JP2023097555A - 変速制御装置および変速制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ギヤに対するドグの円滑な係合を実現する。【解決手段】変速制御装置が備える処理回路は、第1変速段から第2変速段にシフトするためのシフト指令を取得したときの状況が、シフト指令がシフトダウン指令であり且つドグが第1変速段の第1面に当接している状況、または、シフト指令がシフトアップ指令であり且つドグが第1変速段の第2面に当接している状況である第1状況であるか否かを判定し、状況が第1状況であると判定した場合、シフト指令を取得したときにドグが当接していた第1面または第2面である当接面から、ドグから離れるように原動機の出力を調節する離間制御を開始し、離間制御の実行後で、且つ、ドグが第1変速段の収容空間の外に抜け出る前に、第2変速段のドグの回転数および第2変速段の変速ギヤの回転数の一方に他方を近づける同期制御を開始する。【選択図】図6

Description

本開示は、変速制御装置および変速制御方法に関する。
従来、ドッグクラッチ式のギヤ変速機では、現在の変速段から次の変速段にシフトする際、ドグを、ある減速比のギヤ対から離脱させた後、当該ギヤ変速機の入力軸または出力軸に沿って移動させ、別の減速比のギヤ対に係合させる。こうして、原動機の駆動力を入力軸から出力軸に伝達するギヤ対が切り替わる(例えば特許文献1)。
特開2009-264519号公報
ドッグクラッチ式のギヤ変速機では、ドグの移動の際に、次の変速段における変速ギヤに対してドグが円滑に係合されることが望まれる。
そこで、本開示は、ギヤに対するドグの円滑な係合を実現できる変速制御装置および変速制御方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る変速制御装置は、原動機と、前記原動機の駆動力が伝達される入力軸、出力軸、前記入力軸および出力軸に対して移動可能な、複数の変速段にそれぞれ対応する複数のドグ、および、複数の変速段にそれぞれ対応し、前記ドグが入り込むことが可能な収容空間を有する複数の変速ギヤを含むギヤ変速機と、を備えるシステムにおいて、前記原動機を制御する変速制御装置であって、前記変速ギヤは、前記変速ギヤの周方向に前記収容空間を画定する第1面および第2面を有し、前記第1面は、前記出力軸に正方向にトルクを伝達する際に前記ドグが当接する面であり、前記第2面は、前記出力軸に前記正方向と反対の負方向にトルクを伝達する際に前記ドグが当接する面であり、前記変速制御装置は、処理回路を備え、前記処理回路は、第1変速段から第2変速段にシフトするためのシフト指令を取得したときの状況が、前記シフト指令がシフトダウン指令であり且つ前記ドグが前記第1変速段の前記第1面に当接している状況、または、前記シフト指令がシフトアップ指令であり且つ前記ドグが前記第1変速段の前記第2面に当接している状況である第1状況であるか否かを判定し、前記状況が前記第1状況であると判定した場合、前記シフト指令を取得したときに前記ドグが当接していた前記第1面または前記第2面である当接面から、前記ドグが離れるように前記原動機の出力を調節する離間制御を開始し、前記離間制御の実行後で、且つ、前記第1変速段の前記ドグが前記第1変速段の前記収容空間の外に抜け出る前に、前記第2変速段の前記ドグの回転数および前記第2変速段の前記変速ギヤの回転数の一方に他方を近づける同期制御を開始する。
本開示の一態様に係る変速制御方法は、原動機と、前記原動機の駆動力が伝達される入力軸、出力軸、前記入力軸および出力軸に対して移動可能な、複数の変速段にそれぞれ対応する複数のドグ、および、複数の変速段にそれぞれ対応し、前記ドグが入り込むことが可能な収容空間を有する複数の変速ギヤを含むギヤ変速機と、を備えるシステムにおいて、前記原動機を制御するための変速制御方法であって、前記変速ギヤは、前記変速ギヤの周方向に前記収容空間を画定する第1面および第2面を有し、前記第1面は、前記出力軸に正方向にトルクを伝達する際に前記ドグが当接する面であり、前記第2面は、前記出力軸に前記正方向と反対の負方向にトルクを伝達する際に前記ドグが当接する面であり、前記変速制御方法は、第1変速段から第2変速段にシフトするためのシフト指令を取得したときの状況が、前記シフト指令がシフトダウン指令であり且つ前記ドグが前記第1変速段の前記第1面に当接している状況、または、前記シフト指令がシフトアップ指令であり且つ前記ドグが前記第1変速段の前記第2面に当接している状況である第1状況であるか否かを判定し、前記状況が前記第1状況であると判定した場合、前記シフト指令を取得したときに前記ドグが当接していた前記第1面または前記第2面である当接面から、前記ドグが離れるように前記原動機の出力を調節する離間制御を開始し、前記離間制御の実行後で、且つ、前記第1変速段の前記ドグが前記第1変速段の前記収容空間の外に抜け出る前に、前記第2変速段の前記ドグの回転数および前記第2変速段の前記変速ギヤの回転数の一方に他方を近づける同期制御を開始する。
本開示によれば、ギヤに対するドグの円滑な係合を実現できる変速制御装置および変速制御方法を提供することができる。
図1は、一実施形態に係る変速制御装置を備えた自動二輪車の左側面図である。 図2は、図1の自動二輪車の動力システムの模式図である。 図3は、第1変速段のドグと第1変速段の変速ギヤとが係合した状態の一例を示す拡大模式図である。 図4は、第1変速段のドグと第1変速段の変速ギヤとが係合した状態の別の例を示す拡大模式図である。 図5は、変速制御装置およびその入出力を示すブロック図である。 図6は、図1の自動二輪車の走行中における変速制御装置による制御の流れを示すフローチャートである。 図7は、離間制御の一例を説明するためのドグおよび変速ギヤの拡大模式図である。 図8は、同期制御の一例を説明するためのドグおよび変速ギヤの拡大模式図である。 図9は、第2変速段のドグと第2変速段の変速ギヤとが係合した状態の一例を示す拡大模式図である。
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
図1は、一実施形態に係る変速制御装置40を備えた自動二輪車1の左側面図である。自動二輪車1は、ライダーが跨って乗る鞍乗車両の一例であり、ハイブリッド車両である。以下の説明における方向は、自動二輪車1の運転手から見た方向を基準とし、前後方向は車長方向と対応し、左右方向は車幅方向と対応する。
自動二輪車1は、前輪2と、後輪3と、車体フレーム4と、前輪2を車体フレーム4の前部に接続する前サスペンション5と、後輪3を車体フレーム4の後部に接続する後サスペンション6とを備える。前サスペンション5は、上下方向に間隔をあけて配置されるブラケット7に連結されている。ブラケット7に接続される操舵軸が車体フレーム4の一部であるヘッドパイプ4aに角変位可能に支持されている。当該操舵軸には、運転者が手で握るハンドル8が設けられる。ハンドル8の後側には、燃料タンク9が設けられ、燃料タンク9の後側に運転者が着座するシート10が設けられる。
車体フレーム4には、後輪3を支持して前後方向に延びるスイングアーム15が角変位可能に支持されている。また、車体フレーム4には、前輪2と後輪3と間においてパワーユニット11が搭載されている。パワーユニット11は、2つの走行駆動源である第1原動機および第2原動機を備える。第1原動機は、内燃機関であるエンジン12である。第2原動機は、電動モータである駆動モータ13である。以下、第1原動機および第2原動機のうちの任意の原動機を、または、第1原動機および第2原動機を総称して、「原動機」という。
エンジン12は、気筒12aと、気筒内のピストンに連結されたクランク軸12bとを含む。エンジン12のクランク軸12bは、クランクケース14に収容されている。また、エンジン12の後側には、ギヤ変速機20が配置されている。ギヤ変速機20は、クランクケース14に収容されている。ハンドル8の左のグリップには、ギヤ変速機20のシフト位置である変速段を変更するためのシフトスイッチ17が設けられている。シート10の下方には、変速制御装置40が配置されている。変速制御装置40は、エンジン12、駆動モータ13、後述のクラッチアクチュエータ19およびシフトアクチュエータ30を制御する。
