JP2023089836A - リチウムイオン二次電池用正極、及び、リチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用正極、及び、リチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウムイオン二次電池用正極であって、電池のサイクル特性を向上させることが可能なものを開示する。【解決手段】硫化物固体電解質と、正極活物質であって、LixMnyO2(0.95≦x≦1.05、且つ、0.95≦y≦1.05)で示される組成を有し、且つ、母構造としてのジグザグ層状構造、及び、ドメインとしてのα-NaFeO2型層状構造を有するものと、を含む、リチウムイオン二次電池用正極。【選択図】図2

Description

本願はリチウムイオン二次電池用正極、及び、リチウムイオン二次電池を開示する。
特許文献1には、正極活物質であって、LiMnOで示される組成を有し、且つ、母構造としてのジグザグ層状構造と、ドメインとしてのα-NaFeO型層状構造とを有するものが開示されている。特許文献1においては、当該正極活物質を非水電解液電池に適用している。
特開2019-153564号公報
本発明者の知見によると、特許文献1に開示された正極活物質が非水電解液電池に適用された場合、当該電池のサイクル特性が低くなり易い。
本願は上記課題を解決するための手段の一つとして、
硫化物固体電解質と、
正極活物質であって、LiMn(0.95≦x≦1.05、且つ、0.95≦y≦1.05)で示される組成を有し、且つ、母構造としてのジグザグ層状構造、及び、ドメインとしてのα-NaFeO型層状構造を有するものと、
を含む、リチウムイオン二次電池用正極
を開示する。
本開示のリチウムイオン二次電池用正極においては、前記正極活物質の表面にLiイオン伝導性酸化物を含有する保護層が形成されていてもよい。
本願は上記課題を解決するための手段の一つとして、
上記本開示のリチウムイオン二次電池用正極と、
硫化物固体電解質層と、
負極と、
を有する、リチウムイオン二次電池
を開示する。
本開示の正極をリチウムイオン二次電池に適用した場合、当該電池が優れたサイクル特性を有するものになり易い。
リチウムイオン二次電池の構成の一例を概略的に示している。 第1中間物質、第2中間物質及び正極活物質Aの各々のX線回折ピークを示している。 実施例1及び比較例1に係るリチウムイオン二次電池の充放電曲線を示している。
1.リチウムイオン二次電池用正極
本開示のリチウムイオン二次電池用正極は、硫化物固体電解質と、正極活物質であって、LiMn(0.95≦x≦1.05、且つ、0.95≦y≦1.05)で示される組成を有し、且つ、母構造としてのジグザグ層状構造、及び、ドメインとしてのα-NaFeO型層状構造を有するものと、を含む。
1.1 硫化物固体電解質
硫化物固体電解質は、リチウムイオン二次電池の固体電解質として用いられるものをいずれも採用可能である。硫化物固体電解質は、構成元素として少なくともLiとSとを含む。特に、構成元素として、Li、S及びPを含む硫化物固体電解質の性能が高い。硫化物固体電解質の一例としては、LiS-P、LiS-SiS、LiI-LiS-SiS、LiI-SiS-P、LiS-P-LiI-LiBr、LiI-LiS-P、LiI-LiS-P、LiI-LiPO-P、LiS-P-GeS等が挙げられる。硫化物固体電解質は、非晶質であってもよいし、結晶であってもよい。硫化物固体電解質は例えば粒子状であってもよい。硫化物固体電解質は1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
1.2 正極活物質
本開示の正極においては、上記の硫化物固体電解質とともに、以下の組成及び結晶構造を有する正極活物質が含まれる。このような正極をリチウムイオン二次電池に適用した場合、当該リチウムイオン二次電池がサイクル特性に優れたものとなり易い。
1.2.1 組成
正極活物質は、LiMn(0.95≦x≦1.05、且つ、0.95≦y≦1.05)で示される組成を有する。このような組成であれば、高い容量が確保され易く、また、後述する結晶構造が維持され易い。xは0.95以上であり、0.96以上、0.97以上、0.98以上又は0.99以上であってもよく、且つ、1.05以下であり、1.04以下、1.03以下、1.02以下又は1.01以下であってもよい。また、yは0.95以上であり、0.96以上、0.97以上、0.98以上又は0.99以上であってもよく、且つ、1.05以下であり、1.04以下、1.03以下、1.02以下又は1.01以下であってもよい。
1.2.2 結晶構造
