JP2023096666A - 樹脂組成物およびそれから成形して得られる成形品 - Google Patents

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健太 今里
Kenta IMAZATO
智大 中▲崎▼
Tomohiro NAKAZAKI
強 武田
Tsuyoshi Takeda
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Abstract

【課題】優れた摩耗試験耐性を有する樹脂組成物およびそれから成形して得られる成形品を提供する。【解決手段】曲げ弾性率が1,000MPa~2,000MPaであり、動摩擦係数が0.05~0.30であることを特徴とする樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は樹脂組成物およびそれから成形して得られる成形品に関する。
従来、ポリカーボネートを素材とするフィルムやシート、成形加工品とする樹脂板は、透明性や耐衝撃性、耐熱性、難燃性などに優れ、ガラスに比べて軽量で成形性にも優れデザイン的な自由度が高いために、自動車などの車両の窓ガラスに代わり軽量なプラスチック窓として用いられている。樹脂部材をガラスの代替部材として用いる場合は、摩耗傷が生じると光が散乱するため摩耗傷の発生をも防止する必要がある。摩耗傷は、例えば、ウエスや洗車ブラシで樹脂部材を拭くときに、応力を広い範囲に受けて樹脂部材が凹み、ウエスや洗車ブラシと樹脂部材との間に介在するダストが研磨剤として働き、樹脂部材表面を削り取ることで生じる傷である。ガラスに比べてポリカーボネートは、表面硬度や耐擦傷性などの表面特性に劣るので、ハードコート等の被覆層を設けて用いられることがある(特許文献1)。
しかしながら、樹脂材料へのハードコートの被覆は、一般に製造工程が長くなるといった問題のほか、ポリカーボネート樹脂本来の特徴である衝撃性が損なわれるといった課題があった。そのような背景からハードコートを被覆せずに、耐摩耗性試験の一種である洗車試験を改善できる樹脂材料が望まれているが、樹脂単体で耐摩耗性を改善できる樹脂材料は未だ提供されていない。
特開2020-185794号公報
本発明の目的は、優れた耐摩耗性を有する樹脂組成物およびそれから成形して得られる成形品を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、特定の範囲の弾性率および低動摩擦性を有する樹脂組成物が、耐摩耗性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の課題は、下記1~18項により達成される。
1.曲げ弾性率が1,000MPa~2,000MPaであり、動摩擦係数が0.05~0.30であることを特徴とする樹脂組成物。
2.ポリカーボネート樹脂を含む前項1に記載の樹脂組成物。
3.摺動改質剤を含有する前項1または2に記載の樹脂組成物。
4.摺動改質剤が脂肪酸アマイド系摺動改質剤である前項3に記載の樹脂組成物。
5.樹脂100重量部に対して、摺動改質剤の含有量が0.1~5重量部である前項3または4に記載の樹脂組成物。
6.前記ポリカーボネート樹脂がポリカーボネートブロック(A-1)とポリシロキサンブロック(A-2)を含む前項2~5のいずれかに記載の樹脂組成物。
7.前記ポリカーボネートブロック(A-1)が、下記式(1)で表される構造単位を含む、前項6に記載の樹脂組成物。
Figure 2023096666000001
(上記式(1)において、R及びRは夫々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~18のアルキル基、炭素原子数1~18のアルコキシ基、炭素原子数6~20のシクロアルキル基、炭素原子数6~20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2~10のアルケニル基、炭素原子数6~14のアリール基、炭素原子数6~14のアリールオキシ基、炭素原子数7~20のアラルキル基、炭素原子数7~20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる少なくとも一つの基を表し、それぞれ複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、e及びfは夫々1~4の整数であり、Wは単結合もしくは下記式(2)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基である。)
Figure 2023096666000002
(上記式(2)においてR11,R12,R13,R14,R15,R16,R17及びR18は夫々独立して、水素原子、炭素原子数1~18のアルキル基、炭素原子数6~14のアリール基及び炭素原子数7~20のアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも一つの基を表し、R19及びR20は夫々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~18のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、炭素原子数6~20のシクロアルキル基、炭素原子数6~20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2~10のアルケニル基、炭素原子数6~14のアリール基、炭素原子数6~14のアリールオキシ基、炭素原子数7~20のアラルキル基、炭素原子数7~20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる少なくとも一つの基を表し、複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、gは1~10の整数、hは4~7の整数である。)
8.前記ポリシロキサンブロック(A-2)が、下記式(3)で表される構造単位を含む、前項6または7に記載の樹脂組成物。
Figure 2023096666000003
(上記式(3)において、R23、R24、R25及びR26は夫々独立して、水素原子、炭素原子数1~12のアルキル基及び炭素原子数6~12の置換若しくは無置換のアリール基からなる群から選ばれる少なくとも一つの基であり、R21及びR22は夫々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~10のアルキル基及び炭素原子数1~10のアルコキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの基であり、pは1~150の自然数であり、Xは炭素原子数2~8の二価脂肪族基である。)
9.前記ポリカーボネートブロック(A-1)が下記式(4)で表される構造単位を含む、前項6~8のいずれかに記載の樹脂組成物。
Figure 2023096666000004
(上記式(4)において、R27、R28は夫々独立して、水素原子または炭素原子数1~4のアルキル基を表し、それぞれ複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、i及びjは夫々1~4の整数であり、Yは下記式(5)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基である。)
Figure 2023096666000005
(上記式(5)において、R29、R30,R31、R32、R33は夫々独立して、水素原子、炭素原子数1~4のアルキル基及び炭素原子数6~14のアリール基からなる群から選ばれる少なくとも一つの基を表し、それぞれ複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、kは1~3の整数である。)
10.前記ポリカーボネートブロック(A-1)の構造単位として、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-シクロヘキサン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンのうち少なくとも一つから誘導される単位を含む、前項6~9のいずれかに記載の樹脂組成物。
11.前記ポリシロキサンブロック(A-2)の含有量が、樹脂全体の重量を基準にして、5~50重量%である、前項6~10のいずれかに記載の樹脂組成物。
12.前記ポリシロキサンブロック(A-2)の平均シロキサン繰り返し数(p)が5~100である、前項6~11のいずれかに記載の樹脂組成物。
