JP2023094001A - 紙用コーティング剤、該紙用コーティング剤を用いたコート紙、接着体及び食品用包材 - Google Patents

紙用コーティング剤、該紙用コーティング剤を用いたコート紙、接着体及び食品用包材 Download PDF

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Abstract

【課題】 塗工するだけで紙に対し耐油性、耐水性を与えることができ、また、ヒートシール性を兼ね備える紙用コーティング剤を提供し、また、プラスチックフィルムやプラスチックフィルムのラミネート紙の代替として使用可能な紙用コーティング剤を用いたコート紙、接着体及び食品用包材を提供する。【解決手段】 ガラス転移温度が30℃以下の、不飽和二重結合を有するカルボン酸と(メタ)アクリレートとの共重合(A)と、カルナバワックスと、水性溶剤を含有する紙用コーティング剤に関する。【選択図】 なし

Description

本発明は、紙に対し耐油性及び耐水性を与え、更にヒートシール性を有する紙用コーティング剤、該紙用コーティング剤を用いたコート紙、接着体及び食品用包材に関する。
近年、プラスチックゴミ問題が深刻化している。世界のプラスチックの生産量は4億トン/年を超えると言われ、その中でも包装容器セクターでのプラスチック生産量が多く、プラスチックゴミの原因になっている。プラスチックは半永久的に分解せず、そのゴミは自然環境下でマイクロプラスチック化し、生態系に深刻な悪影響を与えている。包装容器に使用されるプラスチックとしては、飲料のボトル等に使用されるポリエチレンテレフタレート(PET)、レジ袋、容器のラミネートに使用されるポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)が最も多く使用されている。特に海洋の汚染は著しく、そのプラスチックゴミは回収不可能と言われている。今後、プラスチックの使用を低減することが地球環境にとって必要である。
一方で、プラスチックゴミ対策として微生物によって完全に分解され得る生分解性プラスチックの応用が世界中で提案されている。生分解プラスチックは自然界で一定期間の内に分解されるが、分解されるまではやはりゴミであり、それらの使用量及び廃棄量が低減されない限りにおいては、即効性のある対策とは言えない(特許文献1、2参照)。
即効性のある対策手段として、プラスチックを紙に代替することが提案されているが、紙を包材として加工する際には、耐水性や耐油性の性能を得ることや、接着性を得ることを目的に、ポリエチレンやポリプロピレンからなるプラスチック製シーラントフィルムが多量にラミネートされて使用される。これらシーラントフィルムのラミネート量は、商品コンセプトによって様々だが、概ね20~50g/mであり、300g/mと多量になる場合もある。従って、プラスチックを紙に代替した包装容器においても、依然としてプラスチックの使用量は十分に低減されないという問題があり、早急に、直接的にプラスチックの使用を低減する手段が必要である。
また、ラミネートされたシーラントフィルムは、紙リサイクル時に紙リサイクル処理で使用するアルカリ溶液に溶解しないため物理的に除去する必要があり、リサイクル効率の低下につながる。
これらの問題を解決する手段として、紙にヒートシール性を有する塗工剤を塗布する方法が注目されている(特許文献3参照)。しかし、シーラントフィルムの代替として所望される耐油性、耐水性、ヒートシール性といった機能を兼ね備え、更に食品用包材として安全に使用することを可能とするため、紙用コーティング剤の性能の向上が急務である。
特開2012-148444号公報 特開2013-141763号公報 特開2003-213233号公報
本発明が解決しようとする課題は、塗工するだけで紙に対し耐油性、耐水性を与えることができ、また、ヒートシール性を兼ね備える紙用コーティング剤を提供し、また、プラスチックフィルムやプラスチックフィルムのラミネート紙の代替として使用可能な紙用コーティング剤を用いたコート紙、接着体及び食品用包材を提供することにある。
本発明は、ガラス転移温度が30℃以下の、不飽和二重結合を有するカルボン酸と(メタ)アクリレートとの共重合(A)と、カルナバワックスと、水性溶剤を含有する紙用コーティング剤に関する。
また、本発明は、上記紙用コーティング剤を用いたコート紙、接着体及び食品用包材を提供する。
本発明によれば、塗工するだけで紙に対し耐油性、耐水性を与えることができ、また、ヒートシール性を兼ね備える紙用コーティング剤を得られる。また本発明の紙用コーティング剤は人体に安全な材料で構成されるため、本発明の紙用コーティング剤を紙に塗布したコート紙、ヒートシールした接着体、これらを用いた包材は、食品用、日用品用、衛生用品を始めとした包材、容器、ストロー、ラッピング材等に安全に使用できる。本発明の紙用コーティング剤を用いることによりプラスチックフィルムやプラスチックフィルムのラミネート紙の代替として使用可能な紙用コーティング剤を用いたコート紙、接着体及び食品用包材を得られ、プラスチックの使用量を低減することができ、また、紙リサイクル時に分別せずにリサイクル可能であることからリサイクル効率が向上する。
