JP2023084741A - 電動歯ブラシ - Google Patents
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Abstract
【課題】汚れ除去効果を向上させる電動歯ブラシを提供する。【解決手段】電動歯ブラシ1は、ブラシ部10bを含むヘッド10と、ヘッド10を動作させる駆動部21と、ブラシ部10bによる磨き対象とされる歯Tの種類または位置を特定する入力部24と、入力部24が特定した歯Tの種類または位置が、特定の基準に基づく分類のいずれに属するかを判断し、ヘッド10の動作を分類ごとに変化させるように駆動部21を制御する制御部23とを備える。【選択図】図1
Description
本開示は、電動歯ブラシに関する。
従来、ブラシ部を有するヘッドが自動で動作する電動歯ブラシがある。特許文献1は、子供を想定した使用者の歯との相対位置を検知し、表示することで、使用者に対して歯磨き操作が正しく行われたかを認識させる電動歯ブラシに関する技術を開示している。
特許文献1に開示されている電動歯ブラシは、使用者の歯を検知するための手段を備える。しかし、検知手段によってえられた情報は、単に使用者の歯磨き操作の結果を示すために利用されるものである。したがって、当該電動歯ブラシでは、使用者の操作能力に関わらず、汚れ除去効果を向上させることは難しい。
本開示は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本開示の目的は、汚れ除去効果を向上させる電動歯ブラシを提供することにある。
上記課題を解決するために、本開示の態様に係る電動歯ブラシは、ブラシ部を含むヘッドと、ヘッドを動作させる駆動部と、ブラシ部による磨き対象とされる歯の種類または位置を特定する入力部と、入力部が特定した歯の種類または位置が、特定の基準に基づく分類のいずれに属するかを判断し、ヘッドの動作を分類ごとに変化させるように駆動部を制御する制御部と、を備える。
本開示によれば、汚れ除去効果を向上させる電動歯ブラシを提供することができる。
以下、図面を参照しながら実施形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る電動歯ブラシ1を示す側面図である。電動歯ブラシ1は、ブラシ部10bを含むヘッド10と、使用者が把持するハンドル部20とを備える。電動歯ブラシ1は、ヘッド10をハンドル部20に対して動作させることで、自動で歯磨き動作またはその補助動作を行う。
図1は、第1実施形態に係る電動歯ブラシ1を示す側面図である。電動歯ブラシ1は、ブラシ部10bを含むヘッド10と、使用者が把持するハンドル部20とを備える。電動歯ブラシ1は、ヘッド10をハンドル部20に対して動作させることで、自動で歯磨き動作またはその補助動作を行う。
ヘッド10は、電動歯ブラシ1における可動部である。ヘッド10は、ヘッド本体10aと、ブラシ部10bとを有する。ヘッド本体10aは、例えば樹脂製の棒状体である。ヘッド本体10aの軸方向は、ヘッド10の長手方向と同義である。ヘッド本体10aの一方の端部である先端部10cは、歯磨き時に使用者の口腔内に入り込む部位であり、ブラシ部10bが設けられる。ヘッド本体10aの他方の端部である根元部10dは、駆動シャフト21aを介してハンドル部20内の駆動部21に接続される。ブラシ部10bは、歯磨き時に使用者の歯Tまたは歯肉Gに当接される(図2A等参照)。
ハンドル部20は、電動歯ブラシ1における固定部である。ハンドル部20は、ハンドル本体20aの内部に、駆動部21と、操作部22と、制御部23とを備える。
駆動部21は、ヘッド10を動作させるための動力発生部である。駆動部21は、例えば、ヘッド本体10aの内部に向けて延伸する駆動シャフト21aと連結されるモータである。ヘッド本体10aすなわちヘッド10は、駆動部21の駆動により、次のように動作し得る。まず、ヘッド10は、歯磨き動作として、ヘッド本体10aの軸方向に沿って振動する。また、ヘッド10は、磨き対象となる歯Tに対してブラシ部10bを位置決めする動作として、ヘッド本体10aの軸方向に沿った軸AXを中心軸としてロール角を変化させるように回転する。更に、ヘッド10は、磨き対象となる歯Tに対してブラシ部10bを押し付ける動作として、歯Tの表面または歯肉Gに対して圧力を加えるように移動する。つまり、駆動部21は、ヘッド10を上記のように動作させ得る、リニアモータ、回転モータ、または、首振り機構を含むモータなどを併用するものであってもよい。
