JP2023086324A - 栄養組成物 - Google Patents

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郁美 小嶋
Ikumi Kojima
朋之 岡本
Tomoyuki Okamoto
博芳 矢吹
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Abstract

【課題】本技術は、吸収されやすく且つ沈殿生成が抑制された栄養組成物を提供することを目的とする。【解決手段】本技術は、たんぱく質分解物と、水溶性カルシウム塩と、を含む栄養組成物を提供する。前記前記水溶性カルシウム塩は、20℃の水への溶解度が1g/100ml以上であってよい。好ましい実施態様において、前記栄養組成物は、水不溶性マグネシウム塩をさらに含む。前記水不溶性マグネシウム塩は、20℃の水への溶解度が0.5g/100ml以下であってよい。【選択図】なし

Description

本技術は、栄養組成物に関し、特にはたんぱく質分解物を含む栄養組成物に関する。
外科手術後などの急性期の患者や、下痢症の患者などは、しばしば消化吸収能が低下している。消化吸収能が低下した患者の栄養補給のために流動食が用いられることがある。流動食の例として、消化態流動食及び半消化態流動食を挙げることができ、これらは含まれる窒素源における違いがある。消化態流動食は、含まれる窒素源がペプチド(特には低分子ペプチド)及び/又はアミノ酸である流動食である。一方で、半消化態流動食は、窒素源としてたんぱく質を配合している。
流動食に関して、いくつかの提案がされており、例えば、下記特許文献1には、「炭素数8~12の脂肪酸を含有する油脂と、大豆蛋白質分解物を含有する、ケトン食用の栄養組成物。」が開示されている。
特開2020-092691号公報
消化態流動食は、消化の過程が行われることなく吸収されることができ、半消化態流動食と比べて吸収されやすい。また、栄養組成物によるミネラル供給のために、栄養組成物中のミネラル含有量を高めることが求められる場合がある。しかしながら、ミネラル含有量が高くなると沈殿の問題が生じる場合があり、この問題は例えば消化態流動食において生じやすい。
以上を踏まえ、本技術は、吸収されやすく且つ沈殿が生じにくい栄養組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、特定の栄養組成物が、吸収されやすく且つ沈殿が生じにくいことを見出した。
すなわち、本技術は以下を提供する。
[1]たんぱく質分解物と、
水溶性カルシウム塩と、
を含む栄養組成物。
[2]前記水溶性カルシウム塩は、20℃の水への溶解度が1g/100ml以上である、[1]に記載の栄養組成物。
[3]前記栄養組成物は、脂質をさらに含む、[1]又は[2]に記載の栄養組成物。
[4]前記栄養組成物は、乳化組成物である、[1]~[3]のいずれか一つに記載の栄養組成物。
[5]前記栄養組成物は、水不溶性マグネシウム塩をさらに含む、[1]~[4]のいずれか一つに記載の栄養組成物。
[6]前記水不溶性マグネシウム塩は、20℃の水への溶解度が0.5g/100ml以下である、[5]に記載の栄養組成物。
[7]前記栄養組成物は液状である、[1]~[6]のいずれか一つに記載の栄養組成物。
[8]前記栄養組成物の粘度は50mPa・s以下である、[1]~[7]のいずれか一つに記載の栄養組成物。
本技術の栄養組成物は、たんぱく質分解物を含むので吸収性に優れており、且つ、たんぱく質分解物を含むにも関わらず沈殿が生じにくい。例えば、本技術の栄養組成物は、加熱殺菌工程に付された場合においても沈殿が生じにくい。
なお、本技術の効果は、ここに記載された効果に限定されず、本明細書内に記載されたいずれかの効果であってもよい。
以下に本技術の好ましい実施形態について説明する。ただし、本技術は以下の好ましい実施形態のみに限定されず、本技術の範囲内で自由に変更することができる。
本技術の栄養組成物は、たんぱく質分解物と水溶性カルシウム塩とを含む。水溶性カルシウム塩によって、たんぱく質分解物を含む栄養組成物における沈殿の発生を防ぐことができる。また、当該栄養組成物に含まれるたんぱく質分解物は吸収されやすいという利点を有する。
一実施態様において、前記栄養組成物は、脂質をさらに含んでよい。特には、本技術の栄養組成物は、乳化組成物であってよい。栄養組成物の乳化状態が不安定である場合に沈殿が発生しやすいところ、本技術による効果は、この実施態様においてより明確に発揮されやすい。さらに、本技術によって、乳化安定性を向上させることもできる。
すなわち、本技術によって、栄養組成物における沈殿の生成を防ぎつつ且つ栄養組成物における乳化安定性を向上させることもできる。
また、本技術の栄養組成物は流動性を有してよく、すなわち流動性栄養組成物であってよい。これにより、本技術の栄養組成物は、経管的に投与することができ、また、経口的に投与された場合においては摂食嚥下しやすい。また、経管的に投与された場合においては、胃酸による凝集が発生しにくいため、チューブの詰まりも起こりにくい。
好ましくは、当該栄養組成物は、前記脂質として少なくともステアリン酸を含み、かつ、前記脂質の全脂肪酸含有量に占めるステアリン酸の含有量の割合が、7.2質量%以上であってよい。
流動食は、例えば必須脂肪酸の補給やエネルギー調整のためにしばしば脂質を含む。脂質も乳化安定性に影響しうる。例えば単位量当たりのエネルギーを高めるためなどの目的で脂質含有量を高めた場合に、乳化安定性に関する問題が生じやすい。
この実施態様において、上記脂肪酸組成によって、たんぱく質分解物を含む栄養組成物の乳化安定性を向上させることができる。例えば、このような脂肪酸組成によって、加熱殺菌された場合における分離を防ぐことができる。
以下で、本技術の組成物について、より詳細に説明する。
(1)たんぱく質分解物
本技術の栄養組成物に含まれるたんぱく質分解物は、例えば動物性たんぱく質分解物又は植物性たんぱく質分解物であってよい。前記動物性たんぱく質分解物としては、乳たんぱく質分解物、鶏卵たんぱく質分解物、魚たんぱく質分解物、及び肉たんぱく質分解物が挙げられる。前記植物性たんぱく質分解物として、大豆たんぱく質分解物、エンドウ豆たんぱく質分解物及び小麦たんぱく質分解物が挙げられる。本技術の栄養組成物に含まれるたんぱく質分解物は、これら列挙されたたんぱく質分解物のうちのいずれか1つ又は2つ以上の組合せを含んでよい。
好ましい実施態様において、本技術の栄養組成物に含まれるたんぱく質分解物は、乳たんぱく質分解物、大豆たんぱく質分解物、又はこれらの組合せであってよい。これらたんぱく質分解物を採用した場合に、本技術の効果がより効果的に発揮される。
より好ましい実施態様において、本技術の栄養組成物に含まれるたんぱく質分解物は、乳たんぱく質分解物である。前記乳たんぱく質分解物は、例えばカゼイン分解物、乳清たんぱく質分解物、又はこれら2つの分解物の組合せを含んでよい。
本技術の栄養組成物のたんぱく質分解物含有量は、当該栄養組成物100kcal当たり、例えば1.0g以上、好ましくは2.0g以上、より好ましくは2.5g以上、さらにより好ましくは3.0g以上であってよい。また、本技術の栄養組成物のたんぱく質分解物含有量は、当該栄養組成物100kcal当たりで例えば15.0g以下、好ましくは12.0g以下、より好ましくは10.0g以下、さらにより好ましくは8.0g以下であってよい。これにより、窒素源を効率的に摂取することができる。また、本技術によって、栄養組成物のたんぱく質分解物含有量がこのように高い場合においても、乳化安定性の向上という効果が奏される。
特に好ましい実施態様において、本技術の栄養組成物に含まれるたんぱく質分解物は、カゼイン分解物及び乳清たんぱく質分解物の組合せを含み、例えば当該組合せのみを含んでもよい。前記栄養組成物中におけるカゼイン分解物及び乳清たんぱく質分解物の含有質量比は、例えば10:90~90:10、好ましくは50:50~90:10、より好ましくは60:40~90:10、さらにより好ましくは60:40~80:20であり、特に好ましくは65:35~75:25である。このような含有質量比によって、これら分解物の生体内での利用効率が高まるという効果が奏される。
前記栄養組成物中のカゼイン分解物の含有量は、当該栄養組成物100kcal当たり、例えば0.2g以上、好ましくは1.0g以上、より好ましくは1.5g以上であってよい。また、本技術の栄養組成物中のカゼイン分解物の含有量は、当該栄養組成物100kcal当たりで例えば12.0g以下、好ましくは9.0g以下、より好ましくは7.5g以下であってよい。
前記栄養組成物中の乳清たんぱく質分解物の含有量は、当該栄養組成物100kcal当たり、例えば0.1g以上、好ましくは0.5g以上、より好ましくは0.8g以上であってよい。また、本技術の栄養組成物中の乳清たんぱく質分解物の含有量は、当該栄養組成物100kcal当たりで例えば8.0g以下、好ましくは6.0g以下、より好ましくは5.0g以下であってよい。
