JP2023092854A - 樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】硬化物の誘電特性に優れる樹脂組成物等の提供。【解決手段】(A)炭素原子数が4以上の脂肪族炭化水素基を有するポリエーテルエーテルケトン樹脂、を含有する、樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物に関する。さらには、当該樹脂組成物を用いて得られる、樹脂フィルム、半導体パッケージ基板、半導体装置、及び半導体パッケージ基板の製造方法に関する。
各種電子機器に広く使用されているプリント配線板は、電子機器の小型化、高機能化のために、薄型化や回路の微細配線化が求められている。
プリント配線板の製造技術としては、絶縁層と導体層とを交互に積み重ねるビルドアップ方式による製造方法が知られている。ビルドアップ方式による製造方法において、一般に、絶縁層は樹脂組成物を熱硬化又は光硬化させて形成される。このような樹脂組成物としては、例えば、特許文献1に開示される樹脂組成物が知られている。
特開2019-66792号公報
近年通信機器における通信の高速化、大容量化に伴い、通信機器の半導体パッケージ基板に使用される樹脂組成物の硬化物は、誘電率及び誘電正接が低い、即ち誘電特性に優れることが求められている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、硬化物の誘電特性に優れる樹脂組成物、当該樹脂組成物を用いて得られる、樹脂フィルム、半導体パッケージ基板、半導体装置、及び半導体パッケージ基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、炭素原子数が4以上の脂肪族炭化水素基を有するポリエーテルエーテルケトン樹脂を樹脂組成物に含有させることで上記課題が達成し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] (A)炭素原子数が4以上の脂肪族炭化水素基を有するポリエーテルエーテルケトン樹脂、を含有する、樹脂組成物。
[2] (A)成分が、下記式(A-1)で表される構造単位、及び下記式(A-2)で表される構造単位のいずれかを有する、[1]に記載の樹脂組成物。
Figure 2023092854000001
式(A-1)中、Ar、Ar、Ar、Arは、それぞれ独立に2価の芳香族炭化水素基を表す。R11は、炭素原子数が4以上の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
式(A-2)中、Ar、Ar、Arは、それぞれ独立に2価の芳香族炭化水素基を表す。R12は、炭素原子数が4以上の1価の脂肪族炭化水素基を表す。
[3] (A)成分の重量平均分子量が、10000以上500000以下である、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4] 感光性樹脂組成物である、[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5] さらに、(B)架橋剤、及び(C)光ラジカル発生剤を含有する、[4]に記載の樹脂組成物。
[6] さらに(D)増感剤、を含有する、[4]又は[5]に記載の樹脂組成物。
[7] 支持体上に、[1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物からなる樹脂組成物層が形成されている、樹脂フィルム。
[8] [1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む半導体パッケージ基板。
[9] [8]に記載の半導体パッケージ基板を含む、半導体装置。
[10] 回路基板上に、[1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む樹脂組成物層を形成する工程と、
樹脂組成物層に活性光線を照射する工程と、
樹脂組成物層を現像する工程と、を含む、半導体パッケージ基板の製造方法。
[11] 回路基板上に、[1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む樹脂組成物層を形成する工程と、
樹脂組成物層を熱硬化する工程と、を含む、半導体パッケージ基板の製造方法。
本発明によれば、硬化物の誘電特性に優れる樹脂組成物、当該樹脂組成物を用いて得られる、樹脂フィルム、半導体パッケージ基板、半導体装置、及び半導体パッケージ基板の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の樹脂組成物、樹脂フィルム、半導体パッケージ基板、半導体装置、及び半導体パッケージ基板の製造方法について詳細に説明する。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、(A)成分として、(A)炭素原子数が4以上の脂肪族炭化水素基を有するポリエーテルエーテルケトン樹脂を含有する。このような樹脂組成物によれば、溶剤溶解性に優れ、誘電特性に優れた硬化物を得ることが可能となる。また、樹脂組成物は、通常、解像性に優れた硬化物を得ることも可能である。
樹脂組成物の第1実施形態は、感光性樹脂組成物である。感光性樹脂組成物は、本発明の効果を顕著に得る観点から、ネガ型感光性樹脂組成物として好適である。感光性樹脂組成物は、(A)成分を含有する。このような感光性樹脂組成物によれば、溶剤溶解性に優れ、誘電特性に優れた硬化物を得ることが可能となり、通常、解像性に優れた硬化物を得ることも可能である。感光性樹脂組成物は、さらに必要に応じて、(B)架橋剤、(C)光ラジカル発生剤、(D)増感剤、(E)その他の添加剤、及び(F)溶剤等の任意の成分を含んでいてもよい。
樹脂組成物の第2実施形態は、熱硬化性樹脂組成物である。熱硬化性樹脂組成物は、(A)成分を含有する。このような熱硬化性樹脂組成物によれば、溶剤溶解性に優れ、誘電特性に優れた硬化物を得ることが可能となる。熱硬化性樹脂組成物は、さらに必要に応じて、(E)その他の添加剤、及び(F)溶剤等の任意の成分を含んでいてもよい。以下、樹脂組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
<(A)炭素原子数が4以上の脂肪族炭化水素基を有するポリエーテルエーテルケトン樹脂>
樹脂組成物は、(A)成分として、(A)炭素原子数が4以上の脂肪族炭化水素基を有するポリエーテルエーテルケトン樹脂を含有する。従来のポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK樹脂ということがある)は、一般に、溶剤に対する溶解性(溶剤溶解性)が劣る。本発明者らの鋭意研究により、ポリエーテルエーテルケトン樹脂が、炭素原子数が4以上の脂肪族炭化水素基を有すると溶剤溶解性が向上し、誘電特性に優れる硬化物を得ることが可能になることを見出した。
本明細書において、「炭素原子数が4以上」とは、脂肪族炭化水素基中のすべての炭素原子数の合計した値が4以上であることを表す。
炭素原子数が4以上の脂肪族炭化水素基の炭素原子数としては、溶剤溶解性及び誘電特性を向上させる観点から、4以上であり、好ましくは5以上である。上限は好ましくは30以下、より好ましくは20以下、さらに好ましくは15以下である。
炭素原子数が4以上の脂肪族炭化水素基は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂のいずれかの位置に有していればよい。炭素原子数が4以上の脂肪族炭化水素基は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂中のエーテル結合とエーテル結合とを連結する基に含まれていることが好ましく、エーテル結合とエーテル結合とを連結する基の置換基として含まれていることがより好ましい。
(A)成分としてのポリエーテルエーテルケトン樹脂は、通常、ケトン骨格としてのカルボニル基とエーテル結合とを連結する連結基として、2価の炭化水素基を含む。また、(A)成分としてのポリエーテルエーテルケトン樹脂は、通常、2つのエーテル結合を連結する連結基として、2価の炭化水素基を含む。前記の2価の炭化水素基は、いずれも、芳香環を含むことが好ましい。芳香環は、ベンゼン環等の単環でもよく、ナフタレン環等の縮合環でもよく、ビフェニル基等の複数の芳香環が直接結合した連結環でもよい。前記のとおり、炭素原子数が4以上の脂肪族炭化水素基はエーテル結合とエーテル結合とを連結する基に含まれることが好ましいので、2つのエーテル結合を連結する連結基は、芳香環と組み合わせて炭素原子数が4以上の脂肪族炭化水素基を含むことが好ましい。
(A)成分としては、下記式(A-1)で表される構造単位、及び下記式(A-2)で表される構造単位のいずれかを有することが好ましい。
Figure 2023092854000002
式(A-1)中、Ar、Ar、Ar、Arは、それぞれ独立に2価の芳香族炭化水素基を表す。R11は、炭素原子数数が4以上の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
式(A-2)中、Ar、Ar、Arは、それぞれ独立に2価の芳香族炭化水素基を表す。R12は、炭素原子数が4以上の1価の脂肪族炭化水素基を表す。
芳香族炭化水素基とは、芳香環を含む炭化水素基を意味する。ただし、芳香族炭化水素基は、芳香環のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造や脂環式炭化水素基を含んでいてもよく、芳香環は単環、多環、複素環のいずれであってもよい。
2価の芳香族炭化水素基としては、アリーレン基、アラルキレン基等が挙げられる。
アリーレン基としては、炭素原子数6~30のアリーレン基が好ましく、炭素原子数6~20のアリーレン基がより好ましく、炭素原子数6~10のアリーレン基がさらに好ましい。このようなアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基、ビフェニレン基等が挙げられる。
アラルキレン基としては、炭素原子数7~30のアラルキレン基が好ましく、炭素原子数7~20のアラルキレン基がより好ましく、炭素原子数7~15のアラルキレン基がさらに好ましい。このようなアラルキレン基としては、ベンジレン基、ビフェニレン-メチレン構造を有する基等が挙げられる。
これらの中でも、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、及びArは、アリーレン基が好ましく、フェニレン基がより好ましい。
11が表す炭素原子数が4以上の2価の脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基としてのアルキレン基が好ましい。アルキレン基としては、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよいが、本発明の効果を顕著に得る観点から、分枝状及び環状のいずれかが好ましく、環状がより好ましい。アルキレン基としては、例えば、n-ブチレン基、t-ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、シクロヘキシレン基、式(a)~(d)で表される基等が挙げられる。式(a)~(d)中、「*」は結合手を表す。