操作部22は、ハンドル本体20aの内部から外部に向けて一部が露出する押圧ボタンである。操作部22は、制御部23と電気的に接続される。使用者が操作部22を押すことにより、電源のオン・オフ、又は、以下で詳説する本実施形態におけるヘッド10の動作制御を実施するかしないかなどを切り替えることができる。
制御部23は、例えば、記憶部を含む制御基板であり、駆動部21と電気的に接続される。制御部23は、操作部22からの指令に基づいて駆動部21を駆動させることで、ヘッド10の動作を制御する。
また、電動歯ブラシ1は、ブラシ部10bによる磨き対象とされる歯Tの種類または位置を特定する入力部24とを備える。本実施形態では、入力部24は、センサー25と、検出部26とを備える。
センサー25は、磨き対象とされる歯Tの種類または位置を特定するために必要とされる物理量を検知する。センサー25は、例えば、歯Tを撮影するイメージセンサー、歯Tとの距離を検知する距離センサー、又は、歯Tまでの移動距離や歯Tに対するヘッド10の姿勢を検知する加速度センサー若しくはジャイロセンサーであってもよい。なお、図1に示すセンサー25の設置位置は、例示である。センサー25は、一般的な使用態様に従って、図1に示すようにハンドル本体20aの内部に設置されてもよいし、ヘッド10に設置されてもよい。
検出部26は、センサー25の出力を受信して、検出対象となった歯Tの種類または位置を特定し、制御部23に送信する。検出部26から得られた情報に基づく制御部23によるヘッド10の動作制御については、後述する。
更に、電動歯ブラシ1は、不図示であるが、ハンドル部20内に、駆動部21の動力源としての電池を収容する電池収容部などを備える。
次に、電動歯ブラシ1の動作について説明する。
使用者が電動歯ブラシ1を把持して操作部22を押圧すると、電動歯ブラシ1の電源がオンとなり、制御部23は、ヘッド10の一連の動作を開始させる。以下、使用者は、ヘッド10の動作が開始される直前または開始された直後に、口腔内にブラシ部10bを挿入させているものとする。
制御部23は、電源のオンに合わせて駆動部21を駆動させ、歯磨き動作として、駆動シャフト21aを軸AXに沿った往復運動として振動させる。駆動シャフト21aの先端部は、ヘッド本体10aと接続されているので、駆動シャフト21aの振動に合わせてヘッド10もヘッド本体10aの軸方向に沿って振動する。なお、ヘッド10の歯磨き動作としては、軸AXに沿った往復運動のみならず、例えば、軸AXを中心軸とした回転往復運動を行うものであってもよい。
また、制御部23は、歯磨き動作と同時に、または、歯磨き動作の直前に、磨き対象となる歯Tに対して、ブラシ部10bを位置決めする動作およびブラシ部10bを押し付ける動作の一方または両方を、以下のように駆動部21に行わせる。
まず、制御部23は、位置決め動作および押し付け動作の双方の場合に共通して、入力部24に対して、これから磨き対象となる歯Tの種類または位置を特定させる。入力部24では、センサー25が、磨き対象となる歯Tを検知し、検知結果を検出部26に送信する。検出部26は、センサー25の出力に基づいて、磨き対象となる歯Tの種類または位置を特定し、特定結果を制御部23に送信する。
ここで、磨き対象となる歯Tの種類とは、口腔内に歯列として並ぶ複数の歯Tのうち、いずれの歯Tであるかをいう。具体的には、永久歯である場合、歯Tの種類とは、中切歯(前歯;1番)、側切歯(前歯;2番)、犬歯(3番)、第一小臼歯(4番)、第二小臼歯(5番)、第一大臼歯(6番)、第二大臼歯(7番)、第三大臼歯(親知らず;8番)のいずれかをいう。
