JP2023092046A - 硬化性高分子化合物、及び該化合物を含む樹脂組成物 - Google Patents

硬化性高分子化合物、及び該化合物を含む樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】トルエンなどの低沸点溶剤への溶解性に優れた高分子化合物、及びフィルム化できるだけの十分なフレキシビリティーを有し、低粗度銅箔に対する接着性が高く、誘電率及び誘電正接が低く、かつ線膨張率が低い該高分子化合物の硬化物を提供すること。【解決手段】下記式(1)で表される高分子化合物。TIFF2023092046000012.tif23154(式(1)中、R1、R2、R3及びR4は、独立にメチル基、エチル基、イソプロピル基又はターシャリーブチル基を表す。Xは、それぞれ独立にアセチル基又は下記式(2)TIFF2023092046000013.tif1661で表される部分構造を表すが、複数存在するXの5%以上は式(2)で表される構造である。Yはジアミノ化合物から二つのアミノ基を除いた残基を表す。nは繰り返し単位数の平均値であって1乃至100の範囲にある。)【選択図】なし

Description

本発明は、溶液を基材中にキャストする方法で容易にフィルム状に成形することができ、ラジカル開始剤と併用することにより、熱あるいは光硬化反応が可能で、しかもその硬化物は誘電特性、接着性、耐熱性に優れた高分子化合物に関する。
フェノキシ樹脂は二官能のエポキシ樹脂と二官能のフェノール化合物を重合することにより得られる分子量の非常に大きな高分子化合物である。このフェノキシ樹脂を添加することにより、一般的なエポキシ樹脂組成物やラジカル重合性組成物をフィルム形状にすることができるため、フィルム状接着剤の重要な成分として幅広い分野で使用されており、特に電気・電子分野においてはプリント配線基板の層間絶縁層や樹脂付き銅箔などに用いられている。
フェノキシ樹脂を添加した樹脂組成物の硬化物は接着性に優れフィルム形成能は有するものの耐熱性が低く、しかも誘電率及び誘電正接が高いため(周波数1GHzで誘電率3.5、誘電正接0.03程度である。)、近年の信号応答速度が高速化した電子機器用途には使用できないのが実情である。誘電特性に優れた樹脂としてはポリテトラフルオロエタン(PTFE)などの高分子フッ素化合物(特許文献1)や液晶ポリマー(特許文献2)が一般に知られているが、これらの樹脂は他の樹脂との相溶性が極めて低く、接着性も不充分である。
芳香族ビスマレイミドは耐熱性及び誘電特性に優れた化合物として知られているが、一般的に溶剤溶解性が悪く、NMPやDMFといった高沸点の非プロトン性極性溶媒にしか溶解しないため、トルエンやメチルエチルケトンといった低沸点溶媒を使用する電子材料分野に使用することは困難である。またその硬化物は一般に強直でフレキシビリティーがないためフィルム用途に使用することは困難であった。特許文献3には、芳香族ビスマレイミドを脂肪族のジアミンとマイケル付加反応させて高分子量化することにより溶剤溶解性を向上させる方法が開示されているが、このビスマレイミド化合物とジアミン化合物からなる高分子化合物は、その構造中に残存する2級アミンが分子末端のマレイミド基との反応性を有するために安定性が悪く、ゲル化しやすいことが問題であった。特許文献4や5には、ビスマレイミドとジアミンとの付加反応物が有する2級アミンに無水酢酸を反応させてアセチル化することにより、安定性を向上させる方法が開示されている。しかしながら、このような手法で得られた樹脂はその硬化物の線膨張率が極めて高く、信頼性が要求される電子機器などの用途には適していない。
特開2005-001274号公報 特開2014-060449号公報 特開2006-241300号公報 特許6948907号公報 US8637611号公報
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、トルエンなどの低沸点溶剤への溶解性に優れた高分子化合物、及びフィルム化できるだけの十分なフレキシビリティーを有し、低粗度銅箔に対する接着性が高く、誘電率及び誘電正接が低く、かつ線膨張率が低い該高分子化合物の硬化物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは鋭意検討を行った結果、特定構造の高分子化合物を含む樹脂組成物を用いることにより上記の課題が解決することを見出し、本発明を完成させた。
即ち本発明は、
(1)下記式(1)
Figure 2023092046000001
(式(1)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立にメチル基、エチル基、イソプロピル基又はターシャリーブチル基を表す。Xは、それぞれ独立にアセチル基又は下記式(2)
Figure 2023092046000002
(式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。)
で表される部分構造を表すが、複数存在するXの5%以上は式(2)で表される構造である。Yはジアミノ化合物から二つのアミノ基を除いた残基を表す。nは繰り返し単位数の平均値であって1乃至100の範囲にある。)で表される高分子化合物、