前記たんぱく質分解物は、当技術分野で公知の方法により製造されてよく、例えば酵素又は酸を用いてたんぱく質を加水分解することにより製造された分解物であってよいが、プロテアーゼにより加水分解することで製造された分解物であることが好ましい。
前記乳たんぱく質分解物の数平均分子量は、例えば1200以下、好ましくは900以下、より好ましくは600以下であってよい。
また、前記乳たんぱく質分解物の数平均分子量は、例えば100以上、好ましくは200以上、より好ましくは300以上であってよい。
前記カゼイン分解物の数平均分子量は、例えば1000以下、好ましくは700以下、より好ましくは400以下であってよい。
また、前記カゼイン分解物の数平均分子量は、例えば100以上、好ましくは200以上、より好ましくは300以上であってよい。
前記乳清たんぱく質分解物の数平均分子量は、例えば1200以下、好ましくは900以下、より好ましくは600以下であってよい。
また、前記乳清たんぱく質分解物の数平均分子量は、例えば100以上、好ましくは200以上、より好ましくは300以上であってよい。
本明細書内において、たんぱく質分解物の数平均分子量は、以下の数平均分子量の概念により求めるものである。
数平均分子量(Number Average of Molecular Weight)は、例えば文献(社団法人高分子学会編、「高分子科学の基礎」、第116~119頁、株式会社東京化学同人、1978年)に記載されているとおり、高分子化合物の分子量の平均値を次のとおり異なる指標に基づき示すものである。
すなわち、たんぱく質分解物等の高分子化合物は不均一な物質であり、かつ分子量に分布があるため、たんぱく質分解物の分子量は、物理化学的に取り扱うためには、平均分子量で示す必要があり、数平均分子量(以下、Mnと略記することがある。)は、分子の個数についての平均であり、ペプチド鎖iの分子量がMiであり、その分子数をNiとすると、次の式により定義される。
Figure 2023086324000001
本明細書において、たんぱく質分解物の数平均分子量は、以下の方法で測定及び算出したものをいう。すなわち、高速液体クロマトグラフィーを使用して、ポリヒドロキシエチル・アスパルタミド・カラム(Poly Hydroxyethyl Aspartamide Column:ポリ・エル・シー(Poly LC)社製;直径4.6×200mm)を用い、20mM塩化ナトリウム、50mMギ酸により溶出速度0.4mL/分で溶出する(宇井信生ら編、「タンパク質・ペプチドの高速液体クロマトグラフィー」、化学増刊第102号、第241頁、株式会社化学同人、1984年)。検出は、UV検出器(島津製作所社製)を使用して行い、GPC分析システム(島津製作所社製)によりデータ解析して数平均分子量を算出する。なお、分子量算出のための標品は、分子量が既知のたんぱく質及び/又はペプチドを適宜用いればよい。
(2)脂質
一実施態様において、本技術の栄養組成物は脂質を含んでよい。当該脂質は、ステアリン酸を含んでよく、より好ましくはステアリン酸及びパルミチン酸を含む。前記脂質がステアリン酸を含むこと、特にはステアリン酸及びパルミチン酸を含むことが、本技術の栄養組成物の乳化安定性の向上に貢献し、例えば加熱殺菌時における分離を防ぐことに貢献する。
本技術の栄養組成物の脂質含有量は、当該栄養組成物100kcal当たり例えば1.0g以上、好ましくは1.5g以上、より好ましくは2.0g以上であってよい。また、本技術の栄養組成物の脂質含有量は、当該栄養組成物100kcal当たり、例えば8.0g以下、好ましくは7.0g以下、より好ましくは6.0g以下、さらにより好ましくは5.0g以下、特に好ましくは4.0g以下であってよい。本技術の栄養組成物は、このような量で脂質を含み且つ当該脂質がステアリン酸を含むことによって、特にはステアリン酸及びパルミチン酸を含むことによって、乳化安定性向上効果がより効果的に発揮することができる。
(ステアリン酸)
前記脂質の全脂肪酸含有量に占めるステアリン酸(C18:0)の含有量の割合は、7.2質量%以上であってよく、好ましくは7.4質量%以上、より好ましくは7.6質量%以上である。ステアリン酸含有量がこのような下限値以上であることは、本技術の栄養組成物の乳化安定性の向上に貢献し、例えば加熱殺菌時における分離を防ぐことに貢献する。
前記脂質の全脂肪酸含有量に占めるステアリン酸の含有量の割合は、例えば15.0質量%以下であり、好ましくは14.0質量%以下、より好ましくは13.0質量%以下である。
好ましい実施態様において、前記脂質の全脂肪酸含有量に占めるステアリン酸の含有量の割合は、12.0質量%以下であり、より好ましくは11.5質量%以下、さらにより好ましくは11.0質量%以下である。ステアリン酸含有量の前記割合がこのような上限値以下であることによって、本技術の栄養組成物の乳化安定性をさらに向上させることができ、例えば加熱殺菌時における分離をより効果的に防ぐことができる。
(パルミチン酸)
前記脂質の全脂肪酸含有量に占めるパルミチン酸(C16:0)の含有量の割合は、11.7質量%以上であってよく、好ましくは11.8質量%以上、より好ましくは11.9質量%以上である。パルミチン酸含有量がこのような下限値以上であることは、本技術の栄養組成物の乳化安定性の向上に貢献し、例えば加熱殺菌時における分離を防ぐことに貢献する。
前記脂質の全脂肪酸含有量に占めるパルミチン酸の含有量の割合は、例えば18.0質量%以下であり、好ましくは17.0質量%以下、より好ましくは16.0質量%以下である。
特に好ましい実施態様において、前記脂質の全脂肪酸含有量に占めるパルミチン酸の含有量の割合は、15.0質量%以下であり、より好ましくは14.0質量%以下、さらにより好ましくは13.0質量%以下である。パルミチン酸含有量の前記割合がこのような上限値以下であることによって、本技術の栄養組成物の乳化安定性をさらに向上させることができ、例えば加熱殺菌時における分離をより効果的に防ぐことができる。
本技術の特に好ましい実施態様において、前記脂質の全脂肪酸含有量に占めるステアリン酸の含有量の割合は、7.2質量%以上であり、好ましくは7.4質量%以上、より好ましくは7.6質量%以上であり、且つ、前記脂質の全脂肪酸含有量に占めるパルミチン酸の含有量の割合は、11.7質量%以上であり、好ましくは11.8質量%以上、より好ましくは11.9質量%以上である。このようなパルミチン酸及びステアリン酸の含有量の割合は、たんぱく質分解物を含む栄養組成物における乳化安定性の向上のために特に適している。
(n-6系脂肪酸)
前記脂質は、さらにn-6系脂肪酸を含んでよい。前記n-6系脂肪酸は、例えばリノール酸(C18:2)及びアラキドン酸(C20:4)のうちのいずれか1つ又は2つを含んでよい。好ましくは、前記n-6系脂肪酸は、リノール酸を含む。例えば以下に記載する割合でn-6系脂肪酸を含むことが、本技術の栄養組成物における乳化安定性の向上に貢献していると考えられる。
前記脂質の全脂肪酸含有量に占める前記n-6系脂肪酸の含有量の割合は、好ましくは11.6質量%以下であり、より好ましくは11.5質量%以下であり、さらにより好ましくは11.4質量%以下である。n-6系脂肪酸含有量をこのように設定することも、本技術の栄養組成物の乳化安定性の向上に貢献し、例えば加熱殺菌時における分離を防ぐことに貢献する。
前記脂質の全脂肪酸含有量に占めるn-6系脂肪酸の含有量の割合は、例えば4.0質量%以上であり、好ましくは5.0質量%以上、より好ましくは6.0質量%以上である。
本技術の特に好ましい実施態様において、前記脂質の全脂肪酸含有量に占めるn-6系脂肪酸の含有量の割合は、6.5質量%以上であり、好ましくは7.0質量%以上、より好ましくは8.0質量%以上である。このようなn-6系脂肪酸の含有量の割合は、たんぱく質分解物を含む栄養組成物における乳化安定性の向上のために特に適している。
好ましい実施態様において、前記脂質はリノール酸を含み、前記脂質の全脂肪酸含有量に占める前記リノール酸の含有量の割合が、好ましくは11.3質量%以下であり、より好ましくは11.2質量%以下であり、さらにより好ましくは11.1質量%以下である。また、前記脂質の全脂肪酸含有量に占める前記リノール酸の含有量の割合は、例えば4.0質量%以上であり、好ましくは5.0質量%以上、より好ましくは6.0質量%以上である。
特に好ましい実施態様において、前記脂質の全脂肪酸含有量に占めるリノール酸の含有量の割合は、6.5質量%以上であり、好ましくは7.0質量%以上、より好ましくは7.5質量%以上である。このようなリノール酸の含有量の割合は、たんぱく質分解物を含む栄養組成物における乳化安定性の向上のために特に適している。
