JP2023085244A - 生体物質標的材料として用いるシリカ被覆金属粒子 - Google Patents
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Abstract
【課題】視認性および/または汎用性に優れた、シリカ被覆金属粒子およびその製造方法を提供すること。【解決手段】生体物質標的材料として用いる金属粒子であって、前記金属粒子の表面がシリカで被覆されている、金属粒子。【選択図】なし
Description
本発明は、広範な生体物質と吸着および/または結合し、その吸着および/または結合を視認し得る金属粒子に関する。
タンパク質等の生体物質に結合し、各種生体物質の分析に応用し得る粒子が知られている。
特許文献1には、蛍光色素等の機能性分子を含有するシリカナノ粒子の表面に抗体が結合してなる標識抗体の製造方法が記載されている。
特許文献2には、シリカ粒子の表面に、抗原、抗体、DNA、RNA、糖および糖鎖等の生体分子ならびにコポリマーが吸着または結合した複合粒子からなる標識試薬シリカナノ粒子が記載されている。
特許文献1には、蛍光色素等の機能性分子を含有するシリカナノ粒子の表面に抗体が結合してなる標識抗体の製造方法が記載されている。
特許文献2には、シリカ粒子の表面に、抗原、抗体、DNA、RNA、糖および糖鎖等の生体分子ならびにコポリマーが吸着または結合した複合粒子からなる標識試薬シリカナノ粒子が記載されている。
従来のシリカ粒子では、標的生体物質を検出または測定するために高価な機器や熟練者による機器の操作および/または分析が必要であった。
一般的に金属は光沢性を有し、および/または金属粒子も各金属固有の色調を有しているため、高感度の機器を使用しない視認による粒子の凝集の検出には金属表面が覆われていない方が有利と考えられる。
従来のイムノアッセイに使用されている金コロイドでは、金コロイド表面は標的とする物質に吸着および/または結合する抗体やオリゴヌクレオチドで標識されている。
また、金コロイドを用いたイムノアッセイは抗体等との吸着および/または結合に関して、経験的に条件等が確立されているため、標識できる物質は限られていた。そのため、種々の物質で標識した金属粒子を用いて、その物質と特異的に吸着および/または結合する種々の生体物質を検査、および/または分析等することができなかった。
一般的に金属は光沢性を有し、および/または金属粒子も各金属固有の色調を有しているため、高感度の機器を使用しない視認による粒子の凝集の検出には金属表面が覆われていない方が有利と考えられる。
従来のイムノアッセイに使用されている金コロイドでは、金コロイド表面は標的とする物質に吸着および/または結合する抗体やオリゴヌクレオチドで標識されている。
また、金コロイドを用いたイムノアッセイは抗体等との吸着および/または結合に関して、経験的に条件等が確立されているため、標識できる物質は限られていた。そのため、種々の物質で標識した金属粒子を用いて、その物質と特異的に吸着および/または結合する種々の生体物質を検査、および/または分析等することができなかった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、視認性および/または汎用性に優れた、シリカ被覆金属粒子および/またはその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明では下記のような特徴を有する、シリカで表面が被覆された金属粒子(以後、本明細書では「シリカ被覆金属粒子」という)を提供する。
本発明の一態様に係るシリカ被覆金属粒子は、生体物質標的材料として用いる金属粒子であって、前記金属粒子の表面がシリカで被覆されている、金属粒子とする。
本発明の一態様に係るシリカ被覆金属粒子は、生体物質標的材料として用いる金属粒子であって、前記金属粒子の表面がシリカで被覆されている、金属粒子とする。
また、本発明は、上記金属粒子の製造方法を提供する。
本発明の一態様に係る金属粒子の製造方法は、生体物質標的材料として用いる金属粒子の製造方法であって、金属粒子にシリカを被覆する工程を含む製造方法とする。
本発明の一態様に係る金属粒子の製造方法は、生体物質標的材料として用いる金属粒子の製造方法であって、金属粒子にシリカを被覆する工程を含む製造方法とする。
本発明の特徴は、一般的に光沢性を有し、および/または金属固有の色調を有している金属粒子の表面をシリカで被覆したにもかかわらず、金属粒子単体と比較してシリカ被覆金属粒子の視認性が向上することを見出した点にある。
従来の生体物質の検査には高価な機器や熟練者による操作および分析が必要であった。しかし、本発明のシリカ被覆金属粒子は、高価な測定機器や熟練者を必要とせずに、生体物質の検出を簡便に可視光下で目視できる。
また、従来用いられている抗体等で標識した金コロイド等の試薬は、経験的に条件が確立されたうえで利用されていたため、吸着および/または結合する物質は抗体等の一部の物質に限られていた。しかし、本発明のシリカ被覆金属粒子は、金属粒子の表面をシリカ被膜で覆うことにより、様々な物質を容易に金属粒子と吸着および/または結合することができる。それによって、本発明のシリカ被覆金属粒子に種々の生体物質捕捉物質を吸着および/または結合することができ、標的とする種々の生体物質の検出等に利用することができる。
以下に本発明の一実施形態のシリカ被覆金属粒子をより詳細に説明するが、本明細書における各種の要素は本発明の理解のために例示的に示すものであって、本発明はこれらの要素に限られない。
本明細書で言及する各種の数値範囲は、その範囲の下限および上限の数値そのものを含むことを意図している。すなわち、例えば「1~10」といった数値範囲を例にとれば、下限値の「1」を含むと共に、上限値の「10」をも含むものとして解釈され得る。
また、本明細書において「生体物質標的材料」とは、広義には生体物質と結合および/または吸着などにより相互作用する材料を意味し、狭義には生体由来の物質にイオン結合、分子間力および/または疎水的相互作用等の化学的および/または物理的な様式で結合および/または吸着などにより相互作用する材料を意味する。
したがって、本発明の金属粒子は、生体由来の試料中に存在する特定の生体物質の検出および/または定量に用いてよいほか、各種診断試薬および/または検査試薬等の分析試薬として用いてよく、また、金属粒子に吸着および/または結合した機能性物質を生体の特定の部位に標的化する医薬品として用いてよい。なお、本明細書において「生体物質」とは、微生物、マイコプラズマ、および糸状菌を含む菌類などの生体を構成する物質のほか、生体そのものを含むことを意味する。また、本明細書において「生体」という場合は、ウイルスなどの非生物も含まれることを意味する。
また、本明細書において「視認性」とは、本発明の金属粒子が標的とする生体物質を捕捉することにより生じる凝集および/または沈降を、目で見た時に確認できることをいい、例えば、供試液中での金属粒子の凝集および/または沈降やイムノクロマトの判定部位に生じるテストラインの有無を目視で確認して試料中の生体物質の存否を判定できることをいう。
したがって、本発明の金属粒子は、生体由来の試料中に存在する特定の生体物質の検出および/または定量に用いてよいほか、各種診断試薬および/または検査試薬等の分析試薬として用いてよく、また、金属粒子に吸着および/または結合した機能性物質を生体の特定の部位に標的化する医薬品として用いてよい。なお、本明細書において「生体物質」とは、微生物、マイコプラズマ、および糸状菌を含む菌類などの生体を構成する物質のほか、生体そのものを含むことを意味する。また、本明細書において「生体」という場合は、ウイルスなどの非生物も含まれることを意味する。
また、本明細書において「視認性」とは、本発明の金属粒子が標的とする生体物質を捕捉することにより生じる凝集および/または沈降を、目で見た時に確認できることをいい、例えば、供試液中での金属粒子の凝集および/または沈降やイムノクロマトの判定部位に生じるテストラインの有無を目視で確認して試料中の生体物質の存否を判定できることをいう。
[シリカ被覆金属粒子]
