JP2023082477A - ゲートドライバ、半導体装置、スイッチング電源 - Google Patents
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Abstract
【課題】低リンギングと高スルーレートを両立する。
【解決手段】ゲートドライバ121は、入力電圧Vinの印加端(PVIN)とスイッチ電圧Vswの印加端(SW)との間に接続されるNチャネル型の出力トランジスタN1のゲート容量を充放電する。ゲートドライバ121は、入力電圧Vinを用いてゲート容量を充電する第1ドライバDRV1と、スイッチ電圧Vswよりも高いブートストラップ電圧Vbstを用いてゲート容量を充電する第2ドライバDRV2と、を並列に備える。出力トランジスタN1をオンするときには、第1ドライバDRV1が第2ドライバDRV2よりも先にゲート容量の充電を開始し、第1ドライバDRV1によるゲート容量の充電が停止した後に第2ドライバDRV2がゲート容量の充電を開始する。
【選択図】図2
【解決手段】ゲートドライバ121は、入力電圧Vinの印加端(PVIN)とスイッチ電圧Vswの印加端(SW)との間に接続されるNチャネル型の出力トランジスタN1のゲート容量を充放電する。ゲートドライバ121は、入力電圧Vinを用いてゲート容量を充電する第1ドライバDRV1と、スイッチ電圧Vswよりも高いブートストラップ電圧Vbstを用いてゲート容量を充電する第2ドライバDRV2と、を並列に備える。出力トランジスタN1をオンするときには、第1ドライバDRV1が第2ドライバDRV2よりも先にゲート容量の充電を開始し、第1ドライバDRV1によるゲート容量の充電が停止した後に第2ドライバDRV2がゲート容量の充電を開始する。
【選択図】図2
Description
本明細書中に開示されている発明は、ゲートドライバ、半導体装置、及び、スイッチング電源に関する。
近年、様々なアプリケーションの電源手段として、スイッチング電源が広く一般に用いられている。
なお、上記に関連する従来技術の一例としては、特許文献1を挙げることができる。
しかしながら、スイッチング電源などのスイッチ出力段を駆動する従来のゲートドライバでは、低リンギングと高スルーレート(高効率)を両立することが困難であった。
本明細書中に開示されている発明は、本願の発明者らによって見出された上記の課題に鑑み、低リンギングと高スルーレートを両立することのできるゲートドライバ、半導体装置、及び、スイッチング電源を提供することを目的とする。
例えば、本明細書中に開示されているゲートドライバは、入力電圧の印加端とスイッチ電圧の印加端との間に接続されるNチャネル型の出力トランジスタのゲート容量を充放電するものであって、前記入力電圧を用いて前記ゲート容量を充電するように構成された第1ドライバと、前記スイッチ電圧よりも高いブートストラップ電圧を用いて前記ゲート容量を充電するように構成された第2ドライバと、を並列に備え、前記出力トランジスタをオンするときには、前記第1ドライバが前記第2ドライバよりも先に前記ゲート容量の充電を開始し、前記第1ドライバによる前記ゲート容量の充電が停止した後に前記第2ドライバが前記ゲート容量の充電を開始する。
なお、その他の特徴、要素、ステップ、利点、及び、特性については、以下に続く発明を実施するための形態及びこれに関する添付の図面によって、さらに明らかとなる。
本明細書中に開示されている発明によれば、低リンギングと高スルーレートを両立することのできるゲートドライバ、半導体装置、及び、スイッチング電源を提供することが可能となる。
<スイッチング電源>
図1は、スイッチング電源の全体構成を示す図である。本構成例のスイッチング電源1は、入力電圧Vinを降圧して出力電圧Voutを生成する非絶縁型の降圧DC/DCコンバータ(いわゆるBUCKコンバータ)であり、電源制御装置10とこれに外付けされる種々のディスクリート部品(本図ではインダクタL1及びキャパシタC1)を備える。
図1は、スイッチング電源の全体構成を示す図である。本構成例のスイッチング電源1は、入力電圧Vinを降圧して出力電圧Voutを生成する非絶縁型の降圧DC/DCコンバータ(いわゆるBUCKコンバータ)であり、電源制御装置10とこれに外付けされる種々のディスクリート部品(本図ではインダクタL1及びキャパシタC1)を備える。
電源制御装置10は、スイッチング電源1の制御主体となる半導体装置である。なお、電源制御装置10は、装置外部との電気的な接続を確立するための手段として、複数の外部端子(本図では外部端子T1~T4)を備える。
外部端子T1(PVINピン)は、入力電圧Vinの印加端に接続されている。外部端子T2(SWピン)は、インダクタL1の第1端に接続されている。外部端子T3(FBピン)は、インダクタL1の第2端及びキャパシタC1の第1端と共に、出力電圧Voutの印加端に接続されている。なお、出力電圧Voutの印加端と外部端子T3との間には、出力電圧Voutに応じた帰還電圧Vfbを生成する分圧回路を設けてもよい。外部端子T4(PGNDピン)及びキャパシタC1の第2端は、いずれもパワー系接地端(=接地電圧PGNDの印加端)に接続されている。
電源制御装置10は、外部端子T3に帰還入力される出力電圧Vout(または帰還電圧Vfb)が所望の目標値と一致するように内蔵のスイッチ出力段(不図示)をスイッチング駆動する。その結果、外部端子T2には、矩形波状のスイッチ電圧Vswが生成される。なお、インダクタL1及びキャパシタC1は、スイッチ電圧Vswを整流及び平滑して出力電圧Voutを生成するための整流平滑回路として機能する。
<電源制御装置(第1実施形態)>
図2は、電源制御装置10の第1実施形態を示す図である。本実施形態の電源制御装置10は、スイッチ出力段11と、駆動回路12と、ブートストラップ回路13と、コントローラ14と、を集積化して成る。
図2は、電源制御装置10の第1実施形態を示す図である。本実施形態の電源制御装置10は、スイッチ出力段11と、駆動回路12と、ブートストラップ回路13と、コントローラ14と、を集積化して成る。
なお、電源制御装置10には、上記以外の機能ブロックを設けてもよい。例えば、電源制御装置10には、内部基準電圧生成回路、通信I/O[input/output]回路、クロック生成回路、自己診断回路、及び、各種の異常保護回路(UVLO[under voltage locked out]、OCP[over current protection]、OVD[over voltage detection]、UVD[under voltage detection]、SCP[short circuit protection]、及び、TSD[thermal shut down])などを集積化してもよい。