(紙用コーティング剤)
本発明の紙用コーティング剤は、不飽和二重結合を有するカルボン酸と(メタ)アクリレートとの共重合体(A)と、カルナバワックスと、水性溶剤を少なくとも含有する。
尚、本発明において(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートの総称を表し、(メタ)アクリル酸はアクリル酸とメタクリル酸の総称を表す。また、本発明において「主成分」とは、全成分中において最も割合を多く占める成分をいうものとする。
<不飽和二重結合を有するカルボン酸と(メタ)アクリレートとの共重合体(A)>
本発明の共重合体(A)は、少なくとも不飽和二重結合を有するカルボン酸と(メタ)アクリレートとを共重合させた共重合体であり、酸価を有する共重合体であることから水分散性や水溶性が付与されたものである。
(メタ)アクリレートとしては特に限定はないが、中でも炭素原子数1~20のアルキル基を有する(メタ)アクリレートであることが好ましく、炭素原子数1~20のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを主成分とすることが好ましく、炭素原子数1~12のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを主成分とすることが好ましい。このような炭素原子数1~12のアルキル基を有するアクリレートとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸iso プロピル、アクリル酸アリル、アクリル酸n ブチル、アクリル酸iso ブチル、(メタ)アクリル酸sec ブチル、アクリル酸tert ブチル、アクリル酸n アミル、アクリル酸iso アミル、アクリル酸n ヘキシル、アクリル酸n オクチル、アクリル酸2 エチルヘキシル、メタ)アクリル酸n ラウリル等が挙げられる。これらは、1種で用いることも2種以上併用することもできる。中でも、(メタ)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸iso プロピル、アクリル酸n ブチル、アクリル酸2 エチルヘキシルから選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。
不飽和二重結合を有するカルボン酸は、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、β (メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンサクシネート、β (メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート等があげられ、(メタ)アクリル酸を用いることが好ましい。カルボン酸は、カルボキシル基が塩基性化合物によって中和されていてもよい。これらのカルボン酸を共重合させることにより、カルボキシル基及びカルボキシル基が塩基性化合物によって中和されたカルボキシレート基からなる群より選ばれる1種以上の酸性基が共重合体(A)に導入され、酸価を有するコポリマーを得ることができる。
酸性基を導入する場合は、酸価が所望の範囲となるようにモノマー量を適宜調整することが好ましい。
また、共重合体(A)は、(メタ)アクリレートと共重合しうるビニルモノマー等の他の公知の重合性化合物を含有してもよい。上記で例示した以外の(メタ)アクリレートや、(メタ)アクリレートと共重合しうるビニルモノマーの例としては、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート;2 ヒドロドキシエチル(メタ)アクリレート、2 ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマー;メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルキルポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;パーフルオロアルキルエチル(メタ)アクリレート等のフッ素系(メタ)アクリレート;スチレン、スチレン誘導体(p ジメチルシリルスチレン、(p ビニルフェニル)メチルスルフィド、p ヘキシニルスチレン、p メトキシスチレン、p tert ブチルジメチルシロキシスチレン、o メチルスチレン、p メチルスチレン、p tert ブチルスチレン、α メチルスチレン等)、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1 ジフェニルエチレン等の芳香族ビニル化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールテトラ(メタ)アクリレート、2 ヒドロキシ 1,3 ジアクリロキシプロパン、2,2 ビス[4 (アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2 ビス[4 (アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートトリシクロデカニル(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタン(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート化合物;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリレート;2 ビニルピリジン、4 ビニルピリジン、ナフチルビニルピリジン等のビニルピリジン化合物;1,3 ブタジエン、2 メチル 1,3 ブタジエン、2,3 ジメチル 1,3 ブタジエン、1,3 ペンタジエン、1,3 ヘキサジエン、1,3 シクロヘキサジエン等の共役ジエンなどが挙げられる。これらのモノマーは、1種で用いることも2種以上併用することもできる。
共重合体(A)において、メタアクリレート、不飽和二重結合を有するカルボン酸以外の他の公知の重合性化合物を含有する場合は、共重合体(A)における他の重合性化合物の割合は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることが好ましい。中でも、食品用包材に用いたときの安全性の観点から、スチレン系樹脂を含有しないことが好ましい。
共重合体(A)は、ガラス転移温度を低く調整するために、炭素原子数1~20のアルキル基を有する(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体を主成分とすることが好ましく、炭素原子数1~20のアルキル基を有する(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体に由来する構造のみからなる共重合体であることがより好ましい。
共重合体(A)のガラス転移温度(以下Tgと称する場合がある)は、耐油性、耐水性、耐摩擦性、耐スクラッチ性及びヒートシール性を良好に保つために、30℃以下であることが好ましく、15℃以下であることがより好ましく、5℃以下であることが更に好ましい。一方、皮膜強度、ブロッキング性、耐熱性を保つ観点から、-40℃以上であることが好ましく、-30℃以上であることがより好ましく、-20℃以上であることが更に好ましい。
尚、前記ガラス転移温度(Tg1)は、いわゆる計算ガラス転移温度を指し、下記の方法で算出された値を指す。
(式1) 1/Tg(K)=(W1/T1)+(W2/T2)+・・・(Wn/Tn)
(式2) Tg(℃)=Tg(K)-273
式1中のW1、W2、・・・Wnは、重合体の製造に使用したモノマーの合計質量に対する各モノマーの質量%を表し、T1、T2、・・・Tnは、各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度(K)を表す。なお、T1、T2、・・Tnの値は、Polymer Handbook(Fourth Edition,J.Brandrup,E.H.Immergut,E.A.Grulke 編)に記載された値を用いる。
また、各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度が前記Polymer Hand Bookに記載されていないもののガラス転移温度は、示差走査熱量計「DSC Q-100」(TA Instrument社製)を用い、JIS K7121に準拠した方法で測定した。具体的には、真空吸引して完全に溶剤を除去した重合体を、20℃/分の昇温速度で-100℃~+200℃の範囲で熱量変化を測定し、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点をガラス転移温度とした。
共重合体(A)の酸価は、酸価20mgKOH/g以上、120mgKOH/g以下が好ましく、より好ましくは酸価25mgKOH以上である。
尚、ここで言う酸価とは、樹脂1g中に含まれる酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数を示す。
共重合体(A)は、例えば、重合開始剤の存在下、50℃~180℃の温度領域で、少なくとも(メタ)アクリレート及び不飽和二重結合を有するカルボン酸を含む各種モノマーを重合させることにより製造することができ、80℃~150℃の温度領域であればより好ましい。重合の方法は、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等が挙げられる。また、重合様式は、例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等があげられる。
本発明で使用する共重合体(A)は、コアシェル型であってもよい。コアシェル型を形成する場合は、前述したような(メタ)アクリレートと不飽和二重結合を有するカルボン酸との共重合体(a1)、及び共重合体(a1)とは異なるメタ(アクリレート)の共重合体(a2)がコアシェル構造を形成することが好ましい。
