JP2018155994A - 感光性樹脂組成物、感光性エレメント、レジストパターンの形成方法、導体回路を有する構造体の製造方法及び配線板の製造方法 - Google Patents

感光性樹脂組成物、感光性エレメント、レジストパターンの形成方法、導体回路を有する構造体の製造方法及び配線板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】貼り付き性を変化させずに、剥離性に優れるレジストパターンを形成可能な感光性樹脂組成物、及び感光性樹脂層を用いて熱硬化性樹脂層に開口を形成した導体回路を有する構造体の製造方法と該構造体を用いるプリント基板の製造方法の提供。【解決手段】(A)バインダーポリマーと、(B)光重合性化合物と、(C)光重合開始剤と、(D)一般式(1)に示す含窒素化合物と、を含む感光性樹脂組成物。【選択図】図1

Description

本開示は、感光性樹脂組成物、感光性エレメント、レジストパターンの形成方法、導体回路を有する構造体の製造方法及び配線板の製造方法に関する。
配線板の製造分野においては、エッチング処理又はめっき処理に用いられるレジスト材料として、感光性樹脂組成物が広く知られている。
配線板は、例えば以下のようにして製造される。まず、基板上に、感光性樹脂組成物を用いて、感光性樹脂組成物層を形成する(感光性樹脂組成物層形成工程)。次に、感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して露光部を硬化させる(露光工程)。その後、未露光部を基板上から除去(現像)することにより、基板上に、感光性樹脂組成物の硬化物からなるレジストパターンが形成される(現像工程)。得られたレジストパターンに対し、エッチング処理又はめっき処理を施して、基板上に導体パターン(回路)を形成した後(回路形成工程)、最終的にレジストを剥離除去して配線板が製造される(剥離工程)。
露光工程における露光の方法としては、従来、水銀灯を光源としてフォトマスクを介して露光する方法が用いられている。また、近年、DLP(Digital Light Processing)やLDI(Laser Direct Imaging)と呼ばれる、レジストパターンのデジタルデータを直接感光性樹脂組成物層に描画する直接描画露光法が提案されている。この直接描画露光法は、フォトマスクを介した露光法よりも位置合わせ精度が良好であり、且つ高精細なパターンが得られることから、高密度パッケージ基板作製のために導入されつつある。
露光工程では、生産効率の向上のために露光時間を短縮する必要がある。しかし、上述の直接描画露光法では、光源にレーザ等の単色光を用いるほか、基板を走査しながら光線を照射するため、従来のフォトマスクを介した露光方法と比べて多くの露光時間を要する傾向がある。そのため、露光時間を短縮して生産効率を高めるためには、従来よりも感光性樹脂組成物の感度を向上させる必要がある。
剥離工程では、生産効率の向上のためにレジストパターンの剥離時間を短縮する必要がある。これらの特性が乏しい場合、レジスト残渣がその後の工程に支障をきたす原因となる。また、レジストの剥離片が回路基板へ再付着するのを防いで生産歩留まりを向上させるために、剥離片のサイズを小さくする必要がある。このように、硬化後のレジストパターンの剥離特性(剥離時間、剥離片サイズ)に優れた感光性樹脂組成物が要求される。
一方で、導体回路上にアルカリ溶液で膨潤する第一の感光性樹脂層によって開口形設部分を残存するようにパターン化する工程、このパターンを覆うように支持体上に熱硬化性樹脂層を形成する工程、前記残存感光性樹脂膜をアルカリ溶液で膨潤剥離させて除去して導体回路を露出させる開口を熱硬化性樹脂層に形成する工程を備えるような感光性樹脂組成物を用いて熱硬化性樹脂材料に開口を設ける新工法も提案されている(例えば、特許文献9及び10)。
この新工法の場合、開口形設部分を残存するようにパターン化した感光性樹脂層はアルカリ溶液に対する剥離性が優れることが望ましい。これらの特性が乏しい場合、レジスト残渣が発生し、その後の工程である電気的接続に支障をきたす原因となる。
これらの要求に対して、従来、種々の感光性樹脂組成物が検討されている(例えば、特許文献1〜8参照)。
特開2007−279381号公報 国際公開第2007/004619号 特開2009−003177号公報 特開平11−327137号公報 特開2004−004294号公報 特開2004−317874号公報 特開2008−276194号公報 特開2010−085605号公報 国際公開第2013/054790号 特開平11−274727号公報
しかしながら、従来の感光性樹脂組成物は、剥離性の点で充分とは言い難い場合があった。特に、10(単位:μm)以下の配線幅を形成する際のめっき処理後のレジストパターンの剥離工程では、微細化パターンへの液周りが低下するためレジストが膨潤しにくく剥離困難となる。一方で、感光性樹脂組成物を用いて熱硬化性樹脂材料に開口を設ける場合は、直径30μm以下に開口が微小化すると、開口形設部分の面積が小さいため、液周りが悪く配線形成時よりもさらに剥離は困難となる。また、直径100μm以上の開口であっても環境に負荷のかからない薬液を用いると、液の浸透性が低下し剥離は困難となる。さらに、小径および大径に関わらず、感光性樹脂組成物層周辺を覆う熱硬化性樹脂との厚みのギャップがないためさらに液が浸透しにくく剥離がしにくい。
これまで、剥離性の課題に対しては、バインダーポリマーあるいは架橋成分などの親水性を高める手法が検討されてきた。しかしながら、樹脂の成分あるいは比率を変更すると、感光性樹脂組成物の貼り付き性も変化することがある。例えば、バインダーポリマーの比率を高くすると、ラミネートした基板から支持体を剥離する際に、感光性樹脂組成物層が支持体と一緒に剥離され、基板から感光性樹脂組成物層が剥離する不具合が生じ不良に繋がる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、貼り付き性を変化させることなくアルカリ溶液で剥離し易い感光性樹脂層を提供することを目的とする。また、絶縁層に小径あるいは大径開口を有し、且つ優れた信頼性を有する構造体を充分に効率的に製造する方法、および上記方法によって製造された導体回路を有する構造体を用いるプリント配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、特に、剥離性に優れるレジストパターンを形成可能な感光性樹脂組成物、並びにこれを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及び導体回路を有する構造体の製造方法とプリント配線板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有する添加剤を用いることにより、貼り付き性を変化させずに、剥離性に優れるレジストパターンを形成可能な感光性樹脂組成物及び熱硬化性樹脂層に感光性樹脂層を用いて開口を形成用感光性樹脂組成物が得られることを見出した。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、(A)成分:バインダーポリマーと、(B)成分:光重合性化合物と、(C)成分:光重合開始剤と、(D)成分:下記一般式(1)式に示す含窒素化合物とを含む。
Figure 2018155994
〔式中、R、R、R、Rは、そのいずれか1つがビニル基であり、その他は水素、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、フェニル基、シアノ基のいずれかを表し、それぞれが同じかあるいは異なっていてもよい。〕
また、本発明に係る感光性樹脂組成物は、前記(A)成分が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の重合性単量体に基づく構造単位を有し、酸価が60〜400mgKOH/gで、重量平均分子量が10000〜100000であることが好ましい。
また、本発明に係る感光性樹脂組成物は、前記(B)成分の光重合性化合物が、少なくとも分子内に1つのエチレン性不飽和結合を有する化合物を含むことが好ましく、さらに、前記エチレン性不飽和結合を有する化合物として、エチレン性不飽和結合を3つ以上有する化合物を含むことがより好ましい。
本発明の感光性エレメントは、支持体と、該支持体の上に前記感光性樹脂組成物が形成された感光性樹脂層とを備える。
本発明のレジストパターンの形成方法は、前記感光性樹脂組成物又は前記感光性エレメントを用いて基板上に感光性樹脂層を形成する工程と、前記感光性樹脂層の所定部分に活性光線を照射して前記所定部分を硬化させる露光工程と、前記感光性樹脂層の前記所定部分以外の部分を前記基板上から除去することにより、前記感光性樹脂組成物の硬化物からなるレジストパターンを前記基板上に形成する現像工程と、を有し、さらに、前記活性光線の波長が340〜430nmの範囲内であることが好ましい。
本発明の導体回路を有する構造体の製造方法は、導体回路を有する支持体の表面に形成された絶縁層に開口が設けられると共に、前記開口部に前記導体回路と接続される配線部が形成されてなる導体回路を有する構造体の製造方法であって、
前記感光性樹脂組成物又は前記感光性エレメントを用いて、導体回路を覆うように前記支持体上に第1の感光性樹脂層を形成する感光性樹脂層形成工程と、
前記第1の感光性樹脂層に露光処理及び現像処理を施してパターン化する第1のパターン化工程と、
前記第1の感光性樹脂層のパターンを覆うように前記支持体上に熱硬化性樹脂層を形成する熱硬化性樹脂層形成工程と、
前記熱硬化性樹脂層の一部を除去して前記第1の感光性樹脂層のパターンの所定箇所を前記熱硬化性樹脂層から露出させるパターン露出工程と、
前記熱硬化性樹脂層から露出した前記第1の感光性樹脂層を除去して、前記導体回路を露出させる開口を前記熱硬化性樹脂層に形成する開口形成工程と、を備える。
また、本発明の導体回路を有する構造体の製造方法は、前記熱硬化性樹脂層形成工程と前記パターン露出工程との間に、さらに、前記熱硬化性樹脂層を熱硬化する熱硬化工程を備えることが好ましい。
本発明の配線板の製造方法は、前記導体回路を有する構造体を用いて、
該構造体の開口を形成した後の前記熱硬化性樹脂層の少なくとも一部を覆うように、無電解めっき法により前記配線部の下地となるシード層を形成するシード層形成工程と、