本発明の金属粒子は、生体物質標的材料として利用される。金属粒子の表面はシリカで被覆されており、金属粒子の表面をシリカで被覆することによって、標的とする生体物質を捕捉する種々の物質(以後、本明細書中では「生体物質捕捉物質」という)を容易に金属粒子のシリカ被膜に吸着および/または結合してよい。シリカ被膜を介して生体物質捕捉物質を金属粒子に吸着および/または結合することにより、特定の生体物質に金属粒子を標的化することができ、生体物質を検査し、定量化することができる。
本発明のシリカ被覆金属粒子は、シリカ被膜を介して生体物質捕捉物質を金属粒子に担持するため、抗体やオリゴヌクレオチドのみならず種々の物質を金属粒子に吸着および/または結合して、様々な生体物質を検査および/または定量し、あるいは特定の生体物質へ金属粒子を送達することができる。
シリカ被覆金属粒子のコアを構成する金属の組成、形状および/または大きさならびに/あるいは金属粒子を被覆するシリカの被膜の状態(例えば、厚さおよび密度等)は、用いる生体物質捕捉物質および/または製造方法によって制御してよい。
本発明の金属粒子は、生体物質標的材料として利用される。金属粒子の表面はシリカで被覆されており、金属粒子の表面をシリカで被覆することによって、標的とする生体物質を捕捉する種々の物質(以後、本明細書中では「生体物質捕捉物質」という)を容易に金属粒子のシリカ被膜に吸着および/または結合してよい。シリカ被膜を介して生体物質捕捉物質を金属粒子に吸着および/または結合することにより、特定の生体物質に金属粒子を標的化することができ、生体物質を検査し、定量化することができる。
本発明のシリカ被覆金属粒子は、シリカ被膜を介して生体物質捕捉物質を金属粒子に担持するため、抗体やオリゴヌクレオチドのみならず種々の物質を金属粒子に吸着および/または結合して、様々な生体物質を検査および/または定量し、あるいは特定の生体物質へ金属粒子を送達することができる。
シリカ被覆金属粒子のコアを構成する金属の組成、形状および/または大きさならびに/あるいは金属粒子を被覆するシリカの被膜の状態(例えば、厚さおよび密度等)は、用いる生体物質捕捉物質および/または製造方法によって制御してよい。
シリカ被覆金属粒子を構成する金属としては、限定されるものではないが、例えば、遷移金属に分類される金属、例えば、周期表第8族から第11族に属する金属とすることができ、より具体的には、例えば、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、鉄および/またはコバルト等の金属としてよい。シリカ被覆金属粒子のコアに特有の光学特性(着色性または蛍光性等)を有する金属の粒子を用いることにより、シリカ被覆金属粒子と生体物質との反応を可視光下で容易に視認することができる。また、コア金属粒子として磁性金属を用いることにより、磁場によるシリカ被覆金属粒子の回収、濃縮および/または搬送等を容易にしてもよい。
シリカ被覆金属粒子を構成する金属粒子は、球形、立方体、直方体、正四面体、正八面体、角柱、角錐、線状形、スパイク状形および/または金平糖形等、種々の形状の粒子としてよく、好ましくは球形粒子としてよい。シリカ被覆金属粒子の金属粒子が球形の場合の平均粒径は、例えば、10~350nm、40~250nmおよび/または50~120nm等としてよい。平均粒径が10~350nmの範囲の球形の金属ナノ粒子は、分散媒中におけるシリカ被覆金属粒子の安定性および/または生体物質の捕捉効率の観点から好ましい。または、シリカ被覆金属粒子を構成する金属粒子は、ナノ粒子としてよい。
シリカ被覆金属粒子は、限外濾過膜を用いる限外濾過、通常の遠心分離による分画および/または密度勾配遠心法による分画等によって一定範囲の平均粒径を有する粒子を収集してよい。一定範囲の平均粒径を有するシリカ被覆金属粒子を収集して生体物質標的材料として用いることにより、再現性の高い生体物質の検出が可能になる。
シリカ被覆金属粒子は、限外濾過膜を用いる限外濾過、通常の遠心分離による分画および/または密度勾配遠心法による分画等によって一定範囲の平均粒径を有する粒子を収集してよい。一定範囲の平均粒径を有するシリカ被覆金属粒子を収集して生体物質標的材料として用いることにより、再現性の高い生体物質の検出が可能になる。
シリカ被覆金属粒子を構成するシリカ被膜は、限定されるものではないが、例えば、金属粒子上に直接シラン化合物を縮重合させて形成したシリカ被膜であってよい。縮重合させるシラン化合物の具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)および/またはテトラブトキシシラン(TBOS)等としてよい。
また、シリカ被膜は、官能基、例えば、ヒドロキシ基を金属粒子の表面に導入し、導入された官能基にシランカップリング剤を反応させて得てよい。シランカップリング剤の具体例としては、分子内に有機材料および/または無機材料と結合する官能基を併せ持ち、有機材料と無機材料とを結合する作用を有するものであればよい。シランカップリング剤の例としては、限定されるものではないが、例えば、アミノ基を有するアルコキシシラン、例えばアミノアルキル基を有するモノ-、ジ-、および/またはトリ-アルコキシシランとしてよく、具体的には、γ-アミノプロピルトリメトキシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-[2-(2-アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピル-トリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランおよび/または3-(2-アミノプロピル)トリエトキシシラン等としてよい。
また、シリカ被膜は、官能基、例えば、ヒドロキシ基を金属粒子の表面に導入し、導入された官能基にシランカップリング剤を反応させて得てよい。シランカップリング剤の具体例としては、分子内に有機材料および/または無機材料と結合する官能基を併せ持ち、有機材料と無機材料とを結合する作用を有するものであればよい。シランカップリング剤の例としては、限定されるものではないが、例えば、アミノ基を有するアルコキシシラン、例えばアミノアルキル基を有するモノ-、ジ-、および/またはトリ-アルコキシシランとしてよく、具体的には、γ-アミノプロピルトリメトキシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-[2-(2-アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピル-トリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランおよび/または3-(2-アミノプロピル)トリエトキシシラン等としてよい。
本発明のシリカ被覆金属粒子の製造方法は、金属粒子にシリカを被覆する工程を含むことを特徴とする。より具体的には、金属粒子にシリカを被覆する工程は、金属粒子の表面に直接的に上記したシラン化合物を縮重合させるか、および/または(i)金属粒子の表面にヒドロキシ基を導入し、および(ii)金属粒子に導入されたヒドロキシ基にシランカップリング剤を反応させることを含んでよい。金属粒子に導入したヒドロキシ基に対するシランカップリング剤の反応には、例えば、ヒドロキシル基と直接的および/または間接的に反応して結合を形成し得る官能基を有するシランカップリング剤を用いることができる。
また、金属粒子に結合したシランカップリング剤に1種および/または2種以上のシラン化合物を縮重合させてシロキサン結合を形成させて、シリカ被膜の密度や厚さ等を制御してよい。シリカ被膜の密度および/または厚さを変化させることにより、標的生体物質が存在しない分散媒中でのシリカ被覆金属粒子の凝集を抑制して試薬の安定性を高めることができ、および/または、凝集したシリカ被覆金属粒子の視認性を高めることができる。
縮重合させてよいシラン化合物の具体例としては、限定されるものではないが、例えば、テトラエトキシシラン(TEOS)、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPS)、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(APS)、3-チオシアナトプロピルトリエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシランおよび/または3-[2-(2-アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピル-トリエトキシシラン等としてよい。