なお、本発明においてコアシェル型構造の樹脂は、共重合体(a2)が共重合体(a1)によって水性媒体中に分散された状態を指し、通常、共重合体(a1)が樹脂粒子の最外部に存在することでシェル部を形成し、重合体(a2)の一部または全部がコア部を形成したものであることが多い。以後本発明において、シェル部を形成する樹脂を重合体(a1)とし、コア部を形成する樹脂を重合体(a2)と称す。
〔シェル部を構成する共重合体(a1)〕
シェル部を構成する共重合体(a1)は、前述したような(メタ)アクリレートと不飽和二重結合を有するカルボン酸との共重合体によって構成されていることが好ましい。その際、シェル部の酸価は40mgKOH/g以上250mgKOH/g以下の範囲であることが好ましく、120mgKOH/g以下がなお好ましい。
前記、シェル部を構成する共重合体(a1)のカルボキシル基は、塩基性化合物によって中和されカルボキシレート基を形成することが好ましい。
前記、中和に使用可能な塩基性化合物としては、例えばアンモニア、トリエチルアミン、モルホリン、モノエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等を使用することができ、アンモニア、トリエチルアミンを使用することが、塗膜の耐温水性、耐食性及び耐薬品性をより一層向上するうえで好ましい。
前記塩基性化合物の使用量は、得られるコアシェル型樹脂の水分散安定性をより一層向上するうえで、前記重合体(a1)が有するカルボキシル基の全量に対して[塩基性化合物/カルボキシル基]=0.2~2(モル比)となる範囲で使用することが好ましい。
共重合体(a1)としては、前記共重合体(a1)のガラス転移温度(Tg1)を0℃~80℃の範囲に調整するうえで、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、アクリル酸2 エチルヘキシル等を組み合わせ重合して得られるものを使用することが、造膜性に優れ、かつ、耐温水性、耐食性及び耐薬品性に優れた塗膜を形成するうえでより好ましい。
〔コア部を構成する重合体(a2)〕
コア部を構成する共重合体(a2)は、アクリルモノマー等のコポリマーを使用することができ、2種以上の(メタ)アクリレートの共重合体を用いることが好ましい。(メタ)アクリレートとしては特に限定はないが、中でも炭素原子数1~20のアルキル基を有する(メタ)アクリレートであることが好ましく、アクリレートを有するホモポリマーがより低いガラス転移温度を呈することから好ましく、炭素原子数1~20のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを主成分とすることが好ましく、炭素原子数1~12のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを主成分とすることが好ましい。中でも、(メタ)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸iso プロピル、アクリル酸n ブチル、アクリル酸2 エチルヘキシルから選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。
この際、コア部の重量平均分子量は200,000~3,000,000の範囲であることが好ましく、800,000以上がなお好ましい。Tgは-30℃~30℃の範囲であることが好ましい。
コア部を構成する共重合体(a2)は、水性媒体で製造することが好ましい。具体的には、前記、モノマーと重合開始剤等とを、水性媒体を含有する反応容器に一括供給または逐次供給し重合することによって製造することができる。その際、予め前記モノマーと水性媒体と必要に応じて反応性界面活性剤等とを混合することでプレエマルジョンを製造し、それと重合開始剤等とを、水性媒体を含有する反応容器に供給し重合してもよい。
前記、共重合体(a2)を製造する際に使用可能な重合開始剤としては、例えば過硫酸塩、有機過酸化物、過酸化水素等のラジカル重合開始剤、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ開始剤を使用することができる。また、前記ラジカル重合開始剤は、後述する還元剤と併用しレドックス重合開始剤として使用しても良い。
前記過硫酸塩としては、例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等を使用することができる。前記、有機過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、クメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド等を使用することができる。
また、前記還元剤としては、例えば、アスコルビン酸及びその塩、エリソルビン酸及びその塩(ナトリウム塩等)、酒石酸及びその塩、クエン酸及びその塩、ホルムアルデヒドスルホキシラートの金属塩、チオ硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、塩化第二鉄等を使用することができる。