(2)前項(1)に記載の高分子化合物及びラジカル開始剤を含む樹脂組成物、
(3)ラジカル反応性の官能基を有するラジカル反応性モノマーを含む前項(2)に記載の樹脂組成物、
(4)一分子中に二つ以上ラジカル反応性の官能基を有するラジカル反応性ポリマーを含む前項(2)に記載の樹脂組成物、
(5)前項(2)乃至(4)のいずれか一項に記載の樹脂組成物からなるフィルム状接着剤、及び
(6)前項(2)乃至(4)のいずれか一項に記載の樹脂組成物、又は前項(5)に記載のフィルム状接着剤の硬化物、
に関する。
本発明による高分子化合物及びそれを含む樹脂組成物は、ラジカル開始剤を併用し熱或いは光エネルギーを加えることにより硬化物とすることが可能で、該樹脂組成物の硬化物は誘電特性、接着性、耐熱性に優れる高分子化合物を提供することができる。
以下に、本発明の実施形態について説明する。
本発明者の高分子化合物は、ジアミノ化合物(A)(以下、単に「化合物(A)」と記載する)と化合物(A)よりも過剰なモル数の特定構造のビスマレイミド化合物(B)(以下、単に「化合物(B)」と記載する)との共重合物(C)中の2級アミノ基の5%以上100%未満と、イソシアネート基及び(メタ)アクリル基を有する化合物(D)(以下、単に「化合物(D)」と記載する)中のイソシアネート基との反応物中に残存する2級アミノ基と、無水酢酸との反応物である。
先ず、本発明の高分子化合物の中間原料である共重合物(C)について説明する。
共重合物(C)は、化合物(A)と、化合物(A)よりも過剰なモル数の化合物(B)との共重合反応物(マイケル付加反応物)である。
共重合体(C)の原料となる化合物(A)は、一分子中にアミノ基を二つ有する化合物でありさえすれば特に限定されず、その具体例としては、1,2-ジアミノエタン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、1,8-ジアミノオクタン、1,10-ジアミノデカン、1,12-ジアミノドデカン、4,4’-メチレンビスシクロヘキサンジアミン、1,2-シクロヘキサンジアミン、1,3-シクロヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ノルボルネンジアミン、ダイマージアミン、3,3’-ジアミノ-N-メチルジプロピルアミン、ジアミノマレオニトリル、1,3-ジアミノペンタン、9,10-ジアミノフェナントレン、4,4’-ジアミノオクタフルオロビフェニル、3,5-ジアミノ安息香酸、3,7-ジアミノ-2-メトキシフルオレン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,4-ジアミノベンゾフェノン、3,4-ジアミノトルエン、2,6-ジアミノアントラキノン、2,6-ジアミノトルエン、2,3-ジアミノトルエン、1,8-ジアミノナフタレン、2,4-ジアミノトルエン、2,5-ジアミノトルエン、1,4-ジアミノアントラキノン、1,5-ジアミノアントラキノン、1,5-ジアミノナフタレン、1,2-ジアミノアントラキノン、2,4-クメンジアミン、1,3-ビスアミノメチルベンゼン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、2-クロロ-1,4-ジアミノベンゼン、1,4-ジアミノ-2,5-ジクロロベンゼン、1,4-ジアミノ-2,5-ジメチルベンゼン、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビストリフルオロメチルビフェニル、ビス(アミノ-3-クロロフェニ)エタン、ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルフェニル)メタン、ビス(4-アミノ-3,5-ジエチルフェニル)メタン、2,3-ジアミノナフタレン、ビス(4-アミノ-3-メチルフェニル)メタン、ビス(4-アミノ-3-エチルフェニル)メタン、4,4’-ジアミノフェニルスルホン、3,3’-ジアミノフェニルスルホン、2,2-ビス(4,(4アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、2,2-ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、4,4’―オキシジアニリン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-オキシジアニリン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’―ジメチルビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメトキシビフェニル、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)-2,2-ジメチルプロパン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)プロパン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ブタン、1,5-ビス(4-アミノフェノキシ)ブタン、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-フェニレンジアミン;3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、1,2-ビス(2-アミノエトキシ)エタン等が挙げられる。
