JP2023088837A - タイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】高速走行時の耐摩耗性を向上するタイヤを提供する。【解決手段】トレッド部を備えたタイヤであって、前記トレッド部を構成するゴム組成物のポリマー量PC(質量%)及び灰分量Ash(質量%)、トレッド部のタイヤ半径方向断面の赤道面上における厚さG(mm)が、下記式(1)~(3)を満たすタイヤ。(1)PC≧55質量%(2)10質量%≦Ash≦25質量%(3)Ash×G≦250【選択図】なし
Description
本発明は、タイヤに関する。
タイヤの耐摩耗性能を両立させる方法の1つとして、ゴム混合時の薬品の投入順序を工夫することなどが挙げられる(例えば、特許文献1)。しかしながら、自動車用高速道の整備が整い、自動車の高性能化も進む昨今において、高速走行を重ねることも珍しくない状況となっていることから、高速走行時の耐摩耗性については更なる改善の余地があると考えられる。
本発明は、前記課題を解決し、高速走行時の耐摩耗性を向上するタイヤを提供することを目的とする。
タイヤのゴム物性はタイヤ性能に大きく影響するが、タイヤの性能発現にはゴム物性だけでなく、タイヤ形状(トレッドゲージなど)の影響も大きい。摩耗は破壊現象の一部であるため、耐摩耗性を向上させるにはフィラー量が重要で、一定以上添加しなければタイヤの補強性を担保できない一方で、フィラー量と耐摩耗性は完全な比例関係を持つわけではなく、増量しすぎても性能が悪化する。
本発明は、上記観点に基づき、ゴム組成物のポリマー量PC、灰分量Ashを特定範囲とすると同時に、タイヤ形状にも着目してトレッド部のタイヤ半径方向断面の赤道面上における厚さG(mm)と灰分量Ash(質量%)との積を所定以下とすることで、優れた耐摩耗性、特に高速走行時の耐摩耗性を付与できるという知見を見出し、完成に至ったものである。
本発明は、上記観点に基づき、ゴム組成物のポリマー量PC、灰分量Ashを特定範囲とすると同時に、タイヤ形状にも着目してトレッド部のタイヤ半径方向断面の赤道面上における厚さG(mm)と灰分量Ash(質量%)との積を所定以下とすることで、優れた耐摩耗性、特に高速走行時の耐摩耗性を付与できるという知見を見出し、完成に至ったものである。
本発明は、トレッド部を備えたタイヤであって、
前記トレッド部を構成するゴム組成物のポリマー量PC(質量%)及び灰分量Ash(質量%)、トレッド部のタイヤ半径方向断面の赤道面上における厚さG(mm)が、下記式(1)~(3)を満たすタイヤに関する。
(1)PC≧55質量%
(2)10質量%≦Ash≦25質量%
(3)Ash×G≦250
前記トレッド部を構成するゴム組成物のポリマー量PC(質量%)及び灰分量Ash(質量%)、トレッド部のタイヤ半径方向断面の赤道面上における厚さG(mm)が、下記式(1)~(3)を満たすタイヤに関する。
(1)PC≧55質量%
(2)10質量%≦Ash≦25質量%
(3)Ash×G≦250
本発明によれば、トレッド部を備えたタイヤであって、前記トレッド部を構成するゴム組成物のポリマー量PC(質量%)及び灰分量Ash(質量%)、トレッド部のタイヤ半径方向断面の赤道面上における厚さG(mm)が、前記式(1)~(3)を満たすタイヤであるので、高速走行時の耐摩耗性を向上できる。
本発明は、トレッド部を構成するゴム組成物のポリマー量PC(質量%)及び灰分量Ash(質量%)、トレッド部のタイヤ半径方向断面の赤道面上における厚さG(mm)が、前記式(1)~(3)を満たすタイヤである。
前記効果が得られるメカニズムは明らかではないが、以下のように推察される。
一般的に耐摩耗性を向上するためには、ゴム組成物のマトリクスを形成するポリマー部が補強剤との相互作用により補強される必要がある。しかし、単純に補強剤を増量するだけであると、補強剤に拘束されるポリマーの量が増え、ゴムの硬化も招く。その為、特に高速走行において、路面との間で接触する際の周波数が高くなること、ゴムが十分に路面に追従せずに削られることから、耐摩耗性の向上には十分でないと考えられる。
そこで、本発明では、ポリマー量(PC)を55質量%以上(式(1))としてゴム組成物の半分超を占める割合とし、かつ灰分量(Ash)を10~25質量%(式(2))とする。これにより、ゴム内部でポリマー成分が灰分成分と相互作用をしたポリマーゲルが発生しやすくなる。それと同時に、ポリマー成分内でのポリマーゲルの比率を高めることが可能となる。同時に、式(2)を充足し、シリカ等のAsh成分の比率を低減させている為、微小領域での硬化を防ぎ、路面にも追従しやすくなることから、耐摩耗性が向上させることが可能になると考えられる。
加えて、灰分量はゴムの発熱に影響し、ゴムが発熱すると軟化することで路面との摩擦での変形が大きくなり摩耗しやすくなること、トレッド部の厚さ(ゲージ)Gが厚いと走行中の変形での熱が蓄積されやすいことから、トレッド部の厚さと灰分量の積が250以下(式(3))となるように、ゲージが厚くなるに従って灰分量を減らすことにより(灰分量が増加するに従ってゲージを減らすことにより)、耐摩耗性を向上させることが可能になると考えられる。
以上により、本発明では、前記式(1)~(3)を満たすことで、高速走行時の耐摩耗性が向上したものと推察される。
一般的に耐摩耗性を向上するためには、ゴム組成物のマトリクスを形成するポリマー部が補強剤との相互作用により補強される必要がある。しかし、単純に補強剤を増量するだけであると、補強剤に拘束されるポリマーの量が増え、ゴムの硬化も招く。その為、特に高速走行において、路面との間で接触する際の周波数が高くなること、ゴムが十分に路面に追従せずに削られることから、耐摩耗性の向上には十分でないと考えられる。
そこで、本発明では、ポリマー量(PC)を55質量%以上(式(1))としてゴム組成物の半分超を占める割合とし、かつ灰分量(Ash)を10~25質量%(式(2))とする。これにより、ゴム内部でポリマー成分が灰分成分と相互作用をしたポリマーゲルが発生しやすくなる。それと同時に、ポリマー成分内でのポリマーゲルの比率を高めることが可能となる。同時に、式(2)を充足し、シリカ等のAsh成分の比率を低減させている為、微小領域での硬化を防ぎ、路面にも追従しやすくなることから、耐摩耗性が向上させることが可能になると考えられる。
加えて、灰分量はゴムの発熱に影響し、ゴムが発熱すると軟化することで路面との摩擦での変形が大きくなり摩耗しやすくなること、トレッド部の厚さ(ゲージ)Gが厚いと走行中の変形での熱が蓄積されやすいことから、トレッド部の厚さと灰分量の積が250以下(式(3))となるように、ゲージが厚くなるに従って灰分量を減らすことにより(灰分量が増加するに従ってゲージを減らすことにより)、耐摩耗性を向上させることが可能になると考えられる。
以上により、本発明では、前記式(1)~(3)を満たすことで、高速走行時の耐摩耗性が向上したものと推察される。
このように、前記タイヤは、トレッド部を構成するゴム組成物のポリマー量PC(質量%)及び灰分量Ash(質量%)、トレッド部のタイヤ半径方向断面の赤道面上における厚さG(mm)が、式(1)「PC≧55質量%」、式(2)「10質量%≦Ash≦25質量%」、式(3)「Ash×G≦250」を満たす構成にすることにより、高速走行時の耐摩耗性を向上するという課題(目的)を解決するものである。すなわち、式(1)「PC≧55質量%」、式(2)「10質量%≦Ash≦25質量%」、式(3)「Ash×G≦250」のパラメーターは課題(目的)を規定したものではなく、本願の課題は、高速走行時の耐摩耗性を向上することであり、そのための解決手段として当該パラメーターを満たすような構成にしたものである。
<トレッド用ゴム組成物>
本発明は、トレッド部を備えたタイヤであって、該トレッド部を構成するトレッド用ゴム組成物(加硫後のゴム組成物)は、該ゴム組成物中のポリマー量PC(質量%)が下記式(1)を満たす。
(1)PC≧55質量%
PCの下限は、60質量%以上が好ましく、63質量%以上がより好ましく、66質量%以上が更に好ましく、68質量%以上が特に好ましい。上限は、85質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、77質量%以下が更に好ましく、75質量%以下が特に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
本発明は、トレッド部を備えたタイヤであって、該トレッド部を構成するトレッド用ゴム組成物(加硫後のゴム組成物)は、該ゴム組成物中のポリマー量PC(質量%)が下記式(1)を満たす。
(1)PC≧55質量%
PCの下限は、60質量%以上が好ましく、63質量%以上がより好ましく、66質量%以上が更に好ましく、68質量%以上が特に好ましい。上限は、85質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、77質量%以下が更に好ましく、75質量%以下が特に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
本発明は、トレッド部を備えたタイヤであって、該トレッド部を構成するトレッド用ゴム組成物(加硫後のゴム組成物)は、該ゴム組成物中の灰分量Ash(質量%)が下記式(2)を満たす。
(2)10質量%≦Ash≦25質量%
Ashの下限は、12質量%以上が好ましく、13質量%以上がより好ましく、14質量%以上が更に好ましく、16質量%以上が特に好ましい。上限は、23質量%以下が好ましく、21質量%以下がより好ましく、19質量%以下が更に好ましく、18質量%以下が特に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
(2)10質量%≦Ash≦25質量%
