JP2022144737A - 安静時エネルギー消費量の上昇用又は低下予防用組成物及び呼吸商の低下用又は上昇予防用組成物 - Google Patents

安静時エネルギー消費量の上昇用又は低下予防用組成物及び呼吸商の低下用又は上昇予防用組成物 Download PDF

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Hidetoshi Kokubo
俊介 守田
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Abstract

【課題】本技術は、安静時エネルギー消費量の上昇又は低下予防用を提供することを目的とする。【解決手段】本技術は、カルニチンを含む、安静時エネルギー消費量の上昇又は低下予防用組成物を提供する。また、本技術は、カルニチンを含む、呼吸商の低下又は上昇予防用組成物も提供する。これらの組成物は、例えば糖尿病患者又は経管栄養患者に投与されるものであってよい。これらの組成物は、好ましくはビタミンDをさらに含む。これらの組成物は、さらに亜鉛を含んでもよい。これらの組成物は、例えば飲食品組成物として構成されてよく、または、医薬品組成物として構成されてもよい。【選択図】なし

Description

本技術は、安静時エネルギー消費量の上昇用又は低下予防用組成物及び呼吸商の低下用又は上昇予防用組成物に関する。
エネルギー代謝において、糖質、脂質、及びたんぱく質から、体内のエネルギーであるATP(アデノシン三リン酸)が産生される。ATPは、神経伝達、筋収縮、生体物質の合成、及び物質の能動輸送などの生物の活動に必要であり、「エネルギーの通貨」とも呼ばれる。
エネルギー代謝を分析するために、例えばエネルギー消費量又は呼吸商という指標が用いられることがある。例えば、下記非特許文献1には、脂質動員条件下における低用量L-カルニチンの急性代謝性効果に関する研究が開示されている。当該研究において、健康な被験者は、一晩絶食させられ、そして、所定の栄養成分の摂取後に、自転車エルゴメーター上での有酸素運動を行った。運動前、運動後、および 運動後の回復期間中にエネルギー消費量及び非タンパク質呼吸商が測定された。同文献は、脂質動員条件下において、L-カルニチンは、エネルギー消費量を刺激することなく、肝臓脂質利用及びケトン生成を急性な様式で増強したと記載している。
エネルギー代謝を分析するための指標の一つとして、安静時エネルギー消費量(resting energy expenditure、以下「REE」ともいう)が挙げられる。REEは、例えば仰臥位又は座位で安静(静かに休息)にしている状態で消費されるエネルギー量に関する指標である。
老化に伴いREEが低下することがある。また、例えば高齢の安静臥床患者において、REEの低下が観察される場合がある。REEが低いことは、投与された栄養から適切なATP産生が行われていないことを意味する可能性があり、さらには、例えば神経伝達又は生体物質の合成など、適切な生命活動が行われない状態をもたらす可能性もある。REEを上昇させることができれば、このような状態に対処することができ、望ましいと考えられる。また、REE上昇によって、ATP産生も適切に行われ、低栄養状態の改善や生命予後の延長なども期待される。
本技術は、REEの低下に対処するための新たな手段を提供することを目的の一つとする。
本発明者らは、特定の組成物によってREEを上昇させ又はREEの低下を防ぐことができることを見出した。また、本発明者らは、特定の組成物によって、呼吸商を低下させ又は呼吸商(respiratory quotient、本明細書内において「RQ」ともいう)の上昇を防ぐことができることを見出した。
すなわち、本技術は以下を提供する。
[1]カルニチンを含む、安静時エネルギー消費量の上昇又は低下予防用組成物。
[2]前記組成物は、糖尿病患者の安静時エネルギー消費量の上昇又は低下予防のために用いられるものである、[1]に記載の安静時エネルギー消費量上昇用組成物。
[3]前記組成物は、経管栄養患者の安静時エネルギー消費量の上昇又は低下予防のために用いられるものである、[1]又は[2]に記載の組成物。
[4]前記組成物は、推定基礎代謝量よりも実測の安静時エネルギー消費量が低値であるヒトの安静時エネルギー消費量の上昇又は低下予防のために用いられるものである、[1]~[3]のいずれか一つに記載の組成物。
[5]前記組成物は、安静時エネルギー消費量の上昇又は低下予防のために且つ呼吸商の低下又は上昇予防のために用いられるものである、[1]~[4]のいずれか一つに記載の組成物。
[6]カルニチンを含む、呼吸商の低下又は上昇予防用組成物。
[7]ビタミンDをさらに含む、[1]~[6]のいずれか一つに記載の組成物。
[8]亜鉛をさらに含む、[1]~[7]のいずれか一つに記載の組成物。
[9]前記組成物は、前記カルニチンの1日当たり投与量が500mg以下となるように投与されるものである、[1]~[8]のいずれか一つに記載の組成物。
[10]前記組成物は、前記ビタミンDの1日当たり投与量が3μg以上となるように投与されるものである、[7]~[9]のいずれか一つに記載の組成物。
[11]前記組成物は、前記亜鉛の1日当たり投与量が5mg以上となるように投与されるものである、[8]~[10]のいずれか一つに記載の組成物。
[12]前記組成物は飲食品組成物である、[1]~[11]のいずれか一つに記載の組成物。
[13]前記組成物は医薬組成物である、[1]~[11]のいずれか一つに記載の組成物。
本技術により、REEの低下に対処することができる。また、本技術により、RQの上昇に対処することもできる。
さらに、本技術に従う組成物中の有効成分は、体にとって有用な栄養成分でもある。そのため、本技術により、当該栄養成分の補給を行いつつ、REEの上昇若しくは低下予防且つ/又はRQの低下若しくは上昇予防をもたらすことが可能である。
なお、本技術の効果は、ここに記載された効果に限定されず、本明細書内に記載されたいずれかの効果であってもよい。
カルニチン、ビタミンD、及び亜鉛の濃度の測定結果を示すグラフである。 REEの測定結果を示すグラフである。 RQの測定結果を示すグラフである。
以下に本技術の好ましい実施形態について説明する。ただし、本技術は以下の好ましい実施形態のみに限定されず、本技術の範囲内で自由に変更することができる。
本技術の組成物は、カルニチンを含む。カルニチンを含む当該組成物は、REEを上昇させるために又はREEの低下を予防するために適している。すなわち、本技術は、カルニチンを含む、REEの上昇用若しくは低下予防用組成物を提供する。
また、カルニチンを含む当該組成物は、RQの低下させるために又はRQの上昇を予防するために適している。すなわち、本技術は、カルニチンを含む、RQの低下用又は上昇予防用組成物も提供する。
本技術の一つの実施態様において、前記組成物は、REEの上昇又は低下予防のために且つRQの低下又は上昇予防のために用いられるものであってよい。
好ましい実施態様において、本技術の組成物は、カルニチンに加えてビタミンDを含む。本技術の組成物は、カルニチンに加え、ビタミンD及び亜鉛を含んでもよい。なお、本技術の組成物は、カルニチンに加え、亜鉛を含んでもよい。カルニチンとビタミンD及び/又は亜鉛との組合せは、REEの上昇又は低下予防のために特に適している。また、カルニチンとビタミンD及び/又は亜鉛との組合せは、RQの低下又は上昇予防用のために特に適している。
本技術の組成物に含まれるカルニチン(及びビタミンD及び/又は亜鉛)は有用な栄養成分である。そのため、本技術の組成物によって、これらの栄養成分の補給を行うことができ、且つ、REEの上昇若しくは低下予防及び/又はRQの低下又は上昇予防をもたらすことが可能となる。
本明細書内において「安静時エネルギー消費量(REE)」は、上記で述べたとおり、仰臥位又は座位で安静(静かに休息)にしている状態で消費されるエネルギー量に関する指標である。前記REEは、対象(ヒト)の酸素消費量VO2(ml/min)及び二酸化炭素排出量VCO2(ml/min)を用いて算出されてよい。前記REEは、酸素消費量VO2及び二酸化炭素排出量VCO2を用いて、以下の式1(Weirの簡便式)に従い算出されてよい。