式(1)中のYは化合物(A)から二つのアミノ基を除いた残基(二価の連結基)である。
化合物(A)としては、炭素数2以上の脂肪族ジアミノ化合物が好ましく、その具体例としては1,2-ジアミノエタン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、1,8-ジアミノオクタン、1,10-ジアミノデカン、1,12-ジアミノドデカン、4,4’-メチレンビスシクロヘキサンジアミン、1,2-シクロヘキサンジアミン、1,3-シクロヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ノルボルネンジアミン及びダイマージアミンなどが挙げられる。
式(1)におけるYとしては、上記した炭素数2以上の脂肪族ジアミノ化合物から二つのアミノ基を除いた残基(二価の連結基)が好ましい。
化合物(B)としては、ビス-3,5-ジアルキル-4-アミノフェニルメタン化合物とマレイン酸との縮合閉環反応により得られるビスマレイミド化合物であって、該化合物中の四つのアルキル基がそれぞれ独立にメチル基、エチル基、イソプロピル基又はターシャリーブチル基であるビスマレイミド化合物が用いられる。
化合物(B)の具体例としては3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、3,3’,5,5’-テトライソプロピル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミドなどが挙げられる。
式(1)中のR乃至Rは、上記した化合物(B)が有するアルキル基であり、メチル基又はエチル基が好ましい。
マレイミド基が結合するベンゼン環上の炭素原子のオルソ位が水素原子のビスマレイミド化合物は2級アミノ基との反応性が高いため、共重合反応の際にオルソ位の水素原子と化合物(A)のアミノ基との反応によってゲル化し易いが、オルソ位が全てアルキル基の化合物(B)を用いることにより、化合物(A)との共重合反応の際のゲル化を防ぐことができる。
共重合物(C)を合成する際の化合物(A)と化合物(B)の使用量は、化合物(B)1モルに対して化合物(A)が好ましくは0.4乃至0.98モル、より好ましくは0.5乃至0.96モルである。
合成の際の反応温度は通常50乃至150℃、好ましくは60乃至140℃であり、反応時間は通常0.5乃至30時間、好ましくは1乃至20時間であり、反応触媒を使用してもよい。反応は、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー)によって分子量が一定の値から増大しなくなった時点を終点とすればよい。反応に使用した溶剤は加熱減圧下で留去してもよく、そのまま溶剤を含む樹脂組成物に用いてもよい。
化合物(A)と化合物(B)との共重合反応には溶剤を用いることが好ましく、使用可能な溶剤としては、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。溶剤の使用量は、共重合反応に用いる原料の固形分に対して10乃至300質量%が好ましく、20乃至200質量%がより好ましい。
共重合物(C)の数平均分子量は通常1,000乃至10万、好ましくは1,500乃至8万であり、数平均分子量が前記の範囲内の共重合物(C)を得るためには、原料成分を上述の割合で仕込めばよい。尚、本明細書における分子量は、GPCの測定結果に基づいてポリスチレン換算で算出した値を意味する。
次に、本発明の高分子化合物について説明する。
本発明の高分子化合物は、前記の共重合物(C)中に存在する2級アミノ基の5%以上100%未満を下記式(3)で表される化合物(D)中のイソシアネート基と反応させた後、前記で得られた反応物中に残存する2級アミノ基を無水酢酸と反応させることによってアセチル化することにより得られる。
尚、式(3)中のRは、式(2)中のRと同じ意味を表す。即ち、式(2)中のRは、化合物(D)の有する水素原子又はメチル基に由来する。
Figure 2023092046000003
化合物(D)の具体例としては、2-イソシアナトエチルメタクリレート(製品名カレンズMOI 昭和電工株式会社製)、2-イソシアナトエチルアクリラート(製品名カレンズAOI 昭和電工株式会社製)等が挙げられる。
本発明の高分子化合物を合成する際の共重合物(C)と化合物(D)の使用量は、共重合物(C)中の2級アミノ基1当量に対して化合物(D)が好ましくは0.05乃至0.9モル、より好ましくは0.1乃至0.8モルである。反応温度は10乃至90℃が好ましく、反応時間は30分間乃至5時間が好ましい。
上記で得られた共重合物(C)と化合物(D)との反応物に無水酢酸を加えることにより、残存する2級アミノ基のアセチル化を行うことができる。化合物(A)と化合物(B)の共重合反応を溶剤中で行い、得られた共重合物(C)溶液に化合物(D)を加えて反応させ、得られた反応溶液に更に無水酢酸を加えてアセチル化を行うことは、本発明の高分子化合物の合成方法の好ましい態様である。