13.前記樹脂組成物を2mm厚に成形した成形品の全光線透過率が80%以上であり、且つヘーズ値が5.0以下である、前項1~12のいずれかに記載の樹脂組成物。
14.1.8MPa荷重条件下における荷重たわみ温度が80℃以上である、前項1~13のいずれかに記載の樹脂組成物。
15.シャルピー衝撃値が4KJ/m2以上である、前項1~14のいずれかに記載の樹脂組成物。
16.前項1~15のいずれかに記載の樹脂組成物を成形して得られる成形品。
17.前項1~15のいずれかに記載の樹脂組成物を成形して得られるフィルムまたはシート。
18.請求項1~15のいずれかに記載の樹脂組成物からなる車両外装部材。
本発明の樹脂組成物は、優れた耐摩耗性を有するため、車両外装部材などに好適に利用され、その奏する産業上の効果は格別である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における樹脂組成物は特定の範囲の弾性率および低動摩擦性を有することを特徴とする。本発明の樹脂組成物は、樹脂成分としてポリカーボネート樹脂を含有することが好ましい。また、本発明の樹脂組成物は、摺動改質剤を含有することが好ましい。
<ポリカーボネート樹脂>
ポリカーボネート樹脂はポリカーボネートブロック(A-1)と、ポリシロキサンブロック(A-2)とを含有することが好ましい。
(ポリカーボネートブロック(A-1))
本発明において、ポリカーボネートブロック(A-1)は、ポリカーボネート-ポリシロキサン樹脂において含まれるポリカーボネート重合体の部分である。
例えば、ポリカーボネートブロック(A-1)は、下記式(1)で表される構造単位を含むものが好ましい。
Figure 2023096666000006
上記式(1)において、R及びRは夫々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~18のアルキル基、炭素原子数1~18のアルコキシ基、炭素原子数6~20のシクロアルキル基、炭素原子数6~20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2~10のアルケニル基、炭素原子数6~14のアリール基、炭素原子数6~14のアリールオキシ基、炭素原子数7~20のアラルキル基、炭素原子数7~20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる少なくとも一つの基である。RおよびRが夫々複数ある場合は、それらは同一でも異なっていても良い。
ハロゲン原子として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
炭素原子数1~18のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基等が挙げられる。好ましくは炭素原子数1~6のアルキル基である。
炭素原子数1~18のアルコキシ基として、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキトキシ基、オクトキシ基、等が挙げられる。炭素原子数1~6のアルコキシ基が好ましい。
炭素原子数6~20のシクロアルキル基として、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。炭素原子数6~12のシクロアルキル基が好ましい。
炭素原子数6~20のシクロアルコキシ基として、好ましくはシクロヘキシルオキシ基、シクロオクチルオキシ基等が挙げられる。炭素原子数6~12のシクロアルコキシ基が好ましい。
炭素原子数2~10のアルケニル基として、メテニル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等が挙げられる。炭素原子数2~6のアルケニル基が好ましい。
炭素原子数6~14のアリール基として、フェニル基、ナフチル基等挙げられる。炭素原子数6~14のアリールオキシ基として、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。
炭素原子数7~20のアラルキル基として、ベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。炭素原子数7~20のアラルキルオキシ基として、ベンジルオキシ基、フェニルエチルオキシ基等が挙げられる。
eおよびfは夫々独立に1~4の整数である。
Wは、単結合もしくは下記式(2)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基である。
Figure 2023096666000007
上記式(2)においてR11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18は夫々独立して、水素原子、炭素原子数1~18のアルキル基、炭素原子数6~14のアリール基および炭素原子数7~20のアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも一つの基を表わす。
炭素原子数1~18のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等が挙げられる。好ましくは炭素原子数1~6のアルキル基である。
炭素原子数6~14のアリール基として、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。これらは置換されていてもよい。置換基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭素原子数1~6のアルキル基が挙げられる。
炭素原子数7~20のアラルキル基として、ベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。
19およびR20は夫々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~18のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、炭素原子数6~20のシクロアルキル基、炭素原子数6~20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2~10のアルケニル基、炭素原子数6~14のアリール基、炭素原子数6~14のアリールオキシ基、炭素原子数7~20のアラルキル基、炭素原子数7~20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基およびカルボキシル基からなる群から選ばれる少なくとも一つの基を表す。複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良い。
ハロゲン原子として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
炭素原子数1~18のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基等が挙げられる。好ましくは炭素原子数1~6のアルキル基である。
炭素原子数1~10のアルコキシ基として、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基等が挙げられる。炭素原子数1~6のアルコキシ基が好ましい。
炭素原子数6~20のシクロアルキル基として、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。炭素原子数6~12のシクロアルキル基が好ましい。
炭素原子数6~20のシクロアルコキシ基として、シクロヘキシルオキシ基、シクロオクチル基等が挙げられる。炭素原子数6~12のシクロアルコキシ基が好ましい。
炭素原子数2~10のアルケニル基として、メテニル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等が挙げられる。炭素原子数2~6のアルケニル基が好ましい。
炭素原子数6~14のアリール基として、フェニル基、ナフチル基等挙げられる。炭素原子数6~14のアリールオキシ基として、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。
炭素原子数7~20のアラルキル基として、ベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。炭素原子数7~20のアラルキルオキシ基として、ベンジルオキシ基、フェニルエチルオキシ基等が挙げられる。
