JP2023102062A - 薄膜トランジスタ、トランジスタアレイ、及び、センサ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】機械的な曲げひずみによる劣化を緩和する共に製造プロセスを簡略化できる薄膜トランジスタを提供する。【解決手段】薄膜トランジスタ100は、絶縁基板10、ゲート層11、有機ゲート絶縁膜12、無機ゲート絶縁膜13、チャネル層14、ソース電極20、及び、ドレイン電極30を備える。ソース電極20は、平面視した際にチャネル層14の外周14aの内側に位置するように配置されるソース電極本体21を有する。ドレイン電極30は、平面視した際にソース電極本体21を取り囲むようにチャネル層14の外周14aに沿って配置されるドレイン電極本体31を有する。ソース電極本体21は、外周側に曲線部分23を含み、ドレイン電極本体31は、曲線部分23と対向する曲線部分33を内周側に含む。ドレイン電極本体31には、ソース電極20がチャネル層14の外周14aの内側から外側に向けて延在する領域に切欠きSが設けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、薄膜トランジスタ、トランジスタアレイ、及び、センサ装置に関する。本発明はより詳細には、有機高分子化合物によって構成された有機ゲート絶縁膜と、無機珪素化合物によって構成された無機ゲート絶縁膜との積層体をゲート絶縁層として備え、ソース及びドレイン電極形状を有する薄膜トランジスタに関する。
酸化物半導体は、新しい特性を持つ電子・光デバイスの実現に必要な材料である。特にZnOやInGaZnOなどの酸化物半導体材料は、薄膜トランジスタのチャネル層として用いた場合、a-Si(アモルファスシリコン)を凌駕する性能を示すことが明らかになっている。このため、酸化物半導体は、液晶パネルや有機ELパネルなどの駆動用背面板としての利用が試みられている。また、上記の酸化物半導体材料は、成膜条件を適切に制御することにより、成膜時又は成膜後の加熱なしや低温加熱により良好な半導体特性を得られることが知られている。このため、耐熱性の乏しい樹脂フィルムなどを基材とするフレキシブルデバイスの実現にも大きな期待が寄せられている。
特許文献1には、アモルファス酸化物半導体を用いた薄膜電界効果型トランジスタが開示されている。特許文献1に開示されている薄膜トランジスタでは、ゲート絶縁膜として、有機高分子化合物膜と無機珪素化合物膜とが設けられており、これにより、耐圧性と柔軟性とが付与されている。また、非特許文献1にも薄型トランジスタが開示されている。
特開2010-21264号公報
Journal of The Electron Devices Society,Vol5,No.6,Nov 2017,pp.453-457
特許文献1等に示す従来の薄膜トランジスタは、例えば、図12及び図13に示すように、絶縁基板200、ゲート電極201、有機ゲート絶縁膜202、無機ゲート絶縁膜203、チャネル層204、ソース電極205a、及び、ドレイン電極205b(ソース及びドレイン層205)を備えて構成されている。チャネル層204は半導体層であり、例えば、アモルファス酸化物半導体からなる。この薄膜トランジスタは、例えば、ゲート電極201がソース電極205a及びドレイン電極205bよりも絶縁基板200側に位置するボトム・ゲート構造の薄膜トランジスタである。このような薄膜トランジスタは、平面視した際に矩形形状を呈するソース電極205aと同じく矩形形状を呈するドレイン電極205bとが所定のチャネル長及びチャネル幅で対向するように形成されている。しかしながら、この薄膜トランジスタのソース電極205a及びドレイン電極205bは、直角も含む鋭角な電極部分を有しており、機械的な曲げひずみにより角部が剥離してしまい、電極性能が劣化してしまう虞がある。
また、図14に示すように、ソース電極及びドレイン電極から鋭角な電極部分を取り除いた構成の薄膜トランジスタも考えられる。この薄膜トランジスタは、中心付近に配置された電極部分を有するソース電極305aと、ソース電極305aの外周に接触し、ソース電極の外周を覆うよう配設された半導体層と、半導体層の外周に接触し、半導体層の外周を覆うよう配設されたドレイン電極305bとを備える。この薄膜トランジスタでは、ソース電極305aの中心の電極部分の外周とドレイン電極305bの内周とは互いが同心円となる部分を有する形状となっている(例えば、非特許文献1を参照)。即ち、ソース電極及びドレイン電極が円形状又は半円形状を呈するように形成されている。このような構成により、この薄膜トランジスタでは、上述した薄膜トランジスタの劣化の抑制は可能となる。一方、ソース電極とドレイン電極とが同層上にないため、この薄膜トランジスタの製造プロセスは複雑なものとなる傾向がある。例えば、ソース電極305aとチャネル層304をコンタクトさせる為のソース電極305aとドレイン電極305bの間にある層間絶縁膜306の穴開け工程等が必要とされる(図14~図16を参照)。このように、図14等に示す薄膜トランジスタでは、製造プロセスが複雑になるといった問題がある。
本発明は、機械的な曲げひずみによる劣化を緩和する共に製造プロセスを簡略化することができる、薄膜トランジスタ、トランジスタアレイ、及び、センサ装置を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る薄膜トランジスタは、絶縁基板と、絶縁基板上に形成されたゲート電極と、ゲート電極を覆う有機ゲート絶縁膜と、有機ゲート絶縁膜上に形成された無機ゲート絶縁膜と、無機ゲート絶縁膜上に形成されたチャネル層と、チャネル層上に形成されたソース電極及びドレイン電極と、を備える。ソース電極及びドレイン電極の一方である第1電極は、平面視した際にチャネル層の外周の内側に位置するように配置され且つチャネル層に接触する第1電極本体を有する。ソース電極及びドレイン電極の他方である第2電極は、平面視した際に第1電極本体を取り囲むようにチャネル層の外周に沿って配置され且つチャネル層に接触する第2電極本体を有する。第1電極本体は、外周側に第1曲線部分を含み、第2電極本体は、第1曲線部分と対向する第2曲線部分を内周側に含む。このような薄膜トランジスタでは、第2電極本体には、平面視した際に第1電極がチャネル層の外周の内側から外側に向けて延在する領域に切欠きが設けられている。