縮重合させてよいシラン化合物の具体例としては、限定されるものではないが、例えば、テトラエトキシシラン(TEOS)、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPS)、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(APS)、3-チオシアナトプロピルトリエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシランおよび/または3-[2-(2-アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピル-トリエトキシシラン等としてよい。
また、縮重合したシラン化合物には、蛍光性化合物、磁性化合物、放射性化合物および/または色素等の機器分析により定性または定量が可能な物質を吸着および/または結合させて、視認性をさらに高め、および/または試料中の生体物質を定量できるようにしてもよい。生体物質の定量化は、機器により検出が可能な上記の化合物を所定の濃度で存在させた場合の出力値との検量線を作成することにより行ってよい。
[生体物質捕捉物質]
本発明のシリカ被覆金属粒子に吸着および/または結合させてよい生体物質捕捉物質は、標的とする生体物質と特異的に吸着および/または結合(アニーリングを含む)する物質または標的とする生体物質に対する抗体と特異的に吸着および/または結合(アニーリングを含む)する物質であればよく、限定されるものではないが、例えば、抗原性物質および/もしくはそのエピトープ、抗体、Fab、F(ab’)2、scFvおよび/もしくはsc(Fv)2等の抗体フラグメント、DNAやRNA等のポリヌクレオチドおよび/もしくはオリゴヌクレオチド、単糖、オリゴ糖および/もしくは糖鎖、リガンド、受容体、またはタンパク質、オリゴペプチドおよび/もしくはタンパク質もしくはオリゴペプチドのフラグメント等の物質としてよく、ここでいうリガンドには生体物質と複合体を形成して生物学的な作用を発揮する物質が含まれ、例えば、酵素基質、および/または補酵素、有機補欠分子族および/もしくは金属補欠分子族などの補因子、ならびに/または調節因子等としてよい。
本発明のシリカ被覆金属粒子に吸着および/または結合させてよい生体物質捕捉物質は、標的とする生体物質と特異的に吸着および/または結合(アニーリングを含む)する物質または標的とする生体物質に対する抗体と特異的に吸着および/または結合(アニーリングを含む)する物質であればよく、限定されるものではないが、例えば、抗原性物質および/もしくはそのエピトープ、抗体、Fab、F(ab’)2、scFvおよび/もしくはsc(Fv)2等の抗体フラグメント、DNAやRNA等のポリヌクレオチドおよび/もしくはオリゴヌクレオチド、単糖、オリゴ糖および/もしくは糖鎖、リガンド、受容体、またはタンパク質、オリゴペプチドおよび/もしくはタンパク質もしくはオリゴペプチドのフラグメント等の物質としてよく、ここでいうリガンドには生体物質と複合体を形成して生物学的な作用を発揮する物質が含まれ、例えば、酵素基質、および/または補酵素、有機補欠分子族および/もしくは金属補欠分子族などの補因子、ならびに/または調節因子等としてよい。
上記の生体物質捕捉物質は、本発明のシリカ被覆金属粒子のシリカ被覆に直接的および/または間接的に吸着および/または結合してよい。例えば、シリカ被覆金属粒子のシリカにカルボキシ基を有する物質を結合し、導入したカルボキシ基と生体物質捕捉物質中のおよび/またはそれに導入したアミノ基とをカルボジイミド系縮合剤を用いて直接的にアミド結合してよいが、シリカ被覆金属粒子に対する生体物質捕捉物質の吸着および/または結合はこの様式に限られず、公知の様式を用いて吸着および/または結合してよい。
また、生体物質捕捉物質に捕捉された生体物質は、補足されなかった生体物質を洗浄等により系から除去した後に、検出可能な二次生体物質捕捉物質を捕捉された生体物質に特異的に吸着および/または結合させることにより間接的に検出または定量してよく、例えば、抗原性物質および/もしくはそのエピトープ、抗体、Fab、F(ab’)2、scFvおよび/もしくはsc(Fv)2等の抗体フラグメント、DNAやRNA等のポリヌクレオチドおよび/もしくはオリゴヌクレオチド、単糖、オリゴ糖および/もしくは糖鎖、リガンド、受容体、またはタンパク質、オリゴペプチドおよび/もしくはタンパク質もしくはオリゴペプチドのフラグメント等の物質としてよい。
生体物質を検出可能な二次生体物質捕捉物質は、上記の生体物質捕捉物質と同じまたは異なる物質であってよく、標的とする生体物質を捕捉する物質であって、測定または定量が可能な物質でラベルされた物質としてよい。ここで使用する測定または定量が可能な物質としては、二次生体物質捕捉物質の存在を検出してその存在を測定し得る物質であればよく、限定されるものではないが、例えば、基質を蛍光性物質に変換する酵素、放射性同位元素、蛍光性物質など、当該技術分野で公知の検出可能な物質であってよく、西洋ワサビペルオキシダーゼとしてよい。
[リンカー]
また、生体物質捕捉物質は、本発明のシリカ被覆金属粒子に二価性試薬リンカーを介して間接的に吸着および/または結合してよい。二価性試薬は、同じおよび/または異なる2つの官能基を有する試薬であればよく、例えば同じおよび/または異なる2つの官能基を両末端に有する、1~20個の炭素数を有する飽和および/または不飽和の直鎖および/または分岐鎖の脂肪族基の試薬としてよい。具合的には、限定されるものではないが、例えば、N-(6-マレイミドカプロイルオキシ)スクシンイミド(EMCS)、N-(4-マレイミドブチリルオキシ)スクシンイミド(GMBS)、N-(8-マレイミドカプリルオキシ)スクシンイミド(HMCS)、N-(11-マレイミドウンデカノイルオキシ)スクシンイミド(KMUS)、N-(6-マレイミドカプロイルオキシ)スルホスクシンイミド,ナトリウム塩(スルホ-EMCS)、N-(4-マレイミドブチリルオキシ)スルホスクシンイミド,ナトリウム塩(スルホ―GMBS)、N-(8-マレイミドカプリルオキシ)スルホスクシンイミド,ナトリウム塩(スルホ―HMCS)およびN-(11-マレイミドウンデカノイルオキシ)スルホスクシンイミド,ナトリウム塩(スルホ-KMUS)よりなる群から選択される1種または2種以上の二価性試薬を用いてよい。また、二価性試薬リンカーを介して生体物質捕捉物質をシリカ被膜金属粒子に結合することにより、シリカ被覆金属粒子から一定の距離を隔てて生体物質捕捉物質が生体物質と吸着および/または結合する。そのため、生体物質捕捉物質同士の立体障害が抑えることができるため、標的とする生体物質を効率よく捕捉し、生体物質をより高感度で検出することができる。
また、生体物質捕捉物質は、本発明のシリカ被覆金属粒子に二価性試薬リンカーを介して間接的に吸着および/または結合してよい。二価性試薬は、同じおよび/または異なる2つの官能基を有する試薬であればよく、例えば同じおよび/または異なる2つの官能基を両末端に有する、1~20個の炭素数を有する飽和および/または不飽和の直鎖および/または分岐鎖の脂肪族基の試薬としてよい。具合的には、限定されるものではないが、例えば、N-(6-マレイミドカプロイルオキシ)スクシンイミド(EMCS)、N-(4-マレイミドブチリルオキシ)スクシンイミド(GMBS)、N-(8-マレイミドカプリルオキシ)スクシンイミド(HMCS)、N-(11-マレイミドウンデカノイルオキシ)スクシンイミド(KMUS)、N-(6-マレイミドカプロイルオキシ)スルホスクシンイミド,ナトリウム塩(スルホ-EMCS)、N-(4-マレイミドブチリルオキシ)スルホスクシンイミド,ナトリウム塩(スルホ―GMBS)、N-(8-マレイミドカプリルオキシ)スルホスクシンイミド,ナトリウム塩(スルホ―HMCS)およびN-(11-マレイミドウンデカノイルオキシ)スルホスクシンイミド,ナトリウム塩(スルホ-KMUS)よりなる群から選択される1種または2種以上の二価性試薬を用いてよい。また、二価性試薬リンカーを介して生体物質捕捉物質をシリカ被膜金属粒子に結合することにより、シリカ被覆金属粒子から一定の距離を隔てて生体物質捕捉物質が生体物質と吸着および/または結合する。そのため、生体物質捕捉物質同士の立体障害が抑えることができるため、標的とする生体物質を効率よく捕捉し、生体物質をより高感度で検出することができる。
