JP2023086298A - 波長変換基板の製造方法および減圧露光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】量子ドットの失活を抑制し、スループットを高め、波長変換層の硬化を十分に促進し、膜厚減少を抑制することができる波長変換基板の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】密閉空間内に波長変換組成物層を有する基板を搬送して前記密閉空間内の所定の位置に載置する工程(工程A)、前記密閉空間内で前記波長変換組成物層を有する基板を減圧乾燥および減圧露光する工程(工程B)を有する波長変換基板の製造方法。【選択図】図2-1

Description

本発明は、波長変換基板の製造方法および減圧露光装置に関する。
従来、波長変換基板の製造方法の発明として、特許文献1の発明が知られている。この発明は、(A)波長変換材料、(B)光散乱性粒子、(C)モノマー、(D)重合開始剤を含有した波長変換ペーストをノズル塗布して、波長変換基板を製造する発明であり、波長変換ペーストには塗布に適する粘度にするために溶剤等も含ませることがある。
そして、(A)波長変換材料としては量子ドットなどの無機蛍光体やピロメテン誘導体などの有機蛍光体が用いられ、(C)モノマーとしては分子中に2つ以上のエチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物などが用いられ、溶剤としてはアルコール類、グリコール類、ケトン類、アセテート類などが用いられる。そして塗布した後は、大気雰囲気にて、例えばホットプレート上で90℃30分間乾燥するなどして溶剤等を揮発させ、超高圧水銀灯により露光し、硬化される。
特開2021-96412号公報
しかし、量子ドットを含有する波長変換ペーストを塗布し、波長変換層を形成する際、量子ドットは有酸素下で励起させると失活する性質があり、露光光線でも励起するため、酸素雰囲気下で露光すると失活するという課題があった。
これに対し、露光工程中の雰囲気を低酸素濃度にするために、密閉された露光装置内部を窒素充填置換するという手段が考えられるが、この手段を講じると窒素充填に時間を要するために、スループットが低下するという課題があった。
また、スループットを高めるために乾燥時間を短くするなどした場合、乾燥が不十分であると露光時に波長変換ペースト中に溶剤が残存し、重合性化合物の重合反応が阻害され、硬化が不十分になるという課題があった。
乾燥温度を高くし乾燥時間を長くすることで残留溶剤を低減できるが、溶剤とともに波長変換ペーストに含有されるモノマーなどの重合性化合物も飛散してしまい、膜厚が減少し、発光強度が減少するという課題があった。
本発明は、上記課題に鑑み、量子ドットの失活を抑制し、スループットを高め、波長変換層の硬化を十分に促進し、膜厚減少を抑制することができる波長変換基板の製造方法を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、密閉空間内に波長変換組成物層を有する基板を搬送して前記密閉空間内の所定の位置に載置する工程(工程A)、前記密閉空間内で前記波長変換組成物層を有する基板を減圧乾燥および減圧露光する工程(工程B)を有する波長変換基板の製造方法である。
また、本発明は、密閉空間の上面部に透明な天板、前記透明な天板の上部に設置された露光光源、前記密閉空間の下面部または側面部に設置された減圧乾燥機構、前記密閉空間内において基板を上下に移動させる移動機構を有する減圧露光装置である。
本発明の波長変換基板の製造方法によれば、密閉された空間内で減圧露光するので、露光時の雰囲気酸素濃度を低減することが可能となり量子ドットの失活が抑制でき、密閉された空間内へ窒素を導入することにより空間内の酸素濃度を低下させる方法よりも短時間で低酸素濃度状態を実現できるため、高スループットで製造できる効果がある。また、減圧低温下で溶剤等を揮発乾燥するので、露光硬化時の残存溶剤による硬化阻害を抑制でき、かつ乾燥時の重合性化合物の飛散を抑制することで膜厚減少を抑制することができる。
本発明の波長変換基板の製造方法の一例の概略斜視図である。 本発明の波長変換基板の製造方法の一例の概略断面図である。 本発明の波長変換基板の製造方法の一例の概略断面図である。 本発明の波長変換基板の製造方法によって得られた波長変換基板のSEM断面写真の一例である。
以下、図を用いて本発明について詳細に説明するが、本発明はこの図に示された態様に限定して解釈されるものではない。
図1は波長変換組成物層3を形成するノズル塗布システムの概略斜視図であり、(a)では基板4上に波長変換組成物11をノズル塗布して波長変換組成物層3を形成するノズル塗布装置20を示し、(b)ではその波長変換組成物層を有する基板1と減圧乾燥機構付き減圧露光装置21とを示す。(c)では、波長変換組成物層を有する基板1の断面図を示す。尚、本発明においては、基板上に塗布された、溶剤を含む波長変換組成物を「波長変換組成物層」と称し、その後の乾燥により溶剤が除去されたものを「波長変換層」と称する。
本発明の波長変換基板の製造方法は、密閉空間内に波長変換組成物層を有する基板を搬送して前記密閉空間内の所定の位置に載置する工程(工程A)、前記密閉空間内で前記波長変換組成物層を有する基板を減圧乾燥および減圧露光する工程(工程B)を有する。
<基板搬送工程(工程A)>
まず、密閉空間内に波長変換組成物層を有する基板1を搬送して前記密閉空間内の所定の位置に載置する。
波長変換組成物層を有する基板は、例えば、図1に示すようなノズル塗布システムを用い、波長変換組成物11を基板4上にノズル塗布することにより形成することができる。これにより、膜厚が厚く大面積の波長変換層を高スループットでパターン形成できるので、大画面テレビなどの大型ディスプレイ用途の波長変換基板の作製に適用できる。
基板4は、ガラス板、樹脂板、樹脂フイルムなどが挙げられる。ガラス板の材質としては、無アルカリガラスが好ましい。樹脂板および樹脂フイルムの材質としては、ポリエステル、(メタ)アクリルポリマ、透明ポリイミド、ポリエーテルスルフォン等が好ましい。ガラス板および樹脂板の厚みは、1mm以下が好ましく、0.8mm以下が好ましい。樹脂フイルムの厚みは、100μm以下が好ましい。基板上にはカラーフィルター等を形成していてもよい。