スイッチ出力段11は、トランジスタN1及びN2(例えばNチャネル型MOSFET[metal oxide semiconductor field effect transistor])を含む。
トランジスタN1のドレインは、入力電圧Vinの印加端(PVINピン)に接続されている。トランジスタN1のソースは、スイッチ電圧Vswの印加端(SWピン)に接続されている。トランジスタN1のゲートは、上側ゲート駆動信号HGの印加端に接続されている。トランジスタN1は、上側ゲート駆動信号HGがハイレベル(≒Vbst)であるときにオン状態となり、上側ゲート駆動信号HGがローレベル(≒Vsw)であるときにオフ状態となる。トランジスタN1は、スイッチ出力段11の上側トランジスタ(=出力トランジスタ)として機能する。
トランジスタN2のドレインは、スイッチ電圧Vswの印加端(SWピン)に接続されている。トランジスタN2のソースは、パワー系接地端(PGNDピン)に接続されている。トランジスタN2のゲートは、下側ゲート駆動信号LGの印加端に接続されている。トランジスタN2は、下側ゲート駆動信号LGがハイレベル(≒Vin)であるときにオン状態となり、下側ゲート駆動信号LGがローレベル(≒PGND)であるときにオフ状態となる。トランジスタN2は、スイッチ出力段11の下側トランジスタ(=同期整流トランジスタ)として機能する。
このように接続されたトランジスタN1及びN2は、上側ゲート駆動信号HG及び下側ゲート駆動信号LGに応じて相補的にオン/オフされる。その結果、入力電圧Vinと接地電圧PGNDとの間でパルス駆動される矩形波状のスイッチ電圧Vswが生成される。
なお、上記の「相補的」という文言は、トランジスタN1及びN2のオン/オフ状態が完全に逆転している場合だけでなく、貫通電流の発生を防止するためにトランジスタN1及びN2の同時オフ期間(いわゆるデッドタイム)が設けられている場合を包含するように広義に理解すべきである。
また、スイッチング電源1の整流方式は、必ずしも同期整流方式に限定されるものではなく、ダイオード整流方式を採用してもよい。その場合には、トランジスタN2に代えて整流ダイオードを用いてもよい。
駆動回路12は、コントローラ14から入力されるパルス制御信号PWMに応じてスイッチ出力段11を駆動する回路ブロックであり、上側ゲートドライバ121と下側ゲートドライバ122を含む。
上側ゲートドライバ121は、パルス制御信号PWMの入力を受けて上側ゲート駆動信号HGを出力することにより、トランジスタN1のゲート容量(例えば100pF程度)を充放電する回路ブロックであって、遅延回路DLY0と、バッファX1と、第1ドライバDRV1と、第2ドライバDRV2と、を含む。
遅延回路DLY0は、トランジスタN1及びN2の同時オフ期間を設けるように、パルス制御信号PWM(例えばローレベルからハイレベルへの立上りタイミング)に所定の遅延を与えて上側パルス制御信号HGCTLを生成する。
バッファX1は、ブートストラップ電圧Vbstとスイッチ電圧Vswの供給を受けて動作し、遅延回路DLY0から入力される上側パルス制御信号HGCTLに応じて上側ゲート制御信号SX1を生成する。上側ゲート制御信号SX1は、上側パルス制御信号HGCTLがハイレベル(≒Vreg)であるときにハイレベル(≒Vbst)となり、上側パルス制御信号HGCTLがローレベル(≒AGND)であるときにローレベル(≒Vsw)となる。
第1ドライバDRV1(=プリHGドライバに相当)は、入力電圧Vinを用いてトランジスタN1のゲート容量を充電する回路ブロックであって、トランジスタN3及びN4(例えばNチャネル型MOSFET)と、遅延回路DLY1と、を含む。
トランジスタN3のドレインは、入力電圧Vinの印加端(=PVINピン)に接続されている。トランジスタN3のソース及びバックゲートは、いずれもトランジスタN4のソースに接続されている。トランジスタN3のゲートは、遅延回路DLY1の出力端(=遅延信号S1の印加端)に接続されている。なお、トランジスタN3には、ボディダイオードBD1が付随する。具体的には、トランジスタN3のドレインがボディダイオードBD1のカソードに相当し、トランジスタN3のソースがボディダイオードBD1のアノードに相当する。
トランジスタN4のソース及びバックゲートは、いずれもトランジスタN3のソースに接続されている。トランジスタN4のドレインは、トランジスタN1のゲート(=上側ゲート駆動信号HGの印加端)に接続されている。トランジスタN4のゲートは、入力電圧Vinの印加端(=PVINピン)に接続されている。なお、トランジスタN4には、ボディダイオードBD2が付随する。具体的には、トランジスタN4のドレインがボディダイオードBD2のカソードに相当し、トランジスタN4のソースがボディダイオードBD2のアノードに相当する。
なお、トランジスタN3は、トランジスタN1のゲートをBOOT-SW電源レールで駆動するゲート駆動素子に相当する。一方、トランジスタN4は、上側ゲート駆動信号HG(延いてはスイッチ電圧Vsw)に応じて第1ドライバDRV1の動作可否を切り替えるクランプ素子に相当する。
遅延回路DLY1は、第1ドライバDRV1の動作タイミングを調整するように、上側ゲート制御信号SX1に所定の遅延を与えて遅延信号S1を生成する。例えば、上側ゲート制御信号SX1がハイレベルに立ち上げられたときには、遅延信号S1が遅滞なくハイレベルに立ち上げられる。一方、上側ゲート制御信号SX1がローレベルに立ち下げられたときには、遅延信号S1が遅延時間td1Fだけ遅れてローレベルに立ち下げられる。遅延時間td1Fの設定手段としては、CRタイマなどを用いてもよい。
第2ドライバDRV2(=PチャネルHGドライバに相当)は、スイッチ電圧Vswよりも高いブートストラップ電圧Vbstを用いてトランジスタN1のゲート容量を充電する回路ブロックであって、トランジスタP1(例えばPチャネル型MOSFET)と、トランジスタN5(例えばNチャネル型MOSFET)と、遅延回路DLY2と、を含む。
トランジスタP1のソース及びバックゲートは、いずれもブートストラップ電圧Vbstの印加端(=BOOTノード)に接続されている。トランジスタP1及びN5それぞれのドレインは、トランジスタN1のゲート(=上側ゲート駆動信号HGの印加端)に接続されている。トランジスタN5のソース及びバックゲートは、いずれもスイッチ電圧Vswの印加端(=SWピン)に接続されている。トランジスタP1及びN5それぞれのゲートは、遅延回路DLY2の出力端(=遅延信号S2の印加端)に接続されている。
このように接続されたトランジスタP1及びN5は、遅延信号S2の論理レベルを反転して上側ゲート駆動信号HGを生成するインバータを形成する。従って、上側ゲート駆動信号HGは、遅延信号S2がハイレベル(=Vbst)であるときにローレベル(=Vsw)となり、遅延信号S2がローレベル(=Vsw)であるときにハイレベル(=Vbst)となる。
