JP2023097172A - 教師データ選定装置、予測モデル構築装置、および教師データ選定方法 - Google Patents

教師データ選定装置、予測モデル構築装置、および教師データ選定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡便な構成により、浄水施設で用いられる凝集剤の注入率を精度よく予測するための良質の教師データを選定する。【解決手段】教師データ選定装置(11)は、原水の属性データに含まれる原水濁度と、沈澱水濁度との相関関係に基づいて、原水濁度と沈澱水濁度とを一組とするデータ組の集合から一部を選定する選定部(22)と、選定されたデータ組における原水濁度を有する原水の属性データを説明変数とし、凝集剤の注入率を目的変数とする教師データを、教師データ群に追加する追加部(23)と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、浄水施設で用いられる凝集剤の注入率を予測するための技術に関する。
特許文献1には、浄水場の水処理システムにおいて過去長期間に取得されたセンシングデータおよび薬品注入データを説明変数とし、次の時点の薬品注入データを目的変数とする予測モデルを構築するための技術が開示されている。
特開2017-123088
特許文献1の技術では、凝集剤注入後の濁度が考慮されたモデルの構築および再構築がなされないため、予測精度が低下するおそれがある。
本発明の一態様は、簡便な構成により、浄水施設で用いられる凝集剤の注入率を精度よく予測するための良質の教師データを選定する教師データ選定装置等を提供することを目的としている。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る教師データ選定装置は、浄水施設に流入する原水の濁度である原水濁度を含む、前記原水の属性を示す属性データを説明変数とし、前記原水へ注入する凝集剤の注入率を目的変数とする予測モデルを構築するための教師データ群に教師データを追加する追加部と、前記原水濁度と、凝集剤が注入された後の前記原水を処理する沈澱池における上澄み液の濁度である沈澱水濁度とを一組とするデータ組の集合から得られる、前記原水濁度と前記沈澱水濁度との相関関係に基づいて、前記集合から前記データ組の一部を選定する選定部とを備え、前記追加部は、前記選定された前記データ組における前記原水濁度を有する原水の前記属性データを説明変数とし、当該原水に注入した凝集剤の注入率を目的変数とする教師データを、前記教師データ群に追加する。
ここで、原水の属性データの典型例は、原水濁度を含む、原水の水質であるが、他の例として、原水の流量、浄水施設の上流に設けられたダムにおける放流の有無、原水の水源が複数存在する場合における当該複数の水源からの水の混合比、などが挙げられる。
前記の構成によれば、原水濁度と沈澱水濁度との相関関係に基づいて選定された原水濁度を有する原水の属性データを説明変数とし、当該原水に注入した凝集剤の注入率を目的変数とする教師データが教師データ群に追加される。したがって、上記選定の仕方に応じて、新たに追加する教師データを選び分けることができる。
一例として、予測性能の維持または向上に資する良質の教師データのみを選ぶことができる。特に、同じような傾向を示す(原水の属性が似ている)属性データの集合の中で、沈澱水濁度が相対的に低い(原水が適切に処理された)データ組の原水濁度を有する属性データのみを説明変数とする教師データを選ぶことができる。これにより、凝集不良となる可能性が高い教師データを排除でき、結果として、再構築される予測モデルの予測精度の低下を防止することができる。
本態様に係る教師データ選定装置では、前記選定部は、前記集合に含まれる前記データ組のうち、前記沈澱水濁度の値が、前記相関関係から求まる相関線を境界として、当該境界を下回る前記データ組を選定してもよい。
一般的な運転実績データにおいて、原水濁度と沈澱水濁度との相関関係から求まる相関線は、原水濁度が増加するほど沈澱水濁度の増加率が低くなる傾向にある。また、一般的な運転実績データにおいて、原水濁度が平均原水濁度に近いほど、前記データ組が相関線の周辺に多数存在する一方、原水濁度が高いほど前記データ組は少なく点在することが通常である。
そのため、前記の構成によれば、原水濁度が平均原水濁度に近い範囲では、良質でない教師データ(つまり沈澱水濁度が相対的に高くなっている教師データ)を採用しない一方で、原水濁度が相対的に高い範囲では、良質でない教師データが多くなりすぎないように抑えつつ教師データの数を確保することができる。よって、例えば、沈澱水濁度が所定値(例えば1度)以下である前記データ組を一律に教師データとして採用する手法と比べて、教師データの質と数とのバランスを適切に取ることができる。
本態様に係る教師データ選定装置では、前記選定部は、前記原水濁度の値が第1閾値以上である前記データ組を選定してもよい。前記の構成によれば、原水濁度の値が第1閾値(例えば100度)以上の範囲において、原水濁度と沈澱水濁度との相関関係に基づいて選定された良質の教師データを選ぶことができる。一般に、原水濁度が高くなるほど予測難度が高くなるため、原水濁度が相対的に高い範囲で良質の教師データを選ぶことにより、再構築される予測モデルの予測精度の低下を防止することが可能となる。
本態様に係る教師データ選定装置では、前記選定部は、前記沈澱水濁度の値が第2閾値以下である前記データ組を選定してもよい。前記の構成によれば、詳細は後述するが、凝集剤の注入率に関する予測値と実測値との相関が最も高くなるような、沈澱水濁度の上限値を第2閾値とすることにより、浄水施設に適したデータ組を選ぶことができ、その結果、再構築される予測モデルの予測精度を向上させることができる。
