JP2023157103A - 変性スチレン系エラストマー、該変性スチレン系エラストマーを含有する樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

変性スチレン系エラストマー、該変性スチレン系エラストマーを含有する樹脂組成物及びその硬化物 Download PDF

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謙吾 西村
Kengo Nishimura
智江 佐々木
Tomoe Sasaki
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Abstract

【課題】プリント配線板に好適に用い得る樹脂材料、及び該樹脂材料を含有し、その硬化物は基材接着性、機械特性、耐熱性、誘電特性に優れる樹脂組成物を提供すること【解決手段】スチレン-無水マレイン酸共重合体(a-1)と、イソシアネート基とエチレン性不飽和二重結合基を有する化合物(a-2)との反応物である変性スチレン系エラストマー、該変性スチレン系エラストマー、熱可塑性樹脂並びに熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物、該樹脂組成物の硬化物、及び該硬化物を備えた物品。【選択図】なし

Description

本発明は、新規構造の変性スチレン系エラストマー、該変性スチレン系エラストマーを含有する樹脂組成物及びその硬化物に関する。
スマートフォンやタブレット等のモバイル型通信機器や通信基地局装置、コンピュータやカーナビゲーション等の電子機器に不可欠な部材としてプリント配線板が挙げられる。プリント配線板には金属箔との密着性、耐熱性及び柔軟性等の特性に優れた各種の樹脂材
料が用いられている。
また、近年では高速で大容量の次世代高周波無線用のプリント配線板の開発が行われており、上記の諸特性に加え、樹脂材料には低伝送損失であること、即ち低誘電・低誘電正接であることが求められている。
多層プリント配線板に使用される接着剤及びカバーレイフィルムとして用いられる接着フィルムについても、優れた誘電特性を示すことが求められる。
また上記の接着剤および接着フィルムには、銅箔や基板(ポリイミドフィルムやPPEプリプレグ)に対して優れた接着強度を有することや、はんだ実装に耐えられる耐熱性が求められている。
特許文献1には、ダイマージアミン骨格を含むポリイミド樹脂が記載されているが、誘電正接が低い点で優れるものの、基材接着性に劣るものであった。また、特許文献2には、スチレン-マレイン酸共重合体を使用する例が記載されているが、耐熱性が低く、リフロー回数が増えると膨れが生じる懸念があり、より耐熱性の高いものが求められている。
特開2018-168369号公報 WO2020/071154
本発明の目的は、プリント配線板に好適に用い得る新規構造の樹脂材料、及び該樹脂材料を含有し、その硬化物は基材接着性、機械特性、耐熱性、誘電特性に優れる樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討を行った結果、特定構造の新規の変性スチレン系エラストマーを樹脂材料に用いることにより上記の課題が解決することを見出し、本発明を完成させた。
即ち本発明は、
(1)スチレン-無水マレイン酸共重合体(a-1)と、イソシアネート基とエチレン性不飽和二重結合基を有する化合物(a-2)との反応物である変性スチレン系エラストマー、
(2)共重合体(a-1)の数平均分子量が5,000乃至100,000である、前項(1)に記載の変性スチレン系エラストマー、
(3)前項(1)に記載の変性スチレン系エラストマー、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物、
(4)熱可塑性樹脂が、ダイマージアミン骨格を含むポリイミド樹脂である前項(3)に記載の樹脂組成物、
(5)熱硬化性樹脂がマレイミド樹脂である前項(3)又は(4)に記載の樹脂組成物、
(6)更に硬化剤を含有する前項(3)に記載の樹脂組成物、
(7)前項(6)に記載の樹脂組成物の硬化物、及び
(8)前項(7)に記載の硬化物を備えた物品、
に関する。
本発明の特定構造の変性スチレン系エラストマーを用いることにより、耐熱性、低誘電性及び接着性等の特性に優れたプリント配線板等を提供することができる。
本発明の変性スチレン系エラストマーは、スチレン-無水マレイン酸共重合体(a-1)(以下、単に「(a-1)成分」とも記載する)と、イソシアネート基とエチレン性不飽和二重結合基を有する化合物(a-2)(以下、単に「(a-2)成分」とも記載する)との反応物である。
本発明の変性スチレン系エラストマーの合成に用いられる(a-1)成分は、例えば、ラジカル重合によりスチレンと無水マレイン酸とをランダム共重合させて得ることができるが、市販されているものを使用することもできる。市販品としては、例えば、巴工業株式会社製のEF30などが挙げられる。
(a-1)成分を製造する際に用いられるスチレンと無水マレイン酸のモル比(スチレンのモル数/無水マレイン酸のモル数(S/M比))は、0.5乃至20であることが好ましい。S/M比を前記の範囲とすることによって最終的に得られる変性スチレン系エラストマーを含有する組成物の硬化物の良好な誘電特性(低誘電特性)と高い基材接着性が発現する。前記の観点から、より好ましいS/M比は1.0乃至10である。
(a-1)成分を製造する際には、スチレン及び無水マレイン酸以外の不飽和二重結合基を有する化合物(以下、「不飽和単量体」と記載する)を併用してもよい。
併用し得る単不飽和量体としては、アクリロニトリル並びにメタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体、アクリル酸並びにメタクリル酸等のビニルカルボン酸単量体、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-ブチルマレイミド並びにN-シクロヘキシルマレイミド等のN-アルキルマレイミド単量体、N-フェニルマレイミド、N-メチルフェニルマレイミド並びにN-クロルフェニルマレイミド等のN-アリールマレイミド単量体、及び4-ターシャリーブチルスチレン等のスチレン系単量体等が挙げられる。これらの不飽和単量体は1種類のみ併用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
併用し得る不飽和単量体の量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されないが、(a-1)成分の製造に用いるスチレン、無水マレイン酸及び不飽和単量体の合計に対して50モル%以下とすることは、諸物性のバランスを向上させる点で好ましい態様である。
(a-1)成分の数平均分子量は、5,000乃至100,000であることが好ましい。数平均分子量を前記の範囲とすることにより、はんだ耐熱性が良好となるのに加え、本発明の変性スチレン系エラストマーを清掃する際の(a-1)成分のハンドリング性が良好となる。前記の観点から、より好ましい数平均分子量は10,000乃至70,000である。尚、本発明における数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定結果に基づいて、ポリスチレン換算で算出した値である。