遅延回路DLY2は、第2ドライバDRV2の動作タイミングを調整するように、上側ゲート制御信号SX1に所定の遅延を与えつつ、上側ゲート制御信号SX1の論理レベルを反転させて遅延信号S2を生成する。例えば、上側ゲート制御信号SX1がハイレベルに立ち上げられたときには、遅延信号S2が遅延時間td2Rだけ遅れてローレベルに立ち下げられる。一方、上側ゲート制御信号SX1がローレベルに立ち下げられたときには、遅延信号S2が遅延時間td2Fだけ遅れてハイレベルに立ち上げられる。遅延時間td2R及びtd2Fの設定手段としては、CRタイマなどを用いてもよい。
より機能的に述べると、遅延回路DLY2は、上側ゲート制御信号SX1がハイレベル(=トランジスタN1をオンするときの論理レベル)となってから遅延時間td2Rが経過した後に第2ドライバDRV2がゲート容量の充電を開始するように構成されている。
このように、上側ゲートドライバ121は、第1ドライバDRV1と第2ドライバDRV2を並列に備えている。本構成の技術的意義については、後ほど詳細に説明する。
下側ゲートドライバ122は、パルス制御信号PWM(=下側パルス制御信号LGCTL)の入力を受けて下側ゲート駆動信号LGを出力する回路ブロックであり、バッファX2とインバータINV1を含む。
バッファX2は、入力電圧Vinと接地電圧PGNDの供給を受けて動作し、コントローラ14から入力されるパルス制御信号PWM(=下側パルス制御信号LGCTL)に応じて下側ゲート制御信号SX2を生成する。下側ゲート制御信号SX2は、下側パルス制御信号LGCTLがハイレベル(≒Vreg)であるときにハイレベル(≒Vin)となり、下側パルス制御信号LGCTLがローレベル(≒AGND)であるときにローレベル(≒PGND)となる。
インバータINV1は、下側ゲート制御信号SX2の論理レベルを反転して下側ゲート駆動信号LGを生成する。なお、下側ゲート駆動信号LGは、下側ゲート制御信号SX2がハイレベル(≒Vin)であるときにローレベル(≒PGND)となり、下側ゲート制御信号SX2がローレベル(≒PGND)であるときにハイレベル(≒Vin)となる。
ブートストラップ回路13は、スイッチ電圧Vswよりも高いブートストラップ電圧Vbstを生成する回路ブロックであって、トランジスタP2(例えばPチャネル型MOSFET)と、キャパシタ回路CAPと、を含む。
トランジスタP2のドレインは、入力電圧Vinの印加端(PVINピン)に接続されている。トランジスタP2のドレインは、内部電源電圧Vref(例えば5V)の印加端に接続してもよい。トランジスタP2のソース及びバックゲートは、いずれもブートストラップ電圧Vbstの印加端(=BOOTノード)に接続されている。トランジスタP2のゲートには、コントローラ14からブートストラップ制御信号S4が入力されている。
なお、トランジスタP2は、基本的にトランジスタN2と同期してオン/オフされる。より具体的に述べると、トランジスタP2は、トランジスタN2のオン期間(=スイッチ電圧Vswのローレベル期間)にオン状態となり、トランジスタN2のオフ期間(=スイッチ電圧Vswのハイレベル期間)にオフ状態となる。
また、トランジスタP2には、ボディダイオードBD3が付随する。具体的には、トランジスタP2のドレインがボディダイオードBD3のアノードに相当し、トランジスタP2のソースがボディダイオードBD3のカソードに相当する。なお、ブートストラップ回路13を形成する整流素子として、ボディダイオードBD3のみを用いる場合には、トランジスタP2のゲート・ソース間をショートしておけばよい。
また、キャパシタ回路CAPは、ブートストラップ電圧Vbstの印加端(=BOOTノード)とスイッチ電圧Vswの印加端(=SWピン)との間に接続されており、その両端間(=BOOT-SW間)に充電電圧Vcapを蓄える。
従って、先述のブートストラップ電圧Vbstは、スイッチ電圧Vswよりも常に充電電圧Vcapだけ高い電圧(≒Vsw+Vcap)となる。具体的に述べると、スイッチ電圧Vswのハイレベル期間(Vsw≒Vin、N1=ON、N2=OFF)には、Vbst≒Vin+Vcapとなる。一方、スイッチ電圧Vswのローレベル期間(Vsw≒PGND、N1=OFF、N2=ON)には、Vbst≒PGND+Vcapとなる。
なお、ブートストラップ回路13の整流素子としてトランジスタP2をオン/オフする場合には、Vcap≒Vin-Vds(ただし、VdsはトランジスタP2のドレイン・ソース間電圧)となる。一方、トランジスタP2を常にオフ状態とし、ブートストラップ回路13の整流素子としてボディダイオードBD3のみを用いる場合には、Vcap≒Vin-Vf(ただし、VfはボディダイオードBD3の順方向降下電圧)となる。
このようにして生成されるブートストラップ電圧Vbstは、駆動回路12(特に上側ゲートドライバ121)に供給されており、上側ゲート駆動信号HGのハイレベル(=トランジスタN1をオンするためのゲート電圧)として用いられる。すなわち、トランジスタN1のオン期間には、上側ゲート駆動信号HGのハイレベル(≒Vbst)がスイッチ電圧Vswのハイレベル(≒Vin)よりも高い電圧値(≒Vin+Vcap)まで引き上げられる。従って、トランジスタN1のゲート・ソース間電圧(=HG-SW)を高めてトランジスタN1を確実にオンすることが可能となる。
ところで、キャパシタ回路CAPを電源制御装置10に内蔵すれば、外付けのディスクリート部品を削減することが可能となる。しかしながら、IC内蔵型のキャパシタ回路CAPは、その容量値を十分に確保することが難しい。
そのため、仮に、キャパシタ回路CAPに何の工夫もせず、キャパシタ回路CAPとして単一のキャパシタ素子を内蔵した場合には、トランジスタN1のオン遷移に伴い、キャパシタ回路CAPに蓄えられた電荷がトランジスタN1に付随するゲート容量の充電で吸い取られてしまい、ブートストラップ電圧Vbstが低下してトランジスタN1のゲート駆動(特にフルオン)に支障を生じるおそれがある。
そこで、本実施形態の電源制御装置10では、キャパシタ回路CAPが小容量であってもトランジスタN1のゲート駆動に支障を生じにくいように、キャパシタ回路CAPがいわゆるダブラーキャパシタ(=電圧ダブラー)として構成されている。
本図に即して述べると、キャパシタ回路CAPは、上側ゲート制御信号SX1の入力を受け付けており、トランジスタN1のゲート容量の充放電に同期して容量値を可変制御することができるように、キャパシタC11及びC12と、トランジスタN6及びN7と、トランジスタP3と、遅延回路DLY3と、インバータINV2と、を含む。
