JP2023092347A - 特定の片末端構造を有するポリジメチルシロキサン―ポリエーテルジブロック共重合体、それを含む組成物、及びその消泡剤等としての使用 - Google Patents

特定の片末端構造を有するポリジメチルシロキサン―ポリエーテルジブロック共重合体、それを含む組成物、及びその消泡剤等としての使用 Download PDF

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Abstract

【課題】工業的に安定的に供給でき、安全面の問題を有さず、透明液体洗剤処方に配合した際、成分の顕著な分離の問題が生じないか、仮に分離しても容易に再分散することが可能であり、少量で優れた消泡効果が長時間持続し、かつ、透明な液体洗剤の透明性の低下を起しにくく、良好な外観および透明性を維持できるシリコーン系消泡剤を提供する。【解決手段】一般式(1):【化1】TIFF2023092347000040.tif30117(式中、RはC1~C4アルキル基又は水素原子を表し、xは50≦x≦110を満たす数であり、nは2ないし8の数であり、pとqは、30≦(p+q)≦45かつオキシエチレン部とオキシプロピレン部の質量比が20:80~45:55の範囲内となる数を表す)で表される、片末端が低級アルコキシ基又はヒドロキシ基により封鎖されたポリジメチルシロキサンとポリアルキレングリコールとからなるジブロック共重合体、それを含む組成物およびそれらを含有する泡制御剤(消泡剤)等。【選択図】なし

Description

本発明は、特定の片末端構造を有するポリジメチルシロキサン-ポリエーテルジブロック共重合体、それを含む組成物およびその泡制御剤(消泡剤を含む)等の使用に関する。当該ジブロック共重合体は、外観が透明乃至半透明の液体洗剤に配合した際、その透明性の阻害が少なく、且つ、有益な泡抑制効果を持続的に発揮できることから、特に透明な液体洗剤処方に配合することができる。
ポリジメチルシロキサン(PDMS)は、最も一般的な泡制御剤の1つであるが、油であるため、水系の発泡液にそのまま添加しても消泡効果は得られない。そのため、通常は水系への分散性を改善したシリコーン消泡剤コンパウンド、或いはその乳化物が使用される。シリコーン消泡剤コンパウンドは、一般に、PDMSと疎水性無機フィラー(例えば、シリカなど)およびフィラーの分散性を向上させる分散剤・乳化剤(コンパウンドが水系に添加され、或いは乳化物として提供される際の安定性を付与する)を含む。こうした分散剤・乳化剤として汎用されるものに、ポリエーテル変性シリコーンが挙げられる。ポリエーテル変性シリコーンは、様々な構造タイプの設計が可能であり、泡制御の場面に応じて要求される別の効果を提供する目的でも、配合される。
例えば、特許文献1~6には、種々の用途における泡制御および消泡を目的として、ポリオキシアルキレン構造(主として、EOおよび/またはPO構造)を含むポリエーテル変性シリコーン、ポリエーテル―ポリシロキサンブロック共重合体と無機フィラーとを含むシリコーン消泡剤が提案されている。
一方、透明液体洗剤はその透明感から商品自体の美観に優れ、衣類の洗濯等に使用され、市場に広く普及している。これらの透明液体洗剤においては、洗濯時の泡立ちを制御しつつ商品の透明な外観を維持できる消泡成分として、脂肪酸塩が一般に使用されている。しかし、脂肪酸は天然資源に由来するため、一般に供給性や価格が気候変動や自然災害の影響を受け易く、工業的に品質面および安定供給性に問題がある。特に、有機系の消泡成分は、一般に充分な消泡効果を得るために必要な添加量がシリコーン消泡剤に比べて多くなりやすいため、透明液体洗剤において利用可能なシリコーン系消泡剤の利用が市場における需要として存在する。
しかしながら、特許文献1~6にかかる公知のシリコーン消泡剤を透明な液体洗剤に添加した場合、その審美的な魅力である透明性が損なわれる場合がある。加えて、これらの公知のシリコーン消泡剤は、消泡成分として、疎水性無機フィラー(例えば、シリカなど)を含むコンパウンドの形態であるが、これらのフィラー成分は液体洗剤中で経時で分離・沈降する傾向があり、一度分離・沈降すると簡単な振り混ぜ等の手段では液体洗剤中に均一に再分散させることが困難である。これにより、公知のシリコーン消泡剤を含む透明な液体洗剤においては、消泡性能が経時的に低下し、かつ、透明な液体洗剤の透明性および外観を損なうという問題がある。
他方、特許文献7には、ポリオルガノシロキサンブロックとポリオキシアルキレンブロックを各々1つ有す、特定の直鎖状共重合体からなる泡制御剤が提案されており、疎水性無機フィラー(例えば、シリカなど)を使用しなくても良好な泡制御性(特に消泡性)を実現できること、当該泡制御剤を液体洗剤等に添加できることが提案されている。
しかしながら、特許文献7の泡制御剤にかかる鎖状ポリオルガノシロキサン-ポリオキシアルキレンブロック共重合体は、それ自体、泡制御性に優れるものではあるが、特許文献7に具体的に開示された泡制御剤を配合した透明液体洗剤の外観、特に透明性や消泡効果の持続性や経時安定性等は市場における潜在的な要求を完全に充足するレベルまでは達しておらず、更に改善の余地を残していた。
なお、特許文献1~7には、特定構造を有する片末端低級アルコキシ封鎖ポリジメチルシロキサン-ポリエーテルジブロック共重合体について記載も示唆もされていない。さらに、特許文献1~7にはシリコーン消泡剤を透明な液体洗剤に添加することは記載されておらず、シリコーン消泡剤に使用するポリジメチルシロキサン-ポリエーテルジブロック共重合体の末端基、ポリオキシアルキレン構造の限定、それらを限定することが透明な液体洗剤の透明性の改善等の技術的利益をもたらすことについて、いかなる記載も示唆もされていない。
特公平1-30872号公報 特公平4-62761号公報(米国特許第5244599号明細書) 特許第3113694号公報(米国特許第5441667号明細書) 特許第4495818号公報 米国特許第6669949号明細書 特許第4262984号公報(米国特許第7294653号明細書) 国際公開第2020/263379号公報
さらに、本件出願人は、特許文献7に具体的に開示された鎖状ポリオルガノシロキサン-ポリオキシアルキレンブロック共重合体を透明液体洗剤に添加した場合、濁りが発生して、その外観および透明感に悪影響を与え、かつ、経時的な消泡性の低下の問題に加えて、消泡剤の市場における生産コスト、工業的生産性および化学構造に由来する安全面の課題を有するという新たな課題を見出した。
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、脂肪酸塩に比べて工業的に安定的に供給でき、安全面の問題を有さず、透明液体洗剤処方に配合した際、成分分離の問題が生じ難いか、仮に分離しても容易に再分散することが可能であり、少量で優れた消泡効果が長時間持続し、かつ、透明な液体洗剤の透明性の低下を起しにくく、良好な外観および透明性を維持できるシリコーン系消泡剤、その原料となるポリオルガノシロキサン-ポリオキシアルキレンブロック共重合体およびそれを含む液体洗剤(特に、透明な外観を有する液体洗剤)を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく、本発明者は鋭意検討の結果、ポリジメチルシロキサンブロックがヒドロキシ基またはC1~4の低級アルコキシ末端から選ばれる特定の末端構造を有し、そのポリエーテルブロックを構成するオキシエチレン(EO)部とオキシプロピレン(PO)部の重合度が所定の範囲にあり、かつ、そのEO部およびPO部の質量比が所定の範囲にあるポリジメチルシロキサン-ポリエーテルジブロック共重合体、それを含む組成物、及び消泡剤の使用により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