gは1~10の整数、好ましくは1~6の整数である。hは4~7の整数、好ましくは4~5の整数である。
前記ポリカーボネートブロック(A-1)としては、特に下記式(4)で表される構造単位を含むものが好ましい。
Figure 2023096666000008
上記式(4)において、R27、R28は夫々独立して、水素原子または炭素原子数1~4のアルキル基を表す。R27、R28がそれぞれ複数ある場合はそれらは同一でも異なっていてもよい。
i及びjは夫々1~4の整数である。
Yは下記式(5)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基である。
Figure 2023096666000009
上記式(5)において、R29、R30、R31、R32、R33は夫々独立して、水素原子、炭素原子数1~4のアルキル基および炭素原子数6~14のアリール基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を表す。R29、R30、R31、R32、R33がそれぞれ複数ある場合はそれらは同一でも異なっていてもよい。
炭素原子数1~4のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。
炭素原子数6~14のアリール基として、フェニル基、ナフチル基等挙げられる。
kは1~3の整数である。
前記ポリカーボネートブロック(A-1)の構造単位として、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-シクロヘキサン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンのうち少なくとも一つから誘導される単位を含むことが好ましい。
(ポリシロキサンブロック(A-2))
本発明において、ポリシロキサンブロック(A-2)は、下記式(3)で表される構造単位を含むものが好ましい。
Figure 2023096666000010
上記式(3)において、R23、R24、R25及びR26は夫々独立して、水素原子、炭素原子数1~12のアルキル基又は炭素原子数6~12の置換若しくは無置換のアリール基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基である。
炭素数1~12のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等が挙げられる。好ましくは炭素原子数1~6のアルキル基である。
炭素数6~12の置換若しくは無置換のアリール基として、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。置換基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基などの炭素原子数1~6のアルキル基が挙げられる。
23、R24、R25及びR26はメチル基であることが好ましい。
21およびR22は夫々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~10のアルキル基および炭素原子数1~10のアルコキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基である。
ハロゲン原子として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
炭素原子数1~10のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等が挙げられる。好ましくは炭素原子数1~6のアルキル基である。
炭素原子数1~10のアルコキシ基として、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基、ヘプトキシ基、オクトキシ基等が挙げられる。好ましくは炭素原子数1~6のアルコキシ基である。
21およびR22が、水素原子、メトキシ基であることが特に好ましい。
Xは、炭素数2~8の二価脂肪族基である。二価脂肪族基として、炭素数2~8のアルキレン基が挙げられる。アルキレン基としてエチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等が挙げられる。
pは1~150の自然数であり、好ましくは5~100の自然数であり、より好ましくは10~80の自然数であり、特に好ましくは20~50の自然数である。該平均鎖長pは核磁気共鳴(NMR)測定により算出される。
pの繰り返し単位には、R23、R24が異なる単位をいくつも含んでいてもよい。例えば下記式(6)のようにp1とp2の繰り返し単位があってもよく、その場合、p1とp2の繰り返し単位の合計がpとなり、この時のp1とp2の繰り返し単位はランダムでもよい。
Figure 2023096666000011
かかる特定の鎖長範囲を満足するために、異なる2種類またはそれ以上の平均鎖長pを有するヒドロキシアリール末端ポリシロキサン原料を混合して調製しても良い。ポリシロキサン原料の混合調製の方法としては、末端をヒドロキシアリール変性させた適当なポリシロキサン原料同士を混合する方法でも、末端をヒドロキシアリール変性させる前の適当な平均鎖長を有するポリシロキサン前駆体同士を予め混合した後に、末端をヒドロキシアリール変性させる方法のどちらでも良い。
樹脂全体の重量に占めるポリシロキサンブロック(A-2)の成分含有量は5~50重量%が好ましい。かかるポリシロキサン成分含有量はより好ましくは7~45重量%、さらに好ましくは10~40重量%である。かかる好適な範囲の下限以上では、耐衝撃性に優れ、かかる好適な範囲の上限以下では、成形条件の影響を受けにくい安定した透明性が得られやすい。かかるポリシロキサン含有量は、1H-NMR測定により算出することが可能である。
(ポリカーボネート樹脂の製造方法)
本発明におけるポリカーボネート樹脂は、工程(I)および工程(II)により製造することができる。
(工程(I))
工程(I)は水に不溶性の有機溶媒とアルカリ水溶液との混合液中において、下記式(7)で表される二価フェノールとホスゲンとを反応させ、末端クロロホーメート基を有するカーボネートオリゴマーを含有する溶液を調製する工程である。
Figure 2023096666000012
(式中、R、R、e、fおよびWは前記式(1)と同じである。)
上記式(7)で表される二価フェノールとしては、例えば、4,4’-ビフェノール、3,3’,5,5’-テトラフルオロ-4,4’-ビフェノール、α,α’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-o-ジイソプロピルベンゼン、α,α’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-m-ジイソプロピルベンゼン(以下“BPM”と略することがある)、α,α’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-p-ジイソプロピルベンゼン、α,α’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-m-ビス(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(以下“BPZ”と略することがある)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(以下“BPTMC”と略することがある)、1,1-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(以下“BPOCTMC”と略することがある)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-イソプロピルシクロヘキサン、1,1-ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1-ビス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)パーフルオロシクロヘキサン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエ-テル、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルエ-テル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’-ジメチル-4