前記シード層を覆うように第2の感光性樹脂層を形成した後、前記第2の感光性樹脂層に露光処理及び現像処理を施してパターン化する第2のパターン化工程と、
前記シード層の少なくとも一部を覆うように電解めっき法により前記配線部を形成した後、前記第2の感光性樹脂層のパターンを剥離して前記配線部をパターン化する配線部パターン化工程と、
前記配線部が形成されていない領域のシード層を除去するシード層除去工程と、を備えることが好ましい。
本発明によれば、貼り付き性を変化させずに、剥離性に優れるレジストパターンが形成可能な感光性樹脂組成物、及び熱硬化性樹脂層に前記感光性樹脂層を用いて開口を形成した導体回路を有する構造体の製造方法及び該構造体を用いるプリント基板の製造方法を提供することができる。
本発明の導体回路を有する構造体の製造方法を示す各工程の模式図である。 本発明の導体回路を有する構造体を用いる多層プリント配線板の製造方法を示す各工程の模式図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸の少なくとも一方を意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの少なくとも一方を意味し、(メタ)アクリロイルオキシ基とは、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基の少なくとも一方を意味する。また、(ポリ)オキシエチレン基とは、オキシエチレン基又は2以上のエチレン基がエーテル結合で連結したオキシエチレン基及びポリオキシエチレン基の少なくとも1種を意味する。(ポリ)オキシプロピレン基とは、オキシプロピレン基又は2以上のプロピレン基がエーテル結合で連結したオキシプロピレン基及びポリオキシプロピレン基の少なくとも1種を意味する。さらに、「EO変性」とは、(ポリ)オキシエチレン基を有する化合物であることを意味し、「PO変性」とは、(ポリ)オキシプロピレン基を有する化合物であることを意味し、「EO・PO変性」とは、(ポリ)オキシエチレン基及び(ポリ)オキシプロピレン基の双方を有する化合物であることを意味する。なお、オキシエチレン基とは、(−C−O−)で表される基であり、オキシプロピレン基とは、(−C−O−)で表される基である。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
また、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。更に組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
また、「層」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構造に加え、一部に形成されている形状の構造も包含される。
また、「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が脱着可能であってもよい。
(感光性樹脂組成物)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、バインダーポリマーと、光重合性化合物と、光重合開始剤と、下記一般式(1)に示す含窒素化合物を含有する。感光性樹脂組成物は、必要に応じて更にその他の成分を含んでいてもよい。
Figure 2018155994
〔式中、R、R、R、Rは、そのいずれか1つがビニル基であり、その他は水素、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、フェニル基、シアノ基のいずれかを表し、それぞれが同じかあるいは異なっていてもよい。〕
<バインダーポリマー>
まず、バインダーポリマー(以下「(A)成分」ともいう。)について説明する。
バインダーポリマーとしては、特に限定されないが、アルカリ性水溶液に可溶であることが好ましく、例えば、後述する重合性単量体をラジカル重合させることにより製造できる。
重合性単量体(モノマー)としては、例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ベンジル誘導体、(メタ)アクリル酸フルフリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル酸エステル;スチレン;ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のα−位又は芳香族環において置換されている重合可能等のスチレン誘導体;ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド;アクリロニトリル;ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエステル類;マレイン酸;マレイン酸無水物;マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸モノエステル;フマール酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を任意に組み合わせて用いることができる。
(A)成分は、導体回路の露出及び開口の際にアルカリ性水溶液による感光性樹脂層の剥離性をより向上させる観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の重合性単量体に基づく構造単位を有することがより好ましい。すなわち、(A)成分は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルをラジカル重合させることにより得られるものであることが好ましく、これらの重合性単量体に由来する構造単位を有するものであることがより好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル及び(メタ)アクリル酸ドデシルが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を任意に組み合わせて用いることができる。
(A)成分が、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに基づく構造単位を有する場合、その含有量は、密着性及び剥離性にさらに優れる点では、(A)成分を構成する重合性単量体の固形分全質量を基準として、40〜85質量%であることが好ましく、50〜85質量%であることがより好ましく、60〜80質量%であることが更に好ましい。密着性に優れる点では、この含有量が30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが更に好ましい。また、剥離性に優れる点では、この含有量が80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが更に好ましい。
(A)成分が、(メタ)アクリル酸に基づく構造単位を有する場合、その含有量は、密着性及び剥離性にさらに優れる点では、(A)成分を構成する重合性単量体の固形分全質量を基準として、5〜80質量%であることが好ましく、10〜70質量%であることがより好ましく、10〜60質量%であることが更に好ましい。現像及び剥離性に優れる点では、この含有量が5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることが更に好ましい。また、解像性に優れる点では、この含有量が80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることが更に好ましい。
また、(A)成分は、除去性及び密着性を向上させる観点から、(メタ)アクリル酸ベンジル又はその誘導体に基づく構造単位を有してもよい。その含有量は、(A)成分を構成する重合性単量体の固形分全質量を基準として、5〜60質量%であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましく、5〜60質量%であることが更に好ましい。密着性に優れる点では、この含有量が5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが更に好ましい。また、除去性に優れる点では、この含有量が60質量%以下であることが好ましく、55質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることが更に好ましい。
(A)成分の酸価は、現像性及び耐現像液性にさらに優れる点では、60〜400mgKOH/gであることが好ましく、80〜350mgKOH/gであることがより好ましく、100〜300mgKOH/gであることが更に好ましく、130〜230mgKOH/gであることが特に好ましい。なお、溶剤現像を行う場合は、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基を有する重合性単量体(モノマー)を少量に調製することが好ましい。
(A)成分の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定(標準ポリスチレンを用いた検量線により換算)した場合、現像性及び耐現像液性にさらに優れる点では、10000〜100000であることが好ましく、15000〜80000であることがより好ましく、20000〜70000であることが更に好ましい。現像性に優れる点では、100000以下であることが好ましく、80000以下であることがより好ましく、70000以下であることが更に好ましい。耐現像液性に優れる点では、10000以上であることが好ましく、15000以上でることがより好ましく、20000以上であることが更に好ましい。
(A)成分としては、1種類のバインダーポリマーを単独で使用してもよく、2種類以上のバインダーポリマーを任意に組み合わせて使用してもよい。2種類以上を組み合わせて使用する場合のバインダーポリマーとしては、例えば、異なる共重合成分からなる2種類以上の(異なるモノマー単位を共重合成分として含む)バインダーポリマー、異なる重量平均分子量の2種類以上のバインダーポリマー、異なる分散度の2種類以上のバインダーポリマーが挙げられる。また、特開平11−327137号公報に記載のマルチモード分子量分布を有するポリマーを使用することもできる。
