」とは、集電体として機能する部分のほぼ全てがメッキ膜で形成されていることを意味しており、第1集電体におけるメッキ膜の体積割合が95%以上である。第1集電体は、メッキ膜のみからなっていてもよい。すなわち、第1集電体におけるメッキ膜の体積割合は、100%であってもよい。このような構成の第1集電体を備えた電池は、抵抗損失をさらに低減することができる。
[背景技術]の欄に記載した通り、特許文献1は、焼結型の積層電池を開示している。焼結型の積層電池における集電体は、金、白金、パラジウム、銅、およびニッケルなどで構成されている。このような集電体は、金属粉ペーストを印刷し、活物質層および/または固体電解質層と一体焼結することによって形成される。ペーストに含有する有機成分(例えば、バインダおよび溶剤)を焼却すると気孔が残るため、焼結組織の緻密性は低下してしまう。すなわち、このような方法で形成された集電体は、導電性に課題を有する。また、有機成分が完全に分解できずに、集電体と接する活物質層あるいは固体電解質層等と、集電体との界面に、カーボンおよび/または有機物が残留しやすい。このような残留物は、電池特性を低下させる場合がある。
本開示の電池は、第1集電体がメッキ膜を含む構成を有するので、バインダーなどの有機成分に起因する上記のような問題の発生を低減することができる。したがって、本開示の電池は、従来の焼結型の積層電池と比較して、緻密で導電率が向上した集電体を備えることができる。本開示の電池は、これにより、従来の焼結型の積層電池と比較して、抵抗損失の小さい電池を実現できる。さらに、本開示の電池は、従来の焼結型の積層電池では困難であった、任意の形状および厚みを有する集電体を容易に実現し得る。
図1は、第1実施形態による電池1100の概略構成を示す断面図および平面図である。
図1(a)は、第1実施形態による電池1100の断面図である。図1(b)は、電池1100をz軸方向下側から見た平面図である。図1(a)には、図1(b)のI-I線で示される位置での断面が示されている。
図1に示されるように、電池1100は、第1電極100、固体電解質層300、および第2電極200、をこの順で備える。
第1電極100は、第1集電体110および第1活物質層120を含む。
第2電極200は、第2集電体210および第2活物質層220を含んでいてもよい。
第1集電体110は、メッキ膜を含んでいる。図1には、一例として、第1集電体110がメッキ膜のみから形成されている構成が示されているが、第1集電体110はメッキ膜以外で構成された部分を含んでいてもよい。
第1電極100は、第1活物質層120に加えて、図示しない別の活物質層(すなわち、第3活物質層)をさらに含んでいてもよい。この場合、第1集電体110は、第1活物質層120および第3活物質層の間に配置されていてもよい。以上の構成によれば、例えば複数の電池素子を積層して組電池を形成する場合に、第1電極100をバイポーラ電極あるいは隣り合う電池素子の同じ極の電極として使用できる。なお、第1電極100がバイポーラ電極として使用される場合は、第3活物質層は、第1活物質層120とは異なる極の活物質層として機能する。第1電極100が隣り合う電池素子の同じ極の電極として使用される場合は、第3活物質層は、第1活物質層120と同じ極の活物質層として機能する。したがって、以上の構成によれば、複数の電池素子を積層する場合に、多層化した直列または並列の積層電池を構成できる。
電池1100は、図示されていない第3電極をさらに備えていてもよい。この場合、第2電極200は、第1電極100および第3電極の間に配置されていてもよい。第1極100は、第3電極と電気的に並列に接続してもよい。以上の構成によれば、少なくとも2つの電池素子が並列接続された組電池を実現できる。したがって、以上の構成によれば、高性能かつ信頼性に優れた大容量および高エネルギーの電池を実現できる。
第2電極200は、第1電極100の対極である。第1電極100が正極であれば、第2電極は負極である。
本明細書において、第1集電体110および第2集電体210を総称して、単に「集電体」という場合がある。
本明細書において、第1活物質層120および第2活物質層220を総称して、単に「活物質層」という場合がある。
第1集電体110、第1活物質層120、固体電解質層300、第2活物質層220、および第2集電体210は、いずれも平面視における形状は矩形であってもよい。
以下、電池1100の各構成について説明する。
(集電体)
上述の通り、第1集電体110は、メッキ膜を含んでいる。第1集電体110は、実質的にメッキ膜のみからなっていてもよい。第1集電体110は、メッキ膜のみからなっていてもよい。
第2集電体210も、メッキ膜を含んでいてもよい。第2集電体210は、第1集電体110と同様に、実質的にメッキ膜のみからなっていてもよいし、メッキ膜のみからなっていてもよい。
メッキ膜は、メッキ法によって形成された金属膜であればよく、メッキの方法の詳細は特には限定されない。メッキ膜は、電解メッキ法によって形成された金属膜であってもよいし、無電解メッキ法によって形成された金属膜であってもよいし、無電解メッキ法および電解メッキ法の両方を用いて形成された金属膜であってもよい。例えば、無電解メッキ法を用いて下地となる下地金属層を形成し、その金属下地層上に電解メッキ法を用いて所望の厚みの金属層を形成することによって、メッキ膜が形成されてもよい。
メッキ法によって形成される金属膜は、例えば、単膜で厚み0.1μm以上かつ10μm以下の厚み範囲で制御され得る。メッキ法によって形成される単膜を複数積層させることによって、10μmを超える厚みを有するメッキ膜を形成してもよい。集電体に含まれるメッキ膜の平均厚みは、例えば0.1μm以上かつ100μm以下であってもよい。メッキ膜の平均厚みは、1μm以上であってもよい。メッキ膜の厚みを大きくすることにより、集電体の電気抵抗が低減するので耐電力性が向上する。
ここで、集電体に含まれるメッキ膜の平均厚みは、例えば、断面観察またはCTスキャンにより、面内均等に5か所の厚みを測定し、平均値を算出することで決定できる。面内均等に5か所とは、例えば、測定するメッキ膜の平面視において、少なくとも中心部分の1か所および周縁部分の2か所を含む合計5か所である。例えば、測定するメッキ膜の平面視において、中央部の第1点、周縁上の第2点、当該第2点と第1点を挟んで反対側の周縁上に位置する第3点、第1点と第2点との間の中点である第4点、第1点と第3点との間の中点である第5点、の合計5点の位置の厚みを測定し、平均値を算出してもよい。なお、本開示において、それぞれの層の平均厚みも、上記のメッキ膜の平均厚みと同様に、断面観察またはCTスキャンにより面内均等に5か所の厚みを測定し、平均値を算出することで決定できる。
第1集電体110のメッキ膜は、メッキ膜を転写することによって形成されていてもよい。すなわち、第1集電体110におけるメッキ膜は、メッキ転写膜であってもよい。これにより、微細、大小、および複雑形状など、任意のパターンを有する集電体を、生産性に優れたプロセスによって精度よく形成することができる。したがって、並列接続、直列接続、およびそれらの組み合わせなど、多様な組電池を実現できる。