式1:REE=(3.9×VO2 +1.1×VCO2)×1.44
前記酸素消費量及び前記二酸化炭素排出量は、間接熱量計によって測定されてよい。また、間接熱量計によって、前記REEが測定されてもよい。
前記REEは、例えば当該REEの測定の前の5時間又はそれ以上にわたって、特には6時間又はそれ以上にわたって、より特には当該REEの測定の前の12時間、24時間、又は48時間又はそれ以上にわたって、測定対象の安静状態が維持された場合に測定されるREEである。前記REEは、さらには、例えば当該REEの測定の前の1週間、2週間、若しくは3週間又はそれより長い期間(1か月以上、2か月以上、又は3か月以上)にわたって、測定対象の安静状態が維持された場合に測定されるREEであってよい。
当該安静状態の維持は、測定対象が例えば2メッツ以上、特には1.5メッツ以上、より特には1.4以上、又は1.2メッツ以上の活動強度の活動を行わないことが維持されることを意味する。さらに、REEの測定30分前より、仰臥位又は座位で安静(静かに休息)にしている状態が維持されていることが望ましい。
当該安静状態の維持は、特には終日安静臥床が維持されていることを意味してもよい。
本明細書内において、「REEの上昇用組成物」は、本技術の組成物の投与対象のREEを上昇させるために又は当該投与対象のREEの上昇を促進するために用いられる組成物を意味してよい。例えば、「REEの上昇用組成物」は、当該投与対象のREEを上昇させること又は当該投与対象のREEの上昇を促進することを目的の一つとして投与される組成物を意味してよい。当該投与は、1回又は複数回の投与であってよい。また、当該投与は、所定期間にわたる投与であってもよい。
本明細書内において「REEの低下予防用組成物」は、本技術の組成物の投与対象のREEの低下を防ぐために、当該投与対象のREEを維持するために、又は、当該投与対象のREEの低下を抑制するために用いられる組成物を意味してよい。例えば、「REEの低下予防用組成物」は、投与対象のREEの低下を防ぐこと、当該投与対象のREEを維持すること、又は、当該投与対象のREEの低下を抑制することを目的の一つとして投与される組成物を意味してよい。当該投与は、1回又は複数回の投与であってよい。また、当該投与は、所定期間にわたる投与であってもよい。
本明細書内において「呼吸商(RQ)」は、酸素消費量に対する二酸化炭素排出量の比である。前記RQは、対象(ヒト)の酸素消費量VO2(ml/min)及び二酸化炭素排出量VCO2(ml/min) を用いて算出されてよい。前記RQは、酸素消費量VO2及び二酸化炭素排出量VCO2を用いて、以下の式2に従い算出されてよい。
式2:RQ=VCO2/VO2
前記RQに関しても、前記酸素消費量及び前記二酸化炭素排出量は、間接熱量計によって測定されてよい。また、間接熱量計によって、RQ自体が測定されてもよい。
前記RQは、空腹時RQであってよく、又は、食後1時間~5時間のいずれかの時点におけるRQであってもよい。
前記RQは、例えば当該RQの測定の前の5時間又はそれ以上にわたって、特には6時間又はそれ以上にわたって、より特には当該RQの測定の前の12時間、24時間、又は48時間又はそれ以上にわたって、測定対象の安静状態が維持された場合に測定されるRQである。前記RQは、さらには、例えば当該RQの測定の前の1週間、2週間、若しくは3週間又はそれより長い期間(1か月以上、2か月以上、又は3か月以上)にわたって、測定対象の安静状態が維持された場合に測定されるRQであってよい。
当該安静状態の維持は、測定対象が例えば2メッツ以上、特には1.5メッツ以上、より特には1.4又は1.2メッツ以上の活動強度の活動を行わないことが維持されることを意味する。さらに、RQの測定30分前より、仰臥位又は座位で安静(静かに休息)にしている状態が維持されていることが望ましい。
当該安静状態の維持は、特には終日安静臥床が維持されていることを意味してもよい。
本明細書内において、「RQの低下用組成物」は、本技術の組成物の投与対象のRQを低下させるために又は当該投与対象のRQの低下を促進するために用いられる組成物を意味してよい。例えば、「RQの低下用組成物」は、当該投与対象のRQを低下させること又は当該投与対象のRQの低下を促進することを目的の一つとして投与される組成物を意味してよい。当該投与は、1回又は複数回の投与であってよい。また、当該投与は、所定期間にわたる投与であってもよい。
本明細書内において「RQの上昇予防用組成物」は、本技術の組成物の投与対象のRQの上昇を防ぐために、当該投与対象のRQを維持するために、又は、当該投与対象のRQの上昇を抑制するために用いられる組成物を意味してよい。例えば、「RQの上昇予防用組成物」は、投与対象のRQの上昇を防ぐこと、当該投与対象のRQを維持すること、又は、当該投与対象のRQの上昇を抑制することを目的の一つとして投与される組成物を意味してよい。当該投与は、1回又は複数回の投与であってよい。また、当該投与は、所定期間にわたる投与であってもよい。
以下で、本技術の組成物について、より詳細に説明する。
(1)カルニチン
本技術の組成物はカルニチンを含む。当該カルニチンは、L-カルニチンであってよい。当該カルニチンは、カルニチン塩として本技術の組成物に含まれていてもよく、当該カルニチン塩として、カルニチンの酒石酸塩及びフマル酸塩を挙げることができる。
カルニチンは、例えばATP産生の促進作用、遊離CoAプールの維持作用、内因性解毒剤作用(例えばアシルCoA排泄作用)、抗酸化酵素発現増強作用、アポトーシス抑制作用、抗酸化作用、抗炎症作用、生体膜安定化作用、及び線維化抑制作用などを発揮する。本技術の組成物はカルニチンを含むので、これらのいずれか一つ以上を発揮させるため、且つ、REEの上昇若しくは低下予防のために又はRQの低下又は上昇予防のために用いられてよい。
本技術の組成物は、前記カルニチンの1日当たり投与量が500mg以下となるように対象に投与されてよく、特には当該1日当たり投与量が450mg以下、400mg以下、350mg以下、300mg以下、250mg以下、又は200mg以下となるように対象に投与されてよい。当該1日当たり投与量の下限値については、例えば10mg以上、30mg以上、50mg以上、又は100mg以上であってよい。
前記カルニチンの1日当たり投与量の数値範囲は、上記で挙げた上限値及び下限値から選択されたものの組合せとして構成されてよく、例えば10mg以上500mg以下、特には30mg以上400mg以下、より特には50mg以上300mg以下であってよい。
例えばカルニチン欠乏の処置のためにカルニチンを投与する場合は1日当たり投与量が500mg超に設定される。本技術の組成物に含まれるカルニチンは、このような投与量と比べてより低い投与量で投与されてよい。本技術の組成物は、カルニチンの1日当たり投与量がこのように低くても、REEの上昇若しくは低下予防のために又はRQの低下又は上昇予防のために有用である。
前記カルニチンの含有量は、本技術の組成物のエネルギー量100kcal当たり、例えば50mg以下、45mg以下、40mg以下、35mg以下、30mg以下、25mg以下、又は20mg以下であってよい。また、前記カルニチンの含有量は、当該組成物のエネルギー量100kcal当たり、例えば1mg以上、3mg以上、5mg以上、又は10mg以上であってよい。この含有量の数値範囲は、例えば本技術の組成物が液状、ペースト状、ゼリー状、粉末状又は固形状である場合に適用されてよい。
(2)ビタミンD
本技術の組成物は、ビタミンDを含む。当該ビタミンDは、ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)若しくはビタミンD3(コレカルシフェロール)であってよく、又は、ビタミンD2及びD3の組合せであってもよい。当該ビタミンDは、特に好ましくはビタミンD3である。
ビタミンDは、例えば腸管におけるカルシウム及びリンの吸収促進作用及び骨におけるカルシウム及びリンの蓄積促進作用などを発揮する。本技術の組成物はビタミンDを含むので、これらのいずれか一つ以上を発揮させるため、且つ、REEの上昇若しくは低下予防のために又はRQの低下又は上昇予防のために用いられてよい。