[ブロッキング剤]
また、本発明のシリカ被覆金属粒子または生体物質捕捉物質を吸着および/または結合したシリカ被覆金属粒子は、目的とする生体物質-生体物質捕捉物質以外の非特異的な吸着および/または結合を抑制するために、例えば、生体物質捕捉物質同士のおよび/または検査する試料に含まれる生体物質のシリカ被膜金属粒子への非特異的な吸着および/または結合を抑制するために、ブロッキング剤で処理してよい。ブロッキング剤としては、例えば、牛血清アルブミン(BSA)、ポリエチレングリコール(PEG)およびスキムミルクよりなる群から選択される1種または2種以上のブロッキング剤を用いてよい。シリカ被覆金属粒子および/または生体物質捕捉物質を結合したシリカ被覆金属粒子をブロッキング剤で処理することにより、生体物質捕捉物質を結合したシリカ被覆金属粒子と目的の生体物質以外の物質との非特異的な吸着および/または結合を抑制してよい。非特異的な吸着および/または結合を抑制することにより、バックグラウンド値を低くすることができ、標的とする生体物質をより高感度で検出することができる。
また、本発明のシリカ被覆金属粒子または生体物質捕捉物質を吸着および/または結合したシリカ被覆金属粒子は、目的とする生体物質-生体物質捕捉物質以外の非特異的な吸着および/または結合を抑制するために、例えば、生体物質捕捉物質同士のおよび/または検査する試料に含まれる生体物質のシリカ被膜金属粒子への非特異的な吸着および/または結合を抑制するために、ブロッキング剤で処理してよい。ブロッキング剤としては、例えば、牛血清アルブミン(BSA)、ポリエチレングリコール(PEG)およびスキムミルクよりなる群から選択される1種または2種以上のブロッキング剤を用いてよい。シリカ被覆金属粒子および/または生体物質捕捉物質を結合したシリカ被覆金属粒子をブロッキング剤で処理することにより、生体物質捕捉物質を結合したシリカ被覆金属粒子と目的の生体物質以外の物質との非特異的な吸着および/または結合を抑制してよい。非特異的な吸着および/または結合を抑制することにより、バックグラウンド値を低くすることができ、標的とする生体物質をより高感度で検出することができる。
[分散媒体]
シリカ被覆金属粒子の分散媒体は、本発明のシリカ被覆金属粒子を分散し得るものであればよく、例えば、具体的には、リン酸緩衝食塩水(PBS)、Tris緩衝液、および/またはHEPES緩衝液などの生体物質の同定、判定、および/または定量に用いられている公知の緩衝液またはこれらの2種以上の混合液等としてよい。
また、分散媒体は、標的とする生体物質が好適な状態で存在し得るようなものとして、分散媒体に分散する本発明のシリカ被覆金属粒子を、そのままの状態で使用して標的とする生体物質と反応させてよい。
シリカ被覆金属粒子の分散媒体は、本発明のシリカ被覆金属粒子を分散し得るものであればよく、例えば、具体的には、リン酸緩衝食塩水(PBS)、Tris緩衝液、および/またはHEPES緩衝液などの生体物質の同定、判定、および/または定量に用いられている公知の緩衝液またはこれらの2種以上の混合液等としてよい。
また、分散媒体は、標的とする生体物質が好適な状態で存在し得るようなものとして、分散媒体に分散する本発明のシリカ被覆金属粒子を、そのままの状態で使用して標的とする生体物質と反応させてよい。
[生体物質の検出方法]
次に、本発明のシリカ被覆金属粒子を用いた生体物質の検出方法について説明する。
適当に夾雑物を除去した生体物質試料と、生体物質捕捉物質を吸着および/または結合した本発明のシリカ被覆金属粒子とを分散媒中で混合し、一定時間ゆっくり混合または静置した後に分散媒中の粒子凝集の有無を視認してよい。
あるいは、粒子凝集はCCD撮影装置等を用いて可視光下で分散液の状態を撮影し、その撮影した画像を画像解析ソフトで可視光に対する散乱および吸光強度を測定してよい。また、試料中の生体物質試料は、それに吸着および/または結合した本発明のシリカ被覆金属粒子のシリカ被膜に結合した蛍光性化合物、磁性化合物、放射性化合物および/または色素等の測定可能な物質から発せられるシグナルを機器分析により測定することにより定量してもよい。
次に、本発明のシリカ被覆金属粒子を用いた生体物質の検出方法について説明する。
適当に夾雑物を除去した生体物質試料と、生体物質捕捉物質を吸着および/または結合した本発明のシリカ被覆金属粒子とを分散媒中で混合し、一定時間ゆっくり混合または静置した後に分散媒中の粒子凝集の有無を視認してよい。
あるいは、粒子凝集はCCD撮影装置等を用いて可視光下で分散液の状態を撮影し、その撮影した画像を画像解析ソフトで可視光に対する散乱および吸光強度を測定してよい。また、試料中の生体物質試料は、それに吸着および/または結合した本発明のシリカ被覆金属粒子のシリカ被膜に結合した蛍光性化合物、磁性化合物、放射性化合物および/または色素等の測定可能な物質から発せられるシグナルを機器分析により測定することにより定量してもよい。
尚、上述の本発明は、次の態様を包含し得ることを確認的に述べる。
・第1態様:生体物質標的材料として用いる金属粒子であって、前記金属粒子の表面がシリカで被覆されている、金属粒子。
・第2態様:前記金属粒子が平均粒径10~350nmの球形の粒子である、前記第1態様に記載の金属粒子。
・第3態様:前記金属粒子が可視光領域下で視認性を有する、前記第1態様または第2態様に記載の金属粒子。
・第4態様:前記金属粒子が磁性を有する、前記第1態様~第3態様のいずれか1つに記載の金属粒子。
・第5態様:前記生体物質標的材料が生体物質検査に用いられる、前記第1態様~第4態様のいずれか1つに記載の金属粒子。
・第6態様:前記生体物質が核酸であって、該核酸にアニーリングするオリゴヌクレオチドが結合している、前記第1態様~第5態様のいずれか1つに記載の金属粒子。
・第7態様:前記オリゴヌクレオチドがリンカーを介して結合している、前記第6態様に記載の金属粒子。
・第8態様:前記生体物質が抗原性物質であって、該抗原性物質に対する抗体が表面に吸着および/または結合している、前記第1態様~第5態様のいずれか1つに記載の金属粒子。
・第9態様:前記金属粒子の表面がブロッキングされている、前記第8態様に記載の金属粒子。
・第10態様:前記生体物質が微生物であって、該微生物に対する抗体が表面に吸着および/または結合している、前記第1態様~第5態様のいずれか1つに記載の金属粒子。
・第11態様:前記金属粒子の表面がブロッキングされている、前記第8態様に記載の金属粒子。
・第12態様:前記生体物質がペプチドであって、該ペプチドが表面に吸着および/または結合している、前記第1態様~第5態様のいずれか1つに記載の金属粒子。
・第13態様:前記金属粒子の表面がブロッキングされている、前記第8態様に記載の金属粒子。
・第14態様:生体物質標的材料として用いる金属粒子の製造方法であって、
金属粒子にシリカを被覆する工程を含む、製造方法。
・第1態様:生体物質標的材料として用いる金属粒子であって、前記金属粒子の表面がシリカで被覆されている、金属粒子。
・第2態様:前記金属粒子が平均粒径10~350nmの球形の粒子である、前記第1態様に記載の金属粒子。
・第3態様:前記金属粒子が可視光領域下で視認性を有する、前記第1態様または第2態様に記載の金属粒子。
・第4態様:前記金属粒子が磁性を有する、前記第1態様~第3態様のいずれか1つに記載の金属粒子。
・第5態様:前記生体物質標的材料が生体物質検査に用いられる、前記第1態様~第4態様のいずれか1つに記載の金属粒子。
・第6態様:前記生体物質が核酸であって、該核酸にアニーリングするオリゴヌクレオチドが結合している、前記第1態様~第5態様のいずれか1つに記載の金属粒子。
・第7態様:前記オリゴヌクレオチドがリンカーを介して結合している、前記第6態様に記載の金属粒子。