また、上記のように、予め作製されたメッキ膜を転写することによって第1集電体110を形成する方法は、例えば活物質層上にメッキ法を用いて直接メッキ膜を形成する方法と比較すると、活物質層をメッキ液に接触させなくても済むという利点を有する。したがって、メッキ液によって活物質層が劣化する等の問題の発生を抑制できる。
第2集電体210がメッキ膜を含む場合、第2集電体210のメッキ膜もメッキ転写膜であってもよい。
集電体は、例えば、メッキ法によって形成された金属膜を固体電界質へ転写することにより形成されてもよい。転写する金属膜はメッキ法によって形成されているため、金属膜の形状および厚みは任意に制御可能である。すなわち、メッキ転写膜の平均厚みは、上述のメッキ膜の平均厚みと同様に、例えば0.1μm以上かつ100μm以下であってもよい。メッキ転写膜の平均厚みは、1μm以上であってもよい。
集電体を構成するメッキ膜は、互いに異なる組成を有する複数の材料を含んでいてもよい。例えば、メッキ膜は、2種以上の異なる導電材料からなる層が互いに重なるように配置された多層膜であってもよい。これにより、例えば集電体の表裏で複数の導電材料を組み合わせて、例えば低損失なバイポーラ電極を形成できる。また、メッキ膜は、同一面に互いに組成が異なる材料がパターン状に配置されることによって形成されていてもよい。例えば、集電体の外縁部により硬い導電材料が配置されるように、メッキ膜が形成されていてもよい。これにより、集電体が外縁部から割ける欠陥を抑制できる。また、図示されていない端子電極との接続部により柔らかい材料が配置されるように、メッキ膜が形成されていてもよい。これにより、集電体と端子電極との接続密着性が向上するため、抵抗低減ができる。
例えば、メッキ膜は、複数の層で形成された多層膜であってもよい。この多層膜に含まれる少なくとも2つの層は、互いに異なる組成を有する導電材料からなっていてもよい。すなわち、第1集電体110は、互いに組成が異なる導電材料からなる層状の構造を有していてもよい。例えば、メッキ膜は、第1材料と、第1材料とは異なる組成を有する第2材料とを含み、当該メッキ膜が、第1材料からなる第1層と、第1層上に配置された第2材料からなる第2層とを備えた構成を有していてもよい。メッキ膜を上記のような多層膜とすることによって厚みを増加させることができるので、導体の厚みが増し、集電体の電気抵抗を低減することができる。また、上述したように、メッキ膜を上記のような多層膜とすることで、表裏で導電材料が異なる集電体を形成することができる。したがって、例えば多層膜のメッキ膜で構成された集電体を用いてバイポーラ電極を構成する場合に、集電体の表面(例えば正極と接する面)と裏面(例えば負極と接する面)について、それぞれが接する極に対して安定な材料を選択することもできる。したがって、以上の構成によれば、低損失で安定なバイポーラ電極を構成できる。
例えば、メッキ膜は、同一面に互いに組成が異なる材料がパターン状に配置された構成を有していてもよい。例えば、メッキ膜は、第1材料からなる第1材料領域と、第1材料とは異なる組成を有する第2材料からなる第2材料領域とを含むパターン形状を有していてもよい。この構成により、例えば、集電体の外縁部の材料を内部(すなわち中央部)よりも硬い金属を含む材料とすることにより、メッキ膜を転写するプロセスなどのメッキ膜のハンドリング時に、集電体が割けることを抑制できる。また、集電体の外縁部を柔らかい材料とすることにより、集電体が端子電極と接続する場合、集電体の外縁部が変形して端子電極と密に固着しやすくなるため、接続信頼性が向上する。
集電体の角部はカットされていてもよい。集電体の角部とは、例えば平面視において集電体の外縁が突出している部分のことである。例えば集電体が平面視において矩形である場合、4つの頂点部分が角部に相当する。また、集電体の外縁は、突起のない滑らかな曲線で構成されていてもよい。これらの構成により、例えばメッキ膜の転写時にメッキ膜に応力が集中しやすい箇所、すなわちメッキ膜の角部周辺から発生するメッキ膜の割けなどの欠陥を低減できる。
集電体は、導電性を有する材料で形成される。
集電体の材料の例は、銅、銀、ニッケル、アルミニウム、パラジウム、または金である。集電体の導電性を向上させるために、集電体は、銅および銀からなる群より選択される少なくとも1つを含んでもよい。したがって、集電体に含まれるメッキ膜の材料の例も、銅、銀、ニッケル、アルミニウム、パラジウム、または金である。メッキ膜は、銅および銀からなる群より選択される少なくとも1つを含んでもよい。
集電体の材料は、製造プロセス、使用温度、使用圧力、集電体にかかる電池動作電位、および導電性を考慮して適宜選択され得る。また、集電体の材料は、電池に要求される引張強度および耐熱性を考慮して選択され得る。したがって、集電体に含まれるメッキ膜の材料も、上記事項を考慮して適宜選択され得る。
集電体は、ケイ素およびフッ素からなる群より選択される少なくとも1つの元素を含んでいてもよい。ケイ素およびフッ素からなる群より選択される少なくとも1つの元素は、例えば、集電体の表面に位置していてもよい。集電体がメッキ膜によって形成されている場合、メッキ膜の表面にケイ素およびフッ素からなる群より選択される少なくとも1つが位置する。集電体に含まれるケイ素は、例えばシリコーン樹脂(すなわち、ケイ素および酸素を含む高分子化合物)に由来するものであってもよい。集電体に含まれるフッ素は、例えばフッ素樹脂に由来するものであってもよい。シリコーン樹脂およびフッ素樹脂からなる群より選択される少なくとも1つを集電体の表面に付着させることにより、集電体表面、例えばメッキ膜表面の酸化および硫化などの腐食を抑制できる。したがって、高い信頼性かつ導電性に優れた大容量の電池を実現できる。
集電体は、ケイ素およびフッ素からなる群より選択される少なくとも1つの元素を含む層を内部に備えていてもよい。これにより、微細な空孔を伝って電池内部へ侵入するガスなどによって引き起こされる集電体内部の腐食、例えばメッキ膜の腐食を抑制できる。したがって、高い信頼性かつ導電性に優れた集電体が得られるため、高性能かつ信頼性に優れた大容量も電池を実現できる。
集電体は、集電材料がある部分と集電材料がない部分で形成されたパターン形状を有していてもよい。例えば、集電体を構成するメッキ膜が、集電材料によって形成された第1領域と、集電材料が存在しない第2領域とで形成されたパターン形状を有していてもよい。パターン形状は、第1領域および第2領域からなる群より選択される少なくとも1つの領域を単位形状として、複数の単位形状が規則的に配置されることによって形成されていてもよい。上記パターン形状は、例えば、集電材料で形成されている第1領域が連続しており(すなわち、第1領域がベース領域であり)、そこに集電材料がない個々の第2領域が規則的に配置されたものであってもよい。上記パターン形状は、例えば、集電材料がない第2領域が連続しており(すなわち、第2領域がベース領域であり)、そこに集電材料で形成されている個々の第1領域が規則的に配置されたものであってもよい。上記パターン形状は、例えば、第1領域および第2領域を単位形状として、第1領域および第2領域が規則的に配置されたものであってもよい。以上の構成により、集電材料が存在しない第2領域で電池が分割されることになるため、例えば、小型の並列接続の多層電池を実現できる。また、集電材料が存在しない第2領域を設けることにより、対極(すなわち、第2電極)と接触しにくくなり、短絡を低減できる。一例として、集電材料が存在しない第2領域が、平面視における電池1100の外縁側に配置され、集電材料によって形成された第1領域が、平面視における電池1100の中央部分に設けられるように配置されるように、パターンが形成されていてもよい。このようなパターン形状の場合、集電材料が電池の側面に露出しにくくなるため、より短絡が生じにくくなる。例えば、図1に示されている矩形状の電池1100において、集電体は、平面視における電池1100の外縁の1辺から中央部に広がる矩形状の領域に設けられており、かつ平面視における電池1100の外縁の上記1辺を除く他の3辺を含む外縁側は、集電体が設けられていない領域となっている。すなわち、図1に示されている電池1100については、平面視において集電体が設けられている領域を第1領域とみなし、集電体が設けられていない領域を第2領域とみすことができる。
