JP2023083963A - 印刷濃淡検査装置および加水制御方法 - Google Patents

印刷濃淡検査装置および加水制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フレキソ印刷機において水性フレキソインキ濃度を加水制御により調整する場合にインキの濃淡調整を自動的に行って印刷濃淡品質を一定に保つことを可能とし、インキ濃度を薄くする方向にのみ加水制御を確実に実施することを可能とする印刷検査装置での印刷濃淡検査装置を提供する。【解決手段】フレキソ印刷機の制御対象となる水性フレキソインキの各インキ色毎に段ボールシートに対して領域指定された濃淡監視ポイントから取得された監視ポイント色情報と各インキ色毎に予め登録された基準色情報とを比較し、各インキ色毎に濃いか淡いかを自動的に判定し、インキ色が濃いと判定したインキ色を薄くするための加水制御信号を生成する印刷濃淡制御手段30を具備する。【選択図】 図4

Description

本発明は、印刷ラインに連続的に供給される印刷媒体に水性印刷インキを使用してカラー印刷を行う印刷機による印刷結果を検査する印刷検査装置に係り、特にフレキソ印刷機による段ボール印刷に好適な印刷濃淡検査装置および加水制御方法に関する。
印刷機においては、たとえば特許文献1に示されているように、検査用カメラで撮像された印刷紙の画像データを濃度制御装置と品質検査装置とでそれぞれ使用するとともに、検査用カメラを用いて印刷物の濃度を測定した結果に応じて自動的に濃度制御を行う方法が知られている。また、印刷機のインキ供給量を調整する際にインキ供給部分の部品を調整してインキ量を手動で調整する方法が知られている。
一方、フレキソ印刷機による段ボール印刷に際して、水性フレキソインキを使用する方法が多いので主流になりつつある。段ボール印刷に際しては、大量の枚数を印刷する場合には印刷中のインキの濃淡管理が重要であるが、従来は、印刷機のオペレータが目視で印刷状態を確認し、手動でインキに加水して濃淡管理を行っていたので管理のばらつきが発生し易い。そこで、インキの濃淡管理の自動化を図るために水性フレキソインキに対する加水(希釈)によりインキ濃度(粘度)を自動的に制御しようとする場合、前記したように印刷機のインキ量を直接に調整する方法と比べて、一定量の加水では材質やインキ色により薄くなり過ぎたり、逆に加水量が足りないことが発生するためこれらを考慮した制御方法が必要である。
特開2017-109439号公報
本発明は前記したフレキソ印刷機で使用する水性フレキソインキのインキ濃度の調整を加水により制御する場合の特有の事情に鑑みてなされたもので、加水制御によるインキの濃淡調整を自動的に行って印刷濃淡品質を一定に保つことを可能とし、加水制御を確実に実施することを可能とする印刷検査装置での印刷濃淡検査装置および加水制御方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、フレキソ印刷機により水性フレキソインキを使用して印刷した段ボールシートの印刷状態を検査する印刷検査装置での印刷濃淡検査装置であって、段ボールシートの印刷状態をカラー撮像する撮像手段と、前記撮像手段により得られた画像に対して検査領域を指定可能な領域指定手段と、前記領域指定手段により指定された検査領域における前記段ボールシートの色情報のRGBレベルから印刷色情報を取得する印刷色情報取得手段と、を具備し、さらに、前記領域指定手段により前記フレキソ印刷機の制御対象となる水性フレキソインキの各々のインキに対応して前記段ボールシートに対して指定された印刷濃淡監視領域である濃淡監視ポイントから前記印刷色情報取得手段により取得された監視ポイント色情報および前記濃淡監視ポイント毎に対応して予め登録された所望の印刷基準色情報の両者を比較し、前記各インキ色毎に濃いか淡いかを自動的に判定し、インキ色が濃いと判定したインキ色を薄くするための加水制御信号を生成する印刷濃淡制御手段を具備することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記印刷濃淡制御手段は、前記印刷濃淡監視ポイントから前記印刷色情報取得手段により取得された色情報に基づいてL*a*b*色空間表現に変換された監視ポイント検出色と前記濃淡監視ポイントについて各インキ色毎にL*a*b*色空間表現で登録された監視ポイント基準色との色差デルタEを前記水性フレキソインキの各インキ色毎に算出処理する色差算出手段と、前記段ボールシートのライナー部の非印刷領域の色情報をL*a*b*色空間表現による参照用ライナー色として入手し、L*a*b*色空間における前記監視ポイント検出色と監視ポイント基準色と前記参照用ライナー色について同一色空間内における空間位置の相対関係から前記各インキ色毎に濃淡関係を検出する濃淡関係検出手段と、前記濃淡関係検出手段の検出結果が濃いと判定した期間のみ前記加水制御信号による加水制御を可能とする加水可否制御手段を具備することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記色差算出手段により各インキ色毎に算出された色差デルタEを別途設定された閾値と比較し、色差デルタEが前記閾値以上であると判定した場合に前記各インキ色毎に加水制御信号を生成する制御信号生成手段と、
前記段ボールシートのライナー色に応じて前記制御信号生成手段の制御信号生成基準を変更する制御信号生成基準制御手段を具備することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記色差算出手段により各インキ色毎に算出された色差デルタEを別途設定された閾値と比較し、色差デルタEが前記閾値以上であると判定した場合に前記各インキ色毎に加水制御信号を生成する制御信号生成手段と、
前記濃淡関係検出手段の検出結果が濃いか淡いかによって前記制御信号生成手段の制御信号生成基準を変更する制御信号生成基準制御手段を具備することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記色差算出手段による算出処理は、前記印刷機による複数回の印刷の各印刷毎に前記色差デルタEの計算を行ってその平均値を算出するものであり、さらに、前記段ボールシートのライナー色に応じて前記平均値算出の計算回数を指定する平均値計算回数指定手段を具備することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記濃淡監視ポイントの少なくとも一端部が前記段ボールシートのライナー部の印刷部分上からはみだしているか否かを判定し、ライナー部の印刷部分上からはみだしていると判定した場合には当該濃淡監視ポイントの全体を前記ライナー部の印刷部分上に移動させるように制御する監視ポイント移動制御手段をさらに具備することを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記濃淡監視ポイントの領域内に前記段ボールシートのライナー部の非印刷部分が存在しているか否かを判定し、ライナー部の非印刷部分が存在していると判定した場合には当該ライナー部の非印刷部分のライナー色のRGB色成分を除去もしくは印刷色のRGB色成分のみを抽出する自動抽出制御手段を具備することを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記濃淡関係検出手段の検出結果が淡いと判定した期間が連続している間に前記色差デルタEが所定値より大きくなるにつれて検査装置表示器の画面に警告表示を行い、その後に前記印刷機側へ給紙停止信号を出力するように制御する警告表示/停止制御手段をさらに具備することを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記印刷機による試し刷り期間において前記制御信号生成手段および警告表示/停止制御手段の出力信号を利用しないように制御する試し刷り期間出力無効化制御手段をさらに具備することを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、フレキソ印刷機により水性フレキソインキを使用して印刷した段ボールシートの印刷状態を検査する印刷検査装置での加水制御方法であって、段ボールシートの印刷状態をカラー撮像する撮像ステップと、前記撮像ステップにより得られた画像に対して指定された検査領域における前記段ボールシートの色情報のRGBレベルから印刷色情報を取得する印刷色情報取得ステップと、前記フレキソ印刷機の制御対象となる水性フレキソインキの各々のインキに対応して前記段ボールシートに対して指定された印刷濃淡監視領域である濃淡監視ポイントから前記印刷色情報取得ステップにより取得された監視ポイント色の情報および前記濃淡監視ポイント毎に対応して所望の印刷基準色として予め登録された前記段ボールシートにインキを塗布した状態におけるインキ色の情報の両者を比較し、前記濃淡監視ポイント毎にインキ色が濃いか淡いかを自動的に判定し、インキ色が濃いと判定したインキ色を薄くするための加水制御信号を生成する印刷濃淡制御ステップを具備することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、フレキソ印刷機により水性フレキソインキを使用して印刷した段ボールシートの印刷状態を検査する際、段ボールシートの濃淡監視ポイントの検出色と所望の印刷基準色との濃淡関係を自動的に判定し、濃淡監視ポイント検出色に対応するインキ色が濃いと判定したインキについて加水制御によりインキ濃度を薄くして前記印刷基準色に近づけるように自動的に制御する。この制御を加水制御による濃淡調整結果が所望通り得られるまで適切に繰り返すことにより、印刷濃淡品質を一定に保つことが可能になる。また、印刷検査装置で使用する撮像手段を印刷品質検査と印刷濃淡制御で共用することによりコスト低減を図ることが可能である。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の作用効果を奏すると共に、請求項1に記載の発明において印刷濃淡制御を行う際に、濃淡監視ポイントの検出色と所望の印刷基準色との2色の色差デルタEを算出して利用するので、人間の視覚に依存する判定・制御と比べて正確に高い精度で印刷濃淡を制御することが可能になる。ここで、前記2色の色差デルタEは正負の符号を有さないが、印刷濃淡関係を検出した結果を参照することにより、水性フレキソインキの濃度が所望値より濃い場合にのみ加水制御を許可することが可能になる。結果として、インキ濃度を薄くする方向にのみ確実に制御することが可能になり、何らかの理由により水性インキ濃度が所望値より薄い場合には加水しないように制御することが可能になる。また、色差値デルタEの算出対象である前記2色の濃淡関係を検出するために段ボールシートのライナー色を参照することにより、印刷濃淡関係を正確に検出することが可能になる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の作用効果を奏すると共に、段ボールシートのライナー色に応じて制御信号生成基準制御手段の制御信号生成基準を自動的に変更することにより、ライナー色に応じて適切で効果的なタイミングで加水制御を開始することが可能になる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の作用効果を奏すると共に、前記濃淡関係検出手段の検出結果が濃いか淡いかによって制御信号生成手段の制御信号生成基準を適切な値に設定する。この際、濃淡関係検出結果が濃いと判定した場合には加水制御を行うための制御信号の生成基準を設定することにより、検査装置オペレータの目視検査による感覚で濃淡異常が分かる状態になる前の早期に適切で効果的なタイミングで加水制御を開始することが可能になる。これに対して、濃淡関係検出結果が淡いと判定した場合には、警告表示を行うための制御信号の生成基準を設定することが可能になる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の作用効果を奏すると共に、段ボールシートのライナー色に応じて平均値計算回数を指定可能な手段を有するので、「設定枚数の平均値」を適切に設定することにより確実に濃淡変化時に加水信号を生成することが可能になる。