(a-1)成分の重合様式には特に限定はなく、溶液重合や塊状重合等の公知の方法で製造できるが、副生成物ができ難い点で溶液重合が好ましい。溶剤の種類は特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン並びにアセトフェノン等のケトン類、テトラヒドロフラン並びに1、4-ジオキサン等のエーテル類、及びトルエン、エチルベンゼン、キシレン並びにクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類等が挙げられるが、原料成分や共重合体の溶解度や、溶剤の回収し易さの観点から、メチルエチルケトン又はメチルイソブチルケトンが好ましい。溶剤の添加量は、原料となるスチレン並びに無水マレイン酸、及び任意で用いられる不飽和単量体の合計100質量部に対して、10乃至100質量部が好ましく、30乃至80質量部がより好ましい。溶剤の使用量を前記の範囲とすることにより、反応速度及び分子量(重合液の粘度)の制御が容易となる。
(a-1)成分の重合方法は特に限定されないが、プロセスが簡便で生産性に優れるという観点から、ラジカル重合法が好ましい。重合開始剤は特に限定されないが、例えばジベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-2-メチルシクロヘキサン、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシアセテート、ジクミルパーオキサイド並びにエチル-3,3-ジ-(t-ブチルパーオキシ)ブチレート等の公知の有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスメチルプロピオニトリル並びにアゾビスメチルブチロニトリル等の公知のアゾ化合物を用いることができる。これらの重合開始剤は2種以上を併用してもよい。これらの中でも10時間半減期温度が、70乃至110℃である有機過酸化物を用いるのが好ましい。
(a-1)成分の重合が終了した後、重合液には必要に応じて、ヒンダードフェノール系化合物、ラクトン系化合物、リン系化合物並びにイオウ系化合物等の耐熱安定剤、ヒンダードアミン系化合物並びにベンゾトリアゾール系化合物等の耐光安定剤、及び滑剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤並びに鉱油等の添加剤を加えても構わない。その添加量は、原料となるスチレン並びに無水マレイン酸、及び任意で用いられる不飽和単量体の合計100質量部に対して0.2質量部未満であることが好ましい。これらの添加剤は単独で用いても、2種類以上を併用しても構わない。
本発明の変性スチレン系エラストマーの合成に用いられる(a-2)成分は、イソシアネート基とエチレン性不飽和二重結合基を有する化合物であれば限定されない。
本発明の変性スチレン系エラストマーは、(a-1)成分の有する無水マレイン酸基と(a-2)成分の有するイソシアネート基が反応してイミド結合が形成されるため、熱安定性が向上する傾向にある。また、本発明の変性エチレン系エラストマーは、前記イミド結合により側鎖に導入されるエチレン性不飽和二重結合基を介して自己重合又は熱硬化性樹脂と共重合することにより(自己重合及び共重合については後述する)、架橋密度が増して耐熱性や接着性が向上する傾向にある。尚、(a-2)成分が有するエチレン性不飽和二重結合基は、炭素-炭素二重結合であれば特に限定されない。
(a-2)成分の具体例としては、カレンズMOI(昭和電工株式会社製)、カレンズAOI、カレンズMOI-BM、カレンズMOI-BP、カレンズBEI、カレンズMOI-EG、AOI-VM等が挙げられる。
(a-1)成分と(a-2)成分の反応は、(a-1)成分中の無水マレイン酸由来の酸無水物基のモル数をMa-1、(a-2)成分中のイソシアネート基のモル数をMa-2とすると、0.1≦Ma-2/Ma-1≦1.0の関係を満たすモル比で行うことが好ましい。(a-1)成分と(a-2)成分のモル比を前記の範囲とすることによって最終的に得られる変性スチレン系エラストマーを含有する組成物の硬化物の高い耐熱性と良好な誘電特性(低誘電特性)が発現する。
(a-1)成分と(a-2)成分の反応は、50乃至130℃で行うことが好ましい。反応時間は好ましくは0.5乃至10時間である。前記の条件で反応させることにより、(a-1)成分の有する酸無水物基と(a-2)成分の有するイソシアネート基が反応してイミド結合が形成される。
(a-1)成分と(a-2)成分の反応は、溶剤中で行うことが好ましい。反応に用い得る溶剤は特に限定されないが、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン並びにアセトフェノン等のケトン類、テトラヒドロフラン並びに1、4-ジオキサン等のエーテル類、及びトルエン、エチルベンゼン、キシレン並びにクロロベンゼン等の芳香族炭化水素等が挙げられるが、アニソールが好ましい。
次に本発明の樹脂組成物について説明する。
本発明の樹脂組成物は、本発明の変性スチレン系エラストマー、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂(化合物)を含有する。本発明の樹脂組成物においては、変性スチレン系エラストマーに熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂(化合物)を併用することにより、樹脂組成物の硬化物に熱安定性と高い接着性を付与することができる。
本発明の樹脂組成物が含有する熱可塑性樹脂としては、例えばポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ芳香族エーテル樹脂、ポリ芳香族チオエーテル樹脂、ポリ芳香族エステル樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン樹脂、アクリレート樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂は、得られる硬化物の物性および用途に応じて選択すればよく、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン-1、3-メチルブテン-1、3-メチルペンテン-1、4-メチルペンテン-1等のα-オレフィンの単独重合体やこれらの共重合体、不飽和有機カルボン酸又はその誘導体で変性されたポリオレフィン、あるいはこれらと他の共重合可能な不飽和単量体との共重合体などが挙げられる。代表例としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体並びにエチレン-アクリル酸エチル共重合体等のポリエチレン樹脂、シンジオタクチックポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、マレイン酸で変性されたポリプロピレン樹脂並びにプロピレン-エチレンブロック共重合体若しくはランダム共重合体などのポリプロピレン樹脂、及びポリ4-メチルペンテン-1などを挙げることができる。