本態様に係る教師データ選定装置では、前記選定部は、前記相関線上の前記沈澱水濁度の各々に対して入力操作に応じた値を一律に加算または減算することにより得られる新たな線を境界として、前記沈澱水濁度の値が当該境界を下回る前記データ組を選定してもよい。
前記の構成によれば、データ組の集合と相関線との位置関係を変更することができ、その結果、沈澱水濁度の値が境界を下回るデータ組の個数を変更することができる。この変更は、例えば、沈澱水濁度の管理目標を変更する必要が生じた場合(例えば、環境変化等に起因して沈澱水濁度が下がり難い状況に至った場合)に好適である。
本態様に係る教師データ選定装置では、前記選定部は、前記相関線の形状を修正する入力操作に応じて修正された前記相関線を、前記境界として定めてもよい。前記の構成によれば、相関線の形状を変更することができ、その結果、沈澱水濁度の値が境界を下回るデータ組の個数を変更することができる。この変更は、例えば、浄水施設の環境等に応じた教師データを選ぶ必要がある場合に好適である。なお、前記相関線の形状の修正には、前記相関線の傾きを変更する場合も含まれる。
本態様に係る教師データ選定装置では、前記選定部は、前記原水濁度と前記注入率とを一組とするデータ組の集合から得られる、前記原水濁度と前記注入率との相関関係に基づいて、前記選定された前記データ組を絞り込んでもよい。前記の構成によれば、さらに、注入率が考慮された教師データを選ぶことができる。
本発明の別の態様に係る教師データ選定装置は、浄水施設に流入する原水の濁度である原水濁度を含む、前記原水の属性を示す属性データを説明変数とし、前記原水へ注入する凝集剤の注入率を目的変数とする予測モデルを構築するための教師データ群に教師データを追加する追加部と、前記原水濁度と、前記注入率とを一組とするデータ組の集合から得られる、前記原水濁度と前記注入率との相関関係に基づいて、前記集合から前記データ組の一部を選定する選定部とを備え、前記追加部は、前記選定された前記データ組における前記原水濁度を有する原水の前記属性データを説明変数とし、当該データ組における前記注入率を目的変数とする教師データを、前記教師データ群に追加する。
前記の構成によれば、原水濁度と凝集剤の注入率との相関関係に基づいて選定された原水濁度を有する原水の属性データを説明変数とし、当該原水に注入した凝集剤の注入率を目的変数とする教師データが教師データ群に追加される。したがって、上記選定の仕方に応じて、新たに追加する教師データを選び分けることができる。
上記態様に係る教師データ選定装置では、前記選定部は、前記選定されたデータ組を、前記注入率の値が、前記原水濁度と前記注入率との相関関係から求まる相関線を境界として、当該境界を下回る前記データ組に絞り込んでもよい。前記の構成によれば、凝集剤コストが相対的に低くなる教師データを選ぶことができる。
本発明のさらに別の態様に係る予測モデル構築装置は、上記構成の教師データ選定装置により教師データが追加された前記教師データ群を用いて前記予測モデルを構築する構築部を備える。前記の構成によれば、前記教師データ選定装置により教師データが追加された教師データ群を用いて予測モデルを構築することができる。よって、予測精度の低下が抑制された予測モデルを生成することができる。
本発明のさらに別の態様に係る教師データ選定方法は、1または複数の情報処理装置により実行される教師データ選定方法であって、浄水施設に流入する原水の濁度である原水濁度を含む、前記原水の属性を示す属性データを説明変数とし、前記原水へ注入する凝集剤の注入率を目的変数とする予測モデルを構築するための教師データ群に教師データを追加する追加ステップを含み、前記原水濁度と、凝集剤が注入された後の前記原水が処理される沈澱池における上澄み液の濁度である沈澱水濁度とを一組とするデータ組の集合から得られる、前記原水濁度と前記沈澱水濁度との相関関係に基づいて、前記集合から前記データ組の一部を選定する選定ステップをさらに含み、前記追加ステップは、前記選定された前記データ組における前記原水濁度を有する原水の前記属性データを説明変数とし、当該原水に注入した凝集剤の注入率を目的変数とする教師データを、前記教師データ群に追加する。
本発明のさらに別の態様に係る教師データ選定方法は、1または複数の情報処理装置により実行される教師データ選定方法であって、浄水施設に流入する原水の濁度である原水濁度を含む、前記原水の属性を示す属性データを説明変数とし、前記原水へ注入する凝集剤の注入率を目的変数とする予測モデルを構築するための教師データ群に教師データを追加する追加ステップを含み、前記原水濁度と、前記注入率とを一組とするデータ組の集合から得られる、前記原水濁度と前記注入率との相関関係に基づいて、前記集合から前記データ組の一部を選定する選定ステップをさらに含み、前記追加ステップは、前記選定された前記データ組における前記原水濁度を有する原水の前記属性データを説明変数とし、当該データ組における前記注入率を目的変数とする教師データを、前記教師データ群に追加する。
上記の方法によれば、上述の教師データ選定装置と同様の効果を奏することができる。
本発明の各態様に係る教師データ選定装置および予測モデル構築装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記教師データ選定装置および前記予測モデル構築装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記教師データ選定装置および前記予測モデル構築装置をコンピュータにて実現させる教師データ選定装置および予測モデル構築装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
本発明の一態様によれば、簡便な構成により、浄水施設で用いられる凝集剤の注入率を精度よく予測するための良質の教師データを選定することができる。