請求項6に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の作用効果を奏すると共に、監視ポイント移動制御手段を有するので、段ボールシートの給紙タイミングのズレがある場合、濃淡監視ポイントの少なくとも一端部が段ボールシートのライナー部の印刷部分上からはみだしていると濃淡測定値が大きく変化するという場合の対策が可能になる。この際、濃淡監視ポイントの少なくとも一端部がライナー部の印刷部分上からはみだしているか否かを判定し、ライナー部の印刷部分上からはみだしていると判定した場合には当該濃淡監視ポイントの全体にソフトウェア的に補正をかけてポイント全体をライナー部の印刷部分上に移動させるように制御することが可能になり、濃淡監視ポイントを安定に検出して濃淡検査をすることが可能になる。
請求項7に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の作用効果を奏すると共に、段ボールシートのベタ印刷部分が少ないとか文字などのベタ印刷部分が小さいなどの理由で通常では濃淡監視ポイントを設定できないと濃淡監視ポイントを安定に計測ができない場合の対策が可能になる。この際、濃淡監視ポイントを設定できないほどベタ印刷部分が小さい場合でも、ライナー部のRGB成分を有する個所をソフトウェア的に除外制御し、インキ濃淡部分のみに画像処理を用いることにより,濃淡監視ポイントを安定に検出して濃淡検査をすることが可能になる。
請求項8に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明と同様の作用効果を奏すると共に、警告表示/停止制御手段を有するので、濃淡関係検出手段の検出結果が淡いと判定した期間が連続している間に色差デルタEが所定値より大きくなるにつれて検査装置表示器の画面に警告表示を行い、その後に印刷機側へ給紙停止信号を出力するように制御することが可能になる。したがって、検査装置オペレータによる印刷ラインの管理が楽になり、作業負担が軽減し、検査装置の使い勝手が向上する。
請求項9に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明と同様の作用効果を奏すると共に、通常の印刷検査装置は、生産ライン側で段ボールシートの連続給紙(本生産)を行い、マスター画像を取得した後に全数検査を行うのであるが、試し刷り期間出力無効化制御手段を有するので、濃淡監視機能や加水制御に際しては連続給紙後のインキ濃淡が安定する設定値(設定枚数)までは無効とする(濃淡状態を動かさない)ように制御することにより,生産直後の誤動作をなくすることが可能になる。この設定枚数の濃淡情報はデータとして検査装置の記憶手段に保持されており、これを濃淡基準に登録できることも有益である。
請求項10に記載の発明によれば、フレキソ印刷機により水性フレキソインキを使用して印刷した段ボールシートの印刷状態を検査する際、段ボールシートの濃淡監視ポイントの検出色と所望の印刷基準色との濃淡関係を自動的に判定し、濃淡監視ポイント検出色に対応するインキ色が濃いと判定したインキについて加水制御によりインキ濃度を薄くして所望の印刷基準色に近づけるように自動的に制御する。この制御を加水制御による濃淡調整結果が所望通り得られるまで適切に繰り返すことにより、印刷濃淡品質を一定に保つことが可能になる。
本発明に係る第1の実施形態のシステム構成を概略的に示す図。 図1に示したシステムの動作フローの一例を示す図。 図1中の映像表示装置の表示画面の表示例を示す図。 本発明に係る印刷検査装置の実施例1を概略的に示すブロック図。 図4に示した印刷検査装置の動作例として印刷機の各インキ色毎に指定される濃淡監視ポイントの一例および各インキ色毎に色差算出手段で算出処理された色差デルタEについては濃淡関係検出が必要な理由を説明するために示す図。 図4中の濃淡関係検出手段において監視ポイント検出色と監視ポイント基準色と参照用ライナー色について同じL*a*b*色空間内における明るさ方向の空間位置の相対関係が相異なる二例とこの相対関係から各インキ色毎に濃淡関係を検出する原理を説明するために示す図。 図4中の濃淡関係検出手段において監視ポイント検出色と監視ポイント基準色と参照用ライナー色について同一色空間内における濃淡方向の空間位置の相対関係から各インキ色毎に濃淡関係を検出する原理を説明するために示す図。 図4中の監視ポイント移動制御手段の動作例を説明するために示す図。 図4中の濃淡ポイント自動抽出制御手段の動作例を説明するために示す図。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。この説明に際して、全図にわたり共通する部分には共通する参照符号を付す。
<第1の実施形態>
図1(a)および(b)は、本発明に係る第1の実施形態のシステム構成を概略的に示している。このシステムは、フレキソ印刷機を用いる印刷ラインに段ボールシートを連続的に供給し、水性印刷インキを使用して段ボールシートに印刷を行い、段ボールシートの印刷結果を検査するものである。ここで、1は段ボールシート、10は例えばLED照明ユニット等の白色光光源、21は検査カメラ、20は印刷検査装置の処理・制御部、40は表示装置、50は段ボール生産ラインであり、インキ加水器を含む。
印刷検査装置の処理・制御部20は、マイクロプロセッサなどのCPUを主体に構成されており、入出力部、バスラインを通じて検査カメラ21、段ボール生産ラインの印刷装置等と接続されており、CPUと制御プログラムにより所要の処理・判定・制御・各種情報の送受信等を行うものである。段ボール生産ラインにおける印刷方式の一例として、
印刷を行うためにユニットが3~4ユニット設置されており、そこに印刷色毎に印刷用の版が取付け、この部分にコード番号で管理されているインキを一定量供給し、順次に印刷を行う。
上記処理・制御部20において、本例ではCIE(国際照明委員会)が定める表色系の色空間表現の変換処理を行う。すなわち、検査カメラ21から入力する赤(Red)緑(Green)青(Blue)の組み合わせによる装置依存色のRGB色空間表現を、装置非依存色であるL*a*b*色空間表現を用いた中間ファイルに変換する。この変換は、既知の手段、たとえばソフトウェア、変換テーブル等を用いて行う。
図2は、図1(a)および(b)に示したシステムの動作フローの一例を示している。まず、白色光光源10から印刷ライン上の印刷済み段ボール1の印刷ラインの搬送方向に直交する幅方向に投光させ、その反射光を検査カメラ21で撮像して画像出力信号を記憶する。
ステップS1では、印刷機の複数色のインキに対応して印刷済み段ボールの印刷面の一部分を濃淡監視ポイント(後述する)として指定し、この濃淡監視ポイントに対応する検査カメラ出力データのRGBレベルに基づいて実際の印刷色情報を取得する。
ステップS2では、実際の印刷色情報を印刷機の各インキ毎に別途指定される濃淡基準値情報と比較して濃淡差分を検出し、印刷機の各インキ色毎に濃淡基準値に対する濃淡を判定する。
そして、ステップS3では、濃淡差分が所定の閾値を超えた回数(段ボール検査枚数)が別途指設定される設定枚数以上であるか設定枚数未満であるかを判定する。この判定結果が設定枚数未満である場合には、前記検査の対象となった段ボールより後で生産ラインに流れてくる別の印刷済み段ボールの濃淡監視ポイントに対して前記ステップS1からステップS3までの処理を行う。
このような処理を前記判定結果が設定枚数以上になるまで繰り返す。前記判定結果が設定枚数以上である場合には、その時点で得られている処理データを印刷検査装置のハードディスク等の記録部に記録する(ステップS4)とともに表示装置の表示画面に所望の表示形式で表示させる。
ステップS5では、濃淡基準値よりも濃いと判定したインキ色については、前記濃淡差分が零に近づくように、自動的にインキ加水制御信号を生成して印刷機へ出力する。印刷機は、インキ加水制御信号に基づいて前記インキ加水器521,522,523の動作を制御し、所望のインキに自動的に加水を行ってインキ色を薄くする。
このような処理・判定・制御を、各インキ色が基準値に収束するまで所要回数繰り返すことにより、一定の印刷品質での生産が可能になる。即ち、濃淡監視ポイントの印刷濃淡をリアルタイムに判定し、印刷濃淡が基準値より濃くなった場合はインキ加水器521,522,523を制御してインキを希釈することで印刷濃淡を自動で一定に保つことが可能になる。
上記した実際の印刷色情報と濃淡基準値情報との2色比較に際して、その前段階でRGB色空間表現からL*a*b*色空間表現に変換された情報を用いて各インキ色毎に2色の色差デルタEを算出する。そして、デルタEを別途設定された所望の第1の閾値TH1(たとえば3以下、好ましくは2~1.5の範囲内)と比較し、色差デルタEが閾値TH1以上であると判定した場合に各インキ色毎に加水制御信号を生成する。これにより、人間の視覚に依存する2色の比較判定と比べて正確に高精度に判定することが可能になる。