(A)成分の含有量は、フィルム形成性、感度及び密着性にさらに優れる点では、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、30〜70質量部であることが好ましく、40〜70質量部であることがより好ましく、50〜65質量部であることが特に好ましい。
<光重合性化合物>
次に、光重合性化合物(以下「(B)成分」ともいう。)について説明する。
(B)成分は、光架橋が可能なものであれば特に制限はなく使用することができる。例えば、(B)成分は、エチレン性不飽和結合を有する化合物を含むことができる。エチレン性不飽和結合を有する化合物としては、分子内に1つのエチレン性不飽和結合を有する化合物、分子内に2つのエチレン性不飽和結合を有する化合物、分子内に3つのエチレン性不飽和結合を有する化合物等が挙げられる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
分子内に1つのエチレン性不飽和結合を有する化合物としては、例えば、ノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレート及びフマル酸系化合物が挙げられる。これらの中で、開口性が向上する観点で、フマル酸由来の骨格を有する(メタ)アクリレートを含有してもよい。
分子内に2つのエチレン性不飽和結合を有する化合物としては、例えば、EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、ウレタン結合を有するジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレート誘導ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノール型ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、及び、2,2−ビス(4−(メタクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンが挙げられる。これらの中で、開口性が向上する観点で、ウレタン結合を有する化合物を含有してもよく、ウレタン結合を有するジ(メタ)アクリレート又はイソシアヌレート誘導ジ(メタ)アクリレートを含有してもよい。なお、イソシアヌレート誘導(メタ)アクリレートとは、イソシアヌレートに由来する骨格を有する(メタ)アクリレートともいえる。
分子内に3つのエチレン性不飽和結合を有する化合物としては、例えば、EO変性イソシアヌレート誘導トリ(メタ)アクリレート、PO変性イソシアヌレート誘導トリ(メタ)アクリレート、EO・PO変性イソシアヌレート誘導トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO・PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、PO変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO・PO変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、EO変性テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、PO変性テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、及び、EO・PO変性テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中で、開口性が向上する観点で、ウレタン結合を有する化合物を含有してもよく、イソシアヌレート誘導トリ(メタ)アクリレートを含有してもよく、EO変性イソシアヌレート誘導トリ(メタ)アクリレート、PO変性イソシアヌレート誘導トリ(メタ)アクリレート又はEO・PO変性イソシアヌレート誘導トリ(メタ)アクリレートを含有してもよい。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、(B)成分として、開口性が向上する観点で、官能基あたりのオキシエチレン基及びオキシプロピレン基の総構造単位数が0〜40であるウレタンジ(メタ)アクリレート、及び、官能基あたりのオキシエチレン基及びオキシプロピレン基の総構造単位数が0〜40であるイソシアヌレート誘導トリ(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種の光重合性化合物を含有してもよい。ここでいう、官能基とは、(メタ)アクリロイル基のことを意味する。
ウレタンジ(メタ)アクリレート及びイソシアヌレート誘導トリ(メタ)アクリレートのそれぞれの含有量は、開口性に更に優れる観点から、(B)成分100質量部に対して、10〜100質量部が好ましく、20〜100質量部がより好ましく、30〜100質量部が更に好ましい。
(B)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、30〜70質量部が好ましく、30〜60質量部がより好ましく、35〜50質量部が更に好ましい。(B)成分の含有量が30質量部以上であることで、感度及び密着性が更に優れたものとなる傾向があり、70質量部以下であることで、現像性が更に優れたものとなる傾向がある。
<光重合開始剤>
次に、光重合開始剤(以下「(C)成分」ともいう。)について説明する。
(C)成分は、活性光線等の照射によって、(B)成分を重合させることができるものであれば特に制限はなく、通常用いられる光重合開始剤から適宜選択することができる。
(C)成分としては、例えば、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1,2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ-プロパノン−1等の芳香族ケトン、アルキルアントラキノン等のキノン類、ベンゾインアルキルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、ベンゾイン、アルキルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物などが挙げられる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
また、2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は同一で対象な化合物を与えてもよいし、相違して非対称な化合物を与えてもよい。また、密着性及び感度をさらに向上する観点からは、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体を含有することがより好ましい。2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体を含有する場合、その含有割合は、(C)成分の固形分総量を基準として、10〜100質量%が好ましく、30〜100質量%がより好ましく、50〜100質量%が更に好ましい。この含有量が、10質量%以上であることで、感度及び密着性がより一層向上する傾向がある。
(C)成分の含有量としては、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、2〜6質量部であることがより好ましく、3.5〜5質量部であるのが特に好ましい。この含有量が0.1質量部以上であることで、感度及び解像性が向上する傾向があり、10質量部以下とすることで、開口形成部分の形状がより優れたものとなる傾向がある。
<含窒素化合物>
本実施形態で使用される含窒素化合物(以下「(D)成分」ともいう。)について説明する。
(D)成分としては、下記一般式(1)で表される化合物を含む。
下記一般式(1)に示す含窒素化合物は、イミダゾール誘導体として知られている。
Figure 2018155994
〔式中、R、R、R、Rは、水素、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、フェニル基、シアノ基のいずれかを表し、それぞれが同じかあるいは異なっていてもよい。〕
一般式(1)に示すR、R、R、Rは、溶解性が向上する観点からアルキル基、フェニル基、シアン基が好ましい。
一般式(1)で表されるイミダゾール誘導体の例として、例えば、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、3−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、5−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、3−エチルイミダゾール、4−エチルイミダゾール、5−エチルイミダゾール、1−n−プロピルイミダゾール、2−n−プロピルイミダゾール、1−イソプロピルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、1−n−ブチルイミダゾール、2−n−ブチルイミダゾール、1−イソブチルイミダゾール、2−イブチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H-ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール,2−フェニルイミダゾリン等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種類以上を併用しても良い。
(D)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、1〜15質量部とすることがより好ましく、3〜10質量部とすることが更に好ましい。この含有量が0.1質量部以上であることで、貼り付け性を変化させずに、剥離性を向上させることができ、20質量部以下であることで、開口形成部分のレジスト形状がより優れたものとなる傾向がある。
<増感色素>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、上記の(A)、(B)、(C)及び(D)の各成分とともに、増感色素(以下「(E)成分」ともいう。)を更に含有していてもよい。