この薄膜トランジスタでは、ソース電極及びドレイン電極の一方である第1電極の第1電極本体が外周側に第1曲線部分を含み、ソース電極及びドレイン電極の他方である第2電極の第2電極本体が第1曲線部分と対向する第2曲線部分を内周側に含むように構成されている。このような構成により、薄膜トランジスタのソース電極及びドレイン電極において、機械的な曲げひずみによる劣化が生じやすい鋭角等の角部領域が低減され、その結果、機械的な曲げひずみによる劣化を緩和することができる。また、この薄膜トランジスタでは、第2電極本体には、平面視した際に第1電極がチャネル層の外周の内側から外側に向けて延在する領域に切欠きが設けられている。このような構成により、ソース電極及びドレイン電極の一方である第1電極と、ソース電極及びドレイン電極の他方であう第2電極とを互いに接触しないように同層上(チャネル層上)に形成することができ、層間絶縁膜の穴明け工程等が不要となり、製造プロセスを簡略化することができる。
更に、上述した薄膜トランジスタでは、ソース電極及びドレイン電極の一方である第1電極の第1電極本体と他方である第2電極の第2電極本体との対向領域において、第1電極本体の外周と第2電極本体の内周とが組み合わさる構成である。このような構成により、この薄膜トランジスタによれば、十分な長さのチャネル幅を容易に確保することができる。なお、この薄膜トランジスタでは、第1電極本体及び第2電極本体が曲線部分を有することから、薄膜トランジスタを屈曲する方向をより広範囲にしても、いずれの方向でも同様の屈曲を可能とすることができる。
上記の薄膜トランジスタにおいて、第1電極本体の第1曲線部分と第2電極本体の第2曲線部分とは、同一面上において互いに同心となる円それぞれの一部であることが好ましい。この場合、薄膜トランジスタにおけるチャネル長をより確実に一定幅にすることができ、薄膜トランジスタの動作を安定させることが可能となる。
上記の薄膜トランジスタにおいて、第2電極は、C字形状の第2電極本体と、第2電極本体から延在する第2配線とを有することが好ましい。これにより、ソース電極とドレイン電極との対向領域に鋭角な部分を設けないことをより確実に実施することが可能となる。よって、この薄膜トランジスタによれば、機械的な曲げひずみによる劣化をより確実に緩和することができる。この薄膜トランジスタにおいて、第2電極本体のC字形状の両先端部分のうちの少なくとも一方が外に凸の曲面形状(例えば半円形状)であってもよい。この場合、剥離が生じやすい第2電極の先端部分においても機械的な曲げひずみによる劣化を確実に緩和することができる。なお、第2電極本体の先端部分の曲率半径は5μm以上であってもよい。
上記の薄膜トランジスタにおいて、第1電極は、第2電極本体のC字形状の先端部分の間を第2電極本体に触れないように延在することが好ましい。このような構成を採用することにより、ソース電極とドレイン電極とを円形部分を含みつつ、同一表面上に形成することが可能となる。これにより、機械的な曲げひずみによる劣化を緩和する共に製造プロセスを簡略化することができる。
上記の薄膜トランジスタにおいて、第1電極は、円形形状の第1電極本体と、第1電極本体から延在する第1配線とを有し、第1電極本体の直径が、延在方向と直交する方向における第1配線の幅よりも大きいことが好ましい。これにより、ソース電極とドレイン電極との対向領域に鋭角な部分を設けないことをより確実に実施することが可能となる。よって、この薄膜トランジスタによれば、機械的な曲げひずみによる劣化を確実に緩和することができる。また、第2電極本体に対向する第1電極本体の形状をより大きくすることができるため、チャネル長をより短くして、薄膜トランジスタの動作能力を向上させることができる。なお、この薄膜トランジスタにおいて、第1電極本体の直径は5μm以上であってもよい。
上記の薄膜トランジスタにおいて、第1電極の第1配線は、a)平面視した際にゲート電極のゲート配線が延在する方向と重ならない方向であって、且つ、b1)第2電極の第2配線の延在方向に対して逆側となる方向、又は、b2)第2電極の第2配線の延在方向に対して所定の角度を為す方向、に延在してもよい。この場合、ソース電極及びドレイン電極の配線自由度を向上させつつ、ゲート配線との間に不要な容量を生じさせてしまうことを防止することができる。
上記の薄膜トランジスタにおいて、第1電極本体の第1曲線部分と第2電極本体の第2曲線部分との対向距離であるチャネル長が3μm以上であってもよい。これにより、ソース電極及びドレイン電極間のチャネル幅として十分な長さをより確実に確保することができる。よって、この薄膜トランジスタによれば、十分な電流値を容易に確保することができ、コンパクトなトランジスタ構成とすることができる。
本発明の別側面に係るトランジスタアレイは、上述した何れかの構成を有する薄膜トランジスタを複数備え、複数の薄膜トランジスタがアレイ状に配置されている。これにより、薄膜トランジスタの機械的な曲げひずみによる劣化を緩和したトランジスタアレイを、より簡略化したプロセスで製造することが可能となる。
本発明の更に別の側面に係るセンサ装置は、上述したトランジスタアレイと、トランジスタアレイ上に設けられるセンサ部材と、を備える。これにより、薄膜トランジスタの機械的な曲げひずみによる劣化を緩和したセンサ装置を、より簡略化したプロセスで製造することが可能となる。
