JP2023104096A - 溶接状態判定装置及び溶接状態判定方法 - Google Patents

溶接状態判定装置及び溶接状態判定方法 Download PDF

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Figure 2023104096000001
【課題】 溶接状態の判定を行う装置の簡素化に有利な溶接状態判定装置及び溶接状態判定方法を提供する。
【解決手段】 溶接状態判定装置1は、広角レンズ10aを有し、第1部材90と第2部材91とが溶接されるときに、溶接部92の裏側に設定される溶接線WLの全体を含む溶接部92の裏面を、広角レンズ10aを介して撮影する撮影装置10と、撮影装置10の撮影画像に基づいて溶接部92の状態の良否を判定する制御演算部11とを備える。撮影装置10は、溶接線WLの延伸方向に対して溶接部92の裏面を撮影する方向が傾斜する姿勢に配置される。
【選択図】 図2

Description

本開示は、溶接状態判定装置及び溶接状態判定方法に関する。
例えば、レーザ溶接又はレーザ・アークハイブリッド溶接などによる貫通溶接において発生し得る溶接欠陥として、裏波不良がある。従来、裏波不良の発生を抑えるための指標として、溶接部の裏側に形成される裏波の状態をより精度良く把握するために、溶接部の裏側を直接的に観察する技術がある。特許文献1は、レーザが照射される溶接部の表側とは反対側すなわち裏側で発生するプラズマ光を、溶接部の裏側からセンサにより測定することで、裏波が健全に形成されているか否かを監視する方法に関する技術を開示している。
特開平10-76383号公報
特許文献1に開示されている方法では、裏波が形成される溶接部の裏面をセンサが常時観察するためには、観察装置側、又は、溶接対象を保持する保持機構側のいずれかの部位を移動させる機構が必要となる。また、レーザ溶接等による貫通溶接の施工時には、スパッタ又はヒュームが発生するため、センサには、スパッタ等への対策としての機構が必要となる。
そこで、本開示は、溶接状態の判定を行う装置の簡素化に有利な溶接状態判定装置及び溶接状態判定方法を提供することを目的とする。
本開示の一態様に係る溶接状態判定装置は、広角レンズを有し、二つの部材又は部位が溶接されるときに、溶接部の裏側に設定される溶接線の全体を含む溶接部の裏面を、広角レンズを介して撮影する撮影装置と、撮影装置の撮影画像に基づいて溶接部の状態の良否を判定する制御演算部と、を備え、撮影装置は、溶接線の延伸方向に対して溶接部の裏面を撮影する方向が傾斜する姿勢に配置される。
また、本開示の他の態様に係る溶接状態判定装置は、広角レンズを有し、二つの部材又は部位が溶接されるときに、広角レンズを介して溶接部の裏面を撮影する撮影装置と、撮影装置の撮影画像に基づいて溶接部の状態の良否を判定する制御演算部と、を備え、撮影装置は、溶接部の裏側に設定される溶接線の全体が画角に収まる位置に配置される。
上記の各溶接状態判定装置では、制御演算部は、撮影画像に基づいて、溶接線に沿って形成された裏波の状態の良否を判断してもよい。ここで、制御演算部は、撮影画像からスパッタ発生量を計測し、スパッタ発生量が予め規定された許容量であるかどうかに基づいて裏波の状態の良否を判断してもよい。制御演算部は、撮影画像から裏波が生じている領域としての高輝度領域のずれ量を計測し、ずれ量が予め規定された許容範囲内に含まれるかどうかに基づいて裏波の状態の良否を判断してもよい。制御演算部は、撮影画像から溶接部の裏面の輝度の変動量を算出し、変動量が予め規定された許容範囲内に含まれるかどうかに基づいて裏波の状態の良否を判断してもよい。制御演算部は、予め輝度の観測波形の取得と裏波の状態の良否判断とを併せた施工試験を実行させて蓄積したデータを人工知能に適用することで波形データを取得し、波形データを参照することで変動量を算出してもよい。二つの部材又は部位は、部分溶込み溶接で互いに接合され、制御演算部は、撮影画像に基づいて溶接部の裏面の輝度分布を算出し、輝度分布に予め規定された閾値を超えた領域があるかどうかに基づいて部分溶込み溶接の良否を判断してもよい。
更に、本開示の一態様に係る溶接状態判定方法は、二つの部材又は部位が溶接されるときに、溶接部の裏側に設定される溶接線の全体を含む溶接部の裏面を、広角レンズを介して溶接線の延伸方向に対して傾斜する方向から撮影する撮影工程と、撮影工程での撮影画像に基づいて溶接部の状態の良否を判定する工程と、を含む。
本開示によれば、溶接状態の判定を行う装置の簡素化に有利な溶接状態判定装置及び溶接状態判定方法を提供することができる。
第1実施形態に係る溶接状態判定装置の概略構成を示すブロック図である。 第1実施形態において撮影装置が裏波を撮影している状態を示す斜視図である。 溶接対象及び撮影装置をX方向に沿って見た側面図である。 溶接対象及び撮影装置をZ方向に沿って見た平面図である。 第1実施形態における溶接状態判定工程を示すフローチャートである。 裏波の状態が良好であるときに撮影された第1撮影画像を示す図である。 裏波の状態が不良であるときに撮影された第2撮影画像を示す図である。 第1撮影画像を二値化することで得られた第1処理画像を示す図である。 第2撮影画像を二値化することで得られた第2処理画像を示す図である。 撮影時間に対する1画像当たりのスパッタ発生量を示すグラフである。 第2実施形態における溶接状態判定工程を示すフローチャートである。 裏波の状態が良好であるときに撮影された第3撮影画像を示す図である。 楕円フィッティングが適用される第3処理画像を示す図である。 裏波の状態が不良であるときに撮影された第4撮影画像を示す図である。 楕円フィッティングが適用される第4処理画像を示す図である。 撮影時間に対する基準線と高輝度領域の中心とのずれを示すグラフである。 実際の裏波写真と裏波の状態の良否判断による結果とを比較した図である。 撮影装置が突合せ継手で生じる裏波を撮影している状態を示す斜視図である。 第3実施形態における溶接状態判定工程を示すフローチャートである。 第4実施形態における溶接状態判定工程を示すフローチャートである。
