JP2023103614A - 制動制御装置 - Google Patents

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Abstract

Figure 2023103614000001
【課題】制動制御装置の制動力の制御性を向上する。
【解決手段】制動制御装置10の異常時には、マスタシリンダ22から出力されたブレーキ液を第1助勢装置31が増圧して前輪のホイールシリンダ11L、11Rに送り、第2助勢装置32が、マスタシリンダ22とは独立して後輪のホイールシリンダ12L、12Rにブレーキ液を送る。こうした制動制御装置10の異常時に第2ブレーキECU35は、マスタ圧に基づき設定した第1目標ホイール圧、ペダルストロークに基づき設定した第2ホイール圧のうちのいずれか高い方の液圧を、後輪のホイールシリンダ12L、12Rの液圧の目標値に設定して、第2助勢装置32を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ホイールシリンダの液圧調整を通じて車両の制動力を制御する制動制御装置に関する。
特許文献1には、第1ブレーキ系統及び第2ブレーキ系統の2つのブレーキ系統と、マスタシリンダ及び電動シリンダの2種のシリンダを備える車両用の制動制御装置が記載されている。マスタシリンダは、リザーブタンクから吸引したブレーキ液を、ブレーキペダルの踏込みに応じて加圧吐出する。電動シリンダは、リザーブタンクから吸引したブレーキ液を電動により加圧吐出する。同制動制御装置では、正常時には両ブレーキ系統を電動シリンダに接続して、電動シリンダが発生する液圧で、両ブレーキ系統の制動力を発生している。一方、液漏れ等による異常時には、第1ブレーキ系統にマスタシリンダを、第2ブレーキ系統に電動シリンダを、それぞれ接続している。そして、マスタシリンダが発生する液圧で第1ブレーキ系統の制動力を発生するとともに、電動シリンダが発生する液圧で第2ブレーキ系統の制動力を発生している。
特許第6202741号公報
上記制動制御装置の第2ブレーキ系統は、異常時には、マスタシリンダから液圧的に切り離された状態となる。こうした状態の第2ブレーキ系統においても、運転者の要求に応じた制動力を発生させることが望まれる。
上記課題を解決する制動制御装置は、第1ホイールシリンダ及び第2ホイールシリンダの液圧調整により車両の制動力を制御する装置である。同制動制御装置は、ブレーキペダルの踏込みに応じてブレーキ液を出力するマスタシリンダと、マスタシリンダから出力されたブレーキ液を増圧して第1ホイールシリンダに送る第1加圧装置と、マスタシリンダとは独立して第2ホイールシリンダにブレーキ液を送る第2加圧装置と、マスタシリンダより出力されたブレーキ液の圧力であるマスタ圧に基づき設定した第1目標液圧、及びブレーキペダルの踏込量であるペダルストロークに基づき設定した第2目標液圧のうちのいずれか高い方の液圧を第2ホイールシリンダの目標液圧として設定して第2加圧装置を制御する制御部と、を備えている。
第1加圧装置を経てマスタシリンダと第1ホイールシリンダとを繋ぐ液路で液漏れが発生すると、ブレーキペダルが踏込まれてもマスタ圧が上昇しなくなる場合がある。マスタ圧に基づいて第2ホイールシリンダの目標液圧を設定すると、そうした場合に第1ホイールシリンダ及び第2ホイールシリンダがそれぞれ発生する制動力が双方共に不足する可能性がある。これに対して、第2ホイールシリンダの目標液圧をペダルストロークに基づき設定すれば、上記液漏れの発生時にも、第2ホイールシリンダが発生する制動力を運転者の要求に応じて適切に制御できる。
ただし、ペダルストロークのみに基づき第2ホイールシリンダの目標液圧を設定した場合には、液漏れが発生しておらず、ブレーキペダルの踏込みに応じてマスタ圧が正常に上昇する状況下で次の問題が発生することがある。第1加圧装置は、第1ホイールシリンダの液圧調整のため、ブレーキ液をマスタシリンダに戻すことがある。マスタシリンダにブレーキ液が戻されると、ブレーキペダルが押し戻される。そのため、第1加圧装置がマスタシリンダにブレーキ液を戻すと、運転者のブレーキペダルの踏力が一定でも、ペダルストロークが減少する。よって、ペダルストロークのみに基づいて第2ホイールシリンダの目標液圧を設定する場合には、このときのペダルストロークの減少に応じて第2ホイールシリンダが発生する制動力が減少してしまう。
その点、上記制動制御装置では、液漏れによりマスタ圧が上昇しない場合にも、ペダルストロークの増加に応じて第2目標液圧が高まるため、第2ホイールシリンダが発生する制動力をブレーキペダルの踏込みに応じて増大できる。また、液漏れが無い場合に、第1加圧装置によるマスタシリンダへのブレーキ液の戻しによりペダルストロークが減少しても、マスタ圧は減少しない。よって、このときには、第2目標液圧が低下しても第1目標液圧は維持される。そのため、第1加圧装置によりマスタシリンダにブレーキ液が戻されても、第2ホイールシリンダが発生する制動力が減少されなくなる。このように上記制動制御装置は、液漏れが発生している場合、発生していない場合のいずれにおいても、第2ホイールシリンダが発生する制動力を、運転者の要求に応じて適切に制御できる。
第1実施形態の制動制御装置の構成を模式的に示す図である。 同制動制御装置が備える第2加圧部の構成を模式的に示す図である。 同制動制御装置が実行する異常時ホイール圧制御ルーチンの処理手順を示すフローチャートである。 第1演算マップにおけるマスタ圧と第1目標ホイール圧との関係を示すグラフである。 第2演算マップにおけるペダルストロークと第2目標ホイール圧との関係を示すグラフである。 制動制御装置が備える第1加圧部の変更例の構成を模式的に示す図である。
以下、制動制御装置を具体化した一実施形態を図1~図5に従って説明する。
図1及び図2を参照して、本実施形態の制動制御装置10の構成を説明する。本実施形態の制動制御装置10は、左右前輪のホイールシリンダ11L、11R、及び左右後輪のホイールシリンダ12L、12Rの液圧調整を通じて車両の制動力を制御する。制動制御装置10は、第1加圧部20と第2加圧部30とを備えている。なお、本実施形態では、左右前輪のホイールシリンダ11L、11Rが第1ホイールシリンダに対応している。また、本実施形態では、左右後輪のホイールシリンダ12L、12Rが第2ホイールシリンダに対応している。
