JP2023097188A - 砥石保持装置および研削装置 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1で提案された端面研削装置は、速度制御機構がボールネジで構成され、定圧切込機構が空圧シリンダで構成される。速度制御機構は、被研削物への砥石の押圧を行う空圧シリンダにおけるロッドの自由な伸張をスライダ(ボールネジのナットへの一体化物)で抑制しながら砥石(砥石ヘッド)を被研削物に向けて移動させ、砥石が被研削物に到達した後も暫くナットの移動を継続させる。
この端面研削装置は、距離センサを用いて砥石ヘッドとスライダとの間の距離、つまり砥石が被研削物に当接しその移動が制限された後のナットの移動距離を検出する。そして、砥石ヘッドとスライダとの間の距離が設定された値になったときのナットの位置を記憶し、次の被研削物を研削する際のナットの動作にこの記憶された位置を参照する。
このことから、この端面研削装置における制御装置は、形成された初期の隙間距離に対し、検出誤差および装置の振動等による振れ以上の大きさの距離を距離センサが検出したとき、砥石が被研削物に到達したと判断する。したがって、制御装置は、距離センサが設定された値以上の距離を検出したとき砥石が被研削物に到達したと判断し、このときのナットの位置を記憶する。しかし、この記憶されたナットの位置が、実際に砥石が被研削物に到達した正確な位置か否かが明確ではない。
特許文献1に提案された端面研削装置は、直前の(=一つ前の)このナットの位置を記憶して次の被研削物に対する砥石(ナット)の動作を制御し、被研削物に対して常に同じ距離、同じ所要時間で砥石を移動させ、サイクルタイムを一定化させることを課題とする。しかし、砥石の被研削物への到達時の(ボールネジにおける)ナットの位置、つまり砥石が被研削物に当たる位置の把握が不安定なことにより、サイクルタイムおよび研削時間(研削の質)にバラツキを生じさせるという問題が生じた。
砥石保持装置は、基部、砥石当接装置、砥石回転装置、移動体、エアシリンダおよび制御装置を備える。基部は、砥石当接装置、エアシリンダおよび砥石回転装置を保持する。砥石当接装置は、基部に一体化された移送モータおよびこれに駆動されるボールネジを備える。ボールネジのナットには、ボールネジのネジ軸に直交する方向に突出するストッパーが一体化されている。
砥石保持装置の制御装置は、ワーク研削時において、ロッドの伸張を、被押圧部を介在させてストッパーにより制限しながら砥石当接装置によりナットをその待避位置から砥石ホルダ側に第1の速度で移動させた後に第1の速度よりも遅い第2の速度で移動させ、この間、被押圧部とストッパーとの間の通電の有無を検出し、通電が遮断されたときのナットの位置をワーク当接位置として記憶し、次のワークの研削に備えてナットを後退させる待避位置を、記憶したワーク当接位置に基づいて決定する。
制御装置は、ワーク研削時において砥石回転モータの負荷電流値を検出し、負荷電流値が設定値以上になったときのナットの位置をワーク当接位置として記憶し、次のワークの研削に備えてナットを後退させる待避位置を、記憶したワーク当接位置に基づいて決定する
本発明に係る他の砥石保持装置は、被押圧部とストッパーとの間に電圧が印加されこれらが接しているときはこれらの間に通電可能に構成され、且つ砥石回転モータの回転時の負荷電流値が計測可能に構成されている。
本発明に係る研削装置は、前述した砥石保持装置と、ワークを保持しこれを回転させるワーク保持装置と、を有する。
砥石保持装置1は、基台11、回動台12、横移動支持台13、砥石ヘッド2および制御装置を備える。
基台11は、全体として厚みのある板材で形成され、その上に回動台12、横移動支持台13および砥石ヘッド2がこの順に設けられている。基台11は、平面視において2つの直角の頂角が並び、他に4つの鈍角の頂角が並ぶ特殊な形状の六角形である。基台11は、4つ並ぶ鈍角の内方の一つの頂角近傍に厚み方向を軸心とする回動軸14を備える。
砥石ヘッド2は、基部5、砥石当接装置6、砥石押圧装置7、移動体8および砥石回転装置9等からなる。
基部5は、砥石当接装置6、砥石押圧装置7および砥石回転装置9等を保持する骨格(フレーム、ベース)である。基部5はその下方にアリミゾ26が設けられている。アリミゾ26は横移動支持台13のアリガタ21に噛み合わされており、基部5はアリガタ21が延びた方向に往復移動可能である。基部5の往復移動はクランプボルト27,27により制限される。