以下、いくつかの例示的な実施形態について図面を参照して説明する。ここで、各実施形態に示す寸法、材料、その他、具体的な数値等は例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。また、実質的に同一の機能及び構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、本開示に直接関係のない要素については図示を省略する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る溶接状態判定装置1の概略構成を示すブロック図である。図2は、溶接施工中に、溶接状態判定装置1に含まれる撮影装置10が裏波93を撮影している状態を示す斜視図である。溶接状態判定装置1は、溶接機80が二つの部材又は部位を溶接しているときに、裏波93を撮影して得られた画像に基づいて裏波93の状態の良否を判定する。
溶接状態判定装置1が良否判定の対象とする裏波93を生じさせる溶接は、例えば、レーザ溶接方式又はレーザ・アークハイブリッド溶接方式を採用した貫通溶接である。本実施形態では、溶接状態判定装置1は、一例として、レーザ溶接方式を採用した溶接機80によって施工された溶接部92に係る裏波93の状態の良否を判定する。溶接機80は、レーザトーチ81等を備える。レーザトーチ81は、不図示のレーザ発振器から発振されたレーザを内部に導入し、集光光学系を介して溶接位置にレーザ光Lsを照射する。溶接機80は、レーザ光Lsの照射位置を溶接位置に沿って移動させることで、突合せ溶接を実施する。
また、本実施形態における溶接対象は、各々が金属板である第1部材90及び第2部材91である。溶接機80は、一例として、第1部材90の主平面に対して第2部材91の端面を互いに垂直となる状態で貫通溶接し、T継手を作製する。このとき、第1部材90と第2部材91との接合部には、レーザ光Lsが照射されて溶接部92が形成される。同時に、第2部材91を介してレーザ光Lsの照射側とは反対側となる溶接部92の裏側には、裏波93が生じる。
以下、溶接機80が第1部材90と第2部材91とを溶接してT継手を作製する想定に合わせて、図2に示すように、XYZ座標による各方向を設定する。第2部材91の端面が溶接される第1部材90の主平面と平行となる平面として、XY平面を規定する。Y方向は、第2部材91の延伸方向に沿う。つまり、本実施形態における溶接方向は、Y方向に沿う。X方向は、Y方向に対して垂直である。また、Z方向は、XY平面に対して垂直となる方向である。つまり、第1部材90の主平面に対する第2部材91の接合方向は、Z方向に沿う。
また、溶接施工時に裏波93が生じる位置の基準として、図2に示すように、溶接線WLを設定する。第1部材90の主平面と第2部材91の端面とが対向する接合部には、溶接方向であるY方向に各々沿って延伸する、第1部材90と第2部材91との二つの仮想交線が生じる。溶接線WLは、レーザ光Lsが照射される側の一方の仮想交線とは第2部材91を介して反対側すなわち裏側に生じる他方の仮想交線である。つまり、裏波93は、溶接部92の形成に合わせて、おおよそ溶接線WL上に生じる。
溶接状態判定装置1は、撮影装置10と、制御演算部11と、記憶部12と、入力部13と、出力部14とを備える。
撮影装置10は、少なくとも、溶接対象のうち溶接線WL全体を含む一部位を撮影する。撮影装置10は、例えばCMOSカメラである。また、撮影装置10による撮影には、広角レンズ10aが使用される。以下、撮影装置10が撮影した画像を単に「撮影画像」という。
図3A及び図3Bは、溶接対象に対する撮影装置10の設置位置と、撮影装置10の撮影範囲Pとを例示する図である。図3Aは、溶接線WL上に裏波93が生じる側を視認するように、溶接対象及び撮影装置10をX方向に沿って見た側面図である。図3Bは、第2部材91を視認するように、溶接対象及び撮影装置10をZ方向に沿って見た平面図である。図3A及び図3Bでは、撮影範囲Pが、二つの一点鎖線で挟まれる領域として表されている。また、図3A及び図3Bに示す例では、第1部材90と第2部材91との各々のY方向の長さLの全体に溶接線WLが設定され、溶接線WLの全体に亘って裏波93が生じている状態が示されている。
撮影装置10は、溶接対象上に設定される溶接線WLの延伸方向に対して、溶接線WL上に生じた裏波93を撮影する方向が傾斜する姿勢に配置される。ここで、溶接線WLの延伸方向であるY方向について見ると、撮影装置10は、溶接線WLが設定されている範囲外に配置される。例えば、図3A及び図3Bに示すように、溶接線WLが第1部材90及び第2部材91のY方向の寸法と同等の長さLに設定されている場合、撮影装置10の少なくとも一部も、長さLで規定されている溶接対象のY方向での寸法範囲内には位置しない。また、撮影装置10は、裏波93が生じる部位全体すなわち溶接線WL全体が一時に画角に収まる位置に配置される。そして、撮影装置10は、上記二つの配置条件の少なくともいずれかに基づいて配置されることに加えて、広角レンズ10aを使用することで、撮影範囲Pに溶接線WL全体を含ませることができる。つまり、撮影装置10の溶接対象に対する位置や姿勢は、溶接施工時に変化しない。
制御演算部11は、例えばCPU(中央演算処理装置)であり、本実施形態に係る溶接状態判定方法としての溶接状態判定工程に係るプログラムを実行する。制御演算部11は、撮影装置10、記憶部12、入力部13及び出力部14に、電気的に接続されている。また、溶接状態判定工程が実行されることで得られた判定結果を溶接施工中の溶接機80にリアルタイムで反映させる場合には、制御演算部11は、溶接機80と電気的に接続されていてもよい。