キャパシタC11の第1端とトランジスタP3のソースは、いずれもブートストラップ電圧Vbstの印加端(=BOOTノード)に接続されている。キャパシタC11の第2端は、トランジスタN6及びN7それぞれのドレインに接続されている。トランジスタN7及びP3それぞれのゲートは、いずれもダブラー制御信号DBLRの印加端に接続されている。トランジスタN6のゲートは、反転ダブラー制御信号XDBLR(=ダブラー制御信号DBLRの論理反転信号に相当)の印加端に接続されている。トランジスタN7のソースとトランジスタP3のドレインは、いずれもキャパシタC12の第1端に接続されている。トランジスタN6のソースとキャパシタC12の第2端は、いずれもスイッチ電圧Vswの印加端(=SWピン)に接続されている。
遅延回路DLY3は、キャパシタ回路CAPの動作タイミング(=容量値の切替タイミング)を調整するように、上側ゲート制御信号SX1に所定の遅延を与えて遅延信号S3(=ダブラー制御信号DBLRに相当)を生成する。例えば、上側ゲート制御信号SX1がハイレベルに立ち上げられたときには、ダブラー制御信号DBLRが遅延時間td3R(>td2R)だけ遅れてハイレベルに立ち上げられる。一方、上側ゲート制御信号SX1がローレベルに立ち下げられたときには、ダブラー制御信号DBLRが遅滞なくローレベルに立ち下げられる。なお、遅延時間td3Rの設定手段としては、CRタイマなどを用いてもよい。
インバータINV2は、ダブラー制御信号DBLRの論理レベルを反転して反転ダブラー制御信号XDBLRを生成する。なお、反転ダブラー制御信号XDBLRは、ダブラー制御信号DBLRがハイレベル(≒Vbst)であるときにローレベル(≒Vsw)となり、ダブラー制御信号DBLRがローレベル(≒Vsw)であるときにハイレベル(≒Vbst)となる。
トランジスタN6は、反転ダブラー制御信号XDBLRがハイレベル(≒Vbst)であるときにオン状態となり、反転ダブラー制御信号XDBLRがローレベル(≒Vsw)であるときにオフ状態となる。言い換えると、トランジスタN6は、ダブラー制御信号DBLRがハイレベル(≒Vbst)であるときにオフ状態となり、ダブラー制御信号DBLRがローレベル(≒Vsw)であるときにオン状態となる。
トランジスタN7は、ダブラー制御信号DBLRがハイレベル(≒Vbst)であるときにオン状態となり、ダブラー制御信号DBLRがローレベル(≒Vsw)であるときにオフ状態となる。
トランジスタP3は、ダブラー制御信号DBLRがハイレベル(≒Vbst)であるときにオフ状態となり、ダブラー制御信号DBLRがローレベル(≒Vsw)であるときにオン状態となる。
すなわち、トランジスタN6、N7及びP3それぞれのオン/オフ切替タイミングは、ダブラー制御信号DBLRに応じて制御される。
特に、本実施形態のキャパシタ回路CAPは、その動作状態として、トランジスタN6及びP3がオンしてトランジスタN7がオフした第1動作状態(=並列キャパシタ状態)と、これとは逆に、トランジスタN6及びP3がオフしてトランジスタN7がオンした第2動作状態(=直列キャパシタ状態)を取り得る。以下、それぞれの動作状態について、詳細に説明する。
まず、トランジスタN6及びP3がオンしてトランジスタN7がオフした第1動作状態(=並列キャパシタ状態)を考える。この場合、キャパシタC11及びC12がブートストラップ電圧Vbstの印加端(=BOOTノード)とスイッチ電圧Vswの印加端(=SWピン)との間に並列接続された形となる。従って、キャパシタ回路CAPの合成容量値Ccap1は、Ccap1=C11+C12として求めることができる。具体例を挙げると、C11=C12=75pFである場合には、Ccap2=150pFとなる。このような第1動作状態では、キャパシタC11及びC12それぞれが並列に充電される。
次に、上記した第1動作状態から、トランジスタN6及びP3がオフしてトランジスタN7がオンした第2動作状態に遷移した場合を考える。この場合、キャパシタC11及びC12は、ブートストラップ電圧Vbstの印加端(=BOOTノード)とスイッチ電圧Vswの印加端(=SWピン)との間に直列接続された形となる。従って、キャパシタ回路CAPの合成容量値Ccap2は、Ccap2=(C11・C12)/(C11+C12)に引き下げられる。具体例を挙げると、C11=C12=75pFである場合には、Ccap2=37.5pFとなる。
このとき、キャパシタC11及びC12には、それぞれ、上記した第1動作状態で蓄えられた電荷が保持されている。従って、第2動作状態への遷移直前におけるキャパシタC11及びC12それぞれの両端間電圧をVCとすると、第1動作状態から第2動作状態への遷移直後には、ブートストラップ電圧Vbstが(VC+Vsw)から(2VC+Vsw)まで持ち上げられる。すなわち、両端間電圧VCの2倍昇圧が実現される。
なお、キャパシタC11及びC12それぞれの容量値を増やすほど、ブートストラップ電圧Vbstをより高く持ち上げることができる反面、電源制御装置10のチップに占めるレイアウト面積が大きくなる。そのため、両者のトレードオフを考慮し、例えば、第2動作状態におけるキャパシタ回路CAPの合成容量値Ccap2(=(C11・C12)/(C11+C12))がトランジスタN1のゲート容量(例えば100pF)の1/2程度となるように、キャパシタC11及びC12それぞれの容量値を設定するとよい。
もちろん、キャパシタ回路CAPの構成については、必ずしも上記に限定されるものではなく、両端間電圧VCのm倍昇圧(ただしm>1)を実現し得る構成であればよい。
また、キャパシタ回路CAPを電源制御装置10に内蔵するのではなく、ディスクリートのキャパシタ素子を電源制御装置10に外付けすることも可能である。その場合には、ブートストラップ電圧Vbstの印加端(=BOOTノード)をBOOTピンとして電源制御装置10の外部に引き出せばよい。
コントローラ14は、内部電源電圧Vreg(例えば5V)の供給を受けて動作し、入力電圧Vinから所望の出力電圧Voutが生成されるようにパルス制御信号PWMを生成する。なお、出力電圧Voutの出力帰還制御方式については、任意の周知技術(電圧モード制御、電流モード制御、ヒステリシス制御(リップル制御)など)を適用すればよいので、詳細な説明は省略する。
図3は、本実施形態の電源制御装置10によるゲート駆動制御の一例を示す図であり、紙面の上から順に、上側ゲート制御信号SX1、遅延信号S1~S3、トランジスタN1のゲート・ソース間電圧(=HG-SW)、及び、トランジスタN2のゲート・ソース間電圧(=LG-PGND)がそれぞれ描写されている。
時刻t1において、上側ゲート制御信号SX1がハイレベルに立ち上がると、遅延信号S1が遅滞なくハイレベルに立ち上がる。従って、第1ドライバDRV1では、トランジスタN3がオン状態となる。また、この時点では、上側ゲート駆動信号HGがローレベル(<Vin)なので、トランジスタN4もオン状態となる。その結果、入力電圧Vinの印加端からトランジスタN3及びN4を介してトランジスタN1のゲートに至る充電電流経路が導通する。
