JP2023095934A - 補強用ガラス繊維、チョップドストランド、繊維シート及びロッド - Google Patents

補強用ガラス繊維、チョップドストランド、繊維シート及びロッド Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、種々の製品の補強に適した新たな補強用ガラス繊維を提供する。【解決手段】本発明による補強用ガラス繊維は、SiO2、Al2O3及びFe2O3を含む。補強用ガラス繊維において、Fe2O3の含有率が12~25質量%である。補強用ガラス繊維は、コンクリート製品、ゴム製品、プラスチック製品の補強に用いられる。【選択図】図3A

Description

本発明は、補強用ガラス繊維、チョップドストランド、繊維シート及びロッドに関する。
応力を受ける製品の補強材として、ガラス繊維が利用されている。ガラス繊維は、利用される用途に応じて、適切な形態に適宜加工される。一例として、ゴム製品の補強には、ガラス繊維が束ねられてなるストランドを備えたゴム補強用コードが使用される。ゴム補強用コードは、ゴムベルト、タイヤ等のゴム製品に埋め込まれてそのゴム製品の伸びや強度低下を抑制し、ゴム製品の寸法安定性の向上や疲労寿命の長期化に寄与する。特許文献1には、ゴム補強用コードに用いられるガラス繊維が開示されている。
国際公開第2006/057405号
種々の製品、例えばコンクリート製品、の補強に適した新たな補強用ガラス繊維が求められている。
そこで本発明は、種々の製品の補強に適した新たな補強用ガラス繊維を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、補強用ガラス繊維に含まれる各成分のうち、Fe23の含有率を適切に調整することによって、補強用ガラス繊維の特性が改良されることを新たに見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、
SiO2、Al23及びFe23を含み、
Fe23の含有率が12~25質量%である、補強用ガラス繊維を提供する。
さらに本発明は、
上記の補強用ガラス繊維を含む、チョップドストランドを提供する。
さらに本発明は、
上記の補強用ガラス繊維を含む、繊維シートを提供する。
さらに本発明は、
上記の補強用ガラス繊維を含む、ロッドを提供する。
本発明によれば、種々の製品の補強に適した新たな補強用ガラス繊維を提供できる。
補強用ガラス繊維を作製するための紡糸装置の一例を示す図である。 チョップドストランドを作製するための装置の一例を示す図である。 コンクリート製品の一例を示す斜視図である。 図3Aに示すコンクリート製品の拡大断面図である。 コンクリート製品の他の例を示す図である。 ゴム補強用コードを含むゴムベルトの構造の一例を示す図である。
以下、本発明の詳細を説明するが、以下の説明は、本発明を特定の実施形態に制限する趣旨ではない。
[補強用ガラス繊維]
本実施形態の補強用ガラス繊維は、SiO2、Al23及びFe23を含み、CaOをさらに含んでいてもよい。本実施形態の補強用ガラス繊維において、Fe23の含有率が12~25質量%である。
本明細書では、SiO2をS成分と呼び、SiO2の含有率を[S]と表示することがある。Al23をA成分と呼び、Al23の含有率を[A]と表示することがある。Fe23をF成分と呼び、Fe23の含有率を[F]と表示することがある。CaOをC成分と呼び、CaOの含有率を[C]と表示することがある。
SiO2は、ガラスの骨格を形成する必須の主成分である。また、ガラスの失透温度及び粘度を調整する成分であり、さらに化学的耐久性のうち、特に耐酸性を向上させる成分でもある。SiO2の含有率が低すぎると、耐酸性が低下することがある。一方、SiO2の含有率が高すぎると、弾性率(例えばヤング率)が低下することがある。SiO2の含有率は、例えば40質量%以上であり、43質量%以上、45質量%以上、48質量%以上、50質量%以上、さらには53質量%以上であってもよい。SiO2の含有率は、例えば68質量%以下であり、65質量%以下、63質量%以下、さらには60質量%以下であってもよい。SiO2の含有率は、50~63質量%であることが好ましく、場合によっては40~50質量%であってもよい。
Al23は、ガラスの骨格を形成する成分であり、ガラスの失透温度及び粘度を調整する成分でもある。また、化学的耐久性のうち、特に耐水性を向上させる成分でもある。一方で、Al23は、化学的耐久性のうち、耐酸性を悪化させる成分でもある。Al23の含有率が低すぎると、耐水性が低下することがある。一方、Al23の含有率が高すぎると、耐酸性及び耐アルカリ性が低下することがある。Al23の含有率は、例えば2質量%以上であり、5質量%以上、7質量%以上、さらには10質量%以上であってもよい。Al23の含有率は、例えば20質量%以下であり、15質量%以下であってもよい。Al23の含有率は、5~15質量%であることが好ましい。
補強用ガラス繊維において、SiO2とAl23との含有率の合計は、例えば40~70質量%である。[S]及び[A]の合計が40質量%未満である場合、又は、[S]及び[A]の合計が70質量%超である場合、補強用ガラス繊維の原料の溶融温度が高すぎる、当該原料の溶融物の粘度が高すぎる、又は、当該原料の溶融物の粘度が低すぎるため、原料の溶融紡糸性が低下することがある。SiO2とAl23との含有率の合計は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは55質量%以上である。SiO2とAl23との含有率の合計は、65質量%以下であってもよい。
補強用ガラス繊維において、SiO2とAl23との含有率の合計に対するAl23の含有率の比([A]/([A]+[S]))は、例えば0.10~0.40であり、好ましくは0.15~0.40である。[A]/([A]+[S])が0.10未満である場合、又は、[A]/([A]+[S])が0.40超である場合、補強用ガラス繊維の原料の溶融紡糸性が低下することがある。[A]/([A]+[S])は、好ましくは0.35以下であり、より好ましくは0.30以下であり、さらに好ましくは0.25以下であり、特に好ましくは0.20以下である。
本実施形態の補強用ガラス繊維において、Fe23は、重要な役割を果たす。すなわち、Fe23が適度な範囲で補強用ガラス繊維に含まれると、補強用ガラス繊維の耐酸性や耐アルカリ性が向上する。また、Fe23は、原料として多量に存在するため、原料の使用コストを低減できる。さらに、Fe23は、補強用ガラス繊維の弾性率を向上させることもできる。一方、補強用ガラス繊維に過度のFe23が含まれると耐酸性が低下し、失透が発生することもある。補強用ガラス繊維において、Fe23の含有率は、12~25質量%である。Fe23の含有率が25質量%を超えると、補強用ガラス繊維の原料の溶融物の粘度が低すぎるため、補強用ガラス繊維の作製が難しいことがある。また、耐酸性も低下することがある。Fe23の含有率は、好ましくは15質量%以上であり、17質量%以上であってもよい。Fe23の含有率は、好ましくは23質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下である。Fe23の含有率は、好ましくは15~25質量%であり、より好ましくは15~23質量%であり、場合によっては20~25質量%であってもよい。