Ashの下限は、12質量%以上が好ましく、13質量%以上がより好ましく、14質量%以上が更に好ましく、16質量%以上が特に好ましい。上限は、23質量%以下が好ましく、21質量%以下がより好ましく、19質量%以下が更に好ましく、18質量%以下が特に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、前記ゴム組成物(加硫後のゴム組成物)のポリマー量(PC)、灰分量(Ash)は、以下の方法で測定される。
先ず、前記ゴム組成物(試料)について、JIS K 6229:2015に準拠してアセトン抽出を行う。
ポリマー量(PC)は、前記アセトン抽出後に残るサンプルについて、JIS K6226-1:2003に準じて、窒素中の加熱(室温から750℃へ上昇させる)により有機物を熱分解・気化させたときの減量分(質量)から算出される(単位:前記ゴム組成物(試料)中の質量%)。
次いで、前記熱分解・気化させた後のサンプルについて、空気中の加熱により酸化燃焼させる。
灰分量(Ash)は、前記酸化燃焼で燃焼しない成分(灰分)の質量から算出される(単位:前記ゴム組成物(試料)中の質量%)。
なお、これらの測定に用いるサンプルはタイヤのトレッド部から採取されるものである。
先ず、前記ゴム組成物(試料)について、JIS K 6229:2015に準拠してアセトン抽出を行う。
ポリマー量(PC)は、前記アセトン抽出後に残るサンプルについて、JIS K6226-1:2003に準じて、窒素中の加熱(室温から750℃へ上昇させる)により有機物を熱分解・気化させたときの減量分(質量)から算出される(単位:前記ゴム組成物(試料)中の質量%)。
次いで、前記熱分解・気化させた後のサンプルについて、空気中の加熱により酸化燃焼させる。
灰分量(Ash)は、前記酸化燃焼で燃焼しない成分(灰分)の質量から算出される(単位:前記ゴム組成物(試料)中の質量%)。
なお、これらの測定に用いるサンプルはタイヤのトレッド部から採取されるものである。
PC、Ashを調整する方法としては、当業者に公知の方法を採用できる。例えば、PCは、ゴム組成物中のゴム成分の量が増加すると、大きくなる傾向がある。Ashは、ゴム組成物中の、シリカ等の酸化燃焼で燃焼しない成分の量が増加すると、大きくなる傾向がある。
トレッド用ゴム組成物は、ゴム成分を含む。
前記ゴム組成物において、ゴム成分は、架橋に寄与する成分であり、一般的に、重量平均分子量(Mw)が1万以上のポリマーである。
前記ゴム組成物において、ゴム成分は、架橋に寄与する成分であり、一般的に、重量平均分子量(Mw)が1万以上のポリマーである。
ゴム成分の重量平均分子量は、好ましくは5万以上、より好ましくは15万以上、更に好ましくは20万以上であり、また、好ましくは200万以下、より好ましくは150万以下、更に好ましくは100万以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMULTIPORE HZ-M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
ゴム成分としては特に限定されず、タイヤ分野で公知のものを使用できる。例えば、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンスブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン-イソプレン-ブタジエン共重合ゴム(SIBR)等のジエン系ゴムが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、効果がより良好に得られる観点から、イソプレン系ゴム、BR、SBRの何れか1種を含むことが好ましく、これらを2種以上併用し、SBR及びBRを含むか、イソプレン系ゴム、BR及びSBRを併用することがより好ましい。
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等、が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、NRが好ましい。
前記ゴム組成物がイソプレン系ゴムを含む場合、ゴム成分100質量%中、イソプレン系ゴムの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、また、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
BRとしては特に限定されず、例えば、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR150B、LG Chem社製のBR1280等の高シス含有量のBR、宇部興産(株)製のVCR412、VCR617等の1,2-シンジオタクチックポリブタジエン結晶(SPB)を含むBR、希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴム(希土類系BR)等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
BRのシス量(シス含量)は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、また、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、更に好ましくは97質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、BRのシス量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
なお、BRのシス量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
前記ゴム組成物がBRを含む場合、ゴム成分100質量%中、BRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等を使用できる。また、適宜ブタジエン部の2重結合部に水素添加処理を施した、水添SBRを用いても良い。市販品としては、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品が挙げられる。
SBRのスチレン含量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、特に好ましくは20質量%以上である。該スチレン含量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、SBRのスチレン含量は、1H-NMR測定により算出される。
なお、本明細書において、SBRのスチレン含量は、1H-NMR測定により算出される。
SBRのビニル含量は、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上、更に好ましくは30モル%以上である。該ビニル含量は、好ましくは90モル%以下、より好ましくは80モル%以下、更に好ましくは70モル%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、SBRのビニル含量(1,2-結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
なお、本明細書において、SBRのビニル含量(1,2-結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
前記ゴム組成物がSBRを含む場合、ゴム成分100質量%中、SBRの含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、特に好ましくは85質量%以上であり、また、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物がSBR及びBRを含む場合、ゴム成分100質量%中、SBR及びBRの合計含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは75質量%以上、更に好ましくは85質量%以上、特に好ましくは90質量%以上であり、100質量%でもよい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム成分は、オイルで伸展された油展ゴムでもよい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。油展ゴムに使用されるオイルは、後述で説明するものと同様のものが挙げられる。また、油展ゴム中のオイル分は特に限定されないが、通常、ゴム固形分100質量部に対して10~50質量部程度である。
ゴム成分は、変性により、シリカ等の充填材と相互作用する官能基が導入されていてもよい。
上記官能基としては、例えば、ケイ素含有基(-SiR3(Rは、同一又は異なって、水素、水酸基、炭化水素基、アルコキシ基など)、アミノ基、アミド基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、ケイ素含有基が好ましく、-SiR3(Rは、同一又は異なって、水素、水酸基、炭化水素基(好ましくは炭素数1~6の炭化水素基(より好ましくは炭素数1~6のアルキル基))又はアルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基))であり、Rの少なくとも一つが水酸基)がより好ましい。
上記官能基としては、例えば、ケイ素含有基(-SiR3(Rは、同一又は異なって、水素、水酸基、炭化水素基、アルコキシ基など)、アミノ基、アミド基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、ケイ素含有基が好ましく、-SiR3(Rは、同一又は異なって、水素、水酸基、炭化水素基(好ましくは炭素数1~6の炭化水素基(より好ましくは炭素数1~6のアルキル基))又はアルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基))であり、Rの少なくとも一つが水酸基)がより好ましい。