一方、時刻t1において、上側ゲート制御信号SX1がハイレベルに立ち上がっても、遅延信号S2は、遅延時間td2Rが経過するまでハイレベルに維持される。なお、本図では、図示の便宜上、遅延信号S2がトランジスタP1及びN5それぞれのゲートに共通して入力されるように描写したが、実際の挙動は少々異なる。
具体的に述べると、上側ゲート制御信号SX1がハイレベルに立ち上がるタイミングでは、トランジスタN3及びN4が遅滞なくオンしてトランジスタN5が遅滞なくオフする一方、トランジスタP1が遅延時間td2Rの経過後にオンする。また、上側ゲート制御信号SX1がローレベルに立ち下がるタイミングでは、トランジスタN3、N4及びP1が遅滞なくオフしてトランジスタN5が遅滞なくオンする。
従って、トランジスタN1をオンするときには、第1ドライバDRV1が第2ドライバDRV2よりも先に入力電圧Vinを用いてゲート容量の充電を開始する。その結果、トランジスタN1のゲート・ソース間電圧(=HG-SW)が急峻に引き上げられる。この状態は、上側ゲート駆動信号HGの強ドライブ状態に相当する。
なお、時刻t1では、遅延信号S3(=ダブラー制御信号DBLR)がローレベルに維持される。従って、キャパシタ回路CAPは、第1動作状態(=並列キャパシタ状態)のままとなる。
トランジスタN1のゲート容量が充電されてトランジスタN1のオン抵抗が低下していくと、スイッチ電圧Vswが上昇する。そして、時刻t2において、入力電圧Vinとスイッチ電圧Vswとの差がトランジスタN4のオン閾値電圧よりも低くなると、トランジスタN4が特段の制御を要することなくオフ状態となる。すなわち、入力電圧Vinを用いた第1ドライバDRV1のゲート充電動作が自動的に終了する。その結果、トランジスタN1のゲート・ソース電圧(=HG-SW)が上昇せずに停滞するようになる。この状態は、上側ゲート駆動信号HGの弱ドライブ状態に相当する。
なお、時刻t2では、遅延信号S3(=ダブラー制御信号DBLR)が引き続きローレベルに維持される。従って、キャパシタ回路CAPは、第1動作状態(=並列キャパシタ状態)のままとなる。
その後、時刻t3において、遅延時間td2Rが経過すると、遅延信号S2がローレベルに立ち下がる。従って、第2ドライバDRV2では、トランジスタP1がオン状態となるので、ブートストラップ電圧Vbstの印加端(=BOOTノード)からトランジスタP1を介してトランジスタN1のゲートに至る充電電流経路が導通する。つまり、第1ドライバDRV1によるゲート容量の充電が停止した後に第2ドライバDRV2がゲート容量の充電を開始する。その結果、トランジスタN1のゲート・ソース間電圧(=HG-SW)が再び急峻に上昇し始める。この状態は、上側ゲート駆動信号HGの強ドライブ状態に相当する。
このように、第1ドライバDRV1と第2ドライバDRV2を並列に備える構成であれば、トランジスタN1のオン遷移時に入力電圧Vinを用いて上側ゲート駆動信号HGをある程度まで事前に引き上げておくことができる。従って、ブートストラップ電圧Vbstの印加端(=BOOTノード)から消費される電荷が減るので、キャパシタ回路CAPの容量値を大幅に削減する(延いては素子サイズを縮小する)ことが可能となる。
ところで、高スルーレート(高効率)を優先して上側ゲート駆動信号HGのドライブ能力を単純に引き上げただけでは、スイッチ電圧Vswにリンギングを生じ易くなるので、EMI/EMC[electro magnetic interference/ electro magnetic compatibility]特性が悪化する。一方、低リンギングを優先して上側ゲート駆動信号HGのドライブ能力を単純に引き下げただけでは、スルーレートが低下するので効率が悪化する。
なお、低リンギングと高スルーレート(高効率)を両立するためには、上側ゲート駆動信号HGのドライブ能力を多段階に切り替えることが考えられる。しかしながら、上側ゲート駆動信号HGの上昇速度は、トランジスタN1の温度特性及び電源電圧特性のばらつき等により大きく変化する。そのため、ドライブ能力の切替タイミングをタイマ制御のみで最適に設定することは難しい。
一方、本実施形態の電源制御装置10であれば、先にも述べた通り、第1ドライバDRV1のゲート充電動作がスイッチ電圧Vswの上昇に伴って自動的に終了する。従って、先述の遅延時間td2Rを適切に調整しておくだけで、上側ゲート駆動信号HGのドライブ能力を容易かつ自然に多段階駆動(強ドライブ状態→弱ドライブ状態→強ドライブ状態の3段階駆動)することができる。なお、遅延時間td2Rは、第1ドライバDRV1のゲート充電動作が終了するまでの所要時間よりも長ければよいので、さほど厳密に設定する必要がなく、多少のばらつきは許容され得る。
図4は、本実施形態の電源制御装置10による低リンギングと高スルーレートの両立を示す図である。なお、実線は本実施形態の電源制御装置10で生成されるスイッチ電圧Vswの立ち上がり挙動を示している。一方、破線は第1ドライバDRV1を具備しない一般的な電源制御装置で生成されるスイッチ電圧Vswの立ち上がり挙動を示している。
両者を比較すれば明らかなように、本実施形態の電源制御装置10を用いれば、低リンギングと高スルーレートを両立することが可能となる。
図3に戻り、本実施形態の電源制御装置10によるゲート駆動制御(特に、時刻t4以降)の説明を続ける。
時刻t4において、遅延時間td3Rが経過すると、遅延信号S3(=ダブラー制御信号DBLR)がハイレベルに立ち上がる。従って、キャパシタ回路CAPが第1動作状態(=並列キャパシタ状態)から第2動作状態(=直列キャパシタ状態)に切り替わる。このような切替制御により、ブートストラップ電圧Vbstを(VC+Vsw)から(2VC+Vsw)まで持ち上げてフルドライブすることができる。
なお、遅延時間td3Rは、第2ドライバDRV2がゲート容量の充電を開始した後にキャパシタ回路CAPが第1動作状態(=並列キャパシタ状態)から第2動作状態(=直列キャパシタ状態)に切り替わるように設定するとよい。
さらに言うと、遅延時間td3Rは、上側ゲート駆動信号HGが上昇し始めてからプラトー電圧Vp1に達するまでの所要時間以上に設定することが望ましい。なお、プラトー電圧Vp1は、トランジスタN1のミラー容量が充放電され始めて、上側ゲート駆動信号HGの上昇が停滞状態に至るときの電圧値である。
このように、第1動作状態(=並列キャパシタ状態)のキャパシタ回路CAPとトランジスタN1のゲート容量との間における電荷再分配が平衡状態に達してから、キャパシタ回路CAPを第2動作状態(=直列キャパシタ状態)に切り替えることにより、第1動作状態(=並列キャパシタ状態)のキャパシタ回路CAPに蓄えられている電荷をトランジスタN1のゲート充電動作に最大限利用することが可能となる。
