JP2023104057A - 色変換組成物、色変換シートならびにそれを含む光源ユニット、ディスプレイおよび照明装置 - Google Patents

色変換組成物、色変換シートならびにそれを含む光源ユニット、ディスプレイおよび照明装置 Download PDF

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泰宜 市橋
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Abstract

【課題】液晶ディスプレイ等のディスプレイやLED照明等の照明装置に用いられる色変換材料として好適な有機発光材料を用いた色変換組成物を提供し、高い色再現性と高い耐久性とを両立させる。【解決手段】入射光を、その入射光とは異なる波長の光に変換する色変換組成物であって、下記一般式で表される化合物およびバインダー樹脂を含む。TIFF2023104057000061.tif66170【選択図】なし

Description

本発明は、色変換組成物、色変換シート、ならびにそれを含む光源ユニット、ディスプレイおよび照明装置に関する。
色変換方式によるマルチカラー化技術は液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、照明などへの応用が盛んに検討されている。色変換とは、発光体からの発光をより長波長な光へと変換することであり、たとえば青色発光を緑色や赤色発光へと変換することを表す。この色変換機能を有する組成物(以下、「色変換組成物」という)をシート化し、例えば青色光源と組み合わせることにより、青色光源から、青、緑、赤色の3原色を取り出すこと、すなわち白色光を取り出すことが可能となる。
このような青色光源と色変換機能を有するシート(以下、「色変換シート」という)とを組み合わせた白色光源を光源ユニットとし、液晶駆動部分と、カラーフィルターと組み合わせることで、フルカラーディスプレイの作製が可能になる。また青色光源と色変換シートを組み合わせた白色光源は、そのままLED照明などの白色光源として用いることができる。
液晶ディスプレイの課題として、色再現性と耐久性の向上が挙げられる。色再現性の向上には、光源ユニットの青、緑、赤の各発光スペクトルの半値幅を狭くし、青、緑、赤各色の色純度を高めることが有効である。これを解決する手段として、例えば、ピロメテン化合物を含有する色変換材料が提案されている(例えば、特許文献1~2参照)。
また、同様に高色純度の発光を得るという観点で、ホウ素原子と窒素原子を有する多環芳香族化合物(例えば、特許文献3参照)が提案されている。
国際公開第2018/101129号 国際公開第2019/146332号 国際公開第2015/102118号
しかし、特許文献1~3に記載されている有機発光材料を用いて色変換組成物を作製しても、色再現性および耐久性の向上という観点では未だ不十分であった。特に、高色純度の発光と耐久性を両立できる技術が不十分であった。
そこで本発明の目的は、液晶ディスプレイ等のディスプレイやLED照明等の照明装置に用いられる色変換材料として好適な有機発光材料を用いた色変換組成物を提供し、高い色再現性と高い耐久性とを両立させることである。
すなわち本発明は、入射光を、その入射光とは異なる波長の光に変換する色変換組成物であって、一般式(1)で表される化合物およびバインダー樹脂を含むことを特徴とする色変換組成物である。
Figure 2023104057000001
一般式(1)中、環a、環b、環cおよび環dは、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環である。これらの環は置換基を有していてもよい。
は、N-R、O、S、CRまたはSiRであり、Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アリール基またはヘテロアリール基であり、R~Rは、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基である。これらの基はさらに置換基を有していてもよい。Ra~Reは、単結合、連結基を介して、環aまたは環dと結合していてもよい。
は、N-Rj、O、S、CRまたはSiRであり、Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アリール基またはヘテロアリール基であり、R~Rは、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基である。これらの基はさらに置換基を有していてもよい。Rj~Rnは、単結合または連結基を介して、環aまたは環bと結合していてもよい。
Yは、O、SまたはC(CN)である。
nは0または1であり、nが0の場合は環aと環dとがXで架橋されていないことを表し、このとき環aおよび環dのXによる架橋位置には水素原子または置換基が存在する。
本発明は、高い色再現性と高い耐久性とを両立させ得る色変換組成物を提供できるという効果を奏する
図1は、本発明の実施形態に係る色変換シートの第一例を示す模式断面図である。 図2は、本発明の実施形態に係る色変換シートの第二例を示す模式断面図である。 図3は、本発明の実施形態に係る色変換シートの第三例を示す模式断面図である。 図4は、本発明の実施形態に係る色変換シートの第四例を示す模式断面図である。
以下、本発明に係る色変換組成物、色変換シート、光源ユニット、ディスプレイおよび照明装置の好適な実施形態を具体的に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、目的や用途に応じて種々に変更して実施することができる。
<色変換組成物>
本発明の実施形態に係る色変換組成物は、色変換シートなどを構成する色変換組成物である。この色変換組成物は、下記の一般式(1)で表される化合物およびバインダー樹脂を含む。
Figure 2023104057000002
一般式(1)中、環a、環b、環cおよび環dは、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環である。これらの環は置換基を有していてもよい。
は、N-R、O、S、CRまたはSiRであり、Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アリール基またはヘテロアリール基であり、R~Rは、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基である。これらの基はさらに置換基を有していてもよい。R~Rは、単結合または連結基を介して、環aまたは環dと結合していてもよい。
は、N-Rj、O、S、CRまたはSiRであり、Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アリール基またはヘテロアリール基であり、R~Rは、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基である。これらの基はさらに置換基を有していてもよい。Rj~Rnは、単結合または連結基を介して、環aまたは環bと結合していてもよい。
Yは、O、SまたはC(CN)である。
nは0または1であり、nが0の場合は環aと環dとがXで架橋されていないことを表し、このとき環aおよび環dのXによる架橋位置には水素原子または置換基が存在する。
上記の全ての基において、水素は重水素であってもよい。また、置換される場合における置換基としては、ハロゲン、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、エステル基、アミド基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、ホスフィンオキシド基、アシル基、スルホニル基、スルホン酸エステル基またはスルホンアミド基であり、これらの置換基はさらに上述の置換基で置換されていてもよい。これらは、以下に説明する化合物またはその部分構造においても、特に断りのない限り同様である。また、以下に記載する各基の説明は、本明細書の以下の説明の全てにおいて共通する。
環a~dにおけるアリール環とは、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環、ピレン環といった芳香族炭化水素環を示し、通常、炭素数が6~30のアリール環が好ましく用いられる。ここで炭素数が6~30のアリール環とは、アリール環に結合した置換基に含まれる炭素数も含めて全ての炭素数が6~30となるアリール環である。これは以下の、ヘテロアリール環や置換基の説明においても、同様である。
炭素数が6~30のアリール環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、ジベンゾフルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環、ピレン環、ペリレン環、フルオランテン環、クリセン環およびベンゾアントラセン環が好ましい。適切な青色または緑色発光を得るという観点では、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、フェナントレン環およびフルオランテン環がより好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環およびフルオレン環がさらに好ましい。
環a~dにおけるヘテロアリール環とは、例えば、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ピリジン環といった、炭素以外の原子を一個または複数個環内に有する環状芳香族基を示し、通常、炭素数が4~30のヘテロアリール環が好ましく用いられる。
炭素数が4~30のヘテロアリール環としては、例えば、ピリジン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、キノリン環、イソキノリン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ナフチリジン環、フタラジン環、キノキサリン環、キナゾリン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、カルバゾール環、ベンゾカルバゾール環、カルボリン環、インドロカルバゾール環、ベンゾフラノカルバゾール環、ベンゾチオフェノカルバゾール環、ジヒドロインデノカルバゾール環、ベンゾキノリン環、アクリジン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環およびフェナントロリン環が好ましい。適切な青色または緑色発光を得るという観点では、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、キナゾリン環、ベンゾキノリン環、フェナントロリン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環インドロカルバゾール環、ベンゾフラノカルバゾール環、ベンゾチオフェノカルバゾール環およびジヒドロインデノカルバゾール環がさらに好ましい。加えて、酸化耐性を付与し、耐久性向上に寄与するという観点では、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、キナゾリン環、ベンゾキノリン環およびフェナントロリン環が最も好ましい。
アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等の飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。また、アルキル基の炭素数は、特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、好ましくは1以上20以下、より好ましくは1以上8以下の範囲である。
シクロアルキル基とは、例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等の飽和脂環式炭化水素基を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。シクロアルキル基部分の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、3以上20以下の範囲である。
複素環基とは、例えば、ピラン環、ピペリジン環、環状アミド等の炭素以外の原子を環内に有する脂肪族環を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。複素環基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、2以上20以下の範囲である。
アリール基とは、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ベンゾフェナントリル基、ベンゾアントラセニル基、クリセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ベンゾフルオランテニル基、ジベンゾアントラセニル基、ペリレニル基、ヘリセニル基等の芳香族炭化水素基を示す。中でも、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基が好ましい。アリール基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリール基が置換基を有する場合、置換基同士が環状構造を形成してもよい。置換基同士が環状構造を形成したアリール基としては、例えば、スピロフルオレニル基などが挙げられる。アリール基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは6以上100以下、より好ましくは6以上50以下、より好ましくは6以上30以下の範囲である。置換基も含めたアリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基およびナフチル基がより好ましい。アリール基としては、特に好ましくは、フェニル基である。
ヘテロアリール基とは、例えば、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、ナフチリジニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、カルボリニル基、インドロカルバゾリル基、ベンゾフロカルバゾリル基、ベンゾチエノカルバゾリル基、ジヒドロインデノカルバゾリル基、ベンゾキノリニル基、アクリジニル基、ジベンゾアクリジニル基、ベンゾイミダゾリル基、イミダゾピリジル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェナントロリニル基等の、炭素以外の原子を一個または複数個環内に有する環状芳香族基を示す。ただし、ナフチリジニル基とは、1,5-ナフチリジニル基、1,6-ナフチリジニル基、1,7-ナフチリジニル基、1,8-ナフチリジニル基、2,6-ナフチリジニル基、2,7-ナフチリジニル基のいずれかを示す。ヘテロアリール基は、置換基を有していても有していなくてもよい。ヘテロアリール基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、2以上40以下、より好ましくは2以上30以下の範囲である。置換基も含めたヘテロアリール基としては、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基、ピリミジル基、トリアジニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルバゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、イミダゾピリジル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基およびフェナントロリニル基が好ましく、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基がより好ましい。ヘテロアリール基としては、特に好ましくは、ピリジル基である。
適切な青色または緑色発光を得るという観点に加え、バインダー樹脂や溶媒への溶解性が良好である観点や、合成が容易で原料入手しやすいという観点から、一般式(1)で表される化合物は、一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2023104057000003
一般式(2)中、R~R12は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、-COOR、-OOCR、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、ホスフィンオキシド基、アシル基、スルホニル基、-SOまたは-OONRの中から選ばれる。R~Rはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基である。これらの基はさらに置換基を有していてもよい。またR~R11のうち互いに隣接する基は結合して飽和または不飽和の環を形成してもよい。X、X、Yおよびnは一般式(1)における説明と同義である。
ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選ばれる原子を示す。
アルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリル基、ブタジエニル基等の二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。アルケニル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、2以上20以下の範囲である。
シクロアルケニル基とは、例えば、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基等の二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。シクロアルケニル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは3以上20以下の範囲である。
アルキニル基とは、例えば、エチニル基等の三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。アルキニル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、2以上20以下の範囲である。
アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のエーテル結合を介して脂肪族炭化水素基が結合した官能基を示し、この脂肪族炭化水素基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アルコキシ基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、1以上20以下の範囲である。
アルキルチオ基とは、アルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アルキルチオ基の炭化水素基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アルキルチオ基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、1以上20以下の範囲である。
アリールエーテル基とは、例えば、フェノキシ基等、エーテル結合を介した芳香族炭化水素基が結合した官能基を示し、芳香族炭化水素基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリールエーテル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、6以上40以下の範囲である。
アリールチオエーテル基とは、アリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アリールチオエーテル基における芳香族炭化水素基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリールチオエーテル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、6以上40以下の範囲である。
-COORおよび-OOCRはエステル構造を有する基である。以下、これらの構造を「エステル基」と称する。
アミノ基とは、置換もしくは無置換のアミノ基である。置換する場合の置換基としては、例えば、アリール基、ヘテロアリール基、直鎖アルキル基、分岐アルキル基が挙げられる。アリール基、ヘテロアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、キノリニル基が好ましい。これらの置換基は、さらに置換されてもよい。炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、2以上50以下、より好ましくは6以上40以下、特に好ましくは6以上30以下の範囲である。
シリル基とは、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基等のアルキルシリル基や、フェニルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基、トリナフチルシリル基等のアリールシリル基を示す。ケイ素上の置換基は、さらに置換されてもよい。シリル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、1以上30以下の範囲である。