(E)成分としては、例えば、ジアルキルアミノベンゾフェノン類、ピラゾリン類、アントラセン類、クマリン類、キサントン類、チオキサントン類、オキサゾール類、ベンゾオキサゾール類、チアゾール類、ベンゾチアゾール類、トリアゾール類、スチルベン類、トリアジン類、チオフェン類、ナフタルイミド類、トリアリールアミン類及びアミノアクリジン類が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
特に、340〜430nmの活性光線を用いて感光性樹脂層を露光する場合には、感度及び密着性をより向上させる観点から、(E)成分は、ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物、ピラゾリン化合物、アントラセン化合物、クマリン化合物、トリアリールアミン化合物、チオキサントン化合物及びアミノアクリジン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の増感色素を含むことが好ましく、中でも、ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物、ピラゾリン化合物、アントラセン化合物又はトリアリールアミン化合物を含むことがより好ましい。
(E)成分を含有する場合、(E)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、0.05〜5質量部とすることがより好ましく、0.1〜3質量部とすることが更に好ましい。この含有量が0.01質量部以上であることで、感度及び密着性がより優れたものとなる傾向があり、10質量部以下であることで、開口形成部分のレジスト形状がより優れたものとなる傾向がある。
<水素供与体>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、水素供与体(以下「(F)成分」ともいう)を更に含有していてもよい。露光部の反応時に水素を与えることができる(F)成分を更に含有することで、露光部分と未露光部分とのコントラスト(「イメージング性」ともいう。)をさらに向上させることができる。
(F)成分としては、例えば、ビス[4−(ジメチルアミノ)フェニル]メタン、ビス[4−(ジエチルアミノ)フェニル]メタン、ロイコクリスタルバイオレット及びN−フェニルグリシン等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
(F)成分を含む場合、その含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、0.05〜5質量部であることがより好ましく、0.1〜2質量部であることが特に好ましい。この含有量が0.01質量部以上であることで感度がより優れたものとなる傾向があり、10質量部以下であることで、フィルム形成後、過剰な(F)成分が異物として析出し易くなる傾向がある。
この他、本実施形態の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、分子内に少なくとも1つのカチオン重合可能な環状エーテル基を有する光重合性化合物(オキセタン化合物等)、カチオン重合開始剤、マラカイトグリーン等の染料、トリブロモフェニルスルホン、ロイコクリスタルバイオレット等の光発色剤、熱発色防止剤、p−トルエンスルホンアミド等の可塑剤、顔料、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤、熱架橋剤等をさらに含有してもよい。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。これらの含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、それぞれ0.01〜20質量部であることが好ましい。
(感光性樹脂組成物の溶液)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、粘度を調整するために後述する溶剤を含有させてもよく、例えば、本実施形態の感光性樹脂組成物を溶剤に溶解して、固形分30〜60質量%の溶液(塗布液)として用いることができる。溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びこれらの混合溶剤が挙げられる。
塗布液は、後述する感光性エレメントの支持体、基板等の表面上に塗布し、乾燥させることにより、本実施形態の感光性樹脂組成物を用いて感光性樹脂層を形成することができる。
感光性樹脂層の厚みは、その用途により異なるが、乾燥後の厚みで2〜50μmであることが好ましい。感光性樹脂層表面を、保護層で被覆してもよい。保護層としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体フィルムが挙げられる。
(感光性エレメント)
上記感光性樹脂組成物を、支持体上に塗布し、乾燥させることにより、支持体上に上記感光性樹脂組成物を用いて感光性樹脂層を形成することができる。このようにして、支持体と、該支持体上に形成された上記感光性樹脂層とを備える、本実施形態の感光性エレメントが得られる。なお、支持体上に塗布する感光性樹脂組成物は、上述した塗布液であってもよい。
支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムを用いることができる。
感光性エレメントは、必要に応じて、感光性樹脂層の支持体とは反対側の表面を被覆する保護層を備えてもよい。
保護層としては、感光性樹脂層に対する接着力が、支持体の感光性樹脂層に対する接着力よりも小さいものが好ましく、また、低フィッシュアイのフィルムが好ましい。ここで、「フィッシュアイ」とは、材料を熱溶融し、混練、押し出し、2軸延伸、キャスティング法等によりフィルムを製造する際に、材料の異物、未溶解物、酸化劣化物等がフィルム中に取り込まれたものを意味する。すなわち、「低フィッシュアイ」とは、フィルム中の上記異物等が少ないことを意味する。
保護層としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムを用いることができる。市販のものとしては、王子製紙株式会社製のアルファンMA−410、E−200C、信越フィルム株式会社製等のポリプロピレンフィルム、帝人デュポンフィルム株式会社製PS−25等のPSシリーズのポリエチレンテレフタレートフィルムが挙げられる。なお、保護層は支持体と同一のものでもよい。
感光性エレメントは、具体的には、例えば、以下のようにして製造することができる。本実施形態の感光性樹脂組成物を含む塗布液を準備する工程と、塗布液を支持体上に塗布して塗布層を形成する工程と、上記塗布層を乾燥して感光性樹脂層を形成する工程と、を含む製造方法で製造することができる。
感光性樹脂組成物の支持体上への塗布は、ロールコート、コンマコート、グラビアコート、エアーナイフコート、ダイコート、バーコート等の公知の方法により行うことができる。
上記塗布層の乾燥は、塗布層から溶剤の少なくとも一部を除去することができれば特に制限はないが、例えば、70〜150℃にて、5〜30分間行うことが好ましい。乾燥後、感光性樹脂層中の残存有機溶剤量は、後の工程での有機溶剤の拡散を防止する観点から、2質量%以下とすることが好ましい。
また、感光性樹脂層の厚さは、必要に応じて適宜調整することができるが、例えば、2〜50μmとすることが好ましい。この厚さを2μm以上とすると、感光性樹脂層を工業上形成しやすくなる。
上記感光性樹脂層の紫外線に対する透過率は、波長365nmの紫外線に対して5〜75%であることが好ましく、10〜65%であることがより好ましく、15〜55%であることが特に好ましい。この透過率が5%以上であると、充分な密着性が得られやすくなる傾向があり、75%以下であると、充分な解像度が得られやすくなる傾向がある。上記透過率は、UV分光計により測定することができる。UV分光計としては、株式会社日立製作所製の228A型Wビーム分光光度計が挙げられる。
感光性エレメントは、更にクッション層、接着層、光吸収層、ガスバリア層等の中間層等を有していてもよい。
得られた感光性エレメントは、シート状で又は巻芯にロール状に巻き取って保管することができる。ロール状に巻き取る場合、支持体が外側になるように巻き取ることが好ましい。巻芯としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等のプラスチック等が挙げられる。このようにして得られたロール状の感光性エレメントロールの端面には、端面保護の見地から端面セパレータを設置することが好ましく、耐エッジフュージョンの見地から防湿端面セパレータを設置することが好ましい。梱包方法としては、透湿性の小さいブラックシートに包んで包装することが好ましい。
(レジストパターンの形成方法)
上記感光性樹脂組成物を用いて、レジストパターンを形成することができる。本実施形態に係るレジストパターンの形成方法は、(i)上記感光性樹脂組成物を用いて形成された感光性樹脂層を基板上に形成する感光性樹脂層形成工程と、(ii)感光性樹脂層の所定部分に活性光線を照射してその所定部分を露光し、硬化させる露光工程と、(iii)感光性樹脂層の上記所定部分以外の部分を基板上から除去することにより、基板上に、感光性樹脂組成物の硬化物からなるレジストパターンを形成する現像工程と、を有する。
(i)感光性樹脂層形成工程
まず、感光性樹脂組成物を用いて形成された感光性樹脂層を基板上に形成する。
基板としては、絶縁層と該絶縁層上に形成された導体層とを備えた基板(回路形成用基板)を用いることができる。
基板上に感光性樹脂層を形成する方法としては、例えば、基板上に、感光性樹脂組成物を塗布した後、乾燥させる方法、上述した感光性エレメントにおける感光性樹脂層を基板上に転写(ラミネート)する方法等が挙げられる。
感光性樹脂組成物の基材上への塗布は、ロールコート、コンマコート、グラビアコート、エアーナイフコート、ダイコート、バーコート等の公知の方法により行うことができる。
感光性エレメントを用いる場合、感光性樹脂層の基板上へのラミネートは、例えば、上記感光性エレメントの保護層を除去した後、感光性エレメントの感光性樹脂層を加熱しながら上記基板に圧着することにより行われる。これにより、基板と感光性樹脂層と支持体とからなり、これらが順に積層された積層体が得られる。