記憶部12は、例えば、半導体メモリー又はHDD(ハードディスクドライブ)等の磁気記憶装置であり、プログラム又はデータベース等を格納(保存)する。制御演算部11は、記憶部12に保存されているプログラム又はデータを適宜読み出すことができる。また、制御演算部11は、記憶部12に対して新たなデータを適宜書き込むことができる。例えば、記憶部12は、撮影画像を保存する。
また、記憶部12は、プログラム格納部15を有する。プログラム格納部15は、少なくとも、溶接状態判定工程の一連の制御に係る制御プログラムを格納する。また、以下で説明する第3実施形態に係る溶接状態判定工程を採用する場合、プログラム格納部15には、人工知能(AI)に関する機械学習プログラムが格納されてもよい。この場合、記憶部12は、機械学習プログラムを実行するに際して参照されるデータベースを格納するデータベース格納部16を有してもよい。
入力部13は、例えば、キーボード又はタッチパネル等の操作入力装置、情報を外部から受信する受信装置、又は、メモリーカード等の可搬性のメモリー装置から情報を読み込む入力ポートである。操作者は、操作入力装置としての入力部13から直接的に各種情報を入力することができる。又は、制御演算部11は、各種情報を、受信装置としての入力部13からLAN又はインターネット等の通信ネットワークを介して外部のサーバー等から受信させることができる。更には、制御演算部11は、各種情報を、入力ポートとしての入力部13を介してメモリー装置から転送させることができる。入力部13によって入力され得る情報は、例えば、スパッタ発生量が許容量であるかどうかを判断する工程(S103;図4参照)にて参照されるスパッタ発生量の許容量である。なお、スパッタ発生量等の詳細については、溶接条件判定工程に関する説明と併せて後述する。
出力部14は、モニター等の表示部、情報を外部に送信する送信装置、又は、メモリー装置に情報を書き込む出力ポートなどである。制御演算部11は、溶接状態判定工程によって得られた判定結果を、表示部としての出力部14に表示させることで、操作者等に直接的に認識させることができる。又は、制御演算部11は、判定結果を、送信装置としての出力部14から通信ネットワークを介して外部のサーバー等に送信させることができる。更には、制御演算部11は、判定結果を、出力ポートとしての出力部14からメモリー装置に転送させることができる。
次に、溶接状態判定装置1の作用、及び、本実施形態に係る溶接状態判定方法について説明する。
一般に、レーザ溶接等による貫通溶接において裏波不良が発生すると、接合部にて板厚全体が溶融されていないことになるため、所望の継手強度が得られないこともあり得る。そこで、溶接状態判定装置1は、裏波不良の発生を抑えるための指標として、溶接施工中の裏波93の状態の良否を、以下で詳説する溶接状態判定を実施することで把握する。
図4は、第1実施形態に係る溶接状態判定方法としての溶接状態判定工程を示すフローチャートである。溶接状態判定工程は、図4に示すフローチャートに沿った一連の工程を含む、溶接状態判定装置1の制御プログラムとして、制御演算部11によって実行される。
制御演算部11は、溶接機80による溶接施工の開始に併せて、溶接状態判定工程の実行を開始する。まず、制御演算部11は、裏波撮影工程S100を実行する。裏波撮影工程S100では、制御演算部11は、撮影装置10に溶接対象を撮影させる。ここで、撮影装置10の撮影範囲Pには、少なくとも溶接線WL全体が含まれる。したがって、溶接施工の進捗状況に合わせて撮影装置10の位置又は姿勢等を変化させずとも、撮影画像には撮影時点で生じている裏波93が写ることになる。そして、制御演算部11は、撮影画像を記憶部12に保存する。
次に、制御演算部11は、画像処理工程S101を実行する。画像処理工程S101では、制御演算部11は、まず、記憶部12から撮影画像を取得する。
図5A及び図5Bは、画像処理工程S101で処理される撮影画像の例を示す図である。図5Aは、裏波93の状態が良好であるときに撮影された第1撮影画像IM1を示す図である。図5Bは、裏波93の状態が不良であるときに撮影された第2撮影画像IM2を示す図である。撮影画像は、図5A及び図5Bに示すようにグレースケール画像であってもよいし、カラー画像であってもよい。図5A及び図5Bに示す撮影画像には、第1部材90及び第2部材91の各々の一部が含まれ、かつ、撮影時点で溶接されている溶接部92の裏側に位置する部位、すなわち、裏波93が生じている部位が高輝度で表されている。
そして、制御演算部11は、取得した撮影画像から、例えば、特定の色成分の画像を予め設定した輝度値の閾値で二値化することで、高輝度領域を抽出する。以下、撮影画像に基づいて二値化された画像を単に「処理画像」という。
図6A及び図6Bは、処理画像の例を示す図である。図6Aは、図5Aに示す第1撮影画像IM1を二値化することで得られた第1処理画像IM3を示す図である。図6Bは、図5Bに示す第2撮影画像IM2を二値化することで得られた第2処理画像IM4を示す図である。まず、図6Aに示す第1処理画像IM3を参照すると、裏波93が生じている領域が第1高輝度領域94として抽出され、併せて、第1高輝度領域94とは異なる第2高輝度領域95が抽出される。一方、図6Bに示す第2処理画像IM4を参照すると、裏波93が生じている領域が第1高輝度領域94として抽出されるが、第2高輝度領域95は抽出されない。
次に、制御演算部11は、スパッタ発生量計測工程S102を実行する。スパッタ発生量計測工程S102では、制御演算部11は、画像処理工程S101にて処理画像から抽出された第2高輝度領域95の抽出量を、溶接施工時のスパッタの発生量に相当すると認定して、そのスパッタ発生量[個]を計測する。
次に、制御演算部11は、スパッタ発生量計測工程S102で特定されたスパッタ発生量が許容量であるかどうかを判断する(S103)。スパッタ発生量の許容量は、例えば、溶接対象の板厚又は溶接条件ごとに、裏波93の状態が良好となる場合との関係性を踏まえて予め定められる。ここで、制御演算部11は、スパッタ発生量が許容量であると判断した場合(YES)、裏波93の状態が「良好」であると判断する(S104)。一方、制御演算部11は、スパッタ発生量が許容量ではないと判断した場合(NO)、裏波93の状態が「不良」であると判断する(S105)。