また、磨き対象となる歯Tの位置とは、磨き対象となる歯Tのうち、頬側の部分、または、舌側もしくは口蓋側の部分のいずれかの位置をいう。または、磨き対象となる歯Tの位置とは、磨き対象となる歯Tが上顎にあるかまたは下顎にあるかの判定に基づく、上顎にある歯、または、下顎である歯という。または、磨き対象となる歯Tの位置とは、磨き対象となる歯Tが左側にあるか右側にあるかの判定に基づく、左側にある歯、または、右側にある歯をいう。
次に、制御部23は、入力部24が特定した歯Tの種類または位置が、特定の基準に基づく分類のいずれに属するかを判断する。
ここで、制御部23は、入力部24が特定した歯Tの種類が、切歯に属するか、または、切歯以外の歯に属するかを判断する。ここで、切歯とは、中切歯または側切歯をいう。切歯以外の歯とは、中切歯及び側切歯以外の歯をいう。
また、制御部23は、入力部24が特定した歯Tの磨き対象となる位置が、頬側に属するか、または、舌側もしくは口蓋側に属するかを判断してもよい。
さらに、制御部23は、入力部24が特定した歯Tが、上顎にある歯に属するか、または、下顎にある歯に属するかを判断してもよい。または、制御部23は、入力部24が特定した歯Tが、使用者がハンドル部20を把持する手と同じ側にある歯に属するか、または、反対側にある歯に属するかを判断してもよい。
次に、制御部23は、入力部24が特定した歯T、すなわち、磨き対象となる歯Tの種類または位置がどの分類に属するかの判断結果に基づいて、ヘッド10の動作を分類ごとに変化させるように駆動部21を制御する。
ここで、歯Tの種類または位置の分類ごとに変化させるヘッド10の動作としては、例えば、以下のような動作が考えられる。
ヘッド10の第一の動作は、磨き対象となる歯Tに対してブラシ部10bを位置決めする動作である。具体的には、駆動部21は、軸AXを中心軸としてヘッド本体10aを回転させて、ヘッド10すなわちブラシ部10bのロール角θを変化させる。
図2Aおよび図2Bは、歯Tと歯肉Gとの側面に対してブラシ部10bのブラシ面を当接させたときのロール角θの一例を示す概念図である。ここで、歯磨き時の電動歯ブラシ1は、ヘッド10の長手方向に沿ったブラシ部10bの長手方向が、歯Tの歯列方向とおおよそ平行となるような姿勢に維持されるものとする。
図2Aは、ロール角θが90°である場合の図である。この場合、ブラシ部10bのブラシ面は、歯肉Gに対して歯Tが生えている方向、具体的にはおおよそ歯軸に沿う方向に対して垂直に、歯Tの側面に当接する。
図2Bは、ロール角θが60°である場合の図である。この場合、ブラシ部10bのブラシ面は、歯頚部や歯周ポケットにおおよそ向かう方向で、歯T及び歯肉Gに当接する。
ヘッド10の第二の動作は、磨き対象となる歯Tに対してブラシ部10bを押し付ける動作である。具体的には、駆動部21は、歯Tの表面または歯肉Gに向かってヘッド本体10aを移動させて、歯Tの表面または歯肉Gに対して加える圧力を変化させる。以下、歯Tの表面または歯肉Gに対して加える圧力を押し付け力という。
図3は、歯Tの側面に対してブラシ部10bが押し付け力Fを加えるときの押し付け方向を示す概念図である。ここで、歯磨き時には、押し付け力Fの押し付け方向は、おおよそ歯軸に沿う方向に対して垂直となる方向に沿って、ブラシ部10bのブラシ面から歯Tの側面に向かう方向となるものとする。
このような制御部23による制御により、電動歯ブラシ1は、磨き対象となる歯Tの種類または位置の分類ごとにロール角θや押し付け力Fが設定された状態で、歯磨き動作を行うことになる。
次に、磨き対象となる歯Tの種類または位置の分類ごとに設定されるロール角θについて説明する。
図4A~図4Dは、下顎模型における各々の種類の歯Tの頬側に対して電動歯ブラシ1を適用し、ロール角θ[°]に対する推定歯垢除去率[%]を示すグラフである。推定歯垢除去率は、重回帰分析に基づく回帰式から推定された歯垢除去率である。図4A~図4Dでは、歯周ポケットでの推定歯垢除去率と、歯頚部での推定歯垢除去率とが併記されている。また、図4A~図4Dでは、推定歯垢除去率の最適値を取り得るロール角θの範囲が一点鎖線の枠で示されている。