Figure 2023092854000003
2価の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。置換基は、1つ有していてもよく、2つ以上有していてもよい。また、複数の置換基は、互いに結合して環を形成していてもよい。
12が表す炭素原子数が4以上の1価の脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基としてのアルキル基がより好ましい。アルキル基としては、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよいが、分枝状が好ましい。アルキル基としては、例えば、n-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
(A)成分としては、下記式(A-3)で表される構造単位、及び下記式(A-4)で表される構造単位のいずれかを有することが好ましい。
Figure 2023092854000004
式(A-3)中、R21は、炭素原子数数が4以上の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
式(A-4)中、R22は、炭素原子数が4以上の1価の脂肪族炭化水素基を表す。
21が表す炭素原子数数が4以上の2価の脂肪族炭化水素基は、式(A-1)中のR11が表す炭素原子数数が4以上の2価の脂肪族炭化水素基と同じである。
22が表す炭素原子数が4以上の1価の脂肪族炭化水素基は、式(A-2)中のR12が表す炭素原子数が4以上の1価の脂肪族炭化水素基と同じである。
(A)成分が有する構造単位の具体例としては、以下のものが挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2023092854000005
(A)成分としては、例えば、ケトン骨格を有する化合物と、2つのエーテル結合を形成し得る構造を有する化合物とを反応させることにより得られる樹脂を用いることができる。具体的には、ケトン骨格を有する化合物としてのベンゾフェノン化合物と、2つのエーテル結合を形成し得る構造を有する化合物としてのジオール化合物と、を反応させることにより得られる樹脂を用いることができる。前記反応は、例えば、触媒としての炭酸カリウム、溶剤としてN-メチル-2-ピロリドンの存在下、ベンゾフェノン化合物とジオール化合物とを室温で攪拌した後170~200℃加温させることで合成できる。
ケトン骨格を有する化合物としては、ベンゾフェノンのベンゼン環それぞれにフッ素原子等のハロゲン原子が結合した構造を有するベンゾフェノン化合物を用いることができ、例えば、4,4’-ジフルオロベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン等が挙げられる。
2つのエーテル結合を形成し得る構造を有する化合物としては、例えば以下の構造式(1)及び(2)のいずれかの構造を有するジオール化合物が好ましい。
Figure 2023092854000006
式中、Rは、炭素原子数数が4以上の2価の脂肪族炭化水素基を表し、Rは、炭素原子数数が4以上の1価の脂肪族炭化水素基を表す。
式(1)中のRは、炭素原子数が4以上の2価の脂肪族炭化水素基を表す。Rが表す2価の脂肪族炭化水素基は、式(A-1)中のR11が表す炭素原子数数が4以上の2価の脂肪族炭化水素基と同じである。
式(2)中のRは、炭素原子数が4以上の1価の脂肪族炭化水素基を表す。Rが表す炭素原子数が4以上の1価の脂肪族炭化水素基は、式(A-2)中のR12が表す炭素原子数が4以上の1価の脂肪族炭化水素基と同じである。
2つのエーテル結合を形成し得る構造を有する化合物の具体例としては、t-ブチルヒドロキノン、4,4’-シクロドデシリデンビスフェノール、4-[1-(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルシクロヘキシル]フェノール、4,4’-(3,3,5-トリメチルシクロヘキシリデン)ビスフェノール、4,4’-(1,3-ジメチルブチリデン)ビスフェノール等が挙げられる。
2つのエーテル結合を形成し得る構造を有する化合物は、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、本州化学社製の「BisP-CDE」、「BisP-3MZ」、「BisP-HTG」、「BisP-MIBK」等が挙げられる。
(A)成分の重量平均分子量としては、溶剤溶解性が向上し、誘電特性に優れる硬化物を得る観点から、好ましくは10000以上、より好ましくは50000以上、さらに好ましくは100000以上であり、好ましくは500000以下、より好ましくは300000以下、さらに好ましくは200000以下である。樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
熱硬化性樹脂組成物において、(A)成分の含有量としては、溶剤溶解性が向上し、誘電特性に優れる硬化物を得る観点から、熱硬化性樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上であり、好ましくは100質量%以下、より好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下である。なお、本発明において、熱硬化性樹脂組成物中の各成分の含有量は、別途明示のない限り、熱硬化性樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたときの値である。
感光性樹脂組成物において、(A)成分の含有量としては、溶剤溶解性が向上し、誘電特性に優れる硬化物を得る観点から、感光性樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上であり、好ましくは99質量%以下、より好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下である。
(A)成分は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
<(B)架橋剤>
感光性樹脂組成物は、任意の成分として、(B)架橋剤を含有していてもよい。感光性樹脂組成物は、活性光線の照射を受けて光ラジカル発生剤からラジカルが生じると、(B)成分の架橋反応等が生じて現像液に溶解しなくなる。よって、現像時に、架橋反応が進行した部分以外において感光性樹脂組成物を選択的に除去することが可能となり、ネガ型のパターンを有利に形成することができる。(B)成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、(B)成分からは、(A)成分に該当するものは除かれる。
(B)成分としては、現像時に、架橋反応を進行させることが可能な化合物を用いることができる。このような化合物としては、エチレン性不飽和結合を有する化合物であることが好ましく、さらにエチレン性不飽和結合を有し、エチレン性不飽和結合のα位の炭素原子の少なくとも一つがカルボニル基又は芳香族基と結合している化合物がより好ましい。エチレン性不飽和結合のα位の炭素原子とは、炭素-炭素二重結合で結合している炭素原子に隣接した1番目の炭素原子を示す。
エチレン性不飽和結合は、炭素-炭素二重結合を表す。よって、(B)成分は、エチレン性不飽和結合を有する基(以下、適宜「エチレン性不飽和基」ということがある。)を含みうる。エチレン性不飽和基は、通常、1価の基であり、例えば、ビニル基、アリル基、プロパギル基、ブテニル基、エチニル基、フェニルエチニル基、マレイミド基、ナジイミド基、(メタ)アクリロイル基が挙げられ、光ラジカル重合の反応性の観点から、(メタ)アクリロイル基、フェニルエチニル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基が特に好ましい。「(メタ)アクリロイル基」とは、メタクリロイル基、アクリロイル基及びこれらの組み合わせを包含する。(B)成分は、エチレン性不飽和基を含むため、光ラジカル重合が可能であるが、一般的な条件下で光ラジカル重合を行う上では、エチレン性不飽和結合のα位の少なくとも一つにカルボニル基又は芳香族基を有する化合物が好ましい。(B)成分の1分子当たりのエチレン性不飽和基の数は、好ましくは1つ以上、より好ましくは2つ以上である。また、(B)成分が1分子当たり2個以上のエチレン性不飽和基を含む場合、それらのエチレン性不飽和基は、同じでもよく、異なっていてもよい。
(B)成分としては、下記一般式(B-1)で表される化合物が好ましい。
Figure 2023092854000007
(式(B-1)中、R31は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素原子数1~4の直鎖状もしくは分岐状アルキル基を表し、Zは、それぞれ独立に、酸素原子を含んでもよい炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、酸素原子を含んでもよいアリーレン基、又は酸素原子を含んでもよい炭素原子数2~20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニレン基を表し、Aは、炭素原子数1~10の直鎖状、環状もしくは分岐状のnb価の有機基を表す。nbは2~6の正の整数を示す。)
31は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素原子数1~4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表す。炭素原子数1~4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、1-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基等が挙げられる。中でも、R31としては、水素原子、メチル基が好ましい。
Zは、それぞれ独立に、酸素原子を含んでもよい炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、酸素原子を含んでもよいアリーレン基、又は酸素原子を含んでもよい炭素原子数2~20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニレン基を表す。炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基としては、炭素原子数1~10の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基が好ましく、炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基がより好ましい。このようなアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基等が挙げられる。また、アルキレン基は酸素原子を含むオキシアルキレン基でもよく、このような基の具体例としては、例えば以下に示すものが挙げられる。式中、「*」は結合手を表し、aは1~23の整数を表す。
Figure 2023092854000008