本発明の高分子化合物を合成する際の無水酢酸の使用量は、共重合物(C)と化合物(D)との反応物中に残存する2級アミンのモル数と同量かそれ以上であればよい。反応温度は10乃至90℃が好ましく、反応時間は30分間乃至5時間が好ましい。反応終了後に生成する酢酸及び過剰に用いた無水酢酸は、水洗分離によって除去することができる。
本発明の樹脂組成物は、本発明の高分子化合物及びラジカル開始剤を含有する。
好ましい熱ラジカル開始剤としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、α,α-ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキシイソフタレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)オクタン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ(トリメチルシリル)パーオキサイド及びトリメチルシリルトリフェニルシリルパーオキサイド等の過酸化物が挙げられる。
好ましい光ラジカル開始剤の例としてはベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン類;2-メチルアントラキノン、2-アミルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパン-1-オンや2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1;アシルホスフィンオキサイド類およびキサントン類等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物におけるラジカル開始剤の含有量は、高分子化合物及び後述する任意成分であるラジカル反応性モノマー等の樹脂成分の合計100質量部に対して、通常0.1乃至10質量部、好ましくは0.1乃至8質量部である。
本発明の樹脂組成物には、ラジカル反応性モノマーを併用してもよい。ラジカル反応性モノマーを併用することにより、本発明の樹脂組成物の反応性や硬化物の耐熱性などを向上することができる。尚、本発明におけるラジカル反応性モノマーとは、一分子中にラジカル反応性の官能基を一つ以上有し、かつその数平均分子量が500以下(数平均分子量の下限は概ね100程度)の化合物を意味する。
ラジカル反応性モノマーの具体例としては、アセナフチレン、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングルコールジメタクリレート、トリエチエレングルコールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグルコールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9-ノナンジオールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物メタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールポリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジビニルベンゼン、イソフタル酸ジビニル、N-フェニル-マレイミド、N-フェニル-メチルマレイミド、N-フェニル-クロロマレイミド、N-p-クロロフェニル-マレイミド、N-p-メトキシフェニル-マレイミド、N-p-メチルフェニル-マレイミド、N-p-ニトロフェニル-マレイミド、N-p-フェノキシフェニル-マレイミド、N-p-フェニルアミノフェニル-マレイミド、N-p-フェノキシカルボニルフェニル-マレイミド、1-マレイミド-4-アセトキシスクシンイミド-ベンゼン、4-マレイミド-4’-アセトキシスクシンイミド-ジフェニルメタン、4-マレイミド-4’-アセトキシスクシンイミド-ジフェニルエーテル、4-マレイミド-4’-アセトアミド-ジフェニルエーテル、2-マレイミド-6-アセトアミド-ピリジン、4-マレイミド-4’-アセトアミド-ジフェニルメタンおよびN-p-フェニルカルボニルフェニル-マレイミドN-エチルマレイミド、N-2.6-キシリルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-2,3-キシリルマレイミド、キシリルマレイミド、2,6-キシレンマレイミド及び4,4’-ビスマレイミドジフェニルメタン等が挙げられるが、マレイミド基を官能基として有するものが好ましい。
これらのラジカル反応性モノマーは一種のみを用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
本発明の樹脂組成物には、ラジカル反応性ポリマーを併用してもよい。ラジカル反応性ポリマーを併用することにより、本発明の樹脂組成物の接着性や硬化物の耐熱性などを向上することができる。尚、本発明のおけるラジカル反応性ポリマーとは、一分子中にラジカル反応性の官能基を一つ以上、好ましくは二つ以上有し、かつその数平均分子量が500以上の化合物を意味する。