・第8態様:前記生体物質が抗原性物質であって、該抗原性物質に対する抗体が表面に吸着および/または結合している、前記第1態様~第5態様のいずれか1つに記載の金属粒子。
・第9態様:前記金属粒子の表面がブロッキングされている、前記第8態様に記載の金属粒子。
・第10態様:前記生体物質が微生物であって、該微生物に対する抗体が表面に吸着および/または結合している、前記第1態様~第5態様のいずれか1つに記載の金属粒子。
・第11態様:前記金属粒子の表面がブロッキングされている、前記第8態様に記載の金属粒子。
・第12態様:前記生体物質がペプチドであって、該ペプチドが表面に吸着および/または結合している、前記第1態様~第5態様のいずれか1つに記載の金属粒子。
・第13態様:前記金属粒子の表面がブロッキングされている、前記第8態様に記載の金属粒子。
・第14態様:生体物質標的材料として用いる金属粒子の製造方法であって、
金属粒子にシリカを被覆する工程を含む、製造方法。
[実施例1]
Ni粒子標識の検出感度評価
Ni粒子標識の視認性評価を実施した。それぞれ金属粒子として平均粒径80nmのAuコロイド粒子およびシリカ被覆Ni粒子を形成し、Auコロイド1mM濃度と等モル%および等質量%にてシリカ被覆Ni粒子をそれぞれPBS溶液に添加し、視認性評価を実施するためのサンプルを調製した。
シリカ被覆Ni粒子は、M. Kawamori, et al., Nano Lett., 14, 1932 (2014). https://doi.org/10.1021/nl404753eおよびS. Shiomi, et al., Nanotechnology, 31 365602 (2020). https://doi.org/10.1088/1361-6528/ab93efに記載された方法に準じて調製した。
具体的には、以下の手順で調製した。
イオン交換水にニッケルイオン源として塩化ニッケル六水和物および錯形成剤としてクエン酸三ナトリウム二水和物を溶解させた後、核形成剤としてヘキサクロロ白金(IV)酸水溶液を添加して溶液Aとした。また、イオン交換水にヒドラジン一水和物を混合して溶液Bとした。溶液AおよびBのpHを調整した後混合し、80℃に保持しつつ90分間攪拌したところ、黒色の固体(Ni粒子)が析出した。
生成したNi粒子を、遠心沈降または磁場により回収し、水およびアルコールでそれぞれ2回ずつ洗浄した。
洗浄したNi粒子をアルコール中に分散させ、シラン化合物を添加した後、シランの脱水、縮重合を進行させることによりシリカ被覆Ni粒子を調製した。
生成したシリカ被覆Niナノ粒子は、遠心沈降または磁場により回収し、水およびアルコールでそれぞれ2回ずつ洗浄して以下の実験に用いるサンプルを調製した。
このサンプルをプラスチック容器(UVSTAR PLATEE, 96well,greinaerbio one)に100μLずつ添加し、CCDイメージ撮影装置(Image Quant LAS4000, cytiva)を用いて可視光下にて溶液を撮影し、画像解析ソフト(Multi Gauge, FUJIFILM)で可視光に対する散乱および吸光強度を測定した。
その結果を平方ピクセル当たりのバックグラウンド減算値(Q-B)として下記表1に示す。
表1に示すように、シリカ被覆Ni粒子のほうが金コロイド粒子と比較して3~7倍高い数値となり、適用例の一つとして考えられるイムノアッセイ系の評価において従来使用されている金コロイド粒子よりも、本発明の金属粒子は良好な感度を有していることが示された。また、本発明のシリカ被覆金属粒子が可視光領域下で視認性を有することが示された。
Ni粒子標識の検出感度評価
Ni粒子標識の視認性評価を実施した。それぞれ金属粒子として平均粒径80nmのAuコロイド粒子およびシリカ被覆Ni粒子を形成し、Auコロイド1mM濃度と等モル%および等質量%にてシリカ被覆Ni粒子をそれぞれPBS溶液に添加し、視認性評価を実施するためのサンプルを調製した。
シリカ被覆Ni粒子は、M. Kawamori, et al., Nano Lett., 14, 1932 (2014). https://doi.org/10.1021/nl404753eおよびS. Shiomi, et al., Nanotechnology, 31 365602 (2020). https://doi.org/10.1088/1361-6528/ab93efに記載された方法に準じて調製した。
具体的には、以下の手順で調製した。
イオン交換水にニッケルイオン源として塩化ニッケル六水和物および錯形成剤としてクエン酸三ナトリウム二水和物を溶解させた後、核形成剤としてヘキサクロロ白金(IV)酸水溶液を添加して溶液Aとした。また、イオン交換水にヒドラジン一水和物を混合して溶液Bとした。溶液AおよびBのpHを調整した後混合し、80℃に保持しつつ90分間攪拌したところ、黒色の固体(Ni粒子)が析出した。
生成したNi粒子を、遠心沈降または磁場により回収し、水およびアルコールでそれぞれ2回ずつ洗浄した。
洗浄したNi粒子をアルコール中に分散させ、シラン化合物を添加した後、シランの脱水、縮重合を進行させることによりシリカ被覆Ni粒子を調製した。
生成したシリカ被覆Niナノ粒子は、遠心沈降または磁場により回収し、水およびアルコールでそれぞれ2回ずつ洗浄して以下の実験に用いるサンプルを調製した。
このサンプルをプラスチック容器(UVSTAR PLATEE, 96well,greinaerbio one)に100μLずつ添加し、CCDイメージ撮影装置(Image Quant LAS4000, cytiva)を用いて可視光下にて溶液を撮影し、画像解析ソフト(Multi Gauge, FUJIFILM)で可視光に対する散乱および吸光強度を測定した。
その結果を平方ピクセル当たりのバックグラウンド減算値(Q-B)として下記表1に示す。
表1に示すように、シリカ被覆Ni粒子のほうが金コロイド粒子と比較して3~7倍高い数値となり、適用例の一つとして考えられるイムノアッセイ系の評価において従来使用されている金コロイド粒子よりも、本発明の金属粒子は良好な感度を有していることが示された。また、本発明のシリカ被覆金属粒子が可視光領域下で視認性を有することが示された。
[実施例2]
Ni粒子およびシリカ被覆Ni粒子の検出感度評価
次に、Ni粒子とシリカ被覆Ni粒子とを比較した視認性評価を実施した。同程度の個数のNi粒子とシリカ被覆Ni粒子(Ni粒子の平均粒径80nm)を準備し、Ni粒子1mM濃度と等モル%にてそれぞれPBS溶液に添加し、視認性評価を実施するためのサンプルを調製した。
これらのサンプルをそれぞれプラスチック容器に100μLずつ添加し、CCDイメージ撮影装置(Image Quant LAS4000, cytiva)を用いて可視光にて溶液を撮影し、画像解析ソフト(Multi Gauge, FUJIFILM)で可視光に対する散乱および吸光強度を測定した。それぞれのサンプルに対して5点の測定を行った。
その結果を5点測定した平方ピクセル当たりのバックグラウンド減算値(Q-B)の平均値として下記表2に示す。
表2に示すように、シリカ被覆Ni粒子のほうがNi粒子と比較して有意に高い数値となり、適用例の一つとして考えられるイムノアッセイ系の評価においてNi粒子よりも良好な感度を有していることが示された。
このことは、本来、光沢性を有する金属粒子および/または固有の色調を呈する金属粒子の表面をシリカで被覆することによって視認性が損なわれることが懸念されるところ、むしろ視認性が向上することを示しており予想外の結果であった。
Ni粒子およびシリカ被覆Ni粒子の検出感度評価
次に、Ni粒子とシリカ被覆Ni粒子とを比較した視認性評価を実施した。同程度の個数のNi粒子とシリカ被覆Ni粒子(Ni粒子の平均粒径80nm)を準備し、Ni粒子1mM濃度と等モル%にてそれぞれPBS溶液に添加し、視認性評価を実施するためのサンプルを調製した。
これらのサンプルをそれぞれプラスチック容器に100μLずつ添加し、CCDイメージ撮影装置(Image Quant LAS4000, cytiva)を用いて可視光にて溶液を撮影し、画像解析ソフト(Multi Gauge, FUJIFILM)で可視光に対する散乱および吸光強度を測定した。それぞれのサンプルに対して5点の測定を行った。
その結果を5点測定した平方ピクセル当たりのバックグラウンド減算値(Q-B)の平均値として下記表2に示す。