特に、裏波93の状態が「不良」であると判断された場合(S105)、引き続き、制御演算部11は、スパッタ発生量計測工程S102で計測されたスパッタ発生量が許容量よりも多いかどうかを判断してもよい(S106)。ここで、制御演算部11は、スパッタ発生量が許容量よりも多いと判断した場合(YES)、撮影時での溶込み量について、溶込み過多であると判断してもよい(S107)。特に、溶接部92が溶込み過多となる場合には、溶け落ちが生じていると判断することもできる。一方、制御演算部11は、スパッタ発生量が許容量よりも多くない、すなわち、許容量よりも少ないと判断した場合(NO)、撮影時での溶込み量について、溶込み不足であると判断してもよい(S108)。特に、溶接部92が溶込み不足となる場合には、溶接出力が低下していると判断することもできる。
S104、S107及びS108の各判断の後、次に、制御演算部11は、引き続き別の撮影画像に基づく裏波93の状態の良否判断が必要かどうかを判断する(S109)。別の撮影画像とは、一連の溶接施工中の裏波撮影工程S100において、ここまでの裏波93の状態の良否判断の基とされた撮影画像の撮影時からある時間が経過した後の撮影で得られた撮影画像をいう。ここで、制御演算部11は、別の撮影画像に基づく裏波93の状態の良否判断が必要であると判断した場合(YES)、画像処理工程S101に戻る。一方、制御演算部11は、別の撮影画像に基づく裏波93の状態の良否判断が必要ではないと判断した場合(NO)、溶接状態判定工程の実行を終了する。別の撮影画像に基づく裏波93の状態の良否判断が必要ではない場合とは、例えば、溶接線WLの全域に渡る溶接施工が終了した場合である。
次に、溶接状態判定装置1及び溶接状態判定方法の効果について説明する。
本実施形態に係る溶接状態判定装置1及び溶接状態判定方法は、二つの部材又は部位が溶接されるときに適用され得る。本実施形態における上記例示では、第1部材90と第2部材91との二つの部材が溶接対象とされている。
このとき、溶接状態判定装置1は、広角レンズ10aを有し、溶接部92の裏側に設定される溶接線WLの全体を含む溶接部92の裏面を、広角レンズ10aを介して撮影する撮影装置10を備える。また、溶接状態判定装置1は、撮影装置10の撮影画像に基づいて溶接部92の状態の良否を判定する制御演算部11を備える。撮影装置10は、溶接線WLの延伸方向に対して溶接部92の裏面を撮影する方向が傾斜する姿勢に配置される。
また、溶接状態判定装置1は、広角レンズ10aを有し、広角レンズ10aを介して溶接部92の裏面を撮影する撮影装置10と、撮影装置10の撮影画像に基づいて溶接部92の状態の良否を判定する制御演算部11とを備える。撮影装置10は、溶接部92の裏側に設定される溶接線WLの全体が画角に収まる位置に配置される。
更に、溶接状態判定方法は、溶接部92の裏側に設定される溶接線WLの全体を含む溶接部92の裏面を、広角レンズ10aを介して溶接線WLの延伸方向に対して傾斜する方向から撮影する撮影工程を含む。また、溶接状態判定方法は、撮影工程での撮影画像に基づいて溶接部92の状態の良否を判定する工程を含む。
ここで、撮影装置10の撮影画像は、本実施形態における上記例示では、第1撮影画像IM1又は第2撮影画像IM2に相当する。撮影工程は、本実施形態における上記例示では、図4のフローチャートに示す裏波撮影工程S100に相当する。また、溶接部92の状態の良否を判定する工程は、本実施形態における上記例示では、図4のフローチャートに示すS103~S105に相当する。
まず、溶接部92の状態の良否を判定するに際して、溶接部92の裏面を撮影することで得られた撮影画像が参照される。そのため、例えば、二つの部材又は部位がレーザ溶接等による貫通溶接で接合されるときには、溶接施工時に生じた裏波93を直接撮影した撮影画像が参照されることになる。したがって、本実施形態によれば、裏波93を間接的に観察する場合に比べて、裏波93の状態をより精度良く把握することができる。
ここで、参照される撮影画像は、溶接線WLの延伸方向に対して溶接部92の裏面を撮影する方向が傾斜する姿勢に配置された撮影装置10が、広角レンズ10aを介して撮影したものである。そのため、図3A及び図3Bの例示のように、撮影装置10は、裏波93が生じる溶接部92の裏側からより離間させられるので、レーザ溶接等による貫通溶接の施工時に発生するスパッタ又はヒュームの影響を受けづらい。したがって、本実施形態によれば、撮影装置10におけるスパッタ又はヒュームへの対策の簡素化に有利となる。また、撮影装置10は、図3A及び図3Bの例示のように、撮影範囲Pに裏波93が生じ得る領域をすべて含めるように配置されることもできるので、常時、裏波93全体を含む撮影画像を取得することができる。したがって、本実施形態によれば、溶接施工の進行に伴って撮影装置10又は溶接対象の部材のいずれも移動させる必要がないので、溶接状態判定装置1又は溶接対象の保持機構等の構成を簡素化することができる。
また、撮影装置10は、溶接部92の裏側に設定される溶接線WLの全体が画角に収まる位置に配置されるように規定されてもよい。この規定によっても、裏波93が生じ得る領域がすべて撮影範囲Pに含まれることになるため、溶接状態判定装置1又は溶接機80の構成が簡素化される。また、撮影装置10は、広角レンズ10aを介して撮影することで、溶接線WLの延伸方向に対して溶接部92の裏面を撮影する方向が傾斜する姿勢に配置され得る。したがって、この規定によっても、撮影装置10を溶接部92の裏側からより離間させることができるので、撮影装置10におけるスパッタ又はヒュームへの対策の簡素化に有利となる。
このように、本実施形態によれば、溶接状態の判定を行う装置の簡素化に有利な溶接状態判定装置1及び溶接状態判定方法を提供することができる。