前記脂質はアラキドン酸を含んでもよい。前記脂質の全脂肪酸含有量に占める前記アラキドン酸の含有量の割合が、好ましくは0.6質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以下であり、さらにより好ましくは0.4質量%以下である。また、前記脂質の全脂肪酸含有量に占める前記アラキドン酸の含有量の割合は、例えば0.01質量%以上であり、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上である。
本技術の栄養組成物中の前記n-6系脂肪酸の含有量は、当該栄養組成物100kcal当たり例えば0.05g以上、好ましくは0.1g以上、より好ましくは0.15g以上であってよい。また、本技術の栄養組成物中の前記n-6系脂肪酸の含有量は、当該栄養組成物100kcal当たり例えば0.5g以下、好ましくは0.4g以下、より好ましくは0.3g以下であってよい。
(中鎖脂肪酸)
前記脂質は、例えば、中鎖脂肪酸を含んでよい。前記中鎖脂肪酸は、例えばカプロン酸(C6:0)、カプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、及びラウリン酸(C12:0)のうちのいずれか1つ、2つ、3つ、又は4つ全てであってよい。好ましくは、前記中鎖脂肪酸は、カプリル酸及びカプリン酸の組合せであってよい。例えば以下に記載する割合で中鎖脂肪酸を含むことが、本技術の栄養組成物における乳化安定性の向上に貢献していると考えられる。
前記脂質の全脂肪酸含有量に占める中鎖脂肪酸の含有量(特にはカプリル酸及びカプリン酸の合計含有量)の割合は、例えば30質量%以上であり、好ましくは31質量%以上、より好ましくは32質量%以上である。
前記脂質の全脂肪酸含有量に占める中鎖脂肪酸の含有量(特にはカプリル酸及びカプリン酸の合計含有量)の割合は、例えば40質量%以下、好ましくは39質量%以下、より好ましくは38質量%以下である。
本技術の栄養組成物中の前記中鎖脂肪酸の含有量(特にはカプリル酸及びカプリン酸の合計含有量)は、当該栄養組成物100kcal当たり例えば0.4g以上、好ましくは0.5g以上、より好ましくは0.6g以上であってよい。また、本技術の栄養組成物中の前記中鎖脂肪酸の含有量は、当該栄養組成物100kcal当たり例えば1.4g以下、好ましくは1.2g以下、より好ましくは1.0g以下であってよい。
(n-3系脂肪酸)
前記脂質は、例えば、n-3系脂肪酸を含んでよい。前記n-3系脂肪酸は、例えばEPA(C20:5)、DPA(C22:5)、DHA(C22:6)、及びα-リノレン酸(C18:3)のうちのいずれか1つ、2つ、3つ、又は4つ全てを含んでよい。好ましくは、前記n-3系脂肪酸は、EPA、DHA、及びα-リノレン酸うちのいずれか1つ、2つ、又は3つ全てを含んでよい。前記n-3系脂肪酸は、例えば魚油、特には精製魚油として、前記栄養組成物中に含まれてよい。例えば以下に記載する割合でn-3系脂肪酸を含むことが、本技術の栄養組成物における乳化安定性の向上に貢献していると考えられる。
前記脂質の全脂肪酸含有量に占めるn-3系脂肪酸の含有量の割合は、例えば5質量%以上であり、好ましくは7質量%以上、より好ましくは9質量%以上である。
前記脂質の全脂肪酸含有量に占めるn-3系脂肪酸の含有量の割合は、例えば15質量%以下、好ましくは13質量%以下、より好ましくは11質量%以下である。
好ましくは、前記脂質はα-リノレン酸(C18:3)を含み、前記脂質の全脂肪酸含有量に占める当該α-リノレン酸の含有量の割合は好ましくは3.5質量%以下、より好ましくは3.25質量%以下である。また、前記脂質の全脂肪酸含有量に占める当該α-リノレン酸の含有量の割合は、例えば1.0質量%以上であり、好ましくは1.5質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上、さらにより好ましくは2.5質量%以上である。
好ましくは、前記脂質はEPA(C20:5)を含み、前記脂質の全脂肪酸含有量に占める当該EPAの含有量の割合は好ましくは7.0質量%以下、より好ましくは6.0質量%以下、さらにより好ましくは5.0質量%以下、特に好ましくは4.8質量%以下である。また、前記脂質の全脂肪酸含有量に占める当該EPAの含有量の割合は、例えば1.0質量%以上であり、好ましくは2.0質量%以上、より好ましくは3.0質量%以上、さらにより好ましくは3.5質量%以上である。
好ましくは、前記脂質はDHA(C22:6)を含み、前記脂質の全脂肪酸含有量に占める当該DHAの含有量の割合は好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは4.0質量%以下、さらにより好ましくは3.5質量%以下、特に好ましくは3.2質量%以下である。また、前記脂質の全脂肪酸含有量に占める当該DHAの含有量の割合は、例えば1.0質量%以上であり、好ましくは1.5質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上、さらにより好ましくは2.5質量%以上である。
本技術の栄養組成物中の前記n-3系脂肪酸の含有量は、当該栄養組成物100kcal当たり例えば0.05g以上、好ましくは0.15g以上、より好ましくは0.2g以上であってよい。また、本技術の栄養組成物中の前記n-6系脂肪酸の含有量は、当該栄養組成物100kcal当たり例えば0.5g以下、好ましくは0.4g以下、より好ましくは0.3g以下であってよい。
(他の不飽和脂肪酸)
前記脂質は、例えば、n-6系脂肪酸及びn-3系脂肪酸以外の不飽和脂肪酸(本明細書内において「他の不飽和脂肪酸」ともいう)を含んでもよい。当該他の不飽和脂肪酸の例として、パルミトレイン酸(C16:1)、オレイン酸(C18:1)、及びエイコセン酸(C20:1)を挙げることができるが、これらに限定されない。
好ましい実施態様において、前記脂質は、オレイン酸(C18:1)を含む。前記脂質の全脂肪酸含有量に占める当該オレイン酸の含有量の割合は好ましくは17.8質量%以下、より好ましくは17.6質量%以下である。また、前記脂質の全脂肪酸含有量に占める当該オレイン酸の含有量の割合は、例えば10.0質量%以上であり、好ましくは11.0質量%以上、より好ましくは12.0質量%以上、さらにより好ましくは13.0質量%以上である。
(飽和脂肪酸)
前記脂質は、飽和脂肪酸を含んでよい。前記飽和脂肪酸は、上記で述べたステアリン酸及びパルミチン酸を包含する。
前記脂質の全脂肪酸含有量に占める飽和脂肪酸の含有量の割合は、好ましくは56.0質量%以上であり、より好ましくは56.2質量%以上であり、さらにより好ましくは56.4質量%以上である。
前記脂質の全脂肪酸含有量に占める飽和脂肪酸の含有量の割合は、好ましくは70.0質量%以下であり、より好ましくは68.0質量%以下であり、さらにより好ましくは65.0質量%以下である。
このような割合で飽和脂肪酸を含むことが、本技術の栄養組成物における乳化安定性の向上に貢献していると考えられる。
本明細書内において、飽和脂肪酸の含有量は、カプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、ペンタデカン酸(C15:0)、パルミチン酸(C16:0)、ヘプタデカン酸(C17:0)、ステアリン酸(C18:0)、及びアラキジン酸(C20:0)の合計含有量である。
一実施態様において、本技術は、たんぱく質分解物、および脂質を含み、前記脂質として少なくとも飽和脂肪酸を含み、かつ、前記脂質の全脂肪酸含有量に占める飽和脂肪酸の含有量の割合が、56.0質量%以上である、栄養組成物を提供する。
好ましい実施態様において、前記脂質の全脂肪酸含有量に占める飽和脂肪酸の含有量の割合は、好ましくは62.0質量%以下であり、より好ましくは61.0質量%以下であり、さらにより好ましくは60.0質量%以下である。
飽和脂肪酸含有量の前記割合がこのような上限値以下であることによって、本技術の栄養組成物の乳化安定性をさらに向上させることができ、例えば加熱殺菌時における分離をより効果的に防ぐことができる。
(不飽和脂肪酸)
前記脂質は、不飽和脂肪酸を含んでよい。前記不飽和脂肪酸は、上記で述べたn-3系脂肪酸及びn-6系脂肪酸を包含する。
前記脂質の全脂肪酸含有量に占める不飽和脂肪酸の含有量の割合は、好ましくは25.0質量%以上であり、より好ましくは27.0質量%以上であり、さらにより好ましくは30.0質量%以上である。
前記脂質の全脂肪酸含有量に占める不飽和脂肪酸の含有量の割合は、好ましくは42.0質量%以下であり、より好ましくは41.8質量%以下であり、さらにより好ましくは41.6質量%以下である。
このような割合で不飽和脂肪酸を含むことが、本技術の栄養組成物における乳化安定性の向上に貢献していると考えられる。