上記処理において、前記色差デルタEは正負の符号を有さないので、デルタEだけでは印刷濃淡関係は不明であるが、段ボールシート1のライナー部の地色(ライナー色)を参照することにより印刷濃淡関係を正確に検出することが可能になり、この印刷濃淡関係検出結果に基づいてインキ濃度が所望値より濃い場合にのみ加水制御を許可することが可能になる。
また、上記したようにデルタEに基づいて処理を行う場合、映像表示装置40の表示画面の表示形式として、たとえば図3(a)および(b)に示すように、グラフ形式によりデルタEの経時変化を表示したり、検査オペレータが簡単にデルタEを視認可能な横向きバー形式で表示する等、実際の濃淡状態を各インキ色毎にまとめて表示することができる。なお、図3(a)は、代表的に1つのインキ色について濃淡度が所望の閾値より濃い場合にのみ加水制御が許可されてインキが希釈され、印刷濃淡が自動的に一定に保たれる様子の一例を示している。
上述したように本実施形態の印刷検査装置によれば、フレキソ印刷機で使用する水性フレキソインキの濃淡調整を加水により制御する場合に、加水制御によるインキの濃淡調整を自動的に行って印刷濃淡品質を一定に保つことを可能とし、インキ濃度を薄くする方向にのみ加水制御を確実に実施することができる。
また、印刷濃淡制御を行う際に、濃淡監視ポイントの検出色と予め登録された所望の印刷基準色との2色の色差デルタEを算出して利用することにより、人間の視覚に依存する判定・制御と比べて正確に高い精度で印刷濃淡を制御することが可能になる。
また、水性フレキソインキの濃度が所望値より濃い場合にのみ加水制御を許可するので、インキ濃度を薄くする方向にのみ確実に制御することが可能になり、何らかの理由(印刷ライン側の加水動作の不具合等)により水性インキ濃度が所望値より薄い場合には加水しないように制御することが可能になる。
(実施例1)
図4は、第1の実施形態に係る印刷検査装置の実施例1を概略的に示すブロック図である。この印刷検査装置において、20は印刷検査装置の処理・制御部、40は映像表示装置である。撮像手段21は、印刷ラインに連続的に供給されて印刷された段ボールシートの印刷面をカラー撮像するものであり、印刷ライン上の印刷済み段ボールの印刷ライン幅方向をラインセンサーあるいはエリアセンサ等を内蔵した検査カメラが用いられる。
印刷検査装置の処理・制御部20において、領域指定手段22は、前記撮像手段21からの出力信号が半導体メモリ等の記憶手段(図示せず)に一時的に記憶された画像データに対して検査領域を指定するものである。
印刷色情報取得手段23は、前記領域指定手段22により指定された検査領域における段ボールシートの色情報のRGBレベルに基づいて実際の印刷色情報(インキ色情報)を取得するものである。そして、本例ではCIEが定める表色系の色空間表現の変換処理を行う。
印刷濃淡制御手段30は、色差算出手段31、制御信号生成手段32、濃淡関係検出手段33、加水可否制御手段34、平均値計算回数指定手段35、制御信号生成基準制御手段36、警告表示/停止制御手段38、試し刷り期間出力無効化制御手段39等を備えている。
この印刷濃淡制御手段30は、印刷濃淡制御を行う際に、前記領域指定手段22によりフレキソ印刷機の制御対象となる水性フレキソインキの複数色のインキに対応して段ボールシートに対して指定された印刷濃淡監視領域である濃淡監視ポイントから印刷色情報取得手段23により取得された監視ポイント色情報と、各濃淡監視ポイント毎に対応して予め登録された所望の印刷基準色情報とを比較する。そして、各インキ色毎に濃いか淡いかを自動的に判定し、濃いと判定したインキ色を薄くするための加水制御信号を生成するものである。
なお、印刷対象となる段ボールシートの材質やライナー色は、段ボール印刷製品の種類とか納入客先等に応じて異なる場合があり、材質やライナー色が異なる複数の段ボールシートに同じコード番号のインキを塗布しても色目が異なる。そこで、段ボールシートにインキを塗布した状態における実際のインキ色を前記所望の印刷基準色として登録しておくことが望ましい。これにより、段ボール印刷製品の種類とか納入先等毎に所望の印刷基準色に対する濃淡判定を正確に行うことが可能になる。
色差算出手段31は、印刷濃淡監視ポイントから印刷色情報取得手段23により取得された色情報に基づいてL*a*b*色空間表現に変換された監視ポイント検出色と、濃淡監視ポイントについて各インキ色毎にL*a*b*色空間表現で登録された監視ポイント基準色との色差デルタEを水性フレキソインキの各インキ色毎に算出処理するものである。
制御信号生成手段32は、色差算出手段31により各インキ色毎に算出された色差デルタEを別途設定された閾値と比較し、色差デルタEが前記閾値以上であると判定した場合に各インキ色毎に加水制御信号を生成するものである。
濃淡関係検出手段33は、後述する理由により、段ボールシートのライナー部の非印刷領域の色を参照用ライナー色として入手する。この参照用ライナー色は、監視ポイント基準色の情報を登録した時のライナー色でもいいし、現在監視している時のライナー色でもいいし、あるいは印刷機等から受信したライナー色でも構わないが、監視ポイント検出色、監視ポイント基準色の表現に対応してL*a*b*色空間表現を用いる。
この濃淡関係検出手段33は、後で詳述するように、同じL*a*b*色空間内における監視ポイント検出色と監視ポイント基準色と参照用ライナー色について明るさ方向または濃淡方向等の空間位置の相対関係から各インキ色毎に濃淡関係を検出するものである。
加水可否制御手段34は、濃淡関係検出手段33の検出結果が濃いと判定した期間のみ前記加水制御信号による加水制御を可能とするように制御するものである。
平均値計算回数指定手段35は、色差算出手段31による算出処理に際して、印刷機による複数回の印刷の各印刷毎に色差デルタEの計算を行ってその平均値を算出するものである。ここで、段ボールシートの材質やライナー色に応じて、前記平均値算出の計算回数(設定枚数の平均値)、および/または、色差デルタEが所定の閾値より大きいか否かを判定する回数(濃淡異常判定回数)を予め定められた適切な設定値に自動的に指定するように制御することが好ましい。このように設定枚数の平均値や濃淡異常判定回数の設定値を変更することで、確実に濃淡変化時に加水信号を生成することが可能になる。
制御信号生成基準制御手段36は、段ボールシートの材質やライナー色に応じて、および/または、濃淡関係検出手段33の検出結果が濃いか淡いかによって前記制御信号生成手段32の制御信号生成基準を自動的に制御するものである。
ここで、段ボールシートの材質やライナー色に応じて、色差デルタE判定基準を予め定められた適切な設定値に自動的に指定するように制御することにより、ライナー色に応じて適切で効果的なタイミングで加水制御を開始することが可能になる。
なお、段ボールシートの材質やライナー色以外に、印刷インキ色、印刷製品納入客先、印刷仕様のオーダー等に応じて、前記平均値算出の計算回数、濃淡異常判定回数、色差デルタE判定基準の設定値を予め定められた適切な設定値に自動的に指定するように制御するようにしてもよい。
また、制御信号生成基準制御手段36は、濃淡関係検出手段33の検出結果が濃いか淡いかによって前記制御信号生成手段32の制御信号生成基準(色差デルタEの判定基準)を自動的に制御する際、濃淡関係検出結果が濃いと判定した場合には加水制御を可能とするための色差デルタEの判定基準(第1の閾値TH1)を適切な値(たとえば3以下、好ましくは2~1.5の範囲内)に設定する。これにより、検査装置オペレータの目視検査による感覚で濃淡異常が分かる状態になる前の早期に適切で効果的なタイミングで加水制御を開始することが可能になる。
これに対して、たとえば制御開始の初期に濃淡関係検出結果が淡いと判定した場合には、たとえばインキ濃度を濃くするように促す警告表示を行うための色差デルタEの判定基準を設定することが可能になる。
次に、図4に示した印刷検査装置の動作例を図5乃至図9を参照して説明する
図5は、印刷機の各インキ色毎に指定される濃淡監視ポイントの一例および各インキ色毎に色差算出手段31で算出処理された色差デルタEを使用して加水制御を行うために濃淡関係検出が必要な理由を説明するために示している。
ここでは、段ボールシートのライナー部の印刷領域におけるたとえば英文字Fの領域内の一部が濃淡監視ポイントとして指定されている場合を想定している。監視ポイント検出色と監視ポイント基準色との2色から算出処理された色差デルタEは正負の符号を有さないので印刷濃淡関係は不明である。
そこで、前述したように段ボールシートのライナー部の非印刷領域の色情報をL*a*b*色空間表現による参照用ライナー色として入手し、濃淡関係検出手段33において監視ポイント検出色と監視ポイント基準色と参照用ライナー色について同一色空間内における明るさ方向、濃淡方向等の空間位置の相対関係から各インキ色毎に濃淡関係を正確に検出するように自動的に処理している。
図6(a)および(b)は、前記濃淡関係検出手段33において監視ポイント検出色と監視ポイント基準色と参照用ライナー色について同じL*a*b*色空間内における明るさ方向の空間位置の相対関係が相異なる二例と、この相対関係から各インキ色毎に濃淡関係を検出する原理を説明するために示している。
ここでは、基準として登録したインキ色(監視ポイント基準色)の色空間位置をA 、現在監視しているインキ色(監視ポイント検出色)の色空間位置をB 、参照用ライナー色の色空間位置をC、それぞれの L方向成分を、LA、LB、LCで示している。
本願発明者の知見によれば、同じインキ色を茶ライナーと白ライナーに施した場合、
印刷濃淡や色目は異なる。例えば茶ライナーと白ライナーに同じインキコード番号の
赤インキを印刷した場合、白ライナーに施した方が明るい赤に見え濃淡も薄く感じる。この様にシート材質が異なることで、実際の印刷の見え方や濃淡も異なるため、シートの材質毎で加水制御の処理方法を変えることが有効である。
図6中(a)に示すように、基準色のL方向成分LA<ライナー色のL方向成分LCの関係である場合には、監視ポイント検出色のL方向成分LBがLAより小さい(監視ポイント検出色がライナー色に近くない)と監視ポイント検出色の方が監視ポイント基準色よりも濃いと判定処理する。
これに対して、図6中(b)に示すように、LC<LAの関係である場合には、LBはLAより小さい(監視ポイント検出色がライナー色に近い)と、監視ポイント検出色の方が監視ポイント基準色よりも薄いと判定処理する。
図7は、前記濃淡関係検出手段33において監視ポイント検出色と監視ポイント基準色と参照用ライナー色について同一色空間内における濃淡方向の空間位置の相対関係から各インキ色毎に濃淡関係を検出する原理を説明するために示している。ここでは、基準として登録したインキ色(監視ポイント基準色)の色空間位置をA、現在監視しているインキ色(監視ポイント検出色)の色空間位置をB、参照用ライナー色の色空間位置をCで示している。
