JP5224061B2 - レーザ溶接品質評価方法及び装置 - Google Patents
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Description
これは、レーザ照射位置から反射されるレーザ光の反射光により溶融部及びその周辺を撮像し、この撮像した画像から把握される溶融部の形状的な特徴に基いて溶接品質を評価するという技術である。
請求項2に記載のレーザ溶接品質評価装置は、被溶接物への入射角が可変のレーザ光をその被溶接物に照射して行ったレーザ溶接の品質を評価する装置において、前記レーザ光の照射位置及びその周辺におけるレーザ反射光の分布情報を取得する反射光分布情報取得手段と、前記レーザ光の照射時の前記被溶接物に対する入射角情報を取得する入射角情報取得手段と、前記反射光分布情報取得手段からのレーザ反射光の分布情報を前記入射角情報取得手段からの入射角情報に対応付けて解析した結果と、予め取得しておいた複数種類の入射角情報に対応付けたレーザ反射光分布情報による解析結果群とに基づいて溶接の品質を判定する溶接品質判定手段とを具備することを特徴とする。
請求項3に記載のレーザ溶接品質評価装置は、請求項2に記載のレーザ溶接品質評価装置において、前記反射光分布情報取得手段は、前記レーザ光の照射位置及びその周辺におけるレーザ反射光画像を撮像する撮像デバイスと、この撮像デバイスで撮像されたレーザ反射光画像から前記レーザ光の照射位置及びその周辺におけるレーザ反射光の分布情報を算出する反射光分布情報演算手段とを備えてなり、前記入射角情報取得手段は、前記レーザ光の制御角度情報を入射角情報として取得し、前記溶接品質判定手段は、前記反射光分布情報演算手段からのレーザ反射光分布情報を前記入射角情報取得手段からの入射角情報に対応付けて解析した結果と、前記解析結果群とに基づいて溶接の品質を判定することを特徴とする。
請求項4に記載のレーザ溶接品質評価装置は、請求項3に記載のレーザ溶接品質評価装置において、前記反射光分布情報演算手段は、前記レーザ反射光画像から溶接方向についての輝度積算プロファイルを算出し、前記被溶接物における溶融部及びキーホールの状態によって前記輝度積算プロファイルに現われる複数の山部のピーク位置と裾幅、及びピークと裾との高低比を算出し、この算出結果を前記レーザ反射光分布情報として前記溶接品質判定手段に与えることを特徴とする。
レーザ溶接において、例えば、引け、溶け落ち等の現象が発生すると、キーホールの形成状態、例えば大きさ等が異なってくると共に、その周辺に形成される溶融金属の動きも大きく異なってくる。このような場合、レーザ光照射位置における一次反射及びその光を受けて反射する2次反射の状態が大きく変化する。このことから、レーザ光照射位置及びその周辺におけるレーザ反射光の分布情報(レーザ反射光分布情報)を算出し、解析することによって、多種の溶接現象を反映した溶接品質の評価ができることが分かる。
しかし、レーザ光の使用形態等によっては被溶接物に対するレーザ光入射角を変化させる場合があり、この場合は、同じ溶接品質であってもレーザ光入射角によってレーザ反射光分布情報に差異が生じる。したがって、レーザ反射光分布情報による溶接品質の評価がレーザ光入射角によって異なり、レーザ反射光分布情報に基づく溶接品質の評価に誤りが生じ得る。
図1は、本発明によるレーザ溶接品質評価装置(本発明方法を含む。)の第1実施形態の構成図である。
この図において、1はレーザトーチであり、このレーザトーチ1内には、レーザ発振器2から光ファイバ3を通して送られたレーザ光Aを溶接用熱源として被溶接物Wへ向けて照射するための光学系が内蔵されている。