重合開始剤の使用量は、重合が円滑に進行する量を使用すれば良いが、得られる塗膜の優れた耐食性を維持する観点から、少ない方が好ましく、共重合体(a2)の製造に使用するモノマーの全量に対して、0.01質量%~0.5質量%とすることが好ましい。また、前記重合開始剤を前記還元剤と併用する場合には、それらの合計量の使用量も前記した範囲内であることが好ましい。
また、前記プレエマルジョンを製造する際には、反応性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤等を使用してもよい。
<共重合体(B)>
本発明の紙用コーティング剤は、更に、ガラス転移温度が前述した共重合体(A)よりも高い、不飽和二重結合を有するカルボン酸と(メタ)アクリレートとの共重合体(B)を含有することが好ましい。紙用コーティング剤において、共重合体(A)の他にガラス転移温度が高い共重合体(B)を含有することにより、耐熱性やブロッキング性を向上することができる。
共重合体(B)のガラス転移温度は、共重合体(A)よりも30℃以上高いことが好ましく、50℃以上高いことがより好ましい。
共重合体(B)のガラス転移温度は、0℃~100℃の範囲が好ましく、20℃~90℃の範囲がより好ましく、30℃~80℃の範囲が更に好ましい。
共重合体(B)の構造は、前記共重合体(A)と同様の成分により構成することが好ましい。中でも、共重合体(B)のガラス転移温度を高く調整するために、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、等を組み合わせ重合して得られるものを使用することが好ましい。
共重合体(B)は、共重合体(A)と同様のコアシェル型構造を形成することが好ましく、共重合体(A)及び共重合体(B)が共にコアシェル型構造を形成することが好ましい。このような構成により、共重合体(A)及び共重合体(B)を含有するコーティング剤により形成された塗膜においては、乾燥性やレベリング性等の塗工適性に加え、耐摩擦性あるいはシール性や耐水性・耐油性等の塗膜物性を得ることができると考えられる。
本発明の紙用コーティング剤において、共重合体(A)及び共重合体(B)の固形分の質量割合は、共重合体(A):共重合体(B)=50:50~90:10の範囲であることが好ましく、60:40~80:20の範囲であることが更に好ましい。
<カルナバワックス>
本発明の紙用コーティング剤は、カルナバワックスを含有する。カルナバワックスを含有することにより、ヒートシール性を損なうことなくブロッキング性を向上できる。カルナバワックスは分散性に優れていることから、塗工直後にはワックスとして機能することでブロッキング性を向上させるが、ヒートシール時にはシール機能を発現する樹脂中に適度に分散することでヒートシール性を阻害しないと考えられる。
カルナバワックスの具体例としてはML160RPH、ML160F.S、ME61335.S(以上、マイケルマン社製)、CERACOL-79(BYK社製)、MICROKLEAR 418(Micro Powders,Inc.社製)、精製カルナバワックス1号粉末(日本ワックス株式会社)等が挙げられる。
カルナバワックスの配合量は、カルナバワックス総量が紙用コーティング剤固形分100質量%全量に対し1.5~20質量%であることが好ましい。カルナバワックス総量が紙用コーティング剤固形分100%全量に対し1.5質量%以上であれば耐ブロッキング性を保持できる傾向にあり、ワックス総量が紙用コーティング剤固形分100%全量に対し20質量%以下であればヒートシール性が保持できる傾向にある。
<他のワックス>
本発明の紙用コーティング剤は、カルナバワックス以外の他のワックスを含有してもよい。他のワックスとしては、脂肪酸アミドワックス、ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、みつろう、マイクロクリスタリンワックス、酸化ポリエチレン-ワックス、アマイドワックスなどのワックス、ヤシ油脂肪酸や大豆油脂肪酸などを挙げることができる。これらは単独で使用してもよいし併用してもよい。
他のワックスを含有する場合、その比率には特に限定はないが好ましくは、カルナバワックス:他のワックス=5:5~9:1の範囲が好ましく、6:4~8:2の範囲がなお好ましい。
これらのワックスは、共重合体(A)を含む樹脂のエマルジョンに直接添加し混合分散させてもよいし、ワックスの分散体を作製した後、エマルジョンと混合させてもよい。分散方法としては、公知の方法、例えばメディアを用いた分散装置として、ペイントシェーカー、ボールミル、アトライター、バスケットミル、サンドミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、SCミル、スパイクミル、アジテーターミル等を使用することができ、メディアを用いないものとして超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ナノマイザー、デゾルバー、ディスパー、高速インペラー分散機等で分散することができる。
粉体のワックスを使用する場合は、ワックスを均一分散させるために、メディアを用いて練肉を行ったり、ワックスの分散体を作製した後配合を行ったりすることが好ましい。練肉方法は公知の方法で行うことができる。