図2は、図1の自動二輪車1の動力システムの模式図である。ギヤ変速機20は、入力軸21と、出力軸22と、複数組の変速ギヤ対23とを有する。
入力軸21には、第1原動機および第2原動機の少なくとも一方の駆動力が伝達可能である。具体的には、エンジン12のクランク軸12bとギヤ変速機20の入力軸21との間のエンジン用動力伝達経路には、メインクラッチ18が介設されている。例えばメインクラッチ18は、多板クラッチである。エンジン12のクランク軸12bの回転動力は、メインクラッチ18を介して入力軸21に入力される。メインクラッチ18は、クラッチアクチュエータ19によって駆動されて、前記エンジン用動力伝達経路を切断したり接続したりする。また、駆動モータ13の回転軸の回転動力は、入力軸21に入力される。入力軸21には、第1原動機であるエンジン12および第2原動機である駆動モータ13の双方から同時に動力伝達可能となっている。
出力軸22は、入力軸21に平行に配置されている。以下、入力軸21および出力軸22に平行な方向を、「軸方向」と称する。複数組の変速ギヤ対23は、軸方向に並んでいる。複数組の変速ギヤ対23は、互いに減速比が異なる。減速比は、ギヤ比または変速比とも称し得る。各変速ギヤ対23は、入力軸21に同軸に設けられた1つの変速ギヤ23と、出力軸22に同軸に設けられた1つの変速ギヤ23とを含む。
各変速ギヤ対23が含む2つの変速ギヤ23のうち、一方の変速ギヤ23は、そのギヤと同軸である入力軸21または出力軸22と一体的に回転するギヤ(以下、「共回転ギヤ」と称する)23aである。例えば、共回転ギヤ23aは、入力軸21または出力軸22にスプライン嵌合により組付けられている。各変速ギヤ対23が含む2つの変速ギヤ23のうち、他方の変速ギヤ23は、そのギヤと同軸である入力軸21または出力軸22に対して相対回転可能であるギヤ(以下、「空転ギヤ」と称する)23bである。
各変速ギヤ対23における共回転ギヤ23aと空転ギヤ23bとは常時噛み合っている。本実施形態では、入力軸21に、共回転ギヤ23aと空転ギヤ23bとが軸方向に交互に並んでいる。同様に、出力軸22には、空転ギヤ23bと共回転ギヤ23aとが軸方向に交互に並んでいる。なお、図2において、煩雑になるのを避けるために、一部の共回転ギヤと空転ギヤにのみ符号を付し、それ以外は省略する。
ギヤ変速機20は、ドッグクラッチ式の変速機である。ギヤ変速機20は、複数の変速段にそれぞれ対応する複数のドグ24と、シフト機構26とを備える。
ドグ24は、シフト機構26により、入力軸21および出力軸22に対して軸方向に移動可能となっている。複数のドグ24のいずれかが、シフト機構26により軸方向に移動して、複数組の変速ギヤ対23のいずれかと選択的に係合する。これにより、ドグ24と係合した1つの変速ギヤ対23は、入力軸21から出力軸22に駆動力を伝達可能な状態となる。すなわち、入力軸21に伝達された駆動力は、ドグ24と係合した変速ギヤ対23を介して出力軸22に伝達される。出力軸22の回転動力は、出力伝達部材16を介して、駆動輪である後輪3に伝達される。出力伝達部材16は、例えば、チェーン、ベルト等である。
シフト機構26は、シフトフォーク27a,27b,27cと、支軸28と、シフトドラム29とを備える。シフトフォーク27a,27b,27cは、入力軸21および出力軸22に平行に設けられた支軸28に、スライド自在に支持されている。後述するように、本実施形態では、一部の共回転ギヤ23aがドグ24と一体となっている。シフトフォーク27aの一端部が、入力軸21に外装された、ドグ24と一体的に移動する共回転ギヤ23aに対して接続されている。また、シフトフォーク27b,27cの一端部が、出力軸22に外装された、ドグ24と一体的に移動する共回転ギヤ23aに対して接続されている。
また、シフトフォーク27a,27b,27cの他端部が、シフトドラム29の案内溝Gに嵌合している。シフトドラム29が回転すると、その案内溝Gにより案内されたシフトフォーク27a,27b,27cが対応するドグ24を軸方向に移動させる。ドグ24が、空転ギヤ23bが有する後述の収容空間Sに入り込むことで、ドグ24が空転ギヤ23bと遊びをもって係合する。また、ドグ24が、空転ギヤ23bが有する後述の収容空間Sから抜け出ることで、ドグ24が空転ギヤ23bから離脱する。
図3及び4は、入力軸21に同軸に設けられたいくつかの変速ギヤ23を、軸方向に直交する方向に見た拡大図である。図3及び4は、ある変速段における変速ギヤ23とドグ24との係合状態の一例を示す。なお、本明細書において、便宜上、現在の変速段を、第1変速段と称し、第1変速段に対応する変速ギヤ対23のうち第1変速段に対応するドグ(第1ドグとも称し得る)24が係合可能なギヤ23を、第1ギヤ(あるいは、現ギヤまたはプレ変速ギヤ)23b1と称する。また、シフト指令に基づき現在の変速段からドグ24がシフト動作した後の次の変速段を、第2変速段と称し、第2変速段に対応する変速ギヤ対23のうち第2変速段に対応するドグ(第2ドグとも称し得る)24が係合可能なギヤ23を、第2ギヤ(あるいは、次ギヤまたはポスト変速ギヤ)23b2と称することとする。
図3に示すように、本実施形態では、いくつかの共回転ギヤ23aが、ドグ24と一体型となっており、ドグ24とともに入力軸21または出力軸22に対して軸方向に移動可能となっている。具体的には、ドグ24は、共回転ギヤ23aの軸方向端面から軸方向に突出するように設けられている。ドグ24は、共回転ギヤ23aの端面において、共回転ギヤ23aの周方向に所定の間隔をあけて並んだ複数の突起により構成されている。
ドグ24および共回転ギヤ23aに軸方向に対向する空転ギヤ23bが、ドグ24が入り込むことが可能な収容空間Sを有する。収容空間Sは、移動するドグ24が入り込めるよう、軸方向におけるドグ24が配置された側に開口している。本実施形態では、収容空間Sは、空転ギヤ23bの軸方向端面において、空転ギヤ23bの周方向に所定の間隔をあけて並んだ複数の突起により構成されている。すなわち、収容空間Sは、空転ギヤ23bの端面において空転ギヤ23bの周方向に隣接する突起の間に形成される空間である。なお、収容空間Sは、空転ギヤ23bの軸方向端面に形成された穴であってもよい。すなわち、収容空間Sは、空転ギヤ23bの径方向に開口していてもよいし、開口していなくてもよい。
図3に示すように、収容空間Sを有する変速ギヤ23は、当該変速ギヤ23の周方向に収容空間Sを画定する第1面25aおよび第2面25bを有している。第1面25aは、収容空間Sに入り込んだドグ24が、少なくとも出力軸22に所定の正方向にトルクを伝達する際に当接する面である。第2面25bは、収容空間Sに入り込んだドグ24が、少なくとも出力軸22に正方向と反対の負方向にトルクを伝達する際に当接する面である。
なお、図3及び後述の図4、7、8において、軸方向と正方向とが矢印で示されている。本明細書において、正方向とは、乗物(本例では自動二輪車1)が前進する際に出力軸22を加速させる方向の入力軸21および出力軸22のトルクの発生方向を意味する。すなわち、第1面25aは、収容空間Sに入り込んだドグ24が、少なくとも出力軸22の回転を加速させる際に当接する面であり、第2面25bは、収容空間Sに入り込んだドグ24が、少なくとも出力軸22の回転を減速させる際に当接する面である。特に本例では、第1面25aは、収容空間Sに入り込んだドグ24が、乗物(本例では自動二輪車1)が前方に加速中に当接している面であり、第2面25bは、収容空間Sに入り込んだドグ24が、乗物(本例では自動二輪車1)の減速中に当接している面である。なお、乗物の等速移動中に、ドグ24は、第1面25aまたは第2面25bに当接することもあり得る。
図3に示すように、ドグ24が、第1ギヤ23b1の第1面25aに当接することで、ドグ24が第1ギヤ23b1の第1面25aに当接することで、原動機から入力軸21に伝達された駆動力が、ドグ24から第1ギヤ23b1に伝達され、第1ギヤ23b1に噛み合う共回転ギヤ23aを介して出力軸22に伝達される。