トッパーブロック29が一体化されている。ストッパーブロック29の上端には案内棒30が取り付けられている。案内棒30は丸棒であり、一端がストッパーブロック29に固定され、ネジ軸23に平行に移送モータ24側に延びている。
ストッパーブロック29における案内棒30取り付け位置の下方には、その頭部を移送モータ24側に突出させてストッパーボルト31が螺合されている。
砥石押圧装置7は、研削時に砥石61を被研削物に押圧する働きをする。砥石押圧装置7にはエアシリンダが採用される。エアシリンダはその往復動方向(ロッド34が延びた方向)がボールネジ22のネジ軸23に平行になるようにそのシリンダ35が基部5に固定される。エアシリンダは、回動軸14側に突出するロッド34の延長がストッパーボルト31の頭部に当たる位置に配される。
移動体8は、砥石押圧装置7におけるロッド34の押圧力を砥石61に伝えるための被押圧部36を備える。被押圧部36は、回動軸14側に突出するロッド34の先端とストッパーボルト31の頭部との間に位置する。移動体8は、(ボールネジ22の)ナット25に一体化された案内棒30を貫通させる案内孔37を備える。
移動体8における被押圧部36は、砥石押圧装置7のロッド34の伸張に伴って移動する。
砥石回転装置9は、研削に用いる砥石61の回転に関わる装置である。砥石回転装置9は、砥石回転モータ39、精密軸受40、伝達装置41および砥石ホルダ42等からなる。
精密軸受40は、砥石ホルダ42をその一端に一体化する回転軸を支持し、砥石ホルダ42が保持する砥石61の回転ぶれを防止するため軸方向に長くなっている。精密軸受40は、支持する回転軸が砥石押圧装置7のロッド34の軸心の延長となるように配されて、移動体8の内部に一体化されている。移動体8は砥石61を回転可能に保持し、砥石61と一体となって基部5に対して往復動する。
砥石回転装置9は移動体8とともに往復移動する。
砥石保持装置1は、ストッパーボルト31と被押圧部36との間に電圧が印加されており、これらが接するとき、これらの間を数mAの電流が流れるように構成されている。制御装置は、研削処理を行うときに、ストッパーボルト31と被押圧部36との通電の有無を検出する。ストッパーボルト31(の頭部)と被押圧部36とを併せて「接点」という。
図3は制御装置が制御する砥石ヘッド2の動作フローチャート図、図4はワークWを研削するときの砥石ヘッド2の動作を示す図である。
続いて制御装置は、ワークWがワーク保持装置65に保持されたことを確認したら、移送モータ24を動作させて砥石61をワークWに向けて移動させる(S1)。砥石61の往復移動はボールネジ22(砥石当接装置6)のナット25の移動、後退により行われる。
砥石61は、ワークWの直近まで高速移動し、その後はワークWに到達したときの衝撃による砥石61の損傷を防ぐために低速移動する。研削処理開始後初めてのワークWに対しては、全移動過程で砥石61を低速移動させる、または事前に設定された距離を高速移動させた後低速移動させる、等を行う。
制御装置は、砥石61が低速移動する間、ストッパーボルト31と被押圧部36との通電の有無を監視する。砥石61がワークWの被研削面に到達すると(図4(b))、砥石61の移動がワークWにより阻止され、移動体8はその移動を停止する。
制御装置は、通電が途切れた後にナット25を所定距離D2移動させたらナット25の移動を停止し(S4、図4(c))、ワークWの研削が終わるまでの処理時間の経過を待つ(S5でNO)。
制御装置は、次の未研削のワークWがワーク保持装置65に保持されたことを確認したら(S7でYES)、初めに砥石61を待避位置からワークWに向けて高速移動させ(S8)、その後ワークWを低速移動させて砥石61をワークWの被研削面に当接させる(S9)。
一例を挙げれば、研削時に砥石61がワークWに到達した位置から次のワークWに交換するためのナット25の後退距離は10.5mmであり、後退位置を起点とする交換後の
ワークWに対するナット25の高速移動距離は10mmである。低速移動距離は0.5mmよりも長い距離である(図4におけるD1≒10.5mm)。
