JP2023084603A - 斜板式液圧回転機械 - Google Patents

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Abstract

【課題】シリンダ穴のピストンに対する摺動面からの漏れ流量を増やすことなく、オイルのせん断による機械損失を低減し、高効率の斜板式転機械を提供する。【解決手段】複数のシリンダ穴6の複数のピストン8との摺動面には切り欠き23が形成され、この切り欠き23は、それぞれ、シリンダ穴6の摺動面とピストン8間の油膜のうち、厚さ方向の断面形状が吐出行程におけるピストン8の進行方向に逆くさび形状となる油膜部分に臨むように形成することで、切り欠きの各々は、シリンダブロック5の径方向においてシリンダブロック5の回転中心に最も近いシリンダ穴6の摺動面の領域を含む領域に形成されている。また、切り欠き23は、好ましくは、シリンダ穴6の摺動面の0度から180度及び270度から360度の範囲内、より好ましくは0度から170度及び310度から360度の範囲内に形成されている。【選択図】図15

Description

本発明は、例えば油圧ショベル、油圧クレーン、ホイールローダ等の建設機械において、ポンプ或いはモータとして用いられる斜板式液圧回転機械に関する。
この種の斜板式液圧回転機械は、一般に、ケーシングと、ケーシング内に回転可能に支持された回転軸と、ケーシング内に回転軸と一体に回転するように連結され、周方向に離間して軸方向に伸長する複数のシリンダ穴が形成されたシリンダブロックと、シリンダブロックの各シリンダ穴内に往復動可能に挿嵌され、軸方向の一端側がシリンダ穴から突出した複数のピストンと、複数のピストンのそれぞれの突出端部に装着された複数のシューと、シリンダブロックと対向してケーシング内に設けられ、シリンダブロックと対向する面に複数のシューが摺動する摺動面が形成された斜板と、複数のシューと複数のピストンの突出端部との間に位置して複数のシューを斜板の摺動面に当接させるリテーナとを備えて構成されている。
斜板式液圧回転機械がポンプとして機能する場合、シリンダブロックの回転に伴って、シューが斜板上を上ることで、シリンダ穴内でピストンを押し上げ高圧のオイルを吐出し、シューが斜板上を下ることで、タンクからオイルを吸入する。シリンダブロックの回転に応じて各ピストンがシリンダ穴内を往復動することによって安定して高圧のオイルを吐出することができる。吐出するオイルの流量は、シリンダブロックの回転数と斜板の角度によって設定される。斜板の角度は大きくなるほどシリンダ穴内でのピストンの往復動距離が長くなり、これによって流量を増加させることが可能となる。
ピストンはシリンダ穴内を自転することもあり、ピストンは円筒形状、シリンダ穴は円筒穴形状となる。
このような斜板式液圧回転機械において、シリンダ穴とピストンとの焼き付きの発生を回避して、耐久性を向上するため、シリンダ穴の摺動面に溝(切り欠き)を形成したものが特許文献1及び特許文献2に記載されている。
特開平9-209919号公報 特開平3-189375号公報
シリンダ穴及びピストンの互いとの摺動面は、高圧のオイルがシリンダ穴のシュー側端部から漏れることを抑制するシールの役目を果たす。また、シリンダ穴とピストンとの間にはオイルが介在し、このオイルが潤滑機能を果たし、ピストンはシリンダ穴内を往復動することができる。
ところで、ピストンがシリンダ穴の中に押し込まれる際、シリンダ穴とピストンとの間に介在するオイルのせん断により機械損失が生じる。この損失を低減するためには、シリンダ穴とピストンとの隙間を拡大し油膜のせん断領域を減らすことが効果的となる。隙間を拡大する方法としては、特許文献1及び2に記載されているように、シリンダ穴のピストンとの摺動面に溝(切り欠き)を形成することが考えられる。
しかし、特許文献1及び2のいずれ技術も、シリンダ穴とピストンとの焼き付きの発生を防止するため、摺動面のオイルに高い圧力が発生する個所に溝を形成しており、このように溝を形成した場合は、高圧のオイルが溝部を通って流出するため、漏れ流量が増加し、斜板式液圧回転機械としての効率を低下させる問題を生じる。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的は、シリンダ穴のピストンに対する摺動面からの漏れ流量を増やすことなく、オイルのせん断による機械損失を低減し、高効率の斜板式転機械を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明は、ケーシングと、前記ケーシング内に回転可能に収容されたシャフトと、前記ケーシング内に前記シャフトの回転に伴って回転するように設けられた円柱状のシリンダブロックであって、前記シャフトの周方向に離間して配置され各々が前記シャフトの軸方向に伸長する円筒状の穴である複数のシリンダ穴が形成されたシリンダブロックと、前記シリンダブロックの各シリンダ穴内に往復動可能に挿