上記官能基を導入する化合物(変性剤)の具体例としては、2-ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジメチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
前記ゴム組成物には、フィラーを含むことが望ましい。
フィラー(充填材)としては特に限定されず、ゴム分野で公知の材料を使用でき、例えば、シリカ、カーボンブラック、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレイ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、マイカなどの無機フィラーなどが挙げられる。なかでも、効果がより良好に得られる観点から、カーボンブラック、シリカが好ましい。
フィラー(充填材)としては特に限定されず、ゴム分野で公知の材料を使用でき、例えば、シリカ、カーボンブラック、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレイ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、マイカなどの無機フィラーなどが挙げられる。なかでも、効果がより良好に得られる観点から、カーボンブラック、シリカが好ましい。
前記ゴム組成物に使用可能なカーボンブラックとしては、特に限定されないが、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762等が挙げられる。また、これらの鉱物油を燃焼させて得たカーボンブラック以外にリグニンなどのバイオマス由来の原料を燃焼させて得たカーボンブラックを適宜用いても良い。市販品としては、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱化学(株)、ライオン(株)、日鉄カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、30m2/g以上が好ましく、50m2/g以上がより好ましく、70m2/g以上が更に好ましい。また、上記N2SAは、200m2/g以下が好ましく、150m2/g以下がより好ましく、130m2/g以下が更に好ましく、120m2/g以下が更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物において、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上、特に好ましくは20質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは35質量部以下、特に好ましくは30質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
使用可能なシリカとしては、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられる。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。なお、これらの無水シリカ、含水シリカ以外に、もみ殻などのバイオマス材料から製造されたシリカを適宜用いても良い。市販品としては、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、好ましくは100m2/g以上、より好ましくは150m2/g以上、更に好ましくは170m2/g以上、特に好ましくは200m2/g以上である。また、シリカのN2SAの上限は特に限定されないが、好ましくは350m2/g以下、より好ましくは300m2/g以下、更に好ましくは250m2/g以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、シリカのN2SAは、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される値である。
なお、シリカのN2SAは、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される値である。
前記ゴム組成物において、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上、更に好ましくは20質量部以上、特に好ましくは25質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは80質量部以下、より好ましくは65質量部以下、更に好ましくは50質量部以下、特に好ましくは45質量部以下、最も好ましくは40質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物に含まれるフィラー100質量%中のシリカ含有率は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、特に好ましくは92質量%以上である。上限は特に限定されないが、好ましくは99質量%以下、より好ましくは96質量%以下、更に好ましくは95質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物において、フィラーの含有量(カーボンブラック、シリカなどのフィラーの総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、更に好ましくは30質量部以上、特に好ましくは35質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下、更に好ましくは70質量部以下、特に好ましくは65質量部以下、最も好ましくは60質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物がシリカを含む場合、更にシランカップリング剤を含むことが好ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、ゴム分野で公知のものが使用可能であり、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、Momentive社製のNXT、NXT-Zなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。市販品としては、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、ゴム分野で公知のものが使用可能であり、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、Momentive社製のNXT、NXT-Zなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。市販品としては、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物において、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上、特に好ましくは7質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物は、効果がより良好に得られる観点から、樹脂成分を含むことが望ましい。
前記樹脂成分は、常温(25℃)で液体状態の液状樹脂、常温(25℃)で固体状態の固体樹脂のいずれでもよい。なかでも、効果がより良好に得られる観点から、固体樹脂が望ましい。
前記樹脂成分は、常温(25℃)で液体状態の液状樹脂、常温(25℃)で固体状態の固体樹脂のいずれでもよい。なかでも、効果がより良好に得られる観点から、固体樹脂が望ましい。
前記ゴム組成物において、ゴム成分100質量部に対する上記樹脂成分の含有量(25℃で液体状態の液状樹脂、25℃で固体状態の固体樹脂の合計含有量)は、好ましくは5質量部以上、より好ましくは25質量部以上、更に好ましくは30質量部以上、最も好ましくは35質量部以上である。上限は、好ましくは80質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは50質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
固体樹脂としては、例えば、常温(25℃)で固体状態の石油樹脂、テルペン系樹脂、芳香族ビニル重合体、クマロンインデン樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。また、上記樹脂成分は、水添されていてもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、石油樹脂、テルペン系樹脂、芳香族ビニル重合体が好ましい。
上記樹脂成分の軟化点は、80℃以上が好ましく、83℃以上がより好ましく、85℃以上が更に好ましい。上限は、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、110℃以下が更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、上記樹脂成分の軟化点は、JIS K6220-1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。また、上記した樹脂成分の軟化点は通常、樹脂成分のガラス転移温度の50℃±5℃程度の値である。
なお、上記樹脂成分の軟化点は、JIS K6220-1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。また、上記した樹脂成分の軟化点は通常、樹脂成分のガラス転移温度の50℃±5℃程度の値である。