なお、従来のガラス繊維では、Fe23の含有率は、1質量%以下に設定されることが多い。本実施形態の補強用ガラス繊維では、Fe23の含有率を12~25質量%に調整することによって、補強用ガラス繊維の作製時におけるバッチコストを低減させつつ、耐酸性や耐アルカリ性を向上させ、かつ、高い弾性率を得ることが出来る。また、Fe23の含有率が高い場合、補強用ガラス繊維が着色することがある。本実施形態の補強用ガラス繊維は、着色が問題にならない用途、特にコンクリート製品やゴム製品を補強する用途、に適している。
CaOは、耐アルカリ性、特に耐セメント性を向上させる成分である。CaOは、補強用ガラス繊維の弾性率を向上させる傾向もある。補強用ガラス繊維において、CaOの含有率は、例えば5~30質量%である。CaOの含有率が5質量%未満である場合、補強用ガラス繊維の原料の溶融開始温度が高いため、省エネルギーの観点から好ましくなく、耐アルカリ性が劣る傾向もある。CaOの含有率が30質量%超である場合、補強用ガラス繊維の原料の溶融物の粘度が低すぎるため、補強用ガラス繊維の作製が難しいことがある。CaOの含有率は、好ましくは10質量%以上であり、13質量%以上、15質量%以上、17質量%以上、20質量%以上であってもよい。CaOの含有率は、25質量%以下であってもよい。CaOの含有率は、18~30質量%であってもよく、場合によっては、15~25質量%であってもよく、20~30質量%であってもよい。
補強用ガラス繊維の弾性率や耐アルカリ性を向上させる観点から、補強用ガラス繊維において、CaOの含有率が18~30質量%であり、かつFe23の含有率が15~25質量%であることが好ましい。同様の観点から、補強用ガラス繊維において、CaOの含有率が15~25質量%であり、かつFe23の含有率が15~23質量%であってもよい。補強用ガラス繊維において、CaOとFe23との含有率の合計は、例えば30質量%以上であり、31質量%以上、33質量%以上、さらには35質量%以上であってもよい。CaOとFe23との含有率の合計は、例えば60質量%以下であり、50質量%以下であってもよい。
本実施形態の補強用ガラス繊維では、Fe23の含有率が適切に調整されており、必要に応じて、SiO2とAl23との含有率の合計、Al23/(SiO2+Al23)により算出される質量比、CaOの含有率なども適切に調整されている。これにより、補強用ガラス繊維は、従来の補強用ガラス繊維に比べて、弾性率などの機械的特性や、耐アルカリ性、耐酸性などの化学的耐久性に優れている傾向がある。
本実施形態の補強用ガラス繊維は、上記の成分以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。例えば、補強用ガラス繊維は、原料の不純物、製造装置等に由来する微量成分を含んでいてもよい。微量成分としては、例えば、MgO、Na2O、K2O、TiO2、CrO2などが挙げられる。補強用ガラス繊維において、微量成分の含有率は、例えば、10質量%未満であり、5質量%未満であってもよい。
補強用ガラス繊維の作製方法は、特に限定されず、例えば、原料から溶融物を形成するステップと、溶融物から補強用ガラス繊維を紡糸するステップとを含む。補強用ガラス繊維の原料は、SiO2、Al23、Fe23及びCaOの各々単独の化合物の混合物であってもよく、コストの観点から、SiO2を多く含むシリカ源、Al23を多く含むアルミナ源、SiO2とAl23の両方を多く含むシリカアルミナ源、Fe23を多く含む酸化鉄源、及びCaOを多く含む酸化カルシウム源からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む混合物であってもよい。この混合物では、上記のシリカ源などの原料とともに、純度が高い原料が混合されることによって、その組成が調整されていてもよい。
シリカ源としては、特に限定されず、例えば、非晶質シリカ、珪砂、フュームドシリカ、火山灰などが挙げられる。
アルミナ源としては、特に限定されず、アルミナのほか、ムライトなどの他の鉱石が挙げられる。
シリカアルミナ源としては、特に限定されず、例えば、カオリナイト、モンモリロナイト、長石、ゼオライトなどが挙げられる。
酸化鉄源としては、特に限定されず、例えば、酸化鉄、水酸化鉄、鉄鉱石などが挙げられる。
酸化カルシウム源としては、特に限定されず、炭酸カルシウムのほか、方解石、ドロマイトなどの他の鉱石が挙げられる。
上記で例示した以外に、火力発電廃棄物や金属精錬廃棄物を、シリカ源、アルミナ源、シリカアルミナ源、酸化鉄源、及び酸化カルシウム源のうちの1つとして利用することもできる。
火力発電廃棄物としては、フライアッシュ、クリンカアッシュなどが挙げられる。フライアッシュやクリンカアッシュは、SiO2及びAl23を豊富に含むため、シリカアルミナ源として好適である。ただし、フライアッシュ及びクリンカアッシュは、Fe23の含有率が低い傾向があるため、これのみを用いて本実施形態の補強用ガラス繊維を作製することは難しい。フライアッシュやクリンカアッシュを用いる場合は、適量の酸化鉄源と配合することにより、低コストで本実施形態の補強用ガラス繊維を作製することができる。なお、石炭ガス化複合発電(IGCC:Integrated coal Gasification Combined Cycle)の廃棄物として産生される石炭ガス化スラグ(CGS:Coal Gasification Slag)は、フライアッシュとほとんど同じ化学組成を有する。そのため、石炭ガス化スラグもシリカアルミナ源として用いることができる。石炭ガス化スラグは、顆粒状であるため、ハンドリング性に優れるという利点がある。
金属精錬廃棄物としては、鉄鋼スラグ、銅スラグなどが挙げられる。鉄鋼スラグは、CaOの含有率が高いため、酸化カルシウム源として利用できる。鉄鋼スラグとしては、高炉スラグ、転炉スラグ、還元スラグなどが挙げられる。銅スラグは、Fe23の含有率が高いため、酸化鉄源として利用できる。
以上のとおり、シリカアルミナ源としてフライアッシュ、クリンカアッシュ、又は石炭ガス化スラグを用いることができる。酸化鉄源として銅スラグを用いることができる。酸化カルシウム源として鉄鋼スラグを用いることができる。すなわち、シリカアルミナ源、酸化鉄源及び酸化カルシウム源として産業廃棄物を利用できる。
上記で例示した以外に、玄武岩、安山岩に代表される火山岩もシリカアルミナ源として利用できる。