本技術の組成物は、前記ビタミンDの1日当たり投与量が3μg以上となるように対象に投与されてよく、特には当該1日当たり投与量が5μg以上、6μg以上、又は7μg以上となるように投与されてよい。当該1日当たり投与量の上限値については、例えば100μg以下、80μg以下、60μg以下、40μg以下、又は20μg以下であってよい。
前記ビタミンDの1日当たり投与量の数値範囲は、上記で挙げた上限値及び下限値から選択されたものの組合せとして構成されてよく、例えば3μg以上100μg以下、特には5μg以上80μg以下、より特には6μg以上60μg以下、さらにより特には7μg以上40μg以下であってよい。
前記ビタミンDの含有量は、本技術の組成物のエネルギー量100kcal当たり、例えば0.3μg以上、0.5μg以上、0.6μg以上、又は0.7μg以上であってよい。また、前記ビタミンDの含有量は、当該組成物のエネルギー量100kcal当たり、例えば10μg以下、8μg以下、6μg以下、4μg以下、又は2μg以下であってよい。この含有量の数値範囲は、例えば本技術の液状、ペースト状、ゼリー状、粉末状又は固形状である場合に適用されてよい。
(3)亜鉛
本技術の組成物は、カルニチン及びビタミンDに加えて、亜鉛をさらに含んでもよい。当該亜鉛は、例えば亜鉛含有化合物又は亜鉛含有微生物材料として、本技術の組成物に含まれてよい。当該亜鉛含有化合物は、有機亜鉛又は無機亜鉛を含んでよい。当該有機亜鉛として、例えばグルコン酸亜鉛及びアミノ酸亜鉛が挙げられる。当該無機亜鉛として、例えば硫酸亜鉛、酸化亜鉛、酢酸亜鉛、酒石酸亜鉛、及び乳酸亜鉛が挙げられる。また、当該亜鉛含有微生物材料は、例えば酵母、特には亜鉛含有酵母粉末又は亜鉛含有酵母エキスであってよい。当該亜鉛含有酵母は、亜鉛(例えば硫酸亜鉛、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、酢酸亜鉛、酒石酸亜鉛、及び乳酸亜鉛のうちの1つ以上など)を含む培地中で酵母を培養することによって得られる。当該酵母は、例えばSaccharomyces(サッカロミセス)属、Mycotorula(ミコトルラ)属、又はTorulopsis(トルロプシス)属であってよい。当該酵母は食用酵母であってよく、例えばパン酵母、ビール酵母、ぶどう酒酵母、清酒酵母、アルコール酵母、又は味噌醤油酵母などであってもよい。
本技術の組成物は、前記亜鉛の1日当たり投与量が5mg以上となるように対象に投与されてよく、特には当該1日当たり投与量が6mg以上、7mg以上、8mg以上、9mg以上、10mg以上、又は11mg以上となるように投与されてよい。当該1日当たり投与量の上限値については、例えば45mg以下、35mg以下、25mg以下、20mg以下、又は15mg以下であってよい。
前記亜鉛の1日当たり投与量の数値範囲は、上記で挙げた上限値及び下限値から選択されたものの組合せとして構成されてよく、例えば5mg以上45mg以下、特には7mg以上35mg以下、より特には10mg以上20mg以下、さらにより特には11mg以上15mg以下であってよい。
前記亜鉛の含有量は、本技術の組成物のエネルギー量100kcal当たり、例えば0.5mg以上、0.6mg以上、0.7mg以上、0.8mg以上、0.9mg以上、1mg以上、又は1.1mg以上であってよい。また、前記亜鉛の含有量は、当該組成物のエネルギー量100kcal当たり、例えば4.5mg以下、3.5mg以下、2.5mg以下、2mg以下、又は1.5mg以下であってよい。この含有量の数値範囲は、例えば本技術の組成物が液状、ペースト状、ゼリー状、粉末状又は固形状である場合に適用されてよい。
(4)他の成分
本技術の組成物はさらに他の成分を含んでもよい。当該他の成分の例として、食物繊維、ビタミンD以外のビタミン類、たんぱく質、脂質、アミノ酸類、オリゴ糖、及びミネラルを挙げることができる。本技術の組成物は、これらの他の成分のうちの1つ以上を含んでもよい。
本技術の組成物は、例えば食物繊維をさらに含んでよい。当該食物繊維は、水溶性食物繊維、不溶性食物繊維、又は、水溶性食物繊維及び不溶性食物繊維の組合せであってよい。
前記水溶性食物繊維は、例えば難消化性デキストリン、グァーガムおよびその分解物、ポリデキストロース、イヌリン、ペクチン、カラギナン、アルギン酸およびその分解物、寒天、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、アラビアガム、大豆多糖類及びグルコマンナンのうちのいずれか1つ以上を含んでよく、特には、前記水溶性食物繊維は難消化性デキストリンである。
前記不溶性食物繊維は、例えばセルロース、微結晶セルロース、発酵セルロース、ヘミセルロース、リグニン、及びキチンのうちのいずれか1つ以上を含んでよく、特には前記不溶性食物繊維はセルロースである。
本技術の組成物は、前記食物繊維の1日当たり投与量が10g以上となるように対象に投与されてよく、特には当該1日当たり投与量が15g以上、又は20g以上となるように投与されてよい。当該1日当たり投与量の上限値については、例えば50g以下、45g以下、又は40g以下であってよい。
また、本技術の組成物は、前記難消化性デキストリンの1日当たり投与量が2g以上となるように対象に投与されてよく、特には当該1日当たり投与量が9g以上、又は18g以上となるように投与されてよい。当該1日当たり投与量の上限値については、例えば45g以下、40g以下、又は35g以下であってよい。
前記食物繊維の含有量は、本技術の組成物のエネルギー量100kcal当たり、例えば1g以上、1.5g以上、又は2g以上であってよい。また、前記食物繊維の含有量は、当該組成物のエネルギー量100kcal当たり、例えば5g以下、4.5g以下、又は4g以下であってよい。
前記難消化性デキストリンの含有量は、本技術の組成物のエネルギー量100kcal当たり、例えば0.2g以上、0.9g以上、又は1.8g以上であってよい。また、前記難消化性デキストリンの含有量は、当該組成物のエネルギー量100kcal当たり、例えば4.5g以下、4g以下、又は3.5g以下であってよい。
これらの含有量の数値範囲は、例えば本技術の組成物が液状、ペースト状、ゼリー状、粉末状又は固形状である場合に適用されてよい。
本技術の組成物は、ビタミンD以外のビタミン類をさらに含んでよい。当該ビタミン類は、例えばビタミンA、ビタミンB(例えばビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンB12、葉酸など)、ビタミンC、及びビタミンEのうちのいずれか1つ以上を含んでよく、特にはビタミンB、C、及びEを含み、より特にはビタミンB1、C、及びEを含む。
本技術の組成物は、前記ビタミンB1の1日当たり投与量が1mg以上となるように対象に投与されてよく、特には当該1日当たり投与量が2mg以上、又は3mg以上となるように投与されてよい。当該1日当たり投与量の上限値については、例えば10mg以下、9mg以下、又は8mg以下であってよい。
本技術の組成物は、前記ビタミンCの1日当たり投与量が50mg以上となるように対象に投与されてよく、特には当該1日当たり投与量が100mg以上、又は300mg以上となるように投与されてよい。当該1日当たり投与量の上限値については、例えば2000mg以下、1900mg以下、又は1800mg以下であってよい。
本技術の組成物は、前記ビタミンEの1日当たり投与量が8mg以上となるように対象に投与されてよく、特には当該1日当たり投与量が20mg以上、又は30mg以上となるように投与されてよい。当該1日当たり投与量の上限値については、例えば200mg以下、190mg以下、又は180mg以下であってよい。
前記ビタミンB1の含有量は、本技術の組成物のエネルギー量100kcal当たり、例えば0.1mg以上、0.2mg以上、又は0.3mg以上であってよい。また、前記ビタミンB1の含有量は、当該組成物のエネルギー量100kcal当たり、例えば1mg以下、0.9mg以下、又は0.8mg以下であってよい。