正極活物質は、母構造としてのジグザグ層状構造、及び、ドメインとしてのα-NaFeO型層状構造を有する。特許文献1に開示されているように、ジグザグ層状構造は、α-NaFeO型層状構造における層が上下に交互に規則的に成長し、ジグザグ型の層状となっている結晶構造である。ジグザグ層状構造は、斜方晶のマンガン酸リチウム(例えば、o-LiMnO)から構成され得る。一方、α-NaFeO型層状構造は、層状岩塩型構造ともいい、立方晶岩塩型構造の<111>方向に遷移金属(本開示の正極活物質においてはマンガン)とリチウムとが規則配列して二次元平面が形成される。このような結晶構造を有する正極活物質は、例えば、後述するように、ジグザグ層状構造を有する中間物質に対し、メカニカルミリング及び熱処理を施すことで、当該構造の一部を変えて、α-NaFeO型層状構造のドメインを生成させることにより得られる。
上記の母構造及びドメインを有する正極活物質は、CuKαを線源とするX線回折パターンにおいて、斜方晶のマンガン酸リチウムの(010)面、(200)面、及び、(021)面に由来するピークが確認されるものであってもよく、また、斜方晶のマンガン酸リチウムの(110)面、及び、(210)面に由来するピークが実質的に確認されないものであってもよい。例えば、当該X線回折パターンにおいて、斜方晶のマンガン酸リチウムの(021)面に由来する回折ピーク強度I021に対する、斜方晶のマンガン酸リチウムの(110)面に由来する回折ピーク強度I110の比(I110/I021)が0.2以下となるものであってもよい。比(I110/I021)が0.2以下である場合、正極活物質の容量が一層大きくなり易い。
1.2.3 形状
正極活物質は、上記の組成及び結晶構造を有するものであればよく、これ以外の構成については特に限定されるものではない。正極活物質の形状は、例えば、粒子状や薄膜状等、電池の形態に応じて適切な形状が選択されればよい。正極活物質が粒子状である場合、当該粒子は、中実の粒子であってもよく、中空の粒子であってもよく、空隙を有するものであってもよい。正極活物質の粒子は、一次粒子であってもよいし、複数の一次粒子が凝集した二次粒子であってもよい。正極活物質の粒子の平均粒子径(D50)は、例えば1nm以上、5nm以上又は10nm以上であってもよく、また500μm以下、100μm以下、50μm以下又は30μm以下であってもよい。尚、本願にいう平均粒子径D50とは、レーザー回折・散乱法によって求めた体積基準の粒度分布における積算値50%での粒子径(メジアン径)である。
1.2.4 保護層
正極活物質の表面には、Liイオン伝導性酸化物を含有する保護層が形成されていてもよい。これにより、正極物活物質と硫化物固体電解質との反応等が一層抑制され易くなる。Liイオン伝導性酸化物としては、例えば、LiBO、LiBO、LiCO、LiAlO、LiSiO、LiSiO、LiPO、LiSO、LiTiO、LiTi12、LiTi、LiZrO、LiNbO、LiMoO、LiWOが挙げられる。Liイオン伝導性酸化物は、PやB等のドープ元素によって一部の元素が置換されたものであってもよい。保護層の被覆率(面積率)は、例えば、70%以上であってもよく、80%以上であってもよく、90%以上であってもよい。保護層の厚さは、例えば、0.1nm以上又は1nm以上であってもよく、100nm以下又は20nm以下であってもよい。
1.2.5 正極活物質の製造方法
上記の正極活物質は、例えば、以下の方法により製造され得る。すなわち、一実施形態に係る正極活物質の製造方法は、
工程S1:構成元素としてLiとMnとOとを含み、且つ、ジグザグ層状構造を有する第1中間物質を作製すること、
工程S2:前記第1中間物質に対して乾式メカニカルミリングを施すことで、構成元素としてLiとMnとOとを含み、且つ、不規則岩塩型構造を有する第2中間物質を作製すること、及び
工程S3:前記第2中間物質を焼成することで、LiMn(0.95≦x≦1.05、且つ、0.95≦y≦1.05)で示される組成を有し、且つ、母構造としてのジグザグ層状構造、及び、ドメインとしてのα-NaFeO型層状構造を有する正極活物質を得ること、
を含むものであってもよい。
(1)工程S1
工程S1においては、構成元素としてLiとMnとOとを含み、且つ、ジグザグ層状構造を有する第1中間物質を作製する。第1中間物質は、例えば、Li源とMn源との混合物を、任意に成形したうえで、焼成することによって作製され得る。
混合物を構成するLi源としては、例えば、LiCOが挙げられる。また、Mn源としては、例えば、MnやMnCOが挙げられる。或いは、混合物を構成する原料として、上記以外の原料が用いられてもよいし、Li源及びMn源を兼ねる化合物(複合酸化物等)が用いられてもよい。混合物に含まれるLiとMnとの組成比は、最終生成物である正極活物質の組成比に応じて適宜決定され得る。混合物においてLiが過剰に含まれるように調整されてもよい。これにより、工程S1の焼成時にLiが揮発した場合や、後述の工程S2以降において副反応によってLiが消費された場合でも、不足分のLiが補填され得る。すなわち、最終生成物である正極活物質において目的とする組成が得られ易い。
