JP2023085092A - タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】通信装置の通信安定性を向上できる、タイヤを提供する。【解決手段】タイヤ1は、タイヤの内部に埋設された、1つ又は複数の導電性コード2と、タイヤの内部に埋設された、通信装置10と、を備え、タイヤ幅方向の投影面において、通信装置と1つ又は複数の導電性コードとの交点の数が2個未満である。【選択図】図1

Description

本発明は、タイヤに関する。
従来より、導電パスの確保のために、タイヤの内部に導電性コードを埋設したタイヤがある(特許文献1)。
特開2017-124730号公報
本発明の発明者は、上記のような従来のタイヤにおいて、通信装置(例えば、RFタグ等)を内部に埋設することを新たに考え付くとともに、通信装置の通信性が導電性コードによって阻害されるのを抑制して通信安定性を向上できる構成について、新たに見い出し、本発明をするに至った。
本発明は、通信装置の通信安定性を向上できる、タイヤを提供することを目的とする。
本発明のタイヤは、
前記タイヤの内部に埋設された、1つ又は複数の導電性コードと、
前記タイヤの内部に埋設された、通信装置と、
を備え、
タイヤ幅方向の投影面において、前記通信装置と前記1つ又は複数の導電性コードとの交点の数が2個未満である。
本発明のタイヤによれば、通信装置の通信安定性を向上できる。
本発明のタイヤにおいて、
タイヤ幅方向の投影面において、前記1つ又は複数の導電性コードは、それぞれ、前記タイヤのビード部からトレッド部までにわたって略タイヤ径方向に延在していると、好適である。
これにより、導電性コードによる導電パスが確保しやすくなるとともに、導電パスを短くすることができる。
本発明のタイヤにおいて、
前記タイヤのサイドゴムは、カーボンブラックの含有量が、ゴム成分100質量部に対して、50質量部以下であると、好適である。
これにより、低ロス化が可能であるとともに、サイドゴムの電気伝導率が低減するので、その分、通信装置の通信安定性を向上できる。
本発明のタイヤにおいて、
タイヤ幅方向の投影面において、前記通信装置と前記1つ又は複数の導電性コードとが交わらないと、好適である。
これにより、通信装置の通信安定性をさらに向上できる。
本発明のタイヤにおいて、
前記1つ又は複数の導電性コードが、前記タイヤのタイヤ赤道面に対する一方側のみに配置されており、
前記通信装置が、前記タイヤ赤道面に対する他方側のみに配置されてもよい。
これにより、通信装置の通信安定性をさらに向上できる。
本発明のタイヤにおいて、
前記通信装置は、RFタグを有すると、好適である。
本発明によれば、通信装置の通信安定性を向上できる、タイヤを提供することができる。
本発明の第1実施形態に係るタイヤを示す、タイヤ幅方向の投影面図である。 図1のタイヤの一部を、図1のA-A線に沿う断面により示す、タイヤ幅方向断面図である。 本発明の任意の実施形態に係るタイヤに用いることができる、通信装置の一例を示す、斜視図である。 図3の通信装置を分解した状態で示す、分解斜視図である。 本発明の第2実施形態に係るタイヤを示す、タイヤ幅方向の投影面図である。 本発明の第3実施形態に係るタイヤを示す、タイヤ幅方向断面図である。
本発明に係るタイヤは、任意の種類の空気入りタイヤに好適に利用でき、特に、乗用車用空気入りタイヤに好適に利用できる。
以下、本発明に係るタイヤの実施形態について、図面を参照しつつ例示説明する。
各図において共通する部材・部位には同一の符号を付している。一部の図面では、タイヤ幅方向を符号「WD」で示し、タイヤ径方向を符号「RD」で示し、タイヤ周方向を符号「CD」で示している。本明細書において、タイヤ内腔に近い側を「タイヤ内側」といい、タイヤ内腔から遠い側を「タイヤ外側」という。
図1~図2は、本発明の第1実施形態に係るタイヤ1を説明するための図面である。図1は、本発明の第1実施形態に係るタイヤ1をタイヤ幅方向に投影した投影面(タイヤ幅方向の投影面)を示している。図2は、図1のタイヤ1の一部(具体的には、タイヤ赤道面CLに対する一方側の部分)を、図1のA-A線に沿う断面により示す、タイヤ幅方向断面図である。図5は、本発明の第2実施形態に係るタイヤ1を示す、タイヤ幅方向の投影面図である。図6は、本発明の第3実施形態に係るタイヤ1を示す、タイヤ幅方向断面図である。
図1~図2、図5、図6の各実施形態のタイヤ1は、乗用車用空気入りタイヤとして構成されている。以下では、説明の便宜上、これらの実施形態について併せて説明する。
なお、本発明の任意の実施形態のタイヤ1は、任意の種類のタイヤとして構成されてよい。
タイヤ1は、タイヤ本体1Mと、通信装置10と、を備えている。タイヤ本体1Mは、タイヤ1のうち、通信装置10以外の部分に相当する。
以下、特に断りのない限り、各要素の位置関係や寸法等は、タイヤ1を適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷とした、基準状態で測定されるものとする。また、タイヤ1を適用リムに装着し、タイヤ1に規定内圧を充填し、最大荷重を負荷した状態で、路面と接する接地面のタイヤ幅方向の幅を、タイヤの接地幅といい、当該接地面のタイヤ幅方向の端部を接地端という。