前記ビタミンCの含有量は、本技術の組成物のエネルギー量100kcal当たり、例えば5mg以上、10mg以上、又は30mg以上であってよい。また、前記ビタミンCの含有量は、当該組成物のエネルギー量100kcal当たり、例えば200mg以下、190mg以下、又は180mg以下であってよい。
前記ビタミンEの含有量は、本技術の組成物のエネルギー量100kcal当たり、例えば1mg以上、2mg以上、又は3mg以上であってよい。また、前記ビタミンEの含有量は、当該組成物のエネルギー量100kcal当たり、例えば20mg以下、19mg以下、又は18mg以下であってよい。
これらの含有量の数値範囲は、例えば本技術の組成物が液状、ペースト状、ゼリー状、粉末状又は固形状である場合に適用されてよい。
本技術の組成物は、たんぱく質をさらに含んでよい。当該たんぱく質は、乳たんぱく質、卵たんぱく質、コラーゲン等の動物性たんぱく質、大豆たんぱく質、米たんぱく質、小麦たんぱく質等の植物性たんぱく質等、食品に用いられるものであれば特に制限されない。本発明において、乳たんぱく質が特に好ましく用いられる。乳たんぱく質として、カゼイン分解物、カゼインナトリウムやカゼインカルシウム等のカゼイネート、乳たんぱく質濃縮物(MPC)、ホエイたんぱく質濃縮物(WPC)、ホエイたんぱく質分解物等を用いることができる。
本技術の組成物は、前記たんぱく質の1日当たり投与量が10g以上となるように対象に投与されてよく、特には当該1日当たり投与量が15g以上、又は20g以上となるように投与されてよい。当該1日当たり投与量の上限値については、例えば80g以下、70g以下、又は60g以下であってよい。
また、本技術の組成物は、前記乳たんぱく質の1日当たり投与量が10g以上となるように対象に投与されてよく、特には当該1日当たり投与量が15g以上、又は20g以上となるように投与されてよい。当該1日当たり投与量の上限値については、例えば80g以下、70g以下、又は60g以下であってよい。
前記たんぱく質の含有量は、本技術の組成物のエネルギー量100kcal当たり、例えば1g以上、1.5g以上、又は2g以上であってよい。また、前記たんぱく質の含有量は、当該組成物のエネルギー量100kcal当たり、例えば8g以下、7g以下、又は6g以下であってよい。
前記カゼインの含有量は、当該組成物のエネルギー量100kcal当たり、例えば1g以上、1.5g以上、又は2g以上であってよい。また、前記カゼインの含有量は、当該組成物のエネルギー量100kcal当たり、例えば8g以下、7g以下、又は6g以下であってよい。
これらの含有量の数値範囲は、例えば本技術の組成物が液状、ペースト状、ゼリー状、粉末状又は固形状である場合に適用されてよい。
本技術の組成物は、脂質をさらに含んでよい。当該脂質は、大豆油、菜種油、コーン油等の植物油、魚油等の動物油等、食品に用いられる油脂を特に制限なく用いることができる。中でも、植物油を好ましく用いることができ、大豆油をより好ましく用いることができる。また、当該脂質は中鎖脂肪酸トリグリセリドを含んでよい。また、EPA及び/又はDHAを含んでよい。
本技術の組成物は、前記脂質の1日当たり投与量が10g以上となるように対象に投与されてよく、特には当該1日当たり投与量が12g以上、又14g以上となるように投与されてよい。当該1日当たり投与量の上限値については、例えば50g以下、45g以下、又は40g以下であってよい。
また、本技術の組成物は、前記EPAの1日当たり投与量が100mg以上となるように対象に投与されてよく、特には当該1日当たり投与量が120mg以上、又は150mg以上となるように投与されてよい。当該1日当たり投与量の上限値については、例えば600mg以下、500mg以下、又は400mg以下であってよい。
また、本技術の組成物は、前記DHAの1日当たり投与量が50mg以上となるように対象に投与されてよく、特には当該1日当たり投与量が100mg以上、又は120mg以上となるように投与されてよい。当該1日当たり投与量の上限値については、例えば500mg以下、380mg以下、又は250mg以下であってよい。
前記脂質の含有量は、本技術の組成物のエネルギー量100kcal当たり、例えば1g以上、1.2g以上、又1.4g以上であってよい。また、前記脂質の含有量は、当該組成物のエネルギー量100kcal当たり、例えば5g以下、4.5g以下、又は4g以下であってよい。
前記EPAの含有量は、当該組成物のエネルギー量100kcal当たり、例えば12mg以上又は15mg以上であってよい。また、前記EPAの含有量は、当該組成物のエネルギー量100kcal当たり、例えば60mg以下、50mg以下、又は40mg以下であってよい。
前記DHAの含有量は、当該組成物のエネルギー量100kcal当たり、例えば5mg以上、10mg以上、又は12mg以上であってよい。また、前記DHAの含有量は、当該組成物のエネルギー量100kcal当たり、例えば50mg以下、38mg以下、又は25mg以下であってよい。
これらの含有量の数値範囲は、例えば本技術の組成物が液状、ペースト状、ゼリー状、粉末状又は固形状である場合に適用されてよい。
本技術の組成物は、アミノ酸類をさらに含んでよい。前記アミノ酸類は、例えばバリン、ロイシン、イソロイシン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、アラニン、プロリン、システイン、リジン、スレオニン、アスパラギン、フェニルアラニン、セリン、メチオニン、グリシン、チロシン、ヒスチジン、及びトリプトファンから選ばれる1つ又は2つ以上の組み合わせであってよい。好ましくは、前記アミノ酸類は、バリン、ロイシン、及びイソロイシンから選ばれる1つ、2つ、又は3つを含む。
本技術の組成物は、前記アミノ酸類の1日当たり合計投与量が10g以上となるように対象に投与されてよく、特には当該1日当たり合計投与量が12g以上、又14g以上となるように投与されてよい。当該1日当たり合計投与量の上限値については、例えば40g以下、35g以下、又は30g以下であってよい。
前記アミノ酸類の合計含有量は、本技術の組成物のエネルギー量100kcal当たり、例えば1g以上、1.2g以上、又1.4g以上であってよい。また、前記アミノ酸類の合計含有量は、当該組成物のエネルギー量100kcal当たり、例えば4g以下、3.5g以下、又は3g以下であってよい。
これらの含有量の数値範囲は、例えば本技術の組成物が液状、ペースト状、ゼリー状、粉末状又は固形状である場合に適用されてよい。
本技術の組成物は、糖質をさらに含んでよい。糖質としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、多糖類等、食品に用いられる糖質を特に制限なく用いることができる。中でも、多糖類及びオリゴ糖類を好ましく用いることができる。当該多糖類は、デキストリンをより好ましく用いることができる。当該オリゴ糖は、例えば二糖類、三糖類、四糖類、及び五糖類のうちの一つ以上を含んでよい。当該オリゴ糖の例として、ラクチュロースを挙げることができる。
本技術の組成物は、前記糖質の1日当たり投与量が80g以上となるように対象に投与されてよく、特には当該1日当たり投与量が100g以上、又120g以上となるように投与されてよい。当該1日当たり投与量の上限値については、例えば250g以下、200g以下、又は180g以下であってよい。
前記糖質の合計含有量は、本技術の組成物のエネルギー量100kcal当たり、例えば8g以上、10g以上、又12g以上であってよい。また、前記糖質の合計含有量は、当該組成物のエネルギー量100kcal当たり、例えば25g以下、20g以下、又は15g以下であってよい。
本技術の組成物は、ミネラルをさらに含んでよい。ミネラルの例として、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、及びモリブデンを挙げることができる。本技術の組成物は、これらミネラルのうちの1つ以上を含んでよい。