本明細書内において、不飽和脂肪酸の含有量は、パルミトレイン酸(C16:1)、オレイン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2 n-6)、α-リノレン酸(C18:3 n-3)、エイコセン酸(C20:1)、アラキドン酸(C20:4 n-6)、EPA(C20:5 n-3)、DPA(C22:5 n-3)、及びDHA(C22:6 n-3)の合計含有量である。
一実施態様において、本技術は、たんぱく質分解物、および脂質を含み、前記脂質として少なくとも不飽和脂肪酸を含み、かつ、前記脂質の全脂肪酸含有量に占める不飽和脂肪酸の含有量の割合が、42.0質量%以下である、栄養組成物を提供する。
好ましい実施態様において、前記脂質の全脂肪酸含有量に占める不飽和脂肪酸の含有量の割合は、好ましくは32.0質量%以上であり、より好ましくは34.0質量%以上であり、さらにより好ましくは36.0質量%以上である。
不飽和脂肪酸含有量の前記割合がこのような下限値以上であることによって、本技術の栄養組成物の乳化安定性をさらに向上させることができ、例えば加熱殺菌時における分離をより効果的に防ぐことができる。
(脂肪酸組成の測定方法)
以上で述べた脂肪酸の割合は、以下に説明する脂肪酸組成分析方法によって決定される。当該分析方法は、メチルエステル化法に準じて脂肪酸を抽出した後、キャピラリーガスクロマトグラフィーにて分析する方法である。
(脂肪酸組成の調整方法)
本技術の栄養組成物に含まれる脂肪酸の組成は、当該栄養組成物に配合される脂肪酸含有材料(例えば極度硬化油や魚油など)の含有量を調整することによって適宜調整することができる。例えば、パルミチン酸及び/又はステアリン酸の含有量を調整するために、極度硬化油の含有質量が調整されてよい。
例えば、本技術の栄養組成物に含まれる全脂質の含有量に対する極度硬化油の含有量の割合は、例えば2質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは4質量%以上であってよい。また、本技術の栄養組成物に含まれる全脂質の含有量に対する極度硬化油の含有量の割合は、例えば15質量%以下、好ましくは13質量%以下、より好ましくは11質量%以下、さらにより好ましくは10質量%以下であってよい。
例えば、本技術の栄養組成物の極度硬化油の含有量は、、当該栄養組成物100kcal当たり、好ましくは0.04g以上、より好ましくは0.06g以上であってよい。本技術の栄養組成物の極度硬化油の含有量は、当該栄養組成物100kcal当たり、好ましくは0.25g以下、より好ましくは0.20g以下、さらにより好ましくは0.18g以下であってよい。当該極度硬化油は、パルミチン酸及び/又はステアリン酸を含むものであってよい。
極度硬化油をこのような含有割合で含むことが、当該栄養組成物の乳化安定性の向上に貢献していると考えられる。
(3)塩類
本技術の栄養組成物は、塩類を含む。当該塩類として、当該栄養組成物は、水溶性カルシウム塩を含む。当該水溶性カルシウム塩は、当該栄養組成物における沈殿生成を抑制するという効果を発揮する。
特に好ましい実施態様において、本技術の栄養組成物は、当該塩類として、水溶性カルシウム塩と水不溶性マグネシウム塩との組合せを含む。当該組合せを含む場合において、たんぱく質分解物を含む栄養組成物における沈殿生成抑制及び乳化安定性の向上という効果が発揮される。
(水溶性カルシウム塩)
本明細書内において、前記水溶性カルシウム塩は、例えば20℃の水への溶解度が1g/100ml以上、好ましくは2g/100ml以上、より好ましくは3g/100ml以上である。前記溶解度は、さらにより好ましくは5g/100ml以上又は10g/100ml以上であってもよい。前記溶解度の上限は特に限定されなくてよいが、例えば300g/100ml以下、200g/100ml以下、又は100g/100ml以下であってよい。
前記水溶性カルシウム塩の例として、塩化カルシウムを挙げることができる。
前記栄養組成物中の前記水溶性カルシウム塩の含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、好ましくは0.05g以上、より好ましくは0.10g以上、さらにより好ましくは0.12g以上であってよい。また、前記水溶性カルシウム塩の含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、好ましくは0.7g以下、より好ましくは0.5g以下、さらにより好ましくは0.4g以下であってよい。
例えば、前記栄養組成物は、水溶性カルシウム塩として塩化カルシウムを含み、好ましくは水溶性カルシウム塩として塩化カルシウムのみを含む。この場合において、前記栄養組成物中の前記塩化カルシウムの含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、好ましくは0.05g以上、より好ましくは0.10g以上、さらにより好ましくは0.12g以上であってよい。また、前記塩化カルシウムの含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、好ましくは0.7g以下、より好ましくは0.5g以下、さらにより好ましくは0.4g以下であってよい。
前記栄養組成物は、沈殿生成抑制の観点から悪影響を及ぼさない範囲で水不溶性カルシウム塩も含んでよい。本明細書内において、前記水不溶性カルシウム塩は、前記水溶性カルシウム塩の20℃の水への溶解度よりも低い溶解度を有し、例えば当該溶解度は、1g/100ml未満である。例えば、前記栄養組成物は、水酸化カルシウム、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、硫酸カルシウム、及び酸化カルシウムのうちのいずれか1つ、2つ、又は3つ全てを含んでよい。
好ましい実施態様において、前記栄養組成物のカルシウム含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば20mg以上、好ましくは30mg以上、より好ましくは40mg以上であってよい。前記栄養組成物のカルシウム含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば130mg以下、好ましくは110mg以下、より好ましくは100mg以下であってよい。
(水不溶性マグネシウム塩)
本明細書内において、前記水不溶性マグネシウム塩は、例えば20℃の水への溶解度が0.5g/100ml以下、好ましくは0.3g/100ml以下、より好ましくは0.1g/100ml以下である。前記溶解度の下限は特に限定されなくてよいが、例えば0g/100ml以上、0.00001g/100ml以上、又は0.0001g/100ml以上であってよい。
前記水不溶性マグネシウム塩の例として、リン酸三マグネシウム及び炭酸マグネシウムを挙げることができる。
例えば、前記栄養組成物は、水不溶性マグネシウム塩としてリン酸三マグネシウム及び/又は炭酸マグネシウムを含み、好ましくは水溶性カルシウム塩としてリン酸三マグネシウム及び/又は炭酸マグネシウムのみを含む。この場合において、前記栄養組成物中のリン酸三マグネシウム及び炭酸マグネシウムの合計含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、好ましくは0.06g以上、より好ましくは0.10g以上、さらにより好ましくは0.13g以上であってよい。また、前記合計含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、好ましくは0.6g以下、より好ましくは0.4g以下、さらにより好ましくは0.3g以下であってよい。
前記栄養組成物は、水溶性マグネシウム塩を含まなくてよい。本明細書内において、前記水溶性マグネシウム塩は、前記水不溶性マグネシウム塩の20℃の水への溶解度よりも高い溶解度を有し、例えば当該溶解度は、1g/100ml超である。例えば、前記栄養組成物は、塩化マグネシウムを含まない。
(他の塩類)
前記栄養組成物は、さらにナトリウム塩及び/又はカリウム塩を含んでよい。前記ナトリウム塩として、ピロリン酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、及びクエン酸第一鉄ナトリウムのうちの1つ、2つ、又は3つ全てが、本技術の栄養組成物に含まれてよい。また、前記カリウム塩として、塩化カリウム、炭酸カリウム、及びリン酸水素二カリウムのうちのいずれか1つ、2つ、又は3つ全てが、本技術の栄養組成物に含まれてよい。
例えば、前記栄養組成物は、前記ナトリウム塩として、ピロリン酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、及びクエン酸第一鉄ナトリウムのうちの1つ、2つ、又は3つ全てを含んでよい。ピロリン酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、及びクエン酸第一鉄ナトリウムの合計含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば0.06g以上、好ましくは0.13g以上であってよい。前記クエン酸三ナトリウム及びクエン酸第一鉄ナトリウムの合計含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば0.4g以下、好ましくは0.3g以下であってよい。