本明細書において、「適用リム」とは、空気入りタイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会)のJATMA YEAR BOOK、欧州ではETRTO(The European Tyre and Rim Technical Organisation)のSTANDARDS MANUAL、米国ではTRA(The Tire and Rim Association,Inc.)のYEAR BOOK等に記載されているまたは将来的に記載される、適用サイズにおける標準リム(ETRTOのSTANDARDS MANUALではMeasuring Rim、TRAのYEAR BOOKではDesign Rim)を指すが、これらの産業規格に記載のないサイズの場合は、空気入りタイヤのビード幅に対応した幅のリムをいう。「適用リム」には、現行サイズに加えて将来的に前述の産業規格に記載されるサイズも含まれる。「将来的に記載されるサイズ」の例として、ETRTO 2013年度版において「FUTURE DEVELOPMENTS」として記載されているサイズが挙げられ得る。
本明細書において、「規定内圧」とは、前述したJATMA YEAR BOOK等の産業規格に記載されている、適用サイズ・プライレーティングにおける単輪の最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいい、前述した産業規格に記載のないサイズの場合は、タイヤを装着する車両ごとに規定される最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいうものとする。また、本明細書において、「最大荷重」とは、前述した産業規格に記載されている適用サイズのタイヤにおける最大負荷能力に対応する荷重、又は、前述した産業規格に記載のないサイズの場合には、タイヤを装着する車両ごとに規定される最大負荷能力に対応する荷重を意味する。
まず、タイヤ本体1Mについて説明する。
図2、図6等に示すように、本明細書で説明する各実施形態において、タイヤ本体1Mは、トレッド部1aと、このトレッド部1aのタイヤ幅方向の両端部からタイヤ径方向内側に延びる一対のサイドウォール部1bと、各サイドウォール部1bのタイヤ径方向内側の端部に設けられた一対のビード部1cと、を備えている。トレッド部1aは、タイヤ本体1Mのうち、一対の接地端どうしの間のタイヤ幅方向部分である。ビード部1cは、タイヤ1をリムに装着したときに、タイヤ径方向内側及びタイヤ幅方向外側においてリムに接するように構成される。
タイヤ本体1Mは、トレッド部1aのタイヤ幅方向の両端部からタイヤ径方向内側に延びる一対のタイヤサイド部1dを有する。タイヤサイド部1dは、サイドウォール部1b及びビード部1cからなる。
また、タイヤ本体1Mは、一対のビードコア4aと、一対のビードフィラー4bと、カーカス5と、ベルト6と、トレッドゴム7と、サイドゴム8と、インナーライナー9と、1つ又は複数の導電性コード2と、を備えている。
各ビードコア4aは、それぞれ、対応するビード部1cに埋設されている。ビードコア4aは、周囲をゴムにより被覆されている複数のビードワイヤを備えている。ビードワイヤは、金属(例えばスチール)から構成されると好適である。ビードワイヤは、例えば、モノフィラメント又は撚り線からなるものとすることができる。なお、ビードワイヤは、有機繊維やカーボン繊維から構成されてもよい。
各ビードフィラー4bは、それぞれ、対応するビードコア4aに対してタイヤ径方向外側に位置する。ビードフィラー4bは、タイヤ径方向外側に向かって先細状に延びている。ビードフィラー4bは、例えばゴム製である。
カーカス5は、一対のビードコア4a間に跨っており、トロイダル状に延在している。カーカス5は、1枚以上(図2、図6の各実施形態では、2枚)のカーカスプライ5aから構成されている。各カーカスプライ5aは、1本又は複数本のカーカスコード5cと、カーカスコード5cを被覆する被覆ゴム5rと、を含んでいる(図2)。カーカスコード5cは、モノフィラメント又は撚り線で形成することができる。
カーカスコード5cは、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、アラミドなどからなる有機繊維から構成されると、好適である。
カーカスプライ5aは、一対のビードコア4a間に位置するプライ本体部5Mを備えている。カーカスプライ5aは、さらに、プライ本体部5Mの両端からビードコア4aの廻りでタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側に折り返される、プライ折返し部5Tを、さらに備えていてもよい。ただし、カーカスプライ5aは、プライ折返し部5Tを備えていなくてもよい。
プライ本体部5Mは、ビードフィラー4b及びビードコア4aよりもタイヤ幅方向内側に位置している。プライ折返し部5Tは、ビードフィラー4b及びビードコア4aよりもタイヤ幅方向外側に位置している。
カーカス5は、ラジアル構造であると好適であるが、バイアス構造でもよい。
ベルト6は、カーカス5のクラウン部に対してタイヤ径方向外側に配置されている。ベルト6は、1層以上のベルト層6aを備えている。各ベルト層6aは、1本又は複数本のベルトコードと、ベルトコードを被覆する被覆ゴムと、を含んでいる。ベルトコードは、モノフィラメント又は撚り線で形成することができる。ベルトコードは、金属(例えばスチール)から構成されてもよいし、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、アラミドなどからなる有機繊維から構成されてもよい。
トレッドゴム7は、トレッド部1aにおいて、ベルト6のタイヤ径方向外側に位置している。トレッドゴム7は、トレッド部1aのタイヤ径方向外側の面であるトレッド踏面を構成している。トレッド踏面には、トレッドパターンが形成されている。
サイドゴム8は、サイドウォール部1bに位置している。サイドゴム8は、サイドウォール部1bのタイヤ幅方向外側の外表面を構成している。サイドゴム8は、カーカス5よりもタイヤ幅方向外側に位置している。サイドゴム8は、ビードフィラー4bよりもタイヤ幅方向外側に位置している。サイドゴム8は、トレッドゴム7と一体で形成されている。