基板上には隔壁を形成していてもよい。隔壁は、隣接する隔壁間に、ペーストを塗布・硬化し、ペーストの硬化物を含有するサブピクセルを構成した場合に、あるサブピクセルから隣接するサブピクセルに光が混色するのを防止する機能を有することが好ましい。具体的には、図1(c)に示すように、基板4上に、パターン形成された隔壁5を有する。隔壁で区画されたセル内には波長変換組成物11が塗布され、波長変換組成物層3が形成される。
隔壁は、波長550nmにおける厚み10μmあたりの反射率が60~90%であることが好ましい。反射率を60%以上とすることにより、隔壁側面における反射を利用してディスプレイの輝度を向上させることができる。一方で、隔壁パターン形成精度を向上させる観点から、反射率は、90%以下が好ましい。ここで、隔壁の厚みとは、基板に対して垂直方向(高さ方向)の隔壁の長さを指す。図1(c)に示す断面図の場合、隔壁5の厚みは符号Hで表される。なお、隔壁の基板に水平方向の長さは、隔壁の幅とし、符号Lで表される。
隔壁の厚みは、隔壁付き基板のセル内に波長変換層を有する場合、波長変換層の厚みよりも大きいことが好ましい。具体的には、隔壁5の厚みHは、0.5μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。一方、波長変換層の底部における発光をより効率良く取り出す観点から、隔壁5の厚みHは、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、20μm以下がさらにより好ましい。また、隔壁5の幅Lは、隔壁側面における光反射を利用し輝度を向上させ、光漏れによる隣接するセル内の波長変換層からの発光による混色を抑制するために十分なものであればよい。具体的には、隔壁5の幅Lは、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。一方、波長変換層の充填領域を多く確保して輝度をより向上させる観点から、隔壁5の幅Lは、50μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましい。
波長変換組成物11は、少なくとも波長変換材料、重合性化合物、溶剤を含むことが好ましい。
波長変換材料としては、無機蛍光体や有機蛍光体を用いることが好ましい。
前者の無機蛍光体としては、例えば、YAG系蛍光体、TAG系蛍光体、サイアロン系蛍光体、Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体等、量子ドット蛍光体が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、量子ドットが好ましい。量子ドットは他の蛍光体に比較して発光スペクトルにおけるピークがシャープであることから、ディスプレイの色再現性を高めることができる。量子ドットの材料としては、例えば、II-IV族、III-V族、IV-VI族、IV族の半導体などが挙げられる。
無機蛍光体の形状としては、例えば、球状、柱状、燐片状、板状、不定形等などが挙げられる。
量子ドットとしては、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイアモンドを含む)、P、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdSeZn、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、Si、Ge、Alなどが挙げられる。
量子ドットは、p型ドーパントまたはn型ドーパントを含有してもよい。また、量子ドットは、コアシェル構造を有してもよい。コアシェル構造においては、シェルの周囲に目的に応じて任意の適切な機能層(単一層または複数層)が形成されていてもよく、シェル表面に表面処理および/または化学修飾がなされていてもよい。
量子ドットの平均粒子径は、所望の発光波長に応じて選択することができ、1~30nmが好ましい。量子ドットの平均粒子径が1~10nmであれば、青色、緑色および赤色のそれぞれにおいて、発光スペクトルにおけるピークをよりシャープにすることができる。量子ドットの平均粒子径は、ダイナミック光散乱光度計DLS-8000(大塚電子(株)製)などで測定できる。
有機蛍光体としては、例えば、ピロメテン誘導体、ペリレン系誘導体、ポルフィリン系誘導体、オキサジン系誘導体、ピラジン系誘導体などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、量子収率が高いことから、ピロメテン誘導体が好ましい。ピロメテン誘導体は、例えば、特開2011-241160号公報に記載の方法により得ることができる。
重合性化合物は、分子中にエチレン性不飽和二重結合を有する化合物であることが好ましい。ラジカル重合性のしやすさを考えると、とくに(メタ)アクリル基を有することが好ましい。また、重合性化合物の二重結合当量は、パターン加工における感度を向上させる観点から、400g/mol以下が好ましい。
具体的には、各種アルキルグリコールアクリレート、各種アルキルグリコールメタクリレート、各種プロパンアクリレート、各種ジオールジアクリレート、各種ジオールジメタクリレート、各種ペンタエリスリトールアクリレート、各種ペンタエリスリトールメタクリレート等が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
重合性化合物の含有量は、波長変換組成物11の固形分率を高める観点から、波長変換組成物11の固形分中、1重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましく、30重量%以上がさらにより好ましい。一方、ノズルからの吐出を安定化させる観点から、重合性化合物の含有量は、固形分中、80重量%以下が好ましく、70重量%以下がより好ましい。
溶剤は、各種アルコール類、各種グリコール類、各種エーテル類、各種ケトン類、各種アミド類、各種アセテート類、各種芳香族または脂肪族炭化水素、γ-ブチロラクトン、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどを用いることができる。