以下の表1~3は、上述したシリカアルミナ源、酸化鉄源及び酸化カルシウム源の組成の具体例を示している。表1及び2のFA(1)~FA(9)及びFA(12)は、日本国内の火力発電所より排出されたフライアッシュの組成の例である。表2のFA(10)は、日本国内の銅精錬所で産生した銅スラグの組成の例である。FA(11)は、日本国内の石炭ガス化複合発電所より排出された石炭ガス化スラグの組成の例である。FA(13)は、日本国内の製鉄所で産生した高炉スラグの組成の例である。FA(14)は、日本国内の製鉄所で産生した還元スラグの組成の例である。表3のBA(1)及びBA(2)は、秋田県及び福井県で採取した、特異的に酸化鉄の含有率が高い玄武岩系岩石(火山岩)の組成の例である。なお、表1~3の組成は、蛍光X線分析法によって測定された値である。
Figure 2023095934000002
Figure 2023095934000003
Figure 2023095934000004
本実施形態の作製方法では、原料を溶融して溶融物を形成した後に、溶融物を固化させることなく、紡糸に供することとしてもよい。この方法はダイレクトメルト法と呼ばれている。また、本実施形態の作製方法では、上述の原料から溶融物を形成するステップが、溶融した原料を固化させて固化体を得るステップと、その固化体を溶融して溶融物を形成するステップと、を具備する方法としてもよい。中間原料となる固化体がマーブルと呼ばれることから、この方法はマーブルメルト法として知られている。
原料や固化体の溶融は、例えば、溶融炉で行われる。本実施形態の作製方法において、溶融物から補強用ガラス繊維を紡糸するステップでは、溶融炉の底部に取り付けたブッシングを用いて補強用ガラス繊維が連続して作製されてもよい。
図1は、補強用ガラス繊維を作製するための紡糸装置の一例を示している。図1に示すように、溶融炉内で溶融された溶融物を、底部に多数(例えば2400本)のノズルを有するブッシング10から引き出して、多数の補強用ガラス繊維11を形成する。補強用ガラス繊維11には、冷却水が吹きかけられた後、バインダアプリケータ12の塗布ローラ13によりバインダ(集束剤)14が塗布されてもよい。バインダ14が塗布された多数の補強用ガラス繊維11は、補強パッド15により、各々が例えば800本程度の補強用ガラス繊維11からなるストランド16として集束されてもよい。各ストランド16は、トラバースフィンガ17で綾振りされつつコレット18に嵌められた円筒チューブ19に巻き取られてもよい。ストランド16が巻き取られた円筒チューブ19をコレット18から外すと、ケーキ(ストランド巻体)20が得られる。なお、ストランドの詳細については後述する。
補強用ガラス繊維は、例えば、長繊維である。場合によっては、補強用ガラス繊維は、短繊維であってもよい。
補強用ガラス繊維の直径は、15μm以下、さらに10μm以下であり得る。補強用ガラス繊維を多数束ねたストランドを備えた補強用コードにおいて、直径がより細い補強用ガラス繊維の使用は、ストランドを相対的にしなやかに曲がりやすくする。このため、直径がより細い補強用ガラス繊維は、コードの屈曲強度を向上させることができる。また、同じ強度で比較するとコードの断面積を減らすことができる。補強用ガラス繊維の直径の下限は、特に制限されないが、例えば2μmであり、3μmであってもよい。ただし、補強用ガラス繊維は、直径が15μmを超える程度、さらには20μm以上に至る程度に太くてもよい。
補強用ガラス繊維の直径のばらつきは、±3μm以下、さらに±2μm以下であり得る。ばらつきが大きく直径が揃っていない補強用ガラス繊維は、外形が波打って応力が生じやすくなり、屈曲強度が低下する。したがって、補強用ガラス繊維の直径のばらつきは小さいほうがよい。ここで、補強用ガラス繊維の直径のばらつきは、補強用ガラス繊維の直径を任意の50箇所で測定し、その単純平均と最大値との差分(+により表示)及び単純平均と最小値との差分(-による表示)により定める。なお、補強用ガラス繊維の直径は上記単純平均により定めることができる。
補強用ガラス繊維の断面は、例えば略円形であり、その真円度は0.7以上であり得る。ここで、真円度は、補強用ガラス繊維の断面積S、断面の周の長さをLとしたときに、(4πS/L2)で定義される値である。この値が1の断面は真円である。真円度は、具体的には、走査型電子顕微鏡を用いて測定することができる。この際には、画像処理ソフト、例えばWayne RasbandによるImage Jを使用すると便利である。
補強用ガラス繊維の密度は、特に限定されず、例えば2.4~2.8g/cm3である。
本実施形態の補強用ガラス繊維は、非晶性が高いため、結晶相と非晶質相との界面の剥離に起因する強度低下がほとんど生じず、高い強度を有する。補強用ガラス繊維において、非晶性の尺度である非晶化度は、その組成にもよるが、通常90%以上であり、95%以上であってもよい。非晶化度は、X線回折(XRD)スペクトルにより、下記式(1)により算出できる。
非晶化度(%)=[Ia/(Ic+Ia)]×100 (1)
(式(1)において、Icは、補強用ガラス繊維についてX線回折分析を行ったときの結晶質ピークの散乱強度の積分値の和であり、Iaは、非晶質ハローの散乱強度の積分値の和である。)
補強用ガラス繊維は、例えば、実質的に非晶質相のみからなる。補強用ガラス繊維が実質的に非晶質相のみからなるとは、X線回折スペクトルにおいて、非晶質ハローのみが観測され、結晶相のピークが観測されないことを意味する。
本実施形態の補強用ガラス繊維は、例えば、優れた機械的特性を有する。一例として、補強用ガラス繊維の弾性率(ヤング率)Eは、例えば80MPa以上であり、好ましくは85MPa以上であり、より好ましくは90MPa以上である。弾性率が85MPa以上、特に90MPa以上、である補強用ガラス繊維は、ゴム製品やプラスチック製品の補強に特に適している。補強用ガラス繊維の弾性率Eの上限値は、特に限定されず、例えば100MPaであってもよい。補強用ガラス繊維の弾性率E(MPa)は、通常の超音波法により、試料中を伝播する弾性波の縦波速度vl(m/s)と横波速度vt(m/s)とを測定し、別途アルキメデス法により測定した試料の密度ρ(kg/m3)に基づいて、下記式により算出することができる。なお、超音波法やアルキメデス法に用いる試料の具体例としては、補強用ガラス繊維と同じ組成を有する板状の試料ガラスが挙げられる。
E=10-6・ρ・vt 2・(vl 2-4/3・vt 2)/(vl 2-vt 2
補強用ガラス繊維の引張強度は、例えば2500N/mm2以上であり、好ましくは3000N/mm2以上であり、より好ましくは3500N/mm2以上であり、さらに好ましくは4000N/mm2以上であり、特に好ましくは4500N/mm2以上であり、とりわけ好ましくは高強度/高弾性ガラス(例えば、AGY社のS2ガラス)の引張強度を超える4900N/mm2以上である。補強用ガラス繊維の引張強度の上限値は、特に限定されず、例えば10000N/mm2であり、5000N/mm2であってもよい。補強用ガラス繊維の引張強度は、JIS R1657:2003の規定に準拠した方法で測定できる。