本技術の組成物は、例えば水、甘味料、果汁、野菜汁、香料、着色料、及び酸味料などの成分を含みうる。これらの成分の種類及び含有割合は、所望の物性、形状、味、又は外観に応じて当業者により適宜選択されてよい。
(5)組成物の物性
本技術の組成物は、液状、ペースト状、ゲル状(ゼリー状)、粉末状又は固形状であってよく、好ましくは液状又はゲル状であり、より好ましくは液状である。
本技術の組成物は、好ましくは流動性を有する。例えば、流動性を有する液状又はゲル状の組成物であってよい。例えば、本技術の組成物は流動食であってよい。
本技術の組成物は、液状であることによって、例えば高齢者が摂取しやすくなり、さらに、経管的に対象に投与することができる。本技術の組成物が液状である場合における当該組成物の各種物性は例えば以下のとおりに設定されてよい。
本技術の液状組成物の浸透圧は、例えば100mOsm/L~1000mOsm/L、好ましくは200mOsm/L~500mOsm/L、より好ましくは250mOsm/L~350mOsm/Lであってよい。
本技術の液状組成物の20℃におけるpHは、例えば6.0~8.0、好ましくは6.3~7.7、より好ましくは6.5~7.5であってよい。
本技術の組成物の20℃における比重は、例えば0.8~1.5、好ましくは0.9~1.4、より好ましくは1.0~1.2であってよい。
本技術の組成物の20℃における粘度は、例えば1mPa・s~30000mPa・s、好ましくは5mPa・s~1800mPa・s、より好ましくは10mPa・s~100mPa・sであってよい。
本技術の一つの実施態様において、本技術の組成物1ml当たりのエネルギー量は0.5kcal以上、0.6kcal以上、0.7kcal以上、0.8kcal以上、又は0.9kcal以上であってよい。このように、組成物1ml当たりのエネルギー量が高いことによって、効率的なエネルギー摂取が可能となる。この実施態様において、本技術の組成物1ml当たりのエネルギー量は、例えば5kcal以下、4kcal以下、3kcal以下、2kcal以下、又は1.5kcal以下であってよい。例えば、本技術の組成物は、1ml当たりのエネルギー量が1kcalであってもよい。
この実施態様において、本技術の組成物は、例えば液状、ペースト状、ゲル状(ゼリー状)、粉末状又は固形状であってよい。
(6)飲食品組成物
本技術の組成物は、飲食品組成物として用いることができる。本技術における飲食品組成物は、例えば液状、ペースト状、ゼリー状、固形、又は粉末などの形態を有していてよい。また、本技術の飲食品組成物は、例えば錠菓、流動食、又は飼料(ペット用を含む)として構成されてよい。また、本技術の飲食品組成物は、例えば小麦粉製品、即席食品、農産加工品、水産加工品、畜産加工品、乳・乳製品、油脂類、基礎調味料、複合調味料・食品類、冷凍食品、菓子類、又は飲料として構成されてもよい。
また、本技術の飲食品組成物は、REEの上昇及び/若しくは低下予防、並びに/又は、RQの低下及び/若しくは上昇予防などの用途(保健用途を含む)が表示された飲食品として提供又は販売されることが可能である。
例えば、本技術の飲食品組成物は、糖尿病患者のREEの上昇及び/若しくは低下予防並びに/又は糖尿病患者のRQの低下及び/若しくは上昇予防などの用途が表示された飲食品として提供又は販売されてよい。
また、本技術の飲食品組成物は、経管栄養患者のREEの上昇及び/若しくは低下予防並びに/又は経管栄養患者のRQの低下及び/若しくは上昇予防などの用途が表示された飲食品として提供又は販売されてよい。
また、本技術の飲食品組成物は、推定基礎代謝量よりも実測の安静時エネルギー消費量が低値であるヒト(特には糖尿病患者又は経管栄養患者)のREEの上昇及び/若しくは低下予防並びに/又は当該ヒトのRQの低下及び/若しくは上昇予防などの用途が表示された飲食品として提供又は販売されてよい。
また、本技術の飲食品組成物は、摂取対象として例えば「REEが低い方」、「REEが低下傾向である方」、「REEを向上させたい方」、「REE低下を予防したい方」、「RQが高い方」、「RQが上昇傾向である方」、「RQを低下させたい方」、「RQ上昇を予防したい方」、「REEを高めて体調維持に役立つ」、又は「RQを低下させて体調維持に役立つ」などと表示して提供及び/又は販売されることが可能である。「表示」行為には、需要者に対して本技術の組成物の用途を知らしめるための全ての行為が含まれ、前記用途を想起及び/又は類推させうるような表現であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物及び/又は媒体の如何に拘わらず、全て本技術の「表示」行為に該当する。
また、「表示」は、需要者が上記用途を直接的に認識できるような表現により行われることが好ましい。具体的には、飲食品に係る商品又は商品の包装に前記用途を記載したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引き渡しのために展示し、輸入する行為、商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に上記用途を記載して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に上記用途を記載して電磁的(インターネット等)方法により提供する行為等が挙げられる。
一方、表示内容としては、行政等によって認可された表示(例えば、行政が定める各種制度に基づいて認可を受け、そのような認可に基づいた態様で行う表示等)であることが好ましい。また、そのような表示内容を、包装、容器、カタログ、パンフレット、POP等の販売現場における宣伝材、その他の書類等へ付することが好ましい。
また、「表示」には、健康食品、機能性食品、経腸栄養食品、特別用途食品、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、医薬用部外品等としての表示も挙げられる。この中でも特に、消費者庁によって認可される表示、例えば、特定保健用食品、栄養機能食品、若しくは機能性表示食品に係る制度、又はこれらに類似する制度にて認可される表示等が挙げられる。具体的には、特定保健用食品としての表示、条件付き特定保健用食品としての表示、身体の構造や機能に影響を与える旨の表示、疾病リスク減少表示、科学的根拠に基づいた機能性の表示等を挙げることができ、より具体的には、健康増進法に規定する特別用途表示の許可等に関する内閣府令(平成二十一年八月三十一日内閣府令第五十七号)に定められた特定保健用食品としての表示(特に保健の用途の表示)及びこれに類する表示が典型的な例である。
(7)医薬組成物
本技術の組成物は、医薬組成物として用いることができる。本技術の医薬組成物は、REEの上昇及び/若しくは低下予防、並びに/又は、RQの低下及び/若しくは上昇予防のために使用することができる。
本技術の医薬組成物は、例えば、糖尿病患者のREEの上昇及び/若しくは低下予防並びに/又は糖尿病患者のRQの低下及び/若しくは上昇予防のために、当該患者に投与されてよい。
また、本技術の医薬組成物は、経管栄養患者のREEの上昇及び/若しくは低下予防並びに/又は経管栄養患者のRQの低下及び/若しくは上昇予防のために、当該患者に投与されてよい。
また、本技術の医薬組成物は、推定基礎代謝量よりも実測の基礎代謝量が低値であるヒト(特には糖尿病患者又は経管栄養患者)のREEの上昇及び/若しくは低下予防並びに/又は当該ヒトのRQの低下及び/若しくは上昇予防のために投与されてよい。
本技術に係る組成物を医薬組成物として利用する場合、当該医薬組成物は、経口投与及び非経口投与のいずれで投与されてもよく、投与方法に応じて、適宜所望の剤形に製剤化することができる。例えば、経口投与の場合、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤等の固形製剤;溶液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤等の液剤等に製剤化することができる。また、非経口投与の場合、例えば胃ろうを介して本技術の組成物を投与することができる。