本発明によれば、機械的な曲げひずみによる劣化を緩和する共に製造プロセスを簡略化した、薄膜トランジスタ、トランジスタアレイ、及び、センサ装置を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るボトム・ゲート構造の薄膜トランジスタを示す上面図である。 図2は、図1に示す薄膜トランジスタのII-II線に沿った断面図であり、ゲート電極方向における断面を示す。 図3(a)~(c)は、図1に示す薄膜トランジスタを製造する工程を順に示す断面図である。 図4(a)~(c)は、図3に続いて、図1に示す薄膜トランジスタを製造する工程を順に示す断面図である。 図5(a)~(c)は、図4に続いて、図1に示す薄膜トランジスタを製造する工程を順に示す断面図である。 図6(a)~(c)は、図5に続いて、図1に示す薄膜トランジスタを製造する工程を順に示す断面図である。 図7(a)~(c)は、図6に続いて、図1に示す薄膜トランジスタを製造する工程を順に示す断面図である。 図8は、図1に示す薄膜トランジスタの第1変形例を示す上面図である。 図9は、図1に示す薄膜トランジスタの第2変形例を示す上面図である。 図10は、図1に示す薄膜トランジスタをアレイ状に配置したトランジスタアレイを示す上面図である。 図11は、図10に示すトランジスタアレイを用いたセンサ装置の概要を示す図である。 図12は、従来の薄膜トランジスタを示す上面図である。 図13は、図12に示す従来の薄膜トランジスタのチャネル長方向に沿った断面図である。 図14は、従来の薄膜トランジスタの別の形態を示す上面図である。 図15は、図14に示す薄膜トランジスタのXV-XV線に沿った断面図であり、ゲート電極方向における断面を示す。 図16は、図14に示す薄膜トランジスタのXVI-XVI線に沿った断面図であり、ソース及びドレイン電極方向における断面を示す。
以下、本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタ、トランジスタアレイ、及び、センサ装置について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明を適宜省略する。図面の寸法及び寸法比率は、必ずしも実際の寸法及び寸法比率とは一致していない。なお、本発明は以下の記述により限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
図1は、一実施形態に係るボトム・ゲート構造の薄膜トランジスタを示す上面図である。図2は、図1に示す薄膜トランジスタのII-II線に沿った断面図であり、ゲート電極のライン方向に沿った断面を示す。図1及び図2に示すように、薄膜トランジスタ100は、例えば、ボトム・ゲート構造の薄膜トランジスタであり、絶縁基板10、ゲート層11、有機ゲート絶縁膜12、無機ゲート絶縁膜13、チャネル層14、及び、ソース及びドレイン層15を備える。なお、図2に示すように、ゲート層11とチャネル層14との間には有機ゲート絶縁膜12及び無機ゲート絶縁膜13が形成されているが、有機ゲート絶縁膜12及び無機ゲート絶縁膜13は、薄膜トランジスタ100が形成された絶縁基板10上に一様に形成されており、図1ではその記載を省略している。
絶縁基板10は、例えば可撓性の樹脂製基板であり、透明又は不透明に構成されている。絶縁基板10としては、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルサルフェン、トリアセチルセルロース、ポリビニルフルオライドフィルム、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合樹脂、耐候性ポリエチレンテレフタレート、耐候性ポリプロピレン、ガラス繊維強化アクリル樹脂フィルム、ガラス繊維強化ポリカーボネート、ポリイミド、透明性ポリイミド、フッ素系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂等からなる樹脂製基板や、SUS薄板等を使用することができる。但し、絶縁基板10は、これらの材料に限定されるわけではなく、他の材料からなる基板を用いてもよい。また、絶縁基板は可撓性を有していなくてもよい。
ゲート層11は、絶縁基板10上に形成される導体層であり、ゲート電極11aとゲート電極11aに繋がるゲート配線11bとを有する。ゲート電極11aとゲート配線11bとは、例えば一体に形成されている。ゲート層11は、インジウム(In)、アルミ(Al)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、銅(Cu)、モリブニオブ(MoNb)等の金属薄膜であってもよいし、酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化カドミウム(CdO)、酸化インジウムカドミウム(CdIn)、酸化カドミウムスズ(CdSnO)、酸化亜鉛スズ(ZnSnO)等の酸化物材料であってもよい。また、ゲート層11は、前記の酸化物材料に不純物をドープしたものを用いてもよい。例えば、Inにスズ(Sn)やモリブデン(Mo)、チタン(Ti)をドープしたもの、SnOにアンチモン(Sb)やフッ素(F)をドープしたもの、ZnOにインジウム、アルミニウム、ガリウム(Ga)をドープしたものなどを用いることができる。後述するソース及びドレイン層15を構成する材料は、ゲート層11と全て同じ材料でもあってもよいし、異なる材料であってもよい。
有機ゲート絶縁膜12は、ゲート層11を覆うように絶縁基板10及びゲート層11上に形成される絶縁層であり、無機ゲート絶縁膜13と共に、ゲート層11とチャネル層14との間の絶縁を行う。有機ゲート絶縁膜12を形成する有機絶縁材料としては、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリイミド、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アモルファスフッ素樹脂等のフッ素系樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーン樹脂などを例示することができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも特にポリイミド、アクリル樹脂、フッ素系樹脂が好ましく用いられる。