本発明の一実施形態に係る水処理システムの概要を示す図である。 上記水処理システムにおける注入率推定システムの要部構成の一例を示すブロック図である。 上記注入率推定システムにおける教師データ選定装置が実行する教師データ選定処理の流れの一例を示すフローチャートである。 原水濁度と沈澱水濁度との相関関係の一例を示すグラフである。 上記相関関係の一例を示すグラフであって、上記教師データ選定装置の選定部が実行する一選定例を示すためのグラフである。 上記注入率推定システムにおける予測モデル構築装置および推定装置がそれぞれ実行する予測モデル構築処理および注入率推定処理の流れの一例を示すフローチャートである。 上記相関関係の一例を示すグラフであって、上記選定部が実行する別の選定例を示すためのグラフである。 上記相関関係の一例を示すグラフであって、上記選定部が実行するさらに別の選定例を示すためのグラフである。 上記相関関係の一例を示すグラフであって、上記選定部が実行するさらに別の選定例を示すためのグラフである。 上記相関関係の一例を示すグラフであって、上記選定部が実行するさらに別の選定例を示すためのグラフである。 本発明の別の実施形態に係る水処理システムにおける注入率推定システムの要部構成の一例を示すブロック図である。 上記注入率推定システムにおける教師データ選定装置が実行する教師データ選定処理の流れの一例を示すフローチャートである。 原水濁度と凝集剤の注入率との相関関係の一例を示すグラフである。 上記相関関係の一例を示すグラフであって、上記教師データ選定装置の選定部が実行する一選定例を示すためのグラフである。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、説明の便宜上、各実施形態に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付記し、適宜その説明を省略する。
〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について、図1~図10を参照して説明する。
(水処理システム)
図1は、本実施形態に係る水処理システムの概要を示す図である。本実施形態の水処理システム1は、例えば河川等から浄水施設に流入する原水に含まれる懸濁物質等の固形物を、凝集剤によって凝集させ、重力沈降によって原水から分離する凝集沈殿プロセスを実現するものである。
図1に示すように、水処理システム1は、上記凝集沈殿プロセスを実現する設備として、着水井101、急速混和池102、フロック形成池103、および沈澱池104を備える。
着水井101は、導水管によって送られてくる原水による水面の動揺を抑制し、着水井101以降の設備に送られる原水の水理的な安定性を確保するための槽である。
着水井101には水質計111が設けられている。水質計111は、着水井101に着水した原水の水質を測定する。当該水質は、少なくとも濁度であり、他の例として、色度、水温、導電率、pH(水素イオン濃度指数)、アルカリ度(酸消費量)、紫外線吸光度等が挙げられる。水質計111によって測定された水質を示すデータは、注入率推定システム2に入力される。
着水井101と急速混和池102との間の導水管には流量計112が設けられている。流量計112は、着水井101から急速混和池102に送られる処理水の流量を測定する。流量計112によって測定された流量のデータは、凝集剤注入装置113に入力される。
急速混和池102は、着水井101から送られてきた原水に凝集剤を注入して、急速撹拌するための混和池である。ここで、凝集剤とは、原水に含まれる物質を凝集させるための薬剤である。凝集剤は、例えばポリ塩化アルミニウム(PAC:PolyAluminumChloride)や硫酸アルミニウム(硫酸バンド)等の薬剤であり、凝集剤注入装置113によって急速混和池102に注入される。
また、急速混和池102には、上記急速撹拌を行うための急速撹拌機114が設けられえている。急速撹拌機114は、例えば、フラッシュミキサである。急速撹拌機114は、一定の撹拌速度で動作するものであってもよいし、モータの制御によって撹拌速度を調節できるものであってもよい。急速混和池102では、凝集剤の注入と、急速撹拌機114の撹拌とによって微小なフロックが形成される。このような微小なフロックを含む処理水は後段のフロック形成池103に送られ、フロック形成池103以降の設備においてフロックのさらなる集塊化が促進される。
フロック形成池103は、処理水中においてより大きなフロックを形成するための貯水槽である。フロック形成池103には、緩速撹拌機115が設けられている。緩速撹拌機115による処理水の撹拌によってフロックのさらなる集塊化が促進される。緩速撹拌機115は、例えばフロキュレータである。フロック形成池103の処理水は、所定時間の撹拌の後に後段の沈澱池104に送られる。
沈澱池104は、フロック形成池103からの流入水に含まれる集塊化したフロックを沈降分離するための池である。上記流入水が沈澱池104に所定時間(例えば1~3時間程度)滞留することにより、フロック形成池103において形成された粒径の大きなフロックが重力により沈降する。これにより、フロックが処理水から分離され、その上澄み液が沈澱水として濾過池(不図示)に送られる。なお、沈澱池104の後段には、上記濾過池に送られる処理水に対してオゾン処理や生物活性炭処理等の付加的な処理を施す設備が備えられてもよい。また、沈澱池104に沈澱したフロックは汚泥として引き抜かれ、図示しない汚泥処理設備に送られる。
また、沈澱池104と上記濾過池との間には水質計116が設けられている。水質計116は、上記濾過池に送られる沈澱水の水質を測定する。当該水質は、少なくとも濁度であり、他の例として、色度等が挙げられる。水質計116によって測定された水質を示すデータは、注入率推定システム2に入力される。