シロキサニル基とは、例えば、トリメチルシロキサニル基等のエーテル結合を介したケイ素化合物基を示す。ケイ素上の置換基は、さらに置換されてもよい。シロキサニル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、1以上30以下の範囲である。
ボリル基とは、置換もしくは無置換のボリル基である。置換する場合の置換基としては、例えば、アリール基、ヘテロアリール基、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、アリールエーテル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基が挙げられる。中でも、アリール基、アリールエーテル基が好ましい。ボリル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、1以上30以下の範囲である。

ホスフィンオキシド基とは、-P(=O)R1314で表される基である。ホスフィンオキシド基のR13およびR14は、それぞれ独立して置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、または置換もしくは無置換のアルキル基である。ホスフィンオキシド基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、1以上30以下の範囲である。
アシル基とは、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基等の置換基がカルボニル結合を介して結合した官能基を示し、この置換基は、さらに置換されていてもよい。アシル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、1以上20以下の範囲である。より具体的には、アシル基として、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、アクリリル基等が挙げられる。
スルホニル基とは、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基等の置換基が-S(=O)-結合を介して結合した官能基を示し、この置換基は、さらに置換されていてもよい。スルホニル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、1以上30以下の範囲である。
一般式(1)または(2)で表される化合物は、その発光スペクトルにおいて、従来、蛍光発光材料として知られているピロメテン骨格を有する化合物や、例えば特許文献3で開示されているホウ素原子と窒素原子とを有する多環芳香族化合物と同等の、狭い半値幅を有しており、高色純度の発光を示すことが知られている。加えて、それらの材料よりも深いHOMO(Highest occupied molecular orbital)軌道のエネルギー準位(以下HOMO準位)を有しているため、励起光照射時において通常の酸素による酸化劣化を受けにくい化合物である。そのため、ピロメテン骨格を有する化合物や、特許文献3で開示されているホウ素原子と窒素原子を有する多環芳香族化合物に比べ、耐久性が大幅に向上する。
また、一般式(1)または(2)で表される化合物は、「c.Optical Materials」、2019年、vol.7、p.1801536に記載されているように、遅延蛍光を放出することが知られている。
通常、蛍光発光は発光材料が光励起された後に生成する一重項励起(S1)状態から放出されるが、S1状態の一部は系間交差により三重項励起(T1)状態となる。このT1状態の励起エネルギーは、酸素が存在する環境下であれば酸素に移動し、活性種である一重項酸素を発生させてしまう。この結果、活性種である一重項酸素が発光材料と反応し、発光材料の劣化を促進することになる。
しかし一般式(1)または(2)で表される化合物は、S1状態とT1状態がエネルギー的に近接している。すなわちこれらの化合物はS1状態のエネルギーとT1状態のエネルギーの差(ΔEST)が小さいため、室温程度の熱エネルギーでも系間交差で生じたT1状態が速やかにS1状態に変換され遅延蛍光を放出する特性を有する。よってT1状態から酸素へのエネルギー移動を抑え、発光材料劣化の一因である一重項酸素の発生を抑えることが可能となり、耐久性が向上する。
以上のように、通常の酸素による光酸化を抑制すること、および一重項酸素の発生を抑制することという二つの観点により、一般式(1)または(2)で表される化合物は従来の発光材料に比べて耐久性が大幅に向上し、かつ高色純度の発光が可能となる。特に、後述する色変換シートは、通常は大気中で使用されることから、化合物の通常の酸素による光酸化耐性を向上させることと一重項酸素の発生抑制することは、色変換シートの耐久性を向上させるために特に好ましい。
特に、化合物(1)または化合物(2)は架橋構造C=YおよびXを含む環の架橋によりΔESTがより小さくなり、T1状態からS1状態への変換効率も向上し、一重項酸素の発生をより抑えることができるため、耐久性がさらに向上する。
化合物の発光波長を長波長化させる(以下、単に「長波長化」という)効果や、ΔESTをより低減する効果、および発光スペクトルの半値幅を小さくする効果をより高める観点から、YはOであることが好ましい。
また、長波長化の効果により、より緑色発光を得やすくなる観点から、XはN-Rであることが好ましい。Rは、長波長化による緑色発光の観点からは、アルケニル基、イミノ基、アリール基、ヘテロアリール基がより好ましく、アルケニル基、イミノ基、アリール基がさらに好ましい。また、Rが単結合または連結基を介してRまたはRと連結する構造も好ましい。上述した長波長化の効果が大きくなるからである。その場合の連結基は、-O-、-S-、>CR1314、>SiR1516、>C=Oまたは>C=Sであり、R13~R16は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基であり、それらはさらに置換基を有していてもよい。
nに関しては、化合物の溶媒への相溶性を向上し、凝集を防ぐことで耐久性を向上させる観点から、n=0であることが好ましい。
本発明の実施形態に係る色変換組成物は通常、液晶ディスプレイ用バックライト、あるいはLED照明の色変換シートとして用いることができる。励起光源が紫外光である場合、一般式(1)または(2)で表される化合物は、紫外光により励起され、青色発光を放出することが好ましい。好ましい青色発光波長としては発光スペクトルのピーク波長が450~470nmであり、より好ましくは450~465nmである。
また励起光源が青色光である場合、一般式(1)または(2)で表される化合物は青色光により励起され緑色発光を放出することが好ましい。緑色発光波長としては、発光スペクトルのピーク波長が500~580nmであることが好ましく、より好ましくは500~555nmであり、さらに好ましくは510~550nmである。スペクトルの半値幅については、50nm以下が好ましく、より好ましくは40nm以下であり、さらに好ましくは30nm以下が好ましい。スペクトルの半値幅が狭いほど、化合物が高色純度の発光を示し、それによりディスプレイの色再現性を高めることができることを示す。
「Advanced.Optical Materials」、2016年、vol.28、p.2777-2781に記載されているような化合物は青色発光を放出することが知られている。このような化合物を緑色発光させる手段としては、電子求引基を導入し、LUMO(Lowest unoccupied molecular orbital)軌道のエネルギー準位(以下LUMO準位)を安定化させることが有効である。
一般式(2)で表される化合物の1つの実施態様(第1の実施態様)として、適切な緑色発光を得るという観点から、一般式(2)におけるR、R、RおよびR11の少なくとも一つが電子求引基であることが好ましい。この場合、一般式(2)で表される化合物が有するHOMO準位とLUMO準位はどちらも深くなる方向にシフトするが、LUMO準位のシフト量を、HOMO準位のシフト量より大きくすることができる。すなわち、HOMO準位とLUMO準位のエネルギーギャップを小さくすることが可能であり、結果的に、発光波長が長波長化し緑色発光が得られる。合成しやすさの観点から、Rが電子求引基であることがより好ましい。
電子求引基とは、電子受容性基とも呼称し、有機電子論において、誘起効果や共鳴効果により、置換した原子団から、電子を引き付ける原子団である。電子求引基としては、ハメット則の置換基定数(σp(パラ))として、正の値をとるものが挙げられる。ハメット則の置換基定数(σp(パラ))は、化学便覧基礎編改訂5版(II-380頁)から引用することができる。なお、フェニル基も正の値をとる例もあるが、本願の電子求引基にフェニル基は含まれない。
電子求引基の好ましい例としては、ハロゲン、ハロゲンを含む基、シアノ基、シアノ基を含む基、アシル基、アシル基を含む基、エステル基、エステル基を含む基、アミド基、アミド基を含む基、スルホニル基、スルホニル基を含む基、スルホン酸エステル基スルホン酸エステル基を含む基、電子受容性窒素を含有するヘテロアリール基、電子受容性窒素を含有するヘテロアリール基を含む基、スルホンアミド基、スルホンアミド基を含む基、ホスフィンオキシド基、またはホスフィンオキシド基を含む基が挙げられる。これらの電子求引基はさらに置換されていてもよい。これらの中でも、上述した適切な緑色発光波長が得られ、かつ置換基としての安定性を考慮すると、電子求引基としては、ハロゲン、ハロゲンを含む基、シアノ基、シアノ基を含む基、電子受容性窒素を含有するヘテロアリール基、電子受容性窒素を含有するヘテロアリール基を含む基、エステル基、またはエステル基を含む基がより好ましい。さらに好ましくは、フッ素、フッ素を含む基、シアノ基、シアノ基を含む基、電子受容性窒素含有ヘテロアリール基、エステル基、またはエステルを含む基である。
ハロゲンの中では最も電子求引性が大きいフッ素が好ましい。ハロゲンを含む基の中では、ハロゲン置換されたアルキル基、ハロゲン置換されたアリール基およびハロゲン置換されたヘテロアリール基が好ましい。これらの中でも、フッ素置換されたアルキル基、フッ素置換されたシクロアルキル基、フッ素置換されたアリール基およびフッ素置換されたヘテロアリール基がより好ましい。
フッ素置換されたアルキル基の中ではパーフルオロアルキル基が好ましく、トリフルオロメチル基がより好ましい。