集電体の外縁部の少なくとも一部が、より高い強度を有する材料で被覆されていてもよい。これにより、集電体の外縁部からの欠陥(例えば、割け)の発生を抑制できる。したがって、高性能かつ信頼性に優れた電池を実現できる。
また、集電体の内部に高強度の材料層が設けられていたり、集電体の一部または全面に高強度の材料層が貼り付けられたりすることにより、集電体の抗折性を高めることもできる。このような材料層は、メッキ膜の内部に設けられていてもよい。このような構成により、集電体の強度を向上させることができる。上記のような材料層がメッキ膜に設けられている場合、メッキ膜のハンドリングの欠陥(例えば、折れまたはクラック)を低減できる。したがって、高い導電性のメッキ膜を形成でき、高性能かつ信頼性に優れた電池を実現できる。
集電体の表面は、活物質層または固体電解質層との密着性を強固にするために、凹凸のある粗面に加工されていてもよい。メッキ膜によって集電体の表面が形成されている場合は、メッキ膜の表面が凹凸を有する粗面に加工されていてもよい。例えば集電体の表面の最大高さRz(JIS B 0601:2001)は、1μm以上かつ5μm以下の範囲内であってもよい。これにより、例えば、集電体界面の接合性が強化されて層間剥離が抑制され、電池の機械的信頼性、熱的信頼性、およびサイクル特性が向上する。また、集電体の表面が上記のように粗面化されていることにより、集電体と活物質層との接触面積が増加するため、接触抵抗が低減される。その結果、優れた性能を有する電池を実現できる。
なお、集電体が、集電体の粗面の凹凸の大きさ(すなわち、最大高さRz)よりも小さい粒子を含む活物質層または固体電解質層と接すると、粗面表面へ粒子が食い込んで、接合面積が増大するために接合性が向上する。
メッキ膜の表面が、鏡面化されたような光沢メッキを有することにより、ベンディング時に応力の集中箇所が低減されるため、メッキ膜の抗折性が向上する。なお、ここでの光沢メッキとは、例えば、表面の最大高さRzが0.3μm以下であるメッキ膜を意味する。このような光沢メッキによって集電体の機械的信頼性を向上させることもできる。例えば、集電体の片方の表面(例えば、活物質層との接合面)を粗面化し、反対の面(すなわち、表面)を鏡面化することにより、活物質層または固体電解質層との接合性と、抗折性に優れた集電体を実現できる。
メッキ膜の微細構造は、メッキ液から析出した数nmから数百nmを中心とした微細な金属結晶粒子が緻密に接合充填して堆積した組織から構成される。メッキ膜における金属結晶粒子の粒子径は、例えば1μm以下であってもよい。このようなメッキ膜の微細組織は、例えば、イオンミリングした断面から走査電子顕微鏡(SEM)などで観察できる。結晶粒子の結晶方位は、粒子ごとのコントラスト(明暗)の差異として観察することができる。また、例えば、成膜レートのバラツキによって樹木の年輪のような層状模様が観察される場合、あるいは、基材表面の凹凸の影響によって、凹凸上に柱状に成長する場合もあるが、いずれも微細な結晶粒子(典型的には数十nm)で緻密な膜が形成される。上述のとおり、メッキ膜は緻密であり、例えば理論密度に対して95%以上の密度を有することもできる。例えば金属粉を焼結した微細組織の場合、微細な金属粉(例えば、数百nm)から出発しても、粒成長を伴うため、焼結組織には、数ミクロンの円形および楕円形などの結晶粒子が含まれ、なかには数十ミクロンに粒成長したものも存在する。また、金属粉を焼結した場合、メッキ膜よりも気孔率が大きい組織が構成される。例えば、金属粉の焼結体では、緻密なものでも5%から30%の気孔率となる。また、金属箔の場合、圧延加工によって変形された層状模様を有し、気孔が散在した組織が観察され、また、明瞭な結晶粒子およびその粒子界面は見られない。圧延加工によって形成された金属箔の場合、結晶粒子が確認できる場合でも、その粒径はメッキ膜の結晶粒子よりも大きく、例えば数μmから10μm程度である。金属箔の場合、結晶構造も圧力によって歪および欠陥が形成され、X線回折パターンにおいて確認されるピークも本来の金属結晶よりもブロードに広がる。このように、メッキ法によれば、メッキ膜に特有の微細組織構造によって、緻密で結晶性に優れた膜を形成できる。その結果、高い導電率の集電体を実現できる。
メッキ膜を転写することによって形成されるメッキ転写膜も、上記のようなメッキ膜に特有の微細組織構造を有する。なお、メッキ膜を転写することによって形成された集電体は、転写時の応力によって、その一部または全体が固体電解質層300内へ埋設されていてもよい。このような埋設状態により、集電体の外縁部側面が固体電解質層300と接合することとなり、集電体と固体電解質層300とが強固に一体化することとなる。
(活物質層)
第1活物質層120は、例えば、正極活物質層である。第1活物質層120は、第1集電体110および固体電解質層300に挟まれている。第1活物質層120は、第1集電体110および固体電解質層300に接していてもよい。
第2活物質層220は、例えば、負極活物質層である。第2活物質層220は、第2集電体210および固体電解質層300に挟まれている。第2活物質層220は、第2集電体210および固体電解質層300に接していてもよい。
正極活物質層は、正極活物質を含む。
正極活物質は、負極よりも高い電位で結晶構造内にリチウム(Li)イオンまたはマグネシウム(Mg)イオンなどの金属イオンが挿入または離脱され、それに伴って酸化または還元が行われる物質である。正極活物質の種類は、電池の種類に応じて適宜選択することができ、公知の正極活物質が用いられうる。
正極活物質は、例えば、リチウムと遷移金属元素とを含む化合物である。当該化合物は、例えば、リチウムと遷移金属元素を含む酸化物、またはリチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物である。
リチウムと遷移金属元素とを含む酸化物の例は、LiNix1-x2(ここで、Mは、Co、Al、Mn、V、Cr、Mg、Ca、Ti、Zr、Nb、Mo、およびWからなる群より選択される少なくとも1つであり、0<x≦1が充足される)のようなリチウムニッケル複合酸化物、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、およびニッケル酸リチウム(LiNiO2)のような層状酸化物、またはスピネル構造を持つマンガン酸リチウム(例えば、LiMn24、Li2MnO3、またはLiMnO2)である。
リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物の例は、オリビン構造を持つリン酸鉄リチウム(LiFePO4)である。
正極活物質として、硫黄(S)および硫化リチウム(Li2S)のような硫化物が使用されてもよい。この場合、正極活物質粒子に、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)などをコーティング、または、添加していてもよい。
正極活物質には、これらの材料の1種のみが用いられてもよいし、これらの材料のうちの2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
リチウムイオン導電性または電子伝導性を高めるために、正極活物質層は、正極活物質に加えて、正極活物質以外の材料を含有していてもよい。すなわち、正極活物質層は、合剤層であってもよい。当該材料の例は、無機系固体電解質、硫化物系固体電解質のような固体電解質、アセチレンブラックのような導電助材、またはポリエチレンオキシドおよびポリフッ化ビニリデンのような結着用バインダーである。
正極活物質層は、例えば、5μm以上かつ100μm以下の厚みを有していてもよい。
負極活物質層は、負極活物質を含む。
負極活物質層は、主に、負極活物質などの負極材料から構成される層である。
負極活物質は、正極よりも低い電位で結晶構造内にリチウム(Li)イオンまたはマグネシウム(Mg)イオンなどの金属イオンが挿入または離脱され、それに伴って酸化または還元が行われる物質をいう。負極活物質の種類は、電池の種類に応じて適宜選択することができ、公知の負極活物質が用いられうる。
負極活物質の例は、天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛炭素繊維、および樹脂焼成炭素のような炭素材料、または固体電解質と合剤化される合金系材料である。合金系材料の例は、LiAl、LiZn、Li3Bi、Li3Cd、Li3Sb、Li4Si、Li4.4Pb、Li4.4Sn、Li0.17C、およびLiC6のようなリチウム合金、チタン酸リチウム(Li4Ti512)のようなリチウムと遷移金属元素との酸化物、酸化亜鉛(ZnO)、または酸化ケイ素(SiOx)のような金属酸化物である。
負極活物質には、これらの材料の1種のみが用いられてもよいし、これらの材料のうちの2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
リチウムイオン導電性または電子伝導性を高めるために、負極活物質層は、負極活物質に加えて、負極活物質以外の材料を含有していてもよい。当該材料の例は、無機系固体電解質、硫化物系固体電解質のような固体電解質、アセチレンブラックのような導電助材、またはポリエチレンオキシドおよびポリフッ化ビニリデンのような結着用バインダーである。
負極活物質層は、例えば、5μm以上かつ100μm以下の厚みを有していてもよい。
(固体電解質層)
固体電解質層300は、固体電解質を含む。
固体電解質層300は、例えば、主成分として固体電解質を含む。ここで、主成分とは、固体電解質層300において、質量割合で最も多く含まれる成分のことである。固体電解質層300は、固体電解質のみからなっていてもよい。
固体電解質は、イオン導電性を有する公知の電池用の固体電解質であればよい。固体電解質層300に含まれる固体電解質としては、例えば、リチウムイオンまたはマグネシウムイオンなどの金属イオンを伝導する固体電解質が用いられうる。
固体電解質としては、硫化物固体電解質、酸化物固体電解質、またはハロゲン化物固体電解質が用いられうる。
硫化物系固体電解質は、例えば、Li2S-P25系、Li2S-SiS2系、Li2S-B23系、Li2S-GeS2系、Li2S-SiS2-LiI系、Li2S-SiS2-Li3PO4系、Li2S-Ge22系、Li2S-GeS2-P25系、またはLi2S-GeS2-ZnS系である。
酸化物系固体電解質は、例えば、リチウム含有金属酸化物、リチウム含有金属窒化物、リン酸リチウム(Li3PO4)、またはリチウム含有遷移金属酸化物である。リチウム含有金属酸化物の例は、Li2O-SiO2またはLi2O-SiO2-P25である。リチウム含有金属窒化物の例は、Lixy1-zz(0<z≦1)である。リチウム含有遷移金属酸化物の例は、リチウムチタン酸化物である。
ハロゲン化固体電解質は、例えば、Li、M、およびXを含む化合物である。ここで、Mは、Li以外の金属元素および半金属元素からなる群より選択される少なくとも1つである。Xは、F、Cl、Br、およびIからなる群より選択される少なくとも1つである。
「半金属元素」は、B、Si、Ge、As、Sb、およびTeである。「金属元素」は、周期表第1族から第12族中に含まれるすべての元素(ただし、水素を除く)、および、周期表第13族から第16族に含まれるすべての元素(ただし、B、Si、Ge、As、Sb、Te、C、N、P、O、S、およびSeを除く)である。
ハロゲン化物固体電解質のイオン伝導性を向上させるために、Mは、Yを含んでいてもよい。Mは、Yであってもよい。
ハロゲン化物固体電解質は、例えば、LiaMebc6により表される化合物であってもよい。ここで、数式:a+mb+3c=6、およびc>0が充足される。mの値は、Meの価数を表す。
ハロゲン化物固体電解質のイオン伝導性を向上させるために、Meは、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Sc、Al、Ga、Bi、Zr、Hf、Ti、Sn、Ta、およびNbからなる群より選択される少なくとも1つであってもよい。
ハロゲン化物固体電解質のイオン伝導性を向上させるために、Xは、ClおよびBrからなる群より選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。
ハロゲン化物固体電解質は、例えば、Li3YCl6およびLi3YBr6からなる群より選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。
固体電解質として、これらの材料の1種のみが用いられてもよいし、これらの材料のうちの2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
固体電解質層300は、固体電解質に加えて、ポリエチレンオキシドまたはポリフッ化ビニリデンなどの結着用バインダーなどを含んでいてもよい。
固体電解質層300は、5μm以上かつ150μm以下の厚みを有していてもよい。
固体電解質の材料は、粒子の凝集体で構成されていてもよい。あるいは、固体電解質の材料は、焼結組織で構成されていてもよい。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態の電池について説明する。第1実施形態において説明された事項は、適宜省略され得る。
図2は、第2実施形態の電池1200の概略構成を示す断面図および平面図である。