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’-ジメチル-4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフォン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジフェニルスルフィド、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジフェニルスルホキシド、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジフェニルスルホン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(以下“BPA”と略することがある)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン(以下“BPC”と略することがある)、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン(以下“BP26XA”と略することがある)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシー3-フェニルフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-イソプロピル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)デカン、1,1-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)デカン、1,1-ビス(2,3-ジメチルー4-ヒドロキシフェニル)デカン、2,2-ビス(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-イソプロピルシクロヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(以下“BPAF”と略することがある)、6,6’-ジヒドロキシ-3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビインダン(以下“SBI”と略することがある)、7,7’-ジメチル-6,6’-ジヒドロキシ-3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビインダン、7,7’-ジフェニル-6,6’-ジヒドロキシ-3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビインダン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、および2,2-ビス(3,5-ジフルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3,5-ジブロモー4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジクロロー4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジメチルー4-ヒドロキシフェニル)プロパン、および2,2-ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-フェニルエタン(以下“BPAP”と略することがある)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン(以下“BPTP”と略することがある)、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン(以下“BPF”と略すことがある)、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン(以下“BCF”と略すことがある)、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)フルオレン(以下“BPPF”と略すことがある)などが挙げられる。
上記の中でも、BPA、SBI、BPAF、BPZ、BPOCZ、BPTMC、BPOCTMC、BPC、BCF、BPAP、BPTPが好ましい。耐衝撃性、耐熱性、低比重性および入手可能性の観点から、BPA、BPAF、BPZ、BPTMC、BPOCTMC、BPC、BCF、BPAP、BPTPがより好ましく、BPA、BPZ、BPTMC、BPOCTMC、BPC、BCF、BPAPが特に好ましい。これらの二価フェノールは、1種のみを用いても良く、2種類以上併用して用いても良い。
(工程(II))
工程(II)は、下記式(8)で表されるヒドロキシアリール末端ポリシロキサンと工程(I)で調整したカーボネートオリゴマーとを界面重合させ、本発明のポリカーボネート-ポリシロキサン樹脂を得る工程である。
Figure 2023096666000013
(式中R21~R26、X、pは前記式(3)と同じである。)
上記式(8)で表されるヒドロキシアリール末端ポリシロキサンとしては、例えば次に示すような化合物が好適に用いられる。
Figure 2023096666000014
ヒドロキシアリール末端ポリシロキサンは、オレフィン性の不飽和炭素-炭素結合を有するフェノール類、好適にはビニルフェノール、2-アリルフェノール、イソプロペニルフェノール、2-メトキシ-4-アリルフェノールを所定の重合度を有するポリシロキサン鎖の末端に、ハイドロシリレーション反応させることにより容易に製造される。なかでも、(2-アリルフェノール)末端ポリシロキサン、(2-メトキシ-4-アリルフェノール)末端ポリシロキサンが好ましく、殊に(2-アリルフェノール)末端ポリジメチルシロキサン、および(2-メトキシ-4-アリルフェノール)末端ポリジメチルシロキサンが好ましい。ヒドロキシアリール末端ポリシロキサンは、1種のみを用いても良く、2種類以上併用して用いても良い。
また高度な透明性を実現するために、ヒドロキシアリール末端ポリシロキサンの平均シロキサン繰り返し数pは好ましくは1~150、より好ましくは5~100、さらに好ましくは10~80、特に好ましくは20~50である。かかる好適な範囲の下限以上では、耐衝撃性に優れ、かかる好適な範囲の上限以下では、透明性に優れる。該平均鎖長pは1H-NMR測定により算出することが可能である。
上記下限以上の樹脂は、凝集力の低いポリシロキサン部位の導入によるレオロジー特性の改質効果が高く、構造粘性指数を高くしやすい。その結果、剪断流動時の高い流動性を保持し成形性が良い。かかる上限以下の樹脂は、ポリシロキサンドメインの平均サイズを小さくしやすい。その結果高温で長時間シリンダー内に滞留される成形条件下にあっても、優れた透明性を有する樹脂成形品を得ることができる。上記上限以下のポリシロキサン単位は、その単位重量あたりのモル数が増加し、ポリカーボネート中に該単位が均等に組み込まれやすくなる。シロキサンの繰り返し数が大きいと、ポリシロキサン単位のポリカーボネート中への組み込みが不均等になるとともに、ポリマー分子中のポリシロキサン単位の割合が増加するため、該単位を含むポリカーボネートと、含まないポリカーボネートとが生じやすく、かつ相互の相溶性が低下しやすくなる。その結果として大きなポリシロキサンドメインが生じやすくなる。一方で、成形性、耐衝撃性の観点からは、ポリシロキサンドメインがある程度大きい方が有利であることから、上記の如く好ましい繰り返し数の範囲が存在する。
なお、本発明においてポリシロキサンドメインとは、ポリカーボネートのマトリックス中に分散したポリシロキサンを主成分とするドメインをいい、他の成分を含んでもよい。上述の如く、ポリシロキサンドメインは、マトリックスたるポリカーボネートとの相分離により構造が形成されることから、必ずしも単一の成分から構成されない。
また、本発明の製造方法の妨げにならない範囲で、上記二価フェノール、ヒドロキシアリール末端ポリシロキサン以外の他のコモノマーを併用することもできる。