嵌され、軸方向の一端側が前記シリンダ穴から突出した複数のピストンと、前記複数のピストンのそれぞれの突出端部に装着された複数のシューと、前記シャフトの前記軸方向において前記シリンダブロックと対向して前記ケーシング内に設けられ、前記シリンダブロックと対向する面に前記複数のシューが摺動する摺動面が形成された斜板とを備えた斜板式液圧回転機械であって、前記複数のシリンダ穴の各々における前記ピストンとの摺動面には、前記摺動面の前記シュー側の位置から前記シリンダ穴の軸方向内方へと延びる切り欠きが形成されており、前記切り欠きの各々は、前記シリンダブロックの径方向において前記シリンダブロックの回転中心に最も近い前記シリンダ穴の前記摺動面の領域を含む領域に形成される構成とする。
このようにシリンダブロックの径方向においてシリンダブロックの回転中心に最も近いシリンダ穴の摺動面の領域を含む領域に切り欠きを形成することにより、逆くさび形状の油膜が形成されるシリンダ穴の摺動面部分において、ピストンとシリンダ穴間の隙間が拡大され、オイルのせん断による機械損失を低減することができる。また、逆くさび形状の油膜部分は低圧であるため、摺動面からの漏れ流量の増加を抑えることができる。このため摺動面からの漏れ流量を増やすことなく、オイルのせん断による機械損失を低減し、斜板式転機械の機械効率を向上させることができる。
本発明によれば、シリンダ穴のピストンに対する摺動面からの漏れ流量を増やすことなく、オイルのせん断による機械損失を低減し、高効率の斜板式転機械を提供することができる。
本発明の斜板式液圧回転機械の一実施形態を示す断面図である。 油膜を介した摺動部の概略図であって、油膜の厚さ方向の断面形状が移動平板の進行方向にくさび形状となる場合のオイルの状態を示す図である。 油膜を介した摺動部の概略図であって、油膜の厚さ方向の断面形状が移動平板の進行方向に逆くさび形状となる場合のオイルの状態を示す図である。 図1に示す斜板式液圧回転機械におけるシリンダ穴とピストンの動作を説明する断面図である。 一般的な斜板式液圧回転機械のシリンダブロックの斜視図である。 一般的な斜板式液圧回転機械のシリンダブロックを斜板側から見た正面図と、この正面図のA-A線で見た断面図を並べて示す図である。 図5と同様なシリンダブロックの正面図と断面図であって、シリンダブロックの正面図に、遠心力の影響を考慮しない条件1の場合のポンプ吐出行程において、ピストンとシリンダ穴のシュー側の接触位置と、圧力が低い油膜部分(太線)を付加して示す図である。 図6に示したシリンダ穴の摺動面を展開して、摺動面の油膜の圧力分布と、ピストンとシリンダ穴のシュー側接触位置及びピストン端面側接触位置を示す図である。 図5の左側のシリンダブロックの正面図と同様なシリンダブロックの正面図であって、ピストンとシューに遠心力が作用する条件2の場合のポンプ吐出行程において、ピストンとシリンダ穴のシュー側の接触位置と、圧力が低い油膜部分(太線)を付加して示す図である。 図8に示したシリンダ穴の摺動面を展開して、摺動面の油膜の圧力分布と、ピストンとシリンダ穴のシュー側接触位置及びピストン端面側接触位置を示す図である。 図5の左側のシリンダブロックと同様なシリンダブロックの正面図であって、斜板の角度や吐出圧力が小さく、遠心力が支配的となる条件3の場合のポンプ吐出行程において、ピストンとシリンダ穴のシュー側の接触位置と、圧力が低い油膜部分(太線)を付加して示す図である。 図10に示したシリンダ穴の摺動面を展開して、摺動面の油膜の圧力分布と、ピストンとシリンダ穴のシュー側接触位置及びピストン端面側接触位置を示す図である。 図5の左側のシリンダブロックと同様なシリンダブロックの正面図に、図8に示した条件2の場合のピストンとシリンダ穴のシュー側の接触位置と、図8及び図10に示した条件2及び3の場合で常に圧力が低い油膜部分(太線)を付加して示す図である。 図12に示したシリンダ穴の摺動面を展開した図9と同様な図であって、圧力が低い油膜領域における最大で切り欠ける角度範囲と、最大限広く形成した切り欠きを示す図である。 シリンダ穴軸方向における切り欠きの形成範囲を示す図である。 本発明の第1の実施形態における斜板式液圧回転機械のシリンダブロックの斜視図である。 本発明の第1の実施形態における斜板式液圧回転機械のシリンダブロックを斜板側から見た正面図と、この正面図のA-A線で見た断面図を並べて示す図である。 本発明の第2の実施形態における斜板式液圧回転機械のシリンダブロックの斜視図である。 本発明の第2の実施形態における斜板式液圧回転機械のシリンダブロックを斜板側から見た正面図と、この正面図のA-A線で見た断面図を並べて示す図である。 本発明の第3の実施形態における斜板式液圧回転機械のシリンダブロックの斜視図である。 本発明の第3の実施形態における斜板式液圧回転機械のシリンダブロックを斜板側から見た正面図と、この正面図のA-A線で見た断面図を並べて示す図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