また複数種のワックスを併用する際には、複数種のワックスを同時に添加してもよいし、複数の工程に分けて添加してもよい。
<水性溶剤>
本発明で使用する水性溶剤としては、水、水に溶解する水溶性有機溶剤等が使用できる。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることができる。また、前記水としては、紫外線照射または過酸化水素添加等によって滅菌された水を用いることが、コーティング剤等を長期保存する場合に、カビまたはバクテリアの発生を防止することができるため好適である。
水溶性有機溶剤としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのグリコール類;ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオールなどのジオール類;ラウリン酸プロピレングリコールなどのグリコールエステル;ジエチレングリコールモノエチル、ジエチレングリコールモノブチル、ジエチレングリコールモノヘキシル、カルビトールなどのジエチレングリコールエーテル類;プロピレングリコールエーテル、ジプロピレングリコールエーテル、およびトリエチレングリコールエーテルを含むセロソルブなどのグリコールエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、ブチルアルコール、ペンチルアルコールなどのアルコール類;スルホラン、エステル、ケトン、γ-ブチロラクトンなどのラクトン類、N-(2-ヒドロキシエチル)ピロリドンなどのラクタム類、グリセリンおよびそのポリアルキレンオキサイド付加物など、水性有機溶剤として知られる他の各種の溶剤などを挙げることができる。これらの水性有機溶剤は、単独または2種以上組み合わせて使用することができる。中でも水が最も好ましい。
<その他の添加剤>
本発明の紙用オーバーコーティング組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲において前記成分の他に、その他シリカ、アルミナ、ポリエチレンワックス、消泡剤、レベリング剤、粘着性付与剤、防腐剤、抗菌剤、防錆剤等も配合することができる。
本発明の紙用コーティング剤は、上記共重合体(A)及び共重合体(B)以外の他の公知の樹脂を含有してもよい。他の公知の樹脂を含有する場合、他の樹脂の含有量は本発明の効果を損なわない範囲で適宜調節可能であるが、共重合体(A)、共重合体(B)及び他の公知の樹脂の総量において、他の公知の樹脂の割合が10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることが好ましい。
(コート紙)
本発明のコート紙は、紙基材の少なくとも片面に前述した紙用コーティング剤を塗工することによって形成された樹脂塗工層を有するものである。紙用コーティング剤は、容器等を製造する際のヒートシール剤として使用することができるし、シール(接着)部位以外の塗工部分は、紙に耐油性や耐水性を付与するコート剤として機能する。
紙基材としては、木材パルプ等の製紙用天然繊維を用いて公知の抄紙機にて製造されるが、その抄紙条件は特に規定されるものではない。製紙用天然繊維としては、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ等の木材パルプ、マニラ麻パルプ、サイザル麻パルプ、亜麻パルプ等の非木材パルプ、およびそれらのパルプに化学変性を施したパルプ等が挙げられる。パルプの種類としては、硫酸塩蒸解法、酸性・中性・アルカリ性亜硫酸塩蒸解法、ソーダ塩蒸解法等による化学パルプ、グランドパルプ、ケミグランドパルプ、サーモメカニカルパルプ等を使用することができる。また、市販の各種上質紙やコート紙、裏打ち紙、含浸紙、ボール紙や板紙などを用いることもできる。
前記紙基材は、目的に応じ紙の種類、厚み等を逐次選択する事ができる。例えばバーガーラップであれば米坪対応20グラム/m程度、紙コップであれば米坪対応200~300グラム/m、紙皿、紙スプーン、紙マドラー等であれば米坪対応50~500グラム/mのカップ原紙等の食品用原紙が好ましい。これらの用紙は、リサイクル効率やコスト低減の観点から、ポリエチレン フィルムやアルミ等をラミネートされていない事が好ましい。紙基材は、印刷層を有していてもよい。
本発明の紙用コーティング剤の塗工方法としては公知の方法が使用できる。例えばロールコーター、グラビアコーター、フレキソコーター、エアドクターコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、トランスファロールコーター、キスコーター、カーテンコーター、キャストコーター、スプレイコーター、ダイコーター、オフセット印刷機、スクリーン印刷機等を使用できる。また、紙基材を本発明の紙用オーバーコーティング剤に含浸させることにより、紙基材上に樹脂層を設けてもよい。塗工後オーブン等で乾燥工程を設けてもよい。
塗工する際の本発明の紙用コーティング剤の膜厚は、用途によるが、食品用紙容器に使用する場合は、例えば2~12g/mの範囲であれば、本発明の効果を十分に得ることができる。中でも5~10g/mの範囲であることがより好ましい。