後退距離は1つ前の研削時に通電が途絶えたときのナット25の位置(S3)が基準であり、数多くのワークWを研削するなかで砥石61の摩耗等でこの基準位置は徐々に変化する。図3のS5における、砥石61がワークWに到達後さらにナット25が移動した後のナット25の移動距離(図4におけるD2)を加算した位置(D1+D2)は、ナット25の後退位置等を求める基準ではない。
図5はワークWの研削処理における砥石61の移動時間と接点間の通電量および砥石移動距離との関係を示す図である。図5において(a)は接点間の通電検出の仕組みを示す図である。
ワークWの例えば端面を研削するとき、ワークWの材質の硬さおよび砥石の砥粒の粗さ等の組み合わせから、砥石保持装置1を用いた研削においてナット25の低速移動速度と研削による侵食速度(ワークWの被研削面の後退速度)とが一致し、接点が常に通電状態になる場合がある。そのような場合には、図3に示された接点の通電の有無を検出する方法では、砥石61がワークWに到達したときの判断はできない。但しこのような場合であっても、低速移動開始時から回転を続ける砥石回転モータ39は、砥石61がワークWに当接すると研削による負荷が加わり、負荷電流値が急増する。これを利用して、砥石61がワークWに到達したときのナット25の位置を検出することができる。
図6において、ステップ符合(例えばS3)が図3におけるものと同一のときは、制御装置は図3の通電有無検出の方法における動作と同じ動作を行う。
砥石回転モータ39の負荷電流値を指標とする方法と通電有無を指標とする方法とを組み合わせれば、より汎用性の高い砥石保持装置とすることができる。
図9は接点近傍の絶縁構造を示す部分断面図である。「接点」とは、前述した通りストッパーボルト31(の頭部)と被押圧部36とを併せた呼称である。
砥石がワークに達してロッド34の伸張が阻止された後もナット25が移動すると、接点は離れて接点間の通電が途絶える。このときもストッパーボルト31は、スリーブ部材38および絶縁シート32により移動体8とは絶縁されている。
上述の実施形態において、砥石保持装置1、および砥石保持装置1の各構成または全体の構造、形状、寸法、個数、材質などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
7 砥石押圧装置(エアシリンダ)
5 基部
6 砥石当接装置
7 砥石押圧装置(エアシリンダ)
8 移動体
9 砥石回転装置
11 基台
22 ボールネジ
23 ネジ軸
24 移送モータ
25 ナット
29 ストッパーブロック(ストッパー)
31 ストッパーボルト(ストッパー)
34 (エアシリンダの)ロッド
36 被押圧部
39 砥石回転モータ
41 伝達装置
42 砥石ホルダ
W ワーク(被研削物)
Claims (5)
- 基部、砥石当接装置、砥石回転装置、移動体、エアシリンダおよび制御装置を備え、
前記基部は、前記砥石当接装置、前記エアシリンダおよび前記砥石回転装置を保持し、
前記砥石当接装置は、前記基部に一体化された移送モータおよびこれに駆動されるボールネジを備え、
前記ボールネジのナットには、前記ボールネジのネジ軸に直交する方向に突出するストッパーが一体化され、
前記砥石回転装置は、砥石回転モータ、および砥石を保持可能な砥石ホルダを前記ネジ軸と平行な軸回りに回転させるために前記砥石回転モータに連結する伝達装置を備え、
前記移動体は、前記砥石回転装置を支持し前記基部に対して前記ネジ軸の方向に往復道可能であって、前記ストッパーにおける前記砥石ホルダが位置する側の反対側を向く面に対向する面を有する被押圧部を備え、
前記エアシリンダは、そのシリンダが前記基部に固定されてそのロッドが前記被押圧部を前記砥石ホルダ側に押圧可能に配され、
前記被押圧部と前記ストッパーとの間に電圧が印加されこれらが接しているときはこれらの間に通電可能に構成されており、
ワーク研削時において前記制御装置は、
前記ロッドの伸張を、前記被押圧部を介在させて前記ストッパーにより制限しながら、前記砥石当接装置により前記ナットをその待避位置から前記砥石ホルダ側に第1の速度で移動させた後に前記第1の速度よりも遅い第2の速度で移動させ、
この間、前記被押圧部と前記ストッパーとの間の通電の有無を検出し、
前記通電が遮断されたときの前記ナットの位置をワーク当接位置として記憶し、