補強用ガラス繊維の引張弾性率は、例えば0.8×105kN/mm2以上であり、好ましくは高強度/高弾性ガラス(例えば、日本板硝子株式会社のMAGNAVI(登録商標))の引張弾性率を超える1.0×105kN/mm2以上である。補強用ガラス繊維の引張弾性率は、JIS R1657:2003に定められたA法に準拠した方法で測定できる。
本実施形態の補強用ガラス繊維は、優れた熱安定性を有する傾向もある。補強用ガラス繊維のガラス転移点Tgは、例えば700℃以上であり、好ましくは高強度/高弾性ガラス(例えば、AGY社のS2ガラス、日東紡績株式会社のTガラス及び日本板硝子株式会社のUガラス)のガラス転移点を超える850℃以上であり、より好ましくは900℃以上であり、さらに好ましくは1000℃以上である。補強用ガラス繊維のガラス転移点Tgの上限値は、特に限定されず、例えば1500℃である。ガラス転移点Tgは、市販の示差熱膨張計を用いて測定できる。
本実施形態の補強用ガラス繊維は、優れた化学的耐久性(耐アルカリ性や耐酸性)を有する傾向もある。耐アルカリ性は、例えば、後述する方法によって測定された質量減少率ΔWBASEから判断することができる。補強用ガラス繊維の質量減少率ΔWBASEは、例えば0.30質量%以下であり、好ましくは0.25質量%以下であり、さらに好ましくは0.20質量%以下である。質量減少率ΔWBASEが低く、耐アルカリ性に優れる補強用ガラス繊維は、コンクリート製品やプラスチック製品の補強に適している。特に、補強用ガラス繊維がコンクリート製品の補強に用いられる場合、補強用ガラス繊維には、高い耐アルカリ性が求められる傾向がある。
質量減少率ΔWBASEは、日本光学硝子工業会規格の「光学ガラスの化学的耐久性の測定方法(粉末法)」(JOGIS 06)に準拠した以下の方法により測定できる。まず、補強用ガラス繊維(又は補強用ガラス繊維と同じ組成を有する板状の試料ガラス)を粉砕する。粉砕した試料について、試験用ふるい600μmを通過し、かつ試験用ふるい425μmにとどまる大きさの試料を分別し、測定試料とする。なお、試験用ふるいは、JIS Z8801に規定されるものである。次に、測定試料を秤量し、温度99℃、濃度10質量%の水酸化ナトリウム水溶液に1時間浸漬させる。水酸化ナトリウム水溶液は、測定試料に対して十分な量、例えば5gの測定試料に対して80mL、を用いる。浸漬後、傾斜法(デカンテーション)により上澄みを除去し、残留試料を乾固し、その質量を測定する。水酸化ナトリウム水溶液に浸漬させる前の測定試料の質量に対する、測定試料の質量と残留試料の質量との差の比率を算出し、得られた算出値を質量減少率ΔWBASEとみなすことができる。
耐酸性は、例えば、質量減少率ΔWACIDから判断することができる。補強用ガラス繊維の質量減少率ΔWACIDは、例えば1.50質量%以下であり、好ましくは1.00質量%以下であり、より好ましくは0.50質量%以下であり、さらに好ましくは0.20質量%以下である。質量減少率ΔWACIDが低く、耐酸性に優れる補強用ガラス繊維は、プラスチック製品の補強に適している。質量減少率ΔWACIDは、水酸化ナトリウム水溶液に代えて、温度99℃、濃度21.2質量%の硫酸水溶液を用いることを除き、質量減少率ΔWBASEと同じ方法によって測定することができる。
本実施形態の補強用ガラス繊維は、種々の製品の補強に用いることができる。一例として、補強用ガラス繊維は、コンクリート製品の補強に用いられてもよく、ゴム製品の補強に用いられてもよく、プラスチック製品の補強に用いられてもよい。
(コンクリート製品の補強)
上述のとおり、補強用ガラス繊維は、コンクリート製品の補強に用いられてもよい。本発明は、その別の側面から、本実施形態の補強用ガラス繊維を備えるコンクリート製品を提供する。好ましい一形態では、コンクリート製品は、セメント組成物と、セメント組成物に埋め込まれた補強用ガラス繊維とを有する。別の好ましい一形態では、コンクリート製品は、本体部と、当該本体部の表面を被覆する被覆部材とを備え、当該被覆部材が補強用ガラス繊維を含んでいる。被覆部材は、例えば、樹脂やセメントなどの材料をさらに含んでいてもよい。
補強用ガラス繊維は、コンクリート製品の種類などに応じて適宜加工されていてもよい。詳細には、コンクリート製品の補強には、チョップドストランド、繊維シート、ロッドなどを用いることができる。本発明は、その別の側面から、本実施形態の補強用ガラス繊維を含むチョップドストランド、本実施形態の補強用ガラス繊維を含む繊維シート、本実施形態の補強用ガラス繊維を含むロッドなどを提供する。
[チョップドストランド]
補強用ガラス繊維を含むチョップドストランドは、例えば、補強用ガラス繊維が束ねられてなるストランドを切断することによって作製できる。ストランドに含まれる補強用ガラス繊維の数は、特に限定されず、例えば100~10,000本、典型的には400~4,000本である。ストランドは、補強用ガラス繊維を紡糸する際に、ストランドの形成に一般的に用いられる集束剤、例えば、エラストマー系集束剤により、紡糸した所定数の補強用ガラス繊維を束ねることにより形成できる。形成したストランドは、コレットなどに巻き取り、乾燥などの所定の処理を行ってもよい。ストランドは、図1を参照して説明した方法によって作製することができる。
図2は、チョップドストランドを作製するための装置の一例を示す図である。図2に示すように、例えば、図1の紡糸装置で作製したケーキ20をクリル21に収容し、ケーキ20からストランド16を引き出して、集束ガイド22によりストランド束(ロービング)23として束ねる。このストランド束23に、噴霧装置24より水又は処理液を噴霧する。さらに、ストランド束23を切断装置25の回転刃26で切断することによって、チョップドストランド27が得られる。なお、チョップドストランドは、図1において、ストランド16をケーキ20のように巻き取ることなく、直接、切断装置25の回転刃(チョッパー)26にて切断することにより作製されてもよい(ダイレクトチョッパー)。また、チョップドストランドは、1本のストランド16を切断することによって作製されてもよい。本明細書では、ストランド束から形成されたチョップドストランドを「集束チョップドストランド」と呼ぶことがある。1本のストランドから形成されたチョップドストランドを「非集束チョップドストランド」と呼ぶことがある。
チョップドストランドは、例えば、セメント組成物と混合して使用することができる。一例として、非集束チョップドストランドとセメント組成物の混合物は、コンクリート製品の本体部の表面に吹き付けられることによって、本体部の表面を被覆する被覆部材を形成することができる。この被覆部材によれば、本体部の表面からコンクリート材料が剥がれ落ちることを抑制できる。一方、集束チョップドストランドとセメント組成物の混合物は、コンクリート製品全体の補強に適している。この混合物における集束チョップドストランドは、土塀やモルタルに利用される藁と同様の役割を担う。