インナーライナー9は、カーカス5のタイヤ内側に配置され、例えば、カーカス5のタイヤ内側に積層されてもよい。インナーライナー9は、例えば、空気透過性の低いブチル系ゴムで構成される。ブチル系ゴムには、例えばブチルゴム、及びその誘導体であるハロゲン化ブチルゴムが含まれる。インナーライナー9は、ブチル系ゴムに限られず、他のゴム組成物、樹脂、又はエラストマーで構成することができる。
図2、図6に示すように、タイヤ本体1Mは、ビード部1cに、チェーファー3を備えてもよい。チェーファー3は、カーカス5に対してビードコア4aとは反対側に配置される。
本明細書で説明する各実施形態においては、図1~図2、図5、図6に示すように、タイヤ本体1Mは、1つ又は複数(図1~図2、図5、図6の各実施形態では、4つ)の導電性コード2を備えている。これら1つ又は複数の導電性コード2は、タイヤ1(ひいてはタイヤ本体1M)の内部に埋設されている。
導電性コード2は、導電性を有している。タイヤ1が導電性コード2を備えることにより、タイヤ1の内部における導電パスを確保することができ、タイヤ1の内部に発生し得る静電気を導電性コード2を介して路面へ効果的に逃がすことができ、すなわち、タイヤ1の電気抵抗を低下させることができる。このことは、特に、タイヤ1に用いられるゴムが低ロス(低燃費)化されている場合、その分、タイヤ1の電気抵抗が上昇してタイヤ1が帯電しやすくなるので、低ロス化と電気抵抗の低下との両立の観点から、好適である。
導電性コード2の表面の電気抵抗値(表面抵抗値)は、50Ω/sq.以下であると好適である。
導電性コード2は、タイヤ1の製造時(加硫時)におけるエア溜まりを防止する機能(いわゆる、ブリーダーコードとしての機能)も有することができる。
導電性コード2は、少なくとも導電性繊維を含むと、好適である。導電性繊維としては、金属含有繊維、カーボン含有繊維、および、金属酸化物含有繊維などを挙げることができ、これらのうちのいずれか1種以上を用いることができる。ここで、金属含有繊維とは、金属含有量が5~100質量%である繊維をいい、金属および金属酸化物としては、例えば、ステンレス、スチール、アルミ、銅およびこれらの酸化物等が挙げられる。
導電性コード2は、導電性繊維のみを含んでもよいし、あるいは、導電性繊維に加えて非導電性繊維をさらに含んでもよい。非導電性繊維としては、綿、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、および、ポリプロピレンなどの有機物を挙げることができ、これらのうちのいずれか1種以上を用いることができる。導電性コード2は、非導電性繊維を含む場合、良好な伸びを有し、密着性にも優れる。
導電性コード2は、繊維が撚られた撚り糸構造を有すると好適である。
以下、導電性コード2についての説明は、特に断りが無い限り、各導電性コード2のそれぞれについての説明であるものとする。
導電性コード2は、タイヤ1の内部において、任意の位置に配置されてよい。
図1~図2、図5、図6に示すように、導電性コード2は、タイヤ1のビード部1cからトレッド部1aまでにわたって延在していると、好適である。これにより、導電性コード2による導電パスが確保しやすくなる。
図1、図5に示すように、タイヤ幅方向の投影面において、導電性コード2は、タイヤ1のビード部1cからトレッド部1aまでにわたって略タイヤ径方向に延在していると、好適である。これにより、導電性コード2による導電パスが確保しやすくなるとともに、導電パスを短くすることができる。
導電性コード2は、タイヤ赤道面CLに対する両側に配置されてもよいし、あるいは、タイヤ赤道面CLに対する一方側のみに配置されてもよい。
図1、図5に示すように、導電性コード2が複数設けられる場合、これら複数の導電性コード2は、タイヤ周方向において互いから間隔を空けて配置されると、好適である。
図2、図6の各実施形態のように、導電性コード2は、カーカス5の、タイヤ外側及びタイヤ内側のうちの少なくとも一方の表面に露出するように配設されていると、好適である。これにより、導電性コード2による導電パスが確保しやすくなる。
また、図2、図6の各実施形態において、導電性コード2は、カーカス5に対し、縫い込まれている。ただし、導電性コード2は、カーカス5に巻き付けられてもよい。
トレッドゴム7は、導電性ゴム7aを有していてもよい。導電性ゴム7aは、トレッドゴム7における導電性ゴム7a以外の部分よりも、導電性が高い。導電性ゴム7aの電気抵抗値(体積固有抵抗率)は、例えば、1.0×10Ω・cm未満であると好適である。
図2、図6の各実施形態のように、導電性ゴム7aは、トレッドゴム7におけるクッションゴム7bのタイヤ径方向外側面からトレッド踏面までにわたって延在していると、好適である。導電性ゴム7aは、タイヤ周方向の全周にわたって延在していると、好適である。
導電性コード2を介した導電パスは、例えば、車体-サスペンション-リム-チェーファー3-導電性コード2-クッションゴム7b-導電性ゴム7a-路面を経由し得る。
つぎに、通信装置10について説明する。
通信装置10は、タイヤ1の外部にある所定外部装置(例えば、リーダ、あるいは、リーダ/ライタ)と無線通信可能な構成であればよく、通信装置10の構成は特に限定されるものではない。
通信装置10は、RFタグを有すると好適である。RFタグは、「RFIDタグ」とも呼ばれる。RFタグは、パッシブ型に構成されると好適であるが、アクティブ型に構成されてもよい。
通信装置10は、RFタグに代えて又は加えて、タイヤ1の加速度を検出する加速度センサや、タイヤ1の内圧を検出する内圧センサ等を有してもよい。
図3~図4は、通信装置10の一例を示している。本例において、通信装置10は、RFタグを有している。本例において、通信装置10は、RFタグ10eと、被覆部10fと、を備えている。RFタグ10eは、ICチップ10cと、アンテナ部10bと、を備えている。RFタグ10eは、パッシブ型に構成されている。