例えば、前記栄養組成物は、前記カリウム塩として、塩化カリウム、炭酸カリウム、及びリン酸水素二カリウムのうちのいずれか1つ、2つ、又は3つを含んでよい。前記塩化カリウム、炭酸カリウム、及びリン酸水素二カリウムの合計含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば0.06g以上、好ましくは0.13g以上であってよい。前記塩化カリウム、炭酸カリウム、及びリン酸水素二カリウムの合計含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば0.4g以下、好ましくは0.3g以下であってよい。
また、前記栄養組成物は、さらに銅塩及び/又は亜鉛塩を含んでもよい。当該銅塩として、グルコン酸銅を挙げることができる。当該亜鉛塩として、グルコン酸亜鉛を挙げることができる。これらの塩の含有量はいずれも、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば0.04g以下であってよく、特には0.02g以下であってよい。
(4)他の成分
本技術の栄養組成物はさらに他の成分を含んでもよい。当該他の成分の例として、糖類、アミノ酸、ビタミン類、及び他の栄養成分を挙げることができる。本技術の栄養組成物は、これらの他の成分のうちの1つ以上を含んでもよい。
また、当該他の成分として、乳化剤、増粘剤、及びゲル化剤から選ばれる1以上の添加物が含まれてもよい。
これら他の成分は、例えば栄養組成物の投与対象又はその投与目的などに応じて適宜選択されてよい。
前記糖類として、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、及び多糖類など、食品に用いられる糖質が含まれてよい。中でも、多糖類が好ましい。当該多糖類は、例えば、デキストリンである。すなわち、前記栄養組成物には、例えばデキストリンが含まれてよい。
前記糖類(特にはデキストリン)の含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば3g以上、好ましくは5g以上、より好ましくは7g以上であってよい。また、前記糖類(特にはデキストリン)の含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば22g以下、好ましくは20g以下、より好ましくは18g以下であってよい。
前記アミノ酸として、例えば分岐鎖アミノ酸(BCAA)が含まれてよく、すなわち、バリン、ロイシン、及びイソロイシンのうちのいずれか1つ、2つ、又は3つ全てが含まれてよい。好ましくは、前記栄養組成物は、ロイシンを含む。
前記アミノ酸の含有量(特には分岐鎖アミノ酸の合計含有量)は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば0.2g以上、好ましくは0.4g以上、より好ましくは0.6g以上であってよい。また、前記アミノ酸の含有量(特には分岐鎖アミノ酸の合計含有量)は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば6.0g以下、好ましくは4.0g以下、より好ましくは3.0g以下であってよい。
また、前記ロイシンの含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば0.1g以上、好ましくは0.2g以上、より好ましくは0.3g以上であってよい。また、前記ロイシンの含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば3.0g以下、好ましくは2.0g以下、より好ましくは1.5g以下であってよい。
前記ビタミン類は、例えば脂溶性ビタミンに分類されるビタミンA、ビタミンD、ビタミン、E、ビタミンK、水溶性ビタミンに分類されるビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)、ビタミンCのいずれか1つ以上を含んでよい。
ビタミンAの含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば20μgRAE以上、好ましくは40μgRAE以上、より好ましくは60μgRAE以上であってよい。また、ビタミンAの含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば400μgRAE以下、好ましくは300μgRAE以下、より好ましくは200μgRAE以下であってよい。
ビタミンDの含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば0.2μg以上、好ましくは0.5μg以上、より好ましくは0.7μg以上であってよい。また、ビタミンDの含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば5.0μg以下、好ましくは4.0μg以下、より好ましくは3.0μg以下であってよい。
ビタミンEの含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば0.2mg以上、好ましくは0.5mg以上、より好ましくは0.7mg以上であってよい。また、ビタミンEの含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば5.0mg以下、好ましくは4.0mg以下、より好ましくは3.0mg以下であってよい。
ビタミンKの含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば2.0μg以上、好ましくは4.0μg以上、より好ましくは5.0μg以上であってよい。また、ビタミンKの含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば25μg以下、好ましくは20μg以下、より好ましくは15μg以下であってよい。
ビタミンB1の含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば0.05mg以上、好ましくは0.15mg以上、より好ましくは0.2mg以上であってよい。また、ビタミンB1の含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば1.6mg以下、好ましくは1.2mg以下、より好ましくは0.8mg以下であってよい。
ビタミンB2の含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば0.05mg以上、好ましくは0.15mg以上、より好ましくは0.2mg以上であってよい。また、ビタミンB2の含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば1.8mg以下、好ましくは1.4mg以下、より好ましくは1.0mg以下であってよい。
ビタミンB6の含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば0.1mg以上、好ましくは0.2mg以上、より好ましくは0.3mg以上であってよい。また、ビタミンB6の含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば1.8mg以下、好ましくは1.4mg以下、より好ましくは1.2mg以下であってよい。
ビタミンB12の含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば0.2μg以上、好ましくは0.3μg以上、より好ましくは0.4μg以上であってよい。また、ビタミンB12の含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば3.0μg以下、好ましくは2.5μg以下、より好ましくは2.0μg以下であってよい。
ナイアシン当量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば2mgNE以上、好ましくは3mgNE以上、より好ましくは3.5mgNE以上であってよい。また、ナイアシン当量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば15mgNE以下、好ましくは12mgNE以下、より好ましくは10mgNE以下であってよい。