酸素原子を含んでもよいアリーレン基としては、炭素原子数6~20のアリーレン基が好ましく、炭素原子数6~15のアリーレン基がより好ましく、炭素原子数6~10のアリーレン基がさらに好ましい。このようなアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。また、アリーレン基は酸素原子を含んでいてもよく、このような基の具体例としては、例えば以下に示すものが挙げられる。式中、「*」は結合手を表し、aは1~23の整数を表す。
Figure 2023092854000009
酸素原子を含んでもよい炭素原子数2~20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニレン基としては、炭素原子数2~10の直鎖状もしくは分岐状のアルケニレン基が好ましく、炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニレン基がより好ましい。このようなアルケニレン基としては、例えば、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、へキセニレン基等が挙げられる。また、アルケニレン基は酸素原子を含むオキシアルケニレン基でもよく、このような基の具体例としては、例えば以下に示すものが挙げられる。式中、「*」は結合手を表し、aは1~23の整数を表す。アルケニレン基としてはプロペニレン基が好ましい。
Figure 2023092854000010
中でも、Zとしては、酸素原子を含んでもよい炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基が好ましく、オキシアルキレン基がより好ましい。
は、炭素原子数1~10の直鎖状、環状もしくは分岐状のnb価の有機基を表す。nb価の有機基としては、例えば、酸素原子を含んでもよいnb基価の炭化水素基、ビスフェノールに由来するnb価の基、フルオレンに由来するnb価の基、トリシクロデカンに由来nb価の基、又はイソシアヌル基に由来するnb価の基が挙げられる。酸素原子を含んでもよいnb価の炭化水素基としては、酸素原子を含んでもよいnb価の脂肪族炭化水素基、酸素原子を含んでもよいnb価の芳香族炭化水素基が挙げられ、酸素原子を含んでもよいnb価の脂肪族炭化水素基が好ましく、例えばnbが2の場合、アルキレン基が好ましい。Aが表す基の具体例としては、例えば以下に示すものが挙げられる。式中、「*」は結合手を表す。
Figure 2023092854000011
nbは2~6の正の整数を示し、好ましくは2~5の正の整数を示し、より好ましくは2~4の正の整数を示し、さらに好ましくは2又は3を示す。
(B)成分としては、下記一般式(B-2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2023092854000012
(式(B-2)中、R32は、それぞれ独立に水素原子、又はメチル基を表す。)
32は、水素原子又はメチル基を表し、メチル基が好ましい。
(B)成分の具体例としては、以下の(CL-1)~(CL-11)の化合物を挙げることができる。
Figure 2023092854000013
Figure 2023092854000014
(B)成分は、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、新中村化学社製のNKエステルD-TMP、4G、9G、14G、23G、DCP等が挙げられる。
(B)成分の含有量は、本発明の効果を顕著に得る観点から、(A)成分100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは8質量部以上であり、好ましくは25質量部以下、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは15質量部以下である。
(B)成分の含有量としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、感光性樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
<(C)光ラジカル発生剤>
感光性樹脂組成物は、任意の成分として、(C)光ラジカル発生剤を含有していてもよい。(C)成分は、活性光線の照射を受けてラジカルを生じ、感光性樹脂組成物中において、ラジカルによる架橋反応等が生じた部分は現像液に溶解しない。よって、現像時に、架橋反応が進行した部分以外において感光性樹脂組成物を選択的に除去することが可能となり、ネガ型のパターンを有利に形成することができる。(C)成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、(C)成分からは、(A)~(B)成分に該当するものは除かれる。
(C)成分としては、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体;ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル-β-メトキシエチルアセタール等のベンジル誘導体;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン誘導体;1-フェニル-1,2-ブタンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-ベンゾイル)オキシム、1,3-ジフェニルプロパントリオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-3-エトキシプロパントリオン-2-(o-ベンゾイル)オキシム等のオキシム類;N-フェニルグリシン等のN-アリールグリシン類;ベンゾイルパークロライド等の過酸化物類;芳香族ビイミダゾール類;チタノセン類;α-(n-オクタンスルフォニルオキシイミノ)-4-メトキシベンジルシアニド;等が挙げられる。中でも、(C)成分としては、光感度の観点でオキシム類が好ましい。
(C)成分は、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、BASF社製の「Irgacure-OXE02」、「Irgacure-OXE04」等が挙げられる。
(C)成分の含有量としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、(A)成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上であり、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下である。
(C)成分の含有量としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、感光性樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは、0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましく5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
<(D)増感剤>
感光性樹脂組成物は、(A)成分に加えて、(D)増感剤を含有していてもよい。(D)増感剤を感光性樹脂組成物に含有することで、感光性樹脂組成物の光感度を向上させることが可能となる。(D)成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、(D)成分からは、(A)~(C)成分に該当するものは除かれる。
(D)成分は、感光性樹脂組成物の光感度を向上させることが可能な化合物を用いることができる。このような化合物としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4-モルホリノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2,5-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)シクロペンタン、2,6-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)-4-メチルシクロヘキサノン等の環状アルカン類;4,4’-ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)カルコン等のカルコン類;p-ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p-ジメチルアミノベンジリデンインダノン等のインダノン類;2-(p-ジメチルアミノフェニルビフェニレン)-ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール等のチアゾール類;1,3-ビス(4’-ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)アセトン等のアセトン類;3,3’-カルボニル-ビス(7-ジエチルアミノクマリン)、3-アセチル-7-ジメチルアミノクマリン、3-エトキシカルボニル-7-ジメチルアミノクマリン、3-ベンジロキシカルボニル-7-ジメチルアミノクマリン、3-メトキシカルボニル-7-ジエチルアミノクマリン、3-エトキシカルボニル-7-ジエチルアミノクマリン等のクマリン類;N-フェニル-N’-エチルエタノールアミン、N-フェニルジエタノールアミン、N-p-トリルジエタノールアミン、N-フェニルエタノールアミン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル等のアミン類;2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2-d)チアゾール、1-フェニル-5-メルカプトテトラゾール、1-p-ヒドロキシフェニル-5-メルカプトテトラゾール等の複素環化合物;2-(p-ジメチルアミノベンゾイル)スチレン等のスチレン類が挙げられる。
中でも、(D)成分としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、複素環化合物が好ましく、下記一般式(D-1)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2023092854000015
(式(D-1)中、R41は、水素原子、炭素原子数1~7の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、メトキシ基、又はt-ブトキシ基を表す。)
41は、水素原子、炭素原子数1~7の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、メトキシ基、又はt-ブトキシ基を表す。炭素原子数1~7の直鎖状もしくは分岐状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t-ブチル基等が挙げられる。中でも、R41としては、酸素原子を有するヒドロキシ基、メトキシ基、又はt-ブトキシ基を表すことが好ましく、水素原子、ヒドロキシ基が好ましく、水素原子がより好ましい。
41の結合位置としては、メルカプトテトラゾールの窒素原子と結合しているフェニレン基の部位を基準としてオルト位、メタ位、及びパラ位のいずれであってもよいが、本発明の効果を顕著に得る観点から、パラ位が好ましい。