ICチップ10cは、例えば、アンテナ部10bで受信する電波により発生する誘電起電力により稼働する。ICチップ10cは、例えば、制御部と記憶部とを有する。
記憶部は、任意の情報を記憶してよい。例えば、記憶部は、タイヤ1の識別情報を記憶してもよい。タイヤ1の識別情報は、例えば、タイヤ1の製造メーカ、製造工場、製造年月日等の、各タイヤをタイヤ毎に特定できるタイヤ1の固有の識別情報である。また、記憶部は、タイヤの走行距離、急制動回数、急発信回数、急旋回回数等のタイヤ履歴情報を記憶してもよい。また、例えば、タイヤ内部温度、タイヤ内圧、タイヤ加速度等を検出するセンサがタイヤ内腔に設けられており、記憶部が、これらセンサにより検出された検出情報を記憶してもよい。この場合、RFタグ10eは、アンテナ部10bを通じて、センサと無線通信することで、センサの検出情報を取得することができる。
制御部は、記憶部からの情報の読み出しが可能に構成される。
アンテナ部10bは、一対のアンテナ10b1、10b2を有している。一対のアンテナ10b1、10b2は、ICチップ10cにおいて互いに反対側に位置する端部にそれぞれ連結されている。アンテナ部10bは、タイヤ1の外部の上記所定外部装置と送受信可能に構成されている。図3~図4の例において、各アンテナ10b1、10b2は、直線状に延在しているが、各アンテナ10b1、10b2は、例えば波型等、任意の形状をなすように延在していてもよい。
被覆部10fは、RFタグ10eの全体を覆っている。被覆部10fは、例えばゴム又は樹脂から形成される。
本例において、被覆部10fは、一対のシート状の被覆部材10f1、10f2を有している。一対の被覆部材10f1、10f2は、両者間にRFタグ10eを挟んだ状態で、互いに重ねられている。一対の被覆部材10f1、10f2どうしは、接着等により互いに固着されていると、好適である。
ただし、被覆部10fは、1つの部材から構成されてもよい。
本例において、被覆部10fは、平面視において四角形状をなしているが、被覆部10fは、平面視において任意の形状をなしてよい。
なお、通信装置10は、被覆部10fを有していなくてもよく、すなわち、RFタグ10eのみから構成されてもよい。
このように構成された通信装置10は、上記所定外部装置から、電波又は磁界に乗せて送信される情報を、アンテナ部10bにより受信可能に構成される。整流(電波の場合)または共振(磁界の場合)により、通信装置10のアンテナ部10bに電力が発生し、ICチップ10cの記憶部及び制御部が所定の動作を行う。例えば、制御部は、記憶部内の情報を読み出し、電波または磁界に乗せてアンテナ部10bから、上記所定外部装置に返信(送信)する。上記所定外部装置は、通信装置10からの電波又は磁界を受信する。上記所定外部装置は、受信した情報を取り出すことで、通信装置10のICチップ10cの記憶部に記憶されている情報を取得することができる。
ただし、通信装置10は、本例とは異なる任意の構成を有してよい。
通信装置10は、長手方向LDと、短手方向SDと、厚さ方向TDと、を有してもよい。長手方向LDと短手方向SDと厚さ方向TDとは、互いに垂直である。
図3~図4に示すように、通信装置10がRFタグ10eを有する場合、通信装置10の長手方向LDは、アンテナ部10bの延在方向に平行である。アンテナ部10bの各アンテナ10b1、10b2が波型である場合、アンテナ部10bの延在方向は、各アンテナ10b1、10b2のなす波型の振幅中心線の延在方向を指す。通信装置10において、通信装置10の厚さ方向TDは、通信装置10が被覆部10fを有する場合、被覆部10fの厚さ方向を指し、通信装置10が被覆部10fを有さない場合、ICチップ10cの厚さ方向を指す。
RFタグ10eの長手方向LDの長さは、例えば、20mm以上、又は、50mm以上が好適である。また、RFタグ10eの長手方向LDの長さは、例えば、100mm以下、又は、70mm以下が好適である。
RFタグ10eの短手方向SDの長さは、例えば、10mm以下、又は、8mm以下が好適である。
RFタグ10eの厚さ方向TDの長さは、例えば、5mm以下、又は、2mm以下が好適である。
通信装置10が被覆部10fを有する場合、通信装置10の長手方向LDの長さは、例えば、30mm以上、又は、60mm以上が好適である。また、RFタグ10eの長手方向LDの長さは、例えば、110mm以下、又は、80mm以下が好適である。
通信装置10が被覆部10fを有する場合、通信装置10の短手方向SDの長さは、例えば、20mm以下、又は、15mm以下が好適である。
通信装置10が被覆部10fを有する場合、通信装置10の厚さ方向TDの長さは、例えば、6mm以下、又は、3mm以下が好適である。
被覆部10fの被覆部材10f1、10f2のそれぞれの厚さは、例えば、0.5mm以上が好適である。また、被覆部10fの被覆部材10f1、10f2のそれぞれの厚さは、例えば、1mm以下が好適である。
通信装置10は、タイヤ本体1Mの内部に埋設されている。通信装置10は、タイヤ本体1Mの内部における任意の位置に配置されてよい。
タイヤ1の製造時においては、タイヤ本体1Mを構成する生タイヤと、通信装置10とが、タイヤ成形用金型の内部に収容されて、加硫成形される。
本明細書で説明する各実施形態においては、図1、図5に示すように、タイヤ幅方向の投影面において、通信装置10と1つ又は複数の導電性コード2との交点の数が2個未満(すなわち、1個又は0個)である。図1の実施形態では、当該交点の数が1個である。図5の実施形態では、当該交点の数が0個である。