図4Aは、磨き対象となる歯Tの種類および位置が下顎6番頬側である場合の推定歯垢除去率のグラフである。図4A中では、他のグラフとの差異を示すために「6頬側」と略記している。図4Bは、磨き対象となる歯Tの種類および位置が下顎5番頬側である場合の推定歯垢除去率のグラフである。図4B中では、「5頬側」と略記している。図4Cは、磨き対象となる歯Tの種類および位置が下顎3番頬側である場合の推定歯垢除去率のグラフである。図4C中では、「3頬側」と略記している。図4Dは、磨き対象となる歯Tの種類および位置が下顎1番頬側である場合の推定歯垢除去率のグラフである。図4D中では、「1頬側」と略記している。
ここで、図4A~図4Dの各図を比較すると、磨き対象となる歯Tの種類が切歯以外に分類される図4A~図4Cに係る推定歯垢除去率は、それぞれ、ロール角θがおおよそ60°~70°の範囲にあるときに最適値を取り得る。ところが、磨き対象となる歯Tの種類が切歯に分類される図4Dに係る推定歯垢除去率は、歯周ポケットおよび歯頚部の双方についてピークが生じないことから、ロール角θがおおよそ90°のときに最適値を取り得る。このような結果から、磨き対象となる歯Tの種類が切歯か切歯以外かの分類ごとにロール角θの設定を変化させることで、分類ごとに変化させない場合よりも、口腔内の複数の歯T全体として推定歯垢除去率を最適値とすることができると推測される。
図5A~図5Dは、下顎模型における各々の種類の歯Tの舌側に対して電動歯ブラシ1を適用し、ロール角θ[°]に対する推定歯垢除去率[%]を示すグラフである。推定歯垢除去率の取得条件は、図4A~図4Dと同様である。
図5Aは、磨き対象となる歯Tの種類および位置が下顎6番舌側である場合の推定歯垢除去率のグラフである。図5Bは、磨き対象となる歯Tの種類および位置が下顎5番舌側である場合の推定歯垢除去率のグラフである。図5Cは、磨き対象となる歯Tの種類および位置が下顎3番舌側である場合の推定歯垢除去率のグラフである。図5Dは、磨き対象となる歯Tの種類および位置が下顎1番舌側である場合の推定歯垢除去率のグラフである。なお、図5A~図5Dの各図に示す「6舌側」等の略記については、図4A等と同様である。
ここで、図5A~図5Dの各図を比較すると、磨き対象となる歯Tの種類が切歯以外に分類される図5A~図5Cに係る推定歯垢除去率は、それぞれ、ロール角θがおおよそ60°~70°の範囲にあるときに最適値を取り得る。これに対して、磨き対象となる歯Tの種類が切歯に分類される図5Dに係る推定歯垢除去率は、図5A~図5Cに係る推定歯垢除去率と同様に、ロール角θがおおよそ60°~70°の範囲にあるときに最適値を取り得る。つまり、互いに下顎1番の歯Tであっても、舌側に関する図5Dに係る推定歯垢除去率は、頬側に関する図4Dに係る推定歯垢除去率の傾向とは異なる結果となる。このような結果から、磨き対象となる歯Tの位置が頬側か舌側かの分類ごとにロール角θの設定を変化させることで、分類ごとに変化させない場合よりも、口腔内の複数の歯T全体として推定歯垢除去率を最適値とすることができると推測される。
また、下顎に関する図4A~図5Dのすべての結果を参照すると、磨き対象となる歯Tの種類が切歯で、かつ、磨き対象となる位置が頬側であるときにのみ、制御部23は、ロール角θをおおよそ90°に設定してもよい。これに対して、磨き対象となる歯Tの種類が切歯以外で、かつ、磨き対象となる位置が頬側又は舌側であるとき、制御部23は、ロール角θをおおよそ60°~70°の範囲に設定してもよい。同様に、磨き対象となる歯Tの種類が切歯で、かつ、磨き対象となる位置が舌側であるとき、制御部23は、ロール角θをおおよそ60°~70°の範囲に設定してもよい。
次に、磨き対象となる歯Tの種類または位置の分類ごとに設定される押し付け力Fについて説明する。
図6A~図6Dは、下顎模型における各々の種類の歯Tの頬側に対して電動歯ブラシ1を適用し、押し付け力[N]に対する推定歯垢除去率[%]を示すグラフである。推定歯垢除去率は、重回帰分析に基づく回帰式から推定された歯垢除去率である。図6A~図6Dでは、歯周ポケットでの推定歯垢除去率と、歯頚部での推定歯垢除去率とが併記されている。また、図6A~図6Dでは、推定歯垢除去率の最適値を取り得る押し付け力Fの範囲が一点鎖線の枠で示されている。