上記濾過池は、沈澱池104から流入する沈澱水を濾過する濾過設備を備えた池である。上記濾過池では、沈澱水に残留する微小な固形物が濾過によって分離される。濾過された沈澱水は塩素剤によって消毒された後、水道水として需要者に供給される。
(注入率推定システム)
図1に示すように、水処理システム1は、注入率推定システム2を備える。注入率推定システム2は、原水へ注入する凝集剤の注入率を、原水の属性に応じて推定するものである。ここで、上記注入率は、原水に注入する凝集剤の、原水に対する割合である。上記注入率は、従来、ジャーテストの結果、過去の知見、所定の計算式などを用いて決定されている。
注入率推定システム2は、推定した注入率を凝集剤注入装置113に出力する。凝集剤注入装置113は、流量計112からの流量のデータと、注入率推定システム2からの注入率とに基づいて、凝集剤の注入量を決定して急速混和池102に注入する。なお、注入率推定システム2は、ハードウェアおよびソフトウェアの構成群を備えた1台の情報処理装置によって構成されてもよいし、複数台の情報処理装置によって構成されてもよい。
図2は、注入率推定システム2の要部構成の一例を示すブロック図である。注入率推定システム2は、教師データ選定装置11、予測モデル構築装置12、推定装置13、入力装置14、出力装置15、および記憶装置16を含んでいる。
入力装置14は、ユーザの入力を受け付け、当該入力に基づく入力信号を、教師データ選定装置11、予測モデル構築装置12、または推定装置13へ出力する。
出力装置15は、推定装置13が生成した情報を出力する。出力装置15による出力方法は特に限定されない。出力装置15は、例えば、当該情報を画像として表示する表示装置であってもよいし、当該情報を音声として出力する音声出力装置であってもよい。また、出力装置15は、当該情報を電気信号として、凝集剤注入装置113へ出力する制御信号出力装置であってもよい。
記憶装置16は、注入率推定システム2にて使用されるプログラムおよびデータを保持する。記憶装置16は、入力データ記憶部31、教師データ記憶部32、および予測モデル記憶部33を含む。これらの記憶部31~33が保持(記憶)するデータについては後述する。
(予測モデル構築装置)
予測モデル構築装置12は、原水に対して注入される凝集剤の注入率を推定するための予測モデルを構築する。予測モデル構築装置12は、制御部40を備えている。制御部40は、予測モデル構築装置12の各部を統括して制御する。制御部40は、一例として、プロセッサおよびメモリにより実現される。この例において、プロセッサは、ストレージ(不図示)にアクセスし、ストレージに格納されているプログラム(不図示)をメモリにロードし、当該プログラムに含まれる一連の命令を実行する。これにより、制御部40に含まれている各部が構成される。
制御部40は構築部41を含む。また、記憶装置16の教師データ記憶部32は、教師データの集合である教師データ群を記憶する。上記教師データは、原水の属性を示す属性データと、当該原水に注入した凝集剤の注入率とが対応付けられたデータである。また、記憶装置16の予測モデル記憶部33は、上記教師データ群を用いて構築された予測モデルを記憶する。
上記属性データの典型例は、原水の濁度である原水濁度を含む、原水の水質であるが、他の例として、原水の流量、浄水施設の上流に設けられたダムにおける放流の有無、原水の水源が複数存在する場合における当該複数の水源からの水の混合比、などが挙げられる。
構築部41は、教師データ記憶部32から読み出した、教師データ群を用いて機械学習を行い、学習モデルとしての予測モデルを構築する。この教師データにおいて、上記原水濁度を含む(有する)属性データが説明変数であり、凝集剤の注入率が目的変数である。当該予測モデルに、上記属性データを説明変数として入力すると、予測モデルにおいて当該属性データに対応する上記注入率が出力される。
構築部41は、例えば、ランダムフォレスト(RF:Random Forest)、勾配ブースティング(GBR:Gradient Boosted tree Regression)またはニューラルネットワーク(NN:Neural Network)により得られる回帰モデルを上記予測モデルとして生成する。構築部41は、構築した予測モデルを予測モデル記憶部33に記憶する。
(推定装置)
推定装置13は、予測モデル構築装置12が構築した予測モデルを用いて、原水に対して注入される凝集剤の注入率を推定する。推定装置13は、制御部50を備えている。制御部50は、推定装置13の各部を統括して制御する。なお、制御部50は、制御部40と同様のハードウェア構成であるので、その説明を省略する。
制御部50は注入率推定部51を含む。注入率推定部51は、予測モデル記憶部33から読み出した予測モデルを用いて、原水に対して注入される凝集剤の注入率を推定する。注入率推定部51は、当該予測モデルに原水の属性データを入力することにより、凝集剤の注入率を取得する。そして、注入率推定部51は、取得した注入率を、注入率の推定結果として出力装置15に出力させる。出力装置15が上述した制御信号出力装置である場合、当該注入率に基づき、凝集剤注入装置113が原水へ凝集剤を注入することができる。
(教師データ選定装置)
教師データ選定装置11は、上述した教師データを選定する。教師データ選定装置11は、ハードウェアおよびソフトウェアの構成群を備えた1台の情報処理装置によって構成されてもよいし、複数台の情報処理装置によって構成されてもよい。本実施形態では、説明の簡略化のために、教師データ選定装置11は1台の情報処理装置によって構成されるものとして説明する。
教師データ選定装置11は、制御部20を備えている。なお、制御部20は、制御部40および制御部50と同様のハードウェア構成であるので、その説明を省略する。