図7において、AB間の距離がデルタEに相当し、このデルタEは、濃淡方向成分ADと、濃淡方向以外の成分DBに分けられる。このデルタEを分析することにより監視ポイント基準色が基準のインキ色からどの程度ずれているか数値で分かる。そして、BがA と比べてCに近づく位置にあると、監視ポイント検出色の方が監視ポイント基準色よりも薄いと判定処理する。これとは逆に、BがAと比べてCから離れる位置にあると、監視ポイント検出色の方が監視ポイント基準色よりも濃いと判定処理する。図7に示した判定処理は、図6(a)および(b)に示した判定処理と比べて、ライナー色に応じて判定処理の内容を自動的に変更する必要がない。
一方、濃淡監視ポイントの指定に際して、図8に示すように、段ボールシートの給紙タイミングのズレがある場合や、監視ポイント領域内でベタ印刷部分が小さい場合の対策として、それぞれ図4中に示すように監視ポイント移動制御手段25、濃淡ポイント自動抽出制御手段26を備え、濃淡ポイントの自動抽出処理を行うことが望ましい。
上記監視ポイント移動制御手段25は、濃淡監視ポイントの少なくとも一端部が段ボールシートのライナー部の印刷部分上からはみだしているか否かを判定し、ライナー部の印刷部分上からはみだしていると判定した場合には当該濃淡監視ポイントの全体をライナー部の印刷部分上に移動させるように制御するものである。
一方、濃淡ポイント自動抽出制御手段26は、濃淡監視ポイントの領域内に段ボールシートのライナー部の非印刷部分が存在しているか否かを判定し、ライナー部の非印刷部分が存在していると判定した場合には当該ライナー部の非印刷部分のライナー色のRGB成分を有する個所を除去して黒色成分を抽出処理する、あるいは、印刷色のRGB色成分のみを抽出するように制御するものである。
図9は、前記濃淡ポイント自動抽出制御手段26の一例として、RGB色成分を除去して黒色成分を抽出処理するように制御するライナー部色成分除去制御手段の制御フローの一例を説明するために示している。
まず、撮像画像データから抽出した濃淡ポイント画像の領域内に段ボールシートのライナー部の非印刷部分が存在しているか否かを判定する。ライナー部の非印刷部分が存在していると判定した場合には、濃淡ポイント画像内外でデータを2値化し、収縮フィルタ処理を行う。そして、収縮フィルタ処理後の2値で積算データを取得し、この取得データを積算面積で割り、濃淡データを算出する。このような処理によって、印刷濃淡部分のみ抽出して正確な濃淡データを求めることが可能になる。ここで、積算データの取得、取得データの割り算の数値例を示す。
積算データの取得 取得データの割り算
・監視画サイズ:64pix ・濃淡R=2560÷40=64
・積算データR:2560 ・濃淡G=4480÷40=112
・積算データG:4480 ・濃淡B=7680÷40=192
・積算データB:7680 ・抽出割合=40/64=62.5%
・積算面積:40pix
なお、図4中に示した警告表示/停止制御手段38は、濃淡関係検出手段33の検出結果が淡いと判定した期間が連続している間に色差デルタEが前記第1の閾値TH1より大きくなるにつれ、所定の第2の閾値TH2(たとえば3.5)より大きくなると検査装置表示画面に警告表示を行い、その後に色差デルタEが所定の第3の閾値TH3(たとえば4.5)より大きくなると印刷機側へ給紙停止信号を出力するように制御するものである。この警告表示/停止制御手段38を有することにより、検査装置オペレータによる印刷ラインの管理が楽になり、作業負担が軽減し、印刷検査装置の使い勝手が向上する。
また、図4中に示した試し刷り期間出力無効化制御手段39は、濃淡監視機能や加水制御に際しては連続給紙後のインキ濃淡が安定する設定値(設定枚数)までは無効とする(濃淡状態を動かさない)ように制御するものである。通常の印刷検査装置は、生産ライン側で段ボールシートの連続給紙(本生産)を行い、マスター画像を取得した後に全数検査を行うが、試し刷り期間出力無効化制御手段39を有することにより、生産直後の誤動作をなくすることが可能になる。なお、前記設定枚数の濃淡情報はデータとして検査装置の記憶手段に保持されており、これを濃淡基準に登録できることも有益である。
また、本発明は、前述した実施形態に対応した印刷検査装置での加水制御方法にも実施することが可能であり、この場合にも前述した実施形態に準じた効果が得られる。すなわち、本発明を実施可能な加水制御方法は、フレキソ印刷機により水性フレキソインキを使用して印刷した段ボールシートの印刷状態を検査する際、段ボールシートの印刷状態をカラー撮像する撮像ステップと、前記撮像ステップにより得られた画像に対して指定された検査領域における前記段ボールシートの色情報のRGBレベルから印刷色情報を取得する印刷色情報取得ステップと、前記フレキソ印刷機の制御対象となる水性フレキソインキの各々のインキに対応して前記段ボールシートに対して指定された印刷濃淡監視領域である濃淡監視ポイントから前記印刷色情報取得ステップにより取得された監視ポイント色情報および前記濃淡監視ポイント毎に所望の印刷基準色として予め登録された前記段ボールシートにインキを塗布した状態におけるインキ色の情報の両者を比較し、前記濃淡監視ポイント毎にインキ色が濃いか淡いかを自動的に判定し、インキ色が濃いと判定したインキ色を薄くするための加水制御信号を生成する印刷濃淡制御ステップを具備することを特徴とするものである。
また、本発明は、上記加水制御方法における前記印刷濃淡制御ステップが、前記印刷濃淡監視ポイントから前記印刷色情報取得ステップにより取得された色情報に基づいてL*a*b*色空間表現に変換された監視ポイント検出色と前記濃淡監視ポイントについて各インキ色毎にL*a*b*色空間表現で登録された監視ポイント基準色との色差デルタEを前記水性フレキソインキの各インキ色毎に算出処理する色差算出ステップと、前記段ボールシートのライナー部の非印刷領域の色情報をL*a*b*色空間表現による参照用ライナー色として入手し、L*a*b*色空間における前記監視ポイント検出色と監視ポイント基準色と前記参照用ライナー色について同一色空間内における空間位置の相対関係から前記各インキ色毎に濃淡関係を検出する濃淡関係検出ステップと、前記濃淡関係検出ステップの検出結果が濃いと判定した期間のみ前記加水制御信号による加水制御を可能とする加水可否制御ステップとを具備することを特徴とする印刷検査装置での加水制御方法としても実施可能であり、この場合にも前述した実施形態に準じた効果が得られる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々な形態で実施ことが可能である。また、本発明の技術的範囲は前述した実施形態に記載の範囲に限定されるものではなく、多様な変更または改良を加えることが可能であることは勿論である。
本発明は、段ボール印刷機に限らず、水性印刷インキを使用してカラー印刷を行う印刷機に適用可能である。
10 LED照明ユニット等の白色光光源
20 印刷検査装置の処理・制御部、
21 撮像手段
22 領域指定手段
23 印刷色情報取得手段
25 監視ポイント移動制御手段
26 濃淡ポイント自動抽出制御手段
30 印刷濃淡制御手段
31 色差算出手段
32 制御信号生成手段
33 濃淡関係検出手段
34 加水可否制御手段
35 平均値計算回数指定手段
36 制御信号生成基準制御手段
38 警告表示/ 停止制御手段
39 試し刷り期間出力無効化制御手段
40 映像表示装置
50 段ボール生産ライン。
本発明は、印刷ラインに連続的に供給される印刷媒体に水性印刷インキを使用してカラー印刷を行う印刷機による印刷結果を検査する印刷検査装置に係り、特にフレキソ印刷機
による段ボール印刷に好適な印刷濃淡検査装置および加水制御方法に関する。
印刷機においては、たとえば特許文献1に示されているように、検査用カメラで撮像された印刷紙の画像データを濃度制御装置と品質検査装置とでそれぞれ使用するとともに、
検査用カメラを用いて印刷物の濃度を測定した結果に応じて自動的に濃度制御を行う方法
が知られている。また、印刷機のインキ供給量を調整する際にインキ供給部分の部品を調
整してインキ量を手動で調整する方法が知られている。
一方、フレキソ印刷機による段ボール印刷に際して、水性フレキソインキを使用する方
法が多いので主流になりつつある。段ボール印刷に際しては、大量の枚数を印刷する場合
には印刷中のインキの濃淡管理が重要であるが、従来は、印刷機のオペレータが目視で印
刷状態を確認し、手動でインキに加水して濃淡管理を行っていたので管理のばらつきが発
生し易い。そこで、インキの濃淡管理の自動化を図るために水性フレキソインキに対する
加水(希釈)によりインキ濃度(粘度)を自動的に制御しようとする場合、前記したように
印刷機のインキ量を直接に調整する方法と比べて、一定量の加水では材質やインキ色により薄くなり過ぎたり、逆に加水量が足りないことが発生するためこれらを考慮した制御方
法が必要である。
特開2017-109439号公報
本発明は前記したフレキソ印刷機で使用する水性フレキソインキのインキ濃度の調整を
加水により制御する場合の特有の事情に鑑みてなされたもので、加水制御によるインキの
濃淡調整を自動的に行って印刷濃淡品質を一定に保つことを可能とし、加水制御を確実に
実施することを可能とする印刷検査装置での印刷濃淡検査装置および加水制御方法を提供
することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、フレキソ印刷機により水性フレキソインキを使用して印刷し
た段ボールシートの印刷状態を検査する印刷検査装置での印刷濃淡検査装置であって、段
ボールシートの印刷状態をカラー撮像する撮像手段と、前記撮像手段により得られた画像
に対して検査領域を指定可能な領域指定手段と、前記領域指定手段により指定された検査
領域における前記段ボールシートの色情報のRGBレベルから印刷色情報を取得する印刷
色情報取得手段と、を具備し、さらに、前記領域指定手段により前記フレキソ印刷機の制
御対象となる水性フレキソインキの各々のインキに対応して前記段ボールシートに対して
指定された印刷濃淡監視領域である濃淡監視ポイントから前記印刷色情報取得手段により
取得された監視ポイント色情報および前記濃淡監視ポイント毎に対応して予め登録された所望の印刷基準色情報の両者を比較し、前記各インキ色毎に濃いか淡いかを自動的に判定し、インキ色が濃いと判定したインキ色を薄くするための加水制御信号を生成する印刷濃淡制御手段を具備することを特徴とする。
そして、前記印刷濃淡制御手段は、