Li源とMn源とを混合する方法は、特に限定されるものではない。Li源とMn源とは、例えば、溶媒を用いた湿式メカニカルミリングによって均一に混合され得る。溶媒としては、例えば、エタノール等の有機溶媒が採用され得る。湿式メカニカルミリングは、例えば、遊星ボールミル等の機械的混合手段によって実施され得る。湿式メカニカルミリングにおける混合条件(混合時間、回転数、繰り返し回数等)は特に限定されるものではなく、後述の焼成後に目的とするジグザグ層状構造が形成され得る程度に、Li源とMn源とが均一に混合されるような条件であればよい。
上記の混合物は、焼成の前にペレット等に成形されてもよい。成形体の大きさや形状は特に限定されるものではない。
上記の混合物又は成形体が焼成されることで、ジグザグ層状構造を有する第1中間物質が得られる。焼成雰囲気は、特に限定されるものではないが、例えば、大気雰囲気や空気雰囲気等の酸素含有雰囲気であってもよいし、Ar雰囲気等の不活性ガス雰囲気であってもよい。特に不活性ガス雰囲気である場合に目的とする第1中間物質が得られ易い。焼成温度はジグザグ層状構造が得られる限り、特に限定されるものではない。例えば、800℃以上又は850℃以上であってもよく、1000以下又は950℃以下であってもよい。焼成時間(焼成温度での保持時間)も特に限定されるものではなく、例えば、5時間以上、7時間以上、10時間以上又は12時間以上であってもよく、100時間以下、50時間以下又は20時間以下であってもよい。
(2)工程S2
工程S2においては、上記の第1中間物質に対して乾式メカニカルミリングを施すことで、構成元素としてLiとMnとOとを含み、且つ、不規則岩塩型構造を有する第2中間物質を作製する。すなわち、上記の第1中間物質に対して、溶媒を実質的に用いない乾式メカニカルミリングを施すことで、第1中間物質におけるジグザグ層状構造が変化して、不規則岩塩構造を有する第2中間物質が得られる。
乾式メカニカルミリングは、例えば、遊星ボールミル等の機械的混合手段によって実施され得る。乾式メカニカルミリングの条件(混合時間、回転数、繰り返し回数等)は特に限定されるものではない。例えば、遊星ボールミルによる場合、回転数は500~700rpm、回転時間は10~20分、休止時間は1~5分であってもよく、回転と休止とが複数繰り返されてもよく、さらには、回転と休止との繰り返しを1セットとして、当該セットがさらに複数回繰り返されてもよい。乾式メカニカルミリングの条件を調整することで、例えば、正極活物質の結晶子サイズ等が制御され得る。
(3)工程S3
工程S3においては、上記の第2中間物質を焼成することで、LiMn(0.95≦x≦1.05、且つ、0.95≦y≦1.05)で示される組成を有し、且つ、母構造としてのジグザグ層状構造、及び、ドメインとしてのα-NaFeO型層状構造を有する正極活物質を得る。
焼成雰囲気は、特に限定されるものではないが、例えば、大気雰囲気や空気雰囲気等の酸素含有雰囲気であってもよいし、Ar雰囲気等の不活性ガス雰囲気であってもよい。特に不活性ガス雰囲気である場合に目的とする正極活物質が得られ易い。焼成温度は母構造としてのジグザグ層状構造及びドメインとしてのα-NaFeO型層状構造が得られる限り、特に限定されるものではない。例えば、600℃以上又は650℃以上であってもよく、800℃以下又は750℃以下であってもよい。焼成温度が高過ぎると、α-NaFeO型層状構造が少なくなる傾向にある。焼成時間(焼成温度での保持時間)も特に限定されるものではなく、例えば、30分以上、1時間以上又は2時間以上であってもよく、10時間以下、5時間以下又は3時間以下であってもよい。
上記の第2中間物質は、焼成の前にペレット等に成形されてもよい。成形体の大きさや形状は特に限定されるものではない。
(4)補足
尚、上記の製造方法において、上記の混合物から、第1中間物質及び第2中間物質を経て、正極活物質に至るまでにおいて、LiとMnとの組成比は、変動してもよいし、変動なく実質的に同じであってもよい。また、上記の説明では、固相反応法によって中間物質等が作製されるものとしたが、中間物質等の作製方法はこれに限定されるものではない。また、上記の説明では、第1中間物質に対して乾式メカニカルミリングが施されるものとしたが、不規則岩塩構造を有する第2中間物質を得るための方法として、これ以外の方法が採用される余地もある。ただし、本発明者が確認した限りでは、ジグザグ層状構造を有する第1中間物質を作製した後に、当該第1中間物質に対して乾式メカニカルミリングを施すことで、不規則岩塩構造が安定且つ容易に得られ易く、その後の焼成を経て目的とする母構造及びドメインを有する正極活物質が得られ易い。
1.3 正極としてのその他の構成
本開示のリチウムイオン二次電池用正極は、上述の通り、硫化物固体電解質と所定の正極活物質とを含む点に一つの特徴があり、それ以外の構成については特に限定されるものではない。図1に一実施形態に係る正極10の構成を概略的に示す。図1に示されるように、正極10は、正極活物質層11と正極集電体12とを備えるものであってよく、正極活物質層11が上記の硫化物固体電解質と正極活物質とを含み得る。
1.3.1 正極活物質層