以下、本発明に係る斜板式液圧回転機械の実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、各実施形態に共通する斜板式液圧回転機械の構成を、図1、図2、図3に基づいて説明し、その後、各実施形態の特徴構成を各実施形態毎に具体的に説明する。
~斜板式液圧回転機械の構成~
図1は、本発明の斜板式液圧回転機械の一実施形態を示す断面図である。
図1に示す斜板式液圧回転機械1は、フロントケーシング3aとリアケーシング3bとから構成される中空のケーシング2と、ケーシング2内に軸受13a,13bを介して回転可能に収容された回転軸であるシャフト4と、ケーシング2内にシャフト4の回転に伴って一体に回転するようにシャフト4にスプライン15を介して連結された円柱状のシリンダブロック5とを備えている。シリンダブロック5には、複数のシリンダ穴6がシャフト4の周方向に沿って配列されて形成されている。シリンダ穴6の各々は、シャフト4の周方向(シリンダブロック5の回転方向)において互いに離間して配置されており、また、各々がシャフト4の軸方向に伸長するように形成された円筒状の穴である。また、各シリンダ穴6内には、ピストン8が往復動可能に挿嵌されて配置されている。これらの各ピストン8のシリンダ穴6から突出した端部には、シュー9が球面継手SJによって揺動可能に装着されており、このシュー9の基面(ピストン8側とは反対側の面)は、フロントケーシング3aに傾転可能に保持された斜板10の表面に摺動可能に接触している。つまり、斜板10は、シャフト4の軸方向においてシリンダブロック5と対向してフロントケーシング3a内に設けられ、シリンダブロック5と対向する面(摺動面)に各シュー9の基面が摺動する。リテーナ11は、各シュー9と各ピストン8の突出端部との間に位置してシャフト4に挿通される環状平板からなり、その周方向には、各シュー9と各ピストン8を挿通する複数の挿通穴11aが形成されている。シリンダブロック5の中央軸部の斜板10側の端部には、シャフト4が挿嵌されリテーナガイド12がバネ14を介して装着され、リテーナ11は、リテーナガイド12の外周面によりシリンダブロック5から押圧バネ14を介して押圧されることで、シュー9の基面を斜板10の摺動面に押し当て、運転時にシュー9が不規則な動きをすることを抑制している。
一方、リアケーシング3bには、シリンダブロック5が摺動する弁板7が固定されており、この弁板7には、シリンダブロック5の複数のシリンダ穴6に対して交互に連通する図示しない高圧ポートと低圧ポートとが形成されている。
したがって、本例の斜板式液圧回転機械1は、シャフト4を図示しない原動機にて回転駆動した場合には、シャフト4と一体にシリンダブロック5が回転し、これに伴って各シュー9が斜板10上を摺動しながら回転し、これにより各ピストン8がシリンダ穴6内を往復動する。ピストン8の伸長時には、弁板7の低圧ポートから供給された作動油がシリンダ穴6内に吸い込まれ、ピストン8の収縮時には、シリンダ穴6内に吸い込まれた作動油がピストン8にて圧縮されて、圧縮された作動油が弁板7の高圧ポートから吐出されることで、油圧ポンプとして機能する。
また、この斜板式液圧回転機械1は、弁板7の高圧ポートから供給された作動油がシリンダ穴6内に流入し、これによりピストン8がシリンダ穴6内を往復動し、このピストン8の往復動に伴って各シュー9が斜板10上を摺接しながら回転し、これによりシリンダブロック5が回転し、このシリンダブロック5の回転と一体にシャフト4が回転することで、油圧モータとしても機能する。
~発明原理~
図2A及び図2Bは油膜を介した摺動部の概略図であって、図2Aは、油膜の厚さ方向の断面形状が移動平板17の進行方向にくさび形状となる場合、図2Bは、油膜の厚さ方向の断面形状が移動平板17の進行方向に逆くさび形状となる場合のオイルの状態を示す図である。
静止平板16と、これに相対する移動平板17の間にオイル18が介在する場合、油膜の厚さ方向の断面形状が、移動平板17の進行方向に隙間が広い(a)のくさび形状の場合には、移動平板17が移動するとき広い隙間からのオイル18が狭くなっていく隙間に押し込められていくため、油膜圧力分布19は隙間が狭くなる過程で上昇する。これによって静止平板16と移動平板17に乖離力が作用し、固体接触が生じにくくなる。
一方、油膜の厚さ方向の断面形状が、移動平板17の進行方向の隙間が狭い(b)の逆くさび形状の場合、油膜圧力による乖離力は発生しない。また、隙間が急拡大することにより低圧となり、キャビテーション20が生じる場合もある。