時刻t5において、上側ゲート制御信号SX1がローレベルに立ち下がると、遅延信号S3(=ダブラー制御信号DBLR)が遅滞なくローレベルに立ち下がる。従って、キャパシタ回路CAPが第2動作状態(=直列キャパシタ状態)から第1状態(=並列キャパシタ状態)に切り替わる。
一方、時刻t5において、上側ゲート制御信号SX1がローレベルに立ち下がっても、遅延時間td1F及びtd2F(本図ではtd1F=td2F)が経過するまで、遅延信号S1がハイレベルに維持されて、遅延信号S2がローレベルに維持される。従って、トランジスタN1がオン状態に維持されたままとなる。
このように、トランジスタN1をオフする前(=ゲート容量の放電を開始する前)に、キャパシタ回路CAPを第2動作状態(=直列キャパシタ状態)から第1状態(=並列キャパシタ状態)に切り替えることにより、トランジスタN1のゲート容量に蓄えられた電荷の一部をキャパシタ回路CAPで回収することができる。従って、入力電圧Vinの印加端からキャパシタ回路CAPに流れる充電電流を削減することができるので、電荷の利用効率を高めることが可能となる。特に、電源制御装置10のスイッチング周波数が高いほど効果が高くなる。
時刻t6において、遅延時間td1F及びtd2Fが経過すると、遅延信号S1がローレベルに立ち下がり、遅延信号S2がハイレベルに立ち上がる。従って、第2ドライバDRV2では、トランジスタN5がオン状態となるので、トランジスタN1のゲートからトランジスタN5を介してスイッチ電圧Vswの印加端に至る放電電流経路が導通する。
なお、遅延時間td2Fは、キャパシタ回路CAPが第2動作状態(=直列キャパシタ状態)から第1状態(=並列キャパシタ状態)に切り替えられた後にゲート容量の放電を開始するように設定するとよい。
さらに言うと、遅延時間td2Fは、上側ゲート駆動信号HGが低下し始めてからプラトー電圧Vp2に達するまでの所要時間以上に設定することが望ましい。なお、プラトー電圧Vp2は、トランジスタN1のミラー容量が充放電され始めて、上側ゲート駆動信号HGの低下が停滞状態に至るときの電圧値である。
このように、第2動作状態(=直列キャパシタ状態)のキャパシタ回路CAPとトランジスタN1のゲート容量との間における電荷再分配が平衡状態に達してから、トランジスタN1のゲート容量を放電し始めることにより、トランジスタN1のゲート容量に蓄えられている電荷をキャパシタ回路CAPに最大限回収することが可能となる。
<電源制御装置(第2実施形態)>
図5は、電源制御装置10の第2実施形態(=第2ドライバDRV2の第1変形例)を示す図である。本実施形態の電源制御装置10は、先出の第1実施形態(図2)を基本としつつ、第2ドライバDRV2の構成に変更が加えられている。
図5は、電源制御装置10の第2実施形態(=第2ドライバDRV2の第1変形例)を示す図である。本実施形態の電源制御装置10は、先出の第1実施形態(図2)を基本としつつ、第2ドライバDRV2の構成に変更が加えられている。
本図に即して述べると、第2ドライバDRV2は、先出の遅延回路DLY2に代えて、検出回路DETと、否定論理積ゲートNANDと、を含む。
検出回路DETは、ブートストラップ電圧Vbstとスイッチ電圧Vswの供給を受けて動作し、スイッチ電圧Vswが閾値電圧Vthを上回ったことを検出して検出信号S2aを出力する。例えば、検出信号S2aは、スイッチ電圧Vswが閾値電圧Vthよりも低いときにローレベル(≒Vsw)となり、スイッチ電圧Vswが閾値電圧Vthよりも高いときにハイレベル(≒Vbst)となる。なお、本図で示したように、検出回路DETとしては、入力端が入力電圧Vinの印加端に接続されたインバータを用いてもよい。
否定論理積ゲートNANDは、上側ゲート制御信号SX1と検出信号S2aとの否定論理積信号S2bを出力する。否定論理積信号S2bは、上側ゲート制御信号SX1及び検出信号S2aの少なくとも一方がローレベル(≒Vsw)であるときにハイレベル(≒Vbst)となり、上側ゲート制御信号SX1及び検出信号S2aの双方がハイレベル(≒Vbst)であるときにローレベル(≒Vsw)となる。
トランジスタP1及びN5それぞれのゲートには、先出の遅延信号S2に代えて、否定論理積信号S2bが入力されている。従って、否定論理積信号S2bがローレベル(≒Vsw)であるときには、トランジスタP1がオン状態となり、トランジスタN5がオフ状態となる。一方、否定論理積信号S2bがハイレベル(≒Vbst)であるときには、トランジスタP1がオフ状態となり、トランジスタN5がオン状態となる。
すなわち、本実施形態の第2ドライバDRV2では、上側ゲート制御信号SX1がハイレベル(=トランジスタN1をオンするときの論理レベル)に立ち上げられてから、遅延時間td2Rを計時するのではなく、スイッチ電圧Vswが閾値電圧Vthを上回ったことを検出して、トランジスタN1のゲート容量を充電し始める。このような構成を採用しても、先出の第1実施形態(図2)と同様の作用・効果を享受することが可能である。
<検出回路>
図6は、検出回路DETの一構成例を示す図である。本構成例の検出回路DETは、トランジスタP4(例えばPチャネル型MOSFET)と、トランジスタN8(例えばNチャネル型MOSFET)と、を含む。
図6は、検出回路DETの一構成例を示す図である。本構成例の検出回路DETは、トランジスタP4(例えばPチャネル型MOSFET)と、トランジスタN8(例えばNチャネル型MOSFET)と、を含む。
トランジスタP4のソース及びバックゲートは、いずれもブートストラップ電圧Vbstの印加端(=BOOTノード)に接続されている。トランジスタP4及びN8それぞれのドレインは、検出信号S2aの印加端に接続されている。トランジスタN8のソース及びバックゲートは、いずれもスイッチ電圧Vswの印加端(=SWピン)に接続されている。トランジスタP4及びN8それぞれのゲートは、入力電圧Vinの印加端(=PVINピン)に接続されている。
このように接続されたトランジスタP4及びN8は、入力端が入力電圧Vinの印加端に接続されたインバータを形成する。従って、検出信号S2aは、スイッチ電圧Vswが閾値電圧Vth(=Vin-Vgs、ただしVgsはトランジスタN8のオン閾値電圧)よりも低いときにローレベル(≒Vsw)となり、スイッチ電圧Vswが閾値電圧Vthよりも高いときにハイレベル(≒Vbst)となる。
なお、検出回路DETを形成するトランジスタN8のオン閾値電圧が、第1ドライバDRV1を形成するトランジスタN4のオン閾値電圧と同値である場合には、第1ドライバDRV1のゲート充電動作が終了すると同時に第2ドライバDRV2のゲート充電動作が開始される。これは先出の図3における時刻t2と時刻t3が一致した状態に相当する。
<電源制御装置(第3実施形態)>
