JP2023090572A - 流体圧アクチュエータおよびロボットハンド - Google Patents
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Abstract
【課題】保持対象物に対する保持力を向上させることが可能な流体圧アクチュエータおよびロボットハンドを提供する。【解決手段】流体圧アクチュエータ1は、流体の圧力によって伸縮可能なチューブ21とチューブ21を覆うスリーブ22とを備える第1アクチュエータ部2Aと、第2アクチュエータ部3Aと、を備えている。第2アクチュエータ部3Аは、第1アクチュエータ部2Aの軸線方向の先端に取り付け可能な本体31と、本体31を通じて供給される流体の圧力の変化に応じて拡張可能な膜体32と、を備えている。ロボットハンドは、流体圧アクチュエータ1を備えている。【選択図】図1
Description
本発明は、流体圧アクチュエータおよびロボットハンドに関する。
スリーブに覆われたチューブの膨張および収縮によって所望の動作を実現可能な流体圧アクチュエータ(「マッキベン型の流体圧アクチュエータ」とも呼ばれる。)をロボットの分野に用いることは既知である(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1では、流体圧アクチュエータは、物を持ち上げるためのリフト部(ロボットアーム)としてだけでなく、人の指の挙動を実現させるための把持部(指ロボットハンド)としても用いられている。
しかしながら、近年、流体圧アクチュエータのロボット等への適用が進む中で、例えば、瓶などの筒状の保持対象物は、当該物の内側および外側のいずれも把持し難く、より保持力の高い流体圧アクチュエータが求められている。
本発明の目的は、保持対象物に対する保持力を向上させることが可能な流体圧アクチュエータおよびロボットハンドを提供することにある。
本発明に係る、流体圧アクチュエータは、流体の圧力によって伸縮可能なチューブと前記チューブを覆うスリーブとを備える第1アクチュエータ部と、第2アクチュエータ部と、を備えており、前記第2アクチュエータ部は、前記第1アクチュエータ部の軸線方向の先端に取り付け可能な本体と、前記本体を通じて供給される流体の圧力の変化に応じて拡張可能な膜体と、を備えている。本発明に係る、流体圧アクチュエータによれば、保持対象物に対する保持力を向上させることが可能となる。
本発明に係る、流体圧アクチュエータにおいて、前記本体には開口部が形成されており、 前記膜体は、前記本体に形成された前記開口部の内周部に取り付けられており、前記膜体は、前記開口部に向かって拡張可能であるものとすることができる。この場合、保持対象物の外側を保持するときに有効である。
本発明に係る、流体圧アクチュエータにおいて、前記本体は、前記第1アクチュエータ部の軸線に沿って延在しており、前記膜体は、前記本体の外周部に取り付けられており、前記膜体は、前記本体の径方向外側に向かって拡張可能であるものとすることができる。この場合、保持対象物の内側を保持するときに有効である。
本発明に係る、流体圧アクチュエータにおいて、前記第2アクチュエータ部は、前記第1アクチュエータ部に対して着脱可能であるものとすることができる。この場合、第2アクチュエータの交換またはメンテナンスが可能となる。
本発明に係る、流体圧アクチュエータにおいて、前記第1アクチュエータ部は、前記スリーブの径方向内側において、前記チューブの軸線方向に沿って延在する拘束部材をさらに備えており、前記拘束部材は、前記チューブの軸線方向に沿った圧縮に対して抵抗し、前記軸線方向に直交する直交方向に曲げ変形可能であるものとすることができる。この場合、流体圧アクチュエータのサイズの大型化を回避しつつ、前記第1アクチュエータ部を前記直交方向に容易に撓ませることができる。
本発明に係る、ロボットハンドは、上記のいずれかに記載された流体圧アクチュエータを備えている。本発明に係る、ロボットハンドによれば、保持対象物に対する保持力を向上させることが可能となる。
本発明によれば、保持対象物に対する保持力を向上させることが可能な、流体圧アクチュエータおよびロボットハンドを提供することができる。
以下、図面を参照して、本発明の、一実施形態に係る、流体圧アクチュエータおよびロボットハンドについて説明をする。
以下の説明において、軸線方向とは、任意の軸線(例えば、中心軸線)に沿った方向をいう。また、以下の説明において、軸線方向に対して直交する方向を軸直方向ともいう。特に、前記軸直方向は、前記軸線がチューブ、スリーブまたは開口部の中心軸線であるときは、径方向ともいう。さらに、径方向のうち、中心軸線に近い側を「径方向内側」ともいい、また、中心軸線から遠い側を「径方向外側」ともいう。また、以下の説明において、前記軸線の中心として周回する方向を周方向ともいう。
さらに、以下の説明において、符号О1は、第1アクチュエータ部の中心軸線であり、符号О2は、第2アクチュエータ部の中心軸線である。また、本実施形態に係る、流体圧アクチュエータにおいて、第2アクチュエータ部が設けられている側を「先端側」といい、当該先端側と反対側の第1アクチュエータ部が設けられている側を「基端側」という。さらに、本実施形態において、チューブおよびスリーブの中心軸線はそれぞれ、第1アクチュエータ部の中心軸線と同一の軸線であるものとする。
図1中、符号1は、本発明の、一実施形態に係る、流体圧アクチュエータである。流体圧アクチュエータ1は、流体の圧力の変化に応じて伸縮可能なチューブ21とチューブ21を覆うスリーブ22とを備える第1アクチュエータ部2Aと、第2アクチュエータ部3Aと、を備えている。第2アクチュエータ部3Aは、第1アクチュエータ部2Aの軸線方向の先端に取り付け可能な本体31と、本体31を通じて供給される流体の圧力の変化に応じて拡張可能な膜体32と、を備えている。なお、図1には、後述の保持対象物Mが仮想線で示されている。