パントテン酸の含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば0.2mg以上、好ましくは0.6mg以上、より好ましくは1.0mg以上であってよい。また、パントテン酸の含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば6.0mg以下、好ましくは5.0mg以下、より好ましくは4.0mg以下であってよい。
葉酸の含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば10μg以上、好ましくは20μg以上、より好ましくは30μg以上であってよい。また、葉酸の含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば250μg以下、好ましくは200μg以下、より好ましくは150μg以下であってよい。
ビオチンの含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば2.0μg以上、好ましくは3.0μg以上、より好ましくは4.0μg以上であってよい。また、ビオチンの含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば25μg以下、好ましくは20μg以下、より好ましくは15μg以下であってよい。
ビタミンCの含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば5mg以上、好ましくは10mg以上、より好ましくは15mg以上であってよい。また、ビタミンCの含有量は、前記栄養組成物100kcal当たり、例えば100mg以下、好ましくは80mg以下、より好ましくは60mg以下であってよい。
前記他の栄養成分として、例えば微量ミネラル及びカルニチンを挙げることができる。前記微量ミネラルは、例えばミネラル酵母であってよい。前記微量ミネラルに含まれるミネラルの例として、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、及びモリブデンを挙げることができる。
本技術の栄養組成物は、例えば水、甘味料、果汁、野菜汁、香料、着色料、及び酸味料などの成分を含みうる。これらの成分の種類及び含有割合は、所望の物性、形状、味、又は外観に応じて当業者により適宜選択されてよい。
なお、本技術の栄養組成物は、たんぱく質(すなわち、未分解のたんぱく質)をさらに含んでもよいが、消化吸収性の向上の観点から、本技術の栄養組成物は、好ましくはたんぱく質を含まない。これにより、本技術の栄養組成物を、消化態流動食とすることができる。
前記たんぱく質は、例えば動物性たんぱく質又は植物性たんぱく質であってよい。例えば上記「(1)たんぱく質分解物」において挙げられたたんぱく質分解物の元となるたんぱく質(例えば乳たんぱく質など)のいずれか1つ又は2つ以上の組合せが含まれてよい。
前記乳化剤として、グリセリン脂肪酸エステル(モノグリセリド)、ソルビタン酸脂肪酸エステル(ソルビタンエステル)、プロピレングリコール脂肪酸エステル(PGエステル)、ショ糖脂肪酸エステル(シュガーエステル)、ポリソルベート、レシチン(植物レシチン、卵黄レシチン、又は分別レシチン)、及び酵素分解レシチンのうちのいずれか1つ又は2つ以上の組合せを用いることが好ましい。また、グリセリン脂肪酸エステルとしては、モノグリセリド、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、及びポリグリセリン脂肪酸エステル、又はポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルが好ましい。
前記乳化剤の含有量は、本技術の栄養組成物100kcal当たり、例えば0.01g以上、好ましくは0.03g以上、より好ましくは0.05g以上であってよい。前記乳化剤の含有量は、本技術の栄養組成物100kcal当たり、例えば1.5g以下、好ましくは1.0g以下、より好ましくは0.8g以下であってよい。
(5)栄養組成物の物性
本技術の栄養組成物は、流動性を有してよく、例えば液状又はペースト状であってよく、又は、流動性を有するゲル状物であってもよい。
本技術の栄養組成物は、乳化した状態にあってよく、好ましくは水中油型エマルジョン(O/W型)である。
本技術の栄養組成物中の水の含有量は、当該栄養組成物100kcalに対して、例えば20g以上、好ましくは30g以上、より好ましくは40g以上であってよい。また、当該水の含有量は、当該栄養組成物100kcalに対して、例えば200g以下、好ましくは180g以下、より好ましくは160g以下であってよい。
本技術の栄養組成物は、流動性であることによって、例えば高齢者が摂取しやすくなり、さらに、経管的に対象に投与することができる。本技術の栄養組成物の各種物性は例えば以下のとおりに設定されてよい。
本技術の栄養組成物の20℃におけるpHは、例えば6.0~8.0、好ましくは6.3~7.7、より好ましくは6.5~7.5であってよい。
本技術の栄養組成物の20℃における比重は、例えば1.0~1.5、好ましくは1.01~1.4、より好ましくは1.02~1.2であってよい。
本技術の栄養組成物の20℃における粘度は、例えば1mPa・s~30000mPa・s、好ましくは5mPa・s~1800mPa・s、より好ましくは10mPa・s~100mPa・sであってよい。本技術の一つの実施態様において、本技術の栄養組成物の20℃における粘度は、例えば200mPa・s以下、好ましくは100mPa・s以下、より好ましくは50mPa・s以下であってよい。このような粘度によって、栄養組成物は経腸栄養剤として利用しやすい。
本技術の一つの実施態様において、本技術の栄養組成物1ml当たりのエネルギー量は例えば0.5kcal以上、0.6kcal以上、0.7kcal以上、0.8kcal以上、又は0.9kcal以上であってよい。このように、組成物1ml当たりのエネルギー量が高いことによって、効率的なエネルギー摂取が可能となる。この実施態様において、本技術の栄養組成物1ml当たりのエネルギー量は、例えば3kcal以下、2kcal以下、又は1.8kcal以下であってよい。例えば、本技術の栄養組成物は、1ml当たりのエネルギー量が1.5kcalであってもよい。
(6)飲食品組成物
本技術の栄養組成物は、飲食品組成物として用いられてよい。本技術における飲食品組成物は、例えば液状又はペースト状の形態を有していてよい。
また、本技術の飲食品組成物は、経腸栄養剤として利用されてよく、例えば人工濃厚流動食として構成されてよい。本技術の飲食品組成物は、例えば消化態流動食、半消化態流動食、又は成分栄養剤として構成されてよいが、好ましくは消化態流動食である。当該消化態流動食は、未分解のたんぱく質を含まない。
本技術の飲食品組成物は、急性期の患者への栄養供給用又は病気発症直後の患者への栄養供給用などの用途が表示された飲食品として提供又は販売されることが可能である。また、本技術の飲食品組成物は、摂取対象として例えば「急性期の方」又は「下痢症の方」などと表示して提供及び/又は販売されることが可能である。「表示」行為には、需要者に対して本技術の組成物の用途を知らしめるための全ての行為が含まれ、前記用途を想起及び/又は類推させうるような表現であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物及び/又は媒体の如何に拘わらず、全て本技術の「表示」行為に該当する。
また、「表示」は、需要者が上記用途を直接的に認識できるような表現により行われることが好ましい。具体的には、飲食品に係る商品又は商品の包装に前記用途を記載したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引き渡しのために展示し、輸入する行為、商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に上記用途を記載して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に上記用途を記載して電磁的(インターネット等)方法により提供する行為等が挙げられる。
一方、表示内容としては、行政等によって認可された表示(例えば、行政が定める各種制度に基づいて認可を受け、そのような認可に基づいた態様で行う表示等)であることが好ましい。また、そのような表示内容を、包装、容器、カタログ、パンフレット、POP等の販売現場における宣伝材、その他の書類等へ付することが好ましい。
また、「表示」には、健康食品、機能性食品、経腸栄養食品、特別用途食品、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、医薬用部外品等としての表示も挙げられる。
(7)医薬組成物
本技術の栄養組成物は、医薬組成物として用いられてもよい。本技術における医薬組成物は、例えば液状又はペースト状の形態を有していてよい。