なお、図2、図6に示す通信装置10を通るタイヤ幅方向断面において、導電性コード2は、これらのタイヤ幅方向断面には現れないが、図2、図6では、便宜のため、導電性コード2を破線により図示している。
仮に通信装置10の近くに帯電したものが存在すると、所定外部装置と通信装置10とが通信をする際に、通信が阻害されるおそれがあるところ、上記の構成とすることにより、通信装置10を導電性コード2から十分に離すことができ、ひいては、通信装置10の通信性が導電性コード2によって阻害されるのを抑制し、通信装置10の通信安定性を向上できる。また、通信装置10を導電性コード2から十分に離すことができるので、導電性コード2の破断をも抑制できる。
本明細書で説明する各実施形態においては、図5に示すように、タイヤ幅方向の投影面において、通信装置10と1つ又は複数の導電性コード2とが交わらない(すなわち、両者の交点の数が0個である)と、好適である。
これにより、通信装置10を導電性コード2からさらに離すことができ、通信装置10の通信安定性をさらに向上できる。
通信装置10の通信安定性の向上の観点から、図1、図5に示すように、タイヤ幅方向の投影面において、通信装置10のRFタグ10eと1つ又は複数の導電性コード2との交点の数が2個未満(すなわち、1個又は0個)であると好適である。図1の実施形態では、当該交点の数が1個である。図5の実施形態では、当該交点の数が0個である。
同様の観点から、図5に示すように、タイヤ幅方向の投影面において、通信装置10のRFタグ10eと1つ又は複数の導電性コード2とが交わらない(すなわち、両者の交点の数が0個である)と、好適である。
図2の実施形態においては、通信装置10と導電性コード2とが、タイヤ1のタイヤ赤道面CLに対する同じ側に配置されている。
一方、図6の実施形態のように、1つ又は複数の導電性コード2が、タイヤ1のタイヤ赤道面CLに対する一方側のみに配置されており、通信装置10が、タイヤ赤道面CLに対する他方側のみに配置されてもよい。この場合、タイヤ赤道面CLに対する両側のうち、通信装置10が配置されている側には、導電性コード2が配置されていない。
これにより、通信装置10を導電性コード2からさらに離すことができ、通信装置10の通信安定性をさらに向上できる。
本明細書で説明する各実施形態においては、通信装置10と導電性コード2とは、接触していないと好適である。これにより、通信装置10の通信安定性を向上できる。
同様の観点から、通信装置10RFタグ10eと導電性コード2とは、接触していないと好適である。
本明細書で説明する各実施形態においては、図1~図2、図5、図6に示すように、通信装置10は、タイヤ1のタイヤサイド部1dの内部に埋設されていると、好適である。
一般的に、金属は、通信装置10と上記所定外部装置(例えば、リーダ、あるいは、リーダ/ライタ)との間の電波を弱めて、通信装置10と上記所定外部装置との間の通信性を低下させるおそれがあり、ひいては、通信装置10と上記所定外部装置との間の通信距離が短くなるおそれがある。一方、タイヤ本体1Mにおいて、金属(例えば、スチール)は、ベルト6、ビードコア4a等に使用され得る。そして、一般的に、タイヤサイド部1dのほうが、トレッド部1aに比べて、金属の量が少ない傾向がある。したがって、通信装置10をタイヤサイド部1dに配置することにより、仮に通信装置10をトレッド部1aに配置する場合に比べて、通信性を向上でき、通信装置10と上記所定外部装置との間の通信距離を長くすることが可能になる。
通信装置10は、タイヤ本体1Mのタイヤサイド部1dのうち、カーカス5よりもタイヤ幅方向外側の部分に埋設されていると、好適である。
また、通信装置10は、通信装置10の厚さ方向TDが、タイヤ幅方向にほぼ沿うように、指向されると、好適である(図2、図6)。
本明細書で説明する各実施形態において、通信装置10の指向方向(向き)は任意であるが、通信装置10の耐久性等の観点から、通信装置10は、図1、図5の各実施形態のように、通信装置10の長手方向LDがタイヤ周方向にほぼ沿うように指向されていると、好適である。ただし、通信装置10は、通信装置10の短手方向SDがタイヤ周方向にほぼ沿うように指向されていてもよい。
本明細書で説明する各実施形態においては、通信装置10は、図1~図2、図5、図6の各実施形態のように、サイドウォール部1bに配置されていると、好適である。一般的に、サイドウォール部1bのほうが、ビード部1cに比べて、金属の量が少ない傾向がある。したがって、通信装置10をサイドウォール部1bに配置することにより、仮に通信装置10をビード部1cに配置する場合に比べて、通信性を向上でき、通信装置10と上記所定外部装置との間の通信距離を長くすることが可能になる。
本明細書で説明する各実施形態においては、図2に示すように、通信装置10のタイヤ径方向外端10u(より好適には、通信装置10の全体)は、ビードコア4aのタイヤ径方向外端よりもタイヤ径方向外側にあると好適であり、ビードフィラー4bのタイヤ径方向中心よりもタイヤ径方向外側にあるとより好適であり、例えば、ビードフィラー4bのタイヤ径方向外端4buよりもタイヤ径方向外側にあると好適である。
この構成は、タイヤ1が乗用車用空気入りタイヤとして構成されている場合に、特に好適である。
本明細書で説明する各実施形態においては、上述のように通信装置10がサイドウォール部1bに配置される場合、図2の例のように、通信装置10のタイヤ径方向外端10uは、カーカス5のプライ折返し部5Tのタイヤ径方向外端5eよりもタイヤ径方向内側に位置していると、好適である。これにより、通信性を向上でき、通信装置10と上記所定外部装置との間の通信距離を長くすることが可能になるとともに、タイヤ本体1Mのうち、タイヤ1の転動時等において比較的歪の少ない部分に通信装置10を配置できるので、通信装置10ひいてはタイヤ1の耐久性を向上できる。