制御部20は、取得部21、選定部22、および追加部23を含む。また、記憶装置16の入力データ記憶部31は、入力装置14から入力されたデータである入力データの集合を記憶する。上記入力データは、原水の属性データと、当該原水に対し注入された凝集剤の注入率と、当該凝集剤が注入された後の上記原水を処理する沈澱池104における上澄み液(沈澱水)の濁度である沈澱水濁度と、を含む。
取得部21は、入力装置14から上記入力データを取得する。取得部21は、取得した入力データを入力データ記憶部31に記憶する。取得部21が所定のタイミングごとに上記入力データを入力データ記憶部31に格納することにより、入力データ記憶部31には上記入力データの集合が記憶される。
選定部22は、入力データ記憶部31から読み出した入力データの集合から、原水の濁度である原水濁度と、沈澱水濁度とを一組とするデータ組の集合を抽出し、抽出したデータ組の集合から得られる、上記原水濁度と上記沈澱水濁度との相関関係に基づいて、上記集合から上記データ組の一部を選定する。選定部22は、選定したデータ組を追加部23に送出する。なお、選定部22における選定の詳細については後述する。
追加部23は、選定部22からのデータ組における原水濁度を有する原水の属性データと、当該原水に注入した凝集剤の注入率とを、入力データ記憶部31の入力データから取得し、上記属性データを説明変数とし、上記注入率を目的変数とする教師データを、教師データ記憶部32の教師データ群に追加する。
上記の構成によると、原水濁度と沈澱水濁度との相関関係に基づいて選定された原水濁度を有する原水の属性データを説明変数とし、当該原水に注入した凝集剤の注入率を目的変数とする教師データが教師データ群に追加される。したがって、上記選定の仕方に応じて、新たに追加する教師データを選び分けることができる。
一例として、予測性能の維持または向上に資する良質の教師データのみを選ぶことができる。特に、同じような傾向を示す(原水の属性が似ている)属性データの集合の中で、沈澱水濁度が相対的に低い(原水が適切に処理された)データ組の原水濁度を有する属性データのみを説明変数とする教師データを選ぶことができる。これにより、凝集不良となる可能性が高い教師データを排除でき、結果として、再構築される予測モデルの予測精度の低下を防止することができる。
例えば、属性データが原水濁度のみである場合、一例として、原水濁度が100度付近であり、かつ、沈澱水濁度が0.9度以下であるデータ組の原水濁度のみを説明変数とする教師データを選ぶことができる。同様に、一例として、原水濁度が200度付近であり、かつ、沈澱水濁度が1.4度以下であるデータ組の原水濁度のみを説明変数とする教師データを選ぶことができる。
また、このように選定された教師データの中から、原水濁度と異なる属性データに基づいて教師データをさらに絞ってもよい。例えば、原水のpHが所定範囲である属性データのみを説明変数とする教師データに絞ってもよい。一例として、原水濁度が100度付近であり、かつ、原水のpHが6.8付近である属性データの集合の中で、沈澱水濁度が0.9度以下であるデータ組の原水濁度を有する属性データのみを説明変数とする教師データを選ぶことができる。或いは、原水濁度が100度付近であり、かつ、沈澱水濁度が0.9度以下であるデータ組の原水濁度を有する属性データのうち、原水のpHが6.8付近である属性データのみを説明変数とする教師データを選んでもよい。
(教師データ選定処理)
図3は、教師データ選定装置11が実行する教師データ選定処理の流れの一例を示すフローチャートである。図3に示すように、取得部21は、原水の属性データと、当該原水に対し注入された凝集剤の注入率と、当該凝集剤が注入された後の上記原水を処理する沈澱池104における沈澱水濁度とを含む入力データの集合を取得する(ステップS11、以下「ステップ」の記載を省略する。)。次に、選定部22は、上記入力データの集合から、原水濁度と、沈澱水濁度とを一組とするデータ組の集合を抽出し、抽出したデータ組の集合から上記原水濁度と上記沈澱水濁度との相関関係を求める(S12)。
図4は、上記データ組の集合から得られる、上記原水濁度と上記沈澱水濁度との相関関係の一例を示すグラフである。図4において、上記原水濁度と上記沈澱水濁度との相関線CCが一点鎖線で示されている。図4を参照すると、原水濁度が低い(例えば100度未満)場合、原水濁度が増加するにつれて沈澱水濁度も増加する傾向にはあるが、原水濁度に応じて適切な凝集剤注入制御が行われていれば、沈澱水濁度がほとんど増加しないことが理解できる。また、原水濁度が低いほど、上記データ組が多数存在する一方、原水濁度が高いほど上記データ組は少なく点在することが理解できる。
なお、相関線CCは、グラフ上では、直線でもよいし、曲線でもよいし、階段状の線でもよい。また、相関線CCは、統計処理等に基づいて自動算出してもよいし、自動算出後に入力装置14からの入力操作に応じて修正してもよい。
また、相関線CCは、頻繁に更新する必要はない。例えば、選定部22は、過去の入力データの集合を利用して最初に求めた相関線CCを継続して利用してもよい。この場合、ステップS12を省略することができる。但し、環境の変化等の理由により、相関線CCが実態と合わなくなった場合には、相関線CCを更新することが望ましい。このとき、切片を変更してもよいし、傾きを変更してもよい。
次に、選定部22は、上記相関関係に基づいて、上記データ組の集合の一部を選定する(S13、選定ステップ)。そして、追加部23は、選定部22が選定したデータ組における原水濁度を有する原水の属性データを説明変数とし、当該原水に注入した凝集剤の注入率を目的変数とする教師データを、教師データ群に追加する(S14、追加ステップ)。その後、教師データ選定装置11は、上記教師データ選定処理を終了する。