被溶接物Wは、ここでは相互に重ね合された2枚の鋼板W1、W2からなり、レーザ溶接に際しては、レーザトーチ1から出射されるレーザ光Aが上側の鋼板W1上に予め決められた大きさのパターンとなるように照射され、この状態で、レーザトーチ1が被溶接物Wに対して溶接方向Fへ移動される。なお、レーザトーチ1の位置を固定して被溶接物Wを移動させてもよい。
図中、6は、上記溶融金属の凝固跡である溶接ビードを示しており、被溶接物Wである2枚の鋼板W1、W2は、この溶接ビード6を介して相互に重ね溶接される。なお、レーザ光Aとしては、溶接用のYAGレーザ光、炭酸ガスレーザ光等の高出力レーザ光が用いられる。
ここで、レーザ光照射位置を中心とする一定領域に生じる光には、プルームあるいはプラズマと称される金属の蒸気発光成分、レーザ光A自身の反射光、及び溶融金属の熱放射光が含まれる。このためレーザ反射光Bは、レーザ光Aの波長(例えば1064nm)だけを透過させる干渉フィルタからなる光学フィルタ7を通してCCDカメラ8で受光される。
一般的なCCDカメラ8は赤外領域の感度が著しく低いが、レーザ反射光Bのエネルギが極めて高いため、上記干渉フィルタに減衰フィルタも加えて光学フィルタ7とすることが望ましい。
CCDカメラ8は、このような光学フィルタ7を透過したレーザ反射光Bによりレーザ光照射位置及びその周辺の画像(レーザ反射光画像)を撮像する撮像デバイスである。レーザ光照射位置及びその周辺のレーザ反射光画像を撮像できれば、CCDカメラ8以外の撮像デバイスを用いてもよい。
なお、レーザ反射光分布情報は、レーザ反射光画像の単なる画素分布のみならず、各画素位置における輝度(レーザ反射光の強度)を含む情報であることは勿論である。
また、この第1実施形態において、反射光分布情報演算回路9は、レーザ反射光画像から溶接方向Fの輝度積算値の分布を示す輝度積算プロファイルを算出し、その算出結果をレーザ反射光分布情報として後述する溶接品質判定回路13に与えるように構成されている。
また、図2に示すように遠方からレーザ光Aをスキャンして溶接する工法もある。この場合、レーザトーチ1は、図2に示すように溶接ロボット21に搭載され、被溶接物Wへのレーザ光入射角が可変とされている。図2において、(a)はレーザ光Aを溶接方向Fの前進側に傾斜させる前進角設定、(b)は同じく後退側に傾斜させる後退角設定、(c)はレーザ光Aを溶接方向Fに交差する側に傾斜させるトーチ角設定の場合を示している。
いずれの場合も、図1に示す入射角情報取得回路11はレーザ溶接時におけるレーザ光入射角(入射角情報)を取得するように構成されている。
この入射角情報取得回路11は、例えばレーザトーチ1の角度制御部12におけるレーザ光Aの制御角度情報、具体的にはレーザ光Aを走査するミラー等の制御角度情報を入射角情報として取得するように構成されている。
図3にその代表例を示す。なお図3は、明瞭化を図るため、画像を模式図で示している。後掲図4においても、画像については全て模式図で示している。
図3は、焦点距離を600mmとしたリモート溶接の前進角(図2(a)参照)を変えた場合のレーザ反射光画像の例である。この図3には、レーザ光入射角の違いによってレーザ反射光画像に差異が生じる様子が示されており、レーザ光入射角に応じた解析が必要であることが分かる。図3では、面直状態から5°ステップで20°までレーザ光入射角を変えた場合のレーザ反射光画像を示しているが、その間の角度におけるレーザ反射光画像は、相関的に変化する。
なお、後述する溶接の良否判定時において、図3中の「正常」及び「許容引け」の画像は溶接良と判定される例を、「過剰引け」、「穴あき」及び「分離ビード」の画像は溶接不良と判定される例を示す。「許容引け」の画像も溶接不良と判定されるように設定してもよい。