ポリ塩化ビニル樹脂としては、例えば、塩化ビニル単独重合体や塩化ビニルと共重合可能な不飽和単量体との共重合体などが挙げられる。該共重合体としては、例えば塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル-メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル-エチレン共重合体、塩化ビニル-プロピレン共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体及び塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体等が挙げられる。さらに、これらのポリ塩化ビニル樹脂を後塩素化して塩素含量を高めたものも用いることができる。
ポリアミド樹脂としては、例えば、6-ナイロン、12-ナイロン、環状脂肪族ラクタムの開環重合物、6,6-ナイロン、6,10-ナイロン、6,12-ナイロン、脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸との縮重合物、m-キシレンジアミンとアジピン酸との縮重合物、芳香族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸との縮重合物、p-フェニレンジアミンとテレフタル酸との縮重合物、m-フェニレンジアミンとイソフタル酸との縮重合物、芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸との縮重合物、11-ナイロン、及びアミノ酸の縮重合物等を挙げることができる。
ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレート等の芳香族ジカルボン酸とアルキレングリコールとの縮重合物が挙げられる。
ポリアセタール樹脂としては、例えば、単独重合体のポリオキシメチレン、及びトリオキサンとエチレンオキシドから得られるホルムアルデヒド-エチレンオキシド共重合体等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂としては、4,4’-ジヒドロキシジアリールアルカン系ポリカーボネート、ビスフェノールAとホスゲンとを反応させるホスゲン法やビスフェノールAとジフェニルカーボネート等の炭酸ジエステルとを反応させるエステル交換法等により得られるビスフェノールA系ポリカーボネート、ビスフェノールAの一部を2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパンや2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパンなどで置換した変性ビスフェノールA系ポリカーボネート、及び難燃化ビスフェノールA系ポリカーボネート等が挙げられ、ビスフェノールA系ポリカーボネートが好ましい。
ポリ芳香族エーテル樹脂及びポリ芳香族チオエーテル樹脂とは、分子鎖中にエーテル結合又はチオエーテル結合を有する芳香族系の樹脂であり、例えば、ポリフェニレンエーテル、スチレンでグラフト化されたポリフェニレンエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、及びポリフェニレンサルファイドなどが挙げられる。
ポリ芳香族エステル樹脂としては、例えば、p-ヒドロキシ安息香酸の縮重合で得られるポリオキシベンゾイル、及びビスフェノールAとテレフタル酸やイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸との縮重合物であるポリアリレート等が挙げられる。
ポリスルホン樹脂とは、分子鎖中にスルホン基を有する樹脂であり、例えば、ビスフェノールAと4,4’-ジクロロジフェニルスルホンとの縮重合物であるポリスルホン、フェニレン基がエーテル基とスルホン基を介してp-位に連結された構造のポリエーテルスルホン、及びジフェニレン基とジフェニレンエーテル基とがスルホン基を介して交互に連結した構造のポリアリールスルホン等が挙げられる。
スチレン樹脂としては、例えば、スチレン若しくはα-メチルスチレン等の単独重合体やこれらの共重合体、又はこれらと共重合可能な不飽和単量体との共重合体が挙げられる。代表例としては、一般用ポリスチレン、耐衝撃用ポリスチレン、耐熱用ポリスチレン(α-メチルスチレン重合体)、シンジオタクチックポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル-塩素化ポリエチレン-スチレン共重合体(ACS)、アクリロニトリル-エチレンプロピレンゴム-スチレン共重合体(AES)、及びアクリルゴム-アクリロニトリル-スチレン共重合体(AAS)等が挙げられる。
アクリレート樹脂としては、例えば、メタクリル酸エステル重合体やアクリル酸エステル重合体などが挙げられ、これらの単量体としては、メタクリル酸及びアクリル酸の炭素数1乃至4アルキルエステル等が用いられるが、工業的成形材料としてはメチルメタクリレート樹脂を代表的なものとして挙げることができる。
ポリイミド樹脂としては、ジアミンとテトラカルボン酸からなる脂肪族系及び芳香族系等の公知のポリイミド樹脂や、これらポリイミド樹脂の末端や側鎖を変性したポリイミド樹脂等が挙げられる。ポリイミド樹脂は市販品を用いてもよく、合成したものを用いてもよい。
ポリイミド樹脂は、ジアミン成分とテトラカルボン酸成分とを100乃至140℃でイミド化反応させることによって合成することができる。
ここで用いられるジアミン成分としては、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、m-トリレンジアミン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル、4,4'-ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3'-ジエトキシ-4,4'-ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3'-ジアミノジフェニルチオエーテル、4,4'-ジアミノベンゾフェノン、3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノベンゾフェノン、3,3'-ジアミノジフェニルメタン、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジアミノジフェニルチオエーテル、2,2'-ビス(3-アミノフェニル)プロパン、2,2'-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、4,4'-ジアミノジフェニルスルフォキサイド、3,3'-ジアミノジフェニルスルフォンスルホン、4,4'-ジアミノジフェニルスルフォンスルホン、ベンチジン、3,3'-ジメチルベンチジン、3,3'-ジメトキシベンチジン、3,3'-ジアミノビフェニル、p-キシリレンジアミン、m-キシリレンジアミン、o-キシリレンジアミン、2,2'-ビス(3-アミノフェノキシフェニル)プロパン、2,2'-ビス(4-アミノフェノキシフェニル)プロパン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシフェニル)ベンゼン、1,3'-ビス(3-アミノフェノキシフェニル)プロパン、ビス(4-アミノ-3-メチルフェニル)メタン、ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルフェニル)メタン、ビス(4-アミノ-3-エチルフェニル)メタン、ビス(4-アミノ-3,5-ジエチルフェニル)メタン、ビス(4-アミノ-3-プロピルフェニル)メタン及びビス(4-アミノ-3,5-ジプロピルフェニル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、ノルボルナンジアミン、イソホロンジアミン、ダイマージアミン、2-メチル-1,5-ジアミノペンタン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4'-メチレンビスシクロヘキシルアミン及び炭素数6乃至36のジアミノポリシロキサン等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、ポリイミド樹脂の誘電特性の観点から、ダイマージアミンを用いることが好ましい。