有機ゲート絶縁膜12は、溶媒に溶解させた上記材料をゲート層11を覆うように絶縁基板10の表面に塗布した後に乾燥させ、必要に応じて、塗布された材料を加熱処理することにより、形成することができる。有機ゲート絶縁膜12を容易に形成することができる塗布法としては、スピンコーティング、スクリーン印刷等を用いることができる。乾燥した後に加熱処理する場合の加熱処理温度は例えば100℃~200℃であり、加熱時間は例えば15分~3時間程度とすることができる。
無機ゲート絶縁膜13は、有機ゲート絶縁膜12上に形成される絶縁層であり、有機ゲート絶縁膜12と共に、ゲート層11とチャネル層14との間の絶縁を行う。無機ゲート絶縁膜13は、例えば、シリコン及び酸素、または、シリコン及び窒素を主体とした無機材料から形成することができ、具体的には、酸化珪素や酸化窒素などを用いることができる。無機ゲート絶縁膜13は、レーザーアブレーション法、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法、光CVD法、熱CVD法、ゾルゲル法などの方法を用いて形成することができる。なお、無機ゲート絶縁膜13は、有機ゲート絶縁膜12より薄く形成されていてもよい。
チャネル層14は、無機ゲート絶縁膜13上であってゲート層11上及びその周囲の領域に形成される半導体層であり、例えば、アモルファス酸化物半導体から構成されている。チャネル層14は、無機ゲート絶縁膜13側から積層された積層構造により構成されている。チャネル層14の材料となるアモルファス酸化物半導体としては、例えばInGaZnOを用いることができる。チャネル層14(活性層とも言う)は、物理的気相成長法(PVD:Physical Vapor Deposition)により成膜形成することができるが、良好なトランジスタ特性を得るために、DCスパッタ法、RFスパッタ法などのスパッタ法を採用することが好ましい。スパッタリングターゲットとしては、InGaZnO(1:1:1:4 at%)焼結体ターゲットが好ましい。チャネル層14は、図1に示すように、例えば、平面視した際に円形形状を呈してもよい。
ソース及びドレイン層15は、チャネル層14上に形成された導体層であり、ソース電極20(第1電極)及びドレイン電極30(第2電極)を含んで構成される。ソース電極20及びドレイン電極30のそれぞれは、チャネル層14に接触する。ソース及びドレイン層15は、インジウム(In)、アルミ(Al)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、銅(Cu)、モリブニオブ(MoNb)等の金属薄膜であってもよいし、酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化カドミウム(CdO)、酸化インジウムカドミウム(CdIn)、酸化カドミウムスズ(CdSnO)、酸化亜鉛スズ(ZnSnO)等の酸化物材料であってもよい。また、ソース及びドレイン層15は、前記の酸化物材料に不純物をドープしたものを用いてもよい。例えば、Inにスズ(Sn)やモリブデン(Mo)、チタン(Ti)をドープしたもの、SnOにアンチモン(Sb)やフッ素(F)をドープしたもの、ZnOにインジウム、アルミニウム、ガリウム(Ga)をドープしたものなどである。ソース及びドレイン層15を構成する材料は、前述したゲート層11と全て同じ材料であってもよく、異なる材料であってもよい。
ソース及びドレイン層15は、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタ法、レーザーアブレーション法、又は、導電性ペーストを用いてスピンコート、ディップコート、スクリーン印刷、凸版印刷、凹版印刷、平版印刷、若しくは、インクジェットなどの方法で形成することができる。酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ等の透明導電性酸化物を使用する場合、ドーパントを混入させることで、ソース及びドレイン層15の透明導電膜の導電率を上げることが好ましい。例えば、酸化亜鉛ではガリウム、アルミニウム、ボロンなど、酸化スズではフッ素、アンチモンなど、酸化インジウムではスズ、亜鉛、チタン、セリウム、ハフニウム、ジルコニアなど混入させて、ソース及びドレイン層15の透明導電膜を縮退させることが好ましい。また、電極材料に酸化物半導体と同じ母材料を用い、ドーパント濃度だけを高くすることも、生産効率を高めえる観点からは好ましい。なお、ゲート層11も上記何れかの方法で作製することができる。
次に、図1を参照して、ソース及びドレイン層15を構成するソース電極20及びドレイン電極30の平面方向の形状について説明する。ここでいう平面方向は、図1に示すX方向及びY方向によって画定される面方向である。本実施形態に係る薄膜トランジスタ100では、ソース電極20及びドレイン電極30には、鋭角(直角を含む)形状の部分がないように構成されており、曲線又は直線から構成されている。
ソース電極20は、チャネル層14上においてドレイン電極30と対向するように形成されており、平面視して円形形状のソース電極本体21(第1電極本体)と、ソース電極本体21から外側に延在するソース配線22(第1配線)とを有する。ソース電極本体21は、平面視した際にチャネル層14の外周14aの内側に位置するように配置され、積層方向においてはチャネル層14に接触する(図2を参照)。より具体的には、ソース電極本体21は、平面視した際にチャネル層14の外周14aの中心に配置される。ソース配線22は、ソース電極本体21に連なり、チャネル層14の外周14aの内側から外側に向けて延在する。ソース配線22は、後述するように、平面視した際にドレイン電極30と重なる又は接触することなく延在する。