フッ素置換されたアリール基の中では、フルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、トリス(トリフルオロメチル)フェニル基、フルオロナフチル基、ジフルオロナフチル基、トリフルオロナフチル基、トリフルオロメチルナフチル基およびビス(トリフルオロメチル)ナフチル基が好ましい。これらの中でも、適切な緑色発光が得られ、より耐久性を向上させる観点で、フッ素を複数個有するアリール基が好ましい。具体的には、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、テトラフルオロフェニル基およびペンタフルオロフェニル基がより好ましく、トリフルオロフェニル基、テトラフルオロフェニル基およびペンタフルオロフェニル基がさらに好ましい。また同様の観点で、パーフルオロアルキル基を有するアリール基も好ましい。これらの中ではトリフルオロメチルフェニル基およびビス(トリフルオロメチル)フェニル基をより好ましく用いることができる。
フッ素置換されたヘテロアリール基の中では、フルオロピリジル基、ジフルオロピリジル基、トリフルオロピリジル基、テトラフルオロピリジル基、トリフルオロメチルピリジル基、ビス(トリフルオロメチル)ピリジル基、フルオロピリミジル基、ジフルオロピリミジル基、トリフルオロピリミジル基、トリフルオロメチルピリミジル基、ビス(トリフルオロメチル)ピリミジル基、フルオロキノリニル基、ジフルオロキノリニル基、トリフルオロキノリニル基、トリフルオロメチルキノリニル基およびビス(トリフルオロメチル)キノリニル基が好ましい。
シアノ基を含む基の中では、シアノ基置換されたアルキル基、シアノ基置換されたシクロアルキル基、シアノ基置換されたアリール基およびシアノ基置換されたヘテロアリール基が好ましい。中でも、シアノ基置換されたアリール基やシアノ基置換されたヘテロアリール基がより好ましい。シアノ基置換されたアリール基の中では、シアノフェニル基、ジシアノフェニル基、トリシアノフェニル基、シアノナフチル基、ジシアノナフチル基などを好適に用いることができる。
シアノ基置換されたヘテロアリール基の中では、シアノピリジル基、ジシアノピリジル基、シアノピリミジル基、ジシアノピリミジル基、シアノキノリニル基、ジシアノキノリニル基などを好適に用いることができる。これらの中でも、これらの中でも、適切な緑色発光が得られ、より耐久性を向上させる観点で、シアノ基を複数個有するアリール基、もしくはヘテロアリール基が好ましく、ジシアノフェニル基、トリシアノフェニル基、ジシアノナフチル基、ジシアノピリジル基、ジシアノピリミジル基、ジシアノキノリニル基をより好適に用いることができる。
電子受容性窒素を含有するヘテロアリール基とはヘテロ原子として多重結合を有する窒素原子を含有するヘテロアリール基である。具体的には、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾール基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、キノキサリニル基、キナゾリル基、ナフチリジニル基およびフェナントロリニル基などが挙げられる。これらの中でも、適度な電子求引性と置換基としての安定性を考慮すると、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、キノキサリニル基、キナゾリル基、ナフチリジニル基およびフェナントロリニル基がより好ましく、さらに耐熱性の観点から、ピリジル基、ピリミジル基、トリアジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、キノキサリニル基およびキナゾリル基がさらに好ましい。
また、電子求引基としてエステル基またはエステル基を含む基も好適に用いることができる。これは、一般式(1)または(2)で表される化合物が、適切な緑色発光を示す効果に加えて、化合物同士の凝集を防止する効果や、バインダー樹脂や溶媒へより溶解しやすくなる効果を奏するからである。
エステル基の中でも、HOMO準位をより深くし、酸化耐性を向上させ、耐久性を向上させる観点で、フッ素を含むエステル基(フッ素原子を含むエステル基)、パーフルオロアルキル基を含むエステル基およびシアノ基を含むエステル基がより好ましい。例えば、上述したメチルエステル基等のアルキルエステル基やフェニルエステル基等のアリールエステル基が、フッ素原子、パーフルオロアルキル基および/またはシアノ基で置換されていることが好ましい。メチルエステル基がフッ素原子で置換されている場合の例として、トリフルオロメチルエステル基等が挙げられる。フェニルエステル基がフッ素原子を含む基で置換されている場合の例として、トリフルオロメチルフェニル基、(3,5-ビストリフルオロメチルフェニル)フェニルエステル基等が挙げられる。
上述した電子求引基における電子求引性の強弱、置換数、置換位置によりLUMO準位のシフト量を調整可能であり、発光波長を調節できる。適切な緑色発光を得るためには、R、R、RおよびR11の二つ以上が電子求引基であることが好ましい。また上述したハロゲンを含む基におけるハロゲンの置換数や置換位置、シアノ基を含む基におけるシアノ基の置換数や置換位置、また電子受容性窒素含有ヘテロアリール基における電子受容性窒素の数や位置についても、電子求引性を考慮し所望の発光波長を得られるよう選択すればよい。
さらに、電子求引基は立体的に嵩高い方が好ましい。電子求引基が嵩高い場合、その構造に起因して一般式(1)および化合物(2)で表される化合物の分子運動の自由度が低減し、樹脂内での分子運動が抑制される。また、電子求引基が立体障害基として働くことで、一般式(1)および化合物(2)で表される化合物同士で相互作用を起こすことなく、安定性がさらに向上する。このように、電子求引基が立体的に嵩高いことで分子同士の凝集を抑制でき、一般式(1)および化合物(2)で表される化合物の耐久性が向上する。
また、一般式(2)で表される化合物の別の1つの実施態様(第2の実施態様)として、緑色発光を得るという観点からR~R12の少なくとも一つがアリール基またはヘテロアリール基であることが好ましい。この場合のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、フルオレニル基、フェナントレニル基、クリセニル基、アントラセニル基、ピレニル基およびフルオランテニル基などが挙げられる。これらはさらに置換されていてもよい。これらの中でも、より最適な緑色発光波長を得るという観点で、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、フルオレニル基、フェナントレニル基がより好ましく、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、フルオレニル基がさらに好ましい。さらにヘテロアリール基としては、ピリジル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基が好ましく、ピリジル基、キノリニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基がより好ましい。
また、一般式(2)で表される化合物の別の1つの実施態様(第3の実施態様)として、緑色発光を得るという観点から、一般式(2)におけるR、R、R、R、RおよびR12の少なくとも一つが置換されたアミノ基であることが好ましく、下記一般式(3)で表される基であることがより好ましい。
Figure 2023104057000004
上記一般式(3)中、ArおよびArは、それぞれ独立して、アリール基またはヘテロアリール基である。これらの基は、さらに置換基を有してもよい。ArとArは、単結合または連結基を介して結合していてもよく、その場合の連結基は、-O-、-S-、>CR1617、>SiR1819、>C=Oまたは>C=Sであり、R16~R19は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基である。これらの基は、さらに置換基を有してもよい。ArとArが結合する場合、単結合を介して結合することが好ましい。
、R、R、R、RおよびR12の少なくとも一つが置換されたアミノ基、好ましくは一般式(3)で表される基である場合、HOMO準位とLUMO準位はどちらも浅い方向へシフトするが、この場合は、HOMO準位のシフト量をLUMO準位のシフト量より大きくすることができる。すなわち、HOMO準位とLUMO準位のエネルギーギャップを小さくすることが可能で発光波長が長波長化し、緑色発光が得られることになる。
上記第1~第3の実施態様における各特徴部分は、互いに異なる実施態様の化合物に対し適用することもできる。例えば、R、R、RおよびR11の少なくとも一つが電子求引基であり、R、R、R、R、R、R、R10およびR12の少なくとも一つがアリール基またはヘテロアリール基である化合物なども、好ましく用いることができる。
一般式(1)または(2)で表される構造を有する化合物の一例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2023104057000005
Figure 2023104057000006
Figure 2023104057000007
Figure 2023104057000008
Figure 2023104057000009
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Figure 2023104057000011
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Figure 2023104057000030
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Figure 2023104057000033
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Figure 2023104057000042
Figure 2023104057000043
Figure 2023104057000044
Figure 2023104057000045
Figure 2023104057000046
以下に、一般式(1)または(2)で表される構造を有する化合物の中間体の合成方法の一例を示すが、これらに限定されるものではない。
一般式(1)または(2)で表される構造を有する化合物は、例えば、「Advanced.Materials」、2016年、vol.28、p.2777-2781に記載されている合成方法や、「Angew.Chem. Int.Ed.」、2019年、vol.58、p.16912-16917に記載されている合成方法を参考に製造することができる。
得られた一般式(1)または(2)で表される構造を有する化合物は、再結晶やカラムクロマトグラフィーなどの有機合成的な精製を行った後、さらに、一般的に昇華精製と呼ばれる減圧加熱による精製により低沸点成分を除去し、純度を向上させることが好ましい。