前記印刷濃淡監視ポイントから前記印刷色情報取得手段により取得された前記監視ポイントの色情報に基づいてL*a*b*色空間表現に変換された監視ポイント検出色と前記濃淡監視ポイントについて各インキ色毎にL*a*b*色空間表現で登録された監視ポイント基準色との色差デルタEを前記水性フレキソインキの各インキ色毎に算出処理する色差算出手段と、前記段ボールシートのライナー部の非印刷領域の色情報をL*a*b*色空間表現による参照用ライナー色として入手し、L*a*b*色空間における前記監視ポイント検出色と監視ポイント基準色と前記参照用ライナー色について同一色空間内における空間位置の相対関係から前記各インキ色毎に濃淡関係を検出する濃淡関係検出手段と、前記濃淡関係検出手段の検出結果が濃いと判定した期間のみ前記加水制御信号による加水制御を可能とする加水可否制御手段を具備することを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記色差算出手段により各
インキ色毎に算出された色差デルタEを別途設定された閾値と比較し、色差デルタEが前記閾値以上であると判定した場合に前記各インキ色毎に加水制御信号を生成する制御信号生成手段と、
前記段ボールシートのライナー色に応じて前記制御信号生成手段の制御信号生成基準を
変更する制御信号生成基準制御手段を具備することを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記色差算出手段により各
インキ色毎に算出された色差デルタEを別途設定された閾値と比較し、色差デルタEが前記閾値以上であると判定した場合に前記各インキ色毎に加水制御信号を生成する制御信号生成手段と、
前記濃淡関係検出手段の検出結果が濃いか淡いかによって前記制御信号生成手段の制御
信号生成基準を変更する制御信号生成基準制御手段を具備することを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記色差算出手段による算
出処理は、前記印刷機による複数回の印刷の各印刷毎に前記色差デルタEの計算を行って
その平均値を算出するものであり、さらに、前記段ボールシートのライナー色に応じて前
記平均値算出の計算回数を指定する平均値計算回数指定手段を具備することを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記濃淡監視ポイントの少
なくとも一端部が前記段ボールシートのライナー部の印刷部分上からはみだしているか否かを判定し、ライナー部の印刷部分上からはみだしていると判定した場合には当該濃淡監
視ポイントの全体を前記ライナー部の印刷部分上に移動させるように制御する監視ポイン
ト移動制御手段をさらに具備することを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記濃淡監視ポイントの領
域内に前記段ボールシートのライナー部の非印刷部分が存在しているか否かを判定し、ライナー部の非印刷部分が存在していると判定した場合には当該ライナー部の非印刷部分の
ライナー色のRGB色成分を除去もしくは印刷色のRGB色成分のみを抽出する自動抽出
制御手段を具備することを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記濃淡関係検出手段の検
出結果が淡いと判定した期間が連続している間に前記色差デルタEが所定値より大きくなるにつれて検査装置表示器の画面に警告表示を行い、その後に前記印刷機側へ給紙停止信
号を出力するように制御する警告表示/停止制御手段をさらに具備することを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記印刷機による試し刷り
期間において前記制御信号生成手段および警告表示/停止制御手段の出力信号を利用しな
いように制御する試し刷り期間出力無効化制御手段をさらに具備することを特徴とする。
請求項に記載の発明は、フレキソ印刷機により水性フレキソインキを使用して印刷
した段ボールシートの印刷状態を検査する印刷検査装置での加水制御方法であって、段ボールシートの印刷状態をカラー撮像する撮像ステップと、前記撮像ステップにより得られ
た画像に対して指定された検査領域における前記段ボールシートの色情報のRGBレベル
から印刷色情報を取得する印刷色情報取得ステップと、前記フレキソ印刷機の制御対象と
なる水性フレキソインキの各々のインキに対応して前記段ボールシートに対して指定され
た印刷濃淡監視領域である濃淡監視ポイントから前記印刷色情報取得ステップにより取得
された監視ポイントの色情報および前記濃淡監視ポイント毎に対応して所望の印刷基準色
として予め登録された前記段ボールシートにインキを塗布した状態におけるインキ色の情
報の両者を比較し、前記濃淡監視ポイント毎にインキ色が濃いか淡いかを自動的に判定し、インキ色が濃いと判定したインキ色を薄くするための加水制御信号を生成する印刷濃淡
制御ステップを具備し、前記印刷濃淡制御ステップは、前記印刷色情報取得ステップにより取得された前記監視ポイントの色情報に基づいてL*a*b*色空間表現に変換された監視ポイント検出色と前記濃淡監視ポイントについて各インキ色毎にL*a*b*色空間表現で登録された監視ポイント基準色との色差デルタEを前記水性フレキソインキの各インキ色毎に算出処理する色差算出ステップと、前記段ボールシートのライナー部の非印刷領域の色情報をL*a*b*色空間表現による参照用ライナー色として入手し、L*a*b*色空間における前記監視ポイント検出色と監視ポイント基準色と前記参照用ライナー色について同一色空間内における空間位置の相対関係から前記各インキ色毎に濃淡関係を検出する濃淡関係検出ステップと、前記濃淡関係検出ステップの検出結果が濃いと判定した期間のみ前記加水制御信号による加水制御を可能とする加水可否制御ステップを具備することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、フレキソ印刷機により水性フレキソインキを使用して
印刷した段ボールシートの印刷状態を検査する際、段ボールシートの濃淡監視ポイントの
検出色と所望の印刷基準色との濃淡関係を自動的に判定し、濃淡監視ポイント検出色に対
応するインキ色が濃いと判定したインキについて加水制御によりインキ濃度を薄くして前
記印刷基準色に近づけるように自動的に制御する。この制御を加水制御による濃淡調整結
果が所望通り得られるまで適切に繰り返すことにより、印刷濃淡品質を一定に保つことが
可能になる。また、印刷検査装置で使用する撮像手段を印刷品質検査と印刷濃淡制御で共
用することによりコスト低減を図ることが可能である。
しかも、前記濃淡関係を自動的に判定する際に、濃淡監視ポイントの検出色と所望の印刷基準色との2色の色差デルタEを算出して利用するので、人間の視覚に依存する判定・制御と比べて正確に高い精度で印刷濃淡を制御することが可能になる。ここで、前記2色の色差デルタEは正負の符号を有さないが、印刷濃淡関係を検出した結果を参照することにより、水性フレキソインキの濃度が所望値より濃い場合にのみ加水制御を許可することが可能になる。結果として、インキ濃度を薄くする方向にのみ確実に制御することが可能になり、何らかの理由により水性インキ濃度が所望値より薄い場合には加水しないように制御することが可能になる。また、色差値デルタEの算出対象である前記2色の濃淡関係を検出するために段ボールシートのライナー色を参照することにより、印刷濃淡関係を正確に検出することが可能になる。
請求項に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の作用効果を奏すると共
に、段ボールシートのライナー色に応じて制御信号生成基準制御手段の制御信号生成基準
を自動的に変更することにより、ライナー色に応じて適切で効果的なタイミングで加水制
御を開始することが可能になる。
請求項に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の作用効果を奏すると共
に、前記濃淡関係検出手段の検出結果が濃いか淡いかによって制御信号生成手段の制御信
号生成基準を適切な値に設定する。この際、濃淡関係検出結果が濃いと判定した場合には
加水制御を行うための制御信号の生成基準を設定することにより、検査装置オペレータの
目視検査による感覚で濃淡異常が分かる状態になる前の早期に適切で効果的なタイミング
で加水制御を開始することが可能になる。これに対して、濃淡関係検出結果が淡いと判定
した場合には、警告表示を行うための制御信号の生成基準を設定することが可能になる。
請求項に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の作用効果を奏すると共
に、段ボールシートのライナー色に応じて平均値計算回数を指定可能な手段を有するので、「設定枚数の平均値」を適切に設定することにより確実に濃淡変化時に加水信号を生成
することが可能になる。
請求項に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の作用効果を奏すると共
に、監視ポイント移動制御手段を有するので、段ボールシートの給紙タイミングのズレが
ある場合、濃淡監視ポイントの少なくとも一端部が段ボールシートのライナー部の印刷部
分上からはみだしていると濃淡測定値が大きく変化するという場合の対策が可能になる。
この際、濃淡監視ポイントの少なくとも一端部がライナー部の印刷部分上からはみだして
いるか否かを判定し、ライナー部の印刷部分上からはみだしていると判定した場合には当
該濃淡監視ポイントの全体にソフトウェア的に補正をかけてポイント全体をライナー部の
印刷部分上に移動させるように制御することが可能になり、濃淡監視ポイントを安定に検
出して濃淡検査をすることが可能になる。
請求項に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の作用効果を奏すると共
に、段ボールシートのベタ印刷部分が少ないとか文字などのベタ印刷部分が小さいなどの
理由で通常では濃淡監視ポイントを設定できないと濃淡監視ポイントを安定に計測ができ
ない場合の対策が可能になる。この際、濃淡監視ポイントを設定できないほどベタ印刷部
分が小さい場合でも、ライナー部のRGB成分を有する個所をソフトウェア的に除外制御
し、インキ濃淡部分のみに画像処理を用いることにより,濃淡監視ポイントを安定に検出
して濃淡検査をすることが可能になる。
請求項に記載の発明によれば、請求項に記載の発明と同様の作用効果を奏すると共
に、警告表示/停止制御手段を有するので、濃淡関係検出手段の検出結果が淡いと判定し
た期間が連続している間に色差デルタEが所定値より大きくなるにつれて検査装置表示器