また、溶接状態判定装置1等では、制御演算部11は、撮影画像に基づいて、溶接線WLに沿って形成された裏波93の状態の良否を判断してもよい。
裏波93の状態の良否は、レーザ溶接等による貫通溶接の良否に直接的に関係する。したがって、この溶接状態判定装置1等によれば、裏波93の状態の良否を判断し、その結果として溶接状態の良否を判定するので、例えば、溶接状態の良否判定の簡易化、又は、溶接状態の良否判定の精度を向上させる点で有利となり得る。
更に、溶接状態判定装置1等では、制御演算部11は、撮影画像からスパッタ発生量を計測し、スパッタ発生量が予め規定された許容量であるかどうかに基づいて裏波93の状態の良否を判断してもよい。
レーザ溶接等による貫通溶接で発生するスパッタの発生量は、溶込み量、すなわち、溶接部92の状態に関係する。そのため、この溶接状態判定装置1によれば、裏波93の状態の良否を、スパッタ発生量から簡易的に判断することができる。また、上記例示したとおり、この場合、スパッタ発生量が許容量よりも多いか少ないかを判断することで(S106)、溶込み過多となっているか又は溶込み不足となっているかを簡易的に判断することができる。
ここで、上記の溶接状態判定が実施されている溶接施工中に、ある撮影タイミングで得られた撮影画像に関して裏波93の状態が不良であると判断された場合、制御演算部11は、その判断結果を溶接機80にリアルタイムで反映させることができる。例えば、制御演算部11は、一連の溶接施工中に、裏波93の状態の良否判断を時間の経過とともに繰り返し実行しているものとする。このとき、制御演算部11は、裏波93の状態が不良であるとの判断をしたとき(S105)、溶接機80に対して溶接施工を停止するように指示してもよい。また、制御演算部11は、溶込み量に関して、溶込み過多である又は溶込み不足であると判断したとき(S107又はS108)、溶接機80に対して溶込み量の状況に応じて溶接条件等を変更させるようなフィードバック制御を実行してもよい。
一方、本実施形態では、制御演算部11は、裏波93の状態の良否に係る判断結果を溶接機80にリアルタイムで反映させるのではなく、溶接施工が終了した後に、溶接部92全体に関する状態の良否を最終結果として出力部14から出力させてもよい。
図7は、裏波撮影工程S100において裏波93が撮影された時間tに対する、1画像当たりのスパッタ発生量[個]を示すグラフである。図7中、スパッタ発生量の許容量で規定される許容範囲ARが二点鎖線で囲まれる領域として示されている。図7に示すように、溶接施工中に順次撮影された撮影画像に基づいて計測されたスパッタ発生量がすべて許容範囲ARに含まれる場合、溶接部92全体に亘って裏波93の状態が良好であると考えられる。そして、操作者等は、図7に示すような最終結果を出力部14から認識することで、溶接部92全体に関する状態が良好であり、また、今回の溶接施工によって作製されたT継手の品質も良好であると判断することができる。
これに対して、図7に示す最終結果とは異なり、スパッタ発生量が許容範囲ARから外れた場合、溶接部92中で裏波93の状態が不良となる部位が発生したと考えられる。この場合、操作者等は、裏波93の状態が不良となっている部位が存在するという最終結果を出力部14から認識することで、今回の溶接施工によって作製されたT継手の品質を不良と判断することができる。また、上記のS106における判断によれば、スパッタ発生量が許容量よりも多いか少ないかによって、今回の溶接施工によって作製されたT継手の溶接部92に溶込み過多又は溶込み不足が生じているという最終結果を出力部14から認識することができる。
なお、上記説明では、溶接部92の範囲、すなわち、溶接部92の裏側に位置する溶接線WLの範囲が、第1部材90及び第2部材91のY方向の長さLの全体に設定されている場合を例示した。この場合、図3A及び図3Bに示すとおり、撮影装置10の一部又は全体は、X方向又はZ方向では第1部材90及び第2部材91のいずれとも対向しない。これに対して、溶接線WLの範囲は、第1部材90又は第2部材91のY方向の長さLの一部に設定されていてもよい。この場合、撮影装置10の一部又は全体が、X方向又はZ方向で第1部材90又は第2部材91と対向するように配置されることもあり得る。
(第2実施形態)
第1実施形態では、制御演算部11が、撮影画像に基づいて特定されたスパッタ発生量が許容量かどうかを判断することで、裏波93の状態の良否を判断した。これに対して、第2実施形態では、制御演算部11は、撮影画像に基づいて特定された高輝度領域のずれが許容範囲内かどうかを判断することで、裏波93の状態の良否を判断する。
図8は、第2実施形態に係る溶接状態判定方法としての溶接状態判定工程を示すフローチャートである。溶接状態判定工程は、図8に示すフローチャートに沿った一連の工程を含む、溶接状態判定装置1の制御プログラムとして、制御演算部11によって実行される。なお、本実施形態に係る溶接状態判定装置1の基本構成、及び、溶接対象は、第1実施形態におけるものと同一であるため、以下、各構成要素及び溶接対象には同一の符号を付し、詳細説明を省略する。
制御演算部11は、溶接機80による溶接施工の開始に併せて、溶接状態判定工程の実行を開始する。まず、制御演算部11は、裏波撮影工程S200を実行する。裏波撮影工程S200は、第1実施形態における図4中の裏波撮影工程S100と同一である。
次に、制御演算部11は、画像処理工程S201を実行する。画像処理工程S201では、制御演算部11は、まず、第1実施形態と同様に、記憶部12から撮影画像を取得し、撮影画像を二値化することで得られた処理画像から、裏波93が生じている領域としての第1高輝度領域94を抽出する。そして、制御演算部11は、抽出された第1高輝度領域94に楕円フィッティングを施し、得られた楕円96の中心97を特定する(図9A~図10B参照)。ここでの楕円フィッティングには、最小二乗法が採用されてもよい。
