JP2023084924A - 駆動機構及びブレーキ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】作動時、ギヤ間の噛合状態がばらつくことを抑制して、所望の噛合率を安定して確保することのできる駆動機構を提供する。【解決手段】ブレーキ装置に採用された駆動機構18は、フェースギヤ29をピニオンギヤ28へ付勢するコイルスプリング30を備えている。そして、駆動機構18の作動時、コイルスプリング30により、フェースギヤ29の第1ギヤ部45が、ピニオンギヤ28のギヤ部34に向かって付勢される。その結果、ピニオンギヤ28が回転する際の反力により、フェースギヤ29がピニオンギヤ28から離れる方向への移動が規制されるために、フェースギヤ29の第1ギヤ部45と、ピニオンギヤ28のギヤ部34とを、所望の噛合率にて安定して噛合させることができる。【選択図】図4
Description
本発明は、駆動機構及びブレーキ装置に関するものである。
特許文献1には、ドラムブレーキに採用される、フェースギヤ及びピニオンギヤを用いた駆動機構が開示されている。
特許文献1に開示された駆動機構は、モータの回転駆動力を伝達するピニオンギヤにフェースギヤが噛合することで、モータの回転軸を90度変換して、その回転駆動力を伝達している。このピニオンギヤとフェースギヤとの噛合形態を踏まえて、従来の駆動機構においては、フェースギヤは、ピニオンギヤから噛み合いの反力を受け、軸方向に移動するために、フェースギヤとピニオンギヤとの所望の噛合率を確保すべく、例えばフェースギヤを回転自在に支持する軸部に固定されたワッシャ等でフェースギヤの移動を規制している。
しかしながら、従来の駆動機構では、製造上、ワッシャとフェースギヤとの間の隙間量にばらつきが生じるために、ピニオンギヤとフェースギヤとの間の噛合音である作動音が要求値を満足すべく前記隙間量を所定範囲に収めることが困難であった。すなわち、従来の駆動機構では、製造上、ワッシャとフェースギヤとの間の隙間量にばらつきが生じるために、フェースギヤが回転する際、フェースギヤとピニオンギヤとを所望の噛合率にて安定して噛合させることが困難となっていた。
そして、上述した問題に鑑みて、本発明の目的は、作動時、ギヤ間の噛合状態がばらつくことを抑制して、所望の噛合率を安定して確保することのできる駆動機構及びブレーキ装置を提供することにある。
上記課題を解決するための手段として、本発明に係る駆動機構は、回転駆動源の回転駆動力によって回転する第1ギヤと、該第1ギヤと互いに噛合し、前記第1ギヤの軸部の軸方向とは異なる軸方向の軸部を有する第2ギヤと、を備えた駆動機構において、該駆動機構は、前記第2ギヤを前記第1ギヤへ付勢する弾性部材を備えている。
また、本発明に係るブレーキ装置は、電動モータの回転駆動力によって回転する第1ギヤ、及び該第1ギヤと互いに噛合し、前記第1ギヤの軸部の軸方向とは異なる軸方向の軸部を有する第2ギヤを有する駆動機構を備える電動アクチュエータと、該電動アクチュエータの作動によって車輪を制動させる制動部材と、を備えたブレーキ装置であって、前記駆動機構は、前記第2ギヤを前記第1ギヤへ付勢する弾性部材を備えている。
本発明によれば、駆動機構の作動時、ギヤ間の噛合状態がばらつくことを抑制することができ、所望の噛合率を安定して確保することができる。また、従来のように、製造上、ギヤ間の噛合状態に起因する作動音が要求値を満足するために、軸部に固定されたワッシャとフェースギヤとの間の隙間量を所定範囲に収めるべく管理する必要もない。
以下、本実施形態を図1~図7に基づいて詳細に説明する。図1及び図2に示すように、本実施形態に係るブレーキ装置1は、車体の内側に装着される円板状のバックプレート4と、該バックプレート4に取り付けられるホイールシリンダ5と、図示しないドラム内に収容される一対のライニング7、7を含むブレーキシュー6、6と、モータギヤユニット8及びスプレッダ装置9を備えた電動アクチュエータ10と、を備えている。なお、一対のライニング7、7を含むブレーキシュー6、6が制動部材に相当する。図2を参照して、ホイールシリンダ5とスプレッダ装置9とは、バックプレート4の周方向に沿って約180度離間するように対向して配置される。一対のライニング7、7を含むブレーキシュー6、6は、周方向に沿って互いに対向するように配置されている。バックプレート4内には、一対のライニング7、7を含むブレーキシュー6、6を原位置に復帰させるリターンスプリング13が設けられている。