チョップドストランドは、比表面積が大きく、セメントと接触する面積が大きい。そのため、コンクリート製品の補強に用いられるチョップドストランドにおいて、補強用ガラス繊維は、優れた耐アルカリ性を有していることが特に好ましい。この補強用ガラス繊維は、実用上十分な弾性率を有している必要もある。
[繊維シート]
補強用ガラス繊維を含む繊維シートは、織布であってもよく、不織布であってもよい。織布としては、例えば、経糸及び/又は緯糸としてロービングやヤーンを用いたクロスが挙げられる。不織布としては、例えば、チョップドストランドから形成されたチョップドストランドマットが挙げられる。不織布は、短繊維から形成されていてもよい。
繊維シートは、例えば、セメントモルタルや、エポキシ樹脂などの樹脂を含浸させて使用できる。繊維シートは、その表面が樹脂で構成された層(樹脂層)によって被覆された状態で使用してもよい。本明細書では、セメントモルタルや樹脂を含浸させた繊維シートや、その表面が樹脂層によって被覆された繊維シートを保護シートと呼ぶことがある。保護シートの製造には、ハンドレイアップ成形法、SMC(Sheet Molding Compound)成形法、BMC(Bulk Molding Compound)成形法などの公知の方法を利用することができる。
<コンクリート製品>
図3A及び3Bは、上記の保護シートを含むコンクリート製品の一例を示している。詳細には、図3A及び3Bは、コンクリート製品として、シールド工法によるトンネルの覆工に用いられるセグメント31を示している。セグメント31は、円弧板形状を有し、シールドマシンによって掘削された掘削穴内にて、互いに接合されることにより円筒状の覆工体を形成することができる。詳細には、複数のセグメント31が、周方向に互いに接合することによってリングを形成できる。複数のセグメント31が、当該リングの軸方向に互いに接合することによって覆工体を形成できる。
セグメント31の周方向への接合端面31Aには、継手板33が設けられている。複数のセグメント31について、継手板33を互いに締結させ、固定することによって、複数のセグメント31を周方向に接合することができる。上記のリングの軸方向におけるセグメント31の一方の接合端面31Bには、接合端面31Bから突出した接合棒(図示せず)が設けられている。他方の接合端面31Bには、上記の接合棒を係合する接合具32が設けられている。接合具32には、接合棒が挿入される挿入穴Hが形成されている。
図3Bは、接合端面31B付近におけるセグメント31の拡大断面図である。図3Bに示すとおり、セグメント31は、接合端面31Bに配置された保護シート41をさらに備えている。言い換えると、セグメント31において、保護シート41の表面が接合端面31Bを構成している。保護シート41は、セグメント31の本体部の表面を被覆する被覆部材として機能する。複数のセグメント31を互いに接合する場合には、これらの接合端面31B、すなわち保護シート41、が互いに接触する。
図3A及び3Bに示すとおり、セグメント31は、複数のセグメント31を互いに接合する場合に、これらのセグメント31をシールするシール部材44をさらに備えていてもよい。
シールド工法において、シールドマシンは、その先端部のカッターによって地盤を掘削しながら、ジャッキのスプレッダをセグメント31で構成された覆工体に接触させた状態で、ジャッキのロッドを伸張させる。これにより、シールドマシンは、ジャッキを通じて覆工体から反力を得ることができ、この反力により推進することができる。シールドマシンは、複数のジャッキを備えているため、覆工体には、複数のスプレッダが接触している。そのため、複数のスプレッダからの覆工体への押圧力が覆工体の外側に向かって作用した場合、覆工体において隣接する2つのセグメント31の間に応力が生じることがある。保護シート41は、この応力を緩衝させることによって、接合端面31B付近でクラックが生じることを抑制することができる。
[ロッド]
補強用ガラス繊維を含むロッドは、例えば、補強用ガラス繊維が束ねられてなる。一例として、ロッドは、補強用ガラス繊維を組紐状に編むことによって作製される。ロッドにおいて、束ねられた補強用ガラス繊維は、セメントや、エポキシ樹脂などの樹脂によって固められていてもよい。ロッドは、例えば、鉄筋の代替として利用することができる。
<コンクリート製品>
図4は、上記のロッドを含むコンクリート製品の一例を示している。詳細には、図4は、コンクリート製品として、電柱50を示している。電柱50は、その一部が地中60に埋め込まれており、上方に向かって延びている。電柱50は、その内部に充填されたモルタルなどを含むセメント組成物52と、セメント組成物52内に埋め込まれた複数のロッド55とを備えている。ロッド55は、電柱50の底部から、電柱50が延びる方向に沿って、互いに平行に配置されている。電柱50の補強に用いられるロッド55において、補強用ガラス繊維は、優れた弾性率を有していることが特に好ましい。この補強用ガラス繊維は、実用上十分な耐アルカリ性を有している必要もある。
図4に示した電柱50は、例えば、内部が空洞に形成された電柱に対して、開口などを通じてロッド55を電柱の内部に挿入し、さらに、セメント組成物52を電柱の内部に充填することによって作製できる。この作製方法の詳細は、例えば、特開2006-2543号公報に記載されている。なお、特開2006-2543号公報では、アラミド繊維で形成されたアラミドロッドが用いられている。本実施形態の補強用ガラス繊維を含むロッド55は、アラミドロッドに比べて、耐アルカリ性に優れている傾向がある。
[その他]
補強用ガラス繊維で補強されるコンクリート製品の例は、上述したものに限定されない。補強用ガラス繊維は、種々のコンクリート製品の骨材、補強材などに用いることができる。補強用ガラス繊維は、良好な機械的特性及び熱安定性を有する傾向もあるため、耐熱性が求められるコンクリート製品(例えば、発電所、溶融炉、コークス炉などに使用されるコンクリート製品)、あるいは耐火性が求められる建材(例えば、建築物の耐火構造、耐火被覆材など)に用いることもできる。
さらに、補強用ガラス繊維は、上記のチョップドストランド、繊維シート、ロッド以外の他の形態、例えばストランド、ロービング、ヤーン、コードなど、に加工して用いることもできる。なお、ヤーンは、1又は2以上のストランドを撚ることによって得られる。
(ゴム製品の補強)
上述のとおり、補強用ガラス繊維は、ゴム製品の補強に用いられてもよい。本発明は、その別の側面から、本実施形態の補強用ガラス繊維を備えるゴム製品を提供する。一例として、ゴム製品は、ゴム組成物(マトリクスゴム)と、ゴム組成物に埋め込まれた補強用ガラス繊維とを有する。