通信装置10のタイヤ径方向外端10uとカーカス5のプライ折返し部5Tのタイヤ径方向外端5eとの間のタイヤ径方向距離は、3~30mmが好適であり、5~15mmがより好適である。
この構成は、タイヤ1が乗用車用空気入りタイヤとして構成されている場合に、特に好適である。
本明細書で説明する各実施形態においては、図2の例のように、カーカス5のプライ折返し部5Tのタイヤ径方向外端5eは、ビードフィラー4bのタイヤ径方向外端4buよりもタイヤ径方向外側に位置していると好適である。ただし、カーカス5のプライ折返し部5Tのタイヤ径方向外端5eは、ビードフィラー4bのタイヤ径方向外端と同じタイヤ径方向位置、あるいは、それよりもタイヤ径方向内側に、位置していてもよい。
本明細書で説明する各実施形態においては、カーカス5のプライ折返し部5Tのタイヤ径方向外端5eは、タイヤ本体1Mのタイヤ最大幅位置よりもタイヤ径方向外側に位置していてもよいし、タイヤ本体1Mのタイヤ最大幅位置と同じタイヤ径方向位置に位置していてもよいし、タイヤ本体1Mのタイヤ最大幅位置よりもタイヤ径方向内側に位置していてもよい。ここで、「タイヤ本体1Mのタイヤ最大幅位置」とは、タイヤ本体1Mのタイヤ幅方向の寸法が最大となるタイヤ径方向位置である。
本明細書で説明する各実施形態においては、図2の例のように、通信装置10は、カーカス5のタイヤ幅方向外側の面に接していると、好適であり、カーカス5のプライ折返し部5Tのタイヤ幅方向外側の面に接していると、より好適である。
この構成は、タイヤ1が乗用車用空気入りタイヤとして構成されている場合に、特に好適である。
本明細書で説明する各実施形態においては、タイヤ1を構成するゴムの少なくとも一部(例えば、サイドゴム8、トレッドゴム7(例えば、トレッドゴム7の全体、クッションゴム7b、ベルトアンダークッションゴム等)、カーカスプライ5aの被覆ゴム5r、カーカスプライ5a間のスキージーゴム、ベルト層6aの被覆ゴム、および、ビードフィラー4bのうち、少なくとも1つ)に、以下に詳述するタイヤ用ゴム組成物が用いられていることが好ましい。このタイヤ用ゴム組成物を用いることにより、補強性、耐久性能を損なうことなく、電気抵抗の上昇を抑制し、低い転がり抵抗と、優れた耐久性を備えるタイヤ1を実現することができる。
特に、このタイヤ用ゴム組成物をサイドゴム8に用いた場合、低ロス化が可能であり、ひいては、転がり抵抗の低減が可能であり、また、サイドゴム8の電気伝導率が低減するので、その分、通信装置10の通信安定性を向上できる。
<タイヤ用ゴム組成物>
上記タイヤ用ゴム組成物は、スチレンブタジエンゴムを20~40質量部、天然ゴムを60~80質量部含むゴム成分100質量部に対して、窒素吸着比表面積(N2SA)30~43m2/gのカーボンブラックを35~50質量部と、オイルを5質量部以下配合してなるものである。
上記タイヤ用ゴム組成物に用いるゴム成分としては、少なくともスチレンブタジエンゴム(SBR)、天然ゴム(NR)が挙げられる。
スチレンブタジエンゴムの含有量は、ゴム成分100質量部中、20~40質量部とすることが好ましい。スチレンブタジエンゴムの含有量を20質量部以上とすることにより、低歪性の耐亀裂進展性を向上して、未加硫ゴムの加工性を改善することができ、一方、40質量部以下とすることにより、低ロス化を向上することができる。
用いることができるスチレンブタジエンゴムとしては、溶液重合スチレンブタジエンゴム、乳化重合スチレンブタジエンゴム、変性スチレンブタジエンゴムなどが挙げられる。
また、天然ゴムの含有量は、ゴム成分100質量部中、60~80質量部とすることが好ましい。天然ゴムの含有量を60質量部以上とすることにより、高歪性の耐亀裂進展性を向上させることができ、一方、80質量部以下とすることにより、未加硫ゴムの加工性を改善したり、コスト削減効果を得ることができる。
天然ゴムとしては、RSS#3、TSR20、SIR20など、タイヤ工業において用いられるものが挙げられる。
上記天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)以外にも、必要に応じて、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレンプロピレンジエン三元共重合体(EPDM)の少なくとも1種を用いることができる。
上記タイヤ用ゴム組成物に用いるカーボンブラックは、窒素吸着比表面積(N2SA、JISK6217-2:2001に準拠して測定する)が30~43m2/gとなるものが用いられる。このカーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)を上記範囲に限定したのは、粒径の大きいカーボンブラックを使用することで、カーボンブラックの分散性を向上させるためである。好ましくは、上記窒素吸着比表面積(N2SA)を33~40m2/gとすることが望ましい。
このような物性を有するカーボンブラックとしてはFEF、GPF、SRFなどを用いることができる。
上記カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、35質量部以上であると、好適である。これにより、ゴムの機械的強度を確保することができる。
上記カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、50質量部以下であると、好適である。これにより、低ロス化が可能であるとともに、電気伝導率が低減するので、その分、通信装置10の通信安定性を向上できる。
上記タイヤ用ゴム組成物に用いるオイルとしては、例えば、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、アロマチック系オイルおよび芳香族系オイルから選択された少なくとも1種が挙げられ、これらは市販品を用いることができる。