上記石油樹脂としては、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂などが挙げられる。また、これらの水素添加物で使用可能である。
上記テルペン系樹脂は、テルペンを構成単位として含むポリマーであり。例えば、テルペン化合物を重合して得られるポリテルペン樹脂、テルペン化合物と芳香族化合物とを重合して得られる芳香族変性テルペン樹脂などが挙げられる。また、これらの水素添加物も使用できる。
上記ポリテルペン樹脂は、テルペン化合物を重合して得られる樹脂である。該テルペン化合物は、(C5H8)nの組成で表される炭化水素及びその含酸素誘導体で、モノテルペン(C10H16)、セスキテルペン(C15H24)、ジテルペン(C20H32)などに分類されるテルペンを基本骨格とする化合物であり、例えば、α-ピネン、β-ピネン、ジペンテン、リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン、テルピノレン、1,8-シネオール、1,4-シネオール、α-テルピネオール、β-テルピネオール、γ-テルピネオールなどが挙げられる。
上記ポリテルペン樹脂としては、上述したテルペン化合物を原料とするピネン樹脂、リモネン樹脂、ジペンテン樹脂、ピネン/リモネン樹脂などが挙げられる。なかでも、ピネン樹脂が好ましい。ピネン樹脂は、通常、異性体の関係にあるα-ピネン及びβ-ピネンの両方を含んでいるが、含有する成分の違いにより、β-ピネンを主成分とするβ-ピネン樹脂と、α-ピネンを主成分とするα-ピネン樹脂とに分類される。
上記芳香族変性テルペン樹脂としては、上記テルペン化合物及びフェノール系化合物を原料とするテルペンフェノール樹脂や、上記テルペン化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンスチレン樹脂などが挙げられる。また、上記テルペン化合物、フェノール系化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンフェノールスチレン樹脂も使用できる。なお、フェノール系化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノールなどが挙げられる。また、スチレン系化合物としては、スチレン、α-メチルスチレンなどが挙げられる。
上記芳香族ビニル重合体は、芳香族ビニルモノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、α-メチルスチレン及び/又はスチレンを重合して得られる樹脂が挙げられ、具体的には、スチレンの単独重合体(スチレン樹脂)、α-メチルスチレンの単独重合体(α-メチルスチレン樹脂)、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体、スチレンと他のモノマーの共重合体などが挙げられる。
上記クマロンインデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロン及びインデンを含む樹脂である。クマロン、インデン以外に骨格に含まれるモノマー成分としては、スチレン、α-メチルスチレン、メチルインデン、ビニルトルエンなどが挙げられる。
上記クマロン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロンを含む樹脂である。
上記インデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、インデンを含む樹脂である。
上記フェノール樹脂としては、例えば、フェノールと、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラールなどのアルデヒド類とを酸又はアルカリ触媒で反応させることにより得られるポリマー等の公知のものを使用できる。なかでも、酸触媒で反応させることにより得られるもの(ノボラック型フェノール樹脂など)が好ましい。
上記ロジン樹脂としては、天然ロジン、重合ロジン、変性ロジン、これらのエステル化合物、これらの水素添加物に代表されるロジン系樹脂等が挙げられる。
上記アクリル系樹脂は、アクリル系モノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、カルボキシル基を有し、芳香族ビニルモノマー成分とアクリル系モノマー成分とを共重合して得られる、スチレンアクリル樹脂等のスチレンアクリル系樹脂などが挙げられる。なかでも、無溶剤型カルボキシル基含有スチレンアクリル系樹脂を好適に使用できる。
上記無溶剤型カルボキシル基含有スチレンアクリル系樹脂とは、副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを極力使用せずに、高温連続重合法(高温連続塊重合法)(米国特許第4,414,370号明細書、特開昭59-6207号公報、特公平5-58005号公報、特開平1-313522号公報、米国特許第5,010,166号明細書、東亜合成研究年報TREND2000第3号p42-45等に記載の方法)により合成された(メタ)アクリル系樹脂(重合体)である。なお、本明細書において、(メタ)アクリルは、メタクリル及びアクリルを意味する。
上記アクリル系樹脂を構成するアクリル系モノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸や、(メタ)アクリル酸エステル(2エチルヘキシルアクリレート等のアルキルエステル、アリールエステル、アラルキルエステルなど)、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド誘導体などの(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸の総称である。
上記アクリル系樹脂を構成する芳香族ビニルモノマー成分としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどの芳香族ビニルが挙げられる。
また、上記アクリル系樹脂を構成するモノマー成分として、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸誘導体、芳香族ビニルと共に、他のモノマー成分を使用してもよい。
前記ゴム組成物において、ゴム成分100質量部に対する上記固体樹脂の含有量は、好ましくは5質量部以上、より好ましくは25質量部以上、更に好ましくは30質量部以上、最も好ましくは35質量部以上である。上限は、好ましくは80質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは50質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。なお、石油樹脂の含有量、テルペン系樹脂の含有量、芳香族ビニル重合体の含有量も同様の範囲が望ましい。
上記液状樹脂としては、常温(25℃)で液体状態のテルペン系樹脂(テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂を含む)、ロジン樹脂、スチレン系樹脂、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、クマロンインデン系樹脂(クマロン、インデン単体樹脂を含む)、フェノール樹脂、オレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。また、これらの水素添加物も使用可能である。
前記ゴム組成物において、ゴム成分100質量部に対する上記液状樹脂の含有量は、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。上限は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物は、前記樹脂成分以外に、ゴム成分に可塑性を付与することが可能な他の可塑剤を含んでもよい。他の可塑剤としては、前記液状樹脂以外の他の液体可塑剤(常温(25℃)で液体(液状)の可塑剤)、前記固体樹脂以外の他の固体可塑剤(常温(25℃)で固体の可塑剤)が挙げられる。可塑剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物において、可塑剤の総量(液状樹脂、他の液体可塑剤、固体樹脂及び他の固体可塑剤の合計含有量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは35質量部以上、更に好ましくは45質量部以上、特に好ましくは50質量部以上である。上限は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下、更に好ましくは70質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記他の液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)としては特に限定されず、オイル、前記液状樹脂以外の液状ポリマー(液状ジエン系ポリマー、液状ファルネセン系ポリマーなど)などが挙げられる。なかでも、オイルが望ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物が前記他の液体可塑剤を含有する場合、前記他の液体可塑剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは7質量部以上、更に好ましくは10質量部以上である。上限は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。オイルの含有量も同様の範囲が望ましい。なお、液体可塑剤の含有量には、油展オイルに含まれるオイル量も含まれる。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油、又はその混合物が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。植物油としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。また、これら以外にも、ライフサイクルアセスメントの観点から、ゴム加工用ミキサーやエンジンなどの潤滑油として使用された後のオイルや、調理店で使用された後の廃食用油を精製して得たオイルを適宜用いても良い。