図2を参照して、ホイールシリンダ5は、操作者がブレーキペダル(図示略)を踏み込むと、マスタシリンダ等の液圧源から供給される液圧によって、ホイールシリンダ5からピストン5Aが前進する構成である。そして、液圧が液圧源からホイールシリンダ5に供給されることでピストン5Aが前進して、ブレーキシュー6のライニング7がドラムを押圧する。これにより、ブレーキシュー6のライニング7とドラムとの間に摩擦力が発生し、車輪に対して制動力が付与される。なお、操作者がブレーキペダルを解放することで、車輪に対する制動力が解除される。
図2及び図3を参照して、電動アクチュエータ10は、モータギヤユニット8及びスプレッダ装置9を備えている。当該電動アクチュエータ10は、電動モータ16からの回転駆動により、一対のライニング7、7を含むブレーキシュー6、6を作動させて車輪(図示略)を制動させるものである。電動モータ16が回転駆動源に相当する。モータギヤユニット8は、電動モータ16、駆動機構18及び複数のギヤが互いに噛合されたギヤ機構19を備えている。図1を参照して、モータギヤユニット8は、バックプレート4よりも車体の内側に配置される。図3を参照して、電動モータ16には、その回転を制御するための電子制御ユニット(ECU)22が電気的に接続される。電子制御ユニット22には、駐車ブレーキのON/OFF時に操作されるパーキングスイッチ23が電気的に接続される。なお、電子制御ユニット22は、パーキングスイッチ23の操作によらず、車両側からの信号に基づいて駐車ブレーキを作動させることもできる。
図3を参照して、モータギヤユニット8において、電動モータ16とギヤ機構19との間に、駆動機構18が配置されている。そして、電動モータ16からの回転駆動が、駆動機構18を経由してギヤ機構19に伝達される。図1を参照して、ギヤ機構19及び駆動機構18はギヤハウジング26内に収容される。図4及び図5を参照して、駆動機構18は、電動モータ16の回転軸16Aに一体的に連結されるピニオンギヤ28と、ピニオンギヤ28と噛合するフェースギヤ29と、フェースギヤ29をピニオンギヤ28へ付勢するコイルスプリング30と、コイルスプリング30とフェースギヤ29との間に設けたワッシャ31と、を備えている。
なお、ピニオンギヤ28が第1ギヤに相当する。回転軸16Aが軸部に相当する。フェースギヤ29が第2ギヤに相当する。コイルスプリング30が弾性部材に相当する。ワッシャ31が保護部材に相当する。ピニオンギヤ28は円筒状に形成される。ピニオンギヤ28の外周面には、周方向に沿って連続するギヤ部34が形成される。ピニオンギヤ28は、電動モータ16の回転軸16Aに圧入固定される。フェースギヤ29は、ギヤ本体部37と、支持孔38と、を有する。
フェースギヤ29のギヤ本体部37は、小径ギヤ部42と大径ギヤ部43とが同軸状に一体的に連設されて構成される。ギヤ本体部37の径方向中央に軸方向に貫通する支持孔38が形成される。ギヤ本体部37の大径ギヤ部43には、その軸方向一端面からピニオンギヤ28側に向かって突出して、周方向に沿って連続する第1ギヤ部45が設けられる。フェースギヤ29の第1ギヤ部45が、ピニオンギヤ28のギヤ部34に噛合される。また、小径ギヤ部42の外周面には、周方向に沿って連続する第2ギヤ部46が形成される。この第2ギヤ部46が、ギヤ機構19(図3参照)の構成である入力ギヤに噛合される。