図7は、電源制御装置10の第3実施形態(=第2ドライバDRV2の第2変形例)を示す図である。本実施形態の電源制御装置10は、先出の第2実施形態(図5)を基本としつつ、第2ドライバDRV2の構成要素として、さらに、遅延回路DLY4を含む。
図7は、電源制御装置10の第3実施形態(=第2ドライバDRV2の第2変形例)を示す図である。本実施形態の電源制御装置10は、先出の第2実施形態(図5)を基本としつつ、第2ドライバDRV2の構成要素として、さらに、遅延回路DLY4を含む。
遅延回路DLY4は、否定論理積信号S2bに所定の遅延を与えて遅延信号S2cを生成する。
トランジスタP1及びN5それぞれのゲートには、先出の否定論理積信号S2bに代えて遅延信号S2cが入力されている。従って、遅延信号S2cがローレベル(≒Vsw)であるときには、トランジスタP1がオン状態となり、トランジスタN5がオフ状態となる。一方、遅延信号S2cがハイレベル(≒Vbst)であるときには、トランジスタP1がオフ状態となり、トランジスタN5がオン状態となる。
すなわち、本実施形態の第2ドライバDRV2では、上側ゲート制御信号SX1がハイレベル(=トランジスタN1をオンするときの論理レベル)に立ち上げられた後、スイッチ電圧Vswが閾値電圧Vthを上回ったことを検出してから、所定の遅延時間が経過した後にトランジスタN1のゲート容量を充電し始める。このような構成を採用しても、先出の第1実施形態(図2)及び第2実施形態(図5)と同様の作用・効果を享受することが可能である。
特に、本実施形態の遅延回路DLY4であれば、第1実施形態(図2)の遅延回路DLY2と比べて、設定すべき遅延時間を必要最小限に抑えることができる。従って、遅延時間がばらついても影響を受け難くなる。
<電源制御装置(第4実施形態)>
図8は、電源制御装置10の第4実施形態(=第1ドライバDRV1の変形例)を示す図である。本実施形態の電源制御装置10は、先出の第1実施形態(図2)を基本としつつ、第1ドライバDRV1の構成に変更が加えられている。
図8は、電源制御装置10の第4実施形態(=第1ドライバDRV1の変形例)を示す図である。本実施形態の電源制御装置10は、先出の第1実施形態(図2)を基本としつつ、第1ドライバDRV1の構成に変更が加えられている。
本図に即して述べると、第1ドライバDRV1は、先出のトランジスタN3及び遅延回路DLY1に代えて、トランジスタP5(例えばPチャネル型MOSFET)及び遅延回路DLY5を含む。
トランジスタP5のソース及びバックゲートは、いずれも入力電圧Vinの印加端(=PVINピン)に接続されている。トランジスタP5のドレインは、トランジスタN4のソースに接続されている。トランジスタP5のゲートは、遅延回路DLY5の出力端(=遅延信号S1Xの印加端)に接続されている。なお、トランジスタP5には、ボディダイオードBD4が付随する。具体的には、トランジスタP5のソースがボディダイオードBD4のカソードに相当し、トランジスタP5のドレインがボディダイオードBD4のアノードに相当する。
遅延回路DLY5は、第1ドライバDRV1の動作タイミングを調整するように、上側ゲート制御信号SX1に所定の遅延を与えつつ、上側ゲート制御信号SX1の論理レベルを反転させて反転遅延信号S1Bを生成する。例えば、上側ゲート制御信号SX1がハイレベルに立ち上げられたときには、反転遅延信号S1Bが遅滞なくローレベルに立ち下げられる。一方、上側ゲート制御信号SX1がローレベルに立ち下げられたときには、反転遅延信号S1Bが遅延時間td1Fだけ遅れてハイレベルに立ち上げられる。遅延時間td1Fの設定手段としては、CRタイマなどを用いてもよい。
このように、トランジスタN1のゲートをBOOT-SW電源レールで駆動するゲート駆動素子としては、Nチャネル型MOSFETに代えて、Pチャネル型MOSFETを用いてもよい。
なお、本実施形態では、先出の第1実施形態(図2)を基本とした例を挙げたが、第2実施形態(図5)及び第3実施形態(図7)を基本としつつ、第1ドライバDRV1の構成に変更を加えてもよい。
<総括>
以下では、上記で説明した種々の実施形態について総括的に述べる。
以下では、上記で説明した種々の実施形態について総括的に述べる。
例えば、本明細書中に開示されているゲートドライバは、入力電圧の印加端とスイッチ電圧の印加端との間に接続されるNチャネル型の出力トランジスタのゲート容量を充放電するものであって、前記入力電圧を用いて前記ゲート容量を充電するように構成された第1ドライバと、前記スイッチ電圧よりも高いブートストラップ電圧を用いて前記ゲート容量を充電するように構成された第2ドライバと、を並列に備え、前記出力トランジスタをオンするときには、前記第1ドライバが前記第2ドライバよりも先に前記ゲート容量の充電を開始し、前記第1ドライバによる前記ゲート容量の充電が停止した後に前記第2ドライバが前記ゲート容量の充電を開始する構成(第1の構成)とされている。
なお、上記第1の構成によるゲートドライバにおいて、前記第1ドライバは、ドレインが前記入力電圧の印加端に接続されるように構成されたNチャネル型の第1トランジスタと、ソースが前記第1トランジスタのソースに接続されてゲートが前記入力電圧の印加端に接続されてドレインが前記出力トランジスタのゲートに接続されるように構成されたNチャネル型の第2トランジスタと、を含む構成(第2の構成)にしてもよい。
上記第1の構成によるゲートドライバにおいて、前記第1ドライバは、ソースが前記入力電圧の印加端に接続されるように構成されたPチャネル型の第1トランジスタと、ソースが前記第1トランジスタのドレインに接続されてゲートが前記入力電圧の印加端に接続されてドレインが前記出力トランジスタのゲートに接続されるように構成されたNチャネル型の第2トランジスタと、を含む構成(第3の構成)にしてもよい。
また、上記第1~第3いずれかの構成によるゲートドライバにおいて、前記第2ドライバは、ゲート制御信号が前記出力トランジスタをオンするときの論理レベルとなってから所定の遅延時間が経過した後に前記ゲート容量の充電を開始するように構成された遅延回路を含む構成(第4の構成)にしてもよい。
また、上記第1~第3いずれかの構成によるゲートドライバにおいて、前記第2ドライバは、ゲート制御信号が前記出力トランジスタをオンするときの論理レベルとなってから前記スイッチ電圧が所定の閾値電圧を上回ったことを検出した後に前記ゲート容量の充電を開始するように構成された検出回路を含む構成(第5の構成)にしてもよい。
また、上記第5の構成によるゲートドライバにおいて、前記第2ドライバは、前記スイッチ電圧が前記閾値電圧を上回ったことを検出してから所定の遅延時間が経過した後に前記ゲート容量の充電を開始するように構成された遅延回路を更に含む構成(第6の構成)にしてもよい。
また、例えば、本明細書中に開示されている半導体装置は、上記第1~第6いずれかの構成によるゲートドライバを備える構成(第7の構成)とされている。