図2には、第1アクチュエータ部2Aが概略的に示されている。本実施形態において、第1アクチュエータ部2Aは、チューブ21、スリーブ22に加えて、封止部23と、を備えている。封止部23は、第1封止部23Aと、第2封止部23Bとの、2つの封止部を含んでいる。さらに、本実施形態において、第1アクチュエータ部2Aは、スリーブ22を覆う被覆部材24をさらに備えている。
図3には、第1アクチュエータ部2Aの各構成要素が分解された状態で概略的に示されている。
本実施形態において、チューブ21は、流体の圧力の変化に応じて膨張及び収縮する円筒状の部材である。流体の圧力は、チューブ21の内部に供給されることによって上昇し、チューブ21の内部から排出されることによって減少する。これによって、チューブ21は流体の圧力の変化に応じて軸線О1に沿って伸縮させることができる。チューブ21は、流体の圧力の変化によって収縮及び膨張を繰り返すため、ブチルゴムなどの弾性材料によって構成されている。ただし、チューブ21を構成する弾性部材は、第1アクチュエータ部2Aを油圧によって駆動させる場合には、耐油性が高いNBR(ニトリルゴム)、または水素化NBR、クロロプレンゴム、及びエピクロロヒドリンゴムからなる群より選択される少なくとも一種とすることができる。
また、本実施形態において、スリーブ22は、円筒状の部材である。スリーブ22は、チューブ21の外周面を覆っている。スリーブ22は、所定方向に配向された繊維コードを編み込んだ伸縮性を有する構造体である。具体的には。スリーブ22は、後述するように、配向されたコードが交差することによって菱形の形状が繰り返された構造を有している。スリーブ22は、前記構造を有することによって、パンタグラフ変形し、チューブ21の収縮及び膨張を規制しつつ追従する。
スリーブ22を構成する繊維コードとしては、芳香族ポリアミド(アラミド繊維)又はポリエチレンテレフタラート(PET)等の繊維コードを用いることが好ましい。ただし、スリーブ22を構成する繊維コードは、このような種類の繊維コードに限定されるものではなく、例えば、PBO繊維(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)などの高強度繊維コードであってもよい。
また、封止部23は、チューブ21の端部に形成された開口部A21を封止する。本実施形態において、第1封止部23Aは、チューブ21の先端を封止し、そして、第2封止部23Bは、チューブ21の基端を封止している。図3を参照すれば、封止部23(図示例は、第1封止部23A)は、封止部材231、係止リング232及びかしめ部材234を含んでいる。
封止部材231は、チューブ21の開口部A21を封止する。本実施形態において、封止部材231は、チューブ21の開口部A21に挿入される胴部231aと、チューブ21の端面およびスリーブ22の端面を閉じるフランジ231bと、を備えている。本実施形態において、胴部231aの外周面は、最も径の大きい大径部231a1と、大径部231a1よりも径の小さい小径部231a2とによって構成されている。本実施形態において、大径部231a1には、凹凸部231dが形成されている。凹凸部231dは、後述するように、胴部231aがチューブ21の開口部A21に挿入されたとき、当該チューブ21の内周面に接触することによって、チューブ21の滑りを抑制する機能を発揮する。また、小径部231a2は、フランジ231bに隣接する位置に配置されており、係止リング232を収容させることができる。封止部材231は、ステンレス鋼などの金属によって形成することができる。ただし、封止部材231は、金属によって形成されたものに限定されない。例えば。封止部材231は、硬質プラスチック材料などによって形成することができる。
さらに、図3を参照すれば、本実施形態に係る、第1封止部23Aの封止部材231は、第2アクチュエータ部3Aを取り付けるための連結部231cを備えている。本実施形態において、連結部231cは、フランジ231bから軸線方向に沿って先端側(胴部231aと反対側)に突出している。連結部231cは、後述するように、第2アクチュエータ部3Aを第1アクチュエータ部2Aに連結させるために用いられる。本実施形態では、第1封止部23Aに係る、封止部材231の連結部231cは、先端が半球状の円柱体である。ただし、連結部231cの形状は様々な形状とすることができる。
他方、本実施形態に係る、第2封止部23Bもまた、封止部材231、係止リング232及びかしめ部材234を含んでいる。ただし、図2に示すように、本実施形態に係る、第2封止部23Bの封止部材231には、チューブ21の内部空間S21(例えば、図8参照。)と外界を通じさせる内部流路23rが形成されている。これによって、チューブ21の内部に流体を供給させることができる。
図2に示すように、本実施形態において、第1封止部23Aと第2封止部23Bとの具体的な相違点は、封止部材231に設けられた連結部231cの構成と、当該封止部材231に、配管接続部231e及び内部流路23rが設けられているか否かである。
図2に示すように、第2封止部23Bには、第1封止部23Aと同様、連結部231cが設けられている。ただし、本実施形態において、第2封止部23Bの連結部231cは、プレート状に構成されている。また、連結部231cには、他の部材(図示省略)を取り付けることができるように、連結部231cに形成された2つのプレート面を貫通する、締結用のピン孔A231が形成されている。
加えて、第2封止部23Bには、外部からの配管が接続される配管接続部231eと、配管接続部231eからチューブ21の内部空間S21に通じる内部流路23rとが設けられている。本実施形態において、内部流路23rは、配管接続部231eとチューブ21の内部空間S21とを連通させている。本実施形態において、配管接続部231eには、気体又は液体等を供給する配管(図示省略。)が取り付けられる。前記配管は、第1アクチュエータ部2Aの駆動圧力源(具体例としては、コンプレッサ)に接続されている。これによって、前記駆動圧力源からの流体は、配管接続部231eから、封止部材231の内部に区画された内部流路23rに流入する。内部流路23rを通過した流体は、チューブ21の内部空間S21に流入する。これによって、チューブ21は、流体の圧力によって拡張させることができる。