油膜の厚さ方向の断面形状が(a)のくさび形状、(b)の逆くさび形状のいずれの場合においても、摺動面に介在するオイルのせん断による機械損失が生じる。この損失を低減するためには、隙間を拡大し油膜のせん断領域を減らすことが効果的となる。斜板式液圧回転機械1において、シリンダ穴6のくさび形状となる領域においては、油膜圧力による乖離力においてピストン8との固体接触を発生しにくくする作用があるが、逆くさび形状となる領域においては、そのような油膜の作用はなく、上述したようにオイルのせん断による機械損失が生じるだけである。この領域の摺動面に切り欠きを形成することで、油膜のせん断領域が減り、油膜のせん断による機械損失を低減することができる。また、逆くさび形状の油膜部分は低圧であるため、摺動面からの漏れ流量の増加も抑えることができる。
図3は、図1に示す斜板式液圧回転機械1におけるシリンダとピストンの動作を説明する断面図である。シリンダブロック5が回転し、シリンダ穴6がポンプとして高圧のオイルを吐出する吐出行程において、シュー9が白矢印の方向に斜板10の摺動面を上ることでシリンダ穴6の中にピストン8が押し込まれる。このとき、ピストン8の上面は高圧のオイルからの反力を受けることになり、シュー9の基面は斜板10の摺動面に押し付けられ、シュー9は、斜板10の摺動面との摺動摩擦によって、黒矢印で示すようにシュー進行方向と逆側、より正確には斜板10の摺動面の傾斜方向下り側の力を受ける。ここで、斜板10の摺動面の傾斜方向とは、斜板10の摺動面の傾斜角度が最大となる方向(図1で見た斜板10の摺動面の傾斜方向)と定義する。このためピストン8は図3に示すように傾き、斜板10の摺動面の傾斜方向下り側(黒矢印が位置する側)では、シュー9側において、ピストン8とシリンダ穴6の摺動面との隙間が狭くなり、斜板10の摺動面の傾斜方向上り側(白矢印が位置する側)では、ピストン端面側において、ピストン8とシリンダ穴6の摺動面との隙間が狭くなる。これによりシリンダ穴6の摺動面には、斜板10の摺動面の傾斜方向下り側(黒矢印側)に、厚さ方向の断面形状がピストン8の進行方向にくさび形状となる高圧の油膜21が形成され、斜板10の摺動面の傾斜方向上り側(白矢印側)に、厚さ方向の断面形状がピストン8の進行方向に逆くさび形状となる低圧の油膜22が形成される。また、斜板10の摺動面の傾斜方向下り側(黒矢印側)では、シュー側において、シリンダ穴6の摺動面は「接触位置Ca」と示される個所でピストン8と接触し、斜板10の摺動面の傾斜方向上り側(白矢印側)では、ピストン端面側で、シリンダ穴6の摺動面は「接触位置Cb」と示される個所でピストン8と接触する。
なお、上記説明では、くさび形状の油膜21は斜板10の摺動面の傾斜方向上り側に形成され、逆くさび形状の油膜22は斜板10の摺動面の傾斜方向下り側に形成されると説明したが、実際の斜板式液圧回転機械1においては、シリンダブロック5は高速で回転するため、ピストン8やシュー9には遠心力が作用し、シュー9がシリンダブロック5の外周寄りに変位する。そのため、後述する図8に示すように、くさび形状の油膜21の領域はシリンダブロック5の外周方向、逆くさび形状の領域22は内周方向に変位する。
一方、斜板式液圧回転機械1は、斜板10が傾転可能に保持された可変容量型であるため、斜板10の摺動面の角度は機械1の動作中に変化する。また、機械1の吐出圧力も動作中に変化する。このため、ピストン8やシュー9に対する遠心力の作用は、斜板10の角度やシリンダ穴6内のオイルの圧力(吐出圧力)に基づくシュー9と斜板10間の摩擦力によって変化し、斜板10の角度が小さい場合や、吐出圧力が小さい場合には摩擦力も小さくなるため、遠心力が支配的となり、後述する図10に示すように、くさび形状の油膜21の領域はシリンダブロック5における最外周側の位置近くまで移動する。
図4は、一般的な斜板式液圧回転機械のシリンダブロックの斜視図であり、図5は、同シリンダブロックを斜板側から見た正面図と、この正面図のA-A線で見た断面図を並べて示す図である。
図4及び図5に示す通り、シリンダ穴6のピストン8との摺動面は円筒形状となっており、切り欠きがないのが一般的である。
図6は、図5と同様なシリンダブロックの正面図と断面図であって、シリンダブロックの正面図に、遠心力の影響を考慮しない条件1の場合のポンプ吐出行程において、ピストン8とシリンダ穴6のシュー側の接触位置Caと、圧力が低い油膜部分(太線)を付加して示す図である。
図6の左側の正面図において、黒塗りの小さな楕円は、上述したポンプ吐出行程におけるピストン8とシリンダ穴6のシュー9側の接触位置Caを示している。
図3において説明した通り、ポンプ吐出行程でピストン8が斜板10の摺動面との摺動摩擦によって斜板10の摺動面の傾斜方向の力を受けるとき、斜板10の摺動面の傾斜方向下り側では、シュー側の接触位置Caでピストン8はシリンダ穴6の摺動面と接触する。ここで、斜板10の摺動面の傾斜方向は一定であり、ピストン8とシュー9に遠心力が作用しないと仮定した場合、シュー側の接触位置Caも一定となり、図6の黒塗りの楕円で示すように、接触位置Caはポンプ吐出行程の全範囲において、図示下側(斜板10の摺動面の傾斜方向下り側)を向く。