本発明のポリカーボネート樹脂は、分岐化剤を上記の二価フェノール系化合物と併用して分岐化ポリカーボネート樹脂とすることができる。かかる分岐ポリカーボネート樹脂に使用される三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、フロログルシド、または4,6-ジメチル-2,4,6-トリス(4-ヒドロキジフェニル)ヘプテン-2、2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1-トリス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,6-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェノール、4-{4-[1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}-α,α-ジメチルベンジルフェノール等のトリスフェノール、テトラ(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4-ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4-ビス(4,4-ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれらの酸クロライド等が挙げられ、中でも1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1-トリス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
かかる分岐化ポリカーボネート樹脂の製造方法は、クロロホルメート化合物の生成反応時にその混合溶液中に分岐化剤が含まれる方法であっても、該生成反応終了後の界面重縮合反応時に分岐化剤が添加される方法であってもよい。分岐化剤由来のカーボネート構成単位の割合は、該樹脂を構成するカーボネート構成単位全量中、好ましくは0.005~1.5モル%、より好ましくは0.01~1.2モル%、特に好ましくは0.05~1.0モル%である。なお、かかる分岐構造量については1H-NMR測定により算出することが可能である。
工程(I)おいて末端クロロホルメート基を有する二価フェノールのオリゴマーを含む混合溶液を得た後、該混合溶液を攪拌しながら上記式(8)であるヒドロキシアリール末端ポリシロキサンを二価フェノールの仕込み量に対して0.004モル当量/min以下の速度で加え、該ヒドロキシアリール末端ポリシロキサンと該オリゴマーを界面重縮合させることにより、ポリカーボネート樹脂を得る。
本発明の製造において、溶媒としては、公知のポリカーボネートの製造に使用されるものなど各種の反応に不活性な溶媒を1種単独であるいは混合溶媒として使用すればよい。代表的な例としては、例えば、キシレンの如き炭化水素溶媒、並びに、塩化メチレンおよびクロロベンゼンをはじめとするハロゲン化炭化水素溶媒などが挙げられる。特に塩化メチレンの如きハロゲン化炭化水素溶媒が好適に用いられる。二価フェノールの濃度は、好ましくは500g/L以下、より好ましくは450g/L以下、更に好ましくは300g/L以下である。二価フェノールの濃度は、製造効率の観点から、その下限は150g/L以上が好ましい。
界面重縮合反応の際は、酸結合剤を反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜追加してもよい。酸結合剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、ピリジン等の有機塩基あるいはこれらの混合物などが用いられる。具体的には、上記式(3)を導くヒドロキシアリール末端ポリシロキサン、又は上記の如く二価フェノールの一部を添加モノマーとしてこの反応段階に添加する場合には、後添加分の二価フェノールとヒドロキシアリール末端ポリシロキサンとの合計モル数(通常1モルは2当量に相当)に対して2当量若しくはこれより過剰量のアルカリを用いることが好ましい。
二価フェノールのオリゴマーとヒドロキシアリール末端ポリシロキサンとの界面重縮合反応による重縮合は、上記混合液を激しく攪拌することにより行われる。
かかる重合反応においては、末端停止剤或いは分子量調節剤が通常使用される。末端停止剤としては一価のフェノール性水酸基を有する化合物が挙げられ、通常のフェノール、p-tert-ブチルフェノール、p-クミルフェノール、トリブロモフェノールなどの他に、長鎖アルキルフェノール、脂肪族カルボン酸クロライド、脂肪族カルボン酸、ヒドロキシ安息香酸アルキルエステル、ヒドロキシフェニルアルキル酸エステル、アルキルエーテルフェノールなどが例示される。その使用量は用いる全ての二価フェノール系化合物100モルに対して、100~0.5モル、好ましくは50~2モルの範囲であり、二種以上の化合物を併用することも当然に可能である。
重縮合反応を促進するために、トリエチルアミンのような第三級アミン又は第四級アンモニウム塩などの触媒を添加してもよい。
かかる重合反応の反応時間は、未反応ポリシロキサン成分を低減するためには比較的長くする必要がある。好ましくは30分以上、更に好ましくは50分以上である。一方、長時間の反応溶液の撹拌によってポリマーの析出が発生し得るため、好ましくは180分以下、更に好ましくは90分以下である。
反応圧力は、減圧、常圧、加圧のいずれでも可能であるが、通常は、常圧もしくは反応系の自圧程度で好適に行いえる。
反応温度は-20~50℃の範囲から選ばれ、多くの場合は重合に伴い発熱するので水冷または氷冷することが望ましい。
所望に応じ、亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイドなどの酸化防止剤を少量添加してもよい。
(粘度平均分子量)
本発明において、ポリカーボネート-ポリシロキサン樹脂の粘度平均分子量は、好ましくは12,000~40,000、より好ましくは13,000~30,000、さらに好ましくは14,000~25,000の範囲である。上述の範囲内であると、多くの分野において実用上の機械強度が獲得しやすく、成形加工時においては適度な溶融粘度を有するため熱劣化等の不具合が抑制されるとともに随時混合するポリカーボネート樹脂との溶融粘度差が小さく混錬性が良好となる。さらには、樹脂製造時の水洗工程の効率が良好であり、生産性に優れる。
本発明におけるポリカーボネート-ポリシロキサン樹脂の粘度平均分子量は、まず、次式にて算出される比粘度(ηSP)を20℃で塩化メチレン100mlに樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、
比粘度(ηSP)=(t-t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度(ηSP)から次の数式により粘度平均分子量Mvを算出したものである。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10-4Mv0.83
c=0.7
<摺動改質剤>
本発明の樹脂組成物に好適に使用する摺動改質剤は、摺動改質効果を有するものであれば特に限定されないが、相溶性の観点から脂肪酸アマイドが好ましい。また、樹脂組成物100重量部に対して摺動改質剤の含有量は、耐摩耗性向上とガス発生による白モヤ抑制の観点から0.1~5重量部が好ましく、0.5~4.5重量部がより好ましく、1~4重量部がさらに好ましい。
(脂肪酸アマイド)
本発明の樹脂組成物に好適に使用する脂肪酸アマイドは耐摩耗性向上の観点から、末端アルキル基の炭素数は、10以上であることが好ましく、12以上がより好ましく、14以上がさらに好ましく、16以上が最も好ましい。一方、成形品の外観向上の観点から、脂肪酸アマイドの末端アルキル基の炭素数は、30以下が好ましく、25以下がより好ましく、20以下がさらに好ましく、18以下が最も好ましい。
脂肪酸アマイドの具体例としては、ステアリン酸アマイド(例えば、三菱ケミカル社製:アマイドAP-1)、メチレンビスステアリン酸アマイド(例えば、三菱ケミカル社製:ビスアマイドLA)、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド(例えば、日本化成社製:スリパックスH)、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド(例えば、日本化成社製:スリパックスZHH)、m-キシリレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド(例えば、日本化成社製:スリパックスPXH)等が挙げられる。
<樹脂組成物>
(樹脂組成物の製造方法)
本発明において使用される樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂と摺動改質剤を溶融状態でブレンドすることが好ましい。溶融状態でブレンドする方法として、押出機が一般的に用いられ、溶融樹脂温度200~320℃、好ましくは220~300℃、より好ましくは、230~290℃で混練し、ペレタイズする。これにより、両樹脂が均一にブレンドされた樹脂組成物のペレットが得られる。押出機の構成、スクリューの構成等は特に限定されない。押出機中の溶融樹脂温度が320℃を超えると樹脂が着色したり、熱分解することがある。一方、樹脂温度が200℃を下回ると、樹脂粘度が高過ぎて押出機に過負荷がかかることがある。