より具体的には、上記課題は、
(I)一般式(1):
Figure 2023092347000001
(式中、Rは炭素数1~4のアルキル基又は水素原子を表し、xは50≦x≦110を満たす数であり、nは2ないし8の数であり、pとqは、30≦(p+q)≦45かつオキシエチレン部とオキシプロピレン部の質量比が20:80~45:55の範囲内となる数を表す)で表される、片末端が低級アルコキシ基又はヒドロキシ基により封鎖されたポリジメチルシロキサンとポリアルキレングリコールとからなるジブロック共重合体により、解決される。
さらに、上記課題は、当該ジブロック共重合体、(II)所定の両末端ポリアルキレングリコール変性ポリジメチルシロキサン、(III)所定の両末端が低級アルコキシ基又はヒドロキシ基により封鎖されたポリジメチルシロキサン、任意でさらに(IV)所定のポリオキシアルキレン化合物、(V)特定の中性の有機油を特定の比率で含有する組成物により解決される。
また、上記課題は、前記組成物の水系発泡液に対する消泡剤又は泡制御剤としての使用により解決される。なお、水系発泡液は、透明乃至半透明の液体洗剤であってよく、本発明の技術的効果の見地から、特に好ましい。
同様に、上記課題は、前記の本発明にかかる特定のジブロック共重合体または前記の本発明にかかる組成物を含み、かつ、所定の組成(処方)を有する、透明乃至半透明の外観を有する液体洗剤により解決される。
また、上記課題は、前記の組成(処方)を有する液体洗剤を、適時に混合することを特徴とする当該液体洗剤の安定化方法により解決される。なお、ここでいう混合操作はミキサー等の強い剪断力を与える攪拌手段による必要はなく、液体洗剤の製剤容器を人力等の容易な物理的手段により振とうする程度の混合操作で十分な安定化が可能である。
本発明に係る特定の構造および末端基を有するポリジメチルシロキサン-ポリエーテルジブロック共重合体又はそれを含む組成物は、透明液体洗剤処方に配合した際、少量で優れた消泡効果および泡制御効果が長時間持続し、かつ、透明な液体洗剤の透明性の低下を起しにくく、良好な外観および透明性を維持できる。さらに、当該ポリジメチルシロキサン-ポリエーテルジブロック共重合体又はそれを含む組成物は、脂肪酸塩に比べて工業的に安定的に供給でき、安全面の問題を有しないものである。
以上の特徴から、本発明に係る特定の構造および末端基を有するポリジメチルシロキサン-ポリエーテルジブロック共重合体又はそれを含む組成物は、水系発泡液に対する消泡剤又は泡制御剤として特に有用であり、消泡効果および泡制御効果の持続性に優れ、かつ、透明な外観を有する透明液体洗剤処方を提供することができる。
なお、発明に係る特定の構造および末端基を有するポリジメチルシロキサン-ポリエーテルジブロック共重合体又はそれを含む組成物を使用した透明液体洗剤は、その外観および泡制御性(消泡性を含む)に悪影響を及ぼすような、成分の顕著な分離を起し難く、かつ、経時で極めて少量の油状物の浮遊等の軽微な分離を起した場合でも、製剤の容器を振とう(振り混ぜを含む)する程度の平易な混合操作だけで、分離した成分を透明液体洗剤中に再分散させることができ、適時の振り混ぜ等を行うだけで良好な外観を長期間にわたって維持でき、かつ、安定した泡制御性を維持できるという利点を有する。
以下、本発明にかかるジブロック共重合体について説明する。まず、本発明にかかるジブロック共重合体は、特許文献7に開示されたジブロック共重合体の下位概念かつ選択発明であり、特にそのポリジメチルシロキサンブロックの末端構造;そのポリエーテルブロックを構成するオキシエチレン(EO)部とオキシプロピレン(PO)部の重合度および質量比を限定したことにより、従来公知のシリコーン消泡剤や特許文献7に具体的に開示されたジブロック共重合体に比べて、格段顕著な技術効果を実現したものである。
より具体的には、当該ジブロック共重合体は、下記の一般式(1):
Figure 2023092347000002
で表される、片末端が低級アルコキシ基又はヒドロキシ基により封鎖されたポリジメチルシロキサンとポリアルキレングリコールとからなるジブロック共重合体である。
式中のRは、ポリジメチルシロキサンブロックの末端構造であり、本発明にかかる共重合体の主要な特徴の一つである。具体的には、Rは炭素数1~4のアルキル基又は水素原子を表し、当該ジブロック共重合体は、片末端が炭素数1~4の低級アルコキシ基又はヒドロキシ基により封鎖された構造をとり、Rはエチル基または水素原子であることが特に好ましい。かかる構造により、本発明にかかるジブロック共重合体は、透明な液体洗剤処方に配合しても透明性を実質的に損なわないという利点を有する。他方、特許文献7に具体的に開示された各構造を含め、「OR」が他の官能基に置換されてしまうと、本発明の技術的効果を奏しないか、その他の工業的な生産上の不利益、または安全面での問題を生じる場合がある。これについては、比較例において詳述する。
xはジメチルシロキサンユニットの重合度であって、xは50≦x≦110を満たす数であり、50≦x≦90を満たす数であって良い。xが50未満の場合には、消泡性能が低下し易い傾向があり、xが110を超える場合には、ジブロック共重合体を含む組成物の粘度が高くなり、ハンドリングと洗剤液中への分散性や再分散性が悪くなる傾向にある。
nは、ポリジメチルシロキサンブロックとポリアルキレングリコールブロック間を連結するアルキレン基(CnH2n)の炭素原子数であり、2~8の範囲の数であり、2~6の範囲の数であってよい。一例として、ポリアルキレングリコールブロックの前駆体原料がアリル末端を有し、ヒドロシリル化により両ブロックが連結される場合には、nは3であり、プロピレン基により連結された構造となる。
pおよびqは、各々、ポリアルキレングリコールブロックを構成するオキシエチレン(EO)部分とオキシプロピレン(PO)部分の個数であり、本発明にかかる共重合体の主要な特徴の一つである。具体的には、本願発明の技術的効果を奏するため、p+qは、30≦(p+q)≦45となる数であることが必要であり、かつ、pおよびqは、EO部分とPO部分の質量比が20:80~45:55の範囲となる数であることが必要であり、25:75~40:60の範囲となる数であってよい。これは、本発明のジブロック共重合体のポリオキシアルキレン鎖が、EO部分およびPO部分から構成され、その末端は水酸基であり、ポリオキシアルキレン鎖の鎖長が所定の範囲にあり、かつ、当該ポリオキシアルキレン鎖は、EO部分が一定量含まれることを前提としてPO部分の含有量が多いことを意味する。かかる構造的特徴を満たさないポリアルキレングリコールブロックを含むジブロック共重合体である場合、特に、分散性が不十分となる場合があり、その他の構造的特徴を満たしていたとしても、透明な液状洗剤に配合した場合に、濁り、透明性の低下および分離の原因になったり、分離した成分が平易な手段では液状洗剤中に再分散できなくなる場合がある。
このようなジブロック共重合体は、標準ポリスチレン換算でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により同定される分子量が、7500~20000の範囲であってよく、25℃における粘度が1000~10,000mPa・sの範囲に合ってよい。ただし、後述の通り、本発明にかかるジブロック共重合体は、これを含む組成物の形態で得られ、かつ、使用されてよい。