また、波長変換組成物11は、上記の成分に加え、重合開始剤、紫外線吸収剤、分散剤などを適宜含んでいても良い。
ノズル塗布装置20は、塗布ヘッドの内部に波長変換組成物11を貯留する空間を持ち、基板4に対向し相対的に移動しながら、その空間に接続された加圧配管を通して圧力を制御された圧縮空気を導入することで吐出口から波長変換組成物11を吐出することで塗布する装置であり、例えばストライプ状のパターンからなる波長変換組成物層3を形成できる(図1(a)参照)。
ノズル塗布では、波長変換組成物11の粘度を低粘度から高粘度まで対応できることから、粘度を高く設計することにより粒子成分の沈降によるノズルの詰まりを抑制できる長所がある。その波長変換組成物11の粘度は、1000~500000mPa・sが好ましい。粘度を1000mPa・s以上とすることにより、波長変換組成物11を作製後に長期保存した場合でも波長変換材料の沈降が生じにくくなり、粘度を500000mPa・s以下とすることにより、低圧の圧縮空気による加圧で安定的にノズル吐出できる。
なお、上記粘度はレオメータ(HAAKE MARS;サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製)に、同社製のPlate P35 Ti Lを装着し、ギャップを200μmに設定し、1s-1のせん断速度において測定した際の数値である。
また、波長変換組成物11を塗布する装置は、波長変換組成物11を均一かつ安定的に塗布できる装置であれば上記のノズル塗布装置20以外であってもよく、例えばインクジェット、スピンコーター、ナイフコーター、ロールコーター、スクリーン印刷装置など、当該技術において知られている任意の装置を使用してもよい。
得られた波長変換組成物層を有する基板1は、基板搬送機構44により密閉空間内に搬送され、密閉空間内の所定の位置に載置される。基板搬送機構44は、波長変換組成物層を有する基板1を減圧乾燥機構付き減圧露光装置21の手前まで搬送する機構であればいずれでもよく、例えばブラシレスモーターを使用したコンベヤやピッチ送りコンベアなどが挙げられる。基板搬送機構44によって搬送された波長変換組成物層を有する基板1は、例えば搬送アームにより搬入口31から減圧乾燥機構付き減圧露光装置21の密閉された空間25内に搬送される。
基板搬送機構44は、波長変換組成物11を塗布した後、減圧乾燥機構付き減圧露光装置21手前の搬入用扉30まで波長変換組成物層を有する基板1を搬送するのに要する時間を計測する機能を備え、その搬送時間と波長変換組成物層3の塗布後の基板上レベリング時間に基づいて搬送タイミングを制御する制御部を備えるのが好ましく、それにより波長変換組成物層3のパターン寸法の安定化を図りつつ、波長変換組成物層3の空気中に晒される時間を極力少ない一定時間内にして波長変換組成物層3の酸素による劣化を防止することができる。
搬送された波長変換組成物層を有する基板1は、減圧乾燥機構付き減圧露光装置21の密閉された空間25内の所定の位置にある支持台40上に載置される。
<減圧乾燥・減圧露光工程(工程B)>
次に、前記密閉空間内で前記波長変換組成物層を有する基板1は減圧乾燥および減圧露光される。
本工程Bにおいて、前記波長変換組成物層を有する基板1を前記密閉空間内下部で減圧乾燥した後、次いで前記密閉空間内上部に前記基板を上昇移動させ、前記基板を減圧露光する工程を有することが好ましい。すなわち、波長変換組成物層を有する基板1は支持台40上に載置された後(図2-1(a)参照)、搬入用扉30が閉じられ、次いで基板移動機構45により減圧乾燥時は波長変換組成物層を有する基板1を密閉された空間25の下部に移動させ(図2-1(b)参照)、波長変換組成物層3を密閉された空間25内下部で減圧乾燥させた後、減圧露光時は波長変換層を有する基板1を密閉された空間25の上部に移動させる(図2-2(c)参照)。ここで、上部および下部とは、密閉された空間25の、載置された基板の面内中心位置における基板平面方向に対する垂直方向の幅の中心より天板側を上部、基板指示台側を下部とする。
このように、減圧乾燥時は、密閉された空間25のうち波長変換組成物層3の上部の割合を大きくすることで、波長変換組成物層3に含有された溶剤が揮発した際に、密閉された空間25の上面部の天板27に付着して露光を阻害することを防ぐことができ、波長変換層6の硬化を十分に促進することができる。また、波長変換層6の硬化を十分に促進することで、後工程において基板を加熱した際に、硬化されていない重合性化合物成分が揮発して膜厚が減少することを防ぐことができる。
また、密閉空間内下部にホットプレート等の加熱機構を具備することにより溶剤の揮発を補助することが可能であり、減圧乾燥前にホットプレートにより予備的に加熱乾燥(以下、予備加熱乾燥とする)を行うことで、塗布した波長変換組成物層3から溶剤の一部を除去し、塗膜の体積収縮を利用して隔壁頂部に塗られた塗膜を画素部へ流れ込ませることが可能となり、隔壁頂部の残渣を抑制することができる。
基板移動機構45の例としては、ステッピングモーター、ACサーボモーター、電動シリンダなどが挙げられる。加えて、減圧露光時は、波長変換層6と露光光線71が透過するよう設けた透明ガラスのような材質からなる天板27と露光光源70との間を狭くして露光光源70と波長変換層6との距離を短くすることで、露光照度の減衰および露光照度の分布に起因する露光量のムラを抑制することができ、露光の精度および効率を向上することができるため、波長変換層6の硬化を十分に促進することができる。また、波長変換層6の硬化を十分に促進することで、後工程において基板を加熱した際に、硬化されていない重合性化合物成分が揮発して膜厚が減少することを防ぐことができる。