<第1加圧部20の構成>
第1加圧部20の構成を説明する。第1加圧部20は、第1液路13を通じて左右前輪のホイールシリンダ11L、11Rに接続されている。また、第1加圧部20は、第2液路14を介して左右後輪のホイールシリンダ12L、12Rに接続されている。第1加圧部20は、リザーブタンク21、マスタシリンダ22、電動シリンダ23、マスタカット弁24、系統遮断弁25、シミュレータカット弁26、ストロークシミュレータ27、及び第1ブレーキECU(Electronic Control Unit)28を備えている。リザーブタンク21は、液圧の伝達媒体となる液体であるブレーキ液を貯留するタンクである。マスタシリンダ22は、ブレーキペダル15の踏込みに応じて液圧を発生する機械式の加圧装置である。電動シリンダ23は、電動により液圧を発生する電動加圧装置である。マスタカット弁24、及び系統遮断弁25は、第1加圧部20の状態を切替える切替機構を構成する電磁弁である。シミュレータカット弁26は、マスタシリンダ22とストロークシミュレータ27とを液圧的に連通した状態と同連通を遮断した状態とを切替える電磁弁である。第1ブレーキECU28は、電動シリンダ23、マスタカット弁24、系統遮断弁25、及びシミュレータカット弁26を制御する電子制御装置である。
<マスタシリンダ22の構成>
次に、マスタシリンダ22の構成を説明する。マスタシリンダ22の内部には、マスタピストン221が摺動自在に設けられている。また、マスタシリンダ22の内部には、ブレーキ液が導入される圧力室222がマスタピストン221により区画形成されている。マスタピストン221には、ブレーキペダル15が機械的に連結されている。そして、マスタシリンダ22におけるマスタピストン221の動作位置は、ブレーキペダル15の踏込みに連動して変化する。動作位置とは、マスタシリンダ22内でマスタピストン221が摺動可能な範囲における同マスタピストン221の位置である。圧力室222の容積は、マスタピストン221の動作位置により変化する。また、マスタシリンダ22は、圧力室222の容積を増加させる方向にマスタピストン221を付勢する付勢部材223を有している。
以下の説明では、ブレーキペダル15の踏込量をペダルストロークSで表す。ペダルストロークSは、次のように定義される。ブレーキペダル15の踏込量が「0」のときのマスタシリンダ22の動作位置を、ペダルストロークSが「0」の動作位置とする。ペダルストロークSの値は、ペダルストロークSが「0」の動作位置からの、圧力室222の容積が減少する方向へのマスタシリンダ22の動作量を表している。圧力室222の容積は、ペダルストロークSが「0」のときに最大となる。そして、圧力室222の容積は、ペダルストロークSの増加に応じて減少する。
また、マスタシリンダ22は、圧力室222を外部に連通するポートとして、入力ポート224及び出力ポート225の2つのポートを有している。圧力室222は、入力ポート224を介してリザーブタンク21に接続されている。入力ポート224は、ペダルストロークSが「0」のときには開放されているが、ペダルストロークSが一定の値以上に増加するとマスタピストン221により閉塞される。一方、マスタシリンダ22の出力ポート225は、ペダルストロークSに拘わらず、常時開放されている。マスタシリンダ22の出力ポート225は、シミュレータカット弁26を介してストロークシミュレータ27に接続されている。ストロークシミュレータ27は、ブレーキペダル15の操作に対する反力を発生させる装置である。シミュレータカット弁26は、通電時には開弁する一方で非通電時には閉弁する常閉式の電磁弁である。また、マスタシリンダ22の出力ポート225は、マスタカット弁24を介して第1液路13に接続されてもいる。マスタカット弁24は、通電時には閉弁する一方で通電停止時には開弁する常開式の電磁弁である。
<電動シリンダ23の構成>
続いて、電動シリンダ23の構成を説明する。電動シリンダ23の内部には、ピストン231が摺動自在に設けられている。また、電動シリンダ23の内部には、ブレーキ液が導入される液室232がピストン231により区画形成されている。また、電動シリンダ23には、電気モータ233と、電気モータ233の回転をピストン231の直動に変換する直動変換機構234と、が設けられている。こうした電動シリンダ23におけるピストン231の動作位置は、電気モータ233により変更される。そして、ピストン231の動作位置の変化に応じて液室232の容積が変化する。また、電動シリンダ23は、液室232の容積を増加させる方向にピストン231を付勢する付勢部材235を有している。なお、以下の説明では、液室232の容積が最大となるピストン231の動作位置を、同ピストン231の初期位置と記載する。そして、初期位置からのピストン231の動作量を、電動シリンダ23のピストンストロークSPと記載する。
電動シリンダ23には、液室232と外部とを連通するポートとして、入力ポート236及び出力ポート237の2つのポートが形成されている。電動シリンダ23の液室232は、入力ポート236を介してリザーブタンク21に接続されている。入力ポート236は、ピストンストロークSPが「0」のときには開放されており、ピストンストロークSPが一定の値以上に増加するとピストン231により閉塞される。一方、電動シリンダ23の出力ポート237は、ピストンストロークSPに拘わらず、常時開放されている。電動シリンダ23の出力ポート237は、第2液路14に接続されている。さらに電動シリンダ23の出力ポート237は、系統遮断弁25を介して第1液路13に接続されてもいる。系統遮断弁25は、通電時には開弁する一方で非通電時には閉弁する常閉式の電磁弁である。なお、系統遮断弁25の開弁時には、第1液路13、及び第2液路14は互いに連通した状態となる。
<第1ブレーキECU28の構成>