表2に示すように、シリカ被覆Ni粒子のほうがNi粒子と比較して有意に高い数値となり、適用例の一つとして考えられるイムノアッセイ系の評価においてNi粒子よりも良好な感度を有していることが示された。
このことは、本来、光沢性を有する金属粒子および/または固有の色調を呈する金属粒子の表面をシリカで被覆することによって視認性が損なわれることが懸念されるところ、むしろ視認性が向上することを示しており予想外の結果であった。
[実施例3]
シリカ被覆Cu粒子表面への抗体標識
上記の実施例1および実施例2の評価において光学的に良好な感度が示されたシリカ被覆金属粒子の一例としてシリカ被覆銅粒子を用い、以下の手順に従ってその表面に抗体を標識した。
まず、シリカ被覆処理を施したCu粒子(Cu粒子の平均粒径80nm)0.5mgに、一次抗体/リン酸緩衝液(PBS)/0.05%ポリソルベート20(以後、「Tween20」と表記する)溶液500μLを添加し、ゆっくりと撹拌して3時間室温で反応させた。反応後、13,400×gで2分遠心し、上清を捨てて沈降物をPBS/0.05%Tween20で3回洗浄した。
次に、抗体が結合していないシリカ部分をマスキングするため、10%ブロックエース溶液(株式会社ケー・エー・シー)を500μL添加し、4℃で一晩静置した。また、コントロールとして、シリカ被覆Cu粒子表面に一次抗体を作用させず、10%ブロックエース溶液でマスキングしたものを調製し、一晩静置後13,400×gで2分遠心し、上清を捨てて沈降物をPBS/0.05% Tween20で3回洗浄して未反応のブロッキング溶液を除去した。
このようにして調製したシリカ被覆Cu粒子0.5mgに、PBS/0.05%Tween20を500μL加えて分散させ、そこに西洋ワサビペルオキシダーゼ(以後、「HRP」と表記する)が結合した二次抗体/PBS/0.05%Tween20/ブロックエースを1μL添加し、一次抗体と二次抗体の結合反応をさせるため3時間静置した。反応後、13,400×gで2分遠心し、上清を捨てて沈降物をPBS/0.05%Tween20で4回洗浄した。その後、200μLのPBS/0.05%Tween20に再溶解し、0.2M酢酸緩衝液(pH 4.0)に溶解した10mM 2,2′-Azino-bis(3-ethylbenzothiazoline-6-sulfonic acid)(以後、「ABTS」と表記する)/0.1%H2O2を20μL加えてペルオキダーゼの酵素反応をさせた。反応後、遠心し上清のみを回収して反応液の色を観察した。
その結果、一次抗体が結合していると考えられるシリカ被覆銅粒子の溶液は緑色(ペルオキシダーゼ活性あり=二次抗体結合あり)に発色したが、一次抗体を結合させていないコントロールのシリカ被覆銅粒子の溶液は発色しなかった(ペルオキシダーゼ活性なし=二次抗体結合なし)。
これにより、一次抗体を作用させたシリカ被覆銅粒子には一次抗体が標識されていることを確認することができた。
シリカ被覆Cu粒子表面への抗体標識
上記の実施例1および実施例2の評価において光学的に良好な感度が示されたシリカ被覆金属粒子の一例としてシリカ被覆銅粒子を用い、以下の手順に従ってその表面に抗体を標識した。
まず、シリカ被覆処理を施したCu粒子(Cu粒子の平均粒径80nm)0.5mgに、一次抗体/リン酸緩衝液(PBS)/0.05%ポリソルベート20(以後、「Tween20」と表記する)溶液500μLを添加し、ゆっくりと撹拌して3時間室温で反応させた。反応後、13,400×gで2分遠心し、上清を捨てて沈降物をPBS/0.05%Tween20で3回洗浄した。
次に、抗体が結合していないシリカ部分をマスキングするため、10%ブロックエース溶液(株式会社ケー・エー・シー)を500μL添加し、4℃で一晩静置した。また、コントロールとして、シリカ被覆Cu粒子表面に一次抗体を作用させず、10%ブロックエース溶液でマスキングしたものを調製し、一晩静置後13,400×gで2分遠心し、上清を捨てて沈降物をPBS/0.05% Tween20で3回洗浄して未反応のブロッキング溶液を除去した。
このようにして調製したシリカ被覆Cu粒子0.5mgに、PBS/0.05%Tween20を500μL加えて分散させ、そこに西洋ワサビペルオキシダーゼ(以後、「HRP」と表記する)が結合した二次抗体/PBS/0.05%Tween20/ブロックエースを1μL添加し、一次抗体と二次抗体の結合反応をさせるため3時間静置した。反応後、13,400×gで2分遠心し、上清を捨てて沈降物をPBS/0.05%Tween20で4回洗浄した。その後、200μLのPBS/0.05%Tween20に再溶解し、0.2M酢酸緩衝液(pH 4.0)に溶解した10mM 2,2′-Azino-bis(3-ethylbenzothiazoline-6-sulfonic acid)(以後、「ABTS」と表記する)/0.1%H2O2を20μL加えてペルオキダーゼの酵素反応をさせた。反応後、遠心し上清のみを回収して反応液の色を観察した。
その結果、一次抗体が結合していると考えられるシリカ被覆銅粒子の溶液は緑色(ペルオキシダーゼ活性あり=二次抗体結合あり)に発色したが、一次抗体を結合させていないコントロールのシリカ被覆銅粒子の溶液は発色しなかった(ペルオキシダーゼ活性なし=二次抗体結合なし)。
これにより、一次抗体を作用させたシリカ被覆銅粒子には一次抗体が標識されていることを確認することができた。
[実施例4]
シリカ被覆Ni粒子標識抗体によるイムノアッセイ系評価の確認試験(ドットブロット試験)
シリカ被覆Ni粒子標識抗体のイムノアッセイ系での視認化を検討するために、以下の実験を実施した。
まず、シリカ被覆Ni粒子(Ni粒子の平均粒径80nm)5mgに0.01mg/mL Rabbit IgG/PBS/0.05%Tween20(一次抗体)を500μL加えて3時間反応させ、反応後、PBS/0.05%Tween20で3回洗浄した。次に、10%ブロックエース/PBS/0.05%Tween20を500μL加え、4℃で一晩反応させてシリカ被覆Ni粒子-一次抗体コンジュゲートを調製した。
次に、ニトロセルロース膜(BIO-RAD)にGoat anti-Rabbit IgG HRP(二次抗体)(abcam)2mg/mLを5μLドットでアプライし、ニトロセルロース膜に結合させた。非特異吸着を防ぐために、10%ブロックエース/PBS/0.05%Tween20を膜上に添加して30分ブロッキングし、その後、PBS/0.05%Tween20で洗浄した。この膜上に一次抗体を標識したシリカ被覆Ni粒子分散液を滴下して結合させた後、PBS/0.05%Tween20で洗浄し、ABTS/0.1%H2O2を20μL加えてペルオキダーゼの酵素反応をさせた。反応後、一次抗体をアプライしたニトロセルロース膜上の発色を観察した。
その結果、二次抗体を結合させたニトロセルロース膜上の領域のみに、シリカ被覆Ni粒子の結合による黒色の呈色を確認することができた。
シリカ被覆Ni粒子標識抗体によるイムノアッセイ系評価の確認試験(ドットブロット試験)
シリカ被覆Ni粒子標識抗体のイムノアッセイ系での視認化を検討するために、以下の実験を実施した。
まず、シリカ被覆Ni粒子(Ni粒子の平均粒径80nm)5mgに0.01mg/mL Rabbit IgG/PBS/0.05%Tween20(一次抗体)を500μL加えて3時間反応させ、反応後、PBS/0.05%Tween20で3回洗浄した。次に、10%ブロックエース/PBS/0.05%Tween20を500μL加え、4℃で一晩反応させてシリカ被覆Ni粒子-一次抗体コンジュゲートを調製した。
次に、ニトロセルロース膜(BIO-RAD)にGoat anti-Rabbit IgG HRP(二次抗体)(abcam)2mg/mLを5μLドットでアプライし、ニトロセルロース膜に結合させた。非特異吸着を防ぐために、10%ブロックエース/PBS/0.05%Tween20を膜上に添加して30分ブロッキングし、その後、PBS/0.05%Tween20で洗浄した。この膜上に一次抗体を標識したシリカ被覆Ni粒子分散液を滴下して結合させた後、PBS/0.05%Tween20で洗浄し、ABTS/0.1%H2O2を20μL加えてペルオキダーゼの酵素反応をさせた。反応後、一次抗体をアプライしたニトロセルロース膜上の発色を観察した。