そして、前記密閉空間内の所定の位置に載置後から減圧露光前までの間、すなわち、波長変換組成物層を有する基板1が密閉された空間25の下部にあるときに、減圧乾燥機構付き減圧露光装置21内に備えられた拭き取り機構10にて、ノズル塗布された波長変換組成物層3の端部を拭き取る工程を有することが好ましい(図2-1(b)参照)。波長変換基板を用いてパネルを構成する際に、パネル表示用光源に対応して発光するセルをパネル有効領域とすると、前述のノズル塗布装置20を用いたノズル塗布では、前記パネル有効領域端部における塗布開始および終了時の塗布不安定領域や面内の乾燥速度差に起因して生じる画素膜厚不均一を抑制するため波長変換組成物11をパネル有効領域外から塗布することが一般的である。そのため、波長変換組成物11がパネル有効領域外や、場合により基板4の末端部にまで塗布されてしまうので、この拭き取る工程がないと末端部の波長変換組成物層3が基板4の淵から垂れて基板4の側面を汚染する可能性があり、また仮に淵から垂れなくても、減圧露光でそれが硬化してしまうと、パネル有効領域外の残渣を除去することが困難となる。
拭き取り機構10としては、例えばパルプや不織布などの拭き取り素材が供えられたロールがロボットやエアーシリンダシステム等の制御によりノズル塗布装置20で塗布された波長変換組成物層3の形成方向(図2-1(b)紙面の左右方向)と直交する方向(図2-1(b)紙面の手前奥の方向)に移動して自動的に拭き取る機構などが挙げられる。なお、拭き取る工程は減圧乾燥機構付き減圧露光装置21外、すなわち、図1(a)の波長変換組成物11を基板4に塗布した後、図2-2(c)の減圧露光を行う前であれば、どのタイミングで行うことができるが、減圧乾燥機構付き減圧露光装置21に拭き取り機構10を具備することによって、前述したように減圧乾燥前のホットプレート等の加熱部50による予備加熱乾燥中あるいは、減圧乾燥中に拭取ることが可能となり、加工時間を短縮させてスループットを向上することができる。
減圧の方法としては、減圧乾燥機構付き減圧露光装置21内の密閉された空間25内に波長変換組成物層を有する基板1を載置し、減圧乾燥機構付き減圧露光装置21の排気口60のバルブを開き、ポンプ等による真空排気を行い減圧状態にして、その減圧状態を維持する方法が挙げられる。適切な減圧状態になると密閉された空間25内の酸素濃度は約1%以下となる。ポンプは、密閉された空間25内の容積にあわせて、数十秒の真空排気時間で所望の減圧状態にできる真空ポンプが好ましい。
減圧乾燥は、減圧下で波長変換組成物層3から溶剤成分を除去するための工程である。この際、加熱を同時に行うことでより効率的に溶剤成分を揮発させることが可能である。加熱部50の例としては、抵抗加熱、誘導加熱、輻射加熱あるいは熱媒などのヒーターが挙げられるが、波長変換組成物層3中の溶剤を揮発させる一方で、波長変換組成物層3中の重合性化合物を飛散させないような温度を制御できる手段であることが好ましい。例えば、少なくとも前記減圧下で100℃以下、好ましくは30℃以上90℃以下の温度を制御できることが好ましい。
前記減圧により、密閉された空間25内の溶剤蒸気の濃度が低下するため、上記の低い温度であっても溶剤除去を容易に行うことができる。このときの密閉された空間25内の減圧乾燥の際の気圧は、例えば溶剤が十分に揮発し、かつ減圧し過ぎによる不具合が発生しないような0.05~3Torrにするとよい。尚、高スループットの観点より0.1Torr以上が好ましく、低酸素濃度雰囲気形成の観点より1Torr以下が好ましい。なお減圧乾燥の際、揮発させて除去した溶剤成分を回収する凝縮器などの溶剤回収手段(図示せず)を別途設置してもよい。
また、減圧状態と加熱とを同時に行い制御する場合以外に、それらを分離して、先に少し加熱を行いその低い加熱温度を維持制御した後、真空排気をして減圧制御してもよいし、先に真空排気をしてその減圧状態を維持制御した後、少しの加熱を行い、低い加熱温度を維持制御してもよい。これら減圧状態と加熱とを同時に行う場合およびそれらを分離して別々に行う場合のいずれも本願発明の減圧乾燥の範疇である。
減圧露光は、低酸素濃度状態の減圧下で波長変換層6に露光光線71を照射し、波長変換層6を構成する重合性化合物を硬化させるための工程である。減圧下により低酸素状態にすることにより、窒素を導入して低酸素濃度状態にする方法よりも短時間で低酸素濃度状態を実現することが可能となるためスループットを向上させることができる。また、減圧下の低酸素状態にすることで、波長変換材料や重合開始剤などの失活が防止され、波長変換材料の発光を阻害することなく、また重合性化合物の重合反応が円滑に進み、重合性化合物が十分に硬化する。また、波長変換層6の硬化を十分に促進することで、後工程において基板を加熱した際に、硬化されていない重合性化合物成分が揮発して膜厚が減少することを防ぐことができる。このときの密閉された空間25内の減圧露光の際の気圧は、例えば短い真空排気時間で高い生産性が維持できかつ密閉された空間内の酸素濃度が十分低くなるような0.03~1Torrにするとよい。酸素濃度は1%以下が好ましく、100ppm以下がより好ましい。
露光光線71としては、紫外線のほか、VUV、EUV、X線、電子線、荷電粒子リソグラフィなどが挙げられる。露光条件は、例えば超高圧水銀灯などの露光光源から適用する重合開始剤の特性に応じて露光量が10~1000mJ/cm(i線)程度になるよう設定するとよい。露光光源70は、例えば減圧乾燥機構付き減圧露光装置21の上部に設置するとよい(図1(b)、図2-1参照)。
そして、減圧乾燥機構付き減圧露光装置21の密閉された空間25の上部は、露光光源70からの露光光線71が透過するよう透明ガラスのような材質からなる天板27と露光光源70との間に設置されるシャッター(図示せず)の開閉によって露光工程以外は密閉された空間25内に露光光線71が入らないよう制御するとよい。そして加熱部50や減圧のための排気口60やリーク配管61は、密閉された空間25の下面部などに設置するとよい(図1(b)、図2-1、図2-2参照)。
減圧露光が終了すると、排気口60のバルブを閉じ、密閉された空間25と繋がるリーク配管61のバルブを開くことで、密閉された空間25の減圧状態が解除される。減圧状態が解除されると、減圧乾燥機構付き減圧露光装置21の搬出用扉35が開き密閉された空間25が解放され、搬送手段(図示せず)によって波長変換基板が外部に搬送される。この後、波長変換基板はポストベークなどの後処理を行ってもよい。