正極活物質層11は、少なくとも上記の硫化物固体電解質と正極活物質とを含み、さらに任意に、その他の活物質、その他の電解質、導電助剤及びバインダー等を含んでいてよい。また、正極活物質層11は、これら以外の各種の添加剤を含んでいてもよい。正極活物質層11における正極活物質、電解質、導電助剤及びバインダー等の各々の含有量は、目的とする電池性能に応じて適宜決定されればよい。例えば、正極活物質層11全体(固形分全体)を100質量%として、正極活物質の含有量が40質量%以上、50質量%以上又は60質量%以上であってもよく、100質量%以下又は90質量%以下であってもよい。正極活物質層11の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、略平面を有するシート状の正極活物質層11であってもよい。正極活物質層11の厚みは、特に限定されるものではなく、例えば、0.1μm以上又は1μm以上であってもよく、2mm以下又は1mm以下であってもよい。
正極活物質層11は、正極活物質として、上記の本開示の正極活物質のみを含むものであってもよい。或いは、正極活物質層11は、上記の本開示の正極活物質に加えて、これとは異なる種類の正極活物質(その他の正極活物質)を含んでいてもよい。本開示の技術による効果を一層高める観点からは、正極活物質層11におけるその他の正極活物質の含有量は少量であってよい。例えば、上記の本開示の正極活物質が、正極活物質層11に含まれる全正極活物質の50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上又は99質量%以上を占めていてよい。
正極活物質層11は、電解質として、上記の硫化物固体電解質のみを含むものであってもよい。或いは、正極活物質層11は、上記の硫化物固体電解質に加えて、これとは異なる種類の固体電解質(その他の固体電解質)を含んでいてもよい。本開示の技術による効果を一層高める観点からは、正極活物質層11におけるその他の固体電解質の含有量は少量であってよい。例えば、上記の硫化物固体電解質が、正極活物質層11に含まれる全固体電解質の50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上又は99質量%以上を占めていてよい。また、正極活物質層11には、硫化物固体電解質に加えて液体電解質が含まれていてもよい。後述するように、液体電解質は、高電位において分解する虞があるものの、本開示の正極においては、仮に液体電解質が分解したとしても、硫化物固体電解質によって高いイオン伝導性が確保され得る。硫化物固体電解質以外の電解質の一例については以下の通りである。すなわち、硫化物固体電解質以外のその他の固体電解質は、無機固体電解質であっても、有機ポリマー電解質であってもよい。特に、無機固体電解質がイオン伝導性及び耐熱性に優れる。硫化物固体電解質以外の無機固体電解質としては、例えば、ランタンジルコン酸リチウム、LiPON、Li1+XAlGe2-X(PO、Li-SiO系ガラス、Li-Al-S-O系ガラス等の酸化物固体電解質が例示される。液体電解質は、例えば、キャリアイオンとしてのリチウムイオンを含み得る。液体電解質は溶媒にリチウム塩を溶解させたものであってもよい。
正極活物質層11に含まれ得る導電助剤としては、気相法炭素繊維(VGCF)やアセチレンブラック(AB)やケッチェンブラック(KB)やカーボンナノチューブ(CNT)やカーボンナノファイバー(CNF)等の炭素材料;ニッケル、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料が挙げられる。導電助剤は、例えば、粒子状又は繊維状であってもよく、その大きさは特に限定されるものではない。導電助剤は1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
正極活物質層11に含まれ得るバインダーとしては、例えば、ブタジエンゴム(BR)系バインダー、ブチレンゴム(IIR)系バインダー、アクリレートブタジエンゴム(ABR)系バインダー、スチレンブタジエンゴム(SBR)系バインダー、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)系バインダー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系バインダー、ポリイミド(PI)系バインダー等が挙げられる。バインダーは1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
1.3.2 正極集電体