(D-1)で表される化合物は、下記(D-2)で表される化合物及び下記(D-3)で表される化合物のいずれかであることが好ましい。
Figure 2023092854000016
(D)成分の含有量は、本発明の効果を顕著に得る観点から、(A)成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上であり、好ましくは20質量部以下、より好ましくは17質量部以下、さらに好ましくは15質量部以下である。
(D)成分の含有量は、本発明の効果を顕著に得る観点から、感光性樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
<(E)その他の添加剤>
第1及び第2実施形態の樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない程度に、(E)その他の添加剤を更に含有してもよい。(E)その他の添加剤としては、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤等の熱硬化性樹脂;硬化促進剤;シリカ等の無機充填材;密着助剤;フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤;熱可塑性樹脂;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アイオディン・グリーン、ジアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック等の着色剤;ハイドロキノン、フェノチアジン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール等の重合禁止剤;ベントン、モンモリロナイト等の増粘剤;シリコーン系、フッ素系、ビニル樹脂系の消泡剤;エポキシ樹脂、アンチモン化合物、リン系化合物、芳香族縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル等の難燃剤等の各種添加剤を添加することができる。
<(F)溶剤>
第1及び第2実施形態の樹脂組成物は、上述した(A)成分~(E)成分といった不揮発成分に組み合わせて、任意の成分として、(F)溶剤を含んでいてもよい。(F)溶剤は、揮発成分であり、(A)~(C)成分、並びに任意成分である(D)成分及び(E)成分の少なくともいずれかの成分を均一に溶解させうるものを用いることができる。このような溶剤としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、及びトリエチレングリコールジメチルエーテルのような炭素数2以上炭素数9以下のエーテル化合物;シクロヘキサノン、アセトン、及びメチルエチルケトンのような炭素数2以上炭素数6以下のケトン化合物;ノルマルペンタン、シクロペンタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、及びデカリンのような炭素数5以上炭素数10以下の飽和炭化水素化合物;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、及びテトラリンのような炭素数6以上炭素数10以下の芳香族炭化水素化合物;酢酸メチル、酢酸エチル、γ-ブチロラクトン、及び安息香酸メチルのような炭素数3以上炭素数9以下のエステル化合物;クロロホルム、塩化メチレン、及び1,2-ジクロロエタンのような炭素数1以上炭素数10以下の含ハロゲン化合物;アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、及びN-メチル-2-ピロリドンのような炭素数2以上炭素数10以下の含窒素化合物;並びにジメチルスルホキシドのような含硫黄化合物が挙げられる。
また、(F)成分としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、ピリジン、シクロペンタノン、α-アセチル-γ-ブチロラクトン、テトラメチル尿素、1,3-ジメチル-2-イミダゾリノン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アニソール、酢酸エチル、乳酸エチル、及び乳酸ブチルなどが挙げられる。(F)成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
樹脂組成物が(F)成分を含む場合、(F)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、好ましくは100質量部以上であり、より好ましくは300質量部以上、さらに好ましくは500質量部以上であり、好ましくは5000質量部以下であり、より好ましくは3000質量部以下であり、さらに好ましくは1500質量部以下である。なお、樹脂フィルムの樹脂組成物層中の(F)成分の含有量は、(F)成分を含めた樹脂組成物全体を100質量%とした場合、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上であり、さらに好ましくは3質量%以上であり、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは35質量%以下であり、さらに好ましくは30質量%以下である。
樹脂組成物は、必須成分として上記(A)成分を混合し、任意成分として上記(B)~(F)成分を適宜混合し、また、必要に応じて三本ロール、ボールミル、ビーズミル、サンドミル等の混練手段、あるいはスーパーミキサー、プラネタリーミキサー等の撹拌手段により混練または撹拌することにより製造することができる。
<樹脂組成物の物性、用途>
樹脂組成物は、溶剤溶解性に優れるという特性を示す。具体的には、シクロペンタノンに(A)成分の濃度が10質量%となるように溶解させ、100℃で1時間加熱する。そのとき、(A)成分はシクロペンタノンに溶解する。溶剤溶解性は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
樹脂組成物を180℃で2時間熱硬化させた硬化物は、誘電正接(Df)が低いという特性を示す。23℃での誘電正接は、好ましくは0.02以下、より好ましくは0.015以下、さらに好ましくは0.01以下である。下限は特に限定されないが、0.0001以上等とし得る。誘電正接は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
樹脂組成物を180℃で2時間熱硬化させた硬化物は、誘電率(Dk)が低いという特性を示す。23℃での誘電率は、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、さらに好ましくは3以下である。下限は特に限定されないが、1以上等とし得る。誘電率は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
感光性樹脂組成物は、限界解像性に優れるという特性を示す。例えば、露光パターンの開口径が20μm、25μm、30μmの丸穴を描画させるマスクを用いて露光、現像を行う。この場合、開口可能な最小サイズである限界解像性は、好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。限界解像性の評価は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
感光性樹脂組成物の用途は、特に限定されないが、樹脂フィルム、プリプレグ等の絶縁樹脂シート、シリコンウェハ、回路基板(積層板用途、多層プリント配線板用途等)、ソルダーレジスト、バッファーコート膜、アンダーフィル材、ダイボンディング材、半導体封止材、穴埋め樹脂、部品埋め込み樹脂等、感光性樹脂組成物が用いられる用途の広範囲に使用できる。なかでも、プリント配線板の絶縁層用感光性樹脂組成物(感光性樹脂組成物の硬化物を絶縁層としたプリント配線板)、層間絶縁層用感光性樹脂組成物(感光性樹脂組成物の硬化物を層間絶縁層としたプリント配線板)、メッキ形成用感光性樹脂組成物(感光性樹脂組成物の硬化物上にメッキが形成されたプリント配線板)、及びソルダーレジスト用感光性樹脂組成物(感光性樹脂組成物の硬化物をソルダーレジストとしたプリント配線板)、ウェハレベルパッケージの再配線形成層用感光性樹脂組成物(感光性樹脂組成物の硬化物を再配線形成層としたウェハレベルパッケージ)、ファンアウトウェハレベルパッケージの再配線形成層用感光性樹脂組成物(感光性樹脂組成物の硬化物を再配線形成層としたファンアウトウェハレベルパッケージ)、ファンアウトパネルレベルパッケージの再配線形成層用感光性樹脂組成物(感光性樹脂組成物の硬化物を再配線形成層としたファンアウトパネルレベルパッケージ)、バッファーコート用感光性樹脂組成物(感光性樹脂組成物の硬化物をバッファーコートとした半導体装置)、ディスプレイ用絶縁層用感光性樹脂組成物(感光性樹脂組成物の硬化物を絶縁層としたディスプレイ)として好適に使用することができる。
熱硬化性樹脂組成物は、絶縁用途の樹脂組成物として好適であり、中でも、絶縁層形成用の樹脂組成物として特に好適である。よって、例えば、熱硬化性樹脂組成物は、プリント配線板の絶縁層を形成するための樹脂組成物(プリント配線板の絶縁層形成用の樹脂組成物)として好適である。熱硬化性樹脂組成物は、プリント配線板の層間絶縁層を形成するための樹脂組成物(プリント配線板の層間絶縁層形成用の樹脂組成物)として好適である。また、樹脂組成物は、絶縁層上に形成される導体層(再配線層を含む)を形成するための当該絶縁層を形成するための樹脂組成物(導体層を形成するための絶縁層形成用の樹脂組成物)として好適である。熱硬化性樹脂組成物はまた、樹脂シート、プリプレグ等のシート状積層材料、ソルダーレジスト、アンダーフィル材、ダイボンディング材、半導体封止材、穴埋め樹脂、部品埋め込み樹脂、マルチチップパッケージ、パッケージオンパッケージ、ウェハレベルパッケージ、パネルレベルパッケージ、システムインパッケージ等、樹脂組成物が使用されうる用途で広範囲に使用できる。
また、例えば、以下の(1)~(6)工程を経て半導体チップパッケージが製造される場合、樹脂組成物は、再配線層を形成するための絶縁層としての再配線形成層を形成するための樹脂組成物(再配線形成層形成用の樹脂組成物)、及び半導体チップを封止するための樹脂組成物(半導体チップ封止用の樹脂組成物)としても好適である。半導体チップパッケージが製造される際、封止層上に、更に再配線層が形成されてもよい。
(1)基材に仮固定フィルムを積層する工程、
(2)半導体チップを、仮固定フィルム上に仮固定する工程、
(3)半導体チップ上に封止層を形成する工程、
(4)基材及び仮固定フィルムを半導体チップから剥離する工程、
(5)半導体チップの基材及び仮固定フィルムを剥離した面に、絶縁層としての再配線形成層を形成する工程、及び
(6)再配線形成層上に、導体層としての再配線層を形成する工程
上述した樹脂組成物は、プリント配線板が部品内蔵回路板である場合にも、使用することができる。
[樹脂フィルム]
本発明の樹脂フィルムは、支持体と、この支持体上に形成された、本発明の樹脂組成物で形成された樹脂組成物層を含む。樹脂組成物が第1の実施形態である感光性樹脂組成物である場合、樹脂組成物層を感光性樹脂組成物層ということがあり、樹脂組成物が第2の形態である熱硬化性樹脂組成物である場合、樹脂組成物層を熱硬化性樹脂組成物層ということがある。