以上、本発明の減圧乾燥および減圧露光によって得らえた波長変換基板には所望の波長変換層6が形成される。図3は、その形成された波長変換層6断面のSEM写真の一例である。平均厚み約30μmの隔壁5のエッジ部55は若干垂れた形状で厚み約28μmとなっていて、波長変換層6はその隔壁5のエッジ部55から扇状に延長された中央部33が少し凹部となる約25μmの膜厚の皿状の形状となっている。
波長変換組成物11に溶剤が含まれており波長変換層6の形成の際にその溶剤が揮発することと、隔壁5のエッジ部55との表面張力によりこのような皿状の断面形状になるものと推定される。図3の波長変換層6の中央部33の膜厚は多少薄くなるものの約25μmの膜厚があり、それ以外の隔壁5に囲まれたセル内のどの箇所の波長変換層6の膜厚も約25μm以上の十分な膜厚で形成されていて、充填率は約90%に達している。
なお、この充填率とは、隔壁5のエッジ部55どうしを紙面水平に結んだ直方体または立方体(すなわち高さ約28μmの直方体または立方体)の体積を100%として、充填された波長変換層6の体積の割合を算出した数値である。この充填率は波長変換組成物11の材質や溶剤の含有率によって若干変化するものの、少なくとも80%~99%の範囲内に収まり、ほとんどの波長変換層6の充填率は90%から98%の範囲内に収まる。このように隔壁5に囲まれたセル内のどの箇所も十分な量および膜厚の波長変換層6が形成され、高い波長変換性能を有する波長変換基板となる。
本発明の減圧乾燥機能付き減圧露光装置は、密閉された空間25の上面部に透明な天板27、前記透明な天板27の上部に設置された露光光源70、前記密閉空間の下面部または側面部に設置された減圧乾燥機構、前記密閉空間内において基板を上下に移動させる移動機構45を有する。
密閉空間の上面部に透明な天板27、前記透明な天板27の上部に設置された露光光源70を有することで、上述したとおり、密閉空間を減圧した状態で基板上の波長変換層を露光することができる。
また、前記密閉空間の下面部または側面部に設置された減圧乾燥機構を有することで、密閉空間を減圧することができる。
また、前記密閉空間内において基板を上下に移動させる移動機構45を有することで、減圧乾燥時は基板を密閉空間内下部に配置し、減圧露光時には基板を密閉空間内上部に移動させることができる。
さらに前記密閉空間内において基板表面を拭き取る拭き取り機構10を有することが好ましい。これにより基板表面の拭き取りを、減圧乾燥工程と同時、あるいはその前後にて行うことが可能となり、拭き取りに要する処理時間を短縮させることで更に高スループットを実現できる効果がある。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら具体的な例に限定して解釈されるものではない。
(ポリシロキサン溶液の調製)
1000mLの三口フラスコに、トリフルオロプロピルトリメトキシシランを147.32g(0.675mol)、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランを40.66g(0.175mol)、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を26.23g(0.10mol)、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシランを12.32g(0.05mol)、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を0.808g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を171.62g仕込み、室温で撹拌しながら水52.65gにリン酸2.265g(仕込みモノマーに対して1.0重量%)を溶かしたリン酸水溶液を30分間かけて添加した。その後、フラスコを70℃のオイルバスに浸けて90分間撹拌した後、オイルバスを30分間かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液温度(内温)が100℃に到達し、そこから2時間加熱撹拌し(内温は100~110℃)、ポリシロキサン溶液を得た。なお、昇温および加熱撹拌中、窒素95体積%、酸素5体積%の混合気体を0.05L/分流した。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計131.35g留出した。得られたポリシロキサン溶液に、固形分濃度が40重量%となるようにPGMEAを追加し、ポリシロキサン溶液(ポリシロキサン溶液A)を得た。なお、得られたポリシロキサンの重量平均分子量は4,000であった。また、ポリシロキサンにおける、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシランに由来する繰り返し単位のモル比は、それぞれ67.5mol%、17.5mol%、10.0mol%、5.0mol%であった。
(隔壁用樹脂組成物の調製)
白色顔料として、二酸化チタン顔料(R-960、BASFジャパン(株)製)5.00gに、樹脂としてポリシロキサン溶液Aを5.00g混合し、ジルコニアビーズが充填されたミル型分散機を用いて分散し、顔料分散液を得た。次に、顔料分散液9.98g、DAA0.71g、ポリシロキサン溶液Aを1.57g、光重合開始剤として、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(О-アセチルオキシム)(BASFジャパン(株)製)0.050g、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(BASFジャパン(株)製)0.400g、光塩基発生剤として、2-(3-ベンゾイルフェニル)プロピオン酸1,2-ジイソプロピル-3-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]グアニジニウム(富士フイルム和光純薬(株)製)0.100g、光重合性化合物として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新日本薬業(株)製)1.20g、撥液化合物として、光重合性フッ素含有化合物(“メガファック”(登録商標)RS-76-E、DIC(株)製)の40重量%PGMEA希釈溶液1.00g、3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート((株)ダイセル製)0.100g、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート](BASFジャパン(株)製)0.030g、アクリル系界面活性剤(“BYK”(登録商標)352、ビックケミージャパン(株)製)のPGMEA10重量%希釈溶液0.100g(濃度500ppmに相当)を、PGMEA4.76gに溶解させ、撹拌した。次いで、5.0μmのフィルターでろ過を行い、隔壁用樹脂組成物を得た。