図1に示されるように、正極10は、上記の正極活物質層11と接触する正極集電体12を備えていてもよい。正極集電体12は、電池の正極集電体として一般的なものをいずれも採用可能である。また、正極集電体12は、箔状、板状、メッシュ状、パンチングメタル状、及び、発泡体等であってよい。正極集電体12は、金属箔又は金属メッシュによって構成されていてもよい。特に、金属箔が取扱い性等に優れる。正極集電体12は、複数枚の箔からなっていてもよい。正極集電体12を構成する金属としては、Cu、Ni、Cr、Au、Pt、Ag、Al、Fe、Ti、Zn、Co、ステンレス鋼等が挙げられる。特に、酸化耐性を確保する観点等から、正極集電体12がAlを含むものであってもよい。正極集電体12は、その表面に、抵抗を調整すること等を目的として、何らかのコート層を有していてもよい。また、正極集電体12は、金属箔や基材に上記の金属がめっき又は蒸着されたものであってもよい。また、正極集電体12が複数枚の金属箔からなる場合、当該複数枚の金属箔間に何らかの層を有していてもよい。正極集電体12の厚みは特に限定されるものではない。例えば、0.1μm以上又は1μm以上であってもよく、1mm以下又は100μm以下であってもよい。
1.3.3 その他
正極10は、上記の構成に加えて、電池の正極として一般的な構成を備えていてもよい。例えば、タブや端子等である。正極10は、上記の硫化物固体電解質と正極活物質とを用いること以外は、公知の方法により製造することができる。例えば、少なくとも上記の硫化物固体電解質と正極活物質とを含む正極合剤を、乾式又は湿式にて成形すること等によって正極活物質層11を容易に形成可能である。正極活物質層11は、正極集電体12とともに成形されてもよいし、正極集電体12とは別に成形されてもよい。
4.リチウムイオン二次電池
本開示の技術はリチウムイオン二次電池としての側面も有する。すなわち、本開示のリチウムイオン二次電池は、上記の本開示のリチウムイオン二次電池用正極と、硫化物固体電解質層と、負極とを有する。本開示のリチウムイオン二次電池は、上記の本開示の正極と、硫化物固体電解質層とが組み合わされることで、サイクル特性に一層優れたものとなり易い。本開示のリチウムイオン二次電池の具体的な構成は、特に限定されるものではない。例えば、図1に示されるように、一実施形態に係るリチウムイオン二次電池100は、正極10と硫化物固体電解質層20と負極30とを有するものであってもよい。正極10については上述した通りである。
4.1 硫化物固体電解質層
硫化物固体電解質層20は少なくとも硫化物固体電解質を含む。硫化物固体電解質層20は、さらに任意にバインダー等を含んでいてもよい。また、硫化物固体電解質層20は、固体からなるものであってもよいし、一部に液体が含まれていてもよい。硫化物固体電解質層20は、硫化物固体電解質とともに、その他の固体電解質や液体電解質を含んでいてもよい。或いは、硫化物固体電解質層20は、液体電解質を含まないものであってもよい。さらに、硫化物固体電解質層20は、各種の添加剤を含んでいてもよい。硫化物固体電解質、その他の固体電解質、液体電解質及びバインダーの具体例については上述した通りである。すなわち、硫化物固体電解質層20に含まれ得る各種電解質及びバインダー等は、正極10に含まれ得るものとして例示されたものの中から適宜選択されればよい。硫化物固体電解質層20における硫化物固体電解質とバインダー等との含有量は特に限定されない。硫化物固体電解質層20の厚みは特に限定されるものではなく、例えば、0.1μm以上又は1μm以上であってもよく、2mm以下又は1mm以下であってもよい。
4.2 負極
負極の形態は特に限定されるものではない。例えば、図1に示されるように、負極30は、負極活物質層31と負極集電体32とを備えるものであってもよい。
4.2.1 負極活物質層
負極活物質層31は、少なくとも負極活物質を含み、さらに任意に、電解質、導電助剤及びバインダー等を含んでいてもよい。負極活物質層31は、さらに各種の添加剤を含んでいてもよい。負極活物質層31における負極活物質、電解質、導電助剤及びバインダー等の各々の含有量は、目的とする電池性能に応じて適宜決定されればよい。例えば、負極活物質層31全体(固形分全体)を100質量%として、負極活物質の含有量が40質量%以上、50質量%以上又は60質量%以上であってもよく、100質量%以下又は90質量%以下であってもよい。負極活物質層31の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、略平面を有するシート状の負極活物質層であってもよい。負極活物質層31の厚みは、特に限定されるものではなく、例えば、0.1μm以上又は1μm以上であってもよく、2mm以下又は1mm以下であってもよい。
負極活物質としては、リチウムイオンが挿入・脱離される電位(充放電電位)が上記の正極活物質と比べて卑な電位である種々の物質が採用され得る。例えば、SiやSi合金や酸化ケイ素等のシリコン系活物質;グラファイトやハードカーボン等の炭素系活物質;チタン酸リチウム等の各種酸化物系活物質;金属リチウムやリチウム合金等が採用され得る。負極活物質は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
負極活物質の形状は、電池の負極活物質として一般的な形状であればよい。例えば、負極活物質は粒子状であってもよい。負極活物質粒子は、一次粒子であってもよいし、複数の一次粒子が凝集した二次粒子であってもよい。負極活物質粒子の平均粒子径(D50)は、例えば1nm以上、5nm以上、又は10nm以上であってもよく、また500μm以下、100μm以下、50μm以下、又は30μm以下であってもよい。或いは、負極活物質は金属リチウム箔等のシート状(箔状、膜状)であってもよい。すなわち、負極活物質層31が負極活物質のシートからなるものであってもよい。