フェースギヤ29の支持孔38にシャフト48が回転自在に挿通される。該シャフト48は、その軸方向一端がギヤハウジング26内に配置される支持板50、及び支持ブロック51に一体的に固定される。シャフト48の軸方向他端は、ギヤハウジング26に一体に形成される凹部53に収容される。その結果、フェースギヤ29は、シャフト48により回転自在に支持される。なお、ギヤハウジング26が規制部材に相当する。シャフト48が軸部に相当する。フェースギヤ29のシャフト48の軸方向と、電動モータ16の回転軸16A(ピニオンギヤ28の軸部)の軸方向とは、互いに直交する方向となる。なお、他の実施形態として、例えば、互いに噛み合うギヤの軸部の軸方向が平行な実施形態でもよい。
図4及び図5を参照して、フェースギヤ29の小径ギヤ部42と、ギヤハウジング26の内壁面との間にコイルスプリング30が配置される。コイルスプリング30は、シャフト48の周りに配置される。コイルスプリング30と、フェースギヤ29の小径ギヤ部42との間にワッシャ31が配置される。コイルスプリング30は、その軸方向他端がギヤハウジング26の内壁面に当接される。コイルスプリング30の軸方向他端は、ギヤハウジング26によって、他端側、すなわちフェースギヤ29側とは反対方向への移動が規制される。コイルスプリング30の軸方向一端は、フェースギヤ29側に配置される。コイルスプリング30の軸方向一端は、ワッシャ31に当接される。ワッシャ31は、シャフト48の周りに配置される。ワッシャ31は、シャフト48に対してその軸方向に沿って移動自在である。ワッシャ31は、シャフト48に対してその周方向に沿って回転自在である。ワッシャ31の外径は、コイルスプリング30の外径よりも大径である。
そして、コイルスプリング30によって、ワッシャ31を介して、シャフト48の軸方向に沿ってフェースギヤ29がピニオンギヤ28側に付勢される。その結果、コイルスプリング30により、フェースギヤ29の大径ギヤ部43に設けた第1ギヤ部45が、ピニオンギヤ28のギヤ部34に対して噛合する方向に付勢される。コイルスプリング30は、電動モータ16からの回転駆動力が最大のときに、ピニオンギヤ28のギヤ部34が、フェースギヤ29の第1ギヤ部45を押圧する押圧力以上のセット荷重を有するものである。なお、コイルスプリング30の弾性力を極力小さくして、コイルスプリング30により、常時、フェースギヤ29を低荷重にてピニオンギヤ28側に付勢するようにする。
図3を参照して、電動モータ16からの回転駆動が、駆動機構18及びギヤ機構19を経由して、スプレッダ装置9に伝達される。図6及び図7に示すように、スプレッダ装置9には、ケーシング60と、ケーシング60内に収納され、軸方向にスライド自在で、且つ回転自在に支持される円筒状のハウジング61と、が備えられる。ケーシング60は、バックプレート4(図2参照)に固定されている。ハウジング61には、ギヤ機構19からの回転駆動が伝達される。図6及び図7を参照して、ハウジング61内には、スピンドルナット64と、ピストン65と、ロッド66と、スピンドルピストン67と、支持ピン68と、が備えられている。
スピンドルナット64は、ハウジング61と一体的に連結される。ハウジング61及びスピンドルナット64は、一体的に回転自在に、且つ軸方向に移動自在となる。ケーシング60とハウジング61との間には、一対のベアリング70、70が配置される。この一対のベアリング70、70は、ハウジング61を回転自在に支持すると共に、軸方向に沿って移動自在に支持するものである。スピンドルナット64の内壁面には、雌ねじ部73が設けられる。ピストン65には雄ねじ部74が設けられる。ピストン65は、軸方向に移動自在で、且つケーシング60に対して相対回転不能に支持される。そして、スピンドルナット64の雌ねじ部73と、ピストン65の雄ねじ部74とが螺合する。
ピストン65には、一方のブレーキシュー6が連結される。ロッド66には、その軸方向基端部に、その軸方向と直交する方向に支持ピン68が貫通支持される。スピンドルナット64の、スピンドルピストン67側の軸方向端部に支持ピン68が一体的に連結される。ロッド66の軸方向先端部にスピンドルピストン67が連結される。スピンドルピストン67及びロッド66は、支持ピン68を介してスピンドルナット64(ハウジング61)と一体的に回転自在に、且つ軸方向に移動自在となる。スピンドルピストン67には、他方のブレーキシュー6が連結される。
次に、本実施形態に係るブレーキ装置1の作用を説明する。