ラジカル反応性ポリマーの具体例としては、スチレンとブタジエンの共重合体、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、イミド延長されたビスマレインイミド、又は下記式(4)で表される高分子化合物等が挙げられる。尚、式(4)中のmは繰り返し単位数の平均値であって1乃至20の範囲にある実数を表す。
Figure 2023092046000004
ラジカル反応性ポリマーであるスチレンとブタジエンの共重合体は、ランダム共重合体(通称SBR)でもブロック共重合体でもよい。またブロック共重合体中のブタジエン由来の二重結合を水素添加により飽和炭化水素にしたもの(通称SEBS樹脂)でもよい。ポリマー中のスチレンとブタジエンの比率は通常10:90乃至90:10であり、その数平均分子量は通常1,000乃至100,000である。SBRの具体的な製品例としてはクレイバレー社のRicon100、Ricon181、Ricon184が挙げられ、SEBS樹脂の具体的な製品例としては旭化成株式会社のタフテックシリーズ、クレイトン社Gポリマーシリーズなどが挙げられる。
ラジカル反応性ポリマーである変性ポリフェニレンエーテル樹脂は、分子の両末端にメタクリロイル基、アクリロイル基又はビニル基を有し、数平均分子量が1,000乃至10,000の化合物が好ましい。その具体例としては、両末端にメタクリロイル基を有し、数平均分子量が約1700である下記式(5)で表される化合物(製品名SA9000 SABICジャパン合同会社製)、或いは両末端にビニル基を有し、数平均分子量が約1,200あるいは2,200である下記式(4)で表される化合物(製品名OPE-2St 1200あるいはOPE-2St 2200 三菱瓦斯化学株式会社製)が挙げられる。
Figure 2023092046000005
Figure 2023092046000006
ラジカル反応性ポリマーであるイミド延長されたビスマレインイミド樹脂は、特許公報5328006号などに記載されている公知の方法で得ることができる。具体的には脂肪族ジアミンと芳香族或いは脂肪族のテトラカルボン酸二酸無水物とを、脂肪族ジアミンが過剰になるモル比で、有機溶剤中で酸触媒を用いて脱水縮合反応を行った後、高分子末端に存在するアミノ基と無水マレイン酸とを脱水縮合し、触媒を水洗によって除去することにより得ることができる。
脂肪族ジアミンの具体例としては1,10-ジアミノデカン;1,12-ジアミノドデカン;ダイマージアミン;1,2-ジアミノ-2-メチルプロパン;1,2-ジアミノシクロヘキサン;1,2-ジアミノプロパン;1,3-ジアミノプロパン;1,4-ジアミノブタン;1,5-ジアミノペンタン;1,7-ジアミノヘプタン;1,8-ジアミノメンタン;1,8-ジアミノオクタン;1,9-ジアミノノナン;3,3’-ジアミノ-N-メチルジプロピルアミン;ジアミノマレオニトリル;1,3-ジアミノペンタン;9,10-ジアミノフェナントレンなどが挙げられるが、特にダイマージアミンが好ましい。
芳香族又は脂肪族のテトラカルボン酸二酸無水物の具体例としては、無水ピロメリット酸、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ(2.2.2)オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ジエチレントリアミンペンタ酢酸二無水物、エチレンジアミン四酢酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタリックス無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、4,4’-ビスフェノールAジフタル酸無水物、5-(2,5-ジオキシテトラヒドロ)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン無水物、エチレングリコールビス(トリメリット酸無水物)、ヒドロキノンジフタル酸無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)、1,2-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-テトラメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,1’-ビシクロヘキサン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸-3,4:3’,4’-二無水物、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5-テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、3,5,6-トリカルボキシ-2-ノルボルナン酢酸二無水物などが挙げられるが特に無水ピロメリット酸、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物が好ましい。具体的な製品名としてはデザイナーモレキュールズインク社のBMI-3000が挙げられる。