図5は、選定部22によるデータ組の一選定例を示すためのグラフである。図5の例では、選定部22は、図4に示したデータ組のうち、相関線CCを境界として、沈澱水濁度の値が当該境界を下回るデータ組を選定する。この場合、原水濁度が平均原水濁度に近い範囲では、良質でない教師データ(つまり沈澱水濁度が相対的に高くなっている教師データ)を採用しない一方で、原水濁度が相対的に高い範囲では、良質でない教師データが多くなりすぎないように抑えつつ教師データの数を確保することができる。よって、例えば、沈澱水濁度が所定値(例えば1度)以下である上記データ組を一律に教師データとして採用する手法と比べて、教師データの質と数とのバランスを適切に取ることができる。
(予測モデル構築処理および注入率推定処理)
図6は、予測モデル構築装置12が実行する予測モデル構築処理と、推定装置13が実行する注入率推定処理との流れの一例を示すフローチャートである。図6に示すように、まず、上記予測モデル構築処理が実行され、構築部41は、上記教師データ群を用いて機械学習を行い、学習モデルとして予測モデルを構築する(S21)。これにより、予測精度の低下が抑制された予測モデルを生成することができる。上記予測モデル構築処理は、或る程度の教師データが教師データ記憶部32に蓄積されれば、実行されて予測モデルが更新される。この更新の頻度は、例えば1日1回~2日に1回程度であってもよい。また、上記更新の周期は、固定でなくてもよい。
次に、上記注入率推定処理が実行され、注入率推定部51は、当該予測モデルに原水の属性データを入力することにより、注入率を推定する(S22)。そして、注入率推定部51は、推定した注入率を出力装置15に出力する(S23)。これにより、凝集剤注入装置113は、上記推定した注入率に基づいて、凝集剤が注入される。その後、予測モデル構築装置12および推定装置13は、上記予測モデル構築処理および上記注入率推定処理を終了する。
(変形例1)
図7は、選定部22によるデータ組の別の選定例を示すためのグラフである。図7の選定例は、図5の選定例に比べて、選定部22が選定するデータ組を、原水濁度の値が第1閾値以上であるデータ組にさらに限定している。なお、図7の例では、第1閾値は100度であるが、これに限定されるものではない。例えば、予測モデルを構築するのに必要な入力データの数、これまでの高い原水濁度の発生状況、等に応じて第1閾値が設定されてもよい。
本変形例では、原水濁度の値が第1閾値以上の範囲において、原水濁度と沈澱水濁度との相関関係に基づいて選定された良質の教師データを選ぶことができる。一般に、原水濁度が高くなるほど予測難度が高くなるため、原水濁度が相対的に高い範囲で良質の教師データを選ぶことにより、予測モデル構築装置12によって再構築される予測モデルの予測精度の低下を防止することが可能となる。
(変形例2)
図8は、選定部22によるデータ組のさらなる別の選定例を示すためのグラフである。図8の選定例は、図5の選定例に比べて、選定部22が選定するデータ組を、沈澱水濁度の値が第2閾値以下であるデータ組にさらに限定している。
ところで、本願発明者らは、凝集剤の注入率に関する予測値と実測値との相関が最も高くなるような、沈澱水濁度の上限値が存在することを見出した。
例えば、或る浄水施設では、沈澱水濁度が1.0度以下であるデータ組の集合、すなわち、沈澱水濁度の上限値1.0度を満たすデータ組の集合に基づく教師データ群により構築された予測モデルを利用した場合、凝集剤の注入率に関する予測値と実測値との相関は最も高かった。そして、上記上限値が1.0度よりも大きくなっても、或いは小さくなっても、上記相関は低くなった。
したがって、過去のデータを利用して、沈澱水濁度の或る上限値で抽出したデータ組に対応する教師データ群を作成し、当該教師データ群を用いて予測モデルを構築し、当該予測モデルを用いた上記注入率に関する予測値と実測値との相関を評価し、これを、沈澱水濁度の種々の上限値で繰り返す。そして、上記相関が最も高くなる沈澱水濁度の上限値を上記第2閾値とする。これにより、上記浄水施設に適したデータ組を選ぶことができ、その結果、再構築される予測モデルの予測精度を向上させることができる。なお、図8の例では、第2閾値は1度であるが、これに限定されるものではなく、浄水施設ごとに種々の値が設定される。
(変形例3)
図9は、選定部22によるデータ組のさらなる別の選定例を示すためのグラフである。図9の選定例では、選定部22は、図4に示した相関線CC上の沈澱水濁度の各々に対して、入力装置14からの入力操作に応じた値を一律に加算することにより得られる新たな相関線C1を境界として、沈澱水濁度の値が当該境界を下回る前記入力データを選定する。なお、図示を省略するが、上記新たな曲線は、相関線CC上の沈澱水濁度の各々に対して、上記入力操作に応じた値を一律に減算することにより得られてもよい。
本変形例では、原水濁度と沈澱水濁度とを一組とするデータ組の集合と相関線CCとの位置関係を変更することができ、その結果、沈澱水濁度の値が境界を下回る上記データ組の個数を変更することができる。この変更は、例えば、沈澱水濁度の管理目標を変更する必要が生じた場合(例えば、環境変化等に起因して沈澱水濁度が下がり難い状況に至った場合)に好適である。
(変形例4)
図10は、選定部22によるデータ組のさらなる別の選定例を示すためのグラフである。図10の選定例では、選定部22は、図5に示した相関線CCの形状を修正する、入力装置14からの入力操作に応じて修正された相関線C2を、境界として定めている。