支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
樹脂組成物が熱硬化性樹脂組成物である場合、金属箔を支持体として使用してもよい。金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
市販の支持体としては、例えば、王子製紙社製の製品名「アルファンMA-410」、「E-200C」、タマポリ社製の製品名「GF-1」、「GF-8」信越フィルム社製等のポリプロピレンフィルム、帝人社製の製品名「PS-25」等のPSシリーズなどのポリエチレンテレフタレートフィルム等が挙げられるが、これらに限られたものではない。
また、支持体としては、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層付き支持体は、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック社製の「SK-1」、「AL-5」、「AL-7」、東レ社製の「ルミラーT60」、帝人社製の「ピューレックス」、ユニチカ社製の「ユニピール」等が挙げられる。
支持体の厚みとしては、特に限定されないが、5μm~150μmの範囲が好ましく、10μm~100μmの範囲がより好ましい。なお、離型層付き支持体を使用する場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
樹脂組成物層の厚さは、特に制限は無く、例えば1μm以上200μm以下でありうる。中でも、好ましくは2μm以上、より好ましくは4μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。
樹脂組成物層は、保護フィルムで保護されていてもよい。樹脂組成物層が保護フィルムで保護されることにより、樹脂組成物層の表面へのゴミの付着やキズを抑制できる。保護フィルムとしては、例えば、上記の支持体と同様の材料により構成されたフィルムを用いることができる。保護フィルムの厚さは特に限定されないが、1μm~40μmの範囲であることが好ましく、5μm~30μmの範囲であることがより好ましく、10μm~30μmの範囲であることが更に好ましい。保護フィルムは、樹脂組成物層と支持体との接着力に対して、樹脂組成物層と保護フィルムとの接着力の方が小さいものが好ましい。
樹脂フィルムは、例えば、樹脂組成物を支持体上に塗布し、必要に応じて(F)成分を乾燥させることにより製造することができる。また、樹脂フィルムは、例えば、(F)成分に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーター等を用いて支持体上に塗布し、更に乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の方法により実施してよい。乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%~60質量%の有機溶剤を含む樹脂ワニスを用いる場合、50℃~150℃で3分間~10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
樹脂フィルムは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。樹脂フィルムが保護フィルムを有する場合、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
[半導体パッケージ基板]
本発明の半導体パッケージ基板は、本発明の樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む。該絶縁層は、再配線形成層、層間絶縁層、バッファーコート膜またはソルダーレジストとして使用することが好ましい。
本発明の第1実施形態の半導体パッケージ基板は、本発明の樹脂組成物の第1実施形態である感光性樹脂組成物を用いて製造することができ、感光性樹脂組成物の硬化物は絶縁層として用いられる。具体的には、半導体パッケージ基板の製造方法は、
(I)回路基板上に、本発明の第1実施形態である感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂組成物層を形成する工程、
(II)感光性樹脂組成物層に活性光線を照射する工程、及び
(III)感光性樹脂組成物層を現像する工程、
をこの順に含む。
<工程(I)>
感光性樹脂組成物層の形成方法としては、感光性樹脂組成物を含む樹脂ワニスを直接的に回路基板上に塗布する方法、及び前記樹脂フィルムを用いる方法が挙げられる。
感光性樹脂組成物を含む樹脂ワニスを直接的に回路基板上に塗布する場合、(F)成分を乾燥、揮発させることにより、回路基板上に感光性樹脂組成物層を形成する。
樹脂ワニスの塗布方式としては、例えば、グラビアコート方式、マイクログラビアコート方式、リバースコート方式、キスリバースコート方式、ダイコート方式、スロットダイ方式、リップコート方式、コンマコート方式、ブレードコート方式、ロールコート方式、ナイフコート方式、カーテンコート方式、チャンバーグラビアコート方式、スロットオリフィス方式、スピンコート方式、スリットコート方式、スプレーコート方式、ディップコート方式、ホットメルトコート方式、バーコート方式、アプリケーター方式、エアナイフコート方式、カーテンフローコート方式、オフセット印刷方式、刷毛塗り方式、スクリーン印刷法による全面印刷方式等が挙げられる。
樹脂ワニスは、数回に分けて塗布してもよいし、1回で塗布してもよく、また異なる方式を複数組み合わせて塗布してもよい。中でも、均一塗工性に優れる、ダイコート方式が好ましい。また、異物混入等をさけるために、クリーンルーム等の異物発生の少ない環境で塗布工程を実施することが好ましい。
樹脂ワニスを塗布後、必要に応じて熱風炉あるいは遠赤外線炉等で乾燥を行う。乾燥条件は、80℃~120℃で3分間~13分間とすることが好ましい。このようにして、回路基板上に感光性樹脂組成物層が形成される。
回路基板としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。なお、ここで回路基板とは、上記のような支持基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)が形成された基板をいう。また導体層と絶縁層とを交互に積層してなる多層プリント配線板において、該多層プリント配線板の最外層の片面又は両面がパターン加工された導体層(回路)となっている基板も、ここでいう回路基板に含まれる。なお導体層表面には、黒化処理、銅エッチング等により予め粗化処理が施されていてもよい。
一方、樹脂フィルムを用いる場合には、感光性樹脂組成物層側を、真空ラミネーターを用いて回路基板の片面又は両面にラミネートする。ラミネート工程において、樹脂フィルムが保護フィルムを有している場合には該保護フィルムを除去した後、必要に応じて樹脂フィルム及び回路基板をプレヒートし、感光性樹脂組成物層を加圧及び加熱しながら回路基板に圧着する。樹脂フィルムにおいては、真空ラミネート法により減圧下で回路基板にラミネートする方法が好適に用いられる。
ラミネートの条件は、特に限定されるものではないが、例えば、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは70℃~140℃とし、圧着圧力を好ましくは1kgf/cm~11kgf/cm(9.8×10N/m~107.9×10N/m)、圧着時間を好ましくは5秒間~300秒間とし、空気圧を20mmHg(26.7hPa)以下とする減圧下でラミネートすることが好ましい。また、ラミネート工程は、バッチ式であってもロールを用いる連続式であってもよい。真空ラミネート法は、市販の真空ラミネーターを使用して行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、ニッコー・マテリアルズ社製バキュームアップリケーター、名機製作所社製真空加圧式ラミネーター、日立インダストリイズ社製ロール式ドライコータ、日立エーアイーシー社製真空ラミネーター等を挙げることができる。
<工程(II)>
回路基板上に感光性樹脂組成物層が設けられた後、次いで、マスクパターンを通して、感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射する露光工程を行う。活性光線としては、例えば、紫外線、可視光線、電子線、X線等が挙げられ、特に紫外線が好ましい。紫外線の照射量はおおむね10mJ/cm~1000mJ/cmである。露光方法にはマスクパターンを回路基板に密着させて行う接触露光法と、密着させずに平行光線を使用して露光する非接触露光法とがあるが、どちらを用いてもかまわない。
工程(II)では、マスクパターンとして、例えば、丸穴パターン等のビアパターンを用いてビアを形成することができる。ビア径(開口径)としては、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。下限は特に限定されないが、0.1μm以上、0.5μm以上等としうる。
<工程(III)>
露光工程後、感光性樹脂組成物層の露光されなかった部分を現像液により除去する現像工程を行うことにより、パターンを形成することができる。現像は、通常ウェット現像により行う。
上記ウェット現像の場合、現像液としては、アルカリ性溶液、水系現像液、有機溶剤等の安全かつ安定であり操作性が良好な現像液が用いられる。また、現像方法としては、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法が適宜採用される。
現像液として使用されるアルカリ性水溶液としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム等の炭酸塩又は重炭酸塩、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等のアルカリ金属リン酸塩、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等のアルカリ金属ピロリン酸塩の水溶液や、水酸化テトラアルキルアンモニウム等の金属イオンを含有しない有機塩基の水溶液が挙げられ、金属イオンを含有せず、半導体チップに影響を与えないという点で水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の水溶液が好ましい。
これらのアルカリ性水溶液には、現像効果の向上のため、界面活性剤、消泡剤等を含むことができる。上記アルカリ性水溶液のpHは、例えば、8~12の範囲であることが好ましく、9~11の範囲であることがより好ましい。また、上記アルカリ性水溶液の塩基濃度は、0.1質量%~10質量%とすることが好ましい。上記アルカリ性水溶液の温度は、感光性樹脂組成物層の現像性に合わせて適宜選択することができるが、20℃~50℃とすることが好ましい。
現像液として使用される有機溶剤は、例えば、アセトン、酢酸エチル、炭素原子数1~4のアルコキシ基を有するアルコキシエタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、シクロペンタノン、シクロヘキサノンである。