補強用ガラス繊維は、ゴム製品の種類などに応じて適宜加工されていてもよい。詳細には、ゴム製品の補強には、コードなどを用いることができる。本発明は、その別の側面から、本実施形態の補強用ガラス繊維を含むコードを提供する。
[コード]
コード(ゴム補強用コード)は、上記の補強用ガラス繊維(ゴム補強用繊維)が束ねられてなるストランドを備えている。ストランドに含まれる補強用ガラス繊維の数は、特に限定されず、例えば100~2000本、典型的には200~600本である。ストランドは、補強用ガラス繊維を紡糸する際に、ストランドの形成に一般的に用いられる集束剤、例えば、エラストマー系集束剤により、紡糸した所定数の補強用ガラス繊維を束ねることにより形成できる。形成したストランドは、コレットなどに巻き取り、乾燥などの所定の処理を行ってもよい。
コードでは、複数のストランドが束ねられて、ストランド集合体が形成されることが好ましい。ただし、コードを形成するストランドは1本であってもよい。ストランド又はストランド集合体は、200本~36000本の補強用ガラス繊維を含むことが好ましく、200本~7800本の補強用ガラス繊維を含むことがより好ましい。また、ストランド又はストランド集合体の線径は、10テックス(tex)~8350テックスであることが好ましく、68テックス~1430テックスであることがより好ましい。
コードでは、ストランドが、レゾルシン-ホルムアルデヒド縮合物および加硫剤から選ばれる少なくとも1種と、ラテックスとを含む処理液Aから形成された第1の被覆層により被覆されていてもよい。ストランドを第1の被覆層で被覆することにより、コードと、コードを埋め込むマトリクスゴムとの接着性を向上できる。第1の被覆層は、1本のストランドを被覆していてもよいし、2以上のストランドが束ねられたストランド集合体を被覆していてもよい。
ラテックスの種類は、特に限定されないが、例えば、ビニルピリジン-スチレン-ブタジエンターポリマー(VP)ラテックス、クロロスルホン化ポリスチレン(CSM)ラテックス、アクリロニトリル-ブタジエンコポリマー(NBR)ラテックス及びニトリル基含有高飽和重合体ラテックスから選ばれる少なくとも1種であってもよい。これらの材料を用いることにより、補強用コードの耐熱性や耐水性を向上できる。なお、ニトリル基含有高飽和重合体としては、NBRを水素化した材料(H-NBR)などのアクリロニトリルを構成単位として含むコポリマーやターポリマーを水素化した材料、又は、ブタジエン-エチレン-アクリロニトリルターポリマーなどのアクリロニトリルと飽和炭化水素とを構成単位として含む材料などが挙げられる。
レゾルシン-ホルムアルデヒド縮合物(RF)は、特に限定されず、ノボラックタイプ、レゾールタイプ、又は、これらの混合タイプなどを用いてもよい。RFにおけるレゾルシノール(R)とホルムアルデヒド(F)とのモル比は、R:F=1:1~3が好ましい。RFは、一般に固形分を含む液体として市販されているが、固形分の含有率が5重量%~10重量%程度の範囲のものを好適に使用できる。
加硫剤は、特に限定されず、例えば、マレイミド化合物及び有機ジイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。処理液Aが加硫剤を含む場合、処理液Aにおける加硫剤の含有量は、ラテックスの固形分100重量部に対して、5~100重量部の範囲であってもよく、好ましくは20~75重量部の範囲である。この場合、コードの屈曲性と、マトリクスゴムに対する接着性とのバランスをより良好にできる。
有機ジイソシアネート化合物としては、特に限定されないが、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)、トルエンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、メチレンビス(フェニルイソシアネート)などを用いてもよい。
処理液Aは、これら有機ジイソシアネート化合物を1又は2以上の種類含んでいてもよく、トルエンジイソシアネートやメチレンビス(フェニルイソシアネート)のように、置換基に関する異性体が存在する物質については、当該異性体同士の混合物であってもよい。また、有機ジイソシアネート化合物は、そのイソシアネート基をフェノール類又はラクタム類により保護した状態で用いてもよい。
マレイミド化合物としては、特に限定されないが、例えば、ビスマレイミド、フェニルマレイミド、ジフェニルメタン-4,4’-ビスマレイミドなどを用いればよい。
処理液Aにおける固形分の含有率は、10重量%~40重量%の範囲が好ましく、25重量%~35重量%の範囲がより好ましい。当該含有率が過小になると、第1の被覆層の形成が不十分となり、過大になると、処理液Aのストランドへの塗布量の制御が難しく、第1の被覆層の厚さが不均一になりやすい。
処理液Aは、必要に応じ、pHを調整するための塩基類、例えばアンモニアなどを含んでいてもよく、その他、安定剤、老化防止剤などを含んでいてもよい。処理液Aは、カーボンブラックなどの充填剤を含んでいてもよく、この場合、マトリクスゴムへの接着性により優れるコードとすることができる。
ストランドへの第1の被覆の形成には、コードの作製に一般的に用いられる方法を応用すればよい。例えば、ストランド(集合体を含む)を、処理液Aが収容された被覆浴に連続的に浸漬させ、被覆浴からストランドを引き上げた後に過剰な処理液を除去し、必要により乾燥すればよい。第1の被覆が形成されたストランドは、そのままコードとしてもよいし、必要に応じて、後述する撚り、第2の被覆層形成などの各処理を加えてもよい。
第1の被覆層は、ストランドの重量に対して、10重量%~30重量%程度に相当する量形成されていればよい。
コードは、第1の被覆層により被覆されたストランドを下撚りして形成した糸を、2以上束ねて、さらに上撚りした構造を有していてもよい。この場合、強度がより向上し、耐屈曲疲労特性により優れるコードとすることができる。下撚りの回数は、長さ方向に2.54cm(1インチ)あたり0.5回~4回程度、好ましくは1.2回~3回程度であってもよい。下撚りにより形成した糸は、2本~20本程度、好ましくは6本~15本程度束ねた後に、長さ方向に2.54cmあたり0.5回~4回、好ましくは1回~2.8回程度上撚りされていてもよい。
コードは、ゴムを含む第2の被覆層により被覆されていてもよい。この場合、マトリクスゴムとの接着性がより向上したコードとすることができる。
ゴムの種類は、特に限定されず、マトリクスゴムの種類などに応じて適宜選択すればよく、例えば、マトリクスゴムがニトリル基含有高飽和重合体である場合、接着性により優れることから、第2の被覆層が上記ゴムとしてCSMを含むことが好ましい。また、例えば、マトリクスゴムがニトリル基含有高飽和重合体にポリメタクリル酸亜鉛(ZDMA)を分散させた混合ゴムである場合、接着性により優れることから、第2の被覆層が上記ゴムとして、ニトリル基含有高飽和共重合体、又は、マトリクスゴムと同じ組成の混合ゴムを含むことが好ましい。