まず、ブレーキペダルの操作による通常の液圧ブレーキとしての作用を説明する。
操作者がブレーキペダルを踏み込むと、マスタシリンダ等の液圧源からホイールシリンダ5に供給される液圧によって、ホイールシリンダ5から一対のピストン5A、5Aが制動方向にそれぞれ前進する。これら一対のピストン5A、5Aの制動方向への前進によって、一対のブレーキシュー6、6のライニング7、7がドラムをそれぞれ押圧する。その結果、一対のブレーキシュー6、6のライニング7、7と、ドラムとの間に摩擦力が生じ、車輪に対して制動力が付与される。
まず、ブレーキペダルの操作による通常の液圧ブレーキとしての作用を説明する。
操作者がブレーキペダルを踏み込むと、マスタシリンダ等の液圧源からホイールシリンダ5に供給される液圧によって、ホイールシリンダ5から一対のピストン5A、5Aが制動方向にそれぞれ前進する。これら一対のピストン5A、5Aの制動方向への前進によって、一対のブレーキシュー6、6のライニング7、7がドラムをそれぞれ押圧する。その結果、一対のブレーキシュー6、6のライニング7、7と、ドラムとの間に摩擦力が生じ、車輪に対して制動力が付与される。
一方、操作者がブレーキペダルを解放すると、マスタシリンダ等の液圧源からの液圧の供給が途絶えてホイールシリンダ5内の液圧が低下する。すると、リターンスプリング13の付勢力により、一対のライニング7、7を含むブレーキシュー6、6が、一対のピストン5A、5Aを制動解除方向にそれぞれ後退させて原位置に復帰する。その結果、一対のブレーキシュー6、6のライニング7、7とドラムとの間の摩擦力が解消されて、車輪に対する制動力が解除される。
次に、車両の停止状態を維持するための作用の一例である駐車ブレーキとしての作用を説明する。
まず、駐車ブレーキの解除状態からパーキングスイッチ23がONに操作されて駐車ブレーキを作動(アプライ)させる。そして、電子制御ユニット22からの指令により、電動モータ16がアプライ方向に回転駆動される。すると、電動モータ16からの回転が駆動機構18、すなわち電動モータ16からの回転が回転軸16Aを介してピニオンギヤ28に伝達され、さらにフェースギヤ29に伝達される。
まず、駐車ブレーキの解除状態からパーキングスイッチ23がONに操作されて駐車ブレーキを作動(アプライ)させる。そして、電子制御ユニット22からの指令により、電動モータ16がアプライ方向に回転駆動される。すると、電動モータ16からの回転が駆動機構18、すなわち電動モータ16からの回転が回転軸16Aを介してピニオンギヤ28に伝達され、さらにフェースギヤ29に伝達される。
そこで、電動モータ16からの回転が、ピニオンギヤ28からフェースギヤ29に伝達される際には、コイルスプリング30により、フェースギヤ29の第1ギヤ部45が、ピニオンギヤ28のギヤ部34に向かって付勢されている状態となっている。そのために、ピニオンギヤ28が回転する際の反力により、フェースギヤ29がピニオンギヤ28から離れる方向への移動が規制される。言い換えれば、コイルスプリング30の付勢力が、ピニオンギヤ28のギヤ部34からフェースギヤ29の第1ギヤ部45に付与される押圧力を上回る。
その結果、フェースギヤ29の第1ギヤ部45と、ピニオンギヤ28のギヤ部34とが所望の噛合率にて安定して噛合することができる。また、コイルスプリング30の軸方向一端と、フェースギヤ29の小径ギヤ部42との間にはワッシャ31が配置されているので、フェースギヤ29が回転している際、コイルスプリング30の軸方向一端が、フェースギヤ29の表面(他端面)に食い込んだり、引き摺ったりするのを抑制することができる。
続いて、フェースギヤ29の回転に伴って、フェースギヤ29と噛合するギヤ機構19が回転する。続いて、ギヤ機構19の回転に伴って、スプレッダ装置9のハウジング61が回転する。続いて、図6及び図7に示されるように、ハウジング61が回転することで、ハウジング61に固定されたスピンドルナット64が該ハウジング61と一体的に回転する。ハウジング61(スピンドルナット64)が回転することにより、雌ねじ部73及び雄ねじ部74を介してスピンドルナット64と螺合しているピストン65が図7の右方向(矢印A1方向)に向かって前進する。