このような有機溶剤の濃度は、現像液全量に対して2質量%~90質量%であることが好ましい。また、このような有機溶剤の温度は、現像性にあわせて調節することができる。さらに、このような有機溶剤は単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。単独で用いる有機溶剤系現像液としては、例えば、1,1,1-トリクロロエタン、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、γ-ブチロラクトンが挙げられる。
パターン形成においては、必要に応じて、2種類以上の現像方法を併用して用いてもよい。現像の方式には、ディップ方式、バトル方式、スプレー方式、高圧スプレー方式、ブラッシング、スラッピング等があり、高圧スプレー方式が解像度向上のためには好適である。スプレー方式を採用する場合のスプレー圧としては、0.05MPa~0.3MPaが好ましい。
<熱硬化(ポストベーク)工程>
上記工程(III)終了後、必要に応じて、熱硬化(ポストベーク)工程を行う。上述した工程(I)~(III)において感光性樹脂組成物層の硬化が進行することはありえるが、熱硬化工程により感光性樹脂組成物の硬化を更に進行させて、機械的強度も優れる絶縁層を得ることができる。ポストベーク工程としては、クリーンオーブンを用いた加熱工程等が挙げられる。熱硬化時の雰囲気は、空気中であっても良いし、窒素などの不活性気体雰囲気下でも良い。また加熱の条件は、感光性樹脂組成物中の樹脂成分の種類、含有量などに応じて適宜選択すればよいが、好ましくは150℃~250℃で20分間~180分間の範囲、より好ましくは160℃~230℃で30分間~120分間の範囲で選択される。
<その他の工程>
半導体パッケージ基板の製造方法は、硬化した感光性樹脂組成物層として絶縁層を形成後、さらに穴あけ工程、デスミア工程を含んでもよい。これらの工程は、半導体パッケージ基板の製造に用いられる、当業者に公知の各種方法に従って実施してよい。
絶縁層を形成した後、所望により、回路基板上に形成された絶縁層に穴あけ工程を行ってビアホール、スルーホールを形成する。穴あけ工程は、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等の公知の方法により、また必要によりこれらの方法を組み合わせて行うことができるが、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等のレーザーによる穴あけ工程が好ましい。
デスミア工程は、デスミア処理する工程である。穴あけ工程において形成された開口部内部には、一般に、樹脂残渣(スミア)が付着している。斯かるスミアは、電気接続不良の原因となるため、この工程においてスミアを除去する処理(デスミア処理)を実施する。
デスミア処理は、乾式デスミア処理、湿式デスミア処理又はこれらの組み合わせによって実施してよい。
乾式デスミア処理としては、例えば、プラズマを用いたデスミア処理等が挙げられる。プラズマを用いたデスミア処理は、市販のプラズマデスミア処理装置を使用して実施することができる。市販のプラズマデスミア処理装置の中でも、半導体パッケージ基板の製造用途に好適な例として、ニッシン社製のマイクロ波プラズマ装置、積水化学工業社製の常圧プラズマエッチング装置等が挙げられる。
湿式デスミア処理としては、例えば、酸化剤溶液を用いたデスミア処理等が挙げられる。酸化剤溶液を用いてデスミア処理する場合、膨潤液による膨潤処理、酸化剤溶液による酸化処理、中和液による中和処理をこの順に行うことが好ましい。膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン社製の「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」等を挙げることができる。膨潤処理は、ビアホール等の形成された基板を、60℃~80℃に加熱した膨潤液に5分間~10分間浸漬させることにより行うことが好ましい。酸化剤溶液としては、アルカリ性過マンガン酸水溶液が好ましく、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解した溶液を挙げることができる。酸化剤溶液による酸化処理は、膨潤処理後の基板を、60℃~80℃に加熱した酸化剤溶液に10分間~30分間浸漬させることにより行うことが好ましい。アルカリ性過マンガン酸水溶液の市販品としては、例えば、アトテックジャパン社製の「コンセントレート・コンパクトCP」、「ド-ジングソリューション・セキュリガンスP」等が挙げられる。中和液による中和処理は、酸化処理後の基板を、30℃~50℃の中和液に3分間~10分間浸漬させることにより行うことが好ましい。中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン社製の「リダクションソリューション・セキュリガントP」が挙げられる。
乾式デスミア処理と湿式デスミア処理を組み合わせて実施する場合、乾式デスミア処理を先に実施してもよく、湿式デスミア処理を先に実施してもよい。
絶縁層を、再配線形成層、層間絶縁層、及びソルダーレジストのいずれとして形成する場合でも、熱硬化工程後に、穴あけ工程及びデスミア工程を行ってもよい。また、半導体パッケージ基板の製造方法では、更に、メッキ工程を行ってもよい。
メッキ工程は、絶縁層上に導体層を形成する工程である。導体層は、絶縁層形成後にスパッタにより導体層を形成してもよく、無電解メッキと電解メッキとを組み合わせて形成してもよく、また、導体層とは逆パターンのメッキレジストを形成し、無電解メッキのみで導体層を形成してもよい。その後のパターン形成の方法として、例えば、当業者に公知のサブトラクティブ法、セミアディティブ法などを用いることができる。
本発明の第2実施形態の半導体パッケージ基板は、本発明の樹脂組成物の第2実施形態である熱硬化性樹脂組成物を用いて製造することができ、熱硬化性樹脂組成物の硬化物は絶縁層として用いられる。具体的には、半導体パッケージ基板の製造方法は、
(IV)回路基板上に、本発明の第2の実施形態である熱硬化性樹脂組成物を含む熱硬化性樹脂組成物層を形成する工程、及び
(V)熱硬化性樹脂組成物層を硬化して絶縁層を形成する工程、
をこの順に含む。
<工程(IV)>
熱硬化性樹脂組成物層の形成方法としては、熱硬化性樹脂組成物を含む樹脂ワニスを直接的に回路基板上に塗布する方法、及び前記樹脂フィルムを用いる方法が挙げられる。樹脂ワニスの塗布方式、樹脂フィルムを用いて熱硬化性樹脂組成物層を形成する方法、及び回路基板については上記<工程(I)>にて上述したとおりである。
<工程(V)>
回路基板上に熱硬化性樹脂組成物層が設けられた後、熱硬化性樹脂組成物層を硬化して、熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層を形成する。
熱硬化性樹脂組成物層の熱硬化条件は、樹脂組成物の種類によっても異なるが、一実施形態において、硬化温度は好ましくは120℃~240℃、より好ましくは150℃~220℃、さらに好ましくは170℃~210℃である。硬化時間は好ましくは5分間~120分間、より好ましくは10分間~100分間、さらに好ましくは15分間~100分間とすることができる。
熱硬化性樹脂組成物層を熱硬化させる前に、熱硬化性樹脂組成物層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。例えば、熱硬化性樹脂組成物層を熱硬化させるのに先立ち、50℃~120℃、好ましくは60℃~115℃、より好ましくは70℃~110℃の温度にて、熱硬化性樹脂組成物層を5分間以上、好ましくは5分間~150分間、より好ましくは15分間~120分間、さらに好ましくは15分間~100分間予備加熱してもよい。
樹脂フィルムを用いて熱硬化性樹脂組成物層を形成た場合、支持体は、工程(IV)と工程(V)の間に除去してもよく、工程(V)の後に除去してもよい。
半導体パッケージ基板の製造方法は、硬化した熱硬化性樹脂組成物層として絶縁層を形成後、さらに穴あけ工程、デスミア工程を含んでもよい。穴あけ工程、デスミア工程については上記したとおりである。
本発明の第3実施形態に係る半導体パッケージ基板は、上述の樹脂組成物を用いて製造することができ、樹脂組成物の硬化物は再配線形成層として用いられ、樹脂組成物は感光性樹脂組成物が好ましい。具体的には、半導体パッケージ基板の製造方法は、
(A)基材に仮固定フィルムを積層する工程、
(B)半導体チップを、仮固定フィルム上に仮固定する工程、
(C)半導体チップ上に封止層を形成する工程、
(D)基材及び仮固定フィルムを半導体チップから剥離する工程、
(E)半導体チップの基材及び仮固定フィルムを剥離した面に、絶縁層としての再配線形成層を形成する工程、
(F)再配線形成層上に、導体層としての再配線層を形成する工程、並びに、
(G)再配線層上にソルダーレジスト層を形成する工程、
を含む。また、前記の半導体チップパッケージの製造方法は、
(H)複数の半導体チップパッケージを、個々の半導体チップパッケージにダイシングし、個片化する工程、
を含んでいてもよい。
<工程(A)>
工程(A)は、基材に仮固定フィルムを積層する工程である。基材と仮固定フィルムとの積層条件は、特に限定されるものではないが、例えば、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは70℃~140℃とし、圧着圧力を好ましくは1kgf/cm~11kgf/cm、圧着時間を好ましくは5秒間~300秒間とし、空気圧を20mmHg以下とする減圧下でラミネートするのが好ましい。また、ラミネート工程は、バッチ式であってもロールを用いる連続式であってもよい。真空ラミネート法は、市販の真空ラミネーターを使用して行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、ニッコー・マテリアルズ社製バキュームアップリケーター、名機製作所社製真空加圧式ラミネーター、日立インダストリイズ社製ロール式ドライコータ、日立エーアイーシー社製真空ラミネーター等を挙げることができる。
基材としては、例えば、シリコンウェハ;ガラスウェハ;ガラス基板;銅、チタン、ステンレス、冷間圧延鋼板(SPCC)等の金属基板;FR-4基板等の、ガラス繊維にエポキシ樹脂等をしみこませ熱硬化処理した基板;BT樹脂等のビスマレイミドトリアジン樹脂からなる基板;などが挙げられる。
仮固定フィルムは、半導体チップから剥離でき、且つ、半導体チップを仮固定することができる任意の材料を用いうる。市販品としては、日東電工社製「リヴァアルファ」等が挙げられる。
<工程(B)>
工程(B)は、半導体チップを、仮固定フィルム上に仮固定する工程である。半導体チップの仮固定は、例えば、フリップチップボンダー、ダイボンダー等の装置を用いて行うことができる。半導体チップの配置のレイアウト及び配置数は、仮固定フィルムの形状、大きさ、目的とする半導体パッケージの生産数等に応じて適切に設定できる。例えば、複数行で、かつ複数列のマトリックス状に半導体チップを整列させて、仮固定してもよい。
<工程(C)>
工程(C)は、半導体チップ上に封止層を形成する工程である。封止層は、絶縁性を有する任意の材料を用いることができ、本発明の樹脂組成物を用いてもよい。封止層は、通常、半導体チップ上に封止用樹脂組成物層を形成する工程と、この樹脂組成物層を熱硬化又は光硬化させて封止層を形成する工程とを含む方法で形成する。