図6Aは、磨き対象となる歯Tの種類および位置が下顎6番頬側である場合の推定歯垢除去率のグラフである。図6Bは、磨き対象となる歯Tの種類および位置が下顎5番頬側である場合の推定歯垢除去率のグラフである。図6Cは、磨き対象となる歯Tの種類および位置が下顎3番頬側である場合の推定歯垢除去率のグラフである。図6Dは、磨き対象となる歯Tの種類および位置が下顎1番頬側である場合の推定歯垢除去率のグラフである。なお、図6A~図6Dの各図に示す「6頬側」等の略記については、図4A等と同様である。
ここで、図6A~図6Dの各図を比較すると、磨き対象となる歯Tの種類が切歯以外に分類される図6A~図6Cに係る推定歯垢除去率は、それぞれ、押し付け力Fがおおよそ2N~3Nの範囲にあるときに最適値を取り得る。これに対して、磨き対象となる歯Tの種類が切歯に分類される図6Dに係る推定歯垢除去率は、図6A~図6Cに係る推定歯垢除去率と同様に、押し付け力Fがおおよそ2N~3Nの範囲にあるときに最適値を取り得る。つまり、磨き対象となる歯Tの磨き対象となる位置が下顎頬側である場合には、磨き対象となる歯Tの種類が切歯か切歯以外かを問わず、推定歯垢除去率が最適値を取り得る押し付け力Fの傾向に大きな変化はない。
図7A~図7Dは、下顎模型における各々の種類の歯Tの舌側に対して電動歯ブラシ1を適用し、押し付け力[N]に対する推定歯垢除去率[%]を示すグラフである。推定歯垢除去率の取得条件は、図4A~図4Dと同様である。
図7Aは、磨き対象となる歯Tの種類および位置が下顎6番舌側である場合の推定歯垢除去率のグラフである。図7Bは、磨き対象となる歯Tの種類および位置が下顎5番舌側である場合の推定歯垢除去率のグラフである。図7Cは、磨き対象となる歯Tの種類および位置が下顎3番舌側である場合の推定歯垢除去率のグラフである。図7Dは、磨き対象となる歯Tの種類および位置が下顎1番舌側である場合の推定歯垢除去率のグラフである。なお、図7A~図7Dの各図に示す「6舌側」等の略記については、図4A等と同様である。
ここで、図7A~図7Dの各図を比較すると、磨き対象となる歯Tの種類が切歯以外に分類される図7A~図7Cに係る推定歯垢除去率は、それぞれ、押し付け力Fがおおよそ2N~3Nの範囲にあるときに最適値を取り得る。ところが、磨き対象となる歯Tの種類が切歯に分類される図7Dに係る推定歯垢除去率は、歯周ポケットおよび歯頚部の双方についてピークが生じないことから、押し付け力Fがおおよそ3N~4Nの範囲にあるときに最適値を取り得る。このような結果から、磨き対象となる歯Tの種類が切歯か切歯以外かの分類ごとに押し付け力Fの設定を変化させることで、分類ごとに変化させない場合よりも、口腔内の複数の歯T全体として推定歯垢除去率を最適値とすることができると推測される。
また、互いに下顎1番の歯Tであっても、舌側に関する図7Dに係る推定歯垢除去率は、頬側に関する図6Dに係る推定歯垢除去率の傾向とは異なる結果となる。このような結果から、磨き対象となる歯Tの位置が頬側か舌側かの分類ごとに押し付け力Fの設定を変化させることで、分類ごとに変化させない場合よりも、口腔内の複数の歯T全体として推定歯垢除去率を最適値とすることができると推測される。
さらに、下顎に関する図6A~図7Dのすべての結果を参照すると、磨き対象となる歯Tの種類が切歯で、かつ、磨き対象となる位置が舌側であるときにのみ、制御部23は、押し付け力Fをおおよそ3N~4Nの範囲に設定してもよい。これに対して、磨き対象となる歯Tの種類が切歯以外で、かつ、磨き対象となる位置が頬側又は舌側であるとき、制御部23は、押し付け力Fをおおよそ2N~3Nの範囲に設定してもよい。同様に、磨き対象となる歯Tの種類が切歯で、かつ、磨き対象となる位置が頬側であるとき、制御部23は、押し付け力Fをおおよそ2N~3Nの範囲に設定してもよい。
なお、図4A~図7Dは、下顎模型を用いた例示である。これに対して、下顎に関して上記のような分類ごとにロール角θ等の設定を変更することが有効であるということは、磨き対象となる歯Tが上顎にあるか下顎にあるかの分類ごとにロール角θ等の設定を変更することも有効と考えられる。なお、下顎に関して舌側と規定されている説明については、上顎に関しては口蓋側と置き換えて解釈することができる。