図3に示した状態から、第1ギヤ23b1の回転数に対してドグ24の回転数が低下すると、ドグ24は、第1面25aから離れ第2面25bに当接する。図4は、ドグ24が第1ギヤ23b1の第2面25bに当接した状態を示す。ドグ24が第1ギヤ23b1の第2面25bに当接することで、負方向のトルクが、ドグ24から第1ギヤ23b1に伝達され、第1ギヤ23b1に噛み合う共回転ギヤ23aを介して出力軸22に伝達される。
図5は、変速制御装置40およびその入出力を示すブロック図である。変速制御装置40は、エンジン12、駆動モータ13、クラッチアクチュエータ19、シフトアクチュエータ30を制御する。図5に示すように、変速制御装置40には、アクセル操作量センサ32、シフトスイッチ17、ギヤポジションセンサ31、エンジン回転数センサ33、モータ回転数センサ34、出力軸回転数センサ35などからの検出信号が入力される。変速制御装置40は、スロットル装置12c、点火装置12d、燃料供給装置12e、駆動モータ13、クラッチアクチュエータ19およびシフトアクチュエータ30に対し、制御信号を出力する。
アクセル操作量センサ32は、運転者のアクセル操作量(加速要求量)を検出する。
シフトスイッチ17は、運転者の手動操作に応じ、ギヤ変速機20の変速段を変えるためのシフト指令を変速制御装置40に送る。例えばシフト指令は、シフトアップ指令またはシフトダウン指令である。シフトアップ指令は、ギヤ変速機20の変速段を増加させる指令である。より詳しくは、シフトアップ指令は、入力軸21に対する出力軸22の減速比を大きくする指令である。シフトダウン指令は、ギヤ変速機20の変速段を減少させる指令である。より詳しくは、シフトダウン指令は、入力軸21に対する出力軸22の減速比を小さくする指令である。
ギヤポジションセンサ31は、シフトドラム29の回転角を検出する。シフトドラム29の回転角により、ギヤ変速機20の複数の変速ギヤ対23のうちのいずれが選択された状態にあるか、つまりどの変速段にあるかを検出可能である。
エンジン回転数センサ33は、エンジン12の出力軸(すなわち駆動軸)の回転数(以下、「エンジン回転数」ともいう)を検出する。モータ回転数センサ34は、駆動モータ13の出力軸の回転数(以下、「モータ回転数」ともいう)を検出する。
出力軸回転数センサ35は、出力軸22の回転数を検出する。出力軸回転数センサ35は、出力軸22に設けられて、出力軸22の回転数を直接的に検出するものであってもよい。あるいは、出力軸回転数センサ35は、別のパラメータを検出することにより、出力軸22の回転数を間接的に検出するものであってもよい。例えば出力軸回転数センサ35は、駆動輪である後輪3の回転数を検出する車輪回転数センサでもよい(図2参照)。
スロットル装置12cは、エンジン12の吸気量を調節する。例えば、スロットル装置12cは、スロットル弁をモータにより開閉動作させる電子制御スロットル装置である。点火装置12dは、エンジン12の燃焼室内の混合気に点火する。点火装置12dは、例えば点火プラグである。燃料供給装置12eは、エンジン12に燃料を供給する。
シフトアクチュエータ30は、ドグ24を移動させる動力を発生させる。具体的には、シフトアクチュエータ30は、変速制御装置40により制御されて、シフト機構26のシフトドラム29を回転駆動させる。変速制御装置40は、シフトスイッチ17に対する運転者の操作に応じて、シフトアクチュエータ30を制御する。シフトアクチュエータ30は、例えば電動モータである。
変速制御装置40は、ハードウェア面において、1以上のプロセッサ41を含む。プロセッサ41は、演算装置、揮発性メモリ、不揮発性メモリを含む。プロセッサ41は、処理回路の一例である。プロセッサ41は、演算装置が不揮発性メモリに保存されたプログラムに従って、揮発性メモリを用いて演算処理し、変速制御装置40に入力された検出信号に応じた制御信号を出力する。変速制御装置40は、ソフトウェア面において、モード切替部41a、エンジン制御部41b、モータ制御部41c、クラッチ制御部41d、シフト制御部41e、状況判定部41f、位置推定部41g,目標決定部41h、タイミング決定部41iを含む。なお、図5では、1以上のプロセッサ41を1つのブロックで示し、その中に機能ブロック41a,41b,41c,41d,41e,41f,41g,41h,41iをまとめて示す。また、変速制御装置40は、メモリ42を含む。メモリ42は、揮発性メモリおよび不揮発性メモリを含む。
モード切替部41aは、EGVモード、EVモード、およびHEVモードを含む複数の走行モードから1つのモードを選択する。
EGVモードは、駆動モータ13を駆動させずにエンジン12を駆動し、エンジン12のみの回転動力で駆動輪である後輪3を駆動するモードである。EGVモードでは、エンジン12の回転動力がギヤ変速機20を介して駆動輪である後輪3に伝達されるように、クラッチアクチュエータ19によってメインクラッチ18が接続状態とされる。
EVモードは、エンジン12を停止し、駆動モータ13が発生する動力で駆動輪である後輪3を駆動するモードである。EVモードでは、駆動モータ13の駆動時にエンジン12が抵抗にならないように、クラッチアクチュエータ19によってメインクラッチ18が切断状態とされる。
HEVモードは、駆動モータ13およびエンジン12が発生する動力で駆動輪である後輪3を駆動するモードである。HEVモードでは、エンジン12の回転動力がギヤ変速機20を介して後輪3に伝達されるように、クラッチアクチュエータ19によってメインクラッチ18が接続状態とされる。
エンジン制御部41bは、スロットル装置12c、点火装置(点火プラグ)12d、燃料供給装置12eを制御して、エンジン12の出力を調節する。例えば、エンジン制御部41bは、エンジン12の出力トルクが、運転者のアクセル操作量に応じた値になるようトルク制御を行う。モータ制御部41cは、駆動モータ13を制御して、駆動モータ13の出力を調節する。例えば、モータ制御部41cは、駆動モータ13の出力トルクが、運転者のアクセル操作量に応じた値になるようトルク制御を行う。エンジン制御部41bおよびモータ制御部41cは、モード切替部41aにより選択された走行モードに応じた制御を行う。
クラッチ制御部41dは、クラッチアクチュエータ19を制御して、メインクラッチ18の状態を切り替える。例えばクラッチ制御部41dは、モード切替部41aによりEVモードが選択されたときは、メインクラッチ18を切断状態にし、モード切替部41aによりEGVモードまたはHEVモードが選択されたときは、メインクラッチ18を接続状態にする。
シフト制御部41e、状況判定部41f、位置推定部41g、目標決定部41hおよびタイミング決定部41iは、シフト指令が発生した場合、すなわちシフトスイッチ17からシフト指令を受信した場合に実行される変速処理に関連する。シフト制御部41eは、取得したシフト指令に応じて、シフトアクチュエータ30を制御する。状況判定部41fは、シフト指令を取得したときの状況を判定する。位置推定部41gは、第1変速段の収容空間Sに対する第1変速段のドグ24の角度位置θを推定する。目標決定部41hは、ドグ24をシフト動作させる際の目標エンジン回転数、目標モータ回転数、および目標ドラム角度などを決定する。タイミング決定部41iは、後述の同期制御を開始させるタイミングや、ドグ24を移動させるための制御を開始するタイミングを決定する。
<変速処理>
変速処理の一例について、図6を参照して説明する。図6は、自動二輪車1の走行中の変速制御装置40による制御の流れを示すフローチャートである。なお、変速処理を説明する際に、適宜図7乃至9を参照する。図7は、後述の離間制御の一例を説明するためのドグおよび変速ギヤの拡大模式図である。図8は、後述の同期制御の一例を説明するためのドグおよび変速ギヤの拡大模式図である。図9は、第2変速段のドグと第2変速段の変速ギヤとが係合した状態の一例を示す拡大模式図である。
自動二輪車1の走行中、基本的に、エンジン制御部41bおよびモータ制御部41cの少なくとも一方は、上記したトルク制御を行っている(ステップS1)。