ここで、シリンダ穴6の摺動面のシリンダブロック5における最内周側の周方向位置を0度及び360度、最外周側の周方向位置を180度として、シリンダ穴6の摺動面の周方向位置を定義する場合、接触位置Caがポンプ吐出行程の全範囲において斜板10の摺動面の傾斜方向下り側を向くとき、その接触位置Caは下死点での180度から、上死点の0度(360度)までの範囲で変化する。
また、接触位置Caの側に、図3に示した厚さ方向の断面形状がピストン8の進行方向にくさび形状となる高圧の油膜21(図3参照)が形成され、接触位置Caを挟む太線Tで示される部分に、厚さ方向の断面形状がピストン8の進行方向に逆くさび形状となる低圧の油膜22(図3参照)が形成される。
図7は、図6に符号Mで示した位置にあるシリンダ穴6の摺動面を展開して、摺動面の油膜の圧力分布と、ピストン8とシリンダ穴6のシュー側接触位置Ca及びピストン端面側接触位置Cbを示す図である。位置Mは吐出行程のほぼ中間位置である。
ピストン8とシリンダ穴6のピストン端面側の接触位置Cbは、シュー側の接触位置Caから概ね180度ずれた位置となる。また、前述したように、シュー側の接触位置Caの側では、摺動面の油膜が高圧のくさび形状となるのに対し、ピストン8の端面側の接触位置Cbの側では摺動面の油膜が低圧の逆くさび形状となるので、図7に斜線をつけずに示す通り、シリンダ穴6内の圧力が高圧であっても、逆くさび形状の領域では油膜圧力が急激に低下する。
また、ポンプ吐出行程において、シュー9側の接触位置Caは前述したように180度から360度の範囲で変化し、シュー側の接触位置Caから概ね180度ずれたピストン端面側の接触位置Cbは0度から180度の範囲で変化する。
図8は、図5の左側のシリンダブロックと同様なシリンダブロックの正面図であって、ピストンとシューに遠心力が作用する条件2の場合のポンプ吐出行程において、ピストン8とシリンダ穴6のシュー側の接触位置Caと、圧力が低い油膜部分(太線)を付加して示す図である。図9は、図8に符号Mで示した位置にあるシリンダ穴6の摺動面を展開して、摺動面の油膜の圧力分布と、ピストン8とシリンダ穴6のシュー側接触位置Ca及びピストン端面側接触位置Cbを示す図である。
図6では遠心力の作用がない場合を想定したが、実際には接触位置Caはピストン8とシュー9に作用する遠心力によりシリンダブロック5の外周方向へ移動する。また、その遠心力の作用は、斜板10の角度やシリンダ穴6内のオイルの圧力(吐出圧力)に基づいて発生するシュー9と斜板10間の摩擦力によって変化する。このため特に斜板の角度が小さい場合や吐出圧力が小さい場合には、シュー9と斜板10間の摩擦力も小さいため、遠心力の影響が大きくなる。接触位置Caの移動に伴って図8に太線Tで示す油膜圧力の低い領域(逆くさび形状の油膜部分)も移動する。
また、図9に示すように、ポンプ吐出行程において、シュー9側の接触位置Caは180度から360度よりも小さい範囲で変化し、ピストン8の端面側の接触位置Cbも0度から180度よりも小さい範囲で変化する。
より詳しくは、ピストン8やシュー9に遠心力やシュー9と斜板10間の摩擦力によって、高圧側におけるシュー側の接触位置Caの移動範囲は、下死点において180度、上死点において約300度付近となり、接触位置Caはこの180度から300度付近の範囲で変化する。
シュー9側の接触位置Caの移動範囲の変化に伴って、ピストン8の端面側の接触位置Cbも、シュー側の接触位置Caから概ね180度ずれた角度範囲で変化し、シュー側で固体接触が生じない、逆くさび形状の低圧の油膜が形成される領域は、シュー側の接触位置Caの移動範囲を除いた0度から180度及び300度から360度の範囲となる。
図10は、図5の左側のシリンダブロックと同様なシリンダブロックの正面図であって、斜板の角度や吐出圧力が小さく、遠心力が支配的となる条件3の場合のポンプ吐出行程において、ピストン8とシリンダ穴6のシュー側の接触位置Caと、圧力が低い油膜部分(太線)を付加して示す図である。図11は、図10に符号Mで示した位置にあるシリンダ穴6の摺動面を展開して、摺動面の油膜の圧力分布と、ピストン8とシリンダ穴のシュー側接触位置Ca及びピストン端面側接触位置Cbを示す図である。
斜板10の角度や吐出圧力が小さく、遠心力が支配的となる場合は、ピストン8とシリンダ穴6のシュー9側の接触位置Caはシリンダブロック5における最外周位置近くまで移動し、接触位置Caは180度付近に常に位置することになる。また、ポンプ吐出行程において、シュー9側の接触位置Caは180度付近からほとんど変化せず、ピストン端面側の接触位置Cbも0度(360度)付近からほとんど変化しない。
図12は、図5の左側のシリンダブロックと同様なシリンダブロックの正面図に、図8に示した条件2の場合のピストン8とシリンダ穴6のシュー側の接触位置Caと、図8及び図10に示した条件2及び3の場合で常に圧力が低い油膜部分(太線)を付加して示す図である。図13は、図12に符号Mで示した位置にあるシリンダ穴6の摺動面を展開した図9と同様な図であって、圧力が低い油膜領域における最大で切り欠ける角度範囲と、最大限広く形成した切り欠きを示す図である。