ラミネートの条件は、必要に応じて適宜調整することができるが、ラミネートは、密着性及び追従性をより向上する観点から、減圧下で行うことが好ましい。圧着の際の感光性樹脂層及び/又は基板の加熱は、70〜130℃の温度で行うことが好ましく、ラミネートにおける圧力は0.1〜1.0MPa(1〜10kgf/cm)の圧力で圧着することが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。なお、感光性樹脂層を70〜130℃に加熱すれば、予め基板を予熱処理することは必要ではないが、積層性を更に向上させるために、基板を予め、上記温度範囲で加熱してもよい。
(ii)露光工程
次に、基板上の感光性樹脂層の所定部分に活性光線を照射してその所定部分を露光させ、硬化させる。この際、感光性樹脂層上に存在する支持体が活性光線に対して透過性である場合には、支持体を通して活性光線を照射することができるが、支持体が遮光性である場合には、支持体を除去した後に感光性樹脂層に活性光線を照射する。
露光方法としては、アートワークと呼ばれるネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線を画像上に照射する方法(マスク露光法)が挙げられる。また、LDI(Laser Direct Imaging)露光法、DLP(Digital Light Processing)露光法等の直接描画露光法により活性光線を画像状に照射する方法を採用してもよい。
活性光線の光源としては、公知の光源を用いることができ、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、アルゴンレーザ等のガスレーザ、YAGレーザ等の固体レーザ、半導体レーザ等の紫外線、可視光などを有効に放射するものが用いられる。
活性光線の波長(露光波長)としては、本発明の効果をより確実に得る観点から、340〜430nmであることが好ましく、350〜420nmであることがより好ましい。
(iii)現像工程
さらに、感光性樹脂層の上記所定部分以外の部分を基板上から除去することにより、基板上に、感光性樹脂組成物の硬化物からなるレジストパターンを形成する。感光性樹脂層上に支持体が存在している場合には、支持体を除去してから、上記所定部分(露光部分)以外の部分(未露光部分)の除去(現像)を行う。現像方法には、ウェット現像とドライ現像とがあるが、ウェット現像が広く用いられている。
ウェット現像による場合、感光性樹脂組成物に対応した現像液を用いて、公知の現像方法により現像する。現像方法としては、ディップ方式、パドル方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング、スクラッビング、揺動浸漬等を用いた方法が挙げられ、解像度向上の観点からは、高圧スプレー方式が最も適している。これら2種類以上の方法を組み合わせて現像を行ってもよい。
現像液は、感光性樹脂組成物の構成に応じて適宜選択される。現像液としては、アルカリ性水溶液、有機溶剤現像液等が挙げられる。
アルカリ性水溶液は、現像液として用いられる場合、安全且つ安定であり、操作性が良好である。アルカリ性水溶液の塩基としては、例えば、リチウム、ナトリウム又はカリウムの水酸化物等の水酸化アルカリ;リチウム、ナトリウム、カリウム又はアンモニウムの炭酸塩又は重炭酸塩等の炭酸アルカリ;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩;ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等のアルカリ金属ピロリン酸塩、ホウ砂(四ホウ酸ナトリウム)、メタケイ酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ジアミノ−2−プロパノール、モルホリンなどが用いられる。
現像に用いるアルカリ性水溶液としては、0.1〜5質量%炭酸ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%炭酸カリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%水酸化ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%四ホウ酸ナトリウムの希薄溶液等が好ましい。アルカリ性水溶液のpHは9〜11の範囲とすることが好ましく、その温度は、感光性樹脂層のアルカリ現像性に合わせて調節される。アルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させてもよい。
有機溶剤現像液に用いられる有機溶剤としては、例えば、1,1,1−トリクロロエタン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。これらの有機溶剤に、引火防止のため、1〜20質量%の範囲で水を添加して有機溶剤現像液とすることが好ましい。
本実施形態のレジストパターンの形成方法は、未露光部分を除去した後、必要に応じて60〜250℃の加熱及び/又は0.2〜10J/cmのエネルギー量での露光を行うことにより、レジストパターンを硬化する工程を更に有していてもよい。
(導体回路を有する構造体の製造方法)
本実施形態の感光性樹脂組成物、及び、本実施形態の感光性エレメントは、半導体素子を実装するための構造体(例えば、プリント配線基板)の製造に好適に用いられ、中でも、高密度パッケージ基板の製造により好適に用いられ、構造体(導体回路を有する構造体)の製造に更に好適に用いられる。特に、フリップチップ型の半導体素子を実装するためのプリント配線基板の製造に加え、コアレス基板、WLP(Wafer Level Package)、eWLB(embeded Wafer Level Ball Grid Array)等の基板レスパッケージの再配線方法にも好適に用いることができる。中でも、実装される半導体素子のサイズが大きく、半導体素子の表面にエリアアレイ状に配置された数万ものバンプと電気的に接続するためのプリント配線基板に特に好適である。
構造体の製造方法により製造される構造体は、導体回路を有する支持体の表面に形成された絶縁層に開口が設けられると共に、導体回路に接続される配線部が開口に形成されてなる構造体である。構造体の製造方法は、本実施形態の感光性樹脂組成物、又は、本実施形態の感光性エレメントを用いて、導体回路を覆うように支持体上に第1の感光性樹脂層を形成する感光性樹脂層形成工程と、第1の感光性樹脂層に露光処理及び現像処理を施してパターン化する第1のパターン化工程と、第1の感光性樹脂層のパターンを覆うように支持体上に熱硬化性樹脂層を形成する熱硬化性樹脂層形成工程と、熱硬化性樹脂層の一部を除去して第1の感光性樹脂層のパターンの所定箇所を熱硬化性樹脂層から露出させるパターン露出工程と、熱硬化性樹脂層から露出した第1の感光性樹脂層のパターンの所定箇所を除去して、導体回路を露出させる開口を熱硬化性樹脂層に形成する開口形成工程と、を備える。構造体の製造方法としては、特許文献9に記載の製造方法を用いてもよい。なお、本明細書において、「導体回路を有する支持体」とは、「導体回路を有する基板」ともいえる。また、「導体回路」とは、「導体パターン」ともいえる。
図1に、本実施形態の導体回路を有する構造体の製造方法の一例を示す。図1に示す製造方法は、銅張積層体の両面に導体回路を形成する工程[図1(a)]と、上記で述べたように、第1の感光性樹脂層を形成する感光性樹脂層形成工程[図1(b))]と、第1の感光性樹脂層に露光処理及び現像処理を施してパターン化する第1のパターン化工程[図1(c))]と、第1の感光性樹脂層のパターンを覆うように支持体上に熱硬化性樹脂層を形成する熱硬化性樹脂層形成工程[図1(d))]と、パターン露出工程[図1(e))]と、導体回路を露出させる開口を熱硬化性樹脂層に形成する開口形成工程[図1(f)]とを、基本的に有する。
図1(a)に示すように、銅張積層体1の両面に貼着された銅箔をエッチング処理し、所定のパターン形状(導体回路2a、2b)に加工する。次いで、図1の(b)及び(c)に示すように、本発明の感光性樹脂組成物又は感光性エレメントを銅張積層体1の両面に所定の厚さで塗布又は貼着し、密着させて第1の感光性樹脂層3を形成した後、露光機による露光、及びアルカリ水溶液又は有機溶剤現像液等を用いて現像を行うことにより、第1の感光性樹脂層のパターン3a、3bを形成する。次いで、パターンが形成された銅張積層体1からなるプリント基板の上に、熱硬化性樹脂又は熱硬化性フィルムを塗布又は貼着し、密着させた後、所定温度、所定時間で熱硬化を行い熱硬化性樹脂層(層間絶縁層)4を形成する[図1(d)]。その後、熱硬化性樹脂層4の一部を除去して第1の感光性樹脂層3のパターン3a、3bを熱硬化性樹脂層から露出させるとともに[図1(e)]、パターン3a、3bを除去し、熱硬化性樹脂層4の一部を開口させ、開口部5を形成する[図1(f)]。このようにして、本実施形態による導体回路を有する構造体6を製造することができる。
また、構造体の製造方法は、前記熱硬化性樹脂層形成工程[図1(d)に示す工程]及び前記パターン露出工程[図1(e)に示す工程]の間の工程(例えば、熱硬化性樹脂層形成工程の直後の工程)として、熱硬化性樹脂層を熱硬化する熱硬化工程を更に備えていることが好ましい。この場合、例えば、パターン露出工程において、熱硬化後の熱硬化性樹脂層の一部の除去を行い、さらに開口形成工程[図1(f)に示す工程]において、熱硬化性樹脂層から露出した第1の感光性樹脂層の除去を行う。熱硬化後の熱硬化性樹脂層の一部を除去する方法としては、機械研磨、プラズマ処理、ウェットブラスト、サンドブラスト、ケミカルポリッシング等が挙げられる。熱硬化性樹脂層から露出した第1の感光性樹脂層を除去する方法としては、薬液処理(「デスミア処理」ともいう)、プラズマ処理、ウェットブラスト、サンドブラスト等が挙げられる。