続いて、第1加圧部20に設けられた第1ブレーキECU28の構成を説明する。第1ブレーキECU28は、各種制御を実行する1つ又は複数のプロセッサと、制御用のプログラムやデータを記憶したメモリと、を備える電子制御装置である。第1ブレーキECU28は、電動シリンダ23、マスタカット弁24、系統遮断弁25、及びシミュレータカット弁26に制御可能に接続されている。また、第1ブレーキECU28には、ストロークセンサ280、マスタ圧センサ281、出力圧センサ282等の各種センサの検出信号が入力されている。ストロークセンサ280は、ペダルストロークSを検出するセンサである。マスタ圧センサ281は、マスタシリンダ22が出力ポート225から出力する液圧であるマスタ圧P0を検出するセンサである。出力圧センサ282は、電動シリンダ23が出力ポート237から出力する液圧を検出するセンサである。また、第1ブレーキECU28は、第2加圧部30に設けられた第2ブレーキECU35と通信可能に接続されている。これら以外にも、第1ブレーキECU28には、車輪速や車体加速度などの検出結果が入力されている。
第1ブレーキECU28は、ストロークセンサ280、マスタ圧センサ281、出力圧センサ282等の検出結果に基づき、電動シリンダ23、マスタカット弁24、系統遮断弁25、及びシミュレータカット弁26を制御する。なお、第1ブレーキECU28は、第2ブレーキECU35から第2加圧部30の制御状態を受信している。第1ブレーキECU28は、ストロークセンサ280、マスタ圧センサ281、出力圧センサ282の検出結果、及び第2加圧部30の制御状態から、各ホイールシリンダ11L、11R、12L、12Rの液圧を演算してもよい。
<第2加圧部30の構成>
続いて、第2加圧部30の構成を説明する。第2加圧部30は、各ホイールシリンダ11L、11R、12L、12Rをそれぞれ個別に調圧可能なユニットである。こうした第2加圧部30は、アンチスキッド制御、横滑り防止制御、トラクションコントロール等を実行可能である。
第2加圧部30は、第1助勢装置31、第2助勢装置32、液圧センサ33、及び第2ブレーキECU35を備えている。第1助勢装置31は、左右前輪のホイールシリンダ11L、11Rの液圧調整を行う装置である。また、第2助勢装置32は、左右後輪のホイールシリンダ12L、12Rの液圧調整を行う装置である。液圧センサ33は、第1加圧部20が第1液路13に供給する液圧P1を検出するセンサである。第2ブレーキECU35は、第1助勢装置31、及び第2助勢装置32を制御する電子制御装置である。
<第2ブレーキECU35の構成>
第2ブレーキECU35も、第1ブレーキECU28と同様に、電子制御装置として構成されている。第2ブレーキECU35は、第1助勢装置31及び第2助勢装置32に制御可能に接続されている。また、第2ブレーキECU35には、ストロークセンサ350、液圧センサ33の検出信号が入力されている。ストロークセンサ350は、上述のストロークセンサ280とは別の、ペダルストロークSの検出用のセンサである。なお、第2ブレーキECU35は、液圧センサ33の検出結果と、第1助勢装置31及び第2助勢装置32の制御状態から、各ホイールシリンダ11L、11R、12L、12Rの液圧を演算して求めている。本実施形態では、こうした第2ブレーキECU35と上述の第1ブレーキECU28との2つの電子制御ユニットにより、制動制御装置10の制御部が構成されている。
<第1助勢装置31及び第2助勢装置32の構成>
続いて、図2を参照して、第1助勢装置31及び第2助勢装置32の構成を説明する。ここではまず、第1助勢装置31におけるホイールシリンダ11L用の液圧回路の構成を説明する。同液圧回路は、差圧制御弁301、保持弁302、減圧弁303、ポンプ304、調圧リザーバ306、及び還流液路307を備えている。
第1液路13は、差圧制御弁301を介して液路308に接続されている。差圧制御弁301は、常開式のリニアソレノイド弁である。差圧制御弁301の開度制御により、第1液路13、液路308間に差圧を発生させることができる。差圧制御弁301とは並列に、チェック弁309が設置されている。チェック弁309は、第1液路13から液路308へのブレーキ液の流れを許容する一方で、その逆方向へのブレーキ液の流れを阻止する弁である。
液路308は、保持弁302を介して、ホイールシリンダ11Lに接続されている。保持弁302は、液路310を介してホイールシリンダ11Lに接続されている。液路308と液路310との間には、チェック弁311が保持弁302と並列に設けられている。チェック弁311は、液路310から液路308に向うブレーキ液の流れを許容する一方で、液路308から液路310に向うブレーキ液の流れを阻止する弁である。
液路310は、減圧弁303を介して調圧リザーバ306に接続されている。減圧弁303は、通電時には開弁する一方で通電停止時には閉弁する常閉式の電磁弁である。減圧弁303と調圧リザーバ306とは、液路312を通じて接続されている。
液路312は、ポンプ液路313を通じて液路308に接続されている。ポンプ液路313には、ポンプ304が設置されている。ポンプ304は、電気モータ305の回転を受けて作動する。そして、ポンプ304は、その作動に応じて、調圧リザーバ306内のブレーキ液を吸引して液路308に吐出する。なお、ポンプ液路313におけるポンプ304と液路308との間の部分には、チェック弁314が設置されている。チェック弁314は、ポンプ304から液路308に向うブレーキ液の流れを許容する一方で、液路308からポンプ304に向うブレーキ液の流れを阻止する弁である。
調圧リザーバ306は、還流液路307を通じて第1液路13に接続されている。調圧リザーバ306は、内部にある程度よりも多い量のブレーキ液が存在するときには、還流液路307との連通を遮断した状態となっている。このときのポンプ304は、調圧リザーバ306内のブレーキ液を吸引する。一方、調圧リザーバ306は、ポンプ304の吸引により内部のブレーキ液が減少すると、還流液路307と連通した状態となる。これにより、ポンプ304は、還流液路307を介して第1液路13からブレーキ液を吸引可能となる。
なお、第1助勢装置31におけるホイールシリンダ11R用の液圧回路は、ホイールシリンダ11L用の液圧回路と同様の構成をなしている。ホイールシリンダ11L用、ホイールシリンダ11R用の液圧回路は、差圧制御弁301、ポンプ304、調圧リザーバ306、還流液路307、液路308、312、ポンプ液路313、及びチェック弁309、314を共有している。そして、保持弁302、減圧弁303、液路310、及びチェック弁311については、ホイールシリンダ11L用の液圧回路とホイールシリンダ11R用の液圧回路とがそれぞれ個別のものを有している。