このようなジブロック共重合体は、特許文献7の段落0016等に開示されている方法に準じて、
x-1) 下記構造式:
Figure 2023092347000003
(式中、xは上記同様の数)
で表される分子鎖両末端のみにケイ素原子結合水素原子(SiH)を有するポリジメチルシロキサンと、
x-2) 一般式(4):
Figure 2023092347000004
(式中、n、p、qは前記同様の数)
で表される、分子鎖末端に炭素原子数2~8のアルケニル基を有するポリオキシアルキレン化合物を、
x-3)ヒドロシリル化反応触媒
の存在下において、イソプロパノール(IPA)等の有機溶媒中或いは無溶媒下でヒドロシリル化反応させたのち、反応後のポリジメチルシロキサンブロックのSiH末端を水または炭素数1~4のアルコール(好適にはエタノール)と脱水素反応させてヒドロキシ基または炭素数1~4の低級アルコキシ基に変換することで合成可能である。
このようなジブロック共重合体を得るためには、x-1) 両末端にSiHを有するポリジメチルシロキサンと、x-2) 分子鎖末端に炭素原子数2~8のアルケニル基を有するポリオキシアルキレン化合物を1:1に近い物質量比~x-1)であるSiH基を有するポリジメチルシロキサンが過剰量となるような物質量比で反応させることが好ましい。この場合、化学量論的に、得られる反応物は、本発明にかかるジブロック共重合体、x-1)成分の両末端のSiHがx-2)成分により変性された両末端ポリアルキレングリコール変性ポリジメチルシロキサン、x-1)成分の両末端のSiH基がヒドロキシ基または炭素数1~4の低級アルコキシ基に変換されてなるポリジメチルシロキサンおよび未反応のx-2)成分からなる混合物(組成物)となる。
ここで、ヒドロシリル化反応触媒は、公知のヒドロシリル化反応触媒の中から適宜選択して本発明に用いることができる。ヒドロシリル化反応触媒の具体的な例として、シリカ微粉末又は炭素粉末担体上に吸着させた微粒子状白金、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸のオレフィン錯体、塩化白金酸とビニルシロキサンの配位化合物、白金黒などの白金を含むヒドロシリル化反応触媒が例示でき、特に好適なヒドロシリル化反応触媒は、1、3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン白金錯体および塩化白金酸が特に好ましい。また、ヒドロシリル化反応触媒として塩化白金酸を使用する場合には、その酸性を中和するための公知の弱アルカリ性緩衝剤を併用することが好ましい。
反応条件は特に制限されないが、白金金属量が質量単位で0.1~1000ppmとなる量で、好適には50~100℃で原料成分x-1)およびx-2)を、IPA等の有機溶媒中或いは無溶媒下で、数分~数時間加熱攪拌することでヒドロシリル化反応させたのち、水または炭素数1~3のアルコール(好適にはエタノール)を塩化白金酸等のIPA溶液等と共に添加して、反応後のポリジメチルシロキサンブロックのSiH末端をヒドロキシ基または炭素数1~4の低級アルコキシ基に変換(脱水素反応)することができる。この脱水素反応の触媒としては、塩化白金酸やアルコール変性塩化白金酸が好適であるが、これらに限定されず、他の公知の触媒も利用できる。本発明のジブロック共重合体を得るうえで、ヒドロシリル化反応と脱水素反応は、この順番で行っても良いし逆の順番で行っても良い。
このようにして得たジブロック共重合体を含む組成物は、好ましくは、
(II)一般式(2):
Figure 2023092347000005
(式中、x、n、p、qは前記同様の数)で表される、両末端ポリアルキレングリコール変性ポリジメチルシロキサン、
(III)一般式(3):
Figure 2023092347000006
(式中、Rは前記同様の基であり、xは前記同様の数)、
(IV)一般式(4):
Figure 2023092347000007
(式中、n、p、qは、前記同様の数)
で表される、一分子中に1の不飽和基と1の水酸基を含有するポリオキシアルキレン化合物
を含む混合物であってよい。
このようにして得たジブロック共重合体を含む組成物は、更に特許第5491152号に記載された酸性無機塩存在下で処理することにより、臭気原因物質を除去することも可能である。また、前記ジブロック共重合体を含む組成物に、ビタミンEなどの酸化防止剤を適量加え、安定化することもできる。こうした措置により、液体洗剤の香りへの悪影響などの懸念も最小化できる。
本発明にかかるジブロック共重合体を含む組成物を、透明な液体洗剤の泡制御剤(消泡剤)として使用する場合、ジブロック共重合体を成分(I)とした場合、
成分(I)、(II)、(III)の物質量比(=モル比)が、35:55:10~70:0:30の範囲内にあることが好ましい。かかる組成物は、原料成分x-1)とx-2)
の物質量比を調整すること等で容易に得ることができる。
同様に、本発明にかかるジブロック共重合体を含む組成物において、成分(IV)は、未反応の原料成分x-2)に由来し、前記の成分(I)、(II)、(III)に含まれるポリジメチルシロキサン部分のモル数の合計を1としたときに、0.05~0.35の物質量比(=モル比)となる量であることが好ましい。
[添加剤の使用]
本発明の技術的効果を損なわない範囲において、本発明にかかるジブロック共重合体およびそれを含む組成物には、その他の添加剤をさらに添加してよい。特に、一部の有機系の液状油剤は、併用した場合に、透明な液体洗剤の外観および透明性を大きく損なうことがなく、かつ、本発明にかかる泡制御剤(消泡剤)について、その消泡効果をさらに改善できる場合がある。
例えば、(V)イソステアリルアルコール、水添ポリイソブテン(C13~20)、イソノナン酸イソノニル、アジピン酸ジイソブチル、イソステアリン酸エチル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)トリグリセリド、分岐ジオールのジネオペンタン酸エステル{例えば、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオールやジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオール}から選ばれる分岐鎖構造を有する中性の有機油は、本発明にかかるジブロック共重合体およびそれを含む組成物と併用した場合、透明な液体洗剤の外観および透明性を大きく損なうことがなく、その消泡効果をさらに改善できる場合がある。ここで、上記成分(V)の使用量は、成分(V):前記の成分(I)~(IV)からなる組成物の質量の和が、1:99~25:75の質量比となる範囲である。
成分(V)を含め、添加剤成分の配合は任意であるが、後述する参考例に示す通り、成分(V)以外の添加剤成分を併用すると、却って、透明な液体洗剤の外観が損なわれたり、消泡性能の改善がみられない場合もあるため、仮に配合する場合には、成分(V)から選ばれる1種類以上の分岐鎖構造を有する中性の有機油を用いることが好適である。
[消泡剤又は泡制御剤としての使用]
前記の通り、本発明に係るジブロック共重合体、それを含む組成物は、水系発泡液に対する消泡剤又は泡制御剤として有用であり、特に、水系発泡液が透明な液体洗剤である場合、その透明性および外観を損なうことなく、顕著な分離を起し難く、かつ、持続的な消泡性能と再分散性に優れるという利点を有する。