また、製剤化に際しては、本技術に係る医薬組成物には、通常製剤化に用いられている賦形剤、pH調整剤、着色剤、矯味剤等の成分を用いることができる。また、本技術の効果を損なわない限り、本技術に係る医薬組成物には、公知の又は将来的に見出されるREE及び/又はRQに関する状態の改善効果を有する成分が含まれてよく、又は、糖尿病又は糖尿病に関連する症状に対する予防、改善及び/又は治療の効果を有する成分が含まれてもよい。
加えて、製剤化は剤形に応じて適宜公知の方法により実施できる。製剤化に際しては、適宜、製剤担体を配合して製剤化してもよい。
(8)組成物の製造方法
本技術の組成物の製造方法は、カルニチンを投与用媒体と混合する混合工程を含む。当該混合工程は、当該投与用媒体に、上記で述べたビタミンD及び/又は亜鉛を添加する工程を含んでもよい。当該投与用媒体は、本技術の組成物の摂取方法又は形態に応じて適宜選択されてよい。当該投与用媒体は、例えば、液体媒体であってよい。当該混合工程において、本技術の組成物に含まれる他の任意成分がさらに混合されてよい。当該混合工程において、最終製品として組成を有する組成物が形成されてよい。
前記混合工程は、得られた組成物を殺菌する殺菌工程を含んでよい。当該殺菌は、高温短時間殺菌(HTST)、UHT(超高温殺菌)、加圧加熱殺菌など当技術で既知のいずれかの手法により行われてよい。
前記製造方法は、前記混合工程において得られた組成物を前記殺菌工程の前又は後に容器に充填する充填工程をさらに含んでよい。殺菌工程の後に行う場合、当該充填工程は、無菌的に行われてよい。当該容器は、例えば紙パック、プラスチックバッグ、プラスチックボトル、プラスチックカップ、アルミパウチ、金属缶、又はガラス容器であってよい。
(9)組成物の使用方法
本技術の組成物の投与対象は、動物であってよく、特には哺乳動物、より特には霊長類、さらにより特にはヒト又は非ヒト霊長類であり、特に好ましくはヒトである。本技術の組成物が投与される対象がヒトである場合、当該ヒトの年齢は例えば0歳~120歳であり、好ましくは60歳以上、より好ましくは65歳以上、さらにより好ましくは70歳以上、75歳以上、又は80歳以上である。本技術の組成物は、このような高齢者において、REEの上昇若しくは低下予防のために又はRQの低下又は上昇予防のために特に適している。
本技術の組成物は、例えばREEの上昇若しくは低下予防又はRQの低下又は上昇予防が求められるヒトに投与するために用いられてよい。当該ヒトは、例えば糖尿病を患う患者であってよい。また、当該ヒトは、例えば経管栄養患者であってよい。
本技術の組成物の投与対象は、安静状態が継続的に維持されているヒトであってよい。例えば、本技術の組成物の投与対象は、2メッツ以上の活動強度の活動を行なうことができないヒトであってよく、特には1.5メッツ以上、より特には1.2メッツ以上の活動強度の活動を行なうことができないヒトであってよい。本技術の組成物は、このようなヒトにおけるREEの上昇若しくは低下予防のために又はRQの低下又は上昇予防のために特に適している。当該ヒトは、例えば、当該活動を行うことができない状態が、例えば1週間、2週間、若しくは3週間又はそれより長い期間(1か月以上、2か月以上、又は3か月以上)にわたって、継続しているヒトであってよい。
本技術の組成物の投与対象は、例えば、終日安静臥床の状態にあるヒトであってよい。当該ヒトは、例えば、当該状態が、例えば1週間、2週間、若しくは3週間又はそれより長い期間(1か月以上、2か月以上、又は3か月以上)にわたって、継続しているヒトであってよい。
また、本技術の組成物の投与対象は、例えば要介護度が1~5、特には3、4、又は5、より特には4又は5のヒトであってよい。本技術の組成物は、このようなヒトにおけるREEの上昇若しくは低下予防のために又はRQの低下又は上昇予防のために特に適している。
また、本技術の組成物の投与対象は、1日当たりの総エネルギー摂取量が、例えば2000kcal以下、特には1800kcal以下、さらにより特には1600kcal以下、1500kcal以下、又は1400kcal以下であるヒトであってよい。当該ヒトは、当該1日当たりの総エネルギー摂取量でのエネルギー摂取が、例えば1週間以上、特には2週間以上、より特には1か月以上継続しているヒトであってよい。
本技術の組成物は、推定基礎代謝量よりも実測の安静時エネルギー消費量が低値であるヒトの安静時エネルギー消費量の上昇又は低下予防のために用いられるものである。前記推定基礎代謝量は、ヒトの身長、体重、年齢、及び性別を用いて、以下の式3により算出されるものである。
式3:推定基礎代謝量(BMR)=(0.1238+0.0481×体重(kg)+0.0234×身長(cm)-0.0138×年齢(歳)-0.5473×性別*)×1000/4.186(性別*、男性:1、女性:2)
式3は、独立行政法人国立健康・栄養研究所により作成された、推定基礎代謝量の算出のための計算式である。
本技術の組成物は、推定基礎代謝量よりも実測の安静時エネルギー消費量が低値であるヒトにおける安静時エネルギー消費量の上昇又は低下予防のために適している。また、本技術の組成物によって、安静時エネルギー消費量を推定基礎代謝量へと近づけることができるので、本技術の組成物は、適切な生命活動をもたらすことにも貢献しうる。
本技術の組成物は、例えば経口的に又は経管的に摂取されてよい。後者の場合、例えば胃ろうを介して、本技術の組成物はヒトに投与される。すなわち、本技術の組成物は、経管栄養患者に投与されるものであってよい。経管栄養患者への投与用途のために、本技術の組成物は、例えば液状形態を有していてよい。
本技術の一つの実施態様において、本技術の組成物は、本技術の組成物によって1日当たり例えば500kcal~2000kcal、好ましくは600kcal~1500kcal、好ましくは800kcal~1200kcalのエネルギー量が投与対象に与えられるように投与されてよい。例えば、1回の投与当たり200kcal~500kcalのエネルギー量が本技術の組成物によって対象に与えられてよく、当該投与が1日当たり1回~10回、2回~8回、又は2回~5回行われてよい。
本技術の組成物は、定期的に投与されてよく、例えば毎日投与されてよく又は1日おき若しくは2日おきなど期間を開けて投与されてもよい。本技術の組成物は、例えば1週間以上、2週間以上、3週間以上にわたって投与されてよく、好ましくは1か月以上、2か月以上、又は3か月以上にわたって投与されてよい。本技術の組成物の投与期間の上限は設定されなくてよいが、例えば3年以下、2年以下、又は1年以下などであってよいが、投与期間の終了時期を定めずに投与されてもよい。
(10)組成物の栄養組成の例
本技術の組成物が有する、100kcal当たりの栄養組成の例を以下に記載する。このような栄養組成を有する組成物は、REEの上昇若しくは低下予防又はRQの低下又は上昇予防のために適している。
本技術の組成物は、当該組成物が有するエネルギー100kcal当たり、炭水化物を13g~20g、好ましくは14g~18g含んでよい。
本技術の組成物は、当該組成物が有するエネルギー100kcal当たり、ナトリウムを例えば70mg~250mg含み、好ましくは70mg~150mg、より好ましくは80mg~90mg含んでよい。
本技術の組成物は、当該組成物が有するエネルギー100kcal当たり、カリウムを例えば60mg~160mg含み、好ましくは60mg~120mg、より好ましくは70mg~80mg含んでよい。
本技術の組成物は、当該組成物が有するエネルギー100kcal当たり、塩素を例えば70mg~300mg含み、好ましくは70mg~200mg、より好ましくは80mg~90mg含んでよい。
本技術の組成物は、当該組成物が有するエネルギー100kcal当たり、カルシウムを例えば30mg~90mg含み、好ましくは40mg~90mg、より好ましくは60mg~80mg含んでよい。
本技術の組成物は、当該組成物が有するエネルギー100kcal当たり、マグネシウムを例えば15mg~50mg含み、好ましくは20mg~40mg、より好ましくは30mg~40mg含んでよい。