図2(a)は、第2実施形態の電池1200の断面図である。図2(b)は、第2実施形態の電池1200をz軸方向下側から見た平面図である。図2(a)は、図2(b)の点線II-IIにおける断面図を示している。
図2に示されるように、電池1200は、第1実施形態による電池1100の構成に加えて、カバー層400をさらに備える。
カバー層400は、電池1200の電池素子を衝撃および環境から保護する層として作用する。したがって、電池1200の信頼性を向上させることができる。
カバー層400は、第1電極100上および第2電極200上の少なくともいずれかに設けられている。
カバー層400は、図2に示すように、第1電極100上および第2電極200上の両方に配置されていてもよい。
カバー層400の材料は、固体電解質であってもよい。カバー層400は、例えば、固体電解質層300を構成する固体電解質を含んでいてもよい。カバー層400が電池素子と同じ材料を含むことにより、カバー層と電池素子の熱膨張係数が近くなる。これにより、電池1200の製造プロセスにおける焼成、電池1200使用時の環境温度変化、および冷熱サイクル等に対する電池1200の耐久性が向上する。
カバー層400は、電池素子とは異なる材料を含んでいてもよい。
カバー層400の材料は、絶縁材料であってもよい。絶縁材料の例は、無機セラミックス材料または樹脂材料である。無機セラミックス材料の例は、酸化アルミニウムまたは窒化ホウ素である。樹脂材料の例は、エポキシ系樹脂である。カバー層400が、優れた熱伝導性を有する酸化アルミニウムまたは窒化ホウ素を含む場合、電池1200を大型化させても電池素子内の熱膨張差の影響を低減できる。このため、熱衝撃に優れた電池1200を実現できる。エポキシ系樹脂は軽量である。したがって、カバー層400がエポキシ系樹脂を含む場合、電池1200の重量エネルギー密度が低下することを抑制できる。また、樹脂材料は、通常、電池1200における電池素子の構成部材よりも柔らかい。したがって、樹脂材料の緩衝性により、電池1200の耐衝撃性が向上する。
カバー層400が第1電極100上および第2電極200上の両方に配置されている場合、カバー層400は、両方ともに同じ厚みであってもよい。これにより、電池1200の製造プロセスにおける積層加圧時の圧縮あるいは焼成時の収縮時に、上下のカバー層400への応力が平衡するため、電池1200の反りおよびクラックなどの構造欠陥を抑制できる。
カバー層400の厚みは、例えば、100μm以上かつ500μm以下である。
カバー層400は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、カバー層400の材料を含むスラリーを塗工したカバー層400の前駆体を集電体の表面へ加圧転写することによって形成され得る。なお、カバー層400の材料を含むスラリーを塗工することによって形成されるカバー層400の前駆体とは、例えば積層セラミックコンデンサ(MLCC)の技術分野においてグリーンシートと呼ばれる成形体に相当する。例えば、PETフィルムの表面に、シリコーン樹脂を予め塗布してから、固体電解質スラリー等のカバー層400の材料を含むスラリーを塗布する。PETフィルムの表面に塗布されるシリコーン樹脂の厚みは、例えば10nm以上かつ50nm以下の範囲である。この場合、集電体上に転写したカバー層400の前駆体の表面(すなわち、PETフィルムから剥離した表面)に、シリコーン樹脂の成分が残存する。したがって、メッキ膜を含む集電体の表面は、シリコーン樹脂の成分を含むカバー層400で覆われることとなる。シリコーン樹脂成分は、化学的に安定であるため、シリコーン樹脂成分と接する集電体の表面へ防錆効果を与えることとなる。
シリコーン樹脂成分は、例えば、イオン研磨した断面を、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)などの組成解析手法によって解析した場合に、ケイ素(Si)濃度が他の部分よりも高い領域として検出できる。
カバー層400の他の形成方法として、例えば、メタルマスクまたはスクリーン版を使って、カバー層400の材料を含むスラリーを集電体上へ印刷してもよい。
カバー層400に、正極および負極などの極性を示すようなマーカーを印刷してもよい。マーカーの形状は、特には限定されず、例えば丸または矩形のマーカーが印刷されてもよい。あるいは、カバー層400に孔を設けて、この孔をマーカーとして使用してもよい。これにより、外観から電池の正負極の判別が可能となる。
カバー層400に顔料を含ませることにより、正極および負極の判別がつくようにしてもよい。
(第3実施形態)
以下、第3実施形態の電池について説明する。上記実施形態において説明された事項は、適宜省略され得る。
図3は、第3実施形態の電池1300の概略構成を示す断面図および平面図である。
図3(a)は、第3実施形態の電池1300の断面図である。図3(b)は、第3実施形態の電池1300をz軸方向下側から見た平面図である。図3(a)には、図3(b)のIII-III線で示される位置での断面が示されている。
電池1300は、第2実施形態による電池1200の構成に加えて、端子電極500aおよび500bをさらに備える。端子電極500aは、第1電極100と電気的に接続されている。具体的には、端子電極500aは、第1集電体110と電気的に接続されている。端子電極500bは、第2電極200と電気的に接続されている。具体的には、端子電極500bは、第2集電体210と電気的に接続されている。以下、端子電極500aおよび端子電極500bを総称して、単に「端子電極」という場合がある。
端子電極は、例えば、金属導体を含む。金属導体の例は、AgまたはCuである。AgおよびCuは、高い導電率を有するため、電池1300の抵抗損失を低減できる。
端子電極は、導電性樹脂のような金属粉および樹脂を含む材料によって形成されていてもよい。金属粉の例は、上記の金属導体の例として挙げられたAgまたはCuである。このような端子電極によれば、小型で面実装型の高性能電池を実現できる。
端子電極の表面は、メッキ処理されていてもよい。すなわち、第3実施形態による電池1300は、端子電極の表面上にメッキ膜を備えていてもよい。端子電極の表面上にメッキ膜が設けられることにより、実装基板との強固かつ低抵抗な接続が可能となる。また、水分および電池が劣化するようなガスが発電素子内に透過することを抑制できるため、電池の信頼性を向上させることができる。したがって、小型かつ高性能な面実装型電池を実現できる。端子電極の表面に、例えば、電解メッキなどによって、Snなどの半田濡れ性のよいメッキ処理を施す。これにより、汎用的なリフロープロセスによる半田実装が可能となる。端子電極の表面に形成されるメッキ膜の厚さは、例えば1μm以上かつ5μm以下である。
(第4実施形態)
以下、第4実施形態の電池について説明する。上記実施形態において説明された事項は、適宜省略され得る。
図4は、第4実施形態の電池1400の概略構成を示す断面図および平面図である。
図4(a)は、第4実施形態の電池1400の断面図である。図4(b)は、第4実施形態の電池1400をz軸方向下側から見た平面図である。図4(a)には、図4(b)のIV-IV線で示される位置での断面が示されている。