一方、ライニング7からの反力及びリターンスプリング13(図1参照)の付勢力によって、ハウジング61が、ケーシング60に対してピストン65とは反対方向である図7の左方向(矢印A2方向)に前進する。これにより、ハウジング61に固定されたスピンドルナット64、支持ピン68及びロッド66を介して、スピンドルピストン67がハウジング61に付随して、回転しながら図7の左方向(矢印A2方向)に向かって前進する。
そして、ピストン65とスピンドルピストン67とがそれぞれ互いに離間する反対方向(図7の矢印A1方向、A2方向)にそれぞれ前進することで、ピストン65に連結された一方のブレーキシュー6と、スピンドルピストン67に連結された他方のブレーキシュー6とを、それぞれ互いに離間する方向に移動させることができる。この結果、一対のブレーキシュー6、6のライニング7、7がドラムをそれぞれ押圧して、摩擦力を発生させることで、駐車ブレーキが作動状態となる。
なお、電子制御ユニット22では、一対のブレーキシュー6、6のライニング7、7からドラムへの押圧力が所定値に到達するまで、例えば、電動モータ16の電流値が所定値に達するまで電動モータ16を駆動させる。その後、電子制御ユニット22は、ドラムへの押圧力が所定値に到達したことを電動モータ16の電流値が所定値に達したことによって検出すると、電動モータ16への通電が停止される。
一方、制動解除時には、パーキングスイッチ23がOFFに操作されると、電子制御ユニット22からの指令により、電動モータ16の回転軸16Aが逆方向、すなわちリリース方向に回転する。そして、その逆方向の回転がピニオンギヤ28、フェースギヤ29、ギヤ機構19及びハウジング61に伝達される。その結果、ハウジング61(スピンドルナット64)の逆方向への回転に伴って、ピストン65が後退して初期状態に戻る。これと略同時に、リターンスプリング13(図1参照)の付勢力によって、スピンドルピストン67がハウジング61と共に回転しながら後退する。そして、一対のブレーキシュー6、6のライニング7、7によるドラムへの制動力が解除される。
以上説明したように、本実施形態に係るブレーキ装置1では、駆動機構18は、フェースギヤ29をピニオンギヤ28へ付勢するコイルスプリング30を備えている。そして、駆動機構18の作動時、コイルスプリング30により、フェースギヤ29の第1ギヤ部45が、ピニオンギヤ28のギヤ部34に向かって付勢される。その結果、ピニオンギヤ28が回転する際の反力により、フェースギヤ29がピニオンギヤ28から離れる方向への移動が規制されるため、フェースギヤ29の第1ギヤ部45と、ピニオンギヤ28のギヤ部34とを、所望の噛合率にて安定して噛合させることができる。言い換えれば、電動モータ16の回転駆動力の変化により、ピニオンギヤ28のギヤ部34の反力によるフェースギヤ29の第1ギヤ部45を押し上げる力(ピニオンギヤ28のギヤ部34からフェースギヤ29の第1ギヤ部45に付与される押圧力)が変化しても、所望の噛合率にて良好に噛合させることができる。これにより、フェースギヤ29とピニオンギヤ28との間の噛合状態に起因する作動音が要求値を満足することができる。
また、従来のように、製造時、フェースギヤ29の移動を規制する、軸部に固定されたワッシャとフェースギヤ29との間の隙間量を、これらのギヤ間の噛合状態に起因する作動音が要求値を満足する所定範囲に収めるために管理する必要もない。要するに、本実施形態に係るブレーキ装置1では、製造時には、シャフト48にフェースギヤ29の支持孔38を挿通して、またシャフト48にワッシャ31及びコイルスプリング30をこの順序で挿入した後、シャフト48をギヤハウジング26に一体に形成される凹部53に収容するだけであり、従来のような、細かい前記隙間量の管理する作業を必要としない。これにより、製造時の作業性が大幅に向上する。