図9A及び図9Bは、裏波93の状態が良好であるときに撮影された撮影画像に基づいて得られる楕円96及び楕円96の中心97の例を示す図である。図9Aは、楕円96及び中心97と、基準線RLとを付加した第3撮影画像IM5を示す図である。図9Bは、第1高輝度領域94に適用された楕円96と楕円96の中心97とを得るために用いられる第3処理画像IM6を示す図である。
図10A及び図10Bは、裏波93の状態が不良であるときに撮影された撮影画像に基づいて得られる楕円96及び楕円96の中心97の例を示す図である。図10Aは、楕円96及び中心97と、基準線RLとを付加した第4撮影画像IM7を示す図である。図10Bは、第1高輝度領域94に適用された楕円96と楕円96の中心97とを得るために用いられる第4処理画像IM8を示す図である。
次に、制御演算部11は、高輝度領域ずれ計測工程S202を実行する。高輝度領域ずれ計測工程S202では、制御演算部11は、まず、画像処理工程S201にて処理画像から抽出された楕円96の中心97を、溶接施工時に裏波93が生じている領域としての高輝度領域の中心に相当すると認定する。また、制御演算部11は、高輝度領域のずれを計測するための基準となる基準線RLを決定する。本実施形態では、基準線RLとして、第1実施形態において説明した溶接線WLが採用される。そして、制御演算部11は、基準線RLからの高輝度領域の中心のずれを計測する。
次に、制御演算部11は、高輝度領域ずれ計測工程S202で特定された高輝度領域のずれが許容範囲内であるかどうかを判断する(S203)。高輝度領域ずれの許容範囲は、例えば、溶接対象の板厚又は溶接条件ごとに、裏波93の状態が良好となる場合との関係性を踏まえて予め定められる。ここで、制御演算部11は、高輝度領域ずれが許容範囲内であると判断した場合(YES)、裏波93の状態が「良好」であると判断する(S204)。図9Aの第3撮影画像IM5を参照するとわかるとおり、裏波93の状態が良好である場合、楕円96の中心97は、基準線RLに近い位置にある。一方、制御演算部11は、高輝度領域ずれが許容範囲内にないと判断した場合(NO)、裏波93の状態が「不良」であると判断する(S205)。図10Aの第4撮影画像IM7を参照するとわかるとおり、裏波93の状態が不良である場合、楕円96の中心97は、裏波93の状態が良好である場合に比べて、基準線RLから遠い位置にある。
S204及びS205の各判断の後、次に、制御演算部11は、第1実施形態における図4中のS109と同様に、引き続き別の撮影画像に基づく裏波93の状態の良否判断が必要かどうかを判断する(S206)。ここで、制御演算部11は、別の撮影画像に基づく裏波93の状態の良否判断が必要であると判断した場合(YES)、画像処理工程S201に戻る。一方、制御演算部11は、別の撮影画像に基づく裏波93の状態の良否判断が必要ではないと判断した場合(NO)、溶接状態判定工程の実行を終了する。
このように、制御演算部11は、撮影画像から裏波93が生じている領域としての高輝度領域のずれ量を計測し、ずれ量が予め規定された許容範囲内に含まれるかどうかに基づいて裏波93の状態の良否を判断してもよい。
この溶接状態判定装置1等によれば、裏波93の状態の良否を、高輝度領域のずれ量から簡易的に判断することができる。また、この場合、高輝度領域のずれ量が許容範囲内にないということは、溶接狙い位置が適正から外れている、すなわち狙い位置ずれが生じていることになるため、狙い位置ずれの発生を簡易的に検出することができる。
なお、第1実施形態と同様に、制御演算部11は、溶接施工が終了した後に、溶接部92全体に関する状態の良否を最終結果として出力部14から出力させてもよい。
図11は、裏波撮影工程S200において裏波93が撮影された時間tに対する、基準線RLと高輝度領域の中心とのずれを示すグラフである。図11中、高輝度領域ずれの許容範囲ARが二点鎖線で囲まれる領域として示されている。図11に示すように、溶接施工中に順次撮影された撮影画像に基づいて計測された高輝度領域のずれが、すべて許容範囲ARに含まれ、また、基準線RLを基準として対称に分布している場合、溶接部92全体に亘って裏波93の状態が良好であると考えられる。これに対して、高輝度領域ずれが許容範囲ARから外れたり、高輝度領域ずれの分布が基準線RLのプラス側又はマイナス側のいずれかに偏ったりする場合、溶接部92には狙いずれが生じており、裏波93の状態が不良となる部位が発生したと考えられる。
また、本実施形態に関する上記説明では、撮影画像に基づいて特定された高輝度領域のずれから裏波93の状態の良否が判断されるものとした。これに対して、輝度で表される領域に代えて、例えば、RGBのそれぞれの色の強度で表現される領域を特定し、そのRGB領域のずれから裏波93の状態の良否が判断されるものとしてもよい。
図12は、実際に貫通溶接により第1部材90と第2部材91とが接合されたときに生じた裏波93を撮影した写真と、第1実施形態及び第2実施形態における裏波93の状態の良否判断による結果とを比較した一例としての図である。裏波93は、第1部材90と第2部材91との境に沿って直線状に生じている。また、図12では、裏波93の実際の状態に基づいて視認により裏波の状態が良好と判断された部分に「裏波良好」と、一方、裏波の状態が不良と判断された部分に「裏波不良」と、それぞれ明示されている。
ここで、第1区間IV1は、溶接機80によってレーザ光Lsが照射される区間の裏側、つまり、溶接線WL上の裏波93が生じる区間に相当する。これに対して、第2区間IV2は、第1実施形態において、スパッタ発生量に基づいて裏波93の状態が良好であると判断された区間に相当する。一方、第3区間IV3は、第2実施形態において、高輝度領域ずれ又はRGB領域ずれに基づいて裏波93の状態が良好であると判断された区間に相当する。
図12に示すとおり、実施例として、第2区間IV2及び第3区間IV3の双方とも、実際に裏波の状態が良好な部分に含まれることが確認されている。