なお、本実施形態では、第2封止部23Bの封止部材231はさらに、フランジ231bに連なるヘッド231hを備えている。本実施形態において、配管接続部231eの接続口は、ヘッド231hの径方向外側に向けて開口するように設けられている。本実施形態において、内部流路23rは、ヘッド231hと胴部231aとに亘って形成されている。
図4は、図2の領域Aを一部断面で示している。係止リング232は、封止部材231にスリーブ22を係止する。図4を参照すれば、スリーブ22は、係止リング232を介して径方向外側に折り返されている。本実施形態において、係止リング232は、チューブ21およびスリーブ22を介して胴部231aの小径部231a2の位置に配置されている。本実施形態において、係止リング232は、大径部231a1と小径部231a2との間に形成された段部に引っ掛かけて係止される。このため、本実施形態において、係止リング232は、図3に示すように、二分割の形状としている。ただし、係止リング232は、3つ以上に分割させることができる。また、一部の分割部分が回動可能に連結されていてもよい。さらに、係止リング232には、封止部材231と係合できるように一部が切り欠かれたC字状のリング部材(例えば、図9参照。)とすることができる。係止リング232は、封止部材231と同様の金属、硬質プラスチック材料などの材料、或いは、自然繊維(自然繊維の糸)、ゴム(例えばOリング)などの材料によって形成することができる。
図3に示すように、かしめ部材234は、筒状の部材である。かしめ部材234は、図4に示すように、チューブ21及びスリーブ22を封止部材231とともに径方向内側に向かってかしめられる。かしめ部材234は、封止部材231の胴部231aの外径よりも大きい。かしめ部材234は、チューブ21及びスリーブ22の、封止部材231の胴部231aが挿入された部分の径方向外側を覆うように配置されている。かしめ部材234は、治具によってかしめられることで、チューブ21及びスリーブ22を封止部材231の胴部231aに締め付ける。これによって、スリーブ22の端部は、チューブ21の端部とともに封止部材231の胴部231aに密着させた状態に固定される。
かしめ部材234は、アルミニウム合金、真鍮又は鉄などの金属によって形成することができる。図2に示すように、かしめ部材234の外周面には、治具によってかしめられた痕である圧痕234Aが形成されていてもよい。
被覆部材24は、第1アクチュエータ部2Aを保護する。具体的には、被覆部材24は、第1アクチュエータ部2A、特に、スリーブ22が他の物体と接触することによって生じ得る摩耗から当該スリーブ22を保護する。したがって、本実施形態において、被覆部材24は、スリーブ22の外周面を被覆する。また、本実施形態では、被覆部材24は、封止部23、具体的には、かしめ部材234の外周面も被覆する。本実施形態において、被覆部材24は、図3に示すように、円筒状の部材である。
被覆部材24は、擦れなどの摩耗に対する耐摩耗性能だけでなく、水分などに付着に対する防水性能も発揮できるものであることが好ましい。即ち、被覆部材24は、防水性を有する素材、具体的には、水を通さない素材あることが好ましい。さらに、被覆部材24は、疎水性または撥水性を備えることによって、防水効果を一段と高めることができる。
より具体的には、被覆部材24は、スリーブ22を保護するため、耐擦傷性、防水性、耐候性及び耐熱性を有する材料によって形成されることが好ましい。さらに、第1アクチュエータ部2Aの形状変化を妨げないように、被覆部材24は、十分に弾性率が低いことが好ましい。具体的には、被覆部材24の弾性は、スリーブ22の弾性よりも低いことが好ましい。被覆部材24の材料としては、例えば、シリコーンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、フッ素ゴム、天然ゴムなどが挙げられる。
図5には、第1アクチュエータ部2Aの一部を切り取って展開した状態が示されている。図5に示すように、チューブ21の外周面は、スリーブ22によって覆われている。チューブ21は、上述したように、ブチルゴムなど弾性材料によって構成された筒状体(管状体)である。スリーブ22は、互いに交差するように配向された複数のコード221を編み込むことによって形成されている。
図5を参照すれば、本実施形態において、スリーブ22は、2本のコード221をペアとして、互いに交差するように、当該コード221のペアが配向されている。ただし、ペアとするコード221の本数は、2本以外(モノフィラメントまたはマルチフィラメント)でも構わない。また、2本以上の場合は、コード221を撚ったものでも構わない。また、コード221の直径は、第1アクチュエータ部2Aの動作を妨げないものであれば、特に限定されない。
また、コード221の表面は、被覆層(不図示)によって被覆されていてもよい。当該被覆層は、熱硬化性樹脂と、ラテックスとの混合物によって形成されることが好ましい。例えば、当該被覆層は、熱硬化性樹脂と、ラテックスとの混合物水溶液をコード221に塗布した後、乾燥させて熱硬化させることによって形成できる。
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、レゾルシン樹脂、及びウレタン樹脂のいずれかを用いることが好ましい。或いは、これらの樹脂が複数配合されたものとすることができる。
ラテックスとしては、VP(スチレン・ブタジエン・ビニルピリジン共重合体)ラテックス、SBR(低スチレン・ブタジエン共重合体)ラテックス、及びNBR(ブタジエン・アクリロニトリル共重合体)ラテックスの何れか、または複数配合されたものを用いることが好ましい。