本技術の医薬組成物は、経腸栄養剤として利用されてよく、例えば人工濃厚流動食として構成されてよい。本技術の医薬組成物は、例えば消化態流動食、半消化態流動食、又は成分栄養剤として構成されてよいが、好ましくは消化態流動食である。当該消化態流動食は、未分解のたんぱく質を含まない。
本技術に係る組成物を医薬組成物として利用する場合、当該医薬組成物は、経口投与及び非経口投与のいずれで投与されてもよく、投与方法に応じて、適宜所望の剤形に製剤化することができる。例えば、経口投与の場合、所望の剤形(液剤又はペースト)に製剤化されてよい。また、非経口投与の場合、例えば胃ろうを介して本技術の組成物を投与することができ、例えば経腸的に投与されてよい。
また、製剤化に際しては、本技術に係る医薬組成物には、通常製剤化に用いられている添加剤(例えばpH調整剤、着色剤、矯味剤等)の成分が含まれてよい。また、本技術の効果を損なわない限り、本技術に係る医薬組成物には、公知の又は将来的に見出される急性期患者向けの状態を改善するための成分が含まれてもよい。
加えて、製剤化は剤形に応じて適宜公知の方法により実施できる。製剤化に際しては、適宜、製剤担体を配合して製剤化してもよい。
(8)栄養組成物の製造方法
本技術の栄養組成物の製造方法は、たんぱく質分解物及び脂質を混合する混合工程を含む。当該混合は、これらの成分を液体媒体中、特には水中で行われてよい。当該混合によって混合物が得られる。当該混合は、当該混合物が乳化状態を有するように行われてよく、例えば、水中油型エマルジョンを形成するように行われる。例えば、たんぱく質分解物(例えばカゼイン分解物及び/又は乳清たんぱく分解物)、糖質、及びミネラル類を55℃~65℃の溶解水で溶解する。当該溶解後、油脂類及び乳化剤を加えて撹拌混合した後、50MPaの圧力で均質化する。このようにして、本技術の栄養組成物は製造されてよい。
当該たんぱく質分解物は、上記(1)において説明したとおりであり、当該脂質は、上記(2)において説明したとおりである。これらの配合量は、製造される栄養組成物中の各成分の含有量に従い設定されてよい。当該混合工程において、上記(3)において説明した塩類及び上記(4)において説明した他の成分も混合されてよい。
前記製造方法は、前記混合工程における混合によって得られた栄養組成物を殺菌する殺菌工程を含んでよい。当該殺菌は、例えばレトルト式殺菌、間接加熱殺菌(プレート式、チューブラー式、又はかきとり式)、直接加熱殺菌(スチームインジェクション式又はスチームインヒュージョン式)など、当技術で既知のいずれかの手法により行われてよい。
前記製造方法は、前記混合工程において得られた組成物を、前記殺菌工程の前又は後に容器に充填する充填工程をさらに含んでよい。当該充填工程を当該殺菌工程の後に行う場合、当該充填工程は、無菌的に行われてよい。当該容器は、例えば紙パック、プラスチックバッグ、プラスチックボトル、プラスチックカップ、アルミパウチ、金属缶、又はガラス容器であってよい。当該充填工程によって、栄養組成物は、容器に充填された状態になる。本技術の栄養組成物は、容器に充填された状態で販売されてよい。
(9)栄養組成物の使用方法
本技術の栄養組成物の投与対象は、動物であってよく、特には哺乳動物、より特には霊長類、さらにより特にはヒト又は非ヒト霊長類であり、特に好ましくはヒトである。本技術の組成物が投与される対象がヒトである場合、当該ヒトの年齢は例えば0歳~120歳であってよい。
特に好ましくは、本技術の栄養組成物は、外科手術後などの急性期の患者又は下痢症の患者に投与される。本技術の栄養組成物は、たんぱく質分解物を含み、当該たんぱく質分解物は、吸収のために消化される必要がない。そのため、このような患者に、栄養を供給するために適している。
本技術の栄養組成物は、例えば経口的に又は経管的に摂取されてよい。後者の場合、例えば胃ろうを介して、本技術の栄養組成物はヒトに投与される。すなわち、本技術の組成物は、好ましくは流動性を有し、これにより当該栄養組成物は、経管栄養患者への経管的投与に適している。
本技術の一つの実施態様において、本技術の栄養組成物は、本技術の栄養組成物によって1日当たり例えば500kcal~2000kcal、好ましくは600kcal~1500kcal、好ましくは800kcal~1200kcalのエネルギー量が投与対象に与えられるように投与されてよい。例えば、1回の投与当たり200kcal~500kcalのエネルギー量が本技術の組成物によって対象に与えられてよく、当該投与が1日当たり1回~10回、2回~8回、又は2回~5回行われてよい。
本技術の栄養組成物は、定期的に投与されてよく、例えば毎日投与されてよく又は1日おき若しくは2日おきなど期間を開けて投与されてもよい。本技術の組成物は、例えば1週間以上、2週間以上、3週間以上にわたって投与されてよい。本技術の栄養組成物の投与期間の上限は設定されなくてよいが、例えば3年以下、2年以下、又は1年以下などであってよいが、投与期間の終了時期を定めずに投与されてもよい。
以下で実施例を参照して本技術をより詳しく説明するが、本技術はこれら実施例に限定されるものではない。
<実験1>
カゼイン分解物(森永乳業社製、カゼイン分解物含有量88%、数平均分子量330)
4.5g(栄養組成物100ml当たり)、乳清たんぱく質分解物(森永乳業社製、乳清たんぱく質分解物含有量75%、数平均分子量450)2.3g(栄養組成物100ml当たり)、デキストリン(松谷化学工業社製、標準67°Bx)35g(栄養組成物100ml当たり)、表1に示される配合でクエン酸三ナトリウム、塩化カリウム、炭酸カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸三マグネシウム、炭酸マグネシウム、塩化マグネシウムを60℃の溶解水に添加して混合溶解した。ここへ混合油脂(植物油脂・中鎖脂肪酸・精製魚油)3.3g(栄養組成物100ml当たり)、及び有機酸モノグリセリド0.6g(栄養組成物100ml当たり)をさらに添加して攪拌混合した。その後、高圧均質機(APV社製)を用いて50MPaの圧力で均質化処理した。均質化処理後、得られた乳化液をレトルトパウチ(東洋製罐社製)に100mlずつ充填、密封し、レトルト殺菌機(日阪製作所製)を用いて130℃で3分間殺菌処理し、液状栄養組成物を製造した。このようにして8種の栄養組成物を得た(試験例11~18)。
これら8種の栄養組成物のエネルギーは150kcal(栄養組成物100ml当たり)であり、たんぱく質分解物含有量は3.8g(栄養組成物100kcal当たり)、脂質含有量は2.7g(栄養組成物100kcal当たり)、糖類含有量は15.2g(栄養組成物100kcal当たり)、水分含有量は52g(栄養組成物100kcal当たり)であった。
これら8種の栄養組成物について、レトルト殺菌から1日経過後及び1カ月経過後における沈殿の有無を目視により評価した。評価基準は以下のとおりである。
A:沈殿は確認できなかった。
B:沈殿が確認された。
Figure 2023086324000002
表1に示されるとおり、水溶性カルシウム塩(塩化カルシウム又は乳酸カルシウム)を含む試験例14~18の栄養組成物において、沈殿は生じなかった。一方で、水不溶性カルシウム塩を含む試験例11~13では、沈殿が発生した。そのため、水溶性カルシウム塩は、たんぱく質分解物を含む栄養組成物における沈殿生成を防ぐという効果を発揮すると考えられる。
また、試験例14~17の栄養組成物は、水不溶性マグネシウム塩(リン酸三マグネシウム及び/又は炭酸マグネシウム)も含む。よって、水溶性カルシウム塩に水不溶性マグネシウム塩を組み合わせることも、沈殿生成抑制に貢献していると考えられる。
また、これら8種の栄養組成物について、前記レトルト殺菌の直後に各栄養組成物の状態を目視により評価した。加えて、当該殺菌の後に3か月間常温で保存し、当該保存後にも、各栄養組成物の状態を目視により評価した。
これらの評価において、水溶性カルシウム塩として乳酸カルシウムを使用した試験例17及び18に関しては、前記レトルト殺菌の直後の段階で、脂肪成分の分離が確認された。一方で、試験例11~13及び試験例14~16に関しては、前記レトルト殺菌の直後及び当該殺菌後3か月間の常温保存後において、脂肪成分の分離は確認されず、乳化安定性は良好であった。そのため、塩化カルシウムによって、沈殿発生の抑制に加えて、乳化安定性が向上することが分かった。
なお、乳化安定性は、以下実験2及び3において示されるとおり、脂肪酸組成によって向上することができる。
<実験2>
カゼイン分解物(森永乳業社製、カゼイン分解物含有量88%、数平均分子量330)