電池1400は、第3実施形態による電池1300の構成において、第1集電体および第2集電体の形状が異なる。図4に示されるように、第1集電体111の平面視における外縁部111aの厚みは、第1集電体111の平面視における中心部111bの厚みよりも大きい。これにより、第1集電体111の外縁部111aに端子電極500aを接続させた場合に接続面積が増大する。したがって、第1集電体111と端子電極500aとの接続抵抗を低減できる。さらに、第1集電体111と端子電極500aとの固着性も向上する。このような形状を有する第1集電体111は、例えば、外縁部111aに相当する部分の厚みが中心部111bに相当する部分の厚みよりも大きいメッキ膜を用いることによって実現できる。このような厚み形状を有するメッキ膜が用いられることにより、例えばメッキ膜の転写およびメッキ膜のハンドリングの過程において、メッキ膜が外縁部から割けることを抑制できる。このため、メッキ膜の欠陥を抑制できるので、第1集電体111の欠陥も抑制できる。したがって、高性能かつ信頼性に優れた電池1400を実現できる。
第1集電体111の端子電極500aとの接続部付近の厚みは、他の部分の厚みよりも大きくてもよい。第1集電体111と端子電極500aとの接続がより強固になり、たわみ応力に対して信頼性が向上する。また、第1集電体111と端子電極500aとの接続抵抗をより低減できる。
例えば、第1集電体111において、中心部111bの厚みに対して約2倍の厚みを有する領域が、端子電極500aとの接続部の端部から100μmの幅に渡り形成されていてもよい。
第2集電体211は、第1集電体111と同様に、平面視における外縁部211aの厚みが、第2集電体211の平面視における中心部211bの厚みよりも大きくてもよい。また、第2集電体211は、端子電極500bとの接続部付近の厚みが、他の部分の厚みよりも大きくてもよい。
以下、集電体において中心部よりも厚い外縁部が、厚膜部と記載される。
集電体の厚膜部は、第1集電体111および第2集電体211とで異なる材料であってもよい。集電体の厚膜部の材料は、導電性を有していればよい。端子電極と電気的に接続しやすいものが好ましい。集電体の厚膜部の材料の例は、Au、Ag、Cu、Al、Ni、Fe、Pd、またはPtである。これらの材料のうち、複数の導電材料を混合して使用してもよく、合金が使用されてもよい。これにより、集電体の熱膨張性係数または機械的特性を調整して、集電体の耐熱衝撃性または機械的信頼性を向上させることもできる。
厚膜部の幅は、例えば、端子電極500aの電池1400の主面に位置する部分の幅よりも大きくてもよい。これにより、ベンディング時に端子電極付近に集中する応力負荷が、厚膜部のはみだし範囲に渡って分散されて低減される。その結果、端子電極500aの電池1400の主面における端部で端子電極500aが割れることを抑制できる。なお、厚膜部のはみだし範囲とは、例えば第1集電体111の場合は、図4(a)において符号111cで示されている範囲のことである。すなわち、端子電極500aの電池1400の主面における端部よりも電池1400の内側に広がっている厚膜部の範囲が、はみだし範囲となる。
集電体の厚膜部は、例えばメッキ膜を形成するときに部分的に厚く形成することによって実現できる。例えば、メッキ膜を薄くする部分に対し、メッキ膜の形成途中で例えばレジスト処理を行って、それ以上メッキ膜が形成されないようにすることによって、厚さを部分的に調整することができる。また、メッキ膜を厚くする領域は、2回以上に分けてメッキしてもよい。2回以上に分けてメッキすることにより、成膜時の応力を緩和させながら厚膜化できるため、メッキ膜を含む集電体の活物質層からの剥離および反りを低減できる。
メッキ膜が複数回に分けてメッキすることによって形成されたものであることは、SEMなどを用いた断面観察により、層状の縞模様あるいは析出レートの違いから生じる結晶粒子サイズの層状変化として検出できる。
成膜レートを段階的に変化させてメッキ膜を厚く形成してもよい。例えば、厚膜化の進行ととともに成膜レートを連続的あるいは段階的に低下させてもよい。このように成膜レートを制御することにより、メッキ膜に発生する応力を低減できる。
集電体の厚膜部は、例えば、10μm以上の厚みを有していてもよい。
(第5実施形態)
以下、第5実施形態の電池について説明する。上記実施形態において説明された事項は、適宜省略され得る。
図5は、第5実施形態の電池1500の概略構成を示す断面図および平面図である。
図5(a)は、第5実施形態の電池1500の断面図である。図5(b)は、第5実施形態の電池1500をz軸方向下側から見た平面図である。図5(a)には、図5の(b)のV-V線で示される位置での断面が示されている。
電池1500は、第3実施形態による電池1300の構成において、第1集電体110の外縁部の形状が異なる。図5に示されるように、第1集電体110の平面視における外縁部112は、電池1500の面方向に凹凸形状を有する。これにより、第1集電体110の外縁部112を端子電極500aと接続させる場合、接続面積が増大するため、端子電極500aと第1集電体110との接続抵抗を低減できる。また、端子電極500aと第1集電体110との固着性が向上するため、電池の接続信頼性および耐衝撃性を向上させることができる。
第1集電体110の外縁部112に設けられる凹凸形状は、凹凸パターンであってもよい。
第2集電体210は、第1集電体110と同様に、端子電極500bとの接続部位となる外縁部が凹凸形状を有していてもよい。第2集電体210の外縁部に設けられる凹凸形状は、凹凸パターンであってもよい。
集電体の外縁部の凹凸形状は、例えばメッキによって形成された10μm程度の凹凸を含む微細形状であってもよい。
凹凸形状が凹凸パターンである場合、凹凸パターンは、例えば、10μm以上かつ500μm以下のピッチを有していてもよい。凹凸の高低差は、例えば、凹凸パターンのピッチと同じく10μm以上かつ500μm以下であってもよい。
第4実施形態による電池1400と同様に、集電体の外縁部を中心部よりも厚くしてもよい。これにより、集電体の外縁部が割けることを抑制できる。
(第6実施形態)
以下、第6実施形態の電池について説明する。上記実施形態において説明された事項は、適宜省略され得る。
図6は、第6実施形態の電池1600の概略構成を示す断面図および平面図である。
図6(a)は、第6実施形態の電池1600の断面図である。図6(b)は、第6実施形態の電池1600をz軸方向下側から見た平面図である。図6(a)には、図6(b)のVI-VI線で示される位置での断面が示されている。
図6に示されるように、電池1600は、第3実施形態による電池1300の構成において、第1集電体110が、互いに異なる組成を有する2種以上の材料から構成される。このような第1集電体110は、例えば、互いに異なる組成を有する2種以上の材料から構成されるメッキ膜によって実現され得る。例えば、第1集電体110の端子電極500aとの接続部113と接続部113以外の部分とで、材料の組成が互いに異なっていてもよい。