負極活物質層31に含まれ得る電解質としては、上述の固体電解質や液体電解質が挙げられる。負極活物質層31に含まれ得る導電助剤としては上述の炭素材料や上述の金属材料等が挙げられる。負極活物質層31に含まれ得るバインダーは、例えば、上述の正極活物質層11に含まれ得るものとして例示されたものの中から適宜選択されればよい。
4.2.2 負極集電体
図2に示されるように、負極30は、上記の負極活物質層31と接触する負極集電体32を備えていてもよい。負極集電体32は、電池の負極集電体として一般的なものをいずれも採用可能である。また、負極集電体32は、箔状、板状、メッシュ状、パンチングメタル状、及び、発泡体等であってよい。負極集電体32は、金属箔又は金属メッシュであってもよく、或いは、カーボンシートであってもよい。特に、金属箔が取扱い性等に優れる。負極集電体32は、複数枚の箔やシートからなっていてもよい。負極集電体32を構成する金属としては、Cu、Ni、Cr、Au、Pt、Ag、Al、Fe、Ti、Zn、Co、ステンレス鋼等が挙げられる。特に、還元耐性を確保する観点及びリチウムと合金化し難い観点から、負極集電体32がCu、Ni及びステンレス鋼から選ばれる少なくとも1種の金属を含むものであってもよい。負極集電体32は、その表面に、抵抗を調整すること等を目的として、何らかのコート層を有していてもよい。また、負極集電体32は、金属箔や基材に上記の金属がめっき又は蒸着されたものであってもよい。また、負極集電体32が複数枚の金属箔からなる場合、当該複数枚の金属箔の間に何らかの層を有していてもよい。負極集電体32の厚みは特に限定されるものではない。例えば、0.1μm以上又は1μm以上であってもよく、1mm以下又は100μm以下であってもよい。負極30は、上記構成に加えて、電池の負極として一般的な構成を備えていてもよい。例えば、タブや端子等である。
4.3 その他
リチウムイオン二次電池100は、上記の各構成が外装体の内部に収容されたものであってもよい。外装体は、電池の外装体として公知のものをいずれも採用可能である。また、複数の電池100が、任意に電気的に接続され、また、任意に重ね合わされて、組電池とされていてもよい。この場合、公知の電池ケースの内部に当該組電池が収容されてもよい。リチウムイオン二次電池100は、このほか必要な端子等の自明な構成を備えていてよい。リチウムイオン二次電池100の形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型、及び角型等を挙げることができる。
リチウムイオン二次電池100は、公知の方法を応用することで製造することができる。例えば、リチウムイオン二次電池100の製造方法は、上記の正極10、硫化物固体電解質層20及び負極30を積層することを含む。以下、リチウムイオン二次電池100の製造方法の具体例を示す。ただし、リチウムイオン二次電池100の製造方法は、以下の方法に限定されるものではなく、例えば、乾式成形等によって各層が形成されてもよい。
(1)正極活物質層を構成する正極活物質等を溶媒に分散させて正極層用スラリーを得る。この場合に用いられる溶媒としては、特に限定されるものではなく、水や各種有機溶媒を用いることができ、N-メチルピロリドン(NMP)であってもよい。ドクターブレード等を用いて正極層用スラリーを正極集電体の表面に塗工し、その後乾燥させることで、正極集電体の表面に正極活物質層を形成し、正極とする。
(2)負極活物質層を構成する負極活物質等を溶媒に分散させて負極層用スラリーを得る。この場合に用いられる溶媒としては、特に限定されるものではなく、水や各種有機溶媒を用いることができ、N-メチルピロリドン(NMP)であってもよい。その後、ドクターブレード等を用いて負極層用スラリーを、負極集電体の表面に塗工し、その後乾燥させることで、当該負極集電体の表面に負極活物質層を形成し、負極とする。或いは、負極活物質である金属箔をそのまま負極として用いてもよい。
(3)負極と正極とで硫化物固体電解質層を挟み込むように各層を積層し、負極集電体、負極活物質層、硫化物固体電解質層、正極活物質層及び正極集電体をこの順に有する積層体を得る。積層体には必要に応じて端子等のその他の部材を取り付ける。硫化物固体電解質層は事前に成形されたものであってもよいし、正極及び/又は負極とともに成形されたものであってもよい。
(4)積層体を電池ケースに収容して密封することで、リチウムイオン二次電池とする。尚、各層に液体を含ませる場合、そのタイミングは特に限定されない。
5.補足