図8の条件2の場合、前述したように、ポンプ吐出行程での高圧側におけるシュー側の接触位置Caは180度から300度付近の範囲で変化し、シュー側で固体接触が生じない、逆くさび形状の低圧の油膜が形成される領域は、シュー側の接触位置Caの移動範囲を除いた0度から180度及び300度から360度の範囲となる。よって、この範囲に切り欠きを形成すれば、漏れ流量を増加させることなく、機械損失を低減することが可能となる。
ここで、ピストン8とシリンダ穴6間の半径差(隙間)はミクロンオーダーと小さく、接触位置Caの前後10度程度の範囲は油膜の圧力が高い領域となる。このためシュー側の接触位置Caの移動範囲を除いた逆くさび形状の低圧の油膜が形成される領域で切り欠ける範囲は、好ましくは、その10度を考慮した0度から170度、310度から360度の範囲となる。
図10の条件3の場合は、前述したように、ポンプ吐出行程におけるシュー9側の接触位置Caは180度付近からほとんど変化しない。このため、シュー側の接触位置Caを除いた切り欠ける範囲は、好ましくは、上記10度を考慮した0度から170度、190度から360度の範囲となる。
このため条件2と条件3で重なる、常に低圧で切り欠ける範囲は、0度から170度、310度から360度の範囲となる。
また、条件2の場合の接触位置Caの移動範囲における上死点300度の位置は、更に、シュー9と斜板10間の摩擦力や遠心力の影響によって前後する。例えば、シュー9と斜板10間の摩擦力が大きい場合、上死点付近における接触位置Caの位置はシリンダブロック5の回転方向(シュー9の進行方向)と逆側である270度付近となり得る。
一方、上述した油膜の圧力が高い領域となる接触位置Caの前後10度程度の範囲についても、ピストン8とシリンダ穴6間の半径差やピストン8とシリンダ穴6の接触面の硬さによって油膜が高圧となる範囲が上記10度よりも小さくなる場合や大きくなる場合もあり得る。
このようなことから機種によっては、0度から180度及び270度から360度の範囲が最大で切り欠ける範囲となる。
本発明は、以上のような知見に基づいてなされたものであり、複数のシリンダ穴6と複数のピストン8との摺動面のそれぞれに、摺動面のシュー側の位置からシリンダ穴6の軸方向内方へと延びる切り欠きを形成する場合に、その切り欠きを、それぞれ、シリンダ穴6の摺動面とピストン8間の油膜のうち、厚さ方向の断面形状が吐出行程におけるピストン8の進行方向に逆くさび形状となる油膜部分に臨むように形成する。
換言すれば、切り欠きの各々は、シリンダブロック5の径方向においてシリンダブロック5の回転中心に最も近いシリンダ穴6の摺動面の領域を含む領域に形成されている。
このように切り欠きを形成することにより逆くさび形状の油膜が形成されるシリンダ穴6の摺動面部分において、ピストン8とシリンダ穴6間の隙間が拡大され、オイルのせん断による機械損失を低減することができる。また、逆くさび形状の油膜部分は低圧であるため、摺動面からの漏れ流量の増加を抑えることができる。このため摺動面からの漏れ流量を増やすことなく、オイルのせん断による機械損失を低減し、斜板式転機械の機械効率を向上することができる。
また、本発明は、その切り欠きを、好ましくは0度から180度及び270度から360度の範囲、より好ましくは、0度から170度及び310度から360度の範囲に形成する。
図13に、一例として、圧力が低い逆くさび領域の油膜部分に臨むように0度から170度及び310度から360度の範囲に形成した切り欠きを点線で示している。このように広い切り欠きを形成することで、機械損失を低減する効果が最大となる。
図14は、シリンダ軸方向における切り欠き(例えば後述する切り欠き23)の形成範囲を示す図である。ピストン8がシリンダ穴6から最も抜け出る下死点において、切り欠きがピストン8の端面側のシリンダ室に開口すると、切り欠きを通してシリンダ室内の高圧のオイルが漏れ出すことがあり、漏れ流量が増大する。よって、切り欠きのシリンダ軸方向における形成範囲は、シリンダ穴6のシュー側の端部から、ピストン8がシリンダ穴6から最も抜け出た位置にあるとき(すなわちピストン8が下死点に位置するとき)のピストン8の端面までとする必要がある。
本発明は、上述したように、切り欠き23は、シリンダ穴6の摺動面とピストン8間の油膜の厚さ方向の断面形状が、ピストン8の進行方向に逆くさび形状となる油膜部分に臨むように形成されるものであり、このように切り欠き23を形成することにより、切り欠き23のシリンダ軸方向の形成範囲は、図14に示した範囲となり、ピストン8の端面側のシリンダ室内からの高圧のオイルの漏れ流量も増大させることなく、機械損失を低減することが可能となる。
以下に、本発明の好ましい実施形態について図面を用いて説明する。
~第1の実施形態~