例えばEGVモードの場合、プロセッサ40は、運転者のアクセル操作量などに応じてエンジントルク指令値を決定し、エンジン制御部41bは、エンジントルク指令値に基づいて、スロットル装置12cなどを制御する。例えばEVモードの場合、プロセッサ40は、運転者のアクセル操作量などに応じてモータトルク指令値を決定し、モータ制御部41cは、モータトルク指令値に基づいて、駆動モータ13を制御する。例えばHEVモードの場合、プロセッサ40は、運転者のアクセル操作量などに応じてエンジントルク指令値およびモータトルク指令値を決定し、エンジン制御部41bは、エンジントルク指令値に基づいて、スロットル装置12cなどを制御し、モータ制御部41cは、モータトルク指令値に基づいて、駆動モータ13を制御する。
トルク制御中、状況判定部41fは、第1変速段から第2変速段にシフトするためのシフト指令(すなわち、シフトアップ指令またはシフトダウン指令)があるか否かを判定する(ステップS2)。シフト指令がないと判定された場合(ステップS2:No)、エンジン制御部41bおよびモータ制御部41cの少なくとも一方によるトルク制御が継続される。
(状況の判定)
シフト指令があると判定された場合(ステップS2:Yes)、状況判定部41fは、シフト指令を取得したときの状況が所定の第1状況であるか否かを判定する。第1状況は、下記(a)または(b)の状況である。
(a) シフト指令がシフトダウン指令であり、且つ、ドグ24が第1変速段の第1面25aに当接している状況。
(b) シフト指令がシフトアップ指令であり、且つ、ドグ24が第1変速段の第2面25bに当接している状況。
状況判定部41fは、位置推定部41gにより推定されたドグ24の角度位置θに応じて、ドグ24が第1面25aに当接しているか、第2面25bに当接しているか、第1面25aおよび第2面25bのいずれにも当接していないかの判定を行う。
(ドグの位置推定)
ここで、位置推定部41gによるドグ24の角度位置θの推定方法の一例について説明する。位置推定部41gは、第1ギヤ23b1の収容空間Sに対するドグ24の角度位置θを推定する。
ドグ24の角度位置θは、収容空間Sにおける所定の位置に位置するときのドグ24の位置を、ドグ24の基準位置として、当該基準位置からのドグ24の変位角で表される。本実施形態では、ドグ24が第1ギヤ23b1の第2面25bに当接しているときのドグ24の位置を基準位置とし、ドグ24の角度位置θを0°としている(図4参照)。また、収容空間Sにおいてドグ24が基準位置から20°角変位することで、ドグ24は第1面25aに当接する。このため、ドグ24が第1ギヤ23b1の第1面25aに当接しているときのドグ24の角度位置θを、20°としている(図3参照)。
例えば、図3に示すように、第1変速段が、入力軸21に同軸に設けられた共回転ギヤ23aと一体回転するドグ24と、入力軸21に同軸に設けられた空転ギヤである第1ギヤ23b1とが係合した状態である場合を考える。この場合、第1変速段において互いに係合するドグ24と第1ギヤ23b1のうち、ドグ24が、原動機から入力軸21を介し出力軸22に向かう動力伝達経路における入力側にあり、第1ギヤ23b1が、当該動力伝達経路の出力側にある。動力伝達経路の入力側にあるドグ24の角加速度α[rad/s2]は、下記式(1)により求まる。
Figure 2023097555000002
ここで、上記式(1)のT [N・m2]は、原動機の駆動力の合計T1から、抵抗力の合計T2を減算した値である。以下、Tは、出力トルクと称する。例えばEGVモードの場合、駆動力合計値T1は、エンジン12の駆動力である。例えばEVモードの場合、駆動力合計値T1は、駆動モータ13の駆動力である。例えばHEVモードの場合、駆動力合計値T1は、エンジン12の駆動力と、駆動モータ13の駆動力との合計である。
また、抵抗力は、原動機の駆動力によって実質的に遊びなしで回転する複数の回転体の回転に伴うメカニカルロスに対応する。例えばEGVモードの場合、抵抗力合計値T2は、例えば前記エンジン用動力伝達経路におけるメカニカルロスに対応する抵抗力を含む。EGVモードにおいて、入力軸21の回転に伴って、駆動モータ13から入力軸21までのモータ用動力伝達経路上の回転体も回転する場合には、抵抗力合計値T2は、当該モータ用動力伝達経路におけるメカニカルロスに対応する抵抗力も更に含む。例えばEVモードの場合、抵抗力合計値T2は、例えばモータ用動力伝達経路におけるメカニカルロスに対応する抵抗力を含む。例えばHEVモードの場合、抵抗力合計値T2は、前記エンジン用動力伝達経路におけるメカニカルロスに対応する抵抗力、および、モータ用動力伝達経路におけるメカニカルロスに対応する抵抗力を含む。
本実施形態では、原動機の出力トルクTの算出には、エンジントルク指令値やモータトルク指令値が用いられる。例えば、エンジントルク指令値が示すトルクを、エンジン12の駆動力とし、モータトルク指令値が示すトルクを、駆動モータ13の駆動力とすることができる。また例えば、各原動機へのトルク指令値と、抵抗力(言い換えればメカニカルロス)との対応関係を示す情報がメモリ42に予め記憶されていてもよく、トルク指令値とメモリ42に記憶された対応関係とを用いて、抵抗力を算出できる。メモリ42には、各モードに対応する対応関係を示す情報が記憶されていてもよい。トルク指令値からドグ24の角度位置θを算出できるため、ドグ24の角度位置θを算出するためのセンサを低減できる。ただし、駆動力の取得方法はこれに限定されない。例えば、予めトルクマップを用いて、エンジン回転数およびスロットル開度(またはアクセル操作量)などから、エンジンの駆動力を算出してもよい。
また、上記式(1)のJ [kg・m2]は、原動機の出力トルクによって、実質的に遊びなしで回転する複数の回転体のイナーシャの合計値である。言い換えれば、イナーシャ合計値Jは、ギヤ変速機20がいずれの変速ギヤ対23もドグ24と係合していない状態(非係合状態)にある場合でも、原動機からの出力トルクによって回転する複数の回転体のイナーシャの合計である。例えば、本実施形態では、イナーシャ合計値Jは、入力軸21のイナーシャ、入力軸21と同軸のいくつかの共回転ギヤ23aのイナーシャ、それら共回転ギヤ23aにそれぞれ噛み合う、出力軸22と同軸のいくつかの空転ギヤ23b、入力軸21と同軸の共回転ギヤ23aに設けられたドグ24のイナーシャを含む。
例えばEGVモードの場合、Jは、前記エンジン用動力伝達経路における各回転体(例えばエンジン12の出力軸など)のイナーシャも更に含む。EGVモードにおいて、入力軸21の回転に伴って、モータ用動力伝達経路上の回転体も回転する場合には、Jは、当該モータ用動力伝達経路における各回転体(例えば駆動モータ13の出力軸など)のイナーシャも更に含む。また、例えばEVモードの場合、Jは、モータ用動力伝達経路における各回転体(例えば駆動モータ13の出力軸など)のイナーシャも含む。また、例えばHEVモードの場合、前記エンジン用動力伝達経路における各回転体(例えばエンジン12の出力軸など)のイナーシャ、および、モータ用動力伝達経路における各回転体(例えば駆動モータ13の出力軸など)のイナーシャを含む。
また、Jには、出力軸22のイナーシャ、出力軸22と同軸のいくつかの共回転ギヤ23aのイナーシャ、それら共回転ギヤ23aにそれぞれ噛み合う、出力軸22と同軸のいくつかの空転ギヤ23b、出力軸22と同軸の共回転ギヤ23aに設けられたドグ24のイナーシャを含まれなくてよい。
また、本実施形態では、変速処理におけるシフト指令を取得してからシフト動作が完了するまでの時間は、例えば後輪3において速度変化が生じる時間に比べて、極めて短い時間で実行される。このため、位置推定部41gは、上記トルクTがドグ24に付与される間、動力伝達経路の出力側にある第1ギヤ23b1や後輪3が等速であるとものとして、ドグ24の角度位置θを推定する。すなわち、出力側にある第1ギヤ23b1の角加速度は0としている。従って、位置推定部41gは、式(1)から算出した角加速度αを、下記式(2)に示すように二階積分することにより、第1ギヤ23b1に対するドグ24の角度位置θを推定する。
Figure 2023097555000003
ただし、第1変速段において、第1ギヤ23b1に対する第1変速段のドグ24の移動範囲は、第1ギヤ23b1の収容空間S内に制限される。言い換えれば、ドグ24の角度位置θは、所定の下限値(本例ではθ=0°)と上限値(本例ではθ=20°)との間に制限される。このため、位置推定部41gは、角変位量を積算することによって得られた角度位置が下限値を下回ったときには、ドグ24の角度位置θが下限値にあると推定し、角変位を積算することによって得られた角度位置が上限値を上回ったときには、ドグ24の角度位置θが上限値にあると推定する。