液状ジエン系ポリマーとしては、常温(25℃)で液体状態の液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)、液状スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(液状SBSブロックポリマー)、液状スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(液状SISブロックポリマー)、液状ファルネセン重合体、液状ファルネセンブタジエン共重合体等が挙げられる。これらは、末端や主鎖が極性基で変性されていても構わない。また、これらの水素添加物も使用可能である。
前記他の固体可塑剤(常温(25℃)で固体状態の可塑剤)としては、前述の固体樹脂以外で、ゴム成分に可塑性を付与することが可能な材料を使用できる。
上記可塑剤としては、例えば、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、RutgersChemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、ENEOS(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業(株)等の製品を使用できる。
前記ゴム組成物は、老化防止剤を含有してもよい。
老化防止剤としては、例えば、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4′-ビス(α,α′-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3′,5′-ジ-t-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤等が挙げられる。市販品としては、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
老化防止剤としては、例えば、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4′-ビス(α,α′-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3′,5′-ジ-t-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤等が挙げられる。市販品としては、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物において、老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.5質量部以上、更に好ましくは2.0質量部以上であり、また、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは6.0質量部以下、更に好ましくは4.0質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物は、ワックスを含有してもよい。
ワックスとしては、特に限定されず、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;エチレン、プロピレン等の重合物等の合成ワックス等が挙げられる。市販品としては、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ワックスとしては、特に限定されず、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;エチレン、プロピレン等の重合物等の合成ワックス等が挙げられる。市販品としては、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物において、ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは6質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物は、ステアリン酸を含有してもよい。
ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、市販品としては、日油(株)、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、市販品としては、日油(株)、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物において、ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上、更に好ましくは1.0質量部以上であり、また、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは6.0質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物は、酸化亜鉛を含有してもよい。
酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、市販品としては、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、市販品としては、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物において、酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは2.0質量部以上であり、また、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは6.0質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物は、硫黄を含有してもよい。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に架橋剤として用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄等が挙げられる。市販品としては、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に架橋剤として用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄等が挙げられる。市販品としては、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物において、硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.5質量部以上、更に好ましくは2.0質量部以上であり、また、好ましくは3.5質量部以下、より好ましくは3.0質量部以下、更に好ましくは2.8質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物は、加硫促進剤を含有してもよい。
加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS)、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N′-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。市販品としては、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS)、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N′-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。市販品としては、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物において、加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1.0質量部以上、より好ましくは1.5質量部以上、更に好ましくは2.0質量部以上であり、また、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは7.0質量部以下、更に好ましくは5.0質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物には、上記成分の他、タイヤ工業において一般的に用いられている添加剤、例えば、有機過酸化物等を更に配合してもよい。これらの添加剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1~200質量部が好ましい。
前記ゴム組成物は、例えば、上述の各成分をオープンロール、バンバリーミキサー等のゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法等により製造できる。