(インクジェット塗布用波長変換インクの原料)
インクジェット塗布用波長変換インクの作製に用いた原料は次のとおりである。
光散乱性粒子:AA-1.5(アルミナ、平均粒子径1.6μm、住友化学(株)製)
波長変換材料1:Lumidot 530 CdSe(緑色量子ドット材料、シグマアルドリッチ社製)
波長変換材料2:Lumidot 640 CdSe(赤色量子ドット材料、シグマアルドリッチ社製)
光重合開始剤:“Irgacure”(登録商標) OXE01(BASFジャパン(株)製)
モノマー:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(“KAYARAD”(登録商標)DPHA(商品名)、新日本薬業(株)製(以下「DPHA」))
ポリマー:SPCR-18(商品名)(昭和電工(株)製)
溶剤:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(富士フイルム和光純薬(株)製)。
(インクジェット塗布用波長変換インクの調製)
光散乱粒子を25重量部、波長変換材料1を5重量部、光重合開始剤を0.1重量部、モノマーを44.9重量部、ポリマーを25重量部秤量した後、混合して撹拌し、均一に溶解した。0.45μmのシリンジフィルターで濾過し、緑色サブピクセル用波長変換インクを得た。また、波長変換材料1を波長変換材料2に置き換えた以外は同様にして、赤色サブピクセル用波長変換インクを得た。また、波長変換材料1を加えないこと以外は同様にして、青色サブピクセル用光散乱インクを得た。
(ノズル塗布用波長変換ペーストの原料)
ノズル塗布用波長変換ペーストの作製に用いた原料は次のとおりである。
モノマー:NK-9PG(2官能メタクリレートであるポリプロピレングリコール#400ジメタクリレート)(新中村化学工業(株)製)
ポリマー:“エトセル”(登録商標)STD7(I)(セルロースエチルエーテル)(DDPスペシャルティ・プロダクツ・ジャパン(株)製)
光散乱性粒子、波長変換材料1、波長変換材料2、光重合開始剤、溶剤については、インクジェット塗布用波長変換インクの原料と同じものを用いた。
(ノズル塗布用波長変換ペーストの調製)
光散乱性粒子を25重量部、波長変換材料1を5重量部、光重合開始剤を0.1重量部、モノマーを34.9重量部、ポリマーを15重量部、溶剤を20重量部秤量した後、3本ローラー混練機にて混練した後、空気によって100~400kPaの圧力をかけながらSHP-400フィルター((株)ロキテクノ製)でろ過し、緑色サブピクセル用波長変換ペーストを得た。また、波長変換材料1を波長変換材料2に置き換えた以外は同様にして、赤色サブピクセル用波長変換ペーストを得た。また、波長変換材料1を加えないこと以外は同様にして、青色サブピクセル用光散乱ペーストを得た。
(隔壁付き基板の作製)
10cm角の無アルカリガラス基板(AGCテクノグラス(株)製、厚み0.7mm)上に隔壁用樹脂組成物をスピンコートし、ホットプレート(SCW-636、(株)SCREENセミコンダクータソリュージョンズ製)を用いて、温度90℃で2分間乾燥し乾燥膜を作製した。作製した乾燥膜を、パラレルライトマスクアライナー(PLA-501F、キヤノン(株)製)を用いて、超高圧水銀灯を露光光源とし、フォトマスクを介して、露光量200mJ/cm(i線)で露光した。その後、自動現像装置(AD-2000、滝沢産業(株)製)を用いて、0.045重量%水酸化カリウム水溶液を用いて100秒間シャワー現像し、次いで水を用いて30秒間リンスした。さらに、オーブン(IHPS-222、エスペック(株)製)を用いて、空気中、温度230℃で30分間加熱し、ガラス基板上に、高さ30μm、幅20μmの隔壁が、短辺100μm、長辺300μmのピッチ間隔で、7cm角の範囲に隔壁が格子状にパターン形成された隔壁付き基板を作製した。
(実施例1)
隔壁付き基板を用いて、インクジェット法によりインクジェット塗布用波長変換インクを隔壁で仕切られたセル内に塗布し、波長変換組成物層を形成した。得られた波長変換組成物層を有する基板をコンベアによって搬送し、減圧乾燥機構付き減圧露光装置手前の搬入用扉まで搬送した後、搬送アームにより減圧乾燥機構付き減圧露光装置の搬入口から装置内部の支持台に搬送した。波長変換組成物層を有する基板を支持台上に載置した後、搬入用扉を閉じた。
次いで、減圧乾燥機構付き減圧露光装置内の密閉された空間内に波長変換組成物層を有する基板を載置したまま50℃の温度に制御した抵抗加熱ヒーターにて加熱し、5秒経過後に前記装置の排気口のバルブを開き、排気口から荏原製作所(株)ドライ真空ポンプEV-PA500による排気を30秒間行い、1.0Torrの減圧下にすることによって波長変換組成物層から溶剤成分を揮発させ、減圧乾燥を行った。
次いで、排気口から前記真空ポンプによる排気を10秒間行い、1.0Torrの減圧状態にして密閉された空間内の酸素濃度を約100ppm以下となるようにした。ついで、その低酸素濃度状態の減圧下で超高圧水銀灯露光光源から波長変換層に露光量が200mJ/cm(i線)となる紫外線を照射し、波長変換層を構成する重合性化合物を硬化させる減圧露光を行った。なお、減圧乾燥機構付き減圧露光装置の密閉された空間の上部は、露光光源からの露光光線が透過するよう透明ガラスからなる天板となっており、天板と露光光源との間に設置されるシャッターの開閉によって露光工程以外は密閉された空間内に露光光線が入らないよう制御した。そしてヒーターや減圧のための排気口およびリーク配管は、密閉された空間の下面部に設置した。減圧露光が終了した後、排気口のバルブを閉じ、密閉された空間と繋がるリーク配管のバルブを開き、密閉された空間の減圧状態を解除し、減圧乾燥機構付き減圧露光装置の搬出用扉を開けて密閉された空間を解放し、搬送手段によって基板を外部に搬送した。以上の操作によって、波長変換基板を作製した。