一方、第2助勢装置32におけるホイールシリンダ12L用、及びホイールシリンダ12R用の液圧回路も、第1助勢装置31におけるホイールシリンダ11L用、及びホイールシリンダ11R用の液圧回路と同様の構成となっている。なお、第1助勢装置31及び第2助勢装置32は、電気モータ305を共有している。
<第2加圧部30による加圧制御>
以上のように構成された第2加圧部30は、各ホイールシリンダ11L、11R、12L、12Rの液圧を個別に制御することができる。なお、以下の説明では、各ホイールシリンダ11L、11R、12L、12Rの液圧をホイール圧と記載する。ここでは、第2加圧部30によるホイールシリンダ11Lの加圧制御を例として説明する。なお、他のホイールシリンダ11R、12L、12Rの加圧制御も、ホイールシリンダ11Lの場合と同様に行われる。
ホイールシリンダ11Lの加圧に際して第2ブレーキECU35は、保持弁302を開弁するとともに、減圧弁303を閉弁する。また、第2ブレーキECU35は、ホイールシリンダ11Lのホイール圧と第1液路13の液圧P1との差圧の目標値である目標差圧を設定する。目標差圧は、ホイール圧が第1液路13の液圧P1よりも高圧となるように設定される。そして、第2ブレーキECU35は、目標差圧に応じた制御電流を差圧制御弁301に流す。この状態でブレーキECU35は、電気モータ305によりポンプ304を作動させて、第1液路13から調圧リザーバ306を介して液路308にブレーキ液を供給する。このときの液路308は、保持弁302の開弁、及び減圧弁303の閉弁により、液路310を介してホイールシリンダ11Lに直結した状態となっている。そのため、ポンプ304による液路308へのブレーキ液の供給に応じて、ホイールシリンダ11Lが加圧される。
なお、ホイールシリンダ11Lのホイール圧と第1液路13の液圧P1との差圧が目標差圧を超えて高くなろうとすると、力の大小関係から差圧制御弁301が開弁する。加圧後のホイール圧は、第1液路13の液圧P1、すなわち基礎液圧と、目標差圧との和になる。このように、液圧回路は、基礎液圧とホイール圧との間に差圧を発生させることで、ホイールシリンダ11Lを加圧する。すなわち、第1助勢装置31のホイールシリンダ11L用の液圧回路は、第1加圧部20が第1液路13に供給する液圧P1を増強してホイールシリンダ11Lに出力することで、同ホイールシリンダ11Lを加圧する。
<正常時の制動力制御>
続いて、異常が確認されていないとき、すなわち正常時における、制動制御装置10による車両の制動力の制御について説明する。正常時には、第1ブレーキECU28は、マスタカット弁24を閉弁するとともに、系統遮断弁25及びシミュレータカット弁26を開弁した状態としている。これにより、電動シリンダ23の出力ポート237は、第1液路13及び第2液路14の双方に接続された状態となる。一方、マスタシリンダ22の出力ポート225は、第1液路13及び第2液路14のいずれにも接続されずに、ストロークシミュレータ27にのみ接続された状態となる。すなわち、このときの制動制御装置10は、第1助勢装置31及び第2助勢装置32の双方を、電動シリンダ23を経由してリザーブタンク21に接続した状態となる。この状態では、電動シリンダ23により吐出されたブレーキ液がホイールシリンダ11L、11R、12L、12Rに送られる。本実施形態では、こうした正常時の制動制御装置10の状態が第2状態に対応している。
正常時には、第1ブレーキECU28が、電動シリンダ23の制御を通じてホイール圧を調整することで、車両の制動力を制御している。なお、以下の説明では、左右前輪のホイールシリンダ11L、11Rの液圧を前輪のホイール圧Pfと記載する。また、左右後輪のホイールシリンダ12L、12Rの液圧を後輪のホイール圧Prと記載する。
第1ブレーキECU28は、正常時の制動力制御を、下記の態様で行っている。すなわち、第1ブレーキECU28は、正常時の制動力制御に際して、ストロークセンサ280によるペダルストロークSの検出値、及びマスタ圧センサ281によるマスタ圧P0の検出値を読み込む。そして、第1ブレーキECU28は、マスタ圧P0及びペダルストロークSに基づき、前輪及び後輪のホイール圧Pr、Pfの目標値である目標ホイール圧Ptを演算する。そして、第1ブレーキECU28は、前輪及び後輪のホイール圧Pr、Pfが共に目標ホイール圧Ptとなるように電動シリンダ23を制御する。
このときの目標ホイール圧Ptの演算は、例えば次の態様で行われる。まず、第1ブレーキECU28は、マスタ圧P0に基づき第3目標ホイール圧Pt3を演算するとともに、ペダルストロークSに基づき第4目標ホイール圧Pt4を演算する。また、第1ブレーキECU28は、マスタ圧P0に基づき、重み係数αの値を演算する。第1ブレーキECU28は、「0」以上、かつ「1」以下の範囲において、マスタ圧P0が高いときには低いときよりも小さい値とするように重み係数αの値を演算する。そして、第1ブレーキECU28は、式(1)の関係を満たす値を、目標ホイール圧Ptの値として演算する。すなわち、正常時の制動力制御に際して第1ブレーキECU28は、マスタ圧P0に基づき重み係数αを設定する。そして、第1ブレーキECU28は、その重み係数αに応じた第3目標ホイール圧Pt3及び第4目標ホイール圧Pt4の加重平均値を目標ホイール圧Ptの値として演算している。
<異常時の制動力制御>
第1ブレーキECU28は、上記のような正常時の制動力制御に際して、制動制御装置10の異常の有無を確認している。例えば第1ブレーキECU28は、出力圧センサ282による電動シリンダ23の出力液圧の検出値と目標ホイール圧Ptとの乖離が継続している場合に、制動制御装置10に異常が発生したと判定している。なお、出力液圧と目標ホイール圧Ptとの乖離の継続は、例えば電動シリンダ23が正常に動作しなくなった場合や、制動制御装置10の液圧回路に液漏れが生じた場合に発生する。