図5において、被覆部材24は、仮想線で示されている。スリーブ22を構成するコード221と、被覆部材24の内周面とは、接触していてもよいが、第1アクチュエータ部2Aの形状変化に伴って、互いに摺動させることができる。これにより、被覆部材24が第1アクチュエータ部2Aの形状変化を妨げることはない。また、被覆部材24は、透明または不透明を問わないが、スリーブ22の状態を容易に視認できる観点からは、スリーブ22を構成するコード221の状態が視認できる程度の透明性を有していることが好ましい。
ここで、本実施形態に係る、第1アクチュエータ部2Aの基本的な動作について説明する。第1アクチュエータ部2Aは、チューブ21内への流体の流入によって、軸線方向に伸縮させることができる。
図1を参照すれば、第1アクチュエータ部2Aは、チューブ21内への流体の流入によって、第1アクチュエータ部2Aの軸線方向において収縮し、径方向において膨張する。これによって、第1アクチュエータ部2Aは、図1の外向き矢印に示すように、軸線方向外側に伸長する。一方で、第1アクチュエータ部2Aは、チューブ21からの流体の流出によって、第1アクチュエータ部2Aの軸線方向において膨張(復元)し、径方向において収縮する。これによって、第1アクチュエータ部2Aは、図1の内向き矢印に示すように、軸線方向内側に収縮する。第1アクチュエータ部2Aは、こうしたチューブ21の形状変化によって、第1アクチュエータ部2Aの軸線方向に伸縮させることができる。したがって、本実施形態において、第1アクチュエータ部2Aは、当該第1アクチュエータ部2Aの軸線方向に沿った伸縮という、アクチュエータとしての機能を発揮することができる。
本実施形態に係る、第1アクチュエータ部2Aのような流体圧アクチュエータは、マッキベン型とも呼ばれ、例えば、人工筋肉として適用させることが可能である。また、こうした流体圧アクチュエータは、より高い能力(収縮力)が要求されるロボットの体肢、手又は指としても用いることができる。
第1アクチュエータ部2Aの駆動に用いられる流体は、空気などの気体、または水、鉱物油などの液体のどちらでもよい。ただし、本実施形態のような、マッキベン型流体圧アクチュエータは、高い圧力にも耐え得る高い耐久性を有し得る。したがって、本実施形態に係る、第1アクチュエータ部2Aを用いれば、第1アクチュエータ部2Aに高い圧力が掛かる油圧駆動にも耐え得る高い耐久性を有し得る。
次いで、図6Aには、本実施形態に係る、第2アクチュエータ部3Aを第1アクチュエータ部2Aの一部とともに概略的に示している。図6Aは、第2アクチュエータ部3Aが動作する前の状態を示している。また、図6Bには、第2アクチュエータ部3Aを動作させた状態が概略的に示されている。
図6Aに示すように、第2アクチュエータ部3Aの本体31には、円形または楕円形の開口部A3が形成されている。膜体32は、本体31に形成された開口部A3の内周部に取り付けられている。膜体32は、破線で示すように、流体の圧力の変化に応じて開口部A3に向かって拡張可能である。
膜体32は、流体の圧力の変化によって収縮及び膨張を繰り返すため、ブチルゴムなどの弾性材料によって構成されている。ただし、膜体32を構成する弾性部材は、第2アクチュエータ部3Aを油圧によって駆動させる場合には、耐油性が高いNBR(ニトリルゴム)、または水素化NBR、クロロプレンゴム、及びエピクロロヒドリンゴムからなる群より選択される少なくとも一種とすることができる。
本実施形態に係る、第2アクチュエータ部3Aは、図1に示すように、当該第2アクチュエータ部3Aが保持する対象となる物(保持対象物)Mを開口部A3に配置したのち、図6Aの破線で示すように、膜体32を拡張させることによって、図6Bに示すように、当該保持対象物Mを、その外側から保持することができる。したがって、本実施形態に係る、第2アクチュエータ部3Aは、保持対象物Mの外側を保持するときに有効である。保持対象物Mの具体例としては、筒状部を有した物(例えば、ワインボトル、一升瓶、醤油瓶、広口瓶)、棒状の物(例えば、ピン、シャフト)が挙げられる。ただし、保持対象物Mは、上記具体例に限定されるものではない。保持対象物Mは、開口部A3に配置することができるものであればよい。
図6Aを参照すれば、本実施形態に係る、膜体32は、本体31を通じて供給される流体の圧力の変化に応じて拡張させることができる。本体31には、外部からの配管7が接続される配管接続部31aと、配管接続部31aから膜体32に通じる内部流路31rとが設けられている。本実施形態において、本体31と膜体32との間には内部空間(図示省略。)が形成されている。内部流路31rは、配管接続部31aと前記内部空間とを連通させている。本実施形態において、配管接続部31aには、気体又は液体等を供給する配管7が取り付けられる。本実施形態において、配管7は、気体又は液体等を供給するための、第2アクチュエータ部3Aの駆動圧力源(具体例としては、コンプレッサ)に接続されている。これによって、前記駆動圧力源からの流体は、配管接続部31aから、本体31の内部に区画された内部流路31rに流入する。内部流路31rを通過した流体は、本体31と膜体32との間に形成された前記内部空間に流入する。これによって、膜体32は、流体の圧力によって拡張させることができる。本実施形態では、配管7は、第1アクチュエータ部2Aに接続される配管と異なる。即ち、本実施形態において、第1アクチュエータ部2Aと第2アクチュエータ部3Aとは、異なる駆動圧力源を有し、互いに独立した流体によって制御されている。ただし、第1アクチュエータ部2Aと第2アクチュエータ部3Aとは、制御弁などを設けることによって、同一の駆動圧力源からの流体によって制御することもできる。