本変形例では、相関線CCの形状を変更することができ、その結果、沈澱水濁度の値が境界を下回るデータ組の個数を変更することができる。この変更は、例えば、浄水施設の環境等に応じた教師データを選ぶ必要がある場合に好適である。なお、図10の選定例は、図5に示した相関線CCの形状を変更する例であるが、図7~図9の選定例における相関線CCの形状を変更してもよい。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図11~図14を参照して説明する。本実施形態の水処理システム1は、図1~図10に示す水処理システム1に比べて、注入率推定システム2の構成が異なり、その他の構成は同様である。
図11は、本実施形態の注入率推定システム2の要部構成の一例を示すブロック図である。本実施形態の注入率推定システム2は、図2に示す注入率推定システム2に比べて、教師データ選定装置11の選定部22に代えて選定部24が設けられている点と、記憶装置16の入力データ記憶部31に代えて入力データ記憶部34が設けられている点とが異なり、その他の構成は同様である。
入力データ記憶部34は、図2に示す入力データ記憶部31に比べて、入力データから沈澱水濁度が省略されている点が異なる。すなわち、入力データ記憶部34が記憶する入力データは、原水の属性データと、当該原水に対し注入された凝集剤の注入率と、を含む。したがって、本実施形態の取得部21は、沈澱水濁度を取得する必要はない。
選定部24は、入力データ記憶部31から読み出した入力データの集合から、原水濁度と、凝集剤の注入率とを一組とするデータ組の集合を抽出し、抽出したデータ組の集合から得られる、上記原水濁度と上記注入率との相関関係に基づいて、上記集合から上記データ組の一部を選定する。選定部24は、選定したデータ組を追加部23に送出する。なお、選定部24における選定の詳細については後述する。
上記の構成によると、原水濁度と凝集剤の注入率との相関関係に基づいて選定された原水濁度を有する原水の属性データを説明変数とし、当該原水に注入した凝集剤の注入率を目的変数とする教師データが教師データ群に追加される。したがって、上記選定の仕方に応じて、新たに追加する教師データを選び分けることができる。
(教師データ選定処理)
図12は、本実施形態の教師データ選定装置11が実行する教師データ選定処理の流れの一例を示すフローチャートである。図12に示すように、取得部21は、原水の属性データと、当該原水に対し注入された凝集剤の注入率と、を含む入力データの集合を取得する(S31)。次に、選定部24は、上記入力データの集合を用いて、上記入力データの属性データに含まれる原水濁度と、上記注入率との相関関係を求める(S32)。
図13は、上記データ組の集合から得られる、上記原水濁度と上記注入率との相関関係の一例を示すグラフである。図13において、上記原水濁度と上記注入率との相関線C3が一点鎖線で示されている。図13を参照すると、原水濁度が増加するにつれて注入率の増加率が低くなることが理解される。また、原水濁度が低いほど、上記入力データが相関線C3の周辺に多数存在する一方、原水濁度が高いほど上記入力データは少なくなることが理解できる。
次に、選定部24は、上記相関関係に基づいて、上記データ組の集合の一部を選定する(S33、選定ステップ)。そして、追加部23は、選定部24が選定したデータ組における原水濁度を有する原水の属性データを説明変数とし、当該原水に注入した凝集剤の注入率を目的変数とする教師データを、教師データ群に追加する(S34、追加ステップ)。その後、教師データ選定装置11は、上記教師データ選定処理を終了する。
図14は、選定部24によるデータ組の一選定例を示すためのグラフである。図14の例では、図13に示したデータ組のうち、選定部24は、相関線C3を境界として、注入率の値が当該境界を下回るデータ組を選定する。この場合、凝集剤コストが相対的に低くなる教師データを選ぶことができる。
〔付記事項〕
なお、本実施形態の選定部24の機能を、図2に示す選定部22に組み込んでもよい。この場合、選定部22は、原水濁度と沈澱水濁度との相関関係に基づいて選定した第1データ組の集合の一部に対応する入力データの集合の一部から、原水濁度と凝集剤の注入率とを一組とする第2データ組の集合を抽出する。次に選定部22は、抽出した第2データ組の集合から得られる、上記原水濁度と上記注入率との相関関係に基づいて、上記集合から上記第2データ組の一部を選定する。
そして、追加部23は、選定部22が選定した第2データ組における原水濁度を有する原水の属性データを説明変数とし、当該原水に注入した凝集剤の注入率を目的変数とする教師データを、教師データ記憶部32の教師データ群に追加する。上記の構成によると、原水濁度と沈澱水濁度との相関関係に基づいて選定した第1データ組を、原水濁度と凝集剤の注入率との相関関係に基づいてさらに絞り込むことができる。これにより、凝集剤の注入率がさらに考慮された教師データを選ぶことができる。
また、上記実施形態では、凝集剤の注入率を推定しているが、推定対象はこれに限定されるものではない。消毒用の次亜塩素酸ナトリウムなど、浄水施設で利用される任意の薬剤の注入率を推定する場合にも、本発明を適用することができる。
また、上記実施形態では、原水濁度と、沈澱水濁度または凝集剤の注入率とをデータ組としているが、データ組はこれに限定されるものではない。一般に、凝集剤が過剰気味である場合、沈澱汚泥の濃縮性、脱水性などが悪化することが知られている。そこで、上記沈澱汚泥の濃度、上記沈澱汚泥を脱水した脱水ケーキの含水率、などの指標値を、上記データ組に追加し、当該指標値が所定値以下であるデータ組を選んでもよい。
〔ソフトウェアによる実現例〕
教師データ選定装置11、予測モデル構築装置12、および推定装置13(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部20、40、および50に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
1 水処理システム