本技術の組成物は、当該組成物が有するエネルギー100kcal当たり、リンを例えば30mg~90mg含み、より好ましくは40mg~90mg、好ましくは60mg~80mg含んでよい。
本技術の組成物は、当該組成物が有するエネルギー100kcal当たり、鉄を例えば0.5mg~1.5mg含み、好ましくは0.7mg~1.3mg含んでよい。
本技術の組成物は、当該組成物が有するエネルギー100kcal当たり、銅を例えば0.03mg~0.15mg含み、好ましくは0.07mg~0.13mg含んでよい。
本技術の組成物は、当該組成物が有するエネルギー100kcal当たり、マンガンを例えば0.1mg~0.3mg含み、好ましくは0.15mg~0.25mg含んでよい。
本技術の組成物は、当該組成物が有するエネルギー100kcal当たり、ヨウ素を例えば5μg~25μg含み、好ましくは10μg~20μg含んでよい。
本技術の組成物は、当該組成物が有するエネルギー100kcal当たり、セレンを例えば1μg~10μg含み、好ましくは2μg~6μg含んでよい。
本技術の組成物は、当該組成物が有するエネルギー100kcal当たり、クロムを例えば1μg~10μg含み、好ましくは2μg~6μg含んでよい。
本技術の組成物は、当該組成物が有するエネルギー100kcal当たり、モリブデンを例えば1μg~15μg含み、好ましくは2μg~5μg含んでよい。
本技術の組成物は、当該組成物が有するエネルギー100kcal当たり、ビタミンAを例えば30μgRAE~120μgRAE含み、好ましくは60μgRAE~90μgRAE含んでよい。
本技術の組成物は、当該組成物が有するエネルギー100kcal当たり、ビタミンKを例えば5μg~15μg含み、好ましくは7μg~9μg含んでよい。
本技術の組成物は、当該組成物が有するエネルギー100kcal当たり、ビタミンB2を例えば0.1mg~0.4mg含み、好ましくは0.15mg~0.2mg含んでよい。
本技術の組成物は、当該組成物が有するエネルギー100kcal当たり、ナイアシンを例えば1mgNE~10mgNE含み、好ましくは4mgNE~8mgNE含んでよい。
本技術の組成物は、当該組成物が有するエネルギー100kcal当たり、ビタミンB6を例えば0.1mg~1mg含み、好ましくは0.4mg~0.8mg含んでよい。
本技術の組成物は、当該組成物が有するエネルギー100kcal当たり、ビタミンB12を例えば0.1mg~1mg含み、好ましくは0.5mg~1mg含んでよい。
本技術の組成物は、当該組成物が有するエネルギー100kcal当たり、葉酸を例えば20μg~100μg含み、好ましくは60μg~80μg含んでよい。
本技術の組成物は、当該組成物が有するエネルギー100kcal当たり、パントテン酸を例えば0.3mg~2mg含み、好ましくは1mg~1.5mg含んでよい。
本技術の組成物は、当該組成物が有するエネルギー100kcal当たり、ビオチンを例えば1μg~10μg含み、好ましくは3μg~7μg含んでよい。
本技術は、以下の方法及び物も提供する。
[1]
カルニチンの、安静時エネルギー消費量の上昇又は低下予防用組成物の製造のための使用。
カルニチンの、呼吸商の低下又は上昇予防用組成物の製造のための使用。
カルニチン及びビタミンD(及び亜鉛)の、安静時エネルギー消費量の上昇又は低下予防用組成物の製造のための使用。
カルニチン及びビタミンD(及び亜鉛)の、呼吸商の低下又は上昇予防用組成物の製造のための使用。
[2]
安静時エネルギー消費量の上昇又は低下予防のために用いられるカルニチン。
呼吸商の低下又は上昇予防のために用いられるカルニチン。
安静時エネルギー消費量の上昇又は低下予防のために用いられる、カルニチン及びビタミンD(及び亜鉛)の組合せ。
呼吸商の低下又は上昇予防のために用いられる、カルニチン及びビタミンD(及び亜鉛)の組合せ。
[3]
カルニチンを投与することを含む、安静時エネルギー消費量の上昇又は低下予防方法。
カルニチンを投与することを含む、呼吸商の低下又は上昇予防方法。
カルニチン及びビタミンD(及び亜鉛)を投与することを含む、安静時エネルギー消費量の上昇又は低下予防方法。
カルニチン及びビタミンD(及び亜鉛)を投与することを含む、呼吸商の低下又は上昇予防方法。
以下で実施例を参照して本技術をより詳しく説明するが、本技術はこれら実施例に限定されるものではない。
1.試験組成物の調製
以下表1に示される栄養組成を有する試験組成物1及び2を調製した。
Figure 2022144737000001
試験組成物1は、水、デキストリン、難消化性デキストリン、植物油、ラクチュロース、精製魚油、乾燥酵母、カゼインナトリウム、pH調整剤、セルロース、乳化剤、カラギナン、ビタミンE、香料、及び甘味料、並びにミネラル混合物、ビタミン混合物を混合することによって調製された。
試験組成物2は、カルニチン(カルニピュア結晶性粉末、ロンザジャパン株式会社)をさらに含むこと及びビタミンD(ビタミンD3油、兼松新東亜食品株式会社)及び亜鉛(グルコン酸亜鉛、富田製薬株式会社)の配合量を増加させたこと以外は、試験組成物1と同じ方法で調製された。
2.試験組成物の投与
糖尿病の経管栄養患者4名に、試験組成物1を3か月以上にわたって、胃ろうから投与した。これらの患者はいずれも、試験期間中は常に、終日安静臥床の状態にあった。各患者の投与スケジュール及び投与量は以下表2に示されるとおりであった。その後、投与される組成物を試験組成物1から試験組成物2へと変更したこと以外は同じ投与方法で、試験組成物2を3か月間投与した。
Figure 2022144737000002
表2に示されるとおり、各患者に対して、試験組成物1又は2によって、800kcal~1200kcalのエネルギーが与えられた。また、表2に示されるとおり、各試験組成物は、1日において3回~4回に分けて投与された。1回当たりの投与量は200ml~400mlであった。
また、試験組成物1又は2により患者4名に投与されたカルニチン、ビタミンD、及び亜鉛の1日当たり平均投与量を以下の表3に示す。表3に示した栄養素以外の栄養素およびエネルギーの摂取量は、試験期間中一定であった。
Figure 2022144737000003
3.分析方法
試験組成物1から試験組成物2への変更前、試験組成物2への変更後1か月、2か月、及び3か月経過時において、各患者のREE及びRQを測定した。また、これら4つの時点において、各患者から採血を行い、血中のカルニチン濃度、ビタミンD濃度(25(OH)D値)、及び亜鉛濃度を測定した。
REEの測定は、空腹時(午前5時の食事から約6時間経過した、午前11:00の食事の10分前)に行われた。REEの測定は、間接熱量計(エアロモニタAE-310S、ミナト医科学株式会社)を用いて行われた。より具体的には、当該間接熱量計を用いて、ブレス・バイ・ブレス法によって酸素消費量VO2(ml/min)及び二酸化炭素排出量VCO2(ml/min) を測定し、測定されたこれらの量を用いてREEが算出された。
RQは、空腹時(午前5時の食事から約6時間経過した、午前11:00の食事の10分前)、並びに、食事(午前11:00)の1時間後、2時間後、及び5時間後の合計4つの時点で測定された。RQの測定も、前記間接熱量計を用いて行われた。より具体的には、上記でREEに関して述べた通りに酸素消費量VO2(ml/min)及び二酸化炭素排出量VCO2(ml/min) を測定し、測定されたこれらの量を用いて、上記式2に従い、RQが算出された。
前記カルニチン濃度、ビタミンD濃度、及び亜鉛濃度の測定は、株式会社エスアールエルにより行われた。血中カルニチン濃度(総カルニチン値と遊離カルニチン値)は、酵素サイクリング法にて測定された。25(OH)D値はCLEIA法(化学発光酵素免疫測定法)にて測定された。亜鉛濃度は、比色法により測定された。
変更前、変更後1か月、2か月、及び3か月経過時それぞれについて、患者4名の測定値の平均値を算出した。変更前と変更後各時点との有意差検定をpaired t-testにて行い、危険率5%以下を有意とした。
4.結果及び考察
上記3.における測定の結果を以下の表4~6並びに及び図1~3に示す。なお、表5における推定基礎代謝量は、各患者の身長、体重、年齢、及び性別を用いて、上記で説明した式3により算出された。