混練条件としては、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を混練するベース練り工程では、混練温度は、通常100~180℃、好ましくは120~170℃である。加硫剤、加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程では、混練温度は、通常120℃以下、好ましくは85~110℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を混練した組成物は、通常、プレス加硫等の加硫処理が施される。加硫温度としては、通常140~190℃、好ましくは150~185℃である。加硫時間は、通常5~15分である。
<タイヤ>
前記ゴム組成物(トレッド用ゴム組成物)は、タイヤのトレッド部に使用される。
本発明に適用できるタイヤとしては、空気入りタイヤ、非空気入りタイヤなどが挙げられるが、なかでも、空気入りタイヤが好ましい。特に、夏用タイヤ(サマータイヤ)、冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ、スノータイヤ、スタッドタイヤなど)、オールシーズンタイヤとして好適に使用できる。タイヤは、乗用車用タイヤ、大型乗用車用、大型SUV用タイヤ、トラック、バスなどの重荷重用タイヤ、ライトトラック用タイヤ、二輪自動車用タイヤ、レース用タイヤ(高性能タイヤ)などに使用可能である。なかでも、乗用車用タイヤとして用いることが望ましい。なお、本発明において、乗用車用タイヤとは、正規内圧が300kPa以下でかつ、正規荷重が1300kg以下のタイヤを指す。
前記ゴム組成物(トレッド用ゴム組成物)は、タイヤのトレッド部に使用される。
本発明に適用できるタイヤとしては、空気入りタイヤ、非空気入りタイヤなどが挙げられるが、なかでも、空気入りタイヤが好ましい。特に、夏用タイヤ(サマータイヤ)、冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ、スノータイヤ、スタッドタイヤなど)、オールシーズンタイヤとして好適に使用できる。タイヤは、乗用車用タイヤ、大型乗用車用、大型SUV用タイヤ、トラック、バスなどの重荷重用タイヤ、ライトトラック用タイヤ、二輪自動車用タイヤ、レース用タイヤ(高性能タイヤ)などに使用可能である。なかでも、乗用車用タイヤとして用いることが望ましい。なお、本発明において、乗用車用タイヤとは、正規内圧が300kPa以下でかつ、正規荷重が1300kg以下のタイヤを指す。
タイヤは、前記ゴム組成物を用いて通常の方法により製造される。例えば、各種材料を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッド部の形状に合わせて押し出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成した後、加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造することができる。
本発明のタイヤは、トレッド部を構成するトレッド用ゴム組成物(加硫後のゴム組成物)の灰分量Ash(質量%)と、トレッド部のタイヤ半径方向断面の赤道面上における厚さG(mm)とが、下記式(3)を満たす。
(3)Ash×G≦250
Ash×Gの上限は、200以下が好ましく、180以下がより好ましく、160以下が更に好ましく、140以下が特に好ましく、130以下が最も好ましい。下限は、80以上が好ましく、90以上がより好ましく、100以上が更に好ましく、110以上が特に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
(3)Ash×G≦250
Ash×Gの上限は、200以下が好ましく、180以下がより好ましく、160以下が更に好ましく、140以下が特に好ましく、130以下が最も好ましい。下限は、80以上が好ましく、90以上がより好ましく、100以上が更に好ましく、110以上が特に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
本発明のタイヤは、トレッド部のタイヤ半径方向断面の赤道面上における厚さG(mm)が、15mm以下が好ましく、13mm以下がより好ましく、11mm以下が更に好ましく、10mm以下が特に好ましい。下限は、5mm以上が好ましく、7mm以上がより好ましく、8mm以上が更に好ましく、9mm以上が特に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本発明において、トレッド部のタイヤ半径方向断面の赤道面上における厚さGとは、タイヤの軸を含む平面で切った断面において、赤道面上におけるトレッド表面からベルト補強層、ベルト層、カーカス層などの繊維材料を含む補強層のタイヤ最表面側の界面までの距離である。なお、タイヤ赤道面上に溝を有する場合においては、該溝のタイヤ半径方向最表面側の端部間を繋いだ直線と、赤道面の交点からの直線距離である。
なお、本発明において、トレッド部のタイヤ半径方向断面の赤道面上における厚さGとは、タイヤの軸を含む平面で切った断面において、赤道面上におけるトレッド表面からベルト補強層、ベルト層、カーカス層などの繊維材料を含む補強層のタイヤ最表面側の界面までの距離である。なお、タイヤ赤道面上に溝を有する場合においては、該溝のタイヤ半径方向最表面側の端部間を繋いだ直線と、赤道面の交点からの直線距離である。
また、前記トレッド部のゴム層のタイヤ赤道面上における厚さGcは12mm以下が好ましく、8mm以下がより好ましく、6mm以下がさらに好ましい。一方、下限としては2mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましく、4mm以上がさらに好ましい。
なお、前記したGcはトレッド部のタイヤ半径方向断面の赤道面上における厚さGと同様に、測定することができ、トレッド最表面から、前記ゴム組成物により形成されるゴム層のタイヤ内側最内面の界面までの距離を測定することにより求めることが可能である。
なお、前記したGcはトレッド部のタイヤ半径方向断面の赤道面上における厚さGと同様に、測定することができ、トレッド最表面から、前記ゴム組成物により形成されるゴム層のタイヤ内側最内面の界面までの距離を測定することにより求めることが可能である。
本発明のタイヤは、トレッド部のネガティブ率S(%)が40%以下であることが好ましい。
ネガティブ率S(%)は、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下である。該ネガティブ率S(%)は、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上、更に好ましくは20%以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ネガティブ率S(%)は、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下である。該ネガティブ率S(%)は、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上、更に好ましくは20%以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、ネガティブ率(トレッド部の接地面内におけるネガティブ率)は、接地面の全面積に対する、接地面内の全溝面積の割合であり、以下の方法で測定される。
本明細書において、上記タイヤが空気入りタイヤの場合、ネガティブ率は、正規リム、正規内圧、正規荷重条件下における接地形状から計算される。非空気入りタイヤの場合、正規内圧を必要とせずに、同様に測定できる。
「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば ”Design Rim”、或いはETRTOであれば”Measuring Rim”を意味する。
「正規内圧」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表”TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば”INFLATION PRESSURE”を指す。
「正規荷重」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表”TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば”LOAD CAPACITY”を意味する。
接地形状は、正規リムに組み付け、正規内圧を加え、25℃で24時間静置した後、タイヤトレッド表面に墨を塗り、正規荷重を負荷して厚紙に押しつけ(キャンバー角は0°)、紙に転写させることで得られる。
タイヤを周方向に72°ずつ回転させて、5か所で転写させる。すなわち、5回、接地形状を得る。
5つの接地形状について、該輪郭を滑らかにつないだ図形の面積を総面積とし、転写された全体の面積が接地面積となる。これらの5か所の結果について平均値を求め、ネガティブ率(%)は、[1-{厚紙の転写された5つの接地形状(墨部分)の平均面積/厚紙の転写された5つの総面積(該輪郭により得られる図形)の平均面積}]×100(%)で計算される。
ここで、長さや面積の平均値は、5つの値の単純平均である。
本明細書において、上記タイヤが空気入りタイヤの場合、ネガティブ率は、正規リム、正規内圧、正規荷重条件下における接地形状から計算される。非空気入りタイヤの場合、正規内圧を必要とせずに、同様に測定できる。
「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば ”Design Rim”、或いはETRTOであれば”Measuring Rim”を意味する。
「正規内圧」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表”TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば”INFLATION PRESSURE”を指す。