前記熱硬化後の熱硬化性樹脂層の一部を除去する方法が機械研磨であり、熱硬化性樹脂層から露出した第1の感光性樹脂層を除去する方法が薬液処理であることが好ましい。機械研磨によって、熱硬化後の熱硬化性樹脂層の一部を除去することで、より速やかに第1の感光性樹脂層を露出させることができると共に、開口周辺の残渣をより確実に低減でき、薬液処理によって、熱硬化性樹脂層から露出した第1の感光性樹脂層を除去することで、開口周辺の残渣をより確実に低減できる。また、薬液処理に用いる薬液としては、現像に用いたアルカリ性水溶液よりも更に強アルカリ性である水溶液により剥離することができる。この強アルカリ性の水溶液としては、過マンガン酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、過マンガン酸カリウム水溶液、硫酸等が挙げられる。また、薬液処理に用いる薬液としては、水又はアルカリ性水溶液と、1種以上の有機溶剤とからなる現像液も好適に用いることができる。アルカリ性水溶液の塩基としては、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム、エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられ、一緒に用いる有機溶剤としては、アセトン、酢酸エチル、炭素原子数1〜4のアルコキシ基をもつアルコキシエタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられ、単独で又は2種類以上の塩基を組み合わせて使用される。なお、これらの薬液は、単独で又は2種類以上を組み合わせて混合液として用いることができる。
また、前記熱硬化後の熱硬化性樹脂層の一部を除去する方法と、熱硬化性樹脂層から露出した第1の感光性樹脂層を除去する方法とが、プラズマ処理、ウェットブラスト及びサンドブラスト、フライカットからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。この場合、より速やかに第1の感光性樹脂層を露出させることができると共に、開口周辺の残渣をより確実に低減できる。
また、前記熱硬化後の熱硬化性樹脂層の一部を除去する方法と、熱硬化性樹脂層から露出した第1の感光性樹脂層を除去する方法とが、薬液処理であることが好ましい。この場合、より速やかに第1の感光性樹脂層を露出させることができると共に、開口周辺の残渣をより確実に低減できる。また、薬液処理に用いる薬液としては、現像に用いたアルカリ性水溶液よりも更に強アルカリ性である水溶液により剥離することができる。この強アルカリ性の水溶液としては、過マンガン酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、過マンガン酸カリウム水溶液、硫酸等が挙げられる。また、薬液処理に用いる薬液として、水又はアルカリ性水溶液と、1種以上の有機溶剤とからなる現像液も好適に用いることができる。アルカリ性水溶液の塩基としては、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム、エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられ、一緒に用いる有機溶剤としては、アセトン、酢酸エチル、炭素原子数1〜4のアルコキシ基をもつアルコキシエタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられ、単独で又は2種類以上の塩基を組み合わせて使用される。これらの薬液は、単独で又は2種類以上を組み合わせての混合液として用いることができる。
また、熱硬化工程は、不活性ガスの雰囲気で熱硬化を行うことが好ましい。不活性ガスの雰囲気で熱硬化を行うことにより、熱硬化工程において導体回路表面の銅の酸化を抑制することができる。
また、図1(b)に示す第1の感光性樹脂層形成工程において、第1の感光性樹脂層3の厚さTを2〜50μmとすることが好ましい。第1の感光性樹脂層の厚さTを2μm以上とすると、第1の感光性樹脂層3の形成に用いる感光性樹脂組成物を成膜し易くなるため、構造体(例えば、プリント配線基板)の製造に用いる感光性エレメントの感光性樹脂層を容易に形成することができる。第1の感光性樹脂層3の厚さTを50μm以下とすると、第1の感光性樹脂層3に微細なパターンを形成することが容易になる。
また、図1(d)に示す熱硬化性樹脂層形成工程において、熱硬化性樹脂層4の厚さTを2〜50μmとすることが好ましい。熱硬化性樹脂層4の厚さTを2μm以上とすると、熱硬化性樹脂層4の形成に用いる熱硬化性樹脂組成物を成膜し易くなるため、構造体(例えば、プリント配線基板)の製造に用いるフィルム状の熱硬化性樹脂組成物を容易に作製することができる。熱硬化性樹脂層4の厚さTを50μm以下とすると、熱硬化性樹脂層4に微細なパターンを形成することが容易になる。
この構造体6の製造方法では、熱硬化性樹脂層に形成する開口の形状に合わせて、第1のパターン化工程において第1の感光性樹脂層3をパターン化することにより、様々な開口を容易に形成することができる。また、この構造体(例えばプリント配線基板)6の製造方法では、レーザで開口を形成する場合と異なり、複数の開口を同時に形成できることに加え、開口周辺の樹脂の残渣を低減できる。このため、半導体素子のピン数が増加し、多数の微細な開口を設ける必要が生じた場合でも、優れた信頼性を有する構造体(例えばプリント配線基板)を効率的に製造することができる。また、直径30μm以下の開口を形成する場合であっても、又は、直径100μm以上の大きい開口を形成する場合であっても、優れた絶縁信頼性を有する開口をより効率的に形成することができる。
また、上述した導体回路を有する構造体の製造方法において使用される熱硬化性樹脂組成物は、熱によって硬化できるものであれば特に制限はないが、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネートエステル樹脂、ポリアミドイミド樹脂及び熱硬化性ポリイミド樹脂からなる群より選択される少なくとも一種を含む樹脂組成物を含有することがより好ましい。また、感光性樹脂組成物に分散した状態での最大粒径が5μm以下であり、且つ平均粒径が1μm以下である無機フィラーを含有することが好ましい。このような熱硬化性樹脂組成物を用いて熱硬化性樹脂層を形成することにより、熱硬化性樹脂層に形成した開口の表面が平滑となり、開口上にシード層を形成し易くなる。なお、感光性樹脂組成物に分散した状態での無機フィラーの最大粒径は、マイクロトラック法、若しくはナノトラック法を用いて測定されるものをいい、例えば、動的光散乱式ナノトラック粒度分布計「UPA−EX150」(日機装株式会社製)、レーザ回折散乱式マイクロトラック粒度分布計「MT−3100」(日機装株式会社製)を用いてそれぞれ測定した値の平均値をいう。
以上にようにして製造される構造体を用いて、多層プリント配線板を製造することができる。多層プリント配線板の製造方法は、図1に示す導体回路を有する構造体6において、開口を形成した後の熱硬化性樹脂層4の少なくとも一部を覆うように、無電解めっき法により配線部の下地となるシード層を形成するシード層形成工程と、シード層を覆うように第2の感光性樹脂層を形成後、第2の感光性樹脂層に露光処理及び現像処理を施してパターン化する第2のパターン化工程と、シード層を少なくとも一部を覆うように、電解めっき法により配線部を形成後、剥離処理により第2の感光性樹脂層を剥離して配線部をパターン化する配線部パターン化工程と、配線部が形成されていない領域のシード層を除去するシード層除去工程と、を更に備えていることが好ましい。シード層を形成することにより、電解めっき法による配線部の形成が可能になり、配線部を選択的にパターン化することができる。
図2は、本実施形態の構造体を用いて製造される多層プリント配線板の製造工程の一態様を示す模式図である。前記構造体としては、例えば、図1に示す構造体6を使用することができる。図2(e)に示される多層プリント配線板100Aは、表面に導体パターン102(図1に示す2a、2bに相当するもの)を有する基板に、複数の導体パターン107を層状に備え、各層間には熱硬化性樹脂からなる層間絶縁膜103(図1に示す4に相当するもの)を有し、また各層の導体パターン102は層間絶縁膜103と開口部104(図1に示す5に相当するもの)とに設けられた導体パターン107により接続されており、その表面には表面保護膜108が設けられており、表面保護膜108及び層間絶縁膜103の少なくとも一方は本発明の感光性樹脂組成物、又は本発明の感光性エレメントを用いて形成されている。多層プリント配線板100Aは、例えば、銅張積層体、層間絶縁材料、金属箔等を積層するとともに、エッチング法又はセミアディティブ法によって導体パターンを適宜形成することによって得られる。以下、多層プリント配線板100Aの製造方法を図2に基づいて簡単に説明する。
まず、図2(a)に示す構造体6を用いて、該構造体6の両表面に導体パターン107を、図2(b)〜(d)に示す工程に従って形成するが、導体パターン107は、例えば、薄い金属層(シード層)を形成し、樹脂パターン(めっきレジスト)を形成し、次いで電解めっき法により導体パターン107を形成し、前記樹脂パターンを除去し、シード層をエッチングで除去するセミアディティブ法により形成することができる。具体的には、層間絶縁膜103上、及び開口部104では導体パターン102上に、無電解めっき法によりシード層105を形成する(図2(b)参照)。このシード層105は、例えば、無電解銅めっきによる、めっき銅により形成することができる。このシード層105上に、セミアディティブ用感光性樹脂組成物を用いて感光層を形成し、該感光層にネガフィルムを用い、所定の箇所を露光、現像処理して、所定のパターンを有する樹脂パターン106を形成する(図2(c)参照)。次に、シード層105の樹脂パターン106が形成されていない部分に、電解めっき法により導体パターン107を形成し、剥離液により樹脂パターン106を除去し、該シード層105をエッチングにより除去する(図2(d)参照)。図2(a)〜(d)の作業を繰り返して行い、所望の層数に応じた導体パターン107を形成し、最表面に本実施形態に係る感光性樹脂組成物の硬化物により形成される表面保護膜(永久マスクレジスト)108を形成し、多層プリント配線板100Aを作製することができる(図2(e)参照)。ここで、上記セミアディティブ用感光性樹脂組成物として、例えば、本発明の感光性樹脂組成物を用いることができる。
このようにして得られた本実施形態の多層プリント配線板100Aは、対応する箇所に半導体素子が実装され、電気的な接続を確保することが可能である。また、表面保護膜及び層間絶縁膜の少なくとも一方に、本実施形態に係る感光性樹脂組成物を用いていることから、該感光性樹脂組成物が有する特長、すなわち、めっき銅との優れた接着強度と優れた解像性を有し、チップ部品との密着性も向上する。近年、電子機器の小型化・高性能化の流れに伴い、半導体チップにおける、導体パターンの狭ピッチ化による高密度化の傾向が著しいが、それに対応した半導体実装方法として、はんだバンプにより半導体チップと基板とを接合させるフリップチップ接続方式に使用する配線板として適用することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