このように、本実施形態では、位置推定部41gは、原動機から出力されるトルクの合計Tと、入力軸21とともに回転する各回転体のイナーシャの合計Jとに基づき、ドグ24の角度位置を算出する。例えば位置推定部41gにより推定された角度位置θが0°である場合、状況判定部41fは、ドグ24が第1変速段の第2面25bに当接していると判定する。例えば位置推定部41gにより推定された角度位置θが20°である場合、状況判定部41fは、ドグ24が第1変速段の第1面25aに当接していると判定する。
位置推定部41gによるドグ24の角度位置θの推定は、変速制御装置40がシフト指令を取得したか否かに関わらず、自動二輪車1の走行中、常時実行され得る。なお、第1変速段において互いに係合するドグ24と第1ギヤ23b1のうち、動力伝達経路の入力側に第1ギヤ23b1がある場合、上記式(1)により第1ギヤ23b1の角加速度α[rad/s2]が求まる。
(離間制御)
上記ステップS3において、状況判定部41fが、シフト指令を取得したときの状況が第1状況であると判定した場合(ステップS3:No)、離間制御を開始する(ステップS4)。離間制御は、シフト指令を取得したときにドグ24が当接していた第1面25aまたは第2面25bから離れるように原動機の出力を調節する制御である(図7参照)。以下、シフト指令を取得したときにドグ24が当接していた第1面25aまたは第2面25bを、当接面と称し、第1面25aまたは第2面25bのうちの当接面ではない側である面を、反対面と称することとする。
ステップS4において、エンジン制御部41bおよびモータ制御部41cの少なくとも一方は、シフト指令を取得したときにドグ24が当接面から離れるように、出力を調節する制御を行う。離間制御は、後述の同期制御がドグ24と当接面とが互いに当接することにより阻害されることを回避するために実行される(図8の収容空間S内の矢印参照)。
上記ステップS3において、状況判定部41fが、シフト指令を取得したときの状況が第1状況でないと判定した場合、(ステップS3:Yes)、上記の離間制御は省略される。第1状況でない場合、後述の同期制御がドグ24と当接面とが互いに当接することにより阻害されることがないためである。
例えば、上記ステップS3において、状況判定部41fが、シフト指令を取得したときの状況が、第1状況と異なる第2状況であると判定した場合に、上記の離間制御が省略される。第2状況は、上記第1状況である(a)または(b)の状況以外の状況である。例えば、第2状況は、下記(c)または(d)の状況を含む。
(c) シフト指令がシフトアップ指令であり、且つ、ドグ24が第1変速段の第1面25aに当接している状況。
(d) シフト指令がシフトダウン指令であり、且つ、ドグ24が第1変速段の第2面25bに当接している状況。
(目標値の決定)
ステップS3で第1状況ではないと判定された場合、または、ステップS4の離間制御が実行された後に、目標決定部41hは、各種目標値を決定する(ステップS5)。具体的には、目標決定部41hは、目標エンジン回転数、目標モータ回転数、および目標ドラム角度を決定する。目標エンジン回転数および目標モータ回転数は、第2変速段に対応した回転数である。より詳しくは、目標エンジン回転数および目標モータ回転数は、第2変速段におけるドグ24の回転数と第2変速段における変速ギヤの回転数との一方を他方に近づける同期制御のためのエンジン回転数およびモータ回転数である。
ここで、「第2変速段におけるドグ24の回転数と第2変速段における変速ギヤの回転数の一方を他方に近づける同期制御」とは、ドグ24および第2ギヤ23b2のうちの入力側を出力側に合わせにいく制御である。例えば、入力軸21と一体回転するドグ24を、入力軸21に外装された第2ギヤ23b2に係合する場合には、上記同期制御は、当該第2ギヤ23b2の回転数にドグ24の回転数を近づける制御を意味する。また、例えば、出力軸22と一体回転するドグ24を、出力軸22に外装された第2ギヤ23b2に係合する場合には、上記同期制御は、ドグ24の回転数に第2ギヤ23b2の回転数を近づける制御を意味する。第2ギヤ23b2の収容空間Sにドグ24を入れる前に、同期制御を行うことで、ドグ24が第2ギヤ23b2に円滑に係合される。
本実施形態では、ステップS5において、まずシフト制御部41eは、ギヤポジションセンサ31の検出角度信号から、ギヤ変速機20の現在の変速段である第1変速段を判定する。また、シフト制御部41eは、シフト指令がシフトアップ指令であるかシフトダウン指令であるかに応じて、次の変速段である第2変速段を決定する。目標決定部41hは、第2変速段の減速比および出力軸22の現在の回転数から、第2変速段におけるドグ24の回転数および第2ギヤ23b2の回転数の一方を他方に合わせるように、目標エンジン回転数および目標モータ回転数を算出する。なお、HEVモードの場合、目標エンジン回転数に対応する入力軸21の回転数と、目標モータ回転数に対応する入力軸21の回転数とは、同じ値である。
(タイミングの決定)
ステップS5の後、タイミング決定部41iは、上記の同期制御を開始させるタイミングや、ドグ24を移動させるための制御を開始するタイミングを決定する(ステップS6)。
タイミング決定部41iは、同期制御の開始タイミングが、離間制御の実行後で、且つ、第1変速段のドグ24が第1変速段の収容空間Sの外に抜け出る前となるように、同期制御の開始タイミングを決定する。
ここで、同期制御の開始タイミングとは、入力軸21に駆動力を伝達している原動機が複数ある場合には、複数の原動機のうちで最初に同期制御を開始させるタイミングである。例えばHEVモードで、且つ、エンジン12の上記同期制御を駆動モータ13の上記同期制御に先行して開始する場合、タイミング決定部41iは、エンジン12の同期制御の開始タイミングが、離間制御の実行後で、且つ、第1変速段のドグ24が第1変速段の収容空間Sの外に抜け出る前となるように、エンジン12の同期制御の開始タイミングを決定する。
本実施形態では、位置推定部41gにより推定されたドグ24の角度位置θに応じて、同期制御が開始される。具体的には、位置推定部41gにより推定されたドグ24の角度位置θが、当接面から離れた所定の位置に到達したと判定した場合に、同期制御を開始するよう、同期制御開始タイミングを決定する。タイミング決定部41iは、離間制御の実行を開始した後に、位置推定部41gが推定した第1変速段のドグ24の角度位置θが、第1面25aおよび第2面25bのうちの当接面ではない側である反対面にドグ24が当接する角度位置に到達したと判定した場合に、同期制御が開始されるように、同期制御の開始タイミングを決定する。
また、タイミング決定部41iは、第1ギヤ23b1から第1変速段のドグ24を離脱させ且つ第2ギヤ23b2に向けて第2変速段のドグ24を移動させるための移動制御を開始するタイミングを決定する。ドグ24の移動制御を開始するタイミングは、推定されたドグ24の角度位置θに基づき決定されてもよい。あるいは、ドグ24の移動制御を開始するタイミングは、決定した同期制御の開始タイミングに基づき、決定されてもよい。すなわち、先に同期制御の開始タイミングが決定された後で、ドグ24の移動制御の開始タイミングが決定されてもよい。
ステップS6で同期制御の開始タイミングおよびドグ24の移動制御の開始タイミングが決定されると、決定された各タイミングに従って、上記の同期制御(ステップS7)とシフトアクチュエータ30の制御(ステップS8)が行われる(図8参照)。
具体的には、EGVモードまたはHEVモードの場合、エンジン制御部41bは、ステップS6で決定したタイミングで上記同期制御を開始するようエンジン12を制御する。エンジン制御部41bは、エンジン12の回転数がステップS5で決定された目標エンジン回転数R1に近づくように、エンジン12、つまりスロットル装置12c、点火装置12d、燃料供給装置12eなどをフィードバック制御する。