ソース電極本体21は、円形形状であることから、外周が円形の曲線部分23(第1曲線部分)となっている。ソース電極本体21の直径は、ソース配線22の延在方向(Y方向)に直交する方向(X方向)におけるソース配線22の幅よりも大きくなっており、例えば、1.2倍以上であってもよく、1.5倍以上であってもよく、2倍以上であってもよい。なお、ソース電極本体21の直径は、例えば5μm以上であってもよい。
ドレイン電極30は、C字形状のドレイン電極本体31(第2電極本体)と、ドレイン電極本体31から外側に延在するドレイン配線32(第2配線)とを有する。ドレイン電極本体31は、平面視した際にソース電極本体21を取り囲むようにチャネル層14の外周14aに沿って配置され、積層方向においてはチャネル層14に接触する。ドレイン配線32は、ドレイン電極本体31に連なり、チャネル層14の外周14aの外側に向けて延在する。
ドレイン電極本体31は、C字形状であることから、内側が円形の曲線部分33(第2曲線部分)となっており、外側が円形の曲線部分34となっている。内側の曲線部分33は、ソース電極20のソース電極本体21の曲線部分23に対向し、曲線部分33と曲線部分23との間に、C字形状のチャネル幅を形成している。また、曲線部分23と曲線部分33との間に画定されるチャネル長は、C字形状であることからチャネル幅方向において略同一の長さとすることができ、良好な半導体特性を得ることができる。チャネル長は、例えば、3μm以上とすることができる。このような曲線部分23と曲線部分33とは、同一面であるチャネル層14上において互いに同心となる円それぞれの一部(大部分)を占めるように構成される。なお、曲線部分34も曲線部分33や曲線部分23と同心となる別の円の一部(大部分)を占めるように構成される。
ドレイン電極本体31では、C字形状の両方の先端部分35,36が外に凸の曲線形状、例えば半円形状となっている。先端部分35,36は、ソース電極20のソース配線22に向かって突出すると共に、ソース配線22と対向する(接触はしていない)。なお、先端部分35,36の曲線形状の曲率半径は、例えば5μm以上であることが好ましい。このようにドレイン電極30では、先端部分においても曲線形状になっている。
また、ドレイン電極本体31では、C字形状であることから、先端部分35,36との間に切欠きSが設けられることになる。このような構成により、ドレイン電極本体31の内側にソース電極本体21が設けられたソース電極がチャネル層14の外側に延在することができるようになっている。
このように、本実施形態に係るソース及びドレイン層15では、互いに対向するソース電極20及びドレイン電極30が曲線部分及び直線部分から形成されており、鋭角な電極部分を有していないため、応力集中を回避して、機械的な曲げひずみによる劣化(割れ)を緩和することができるようになっている。特に、ソース電極20及びドレイン電極30の対向領域を含む電極全体の外形形状は、対向する方向であるX方向の長さとX方向に直交するY方向の長さとが同じな円形形状であるため、いずれの方向への曲げに対しても劣化(割れ)を緩和することが可能となっている。更に、ドレイン電極30のドレイン電極本体31がC字形状であり、平面視した際にソース電極20のソース配線22がチャネル層14の外周14aの内側から外側に向けて延在する領域(先端部分35,36の間)に、切欠きSが設けられている、これにより、ソース電極20とドレイン電極30とを同一表面上に形成できる。即ち、薄膜トランジスタの製造方法を簡略化することが可能となる。
次に、上述した薄膜トランジスタ100の製造方法の一例について、図3~図7を参照して、説明する。なお、本実施形態に係る薄膜トランジスタの製造方法は以下の方法に限定されるものではなく、必要に応じて、上述した材料や製造方法を適宜、適用することが可能である。
まず、図3の(a)に示すように、絶縁基板10として、ポリイミドから成る可撓性プラスチック基板を準備する。そして、絶縁基板10上にゲート層11として金属層111のMoNbを、無加熱スパッタ法により、Mo:Nb=90:10(at%)焼結体ターゲットを使用し、アルゴン(Ar)=45sccmのガス流量で1.0Paの圧力下に、200WのDC電源をターゲットに印加してスパッタ成膜を行う。これにより、金属層111として、膜厚が90nm~110nm(例えば100nm)のMoNb膜が成膜形成される。
続いて、図3の(a)に示すように、レジスト121のOFPR800 15cp(東京応化工業製)を塗布する。そして、図3の(b)に示すように、所定の形状にパターニングしてレジスト121aとする。
続いて、図3の(c)に示すように、パターニングしたレジスト121aをマスクに用いて金属層111のMoNbをエッチングして、ゲート層11に対応する金属層111aを形成する。金属層111aを形成した後、レジスト121aを除去する(図4の(a)を参照)。
続いて、図4の(a)に示すようにゲート層11が形成されると、図4の(b)に示すように、絶縁基板10上およびゲート層11上に有機ゲート絶縁膜12を形成するための有機絶縁膜を形成する。有機絶縁膜を形成するには、まず、アクリル樹脂をスピンコート(730rpm/30秒間)により一様に塗布し、90℃で2分間の仮焼成(プリベーク)を行った後、露光及び現像により、所望のパターンを形成する。そして、200℃で1時間の本焼成により、厚さ1.00μmの有機ゲート絶縁膜12が形成される。
続いて、図4の(c)に示すように、無機ゲート絶縁膜13としてシリコン酸化膜を有機ゲート絶縁膜12上に形成する。シリコン酸化膜は、平行平板型のPECVD法を用いて、SiOを基板温度200℃で例えば5nm~10nmの間で成膜することができる。この際に、SiH/NO=65/500SCCMをプロセスガスとして流す。圧力は200Paに保持し、13.56MHzの高周波を投入電力500Wでプラズマを励起させて成膜を行う。