次のワークの研削に備えて前記ナットを後退させる待避位置を、記憶した前記ワーク当接位置に基づいて決定する、
ことを特徴とする砥石保持装置。 - 基部、砥石当接装置、砥石回転装置、移動体、エアシリンダおよび制御装置を備え、
前記基部は、前記砥石当接装置、前記エアシリンダおよび前記砥石回転装置を保持し、
前記砥石当接装置は、前記基部に一体化された移送モータおよびこれに駆動されるボールネジを備え、
前記ボールネジのナットには、前記ボールネジのネジ軸に直交する方向に突出するストッパーが一体化され、
前記砥石回転装置は、砥石回転モータ、および砥石を保持可能な砥石ホルダを前記ネジ軸と平行な軸回りに回転させるために前記砥石回転モータに連結する伝達装置を備え、
前記砥石回転モータは、回転時の負荷電流値が計測可能に構成され、
前記移動体は、前記砥石回転装置を支持し前記基部に対して前記ネジ軸の方向に往復道可能であって、前記ストッパーにおける前記砥石ホルダが位置する側の反対側を向く面に対向する面を有する被押圧部を備え、
前記エアシリンダは、そのシリンダが前記基部に固定されてそのロッドが前記被押圧部を前記砥石ホルダ側に押圧可能に配され、
ワーク研削時において前記制御装置は、
前記ロッドの伸張を、前記被押圧部を介在させて前記ストッパーにより制限しながら前記砥石当接装置により前記ナットをその待避位置から前記砥石ホルダ側に第1の速度で移動させた後に前記第1の速度よりも遅い第2の速度で移動させ、
この間、前記砥石回転モータの前記負荷電流値を検出し、
前記負荷電流値が設定値以上になったときの前記ナットの位置をワーク当接位置として記憶し、
次のワークの研削に備えて前記ナットを後退させる待避位置を、記憶した前記ワーク当接位置に基づいて決定する、
ことを特徴とする砥石保持装置。 - 基部、砥石当接装置、砥石回転装置、移動体、エアシリンダおよび制御装置を備え、
前記基部は、前記砥石当接装置、前記エアシリンダおよび前記砥石回転装置を保持し、
前記砥石当接装置は、前記基部に一体化された移送モータおよびこれに駆動されるボールネジを備え、
前記ボールネジのナットには、前記ボールネジのネジ軸に直交する方向に突出するストッパーが一体化され、
前記砥石回転装置は、砥石回転モータ、および砥石を保持可能な砥石ホルダを前記ネジ軸と平行な軸回りに回転させるために前記砥石回転モータに連結する伝達装置を備え、
前記砥石回転モータは、回転時の負荷電流値が計測可能に構成され、
前記移動体は、前記砥石回転装置を支持し前記基部に対して前記ネジ軸の方向に往復道可能であって、前記ストッパーにおける前記砥石ホルダが位置する側の反対側を向く面に対向する面を有する被押圧部を備え、
前記エアシリンダは、そのシリンダが前記基部に固定されてそのロッドが前記被押圧部を前記砥石ホルダ側に押圧可能に配され、
前記被押圧部と前記ストッパーとの間に電圧が印加されこれらが接しているときはこれらの間に通電可能に構成されており、
ワーク研削時において前記制御装置は、
前記ロッドの伸張を、前記被押圧部を介在させて前記ストッパーにより制限しながら前記砥石当接装置により前記ナットをその待避位置から前記砥石ホルダ側に第1の速度で移動させた後に前記第1の速度よりも遅い第2の速度で移動させ、
この間、前記被押圧部と前記ストッパーとの間の通電の有無を検出し、および前記砥石回転モータの前記負荷電流値を検出し、
前記通電が遮断されたときまたは前記負荷電流値が設定値以上になったとき、前記ナットの位置をワーク当接位置として記憶し、
次のワークの研削に備えて前記ナットを後退させる待避位置を、記憶した前記ワーク当接位置に基づいて決定する、
ことを特徴とする砥石保持装置。 - 前記ストッパーは電源の一方の極に連続して前記ナットとの間が電気的に絶縁されており、
前記被押圧部は前記一方の極側と電気的に絶縁されており、
前記被押圧部に流れた電流は前記移動体を経由してアース可能に形成された
請求項1または請求項3に記載の砥石保持装置。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の砥石保持装置と、
ワークを保持しこれを回転させるワーク保持装置と、を有する
ことを特徴とする研削装置。
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