一般式(1)または(2)で表される構造を有する化合物の純度は、発光素子特性の安定化の観点から、99重量%以上が好ましい。
以下に、一般式(1)または(2)で表される構造を有する化合物の中間体の合成方法の一例を示す。
Figure 2023104057000047
中間体4から、所望のアリールボロン酸、ヘテロアリールボロン酸と鈴木宮浦カップリング反応により、所望の最終生成物を得ることが出来る。また中間体5まで合成すれば所望のアリールクロロ体、ヘテロアリールクロロ体、アリールブロモ体、ヘテロアリールブロモ体、アリールヨード体またはヘテロアリールヨード体等と鈴木宮浦カップリング反応により所望の最終生成物を得ることができる。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂は、連続相を形成するものであり、成型加工性、透明性、耐熱性等に優れる材料であればよい。バインダー樹脂の例としては、例えば、アクリル酸系、メタクリル酸系、ポリケイ皮酸ビニル系、環ゴム系等の反応性ビニル基を有する光硬化型レジスト材料、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂(シリコーンゴム、シリコーンゲル等のオルガノポリシロキサン硬化物(架橋物)を含む)、ウレア樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂、脂肪族エステル樹脂、芳香族エステル樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂等の公知のものが挙げられる。また、バインダー樹脂としては、これらの共重合樹脂を用いても構わない。これらの樹脂を適宜設計することで、本発明の実施形態に係る色変換組成物および色変換フィルムに有用なバインダー樹脂が得られる。これらの樹脂の中でも、フィルム化のプロセスが容易であることから、熱可塑性樹脂がさらに好ましい。熱硬化性樹脂の中でも、透明性、耐熱性等の観点から、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エステル樹脂、オレフィン樹脂またはこれらの混合物を好適に用いることができる。また、耐久性の観点から特に好ましい熱可塑性樹脂は、アクリル樹脂、エステル樹脂、シクロオレフィン樹脂である。
バインダー樹脂の好適な具体例として、例えば、国際公開第2016/190283号、国際公開第2017/61337号、国際公開第2018/43237号、国際公開第2019/21813号および国際公開第2019/188019号等に記載されているものが挙げられる。
また、バインダー樹脂には、添加剤として、塗布膜安定化のための分散剤やレベリング剤等を添加することも、フィルム表面の改質剤として、シランカップリング剤等の接着補助剤等を添加することも可能である。また、バインダー樹脂には、色変換材沈降抑制剤として、シリカ粒子やシリコーン微粒子等の無機粒子を添加することも可能である。
本発明の実施形態に係る色変換フィルム作製用の色変換組成物において、バインダー樹脂には、その他の成分として、常温での硬化を抑制してポットライフを長くするためにアセチレンアルコール等のヒドロシリル化反応遅延剤を配合することが好ましい。また、バインダー樹脂には、本発明の効果が損なわれない範囲で、必要に応じて、フュームドシリカ、ガラス粉末、石英粉末等の微粒子、酸化チタン、酸化ジルコニア、チタン酸バリウム、酸化亜鉛等の無機充填剤や顔料、難燃剤、耐熱剤、酸化防止剤、分散剤、溶剤、シランカップリング剤やチタンカップリング剤等の接着性付与剤等を配合してもよい。
また、バインダー樹脂としては後述するガスバリア性を有するフィルムに用いられる樹脂と同じものを用いても良い。
(溶剤)
本発明の実施形態に係る色変換組成物は、溶剤を含んでいてもよい。溶剤は、流動状態の樹脂の粘度を調整でき、発光物質の発光および耐久性に過度な影響を与えないものであれば、特に限定されない。このような溶媒として、例えば、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ヘキサン、アセトン、テルピネオール、テキサノール、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、メチルセルソルブ、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。これらの溶剤を2種類以上混合して使用することも可能である。これらの溶剤の中で特にトルエンや酢酸エチルは、一般式(1)または(2)で表される化合物の劣化に影響を与えず、乾燥後の残存溶媒が少ない点で好適に用いられる。
(その他の成分)
本発明の実施形態に係る色変換組成物は、上述した一般式(1)または(2)で表される化合物およびバインダー樹脂以外に、光安定化剤、酸化防止剤、加工および熱安定化剤、紫外線吸収剤等の耐光性安定化剤、散乱粒子、シリコーン微粒子およびシランカップリング剤等、その他の成分(添加剤)を含有してもよい。
光安定化剤としては、例えば、3級アミン、カテコール誘導体およびニッケル化合物や、Sc、V、Mn、Fe、Co、Cu、Y、Zr、Mo、Agおよびランタノイドからなる群より選ばれる少なくとも1種の遷移金属を含む、錯体や有機酸との塩などを挙げることができるが、特に限定されるものではない。また、これらの光安定化剤は、単独で使用してもよいし、複数併用してもよい。
酸化防止剤としては、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール等のフェノール系酸化防止剤を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。また、これらの酸化防止剤は、単独で使用してもよいし、複数併用してもよい。
加工および熱安定化剤としては、例えば、トリブチルホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト、トリエチルホスフィン、ジフェニルブチルホスフィン等のリン系安定化剤を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。また、これらの安定化剤は、単独で使用してもよいし、複数併用してもよい。
耐光性安定化剤としては、例えば、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル〕-2H-ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール類を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。また、これらの耐光性安定化剤は、単独で使用してもよいし、複数併用してもよい。
散乱粒子としては、例えば屈折率が1.7~2.8である無機粒子が好ましく、チタニア、ジルコニア、アルミナ、セリア、酸化スズ、酸化インジウム、酸化鉄、酸化亜鉛、窒化アルミ、アルミニウム、スズ、チタンまたはジルコニウムの硫化物、チタンまたはジルコニウムの水酸化物等が挙げられる。
本発明の実施形態に係る色変換組成物において、これらの添加剤の含有量は、化合物のモル吸光係数、発光量子収率および励起波長における吸収強度、ならびに作製する色変換フィルムの厚みや透過率にもよるが、通常はバインダー樹脂の100重量部に対して、1.0×10-3重量部以上30重量部以下であることが好ましい。また、これらの添加剤の含有量は、バインダー樹脂の100重量部に対して、1.0×10-2重量部以上15重量部以下であることがさらに好ましく、1.0×10-1重量部以上10重量部以下であることが特に好ましい。
本発明の色変換組成物またはその硬化物を含む色変換層中の、乾燥後の残存溶媒量は、色変換シートの耐久性をより向上させる観点から3.0重量%以下であることが好ましく、1.0重量%以下であることがより好ましく、0.5重量%以下であることがさらに好ましい。
また、色変換シートの量子収率を向上させる観点から、上記残存溶媒量は0.01重量%以上であることが好ましく、0.05重量%以上であることがより好ましく、0.1重量%以上であることがさらに好ましい。
<色変換組成物の製造方法>
以下に、本発明の色変換組成物の製造方法の一例を説明する。前述したバインダー樹脂、一般式(1)または(2)で表される化合物、必要に応じて添加剤や溶剤等を所定の組成になるよう混合した後、撹拌・混練機を用いて均質に混合または混練することにより、色変換組成物を得ることができる。撹拌・混練機としては、例えば、ホモジナイザー、自公転型撹拌機、3本ローラー、ボールミル、遊星式ボールミル、ビーズミル等が挙げられる。混合または分散後、もしくは混合または分散の過程において、真空もしくは減圧条件下で脱泡することも好ましく行われる。また、ある特定の成分を事前に混合することや、エージング等の処理をしても構わない。エバポレーターによって溶剤を除去して所望の固形分濃度にすることも可能である。
<色変換シート>
本発明の実施形態に係る色変換シートは、光源等の発光体からの入射光を、その入射光とは異なる波長の光に変換するものである。ここで、入射光とは異なる波長の光に変換するとは、入射光よりも長波長の光に変換することが好ましい。
本発明の実施形態に係る色変換シートは、前述の色変換組成物またはその硬化物からなる層である色変換層を含むことが好ましい。色変換組成物の硬化物は、色変換組成物を硬化することによって得られる層(色変換組成物の硬化物からなる層)として色変換シートに含まれることが好ましい。色変換シートの代表的な構造例として、例えば、以下の四つが挙げられる。
図1は、本発明の実施形態に係る色変換シートの第一例を示す模式断面図である。図1に示すように、この第一例の色変換シート1Aは、色変換層11によって構成される単層のシートである。色変換層11は、上述した色変換組成物の硬化物からなる層である。
図2は、本発明の実施形態に係る色変換シートの第二例を示す模式断面図である。図2に示すように、この第二例の色変換シート1Bは、基材層10と色変換層11との積層体である。この色変換シート1Bの構造例では、色変換層11が、基材層10の上に積層されている。
図3は、本発明の実施形態に係る色変換シートの第三例を示す模式断面図である。図3に示すように、この第三例の色変換シート1Cは、複数の基材層10と、色変換層11との積層体である。この色変換シート1Cの構造例では、色変換層11が、複数の基材層10によって挟まれている。
図4は、本発明の実施形態に係る色変換シートの第四例を示す模式断面図である。図4に示すように、この第四例の色変換シート1Dは、複数の基材層10と、色変換層11と、バリア層である複数のバリアフィルム12との積層体である。この色変換シート1Dの構造例では、色変換層11が、複数のバリアフィルム12によって挟まれ、さらに、これら色変換層11と複数のバリアフィルム12との積層体が、複数の基材層10によって挟まれている。すなわち、色変換シート1Dは、色変換層11の酸素、水分や熱による劣化を防ぐために、図4に示すようにバリアフィルム12を有していることも好ましい。