(接着体)
本発明の接着体とは、前述した塗工紙に設けられた紙用コーティング剤の樹脂塗工層をシールして形成される。本発明の紙用コーティング剤は、ヒートシールバーあるいは熱風で加熱することにより容易に軟化し紙同士または紙と他素材とを接着させることができ、その後冷却することで接着部分が固化し紙同士または紙と他素材とを強固にシールすることができる。
本発明の紙用コーティング剤は、紙と紙、紙と不織布、紙とプラスチック等を接着(シール)可能である。例えば、本発明の紙用コーティング剤を塗布したコート紙を折り曲げたり丸めたりして端部を接着したり、コート紙と他の基材とを接着して、任意の包材やラッピング材を形成できる。
ヒートシールの具体的な方法は、例えば、紙基材の2つの部位のうち、少なくとも片方の部位(両方の部位であってもよい)に、紙用コーティング剤を塗工後、2つの部位を重ね合わせて加熱により軟化させる。紙用コーティング剤はヒートシールバーあるいは熱風で加熱することにより容易に軟化し紙同士または紙と他素材とを接着させることができ、その後冷却することで接着部分が固化し紙同士または紙と他素材とを強固にシールすることができる。
前記加熱方法としては、ヒートシールバー等の熱源、熱風、電熱、赤外線、電子線等の従来公知の手段を用いる事ができるが、具体的にはヒートシールバーや熱風で加熱する方法や、成形の形によっては熱溶着シール法や超音波シール法、あるいは高周波シール法が好ましい。この時の加熱温度は80~200℃、加熱時間は0.1~3秒が好ましい。
また、紙用コーティング剤は、ヒートシールバー等の直接熱源と接触させて溶融化させる方法以外に、非接触の加熱であっても容易に加熱軟化し、且つ、熱源から離れてもある程度の時間ヒートシール機能が持続する。基材が紙の場合、直接熱源と接触させると紙が焦げる可能性があるが本発明のヒートシール剤は非接触の加熱でヒートシール機能が発現し且つその機能が持続することから、高速のラインスピードが要求される紙容器の工業生産向けヒートシール剤として特に有用である。
ヒートシール剤(HS)を塗工し該塗工部位を加熱軟化させた後、該塗工部位と、もう1つの部位とを重ね合わせた状態で圧着させることにより、ヒートシール剤として使用できる。圧着方法としては特に限定なく、熱板方式、超音波シール、高周波シールの方法で行うことができる。
(包装体又は容器)
本発明のコート紙や接着体は、紙用コーティング剤により形成された樹脂塗工層を有し、該樹脂塗工層がヒートシール性を有することから、該樹脂塗工層を利用してヒートシールすることにより、箱、袋、容器等に加工することができる。
包装体は、例えば、パッケージ用の袋、紙袋、紙箱、段ボール、ラップ紙、封筒、カップスリーブ、蓋等が挙げられる。容器としては、紙容器、紙皿、トレイ、カップホルダー、紙コップ等が挙げられる。本発明の紙用コーティング剤により形成された樹脂塗工層は耐水性、耐油性に優れていることから、耐水性・耐油性を必要とする食品、肥料等の包装材に利用することが好ましい。例えば、カップ麺、アイスクリーム、プリン、ゼリー等のデザート用のカップ又は蓋、菓子、穀類、豆類、粉体、ペット用のフード、肥料等を収容する袋又は箱、ハンバーガーやホットドックのラップ紙、ピザ等の持ち帰り用容器、から揚げやポテト等のホットスナック用容器、納豆等の総菜を対象とするカップ類等の食品用紙容器又包装材や、洗剤、サニタリー用品をはじめとする衛生品用の袋又は箱等が挙げられる。また、本発明の紙用コーティング剤は人体安全性の高いと認められた成分で構成されていることから、例えばバーガー等を包むラップ紙のように食品に直接接触する包材に好適に使用できる。
以下、本発明を具体的な合成例、実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の例において、「部」及び「%」は、特に断りがない限り、「質量部」及び「質量%」をそれぞれ表す。
(実施例1:コーティング剤の調整)
室温下、200ccステンレスカップに対し、アクリル樹脂溶液A1(メタクリル酸メチル51部/アクリル酸ブチル33部/アクリル酸 2 エチルへキシル7部/メタクリル酸9部の共重合体A1と、共重合体A1の酸価に対し中和率100%となるアンモニア、水性溶剤として水を混合した固形分約40%の分散液)を67.5部、アクリル樹脂溶液B(メタクリル酸メチル51部/アクリル酸ブチル33部/アクリル酸 2 エチルへキシル7部/メタクリル酸9部の共重合体B1と、共重合体A1の酸価に対し中和率100%となるアンモニア、水性溶剤として水を混合した固形分約35%の分散液)を22.5部、カルナバワックス成分を10部投入後、800rpmにて20分間分散撹拌を行い、実施例1のコーティング剤を得た。
なお、アクリル樹脂溶液A1に用いた共重合体A1のガラス転移温度は-11℃、酸価は38mgKOH/g、重量平均分子量は90,000であった。
また、アクリル樹脂溶液B1に用いた共重合体B1のガラス転移温度は63℃、酸価は38mgKOH/g、重量平均分子量は77,000であった。
(実施例2、比較例1~6)
実施例1と同様にして、表1に示す配合で調製して、実施例、比較例のコーティング剤を得た。
(塗工物作成)