上記のダイマージアミンとは、オレイン酸等の不飽和脂肪酸の二量体であるダイマー酸の有する二つのカルボキシ基を一級アミノ基に置換したものである(特開平9-12712号公報等参照)。ダイマージアミンの市販品の具体例としては、PRIAMINE1074並びにPRIAMINE1075(いずれもクローダジャパン株式会社製)、及びバーサミン551(コグニスジャパン株式会社製)等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。以下、ダイマージアミンの非限定的な一般式を示す(各式において、m+n=6乃至17が好ましく、p+q=8乃至19が好ましく、破線部は炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合を意味する)。
Figure 2023157103000001
テトラカルボン酸成分としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’-パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルメタン二無水物、および、4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸二無水物等が挙げられる。なかでも、溶剤溶解性、基材への密着性及び感光性の面から、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物又は3,3’,4,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物が好ましい。これらは1種を用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂としては、誘電特性と熱安定性の観点から、ポリイミド樹脂が好ましく、溶剤に可溶な可溶性ポリイミドがより好ましい。
尚、本発明における可溶性ポリイミドとは、有機溶剤に可溶なポリイミドであれば限定されない。可溶性とは、23℃で1.0質量%以上溶解することを意味する。ここでの有機溶剤とは、ケトン系溶剤のアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、エーテル系溶剤の1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、グリコールエーテル系溶剤のメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、その他ベンジルアルコール、N-メチルピロリドン、γ-ブチロラクトン、酢酸エチル、N,N-ジメチルホルムアミド、アニソール等である。
本発明の樹脂組成物における熱可塑性樹脂の含有量は、樹脂組成物中の樹脂成分の10乃至90質量%であることが好ましい。熱可塑性樹脂の含有量を前記の範囲とすることにより、樹脂組成物の硬化物の接着性、耐熱性及び誘電特性のバランスが良好となる傾向にある。接着性の観点からは、30乃至85質量%であることがより好ましい。
本発明の樹脂組成物が含有する熱硬化性樹脂(化合物)は、本発明の変性スチレン系エラストマー及び/又は熱可塑性樹脂との反応性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、マレイミド樹脂、エポキシ樹脂、カルボジイミド樹脂、ベンゾオキサジン化合物及びエチレン性不飽和基を有する化合物等が挙げられる。これらの樹脂または化合物は、樹脂組成物の硬化物の物性および用途に応じて、1種類単独または2種類以上を適宜混合して使用することができる。
熱硬化性樹脂としてのマレイミド樹脂は、一分子中にマレイミド基を二つ以上有するものであれば特に限定されないが、樹脂組成物の硬化物が機械強度や難燃性等の特性に優れることから、ベンゼン環、ビフェニル環及びナフタレン環等の芳香族環を有するマレイミド樹脂が好ましく、その具体例としては、MIR-3000(日本化薬株式会社製)、MIR-5000(日本化薬株式会社製)、BMI-70(ケイ・アイ化成株式会社)、BMI-80(ケイ・アイ化成株式会社)、BMI-2300(大和化成株式会社)等が挙げられる。
マレイミド樹脂は、変性スチレン系エラストマーのエチレン性不飽和二重結合基と反応させることを目的に加えられ、これにより硬化物の架橋密度が増加し、極性溶剤への耐性が向上すると共に、基材への密着性や耐熱性が向上する。
マレイミド樹脂を含有する樹脂組成物の硬化温度は、150乃至250℃が好ましい。硬化時間は硬化温度に依存するが、概ね数分間乃至数時間程度である。
マレイミド樹脂を含有する本発明の樹脂組成物におけるマレイミド樹脂の含有量は、変性スチレン系エラストマーのエチレン性不飽和二重結合基1当量に対するマレイミド樹脂のマレイミド基当量が0.1乃至500当量となる量が好ましい。
マレイミド樹脂を含有する本発明の樹脂組成物には、マレイミド樹脂の硬化反応を促進する目的で、必要に応じて各種ラジカル開始剤を硬化剤として添加することができる。ラジカル開始剤としては、ジクミルパーオキサイド及びジブチルパーオキサイド等の過酸化物類、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)及び2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物類等が挙げられる。
マレイミド樹脂を含有する本発明の樹脂組成物におけるラジカル開始剤の添加量は、マレイミド樹脂に対して0.1乃至10質量%である。
熱硬化樹脂としてのエポキシ樹脂は、一分子中にエポキシ基を二つ以上有するものであれば特に限定されないが、樹脂組成物の硬化物が機械強度や難燃性等の特性に優れることから、ベンゼン環、ビフェニル環及びナフタレン環等の芳香族環を有するエポキシ樹脂が好ましく、その具体例としては、jER828(三菱ケミカル株式会社製)、NC-3000、XD-1000(いずれも日本化薬株式会社製)等が挙げられる。
エポキシ樹脂は、変性スチレン系エラストマーの酸無水物基と反応させることを目的に加えられ、これにより硬化物の架橋密度が増加し、極性溶剤への耐性が向上すると共に、基材への密着性や耐熱性が向上する。
エポキシ樹脂を含有する樹脂組成物の硬化温度は、150乃至250℃が好ましい。硬化時間は硬化温度に依存するが、概ね数分間乃至数時間程度である。
エポキシ樹脂を含有する本発明の樹脂組成物におけるエポキシ樹脂の含有量は、変性スチレン系エラストマーの酸無水物1当量に対するエポキシ樹脂のエポキシ当量が0.1乃至500当量となる量が好ましい。