封止用樹脂組成物層の形成は、圧縮成型法によって行うことが好ましい。圧縮成型法では、通常、半導体チップ及び封止用樹脂組成物を型に配置し、その型内で封止用樹脂組成物に圧力及び必要に応じて熱を加えて、半導体チップを覆う封止用樹脂組成物層を形成する。
圧縮成型法の具体的な操作は、例えば、下記のようにし得る。圧縮成型用の型として、上型及び下型を用意する。また、前記のように仮固定フィルム上に仮固定された半導体チップに、封止用樹脂組成物を塗布する。封止用樹脂組成物を塗布された半導体チップを、基材及び仮固定フィルムと一緒に、下型に取り付ける。その後、上型と下型とを型締めして、封止用樹脂組成物に熱及び圧力を加えて、圧縮成型を行う。
また、圧縮成型法の具体的な操作は、例えば、下記のようにしてもよい。圧縮成型用の型として、上型及び下型を用意する。下型に、封止用樹脂組成物を載せる。また、上型に、半導体チップを、基材及び仮固定フィルムと一緒に取り付ける。その後、下型に載った封止用樹脂組成物が上型に取り付けられた半導体チップに接するように上型と下型とを型締めし、熱及び圧力を加えて、圧縮成型を行う。
成型条件は、封止用樹脂組成物の組成により異なり、良好な封止が達成されるように適切な条件を採用できる。例えば、成型時の型の温度は、封止用樹脂組成物が優れた圧縮成型性を発揮できる温度が好ましく、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、特に好ましくは120℃以上であり、好ましくは200℃以下、より好ましくは170℃以下、特に好ましくは150℃以下である。また、成形時に加える圧力は、好ましくは1MPa以上、より好ましくは3MPa以上、特に好ましくは5MPa以上であり、好ましくは50MPa以下、より好ましくは30MPa以下、特に好ましくは20MPa以下である。キュアタイムは、好ましくは1分以上、より好ましくは2分以上、特に好ましくは5分以上であり、好ましくは60分以下、より好ましくは30分以下、特に好ましくは20分以下である。通常、封止用樹脂組成物層の形成後、型は取り外される。型の取り外しは、封止用樹脂組成物層の熱硬化前に行ってもよく、熱硬化後に行ってもよい。
圧縮成型法は、カートリッジ内に充填した封止用樹脂組成物を下型に吐出させることによって行ってもよい。
<工程(D)>
工程(D)は、基材及び仮固定フィルムを半導体チップから剥離する工程である。剥離方法は、仮固定フィルムの材質に応じた適切な方法を採用することが望ましい。剥離方法としては、例えば、仮固定フィルムを加熱、発泡又は膨張させて剥離する方法が挙げられる。また、剥離方法としては、例えば、基材を通して仮固定フィルムに紫外線を照射して、仮固定フィルムの粘着力を低下させて剥離する方法が挙げられる。
仮固定フィルムを加熱、発泡又は膨張させて剥離する方法において、加熱条件は、通常、100℃~250℃で1秒間~90秒間又は5分間~15分間である。また、紫外線を照射して仮固定フィルムの粘着力を低下させて剥離する方法において、紫外線の照射量は、通常、10mJ/cm~1000mJ/cmである。
<工程(E)>
工程(E)は、半導体チップの基材及び仮固定フィルムを剥離した面に、絶縁層としての再配線形成層を形成する工程である。再配線形成層は、本発明の樹脂組成物を用いる。樹脂組成物は、感光性樹脂組成物及び熱硬化性樹脂組成物のいずれであってもよく、感光性樹脂組成物が好ましい。再配線形成層の形成方法は、第1実施形態における工程(I)の感光性樹脂組成物層の形成方法及び第2実施形態における工程(IV)の熱硬化性樹脂組成物層の形成方法と同様である。
再配線形成層を形成するとき、半導体チップと再配線層とを層間接続するために、再配線形成層にビアホールを形成してもよい。
ビアホールは、通常、再配線形成層の形成のための感光性樹脂組成物層の表面に、マスクパターンを通して活性光線を照射する露光工程と、活性光線が照射されていない非露光部を現像して除去する現像工程と、を行うことで形成することができる。活性光線の照射量及び照射時間は、感光性樹脂組成物層に応じて適切に設定できる。露光方法としては、例えば、マスクパターンを感光性樹脂組成物層に密着させて露光する接触露光法、マスクパターンを感光性樹脂組成物層に密着させずに平行光線を使用して露光する非接触露光法等が挙げられる。活性光線、アルカリ水溶液、露光現像方法は上記したとおりである。
ビアホールの形状は、特に限定されないが、一般的には円形(略円形)とされる。ビアホールのトップ径は、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下であり、好ましくは0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上である。ここで、ビアホールのトップ径とは、再配線形成層の表面でのビアホールの開口の直径をいう。
<工程(F)>
工程(F)は、再配線形成層上に、導体層としての再配線層を形成する工程である。再配線形成層上に再配線層を形成する方法は、第1実施形態における絶縁層上への導体層の形成方法と同様でありうる。また、工程(E)及び工程(F)を繰り返し行い、再配線層及び再配線形成層を交互に積み上げて(ビルドアップ)もよい。
<工程(G)>
工程(G)は、再配線層上にソルダーレジスト層を形成する工程である。ソルダーレジスト層の材料は、絶縁性を有する任意の材料を用いることができる。中でも、半導体チップパッケージの製造のしやすさの観点から、感光性樹脂及び熱硬化性樹脂が好ましい。また、本発明の感光性樹脂組成物を用いてもよい。
また、工程(G)では、必要に応じて、バンプを形成するバンピング加工を行ってもよい。バンピング加工は、半田ボール、半田めっきなどの方法で行うことができる。また、バンピング加工におけるビアホールの形成は、工程(E)と同様に行うことができる。
半導体チップパッケージの製造方法は、工程(A)~(G)以外に、工程(H)を含んでいてもよい。工程(H)は、複数の半導体チップパッケージを個々の半導体チップパッケージにダイシングし、個片化する工程である。半導体チップパッケージを個々の半導体チップパッケージにダイシングする方法は特に限定されない。
[半導体装置]
上述した半導体チップパッケージが実装される半導体装置としては、例えば、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、スマートフォン、タブレット型デバイス、ウェラブルデバイス、デジタルカメラ、医療機器、及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、別途明示のない限り、「部」及び「%」は「質量部」及び「質量%」をそれぞれ意味する。
<合成例1:PEEK樹脂(A-1)の合成>
4,4’-ジフルオロベンゾフェノン21.8g、t-ブチルヒドロキノン16.6g、炭酸カリウム15.1gを500mL容量のセパラブルフラスコに入れ、N-メチル-2-ピロリドン150mLを入れ、窒素下、室温下で30分撹拌した。185℃になるまで加温し、3時間重合した。
次に、得られた反応液を2Lの超純水に滴下して、ポリマーを析出させることで精製した。精製したポリマーを濾別した後、真空乾燥にて80℃加熱下乾燥させることでPEE樹脂K(A-1)を35g得た。PEEK樹脂(A-1)は下記構造単位を有しており、PEEK樹脂(A-1)の重量平均分子量(Mw)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ150,000であった。
Figure 2023092854000017
<合成例2:PEEK樹脂(A-2)の合成>
4,4’-ジフルオロベンゾフェノン21.8g、BisP-CDE(ビスフェノール体、本州化学社製)を35.5g、炭酸カリウム15.1gを500mL容量のセパラブルフラスコに入れ、N-メチル-2-ピロリドン150mLを入れ、窒素下、室温下で30分撹拌した。185℃になるまで加温し、3時間重合した。
次に、得られた反応液を2Lの超純水に滴下して、ポリマーを析出させることで精製した。精製したポリマーを濾別した後、真空乾燥にて80℃加熱下乾燥させることでPEEK樹脂(A-2)を52g得た。PEEK樹脂(A-2)は下記構造単位を有しており、PEEK樹脂(A-2)の重量平均分子量(Mw)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ180,000であった。
Figure 2023092854000018
<合成例3:PEEK樹脂(A-3)の合成>
4,4’-ジフルオロベンゾフェノン21.8g、BisP-3MZ(ビスフェノール体、本州化学社製)を28.2g、炭酸カリウム15.1gを500mL容量のセパラブルフラスコに入れ、N-メチル-2-ピロリドン150mLを入れ、窒素下、室温下で30分撹拌した。185℃になるまで加温し、3時間重合した。
次に、得られた反応液を2Lの超純水に滴下して、ポリマーを析出させることで精製した。精製したポリマーを濾別した後、真空乾燥にて80℃加熱下乾燥させることでPEEK樹脂(A-3)を45g得た。PEEK樹脂(A-3)は下記構造単位を有しており、PEEK樹脂(A-3)の重量平均分子量(Mw)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ160,000であった。
Figure 2023092854000019
<合成例4:PEEK樹脂(A-4)の合成>
4,4’-ジフルオロベンゾフェノン21.8g、BisP-HTG(ビスフェノール体、本州化学社製)を31.0g、炭酸カリウム15.1gを500mL容量のセパラブルフラスコに入れ、N-メチル-2-ピロリドン150mLを入れ、窒素下、室温下で30分撹拌した。185℃になるまで加温し、3時間重合した。
次に、得られた反応液を2Lの超純水に滴下して、ポリマーを析出させることで精製した。精製したポリマーを濾別した後、真空乾燥にて80℃加熱下乾燥させることでPEEK樹脂(A-4)を45g得た。PEEK樹脂(A-4)は下記構造単位を有しており、PEEK樹脂(A-4)の重量平均分子量(Mw)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ160,000であった。
Figure 2023092854000020
<合成例5:PEEK樹脂(A-5)の合成>
4,4’-ジフルオロベンゾフェノン21.8g、BisP-MIBK(ビスフェノール体、本州化学社製)を27.0g、炭酸カリウム15.1gを500mL容量のセパラブルフラスコに入れ、N-メチル-2-ピロリドン150mLを入れ、窒素下、室温下で30分撹拌した。185℃になるまで加温し、3時間重合した。
次に、得られた反応液を2Lの超純水に滴下して、ポリマーを析出させることで精製した。精製したポリマーを濾別した後、真空乾燥にて80℃加熱下乾燥させPEEK樹脂(A-5)を43g得た。PEEK樹脂(A-5)は下記構造単位を有しており、PEEK樹脂(A-5)の重量平均分子量(Mw)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ130,000であった。
Figure 2023092854000021
<合成例6:PEEK樹脂(A-6)の合成>