なお、本発明に係るジブロック共重合体、それを含む組成物は、液体洗剤以外の水系発泡液に使用してもよく、例えば、パーソナルケア製品、その他の工業用途、例えば繊維処理剤、衣類用柔軟剤、塗料添加剤、パルプ・製紙製造工程中でも利用することもできる。また、外観が不透明な液体洗浄剤や固体洗剤に添加して利用すること、既知のシリコーン消泡剤コンパウンドやその乳化物中に添加して利用してもよく、特に制限されるものではない。
また、本発明に係るジブロック共重合体、それを含む組成物は、特許文献7に例示された消泡剤又は泡制御剤と同様の用途に使用してもよく、本発明の好ましい実施態様の一つとして包含される。
[液体洗剤]
本発明に係るジブロック共重合体またはそれを含む組成物は、液体洗剤、特に外観が透明な液体洗剤に配合することができ、かつ、その透明性および外観を損なうことなく、分離を起し難く、かつ、持続的な消泡性能と再分散性に優れるものである。
透明な外観を与える液体洗剤の組成は、特に制限されるものではないが、
a)a-1)POE(5~20)C11~18アルキルエーテル、a-2)POE(5~20)C11~18脂肪酸メチルエステルから選択される少なくとも1の有機系非イオン性界面活性剤を10~60質量%、
b)C11~18脂肪酸塩を除く、少なくとも1の有機系アニオン性界面活性剤を1~50質量%、
c)水を30~80質量%、
d)消泡剤又は泡制御剤:本発明に係るジブロック共重合体またはそれを含む組成物を50~10000ppm、
e)酸化防止剤、防腐剤、凍結防止剤、ハイドロトロープ剤、水軟化剤から選択される1以上の安定化剤を0.01~30質量%
を含有する、透明乃至半透明の外観を有する液体洗剤が具体的に例示できる。ここで、上記の成分a)~e)の総量を100質量%とする。
このような液体洗剤は、任意で、さらに、
f)プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、エステラーゼから選択される少なくとも1の酵素を0.1~2質量%、
g)少なくとも1の再汚染防止剤(再付着防止剤)を0.1~10質量%、
h)液体洗剤のpHを5.0~9.5の範囲に調整するためのpH調整剤、
i)i-1)着色料1~150ppm、i-2)香料5~5000ppm、から選ばれる少なくとも1の美的品質改良剤、
j)前記d)と異なる少なくとも1の消泡成分0.01~5質量%、
k)前記a)、b)と異なる少なくとも1の有機系界面活性剤0.5~5質量%
を含むものであってもよい。なお、ここで、上記の成分a)~k)の総量を100質量%とする。
液体洗剤、特に外観が透明な液体洗剤の処方は、特に制限されるものではないが、本発明にかかる消泡剤又は泡制御剤(上記の成分d))を除き、類似した構成を有する透明な液体洗剤処方は、透明乃至半透明な液体洗剤の代表的処方例は、特許第5436199号公報や特開2021-120423等に示されており、公知である。また、近年の液体洗剤処方においては、その透明性に優れた外観がもたらす審美的な価値に加えて、衣料品に付与する香料処方(=一般消費者にとって、洗濯時に「良い香り」として認識される香気)が重要となる場合があるが、本発明にかかる消泡剤又は泡制御剤は、高級アルキル基や高級アルコキシ基に起因する油臭を持たないため、液体洗剤の外観だけでなく香気を大きく損なうこともないという利点がある。なお、香料処方に関しては、特開2002-146399号公報、特開2021-134324号公報等に代表例が示されている。
[分離及び再分散性]
本発明にかかるジブロック共重合体またはそれを含む組成物は、液体洗剤に配合した場合、シリカ等の無機フィラー(コンパウンド)を含まないため、安定した分散状態を維持しやすく、経時的に成分が大規模に分離したり、液体洗剤の消泡性能が大きく損なわれるものではない。しかしながら、保存期間中に、本発明にかかるジブロック共重合体またはそれを含む組成物を含む液体洗剤から、透明な外観を大きく損なわない程度の少量の油状成分が分離し、消泡性能が初期に比べて若干低下する場合がある。
しかしながら、仮にそのような分離を生じた場合であっても、本発明にかかるジブロック共重合体は、その構造上の特徴に由来して、液体洗剤等への再分散性に優れるという利点を有するため、適宜、液体洗剤等を容器ごと振り混ぜる等の簡易な振とう手段により、分離した油剤を液体洗剤中に容易に再分散させることができ、これにより消泡性能の低下が抑制され、透明~半透明な外観を回復させることができる。
すなわち、本発明にかかる液体洗剤は、適時、その容器ごと振とうしたり振り混ぜたりして混合することにより、分離成分を再分散させて、その透明性に優れた外観を容易に維持し、消泡性能を長期間にわたって安定的に発揮することができる。これにより、当該液体洗剤の消泡性および透明な外観を安定化することができるものである。
上記の通り、当該液体洗剤の安定化方法には、ミキサーや乳化装置など強い剪断力を生じさせる機械的混合手段を用いる必要はなく、本発明にかかるジブロック共重合体またはその組成物を含む液体洗剤を、簡易な機械的手段または人力によって、その容器ごと振とう、回転、振り混ぜ等の再混合操作によって、容易に分離成分を再分散し、その外観および品質を安定化できるため、製品(製剤)の流通過程あるいは製品保管時における品質の維持が極めて容易であるという際立った利点を有する。
以下、比較例と実施例とにより本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらにより限定されるものではない。なお、下記組成式において、MeSiO基(又は、MeSi基)を「M 」、MeSiO基を「D 」、MeHSiO基を「M 」と表記し、MおよびD中のメチル基をいずれかの置換基によって変性した単位をMおよびDと表記する。また、IPAはイソプロピルアルコール、EOはエチレンオキシド又はオキシエチレン基、POはプロピレンオキシド又はオキシプロピレン基、Meはメチル基、Phはフェニル基、PDMSはポリジメチルシロキサン、PAGはポリアルキレングリコール、PEGはポリエチレングリコール、PPGはポリプロピレングリコール、DPGはジプロピレングリコール、AMSはアルファメチルスチレンを表す。また、実験例における「%」は特に断りがない場合、質量%を意味する。
[実施例1、比較例1~9、比較例10~19]
以下の本発明にかかるジブロック共重合体を含む泡制御剤を実施例1に示す。また、特許文献7に記載のジブロック共重合体との対比を目的とする、比較例1~9にかかる泡制御剤、その他の構造との対比を目的とする、比較例10~19にかかる泡制御剤をそれぞれ示す。
比較例1~9にかかる泡制御剤は、そのジメチルシロキサンブロックの末端構造が、本願発明にかかるジブロック共重合体と異なる。また、比較例10~19の泡制御剤(消泡剤)について、平均組成式の構造型で分類すると、実施例1と比較例13~19はAB´型、比較例10,11はABA型となる。ここで、Aは親水性のポリエーテル基、B´は末端エトキシ封鎖PDMS基を示す。
<実施例1>