上記解析結果群は、所定の角度ステップ、ここでは5°ステップで変化させたレーザ光入射角毎に取得されたレーザ反射光分布情報について各々解析した結果(データ群)である。つまり、ある入射角情報におけるレーザ反射光分布情報について、溶接が正常か、あるいは引け、穴あき、分離ビード等の不良が生じているか等の品質評価を行う基となるデータの集合(溶接品質解析用データ群)である。この第1実施形態では、入射角情報毎の輝度積算プロファイル、及びその輝度積算プロファイルにおける品質判定結果を示すデータ群である。
溶接品質判定回路13は、判定結果を記憶装置14に記録させると共にディスプレイ15に表示させ、必要に応じてプリンタで印刷させる構成をも有している。
この第1実施形態では、溶接品質とレーザ反射光分布情報との相関を現す特徴量として、輝度積算プロファイルを用いる。具体的には、図4において、対応するレーザ反射光画像と共に示す、溶接方向Fの輝度積算プロファイルに現われる複数の山部のピーク位置と裾幅、及びピークと裾との高低比つまり輝度比(レーザ反射光強度比)を用いる。このような特徴量は、溶接品質に応じて輝度積算プロファイルに以下のように現われる。
なお、図4中の溶接方向に長い四角形で示す領域41は、反射光分布情報演算回路9において輝度積算プロファイルを算出するレーザ反射光画像上の領域の一例を示す。この領域41は溶接品質とレーザ反射光分布情報との相関を最も現す範囲が望ましい。
すなわち、レーザ光Aが被溶接物Wに照射され(ステップ501)、溶接が開始されると、CCDカメラ8はレーザ反射光画像を撮像し、入射角情報取得回路11はその際のレーザ光入射角(入射角情報)を取得する(ステップ502)。
溶接品質判定回路13は、算出された輝度積算プロファイルと入射角情報取得回路11で取得された入射角情報を受け、これを予め記憶装置14に記録しておいた解析結果群中の解析結果と照合し、現在行われているレーザ溶接の品質及び良否を例えば次のように判定する。
そして、この照合を経て現在の入射角情報と同じ入射角情報に対応する解析結果群中の多数の輝度積算プロファイルから、現在の入射角情報で取得し算出された輝度積算プロファイル(現在の輝度積算プロファイル)に近似ないし合致する輝度積算プロファイル、つまり適合プロファイルを検索する(ステップ505)。
適合プロファイルが解析結果群中から検索されると、その適合プロファイルに基づいて溶接の品質及び良否を判定する(ステップ506)。
ステップ507では、判定結果を記憶装置14に記録すると共にディスプレイ15に表示し、その後、レーザ溶接の品質評価を終了する。
すなわち、解析結果群中の各輝度積算プロファイルに予め判定結果(溶接の品質及び良否)を対応付けておき、特定の輝度積算プロファイルが適合プロファイルとして検索された際に、その輝度積算プロファイルに対応付けられた上記判定結果を読み出すことで行う。あるいは、現在の輝度積算プロファイルを、適宜設定されたしきい値を用いて上記適合プロファイルと比較することにより、溶接の品質及び良否の判定を行うようにしてもよい。
特にこの第1実施形態では、レーザ反射光画像により溶接方向の輝度積算プロファイルを算出し、この輝度積算プロファイルに現われる複数の山部のピーク位置と裾幅、及びピークと裾との高低比を算出する。そして、この算出結果を溶接品質との相関を現す特徴量として用いるようにしたので、溶接の品質及び良否を高い精度で判定できる。
第2実施形態は、上述第1実施形態において、予め記録してあるレーザ反射光分布情報による解析結果群をより活用するために、ニューラルネットワークを適用するものである。
ここでは、ニューラルネットワークにおいて、事前の複数の溶接時のレーザ反射光画像による輝度積算プロファイルから、各々、
・前、後方両端のピーク間のピークの有無、
・前方のピークと後方のピークとの距離、
・前方のピークに対する後方のピークの裾幅の比、
・前方のピークに対する後方ピークの高低(強度)比、
及び溶接時における、
・レーザ光入射角、
を入力層として取得する。