また、入力部24が、磨き対象となる歯Tの位置として、磨き対象となる歯Tが左側にあるか右側にあるかを判定することができる場合を想定する。この場合、図4A~図7Dの例示の結果によれば、磨き対象となる歯Tが、使用者がハンドル部20を把持する手と同じ側にあるか反対側にあるかの分類ごとにロール角θ等の設定を変更することも有効と考えられる。
次に、電動歯ブラシ1による効果について説明する。
本実施形態に係る電動歯ブラシ1は、ブラシ部10bを含むヘッド10と、ヘッド10を動作させる駆動部21と、ブラシ部10bによる磨き対象とされる歯Tの種類または位置を特定する入力部24とを備える。また、電動歯ブラシ1は、入力部24が特定した歯Tの種類または位置が、特定の基準に基づく分類のいずれに属するかを判断し、ヘッド10の動作を分類ごとに変化させるように駆動部21を制御する制御部23を備える。
この電動歯ブラシ1によれば、磨き対象とされる歯Tの種類または位置が、特定の基準に基づく分類のいずれに属するかによって、ヘッドの動作を変更する。したがって、磨き対象とされる歯Tの種類または位置によってヘッドの動作を変更させない場合よりも、除去対象の汚れとして代表される歯垢の除去率を、口腔内の複数の歯T全体として最適化させることができる。
また、電動歯ブラシ1によれば、すべての歯Tの一つ一つでヘッドの動作を変更するのではなく、特定の基準に基づく分類ごとにヘッドの動作を変更させるので、簡易的な制御で、高い汚れ除去効果を得るのに有効となり得る。
このように、本実施形態によれば、汚れ除去効果を向上させる電動歯ブラシ1を提供することができる。
また、本実施形態に係る電動歯ブラシ1では、分類は、磨き対象となる歯Tの種類が切歯か切歯以外かを基準として区分されてもよい。
この電動歯ブラシ1によれば、より簡易的な制御で、高い汚れ除去効果を得るのに有効となり得る。
また、本実施形態に係る電動歯ブラシ1では、分類は、歯Tの磨き対象となる位置が頬側か舌側または口蓋側かを、さらに基準として区分されてもよい。
この電動歯ブラシ1によれば、簡易的な制御で、かつ、よりきめ細かい汚れ除去効果を得るのに有効となり得る。
また、本実施形態に係る電動歯ブラシ1は、駆動部21を含むハンドル部20を備えてもよい。分類は、磨き対象となる歯Tが上顎にあるか下顎にあるかを、さらに基準として区分されてもよい。分類は、または、磨き対象となる歯Tが、使用者がハンドル部20を把持する手と同じ側にあるか反対側にあるかを、さらに基準として区分されてもよい。
この電動歯ブラシ1によれば、簡易的な制御で、かつ、さらによりきめ細かい汚れ除去効果を得るのに有効となり得る。
また、本実施形態に係る電動歯ブラシ1では、分類ごとに変化するヘッド10の動作は、ヘッド10の長手方向に沿った軸AXを中心軸とした回転であってもよい。または、ヘッド10が歯Tの表面または歯肉Gに対して押し付け力を与える移動であってもよい。
この電動歯ブラシ1によれば、簡易的な制御で、かつ、高い汚れ除去効果を得るためのヘッドの動作として、特に有効となり得る。また、このようなヘッドの動作は、特に歯周ポケットの清浄性を向上させるのに有効となり得る。
また、本実施形態に係る電動歯ブラシ1では、入力部24は、磨き対象とされる歯Tを検知するセンサー25と、センサー25の出力に基づいて磨き対象とされる歯Tの種類または位置を検出する検出部26とを有してもよい。
この電動歯ブラシ1によれば、制御部23は、歯磨き動作に合わせて、磨き対象とされる歯Tをリアルタイムで特定し、迅速にヘッドの動作に反映させることができるので、使用者に対する操作上または時間的な負担を抑えることができる。
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態に係る電動歯ブラシ2を示す側面図である。電動歯ブラシ2において、第1実施形態に係る電動歯ブラシ1と同一構成のものには同一の符号を付し、説明を省略する。
図8は、第2実施形態に係る電動歯ブラシ2を示す側面図である。電動歯ブラシ2において、第1実施形態に係る電動歯ブラシ1と同一構成のものには同一の符号を付し、説明を省略する。