第1ブレーキECU28は、制動制御装置10の異常を確認すると、上述の正常時の制動力制御を停止して、電動シリンダ23のピストン231を初期位置に戻す。具体的には、第1ブレーキECU28が電気モータ233への通電を停止することで、付勢部材235によってピストン231が初期位置に戻る。電動シリンダ23が制御可能である場合、ピストン231が初期位置に向けて移動するように電気モータ233が駆動されてもよい。ピストン231が初期位置に位置することで、電動シリンダ23は、入力ポート236と出力ポート237とが連通した状態となる。また、第1ブレーキECU28は、マスタカット弁24を開弁するとともに、系統遮断弁25及びシミュレータカット弁26を閉弁する。これにより、第1助勢装置31は、マスタシリンダ22を経由してリザーブタンク21に接続された状態となる。また、第2助勢装置32は、マスタシリンダ22を経由せずにリザーブタンク21に接続された状態となる。本実施形態では、このときの制動制御装置10の状態が第1状態に対応している。さらに、第1ブレーキECU28は、異常の発生を第2ブレーキECU35に通知する。そして、第2ブレーキECU35は、第1ブレーキECU28から異常発生の通知を受け取ると、第1助勢装置31及び第2助勢装置32によるホイール圧Pf、Prの調整を通じた車両の制動力制御を開始する。
図3に、こうした異常時の制動力制御のため、第2ブレーキECU35が実行する異常時ホイール圧制御ルーチンのフローチャートを示す。第2ブレーキECU35は、第1ブレーキECU28からの異常通知の受信後、同ルーチンの処理を既定の制御周期毎に繰り返し実行する。
本ルーチンを開始すると、第2ブレーキECU35は、まずステップS100において、ストロークセンサ350によるペダルストロークSの検出値を読み込む。また、同ステップS100において、第2ブレーキECU35は、液圧センサ33による液圧の検出値をマスタ圧P0の値として読み込む。このとき、第2ブレーキECU35は、液圧センサ33の検出値の代わりに、マスタ圧センサ281の検出値をマスタ圧P0の値として読み込んでもよい。
そして、第2ブレーキECU35は、続くステップS110において、第1演算マップMAP1を用いて、マスタ圧P0を基に第1目標ホイール圧Pt1を演算する。また、第2ブレーキECU35は、次のステップS120において、第2演算マップMAP2を用いて、ペダルストロークSを基に第2目標ホイール圧Pt2を演算する。
図4は、第1演算マップMAP1の一例を示している。第1演算マップMAP1は、マスタ圧P0に比例する値を第1目標ホイール圧Pt1の値として演算するように設定されている。図5は、第2演算マップMAP2の一例を示している。第2演算マップMAP2は、ペダルストロークSが大きいほど高い液圧を第2目標ホイール圧Pt2の値として演算するように設定されている。
続いて、第2ブレーキECU35は、ステップS130において、前輪のホイール圧Pfの目標値である前輪目標ホイール圧Ptfの値として、第1目標ホイール圧Pt1を設定する。また、第2ブレーキECU35は、ステップS140において、後輪のホイール圧Prの目標値である後輪目標ホイール圧Ptrの値として、第1目標ホイール圧Pt1及び第2目標ホイール圧Pt2のうちのいずれか高い方の液圧を設定する。そして、第2ブレーキECU35は、ステップS150において、前輪のホイール圧Pfを前輪目標ホイール圧Ptfとすべく第1助勢装置31を制御する。また、第2ブレーキECU35は、同ステップS150において、後輪のホイール圧Prを後輪目標ホイール圧Ptrとすべく第2助勢装置32を制御する。そして、その後、第2ブレーキECU35は、今回の制御周期における本ルーチンの処理を終了する。
<実施形態の作用及び効果>
本実施形態の作用及び効果について説明する。
第1ブレーキECU28は、制動制御装置10の異常が確認されていないときには、同制動制御装置10の状態を、第1助勢装置31及び第2助勢装置32の双方が電動シリンダ23を経由してリザーブタンク21に接続される第2状態としている。そして、第1ブレーキECU28は、電動シリンダ23による各ホイール圧Pf、Prの調整を通じて、車両の制動力を制御している。このときには、マスタ圧P0及びペダルストロークSに基づき、前輪、後輪共通の目標ホイール圧Ptを設定して、制動力を制御している。
制動制御装置10の異常を確認すると、同制動制御装置10の状態が、第2状態から第1状態に切替わる。第1状態では、第1助勢装置31は、マスタシリンダ22を経由してリザーブタンク21に接続される。また、第2助勢装置32は、マスタシリンダ22を経由せずにリザーブタンク21に接続される。このときには、前輪のホイールシリンダ11L、11Rの液圧系統と、後輪のホイールシリンダ12L、12Rの液圧系統と、が独立した液圧系統となる。
また、このときには、電動シリンダ23の制御を通じたホイール圧Pf、Prの調整が中止される。その代わりに、第2ブレーキECU35が、第1助勢装置31及び第2助勢装置32の制御を通じたホイール圧Pf、Prの調整を開始する。このときの第2助勢装置32は、マスタシリンダ22を経由せずにリザーブタンク21から吸引したブレーキ液を加圧して後輪のホイールシリンダ12L、12Rに送る。すなわち、このときの第2助勢装置32は、マスタシリンダ22とは独立してホイールシリンダ12L、12Rにブレーキ液を送っている。
また、制動制御装置10の異常を確認すると、第2ブレーキECU35は、マスタ圧P0に基づき第1目標ホイール圧Pt1を設定し、ペダルストロークSに基づき第2目標ホイール圧Pt2を設定する。そして、第2ブレーキECU35は、第1目標ホイール圧Pt1を前輪目標ホイール圧Ptfの値として設定する。また、このときの第2ブレーキECU35は、第1目標ホイール圧Pt1及び第2目標ホイール圧Pt2のうちのいずれか高い方の液圧を後輪目標ホイール圧Ptrの値として設定する。そして、第2ブレーキECU35は、前輪のホイール圧Pfを前輪目標ホイール圧Ptfとすべく第1助勢装置31を制御するとともに、後輪のホイール圧Prを後輪目標ホイール圧Ptrとすべく第2助勢装置32を制御している。