そして、この際の溶接品質を教師データ、例えば、正常:1、許容引け:2、過剰引け:3、穴あき:4、分離ビード:5、として学習し、溶接品質に応じた上記数値1〜5のいずれかを出力するように中間層と出力層を構成する。
そして、このように構成されたニューラルネットワークに、実際の溶接時に反射光分布情報演算回路及び入射角情報取得回路で得られた、溶接品質が未知の情報が入力された場合に、自動的にその溶接品質に応じた上記数値1〜5のいずれかが出力される。そして、この出力値によって溶接品質を評価するという解析形態である。
すなわち、このような場合は、連続溶接時のレーザ反射光画像を、ある溶接打点毎(一定のレーザ入射角毎)に溶接品質に応じて取得する。そして、そのレーザ反射光画像の溶接方向の輝度積算プロファイルを形状的な特徴に変換し、これを上述第1実施形態におけるレーザ反射光分布情報による解析結果と同様に記録、つまり解析結果として記録しておく。そして、その記録された解析結果群を用い、上述第1実施形態と同様に溶接品質の評価を行うという方法である。
このようなレーザ溶接品質評価方法によれば、レーザ入射角情報が得難い場合であっても、連続して取得されるレーザ反射光画像について、各輝度積算プロファイルで得られる形状的な特徴から、該当する溶接品質を的確に識別、すなわちレーザ溶接の品質評価を的確に行うことができる。
Claims (4)
- 被溶接物への入射角が可変のレーザ光をその被溶接物に照射して行ったレーザ溶接の品質を評価する方法において、
前記レーザ光の照射位置及びその周辺におけるレーザ反射光の分布情報を取得すると共に、このレーザ照射時の前記レーザ光の被溶接物に対する入射角情報を取得し、
前記レーザ反射光の分布情報を前記入射角情報に対応付けて解析した結果と、予め取得しておいた複数種類の入射角情報に対応付けたレーザ反射光分布情報による解析結果群とに基づいて溶接の品質を判定することを特徴とするレーザ溶接品質評価方法。 - 被溶接物への入射角が可変のレーザ光をその被溶接物に照射して行ったレーザ溶接の品質を評価する装置において、
前記レーザ光の照射位置及びその周辺におけるレーザ反射光の分布情報を取得する反射光分布情報取得手段と、
前記レーザ光の照射時の前記被溶接物に対する入射角情報を取得する入射角情報取得手段と、
前記反射光分布情報取得手段からのレーザ反射光の分布情報を前記入射角情報取得手段からの入射角情報に対応付けて解析した結果と、予め取得しておいた複数種類の入射角情報に対応付けたレーザ反射光分布情報による解析結果群とに基づいて溶接の品質を判定する溶接品質判定手段とを具備することを特徴とするレーザ溶接品質評価装置。 - 前記反射光分布情報取得手段は、前記レーザ光の照射位置及びその周辺におけるレーザ反射光画像を撮像する撮像デバイスと、この撮像デバイスで撮像されたレーザ反射光画像から前記レーザ光の照射位置及びその周辺におけるレーザ反射光の分布情報を算出する反射光分布情報演算手段とを備えてなり、
前記入射角情報取得手段は、前記レーザ光の制御角度情報を入射角情報として取得し、
前記溶接品質判定手段は、前記反射光分布情報演算手段からのレーザ反射光分布情報を前記入射角情報取得手段からの入射角情報に対応付けて解析した結果と、前記解析結果群とに基づいて溶接の品質を判定することを特徴とする請求項2に記載のレーザ溶接品質評価装置。 - 前記反射光分布情報演算手段は、前記レーザ反射光画像から溶接方向についての輝度積算プロファイルを算出し、前記被溶接物における溶融部及びキーホールの状態によって前記輝度積算プロファイルに現われる複数の山部のピーク位置と裾幅、及びピークと裾との高低比を算出し、この算出結果を前記レーザ反射光分布情報として前記溶接品質判定手段に与えることを特徴とする請求項3に記載のレーザ溶接品質評価装置。
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