図6Aに示すように、本実施形態に係る、膜体32は、開口部A3の中心軸線О2の周りに間隔をおいて配置された、複数の膜体を含んでいる。具体的には、4つの膜体32が開口部A3の周方向に90度の間隔で配置されている。詳細には、4つの膜体32のうちの2つの膜体32は、図6Aに示すように、開口部A3の中心軸線О2の方向からみたとき(以下、「開口部軸線方向視」ともいう。)、第2アクチュエータ部3Aの中心軸線(本実施形態では、第1アクチュエータ部2Aの中心軸線О1と一致している。)上の、中心軸線О2を挟んで対向する位置に配置されている。また、4つの膜体32のうちの残りの2つの膜体32は、図6Aに示すように、開口部軸線方向視において、第2アクチュエータ部3Aの中心軸線に対して直交して開口部A3の中心軸線О2を通る直交軸線О3上の、中心軸線О2を挟んで対向する位置に配置されている。また、本実施形態において、内部流路31rは、4つの供給路31r1を有している。これによって、4つの膜体32のそれぞれに流体を供給することができる。ただし、膜体32の個数は、4つに限定されるものではなく、例えば、軸線О2の周りの周方向に沿って、例えば、環状またはC字状に延在させることによって、少なくとも1つ以上とすることができる。また、供給路31r1の個数は、膜体32の個数に対応させることができる。
ここで、本実施形態に係る、第2アクチュエータ部3Aの基本的な動作について説明する。本実施形態に係る、第2アクチュエータ部3Aは、保持対象物Mを、当該保持対象物Mの外側から保持することができる。
図1を参照すれば、初めに保持対象物Mを開口部A3の内側に配置する。次に、配管7を通して本体31に流体を供給する。図6Aを参照すれば、本実施形態において、膜体32は、本体31内への流体の流入によって、破線で示すように、開口部A3に向かって拡張する。これによって、図6Bに示すように、膜体32は、開口部A3に配置された保持対象物Mの外周面を包み込むように、当該保持対象物Mの外周面に接触する。したがって、第2アクチュエータ部3Aによれば、本体31への流体の供給によって、保持対象物Mの外側から保持することができる。一方で、膜体32は、本体31からの流体の流出によって、本体31に向かって収縮する。これによって、図1に示すように、膜体32は、保持対象物Mから離間する。したがって、第2アクチュエータ部3Aによれば、本体31からの流体の流出によって、保持対象物Mに対する保持を解除することができる。したがって、本実施形態において、第2アクチュエータ部3Aは、保持対象物Mに対しての外側からの抑え込みと、当該抑え込みの解除と、という、アクチュエータとしての機能を発揮することができる。
指の動きを模したロボットハンドは、例えば、ワインボトルなどの筒状部を有した物またはシャフトなどの棒状の物を、保持対象物Mとするとき、当該保持対象物Mを、その外側から把持することは難しい傾向にある。
これに対し、本実施形態に係る、流体圧アクチュエータ1によれば、第2アクチュエータ部3Aによって、保持対象物Mの外側から、当該保持対象物Mを強固に保持することができる。したがって、本実施形態に係る、流体圧アクチュエータ1によれば、保持対象物Mを保持するときの、当該保持対象物Mに対する保持力を向上させることが可能となる。
加えて、本実施形態に係る、流体圧アクチュエータ1によれば、第1アクチュエータ部2Aによって、保持対象物Mを第2アクチュエータ部3Aで保持しつつ、当該保持対象物Mを軸線О1に沿って上下方向に移動させ、或いは、左右方向に軸線О1に沿って移動させることができる。
ところで、本実施形態に係る、流体圧アクチュエータ1において、第2アクチュエータ部3Aは、第1アクチュエータ部2Aに対して着脱可能であるものとすることができる。この場合、第2アクチュエータ部3Aの交換またはメンテナンスが可能となる。ここで、第2アクチュエータ部3Aの交換は、同種の流体圧アクチュエータへの交換または異種の流体圧アクチュエータへの交換のいずれでもよい。例えば、新品への交換を目的に、第2アクチュエータ部3Aを同種の流体圧アクチュエータに交換することができる。また、後述するように、第2アクチュエータ部3Aに異なる機能を発揮させることを目的に、第2アクチュエータ部3Aを異種の流体圧アクチュエータに交換することができる。また、第2アクチュエータ部3Aの着脱は、当該第2アクチュエータ部3Aのメンテナンスを行うときに有効である。ただし、第2アクチュエータ部3Aは、第1アクチュエータ部2Aに対して着脱不可能とすることもできる。例えば、第2アクチュエータ部3Aは、第1封止部23Aに含まれる封止部材231と一体的に形成することもできる。
図6Aを参照すれば、本実施形態において、第2アクチュエータ部3Aは、第1アクチュエータ部2Aの連結部231cを嵌合させることが可能な凹部31bを有している。本実施形態において、凹部31bは、本体31の基端側に形成されている。これによって、本実施形態によれば、第1アクチュエータ部2Aと第2アクチュエータ部3Aとを取外し可能に連結させることができる。ただし、連結部231cは、第2アクチュエータ部3Aに形成された凹部に対して容易に抜けないようにすることができる。例えば、連結部231cは、第2アクチュエータ部3Aの凹部31bに嵌合させた状態で、第2アクチュエータ部3Aの外面側からねじを挿通して締め付けることによって固定することができる。また、第1アクチュエータ部2Aに対して第2アクチュエータ部3Aを着脱させるための、他の方法としては、第1アクチュエータ部2Aの連結部231cにおねじを形成する一方、第2アクチュエータ部3Aの凹部31bに、前記おねじに対応するめねじを形成することが挙げられる。これによって、第1アクチュエータ部2Aと第2アクチュエータ部3Aとは、取外し可能にねじ付けることができる。
次いで、図7Aには、流体圧アクチュエータ1に係る第2アクチュエータ部3Aの変形例が第1アクチュエータ部2Aの一部とともに概略的に示している。ここで、符号3Bは、第2アクチュエータ部3Aの変形例である。また、図7Bには、第2アクチュエータ部3Bを動作させた状態が概略的に示されている。なお、上述したところと実質的に同一の部分は、同一の符号を用いる。
第2アクチュエータ部3Bにおいて、本体31は、第1アクチュエータ部2Aの中心軸線О1に沿って延在している。膜体32は、本体31の外周部に取り付けられている。膜体32は、流体の圧力の変化に応じて本体31の径方向外側に向かって拡張可能である。