エポキシ樹脂を含有する本発明の樹脂組成物には、エポキシ樹脂の硬化反応を促進する目的で、必要に応じて硬化剤を添加することができる。硬化剤としては、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール及び2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾ-ル類、2-(ジメチルアミノメチル)フェノール及び1,8-ジアザ-ビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、オクチル酸スズ等の金属化合物等が挙げられる。
エポキシ樹脂を含有する本発明の樹脂組成物における硬化剤の添加量は、エポキシ樹脂に対して0.1乃至10質量%である。
熱硬化樹脂としてのエチレン性不飽和基を有する化合物は、一分子中にエチレン性不飽和基を有するものであれば特に限定されない。
エチレン性不飽和基を有する化合物の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートモノメチルエーテル、フェニルエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレンジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアヌレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、アジピン酸エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールエチレンオキサイドジ(メタ)アクリレート、水素化ビスフェノールエチレンオキサイド(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペングリコールジ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリエチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及びそのエチレンオキサイド付加物;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、及びそのエチレンオキサイド付加物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びそのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
また、この他にも、(メタ)アクリロイル基とウレタン結合を同一分子内に併せ持つウレタン(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロイル基とエステル結合を同一分子内に併せ持つポリエステル(メタ)アクリレート類;エポキシ樹脂から誘導され、(メタ)アクリロイル基を併せ持つエポキシ(メタ)アクリレート類;これらの結合が複合的に用いられている反応性オリゴマー等もエチレン性不飽和基を有する化合物の具体例として挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレート類とは、水酸基含有(メタ)アクリレートとポリイソシアネート、必要に応じて用いられるその他アルコール類との反応物が挙げられる。例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等のグリセリン(メタ)アクリレート類;ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の糖アルコール(メタ)アクリレート類と、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、ジシクロヘキサンメチレンジイソシアネート、及びそれらのイソシアヌレート、ビュレット反応物等のポリイソシアネート等を反応させた、ウレタン(メタ)アクリレート類が挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレート類とは、例えば、カプロラクトン変性2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性フタル酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性コハク酸(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の単官能(ポリ)エステル(メタ)アクリレート類;ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート等のジ(ポリ)エステル(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパン又はグリセリン1モルに1モル以上のε-カプロラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン等の環状ラクトン化合物を付加して得たトリオールのモノ、ジ又はトリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、ペンタエリスリトール、ジメチロールプロパン、トリメチロールプロパン、又はテトラメチロールプロパン1モルに、1モル以上のε-カプロラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン等の環状ラクトン化合物を付加して得たトリオールのモノ、ジ、トリ又はテトラ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトール1モルに1モル以上のε-カプロラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン等の環状ラクトン化合物を付加して得たトリオールのモノ、若しくはポリ(メタ)アクリレートのトリオール、テトラオール、ペンタオール又はヘキサオール等の多価アルコールのモノ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
更に、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール、(ポリ)ブチレングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ヘキサンジオール等のジオール成分と、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ダイマー酸、セバチン酸、アゼライン酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸等の多塩基酸、及びこれらの無水物との反応物であるポリエステルポリオールの(メタ)アクリレート;ジオール成分と多塩基酸及びこれらの無水物とε-カプロラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン等からなる環状ラクトン変性ポリエステルジオールの(メタ)アクリレート等の多官能(ポリ)エステル(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。