更に、第1実施形態及び第2実施形態では、溶接適用対象が、第1部材90の主平面に対して第2部材91の端面を互いに垂直となる状態で貫通溶接されるT継手である場合を例示した。しかし、溶接適用対象は、T継手のような溶接継手に限られるものではなく、例えば、二つの金属板の端面同士が互いに平行に突き合わせた状態で貫通溶接される突合せ継手であってもよい。
図13は、溶接適用対象が突合せ継手である場合に、溶接施工中に撮影装置10が裏波103を撮影している状態を示す斜視図である。この場合、溶接対象は、各々が金属板である第3部材100及び第4部材101である。溶接機80は、第3部材100の端面と第4部材101の端面とをX方向で突き合わせた状態で貫通溶接し、突合せ継手を作製する。このとき、第3部材100と第4部材101との接合部には、レーザ光Lsが照射されて溶接部102が形成される。同時に、レーザ光Lsの照射側とは反対側となる溶接部102の裏側には、溶接線WLに沿って裏波103が生じる。溶接適用対象が突合せ継手である場合であっても、撮影装置10は、第1実施形態において説明した配置条件に従って配置される。
なお、溶接適用対象は、T継手又は突合せ継手以外の溶接継手であってもよい。また、溶接対象に関しても、接合部に設定される溶接線WLの具体的形状は、直線状ではなく、曲線状であってもよい。
(第3実施形態)
第1実施形態及び第2実施形態では、制御演算部11が、撮影画像に二値化等の画像処理を施した上で、最終的にスパッタ発生量が許容量かどうかなどを判断することで、裏波93の状態の良否を判断した。これに対して、第3実施形態では、制御演算部11は、撮影画像から直接的に輝度を求め、当該輝度の変動量から裏波93の状態の良否を判断する。
図14は、第3実施形態に係る溶接状態判定方法としての溶接状態判定工程を示すフローチャートである。溶接状態判定工程は、図14に示すフローチャートに沿った一連の工程を含む、溶接状態判定装置1の制御プログラムとして、制御演算部11によって実行される。なお、本実施形態に係る溶接状態判定装置1の基本構成、及び、溶接対象は、第1実施形態におけるものと同一であるため、以下、各構成要素及び溶接対象には同一の符号を付し、詳細説明を省略する。
制御演算部11は、溶接機80による溶接施工の開始に併せて、溶接状態判定工程の実行を開始する。まず、制御演算部11は、裏面輝度観測工程S300を実行する。裏面輝度観測工程S300では、制御演算部11は、撮影装置10に溶接対象を撮影させる。このとき、撮影装置10の撮影範囲Pには、少なくとも溶接線WL全体が含まれる溶接部92の裏面が収まる点などは、第1実施形態と同様である。そして、制御演算部11は、撮影画像から、予め決めた所定の時間いわゆる平均化時間における予め決めた間隔で、裏波93が生じる裏面の輝度(明るさ)を観測する。
次に、制御演算部11は、輝度変動量算出工程S301を実行する。輝度変動量算出工程S301では、制御演算部11は、裏面輝度観測工程S300で観測された裏面輝度の観測値の平均値、標準偏差、又は、(標準偏差/平均値)で表される乱れ強度を指標として、裏面輝度の変動量を算出する。
次に、制御演算部11は、輝度変動量算出工程S301で特定された裏面輝度の変動量が許容範囲内であるかどうかを判断する(S302)。裏面輝度の変動量の許容範囲は、例えば、溶接対象の板厚又は溶接条件ごとに、裏波93の状態が良好となる場合との関係性を踏まえて予め定められる。ここで、制御演算部11は、裏面輝度の変動量が許容範囲内であると判断した場合(YES)、裏波93の状態が「良好」であると判断する(S303)。一方、制御演算部11は、裏面輝度の変動量が許容範囲内にないと判断した場合(NO)、裏波93の状態が「不良」であると判断する(S304)。そして、S303又はS204の各判断の後、制御演算部11は、溶接状態判定工程の実行を終了する。
このように、制御演算部11は、撮影画像から溶接部92の裏面の輝度の変動量を算出し、変動量が予め規定された許容範囲内に含まれるかどうかに基づいて裏波93の状態の良否を判断してもよい。
この溶接状態判定装置1等によれば、裏波93の状態の良否を、溶接部92の裏面の輝度の変動量から簡易的に判断することができる。
なお、本実施形態に関する上記説明では、裏波93の状態の良否を判断するに際して参照される輝度の変動量は、撮影画像から平均化時間における予め決めた間隔で観測された裏面の輝度に基づく。これに対して、輝度の変動量は、平均化時間における予め決めた間隔で観測された裏面の輝度に代えて、平均化時間と同程度の時間的長さである輝度の時刻歴観測データ(波形データ)を参照して取得されるものであってもよい。
又は、制御演算部11は、予め輝度の観測波形の取得と裏波の状態の良否判断とを併せた施工試験を実行させて蓄積したデータを人工知能に適用することで波形データを取得し、波形データを参照することで変動量を算出してもよい。
この溶接状態判定装置1等によれば、裏波93の状態の良否を、溶接部92の裏面の輝度の変動量から簡易的に判断するに際して、例えば、溶接状態判定に係る処理の高速化又は高精度化に有利となり得る。
(第4実施形態)
上記の各実施形態では、貫通溶接における溶接状態の良否を判定するために、裏波93の状態の良否が判断された。これに対して、第4実施形態では、溶接部92の裏側に裏波が表出しない部分溶込み溶接における溶接状態の良否を、溶接部92の裏面の輝度分布に基づく判断から判定する。
図15は、第4実施形態に係る溶接状態判定方法としての溶接状態判定工程を示すフローチャートである。溶接状態判定工程は、図15に示すフローチャートに沿った一連の工程を含む、溶接状態判定装置1の制御プログラムとして、制御演算部11によって実行される。なお、本実施形態に係る溶接状態判定装置1の基本構成、及び、溶接対象は、第1実施形態におけるものと同一であるため、以下、各構成要素及び溶接対象には同一の符号を付し、詳細説明を省略する。