500mL反応器に、平均組成式 M60 で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン82.64g、平均組成式CH=C(CH)CH-O(CO)11(CO)25-Hで表される片末端アリルエーテル化ポリアルキレングリコール59.28g、反応溶媒としてIPAを15g仕込み、窒素流通下で攪拌しながら1、3-ジビニルー1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン白金錯体のヘキサメチルジシロキサン溶液(Pt濃度0.42%)を0.37mL添加した。ここで、メチルハイドロジェンポリシロキサンと片末端アリルエーテル化ポリオキシアルキレングリコール(PAG)とのモル比は、1:1.3であった。オイルバスを85℃にセットして反応器の加熱を始め、65~85℃で1.5時間エージングを行なった。反応液を0.6g採取し、アルカリ分解ガス発生法により確認すると、全Si-H基の約60モル%が反応したことが分かった。窒素吹込みと減圧操作によりIPAを除去したのち、10%塩化白金酸のIPA溶液0.02mLをエタノール8.9gに溶解させた液を滴下ロートに仕込み、3分間かけて発泡に注意しながら反応器内に滴下投入した。40分後に反応液を0.5g採取し、アルカリ分解ガス発生法により確認すると、反応はほぼ完結していた。オイルバスを125℃にセットし、窒素吹込みと減圧操作によりエタノールと低沸点物の除去を行った。
これにより、平均組成式
Figure 2023092347000008
(ここで、x=60,p=11,q=25)
で表される片末端エトキシ封鎖PDMS-PAGジブロック共重合体(I’)130.5gを淡褐色半透明液体として得た。なお、ここでポリエーテル部分は、EOとPOのランダム付加体である。
なお、前記平均組成式のジブロック共重合体は、当該共重合体以外の生成物として
Figure 2023092347000009
(ここで、x=60,p=11,q=25)
で表される両末端PAG変性PDMS(II’)、および
Figure 2023092347000010
(ここで、x=60)
で表される両末端エトキシ封鎖PDMS(III’)、を含有する混合物である。ここで、(I’):(II’):(III’)のモル比は凡そ60:20:20と推算された。
このとき、前記(I’)、(II’)、(III’)に含まれるポリジメチルシロキサン部分のモル数の合計を1とした場合、残余の片末端不飽和基含有PAGのモル比は0.09と計算された。
<比較例1>
特許文献7のExample 2に記載の手順に従って、平均組成式
Figure 2023092347000011
(ここで、x=60,p=5,q=21)
で表される片末端Si-H基含有PDMS-PAGジブロック共重合体を得た。
<比較例2>
特許文献7のExample 3に記載の手順に従って、平均組成式
Figure 2023092347000012
(ここで、x=60,p=10,q=0)
で表される片末端Si-H基含有PDMS-PEGメチルエーテルジブロック共重合体を得た。
<比較例3>
特許文献7のExample 4に記載の手順に従って、平均化学構造式
Figure 2023092347000013
(ここで、x=60,p=5,q=0)
で表される高純度の片末端n-ブチル基封鎖PDMS-PEGメチルエーテルジブロック共重合体を得た。
<比較例4>
特許文献7のExample 5に記載の手順に従って、平均組成式
Figure 2023092347000014
(ここで、x=60,p=5,q=21)
で表される片末端フェニルイソプロピル基封鎖PDMS-PAGジブロック共重合体を得た。
<比較例5>
特許文献7のExample 6に記載の手順に従って、平均組成式
Figure 2023092347000015
(ここで、x=80,p=10,q=0)
で表される片末端トリエトキシシリルエチル基封鎖PDMS-PEGメチルエーテルジブロック共重合体を得た。
<比較例6>
ポリエーテルとしてアリロキシPEGメチルエーテル(p=10,q=0)を使用した以外は、特許文献7のExample 5と同様の方法で、平均組成式
Figure 2023092347000016
(ここで、x=60,p=10,q=0)
で表される片末端フェニルイソプロピル基封鎖PDMS-PEGメチルエーテルジブロック共重合体を得た。
<比較例7>
3つ首の100mL丸底フラスコに磁気撹拌子、平均組成式 M60で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン20g、ジプロピレングリコールアリルメチルエーテル0.89gを仕込み、上部にコンデンサーをセットして反応系に窒素ガスを流通させた。内容物を10分間攪拌して均一な混合物を得た。温度を85℃にセットして加熱を開始し、75℃で1、3-ジビニルー1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン白金錯体のIPA溶液を(Ptとして3ppm)添加したのち、85℃で5時間エージングを行った。次いで、平均組成式CH=C(CH)CH-O(CO)10-CHで表されるアリロキシPEGメチルエーテル2.31g、反応溶媒のIPA2mLを加え、75℃で白金触媒をPtとして4ppm添加した。5時間のエージングののち、反応は完結していた。これにより、平均組成式
Figure 2023092347000017
(ここで、x=60,p=10,q=0)
で表されるDPGメチルエーテル-PDMS-PEGメチルエーテルトリブロック共重合体を得た。
<比較例8>
メチルハイドロジェンポリシロキサンをM8013g、ジプロピレングリコールアリルメチルエーテルに代えて1-ヘキセン0.21g、アリロキシPEGメチルエーテルを1.13g使用した以外は比較例7と同様の方法で、平均組成式
Figure 2023092347000018
(ここで、x=80,p=10,q=0)
で表される片末端n-ヘキシル基封鎖PDMS-PEGメチルエーテルジブロック共重合体を得た。
<比較例9>
ポリエーテルとしてアリロキシPAG(p=5,q=21)を使用した以外は比較例3と同様の方法で、平均化学構造式
Figure 2023092347000019
(ここで、x=60,p=5,q=21)
で表される高純度の片末端n-ブチル基封鎖PDMS-PAGジブロック共重合体を得た。
<比較例10>
500mL反応器に、平均組成式 M60 で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン61.68g、平均組成式CH=C(CH)CH-O(CO)11(CO)25-Hで表される片末端アリルエーテル化PAG88.86g、反応溶媒としてIPAを15g仕込み、窒素流通下で攪拌しながら1、3-ジビニルー1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン白金錯体のヘキサメチルジシロキサン溶液(Pt濃度0.42%)を0.39mL添加した。ここで、メチルハイドロジェンポリシロキサンと片末端アリルエーテル化ポリオキシアルキレングリコールとのモル比は、1:2.6であった。オイルバスを85℃にセットして反応器の加熱を始め、65~85℃で2.5時間エージングを行なった。反応液を0.6g採取し、アルカリ分解ガス発生法により確認すると、反応はほぼ完結していた。オイルバスを125℃にセットし、窒素吹込みと減圧操作により低沸点物の除去を行った。これにより、平均組成式
Figure 2023092347000020
(ここで、x=60,p=11,q=25)
で表される両末端PAG変性PDMS,142.6gを淡褐色透明液体として得た。なお、ここでポリエーテル部分は、EOとPOのランダム付加体である。
<比較例11>