エポキシ(メタ)アクリレート類とは、エポキシ基を有する化合物と(メタ)アクリル酸とのカルボキシレート化合物である。例えば、フェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート、ビフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、ナフタレン骨格含有エポキシ(メタ)アクリレート、グリオキサール型エポキシ(メタ)アクリレート、複素環式エポキシ(メタ)アクリレート等、及びこれらの酸無水物変性エポキシアクリレート等が挙げられる。
例えば、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル等のビニルエーテル類;スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン類やトリアリルイソシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート、及びビスアリルナジイミド等のビニル基を有する化合物も、エチレン性不飽和基を有する化合物の具体例として挙げられる。
エチレン性不飽和基を有する化合物としては、市販品を利用することができ、例えば、KAYARADZCA(登録商標)-601H(商品名、日本化薬(株)製)、TrisP-PAエポキシアクリレート化合物のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(日本化薬(株)製KAYARAD(登録商標)ZCR-6007H(商品名)KAYARAD(登録商標)ZCR-6001H(商品名)、KAYARAD(登録商標)ZCR-6002H(商品名)、及びKAYARAD(登録商標)ZCR-6006H(商品名)が挙げられる。これらのエチレン性不飽和基を有する化合物は、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
エチレン性不飽和基を有する化合物を含有する本発明の樹脂組成物におけるエチレン性不飽和基を有する化合物の含有量は、変性スチレン系エラストマーのエチレン性不飽和二重結合基当量に対して0.1乃至500当量となる量が好ましい。
エチレン性不飽和基を有する化合物を含有する本発明の樹脂組成物には、変性スチレン系エラストマーとエチレン性不飽和基の硬化反応を促進する目的で、必要に応じてラジカル開始剤等の硬化剤を添加することができる。ラジカル開始剤の具体例としては、ジクミルパーオキサイド及びジブチルパーオキサイド等の過酸化物類、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)及び2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物類等が挙げられる。
エチレン性不飽和基を有する化合物を含有する本発明の樹脂組成物におけるラジカル開始剤の添加量は、全組成物中のエチレン性不飽和基に対して0.1乃至10質量%である。
熱硬化樹脂としてのカルボジイミド樹脂(化合物)は、1分子中に1個以上のカルボジイミド構造を有するものであれば特に限定されない。
カルボジイミド樹脂(化合物)の具体例としては、テトラメチレン-ビス(t-ブチルカルボジイミド)、シクロヘキサンビス(メチレン-t-ブチルカルボジイミド)等の脂肪族ビスカルボジイミド;フェニレン-ビス(キシリルカルボジイミド)等の芳香族ビスカルボジイミド等のビスカルボジイミド;ポリヘキサメチレンカルボジイミド、ポリトリメチルヘキサメチレンカルボジイミド、ポリシクロヘキシレンカルボジイミド、ポリ(メチレンビスシクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(イソホロンカルボジイミド)等の脂肪族ポリカルボジイミド;ポリ(フェニレンカルボジイミド)、ポリ(ナフチレンカルボジイミド)、ポリ(トリレンカルボジイミド)、ポリ(メチルジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(ジエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(キシリレンカルボジイミド)、ポリ(テトラメチルキシリレンカルボジイミド)、ポリ(メチレンジフェニレンカルボジイミド)、ポリ[メチレンビス(メチルフェニレン)カルボジイミド]等の芳香族ポリカルボジイミド等のポリカルボジイミドが挙げられる。
これらは二種以上を混合して用いてもよい。
カルボジイミド樹脂(化合物)の市販品としては、例えば、日清紡ケミカル社製の「カルボジライトV-02B」、「カルボジライトV-03」、「カルボジライトV-04K」、「カルボジライトV-07」及び「カルボジライトV-09」;ラインケミー社製の「スタバクゾールP」、「スタバクゾールP400」、「ハイカジル510」等が挙げられる。
熱硬化樹脂としてのベンゾオキサジン樹脂(化合物)は、1分子中に1個以上のベンゾオキサジン構造を有するものであれば特に限定されない。
ベンゾオキサジン樹脂(化合物)の具体例としては、ビスフェノールA型ベンゾオキサジン樹脂、ビスフェノールF型ベンゾオキサジン樹脂、ジアミン型ベンゾオキサジン樹脂、フェノールフタレイン型ベンゾオキサジン樹脂、ジシクロペンタジエン型ベンゾオキサジン樹脂、及びビスフェノールフルオレン型ベンゾオキサジン樹脂が挙げられ、ビスフェノールF型ベンゾオキサジン樹脂、ジアミン型ベンゾオキサジン樹脂、フェノールフタレイン型ベンゾオキサジン樹脂、又はビスフェノールフルオレン型ベンゾオキサジン樹脂が好ましい。
これらは二種以上を混合して用いてもよい。
本発明の樹脂組成物が含有する熱硬化性樹脂(化合物)としては、樹脂組成物の硬化物の耐熱性や接着性が特に優れる点から、マレイミド樹脂が好ましい。
また、本発明の樹脂組成物を溶剤に溶解したワニスとして用いる場合には、ワニスの粘度上昇が抑制できる観点から、熱硬化性樹脂(化合物)の分子量は100乃至50,000であることが好ましい。尚、本発明における分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法による、ポリスチレンスタンダードの質量平均分子量を意味する。
本発明の樹脂組成物は有機溶剤に溶解したワニス状の組成物(以下、単にワニスという)とすることができる。
用い得る溶剤としては、例えばγ-ブチロラクトン類、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド及びN,N-ジメチルイミダゾリジノン等のアミド系溶剤、テトラメチレンスルフォン等のスルフォン類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート及びプロピレングリコールモノブチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン及びシクロヘキサノン等のケトン系溶剤、トルエン及びキシレンなどの芳香族系溶剤等が挙げられる。
有機溶剤は、ワニス中の有機溶剤を除く固形分濃度が好ましくは10乃至80質量%、より好ましくは20乃至70質量%となる範囲で使用する。