「正規荷重」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表”TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば”LOAD CAPACITY”を意味する。
接地形状は、正規リムに組み付け、正規内圧を加え、25℃で24時間静置した後、タイヤトレッド表面に墨を塗り、正規荷重を負荷して厚紙に押しつけ(キャンバー角は0°)、紙に転写させることで得られる。
タイヤを周方向に72°ずつ回転させて、5か所で転写させる。すなわち、5回、接地形状を得る。
5つの接地形状について、該輪郭を滑らかにつないだ図形の面積を総面積とし、転写された全体の面積が接地面積となる。これらの5か所の結果について平均値を求め、ネガティブ率(%)は、[1-{厚紙の転写された5つの接地形状(墨部分)の平均面積/厚紙の転写された5つの総面積(該輪郭により得られる図形)の平均面積}]×100(%)で計算される。
ここで、長さや面積の平均値は、5つの値の単純平均である。
本発明のタイヤにおいて、トレッド部に形成された周方向溝の溝深さDは、好ましくは13.0mm以下、より好ましくは10.0mm以下、更に好ましくは8.0mm以下、特に好ましくは7.0mm以下であり、また、好ましくは3.0mm以上、より好ましくは4.0mm以上、更に好ましくは5.0mm以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、周方向溝の溝深さDとは、トレッド最表面の接地面を形成する面を延長した面の法線に沿って計測され、該接地面を形成する面を延長した面から最深の溝底までの距離を意味し、備えられた周方向溝の溝深さのうち、最大の距離を指す。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤ1の一部を示す、子午線方向に切った断面図である。なお、本発明のタイヤは、以下の形態に限定されるものではない。
図1において、上下方向がタイヤ半径方向(以下、単に半径方向ともいう)であり、左右方向がタイヤ軸方向(以下、単に軸方向ともいう)であり、紙面に垂直な方向がタイヤ周方向(以下、単に周方向ともいう)である。このタイヤ1は、図1中の中心線CLに関してほぼ左右対称の形状を呈する。この中心線CLは、トレッドセンターラインとも呼び、タイヤ1の赤道面EQを表す。
このタイヤ1は、トレッド部2、サイドウォール部3、ビード部4、カーカス5及びベルト6を備えている。このタイヤ1は、チューブレスタイプである。
トレッド部2はトレッド面7を備えている。トレッド面7は、タイヤ1の子午線方向に切った断面において、半径方向外向きに凸な形状を呈している。このトレッド面7は路面と接地する。トレッド面7には、周方向に延びる複数本の溝8が刻まれている。この溝8により、トレッドパターンが形成されている。トレッド部2のタイヤ軸方向(タイヤ幅方向)外方部分はショルダー部15と呼ばれる。サイドウォール部3は、トレッド部2の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール部3は架橋ゴムなどからなる。
図1に示されるように、ビード部4は、サイドウォール部3よりも半径方向略内側に位置している。ビード部4は、コア10と、このコア10から半径方向外向きに延びるエイペックス11とを備えている。コア10は、タイヤの周方向に沿ってリング状を呈している。コア10は、非伸縮性ワイヤーが巻かれてなる。典型的には、コア10にスチール製ワイヤーが用いられる。エイペックス11は半径方向外向きに先細りである。エイペックス11は高硬度な架橋ゴムなどからなる。
本実施形態では、カーカス5はカーカスプライ12からなる。カーカスプライ12は、両側のビード部4の間に架け渡されており、トレッド部2及びサイドウォール部3の内側に沿っている。カーカスプライ12は、コア10の周りを、タイヤ軸方向内側から外側に向かって折り返されている。図示されていないが、カーカスプライ12は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードが赤道面EQ(CL)に対してなす角度の絶対値は、通常は70°から90°である。換言すれば、このカーカス5はラジアル構造を有する。
本実施形態では、ベルト6はカーカス5の半径方向外側に位置している。ベルト6はカーカス5に積層されている。ベルト6はカーカス5を補強する。ベルト6は、内層ベルト13及び外層ベルト14からなるものが挙げられる。本実施形態では、両ベルト13、14の幅が異なっている。
図示されていないが、内層ベルト13及び外層ベルト14のそれぞれは、通常、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードは、赤道面EQに対して傾斜することが望ましい。内層ベルト13のコードの傾斜方向は、外層ベルトのコードの傾斜方向とは逆であることが望ましい。
図示されていないが、ベルト6のタイヤ半径方向外側にバンドが積層されている形態でもよい。このバンドの幅はベルト6の幅よりも大きい。このバンドは、コードとトッピングゴムとからなるものが挙げられる。コードは、螺旋状に巻かれている。このコードによりベルトが拘束されるので、ベルト6のリフティングが抑制される。コードは、有機繊維からなることが望ましい。好ましい有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
図示されていないが、ベルト6のタイヤ半径方向外側であって、かつベルト6の幅方向端部(エッジ部)近傍に、エッジバンドが配設されている形態でもよい。このエッジバンドも、上記バンドと同様、コードとトッピングゴムとからなるものが挙げられる。上記エッジバンドの一例としては、幅広の内層ベルト13のステップ20部の上面に積層されるものが挙げられる。このエッジバンドのコードは、幅狭の外層ベルト14のコードの方向と同一方向に傾斜し、幅広の内層ベルト13のコードとバイアスする形態が挙げられる。
図示されていないが、ベルト6の幅方向端部近傍において、クッションゴム層がカーカス5と積層されている形態でもよい。クッション層は、軟質な架橋ゴムからなる形態が挙げられる。クッション層は、ベルトの端の応力を吸収する。
図2には、本タイヤ1のトレッド部2のタイヤ軸を含む平面で切った断面が示されている。図1、2において、赤道EQの位置であるクラウンセンター17が「トレッド部2のタイヤ半径方向断面の赤道面」に相当する。
タイヤ1では、トレッド部2を構成するトレッド用ゴム組成物(加硫後のゴム組成物)の灰分量Ash(質量%)と、タイヤ1のクラウンセンター17におけるトレッド部2の厚さG(トレッド面7から外層ベルト14の上面までのタイヤ半径方向の寸法)とが、前記式(3)を充足している。
タイヤ1のトレッド部2には、周方向溝8が備えられている。タイヤ1において、周方向溝8の溝深さDは、トレッド面7の接地面を形成する面を延長した面から最深の溝底までの法線方向の距離であり、複数の周方向溝8のうち、最も深く形成された溝の深さを指す。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
実施例及び比較例で使用する各種薬品について、まとめて説明する。
NR:TSR20
SBR:日本ゼオン(株)製のNS616(非油展SBR、スチレン量21質量%、ビニル含量66mol%、Tg-23℃、Mw24万)
BR:宇部興産(株)製のBR150B(シス含量:97質量%)
カーボンブラック:三菱ケミカル(株)製のダイアブラックI(N220、N2SA114m2/g、DBP114ml/100g)
シリカ1:ローディア社製のZEOSIL 1115MP(N2SA115m2/g)
シリカ2:エボニックデグッサ社製のウルトラシルVN3(N2SA175m2/g)
シリカ3:デグッサ社製の9100Gr(N2SA235m2/g)
オイル:H&R社製のVIVATEC400/500(TDAEオイル)
シランカップリング剤:エボニックデグッサ社製のSi266(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
固体樹脂:ヤスハラケミカル(株)製のYSレジンPX850(軟化点85℃、β-ピネン樹脂(テルペン系樹脂))
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C(老化防止剤、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
ワックス:日本精鑞(株)製のオゾエース0355
ステアリン酸:日油(株)製の椿
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’-ジフェニルグアニジン)
NR:TSR20
SBR:日本ゼオン(株)製のNS616(非油展SBR、スチレン量21質量%、ビニル含量66mol%、Tg-23℃、Mw24万)
BR:宇部興産(株)製のBR150B(シス含量:97質量%)
カーボンブラック:三菱ケミカル(株)製のダイアブラックI(N220、N2SA114m2/g、DBP114ml/100g)
シリカ1:ローディア社製のZEOSIL 1115MP(N2SA115m2/g)
シリカ2:エボニックデグッサ社製のウルトラシルVN3(N2SA175m2/g)
シリカ3:デグッサ社製の9100Gr(N2SA235m2/g)
オイル:H&R社製のVIVATEC400/500(TDAEオイル)
シランカップリング剤:エボニックデグッサ社製のSi266(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
固体樹脂:ヤスハラケミカル(株)製のYSレジンPX850(軟化点85℃、β-ピネン樹脂(テルペン系樹脂))
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C(老化防止剤、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