第2の被覆層は、例えば、ストランド(集合体を含む)、第1の被覆層により被覆されたストランド(集合体を含む)、又はストランドにさらに撚りが加えられた糸を、ゴム又はゴム前駆体が溶解した処理液Bに含浸させた後に、乾燥することによって形成してもよい。CSMやニトリル基含有高飽和重合体は、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、トリクロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸エチルなどのエステル類に溶解するため、処理液Bはこれらの有機物質を溶媒として含んでいてもよい。
処理液Bは、加硫剤を含んでいてもよく、加硫剤としては、例えば、上述したマレイミド化合物、有機ジイソシアネート化合物の他に、硫黄;ジクミルペルオキシド、1,3-ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼンなどの有機過酸化物;p-ジニトロナフタレン、p-ジニトロソベンゼンなどの芳香族ニトロソ化合物などを用いてもよい。処理液Bは、必要に応じて、無機充填剤、老化防止剤、加硫助剤、可塑剤などを含んでいてもよい。
処理液Bにおける溶媒以外の物質(ゴム、加硫剤など)の含有率は、当該物質の種類により適宜設定すればよいが、3重量%~25重量%程度の範囲、好ましくは5重量%~15重量%程度の範囲であれば、第2の被覆層を容易に形成できる。上記溶媒以外の物質におけるゴム又はゴム前駆体の含有率は、20重量%~60重量%程度が好ましく、処理液Bが加硫剤を含む場合、上記溶媒以外の物質における加硫剤の含有率は0.5重量%~30重量%程度の範囲が好ましい。
第2の被覆層を形成する際には、例えば、ストランド(集合体を含む)又は撚りが加えられた糸の表面に、ストランドの重量に対して、溶媒以外の物質の量に換算して1重量%~15重量%程度、好ましくは2重量%~6重量%程度、処理液Bを付着させればよい。
<ゴム製品>
上記のコードで補強されたゴム製品の例には、ゴムベルト、ゴムタイヤ、ゴムホースが含まれる。ゴムベルトの一例は伝動ベルトである。伝動ベルトの例には、噛み合い伝動ベルト、摩擦伝動ベルトが含まれる。噛み合い伝動ベルトの一例は、自動車用タイミングベルトに代表される歯付きベルトである。摩擦伝動ベルトの例には、平ベルト、丸ベルト、Vベルト、Vリブドベルトが含まれる。ゴムタイヤは、典型的には、自動車用タイヤ又は自転車用タイヤである。ゴム製品の補強に用いられるコードにおいて、補強用ガラス繊維は、優れた弾性率を有していることが特に好ましい。
図5は、コードを含むゴムベルトの構造の一例を示している。ゴムベルト1は、いわゆる歯付きベルトの形状を有し、マトリクスゴム3と、マトリクスゴム3内に埋め込まれた複数のコード2とを備えている。コード2は、ゴムベルト1の長手方向、言い換えると「歯」となる突起部分4が横断するベルト幅方向に直交する方向に沿って、互いに平行に配置されている。突起部分4が形成されたゴムベルト1の表面には、摩耗を抑制する等の目的で歯布5が貼り付けられている。
[その他]
補強用ガラス繊維は、上記のコード以外の他の形態に加工して用いることもできる。他の形態としては、コンクリート製品について上述した形態などが挙げられる。
(プラスチック製品の補強)
上述のとおり、補強用ガラス繊維は、プラスチック製品(樹脂製品)の補強に用いられてもよい。本発明は、その別の側面から、本実施形態の補強用ガラス繊維を備えるプラスチック製品を提供する。好ましい一形態では、プラスチック製品は、樹脂組成物(マトリクス樹脂)と、樹脂組成物に埋め込まれた補強用ガラス繊維とを有する。別の好ましい一形態では、プラスチック製品は、本体部と、当該本体部の表面を被覆する被覆部材とを備え、当該被覆部材が補強用ガラス繊維を含んでいる。被覆部材は、例えば、樹脂などの材料をさらに含んでいてもよい。補強用ガラス繊維で補強されたプラスチック製品は、FRP(Fiber Reinforced Plastic)と呼ばれることがある。
マトリクス樹脂は、熱硬化性樹脂を含んでいてもよく、熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂などの変性エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂を含む樹脂製品は、射出成形、スタンパブル成形などによって容易に作製できる。
補強用ガラス繊維は、プラスチック製品の種類などに応じて適宜加工されていてもよい。詳細には、プラスチック製品の補強には、チョップドストランド、繊維シートなどを用いることができる。補強用ガラス繊維は、チョップドストランド、繊維シート以外の他の形態に加工して用いることもできる。他の形態としては、コンクリート製品について上述した形態などが挙げられる。
<プラスチック製品>
本実施形態の補強用ガラス繊維で補強されたプラスチック製品は、例えば、スポーツ用品、自動車などの車両、船舶、建材、航空機、浄化槽、浴槽、風力発電用のブレード、角材、ポール、タンク、パイプ、下水管(排水管)、燃料タンク、家電製品などの用途に利用できる。
スポーツ用品用途に利用されるプラスチック製品としては、釣り糸、釣竿、ゴルフクラブシャフト、スキー、カヌー、テニス・バトミントンのラケットやストリングなどが挙げられる。車両用途に利用されるプラスチック製品としては、車両本体、ランプハウジング、フロント・エンドパネル、バンパー、座席ハウジング、駆動軸などが挙げられる。船舶用途に利用されるプラスチック製品としては、船舶本体、マスト、甲板などが挙げられる。航空機に利用されるプラスチック製品としては、一次構造材、二次構造材、内装材、座席、付属部材などが挙げられる。家電製品に利用されるプラスチック製品としては、基板、パネル、スイッチギア、絶縁機、家電製品の本体などが挙げられる。
自然環境下で利用されるプラスチック製品、例えば排水管など、において、補強用ガラス繊維は、酸性雨などの酸性液体と接触することがある。そのため、この補強用ガラス繊維は、優れた耐酸性を有していることが特に好ましい。この補強用ガラス繊維は、実用上十分な弾性率を有している必要もある。
なお、本実施形態の補強用ガラス繊維は、車両のマフラーやエンジン部品、溶鉱炉などに用いられる高温断熱材に利用することもできる。本実施形態の補強用ガラス繊維は、鉛蓄電池などの電池に用いられるセパレータに利用することもできる。
なお、本発明は、その別の側面から、
SiO2とAl23との含有率の合計が40~70質量%であり、
Al23/(SiO2+Al23)により算出される質量比が0.15~0.40であり、
Fe23の含有率が16~25質量%であり、
CaOの含有率が5~30質量%である、ゴム補強用繊維を提供する。
本発明の一形態では、上記のゴム補強用繊維が長繊維である。