その結果、二次抗体を結合させたニトロセルロース膜上の領域のみに、シリカ被覆Ni粒子の結合による黒色の呈色を確認することができた。
[実施例5]
シリカ被覆Ni粒子への核酸標識と核酸検出性の確認
シリカ被覆Ni粒子に核酸を標識するために、以下の操作を行った。
まず、Ni粒子(Ni粒子の平均粒径80nm)のシリカ表面へアミノ基を導入するために、シランカップリング剤である3-アミノプロピルトリエトキシシラン(以後、「APTS」と表記する)をエタノール中で10%になるように添加し、室温で30分反応させた。その後、反応した粒子を磁石にて吸着し、洗浄して未反応の試薬を除去した。
次に、PBSに溶解させた二価性試薬であるN-(11-マレイミドウンデカノイルオキシ)スルホスクシンイミド(以後、「スルホ-KUMS」と表記する)を最終濃度2mMとなるように添加して、室温にて30分ローテーターで撹拌し、シリカ表面に導入されたアミノ基とスルホ-KMUSのNHS基とをカップリングさせた。反応済みのNi粒子を磁石で収集し、上清を捨てた後に洗浄した。
次に、シリカ被覆Ni粒子に導入する核酸のサンプルとして、末端をチオール基で修飾したオリゴヌクレオチドを最終濃度2mMとなるようにPBSに溶解し、上記反応済みのシリカ被覆Ni粒子に添加して、シリカ被覆Ni粒子表面に生成したマレイミド基と反応させた。室温で1時間反応後、反応済みのNi粒子を磁石で収集し、上清を捨てた後に洗浄した。その後、ブロッキング操作として、シリカ表面の未反応のマレイミド基と末端をチオール基で修飾したポリエチレングリコール(PEGチオール)を反応させた。また、チオール基で修飾したオリゴヌクレオチドの代わりにシリカ被覆Ni粒子表面のマレイミド基にPEGチオールのみを導入したものをネガティブコントロールとして調製した。このことから、コア金属粒子として磁性金属を用いることにより、磁場によるシリカ被覆金属粒子の回収が容易にできることが示された。
オリゴヌクレオチドがシリカ被覆Ni粒子の表面に結合しているかどうかを確認するために、オリゴヌクレオチドの末端に蛍光色素であるCy5を導入した蛍光標識相補鎖オリゴヌクレオチド(FASMAC)を準備し、シリカ被覆Ni粒子に結合した1本鎖オリゴヌクレオチドにアニーリングさせ、Cy5の蛍光波長である667nm付近の蛍光を測定することにより1本鎖オリゴヌクレオチドの結合を確認した。
その結果、オリゴヌクレオチドが結合していないネガティブコントロールのシリカ被覆Ni粒子と比較して強い蛍光強度を検出することができ、生体物質としての核酸にアニーリングするオリゴヌクレオチドがシリカ被覆Ni粒子に結合していることを確認することができた。
これらの実験の結果から、本発明のシリカ被覆Ni粒子に抗体やオリゴヌクレオチド等の生体物質標的材料を結合して、目視により生体物質の存在を判定でき、生体物質標的材料が生体物質検査に利用できることが示された。
シリカ被覆Ni粒子への核酸標識と核酸検出性の確認
シリカ被覆Ni粒子に核酸を標識するために、以下の操作を行った。
まず、Ni粒子(Ni粒子の平均粒径80nm)のシリカ表面へアミノ基を導入するために、シランカップリング剤である3-アミノプロピルトリエトキシシラン(以後、「APTS」と表記する)をエタノール中で10%になるように添加し、室温で30分反応させた。その後、反応した粒子を磁石にて吸着し、洗浄して未反応の試薬を除去した。
次に、PBSに溶解させた二価性試薬であるN-(11-マレイミドウンデカノイルオキシ)スルホスクシンイミド(以後、「スルホ-KUMS」と表記する)を最終濃度2mMとなるように添加して、室温にて30分ローテーターで撹拌し、シリカ表面に導入されたアミノ基とスルホ-KMUSのNHS基とをカップリングさせた。反応済みのNi粒子を磁石で収集し、上清を捨てた後に洗浄した。
次に、シリカ被覆Ni粒子に導入する核酸のサンプルとして、末端をチオール基で修飾したオリゴヌクレオチドを最終濃度2mMとなるようにPBSに溶解し、上記反応済みのシリカ被覆Ni粒子に添加して、シリカ被覆Ni粒子表面に生成したマレイミド基と反応させた。室温で1時間反応後、反応済みのNi粒子を磁石で収集し、上清を捨てた後に洗浄した。その後、ブロッキング操作として、シリカ表面の未反応のマレイミド基と末端をチオール基で修飾したポリエチレングリコール(PEGチオール)を反応させた。また、チオール基で修飾したオリゴヌクレオチドの代わりにシリカ被覆Ni粒子表面のマレイミド基にPEGチオールのみを導入したものをネガティブコントロールとして調製した。このことから、コア金属粒子として磁性金属を用いることにより、磁場によるシリカ被覆金属粒子の回収が容易にできることが示された。
オリゴヌクレオチドがシリカ被覆Ni粒子の表面に結合しているかどうかを確認するために、オリゴヌクレオチドの末端に蛍光色素であるCy5を導入した蛍光標識相補鎖オリゴヌクレオチド(FASMAC)を準備し、シリカ被覆Ni粒子に結合した1本鎖オリゴヌクレオチドにアニーリングさせ、Cy5の蛍光波長である667nm付近の蛍光を測定することにより1本鎖オリゴヌクレオチドの結合を確認した。
その結果、オリゴヌクレオチドが結合していないネガティブコントロールのシリカ被覆Ni粒子と比較して強い蛍光強度を検出することができ、生体物質としての核酸にアニーリングするオリゴヌクレオチドがシリカ被覆Ni粒子に結合していることを確認することができた。
これらの実験の結果から、本発明のシリカ被覆Ni粒子に抗体やオリゴヌクレオチド等の生体物質標的材料を結合して、目視により生体物質の存在を判定でき、生体物質標的材料が生体物質検査に利用できることが示された。
[実施例6]
シリカ被覆Ni粒子への抗体標識と微生物検出性の確認
シリカ被覆Ni粒子による微生物の検出性を検討するために、以下の実験を実施した。
検出する生体モデルとして大腸菌を選択した。[実施例4]と同様の方法によりシリカ被覆Ni粒子(Ni粒子の平均粒径80nm)表層に抗大腸菌抗体E.coli(Rabbit)**(ViroStat)を吸着させ、10%ブロックエースにてブロッキング処理を施しシリカ被覆Ni粒子-抗大腸菌抗体コンジュゲートを調製した。検出比較として抗大腸菌抗体を作用させずブロッキング処理のみを施しコントロールシリカ被覆Ni粒子を調製した。上記2種類のシリカ被覆Ni粒子を200μLのPBS-Tに分散させ、大腸菌Escherisia coli K12株5μL(107cell相当)を添加し40分反応させた。その後PBS-Tで2回洗浄し、200μLのPBS-Tに再分散させた。この分散溶液に二次生体物質捕捉物質である1mg/mLのanti-E.coli IgG HRP(abcam)を100倍希釈した溶液を200μL添加し30分反応させた。その後PBS-Tで3回洗浄し、未反応のanti-E.coli IgG HRPを除去したのち、100μLのPBS-Tに再溶解させ、10μL、20μL、30μLに対し、100μLのTMB(3,3′,5,5′-テトラメチルベンジディン)(thermo scientific)を加え20分反応させた。その後、50μLの3M硫酸を加え反応停止させ、分光光度計(BioTeck SYNARGY H1)で450nmの吸収を測定した。
抗大腸菌抗体を標識したシリカ被覆Ni粒子に大腸菌、そしてanti-E.coli IgG HRPを作用させて、HRP反応に基づく反応溶液の450nmの吸光度を抗大腸菌抗体を標識していないシリカ被覆Ni粒子に大腸菌、そしてanti-E.coli IgG HRPを作用させたものでのHRP反応に基づく反応溶液450nmの吸光度と比較した結果、各々の吸光度の差((抗大腸菌抗体を標識したシリカ被覆Ni粒子に大腸菌そしてanti-E.coli IgG HRPを作用させたものでのHRP反応に基づく反応溶液の吸光度)-(抗大腸菌抗体非標識シリカ被覆Ni粒子に大腸菌そしてanti-E.coli IgG HRPを作用させたものでのHRP反応に基づく反応溶液の吸光度))として10μLで0.173、20μLの系で0.253、30μLの系で0.443と、シリカ被覆Ni粒子の量に応じて吸光度の差が増大し、本発明の金属粒子を用いて大腸菌を検出できていることが示された。
シリカ被覆Ni粒子への抗体標識と微生物検出性の確認
シリカ被覆Ni粒子による微生物の検出性を検討するために、以下の実験を実施した。