ワックス:日本精鑞(株)製のオゾエース0355
ステアリン酸:日油(株)製の椿
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’-ジフェニルグアニジン)
(実施例及び比較例)
各表に示す配合内容に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得る。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得る。得られる未加硫ゴム組成物をトレッド部の形状に成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、150℃の条件下で12分間プレス加硫し、試験用タイヤ(サイズ:175/60R18)を製造する。
各表に示す配合内容に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得る。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得る。得られる未加硫ゴム組成物をトレッド部の形状に成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、150℃の条件下で12分間プレス加硫し、試験用タイヤ(サイズ:175/60R18)を製造する。
得られた試験用タイヤを用いて、下記物性測定、評価を行い、結果を各表に示す。なお、表1、2の基準比較例は、以下とする。
表1、2の低燃費性の基準例:比較例1-8、2-8
表1、2の高速走行時の耐摩耗性の基準例:比較例1-3、2-3
表1、2の低燃費性の基準例:比較例1-8、2-8
表1、2の高速走行時の耐摩耗性の基準例:比較例1-3、2-3
<ポリマー量(PC)>
上記試験用タイヤのトレッドから切り出したゴム試験片について、JIS K 6229:2015に準拠したアセトン抽出量の測定方法により、アセトン抽出を行う。
アセトン抽出後のサンプルについて、JIS K6226-1:2003に準じて、窒素中の加熱(室温から750℃へ上昇させる)により有機物を熱分解・気化させたときの減量分(質量)を測定し、それに基づいてPC(質量%)を算出する。
上記試験用タイヤのトレッドから切り出したゴム試験片について、JIS K 6229:2015に準拠したアセトン抽出量の測定方法により、アセトン抽出を行う。
アセトン抽出後のサンプルについて、JIS K6226-1:2003に準じて、窒素中の加熱(室温から750℃へ上昇させる)により有機物を熱分解・気化させたときの減量分(質量)を測定し、それに基づいてPC(質量%)を算出する。
<灰分量(Ash)>
前記ポリマー量(PC)における熱分解・気化させた後のサンプルについて、空気中の加熱により酸化燃焼させる。
そして、酸化燃焼で燃焼しなかった成分(灰分)の質量を測定し、それに基づいてAsh(質量%)を算出する。
前記ポリマー量(PC)における熱分解・気化させた後のサンプルについて、空気中の加熱により酸化燃焼させる。
そして、酸化燃焼で燃焼しなかった成分(灰分)の質量を測定し、それに基づいてAsh(質量%)を算出する。
<高速走行時の耐摩耗性>
各試験用タイヤを車両に装着して、平均時速100kmで50,000km走行後のトレッド部の溝深さを測定する。測定値から、トレッド部の摩耗量を算出し、評価基準を100として指数表示する。指数が大きいほど、摩耗量が少なく、高速走行時の耐摩耗性が良好であることを示す。
各試験用タイヤを車両に装着して、平均時速100kmで50,000km走行後のトレッド部の溝深さを測定する。測定値から、トレッド部の摩耗量を算出し、評価基準を100として指数表示する。指数が大きいほど、摩耗量が少なく、高速走行時の耐摩耗性が良好であることを示す。
<低燃費性>
転がり抵抗試験機を用い、各試験用タイヤを、リム(15×6JJ)、内圧(230kPa)、荷重(3.43kN)、速度(80km/h)で走行させたときの転がり抵抗を測定し、基準比較例を100とした時の指数で表示する(低燃費性指数)。指数が大きいほど、転がり抵抗が小さく、低燃費性に優れることを示す。
転がり抵抗試験機を用い、各試験用タイヤを、リム(15×6JJ)、内圧(230kPa)、荷重(3.43kN)、速度(80km/h)で走行させたときの転がり抵抗を測定し、基準比較例を100とした時の指数で表示する(低燃費性指数)。指数が大きいほど、転がり抵抗が小さく、低燃費性に優れることを示す。
前記式(1)~(3)を満たす実施例のタイヤは、高速走行時の耐摩耗性に優れている。
本発明(1)はトレッド部を備えたタイヤであって、
前記トレッド部を構成するゴム組成物のポリマー量PC(質量%)及び灰分量Ash(質量%)、トレッド部のタイヤ半径方向断面の赤道面上における厚さG(mm)が、下記式(1)~(3)を満たすタイヤである。
(1)PC≧55質量%
(2)10質量%≦Ash≦25質量%
(3)Ash×G≦250
前記トレッド部を構成するゴム組成物のポリマー量PC(質量%)及び灰分量Ash(質量%)、トレッド部のタイヤ半径方向断面の赤道面上における厚さG(mm)が、下記式(1)~(3)を満たすタイヤである。
(1)PC≧55質量%
(2)10質量%≦Ash≦25質量%
(3)Ash×G≦250
本発明(2)は下記式を満たす本発明(1)記載のタイヤである。
PC≧63質量%
PC≧63質量%
本発明(3)は下記式を満たす本発明(1)又は(2)記載のタイヤである。
10質量%≦Ash≦18質量%
10質量%≦Ash≦18質量%
本発明(4)は下記式を満たす本発明(1)~(3)のいずれかに記載のタイヤである。
Ash×G≦160
Ash×G≦160
本発明(5)は下記式を満たす本発明(1)~(4)のいずれかに記載のタイヤである。
G≦10mm
G≦10mm
本発明(6)は、前記ゴム組成物が、ゴム成分100質量%中のスチレンブタジエンゴムの含有量が80~95質量%、ブタジエンゴムの含有量が5~20質量%である本発明(1)~(5)のいずれかに記載のタイヤである。
本発明(7)は、前記ゴム組成物が、ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量が10~45質量部である本発明(1)~(6)のいずれかに記載のタイヤである。
本発明(8)は前記ゴム組成物が固体樹脂を含む本発明(1)~(6)のいずれかに記載のタイヤである。
本発明(9)はトレッド部のネガティブ率S(%)が30%以下である本発明(1)~(8)のいずれかに記載のタイヤである。
本発明(10)は周方向溝の溝深さDが8.0mm以下である本発明(1)~(9)のいずれかに記載のタイヤである。
本発明(11)は乗用車用タイヤである本発明(1)~(10)のいずれかに記載のタイヤである。
1 タイヤ
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 カーカス
6 ベルト
7 トレッド面
8 溝
10 コア
11 エイペックス
12 カーカスプライ
13 内層ベルト
14 外層ベルト
15 ショルダー部
17 クラウンセンター(トレッドセンターラインCL、タイヤ1の赤道面EQ)
20 ステップ
D 周方向溝の溝深さ
G トレッド部のタイヤ半径方向断面の赤道面上における厚さ
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 カーカス
6 ベルト
7 トレッド面
8 溝
10 コア
11 エイペックス
12 カーカスプライ
13 内層ベルト
14 外層ベルト
15 ショルダー部
17 クラウンセンター(トレッドセンターラインCL、タイヤ1の赤道面EQ)
20 ステップ
D 周方向溝の溝深さ
G トレッド部のタイヤ半径方向断面の赤道面上における厚さ
Claims (11)
- トレッド部を備えたタイヤであって、
前記トレッド部を構成するゴム組成物のポリマー量PC(質量%)及び灰分量Ash(質量%)、トレッド部のタイヤ半径方向断面の赤道面上における厚さG(mm)が、下記式(1)~(3)を満たすタイヤ。
(1)PC≧55質量%
(2)10質量%≦Ash≦25質量%
(3)Ash×G≦250 - 下記式を満たす請求項1記載のタイヤ。
PC≧63質量% - 下記式を満たす請求項1又は2記載のタイヤ。
10質量%≦Ash≦18質量% - 下記式を満たす請求項1又は2記載のタイヤ。
Ash×G≦160 - 下記式を満たす請求項1又は2記載のタイヤ。
G≦10mm - 前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中のスチレンブタジエンゴムの含有量が80~95質量%、ブタジエンゴムの含有量が5~20質量%である請求項1又は2記載のタイヤ。
- 前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量が10~45質量部である請求項1又は2記載のタイヤ。
- 前記ゴム組成物が固体樹脂を含む請求項1又は2記載のタイヤ。
- トレッド部のネガティブ率S(%)が30%以下である請求項1又は2記載のタイヤ。
- 周方向溝の溝深さDが8.0mm以下である請求項1又は2記載のタイヤ。
- 乗用車用タイヤである請求項1又は2記載のタイヤ。
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2022
- 2022-09-26 JP JP2022152700A patent/JP2023088837A/ja active Pending
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EP4197806A1 (en) | 2023-06-21 |
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