の画面に警告表示を行い、その後に印刷機側へ給紙停止信号を出力するように制御することが可能になる。したがって、検査装置オペレータによる印刷ラインの管理が楽になり、
作業負担が軽減し、検査装置の使い勝手が向上する。
請求項に記載の発明によれば、請求項に記載の発明と同様の作用効果を奏すると共
に、通常の印刷検査装置は、生産ライン側で段ボールシートの連続給紙(本生産)を行い、マスター画像を取得した後に全数検査を行うのであるが、試し刷り期間出力無効化制御
手段を有するので、濃淡監視機能や加水制御に際しては連続給紙後のインキ濃淡が安定する設定値(設定枚数)までは無効とする(濃淡状態を動かさない)ように制御することに
より,生産直後の誤動作をなくすることが可能になる。この設定枚数の濃淡情報はデータ
として検査装置の記憶手段に保持されており、これを濃淡基準に登録できることも有益で
ある。
請求項に記載の発明によれば、フレキソ印刷機により水性フレキソインキを使用し
て印刷した段ボールシートの印刷状態を検査する際、段ボールシートの濃淡監視ポイントの検出色と所望の印刷基準色との濃淡関係を自動的に判定し、濃淡監視ポイント検出色に
対応するインキ色が濃いと判定したインキについて加水制御によりインキ濃度を薄くして
所望の印刷基準色に近づけるように自動的に制御する。この制御を加水制御による濃淡調
整結果が所望通り得られるまで適切に繰り返すことにより、印刷濃淡品質を一定に保つことが可能になる。
本発明に係る第1の実施形態のシステム構成を概略的に示す図。 図1に示したシステムの動作フローの一例を示す図。 図1中の映像表示装置の表示画面の表示例を示す図。 本発明に係る印刷検査装置の実施例1を概略的に示すブロック図。 図4に示した印刷検査装置の動作例として印刷機の各インキ色毎に指定される濃淡監視ポイントの一例および各インキ色毎に色差算出手段で算出処理された色差デルタEについては濃淡関係検出が必要な理由を説明するために示す図。 図4中の濃淡関係検出手段において監視ポイント検出色と監視ポイント基準色と参照用ライナー色について同じL*a*b*色空間内における明るさ方向の空間位置の相対関係が相異なる二例とこの相対関係から各インキ色毎に濃淡関係を検出する原理を説明するために示す図。 図4中の濃淡関係検出手段において監視ポイント検出色と監視ポイント基準色と参照用ライナー色について同一色空間内における濃淡方向の空間位置の相対関係から各インキ色毎に濃淡関係を検出する原理を説明するために示す図。 図4中の監視ポイント移動制御手段の動作例を説明するために示す図。 図4中の濃淡ポイント自動抽出制御手段の動作例を説明するために示す図。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。この説明に際して、全図にわたり
共通する部分には共通する参照符号を付す。
<第1の実施形態>
図1(a)および(b)は、本発明に係る第1の実施形態のシステム構成を概略的に示している。このシステムは、フレキソ印刷機を用いる印刷ラインに段ボールシートを連続的に供給し、水性印刷インキを使用して段ボールシートに印刷を行い、段ボールシートの印刷結果を検査するものである。ここで、1は段ボールシート、10は例えばLED照明ユニット等の白色光光源、21は検査カメラ、20は印刷検査装置の処理・制御部、40は表示装置、50は段ボール生産ラインであり、インキ加水器を含む。
印刷検査装置の処理・制御部20は、マイクロプロセッサなどのCPUを主体に構成さ
れており、入出力部、バスラインを通じて検査カメラ21、段ボール生産ラインの印刷装
置等と接続されており、CPUと制御プログラムにより所要の処理・判定・制御・各種情
報の送受信等を行うものである。段ボール生産ラインにおける印刷方式の一例として、印刷を行うためにユニットが3~4ユニット設置されており、そこに印刷色毎に印刷用の版が取付け、この部分にコード番号で管理されているインキを一定量供給し、順次に印刷を行う。
上記処理・制御部20において、本例ではCIE(国際照明委員会)が定める表色系の
色空間表現の変換処理を行う。すなわち、検査カメラ21から入力する赤(Red)緑(Gre
en)青(Blue)の組み合わせによる装置依存色のRGB色空間表現を、装置非依存色であるL*a*b*色空間表現を用いた中間ファイルに変換する。この変換は、既知の手段、たとえばソフトウェア、変換テーブル等を用いて行う。
図2は、図1(a)および(b)に示したシステムの動作フローの一例を示している。まず、
白色光光源10から印刷ライン上の印刷済み段ボール1の印刷ラインの搬送方向に直交す
る幅方向に投光させ、その反射光を検査カメラ21で撮像して画像出力信号を記憶する。
ステップS1では、印刷機の複数色のインキに対応して印刷済み段ボールの印刷面の一部
分を濃淡監視ポイント(後述する)として指定し、この濃淡監視ポイントに対応する検査カ
メラ出力データのRGBレベルに基づいて実際の印刷色情報を取得する。
ステップS2では、実際の印刷色情報を印刷機の各インキ毎に別途指定される濃淡基準値
情報と比較して濃淡差分を検出し、印刷機の各インキ色毎に濃淡基準値に対する濃淡を判
定する。
そして、ステップS3では、濃淡差分が所定の閾値を超えた回数(段ボール検査枚数)が別
途指設定される設定枚数以上であるか設定枚数未満であるかを判定する。この判定結果が
設定枚数未満である場合には、前記検査の対象となった段ボールより後で生産ラインに流れてくる別の印刷済み段ボールの濃淡監視ポイントに対して前記ステップS1からステップS3までの処理を行う。
このような処理を前記判定結果が設定枚数以上になるまで繰り返す。前記判定結果が設
定枚数以上である場合には、その時点で得られている処理データを印刷検査装置のハード
ディスク等の記録部に記録する(ステップS4)とともに表示装置の表示画面に所望の表示形式で表示させる。
ステップS5では、濃淡基準値よりも濃いと判定したインキ色については、前記濃淡差分
が零に近づくように、自動的にインキ加水制御信号を生成して印刷機へ出力する。印刷機
は、インキ加水制御信号に基づいて前記インキ加水器521,522,523の動作を制御
し、所望のインキに自動的に加水を行ってインキ色を薄くする。
このような処理・判定・制御を、各インキ色が基準値に収束するまで所要回数繰り返す
ことにより、一定の印刷品質での生産が可能になる。即ち、濃淡監視ポイントの印刷濃淡
をリアルタイムに判定し、印刷濃淡が基準値より濃くなった場合はインキ加水器521,
522,523を制御してインキを希釈することで印刷濃淡を自動で一定に保つことが可
能になる。
上記した実際の印刷色情報と濃淡基準値情報との2色比較に際して、その前段階でRG
B色空間表現からL*a*b*色空間表現に変換された情報を用いて各インキ色毎に2色の
色差デルタEを算出する。そして、デルタEを別途設定された所望の第1の閾値TH1(たとえば3以下、好ましくは2~1.5の範囲内)と比較し、色差デルタEが閾値TH1以上
であると判定した場合に各インキ色毎に加水制御信号を生成する。これにより、人間の視
覚に依存する2色の比較判定と比べて正確に高精度に判定することが可能になる。
上記処理において、前記色差デルタEは正負の符号を有さないので、デルタEだけでは印刷濃淡関係は不明であるが、段ボールシート1のライナー部の地色(ライナー色)を参照することにより印刷濃淡関係を正確に検出することが可能になり、この印刷濃淡関係検出結果に基づいてインキ濃度が所望値より濃い場合にのみ加水制御を許可することが可能になる。
また、上記したようにデルタEに基づいて処理を行う場合、映像表示装置40の表示画
面の表示形式として、たとえば図3(a)および(b)に示すように、グラフ形式によりデルタ
Eの経時変化を表示したり、検査オペレータが簡単にデルタEを視認可能な横向きバー形式で表示する等、実際の濃淡状態を各インキ色毎にまとめて表示することができる。なお、図3(a)は、代表的に1つのインキ色について濃淡度が所望の閾値より濃い場合にのみ加水制御が許可されてインキが希釈され、印刷濃淡が自動的に一定に保たれる様子の一例を示している。
上述したように本実施形態の印刷検査装置によれば、フレキソ印刷機で使用する水性フ
レキソインキの濃淡調整を加水により制御する場合に、加水制御によるインキの濃淡調整
を自動的に行って印刷濃淡品質を一定に保つことを可能とし、インキ濃度を薄くする方向
にのみ加水制御を確実に実施することができる。
また、印刷濃淡制御を行う際に、濃淡監視ポイントの検出色と予め登録された所望の印
刷基準色との2色の色差デルタEを算出して利用することにより、人間の視覚に依存する
判定・制御と比べて正確に高い精度で印刷濃淡を制御することが可能になる。
また、水性フレキソインキの濃度が所望値より濃い場合にのみ加水制御を許可するので、インキ濃度を薄くする方向にのみ確実に制御することが可能になり、何らかの理由(印刷ライン側の加水動作の不具合等)により水性インキ濃度が所望値より薄い場合には加水しないように制御することが可能になる。
(実施例1)
図4は、第1の実施形態に係る印刷検査装置の実施例1を概略的に示すブロック図である。この印刷検査装置において、20は印刷検査装置の処理・制御部、40は映像表示装
置である。撮像手段21は、印刷ラインに連続的に供給されて印刷された段ボールシート
の印刷面をカラー撮像するものであり、印刷ライン上の印刷済み段ボールの印刷ライン幅
方向をラインセンサーあるいはエリアセンサ等を内蔵した検査カメラが用いられる。
印刷検査装置の処理・制御部20において、領域指定手段22は、前記撮像手段21からの出力信号が半導体メモリ等の記憶手段(図示せず)に一時的に記憶された画像データに
対して検査領域を指定するものである。
印刷色情報取得手段23は、前記領域指定手段22により指定された検査領域における
段ボールシートの色情報のRGBレベルに基づいて実際の印刷色情報(インキ色情報)を取
得するものである。そして、本例ではCIEが定める表色系の色空間表現の変換処理を行
う。
印刷濃淡制御手段30は、色差算出手段31、制御信号生成手段32、濃淡関係検出手
段33、加水可否制御手段34、平均値計算回数指定手段35、制御信号生成基準制御手
段36、警告表示/停止制御手段38、試し刷り期間出力無効化制御手段39等を備えて
いる。
この印刷濃淡制御手段30は、印刷濃淡制御を行う際に、前記領域指定手段22により
フレキソ印刷機の制御対象となる水性フレキソインキの複数色のインキに対応して段ボールシートに対して指定された印刷濃淡監視領域である濃淡監視ポイントから印刷色情報取
得手段23により取得された監視ポイント色情報と、各濃淡監視ポイント毎に対応して予め登録された所望の印刷基準色情報とを比較する。そして、各インキ色毎に濃いか淡いか
を自動的に判定し、濃いと判定したインキ色を薄くするための加水制御信号を生成するも