また、EVモードまたはHEVモードの場合、モータ制御部41cは、ステップS6で決定したタイミングで上記同期制御を開始するよう駆動モータ13を制御する。モータ制御部41cは、駆動モータ13の回転数がステップS5で決定された目標モータ回転数R2に近づくように、駆動モータ13をフィードバック制御する。
また、シフト制御部41eは、ステップS6で決定したタイミングでドグ24を移動させるための制御を開始するようシフトアクチュエータ30を制御する。
なお、本実施形態では、ステップS4の離間制御の後に実行する同期制御と、ステップS4の離間制御が省略された後に実行する同期制御とで、同じ制御パラメータが用いられる。例えば、上記ステップS3において、状況判定部41fが、シフト指令を取得したときの状況が上記状況(b)であると判定した場合、エンジン制御部41bおよびモータ制御部41cの少なくとも一方は、図7に矢印で示す方向に、第1変速段の収容空間S内においてドグ24が第2面25bから離れるように、出力を調節する。そして、第1変速段のドグ24の角度位置θが、反対面である第1面25aにドグ24が当接する角度位置(本例ではθ=20°)に到達したときに、エンジン制御部41bおよびモータ制御部41cの少なくとも一方は、同期制御を開始する。
ここで、状況(b)の後に、離間制御によってドグ24を第2面25bから離し第1面25aに当接させた状況は、第2状況である上記の状況(c)と同じである。従って、状況(b)の後に、ドグ24を第1面25aに当接させることにより、状況(c)の場合の同期制御にて使用する制御パラメータと同じ制御パラメータを用いて同期制御を実行できる。
同様に、状況(a)の後に、離間制御によってドグ24を第1面25aから離し第2面25bに当接させた状況は、上記の状況(d)と同じである。従って、状況(a)の後に、ドグ24を第2面25bに当接させることにより、状況(d)の場合の同期制御にて使用する制御パラメータと同じ制御パラメータを用いて同期制御を実行できる。
エンジンの制御パラメータは、例えば、点火カットするタイミング、点火カットの継続時間、点火遅角量、燃料噴射量、および燃料噴射タイミングの少なくとも1つを含む。駆動モータ13の制御パラメータは、例えば、電流、電圧、指令デューティ(Duty)、正逆転指令、トルク指令値、回転数指令値の少なくとも1つを含む。
シフト制御部41eは、シフト指令に対応するシフト動作が完了したか否かを判定する(ステップS9)。具体的には、シフト制御部41eは、第2ギヤ23b2にドグ24が係合した状態にあるか否かを判定する。例えば、シフト制御部41eは、ギヤポジションセンサ31により検出されたドラム角が、ステップS5で決定された目標ドラム角度であるか否かを判定する。
シフト制御部41eによりシフト指令に対応するシフト動作が完了したと判定されない間は(ステップS9:No)、上記の同期制御、つまり回転数のフィードバック制御を継続する。また、シフト制御部41eによりシフト指令に対応するシフト動作が完了したと判定された場合(ステップS9:Yes;図9参照)、ステップS1のトルク制御に戻る。
以上に説明したように、本実施形態に係る変速制御装置40は、シフト指令を取得したときの状況が第1状況であると判定した場合、まずドグ24が第1変速段の当接面から離れる方向に原動機の出力を調節する離間制御を開始し、離間制御の開始後で、且つ、ドグ24が第1変速段の前記収容空間Sの外に抜け出る前に、同期制御を開始する。
第1状況において、離間制御なしで、同期制御を開始したとしても、ドグ24が当接面に当接していることにより、同期制御が阻害されるが、本実施形態では、離間制御によってドグ24と第1変速段の当接面が離れているため、ドグ24が第1変速段の収容空間Sの外に抜け出る前に、同期制御を開始することが可能となる(図8の収容空間S内の矢印参照)。また、第1変速段の収容空間Sの外にドグ24が抜けた後に同期制御を開始する場合に比べて、同期制御の時間を確保しやすい。
また、本実施形態では、シフト指令を取得したときの状況が第2状況であると判定した場合、離間制御を省略して、同期制御を開始するので、第1変速段の収容空間Sの外にドグ24が抜けた後に同期制御を開始する場合や離間制御を経て同期制御を開始する場合に比べて、同期制御の時間を確保しやすい。
ドグ24が当接面から十分に離れていない状態で同期制御を開始すると、ドグ24が第1変速段の当接面に衝突する可能性が高くなるが、本実施形態では、当接面とドグ24とが離れたことを判断してから、同期制御を開始するため、有効に同期制御を開始できる。
また、本実施形態では、ドグ24の角度位置θが、ドグ24が反対面に当接する位置に到達したと判定した場合に、同期制御を開始するため、ドグ24と当接面とを十分に離した状態で、同期制御を開始でき、同期制御の時間を一層確保しやすくなる。
また、本実施形態では、第1状況と第2状況とで同じ制御パラメータを用いて同期制御を実行するため、制御パラメータの調整作業が容易となる。
また、本実施形態では、原動機の出力トルクと、当該出力トルクにより実質的に回転する回転体のイナーシャの合計値とを用いて、ドグ24の角度位置を算出することにより、ドグ24の角度位置の算出精度を向上できる。
また、本実施形態では、位置推定部41gにより推定されるドグ24の角度位置θを、ステップS3の状況判定と、ステップS7の同期制御の開始のトリガの双方に用いている。このように、推定したドグ24の角度位置を、前記同期制御の開始タイミングを決定することに用いるだけでなく、ドグ24が第1変速段の第1面または第2面に当接しているか否かを判定することにも用いるため、変速処理を単純化することができる。
<その他の実施形態>
本開示は前述した実施形態に限定されるものではなく、その構成を変更、追加、又は削除することができる。
例えば、上記実施形態では、ドグ24が共回転ギヤ23aと一体型であったが、ドグ24が共回転ギヤ23aとは別体であってもよい。例えば、共回転ギヤ23aを、入力軸21または出力軸22に対しスライド自在にする代わりに、ドグ24を有するドッグリングを、入力軸21または出力軸22に対しスライド自在に設けてもよい。また、ドグが、入力軸21および出力軸22の双方の周りに配置されなくてもよく、全ての変速段のドグが、入力軸21および出力軸22のいずれか一方の周りにのみ配置されてもよい。
図3、4、7、8、9では、現在の変速段である第1変速段のドグ(第1ドグ)24と、次の変速段である第2変速段のドグ(第2ドグ)24の双方が設けられた変速ギヤ23が示されたが、ギヤ変速機が、このような変速ギヤを備えなくてもよい。すなわち、第1変速段のドグ24と、次の変速段である第2変速段のドグ24とは、別々の変速ギヤ23に設けられてもよいし、あるいは別々のドッグリングに設けられてもよい。
上記実施形態では、原動機に対するトルク指令値と、原動機のイナーシャとに基づき、ドグ24の角度位置を推定したが、ドグの角度位置の推定方法に限定されない。例えば、位置推定部は、入力軸21の回転数またはそれに対応するパラメータと、出力軸22の回転数またはそれに対応するパラメータとに基づき、ドグ24の角度位置を算出してもよい。入力軸21の回転数またはそれに対応するパラメータとしては、エンジン回転数センサ、モータ回転数センサなどが例示される。また、出力軸22の回転数またはそれに対応するパラメータとしては、出力軸22の回転数を直接的に検出する回転数センサ、駆動輪である後輪3の回転数を検出する車輪回転数センサが例示される。この構成によれば、備え付けのセンサを、ドグ位置の推定に利用できる。
上記実施形態では、原動機に対するトルク指令値と、原動機のイナーシャとに基づき、ドグ24の角度位置を算出したが、ドグの角度位置を推定する方法はこれに限定されない。例えば、入力軸の回転数またはそれに対応するパラメータと、出力軸の回転数またはそれに対応するパラメータとに基づき、ドグの角度位置を算出してもよい。
シフト指令は、シフトスイッチの代わりに別の装置から指令を送信できてもよい。また、変速制御装置が、自動的にシフト指令を生成してもよい。例えば変速制御装置は、車速、エンジン回転数およびスロットル開度と変速タイミングとの関係を規定する変速マップを記憶していてもよく、変速マップに基づいて自動的にシフト指令を生成してもよい。