図15は、本発明の第1の実施形態における斜板式液圧回転機械のシリンダブロック5の斜視図であり、図16は、シリンダブロック5を斜板側から見た正面図と、この正面図のA-A線で見た断面図を並べて示す図である。
本実施形態において、シリンダブロック5には、その回転方向(シャフト4の周方向)に沿って配列されかつ各々が軸方向に伸長する複数(9個)のシリンダ穴6が設けられている。複数のシリンダ穴6と複数のピストン8との摺動面には、それぞれ、摺動面のシュー側の位置からシリンダ穴6の軸方向内方へと延びる切り欠き23が形成され、この切り欠き23は、それぞれ、シリンダ穴6の摺動面とピストン8間に形成される油膜のうち、厚さ方向の断面形状が吐出行程におけるピストン8の進行方向に逆くさび形状となる油膜部分に臨むように形成されている。
また、前述したように、シリンダ穴6の摺動面のシリンダブロック5における最内周側の周方向位置を0度及び360度、最外周側の周方向位置を180度として、シリンダ穴6の摺動面の周方向位置を定義する場合、切り欠き23は、シリンダ穴6の摺動面の0度から180度及び270度から360度の範囲内、好ましくは0度から170度及び310度から360度の範囲内に形成されている。
また、切り欠き23は、それぞれ、シリンダ穴6の軸方向において、シリンダ穴6のシュー側の端部から、ピストン8がシリンダ穴6から最も抜け出た位置にあるときのピストン8の端面までの長さ範囲に形成されている。
また、切り欠き23は、シリンダ穴6の摺動面のシリンダブロック5における最内周側の周方向位置を含む領域に、周方向の幅の中心がシリンダ穴6の摺動面のシリンダブロック5における最内周側に位置するように、幅方向に左右対称に形成されている。換言すれば、切り欠き23は、シリンダブロック5の径方向においてシリンダブロック5の回転中心に最も近いシリンダ穴6の摺動面の領域を含む領域に形成されている。
更に、切り欠き23は、それぞれ、シリンダ穴6の軸方向においてシリンダブロック5の端面で開口し、かつシリンダ穴6の軸方向における幅と深さが一定で、底面が円筒面の一部をなす形状に形成されている。
本実施形態によれば以下の効果が得られる。
1.油膜圧力が低い油膜が逆くさび形状となる領域であって、シリンダ穴6の摺動面の0度から180度及び270度から360度の範囲内、好ましくは0度から170度及び310度から360度の範囲内に切り欠き23を形成することで、切り欠き23を、シリンダ穴6の摺動面のシリンダブロック5における最内周側の周方向位置(シリンダブロック5の回転中心に最も近い摺動領域)を含む領域に形成した。これにより、摺動面からの漏れ流量を増加させることなく、機械損失を低減し、高効率の斜板式液圧回転機械を提供することができる。
2.油膜圧力が低い油膜が逆くさび形状となる領域に切り欠き23を形成し、切り欠き23のシリンダ穴6の軸方向の形成範囲を、シリンダ穴6のシュー側の端部から、ピストン8がシリンダ穴6から最も抜け出た位置にあるときのピストン8の端面までの長さ範囲としたため、ピストン8の端面側のシリンダ室内からの高圧のオイルの漏れ流量を増加させることなく、機械損失を低減することができる。
3.切り欠き23を、シリンダ穴6の摺動面のシリンダブロック5における最内周側の周方向位置(シリンダブロック5の回転中心に最も近い摺動領域)を含む領域に形成したので、中立位置を挟んで斜板10を両方向に傾転させ、圧油の吐出方向を変える両傾転型の斜板式液圧回転機械にも本発明を適用することが可能となる。
4.切り欠き23を、周方向の幅の中心がシリンダ穴6の摺動面のシリンダブロック5における最内周側に位置するように、幅方向に左右対称に形成したので、機種が変わっても本発明の適用が容易となり、汎用性が向上する。
5.切り欠き23を、シリンダブロック5の端面で開口させることで、圧力が低い逆くさび形状の油膜部分が外部に開放されるため、オイルのせん断による損失を効果的に低減することができる。
6.切り欠き23を、シリンダブロック5の端面で開口させた上で、シリンダ穴6の摺動面の周方向の幅が一定で、底面が円筒面の一部をなす形状にすることで、円筒形の工具を用いてシリンダ穴6の内面を切削し、切り欠き23を形成する加工も容易となる。
~第2の実施形態~
図17は、本発明の第2の実施形態における斜板式液圧回転機械のシリンダブロック5の斜視図であり、図18は、シリンダブロック5を斜板側から見た正面図と、この正面図のA-A線で見た断面図を並べて示す図である。
図15及び図16に示した第1の実施形態では、切り欠き23はシリンダ穴6のシュー側端部に開口する形状としたが、本実施形態は、切り欠き23をシリンダ穴6のシュー側端部に開口させず、端部に摺動面を残したものである。その他の構成は、第1の実施形態と同じである。
本実施形態によれば、切り欠きによりオイルの剪断抵抗を減らしつつ、逆くさび形状の低圧の油膜が位置する領域からの漏れ流量の増加を確実に防止し、機械損失を低減することができる。
~第3の実施形態~