(実施例2)
波長変換組成物層を有する基板を減圧乾燥する際に、オリエンタルモーター(株)製ステッピングモーターαSTEPにより波長変換組成物層を有する基板を密閉された空間の下部に移動させてから行い、かつ、減圧露光時に波長変換層を有する基板を前記ステッピングモーターにより装置内の密閉された空間の上部に移動させてから露光した以外は実施例1と同様の方法で波長変換基板を作製した。
(実施例3)
隔壁付き基板に、ノズル塗布用波長変換ペーストをノズル塗布して波長変換組成物層を形成した以外は実施例1と同様の方法で波長変換組成物基板を作製した。ノズル塗布では、基板上の隔壁とノズルの進行方向をアライメントした後、塗布ヘッドに空気によって1000kPaの圧力をかけ、基板に対する進行速度を50mm/sの範囲内で変化させてノズル塗布用波長変換ペーストを吐出させながら、隔壁付き基板に、隔壁の長辺方向と平行方向に塗布することにより、隔壁によって囲まれたセル内にノズル塗布用波長変換ペーストを充填形成した。ノズル塗布装置は、吐出口直径50μm、吐出口長130μmの吐出口を塗布ヘッドの長手方向に300μmピッチで10個配列したマルチラボコータ(東レエンジニアリング(株)製)を用いた。また、ノズル塗布装置には基板搬送機構として、搬送時間と波長変換組成物層のレベリング時間に基づいて搬送タイミングを制御できる制御部を有するNKE(株)ピッチ送りコンベアを付け、減圧乾燥機構付き減圧露光装置の制御部との間を通信手段により接続し、前記コンベアの制御部で計算された情報が通信手段を介して減圧乾燥機構付き減圧露光装置の制御部に伝送されるよう構成した。
(実施例4)
波長変換層を有する基板を減圧露光する際に、ステッピングモーターにより減圧乾燥機構付き減圧露光装置内の密閉された空間の上部に移動させてから露光した以外は実施例3と同様の方法で波長変換基板を作製した。
(実施例5)
波長変換組成物層を有する基板を減圧乾燥する際に、ステッピングモーターにより波長変換組成物層を有する基板を密閉された空間の下部に移動させてから行った以外は実施例3と同様の方法で波長変換基板を作製した。
(実施例6)
波長変換組成物層を有する基板を減圧乾燥する際に、ステッピングモーターにより波長変換組成物層を有する基板を密閉された空間の下部に移動させてから行い、かつ、波長変換層を有する基板を減圧露光する際に、ステッピングモーターにより減圧乾燥機構付き減圧露光装置内の密閉された空間の上部に移動させてから露光した以外は実施例3と同様の方法で波長変換基板を作製した。
(実施例7)
波長変換組成物層を有する基板を前記コンベアによって搬送し、減圧乾燥機構付き減圧露光装置手前の搬入用扉まで搬送する前に、端部の拭取りを行った以外は実施例6と同様の方法で波長変換基板を作製した。
(実施例8)
波長変換組成物層を有する基板を減圧乾燥機構付き減圧露光装置内の密閉された空間の下部で減圧乾燥している工程中に装置内に備えられた東和化成(株)製自動拭き取りユニットJF-2500にて、波長変換組成物層の端部を拭き取った以外は実施例6と同様の方法で波長変換基板を作製した。
(実施例9)
減圧乾燥の際、減圧乾燥機構付き減圧露光装置内の密閉された空間の下部にて90℃に制御されたホットプレートに基板を載置して1分間予備加熱乾燥した後に、減圧乾燥機構付き減圧露光装置の排気口のバルブを開き、排気口から荏原製作所(株)ドライ真空ポンプEV-PA500による排気を40秒間行い、1.0Torrの減圧下にすることによって波長変換組成物層から溶剤成分を揮発させて減圧乾燥した以外は実施例8と同様の方法で波長変換基板を作製した。
以上の操作によって、実施例9における波長変換基板の隔壁に囲まれたセル内には、隔壁と接するエッジ部の厚みが約28±1μm、中央部の厚みが約25±1μmの少し凹部となる皿状の形状の波長変換層が形成された。その形成された波長変換層の充填率は約90%であり、高い波長変換性能を有する波長変換層となった。
(比較例1)
減圧乾燥をせず、また露光時に密閉空間内を減圧することなく露光した以外は実施例1と同様の方法で波長変換基板を作製した。
(比較例2)
減圧乾燥を行う代わりに減圧乾燥機構付き減圧露光装置内の密閉された空間の下部にて90℃に制御されたホットプレートに基板を載置して30分間加熱乾燥した以外は実施例5と同様の方法で波長変換基板を作製した。
(比較例3)
減圧乾燥を行う代わりに減圧乾燥機構付き減圧露光装置内の密閉された空間の下部にて90℃に制御されたホットプレートに基板を載置して30分間加熱乾燥し、減圧露光する代わりに前記密閉空間内に窒素を導入して装置内の酸素濃度が100ppm以下となったことを確認してから露光した以外は実施例5と同様の方法で波長変換基板を作製した。
(比較例4)
減圧乾燥を行った後、基板を装置外に搬出して大気雰囲気下で露光した以外は実施例6と同様の方法で波長変換基板を作製した。
(比較例5)
減圧露光する代わりに前記密閉空間内に窒素を導入して酸素濃度が100ppm以下となったことを確認してから露光した以外は実施例8と同様の方法で波長変換基板を作製した。
(量子ドット発光性の評価方法)
量子ドット発光性は、各実施例および比較例により得られた波長変換基板に青色光を照射して、以下の基準に基づいて評価した。パネル表示用青色光源としては、市販の液晶モニター(SW2700PT、BenQ社製)を分解して取り出したLCD用青色バックライト光源を用いた。評価結果B以下を不合格とした。
A:青色バックライト光源により色変換された変換光が視認可能で十分明るい。
B:量子ドットが失活しており、青色バックライト光源により色変換された変換光が視認できない、あるいは明るさが弱い。
(膜厚減少の評価方法)