のである。
なお、印刷対象となる段ボールシートの材質やライナー色は、段ボール印刷製品の種類
とか納入客先等に応じて異なる場合があり、材質やライナー色が異なる複数の段ボールシ
ートに同じコード番号のインキを塗布しても色目が異なる。そこで、段ボールシートにイ
ンキを塗布した状態における実際のインキ色を前記所望の印刷基準色として登録しておく
ことが望ましい。これにより、段ボール印刷製品の種類とか納入先等毎に所望の印刷基準
色に対する濃淡判定を正確に行うことが可能になる。
色差算出手段31は、前記印刷色情報取得手段23により取得された前記監視ポイントの色情報に基づいてL*a*b*色空間表現に変換された監視ポイント検出色と、濃淡監視ポイントについて各インキ色毎にL*a*b*色空間表現で登録された監視ポイント基準色との色差デルタEを水性フレキソインキの各インキ色毎に算出処理するものである。
制御信号生成手段32は、色差算出手段31により各インキ色毎に算出された色差デル
タEを別途設定された閾値と比較し、色差デルタEが前記閾値以上であると判定した場合に各インキ色毎に加水制御信号を生成するものである。
濃淡関係検出手段33は、後述する理由により、段ボールシートのライナー部の非印刷
領域の色を参照用ライナー色として入手する。この参照用ライナー色は、監視ポイント基
準色の情報を登録した時のライナー色でもいいし、現在監視している時のライナー色でも
いいし、あるいは印刷機等から受信したライナー色でも構わないが、監視ポイント検出色、監視ポイント基準色の表現に対応してL*a*b*色空間表現を用いる。
この濃淡関係検出手段33は、後で詳述するように、同じL*a*b*色空間内における監視ポイント検出色と監視ポイント基準色と参照用ライナー色について明るさ方向または濃淡方向等の空間位置の相対関係から各インキ色毎に濃淡関係を検出するものである。
加水可否制御手段34は、濃淡関係検出手段33の検出結果が濃いと判定した期間のみ
前記加水制御信号による加水制御を可能とするように制御するものである。
平均値計算回数指定手段35は、色差算出手段31による算出処理に際して、印刷機に
よる複数回の印刷の各印刷毎に色差デルタEの計算を行ってその平均値を算出するもので
ある。ここで、段ボールシートの材質やライナー色に応じて、前記平均値算出の計算回数
(設定枚数の平均値)、および/または、色差デルタEが所定の閾値より大きいか否かを判
定する回数(濃淡異常判定回数)を予め定められた適切な設定値に自動的に指定するよう
に制御することが好ましい。このように設定枚数の平均値や濃淡異常判定回数の設定値を
変更することで、確実に濃淡変化時に加水信号を生成することが可能になる。
制御信号生成基準制御手段36は、段ボールシートの材質やライナー色に応じて、および/または、濃淡関係検出手段33の検出結果が濃いか淡いかによって前記制御信号生成
手段32の制御信号生成基準を自動的に制御するものである。
ここで、段ボールシートの材質やライナー色に応じて、色差デルタE判定基準を予め定められた適切な設定値に自動的に指定するように制御することにより、ライナー色に応じ
て適切で効果的なタイミングで加水制御を開始することが可能になる。
なお、段ボールシートの材質やライナー色以外に、印刷インキ色、印刷製品納入客先、印刷仕様のオーダー等に応じて、前記平均値算出の計算回数、濃淡異常判定回数、色差デ
ルタE判定基準の設定値を予め定められた適切な設定値に自動的に指定するように制御するようにしてもよい。
また、制御信号生成基準制御手段36は、濃淡関係検出手段33の検出結果が濃いか淡
いかによって前記制御信号生成手段32の制御信号生成基準(色差デルタEの判定基準)
を自動的に制御する際、濃淡関係検出結果が濃いと判定した場合には加水制御を可能とするための色差デルタEの判定基準(第1の閾値TH1)を適切な値(たとえば3以下、好ま
しくは2~1.5の範囲内)に設定する。これにより、検査装置オペレータの目視検査に
よる感覚で濃淡異常が分かる状態になる前の早期に適切で効果的なタイミングで加水制御
を開始することが可能になる。
これに対して、たとえば制御開始の初期に濃淡関係検出結果が淡いと判定した場合には、たとえばインキ濃度を濃くするように促す警告表示を行うための色差デルタEの判定基準を設定することが可能になる。
次に、図4に示した印刷検査装置の動作例を図5乃至図9を参照して説明する
図5は、印刷機の各インキ色毎に指定される濃淡監視ポイントの一例および各インキ色
毎に色差算出手段31で算出処理された色差デルタEを使用して加水制御を行うために濃
淡関係検出が必要な理由を説明するために示している。
ここでは、段ボールシートのライナー部の印刷領域におけるたとえば英文字Fの領域内
の一部が濃淡監視ポイントとして指定されている場合を想定している。監視ポイント検出
色と監視ポイント基準色との2色から算出処理された色差デルタEは正負の符号を有さな
いので印刷濃淡関係は不明である。
そこで、前述したように段ボールシートのライナー部の非印刷領域の色情報をL*a*b
*色空間表現による参照用ライナー色として入手し、濃淡関係検出手段33において監視
ポイント検出色と監視ポイント基準色と参照用ライナー色について同一色空間内における
明るさ方向、濃淡方向等の空間位置の相対関係から各インキ色毎に濃淡関係を正確に検出
するように自動的に処理している。
図6(a)および(b)は、前記濃淡関係検出手段33において監視ポイント検出色と監視ポ
イント基準色と参照用ライナー色について同じL*a*b*色空間内における明るさ方向の
空間位置の相対関係が相異なる二例と、この相対関係から各インキ色毎に濃淡関係を検出
する原理を説明するために示している。
ここでは、基準として登録したインキ色(監視ポイント基準色)の色空間位置をA 、現
在監視しているインキ色(監視ポイント検出色)の色空間位置をB 、参照用ライナー色の
色空間位置をC、それぞれの L方向成分を、LA、LB、LCで示している。
本願発明者の知見によれば、同じインキ色を茶ライナーと白ライナーに施した場合、
印刷濃淡や色目は異なる。例えば茶ライナーと白ライナーに同じインキコード番号の
赤インキを印刷した場合、白ライナーに施した方が明るい赤に見え濃淡も薄く感じる。こ
の様にシート材質が異なることで、実際の印刷の見え方や濃淡も異なるため、シートの材
質毎で加水制御の処理方法を変えることが有効である。
図6中(a)に示すように、基準色のL方向成分LA<ライナー色のL方向成分LCの関係
である場合には、監視ポイント検出色のL方向成分LBがLAより小さい(監視ポイント
検出色がライナー色に近くない)と監視ポイント検出色の方が監視ポイント基準色よりも
濃いと判定処理する。
これに対して、図6中(b)に示すように、LC<LAの関係である場合には、LBはLA
より小さい(監視ポイント検出色がライナー色に近い)と、監視ポイント検出色の方が監
視ポイント基準色よりも薄いと判定処理する。
図7は、前記濃淡関係検出手段33において監視ポイント検出色と監視ポイント基準
色と参照用ライナー色について同一色空間内における濃淡方向の空間位置の相対関係から
各インキ色毎に濃淡関係を検出する原理を説明するために示している。ここでは、基準と
して登録したインキ色(監視ポイント基準色)の色空間位置をA、現在監視しているインキ
色(監視ポイント検出色)の色空間位置をB、参照用ライナー色の色空間位置をCで示して
いる。
図7において、AB間の距離がデルタEに相当し、このデルタEは、濃淡方向成分ADと、濃淡方向以外の成分DBに分けられる。このデルタEを分析することにより監視ポイント基準色が基準のインキ色からどの程度ずれているか数値で分かる。そして、BがA と比べてCに近づく位置にあると、監視ポイント検出色の方が監視ポイント基準色よりも薄いと判定処理する。これとは逆に、BがAと比べてCから離れる位置にあると、監視ポイント検出色の方が監視ポイント基準色よりも濃いと判定処理する。図7に示した判定処理は、
図6(a)および(b)に示した判定処理と比べて、ライナー色に応じて判定処理の内容を自動
的に変更する必要がない。
一方、濃淡監視ポイントの指定に際して、図8に示すように、段ボールシートの給紙タ
イミングのズレがある場合や、監視ポイント領域内でベタ印刷部分が小さい場合の対策と
して、それぞれ図4中に示すように監視ポイント移動制御手段25、濃淡ポイント自動抽
出制御手段26を備え、濃淡ポイントの自動抽出処理を行うことが望ましい。
上記監視ポイント移動制御手段25は、濃淡監視ポイントの少なくとも一端部が段ボー
ルシートのライナー部の印刷部分上からはみだしているか否かを判定し、ライナー部の印
刷部分上からはみだしていると判定した場合には当該濃淡監視ポイントの全体をライナー
部の印刷部分上に移動させるように制御するものである。
一方、濃淡ポイント自動抽出制御手段26は、濃淡監視ポイントの領域内に段ボールシートのライナー部の非印刷部分が存在しているか否かを判定し、ライナー部の非印刷部分が存在していると判定した場合には当該ライナー部の非印刷部分のライナー色のRGB成
分を有する個所を除去して黒色成分を抽出処理する、あるいは、印刷色のRGB色成分の
みを抽出するように制御するものである。
図9は、前記濃淡ポイント自動抽出制御手段26の一例として、RGB色成分を除去し
て黒色成分を抽出処理するように制御するライナー部色成分除去制御手段の制御フローの
一例を説明するために示している。
まず、撮像画像データから抽出した濃淡ポイント画像の領域内に段ボールシートのライ
ナー部の非印刷部分が存在しているか否かを判定する。ライナー部の非印刷部分が存在し
ていると判定した場合には、濃淡ポイント画像内外でデータを2値化し、収縮フィルタ処
理を行う。そして、収縮フィルタ処理後の2値で積算データを取得し、この取得データを
積算面積で割り、濃淡データを算出する。このような処理によって、印刷濃淡部分のみ抽
出して正確な濃淡データを求めることが可能になる。ここで、積算データの取得、取得データの割り算の数値例を示す。
積算データの取得 取得データの割り算
・監視画サイズ:64pix ・濃淡R=2560÷40=64
・積算データR:2560 ・濃淡G=4480÷40=112
・積算データG:4480 ・濃淡B=7680÷40=192
・積算データB:7680 ・抽出割合=40/64=62.5%
・積算面積:40pix
なお、図4中に示した警告表示/停止制御手段38は、濃淡関係検出手段33の検出結
果が淡いと判定した期間が連続している間に色差デルタEが前記第1の閾値TH1より大きくなるにつれ、所定の第2の閾値TH2(たとえば3.5)より大きくなると検査装置表
示画面に警告表示を行い、その後に色差デルタEが所定の第3の閾値TH3(たとえば4.