なお、本実施形態では、弾性部材としてコイルスプリング30を採用したが、板バネ、皿バネや、弾性変形する合成樹脂等を採用してもよい。なお、弾性部材として、板バネや皿バネ等が採用され、フェースギヤ29が回転している際、板バネ等の軸方向一端がフェースギヤ29の表面に食い込んだり、引き摺ったりする虞が無い場合は、本実施形態にて保護部材として採用したワッシャ31を配置する必要はない。
また、本実施形態に係るブレーキ装置1では、コイルスプリング30は、その軸方向一端がフェースギヤ29側に配置され、その軸方向他端はギヤハウジング26によってフェースギヤ29側とは反対方向への移動が規制される。これにより、コイルスプリング30の付勢力を、確実に、フェースギヤ29の第1ギヤ部45と、ピニオンギヤ28のギヤ部34との間に伝達することができる。なお、本実施形態では、規制部材としてギヤハウジング26を採用したが、ギヤハウジング26内に配置される他の部材を規制部材として採用してもよい。
さらに、本実施形態に係るブレーキ装置1では、コイルスプリング30の軸方向一端とフェースギヤ29との間にワッシャ31を備えている。これにより、駆動機構18が作動してフェースギヤ29が回転している際、コイルスプリング30の軸方向一端がフェースギヤ29の表面に食い込んだり、引き摺ったりするのを抑制することができ、信頼性が向上する。なお、弾性部材として、本実施形態のように、軸回り方向に対して強度の低いコイルスプリング30を採用した場合、フェースギヤ29の回転による軸回り方向の負荷を抑制するために、ワッシャ31の回転を規制することにより、コイルスプリング30への負荷を抑制することができる。
さらにまた、本実施形態に係るブレーキ装置1では、コイルスプリング30は、電動モータ16からの回転駆動力が最大のときに、ピニオンギヤ28がフェースギヤ29を押圧する押圧力以上のセット荷重を有している。これにより、駆動機構18の作動時、コイルスプリング30の付勢力が、ピニオンギヤ28のギヤ部34からフェースギヤ29の第1ギヤ部45に付与される押圧力を上回るために、確実に、フェースギヤ29の第1ギヤ部45と、ピニオンギヤ28のギヤ部34とを、所望の噛合率にて安定して噛合させることができる。
なお、本実施形態では、上述した駆動機構18をブレーキ装置1に採用したが、この駆動機構18を他の減速歯車機構等に採用してもよい。
1 ブレーキ装置,6 ブレーキシュー(制動部材),7 ライニング(制動部材),10 電動アクチュエータ,16 電動モータ(回転駆動源),16A 回転軸(軸部),18 駆動機構,26 ギヤハウジング(規制部材),28 ピニオンギヤ(第1ギヤ),29 フェースギヤ(第2ギヤ),30 コイルスプリング(弾性部材),31 ワッシャ(保護部材),48 シャフト(軸部)
Claims (5)
- 回転駆動源の回転駆動力によって回転する第1ギヤと、
該第1ギヤと互いに噛合し、前記第1ギヤの軸部の軸方向とは異なる軸方向の軸部を有する第2ギヤと、を備えた駆動機構において、
該駆動機構は、前記第2ギヤを前記第1ギヤへ付勢する弾性部材を備えていることを特徴とする駆動機構。 - 請求項1に記載の駆動機構において、
前記弾性部材は、その一端が前記第2ギヤ側に配置され、その他端は規制部材によって前記第2ギヤ側とは反対方向への移動が規制されることを特徴とする駆動機構。 - 請求項2に記載の駆動機構において、
前記弾性部材の一端と前記第2ギヤとの間に保護部材を備えることを特徴とする駆動機構。 - 請求項1~3いずれかに記載の駆動機構において、
前記弾性部材は、前記回転駆動力が最大のときに、前記第1ギヤが前記第2ギヤを押圧する押圧力以上のセット荷重を有することを特徴とする駆動機構。 - 電動モータの回転駆動力によって回転する第1ギヤ、及び該第1ギヤと互いに噛合し、前記第1ギヤの軸部の軸方向とは異なる軸方向の軸部を有する第2ギヤを有する駆動機構を備える電動アクチュエータと、
該電動アクチュエータの作動によって車輪を制動させる制動部材と、を備えたブレーキ装置であって、
前記駆動機構は、前記第2ギヤを前記第1ギヤへ付勢する弾性部材を備えていることを特徴とするブレーキ装置。
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