2 注入率推定システム
11 教師データ選定装置(情報処理装置)
12 予測モデル構築装置
13 推定装置
14 入力装置
15 出力装置
16 記憶装置
20、40、50 制御部
21 取得部
22、24 選定部
23 追加部
31、34 入力データ記憶部
32 教師データ記憶部
33 予測モデル記憶部
41 構築部
51 注入率推定部
101 着水井
102 急速混和池
103 フロック形成池
104 沈澱池
111、116 水質計
112 流量計
113 凝集剤注入装置
114 急速撹拌機
115 緩速撹拌機

Claims (12)

  1. 浄水施設に流入する原水の濁度である原水濁度を含む、前記原水の属性を示す属性データを説明変数とし、前記原水へ注入する凝集剤の注入率を目的変数とする予測モデルを構築するための教師データ群に教師データを追加する追加部と、
    前記原水濁度と、凝集剤が注入された後の前記原水を処理する沈澱池における上澄み液の濁度である沈澱水濁度とを一組とするデータ組の集合から得られる、前記原水濁度と前記沈澱水濁度との相関関係に基づいて、前記集合から前記データ組の一部を選定する選定部とを備え、
    前記追加部は、前記選定された前記データ組における前記原水濁度を有する原水の前記属性データを説明変数とし、当該原水に注入した凝集剤の注入率を目的変数とする教師データを、前記教師データ群に追加する、
    教師データ選定装置。
  2. 前記選定部は、前記集合に含まれる前記データ組のうち、前記沈澱水濁度の値が、前記相関関係から求まる相関線を境界として、当該境界を下回る前記データ組を選定する、請求項1に記載の教師データ選定装置。
  3. 前記選定部は、前記原水濁度の値が第1閾値以上である前記データ組を選定する、請求項2に記載の教師データ選定装置。
  4. 前記選定部は、前記沈澱水濁度の値が第2閾値以下である前記データ組を選定する、請求項2または3に記載の教師データ選定装置。
  5. 前記選定部は、前記相関線上の前記沈澱水濁度の各々に対して入力操作に応じた値を一律に加算または減算することにより得られる新たな線を境界として、前記沈澱水濁度の値が当該境界を下回る前記データ組を選定する、請求項2から4の何れか1項に記載の教師データ選定装置。
  6. 前記選定部は、前記相関線の形状を修正する入力操作に応じて修正された前記相関線を、前記境界として定める、請求項2から5の何れか1項に記載の教師データ選定装置。
  7. 前記選定部は、前記原水濁度と前記注入率とを一組とするデータ組の集合から得られる、前記原水濁度と前記注入率との相関関係に基づいて、前記選定された前記データ組を絞り込む、請求項1から6の何れか1項に記載の教師データ選定装置。
  8. 浄水施設に流入する原水の濁度である原水濁度を含む、前記原水の属性を示す属性データを説明変数とし、前記原水へ注入する凝集剤の注入率を目的変数とする予測モデルを構築するための教師データ群に教師データを追加する追加部と、
    前記原水濁度と、前記注入率とを一組とするデータ組の集合から得られる、前記原水濁度と前記注入率との相関関係に基づいて、前記集合から前記データ組の一部を選定する選定部とを備え、
    前記追加部は、前記選定された前記データ組における前記原水濁度を有する原水の前記属性データを説明変数とし、当該データ組における前記注入率を目的変数とする教師データを、前記教師データ群に追加する、
    教師データ選定装置。
  9. 前記選定部は、前記選定されたデータ組を、前記注入率の値が、前記原水濁度と前記注入率との相関関係から求まる相関線を境界として、当該境界を下回る前記データ組に絞り込む、請求項7または8に記載の教師データ選定装置。
  10. 請求項1から9の何れか1項に記載の教師データ選定装置により教師データが追加された前記教師データ群を用いて前記予測モデルを構築する構築部を備える、予測モデル構築装置。
  11. 1または複数の情報処理装置により実行される教師データ選定方法であって、
    浄水施設に流入する原水の濁度である原水濁度を含む、前記原水の属性を示す属性データを説明変数とし、前記原水へ注入する凝集剤の注入率を目的変数とする予測モデルを構築するための教師データ群に教師データを追加する追加ステップを含み、
    前記原水濁度と、凝集剤が注入された後の前記原水が処理される沈澱池における上澄み液の濁度である沈澱水濁度とを一組とするデータ組の集合から得られる、前記原水濁度と前記沈澱水濁度との相関関係に基づいて、前記集合から前記データ組の一部を選定する選定ステップをさらに含み、
    前記追加ステップは、前記選定された前記データ組における前記原水濁度を有する原水の前記属性データを説明変数とし、当該原水に注入した凝集剤の注入率を目的変数とする教師データを、前記教師データ群に追加する、教師データ選定方法。
  12. 1または複数の情報処理装置により実行される教師データ選定方法であって、
    浄水施設に流入する原水の濁度である原水濁度を含む、前記原水の属性を示す属性データを説明変数とし、前記原水へ注入する凝集剤の注入率を目的変数とする予測モデルを構築するための教師データ群に教師データを追加する追加ステップを含み、
    前記原水濁度と、前記注入率とを一組とするデータ組の集合から得られる、前記原水濁度と前記注入率との相関関係に基づいて、前記集合から前記データ組の一部を選定する選定ステップをさらに含み、
    前記追加ステップは、前記選定された前記データ組における前記原水濁度を有する原水の前記属性データを説明変数とし、当該データ組における前記注入率を目的変数とする教師データを、前記教師データ群に追加する、教師データ選定方法。
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