図19は、本発明の第3の実施形態における斜板式液圧回転機械のシリンダブロックの斜視図であり、図20は、シリンダブロック5を斜板側から見た正面図と、この正面図のA-A線で見た断面図を並べて示す図である。
本実施形態において、シリンダ穴6の摺動面に形成される切り欠き23は、それぞれ、シリンダ穴6の軸方向における幅と深さがシリンダ穴6の奥に行くにしたがって小さくなり、底面が円錐面の一部をなす形状に形成されている。その他の構成は、第1の実施形態と同じである。
シリンダ穴6の摺動面とピストン8との間に形成される逆くさび形状の油膜の領域はシリンダ穴6の奥に行くにしたがって幅が狭くなるが、本実施形態の切り欠き23は、その逆くさび形状の油膜と同様にシリンダ穴6の奥に行くにしたがって幅が狭くなる。このため切り欠き23を逆くさび形状の油膜の領域内に収めやすくなり、ピストン8の端面側のシリンダ室内からの高圧のオイルの漏れ流量の増大をより確実に防止することができる。また、円筒の工具を傾けて加工することで容易にシリンダブロック5に切り欠き23を形成する加工を行うことができる。
1 斜板式液圧回転機械
2 ケーシング
3a フロントケーシング
3b リアケーシング
4 シャフト(回転軸)
5 シリンダブロック
6 シリンダ穴
7 弁板
8 ピストン
9 シュー
10 斜板
11 リテーナ
12 リテーナガイド
13a,13b 軸受
14 押圧バネ
15 スプライン
16 静止平板
17 移動平板
18 オイル
19 油膜圧力分布
20 キャビテーション
21 くさび形状の油膜
22 逆くさび形状の油膜
23 切り欠き
Ca シュー側の接触位置
Cb ピストン端面側の接触位置

Claims (7)

  1. ケーシングと、前記ケーシング内に回転可能に収容されたシャフトと、前記ケーシング内に前記シャフトの回転に伴って回転するように設けられた円柱状のシリンダブロックであって、前記シャフトの周方向に沿って互いに離間して配置され各々が前記シャフトの軸方向に伸長する円筒状の穴である複数のシリンダ穴が形成されたシリンダブロックと、前記シリンダブロックの各シリンダ穴内に往復動可能に挿嵌され、軸方向の一端側が前記シリンダ穴から突出した複数のピストンと、前記複数のピストンのそれぞれの突出端部に装着された複数のシューと、前記シャフトの前記軸方向において前記シリンダブロックと対向して前記ケーシング内に設けられ、前記シリンダブロックと対向する面に前記複数のシューが摺動する摺動面が形成された斜板とを備えた斜板式液圧回転機械であって、
    前記複数のシリンダ穴の各々における前記ピストンとの摺動面には、前記摺動面の前記シュー側の位置から前記シリンダ穴の軸方向内方へと延びる切り欠きが形成されており、
    前記切り欠きの各々は、前記シリンダブロックの径方向において前記シリンダブロックの回転中心に最も近い前記シリンダ穴の前記摺動面の領域を含む領域に形成されていることを特徴とする斜板式液圧回転機械。
  2. 請求項1に記載の斜板式液圧回転機械において、
    前記シリンダ穴の摺動面の前記シリンダブロックにおける最内周側の周方向位置を0度及び360度、最外周側の周方向位置を180度として前記シリンダ穴の摺動面の周方向位置を定義する場合、前記切り欠きは、それぞれ、前記シリンダ穴の摺動面の0度から180度及び270度から360度の範囲内に形成されていることを特徴とする斜板式液圧回転機械。
  3. 請求項1に記載の斜板式液圧回転機械において、
    前記切り欠きは、それぞれ、周方向の幅の中心が前記シリンダ穴の摺動面の前記シリンダブロックにおける最内周側に位置するように、幅方向に左右対称に形成されていることを特徴とする斜板式液圧回転機械。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の斜板式液圧回転機械において、
    前記切り欠きは、それぞれ、前記シリンダ穴の軸方向において、前記シリンダ穴のシュー側の端部から、前記ピストンが前記シリンダ穴から最も抜け出た位置にあるときの前記ピストンの端面までの長さ範囲に形成されていることを特徴とする斜板式液圧回転機械。
  5. 請求項1に記載の斜板式液圧回転機械において、
    前記切り欠きは、それぞれ、前記シリンダ穴の軸方向において前記シリンダブロックの端面で開口するように形成されていることを特徴とする斜板式液圧回転機械。
  6. 請求項5に記載の斜板式液圧回転機械において、
    前記切り欠きは、それぞれ、前記シリンダ穴の軸方向における幅と深さが一定で、かつ底面が円筒面の一部をなす形状に形成されていることを特徴とする斜板式液圧回転機械。
  7. 請求項5に記載の斜板式液圧回転機械において、
    前記切り欠きは、それぞれ、前記シリンダ穴の軸方向における幅と深さが、前記シリンダ穴の奥に行くにしたがって小さくなり、かつ底面が円錐面の一部をなす形状に形成されていることを特徴とする斜板式液圧回転機械。
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