色変換シートの厚みは、30~300μmが好ましい。ここで、色変換シートの厚みとは、色変換シートに含まれる全ての層をあわせた厚みをいい、JIS K7130(1999)プラスチック-フィルム及びシート-厚さ測定方法における機械的走査による厚さの測定方法A法に基づいて測定される膜厚(平均膜厚)のことをいう。色変換シートの厚みを30μm以上とすることにより、シートの強靭性を向上させることができ、300μm以下とすることにより、クラックを抑制することができる。
本発明の実施形態に係る色変換シートは、発光のピーク波長が500nm以上580nm未満である発光材料(a)および/または発光のピーク波長が580nm以上750nm以下である発光材料(b)を含むものであることが好ましい。また、一般式(1)または(2)で表される化合物は、発光材料(a)および/または発光材料(b)であることが好ましい。特に、色変換シートが発光材料(a)および発光材料(b)を含み、一般式(1)または(2)で表される化合物が発光材料(a)であることがより好ましい。
本発明の実施形態に係る色変換シートにおいて、発光材料(a)の発光を発光材料(b)が効率よく吸収するため、発光材料(a)の発光スペクトルと発光材料(b)の吸収スペクトルの重なりを大きくすることが好ましい。そのため、発光材料(a)の発光ピーク波長における発光スペクトルの半値幅(以下、「ピーク半値幅」という)は10nm以上であることが好ましい。ここで、発光材料(a)の発光スペクトルと発光材料(b)の吸収スペクトルの重なりを大きくすることで、発光材料(b)の発光強度を維持しやすくなり、結果として発光材料(b)の耐久性を向上させることができる。
また、ディスプレイとしたときに高色純度の発光を得るため、発光材料(a)のピーク半値幅は50nm以下であることが好ましく、40nm以下であることがより好ましい。
本発明の実施形態に係る色変換シートの1つの例は、色変換層を1層以上含み、発光材料(a)および発光材料(b)が同一層に含まれる色変換シートである。この実施形態に係る色変換シートでは、励起状態の発光材料(a)の励起エネルギーが電磁波にならず、電子の共鳴により直接発光材料(b)へ移動する。これは蛍光共鳴エネルギー移動またはフェルスター共鳴エネルギー移動と呼ばれるものであり、発光材料(a)の励起エネルギーが光となって放出され、発光材料(b)によって吸収される場合と比べ、エネルギー移動効率が非常に高い現象である。そのため、同一層に含まれる発光材料(a)の含有量と、発光材料(b)の含有量のモル比は、発光材料(a):発光材料(b)=50:1~500:1が好ましい。
本発明の実施形態に係る色変換シートのもう1つの例は、色変換層を2層以上含み、発光材料(a)および発光材料(b)が異なる層に含まれる色変換シートである。このような色変換層の具体例としては、例えば、少なくとも以下の(A)層および(B)層を含む色変換シートである。
(A)層:少なくとも発光材料(a)およびバインダー樹脂を含有する層。
(B)層:少なくとも発光材料(b)およびバインダー樹脂を含有する層。
この実施形態に係る色変換シートでは、フェルスター共鳴エネルギー移動は起こらないため、(A)層に含まれる発光材料(a)と(B)層に含まれる前記発光材料(b)とのモル比が、発光材料(a):発光材料(b)=5:1~100:1であることが好ましい。
発光材料(b)としては、その発光のピーク波長が580nm以上750nm以下である発光材料、すなわち赤色発光を示す材料であれば何でもよく、有機発光材料、無機蛍光体、または無機量子ドットなどの発光材料を用いることができる。有機発光材料としてはピロメテン骨格を有する発光材料を好適に用いることができる。これは従来の有機赤色発光材料に比べて発光スペクトルの半値幅が狭く、高色純度の赤色発光を示すからである。これによりディスプレイの色再現性の向上に貢献できる。
(基材層)
基材層としては、例えば、ガラスや樹脂フィルムなどが挙げられる。樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリイミドなどのプラスチックのフィルムが好ましい。フィルムの剥離のし易さから、基材層は、あらかじめ表面が離型処理されていてもよい。基材層の厚さは、特に制限はないが、下限としては25μm以上が好ましく、38μm以上がより好ましい。また、上限としては5000μm以下が好ましく、3000μm以下がより好ましい。
(色変換層)
色変換層の厚みは、特に制限はないが、10μm~1000μmであることが好ましい。色変換層の厚みの下限は、より好ましくは30μm以上である。また上限は、200μm以下がより好ましく、100μm以下がさらに好ましく、50μm以下が特に好ましい。本発明における色変換シートの膜厚は、JIS K7130(1999)プラスチック-フィルム及びシート-厚さ測定方法における機械的走査による厚さの測定方法A法に基づいて測定される膜厚(平均膜厚)のことをいう。
色変換層は、上述した方法で作製した色変換組成物を、基材層やバリアフィルム等の下地上に塗布し、乾燥させることで、形成することができる。
色変換層は、一層であっても、二層以上であってもよい。色変換層が二層以上である場合、それらのうちの少なくとも一層に一般式(1)で表される化合物が含まれることが好ましい。
色変換層は、上述した一般式(1)で表される化合物およびバインダー樹脂以外に、光安定化剤、酸化防止剤、加工および熱安定化剤、紫外線吸収剤等の耐光性安定化剤、散乱粒子、シリコーン微粒子およびシランカップリング剤等、その他の成分(添加剤)を含有してもよい。
(バリア層)
バリア層としては、色変換層への酸素、水分、熱などの侵入を抑制するものが好ましく、バリア層を2層以上有してもよい。色変換層の両面にバリア層を有してもよいし、片面にバリア層を有してもよい。バリア層は平面でも曲面でもよく、その形状は特に限定しない。
ガスバリア性を有するフィルムとしては、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化イットリウム、酸化マグネシウムなどの無機酸化物や、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、炭化窒化ケイ素などの無機窒化物、これらに他の元素を添加した金属酸化物薄膜や金属窒化物薄膜、あるいはポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、酢酸ビニルのけん化物等のポリビニルアルコール系樹脂などの各種樹脂を含むフィルムなどが挙げられる。これらを2種以上含んでもよい。水分に対してバリア機能を有するフィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデンと塩化ビニル、塩化ビニリデンとアクリロニトリルの共重合物、フッ素系樹脂、酢酸ビニルのけん化物等のポリビニルアルコール系樹脂などの各種樹脂を含むフィルムなどが挙げられる。
酸素バリア性とは、酸素透過度が低い特性を示す。本発明においては、バリア層の酸素透過度は、1.0cc/m・day・atm以下であり、0.5cc/m・day・atm以下であることが好ましく、0.1cc/m・day・atm以下であることがさらに好ましい。
なお、酸素透過度は、膜厚が均一な平面状試験片を用い、特に記載がない場合、温度20℃、湿度0%RHの条件で、モコン(MOCON)社(米国)製の酸素透過率測定装置(機種名、“オキシトラン”(登録商標)(“OXTRAN ”2/20))を使用して、JIS K7126-2(2006)に記載の電解センサ法に基づいて測定したときの値である。
本発明の色変換シートは、要求される機能に応じて、光拡散層、粘着層、反射防止機能、防眩機能、反射防止防眩機能、ハードコート機能(耐摩擦機能)、帯電防止機能、防汚機能、電磁波シールド機能、赤外線カット機能、紫外線カット機能、偏光機能、調色機能を有した補助層などをさらに有してもよい。
(その他のフィルム)
本発明の実施形態に係る色変換シートは、偏光反射フィルム、拡散シート、プリズムシート、波長選択反射フィルム等をさらに備えていてもよい。波長選択反射フィルムの好適な具体例としては、例えば国際公開第2017/164155号、特開2018-81250号公報に記載されているものが挙げられる。
<色変換シートの製造方法>
次に、本発明の色変換シートの製造方法の一例を説明する。上述した方法で作製した色変換組成物を基材上に塗布し、乾燥することにより、色変換層を形成する。バインダー樹脂が熱硬化性樹脂の場合、色変換組成物を基材上に塗布した後、加熱硬化して色変換層を形成してもよく、バインダー樹脂が光硬化性樹脂の場合、色変換組成物を基材上に塗布した後、光硬化して色変換層を形成してもよい。
塗布は、リバースロールコーター、ブレードコーター、コンマコーター、スリットダイコーター、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、キスコーター、ナチュラルロールコーター、エアーナイフコーター、ロールブレードコーター、トゥーストリームコーター、ロッドコーター、ワイヤーバーコーター、アプリケーター、ディップコーター、カーテンコーター、スピンコーター、ナイフコーター等により行うことができる。色変換層の膜厚均一性を得るためには、スリットダイコーター、コンマコーター、ディップコーターで塗布することが好ましい。
色変換層の乾燥は、熱風乾燥機や赤外線乾燥機等の一般的な加熱装置を用いて行うことができる。この場合、加熱温度は60~200℃が好ましく、加熱時間は2分間~4時間が好ましい。また、ステップキュア等の方法により段階的に加熱硬化することも可能である。
加熱硬化により色変換層を形成する場合、加熱装置としては、熱風オーブンなどが挙げられる。加熱条件はバインダー樹脂に応じて選択することができる。例えば、加熱温度は100℃~300℃が好ましく、加熱時間は1分間~2時間が好ましい。
光硬化により色変換層を形成する場合、紫外線などの高エネルギーの光を照射することが好ましい。光照射条件はバインダー樹脂に応じて選択することができる。例えば、照射する光の波長は200nm~500nmが好ましく、照射量は10mJ/cm~10J/cmが好ましい。
色変換層を作製した後、必要に応じて基材を変更することも可能である。この場合、簡易的な方法としてはホットプレートを用いて貼り替えを行なう方法や、真空ラミネーターやドライフィルムラミネーターを用いた方法などが挙げられる。
<光源ユニット>
本発明の光源ユニットは、少なくとも光源と、上述の色変換組成物または色変換シートを含むものである。本発明の実施形態に係る光源ユニットに含まれる光源は、上述の励起光の発生源となるものである。光源と色変換シートとの配置方法については特に限定されず、光源と色変換シートとを密着させた構成を取ってもよいし、光源と色変換シートとを離したリモートフォスファー形式を取ってもよい。また、光源ユニットは、色純度を高める目的で、さらにカラーフィルターを備える構成を取ってもよい。