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて公知の添加剤を併用してもよい。併用し得る添加剤の具体例としては、エポキシ樹脂用硬化剤、ポリブタジエン又はこの変性物、アクリロニトリル共重合体の変性物、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリイミド、フッ素樹脂、マレイミド系化合物、シアネートエステル系化合物、シリコーンゲル、シリコーンオイル、並びにシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、石英粉、アルミニウム粉末、グラファイト、タルク、クレー、酸化鉄、酸化チタン、窒化アルミニウム、アスベスト、マイカ、ガラス粉末等の無機充填材、シランカップリング剤のような充填材の表面処理剤、離型剤、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の着色剤、アエロジル等のチキソトロピー付与剤、シリコーン系、フッ素系のレベリング剤や消泡剤、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノール系重合禁止剤、安定剤、酸化防止剤、光重合開始剤、光塩基発生材、光酸発生剤等が挙げられる。これら添加剤の配合量は、樹脂組成物100質量部に対して好ましくは1,000質部以下、より好ましくは700質部以下の範囲である。添加剤としては特にアクリル基もしくはメタクリル基を有するシランカップリング剤が耐熱性の観点から好ましい。
本発明の樹脂組成物の硬化温度及び硬化時間は、本発明の変性スチレン系エラストマーが有する官能基と熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂が有する反応性基との組合せ等を考慮し選択すればよいが、例えば、マレイミド樹脂を含有する樹脂組成物やエポキシ樹脂を含有する樹脂組成物の硬化温度は、120乃至250℃が好ましく、硬化時間は概ね数十分間乃至数時間程度である。
本発明の樹脂組成物を加熱溶融し、低粘度化してガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維などの強化繊維に含浸させることによりプリプレグを得ることができる。また、前記ワニスを、強化繊維に含浸させて加熱乾燥させることによりプリプレグを得ることもできる。
上記のプリプレグを所望の形に裁断、必要により銅箔などと積層後、積層物にプレス成形法やオートクレーブ成形法、シートワインディング成形法などで圧力をかけながら樹脂組成物を加熱硬化させることにより電気電子用積層板(プリント配線板)や炭素繊維強化材等の本発明の硬化物を備えた基材(物品)を得ることができる。
また、ワニスを銅箔に塗工し溶剤媒を乾燥させた後、ポリイミドフィルムもしくはLCP(液晶ポリマー)を積層させ、熱プレス後、加熱硬化することにより本発明の硬化物を備えた基材を得ることもできる。場合によりポリイミドフィルムもしくはLCP側に塗工し、銅箔と積層することで本発明の硬化物を備えた基材を得ることもできる。
また、ワニスを銅箔に塗工し溶剤媒を乾燥させた後、樹脂をガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維などの強化繊維に含浸させたプリプレグを積層させ、熱プレス後、加熱硬化することにより本発明の硬化物を備えた基材を得ることもできる。
上記の樹脂組成物からなる薄膜を備えた基材は銅張積層板(CCL)、またはCCLの銅箔に回路パターンを有するプリント配線板や多層配線版に使用できる。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例における「部」は質量部を、「%」は質量%を意味する。尚、実施例におけるGPCの測定条件は以下の通りである。
機種:TOSOH ECOSEC Elite HLC-8420GPC
カラム:TSKgel Super AWM-H
溶離液:NMP(N-メチルピロリドン);0.5ml/分、40℃
検出器:UV(示差屈折計)
分子量標準:ポリスチレン
実施例1(本発明の変性スチレン系エラストマー(A-1)の合成)
温度計、還流冷却器、ディーンスターク装置、粉体導入口、窒素導入装置及び撹拌装置を取り付けた300mlの反応器中で、EF30(巴工業株式会社製、スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレンと無水マレイン酸のモル比率は3:1、重量平均分子量10,000) 30.0部にアニソール 100部を加えて溶解させた後、カレンズMOI(昭和電工株式会社製、分子量155.15g/mol) 1.55部(スチレン-無水マレイン酸共重合体中の酸無水物基に対して17.4mol%)及び重合禁止剤としてBHT(2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール) 0.10部を加え、115℃で5時間攪拌することにより、本発明の変性スチレン系エラストマー(A-1)溶液を得た。
実施例2(本発明の変性スチレン系エラストマー(A-2)の合成)
温度計、還流冷却器、ディーンスターク装置、粉体導入口、窒素導入装置及び撹拌装置を取り付けた300mlの反応器中で、EF30(巴工業株式会社製、スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレンと無水マレイン酸のモル比率は3:1、重量平均分子量10,000) 30.0部にアニソール 100部を加えて溶解させた後、カレンズMOI(昭和電工株式会社製、分子量155.15g/mol) 8.90部(スチレン-無水マレイン酸共重合体中の酸無水物基に対して99.8mol%)及び重合禁止剤としてBHT(2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール) 0.10部を加え、115℃で5時間攪拌することにより、本発明の変性スチレン系エラストマー(A-2)溶液を得た。
実施例3(本発明の変性スチレン系エラストマー(A-3)の合成)
温度計、還流冷却器、ディーンスターク装置、粉体導入口、窒素導入装置及び撹拌装置を取り付けた300mlの反応器中で、RL-44(巴工業株式会社製、スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレンと無水マレイン酸のモル比率は17:1、重量平均分子量27,000) 30.0部にアニソール 100部を加えて溶解させた後、カレンズMOI(昭和電工株式会社製、分子量155.15g/mol) 2.30部(スチレン-無水マレイン酸共重合体中の酸無水物基に対して99.9mol%)及び重合禁止剤としてBHT(2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール) 0.10部を加え、115℃で5時間攪拌することにより、本発明の変性スチレン系エラストマー(A-3)溶液を得た。
合成例1(熱可塑性樹脂(B-1)の合成)
温度計、還流冷却器、ディーンスターク装置、粉体導入口、窒素導入装置及び撹拌装置を取り付けた300mlの反応器に、PRIAMINE1075(クローダジャパン株式会社製、分子量534.38g/mol) 55.1部、BAFL(9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、JFEケミカル株式会社製、分子量348.16g/mol) 45.9部及びアニソール 170.06部を入れて70℃に加熱した。次いで、ODPA(オキシジフタル酸無水物、マナック株式会社製、分子量310.22g/mol) 100.00部、トリエチルアミン 2.00部及びトルエン 25.77部を加え、アミック酸の閉環に伴い生成した水をトルエンとの共沸で除去しながら130℃で8時間反応させた後、残留するトリエチルアミンとトルエンを引き続き130℃で除去することによって熱可塑性樹脂(B-1)(分子量69,400)溶液を得た。