4.5g(栄養組成物100ml当たり)、乳清たんぱく質分解物(森永乳業社製、乳清たんぱく質分解物含有量75%、数平均分子量450)2.3g(栄養組成物100ml当たり)、デキストリン(松谷化学工業社製、標準67°Bx)33g(栄養組成物100ml当たり)、クエン酸、ピロリン酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、炭酸カリウム、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、リン酸三マグネシウムを60℃の溶解水に添加して混合溶解した。ここへ表2に示される配合で混合油脂(植物油脂・中鎖脂肪酸・精製魚油)、極度硬化油(理研ビタミン社製、RHPL)、及び有機酸モノグリセリド0.6g(栄養組成物100ml当たり)をさらに添加して攪拌混合した。その後、高圧均質機(APV社製)を用いて50MPaの圧力で均質化処理した。均質化処理後、得られた乳化液をレトルトパウチ(東洋製罐社製)に100mlずつ充填、密封し、レトルト殺菌機(日阪製作所製)を用いて130℃で3分間殺菌処理し、液状栄養組成物を製造した。このようにして、3種の液状栄養組成物(試験例21~23)を得た。
これら3種の栄養組成物は、脂質の材料が相違すること及び当該材料の相違に伴い脂質の脂肪酸組成が異なること以外は同じである。これら3種の栄養組成物のエネルギーは150kcal(栄養組成物100ml当たり)であり、たんぱく質分解物含有量は3.8g(栄養組成物100kcal当たり)、脂質含有量は2.8g(栄養組成物100kcal当たり)、糖類含有量は14.8g(栄養組成物100kcal当たり)、水分含有量は52g(栄養組成物100kcal当たり)であった。これら3種の栄養組成物に含まれる脂質の脂肪酸組成は、以下の表3に示されている。
これら3種の栄養組成物について、前記レトルト殺菌後に3か月間常温で保存し、当該保存後に各栄養組成物の状態を目視により評価した。評価基準は以下のとおりである。評価結果も以下の表2に示されている。
AA:脂質成分の分離は確認できなかった。
A:脂質成分がわずかに分離し、栄養組成物の上部に浮上していた。
B:脂質成分が多量に分離していた。
Figure 2023086324000003
Figure 2023086324000004
表2及び表3より、脂質の全脂肪酸に占めるステアリン酸の割合が7.1質量%以下である試験例21及び22では保存安定性の評価結果がBであるのに対し、当該割合が7.7質量%である試験例23では、保存安定性の評価結果がAAであった。そのため、脂質の全脂肪酸に占めるステアリン酸の割合が例えば7.2質量%以上であることによって、上記保存後において脂質成分の分離が抑制されることが分かる。すなわち、脂質の全脂肪酸のうちステアリン酸の割合が7.2質量%以上であることによって、良好な保存安定性、特には良好な乳化安定性が得られることが分かる。
また、表2及び表3より、脂質の全脂肪酸に占めるパルミチン酸の割合が11.5質量%以下である試験例21及び22では保存安定性の評価結果がBであるのに対し、当該割合が11.9質量%である試験例23では、保存安定性の評価結果がAAであった。そのため、脂質の全脂肪酸に占めるパルミチン酸の割合が例えば11.7質量%以上であることによって、上記保存後において脂質成分の分離が抑制されることが分かる。すなわち、脂質の全脂肪酸のうちパルミチン酸の割合が11.7質量%以上であることも、良好な保存安定性、特には良好な乳化安定性に貢献していると考えられる。
パルミチン酸に関する上記説明と同様に、表2及び表3の試験例21及び22と試験例23との比較より、脂質の全脂肪酸に占めるn-6系脂肪酸の含有量の割合が11.6質量%以下であることも、良好な保存安定性、特には乳化安定性に貢献していると考えられる。
<実験3>
カゼイン分解物(森永乳業社製、カゼイン分解物含有量88%、数平均分子量330)
4.5g(栄養組成物100ml当たり)、乳清たんぱく質分解物(森永乳業社製、乳清たんぱく質分解物含有量75%、数平均分子量450)2.3g(栄養組成物100ml当たり)、デキストリン(松谷化学工業社製、標準67°Bx)33g(栄養組成物100ml当たり)、クエン酸、ピロリン酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、炭酸カリウム、塩化カルシウム、リン酸三マグネシウムを60℃の溶解水に添加して混合溶解した。ここへ表4に示される配合で混合油脂(植物油脂・中鎖脂肪酸・精製魚油)、極度硬化油(理研ビタミン社製、RHPL)、及び有機酸モノグリセリド0.6g(栄養組成物100ml当たり)をさらに添加して攪拌混合した。その後、高圧均質機(APV社製)を用いて50MPaの圧力で均質化処理した。均質化処理後、得られた乳化液をレトルトパウチ(東洋製罐社製)に100mlずつ充填、密封し、レトルト殺菌機(日阪製作所製)を用いて130℃で3分間殺菌処理し、液状栄養組成物を製造した。このようにして、3種の液状栄養組成物(試験例31~33)を得た。
これら3種の栄養組成物は、脂質の成分が相違すること及び当該脂質成分の相違に伴い脂質の脂肪酸組成が異なること以外は同じである。これら3種の栄養組成物のエネルギーは150kcal(栄養組成物100ml当たり)であり、たんぱく質分解物含有量は3.8g(栄養組成物100kcal当たり)、脂質含有量は2.8g(栄養組成物100kcal当たり)、糖類含有量は14.8g(栄養組成物100kcal当たり)、水分含有量は52g(栄養組成物100kcal当たり)であった。これら3種の栄養組成物に含まれる脂質の脂肪酸組成は、以下の表5に示されている。
これら3種の栄養組成物について、前記トルト殺菌後に3か月間常温で保存し、当該保存後に各栄養組成物の状態を目視により評価した。評価基準は実験2におけるものと同じである。
Figure 2023086324000005
Figure 2023086324000006
表4及び表5における試験例31と試験例32及び33との比較より、実験2において述べたように、脂質の全脂肪酸に占めるステアリン酸の割合が例えば7.2質量%以上であることによって、良好な保存安定性、特には良好な乳化安定性が得られることが分かる。加えて、脂質の全脂肪酸のうちステアリン酸の含有割合は、例えば11.0%超に高めても、保存安定性は良好であることも確認できる。
なお、表4及び表5のうち特には試験例32と33の比較より、脂質の全脂肪酸に占めるステアリン酸の割合が多すぎると、保存安定性が若干劣ることも分かる。そのため、脂質の全脂肪酸のうちステアリン酸の割合は、例えば11.0質量%以下であることが好ましい。
また、表4及び表5における試験例31と試験例32及び33との比較より、実験2において述べたように、脂質の全脂肪酸に占めるパルミチン酸の割合が例えば11.7質量%以上であることも、良好な保存安定性、特には良好な乳化安定性に貢献していると考えられる。また、脂質の全脂肪酸のうちパルミチン酸の割合は、例えば13.0%超に高めても、保存安定性は良好であることも確認できる。
なお、表4及び表5のうち特には試験例32と33の比較より、脂質の全脂肪酸のうちパルミチン酸の割合が多すぎると、保存安定性が若干劣ることも分かる。そのため、脂質の全脂肪酸のうちパルミチン酸の割合は、例えば13.0質量%以下であることが好ましい。
表4及び表5における試験例31と試験例32及び33との比較より、実験2において述べたように、n-6系脂肪酸の含有量の割合が11.6質量%以下であることも、良好な保存安定性、特には良好な乳化安定性に貢献していると考えられる。加えて、n-6系脂肪酸の含有量の割合は、6%程度に低めても、保存安定性は良好である。
なお、表4及び表5のうち特には試験例32と33の比較より、n-6系脂肪酸の含有量の割合が少なすぎると、保存安定性が若干劣ることも分かる。そのため、脂質の全脂肪酸のうちn-6系脂肪酸の含有量の割合は、例えば7.0質量%以上であることが好ましい。




Claims (8)

  1. たんぱく質分解物と、
    水溶性カルシウム塩と、
    を含む栄養組成物。
  2. 前記水溶性カルシウム塩は、20℃の水への溶解度が1g/100ml以上である、請求項1に記載の栄養組成物。
  3. 前記栄養組成物は、脂質をさらに含む、請求項1又は2に記載の栄養組成物。
  4. 前記栄養組成物は、乳化組成物である、請求項1~3のいずれか一項に記載の栄養組成物。
  5. 前記栄養組成物は、水不溶性マグネシウム塩をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の栄養組成物。
  6. 前記水不溶性マグネシウム塩は、20℃の水への溶解度が0.5g/100ml以下である、請求項5に記載の栄養組成物。
  7. 前記栄養組成物は液状である、請求項1~6のいずれか一項に記載の栄養組成物。
  8. 前記栄養組成物の粘度は50mPa・s以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載の栄養組成物。


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