本発明の樹脂組成物には、有機溶剤を併用してもよい。有機溶剤の具体例としては、トルエン及びキシレン等の芳香族系溶剤、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート及びプロピレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン及びシクロヘキサノン等のケトン系溶剤、γ-ブチロラクトン及びγ-バレロラクトン等のラクトン類、N-メチルピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド及びN,N-ジメチルイミダゾリジノン等のアミド系溶剤、テトラメチレンスルフォン等のスルフォン類、等が挙げられる。本発明の樹脂組成物における有機溶剤の含有量は、樹脂組成物中に通常90質量%以下、好ましくは30乃至80質量%である。
本発明の樹脂組成物には、保存安定性を向上させるために重合禁止剤を併用してもよい。併用し得る重合禁止剤は一般に公知のものであれば特に限定されず、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、p-ベンゾキノン、クロラニル及びトリメチルキノン等のキノン類や、芳香族ジオール類、ジ-t-ブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、その用途に応じて所望の性能を付与させる目的で本来の性能を損なわない範囲の量の充填剤や添加剤を配合して用いることができる。充填剤は繊維状であっても粉末状であってもよく、シリカ、カーボンブラック、アルミナ、タルク、雲母、ガラスビーズ、ガラス中空球等を挙げることができる。
本発明の樹脂組成物には、難燃性化合物、添加剤などの併用も可能である。これらは一般に使用されているものであれば、特に限定されるものではない。例えば、難燃性の化合物では、4,4-ジブロモビフェニルなどの臭素化合物、リン酸エステル、リン酸メラミン、リン含有エポキシ樹脂、メラミンやベンゾグアナミンなどの窒素化合物、オキサジン環含有化合物、シリコン系化合物等が挙げられる。添加剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤、光増感剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、光沢剤等、所望に応じて適宜組み合わせて使用することも可能である。
本発明の樹脂組成物は、さまざまな基材上に塗布あるいは含浸して使用することができる。例えば熱ラジカル開始剤を用いた場合、PETフィルム上に塗布することにより多層プリント基板の層間絶縁層として、ポリイミドフィルム上に塗布することによりカバーレイとして、また銅箔上に塗布乾燥することにより樹脂付き銅箔として、使用することができる。またガラスクロスやガラスペーパー、カーボンファイバー、各種不織布などに含浸させることにより、プリント配線基板やCFRPのプリプレグとして使用することができる。さらに光ラジカル開始剤を用いることにより各種レジストとして使用することもできる。
本発明の層間絶縁層やカバーレイ、樹脂付き銅箔、プリプレグなどはホットプレス機などで加温加圧成形することにより、硬化物とすることができる。
以下、本発明を実施例、比較例により更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1(本発明の高分子化合物の合成)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌器を取り付けたフラスコに、3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド(製品名:BMI-70 ケイ・アイ化成株式会社製) 22.10部(0.05モル)、ダイマージアミン(製品名プリアミン1074 クローダ社製) 20.18部(0.0375モル)、及びトルエン 20部を加え、窒素雰囲気下100℃で8時間反応させることにより、下記式(7)で表される共重合体1(本発明の高分子化合物の中間原料である共重合物(C)、式(7)中のYはダイマージアミンから二つのアミノ基を除いた残基を表す。)のトルエン溶液を得た。この共重合体1の数平均分子量は2,700、重量平均分子量は15,100であった。数平均分子量から式(7)におけるnの値は2.5と算出される。この共重合体のトルエン溶液にカレンズMOI(昭和電工株式会社製) 1.16部(0.0075モル)を加え、60℃で1時間反応させた後、無水酢酸 6.12部(0.0675モル)を加え更に60℃で1時間反応させた。反応液にトルエン 100部を加えて希釈した後、純水 50部を加え、撹拌水洗により、副生成した酢酸を除去した。水層が中性になるまで水洗を繰り返したのち、トルエン溶液を濃縮することにより、本発明の高分子化合物の25質量%トルエン溶液を得た。
Figure 2023092046000007
比較例1(比較用の高分子化合物の合成)
カレンズMOIを加えて60℃で1時間反応させる工程を行わず、かつ無水酢酸の添加量を 7.65部(0.075モル)に変更した以外は実施例1に準じた方法で、比較用の高分子化合物の25質量%トルエン溶液を得た。
実施例2、比較例2(樹脂組成物の調製)