得られた実施例及び比較例のコーティング剤を用い、紙基材1(坪量70g/m2の片艶クラフト紙:キャピタルラップ(日本製紙(株)社製)に対しバーコーターにより塗布量5g/mにて塗工を行った。
(シール強度評価)
得られた塗工物から幅15mmのサンプルを切り出し、塗工面同士を重ね合わせて熱傾斜式ヒートシールテスター(テスター産業(株)製)を用い、シール温度100~200℃の領域で圧力0.2MPa・s、時間1秒の条件によりヒートシールを行った。得られた評価物を、テンシロン万能試験機((株)エー・アンド・デイ製)を用いて引張速度200mm/minの条件下にてT型ピール強度を2回測定し、この平均値をヒートシール強度とした。
(耐油性試験)
得られた塗工物を用いてJAPAN TAPPI 紙パルプ試験法No.41キット法を用いて、キット液を塗工済基材へ滴下した後15秒後にふき取り、浸透がみられなかった液の値をキット値として耐油性の評価を行った。数値が大きいほど耐油性が高いことを示す。
(耐水性試験)
スポイトで採取した水道水1滴を塗工物の塗工面に数十か所滴下し、数時間ごとに拭き取りを行い、膨潤・浸み込み状態を評価した。
(評価)
水滴下後30分:塗工面膨潤あり×(なし〇)、水浸透あり×(なし〇)。
水滴下後1時間:塗工面膨潤あり×(なし〇)、水浸透あり×(なし〇)。
水滴下後2時間:塗工面膨潤あり×(なし〇)、水浸透あり×(なし〇)。
水滴下後4時間:塗工面膨潤あり×(なし〇)、水浸透あり×(なし〇)。
水滴下後6時間:塗工面膨潤あり×(なし〇)、水浸透あり×(なし〇)。
水滴下後8時間:塗工面膨潤あり×(なし〇)、水浸透あり×(なし〇)。
(耐ブロッキング性試験)
得られた塗工物の塗工面同士あるいは塗工面と非塗工面が接触するように重ね合わせ、5kgf/cmの加重をかけ、40℃の環境下に24時間経時させ、取り出し後、塗工面同士あるいは塗工面と非塗工面の接着具合を、次の5段階で目視評価した。
(評価基準)
5:全く着かない
4:弱い力で剥がれる。剥がすときに少し音がする。
3:剥がすことができるが部分的に跡残りする。
2:密着しているが、基材破壊は見られない。
1:基材破壊が見られる。
Figure 2023094001000001
表中、カルナバワックスはML160F.S、(マイケルマン社製)を用いた。
ポリオレフィンワックス分散体1は、三井化学社製ポリオレフィン水性ディスパージョン ケミパールW-700(固形分約40%)を用いた。
ポリオレフィンワックス分散体2は、ケミパールW-200(固形分約40%)を用いた。
パラフィンワックス分散体はBYK社製AQUACER497(固形分50%)を用いた。
レベリング剤は、日信化学工業社製SURFYNOL 104PAを用いた。
カルナバワックスを含有する実施例1及び2は、広い温度領域において優れたヒートシール性、耐油性、耐水性を維持しつつ、耐ブロッキング性を向上させることができた。一方、カルナバワックスを含有しない比較例4~6は、耐ブロッキング性が劣るか、若しくはヒートシール性が劣る結果となり、ヒートシール性と耐ブロッキング性を兼ね備えることはできなかった。また、ワックスを含有しない比較例5と、カルナバワックス以外のワックスを含有する比較例1~3の結果より、比較例1~3は耐ブロッキング性向上の効果が小さく、ヒートシール性と耐ブロッキング性を兼ね備えることはできなかった。

Claims (10)

  1. ガラス転移温度が30℃以下の、不飽和二重結合を有するカルボン酸と(メタ)アクリレートとの共重合体(A)と、
    カルナバワックスと、
    水性溶剤
    を含有する紙用コーティング剤。
  2. 更に、ガラス転移温度が前記共重合体(A)よりも高い、不飽和二重結合を有するカルボン酸と(メタ)アクリレートとの共重合体(B)を含有する請求項1に記載の紙用コーティング剤。
  3. 前記共重合体(A)がコアシェル構造である、請求項1又は2に記載の紙用コーティング剤。
  4. 前記共重合体(B)がコアシェル構造である、請求項1~3のいずれか一項に記載の紙用コーティング剤。
  5. スチレン系樹脂を含有しない、請求項1~4のいずれか一項に記載の紙用コーティング剤。
  6. ヒートシール性を有する請求項1~5のいずれか一項に記載の紙用コーティング剤。
  7. 紙基材の少なくとも片面に請求項1~6のいずれかに記載の紙用コーティング剤を有するコート紙。
  8. 少なくとも紙基材と紙基材あるいはプラスチックフィルムとが接着した接着体であって、
    紙基材の少なくとも一面に、請求項1~6のいずれかに記載の紙用コーティング剤の樹脂層を有する、接着体。
  9. 前記紙基材と紙基材あるいはプラスチックフィルムとが、前記樹脂層により接着している請求項8に記載の接着体。
  10. 請求項7に記載のコート紙を用いた食品用包材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023234060A1 (ja) * 2022-06-02 2023-12-07 明成化学工業株式会社 耐油剤組成物及び耐油製品

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