続いて、図5の(a)に示すように、チャネル層14のアモルファス酸化物半導体膜114を無機ゲート絶縁膜13上に形成する。アモルファス酸化物半導体膜114として酸化物半導体InGaZnOを無加熱スパッタ法によりIn-Ga-Zn-O(1:1:1:4 at%)焼結体ターゲットを使用し、Ar/O=50/0.2SCCMのガス流量で1.0Paの圧力下に、300WのRF電源をターゲットに印加してスパッタ成膜を行う。これにより、例えば、厚さが30nm~40nmのInGaZnO膜を成膜形成することができる。
続いて、図5の(b)に示すようにレジスト122のOFPR800 15cp(東京応化工業製)を塗布する。そして、図5の(c)に示すように、レジスト122をパターニングして、所定形状のレジスト122aとする。パターニングしたレジスト122aをマスクに用いてチャネル層14のアモルファス酸化物半導体膜114のエッチングを行う。これにより、図6の(a)に示すチャネル層14が形成される。チャネル層14が形成されると、レジスト122aは除去される(図6の(b)を参照)。
続いて、図6の(c)に示すように、ソース及びドレイン層15用の金属層115のMoNbを無加熱スパッタ法により、シャドウマスクを用いて、Mo:Nb=90:10(at%)焼結体ターゲットを使用し、Ar=45SCCMのガス流量で1.0Paの圧力下に、200WのDC電源をターゲットに印加してスパッタ成膜を行う。このスパッタ成膜により、例えば、厚さが90nm~110nmのMoNb膜が成膜形成される。そして、金属層115の上に、レジスト123のOFPR800 15cp(東京応化工業製)を塗布する。
続いて、図7の(a)に示すように、金属層115上のレジスト123をパターニングして、パターニングされたレジスト123aとする。そして、パターニングしたレジスト123aをマスクに用いて、図7の(b)に示すように、金属層115のエッチングを行って、ソース及びドレイン層15を形成する。この金属層115のエッチングにより、図1に示す平面構成、即ち、ソース電極20及びドレイン電極30が対向するチャネル幅方向を曲線状(C字形状)に形成する。その後、図7の(c)に示すように、レジスト123aを除去し、さらに、150℃のアニールを行う。以上により、図1及び図2に示す薄膜トランジスタ100が完成する。
ここで、本実施形態に係る薄膜トランジスタ100による作用効果について説明する。まず、比較例となる図12及び図13に示す薄膜トランジスタについて説明する。図12は、従来の薄膜トランジスタを示す上面図である。図13は、図12に示す従来の薄膜トランジスタのチャネル長方向に沿った断面図である。この比較例1に係る薄膜トランジスタが第1実施形態に係る薄膜トランジスタと異なる点は、一対のソース及びドレイン電極であるソース電極205a及びドレイン電極205bの対向するチャネル幅方向が直線である点である。比較例1にかかる薄膜トランジスタでは、上記実施形態に係る薄膜トランジスタ100と比較して、チャネル幅が短くなるため電流値が不足し、同じ電流値を確保するには、比較例1にかかる薄膜トランジスタを上記実施形態に係る薄膜トランジスタ100よりも大きくする必要がある。また、比較例1に係る薄膜トランジスタでは、角部を有していることから、上述したように、剥がれや割れ等が生じる可能性がある。
また、別の比較例となる図14~図16に示す薄膜トランジスタについて説明する。図14は、従来の薄膜トランジスタの別の形態を示す上面図である。図15は、図14に示す薄膜トランジスタのXV-XV線に沿った断面図であり、ゲート電極方向における断面を示す。図16は、図14に示す薄膜トランジスタのXVI-XVI線に沿った断面図であり、ソース及びドレイン電極方向における断面を示す。図14~図16に示すように、比較例2にかかる薄膜トランジスタが上述した実施形態にかかる薄膜トランジスタと異なる点は、一対のソース及びドレイン電極であるソース電極305a及びドレイン電極305bが同層(同一平面上)にない点である。このため、比較例2にかかる薄膜トランジスタは、上記実施形態にかかる薄膜トランジスタと比較して、複雑な製造プロセスが必要であり、例えば、ソース電極305aとチャネル層304をコンタクトさせるためのソース電極305aとドレイン電極305bの間にある層間絶縁膜306の穴開け工程等が必要となり、作製するのが困難となる。
これに対し、本実施形態に係る薄膜トランジスタ100では、ソース電極20のソース電極本体21が外周側に曲線部分23を含み、ドレイン電極30のドレイン電極本体31が曲線部分23と対向する曲線部分33を内周側に含むように構成されている。このような構成により、薄膜トランジスタ100のソース電極20及びドレイン電極30において、機械的な曲げひずみによる劣化が生じやすい鋭角等の角部領域が低減され、その結果、機械的な曲げひずみによる劣化を緩和することができる。また、薄膜トランジスタ100では、ドレイン電極本体31には、平面視した際にソース電極20(ソース配線22)がチャネル層14の外周14aの内側から外側に向けて延在する領域に切欠きSが設けられている。このような構成により、ソース電極20とドレイン電極30とを互いに接触しないように同層上(チャネル層上)に形成することができ、層間絶縁膜の穴明け工程等が不要となり、製造プロセスを簡略化することができる。
更に、薄膜トランジスタ100では、ソース電極20のソース電極本体21とドレイン電極30のドレイン電極本体31との対向領域において、ソース電極本体21の外周とドレイン電極本体31の内周とが組み合わさる構成である。このような構成により、この薄膜トランジスタ100によれば、十分な長さのチャネル幅を容易に確保することができる。