第1実施形態に係る電動歯ブラシ1では、磨き対象とされる歯Tの種類または位置を特定する入力部24として、磨き対象とされる歯Tを直接的に検知するセンサー25を用いる場合を例示した。これに対して、本実施形態に係る電動歯ブラシ2では、入力部24に代わる入力部として、外部の通信端末装置100から送信された、磨き対象とされる歯Tの種類または位置に関する情報を受信する受信部30を採用してもよい。ここで、通信端末装置100は、いわゆるスマートフォンであってもよい。例えば、使用者は、電動歯ブラシ2による歯磨き動作の前に、これから磨き対象とする歯Tを通信端末装置100の表示画面から入力し、通信端末装置100が当該情報を送信することで、受信部30が受信する。制御部23は、受信部30が受信した情報に基づいて、磨き対象とされる歯Tの種類または位置を特定することができる。
一方、上記のような受信部30は、第1実施形態に係る電動歯ブラシ1に、併せて設置されてもよい。この場合、使用者は、電動歯ブラシ1による歯磨きが終了したのちに、仕上げとしての処置を行いたい歯Tを通信端末装置100の表示画面から入力し、通信端末装置100が当該情報を送信する。そして、受信部30を備える電動歯ブラシ1は、仕上げとしての処置を行いたい歯Tに適したヘッドの動作で歯磨き動作を行うことができる。
なお、上述の実施形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
本開示は、歯の汚れを除去する電動歯ブラシ全般に適用可能である。
1 電動歯ブラシ
10 ヘッド
10b ブラシ部
20 ハンドル部
21 駆動部
23 制御部
24 入力部
25 センサー
26 検出部
30 受信部
AX 軸
T 歯
10 ヘッド
10b ブラシ部
20 ハンドル部
21 駆動部
23 制御部
24 入力部
25 センサー
26 検出部
30 受信部
AX 軸
T 歯
Claims (7)
- ブラシ部を含むヘッドと、
前記ヘッドを動作させる駆動部と、
前記ブラシ部による磨き対象とされる歯の種類または位置を特定する入力部と、
前記入力部が特定した前記歯の種類または位置が、特定の基準に基づく分類のいずれに属するかを判断し、前記ヘッドの動作を前記分類ごとに変化させるように前記駆動部を制御する制御部と、
を備える、電動歯ブラシ。 - 前記分類は、前記磨き対象となる前記歯の種類が切歯か切歯以外かを基準として区分される、請求項1に記載の電動歯ブラシ。
- 前記分類は、前記歯の前記磨き対象となる位置が頬側か舌側または口蓋側かを、さらに基準として区分される、請求項2に記載の電動歯ブラシ。
- 前記駆動部を含むハンドル部を備え、
前記分類は、
前記磨き対象となる前記歯が上顎にあるか下顎にあるか、または、
前記磨き対象となる前記歯が、使用者が前記ハンドル部を把持する手と同じ側にあるか反対側にあるかを、さらに基準として区分される、請求項3に記載の電動歯ブラシ。 - 前記分類ごとに変化する前記ヘッドの動作は、前記ヘッドの長手方向に沿った軸を中心軸とした回転、および、前記ヘッドが前記歯の表面または歯肉に対して押し付け力を与える移動のうちの少なくとも一つである、請求項1~4のいずれか一項に記載の電動歯ブラシ。
- 前記入力部は、
前記磨き対象とされる前記歯を検知するセンサーと、
前記センサーの出力に基づいて前記磨き対象とされる前記歯の種類または位置を検出する検出部と、を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の電動歯ブラシ。 - 前記入力部は、外部の通信端末装置から送信された、前記磨き対象とされる前記歯の種類または位置に関する情報を受信する受信部である、請求項1~5のいずれか一項に記載の電動歯ブラシ。
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JP2021198995A JP2023084741A (ja) | 2021-12-08 | 2021-12-08 | 電動歯ブラシ |
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