例えば、パラフィン系オイルとしては、JX日鉱日石エネルギー株式会社製、商品名「スーパーオイルY22」などの市販品を使用することができる。また、ナフテン系オイルは、水添されたものであってもよいし、未水添のものであってもよい。ナフテン系オイルとしては、「ストレートアスファルト含有ナフテン系オイル三共油化工業株式会社製」、商品名「A/OMIX」などの市販品を使用することができる。
上記オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、5質量部以下(0質量部を含む)である。
上記オイルの含有量を5質量部以下とすることにより、ゴムの機械的強度を向上することができる。また、上記オイルを含まない(0質量部)場合にも、カーボンブラック等の配合剤は十分に分散され、必要なゴム物性を得ることができる。特には、オイルの含有量を0~3質量部とすることが好ましい。
上記タイヤ用ゴム組成物は、さらに導電性を付与して電気抵抗をより低下せしめる点、および、耐久性能のさらなる向上の点から、さらに、ケッチェンブラックおよびカーボンナノチューブ(CNT)の少なくとも1種を含むことが好ましい。
用いることができるカーボンナノチューブ(CNT)としては、グラフェンシートが丸まった棒状、若しくは糸状のもの、気相成長カーボンファイバー(VGCF)などが挙げられ、これらの市販品であるC100(Arkemasya社製)、若しくはNC7000(Nanocyl社製)などを用いることができる。これらのカーボンナノチューブ(CNT)は、さらに導電性を付与するとともに、上記カーボンブラックとは異なり、ゴムとの相互作用が小さく、応力歪曲線の高歪曲線の高歪領域で弾性率が低下し、破断伸び(Eb)が上がり、亀裂進展時に、ゴムのEbが大きいと、亀裂先端のエネルギーが緩和されて耐亀裂進展性が向上することとなる。
ケッチェンブラックとしては、中空のシェル状粒子が存在し、高い導電性を有する種々のグレードのケッチェンブラックが使用可能である。用いることができるケッチェンブラックとしては、例えば、ライオン社製のケッチェンブラックEC300J〔顆粒状〕、ケッチェンブラックEC600JD〔顆粒状〕、カーボンECP〔ケッチェンブラックEC300Jの粉末品〕、カーボンECP600JD〔ケッチェンブラックEC600JDの粉末品〕、ライオナイト等の少なくとも1種が挙げられる。
これらのケッチェンブラックおよびカーボンナノチューブの合計配合量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1~6質量部、さらに好ましくは1.0~5質量部である。
このケッチェンブラックおよびカーボンナノチューブの合計配合量を0.1質量部以上とすることにより、ゴム配合に導電性を付与することができ、一方、この含有量を6質量部以下とすることにより、ゴムの低ロス特性の低下を防止することができる。
上記タイヤ用ゴム組成物において、窒素吸着比表面積(N2SA)が上記範囲を満足するカーボンブラック、ケッチェンブラックおよびカーボンナノチューブは充填材として用いられるものであるが、さらに良好な導電性を付与する点、および、耐亀裂進展性のさらなる向上により耐久性能をさらに良化する点から、充填材のうち2~15質量%にて、ケッチェンブラックおよびカーボンナノチューブの少なくとも1種が配合されていることが好ましく、より好ましくは2.5~12.5質量%である。
なお、上記カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ以外の充填材として、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウムなどを用いることができる。
上記タイヤ用ゴム組成物には、前述した成分の他に、目的ないし必要に応じて、その他の成分を適宜に選択して配合することができる。その他の成分としては、例えば、硫黄等の加硫剤、チアゾール系やスルフェンアミド系等の加硫促進剤、加硫助剤、酸化亜鉛(亜鉛華)、ステアリン酸、老化防止剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、着色剤、滑剤、シランカップリング剤、発泡剤、発泡助剤等の添加剤の他、タイヤ業界で通常用いられる各種の公知配合薬品等が挙げられる。これらは、市販品を使用することができる。
上記タイヤ用ゴム組成物は、前述したゴム成分に、上記特性を有するカーボンブラック、オイルなどを配合し、さらに、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブの他、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤、硫黄、加硫促進剤、その他、目的あるいは必要に応じて適宜に選択した添加剤を混練りすることなどにより調製することができる。
上記混練りの条件としては、特に制限はなく、混練り装置の投入体積やローターの回転速度、ラム圧等、および混練り温度や混練り時間、混練り装置の種類等の諸条件について目的に応じて適宜に選択することができる。このような混練り装置としては、通常、ゴム組成物の混練りに用いるバンバリーミキサーやインターミックス、ニーダー、ロール等が挙げられる。
また、好ましくは、上記タイヤ用ゴム組成物における、スチレンブタジエンゴムの配合量をA質量部、天然ゴムの配合量をB質量部とした場合において、スチレンブタジエンゴムA質量部に対し、上記タイヤ用ゴム組成物に含まれる窒素吸着比表面積(N2SA)30~43m2/gのカーボンブラックをA*100/(A+B)(質量%)にて配合したゴム組成物をゴム組成物X、天然ゴムB質量部に対し、上記タイヤ用ゴム組成物に含まれる窒素吸着比表面積(N2SA)30~43m2/gのカーボンブラックをB*100/(A+B)(質量%)にて配合したゴム組成物をゴム組成物Y、上記タイヤ用ゴム組成物をゴム組成物Zとした場合に、ゴム組成物X、Y、Zの50%伸長時のモジュラスを各々Mdx,Mdy,Mdz(MPa)とすると、Mdx,Mdy,Mdzが下記式(I)を満たすことが好ましい。