(弾性率)
本発明の樹脂組成物は、ISO178に従って測定された曲げ弾性率が1,000MPa~2,000MPaである。曲げ弾性率は、好ましくは1,200MPa~1,900MPa、より好ましくは1,300MPa~1,850MPaであり、さらに好ましくは1,500MPa~1,800MPaである。上記範囲であれば、洗車試験における樹脂表面へかかる応力を緩和できるため耐摩耗性に優れるため好ましい。
(動摩擦係数)
本発明の樹脂組成物は、下記測定方法に記載した摩擦係数測定試験により測定される動摩擦係数が0.05~0.30である。かかる動摩擦係数が、好ましくは0.06~0.25、より好ましくは0.07~0.20である。上記範囲であれば、洗車試験における樹脂表面へかかる応力を緩和できるため耐摩耗性に優れるため好ましい。
測定方法:23℃、50%RH環境下、新東科学(HEIDON)製表面性測定機を用いて、樹脂プレート表面とサファイア針との動摩擦係数を測定する。サファイア針は先端形状R0.7Φを使用し、荷重100gの条件下で3回測定した平均値を測定値とする。
(荷重たわみ温度)
本発明の樹脂組成物は、ISO75で規定される高荷重下(1.8MPa)の荷重たわみ温度は80℃以上が好ましい。かかる荷重たわみ温度が、より好ましくは85℃以上、さらに好ましくは90℃以上、特に好ましくは100℃以上である。上記範囲であれば、実環境下における熱変形が小さくなるため、自動車用部品等の用途として特に有用である。上限は特に限定されないけれども、150℃以下が好ましい。
(シャルピー衝撃値)
本発明の樹脂組成物は、ISO179に従って測定されたノッチ付シャルピー衝撃強度が4kJ/m以上であることが好ましく、8kJ/m以上であることがより好ましく、10kJ/m以上であることがさらに好ましく、15kJ/m以上であることが特に好ましい。なお、ノッチ付シャルピー衝撃強度は100kJ/m以下で充分な機能を有する。
(全光線透過率)
本発明の樹脂組成物の全光線透過率の値は、好ましくは80%以上であり、より好ましくは85%以上であり、さらに好ましくは87%以上である。また、ヘーズ値は好ましくは5.0以下であり、より好ましくは3.0以下であり、さらに好ましくは2.0以下であり、特に好ましくは1.5以下である。上記の値とすることで成形品とした際の外観や光透過性に優れ好ましい。全光線透過率およびヘーズは、得られた樹脂プレートの厚み2.0mm部において日本電飾工業(株)製Haze Meter NDH 2000を用い、ASTM D1003に準拠し測定できる。
<その他の成分>
本発明のポリカーボネート-ポリシロキサン樹脂は本発明の効果を損なわない範囲で通常ポリカーボネート樹脂に配合される各種の難燃剤、強化充填材、添加剤を配合することができる。
難燃剤としては、従来、熱可塑性樹脂、特に芳香族ポリカーボネート樹脂の難燃剤として知られる各種の化合物が適用できるが、より好適には、有機金属塩系難燃剤(例えば、有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、ホウ酸金属塩系難燃剤、および錫酸金属塩系難燃剤など)、有機リン系難燃剤(例えば、モノホスフェート化合物、ホスフェートオリゴマー化合物、ホスホネートオリゴマー化合物、ホスホニトリルオリゴマー化合物、ホスホン酸アミド化合物およびホスファゼンなど)、シリコーン化合物からなるシリコーン系難燃剤、フィブリル化PTFE等である。その中でも、有機金属塩系難燃剤、有機リン系難燃剤が特に好ましい。尚、かかる化合物の配合は難燃性の向上をもたらすが、それ以外にも各化合物の性質に基づき、例えば帯電防止性、流動性、剛性、および熱安定性の向上などがもたらされる。
<成形品>
本発明において、樹脂組成物は、通常前記の如く製造されたペレットを射出成形して各種製品を製造することができる。更にペレットを経由することなく、押出機で溶融混練された樹脂を直接シート、フィルム、異型押出成形品、ダイレクトブロー成形品、および射出成形品にすることも可能である。
かかる射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、適宜目的に応じて、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体の注入によるものを含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形などの射出成形法を用いて成形品を得ることができる。これら各種成形法の利点は既に広く知られるところである。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。
また本発明において、樹脂組成物は、押出成形により各種異形押出成形品、シート、およびフィルムなどの形で利用することもできる。またシート、フィルムの成形にはインフレーション法や、カレンダー法、キャスティング法なども使用可能である。さらに特定の延伸操作をかけることにより熱収縮チューブとして成形することも可能である。また本発明の樹脂組成物を回転成形やブロー成形などにより成形品とすることも可能である。
更に本発明において、樹脂組成物からなる成形品には、各種の表面処理を行うことが可能である。ここでいう表面処理とは、蒸着(物理蒸着、化学蒸着など)、メッキ(電気メッキ、無電解メッキ、溶融メッキなど)、塗装、コーティング、印刷などの樹脂成形品の表層上に新たな層を形成させるものであり、通常のポリカーボネート樹脂に用いられる方法が適用できる。表面処理としては、具体的には、ハードコート、撥水・撥油コート、紫外線吸収コート、赤外線吸収コート、並びにメタライジング(蒸着など)などの各種の表面処理が例示される。
本発明の樹脂組成物は、透明性、耐衝撃性、耐熱性、耐摩耗性を高度に両立しており、光学部品、電気・電子機器分野、モビリティ分野において幅広く使用することができ、車両内外装部材、樹脂窓または前面板用途に好適に使用され、特に車両外装部材として好適に使用される。
以下に本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、これらは本発明を限定するものではない。特記しない限り、実施例中の部は重量部である。なお、評価は下記の方法に従った。
(1)ポリマー組成比
日本電子社製 JNM-AL400のプロトンNMRにて各繰り返し単位を測定し、ポリマー組成比(モル比)を算出した。
(2)ポリシロキサン成分の含有量および平均シロキサン繰り返し数
日本電子株式会社製 JNM-AL400のプロトンNMRを用い、得られた樹脂の1H-NMRスペクトルを測定し、二価フェノール由来のピーク(例えばBPAの場合は、1.4~1.8ppm)の積分曲線とポリシロキサン由来のピーク(-0.2~0.3ppm)の積分曲線から算出した積分比よりポリシロキサン成分含有量を算出した。さらに同様に、ヒドロキシアリール末端由来のピークの積分曲線とポリシロキサン由来のピークの積分曲線から算出した積分比を比較することにより平均ポリシロキサン繰り返し数を算出した。
(3)全光線透過率およびヘーズ
樹脂プレートの厚み2mm部における全光線透過率(%)、ヘイズ(%)を日本電飾工業(株)製Haze Meter NDH 2000を用い、ASTM D1003に準拠し測定した。
(4)荷重たわみ温度(HDT)
1.80MPa高荷重条件下における荷重たわみ温度をISO75に従って測定した。
(5)ノッチ付シャルピー衝撃強度
ノッチ付シャルピー衝撃試験をISO179に従って測定した。
(6)曲げ弾性率
曲げ弾性率をISO178に従って測定した。
(7)動摩擦係数
23℃、50%RH環境下、新東科学(HEIDON)製表面性測定機を用いて、樹脂プレート表面とサファイア針との動摩擦係数を測定した。サファイア針は先端形状R0.7Φを使用し、荷重100gの条件下で3回測定した平均値を測定値とした。
(8)洗車試験
100mm角の厚み2mmの樹脂プレートを用い、ISO20556に準拠し測定を行った。測定前後のサンプルについて、同様の3地点のヘーズ変化(ΔHaze)を用いて耐洗車性の指標とした。以下に記載の基準に沿って判定した。
「◎」:0<ΔHaze≦3
「〇」:3<ΔHaze≦6
「△」:6<ΔHaze≦9
「×」:9<ΔHaze
[実施例1]
<樹脂の製造>