メチルハイドロジェンポリシロキサンを67.06g、ポリエーテルを平均組成式CH=C(CH)CH-O(CO)19(CO)19-Hで表される片末端アリルエーテル化PAG83.03gに変えた以外は比較例10と同様の方法で、平均組成式
Figure 2023092347000021
(ここで、x=60,p=19,q=19)
で表される両末端PAG変性PDMS,142.6gを淡褐色透明な粘稠液体として得た。なお、ここでポリエーテル部分は、EOとPOのランダム付加体である。
<比較例12>
メチルハイドロジェンポリシロキサンを99.20g、ポリエーテルを平均組成式CH=C(CH)CH-O(CO)(CO)18-Hで表される片末端アリルエーテル化PAG41.15g、エタノールを9.7gに変更した以外は実施例1とほぼ同様の方法で、平均組成式
Figure 2023092347000022
(ここで、x=60,p=4,q=18)
で表される片末端エトキシ封鎖PDMS-PAGジブロック共重合体を不透明液体として得た。これをゼータ電位型デプスフィルターでろ過した結果、112.0gの淡褐色透明液体が得られた。なお、ここでポリエーテル部分は、EOとPOのランダム付加体である。
<比較例13>
メチルハイドロジェンポリシロキサンを93.62g、ポリエーテルを平均組成式CH=C(CH)CH-O(CO)(CO)21-Hで表される片末端アリルエーテル化PAG47.23g、エタノールを9.2gに変更した以外は実施例1と同様の方法で、平均組成式
Figure 2023092347000023
(ここで、x=60,p=5,q=21)
で表される片末端エトキシ封鎖PDMS-PAGジブロック共重合体を130.5g褐色透明液体として得た。ここでポリエーテル部分は、EOとPOのランダム付加体である。
<比較例14>
メチルハイドロジェンポリシロキサンを120.45g、ポリエーテルを平均組成式CH=C(CH)CH-O(CO)-CHで表されるPEGアリルメチルエーテル14.45g、エタノールを12.3gに変更した以外は実施例1と同様の方法で、平均組成式
Figure 2023092347000024
(ここで、x=60,p=8,q=0)
で表される片末端エトキシ封鎖PDMS-PEGメチルエーテルジブロック共重合体125.5gを褐色不透明液体として得た。
<比較例15>
メチルハイドロジェンポリシロキサンを120.93g、ポリエーテルを平均組成式CH=C(CH)CH-O(CO)-CHで表されるPEGアリルメチルエーテル16.10g、エタノールを12.0gに変更した以外は比較例14と同様の方法で、平均組成式
Figure 2023092347000025
(ここで、x=60,p=9,q=0)
で表される片末端エトキシ封鎖PDMS-PEGメチルエーテルジブロック共重合体125.8gを淡褐色半透明液体として得た。
<比較例16>
メチルハイドロジェンポリシロキサンを120.11g、ポリエーテルを平均組成式CH=C(CH)CH-O(CO)11-CHで表されるPEGアリルメチルエーテル18.18g、エタノールを11.8gに変更した以外は比較例14と同様の方法で、平均組成式
Figure 2023092347000026
(ここで、x=60,p=11,q=0)
で表される片末端エトキシ封鎖PDMS-PEGメチルエーテルジブロック共重合体126.3gを淡褐色透明液体として得た。
<比較例17>
メチルハイドロジェンポリシロキサンを116.90g、ポリエーテルを平均組成式CH=C(CH)CH-O(CO)13-CHで表されるPEGアリルメチルエーテル21.67g、エタノールを11.5gに変更した以外は比較例14と同様の方法で、平均組成式
Figure 2023092347000027
(ここで、x=60,p=13,q=0)
で表される片末端エトキシ封鎖PDMS-PEGメチルエーテルジブロック共重合体125.3gを、室温で灰褐色のワックス状物として得た。
<比較例18>
メチルハイドロジェンポリシロキサンを107.98g、ポリエーテルを平均組成式CH=C(CH)CH-O(CO)15(CO)-CHで表されるPAGアリルメチルエーテル31.49g、エタノールを10.6gに変更した以外は比較例14と同様の方法で、平均組成式
Figure 2023092347000028
(ここで、x=60,p=15,q=5)
で表される片末端エトキシ封鎖PDMS-PAGメチルエーテルジブロック共重合体128.4gを淡褐色透明液体として得た。ここでポリエーテル部分は、EOとPOのランダム付加体である。
<比較例19>
メチルハイドロジェンポリシロキサンを104.45g、ポリエーテルを平均組成式CH=C(CH)CH-O(CO)(CO)11-CHで表されるPAGアリルメチルエーテル35.34g、エタノールを10.4gに変更した以外は比較例14と同様の方法で、平均組成式
Figure 2023092347000029
(ここで、x=60,p=6,q=11)
で表される片末端エトキシ封鎖PDMS-PAGメチルエーテルジブロック共重合体129.1gを淡褐色透明液体として得た。ここでポリエーテル部分は、EOとPOのランダム付加体である。
[実施例1、比較例1~19の評価に用いた透明液体洗剤の処方]
下表2に、消泡剤成分を除いた簡易的な液体洗剤処方の一例を示した。
Figure 2023092347000030
ここでは、既に公開されている液体洗剤処方に基づき、実施例1と比較例1~19の消泡剤について配合後の分散性と、水で1000倍希釈した液(洗濯時の濃度を想定)の消泡性について評価を行った。液体洗剤と消泡剤の配合条件と手順は以下の通りである。
配合条件と手順
1a) 洗剤液19.0g、イオン交換水0.90g、消泡剤0.10gを35mLガラス瓶に秤取り、栓をしてよく振り混ぜて均質化する。又は、この半分のスケールで20mLガラスバイアルを用いて同様の方法で調製する。
2a) 調製した配合液を室温で2週間(2W)静置し、外観の変化を観察する。外観が安定であったものについて、次項の希釈及び消泡性試験を実施する。
希釈と消泡性試験の手順
1b) 200mLポリカップに前記配合液を0.20g秤取り、水道水で希釈して200.0gとする。スパチュラで3分間攪拌して均質化する。
2b) 清浄な200mL共栓付きメスシリンダーの内壁を水道水で濡らし、よく水を切って約0.5gの水が残っている状態に整える。
3b) 前記200mL共栓付きメスシリンダーに前記希釈液50.0gを秤取る。
4b) メスシリンダーに栓をして手で押さえ、もう一方の手でメスシリンダーの底部を持ち、上下に10秒間(20回)振とうさせる。
5b) メスシリンダーをテーブルに静置し、180秒後の泡体積を計測する。(泡の高さと液面高さを差し引くことによりmL単位で求まる。)
6b) 通常、2b)~5b)の手順を2回繰り返し、泡体積の平均値を求める。
[実施例1と比較例1~9の泡制御剤の透明液体洗剤への影響]
上記の方法で実施例1にかかる泡制御剤、比較例1~9にかかる泡制御剤を各々透明な液体洗剤に混合した結果を下表3に示す。実施例1ではほぼ透明であったが、比較例1~9にかかる泡制御剤はすべて、濁りの強い見苦しい外観に変化する或いは分離が顕著で目立ち、かつ、消泡性が経時劣化する問題が認められた。
Figure 2023092347000031
[実施例1と比較例10~19の泡制御剤の透明液体洗剤への影響]