0.9×{Mdx*A/(A+B)+Mdy*B/(A+B)}≧Mdz・・・(I)
上記式(I)を満たすタイヤ用ゴム組成物とすることにより、補強性および耐久性能を損なうことなく、電気抵抗の上昇がさらに抑制され、転がり抵抗がより低減されるとともに、耐久性にさらに優れたものとなる。
前述したように、上記タイヤ用ゴム組成物は、カーカスプライのプライコーティングゴム、ベルト層のベルトコーティングゴム、カーカスプライ間のスキージーゴム、クッションゴム、ベルトアンダークッション、および、ビードフィラーゴムのうち、少なくとも一部材に適用されるものである。好ましくは、使用ゴム量が大きく、タイヤ全体へのロス特性への影響が大きいという点、および、リムからトレッドへの導電パスの中心に位置するという点から、プライコーティングゴムに適用されることが好ましい。これにより、低ロス化、耐亀裂性・補強性、導電性が両立される空気入りタイヤとすることができる。
このように構成される上記タイヤ用ゴム組成物によれば、天然ゴム(NR)量を特定範囲とすることにより、高歪領域の耐久性能を向上させるとともに、スチレンブタジエンゴム(SBR)量を特定範囲とすることにより、低ロス化を悪化させることなく、低歪性の耐久性能を向上させ、ゴムの低ロス化のため、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)を上記範囲に限定したものを使用し、さらに補強性改善のためオイル量を所定量以下とすることにより、従来品と同等の補強性および耐久性能を有しつつ、電気抵抗の上昇を抑制して、低い転がり抵抗と優れた耐久性とを備えるタイヤの実現に寄与することができる。
また、ケッチェンブラックおよびカーボンナノチューブの少なくとも1種を0.1~6質量部含むことにより、分散不良や低ロス性を悪化させることなく、導電性がさらに良好となるタイヤ用ゴム組成物が提供される。一般的に、導電性材料等は分散性が悪く、低ロス性を悪化させたり、ゴムとの相互作用が弱いことが知られているが、本発明では、導電性材料の種類や部数の検討の結果、ケッチェンブラックおよびカーボンナノチューブの少なくとも1種を特定部数配合することで、分散不良や低ロス化を悪化させることなく、導電性をさらに付与でき、また、上記導電性材料の補強性の低さを利用することで、さらに耐久性能に優れるタイヤ用ゴム組成物が提供される。
さらに、上記タイヤ用ゴム組成物において、充填材のうち2~15質量%にて、ケッチェンブラックおよびカーボンナノチューブの少なくとも1種を配合したものでは、上記低ロス化・補強性を維持しつつ、さらなる導電性の付与と、耐久性能がさらに良好となる利点を有する。
本発明に係るタイヤは、任意の種類の空気入りタイヤに好適に利用でき、特に、乗用車用空気入りタイヤに好適に利用できる。
1:タイヤ
1M:タイヤ本体、 1a:トレッド部、 1b:サイドウォール部、 1c:ビード部、 1d:タイヤサイド部、
2:導電性コード、
3:チェーファー、
4a:ビードコア、 4b:ビードフィラー、 4bu:ビードフィラーのタイヤ径方向外端、
5:カーカス、 5a:カーカスプライ、 5c:カーカスコード、 5r:被覆ゴム、 5M:プライ本体部、 5T:プライ折返し部、 5e:カーカスのプライ折返し部のタイヤ径方向外端、
6:ベルト、 6a:ベルト層、
7:トレッドゴム、 7a:導電性ゴム、 7b:クッションゴム、
8:サイドゴム、
9:インナーライナー、
10:通信装置、
10e:RFタグ、
10b:アンテナ部、 10b1、10b2:アンテナ、
10f:被覆部、 10f1、10f2:被覆部材、
10c:ICチップ、
10u:通信装置のタイヤ径方向外端、
CL:タイヤ赤道面、
WD:タイヤ幅方向、 RD:タイヤ径方向、 CD:タイヤ周方向、
LD:通信装置の長手方向、 SD:通信装置の短手方向、 TD:通信装置の厚さ方向

Claims (6)

  1. タイヤであって、
    前記タイヤの内部に埋設された、1つ又は複数の導電性コードと、
    前記タイヤの内部に埋設された、通信装置と、
    を備え、
    タイヤ幅方向の投影面において、前記通信装置と前記1つ又は複数の導電性コードとの交点の数が2個未満である、タイヤ。
  2. タイヤ幅方向の投影面において、前記1つ又は複数の導電性コードは、それぞれ、前記タイヤのビード部からトレッド部までにわたって略タイヤ径方向に延在している、請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記タイヤのサイドゴムは、カーボンブラックの含有量が、ゴム成分100質量部に対して、50質量部以下である、請求項1又は2に記載のタイヤ。
  4. タイヤ幅方向の投影面において、前記通信装置と前記1つ又は複数の導電性コードとが交わらない、請求項1~3のいずれか一項に記載のタイヤ。
  5. 前記1つ又は複数の導電性コードが、前記タイヤのタイヤ赤道面に対する一方側のみに配置されており、
    前記通信装置が、前記タイヤ赤道面に対する他方側のみに配置されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のタイヤ。
  6. 前記通信装置は、RFタグを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のタイヤ。
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