特許文献1のように、電解質として液体電解質のみを用いたリチウムイオン二次電池において、上記の組成及び結晶構造を有する正極活物質を採用した場合、当該正極活物質の性能を十分に発揮させるべく高電位で作動させると、液体電解質の分解が促進され易い。結果として、十分なサイクル特性が得られない虞がある。これに対し、本開示のリチウムイオン二次電池用正極においては、上記の正極活物質が、硫化物固体電解質とともに用いられることで、液体電解質における課題を解決することができる。硫化物固体電解質は、液体電解質と比較して、高電位においても分解し難いためである。
また、硫化物固体電解質とともに従来の正極活物質(例えば、LiMn1/3Ni1/3Co1/3等)を組み合わせた場合、硫化物固体電解質と正極活物質との間に抵抗体が生成し易く、これがリチウムイオン二次電池としてのサイクル特性を劣化させる要因となり易い。これに対し、本開示のリチウムイオン二次電池用正極のように、硫化物固体電解質とともに特定の組成及び結晶構造を有する正極活物質を組み合わせることで、リチウムイオン二次電池としてのサイクル特性が優れたものとなり易い。上記の特定の組成及び結晶構造を有する正極活物質は、高電位において、硫化物固体電解質との反応性が低く、正極活物質と硫化物固体電解質との間に抵抗体が生成し難いためと考えられる。本発明者が確認した限り、このような効果は、上記の特定の組成及び結晶構造を有する正極活物質に特有のものである。
以下、実施例を示しつつ、本開示の技術についてさらに詳細に説明するが、本開示の技術は以下の実施例に限定されるものではない。
1.正極活物質Aの合成
1.1 第1中間物質の作製
大気雰囲気下で、MnCOを700℃で12時間焼成してMnを得た。Mn(1mol)とLiCO(1.03mol、3%過剰)とを秤量したうえで、湿式メカニカルミリングの一種である湿式ボールミリング(湿式BM)によって混合した。湿式BMの条件については、下記表1に示される通りである。その後、混合物をペレット成形した。成形したペレットを舟形アルミニウムボードの上に置き、Cu箔で包んだうえで、Ar雰囲気にて、900℃で12時間焼成を行うことで、第1中間物質を得た。X線回折ピーク及び元素分析から、第1中間物質は、構成元素としてLi、Mn及びOを含み、且つ、ジグザグ層状構造を有するものであった。
1.2 第2中間物質の作製
第1中間物質に対して乾式メカニカルミリングの一種である乾式ボールミリング(乾式BM)を施すことで、第2中間物質を得た。乾式BMの条件については、下記表1に示される通りである。乾式BMは、1セット毎に、グローブボックス内でボールミルポット壁面の粉末を削ぎ落した。第2中間物質は、構成元素としてLi、Mn及びOを含み、且つ、不規則岩塩構造を有するものであった。
1.3 焼成
第2中間物質をペレット成形した。成形したペレットを舟形アルミニウムボードの上に置き、Cu箔で包んだうえで、Ar雰囲気にて、700℃で2時間焼成を行うことで、正極活物質Aを得た。X線回折ピーク及び元素分析から、正極活物質Aは、LiMn(0.95≦x≦1.05、且つ、0.95≦y≦1.05)で示される組成を有し、且つ、母構造としてのジグザグ層状構造、及び、ドメインとしてのα-NaFeO型層状構造を有するものであった。
Figure 2023089836000002
図2に、乾式メカニカルミリング前の第1中間物質のX線回折ピークと、乾式メカニカルミリング後の第2中間物質のX線回折ピークと、最終焼成後の正極活物質AのX線回折ピークとを示す。図2に示されるように、第1中間物質については、斜方晶のLiMnOの(010)面、(110)面、(200)面、(210)面、及び、(021)面に由来するピークが確認される。第2中間物質については、メカニカルミリングによって結晶構造が変化し、不規則岩塩構造に由来するブロードなピークが確認される。正極活物質Aについては、斜方晶のLiMnOの(010)面、(200)面、及び、(021)面に由来するピークが確認される一方で、斜方晶のLiMnOの(110)面、及び、(210)面に由来するピークが実質的に確認されない。すなわち、正極活物質Aは、母構造としてのジグザグ層状構造、及び、ドメインとしてのα-NaFeO型層状構造を有するものといえる。
2.正極活物質Bの用意
正極活物質Bとして、LiNi1/3Co1/3Mn1/3で示される組成を有し、且つ、層状岩塩構造を有するものを用意した。
3.カーボン複合化
正極活物質とアセチレンブラックとを秤量し、下記表2に示される条件で乾式BMを行い、複合化処理を行った。
Figure 2023089836000003
4.LiNbOコーティング
LiNbO源となる水溶液と、正極活物質とを秤量し、乳鉢で混合しながら、乾燥させることで、正極活物質の表面にLiNbOをコートした。コート重量は10質量%とした。
5.非水電解液系電池の作製(比較例1、2)
カーボンを複合化した正極活物質と、バインダーとしてのPVdFとを、質量比で、95:5となるように秤量し、N-メチル-2-ピロリドンに分散混合して、スラリーを得た。得られたスラリーをAl集電箔上の塗工し、120℃で一晩真空乾燥させることで、正極を得た。当該正極と、非水電解液(ダイキン社製TDDK-217)と、負極としての金属リチウム箔とを用いて、コインセル(CR2032)を作製した。作製したコインセルについて、25℃に保持した恒温槽において、上限電位4.8V、0.1Cレートで充放電特性を評価した。下限電位は、正極活物質Aを用いた場合については1.5V、正極活物質Bを用いた場合については3Vとした。図3(A)に、正極活物質Aを用いた場合の非水電解液系電池(比較例1)の充放電曲線を示す。