上記の方法で実施例1にかかる泡制御剤、比較例10~19にかかる泡制御剤を各々透明な液体洗剤に混合した結果を下表4に示す。泡体積の数値がNAとなっているものは、配合液の外観や安定性が不良と判断されたもの(消泡性試験を未実施)である。また、外観において「濁り=>濃度勾配」とは、最初は液全体の濁りが強く、経時で徐々に全体が分離に至らない程度の濁りの濃度勾配を生じたことを意味する。また、1Wは1週間後、2Wは2週間後において、「相分離」とは、透明な洗剤液の上部に乳濁液相の分離が容易に視認できる程度生じたことを意味する。
Figure 2023092347000032
実施例1の泡制御剤(消泡剤)では、末端構造およびEO/POのバランスがとれているため、配合液の外観がほぼ透明であった。これは、実施例1の消泡剤は、組成的に洗剤液中で溶解と析出の境界領域付近に位置することを示していると考えられる。さらに、実施例1においては、泡体積として評価される消泡性も良好であり、かつ、経時的に安定した消泡性を維持していた。
他方、比較例14~18の結果より、消泡剤分子中のポリエーテル基の末端がメチル基で封鎖された構造の場合、液体洗剤に配合後の安定性が悪く、短期間で明らかな2層分離を生じやすいことが分かった。また、比較例18,19の比較から、消泡剤分子中のポリエーテル部のPOの質量%が増えると、相分離の速度は緩和されるが濁りが強くなり見苦しい外観となることが分かった。一方、消泡剤分子中のポリエーテル基の末端が水酸基である実施例1、比較例12,13の比較から、ポリエーテル部のPOの質量%が高い後者ではやはり外観の濁りが強い問題がある
これに対し、実施例1よりも溶解性(親水性)を高めたものとして、消泡剤分子中に親水基を2つ有する比較例10,11が挙げられる。これらは何れも洗剤液中に完全に溶解したが、消泡効果は無いか弱いものであった。
[小括:実施例1,比較例1~19]
以上の結果より、実施例1にかかる泡制御剤のみが、透明な液体洗剤処方に配合した場合、実用上十分な消泡性と外観の透明性を損なわない(許容範囲内)の配合性を示すことが確認された。即ち、ジメチルシロキサンブロックの末端構造がヒドロキシ基またはC1~C4の低級アルコキシ基であること、消泡剤のポリエーテル基の末端が水酸基であること、ポリエーテル基の重合度p+qの値が比較的大きく適正な範囲内にあること、EO/PO質量比が適正な範囲にあることが、消泡性と配合液分散性のバランスをとるうえで重要と考えられる。
[特許文献7に記載の泡制御剤の評価]
特許文献7に記載のジブロック共重合体を含む泡制御剤は、基本的に優れた消泡性や無機フィラーの使用が不要である点など、多くの有利な効果を有するが、具体的に開示された泡制御剤を特許文献7に記載のモデル液体洗剤処方と泡制御性能試験により評価した結果を、各サンプルの有する課題と共に下表1にまとめた。ここで、AMSはアルファメチルスチレンを意味し、特に洗剤等のハウスホールド商品においては、その毒性が懸念される成分である。
Figure 2023092347000033

比較例1,2は泡制御性能が良好であるが、消泡剤成分の構造中にSi-H基が残存しているため、液体洗剤に配合後に水素ガスを発生し易い問題がある。この問題を解決するため、比較例4,6ではAMSを更に反応させることでフェニルイソプロピル基を導入したが、後者のケースでは消泡性が悪化する結果となった。
類似の試みがDPGアリルメチルエーテル(比較例7)、ヘキセン(比較例8)により行われたが、やはり比較例2に比べて消泡性の悪化が認められた。即ち、消泡剤成分の分子末端部に位置する有機性疎水基のサイズ或いはそれに含まれる炭素原子数が大きくなると、消泡性能が劣化する方向に変動し易いと考えられる。
一方で、比較例3は優れた消泡性能を有するが、原料の高純度片末端Si-H基含有PDMSが高価であるため製造コストが非常に高くなる問題がある。それにも拘らず、比較例9で示した通り、この高価な高純度技術が常に優れた消泡性能を与える訳ではなかった。比較例5は良好な消泡性を示したが、ビニルトリエトキシシランをSi-H基と反応させる際に有害副生物が生じることが知られており、労働安全衛生の観点から、この様な化学品の工業化は避けることが好ましい。
以上述べた通り、特許文献7に開示された直鎖状共重合体からなる泡制御剤は、市場における要求コストとの関係で必ずしも有利ではない場合があったり、液体洗剤の安全性に対する悪影響の懸念を有する成分を含んでいたり、消泡性能の変動と不足の傾向、安全面から泡制御剤の工業的生産に難がある等の潜在的な課題を有している。なお、特許文献7のExample 1により得られる共重合体は、原料として用いたポリエーテル化合物が特殊な構造を有するため、高価であって、工業的に高コストかつ大量供給することが難しい場合がある。
これに対し、実施例1にかかるジブロック共重合体およびその組成物を含む泡制御剤は前記の透明な液体洗剤に対する処方安定性と良好かつ安定した消泡性に加えて、比較的低コストに生産可能であって、安全面の潜在的な問題物質を含まず、工業的な生産性、供給性および商品化の点で、特許文献7に具体的に開示された泡制御剤に対して優位性が認められる。このため、特許文献7が潜在的に有していた技術的課題に対する現実的な解決手段を提供し、当該特許文献7における技術的課題に対しても実用上十分な解決手段を提供するものである。
[実施例2~8および参考例1~20:添加剤の併用]
本発明にかかるジブロック共重合体およびその組成物を含む泡制御剤には、その他の添加剤を併用することで、透明な液体洗剤に配合した場合、液体洗剤の透明性を維持しながら、消泡性をさらに向上させることができる場合がある。このような技術的効果を示すため、実施例2~8を示す。なお、このような有利な効果を実現できる添加剤は一部の有機系で中性の分岐構造を有する液状油剤に限られるため、その透明性乃至消泡性改善効果のない添加剤は、「参考例」として示した。これらの参考例にかかる泡制御剤は、特に、透明な液体洗剤については使用しないことが望ましい。
具体的には、実施例1と様々な添加剤とを95:5~70:30の範囲内で5部刻みに混合し、混合物の外観が半透明性を維持できる上限の混合比を確認した。その数値は、添加剤の構造により85:15~70:30の値となった。このようにして得られた混合物を「消泡剤」:(以下の実施例2~8及び参考例1~20)として扱い、前記の手順に従って洗剤液への配合性と消泡性を評価した。なお、実施例1-2とは、実施例1を用いた再評価を実施したという意味である。ここでは、時間の関係上 2a)の安定性評価と1b)以降の消泡性試験を並行して行った場合もある。各混合物の内容と、その評価結果を以下の表6にまとめて示した。
Figure 2023092347000034

※) 実施例1と流動パラフィンとの混合物の外観が半透明性を維持できる混合比は85:15までであったが、流動パラフィンを加え過ぎて80:20の比率:外観不透明となった。
#) 消泡性能について、1回のみ測定した数値
以上の結果より、実施例1の消泡剤と組み合わせて使用する添加剤として、イソステアリルアルコール、水添ポリイソブテン(C13~16)、イソノナン酸イソノニル、アジピン酸ジイソブチル、イソステアリン酸エチル、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、分岐ジオールのジネオペンタン酸エステルが、特異的に洗剤系の外観阻害が少なく消泡効果を増大させる効果があることが分かった。なお、イソステアリン酸では消泡効果の向上(泡体積の減少)が実施例1-2に対して 2 vol%に留まり、効果が不明瞭であったことから、参考例として扱った。実効的な添加剤は全て有機系で中性の分岐構造を有する液状油剤であったが、表6から分かる通り、この条件を満たせば全て有用ということではなく、組み合わせる成分は、上記の添加剤から選択することが望ましい。上記の有効な添加剤は、本発明に係る実施例1の消泡剤の原料であるシリコーン或いはポリエーテルの世界的需要が増大して供給がタイトになった場合でも、その一部を代替して適正な配合比の混合物を形成させることにより、代替消泡剤として利用することができる。即ち、液体洗剤用消泡剤の構成成分のソースを複数とすることが可能なため、元原料の需要変動に対する供給性リスクを緩和できる利点がある。