温度計、撹拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水13993部、25%水酸化ナトリウム水溶液6315部を入れ、二価フェノールとして1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(BPTMC)1112部、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン(BPC)2082部およびハイドロサルファイト5.28部を溶解した後、塩化メチレン10166部を加え、撹拌下16~24℃でホスゲン(以下“FH”と略することがある)1480部を70分要して吹き込んだ。25%水酸化ナトリウム水溶液1339部を加え、さらにp-tert-ブチルフェノール70.01部を塩化メチレン720部に溶解した溶液を加え、攪拌しながらヒドロキシアリール末端ポリシロキサンとして、ポリジメチルシロキサン(以下、“PDMS”と略することがある)KF-2201(p=35(信越化学工業(株)製)741部を塩化メチレン5083部に溶解した溶液を作製し、該溶液を加えて乳化状態とした後、再度激しく撹拌した。かかる攪拌下、反応液が28℃の状態でトリエチルアミン6.0部を加えて温度26~31℃において1時間撹拌を続けて反応を終了した。反応終了後有機相を分離し、塩化メチレンで希釈して水洗を繰り返し、洗浄液が中性になったところで塩酸酸性水にて水洗した。その後、イオン交換水で繰り返し洗浄し水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったところで温水を張ったニーダーに投入して、攪拌しながら塩化メチレンを蒸発し、樹脂のパウダーを得た。脱水後、熱風循環式乾燥機により100℃で12時間乾燥した。
<樹脂組成物の製造>
得られた樹脂パウダー100重量部に対して、三菱ケミカル社製ビスアマイドLA(以下、ビスLA)を1.5重量部添加した。その後、ベント式二軸押出機[(株)テクノベル製KZW15-25MG]により、シリンダおよびダイス共に270℃にて溶融混練し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の一部を、80℃で12時間以上乾燥した後、射出成形機を用いて各種評価用の試験片を成形した。評価結果を表1に示した。
[実施例2]
<樹脂の製造>
実施例1と同様の方法で製造した。
<樹脂組成物の製造>
ビスLAを3重量部用いた以外は実施例1と同様の方法で製造した。評価結果を表1に示した。
[実施例3]
<樹脂の製造>
実施例1と同様の方法で製造した。
<樹脂組成物の製造>
摺動改質剤として三菱ケミカル社製アマイドAP-1(以下、AP-1)を3重量部用いた以外は実施例1と同様の方法で製造した。評価結果を表1に示した。
[実施例4]
<樹脂の製造>
温度計、撹拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水13993部、25%水酸化ナトリウム水溶液6315部を入れ、二価フェノールとしてBPTMC1112部、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA)1800部およびハイドロサルファイト4.02部を溶解した後、塩化メチレン10166部を加え、撹拌下16~24℃でホスゲン(以下“FH”と略することがある)1480部を70分要して吹き込んだ。25%水酸化ナトリウム水溶液1339部を加え、さらにp-tert-ブチルフェノール70.01部を塩化メチレン720部に溶解した溶液を加え、攪拌しながらヒドロキシアリール末端ポリシロキサンとして、ポリジメチルシロキサン(以下、“PDMS”と略することがある)KF-2201(p=35(信越化学工業(株)製)1483部を塩化メチレン5083部に溶解した溶液を作製し、該溶液を加えて乳化状態とした後、再度激しく撹拌した。かかる攪拌下、反応液が28℃の状態でトリエチルアミン6.0部を加えて温度26~31℃において1時間撹拌を続けて反応を終了した。反応終了後有機相を分離し、塩化メチレンで希釈して水洗を繰り返し、洗浄液が中性になったところで塩酸酸性水にて水洗した。その後、イオン交換水で繰り返し洗浄し水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったところで温水を張ったニーダーに投入して、攪拌しながら塩化メチレンを蒸発し、樹脂のパウダーを得た。脱水後、熱風循環式乾燥機により90℃で12時間乾燥した。
<樹脂組成物の製造>
得られた樹脂パウダー100重量部に対して、ビスLAを1.5重量部添加した。その後、ベント式二軸押出機[(株)テクノベル製KZW15-25MG]により、シリンダおよびダイス共に260℃にて溶融混練し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の一部を、80℃で12時間以上乾燥した後、射出成形機を用いて各種評価用の試験片を成形した。評価結果を表1に示した。
[実施例5]
<樹脂の製造>
温度計、撹拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水13993部、25%水酸化ナトリウム水溶液6315部を入れ、二価フェノールとして9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン(BCF)362部、BPC12755部およびハイドロサルファイト3.48部を溶解した後、塩化メチレン10166部を加え、撹拌下16~24℃でホスゲン(以下“FH”と略することがある)1480部を70分要して吹き込んだ。25%水酸化ナトリウム水溶液1339部を加え、さらにp-tert-ブチルフェノール70.01部を塩化メチレン720部に溶解した溶液を加え、攪拌しながらヒドロキシアリール末端ポリシロキサンとして、ポリジメチルシロキサン(以下、“PDMS”と略することがある)KF-2201(p=35(信越化学工業(株)製)741部を塩化メチレン5083部に溶解した溶液を作製し、該溶液を加えて乳化状態とした後、再度激しく撹拌した。かかる攪拌下、反応液が28℃の状態でトリエチルアミン6.0部を加えて温度26~31℃において1時間撹拌を続けて反応を終了した。反応終了後有機相を分離し、塩化メチレンで希釈して水洗を繰り返し、洗浄液が中性になったところで塩酸酸性水にて水洗した。その後、イオン交換水で繰り返し洗浄し水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったところで温水を張ったニーダーに投入して、攪拌しながら塩化メチレンを蒸発し、樹脂のパウダーを得た。脱水後、熱風循環式乾燥機により90℃で12時間乾燥した。
<樹脂組成物の製造>
得られた樹脂パウダー100重量部に対して、ビスLAを1.5重量部添加した。その後、ベント式二軸押出機[(株)テクノベル製KZW15-25MG]により、シリンダおよびダイス共に260℃にて溶融混練し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の一部を、80℃で12時間以上乾燥した後、射出成形機を用いて各種評価用の試験片を成形した。評価結果を表1に示した。
[比較例1]
<樹脂の製造>
実施例1と同様の方法で製造した。
<樹脂組成物の製造>
摺動改質剤を用いなかった以外は実施例1と同様の方法で製造した。評価結果を表2に示した。
[比較例2]
<樹脂の製造>
実施例4と同様の方法で製造した。
<樹脂組成物の製造>
摺動改質剤を用いなかった以外は実施例4と同様の方法で製造した。評価結果を表2に示した。
[比較例3]
<樹脂の製造>
温度計、撹拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水13993部、25%水酸化ナトリウム水溶液6315部を入れ、二価フェノールとしてBPTMC3485部およびハイドロサルファイト6.97部を溶解した後、塩化メチレン10166部を加え、撹拌下16~24℃でホスゲン(以下“FH”と略することがある)1480部を70分要して吹き込んだ。25%水酸化ナトリウム水溶液1339部を加え、さらにp-tert-ブチルフェノール70.01部を塩化メチレン720部に溶解した溶液を加え、攪拌しながらヒドロキシアリール末端ポリシロキサンとして、ポリジメチルシロキサン(以下、“PDMS”と略することがある)KF-2201(p=35(信越化学工業(株)製)741部を塩化メチレン2224部に溶解した溶液を作製し、該溶液を加えて乳化状態とした後、再度激しく撹拌した。かかる攪拌下、反応液が28℃の状態でトリエチルアミン6.0部を加えて温度26~31℃において1時間撹拌を続けて反応を終了した。反応終了後有機相を分離し、塩化メチレンで希釈して水洗を繰り返し、洗浄液が中性になったところで塩酸酸性水にて水洗した。その後、イオン交換水で繰り返し洗浄し水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったところで温水を張ったニーダーに投入して、攪拌しながら塩化メチレンを蒸発し、樹脂のパウダーを得た。脱水後、熱風循環式乾燥機により90℃で12時間乾燥した。