実施例1及び比較例1で得られた高分子化合物溶液 10部に、ラジカル開始剤としてジクミルパーオキサイド 0.05部を加えて均一に混合することにより本発明の樹脂組成物及び比較用の樹脂組成物をそれぞれ得た。
(樹脂組成物の硬化物の誘電特性、ガラス転移温度及び線膨張率(α1)の評価)
アプリケーターを用いて、実施例2及び比較例2で得られた樹脂組成物を厚さ18μmの銅箔の鏡面上に280μmの厚さでそれぞれ塗布し、90℃で10分間加熱して溶剤を乾燥させた。前記で得られた銅箔上のフィルム状接着剤を、真空オーブンを用いて180℃で1時間加熱硬化させた後、エッチング液に浸して銅箔を除去した。本発明のフィルム状接着剤及び比較用のフィルム状接着剤のいずれからもフィルムとして取り扱い可能な厚さ70μmの硬化物が得られたため、前記で得られた硬化物の誘電特性を評価した。誘電特性は、ネットワークアナライザー8719ET(アジレントテクノロジー製)を用いて、10GHzにおける誘電率と誘電正接を空洞共振法で測定した。またTMA(熱機械測定装置)を用いて、フィルム状接着剤の硬化物のガラス転移温度及び線膨張率(α1)を求めた。
結果を表1に示した。
(樹脂組成物の硬化物の接着強度及び耐熱性の評価)
アプリケーターを用いて、実施例2及び比較例2で得られた樹脂組成物を厚さ12μmの高周波用低粗度銅箔(CF-T4X-SV:福田金属箔粉株式会社製)のマット面上に50μmの厚さでそれぞれ塗布し、90℃で10分間加熱して溶剤を乾燥させることにより本発明の樹脂組成物からなるフィルム状接着剤を有する銅箔を得た。前記で得られた銅箔の接着剤面上に、前記と同じ銅箔のマット面を重ねあわせて真空プレス中で3MPaの圧力で1時間加熱硬化させた後、銅箔間の90°引きはがし強さ(接着強度)をオートグラフAGX-50(株式会社島津製作所製)を用いて測定した。また張り合わせた銅箔を3cm角に切り出し、288℃の半田浴に浮かべて、銅箔上に膨れ・剥がれなどの異常が発生するまでの時間を測定した。結果を表1に示した。
Figure 2023092046000008
実施例3(本発明の樹脂組成物の調製)
実施例1で得られた本発明の高分子化合物溶液 10部に、ラジカル開始剤としてジクミルパーオキサイド 0.05部及びブタジエンとスチレンの共重合体ライコン100(クレイバレー社製) 0.5部を加えて均一に混合することにより本発明の樹脂組成物を得た。
実施例4(本発明の樹脂組成物の調製)
実施例1で得られた本発明の高分子化合物溶液 10部に、ラジカル開始剤としてジクミルパーオキサイド 0.05部及び変性ポリフェニレンエーテル樹脂SA-9000(サビック合同会社製) 0.5部を加えて均一に混合することにより本発明の樹脂組成物を得た。
実施例5(本発明の樹脂組成物の調製)
実施例1で得られた本発明の高分子化合物溶液 10部に、ラジカル開始剤としてジクミルパーオキサイド 0.05部及びイミド延長されたビスマレインイミド樹脂BMI-3000(デザイナーモレキュールズインク社製) 0.5部を加えて均一に混合することにより本発明の樹脂組成物を得た。
(樹脂組成物の硬化物の評価)
上記の「樹脂組成物の硬化物の誘電特性、ガラス転移温度及び線膨張率(α1)の評価」及び「樹脂組成物の硬化物の接着強度及び耐熱性の評価」と同じ方法で、実施例3乃至5で得られた樹脂組成物の諸特性を評価した。結果を表2に示した。
Figure 2023092046000009
以上のように、本発明の高分子化合物は、ラジカル開始剤を併用して硬化することによりフレキシブルなフィルムとすることが可能であり、かつ該硬化物は優れた誘電特性、接着性及び耐熱性を示した。


Claims (6)

  1. 下記式(1)
    Figure 2023092046000010
    (式(1)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立にメチル基、エチル基、イソプロピル基又はターシャリーブチル基を表す。Xは、それぞれ独立にアセチル基又は下記式(2)
    Figure 2023092046000011
    (式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。)
    で表される部分構造を表すが、複数存在するXの少なくとも一つはアセチル基であり、かつ複数存在するXの5%以上は式(2)で表される構造である。Yはジアミノ化合物から二つのアミノ基を除いた残基を表す。nは繰り返し単位数の平均値であって1乃至100の範囲にある。)で表される高分子化合物。
  2. 請求項1に記載の高分子化合物及びラジカル開始剤を含む樹脂組成物。
  3. ラジカル反応性の官能基を有するラジカル反応性モノマーを含む請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 一分子中に二つ以上ラジカル反応性の官能基を有するラジカル反応性ポリマーを含む請求項2に記載の樹脂組成物。
  5. 請求項2乃至4のいずれか一項に記載の樹脂組成物からなるフィルム状接着剤。
  6. 請求項2乃至4のいずれか一項に記載の樹脂組成物、又は請求項5に記載のフィルム状接着剤の硬化物。


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