[分離成分の再分散性]
表6の洗剤液を非常に注意深く観察した結果、コントロール(消泡剤無し)を除き全て、静置保管中、1~2週間より徐々に、ごく僅かの油状滴がガラス瓶の内壁に付着し始め、分離を生じてくること、それに伴い洗剤液のバルクの透明性は増大する場合があり、透明部の液の消泡性能を別途調査した結果、初期に比べて低下していることが確認された。
そこでコントロール、2週間後に上記のような軽微な分離が認められた実施例1-2、実施例7、実施例8にかかるサンプルをピックアップし、先に調製した洗剤液を再度よく振り混ぜて均質化してから、前記手順に従って消泡性能の確認試験を行った(実施例1-3、実施例7-2、実施例8-2として示す)。この際、市販の液体洗剤X(消泡剤として脂肪酸塩を含有)を比較として使用した。結果を以下の表7にまとめた。
Figure 2023092347000035
表7に示す通り、実施例1-3、実施例7-2、実施例8-2による洗剤液は、コントロールや市販洗剤Xに比べて、優れた泡制御効果を有すことが再確認された。これらの洗剤液は、経時で、ごく軽微な分離(極めて少量の油状物の浮遊)を起こす場合があるが、その分離は目立ちにくく、洗浄剤製品の審美性の低下を最小化できた。さらに、一旦分離した油状物は、ミキサー等の強い剪断力を有する拡販混合手段によらなくても、軽く手で振り混ぜることによって容易に再分散でき、半透明均一な外観を回復できた。また、適時の振り混ぜを行うことにより、安定な消泡効果の発揮が可能である事を確認できた。
[総括]
実施例1-1~1-3、実施例2~8、実施例7-2、実施例8-2に示す通り、本発明にかかるジブロック共重合体およびその組成物を含む泡制御剤は良好かつ安定した消泡性を有し、透明な液体洗剤に配合してもその外観を損なわないものであった。このため、これらの泡制御剤を使用することで、消泡性および審美性にすぐれた洗浄剤製品を提供可能であることが期待される。さらに、これらの泡制御剤を含む液体洗剤は、経時で軽微な分離を生じる場合があるが、その外観および性能に与える影響の程度は小さく、かつ、適時振り混ぜることで、容易に分離物を再分散させることでき、品質および外観を安定化することができる。

Claims (9)

  1. (I)一般式(1):
    Figure 2023092347000036
    (式中、Rは炭素数1~4のアルキル基又は水素原子を表し、xは50≦x≦110を満たす数であり、nは2ないし8の数であり、pとqは、30≦(p+q)≦45かつオキシエチレン部とオキシプロピレン部の質量比が20:80~45:55の範囲内となる数を表す)で表される、片末端が低級アルコキシ基又はヒドロキシ基により封鎖されたポリジメチルシロキサンとポリアルキレングリコールとからなるジブロック共重合体。
  2. 前記(I)、
    (II)一般式(2):
    Figure 2023092347000037
    (式中、xは50≦x≦110を満たす数であり、nは2ないし8の数であり、pとqは、30≦(p+q)≦45かつオキシエチレン部とオキシプロピレン部の質量比が20:80~45:55の範囲内となる数を表す)で表される、両末端ポリアルキレングリコール変性ポリジメチルシロキサン、
    (III)一般式(3):
    Figure 2023092347000038
    (式中、Rは各々独立に炭素数1~4のアルキル基又は水素原子を表し、xは50≦x≦110を満たす数を表す)で表される、両末端が低級アルコキシ基又はヒドロキシ基により封鎖されたポリジメチルシロキサン、
    からなる組成物であって、(I):(II):(III)のモル比が35:55:10~70:0:30の範囲内である組成物。
  3. 更に、(IV)一般式(4):
    Figure 2023092347000039
    (式中、nは2ないし8の数であり、pとqは、30≦(p+q)≦45かつオキシエチレン部とオキシプロピレン部の質量比が20:80~45:55の範囲内となる数を表す)で表される、一分子中に1の不飽和基と1の水酸基を含有するポリオキシアルキレン化合物を、
    前記(I)、(II)、(III)に含まれるポリジメチルシロキサン部分のモル数の合計を1としたときに0.05~0.35のモル比で含有する、請求項2の組成物。
  4. 更に、(V)イソステアリルアルコール、水添ポリイソブテン(C13~20)、イソノナン酸イソノニル、アジピン酸ジイソブチル、イソステアリン酸エチル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)トリグリセリド、分岐ジオールのジネオペンタン酸エステルから選ばれる分岐鎖構造を有する中性の有機油を、前記(I)~(IV)からなる組成物の質量に対して1:99~25:75の比率の範囲内で含有する、請求項2~3に記載の組成物。
  5. 水系発泡液に対する消泡剤又は泡制御剤としての、請求項1のジブロック共重合体又は請求項2~4の組成物の使用。
  6. 水系発泡液が透明乃至半透明の液体洗剤である、請求項5の使用。
  7. a)a-1)POE(5~20)C11~18アルキルエーテル、a-2)POE(5~20)C11~18脂肪酸メチルエステルから選択される少なくとも1の有機系非イオン性界面活性剤を10~60質量%、
    b)C11~18脂肪酸塩を除く、少なくとも1の有機系アニオン性界面活性剤を1~50質量%、
    c)水を30~80質量%、
    d)消泡剤又は泡制御剤として、請求項1のジブロック共重合体又は請求項2~4の組成物を50~10000ppm、
    e)酸化防止剤、防腐剤、凍結防止剤、ハイドロトロープ剤、水軟化剤から選択される1以上の安定化剤を0.01~30質量%含有する、透明乃至半透明の外観を有する液体洗剤{但し、a)~e)の総量を100質量%とする}。
  8. 更に、
    f)プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、エステラーゼから選択される少なくとも1の酵素を0.1~2質量%、
    g)少なくとも1の再汚染防止剤(再付着防止剤)を0.1~10質量%、
    h)液体洗剤のpHを5.0~9.5の範囲に調整するためのpH調整剤、
    i)i-1)着色料1~150ppm、i-2)香料5~5000ppm、から選ばれる少なくとも1の美的品質改良剤、
    j)前記d)と異なる少なくとも1の消泡成分0.01~5質量%、
    k)前記a)、b)と異なる少なくとも1の有機系界面活性剤0.5~5質量%を含有する、請求項7に記載の透明乃至半透明の外観を有する液体洗剤{但し、a)~k)の総量を100質量%とする}。
  9. 前記a)~e)の成分、及び任意に前記f)~k)の成分を含む請求項7~8に記載の液体洗剤を、適時混合することを特徴とする、当該液体洗剤の安定化方法。
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