合成例2(熱可塑性樹脂(B-2)の合成)
温度計、還流冷却器、ディーンスターク装置、粉体導入口、窒素導入装置及び撹拌装置を取り付けた300mlの反応器に、DAPBAF(2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビス(2-アミノフェノール)、和歌山精化工業株式会社製、分子量366.26g/mol) 9.20部、PRIAMINE1075(クローダジャパン株式会社製、分子量534.38g/mol) 91.8部及びアニソール 170.06部を入れて70℃に加熱した。次いで、ODPA(オキシジフタル酸無水物、マナック株式会社製、分子量310.22g/mol) 100.00部、トリエチルアミン 2.00部及びトルエン 25.77部を加え、アミック酸の閉環に伴い生成した水をトルエンとの共沸で除去しながら130℃で8時間反応させることによって中間体樹脂(フェノール性OH当量4,374g/eq.、分子量70,000)溶液を得た。続いて、カレンズMOI(昭和電工株式会社製、分子量155.15g/mol) 7.4部及び重合禁止剤としてBHT(2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール) 0.3部を入れ、130℃で4時間反応させた後、残留するトリエチルアミンとトルエンを引き続き130℃で除去することによって熱可塑性樹脂(B-2)溶液を得た。
合成例3(熱可塑性樹脂(B-3)の合成)
温度計、還流冷却器、ディーンスターク装置、原料導入口、窒素導入装置及び撹拌装置を取り付けた300mlの反応器に、BAFL(9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、JFEケミカル株式会社製、分子量348.45g/mol) 5.37部、PRIAMINE1075(C36ダイマージアミン、クローダジャパン株式会社製、分子量534.38g/mol) 13.14部、ODPA(オキシジフタル酸無水物、マナック株式会社製、分子量310.22g/mol) 14.89部、アニソール 74.35部、トリエチルアミン 0.97部及びトルエン 19.79部を入れて、120℃まで加熱し原料を溶解させた。アミック酸の閉環に伴い生成した水をトルエンとの共沸で除去しながら135℃で4時間反応させた。次いで、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート、旭化成株式会社製、分子量168.20g/mol) 1.19部及びアニソール 2.64部を加えて130℃で3時間加熱することにより熱可塑性樹脂(B-3)(分子量65,900)溶液を得た。
実施例4乃至10、比較例1乃至3(本発明及び比較用の樹脂組成物の調整)
表1に示した配合量(単位は「部」、変性スチレン系エラストマー(A-1)乃至(A-3)、熱可塑性樹脂(B-1)乃至(B-3)、MIR-3000-70MT及びZXR-1889Hの部数は、溶剤を含まない固形分換算の部数である)で各成分を配合した後、固形分濃度が20質量%となる量のアニソールを溶剤として追加して均一に混合することにより、本発明及び比較用の樹脂組成物をそれぞれ調整した。
尚、表1における各成分は以下の通りである。
(A-1);実施例1で得られた変性スチレン系エラストマー(A-1)
(A-2);実施例2で得られた変性スチレン系エラストマー(A-2)
(A-3);実施例3で得られた変性スチレン系エラストマー(A-3)
(B-1);合成例1で得られた熱可塑性樹脂(B-1)
(B-2);合成例2で得られた熱可塑性樹脂(B-2)
(B-3);合成例3で得られた熱可塑性樹脂(B-3)
MIR-3000-70MT(マレイミド樹脂(固形分70質量%)、日本化薬(株)製);熱硬化性樹脂
XD-1000(エポキシ樹脂、日本化薬(株)製);熱硬化性樹脂
ZXR-1889H(エポキシアクリレート樹脂(固形分65質量%)、日本化薬(株)製);熱硬化性樹脂
DCP(ジクミルパーオキシド、化薬ヌーリオン(株)製);硬化剤
(接着強度の評価)
福田金属箔粉工業株式会社製の超低粗度無粗化処理電解銅箔CF-T9DA-SVの粗面に、オートマチックアプリケータを用いて樹脂組成物をそれぞれ塗布し、120℃で10分間加熱乾燥した。乾燥後の塗膜の厚さは30μmであった。前記で得られた樹脂付き銅箔上の塗膜にPPEプリプレグ(Meteorwave4000、AGC nelco(株)製)を重ね合わせ、200℃で60分間、3MPaの条件で真空プレスした。得られた試験片を10mm幅に切り出し、オートグラフAGS-X-500N(株式会社島津製作所製)を用いて、銅箔-プリプレグ間の90°引きはがし強さ(引き剥がし速度は50mm/min)を測定し、下記評価基準で接着強度を評価した。結果を表1に示した。
〇・・・7.0N/cm以上
△・・・7.0N/cm未満6.6N/cm以上
×・・・6.6N/cm未満
(樹脂組成物の硬化物からなる樹脂膜の誘電正接の評価)
樹脂組成物の塗布量を、乾燥後の塗膜の膜厚が30μmとなる量から100μmとなる量に変更した以外は上記「接着強度の評価」と同じ方法で樹脂付き銅箔を作製した後、200℃で60分間加熱して樹脂層を硬化させて銅張積層体をそれぞれ得た。前記で得られた銅張積層体の銅箔を、液比重45ボーメ度の塩化鉄(III)溶液でエッチングして除去し、イオン交換水で洗浄後、105℃で10分間乾燥することにより樹脂組成物の硬化物からなる樹脂膜をそれぞれ得た。前記で得られた樹脂膜について、ネットワークアナライザー8719ET(アジレントテクノロジー製)を用いて空洞共振法によって10GHzにおける誘電正接を測定した。結果を表1に示した。
Figure 2023157103000002
表1の結果より、本発明の樹脂組成物の硬化物は、接着強度及び誘電特性において優れているのに対して、比較例の樹脂組成物は、接着性及び誘電特性が劣る結果であった。
本発明の特定構造の変性スチレン系エラストマーを用いることにより、低誘電性及び接着性に優れたプリント配線板等を提供することができる。


Claims (8)

  1. スチレン-無水マレイン酸共重合体(a-1)と、イソシアネート基とエチレン性不飽和二重結合基を有する化合物(a-2)との反応物である変性スチレン系エラストマー。
  2. 共重合体(a-1)の数平均分子量が5,000乃至100,000である、請求項1に記載の変性スチレン系エラストマー。
  3. 請求項1に記載の変性スチレン系エラストマー、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物。
  4. 熱可塑性樹脂がダイマージアミン骨格を含むポリイミド樹脂である請求項3に記載の樹脂組成物。
  5. 熱硬化性樹脂がマレイミド樹脂である請求項3又は4に記載の樹脂組成物。
  6. 更に硬化剤を含有する請求項3に記載の樹脂組成物。
  7. 請求項6に記載の樹脂組成物の硬化物。
  8. 請求項7に記載の硬化物を備えた物品。


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