6.全固体電池の作製(比較例3、実施例1)
LiNbOでコートした正極活物質と、硫化物固体電解質と、バインダーとしてのPVdFと、導電助剤としてのVGCFとを、質量比で、64.5:31.8:0.5:3.2となるように秤量し、酪酸ブチルに分散混合して、スラリー得た。得られたスラリーを165℃で乾燥させ、正極合材を得た。一方で、負極活物質としてのLiTi12と、硫化物固体電解質と、バインダーとしてのPVdFと、導電助剤としてのVGCFとを、質量比で、72.1:22.7:3.5:1.7となるように秤量し、酪酸ブチルに分散混合して、スラリー得た。得られたスラリーを165℃で乾燥させ、負極合材を得た。正極合材と、硫化物固体電解質と、負極合材とを一体プレスすることで、全固体電池を得た。得られた全固体電池について、25℃に保持した恒温槽において、上限電位4.8V、0.1Cレートで充放電特性を評価した。下限電位は、正極活物質Aを用いた場合については-0.05V、正極活物質Bを用いた場合については1.45Vとした。図3(B)に、正極活物質Aを用いた場合の全固体電池(実施例1)の充放電曲線を示す。尚、図3(A)と比較して可逆容量が異なるが、これは負極が異なることによるものである。
7.容量維持率の測定
各々の電池に対して、上記の条件にて充放電を30サイクル繰り返し、下記式に基づいて、容量維持率を測定した。結果を下記表3に示す。
容量維持率=[(30サイクル後の放電容量)/(初期放電容量)]×100
Figure 2023089836000004
表3に示される結果から以下のことが分かる。
(1)比較例1については、電解質として非水電解液のみを採用するとともに、正極活物質Aの性能を十分に発揮させるために、高電位で充放電させたことから、充放電に伴って電解液が徐々に分解したものと考えられ、結果として、30サイクル後の容量維持率が大きく低下した。
(2)比較例2については、硫化物固体電解質と正極活物質Bとを用いたことで、硫化物固体電解質と正極活物質Bとが反応して抵抗体が形成され易い状態にあったものと考えられ、結果として、30サイクル後の容量維持率が大きく低下した。
(3)比較例3については、電解質として非水電解液のみを採用するとともに、正極活物質Bの性能を十分に発揮させるために、高電位で充放電させたことから、充放電に伴って電解液が徐々に分解したものと考えられ、結果として、30サイクル後の容量維持率が大きく低下した。
(4)比較例1~3に対し、実施例1については、30サイクル後の容量維持率が高くなった。硫化物固体電解質は、高電位においても分解し難く、また、正極活物質Aは硫化物固体電解質に対する反応性が低いものと考えられ、上述の電解液の分解の問題や硫化物固体電解質と正極活物質との反応の問題が生じ難かったものと考えられる。
以上の通り、以下の要件(1)及び(2)を備えるリチウムイオン電池用正極によれば、例えば、可逆容量250mAh/g以上の広いSOC範囲で、充放電時に電解質が高電位に曝されるような状態で使用されるリチウムイオン二次電池においても、電解質の分解や電解質と正極活物質との反応を抑制することができ、電池としてのサイクル特性を向上させることが可能である。また、正極として十分な放電容量を得ることもできる。
(1)電解質として硫化物固体電解質を含むこと。
(2)正極活物質として、LiMn(0.95≦x≦1.05、且つ、0.95≦y≦1.05)で示される組成を有し、且つ、母構造としてのジグザグ層状構造、及び、ドメインとしてのα-NaFeO型層状構造を有するものを含むこと。
10 正極
11 正極活物質層
12 正極集電体
20 硫化物固体電解質層
30 負極
31 負極活物質層
32 負極集電体
100 リチウムイオン二次電池

Claims (3)

  1. 硫化物固体電解質と、
    正極活物質であって、LiMn(0.95≦x≦1.05、且つ、0.95≦y≦1.05)で示される組成を有し、且つ、母構造としてのジグザグ層状構造、及び、ドメインとしてのα-NaFeO型層状構造を有するものと、
    を含む、リチウムイオン二次電池用正極。
  2. 前記正極活物質の表面にLiイオン伝導性酸化物を含有する保護層が形成されている、
    請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  3. 請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用正極と、
    硫化物固体電解質層と、
    負極と、
    を有する、リチウムイオン二次電池。
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