また、上記実施形態では、第1原動機が内燃機関であり、第2原動機が電動モータである例が説明されたが、入力軸に駆動力を伝達する原動機の種類はこれに限定されない。例えば、原動機は、内燃機関、外燃機関、電動モータ、流体機械などであり得る。エンジンの種類も特に限定されず、例えばエンジンは、レシプロエンジンでもよいし、ロータリーエンジンでもよい。例えばエンジンは、ガソリンエンジンでもよいし、ディーゼルエンジンでもよい。例えばエンジンは、2ストロークエンジンでもよいし、4ストロークエンジンでもよい。第1原動機と第2原動機とが、双方とも同じ種類の原動機でもよい。
また、第1原動機と第2原動機とで、同期制御の開始タイミングが異なってもよい。また、上記実施形態では、変速制御装置40を備えた乗物が、第1原動機と第2原動機とを備えるハイブリッド車両であったが、乗物はハイブリッド車両でなくてもよい。例えば乗物は、エンジンおよび電動モータの一方のみを備えるものであってもよい。
乗物は、自動二輪車に限定されない。例えば、乗物は、例えば、自動三輪車や自動四輪車であってもよい。上記実施形態では、自動二輪車1の動力システムのための変速制御装置40が説明されたが、変速制御装置は、自動三輪車や自動四輪車など、別の種類の乗物の動力システムにも適用可能である。
また、変速制御装置は、工作機械など、乗物の動力システム以外のシステムにおけるシフト動作にも適用可能である。
本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成またはプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、または、それらの任意の組み合わせ、を含む回路または処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路または回路と見なされる。本開示において、回路、ユニット、または手段は、列挙された機能を実行するハードウェアであるか、または、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されているハードウェアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラムまたは構成されているその他の既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、手段、またはユニットはハードウェアとソフトウェアの組み合わせであり、ソフトウェアはハードウェアまたはプロセッサの構成に使用される。
本開示の一態様に係る変速制御装置は、原動機と、前記原動機の駆動力が伝達される入力軸、出力軸、前記入力軸および出力軸に対して移動可能な、複数の変速段にそれぞれ対応する複数のドグ、および、複数の変速段にそれぞれ対応し、前記ドグが入り込むことが可能な収容空間を有する複数の変速ギヤを含むギヤ変速機と、を備えるシステムにおいて、前記原動機を制御する変速制御装置であって、前記変速ギヤは、前記変速ギヤの周方向に前記収容空間を画定する第1面および第2面を有し、前記第1面は、前記出力軸に正方向にトルクを伝達する際に前記ドグが当接する面であり、前記第2面は、前記出力軸に前記正方向と反対の負方向にトルクを伝達する際に前記ドグが当接する面であり、前記変速制御装置は、処理回路を備え、前記処理回路は、第1変速段から第2変速段にシフトするためのシフト指令を取得したときの状況が、前記シフト指令がシフトダウン指令であり且つ前記ドグが前記第1変速段の前記第1面に当接している状況、または、前記シフト指令がシフトアップ指令であり且つ前記ドグが前記第1変速段の前記第2面に当接している状況である第1状況であるか否かを判定し、前記状況が前記第1状況であると判定した場合、前記シフト指令を取得したときに前記ドグが当接していた前記第1面または前記第2面である当接面から、前記ドグが離れるように前記原動機の出力を調節する離間制御を開始し、前記離間制御の実行後で、且つ、前記第1変速段の前記ドグが前記第1変速段の前記収容空間の外に抜け出る前に、前記第2変速段の前記ドグの回転数および前記第2変速段の前記変速ギヤの回転数の一方に他方を近づける同期制御を開始する。
上記の構成によれば、変速制御装置は、第1変速段から第2変速段にシフトするためのシフト指令を取得したときの状況が、前記シフト指令がシフトダウン指令であり且つ前記ドグが前記第1変速段の前記第1面に当接している、または、前記シフト指令がシフトアップ指令であり且つ前記ドグが前記第1変速段の前記第2面に当接している第1状況であると判定した場合、まずドグが第1変速段の当接面から離れる方向に原動機の出力を調節する離間制御を開始し、離間制御の開始後で、且つ、ドグが第1変速段の前記収容空間の外に抜け出る前に、同期制御を開始する。
第1状況において、離間制御なしで、同期制御を開始したとしても、ドグが当接面に当接していることにより、同期制御が阻害される。これに対して、上記の構成によれば、離間制御によってドグと第1変速段の当接面が離れているため、ドグが第1変速段の収容空間の外に抜け出る前に、同期制御を開始することが可能となる。また、第1変速段の収容空間の外にドグが抜けた後に同期制御を開始する場合に比べて、同期制御の時間を確保しやすい。
前記処理回路は、前記状況が前記第1状況と異なる第2状況であると判定した場合、前記離間制御を省略して、前記同期制御を開始してもよい。この構成によれば、変速制御装置は、第1状況以外であれば、離間制御を省略して、同期制御を開始するので、第1変速段の収容空間の外にドグが抜けた後に同期制御を開始する場合や離間制御を経て同期制御を開始する場合に比べて、同期制御の時間を確保しやすい。
前記処理回路は、前記原動機の出力の調節中に、前記ドグの回転方向における前記第1変速段の前記収容空間に対する前記ドグの角度位置を推定し、推定した前記ドグの角度位置が、前記当接面から離れた所定の位置に到達したと判定した場合に、前記同期制御を開始してもよい。ドグが当接面から離れていない状態で同期制御を開始すると、ドグが第1変速段の当接面に衝突する可能性が高くなる。上記の構成によれば、当接面とドグとが離れたことを判断してから、同期制御を開始するため、有効に同期制御を開始できる。
前記処理回路は、前記離間制御を開始した後に、推定した前記ドグの角度位置が、前記第1面および前記第2面のうちの前記当接面ではない側である反対面に前記ドグが当接する位置に到達したと判定した場合に、前記同期制御を開始してもよい。この構成によれば、ドグと当接面とを十分に離した状態で、同期制御を開始でき、同期制御の時間を一層確保しやすくなる。
前記離間制御の後に実行する前記同期制御に用いられる制御パラメータは、前記状況が前記第2状況であると判定した場合に実行する前記同期制御に用いられる制御パラメータと同じであってもよい。この構成によれば、第1状況と第2状況とで同じ制御パラメータを用いて同期制御を実行できるため、制御パラメータの調整作業が容易となる。
前記処理回路は、前記原動機の出力トルクと、前記原動機の出力トルクによって回転する複数の回転体のイナーシャの合計値とに基づき、前記ドグの角度位置を算出し、前記複数の回転体は、前記原動機の出力軸、前記入力軸、および、前記ギヤ変速機における前記複数の変速ギヤおよび前記複数のドグのうち、前記複数のドグのいずれも、対応する前記変速ギヤと係合していないときでも前記入力軸とともに回転する回転体、を含んでもよい。原動機の出力トルクと、当該出力トルクにより実質的に回転する回転体のイナーシャの合計値とを用いて、ドグの角度位置を算出することにより、ドグの角度位置の算出精度を向上できる。
前記処理回路は、前記入力軸の回転数またはそれに対応するパラメータと、前記出力軸の回転数またはそれに対応するパラメータとに基づき、前記ドグの角度位置を算出してもよい。この構成によれば、備え付けのセンサを、ドグ位置の推定に利用できる。
前記処理回路は、前記状況が前記第1状況であるか否かを判定する際に、前記第1変速段の前記収容空間に対する前記ドグの角度位置を推定し、推定した前記ドグの角度位置に応じて、前記ドグが前記第1変速段の前記第1面または前記第2面に当接しているかを判定してもよい。この構成によれば、推定したドグの角度位置を、前記同期制御の開始タイミングを決定することに用いるだけでなく、ドグが第1変速段の第1面または第2面に当接しているか否かを判定することにも用いる。このため、処理回路により実行される処理を単純化することができる。