制御演算部11は、溶接機80による溶接施工の開始に併せて、溶接状態判定工程の実行を開始する。まず、制御演算部11は、裏面輝度観測工程S400を実行する。裏面輝度観測工程S400では、制御演算部11が撮影装置10に溶接対象を撮影させる点は、第3実施形態と同様である。そして、制御演算部11は、撮影画像から、裏波93が生じる裏面の輝度を観測する。
次に、制御演算部11は、輝度分布算出工程S401を実行する。輝度分布算出工程S401では、制御演算部11は、裏面輝度観測工程S400で観測された裏面輝度の分布を算出する。
次に、制御演算部11は、輝度分布算出工程S401で特定された裏面輝度の分布に閾値を超えた領域があるかどうかを判断する(S402)。裏面輝度の分布は、例えば、幅、長さ又は面積により規定される。また、裏面輝度の分布の閾値は、例えば、溶接対象の材質、継手の種類又は溶込み深さ等の施工条件ごとに、部分溶込み溶接が良好となる場合との関係性を踏まえて予め定められる。ここで、制御演算部11は、裏面輝度の分布に閾値を超えた領域がないと判断した場合(NO)、部分溶込み溶接が「良好」であると判断する(S403)。一方、制御演算部11は、裏面輝度の分布に閾値を超えた領域があると判断した場合(YES)、部分溶込み溶接が「不良」であると判断する(S404)。そして、S403又はS404の各判断の後、制御演算部11は、溶接状態判定工程の実行を終了する。
このように、二つの部材又は部位は、部分溶込み溶接で互いに接合されてもよい。制御演算部11は、撮影画像に基づいて溶接部92の裏面の輝度分布を算出し、輝度分布に予め規定された閾値を超えた領域があるかどうかに基づいて部分溶込み溶接の良否を判断してもよい。
この溶接状態判定装置1等によれば、上記の各実施形態において例示した貫通溶接に限らず、二つの部材又は部位が部分溶込み溶接で互いに接合される場合でも、部分溶込み溶接の良否を判断するものとして適用されることができる。
なお、本実施形態に関する上記説明では、撮影画像に基づいて特定された裏面輝度の分布から部分溶込み溶接の良否が判断されるものとした。これに対して、輝度で表される分布に代えて、例えば、RGBのそれぞれの色の強度で表現される分布を特定し、そのRGB領域の分布から部分溶込み溶接の良否が判断されるものとしてもよい。
また、上記の各実施形態では、溶接機80がレーザ溶接方式又はレーザ・アークハイブリッド溶接方式を採用する場合を例示した。これに対して、溶接機80は、レーザ光を用いる上記の溶接方式を採用し得るのみならず、例えば、レーザ光を用いないアーク溶接に分類される各種の溶接方式を採用するものであってもよい。
いくつかの実施形態を説明したが、上記開示内容に基づいて実施形態の修正又は変形をすることが可能である。上記の実施形態のすべての構成要素、及び請求の範囲に記載されたすべての特徴は、それらが互いに矛盾しない限り、個々に抜き出して組み合わせてもよい。
1 溶接状態判定装置
10 撮影装置
10a 広角レンズ
11 制御演算部
90 第1部材
91 第2部材
92 溶接部
93 裏波
WL 溶接線

Claims (9)

  1. 広角レンズを有し、二つの部材又は部位が溶接されるときに、溶接部の裏側に設定される溶接線の全体を含む前記溶接部の裏面を、前記広角レンズを介して撮影する撮影装置と、
    前記撮影装置の撮影画像に基づいて前記溶接部の状態の良否を判定する制御演算部と、
    を備え、
    前記撮影装置は、前記溶接線の延伸方向に対して前記溶接部の裏面を撮影する方向が傾斜する姿勢に配置される、溶接状態判定装置。
  2. 広角レンズを有し、二つの部材又は部位が溶接されるときに、前記広角レンズを介して溶接部の裏面を撮影する撮影装置と、
    前記撮影装置の撮影画像に基づいて前記溶接部の状態の良否を判定する制御演算部と、
    を備え、
    前記撮影装置は、前記溶接部の裏側に設定される溶接線の全体が画角に収まる位置に配置される、溶接状態判定装置。
  3. 前記制御演算部は、前記撮影画像に基づいて、前記溶接線に沿って形成された裏波の状態の良否を判断する、請求項1又は2に記載の溶接状態判定装置。
  4. 前記制御演算部は、前記撮影画像からスパッタ発生量を計測し、前記スパッタ発生量が予め規定された許容量であるかどうかに基づいて前記裏波の状態の良否を判断する、請求項3に記載の溶接状態判定装置。
  5. 前記制御演算部は、前記撮影画像から前記裏波が生じている領域としての高輝度領域のずれ量を計測し、前記ずれ量が予め規定された許容範囲内に含まれるかどうかに基づいて前記裏波の状態の良否を判断する、請求項3に記載の溶接状態判定装置。
  6. 前記制御演算部は、前記撮影画像から前記溶接部の前記裏面の輝度の変動量を算出し、前記変動量が予め規定された許容範囲内に含まれるかどうかに基づいて前記裏波の状態の良否を判断する、請求項3に記載の溶接状態判定装置。
  7. 前記制御演算部は、予め前記輝度の観測波形の取得と前記裏波の状態の良否判断とを併せた施工試験を実行させて蓄積したデータを人工知能に適用することで波形データを取得し、当該波形データを参照することで前記変動量を算出する、請求項6に記載の溶接状態判定装置。
  8. 二つの前記部材又は前記部位は、部分溶込み溶接で互いに接合され、
    前記制御演算部は、前記撮影画像に基づいて前記溶接部の前記裏面の輝度分布を算出し、前記輝度分布に予め規定された閾値を超えた領域があるかどうかに基づいて前記部分溶込み溶接の良否を判断する、請求項1又は2に記載の溶接状態判定装置。
  9. 二つの部材又は部位が溶接されるときに、溶接部の裏側に設定される溶接線の全体を含む前記溶接部の裏面を、広角レンズを介して前記溶接線の延伸方向に対して傾斜する方向から撮影する撮影工程と、
    前記撮影工程での撮影画像に基づいて前記溶接部の状態の良否を判定する工程と、
    を含む、溶接状態判定方法。
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