本発明の一形態では、上記のゴム補強用繊維の引張強度が4500N/mm2以上である。
本発明の一形態では、上記のゴム補強用繊維の引張弾性率が1.0×105kN/mm2以上である。
本発明の一形態では、上記のゴム補強用繊維のガラス転移点Tgが850℃以上である。
本発明は、その別の側面から、
上記のゴム補強用繊維が束ねられてなるストランドを備えた、ゴム補強用コードを提供する。
本発明は、その別の側面から、
上記のゴム補強用コードで補強された、ゴム製品を提供する。
以下、実施例及び比較例により、本発明をさらに詳細に説明する。
表4及び5に示す組成となるように、ガラス原料を秤量し、均質な状態となるように混合して、原料混合バッチを作製した。ガラス原料としては、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、三酸化二鉄などを使用した。
次に、作製した原料混合バッチを、電気炉を用いて1500~1600℃で溶融させ、組成が均一になるように約4時間溶融状態を維持した。その後、得られた溶融ガラス組成物(ガラス溶融物)の一部を鉄板上に流し出し、電気炉中で室温まで徐冷して、評価に使用する板状の試料ガラスを得た。
(弾性率)
試料ガラスを切断し、各面を鏡面研磨して25×25×5mmの板状サンプルを作製し、アルキメデス法により各サンプルの密度ρを測定した。また、弾性率は、JIS R1602-1995の超音波パルス法に準じて測定した。具体的には、前述の密度測定に用いたサンプルを用い、超音波パルスが伝播する音速を縦波と横波について測定し、前述の密度とともに上述の数式に代入して、弾性率Eを算出した。なお、伝播速度は、オリンパス株式会社製の超音波厚さ計MODEL 25DL PLUSを用い、周波数20kHzの超音波パルスがサンプルの厚み方向に伝播し反射して戻ってくるまでの時間を、伝播距離(サンプルの厚さの2倍)で除して算出した。
(耐アルカリ性、耐酸性)
試料ガラスを粉砕し、上述した方法によって、質量減少率ΔWBASEと質量減少率ΔWACIDを測定した。
得られた各サンプルについて上述した特性を測定した。結果を表4及び5に示す。
Figure 2023095934000005
Figure 2023095934000006
表4及び5からわかるとおり、各実施例からは、弾性率が高く、耐アルカリ性及び耐酸性に優れたガラス組成物が得られた。このガラス組成物から形成された補強用ガラス繊維は、種々の製品、例えばコンクリート製品、の補強に適していると言える。
実施例1~3の結果からわかるとおり、SiO2の含有率を減少させ、CaOの含有率を増加させた場合、弾性率が増加するとともに、質量減少率ΔWBASEが低下し、耐アルカリ性が向上する傾向があった。一方、この場合には、質量減少率ΔWACIDが増加し、耐酸性が低下する傾向があった。
実施例2及び4の結果、並びに、実施例3及び5の結果からわかるとおり、Al23の含有率を減少させ、CaOの含有率を増加させた場合、耐アルカリ性及び耐酸性の両方が向上する傾向があった。この場合、弾性率については、変化がほとんどなかった。
実施例1、6及び7の結果からわかるとおり、SiO2の含有率を減少させ、Fe23の含有率を増加させた場合、弾性率が増加する傾向があった。この場合、耐アルカリ性については、組成との相関が明確には見られなかった。
比較例1及び2からわかるとおり、Fe23の含有率が12質量%を下回った場合、Al23/(Al23+SiO2)の値が小さいと弾性率が低く、Al23/(Al23+SiO2)の値が大きいと失透が発生した。比較例3及び4からわかるとおり、Fe23の含有率が25質量%を上回った場合、失透が発生した。なお、失透が発生した比較例2~4のガラス組成物により補強用ガラス繊維を作製することは難しい。
比較例5及び6は、それぞれ、汎用の耐化学薬品性ガラスであるCガラス及びEガラスのガラス組成物に相当する。これらのガラス組成物では、弾性率が低く、耐酸性と耐アルカリ性が両立しなかった。
本実施形態の補強用ガラス繊維は、種々の製品、例えばコンクリート製品、の補強に適している。

Claims (16)

  1. SiO2、Al23及びFe23を含み、
    Fe23の含有率が12~25質量%であり、
    コンクリート製品の補強、ゴム製品の補強、又はプラスチック製品の補強に用いられる、
    補強用ガラス繊維。
  2. CaOをさらに含み、
    CaOの含有率が5~30質量%である、請求項1に記載の補強用ガラス繊維。
  3. SiO2とAl23との含有率の合計が40~70質量%であり、
    Al23/(SiO2+Al23)により算出される質量比が0.10~0.40である、請求項1又は2に記載の補強用ガラス繊維。
  4. 引張強度が2500N/mm2以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の補強用ガラス繊維。
  5. 弾性率が80MPa以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の補強用ガラス繊維。
  6. ガラス転移点Tgが700℃以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の補強用ガラス繊維。
  7. 温度99℃、濃度10質量%の水酸化ナトリウム水溶液に1時間浸漬させた場合の質量減少率ΔWBASEが0.30質量%以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の補強用ガラス繊維。
  8. 温度99℃、濃度10質量%の水酸化ナトリウム水溶液に1時間浸漬させた場合の質量減少率ΔWBASEが0.25質量%以下である、請求項7に記載の補強用ガラス繊維。
  9. 弾性率が85MPa以上である、請求項1~8のいずれか1項に記載の補強用ガラス繊維。
  10. 弾性率が90MPa以上である、請求項9に記載の補強用ガラス繊維。
  11. CaOをさらに含み、
    CaOの含有率が18~30質量%であり、
    Fe23の含有率が15~25質量%である、請求項1~10のいずれか1項に記載の補強用ガラス繊維。
  12. CaOをさらに含み、
    CaOの含有率が15~25質量%であり、
    Fe23の含有率が15~23質量%である、請求項1~10のいずれか1項に記載の補強用ガラス繊維。
  13. 長繊維である、請求項1~12のいずれか1項に記載の補強用ガラス繊維。
  14. 請求項1~12のいずれか1項に記載の補強用ガラス繊維を含む、チョップドストランド。
  15. 請求項1~12のいずれか1項に記載の補強用ガラス繊維を含む、繊維シート。
  16. 請求項1~12のいずれか1項に記載の補強用ガラス繊維を含む、ロッド。
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