本開示の一態様に係る変速制御方法は、原動機と、前記原動機の駆動力が伝達される入力軸、出力軸、前記入力軸および出力軸に対して移動可能な、複数の変速段にそれぞれ対応する複数のドグ、および、複数の変速段にそれぞれ対応し、前記ドグが入り込むことが可能な収容空間を有する複数の変速ギヤを含むギヤ変速機と、を備えるシステムにおいて、前記原動機を制御するための変速制御方法であって、前記変速ギヤは、前記変速ギヤの周方向に前記収容空間を画定する第1面および第2面を有し、前記第1面は、前記出力軸に正方向にトルクを伝達する際に前記ドグが当接する面であり、前記第2面は、前記出力軸に前記正方向と反対の負方向にトルクを伝達する際に前記ドグが当接する面であり、前記変速制御方法は、第1変速段から第2変速段にシフトするためのシフト指令を取得したときの状況が、前記シフト指令がシフトダウン指令であり且つ前記ドグが前記第1変速段の前記第1面に当接している状況、または、前記シフト指令がシフトアップ指令であり且つ前記ドグが前記第1変速段の前記第2面に当接している状況である第1状況であるか否かを判定し、前記状況が前記第1状況であると判定した場合、前記シフト指令を取得したときに前記ドグが当接していた前記第1面または前記第2面である当接面から、前記ドグが離れるように前記原動機の出力を調節する離間制御を開始し、前記離間制御の実行後で、且つ、前記第1変速段の前記ドグが前記第1変速段の前記収容空間の外に抜け出る前に、前記第2変速段の前記ドグの回転数および前記第2変速段の前記変速ギヤの回転数の一方に他方を近づける同期制御を開始する。
第1状況において、離間制御なしで、同期制御を開始したとしても、ドグが当接面に当接していることにより、同期制御が阻害される。これに対して、上記の方法によれば、離間制御によってドグと第1変速段の当接面が離れているため、ドグが第1変速段の収容空間の外に抜け出る前に、同期制御を開始することが可能となる。また、第1変速段の収容空間の外にドグが抜けた後に同期制御を開始する場合に比べて、同期制御の時間を確保しやすい。
1 :自動二輪車
12 :エンジン
13 :駆動モータ
20 :ギヤ変速機
21 :入力軸
22 :出力軸
23 :変速ギヤ
23 :変速ギヤ対
23a :共回転ギヤ
23b :空転ギヤ
23b1 :第1ギヤ
23b2 :第2ギヤ
24 :ドグ
25a :第1面
25b :第2面
40 :変速制御装置
41 :プロセッサ

Claims (9)

  1. 原動機と、
    前記原動機の駆動力が伝達される入力軸、出力軸、前記入力軸および出力軸に対して移動可能な、複数の変速段にそれぞれ対応する複数のドグ、および、複数の変速段にそれぞれ対応し、前記ドグが入り込むことが可能な収容空間を有する複数の変速ギヤを含むギヤ変速機と、を備えるシステムにおいて、前記原動機を制御する変速制御装置であって、
    前記変速ギヤは、前記変速ギヤの周方向に前記収容空間を画定する第1面および第2面を有し、前記第1面は、前記出力軸に正方向にトルクを伝達する際に前記ドグが当接する面であり、前記第2面は、前記出力軸に前記正方向と反対の負方向にトルクを伝達する際に前記ドグが当接する面であり、
    前記変速制御装置は、処理回路を備え、
    前記処理回路は、
    第1変速段から第2変速段にシフトするためのシフト指令を取得したときの状況が、前記シフト指令がシフトダウン指令であり且つ前記ドグが前記第1変速段の前記第1面に当接している状況、または、前記シフト指令がシフトアップ指令であり且つ前記ドグが前記第1変速段の前記第2面に当接している状況である第1状況であるか否かを判定し、
    前記状況が前記第1状況であると判定した場合、前記シフト指令を取得したときに前記ドグが当接していた前記第1面または前記第2面である当接面から、前記ドグが離れるように前記原動機の出力を調節する離間制御を開始し、
    前記離間制御の実行後で、且つ、前記第1変速段の前記ドグが前記第1変速段の前記収容空間の外に抜け出る前に、前記第2変速段の前記ドグの回転数および前記第2変速段の前記変速ギヤの回転数の一方に他方を近づける同期制御を開始する、変速制御装置。
  2. 前記処理回路は、前記状況が前記第1状況と異なる第2状況であると判定した場合、前記離間制御を省略して、前記同期制御を開始する、請求項1に記載の変速制御装置。
  3. 前記処理回路は、
    前記原動機の出力の調節中に、前記ドグの回転方向における前記第1変速段の前記収容空間に対する前記ドグの角度位置を推定し、
    推定した前記ドグの角度位置が、前記当接面から離れた所定の位置に到達したと判定した場合に、前記同期制御を開始する、請求項1または2に記載の変速制御装置。
  4. 前記処理回路は、前記離間制御を開始した後に、推定した前記ドグの角度位置が、前記第1面および前記第2面のうちの前記当接面ではない側である反対面に前記ドグが当接する位置に到達したと判定した場合に、前記同期制御を開始する、請求項3に記載の変速制御装置。
  5. 前記離間制御の後に実行する前記同期制御に用いられる制御パラメータは、前記状況が前記第2状況であると判定した場合に実行する前記同期制御に用いられる制御パラメータと同じである、請求項2に記載の変速制御装置。
  6. 前記処理回路は、前記原動機の出力トルクと、前記原動機の出力トルクによって回転する複数の回転体のイナーシャの合計値とに基づき、前記ドグの角度位置を算出し、
    前記複数の回転体は、
    前記原動機の出力軸、
    前記入力軸、および、
    前記ギヤ変速機における前記複数の変速ギヤおよび前記複数のドグのうち、前記複数のドグのいずれも、対応する前記変速ギヤと係合していないときでも前記入力軸とともに回転する回転体、を含む、請求項3または4に記載の変速制御装置。
  7. 前記処理回路は、前記入力軸の回転数またはそれに対応するパラメータと、前記出力軸の回転数またはそれに対応するパラメータとに基づき、前記ドグの角度位置を算出する、請求項3または4に記載の変速制御装置。
  8. 前記処理回路は、前記状況が前記第1状況であるか否かを判定する際に、
    前記第1変速段の前記収容空間に対する前記ドグの角度位置を推定し、
    推定した前記ドグの角度位置に応じて、前記ドグが前記第1変速段の前記第1面または前記第2面に当接しているかを判定する、請求項3または4に記載の変速制御装置。
  9. 原動機と、
    前記原動機の駆動力が伝達される入力軸、出力軸、前記入力軸および出力軸に対して移動可能な、複数の変速段にそれぞれ対応する複数のドグ、および、複数の変速段にそれぞれ対応し、前記ドグが入り込むことが可能な収容空間を有する複数の変速ギヤを含むギヤ変速機と、を備えるシステムにおいて、前記原動機を制御するための変速制御方法であって、
    前記変速ギヤは、前記変速ギヤの周方向に前記収容空間を画定する第1面および第2面を有し、前記第1面は、前記出力軸に正方向にトルクを伝達する際に前記ドグが当接する面であり、前記第2面は、前記出力軸に前記正方向と反対の負方向にトルクを伝達する際に前記ドグが当接する面であり、
    前記変速制御方法は、
    第1変速段から第2変速段にシフトするためのシフト指令を取得したときの状況が、前記シフト指令がシフトダウン指令であり且つ前記ドグが前記第1変速段の前記第1面に当接している状況、または、前記シフト指令がシフトアップ指令であり且つ前記ドグが前記第1変速段の前記第2面に当接している状況である第1状況であるか否かを判定し、
    前記状況が前記第1状況であると判定した場合、前記シフト指令を取得したときに前記ドグが当接していた前記第1面または前記第2面である当接面から、前記ドグが離れるように前記原動機の出力を調節する離間制御を開始し、
    前記離間制御の実行後で、且つ、前記第1変速段の前記ドグが前記第1変速段の前記収容空間の外に抜け出る前に、前記第2変速段の前記ドグの回転数および前記第2変速段の前記変速ギヤの回転数の一方に他方を近づける同期制御を開始する、変速制御方法。
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