<光源>
光源の種類は、発光材料(a)および発光材料(b)が吸収可能な波長領域に発光を示すものであればいずれの光源でも用いることができる。例えば、熱陰極管や冷陰極管、無機ELなどの蛍光性光源、有機エレクトロルミネッセンス素子光源、LED光源、白熱光源、あるいは太陽光などいずれの光源でも原理的には利用可能である。これらの中でも、LEDが好適な光源であり、ディスプレイや照明用途では、青色光の色純度を高められる点で、430~500nmの範囲の光源を持つ青色LEDがさらに好適な光源である。
光源は1種類の発光ピークを持つものでもよく、2種類以上の発光ピークを持つものでもよいが、色純度を高めるためには1種類の発光ピークを持つものが好ましい。また、発光ピークの種類の異なる複数の光源を任意に組み合わせて使用することも可能である。
本発明における光源ユニットは、空間照明、バックライト等種々の光源に有用であり、具体的にはディスプレイ、照明、インテリア、標識、看板などの用途に使用できるが、特にディスプレイや照明用途に特に好適に用いられる。
<ディスプレイ、照明装置>
本発明の実施形態に係るディスプレイは、少なくとも、上述した色変換シートを備える。例えば、液晶ディスプレイ等のディスプレイには、バックライトユニットとして、上述した光源および色変換シート等を有する光源ユニットが用いられる。また、本発明の実施形態に係る照明装置は、少なくとも、上述した色変換シートを備える。例えば、この照明装置は、光源ユニットとしての青色LED光源と、この青色LED光源からの青色光をこれよりも長波長の光に変換する色変換シートとを組み合わせて、白色光を発光するように構成される。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。 各実施例および比較例における蛍光量子収率の測定方法を以下に記載する。
<発光量子収率の測定>
化合物の発光量子収率は、絶対PL量子収率測定装置(Quantaurus-QY、浜松ホトニクス株式会社製)を用い、化合物をトルエンに1×10-6mol/Lの濃度で溶解させ、波長460nmで励起させた際の発光量子収率を測定した。結果を表1に示す。
<光耐久性の評価>
青色LED素子(発光ピーク波長:445nm)と導光板を含むバックライトユニットに、導光板の一面に色変換フィルムを積層し、色変換フィルム上にプリズムシートを積層した。次に、電流を流して青色LEDを点灯し、分光放射輝度計(CS-1000、コニカミノルタ社製)を用いて初期発光特性を測定した。なお、発光特性測定時は色変換フィルムを挿入せず、青色LED光の明るさが700cd/mとなるように初期値を設定した。その後、室温25℃下で青色LED素子からの光を連続照射し、発光強度が5%低下するまでの時間を観測することで、光耐久性を評価した。
<ΔESTの測定>
蛍光燐光分光光度計(Fluoromax-4P、株式会社堀場製作所)を用い、化合物をブロモプロパンに1×10-6mоl/Lの濃度で溶解した。窒素雰囲気化で30分バブリングしたのち、波長490nmで励起させた際の蛍光発光波長スペクトルおよびりん光スペクトルを測定し、その差からΔESTを算出した。なお、りん光測定の際の検出のディレイ時間は200nsとした。
(合成例1)
[中間体1の合成]
3、5-ジフルオロアニリン10.0g(分子量129.11 0.077mоl)、1-ブロモ-3、5-ジフルオロベンゼン15.0g(分子量192.99 0.077mоl)、ナトリウム-tert-ブトキシド22.33g(分子量96.10 0.23mоl)、トリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート0.18g(分子量290.13 0.62mmоl)ビスベンジリデンアセトンパラジウム0.45g(分子量575.02 7.75mmоl)、トルエン20mL、をフラスコに投入し、窒素雰囲気中室温で3時間撹拌した。反応終了後、酢酸エチルと水を加えて分液洗浄し、有機層をエバポレーターで濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムにより精製し、中間体1(分子量241.19)を17.3g(収率92%)得た。
[中間体2の合成]
中間体1を15g(0.062mоl)、4-フルオロジフェニルアニリン23.28g(分子量187.22 0.12mоl)、炭酸セシウム44.58g(分子量325.82 0.14mol)、およびジメチルホルムアミド(DMF)380mlの入ったフラスコを、窒素雰囲気中150℃で5時間加熱撹拌した。反応終了後、室温まで冷却し、水およびトルエンを加えて分液した。有機層をエバポレーターで濃縮後、シリカゲルカラムにより精製し、中間体2(分子量332.30)を4.55g(収率22%)得た。
[中間体3の合成]
1-ブロモ-2,5-ジクロロ-3-フルオロベンゼン10.0g(分子量243.89 41mmol)、9(10H)-アクリドン19.5g(分子量195.22 100mmol)、炭酸セシウム22.1g(分子量325.82 67.7mmol)、およびDMF250mlの入ったフラスコを、窒素雰囲気中150℃で10時間加熱撹拌した。反応終了後、室温まで冷却し、水およびトルエンを加えて分液した。有機層をエバポレーターで濃縮後、シリカゲルカラムにより精製し、中間体3(分子量419.10)を13.37g(収率78%)得た。
[中間体4の合成]
中間体3を3.74g(分子量419.10 8.91mmol)、中間体2を4.0g(0.012mol)、酢酸パラジウム22.5mg(分子量224.51 0.100mmol)、トリ-tert-ブチルホスフィン8.30mg(分子量202.32 0.41mmol)、ナトリウム-tert-ブトキシド1.34g(分子量96.10 0.014mol)、およびo-キシレン75mlをフラスコに投入し、窒素雰囲気中130℃で3時間加熱撹拌した。反応終了後、室温まで冷却し、ろ過した後、エバポレーターで溶媒を留去した。濃縮物をシリカゲルカラムにより精製し中間体4(分子量746.59)を5.06g(収率76%)得た。
[中間体5の合成]
中間体4を5g(6.70mmol)、およびtert-ブチルベンゼン65mlをフラスコに投入し、窒素置換後、-40℃まで冷却し、1.7Mのtert-ブチルリチウムペンタン溶液をシリンジを用いて4.7ml滴下した。滴下終了後、室温まで昇温させ、2時間撹拌後、再び-40℃に冷却し、2-イソプロポキシ-4,4,5,5-テトラメチルジオキサボロラン1.72g(分子量186.06 9.26mmol)をシリンジを用いて滴下した。滴下終了後、反応液を100℃まで加熱し、5時間撹拌した。反応終了後、室温まで冷却し、酢酸エチルと水を加え、分液洗浄し、有機層をエバポレーターで濃縮した。得られた濃縮物をトルエンにより再結晶し、中間体5(分子量838.11)を3.55g(収率64%)得た。
[中間体6の合成]
中間体5を3.5g(4.18mmol)、塩化アルミニウム5.57g(分子量133.33 41.8mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン10.80g(分子量129.25 83.5mmol)、およびクロロベンゼン50mlをフラスコに投入し、窒素雰囲気中120℃に加熱し、3時間撹拌した。反応終了後、室温に冷却し、水をゆっくり滴下し、塩化アルミニウムをクエンチした。さらにジクロロメタンを添加後、分液洗浄し、有機層をエバポレーターで濃縮後、濃縮物をトルエンで2回再結晶することにより、中間体6(分子量719.93)を1.86g(収率62%)得た。
[中間体7の合成]
中間体6を1.5g(2.08mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン0.79g(分子量253.94 3.12mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム18.12mg(分子量575.02 0.031mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’-4’-6’-トリイソプロピルビフェニル75.1mg(分子量476.72 0.16mmol)、酢酸カリウム0.31g(分子量98.15 3.12mmol)、および1,4-ジオキサン40mlをフラスコに投入し、窒素雰囲気中87℃に加熱し3時間撹拌した。反応終了後、室温まで冷却し、一旦ろ過した後、ろ液に酢酸エチルと水を加え分液洗浄し、有機層をエバポレーターで濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムにより精製し、中間体7(分子量811.45)を1.08g(収率64%)得た。
Figure 2023104057000048
Figure 2023104057000049
[G-1の合成]
中間体7を1.00g(1.23mmоl)、1-クロロ-3,5-ジフルオロベンゼン0.20g(分子量148.5 1.36mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム7.1mg(分子量575.02 0.012mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’-4’-6’-トリイソプロピルビフェニル23.3mg(分子量476.72 0.049mmol)、リン酸カリウム0.79g(分子量212.27 3.71mmol)、1,4-ジオキサン12ml、水4mlをフラスコに投入し、窒素雰囲気中で87℃に加熱し3時間撹拌した。反応終了後、トルエンと水を加え、分液洗浄後、有機層をエバポレーター濃縮した。濃縮物をトルエンで3回再結晶することにより、G-1(分子量797.57)を0.42g(収率43%)得た。
Figure 2023104057000050
(合成例2)
[中間体8の合成]
中間体3の合成における、1-ブロモ-2,5-ジクロロ-3-フルオロベンゼンの代わりに、2,5-ジクロロ-4、6-ジフルオロピリミジンに変更した以外は実施例1と同様の手法で中間体8を合成した。
Figure 2023104057000051
[G-2の合成]
中間体8を5g(分子量586.36 8.68mmоl)、マロノニトリルを1.14g(分子量66.06 17.35.mmоl)、酸化アルミニウム2.38g(分子量101.96 0.034mоl)、ジクロロメタン10mLをフラスコに投入し、窒素雰囲気化で室温で2時間撹拌した。反応終了後、一旦ろ過した後、ろ液にジクロロメタンと水を加えて分液洗浄し、有機層をエバポレーターで濃縮し、濃縮物をシリカゲルカラムにより精製し、G-2(分子量682.46)を5.33g(収率90%)得た