5)より大きくなると印刷機側へ給紙停止信号を出力するように制御するものである。こ
の警告表示/停止制御手段38を有することにより、検査装置オペレータによる印刷ライ
ンの管理が楽になり、作業負担が軽減し、印刷検査装置の使い勝手が向上する。
また、図4中に示した試し刷り期間出力無効化制御手段39は、濃淡監視機能や加水制
御に際しては連続給紙後のインキ濃淡が安定する設定値(設定枚数)までは無効とする(
濃淡状態を動かさない)ように制御するものである。通常の印刷検査装置は、生産ライン
側で段ボールシートの連続給紙(本生産)を行い、マスター画像を取得した後に全数検査
を行うが、試し刷り期間出力無効化制御手段39を有することにより、生産直後の誤動作
をなくすることが可能になる。なお、前記設定枚数の濃淡情報はデータとして検査装置の
記憶手段に保持されており、これを濃淡基準に登録できることも有益である。
また、本発明は、前述した実施形態に対応した印刷検査装置での加水制御方法にも実施
することが可能であり、この場合にも前述した実施形態に準じた効果が得られる。すなわ
ち、本発明を実施可能な加水制御方法は、フレキソ印刷機により水性フレキソインキを使
用して印刷した段ボールシートの印刷状態を検査する際、段ボールシートの印刷状態をカ
ラー撮像する撮像ステップと、前記撮像ステップにより得られた画像に対して指定された
検査領域における前記段ボールシートの色情報のRGBレベルから印刷色情報を取得する
印刷色情報取得ステップと、前記フレキソ印刷機の制御対象となる水性フレキソインキの
各々のインキに対応して前記段ボールシートに対して指定された印刷濃淡監視領域である
濃淡監視ポイントから前記印刷色情報取得ステップにより取得された監視ポイント色情報および前記濃淡監視ポイント毎に所望の印刷基準色として予め登録された前記段ボールシートにインキを塗布した状態におけるインキ色の情報の両者を比較し、前記濃淡監視ポイント毎にインキ色が濃いか淡いかを自動的に判定し、インキ色が濃いと判定したインキ色を薄くするための加水制御信号を生成する印刷濃淡制御ステップを具備することを特徴とするものである。
また、本発明は、上記加水制御方法における前記印刷濃淡制御ステップが、前記印刷濃
淡監視ポイントから前記印刷色情報取得ステップにより取得された色情報に基づいてL*
a*b*色空間表現に変換された監視ポイント検出色と前記濃淡監視ポイントについて各イ
ンキ色毎にL*a*b*色空間表現で登録された監視ポイント基準色との色差デルタEを前記水性フレキソインキの各インキ色毎に算出処理する色差算出ステップと、前記段ボールシートのライナー部の非印刷領域の色情報をL*a*b*色空間表現による参照用ライナー色として入手し、L*a*b*色空間における前記監視ポイント検出色と監視ポイント基準色
と前記参照用ライナー色について同一色空間内における空間位置の相対関係から前記各イ
ンキ色毎に濃淡関係を検出する濃淡関係検出ステップと、前記濃淡関係検出ステップの検
出結果が濃いと判定した期間のみ前記加水制御信号による加水制御を可能とする加水可否
制御ステップとを具備することを特徴とする印刷検査装置での加水制御方法としても実施
可能であり、この場合にも前述した実施形態に準じた効果が得られる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定
されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々な形態で実施ことが可能であ
る。また、本発明の技術的範囲は前述した実施形態に記載の範囲に限定されるものではな
く、多様な変更または改良を加えることが可能であることは勿論である。
本発明は、段ボール印刷機に限らず、水性印刷インキを使用してカラー印刷を行う印刷
機に適用可能である。
10 LED照明ユニット等の白色光光源
20 印刷検査装置の処理・制御部、
21 撮像手段
22 領域指定手段
23 印刷色情報取得手段
25 監視ポイント移動制御手段
26 濃淡ポイント自動抽出制御手段
30 印刷濃淡制御手段
31 色差算出手段
32 制御信号生成手段
33 濃淡関係検出手段
34 加水可否制御手段
35 平均値計算回数指定手段
36 制御信号生成基準制御手段
38 警告表示/ 停止制御手段
39 試し刷り期間出力無効化制御手段
40 映像表示装置
50 段ボール生産ライン。

Claims (10)

  1. フレキソ印刷機により水性フレキソインキを使用して印刷した段ボールシートの印刷状態を検査する印刷検査装置での印刷濃淡検査装置であって、
    段ボールシートの印刷状態をカラー撮像する撮像手段と、
    前記撮像手段により得られた画像に対して検査領域を指定可能な領域指定手段と、
    前記領域指定手段により指定された検査領域における前記段ボールシートの色情報のRGBレベルから印刷色情報を取得する印刷色情報取得手段と、
    を具備し、さらに、
    前記領域指定手段により前記フレキソ印刷機の制御対象となる水性フレキソインキの各々のインキに対応して前記段ボールシートに対して指定された印刷濃淡監視領域である濃淡監視ポイントから前記印刷色情報取得手段により取得された監視ポイント色情報および前記濃淡監視ポイント毎に対応して予め登録された所望の印刷基準色情報の両者を比較し、前記各インキ色毎に濃いか淡いかを自動的に判定し、インキ色が濃いと判定したインキ色を薄くするための加水制御信号を生成する印刷濃淡制御手段を具備することを特徴とする印刷検査装置での印刷濃淡検査装置。
  2. 請求項1記載の印刷検査装置での印刷濃淡検査装置において、前記印刷濃淡制御手段は、
    前記印刷濃淡監視ポイントから前記印刷色情報取得手段により取得された色情報に基づいてL*a*b*色空間表現に変換された監視ポイント検出色と前記濃淡監視ポイントについて各インキ色毎にL*a*b*色空間表現で登録された監視ポイント基準色との色差デルタEを前記水性フレキソインキの各インキ色毎に算出処理する色差算出手段と、
    前記段ボールシートのライナー部の非印刷領域の色情報をL*a*b*色空間表現による参照用ライナー色として入手し、L*a*b*色空間における前記監視ポイント検出色と監視ポイント基準色と前記参照用ライナー色について同一色空間内における空間位置の相対関係から前記各インキ色毎に濃淡関係を検出する濃淡関係検出手段と、
    前記濃淡関係検出手段の検出結果が濃いと判定した期間のみ前記加水制御信号による加水制御を可能とする加水可否制御手段
    を具備することを特徴とする印刷検査装置での印刷濃淡検査装置。
  3. 請求項2記載の印刷検査装置での印刷濃淡検査装置において、前記色差算出手段により各インキ色毎に算出された色差デルタEを別途設定された閾値と比較し、色差デルタEが閾値以上であると判定した場合に前記各インキ色毎に加水制御信号を生成する制御信号生成手段と、
    前記段ボールシートのライナー色に応じて前記制御信号生成手段の制御信号生成基準を変更する制御信号生成基準制御手段
    を具備することを特徴とする印刷検査装置での印刷濃淡検査装置。
  4. 請求項2記載の印刷検査装置での印刷濃淡検査装置において、前記色差算出手段により各インキ色毎に算出された色差デルタEを別途設定された閾値と比較し、色差デルタEが閾値以上であると判定した場合に前記各インキ色毎に加水制御信号を生成する制御信号生成手段と、
    前記濃淡関係検出手段の検出結果が濃いか淡いかによって前記制御信号生成手段の制御信号生成基準を変更する制御信号生成基準制御手段
    を具備することを特徴とする印刷検査装置での印刷濃淡検査装置。
  5. 請求項2記載の印刷検査装置での印刷濃淡検査装置において、前記色差算出手段による算出処理は、前記印刷機による複数回の印刷の各印刷毎に前記色差デルタEの計算を行ってその平均値を算出するものであり、さらに、前記段ボールシートのライナー色に応じて前記平均値算出の計算回数を指定する平均値計算回数指定手段
    を具備することを特徴とする印刷検査装置での印刷濃淡検査装置。
  6. 請求項2記載の印刷検査装置での印刷濃淡検査装置において、前記濃淡監視ポイントの少なくとも一端部が前記段ボールシートのライナー部の印刷部分上からはみだしているか否かを判定し、ライナー部の印刷部分上からはみだしていると判定した場合には当該濃淡監視ポイントの全体を前記ライナー部の印刷部分上に移動させるように制御する監視ポイント移動制御手段をさらに具備することを特徴とする印刷検査装置での印刷濃淡検査装置。
  7. 請求項2記載の印刷検査装置での印刷濃淡検査装置において、前記濃淡監視ポイントの領域内に前記段ボールシートのライナー部の非印刷部分が存在しているか否かを判定し、ライナー部の非印刷部分が存在していると判定した場合には当該ライナー部の非印刷部分のライナー色のRGB色成分を除去もしくは印刷色のRGB色成分のみを抽出する自動抽出制御手段を具備することを特徴とする印刷検査装置での印刷濃淡検査装置。
  8. 請求項3記載の印刷検査装置での印刷濃淡検査装置において、前記濃淡関係検出手段の検出結果が淡いと判定した期間が連続している間に前記色差デルタEが所定値より大きくなるにつれて検査装置表示器の画面に警告表示を行い、その後に前記印刷機側へ給紙停止信号を出力するように制御する警告表示/停止制御手段
    をさらに具備することを特徴とする印刷検査装置での印刷濃淡検査装置。
  9. 請求項3記載の印刷検査装置での印刷濃淡検査装置において、前記印刷機による試し刷り期間において前記制御信号生成手段および警告表示/停止制御手段の出力信号を利用しないように制御する試し刷り期間出力無効化制御手段
    をさらに具備することを特徴とする印刷検査装置での印刷濃淡検査装置。
  10. フレキソ印刷機により水性フレキソインキを使用して印刷した段ボールシートの印刷状態を検査する印刷検査装置での加水制御方法であって、段ボールシートの印刷状態をカラー撮像する撮像ステップと、前記撮像ステップにより得られた画像に対して指定された検査領域における前記段ボールシートの色情報のRGBレベルから印刷色情報を取得する印刷色情報取得ステップと、前記フレキソ印刷機の制御対象となる水性フレキソインキの各々のインキに対応して前記段ボールシートに対して指定された印刷濃淡監視領域である濃淡監視ポイントから前記印刷色情報取得ステップにより取得された監視ポイント色情報および前記濃淡監視ポイント毎に対応して所望の印刷基準色として予め登録された前記段ボールシートにインキを塗布した状態におけるインキ色の情報の両者を比較し、前記濃淡監視ポイント毎にインキ色が濃いか淡いかを自動的に判定し、インキ色が濃いと判定したインキ色を薄くするための加水制御信号を生成する印刷濃淡制御ステップを具備することを特徴とする印刷検査装置での加水制御方法。
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