上記第7の構成による半導体装置は、前記ブートストラップ電圧の印加端と前記スイッチ電圧の印加端との間に接続され、前記ゲート容量の充放電に同期して容量値が可変制御されるように構成されたキャパシタ回路を更に備える構成(第8の構成)にしてもよい。
また、上記第8の構成による半導体装置において、前記キャパシタ回路は、前記第2ドライバが前記ゲート容量の充電を開始した後に第1容量値からこれよりも小さい第2容量値に切り替わり、前記第2ドライバが前記ゲート容量の放電を開始する前に前記第2容量値から前記第1容量値に切り替わる構成(第9の構成)にしてもよい。
また、例えば、本明細書中に開示されているスイッチング電源は、上記第7~第9いずれかの構成による半導体装置を備えており、前記入力電圧から所望の出力電圧を生成する構成(第10の構成)とされている。
<その他の変形例>
なお、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。例えば、バイポーラトランジスタとMOS電界効果トランジスタとの相互置換、及び、各種信号の論理レベル反転は任意である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲により規定されるものであって、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
なお、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。例えば、バイポーラトランジスタとMOS電界効果トランジスタとの相互置換、及び、各種信号の論理レベル反転は任意である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲により規定されるものであって、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
1 スイッチング電源
10 電源制御装置(半導体装置)
11 スイッチ出力段
12 駆動回路
121 上側ゲートドライバ
122 下側ゲートドライバ
13 ブートストラップ回路
14 コントローラ
BD1~BD4 ボディダイオード
C1、C11、C12 キャパシタ
CAP キャパシタ回路
DET 検出回路
DLY0~DLY5 遅延回路
DRV1 第1ドライバ
DRV2 第2ドライバ
INV1、INV2 インバータ
L1 インダクタ
NAND 否定論理積ゲート
N1~N8 トランジスタ(Nチャネル型MOSFET)
P1~P5 トランジスタ(Pチャネル型MOSFET)
T1~T4 外部端子
X1、X2 バッファ
10 電源制御装置(半導体装置)
11 スイッチ出力段
12 駆動回路
121 上側ゲートドライバ
122 下側ゲートドライバ
13 ブートストラップ回路
14 コントローラ
BD1~BD4 ボディダイオード
C1、C11、C12 キャパシタ
CAP キャパシタ回路
DET 検出回路
DLY0~DLY5 遅延回路
DRV1 第1ドライバ
DRV2 第2ドライバ
INV1、INV2 インバータ
L1 インダクタ
NAND 否定論理積ゲート
N1~N8 トランジスタ(Nチャネル型MOSFET)
P1~P5 トランジスタ(Pチャネル型MOSFET)
T1~T4 外部端子
X1、X2 バッファ
Claims (10)
- 入力電圧の印加端とスイッチ電圧の印加端との間に接続されるNチャネル型の出力トランジスタのゲート容量を充放電するように構成されたゲートドライバであって、
前記入力電圧を用いて前記ゲート容量を充電するように構成された第1ドライバと、
前記スイッチ電圧よりも高いブートストラップ電圧を用いて前記ゲート容量を充電するように構成された第2ドライバと、
を並列に備え、
前記出力トランジスタをオンするときには、前記第1ドライバが前記第2ドライバよりも先に前記ゲート容量の充電を開始し、前記第1ドライバによる前記ゲート容量の充電が停止した後に前記第2ドライバが前記ゲート容量の充電を開始する、ゲートドライバ。 - 前記第1ドライバは、ドレインが前記入力電圧の印加端に接続されるように構成されたNチャネル型の第1トランジスタと、ソースが前記第1トランジスタのソースに接続されてゲートが前記入力電圧の印加端に接続されてドレインが前記出力トランジスタのゲートに接続されるように構成されたNチャネル型の第2トランジスタと、を含む、請求項1に記載のゲートドライバ。
- 前記第1ドライバは、ソースが前記入力電圧の印加端に接続されるように構成されたPチャネル型の第1トランジスタと、ソースが前記第1トランジスタのドレインに接続されてゲートが前記入力電圧の印加端に接続されてドレインが前記出力トランジスタのゲートに接続されるように構成されたNチャネル型の第2トランジスタと、を含む、請求項1に記載のゲートドライバ。
- 前記第2ドライバは、ゲート制御信号が前記出力トランジスタをオンするときの論理レベルとなってから所定の遅延時間が経過した後に前記ゲート容量の充電を開始するように構成された遅延回路を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のゲートドライバ。
- 前記第2ドライバは、ゲート制御信号が前記出力トランジスタをオンするときの論理レベルとなってから前記スイッチ電圧が所定の閾値電圧を上回ったことを検出した後に前記ゲート容量の充電を開始するように構成された検出回路を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のゲートドライバ。
- 前記第2ドライバは、前記スイッチ電圧が前記閾値電圧を上回ったことを検出してから所定の遅延時間が経過した後に前記ゲート容量の充電を開始するように構成された遅延回路をさらに含む、請求項5に記載のゲートドライバ。
- 請求項1~6のいずれか一項に記載のゲートドライバを備える、半導体装置。
- 前記ブートストラップ電圧の印加端と前記スイッチ電圧の印加端との間に接続され、前記ゲート容量の充放電に同期して容量値が可変制御されるように構成されたキャパシタ回路をさらに備える、請求項7に記載の半導体装置。
- 前記キャパシタ回路は、前記第2ドライバが前記ゲート容量の充電を開始した後に第1容量値からこれよりも小さい第2容量値に切り替わり、前記第2ドライバが前記ゲート容量の放電を開始する前に前記第2容量値から前記第1容量値に切り替わる、請求項8に記載の半導体装置。
- 請求項7~9のいずれか一項に記載の半導体装置を備え、前記入力電圧から所望の出力電圧を生成する、スイッチング電源。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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