検出する生体モデルとして大腸菌を選択した。[実施例4]と同様の方法によりシリカ被覆Ni粒子(Ni粒子の平均粒径80nm)表層に抗大腸菌抗体E.coli(Rabbit)**(ViroStat)を吸着させ、10%ブロックエースにてブロッキング処理を施しシリカ被覆Ni粒子-抗大腸菌抗体コンジュゲートを調製した。検出比較として抗大腸菌抗体を作用させずブロッキング処理のみを施しコントロールシリカ被覆Ni粒子を調製した。上記2種類のシリカ被覆Ni粒子を200μLのPBS-Tに分散させ、大腸菌Escherisia coli K12株5μL(107cell相当)を添加し40分反応させた。その後PBS-Tで2回洗浄し、200μLのPBS-Tに再分散させた。この分散溶液に二次生体物質捕捉物質である1mg/mLのanti-E.coli IgG HRP(abcam)を100倍希釈した溶液を200μL添加し30分反応させた。その後PBS-Tで3回洗浄し、未反応のanti-E.coli IgG HRPを除去したのち、100μLのPBS-Tに再溶解させ、10μL、20μL、30μLに対し、100μLのTMB(3,3′,5,5′-テトラメチルベンジディン)(thermo scientific)を加え20分反応させた。その後、50μLの3M硫酸を加え反応停止させ、分光光度計(BioTeck SYNARGY H1)で450nmの吸収を測定した。
抗大腸菌抗体を標識したシリカ被覆Ni粒子に大腸菌、そしてanti-E.coli IgG HRPを作用させて、HRP反応に基づく反応溶液の450nmの吸光度を抗大腸菌抗体を標識していないシリカ被覆Ni粒子に大腸菌、そしてanti-E.coli IgG HRPを作用させたものでのHRP反応に基づく反応溶液450nmの吸光度と比較した結果、各々の吸光度の差((抗大腸菌抗体を標識したシリカ被覆Ni粒子に大腸菌そしてanti-E.coli IgG HRPを作用させたものでのHRP反応に基づく反応溶液の吸光度)-(抗大腸菌抗体非標識シリカ被覆Ni粒子に大腸菌そしてanti-E.coli IgG HRPを作用させたものでのHRP反応に基づく反応溶液の吸光度))として10μLで0.173、20μLの系で0.253、30μLの系で0.443と、シリカ被覆Ni粒子の量に応じて吸光度の差が増大し、本発明の金属粒子を用いて大腸菌を検出できていることが示された。
[実施例7]
シリカ被覆Ni粒子への抗体標識とペプチド検出性の確認
検出するペプチドモデルとしてアンジオテンシンII(H-Asp-Arg-Val-Tyr-Ile-His-Pro-Phe-OH 分子量:1046.54)を選択した。
200μLのPBS-Tに分散させたシリカ被覆Ni粒子0.1mgに1.25μgのアンジオテンシンIIを2時間作用させた。PBS-Tで3回洗浄後、未反応シリカ被覆部分についてはエタノール中で10%になるように溶解させた、シランカップリング試薬である3-aminopropyltriethoxysilane(STREM CHEMICALS,INC.以下APTESと省略)を添加し30分反応させ、シリカ表面をマスキングした。検出比較としてアンジオテンシンIIを作用させずにAPTESでマスキングしたシリカ被覆Ni粒子を準備した。これらを反応後PBS-Tで3回洗浄し、アセチルコリンエステラーゼ標識抗アンジオテンシンII抗体を4℃で一晩反応させた。反応後、PBS-Tで5回洗浄後、上記において作製した、i)アンジオテンシンIIを作用させAPTESでマスキングしたシリカ被覆Ni粒子、ii)アンジオテンシンIIを作用させずにAPTESでマスキングしたシリカ被覆Ni粒子、iii)何も処理していないシリカ被覆Ni粒子の3種類の粒子に、アセチルコリンエステラーゼの基質であるEllman’s Reagent(bertin pharma #A09000)を添加し37℃で1時間反応させ、反応液上清の410nmの吸収を分光光度計(BioTeck SYNARGY H1)で測定した。
その結果、i)で0.210、ii)で0.149、iii)で0.115と、ii)において若干の非特異的吸着は見られるものの、シリカ被覆Ni粒子に結合したアンジオテンシンIIの検出が見られ、本発明の金属粒子を用いてペプチドを捕集および検出できることが示された。
シリカ被覆Ni粒子への抗体標識とペプチド検出性の確認
検出するペプチドモデルとしてアンジオテンシンII(H-Asp-Arg-Val-Tyr-Ile-His-Pro-Phe-OH 分子量:1046.54)を選択した。
200μLのPBS-Tに分散させたシリカ被覆Ni粒子0.1mgに1.25μgのアンジオテンシンIIを2時間作用させた。PBS-Tで3回洗浄後、未反応シリカ被覆部分についてはエタノール中で10%になるように溶解させた、シランカップリング試薬である3-aminopropyltriethoxysilane(STREM CHEMICALS,INC.以下APTESと省略)を添加し30分反応させ、シリカ表面をマスキングした。検出比較としてアンジオテンシンIIを作用させずにAPTESでマスキングしたシリカ被覆Ni粒子を準備した。これらを反応後PBS-Tで3回洗浄し、アセチルコリンエステラーゼ標識抗アンジオテンシンII抗体を4℃で一晩反応させた。反応後、PBS-Tで5回洗浄後、上記において作製した、i)アンジオテンシンIIを作用させAPTESでマスキングしたシリカ被覆Ni粒子、ii)アンジオテンシンIIを作用させずにAPTESでマスキングしたシリカ被覆Ni粒子、iii)何も処理していないシリカ被覆Ni粒子の3種類の粒子に、アセチルコリンエステラーゼの基質であるEllman’s Reagent(bertin pharma #A09000)を添加し37℃で1時間反応させ、反応液上清の410nmの吸収を分光光度計(BioTeck SYNARGY H1)で測定した。
その結果、i)で0.210、ii)で0.149、iii)で0.115と、ii)において若干の非特異的吸着は見られるものの、シリカ被覆Ni粒子に結合したアンジオテンシンIIの検出が見られ、本発明の金属粒子を用いてペプチドを捕集および検出できることが示された。
本発明に係る技術は、簡易にかつ広範な生体物質検査に利用可能である。例えば、測定機器を必要とせずに広範囲の生体物質を検査することができる。
Claims (14)
- 生体物質標的材料として用いる金属粒子であって、前記金属粒子の表面がシリカで被覆されている、金属粒子。
- 前記金属粒子が平均粒径10~350nmの球形の粒子である、請求項1に記載の金属粒子。
- 前記金属粒子が可視光領域下で視認性を有する、請求項1または2に記載の金属粒子。
- 前記金属粒子が磁性を有する、請求項1または2に記載の金属粒子。
- 前記生体物質標的材料が生体物質検査に用いられる、請求項1または2に記載の金属粒子。
- 前記生体物質が核酸であって、該核酸にアニーリングするオリゴヌクレオチドが結合している、請求項1または2に記載の金属粒子。
- 前記オリゴヌクレオチドがリンカーを介して結合している、請求項6に記載の金属粒子。
- 前記生体物質が抗原性物質であって、該抗原性物質に対する抗体が表面に吸着および/または結合している、請求項1または2に記載の金属粒子。
- 前記金属粒子の表面がブロッキングされている、請求項8に記載の金属粒子。
- 前記生体物質が微生物であって、該微生物に対する抗体が表面に吸着および/または結合している、請求項1または2に記載の金属粒子。
- 前記金属粒子の表面がブロッキングされている、請求項8に記載の金属粒子。
- 前記生体物質がペプチドであって、該ペプチドが表面に吸着および/または結合している、請求項1または2に記載の金属粒子。
- 前記金属粒子の表面がブロッキングされている、請求項8に記載の金属粒子。
- 生体物質標的材料として用いる金属粒子の製造方法であって、
金属粒子にシリカを被覆する工程を含む、製造方法。
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2022
- 2022-12-08 JP JP2022196494A patent/JP2023085244A/ja active Pending
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