Figure 2022144737000004
Figure 2022144737000005
Figure 2022144737000006
表4及び図1に示されるとおり、遊離カルニチン濃度及び総カルニチン濃度試験組成物1から試験組成物2への変更後1か月経過時点において、有意に増加した。さらに、当該変更後2か月経過時点及び3か月経過時点においても、この増加は維持された。
25(OH)値については、当該変更前のデータは無いが、2か月経過時、及び3か月経過時と、1か月経過時と比較して有意に増加していることが確認された。
亜鉛濃度については、当該変更前及び当該変更後1~3か月経過時において、有意な増加は観察されなかった。
表5及び図2に示されるとおり、実測REEについて、試験組成物1から試験組成物2への変更後から徐々に上昇したことが分かる。特に、試験組成物1から試験組成物2への切り替え前において実測REEが推定基礎代謝量よりも低い患者に関して、当該変更後に実測REEが推定基礎代謝量へ近づくように上昇した。
表6及び図3に示されるとおり、RQについては、試験組成物1から試験組成物2への変更後から徐々に低下したことが分かる。この低下は、空腹時RQ並びに食後1、2、及び5時間後のいずれについても確認された。
以上の結果より、試験組成物2によって、REEを上昇させることができることが分かる。また、試験組成物2は、RQを低下させることができることも分かる。
試験組成物1と試験組成物2とでは、カルニチンを含むという違いがある。そのため、カルニチンは、REEの上昇又は低下予防のために有用であることが分かる。また、カルニチンは、RQの低下又は上昇予防のために有用であることも分かる。
試験組成物1と試験組成物2とでは、カルニチンを含むという違いに加え、ビタミンD濃度の違いもある。そのため、カルニチンとビタミンDとの組合せが、REEの上昇又は低下予防のために有用であると考えられる。また、当該組合せは、RQの低下又は上昇予防のために有用であると考えられる。
試験組成物1と試験組成物2とでは、カルニチンを含むという違いに加え、ビタミンD濃度及び亜鉛濃度の違いもある。そのため、カルニチン、ビタミンD、及び亜鉛の3成分の組合せが、REEの上昇又は低下予防のために有用であると考えられる。また、これら3成分の組合せは、RQの低下又は上昇予防のために有用であると考えられる。
カルニチン及びビタミンDについては、試験組成物1から試験組成物2への変更に伴い、血中濃度も増加した。一方で、亜鉛については、試験組成物1から試験組成物2への変更したものの血中濃度は増加しなかった。そのため、カルニチン、ビタミンD、及び亜鉛のうち、カルニチン及びビタミンDの組合せが特に、REEの上昇又は低下予防のために寄与していると考えられる。また、カルニチン及びビタミンDの組合せが、RQの低下又は上昇予防のために有用であることも分かる。
試験組成物2に関して、カルニチンの1日当たり平均投与量は、上記表3に記載のとおり157.5±28.7mgであった。当該平均投与量の最小値は患者3についての120mg/日であった。また、当該平均投与量の最大値は患者1についての180mg/日であった。
そのため、REEの上昇又は低下予防のために、又は、RQの低下又は上昇予防のために、カルニチンは、1日当たり投与量が、例えば10mg以上、好ましくは30mg以上、より好ましくは50mg以上、さらにより好ましくは100mg以上となるように投与される。
また、REEの上昇又は低下予防のために、又は、RQの低下又は上昇予防のために、カルニチンは、例えば1日当たり投与量が、例えば500mg以下、好ましくは400mg以下、より好ましくは300mg以下、さらにより好ましくは200mg以下となるように投与されてよい。
試験組成物1に関して、ビタミンDの1日当たり平均投与量は、上記表3に記載のとおり、5.3±1.0μg/日であった。試験組成物1に関して、当該平均投与量の最小値は患者3についての4μg/日であった。試験組成物1に関して、当該平均投与量の最大値は患者1についての6μg/日であった。
一方で、試験組成物2におけるビタミンDの1日当たり平均投与量は、上記表3に記載のとおり、10.5±1.9μg/日であった。試験組成物2に関して、当該平均投与量の最小値は患者3についての8μg/日であった。試験組成物2に関して、当該平均投与量の最大値は患者1についての12μg/日であった。
そのため、REEの上昇又は低下予防のために、又は、RQの低下又は上昇予防のために、ビタミンDは、1日当たり投与量が、例えば6μg以上、好ましくは7μg以上となるように投与される。
試験組成物1に関して、亜鉛の1日当たり平均投与量は、上記表3に記載のとおり、9.5±1.7mg/日であった。試験組成物1に関して、当該平均投与量の最小値は患者3についての7.2mg/日であった。試験組成物1に関して、当該平均投与量の最大値は患者1についての10.8mg/日であった。
一方で、試験組成物2における亜鉛の1日当たり平均投与量は、上記表3に記載のとおり、12.6±2.3mg/日であった。試験組成物2に関して、当該平均投与量の最小値は患者3についての9.6mg/日であった。試験組成物2に関して、当該平均投与量の最大値は患者1についての14.4mg/日であった。
そのため、REEの上昇又は低下予防のために、又は、RQの低下又は上昇予防のために、亜鉛は、1日当たり投与量が、例えば8mg以上、好ましくは9mg以上、より好ましくは10mg以上、さらにより好ましくは11mg以上となるように投与される。



Claims (13)

  1. カルニチンを含む、安静時エネルギー消費量の上昇又は低下予防用組成物。
  2. 前記組成物は、糖尿病患者の安静時エネルギー消費量の上昇又は低下予防のために用いられるものである、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記組成物は、経管栄養患者の安静時エネルギー消費量の上昇又は低下予防のために用いられるものである、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 前記組成物は、推定基礎代謝量よりも安静時エネルギー消費量が低値であるヒトの安静時エネルギー消費量の上昇又は低下予防のために用いられるものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 前記組成物は、安静時エネルギー消費量の上昇又は低下予防のために且つ呼吸商の低下又は上昇予防のために用いられるものである、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. カルニチンを含む、呼吸商の低下又は上昇予防用組成物。
  7. ビタミンDをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
  8. 亜鉛をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
  9. 前記組成物は、前記カルニチンの1日当たり投与量が500mg以下となるように投与されるものである、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
  10. 前記組成物は、前記ビタミンDの1日当たり投与量が3μg以上となるように投与されるものである、請求項7~9のいずれか一項に記載の組成物。
  11. 前記組成物は、前記亜鉛の1日当たり投与量が5mg以上となるように投与されるものである、請求項8~10のいずれか一項に記載の組成物。
  12. 前記組成物は飲食品組成物である、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
  13. 前記組成物は医薬組成物である、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
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