第1助勢装置31を経てマスタシリンダ22と前輪のホイールシリンダ11L、11Rとを繋ぐ液路で液漏れが発生すると、ブレーキペダル15が踏込まれてもマスタ圧P0が上昇しなくなる場合がある。マスタ圧P0に基づいて後輪目標ホイール圧Ptrを設定すると、そうした場合に前輪のホイールシリンダ11L、11R及び後輪のホイールシリンダ12L、12Rがそれぞれ発生する制動力が双方共に不足する可能性がある。これに対して、後輪目標ホイール圧PtrをペダルストロークSに基づき設定すれば、上記液漏れの発生時にも、後輪のホイールシリンダ12L、12Rが発生する制動力を運転者の要求に応じて適切に制御できる。
ただし、ペダルストロークSのみに基づき後輪目標ホイール圧Ptrを設定した場合には、液漏れが発生しておらず、ブレーキペダル15の踏込みに応じてマスタ圧P0が正常に上昇する状況下で次の問題が発生することがある。第1助勢装置31は、前輪のホイールシリンダ11L、11Rの液圧調整のため、ブレーキ液をマスタシリンダ22に戻すことがある。例えば、前輪に減速スリップが発生したためにアンチスキッド制御が実行された場合、第1助勢装置31によって前輪のホイール圧Pfが減少されることがある。前輪のホイール圧Pfを減少させる場合、第1助勢装置31では、減圧弁303が開弁され、且つ保持弁302が閉弁された状態で、ポンプ304が作動する。これにより、ホイールシリンダ11L,11Rのブレーキ液がポンプ304によってマスタシリンダ22に戻される。マスタシリンダ22にブレーキ液が戻されると、マスタシリンダ22の圧力室222内の液量が増える。そのため、運転者からブレーキペダル15に入力される踏力が一定であっても、ブレーキペダル15が押し戻されて、ペダルストロークSが減少する。よって、ペダルストロークSのみに基づいて後輪目標ホイール圧Ptrを設定した場合には、このときのペダルストロークSの減少に応じてホイール圧Prが減少して、後輪に発生させる制動力が減少してしまう。
その点、本実施形態では、液漏れによりマスタ圧P0が上昇しない場合にも、ペダルストロークSの増加に応じて第2目標ホイール圧Pt2が高まるため、後輪のホイールシリンダ12L、12Rが発生する制動力をブレーキペダル15の踏込みに応じて増大できる。また、液漏れが無い場合に、第1助勢装置31によるマスタシリンダ22へのブレーキ液の戻しによりペダルストロークSが減少しても、運転者からブレーキペダル15に入力される踏力が一定であれば、マスタ圧P0は減少しない。よって、このときには、第2目標ホイール圧Pt2が低下しても第1目標ホイール圧Pt1は維持される。そのため、第1助勢装置31によりマスタシリンダ22にブレーキ液が戻されても、後輪のホイールシリンダ12L、12Rが発生する制動力が減少されなくなる。よって、制動制御装置10の異常時にあって上記液漏れが発生している場合、発生していない場合のいずれにおいても、後輪のホイールシリンダ12L、12Rが発生する制動力を、運転者の要求に応じて適切に制御できる。
なお、後輪目標ホイール圧Ptrと同様に、第1目標ホイール圧Pt1及び第2目標ホイール圧Pt2のうちのいずれか高い方の液圧を前輪目標ホイール圧Ptfの値として設定すると、次の問題が生じてしまう。マスタシリンダ22におけるマスタピストン221の動作位置は、ブレーキペダル15の踏力とマスタ圧P0とのバランスにより定まる。そして、ペダルストロークSは、ブレーキペダル15の踏力とマスタ圧P0とのバランスにより定まる。一方、制動制御装置10の異常時の第1助勢装置31は、マスタシリンダ22から出力されたブレーキ液を増圧することで、ホイール圧Pfを発生している。第1助勢装置31がマスタシリンダ22内のブレーキ液を吸引すると、マスタ圧P0が低下して、その分、ペダルストロークSが伸びる。このときのペダルストロークSの伸長に応じて第1目標ホイール圧Pt1を嵩上げすると、第1助勢装置31はホイール圧Pfを更に高めるため、マスタシリンダ22内のブレーキ液を更に吸引する。そして、ブレーキ液の吸引によるマスタ圧P0の低下に応じて、ペダルストロークSが更に伸びる。以上の繰り返しにより、第1目標ホイール圧Pt1が上昇し続けて発散してしまう。そのため、本実施形態では、前輪目標ホイール圧Ptfについてはマスタ圧P0のみに基づき値を設定することで、上記のような前輪目標ホイール圧Ptfの発散を避けている。
以上のように本実施形態では、上記液漏れを伴う異常時、同液漏れを伴わない異常時のいずれにおいても、後輪のホイール圧Prを運転者の要求に応じて適切に制御できる。また、本実施形態の制動制御装置10では、上記液漏れを伴わない異常時には、前輪のホイール圧Pfを、運転者の要求に応じて適切に制御できる。
なお、以上説明した本実施形態では、第1目標ホイール圧Pt1が第1目標液圧に、第2目標ホイール圧Pt2が第2目標液圧に、それぞれ対応する。また、前輪のホイールシリンダ11L、11Rが第1ホイールシリンダに、後輪のホイールシリンダ12L、12Rが第2ホイールシリンダに、それぞれ対応する。また、本実施形態では、制動制御装置10の異常発生時における第1助勢装置31が、マスタシリンダ22から出力されたブレーキ液を増圧して第1ホイールシリンダに送る第1加圧装置に対応している。さらに、本実施形態では、制動制御装置10の異常発生時における第2助勢装置32が、マスタシリンダ22とは独立して第2ホイールシリンダにブレーキ液を送る第2加圧装置に対応している。加えて、本実施形態では、制動制御装置10の異常発生時における第2ブレーキECU35が、第1、第2目標液圧の設定、及びそれら目標液圧に基づく第1、第2加圧装置の制御を行う制御部に対応している。
(実施形態の変更例)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
<第1加圧部について>
マスタシリンダ22から出力されたブレーキ液を第1液路13に送り、かつマスタシリンダ22とは独立して第2液路14にブレーキ液を送る状態を形成可能に構成されていれば、第1加圧部20を図1とは異なる構成としてもよい。