Figure 2023104057000052
(合成例3)
[G-3の合成]
「CA-A1-003016778」に記載の反応を用いてG-3を合成した。
Figure 2023104057000053
(合成例4)
[中間体9の合成]
中間体3の合成における1-ブロモ-2,5-ジクロロ-3-フルオロベンゼンの代わりに1-ブロモ-2-ジクロロ-3-フルオロベンゼンと、9(10H)-アクリドンの代わりに、2-クロロアクリジンー9(10H)―オンを、を用いて中間体9を合成した。
Figure 2023104057000054
[G-4の合成]
中間体9を用いて「Nakayana, N. Yokoyama,N.Advanced Synthesis and Catalysis,2015,vol.357,#10,p.2322-2330」に記載の反応を用いてG―4を合成した。
Figure 2023104057000055
上記以外の化合物も種々の原料を変更することにより容易に合成することができる。
(実施例1)
バインダー樹脂としてアクリル樹脂を用い、バインダー樹脂100重量部に対して、発光材料として化合物G-1を0.25重量部、溶剤としてトルエンを400重量部混合した後、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスター”KK-400(クラボウ製)を用い、300rpmで20分間撹拌・脱泡して色変換組成物を得た。なお、化合物G-1について上記の方法でΔESTを算出したところ、0.11eVであった。
同様に、バインダー樹脂としてポリエステル樹脂を用い、ポリエステル樹脂100重量部に対して、溶剤としてトルエンを300重量部混合した後、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスターKK-400”(クラボウ製)を用い、300rpmで20分間撹拌・脱泡して接着剤組成物を得た。
次に、スリットダイコーターを用いて色変換組成物を、基材層である“ルミラー” (登録商標)U48(東レ(株)製、厚さ50μm)上に塗布し、100℃で20分加熱、乾燥して平均膜厚16μmの色変換層を形成した。
同様に、スリットダイコーターを用いて接着剤組成物を、光拡散フィルム“ケミカルマット”125PW((株)きもと製、厚さ138μm)のPET基材層側に塗布し、100℃で20分加熱、乾燥して平均膜厚48μmの接着層を形成した。光拡散フィルム“ケミカルマット”125PW((株)きもと製、厚さ138μm)は、PET基材層に光拡散シートが塗布された構成である。
次に、上記2つのユニットを、色変換層と接着層が直接積層するように加温ラミネートすることで、「基材層/色変換層/接着層/光拡散フィルム」という構成の色変換フィルムを作製した
この色変換フィルムの基材層の面が光源側となるように設置し、青色光を色変換させたところ、緑色光の発光領域のみを抜粋すると、ピーク波長510nm、ピーク波長における発光スペクトルの半値幅18nmの高色純度緑色発光が得られた。また、上記の方法で光耐久性を評価したところ、輝度が5%低下する時間は1480時間であった。
実施例2~4および比較例1~3
発光材料として表1に記載した化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして色変換フィルムを作製して評価した。結果を表1に示す。なお、Ref.1~Ref.3は以下に示す化合物である。
Figure 2023104057000056
Figure 2023104057000057
G-1~G-4とRef.1~Ref.3を比較すると、発光色はどちらも緑色であるものの、光耐久性はG-1~G-4の方が上回る結果となった。これは、G-1~G-4ではRef.1~Ref.3に比べ発光材料の分解が抑制されたためであると考えられる。またその理由としては、G-1~G-4ではHOMO軌道とLUMO軌道がより大きく分離できており、ΔESTが小さくなることで逆項間交差が促進され一重項酸素の生成量が減ったためであると考えられる。
また、G-1~G-4はG-3と同等かさらに狭い半値幅を持つ。これは 一般式(1)または(2)で表される化合物G-1~G-4が、その発光スペクトルにおいて、従来、蛍光発光材料として知られているピロメテン骨格を有する化合物Ref.3と同等の、狭い半値幅を有することを示す。このことは、化合物G-1~G-4が高色純度の緑色発光を示し、それによりディスプレイの色再現性を高めることができることを示す。
G-1とG-2を比較すると、光耐久性はG-1の方が上回る結果となった。これはケトン基による架橋によりΔESTがより小さくなるためであると考えられる。
G-1とG-3を比較すると、G-3は電子求引基を持たないにも関わらず、著しく発光波長が短くなる結果となった。G-3はアミノ基による三か所架橋によりHOMO軌道とLUMO軌道の分離が促進され、電子が非局在化することで発光波長が短くなったと考えられる。
G-1とG-4を比較すると、G-4の方が長波長化する結果となった。これは、G-4はホウ素のパラ位に電子求引基を持たず、代わりに電子供与性の置換基を持つことによる影響と考えられる。

Claims (18)

  1. 入射光を、その入射光とは異なる波長の光に変換する色変換組成物であって、一般式(1)で表される化合物およびバインダー樹脂を含むことを特徴とする色変換組成物。
    Figure 2023104057000058
    (一般式(1)中、環a、環b、環cおよび環dは、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環である。これらの環は置換基を有していてもよい。
    は、N-R、O、S、CRまたはSiRであり、Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アリール基またはヘテロアリール基であり、R~Rは、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基である。これらの基はさらに置換基を有していてもよい。R~Rは、単結合または連結基を介して、環aまたは環dと結合していてもよい。
    は、N-Rj、O、S、CRまたはSiRであり、Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アリール基またはヘテロアリール基であり、R~Rは、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基である。これらの基はさらに置換基を有していてもよい。Rj~Rnは、単結合または連結基を介して、環aまたは環bと結合していてもよい。
    Yは、O、SまたはC(CN)である。
    nは0または1であり、nが0の場合は環aと環dとがXで架橋されていないことを表し、このとき環aおよび環dのXによる架橋位置には水素原子または置換基が存在する。)
  2. 一般式(1)で表される化合物が、一般式(2)で表される化合物である、請求項1に記載の色変換組成物。
    Figure 2023104057000059
    (一般式(2)中、R~R12は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、-COOR、-OOCR、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、ホスフィンオキシド基、アシル基、スルホニル基、-SOまたは-OONRの中から選ばれる。R~Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基である。これらの基はさらに置換基を有していてもよい。またR~R11のうち互いに隣接する基は結合して飽和または不飽和の環を形成してもよい。X、X、Yおよびnは一般式(1)における説明と同義である。)
  3. 一般式(2)中、YがOである、請求項2に記載の色変換組成物。
  4. 一般式(2)中、XがN-Rである、請求項2または3記載の色変換組成物。
  5. 一般式(2)中、nが0である、請求項2~4のいずれかに記載の色変換組成物。
  6. 一般式(2)中、R、R、RおよびR11の少なくとも一つが電子求引基である、請求項2~5のいずれかに記載の色変換組成物。
  7. 一般式(2)中、Rが電子求引基である、請求項2~6のいずれかに記載の色変換組成物。
  8. 前記電子求引基が、フッ素、フッ素を含む基、シアノ基、シアノ基を含む基、電子受容性窒素含有ヘテロアリール基、エステル基、またはエステル基を含む基である、請求項6または7記載の色変換組成物。
  9. 一般式(2)中、R~R12の少なくとも一つがアリール基またはヘテロアリール基である、請求項2~5のいずれかに記載の色変換組成物。
  10. 一般式(2)中、R、R、R、R、RおよびR12の少なくとも一つが一般式(3)で表される置換基である、請求項2~5のいずれかに記載の色変換組成物。
    Figure 2023104057000060
    (一般式(3)中、ArおよびArは、それぞれ独立して、アリール基またはヘテロアリール基である。これらの基はさらに置換基を有していてもよい。ArとArは、単結合または連結基を介して結合していてもよく、その場合の連結基は、-O-、-S-、>CR2021、>SiR2223または>C=Oである。R20~R23は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基である。これらの基はさらに置換基を有していてもよい。)
  11. 請求項1~10のいずれかに記載の色変換組成物またはその硬化物を含む色変換シート。
  12. 前記色変換シートが、発光のピーク波長が500nm以上580nm未満である発光材料(a)および発光のピーク波長が580nm以上750nm以下である発光材料(b)を含み、一般式(1)で表される化合物が発光材料(a)である、請求項11に記載の色変換シート。
  13. 前記色変換シートが少なくとも以下の(A)層および(B)層を含む、請求項12に記載の色変換シート。
    (A)層:少なくとも前記発光材料(a)およびバインダー樹脂を含有する層
    (B)層:少なくとも前記発光材料(b)およびバインダー樹脂を含有する層
  14. 色変換シートが少なくとも酸素透過度が1.0cc/m・day・atmである層を含む請求項13に記載の色変換シート。
  15. 光源および請求項11~14のいずれかに記載の色変換シートを含む、光源ユニット。
  16. 前記光源が430nm以上500nm以下の範囲に極大発光を有する発光ダイオードである、請求項15に記載の光源ユニット。
  17. 請求項15または16記載の光源ユニットを含むディスプレイ。
  18. 請求項15または16記載の光源ユニットを含む照明装置。
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