<(A)バインダーポリマー>
[バインダーポリマー(A−1)の合成]
重合性単量体(モノマー)であるメタクリル酸54g、メタクリル酸メチル150g、アクリル酸メエチル96g(質量比18/50/32)と、アゾビスイソブチロニトリル2.5gとを混合して得た溶液を「溶液a」とした。
メチルセロソルブ100g及びトルエン50gの混合液(質量比3:2)150gに、アゾビスイソブチロニトリル1.2gを溶解して得た溶液を「溶液b」とした。
撹拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロート及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、メチルセロソルブ180g及びトルエン120gの混合液(質量比3:2)300gを投入し、フラスコ内に窒素ガスを吹き込みつつ撹拌しながら加熱し、80℃まで昇温させた。
フラスコ内の上記混合液に、上記溶液aを4時間かけて滴下速度を一定にして滴下した後、80℃にて2時間撹拌した。次いで、フラスコ内の溶液に、上記溶液bを10分間かけて滴下速度を一定にして滴下した後、フラスコ内の溶液を80℃にて3時間撹拌した。さらに、フラスコ内の溶液を30分間かけて90℃まで昇温させ、90℃にて2時間撹拌した後、撹拌を止め、室温まで冷却してバインダーポリマー(A−1)の溶液を得た。なお、本明細書において、室温とは25℃を示す。
バインダーポリマー(A−1)の不揮発分(固形分)は44.6質量%であり、重量平均分子量は50000であり、酸価は117mgKOH/gであった。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算することにより導出した。GPCの条件を以下に示す。
GPC条件
ポンプ:日立 L−6000型(株式会社日立製作所製)
カラム:以下の計3本
Gelpack GL−R420
Gelpack GL−R430
Gelpack GL−R440(以上、日立化成株式会社製、商品名)
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
流量:2.05mL/分
検出器:日立 L−3300型RI(株式会社日立製作所製)
<感光性樹脂組成物(塗布液)の作製>
下記の表1及び表2に示す各成分の配合量(質量部)を混合することにより、実施例1〜7及び比較例1〜5の感光性樹脂組成物(塗布液)を作製した。表中のバインダーポリマーの配合量は不揮発分の質量(固形分量)である。表1及び表2に示す各成分の詳細は、以下のとおりである。
<(B)光重合性化合物>
・UA−13:(EO)(PO)変性ウレタンジメタクリレート(エチレンオキサイド平均2mol、プロピレンオキサイド平均18mol付加物)(日立化成株式会社製、商品名)
・FA−MECH:γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−メタクリロイルオキシエチル−o−フタレート(日立化成株式会社製、商品名)
<(C)光重合開始剤>
・B−CIM:2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビスイミダゾール(Hampford社製、商品名)
・9PA:9−フェニルグリシン(新日鉄住金化学株式会社製、商品名)
<(E)増感色素>
・EAB:4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(保土ヶ谷化学工業株式会社製、商品名)
<(F)水素供与体>
・LCV:ロイコクリスタルバイオレット(山田化学工業株式会社製、商品名)
・NPG:N−フェニルグリシン
<(D)含窒素化合物>
・2PZ:2−フェニルイミダゾール(四国化成工業株式会社製、商品名)
・2E4MZ:2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製、商品名)
・1B2PZ:1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール(四国化成工業株式会社製、商品名)
<その他>
・TBC:4−t−ブチルカテコール(和光純薬工業株式会社製)
<染料>
・MKG:マラカイトグリーン(大阪有機化学工業株式会社製、商品名)
Figure 2018155994
Figure 2018155994
(感光性エレメント)
上記で得られた感光性樹脂組成物を、それぞれ、厚さ16μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人株式会社製、商品名「HTF−01」)(支持体)上に厚さが均一になるように塗布し、熱風対流式乾燥器を用いて、70℃で1分間、次いで、110℃1分間乾燥して、乾燥後の膜厚が25μmである感光性樹脂層を形成した。さらに、感光性樹脂層上にポリエチレンフィルム(タマポリ株式会社製、商品名「NF−15」)(保護層)を貼り合わせ、支持体と、感光性樹脂層と、保護層とが順に積層された感光性エレメントとして、実施例1〜7及び比較例1〜5に係る感光性エレメントをそれぞれ得た。
[円柱レジストの除去性の評価方法]
感光性樹脂組成物の剥離性の評価には、円柱パターンの感光性樹脂組成物を用いて熱硬化性樹脂組成物を開口するプロセスで評価した。
<導体回路を有するプリント配線基板の準備>
まず、厚さ18μmの銅箔2が両面に貼着された銅張積層体1(日立化成株式会社製、商品名「MCL−E−679FG」)を準備した。銅張積層体1の厚さは400μmであった(図1(a)参照)。この銅表面を、CZ処理液(メック株式会社製、商品名「メックエッチボンドCZ−8100」)で粗化した。この粗化銅基板(以下、単に「基板」という。)を加熱して80℃に昇温させた後、実施例1〜7及び比較例1〜5に係る感光性エレメントを、それぞれ、基板の銅表面上にラミネート(積層)した。ラミネートは、保護層を除去しながら、各感光性エレメントの感光性樹脂層が基板の銅表面に密着するようにして、温度120℃、ラミネート圧力0.39MPaの条件下で行った。次いで、室温になるまで冷却して、基板の銅表面上に感光性樹脂層及び支持体が積層された積層基板を得た。
<第1の感光性樹脂層の形成>
積層基板を2つの領域に分割し、そのうち1つの領域の支持体上に、直径が30μm、50μm、100μmの円状パターンがそれぞれ60μm、100μm、200μmピッチに配置されたデザインを有するPET製のフォトツールを配置させた。なお、隣り合う2つの円状パターンの、中心間の距離を「ピッチ」という。露光は、ショートアークUVランプ(株式会社オーク製作所製、商品名「AHD−5000R」)を光源とする平行光線露光機(株式会社オーク製作所製、商品名「EXM−1201」)を使用して、現像後の直径30μmの円状パターンの直径が設計値通りに得られる露光量(エネルギー量)で、PET製のフォトツール及び支持体を介して感光性樹脂層を露光した。この際、使用しない他の領域は、ブラックシートで覆った。また、それぞれ別の領域に対して、同様の方法で露光した。なお、照度の測定には、365nm対応プローブを適用した紫外線照度計(オーク製作所株式会社製、商品名「UV−350SN型」)を用いた。
露光後、積層基板から支持体を剥離し、感光性樹脂層を露出させ、現像機(HMS社製)を用いて1質量%炭酸ナトリウム水溶液を30℃、0.2MPaでスプレーすることにより未露光部分を除去した。現像時間は、各感光性樹脂組成物の最短現像時間の2倍の時間とした。このようにして、基板の銅表面上に感光性樹脂組成物の硬化物からなる硬化膜を形成した。なお、最短現像時間とは、以下のように測定して得られる値とする。まず、上記積層基材を30mm×30mmのサイズにカットし、試験片とした。試験片から支持体を剥離した後、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて、0.2MPaの圧力でスプレー現像し、1mm以上の未露光部が除去されたことを目視で確認できる最短の時間を、最短現像時間とした。
<熱硬化性樹脂層4の形成に用いる熱硬化性樹脂組成物>
プリント配線基板の熱硬化性樹脂層4(層間絶縁層)[図1(d)参照]の形成に使用する熱硬化性樹脂組成物として、以下に示すものを調製した。
<熱硬化性樹脂組成物A>
エポキシ樹脂としては、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(製品名NC−3000H、日本化薬株式会社製)70質量部を用いた。硬化剤は次のようにして作製した。温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ビス(4−アミノフェニル)スルホン:26.40gと、2,2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン:484.50gと、p−アミノ安息香酸:29.10g、及びジメチルアセトアミド:360.00gを入れ、140℃で5時間反応させて分子主鎖中にスルホン基を有し、酸性置換基と不飽和N−置換マレイミド基を有する硬化剤の溶液を得た。本硬化剤を、前記ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の70質量部に対して30質量部配合した。
無機フィラー成分としては、平均粒径が50nm、ビニルシランでシランカップリング処理したシリカフィラーを用いた。なお、無機フィラー成分は、樹脂分に対し、30質量%になるように配合し、熱硬化性樹脂組成物Aを得た。無機フィラーの分散状態は、動的光散乱式ナノトラック粒度分布計「UPA−EX150」(日機装株式会社製)、及びレーザ回折散乱式マイクロトラック粒度分布計「MT−3100」(日機装株式会社製)を用いて測定し、最大粒径が1μm以下となっていることを確認した。
上述のように得た各熱硬化性樹脂組成物の溶液を支持層である16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(G2−16、帝人株式会社製、商品名)上に均一に塗布することにより熱硬化性樹脂組成物層を形成した。その後、熱風対流式乾燥機を用いて熱硬化性樹脂組成物層を100℃で約10分間乾燥することによってフィルム状熱硬化性樹脂組成物を得た。フィルム状熱硬化性樹脂組成物の膜厚は10〜90μmのものを準備した。