第1集電体110の接続部113は、導電材料を含む。当該導電材料は、端子電極500aに含まれる金属と合金を形成できる金属材料であってもよい。例えば、端子電極500aがAgを含む場合、接続部113はPdを含んでいてもよい。Agを含む端子電極500aを形成する際の熱処理によって、接続部113の周辺に合金(例えば、Ag-Pd合金)が生成される。その結果、第1集電体110の接続部113と端子電極500aとの接続部分に合金接合層が形成されて、第1集電体110と端子電極500aとが強固かつ低抵抗で接続されることとなる。
以上の構成により、冷熱サイクルおよび衝撃に対しても、第1集電体110の接続部113と端子電極500aとが強い固着状態を維持できるので、第1集電体110と端子電極500aとの低抵抗が維持され得る。したがって、高性能かつ信頼性に優れた電池1600を実現できる。
第2集電体210も、第1集電体110と同様に、互いに異なる組成を有する2種以上の材料から構成されていてもよい。例えば、第2集電体210の端子電極500bとの接続部213と接続部213以外の部分とで、材料の組成が互いに異なっていてもよい。
(第7実施形態)
以下、第7実施形態の電池について説明する。上記実施形態において説明された事項は、適宜省略され得る。
図7は、第7実施形態の電池1700の概略構成を示す断面図および平面図である。
図7(a)は、第7実施形態の電池1700の断面図である。図7(b)は、第7実施形態の電池1700をz軸方向下側から見た平面図である。図7(a)には、図6(b)のVII-VII線で示される位置での断面が示されている。
図7に示されるように、電池1700は、複数の電池素子(すなわち、単電池)が積層された構造を有する。複数の単電池は、直列に接続されていてもよい。
電池1700は、例えば、複数の単電池を接続するバイポーラ電極600を備える。
バイポーラ電極600の集電体601は、2層のメッキ膜601aおよび601bから構成されていてもよい。例えば、正極側がAlメッキ膜、負極側がNiメッキ膜であり、2段階に連続メッキした膜が転写されることによって集電体601が形成されてもよい。あるいは、2種のメッキ膜を別々に作製し、それらを積層するように順に転写することによって集電体601が形成されてもよい。
このように、メッキ膜を互いに異なる金属からなる2層の積層体とすることにより、バイポーラ電極600を、電気化学的に安定な組み合わせの金属を連続的に成長させることによって直接接合した積層膜で形成できる。これにより、集電体601を構成する金属層間の界面における接合性の信頼性が高まり、2層の異なる金属層間の接続抵抗が小さくなる。例えば、2層目のメッキ膜は、下地(すなわち1層目)のメッキ膜上に形成するため、接続界面から連続的に成長する。このため、箔状の金属を張り合わせて圧延したクラッド材の断面が、層状で界面に空隙を含み、結晶も歪んだものである構造とは異なり、メッキ法を用いて形成された積層膜は、微細な結晶粒子で構成され、かつ接合界面も明瞭な微細組織となる。なお、メッキ法を用いて形成された積層膜は、2層に限定されず、3層以上を有していてもよい。3層以上の積層体であっても、メッキ法を用いて、3層目以降のメッキ膜を2層目のメッキ膜と同様に連続的に成長させることができる。なお、このような複数の層を含むメッキ膜において、それぞれの層の厚みおよび組成は、電気化学的安定性、機械的強度、および耐熱性の観点から適宜設定してよい。
以上の構成によれば、低抵抗かつ信頼性の高いバイポーラ電極600を形成できるため、高性能かつ信頼性に優れた、直列接続の多層電池を実現できる。
[電池の製造方法]
本開示の電池の製造方法は、メッキ法を用いて第1集電体を形成すること、を含む。この方法によれば、メッキ膜を含む第1集電体を備えた本開示の電池を製造することができる。第1実施形態においても説明したように、メッキ法は特には限定されない。電解メッキ法を用いてもよいし、無電解メッキ法を用いてもよいし、無電解メッキ法および電解メッキ法の両方を用いてもよい。例えば、無電解メッキ法を用いて下地となる下地金属層を形成し、その金属下地層上に電解メッキ法を用いて所望の厚みの金属層を形成することによって、メッキ膜が形成されてもよい。
第1集電体に含まれるメッキ膜は、例えば、メッキ法を用いて膜を形成し、当該膜を転写することによって形成されてもよい。このように、転写によって第1集電体に含まれるメッキ膜を形成することにより、微細、大小、および複雑形状など、任意のパターンを有する集電体を、容易にかつ精度よく形成することができる。
第1集電体の導電性を向上させるために、第1集電体に含まれるメッキ膜は、例えば銅を含んでいてもよい。
以下、本開示の電池の製造方法の一例を説明する。
ここでは、一例として、第1実施形態の電池1100の製造方法を説明する。
以下では、第1電極100が正極であり、第2電極200が負極である。
図8は、本開示の電池の製造方法の一例を示すフローチャートである。
まず、正極活物質層および負極活物質層の印刷形成に用いる各ペーストを作製する。正極活物質層および負極活物質層の合剤に用いる固体電解質として、例えば、平均粒子径が約1μmであり、三斜晶系結晶を主成分とするLi2S-P25系硫化物のガラス粉末が準備される。このガラス粉末は、例えば、3×10-3S/cmから4×10-3S/cmのイオン伝導性を有する。
正極活物質として、例えば、平均粒子径が約2μmであり、層状構造のLi・Ni・Co・Al複合酸化物(LiNi0.8Co0.15Al0.052)の粉末が用いられる。
上述の正極活物質と上述のガラス粉末とを含有させた合剤を有機溶剤等に分散させることにより、正極活物質層用ペーストが作製される。
上述のガラス粉末を有機溶剤等に分散させることにより、固体電解質層の形成に用いる固体電解質層用スラリーが作製される。
負極活物質として、例えば、平均粒子径が約3μmである天然黒鉛の粉末が用いられる。上述の負極活物質と上述のガラス粉末とを含有させた合剤を有機溶剤等に分散させることにより、負極活物質層用ペーストが作製される。
次いで、メッキ法を用いて、正極集電体および負極集電体としてのメッキ膜をメッキ原版上に作製する(S81)。正極集電体および負極集電体として、例えば、約10μmの厚みで、かつ所定形状を有するレジスト層(すなわち、レジストパターン)が形成された、約5mm厚みの鏡面の金属製(例えば、ステンレス製)のメッキ原版上に、例えばアルミニウムメッキ膜および銅メッキ膜がそれぞれ電解メッキで成膜される。レジストパターンによって任意の微細形状の集電体パターンを作製できる。例えば、一般的なフォトリソグラフィー法によって、シリコーン系またはフッ素系の絶縁樹脂をレジスト材として、所定の集電体パターンのネガ形状に対応するレジストパターンを形成する。この方法により、例えば100μmの線幅などの微細パターンも作製可能である。また、微細パターンを含まない場合は、シリコーンゴムなどの絶縁樹脂をパターン状に加工することによってレジストパターンを作製してもよいし、あるいはポリイミドテープなどでレジストパターンを作製してもよい。
固体電解質層用スラリーを用いて、固体電解質層シートを形成する(S82)。例えばダイコーターにより、固体電解質層用スラリーを約10μmから50μm以下の厚みにシート成形する。成形したシートを多層化してもよい。このようにして作製した固体電解質層用シートの表裏面上に、正極活物質層用ペーストおよび負極活物質層用ペーストが、それぞれ所定形状、および、約50μmから100μmの厚みで塗工される(S83)。正極活物質層用ペーストおよび負極活物質層用ペーストは、80℃から130℃で送風乾燥され、30μmから60μmの厚みになる。