<樹脂組成物の製造>
得られた樹脂パウダーをベント式二軸押出機[(株)テクノベル製KZW15-25MG]により、シリンダおよびダイス共に260℃にて溶融混練し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の一部を、80℃で12時間以上乾燥した後、射出成形機を用いて各種評価用の試験片を成形した。評価結果を表2に示した。
[比較例4]
帝人製ポリカーボネートL-1225を用いて各種評価を実施した。評価結果を表2に示した。
Figure 2023096666000015
Figure 2023096666000016
本発明の樹脂組成物は、優れた耐摩耗性を有しており、光学部品、電気・電子機器分野、モビリティ分野において幅広く使用することができる。

Claims (18)

  1. 曲げ弾性率が1,000MPa~2,000MPaであり、動摩擦係数が0.05~0.30であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. ポリカーボネート樹脂を含む請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 摺動改質剤を含有する請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 摺動改質剤が脂肪酸アマイド系摺動改質剤である請求項3に記載の樹脂組成物。
  5. 樹脂100重量部に対して、摺動改質剤の含有量が0.1~5重量部である請求項3または4に記載の樹脂組成物。
  6. 前記ポリカーボネート樹脂がポリカーボネートブロック(A-1)とポリシロキサンブロック(A-2)を含む請求項2~5のいずれかに記載の樹脂組成物。
  7. 前記ポリカーボネートブロック(A-1)が、下記式(1)で表される構造単位を含む、請求項6に記載の樹脂組成物。
    Figure 2023096666000017
    (上記式(1)において、R及びRは夫々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~18のアルキル基、炭素原子数1~18のアルコキシ基、炭素原子数6~20のシクロアルキル基、炭素原子数6~20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2~10のアルケニル基、炭素原子数6~14のアリール基、炭素原子数6~14のアリールオキシ基、炭素原子数7~20のアラルキル基、炭素原子数7~20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる少なくと一つの基を表し、それぞれ複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、e及びfは夫々1~4の整数であり、Wは単結合もしくは下記式(2)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基である。)
    Figure 2023096666000018
    (上記式(2)においてR11,R12,R13,R14,R15,R16,R17及びR18は夫々独立して、水素原子、炭素原子数1~18のアルキル基、炭素原子数6~14のアリール基及び炭素原子数7~20のアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも一つの基を表し、R19及びR20は夫々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~18のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、炭素原子数6~20のシクロアルキル基、炭素原子数6~20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2~10のアルケニル基、炭素原子数6~14のアリール基、炭素原子数6~14のアリールオキシ基、炭素原子数7~20のアラルキル基、炭素原子数7~20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる少なくとも一つの基を表し、複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、gは1~10の整数、hは4~7の整数である。)。
  8. 前記ポリシロキサンブロック(A-2)が、下記式(3)で表される構造単位を含む、請求項6または7に記載の樹脂組成物。
    Figure 2023096666000019
    (上記式(3)において、R23、R24、R25及びR26は夫々独立して、水素原子、炭素原子数1~12のアルキル基及び炭素原子数6~12の置換若しくは無置換のアリール基からなる群から選ばれる少なくとも一つの基を表し、R21及びR22は夫々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~10のアルキル基及び炭素原子数1~10のアルコキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの基を表し、pは1~150の自然数であり、Xは炭素原子数2~8の二価脂肪族基である。)
  9. 前記ポリカーボネートブロック(A-1)が下記式(4)で表される構造単位を含む、請求項6~8のいずれかに記載の樹脂組成物。
    Figure 2023096666000020
    (上記式(4)において、R27、R28は夫々独立して、水素原子または炭素原子数1~4のアルキル基を表し、それぞれ複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、i及びjは夫々1~4の整数であり、Yは下記式(5)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基である。)
    Figure 2023096666000021
    (上記式(5)において、R29、R30、R31、R32、R33は夫々独立して、水素原子、炭素原子数1~4のアルキル基および炭素原子数6~14のアリール基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を表し、それぞれ複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、kは1~3の整数である。)
  10. 前記ポリカーボネートブロック(A-1)の構造単位として、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-シクロヘキサン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンのうち少なくとも一つから誘導される単位を含む、請求項6~9のいずれかに記載の樹脂組成物。
  11. 前記ポリシロキサンブロック(A-2)の含有量が、樹脂全体の重量を基準にして、5~50重量%である、請求項6~10のいずれかに記載の樹脂組成物。
  12. 前記ポリシロキサンブロック(A-2)の平均シロキサン繰り返し数(p)が5~100である、請求項6~11のいずれかに記載の樹脂組成物。
  13. 前記樹脂組成物を2mm厚に成形した成形品の全光線透過率が80%以上であり、且つヘーズ値が5.0以下である、請求項1~12のいずれかに記載の樹脂組成物。
  14. 1.8MPa荷重条件下における荷重たわみ温度が80℃以上である、請求項1~13のいずれかに記載の樹脂組成物。
  15. シャルピー衝撃値が4KJ/m以上である、請求項1~14のいずれかに記載の樹脂組成物。
  16. 請求項1~15のいずれかに記載の樹脂組成物を成形して得られる成形品。
  17. 請求項1~15のいずれかに記載の樹脂組成物を成形して得られるフィルムまたはシート。
  18. 請求項1~15のいずれかに記載の樹脂組成物からなる車両外装部材。
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