また、本実施形態に係る薄膜トランジスタ100では、ソース電極本体21の曲線部分23とドレイン電極本体31の曲線部分33とは、同一面上において互いに同心となる円それぞれの一部である。このため、薄膜トランジスタ100におけるチャネル長をより確実に一定幅にすることができ、薄膜トランジスタの動作を安定させることが可能となる。
また、本実施形態に係る薄膜トランジスタ100では、ドレイン電極30は、C字形状のドレイン電極本体31と、ドレイン電極本体31から延在するドレイン配線32とを有する。これにより、ソース電極20とドレイン電極30との対向領域に鋭角な部分を設けないことをより確実に実施することが可能となる。よって、薄膜トランジスタ100によれば、機械的な曲げひずみによる劣化をより確実に緩和することができる。また、薄膜トランジスタ100では、ドレイン電極本体31のC字形状の先端部分35,36が外に凸の曲面形状(例えば半円形状)である。これにより、剥離が生じやすいドレイン電極30の先端部分35,36においても機械的な曲げひずみによる劣化を確実に緩和することができる。
また、本実施形態に係る薄膜トランジスタ100では、ソース電極20は、ドレイン電極本体31のC字形状の先端部分35,36の間をドレイン電極本体31に触れないように延在する。このような構成を採用することにより、ソース電極20とドレイン電極30とを円形部分を含みつつ、同一表面上に形成することが可能となる。これにより、機械的な曲げひずみによる劣化を緩和する共に製造プロセスを簡略化することができる。
また、本実施形態に係る薄膜トランジスタ100では、ソース電極20は、円形形状のソース電極本体21と、ソース電極本体21から延在するソース配線22とを有し、ソース電極本体21の直径が、延在方向と直交する方向におけるソース配線22の幅よりも大きい。これにより、ドレイン電極本体31に対向するソース電極本体21の形状をより大きくすることができるため、チャネル長をより短くして、薄膜トランジスタ100の動作能力を向上させることができる。
また、本実施形態に係る薄膜トランジスタ100では、ソース電極本体21の曲線部分23とドレイン電極本体31の曲線部分33との対向距離であるチャネル長が3μm以上であってもよい。これにより、ソース電極20及びドレイン電極30間のチャネル幅として十分な長さをより確実に確保することができる。よって、薄膜トランジスタ100によれば、十分な電流値を容易に確保することができ、コンパクトなトランジスタ構成とすることができる。
[第1変形例]
ここで、図8を参照して、薄膜トランジスタ100の第1変形例について説明する。図8は、薄膜トランジスタの第1変形例を示す上面図である。第1変形例に係る薄膜トランジスタ100Aは、基本的な構成は、薄膜トランジスタ100と同様である。薄膜トランジスタ100Aでは、ソース電極20Aの形状が異なっており、ソース電極20Aのソース電極本体21Aの直径がソース配線22Aの幅と同じになっている。このような構成であっても、薄膜トランジスタ100と同様に、機械的な曲げひずみによる劣化を緩和する共に製造プロセスを簡略化することが可能となる。
[第2変形例]
次に、図9を参照して、薄膜トランジスタ100の第2変形例について説明する。図9は、薄膜トランジスタの第2変形例を示す上面図である。第2変形例に係る薄膜トランジスタ100Bは、基本的な構成は、薄膜トランジスタ100と同様である。薄膜トランジスタ100Bでは、ソース電極20Bのソース配線22Bの延在方向が異なっており、ドレイン電極30Bのドレイン配線32の延在方向(Y方向)に対して所定の角度(例えば90度、X方向)となるように形成されている。第2変形例では、ソース電極20Bのソース配線22Bの延在方向が異なっていることから、ドレイン電極30Bのドレイン電極本体31Bの形状もやや異なっており、上方に切欠きSが設けられたC字形状となっており、曲線部分33B、34Bの形状も異なっている。また、ドレイン配線32がC字形状のドレイン電極本体31Bに連なる場所も異なっている。このような第2変形例に係る薄膜トランジスタ100Bにおいても、ソース電極20B及びドレイン電極30Bが曲線部分を含んで構成されており、且つ、ソース電極20Bが延在する領域(切欠きS)がドレイン電極30Bに設けられているため、薄膜トランジスタ100と同様に、機械的な曲げひずみによる劣化を緩和する共に製造プロセスを簡略化することが可能となる。
なお、図9では、ソース電極20Bのソース配線22Bをドレイン電極30Bのドレイン配線32に対して90度となる例を示しているが、両者の関係画定する角度はこれに限定されず、他の角度であってもよい。但し、平面視した際にソース電極20Bのソース配線22Bがゲート電極のゲート配線11bと重なるような配置の場合、ゲート配線11bとソース配線22Bとの積層方向の間に容量が生じてしまう可能性があるため、両者が重ならないような位置とすることが好ましい。このような配置とすることにより、ソース電極及びドレイン電極の配線自由度を向上させつつ、ゲート配線との間に不要な容量を生じさせてしまうことを防止することができる。
[トランジスタアレイ]
次に、上述したの実施形態又は変形例に係る薄膜トランジスタ100,100A,100Bを複数備えたトランジスタアレイについて説明する。図10は、一例として、図1に示した薄膜トランジスタ100をアレイ状に配置したトランジスタアレイ110を示す上面図であるが、変形例にかかる薄膜トランジスタ100A,100Bをアレイ状に配置した場合も同様である。図10に示すように、トランジスタアレイ110では、複数の薄膜トランジスタ100がアレイ状に配置されている。各薄膜トランジスタ100では、ゲート電極11aがゲート配線11bを介してゲートライン113に接続されている。ソース電極20は、ソース配線22を介してソースライン116に接続されている。ドレイン電極30は、ドレイン配線32及びコンタクト部分112を介して画素電極117に接続されている。
[センサ装置]