図7Aおよび図7Bを参照すれば、本実施形態に係る、第2アクチュエータ部3Bは、図7Bに示すように、保持対象物Mの内部空間Smに配置したのち、膜体32を拡張させることによって、当該保持対象物Mを、その内側から保持することができる。したがって、本実施形態に係る、第2アクチュエータ部3Bは、保持対象物Mの内側を保持するときに有効である。保持対象物Mの具体例としては、筒状部を有した物(例えば、ワインボトル、一升瓶、醤油瓶、広口瓶)、棒状の物(例えば、中空シャフト)が挙げられる。こうした筒状部を有した物はまた、指の動きを模したロボットハンドを用いた場合、当該筒状部の内側から把持することが難しい傾向にある。ただし、保持対象物Mは、上記具体例に限定されるものではない。保持対象物Mは、当該保持対象物Mの内部に、第2アクチュエータ部3Bを配置することができるものであればよい。
図7Aに示すように、本実施形態に係る、膜体32は、第1アクチュエータ部2Aの中心軸線О1の周りに延在させた、環状の膜体である。本実施形態において、膜体32は、本体31を通じて供給される流体の圧力の変化に応じて径方向外側に拡張させることができる。本体31には、外部からの配管7が接続される配管接続部31aと、配管接続部31aから膜体32に通じる内部流路31rとが設けられている。本実施形態もまた、本体31と膜体32との間には内部空間(図示省略。)が形成されている。内部流路31rは、配管接続部31aと前記内部空間とを連通させている。本実施形態もまた、配管接続部31aには、気体又は液体等を供給するための、第2アクチュエータ部3Aの駆動圧力源に接続された配管7が取り付けられる。これによって、膜体32もまた、流体の圧力によって拡張させることができる。本実施形態においても、第1アクチュエータ部2Aと第2アクチュエータ部3Bとは、異なる駆動圧力源を有し、互いに独立した流体によって制御されている。ただし、第1アクチュエータ部2Aと第2アクチュエータ部3Bとは、制御弁などを設けることによって、同一の駆動圧力源からの流体によって制御することもできる。
ここで、本実施形態に係る、第2アクチュエータ部3Bの基本的な動作について説明する。本実施形態に係る、第2アクチュエータ部3Bは、保持対象物Mを、当該保持対象物Mの内側から保持することができる。
当初は、図7Aに示すように、第2アクチュエータ部3Bは、膜体32を収縮させた状態である。この例では、第2アクチュエータ部3Bは、膜体32を収縮させた状態のまま、図7Bに示すように、保持対象物Mの内部空間Smに配置する。次に、配管7を通して本体31に流体を供給する。図7Bを参照すれば、本実施形態において、膜体32は、本体31内への流体の流入によって、実線で示すように、保持対象物Mの内周面Fmに向かって拡張する。これによって、図7Bに示すように、膜体32は、保持対象物Mの内周面Fmに押し当てられるように、当該保持対象物Mの内周面Fmに接触する。したがって、第2アクチュエータ部3Bによれば、本体31への流体の供給によって、保持対象物Mの外側から保持することができる。一方で、膜体32は、本体31からの流体の流出によって、本体31に向かって収縮する。これによって、膜体32は、保持対象物Mの内周面Fmから離間する。したがって、第2アクチュエータ部3Bによれば、本体31からの流体の流出によって、保持対象物Mに対する保持を解除することができる。したがって、本実施形態において、第2アクチュエータ部3Bは、保持対象物Mに対しての内側からの抑え込みと、当該抑え込みの解除と、という、アクチュエータとしての機能を発揮することができる。
指の動きを模したロボットハンドは、上述のとおり、例えば、ワインボトルなどの筒状部を有した物または中空シャフトなどの棒状の物を、保持対象物Mとするとき、当該保持対象物Mを、その内側から把持することは難しい傾向にある。
これに対し、本実施形態に係る、流体圧アクチュエータ1によれば、第2アクチュエータ部3Bによって、保持対象物Mの内側から、当該保持対象物Mを強固に保持することができる。したがって、本実施形態に係る、流体圧アクチュエータ1によれば、保持対象物Mを保持するときの、当該保持対象物Mに対する保持力を向上させることが可能となる。
加えて、本実施形態に係る、流体圧アクチュエータ1によれば、第1アクチュエータ部2Bによって、保持対象物Mを第2アクチュエータ部3Bで保持しつつ、当該保持対象物Mを上下方向に移動させ、或いは、左右方法に移動させることができる。
図8は、図1の流体圧アクチュエータ1の、第1アクチュエータ部2Aの変形例を、軸線Оを含む断面で概略的に示す。ここで、符号2Bは、第1アクチュエータ部2Aの変形例である。図9は、第1アクチュエータ部2Bの各構成要素を分解した状態で概略的に示す。さらに、図10には、第1アクチュエータ部2Bが軸線О1に対して直交する断面で概略的に示されている。具体的には、図10は、図8のB-B断面図である。
図8を参照すれば、第1アクチュエータ部2Bは、スリーブ22の径方向内側において、チューブ21の軸線方向に沿って延在する拘束部材25をさらに備えている。拘束部材25は、チューブ21の軸線方向に沿った圧縮に対して抵抗し、前記軸線方向に直交する直交方向に曲げ変形可能である。
本実施形態において、拘束部材25は、スリーブ22の径方向内側において、軸方向の基端側から先端側に亘って設けられている。
拘束部材25は、軸線方向には圧縮せず、径方向(撓み方向とも称される)に沿ってのみ変形可能である。つまり、拘束部材25は、軸線方向に沿った圧縮に対して抵抗し、軸方向に直交する直交方向(径方向)に曲げ変形可能である。
拘束部材25は、チューブ21の周方向の、当該拘束部材25が配置された位置において、チューブ21(及びスリーブ22)が径方向外側に膨張しようとするときの、当該膨張を拘束(規制)する機能も有している。
拘束部材25は、例えば、図9に示すように、板バネ(leaf spring)を用いて形成されている。板バネの寸法は、第1アクチュエータ部2Bのサイズ、及び必要とされる発生力などに応じて選択されればよく、特に限定されない。また、板バネの材料についても特に限定されないが、典型的には、ステンレス鋼などの金属など、曲げ易く、圧縮に強い材料であればよい。例えば、拘束部材25は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の薄板などによって形成されてもよい。CFRPは、金属に比べて塑性変形をし難いため、第2アクチュエータ部3Bが湾曲後、元の真っ直ぐな状態に戻りやすい。