次いで、熱硬化性樹脂組成物層に埃等が付着しないように、支持層と接している側とは反対側の表面上にポリエチレンフィルム(NF−15、タマポリ株式会社製、商品名)を保護フィルムとして貼り合わせ、熱硬化性フィルムタイプの樹脂組成物を得た。
得られた熱硬化性フィルムタイプの樹脂組成物を用いて、プリント配線基板上に熱硬化性樹脂層4を形成した。詳細には、まず、上記熱硬化性樹脂組成物Aからなる熱硬化性フィルムタイプの樹脂組成物の保護フィルムのみを剥がし、銅張積層体1の両面(図1に示す第1の感光性樹脂層パターン3a、3b及び導体回路2a、2b上)に熱硬化性樹脂組成物を載置した。プレス式真空ラミネータ(MVLP−500、株式会社名機製作所製、商品名)を用いてプリント配線基板の表面に熱硬化性樹脂組成物を積層した。プレス条件は、プレス熱板温度80℃、真空引き時間20秒、ラミネートプレス時間30秒、気圧4kPa以下、圧着圧力0.4MPaとした。次いで、クリーンオーブンで所定温度、所定時間で熱硬化性樹脂層4を熱硬化させた。
その後、下記の表3及び表4に示す工程に沿って除去処理を行うことで、熱硬化性樹脂層4を研削して第1の感光性樹脂層のパターン3a、3bを露出させると共に、第1の感光性樹脂層のパターン3a、3bを除去し、熱硬化性樹脂層4の一部を開口させた。また、必要に応じて除去処理(デスミア処理又はプラズマ処理)を繰り返し実施した(図1の(e)及び(f)に示す工程を参照)。実施例におけるプリント配線基板の製造時における開口形成プロセス条件は、表3及び表4に示す通りである。
Figure 2018155994
Figure 2018155994
[貼り付き性の評価]
各感光性フィルムを用いて、以下のようにして評価用積層体を作製した。すなわち、1
2μm厚の銅箔をガラスエポキシ基材に積層したプリント配線板用基板(E−679、日
立化成株式会社製、商品名)の銅表面を砥粒ブラシで研磨し、水洗した後、乾燥した
。このプリント配線板用基板上に上記のラミネート(積層)条件と同じ条件の下で感光性フィルムから保護フィルムを剥離しながら前記感光性フィルムを積層し、評価用積層体を得た。評価用積層体から支持体を剥離した際の感光性樹脂組成物層が基板への貼り付きの程度を次の基準で評価した。
A:感光性樹脂組成物層が基板に貼り付いているもの。
B:感光性樹脂組成物層が支持体と一緒に剥離され、基板に貼り付いていない箇所が一部に存在するもの。
C:感光性樹脂組成物層が支持体と一緒に剥離され、基板に貼り付いていない状態が全体に存在するもの。
[円柱レジストの残渣除去性]
円柱レジストの残渣除去性については、直径30μm、50μm、100μmの、それぞれの円柱レジストを除去した後、電子顕微鏡(SEM)で観察して以下の基準に基づいて評価した。結果を下記の表6及び7に示す。
A:銅表面に感光性樹脂組成物由来の残渣がなく、剥離及び除去できているもの。
B:ビアが開口される部分に感光性樹脂組成物由来の残渣が容積の50%以下発生しているもの。
C:ビアが開口される部分に感光性樹脂組成物由来の残渣が容積の50%以上発生しているもの。
[剥離特性の評価]
各感光性エレメントを上記銅張積層板(基板)上に積層し、下記表5に示す条件で露光及び現像を行うことにより、基板上に硬化膜が形成された試験片(40mm×50mm)を作製した。この試験片を室温で一昼夜放置した後、表5に示す条件で剥離を行った。
Figure 2018155994
表5に示す条件で行った剥離評価試験において、撹拌開始から、硬化膜が基板から完全に剥離除去されるまでの時間を剥離時間(秒)とした。また、剥離後の剥離片のサイズを目視にて観察し、以下の基準で評価した。剥離時間が短く、剥離片サイズが小さいほど剥離特性が良好であることを意味する。結果を、下記の表6及び表7に示す。
剥離片サイズ
L :シート状
M :30〜40mm角
S :20〜30mm角
SS:20mm角より小さい。
Figure 2018155994
Figure 2018155994
表6及び表7から明らかなように、実施例1〜7の感光性樹脂組成物を用いることで、貼り付き性を保持したまま円柱レジストでも剥離性が良好であり、レジスト残渣剥離性にも優れることが分かった。それに対し、比較例1〜5の感光性樹脂組成物では、貼り付き性及び剥離性の特性を同時に満足させることが困難であった。比較例2及び3の感光性樹脂組成物のように、バインダーポリマーの比率を上げて円柱レジストの剥離性を向上させるとラミネート時の基板への貼り付き性及びレジスト残渣除去性が低下し、実施例1〜7の感光性樹脂組成物と比べて特性的に劣っていた。
以上のように、本発明の感光性樹脂組成物は、貼り付き性を変化させずに、剥離性に優れるレジストパターンを形成することができる。そして、本発明の感光性樹脂組成物を用いて熱硬化性樹脂層に開口を形成した導体回路を有する構造体を製造することにより、めっき銅との優れた接着強度と優れた解像性が得られるため、導体パターンの接続不良、表面保護膜等の割れ等が生じにくい高品質のプリント配線板を提供することができる。
1.銅張積層体
2a,2b.導体回路(銅箔)
3.第1の感光性樹脂層
3a,3b.第1の感光性樹脂層のパターン
4.熱硬化性樹脂層
5.開口部
6.導体回路を有する構造体
100A.多層プリント配線板
102.導体パターン
103.層間絶縁膜
104.開口部
105.シード層
106.樹脂パターン
107.導体パターン
108.表面保護膜

Claims (12)

  1. (A)成分:バインダーポリマーと、
    (B)成分:光重合性化合物と、
    (C)成分:光重合開始剤と、
    (D)成分:下記一般式(1)式に示す含窒素化合物と、
    を含む、感光性樹脂組成物。
    Figure 2018155994
    〔式中、R、R、R、Rは、そのいずれか1つがビニル基であり、その他は水素、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、フェニル基、シアノ基のいずれかを表し、それぞれが同じかあるいは異なっていてもよい。〕
  2. 前記(A)成分が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の重合性単量体に基づく構造単位を有する、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記(A)成分の酸価が60〜400mgKOH/gである、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記(A)成分の重量平均分子量が10000〜100000である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
  5. 前記(B)成分の光重合性化合物が、少なくとも分子内に一つのエチレン性不飽和結合を有する化合物を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
  6. 前記エチレン性不飽和結合を有する化合物が、エチレン性不飽和結合を3つ以上有する化合物を含む、請求項5に記載の感光性樹脂組成物。
  7. 支持体と、該支持体の上に請求項1〜6のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物 が形成された感光性樹脂層と、を備える感光性エレメント。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物又は請求項7に記載の感光性エレメントを用いて基板上に感光性樹脂層を形成する工程と、前記感光性樹脂層の所定部分に活性光線を照射して前記所定部分を硬化させる露光工程と、前記感光性樹脂層の前記所定部分以外の部分を前記基板上から除去することにより、前記感光性樹脂組成物の硬化物からなるレジストパターンを前記基板上に形成する現像工程と、を有する、レジストパターンの形成方法。
  9. 前記活性光線の波長が340〜430nmの範囲内である、請求項8に記載のレジストパターンの形成方法。
  10. 導体回路を有する支持体の表面に形成された絶縁層に開口が設けられると共に、前記開口に前記導体回路と接続される配線部が形成されてなる導体回路を有する構造体の製造方法であって、
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物又は請求項7に記載の感光性エレメントを用いて、導体回路を覆うように前記支持体上に第1の感光性樹脂層を形成する感光性樹脂層形成工程と、
    前記第1の感光性樹脂層に露光処理及び現像処理を施してパターン化する第1のパターン化工程と、
    前記第1の感光性樹脂層のパターンを覆うように前記支持体上に熱硬化性樹脂層を形成する熱硬化性樹脂層形成工程と、
    前記熱硬化性樹脂層の一部を除去して前記第1の感光性樹脂層のパターンの所定箇所を前記熱硬化性樹脂層から露出させるパターン露出工程と、
    前記熱硬化性樹脂層から露出した前記第1の感光性樹脂層を除去して、前記導体回路を露出させる開口を前記熱硬化性樹脂層に形成する開口形成工程と、を備える、導体回路を有する構造体の製造方法。
  11. 前記熱硬化性樹脂層形成工程と前記パターン露出工程との間に、さらに、前記熱硬化性樹脂層を熱硬化する熱硬化工程を備える、請求項10に記載の導体回路を有する構造体の製造方法。
  12. 請求項10又は11に記載の製造方法によって得られる導体回路を有する構造体を用いて、
    該構造体の開口を形成した後の前記熱硬化性樹脂層の少なくとも一部を覆うように、無電解めっき法により前記配線部の下地となるシード層を形成するシード層形成工程と、
    前記シード層を覆うように第2の感光性樹脂層を形成した後、前記第2の感光性樹脂層に露光処理及び現像処理を施してパターン化する第2のパターン化工程と、
    前記シード層の少なくとも一部を覆うように電解めっき法により前記配線部を形成した後、前記第2の感光性樹脂層のパターンを剥離して前記配線部をパターン化する配線部パターン化工程と、
    前記配線部が形成されていない領域のシード層を除去するシード層除去工程とを備える配線板の製造方法。
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