図6には、そうした第1加圧部20の代わりとなる第1加圧部20Aの変更例の構成を示す。この第1加圧部20Aは、マスタシリンダ22Aと、ストロークシミュレータ27と、電動シリンダ23とを備えている。マスタシリンダ22Aの構成は、例えば「特開2021-49935号公報」に記載されている。マスタシリンダ22Aは、メインシリンダ41、カバーシリンダ42、マスタピストン43及び入力ピストン44を備えている。入力ピストン44にブレーキペダル15が連結されている。メインシリンダ41内には、マスタピストン43によってマスタ室411、第1液圧室412及びサーボ室413が区画形成されている。カバーシリンダ42内には第2液圧室421及び第3液圧室422が区画形成されている。メインシリンダ41内には、マスタ室411の容積を拡大する方向にマスタピストン43を付勢するマスタスプリング45が設けられている。カバーシリンダ42内には、第2液圧室421の容積を拡大する方向に入力ピストン44を付勢する入力スプリング46が設けられている。また、この第1加圧部20Aにおける電動シリンダ23はサーボ室413に接続されている。すなわち、電動シリンダ23は、後輪のホイールシリンダ12L,12R及びサーボ室413にブレーキ液を供給可能である。また、第1加圧部20Aは複数の制御弁52、53を有している。制御弁52、53は、第2液圧室421とリザーブタンク21と直接接続する液路に設けられている。制御弁52はノーマルクローズ型の電磁弁であり、制御弁53はノーマルオープン型の電磁弁である。これら制御弁52、53は通電状態に応じて、次の第1状態と第2状態とを切替える。第1状態は、第1液圧室412及び第2液圧室421を、ストロークシミュレータ27に接続する一方でリザーブタンク21とは遮断した状態である。第2状態は、第1液圧室412及びストロークシミュレータ27を、リザーブタンク21に接続する一方で第2液圧室421とは遮断した状態である。
第1加圧部20Aは正常時には、制御弁52は開弁して制御弁53は閉弁される。この状態では、第2液圧室421はストロークシミュレータ27と液圧的に連通し、リザーブタンク21とは液圧的に遮断される。この状態でペダル操作された場合、ストロークシミュレータ27によってペダルフィーリングがブレーキペダル15に供給される。制御弁52が開弁されて制御弁53が閉弁された状態で、電動シリンダ23はブレーキペダル15の操作量に応じてブレーキ液を出力ポート237から出力する。出力されたブレーキ液は第2液路14とサーボ室413に供給される。サーボ室413にブレーキ液が供給されることでマスタピストン43はマスタ室411が小さくなるように摺動する。マスタピストン43がこのように摺動することに伴いマスタ室411から第1液路13にブレーキ液が供給される。このように正常時には、第1加圧部20Aは電動シリンダ23と制御弁52、53を制御して第1液路13と第2液路14の夫々にブレーキ液と供給する。
第1加圧部20Aは、制動制御装置10の異常時には制御弁52、53が、第1液圧室412及びストロークシミュレータ27をリザーブタンク21に接続し、かつ第2液圧室421とは遮断する。具体的には、制御弁52、53は非通電状態となり、制御弁52は閉弁し、制御弁53は開弁する。これにより第2液圧室421は密閉状態となり、ブレーキペダル15に加わった踏力が、入力ピストン44および第2液圧室421に密閉されたブレーキ液を介してマスタピストン43に伝達される状態となる。このときの第1液路13は、マスタシリンダ22Aのマスタ室411に接続される。よって、このときの制動制御装置10は、第1助勢装置31が、マスタシリンダ22Aから出力されたブレーキ液を増圧して前輪のホイールシリンダ11L、11Rに送ることで、前輪の制動力を発生させる。また、このときの制動制御装置10は、第2助勢装置32が、マスタシリンダ22Aとは独立して後輪のホイールシリンダ12L、12Rにブレーキ液を送ることで、後輪の制動力を発生させる。
上記実施形態の異常時の制動力制御は、こうした第1加圧部20Aを備える制動制御装置10にも同様に適用できる。そしてそうした場合にも、上記実施形態と同様の作用、効果が得られる。
さらに、上記実施形態及び変更例は、次のように変更してもよい。
・図1の制動制御装置10では、マスタカット弁24及び系統遮断弁25を切替機構として備えていた。こうした切替機構の構成は、適宜に変更してもよい。
・電動シリンダ23の代わりに、電気モータにより作動するポンプを用いた電動加圧装置を備えるようにしてもよい。
・上記実施形態では、第1ブレーキECU28、及び第2ブレーキECU35の2つの制御部を制動制御装置10に設けていた。そして、正常時の制動力制御は第1ブレーキECU28が行い、異常時の制動力制御は第2ブレーキECU35が行っていた。正常時、異常時の制動力制御を同一の制御部が行うようにしてもよい。また、制動制御装置10に、電動シリンダ23、第1助勢装置31及び第2助勢装置32のすべてを制御する制御部を一つだけ設けるようにしてもよい。
・上記実施形態では、目標ホイール圧Ptと電動シリンダ23の出力液圧との乖離により、制動制御装置10の異常の有無を判定していた。こうした制動制御装置10の異常の有無の判定態様は、適宜変更してもよい。
・上記実施形態では、異常の有無により、制動制御装置10の状態を、第1状態と第2状態とに切替えていたが、異常の有無以外の条件で第1状態と第2状態とを切替えるようにしてもよい。
・上記実施形態では、制動制御装置10に異常が発生した場合、電動シリンダ23の制御を中止していたが、異常発生時にも電動シリンダ23の制御を継続してもよい。例えば、制動制御装置10の異常発生時に第1ブレーキECU28が、電動シリンダ23の出力液圧を第2目標ホイール圧Pt2とするように電動シリンダ23を制御するようにしてもよい。この場合には、電動シリンダ23と液圧的に接続されている差圧制御弁301は通電されずに開弁していればよい。この場合には、電動シリンダ23が第2加圧装置に対応する構成となる。また、制動制御装置10の異常発生時に、第2目標ホイール圧Pt2が電動シリンダ23と第2助勢装置32の夫々で出力されるブレーキ圧の合計で得られるように、電動シリンダ23と第2助勢装置32の夫々を制御してもよい。この場合には、電動シリンダ23及び第2助勢装置32の双方により、第2加圧装置が構成される。そして、この場合には、電動シリンダ23が、ブレーキ液を電動により加圧して吐出する電動加圧装置に対応し、第2助勢装置32が、電動加圧装置から出されたブレーキ液を増圧して第2ホイールシリンダに送る助勢装置に対応する。さらに、第1ブレーキECU28が、第1目標液圧及び第2目標液圧の設定、それらに基づく第1加圧装置及び第2加圧装置の制御を行う制御部に対応する。