ただし、 拘束部材25は、板バネのような板部材に代えて、複数の線材(例えば、ピアノ線)を束ねた板状部材とすることができる。こうした拘束部材25の具体例としては、複数のピアノ線が当該ピアノ線の径方向に沿って複数並べられることによって形成されたものがある。ピアノ線の材料としては、炭素鋼など、一般的な材料で構わないが、CFRPなど、金属以外の材料がもちいられても構わない。
図10に示すように、本実施形態に係る、拘束部材25は、チューブ21とスリーブ22との間に設けられる。本実施形態において、拘束部材25は、チューブ21とスリーブ22との両方に密着させている。ただし、拘束部材25は、当該拘束部材25とチューブ21またはスリーブ22との間に多少の隙間が形成されていてもよい。また、拘束部材25は、当該拘束部材25の側方(周方向側)に、多少隙間が形成されていてもよい。さらに、拘束部材25は、チューブ21内に埋設されていてもよく、或いは、チューブ21の径方向内側(例えば、チューブ21の内周面)に設けられていてもよい。
拘束部材25は、図10に示すように、チューブ21(及びスリーブ22)の周方向における一部に設けられる。すなわち、チューブ21は、当該チューブ21の周方向において拘束部材25に覆われている部分と覆われていない部分を有している。拘束部材25の幅は、特に限定されないが、チューブ21の外径を基準とすれば、概ね当該外径の半分程度とすることができる。なお、本実施形態では、拘束部材25は、図9に示すように、平板状であるが、撓み方に影響がない範囲において、チューブ21及びスリーブ22の断面形状に沿って多少湾曲していてもよい。
図8に示すように、拘束部材25は、チューブ21及びスリーブ22の軸方向における基端側から先端側に亘って設けられている。具体的には、拘束部材25は、第1封止部23Aから第2封止部23Bに亘って設けられていてもよい。本実施形態では、拘束部材25は、チューブ21と略等しい長さとされている。ただし、拘束部材25は、必ずしも完全に第1封止部23Aから第2封止部23Bに亘って設けられていなくてもよい。例えば、第1封止部23A及び第2封止部23Bのいずれか一方(特に、湾曲時に自由端となる可能性が高い第1封止部23A側)には、拘束部材25が延在していなくてもよい。
ここで、本実施形態に係る、第1アクチュエータ部2Bの基本的な動作について説明する。第1アクチュエータ部2Bは、チューブ21内への流体の流入によって、当該第1アクチュエータ部2Bの軸線О1を挟んで拘束部材25と対向する側に向かって曲げ変形を生じさせることができる。
図8を参照すれば、第1アクチュエータ部2Bは、チューブ21の内部に流体が流入すると、当該チューブ21が軸線方向に収縮しようとするが、チューブ21の周方向の一部に、軸線方向に亘って拘束部材25が設けられているため、チューブ21の周方向の、拘束部材25が配置されている部分において、チューブ21の軸線方向に沿った収縮が拘束(規制)される。一方で、チューブ21の周方向の、拘束部材25が設けられていない部分は収縮しようとするため、拘束部材25が背骨のような役割を果たし、チューブ21の周方向の、拘束部材25が設けられている位置と反対側(図8の図面下側)において、方向D1に向かって第1アクチュエータ部2B(具体的には、チューブ21及びスリーブ22)が撓む。方向D1は、撓み方向ともいう。これによって、第1アクチュエータ部2Bは、二点鎖線で示すように、曲げ変形を生じる。一方で、第1アクチュエータ部2Bの内部から流体が流出すると、当該第1アクチュエータ部2Bは、流体が供給される前の、元の直線状の姿勢に戻ることができる(図8の実線で示す状態)。第1アクチュエータ部2Bは、こうした拘束部材25の拘束を伴う、チューブ21の形状変化によって、曲げ変形を生じさせることができるとともに、当該曲げ変形からの復元によって初期状態(例えば、直線状の状態)に復帰させることができる。したがって、本実施形態において、第1アクチュエータ部2Bは、当該第1アクチュエータ部2Bの曲げ変形および当該曲げ変形からの復元という、アクチュエータとしての機能を発揮することができる。
上述のとおり、第1アクチュエータ部2Bによれば、拘束部材25は、チューブ21の内側に設けられている。このため、第1アクチュエータ部2Bのサイズが大型化することもない。さらに、第1アクチュエータ部2Bによれば、拘束部材25によって、効率的に湾曲方向への力を発生させることができる。これによって、第1アクチュエータ部2Bによれば、より大きな湾曲方向の力を発揮し得る。したがって、第1アクチュエータ部2Bによれば、サイズの大型化を回避しつつ、当該第1アクチュエータ部2Bを軸線О1に対して直交する方向に容易に撓ませることができる。
また、上述の流体圧アクチュエータ1は、ロボットハンドに用いることができる。具体的には、流体圧アクチュエータ1は、例えば、ロボットハンドの指として利用することができる。こうしたロボットハンドによれば、保持対象物Mに対する保持力を向上させることが可能となる。
図11には、本発明に係る流体圧アクチュエータ1を用いたシステムの一例が概略的に示されている。図11のシステムは、駆動させることにより保持対象物Mを保持する保持システム50である。保持システム50は、流体圧アクチュエータ1を備えたロボットハンドを含んでいる。
図11に示すように、保持システム50は、台座部51と、支柱部52と、第1アクチュエータ接続部53と、伸縮型アクチュエータ54と、第2アクチュエータ接続部55と、エンドエフェクタ56と、を備えている。
台座部51の上面には、支柱部52が立設されている。支柱部52の上端部は、下方に向けて折り返されており、支柱部52の先端部分には、第1アクチュエータ接続部53が連結されている。