また、上述したトランジスタアレイ110は、図11に示すセンサ装置とすることも可能である。図11は、図10に示すトランジスタアレイを用いたセンサ装置150の概要を示す図である。センサ装置150では、トランジスタアレイ110の上に、センサ部材120及び上部電極130を配置する。なお、本実施形態に係る薄膜トランジスタ100及びトランジスタアレイ110は、このセンサ装置150のような構成に限定されずに、その他の構成のセンサ装置や他の装置に適用してももちろんよい。
以上、本発明に係る実施形態について詳細に説明してきたが、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく様々な実施形態に適用することができる。例えば、図1に示す薄膜トランジスタ100では、ソース電極20が内側の丸形のソース電極本体21を有し、ドレイン電極30がソース電極20のソース電極本体21を取り囲むようなC字形状のドレイン電極本体31を有していたが、ソース電極とドレイン電極との形状は逆であってもよい。即ち、ドレイン電極が内側の丸形の電極本体を有し、ソース電極がドレイン電極の電極本体を取り囲むようなC字形状の電極本体を有していてもよい。また、図1に示す薄膜トランジスタ100では、ソース電極20のソース電極本体21やドレイン電極30のドレイン電極本体31の曲線部分は円形状の大部分(一部)からなっていたが、円に限られるものではなく、例えば、楕円形状の一部からなっていてもよい。ソース電極20のソース電極本体21及びドレイン電極30のドレイン電極本体31が楕円形状である場合も、同心円であることが好ましい。
以上のように、本発明にかかる薄膜トランジスタは、プロセスの簡略化が容易で、電流値を増やすことができ、耐久性と高性能が要求される用途に適している。
10…絶縁基板、11…ゲート層、11a…ゲート電極、12…有機ゲート絶縁膜、13…無機ゲート絶縁膜、14…チャネル層、14a…外周、15…ソース及びドレイン層、20,20A,20B…ソース電極(第1電極)、21,21A…ソース電極本体(第1電極本体)、22,22A,22B…ソース配線(第1配線)、30,30B…ドレイン電極(第2電極)、31,31B…ドレイン電極本体(第2電極本体)、32…ドレイン配線(第2配線)、35,36…先端部分、100,100A,100B…薄膜トランジスタ、110…トランジスタアレイ、150…センサ装置、S…切欠き。

Claims (12)

  1. 絶縁基板と、
    前記絶縁基板上に形成されたゲート電極と、
    前記ゲート電極を覆う有機ゲート絶縁膜と、
    前記有機ゲート絶縁膜上に形成された無機ゲート絶縁膜と、
    前記無機ゲート絶縁膜上に形成されたチャネル層と、
    前記チャネル層上に形成されたソース電極及びドレイン電極と、
    を備え、
    前記ソース電極及びドレイン電極の一方である第1電極は、平面視した際に前記チャネル層の外周の内側に位置するように配置され且つ前記チャネル層に接触する第1電極本体を有し、
    前記ソース電極及びドレイン電極の他方である第2電極は、平面視した際に前記第1電極本体を取り囲むように前記チャネル層の外周に沿って配置され且つ前記チャネル層に接触する第2電極本体を有し、
    前記第1電極本体は、外周側に第1曲線部分を含み、
    前記第2電極本体は、前記第1曲線部分と対向する第2曲線部分を内周側に含み、
    前記第2電極本体には、平面視した際に前記第1電極が前記チャネル層の前記外周の内側から外側に向けて延在する領域に、切欠きが設けられている、薄膜トランジスタ。
  2. 前記第1電極本体の前記第1曲線部分と前記第2電極本体の前記第2曲線部分とは、同一面上において互いに同心となる円それぞれの一部である、請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
  3. 前記第2電極は、C字形状の前記第2電極本体と、前記第2電極本体から延在する第2配線とを有する、請求項1又は2に記載の薄膜トランジスタ。
  4. 前記第2電極本体のC字形状の両先端部分のうちの少なくとも一方が外に凸の曲線形状である、請求項3に記載の薄膜トランジスタ。
  5. 前記第2電極本体の前記先端部分の曲率半径が5μm以上である、請求項4に記載の薄膜トランジスタ。
  6. 前記第1電極は、前記第2電極本体のC字形状の先端部分の間を前記第2電極本体に触れないように延在する、請求項3~5の何れか一項に記載の薄膜トランジスタ。
  7. 前記第1電極は、円形形状の前記第1電極本体と、前記第1電極本体から延在する第1配線とを有し、
    前記第1電極本体の直径が、前記延在方向と直交する方向における前記第1配線の幅よりも大きい、請求項1~6の何れか一項に記載の薄膜トランジスタ。
  8. 前記第1電極本体の直径は5μm以上である、請求項7に記載の薄膜トランジスタ。
  9. 前記第1電極の第1配線は、平面視した際に前記ゲート電極のゲート配線が延在する方向と重ならない方向であって、且つ、前記第2電極の第2配線の延在方向に対して逆側となる方向または前記第2電極の前記第2配線の延在方向に対して所定の角度を為す方向に延在する、請求項1~8の何れか一項に記載の薄膜トランジスタ。
  10. 前記第1電極本体の前記第1曲線部分と前記第2電極本体の前記第2曲線部分との対向距離であるチャネル長が3μm以上である、請求項1~9の何れか一項に記載の薄膜トランジスタ。
  11. 請求項1~10の何れか一項に記載の薄膜トランジスタを複数備え、
    複数の前記薄膜トランジスタがアレイ状に配置されている、トランジスタアレイ。
  12. 請求項10に記載のトランジスタアレイと、
    前記トランジスタアレイ上に設けられるセンサ部材と、
    を備える、センサ装置。

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