次いで、成膜されたメッキ膜からなる正極集電体および負極集電体の原版を加温および加圧して、正極集電体および負極集電体としてのメッキ膜を原版から剥離し、乾燥した正極活物質層用ペーストおよび負極活物質層用ペースト上に所定のメッキ膜を転写する(S84)。なお、メッキ前の原版表面には、予めシリコーン樹脂またはフッ素樹脂が、例えば10nmから30nmの厚みで塗布されていてもよい。シリコーン樹脂またはフッ素樹脂の成分は、メッキ膜の転写時にメッキ膜と一緒に転写され、形成された集電体の表面に付着する。集電体の表面に付着したシリコーン樹脂またはフッ素樹脂の成分は、集電体の防錆材として機能し得る。なお、メッキ原版に、例えば最大高さRzが1μmから5μmの表面粗さの凹凸表面加工を施しておくことにより、集電体表面を粗化することができ、その粗面によって集電体と固体電解質層または活物質層との接合性を高めることができる。
以上により、第1電極、固体電解質層、および第2電極が、この順で形成された積層体が得られる。
次いで、上記の積層体を、約70℃で、1t/cm2から3t/cm2相当の圧力で積層方向に加圧することによって、電池素子が形成される(S85)。さらに、密度を高めて強度および特性向上させることを目的に、積層体に必要に応じて熱処理を施したり、静水圧プレスなどを加えたりしてもよい。なお、個片の電池素子についての製造法について説明したが、例えば、複数の電池素子の集電体を形成するメッキ膜を固体電解質層上にメッキ転写してから、個片に切断して個片の電池素子を作製してもよい。
以上のように、本開示の電池の製造方法は、メッキ法により集電体を形成する工程を含む。これにより、簡易に所望のパターン形状を有する集電体を備えた電池を製造することができる。また、集電体にメッキ膜が用いられること、さらにメッキ膜を転写する際の加圧によって接合面の密着性が高まることから、集電体の導電率を高め、かつ集電体の接続抵抗が低減されるため、抵抗損失の小さい電池を実現できる。このような製造方法によって、例えば箔状の集電体では困難だった、島状のパターン、複雑な形状、あるいは微細な線幅などを有する集電体を形成できる。また、集電体の厚みも任意に制御できる。
以上、本開示の電池について、実施形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施形態に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施形態に施したもの、および実施形態における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本開示の範囲に含まれる。
本開示に係る電池は、例えば、各種の電子機器または自動車などに用いられる全固体電池などの二次電池として利用されうる。
100 第1電極
110、111 第1集電体
112 外縁部
113 接続部
120 第1活物質層
200 第2電極
210、211 第2集電体
213 接続部
220 第2活物質層
300 固体電解質層
400 カバー層
500a、500b 端子電極
600 バイポーラ電極
1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700 電池

Claims (20)

  1. 第1電極、
    固体電解質層、および
    第2電極、
    をこの順で備え、
    前記第1電極は、第1集電体および第1活物質層を含み、
    前記第1集電体は、メッキ膜を含む、
    電池。
  2. 前記第1集電体における前記メッキ膜の体積割合は、90%以上である、
    請求項1に記載の電池。
  3. 前記メッキ膜の平均厚みは、0.1μm以上かつ100μm以下である、
    請求項1または2に記載の電池。
  4. 前記メッキ膜は、メッキ転写膜である、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の電池。
  5. 前記第2電極は、第2集電体および第2活物質層を含む、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の電池。
  6. 前記第1電極は、第3活物質層をさらに含み、
    前記第1集電体は、前記第1活物質層および前記第3活物質層の間に配置されている、
    請求項1から5のいずれか一項に記載の電池。
  7. 前記メッキ膜は、集電材料によって形成された第1領域と、集電材料が存在しない第2領域とで形成されたパターン形状を有する、
    請求項1から6のいずれか一項に記載の電池。
  8. 前記第1集電体の平面視における外縁部の厚みは、前記第1集電体の平面視における中心部の厚みよりも大きい、
    請求項1から7のいずれか一項に記載の電池。
  9. 前記第1集電体の平面視における外縁部は、前記電池の面方向に凹凸形状を有する、
    請求項1から8のいずれか一項に記載の電池。
  10. 前記メッキ膜は、互いに異なる組成を有する複数の材料を含む、
    請求項1から9のいずれか一項に記載の電池。
  11. 前記メッキ膜は、第1材料と、前記第1材料とは異なる組成を有する第2材料とを含み、
    前記メッキ膜は、前記第1材料からなる第1層と、前記第1層上に配置された前記第2材料からなる第2層とを備える、
    請求項10に記載の電池。
  12. 前記メッキ膜は、第1材料からなる第1材料領域と、前記第1材料とは異なる組成を有する第2材料からなる第2材料領域とを含むパターン形状を有する、
    請求項10に記載の電池。
  13. 端子電極をさらに備え、
    前記端子電極は、前記第1集電体と電気的に接続されている、
    請求項1から12のいずれか一項に記載の電池。
  14. 前記端子電極の表面上にメッキ膜をさらに備える、
    請求項13に記載の電池。
  15. 第3電極をさらに備え、
    前記第2電極は、前記第1電極および前記第3電極の間にあり、
    前記第1電極は、前記第3電極と電気的に並列に接続している、
    請求項1から14のいずれか一項に記載の電池。
  16. 前記第1集電体は、ケイ素およびフッ素からなる群より選択される少なくとも1つの元素を含む、
    請求項1から15のいずれか一項に記載の電池。
  17. 前記第1集電体は、ケイ素およびフッ素からなる群より選択される少なくとも1つの元素を含む層を内部に備える、
    請求項16に記載の電池。
  18. 請求項1から17のいずれか一項に記載の電池の製造方法であって、
    メッキ法を用いて前記第1集電体を形成すること、
    を含む、電池の製造方法。
  19. メッキ法を用いて膜を形成し、当該膜を転写することによって前記第1集電体に含まれる前記メッキ膜を形成する、
    請求項18に記載の電池の製造方法。
  20. 前記メッキ膜は、銅を含む、
    請求項18または19に記載の電池の製造方法。
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