・上記実施形態の異常時の制動力制御は、次のように構成された制動制御装置における制動力制御として採用することが可能である。すなわち、切替機構を備えておらず、上記実施形態の制動制御装置10における第1状態に固定された構成の制動制御装置である。この場合、異常時の制御ではなく、正常時の制御として、上記実施形態の異常時の制動力制御を採用することも可能である。
・上記実施形態では、左右前輪のホイールシリンダ11L、11Rを第1ホイールシリンダとし、左右後輪のホイールシリンダ12L、12Rを第2ホイールシリンダとしていた。第1ホイールシリンダ、第2ホイールシリンダのそれぞれを構成するホイールシリンダの組合せは適宜変更してもよい。例えば左前輪のホイールシリンダ11L及び右後輪のホイールシリンダ12Rを第1ホイールシリンダとするとともに、右前輪のホイールシリンダ11R及び左後輪のホイールシリンダ12Lを第2ホイールシリンダとしてもよい。
・第1ブレーキECU28及び第2ブレーキECU35は、次の回路として構成し得る。すなわち、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する専用のハードウェアなどの1つ以上の専用のハードウェア回路又はこれらの組合せを含む回路である。専用のハードウェアとしては、例えば、特定用途向け集積回路であるASICを挙げることができる。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROMなどのメモリを含む。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリ、すなわち記憶媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
上記実施形態では第1目標液圧はマスタ圧のみに基づいて設定され、第2目標液圧はペダルストロークのみに基づいて設定されていた。しかし第1目標液圧はマスタ圧とペダルストロークに基づいて設定されてもよい。この場合、第1目標液圧の設定において、マスタ圧の寄与度がペダルストロークの寄与度よりも大きければよい。また、第2目標液圧はペダルストロークとマスタ圧に基づいて設定されてもよい。この場合、第2目標液圧の設定において、ペダルストロークの寄与度がマスタ圧の寄与度よりも大きければよい。
10…制動制御装置
11L、11R…ホイールシリンダ(第1ホイールシリンダ)
12L、12R…ホイールシリンダ(第2ホイールシリンダ)
13…第1液路
14…第2液路
15…ブレーキペダル
20、20A…第1加圧部
21…リザーブタンク
22、22A…マスタシリンダ
221…マスタピストン
222…圧力室
223…付勢部材
224…入力ポート
225…出力ポート
23…電動シリンダ
231…ピストン
232…液室
233…電気モータ
234…直動変換機構
235…付勢部材
236…入力ポート
237…出力ポート
24…マスタカット弁(切替機構)
25…系統遮断弁(切替機構)
26…シミュレータカット弁
27…ストロークシミュレータ
28…第1ブレーキECU(制御部)
280…ストロークセンサ
281…マスタ圧センサ
282…出力圧センサ
30…第2加圧部
31…第1助勢装置
32…第2助勢装置
33…液圧センサ
35…第2ブレーキECU(制御部)
301…差圧制御弁
302…保持弁
303…減圧弁
304…ポンプ
305…電気モータ
306…調圧リザーバ
307…還流液路
308、310、312…液路
309、311、314…チェック弁
313…ポンプ液路
350…ストロークセンサ
41…メインシリンダ
411…マスタ室
412…第1液圧室
413…サーボ室
42…カバーシリンダ
421…第2液圧室
422…第3液圧室
43…マスタピストン
44…入力ピストン
45…マスタスプリング
46…入力スプリング
52、53…制御弁

Claims (4)

  1. 第1ホイールシリンダ及び第2ホイールシリンダの液圧調整により車両の制動力を制御する制動制御装置であって、
    ブレーキペダルの踏込みに応じてブレーキ液を出力するマスタシリンダと、
    前記マスタシリンダから出力された前記ブレーキ液を増圧して前記第1ホイールシリンダに送る第1加圧装置と、
    前記マスタシリンダとは独立して前記第2ホイールシリンダに前記ブレーキ液を送る第2加圧装置と、
    前記マスタシリンダより出力された前記ブレーキ液の圧力であるマスタ圧に基づいて設定した第1目標液圧、及び前記ブレーキペダルの踏込量であるペダルストロークに基づいて設定した第2目標液圧のうちのいずれか高い方の液圧を前記第2ホイールシリンダの目標液圧として設定して前記第2加圧装置を制御する制御部と、
    を備えている制動制御装置。
  2. 前記制御部は、前記第1目標液圧を前記第1ホイールシリンダの目標液圧として設定して前記第1加圧装置を制御する請求項1に記載の制動制御装置。
  3. 前記第2加圧装置は、前記ブレーキ液を電動により加圧して吐出する電動加圧装置と、前記電動加圧装置から吐出された前記ブレーキ液を増圧して前記第2ホイールシリンダに送る助勢装置と、を含み、
    前記電動加圧装置が吐出した前記ブレーキ液を前記第1ホイールシリンダ及び前記第2ホイールシリンダの双方に送る第1状態と、前記電動加圧装置が吐出した前記ブレーキ液を、前記第1ホイールシリンダ及び前記第2ホイールシリンダのうちの前記第2ホイールシリンダのみに送る第2状態と、に切替わる切替機構を備えており、
    前記制御部は、前記切替機構が前記第2状態である場合に、前記第1目標液圧及び前記第2目標液圧のうちのいずれか高い方の液圧を前記第2ホイールシリンダの目標液圧として設定して前記電動加圧装置及び前記助勢装置の少なくとも一方を制御する
    請求項1又は請求項2に記載の制動制御装置。
  4. 前記切替機構は、異常の発生に応じて前記第1状態から前記第2状態に切替わる請求項3に記載の制動制御装置。
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