第1アクチュエータ接続部53には、伸縮型アクチュエータ54が吊り下げられている。伸縮型アクチュエータ54は、エンドエフェクタ56の上下方向の位置を調整する。伸縮型アクチュエータ54としては、例えば、前述の第1アクチュエータ部2Aと同様の構成の流体圧アクチュエータを用いることができる。即ち、伸縮型アクチュエータ54は、上述した拘束部材25を備えていない、一般的なマッキベン型のアクチュエータであってよい。このため、伸縮型アクチュエータ54は、軸線方向(図中の白抜き矢印方向)に沿って伸縮する。つまり、伸縮型アクチュエータ54は、単に軸方向の長さが変化するだけであり、上述した拘束部材25を有する流体圧アクチュエータ(第1アクチュエータ部2Bに相当する)のように湾曲することはできない。ただし、伸縮型アクチュエータ54には、第1アクチュエータ部2Bと同様の構成の流体圧アクチュエータを用いることができる。即ち、伸縮型アクチュエータ54は、拘束部材25を備え、湾曲することが可能であってもよい。また、伸縮型アクチュエータ54は、マッキベン型のアクチュエータに限られず、別の構成のアクチュエータであってもよい。
伸縮型アクチュエータ54の下端には、第2アクチュエータ接続部55が連結されている。第2アクチュエータ接続部55には、エンドエフェクタ56が吊り下げられている。
図示例では、エンドエフェクタ56は、本発明の一実施形態に係る、ロボットハンドに相当する。図示例では、エンドエフェクタ56は、ロボットハンドの指に相当する流体圧アクチュエータ1と、4つの流体圧アクチュエータ1を基端側で支持する1つの支持部57と、を備えている。4つの流体圧アクチュエータ1のそれぞれは、第1アクチュエータ部2として、チューブ21の軸線方向に亘って拘束部材17が設けられた第1アクチュエータ部2Bを備えている。また、4つの流体圧アクチュエータ1のそれぞれは、第2アクチュエータ部3として、第2アクチュエータ部3Aまたは3Bを備えている。
保持システム50によれば、伸縮型アクチュエータ54及びエンドエフェクタ56が駆動することにより、保持対象物Mを保持して、持ち上げることができる。なお、図示例において、流体圧アクチュエータ1は4つであるが、当該流体圧アクチュエータ1は、少なくとも1つ以上とすることができる。
また、保持システム50を参照すれば、流体圧アクチュエータ1は、ロボットのエンドエフェクタ56(ロボットハンド)の構成要素の一部として、当該エンドエフェクタ56に含まれている。ただし、流体圧アクチュエータ1は、エンドエフェクタ56(ロボットハンド)の構成要素の一部としてだけでなく、エンドエフェクタ56(ロボットハンド)そのものとして用いることができる。
上述したところは、本発明の例示的な実施形態を説明したものであり、上記の各変形例は、本発明の構成要素に含まれる。また、上記の実施形態および変形例は、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で様々な変形及び修正を行うことができる。例えば、被覆部材24は、省略することができる。したがって、これらの変形及び修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各実施形態に含まれる構成又は機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能である。また、各実施形態に含まれる構成又は機能等は、他の実施形態に組み合わせて用いることができ、複数の構成又は機能等を1つに組み合わせたり、分割したり、或いは一部を省略したりすることが可能である。
1:流体圧アクチュエータ, 2A,2B:第1アクチュエータ部, 21:チューブ,22:スリーブ, 23:封止部, 23A:第1封止部, 23B:第2封止部, 23r:内部流路, 231:封止部材, 231a:胴部, 231b:フランジ, 231c:連結部, 232:係止リング, 234,かしめ部材, 4:被覆部材, 25:拘束部材, 3A,3B:第2アクチュエータ部, 31r:内部流路, 7:配管, 50:保持システム, 51:台座部, 52:支柱部, 53:第1アクチュエータ接続部, 54:伸縮型アクチュエータ, 55:第2アクチュエータ接続部, 56:エンドエフェクタ(ロボットハンド), A3:開口部, M:保持対象物, О1:第1アクチュエータ部の中心軸線, О2:第2アクチュエータ部の中心軸線, О3:直交軸線
Claims (6)
- 流体の圧力によって伸縮可能なチューブと前記チューブを覆うスリーブとを備える第1アクチュエータ部と、
第2アクチュエータ部と、を備えており、
前記第2アクチュエータ部は、前記第1アクチュエータ部の軸線方向の先端に取り付け可能な本体と、前記本体を通じて供給される流体の圧力の変化に応じて拡張可能な膜体と、を備えている、流体圧アクチュエータ。 - 前記本体には開口部が形成されており、
前記膜体は、前記本体に形成された前記開口部の内周部に取り付けられており、
前記膜体は、前記開口部に向かって拡張可能である、請求項1に記載された流体圧アクチュエータ。 - 前記本体は、前記第1アクチュエータ部の軸線に沿って延在しており、
前記膜体は、前記本体の外周部に取り付けられており、
前記膜体は、前記本体の径方向外側に向かって拡張可能である、請求項1に記載された流体圧アクチュエータ。 - 前記第2アクチュエータ部は、前記第1アクチュエータ部に対して着脱可能である、請求項1~3のいずれか1項に記載された流体圧アクチュエータ。
- 前記第1アクチュエータ部は、前記スリーブの径方向内側において、前記チューブの軸線方向に沿って延在する拘束部材をさらに備えており、
前記拘束部材は、前記チューブの軸線方向に沿った圧縮に対して抵抗し、前記軸線方向に直交する直交方向に曲げ変形可能である、請求項1から4のいずれか1項に記載された流体圧アクチュエータ。 - 請求項1~5のいずれか1項に記載された流体圧アクチュエータを備えている、ロボットハンド。
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