4,4’-ジフルオロベンゾフェノン21.8g、ハイドロキノンを11.0g、炭酸カリウム15.1gを500mL容量のセパラブルフラスコに入れ、N-メチル-2-ピロリドン150mLを入れ、窒素下、室温下で30分撹拌した。185℃になるまで加温し、3時間重合した。
次に、得られた反応液を2Lの超純水に滴下して、ポリマーを析出させることで精製した。精製したポリマーを濾別した後、真空乾燥にて80℃加熱下乾燥させPEEK樹脂(A-6)を28g得た。PEEK樹脂(A-6)は下記構造単位を有しており、PEEK樹脂(A-6)の重量平均分子量(Mw)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ80,000であった。
Figure 2023092854000022
<合成例7:PEEK樹脂(A-7)の合成>
4,4’-ジフルオロベンゾフェノン21.8g、ビスフェノールF20.0g、炭酸カリウム15.1gを500mL容量のセパラブルフラスコに入れ、N-メチル-2-ピロリドン150mLを入れ、窒素下、室温下で30分撹拌した。185℃になるまで加温し、3時間重合した。
次に、得られた反応液を2Lの超純水に滴下して、ポリマーを析出させることで精製した。精製したポリマーを濾別した後、真空乾燥にて80℃加熱下乾燥させPEEK樹脂(A-7)を38g得た。PEEK樹脂(A-7)は下記構造単位を有しており、PEEK樹脂(A-7)の重量平均分子量(Mw)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ110,000であった。
Figure 2023092854000023
<合成例8:PEEK樹脂(A-8)の合成>
4,4’-ジフルオロベンゾフェノン21.8g、ビスフェノールA22.8g、炭酸カリウム15.1gを500mL容量のセパラブルフラスコに入れ、N-メチル-2-ピロリドン150mLを入れ、窒素下、室温下で30分撹拌した。185℃になるまで加温し、3時間重合した。
次に、得られた反応液を2Lの超純水に滴下して、ポリマーを析出させることで精製した。精製したポリマーを濾別した後、真空乾燥にて80℃加熱下乾燥させPEEK樹脂(A-8)を38g得た。PEEK樹脂(A-8)は下記構造単位を有しており、PEEK樹脂(A-8)の重量平均分子量(Mw)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ140,000であった。
Figure 2023092854000024
<合成例9:PEEK樹脂(A-9)の合成>
4,4’-ジフルオロベンゾフェノン21.8g、BisOC-FL(ビスフェノール体、本州化学社製)37.8g、炭酸カリウム15.1gを500mL容量のセパラブルフラスコに入れ、N-メチル-2-ピロリドン150mLを入れ、窒素下、室温下で30分撹拌した。185℃になるまで加温し、3時間重合した。
次に、得られた反応液を2Lの超純水に滴下して、ポリマーを析出させることで精製した。精製したポリマーを濾別した後、真空乾燥にて80℃加熱下乾燥させPEEK樹脂(A-9)を52g得た。PEEK樹脂(A-9)は下記構造単位を有しており、PEEK樹脂(A-9)の重量平均分子量(Mw)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ160,000であった。
Figure 2023092854000025
<溶解性試験>
合成例1~9で合成したPEEK樹脂を、それぞれ10質量%となるようにシクロペンタノン溶剤に加え、100℃で1時間加熱し、以下の基準で評価した。
〇:PEEK樹脂が溶解した。
×:PEEK樹脂が溶解しなかった。
<硬化フィルムの作製>
合成例1~9で合成したPEEK樹脂を、それぞれ10質量%となるようにN-メチルピロリドン溶剤に加え、100℃で1時間加熱した。次に溶解させたPEEK樹脂をアルキド系離型処理付きポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、リンテック社製「AL-5」、厚さ38μm)の離型面上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚みが20μmとなるようにダイコーターにて均一に塗布し、80~110℃(平均95℃)で5分間乾燥し、180℃で2時間加熱し、支持体であるPETフィルムを剥離することにより硬化フィルムを作製した。
<誘電率、誘電正接の測定>
硬化フィルムから、幅2mm、長さ80mmの試験片を切り取った。切り出した試験片について、アジレントテクノロジーズ(Agilent Technologies)社製の測定装置「HP8362B」を用いて、空洞共振摂動法により、測定周波数5.8GHz、測定温度23℃にて誘電正接を測定した。
<誘電特性の評価>
また、上記誘電率及び誘電正接の測定結果から、誘電特性を以下の基準で評価した。
〇:誘電率が3.0未満であり、且つ誘電正接が0.01未満である。
×:誘電率が3.0以上である、又は誘電正接が0.01以上である。
Figure 2023092854000026
<ネガ型感光性樹脂組成物の調製>
合成例1~9で合成した(A)成分を100質量部、並びに下記表の添加量の(B)成分として下記構造式B-1で表される架橋剤、(C)成分として下記構造式C-1で表される光ラジカル開始剤、及び(D)成分として下記構造式D-1で表される増感剤を、N-メチルピロリドンに溶解して、それぞれネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
なお、下記表において、(B)成分、(C)及び(D)成分の添加量は、PEEK樹脂100質量部に対する添加量(質量部)を示す。溶剤の使用量は、いずれもPEEK樹脂100質量部に対して900質量部であった。
Figure 2023092854000027
Figure 2023092854000028
Figure 2023092854000029
Figure 2023092854000030
<限界解像性(解像性)の評価>
上記表のネガ型感光性樹脂組成物を、シリコンウエハー上に10μm膜厚で銅めっきを積層し、1%塩酸水溶液で10秒間疎化処理した基板上に、スピンコーターを用いて膜厚が25μmになるに適した回転数で塗布後、ホットプレート上で120℃で5分間加熱し、感光性樹脂組成物層を作製した。これを積層体という。
作製した積層体を、紫外線(波長365nm、強度40mW/cm)で露光を行った。露光量は50mJ/cmから1000mJ/cmの範囲の最適値を設定した。露光パターンは開口20μm、25μm、30μmの丸穴(ビア)を描画させる石英ガラスマスクを使用した。
次に、該積層板上の感光性樹脂組成物層の全面に、現像液としてシクロペンタノンをスプレー圧0.2MPaにて30秒から300秒の間の最適時間でスプレー現像を行い、続いて、酢酸2-メトキシ-1-メチルエチル(PGMEA)をスプレー圧0.2MPaにて30秒間スプレーリンスを行った。さらに180℃、120分間の加熱処理を行って感光性樹脂組成物層を硬化させた。
硬化させた感光性樹脂組成物層の露光パターンの開口20μm、25μm、30μmのビアの底部の径をSEMで観察(倍率1000倍)して測定した。開口可能な最小サイズを限界解像性とした。
<誘電率、誘電正接の測定>
作製した各感光性樹脂組成物を、アルキド系離型処理付きポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、リンテック社製「AL-5」、厚さ38μm)の離型面上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚みが20μmとなるようにダイコーターにて均一に塗布した。このPETフィルム上の感光性樹脂組成物を、80~110℃(平均95℃)で5分間乾燥し、180℃で2時間加熱し、PETフィルムを剥離することにより硬化フィルムを作製した。
硬化フィルムから、幅2mm、長さ80mmの試験片を切り取った。切り出した試験片について、アジレントテクノロジーズ(Agilent Technologies)社製の測定装置「HP8362B」を用いて、空洞共振摂動法により、測定周波数5.8GHz、測定温度23℃にて誘電正接を測定した。
Figure 2023092854000031
実施例6~10において、(B)~(D)成分を含有しない場合であっても、程度に差はあるものの、露光量を増加させることで、上記実施例と同様の結果に帰着することを確認している。

Claims (11)

  1. (A)炭素原子数が4以上の脂肪族炭化水素基を有するポリエーテルエーテルケトン樹脂、を含有する、樹脂組成物。
  2. (A)成分が、下記式(A-1)で表される構造単位、及び下記式(A-2)で表される構造単位のいずれかを有する、請求項1に記載の樹脂組成物。
    Figure 2023092854000032
    式(A-1)中、Ar、Ar、Ar、Arは、それぞれ独立に2価の芳香族炭化水素基を表す。R11は、炭素原子数が4以上の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
    式(A-2)中、Ar、Ar、Arは、それぞれ独立に2価の芳香族炭化水素基を表す。R12は、炭素原子数が4以上の1価の脂肪族炭化水素基を表す。
  3. (A)成分の重量平均分子量が、10000以上500000以下である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 感光性樹脂組成物である、請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. さらに、(B)架橋剤、及び(C)光ラジカル発生剤を含有する、請求項4に記載の樹脂組成物。
  6. さらに(D)増感剤、を含有する、請求項4又は5に記載の樹脂組成物。
  7. 支持体上に、請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる樹脂組成物層が形成されている、樹脂フィルム。
  8. 請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む半導体パッケージ基板。
  9. 請求項8に記載の半導体パッケージ基板を含む、半導体装置。
  10. 回路基板上に、請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む樹脂組成物層を形成する工程と、
    樹脂組成物層に活性光線を照射する工程と、
    樹脂組成物層を現像する工程と、を含む、半導体パッケージ基板の製造方法。
  11. 回路基板上に、請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む樹脂組成物層を形成する工程と、
    樹脂組成物層を熱硬化する工程と、を含む、半導体パッケージ基板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024117245A1 (ja) * 2022-12-01 2024-06-06 本州化学工業株式会社 ポリアリールエーテルケトン樹脂組成物及びその成形物品、ポリアリールエーテルケトン樹脂組成物の製造方法

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