膜厚減少の評価は、各実施例および比較例の波長変換組成物層を塗布した直後の基板と加工した後の基板について膜厚を測定し、以下の基準に基づいて評価した。具体的には、波長変換組成物層を塗布した直後の基板を、レーザー顕微鏡(カラー3Dレーザー顕微鏡 VK-9710、(株)キーエンス製)で上面方向からカメラモードにより光学顕微鏡像を撮影し、セルの中心部の膜厚を測定した。次いで測定完了した後の基板を用いて各実施例および比較例にて加工し、加工を完了した波長変換基板を、加工前の測定位置と同一のセルの中心部の膜厚を測定して加工後の膜厚を求めた。評価結果Cを不合格とした。
A:(加工後の膜厚)/(加工前の膜厚)が60%以上
B:(加工後の膜厚)/(加工前の膜厚)が40%以上60%未満
C:(加工後の膜厚)/(加工前の膜厚)が40%未満。
(硬化性の評価方法)
硬化性の評価は、各実施例および比較例により得られた波長変換基板のセル中央部を割断し、波長変換層の断面形状を断面SEM(日立ハイテクフィールディング社製S-4700形電界放出形走査電子顕微鏡FE-SEM)で観察し、以下の基準に基づいて行った。評価結果Cを不合格とした。
A:波長変換層が形状を維持したまま隔壁および基板と密着している。
B:波長変換層の形状は維持されているが、隔壁および基板から剥離している。
C:波長変換層の形状が維持されておらず、隔壁および基板から剥離している。
(スループットの評価方法)
スループットの評価は、基板を塗布装置に搬送するためのロボットアームが基板に接触した瞬間を起点とし、露光による波長変換層の形成が完了した直後に次工程に搬入するためのロボットアームが基板に接触した瞬間を終点とするプロセス時間をストップウォッチで測定し、以下の基準に基づいて行った。評価結果D以下を不合格とした。
A:5分未満でプロセスが完了する。
B:5分以上10分未満でプロセスが完了する。
C:10分以上15分未満でプロセスが完了する。
D:15分以上60分未満でプロセスが完了する。
E:プロセスが完了するまでに60分以上要する。
(隔壁頂部残渣の評価方法)
隔壁頂部残渣の評価は、波長変換層を加工完了した波長変換基板のうち、波長変換組成物層を塗布したセル列の、塗布開始部と塗布終了部の中間に位置する任意のセルについて、セルの波長変換組成物層の塗布方向に垂直な方向の隔壁を割断して断面形状を断面SEM(日立ハイテクフィールディング社製S-4700形電界放出形走査電子顕微鏡FE-SEM)で観察し、セルの波長変換組成物層の塗布方向に垂直な方向の隔壁頂部の膜厚を測定し、以下の基準に基づいて評価した。
A:隔壁頂部残渣部分の膜厚が1μm未満
B:隔壁頂部残渣部分の膜厚が1μm以上3μm未満
C:隔壁頂部残渣部分の膜厚が3μm以上。
(隔壁端部残渣の評価方法)
隔壁端部残渣の評価は、波長変換層を加工完了した波長変換基板のパネル有効領域外の表面状態を目視観察し、以下の基準に基づいて評価した。
A:パネル有効領域外に残渣が無い。
B:パネル有効領域外に残渣が見られる。
評価結果を表1~2に示す。
Figure 2023086298000002
Figure 2023086298000003
実施例1では量子ドットが失活すること無く波長変換基板を作製でき、実施例2では更に膜厚減少も軽微であり、かつ硬化阻害無く波長変換基板を作製できた。実施例3~5ではノズル塗布することで、更に高スループットで波長変換基板が作製できた。実施例6では乾燥時および露光時に基板の昇降を行うことで膜の硬化性および膜厚減少を改善することができた。実施例7では、塗布後に減圧乾燥機構付き減圧露光装置に搬入されるまでの間に端部の拭取りを実施することで更に隔壁端部残渣を改善することができた。実施例8では、乾燥工程で端部の拭取りを実施することで更にスループットを改善することができた。また実施例9では、予備加熱乾燥を行うことにより、更に隔壁頂部残渣を改善することができ、品位が良好な波長変換基板を作製できた。
比較例1では、酸素雰囲気下で露光されており量子ドットが失活し発光せず、乾燥を行っていないため隔壁頂部に乗り上げた液が自然乾燥し、隔壁頂部残渣が悪化した。また比較例2では加熱乾燥により著しく膜厚が減少し、また加熱乾燥に処理時間を要するためスループットが低下した。比較例3では、加熱乾燥により著しく膜厚が減少し、露光時に窒素導入により酸素濃度を低下させる手段を講じたために更にスループットが低下した。比較例4では、減圧露光せずに酸素雰囲気下で露光したために量子ドットが失活し量子ドット発光性が悪化した。比較例5では、露光時に窒素導入により酸素濃度を低下させる手段を講じたためにスループットが低下した。
1…波長変換組成物層を有する基板
3…波長変換組成物層
4…基板
5…隔壁
6…波長変換層
10…拭き取り機構
11…波長変換組成物
20…ノズル塗布装置
21…減圧乾燥機構付き減圧露光装置
25…密閉された空間
27…天板
30…搬入用扉
31…搬入口
33…波長変換層の中央部
35…搬出用扉
40…支持台
44…基板搬送機構
45…基板移動機構
50…加熱部
55…隔壁のエッジ部
60…排気口
61…リーク配管
70…露光光源
71…露光光線

Claims (6)

  1. 密閉空間内に波長変換組成物層を有する基板を搬送して前記密閉空間内の所定の位置に載置する工程(工程A)、前記密閉空間内で前記波長変換組成物層を有する基板を減圧乾燥および減圧露光する工程(工程B)を有する波長変換基板の製造方法。
  2. 前記工程Bにおいて、前記波長変換組成物層を有する基板を前記密閉空間内下部で減圧乾燥した後、次いで前記密閉空間内上部に前記基板を上昇移動させ、前記基板を減圧露光する工程を有する請求項1に記載の波長変換基板の製造方法。
  3. 少なくとも波長変換材料、重合性化合物、溶剤を含む波長変換組成物を基板上にノズル塗布することにより、前記波長変換組成物層を形成する請求項1または2に記載の波長変換基板の製造方法。
  4. 前記密閉空間内の所定の位置に載置後減圧露光前に、ノズル塗布された波長変換組成物層の端部を拭き取る工程を有する請求項3に記載の波長変換基板の製造方法。
  5. 密閉空間の上面部に透明な天板、前記透明な天板の上部に設置された露光光源、前記密閉空間の下面部または側面部に設置された減圧乾燥機構、前記密閉空間内において基板を上下に移動させる移動機構を有する減圧露光装置。
  6. さらに前記密閉空間内において基板表面を拭き取る拭き取り機構を有する請求項5に記載の減圧露光装置。
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