JP2023081231A - はんだ合金、はんだ接合材、ソルダペースト及び接合構造体 - Google Patents

はんだ合金、はんだ接合材、ソルダペースト及び接合構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】 被接合材と接合部との接合不良を抑制し得るはんだ合金、はんだ接合材、ソルダペースト及び接合構造体の提供。【解決手段】Cuを1.1質量%以上8質量%以下と、Sbを6質量%以上20質量%以下と、Niを0.01質量%以上0.8質量%以下と、Coを0.001質量%以上1質量%以下とを含み、残部がSnからなる、はんだ合金。【選択図】図1

Description

本発明は、はんだ合金、はんだ接合材、ソルダペースト及び接合構造体に関する。
基板と電子部品、基板と半導体素子、基板同士、半導体パッケージ内の基板と放熱基板というように、被接合材同士を接合して接合構造体を作製する場合には、はんだ合金を使用した接合材や、Ag等の金属を用いた焼結型接合材を用いることが多い。
この接合構造体に生じる不具合は様々あり、その発生要因の1つとして、被接合材と接合部との接合不良が挙げられる。この接合不良は、接合材を原因とするものが多い。このような接合不良を抑制する接合材として、例えば、以下の特許文献1から3に開示されるはんだ接合材が提案されている。
特許文献1には、信頼性に優れたはんだ付け部を得ることを目的として、Sbが10~40質量%、Cuが0.5~10質量%、残部Snからなることを特徴とする形状が粉末およびソルダペーストを除く高温鉛フリーはんだ材料が開示されている。
特許文献2には、半導体素子の繰り返しの発熱によるはんだ部の熱伝導率の低下と、これを起因とするはんだ部の劣化を抑制することを目的として、高温での熱伝導率の低下を抑制し得るはんだ材、具体的には、Sbを、5.0質量%を超えて10.0質量%以下と、Agを2.0~4.0質量%と、Niを、0.1~0.4質量%含有し、残部は、Sn及び不可避不純物からなるはんだ材が開示されている。
特許文献3には、過酷な環境の電子機器用途に対する要求を満たす高信頼性Pbフリーはんだ合金の提供を目的として、2.5~4.5重量%のAg;0.6~2.0重量%のCu;5.0重量%より多く9.0重量%までのSb;0.1重量%以上で0.5重量%未満のBi、及び、0.1~4.5重量%のInのうちの少なくとも一方;オプションとして、0.001~0.2重量%のNiもしくはCo、またはそれらの両方;並びに、残余のSnを含んでなる、はんだ合金が開示されている。
特許第4401671号公報 特許第6516013号公報 特許第6730999号公報
本発明は、被接合材と接合部との接合不良を抑制し得るはんだ合金、はんだ接合材、ソルダペースト及び接合構造体の提供をその目的とする。
本発明のはんだ合金は、Cuを1.1質量%以上8質量%以下と、Sbを6質量%以上20質量%以下と、Niを0.01質量%以上0.8質量%以下と、Coを0.001質量%以上1質量%以下とを含み、残部がSnからなる。
前記はんだ合金のCu及びNiの含有量は、下記式(A)を満たすことが好ましい。
Ni/(Cu+Ni)<0.1 … (A)
前記はんだ合金は、更に0.1質量%以上3質量%未満のAgを含むことが好ましい。
前記はんだ合金は、更にAl、Ti、Si、Fe及びGeの少なくともいずれかを合計で0.003質量%以上0.5質量%以下含むことが好ましい。
本発明のはんだ接合材は、上記はんだ合金を用いる。
また、本発明のソルダペーストは、上記はんだ合金からなる粉末と、フラックスとを含む。
また、本発明の接合構造体は、第1の被接合材と、第2の被接合材とを接合する接合部を有する接合構造体であって、前記接合部は、上記はんだ接合材を用いて形成されたものである。
また、本発明の接合構造体は、第1の被接合材と、第2の被接合材とを接合する接合部を有する接合構造体であって、前記接合部は、上記ソルダペーストを用いて形成されたものである。
本発明のはんだ合金、はんだ接合材、ソルダペースト及び接合構造体は、被接合材と接合部との接合不良を抑制し得る。
本実施形態に係る接合構造体の一例である電子回路実装基板を表わす概略断面図。 本実施形態に係る接合構造体の他の一例である半導体パッケージを表わす概略断面図。 実施例及び比較例に係る各試験に用いる試験用接合体の作製時における、リフロー温度条件を表す温度プロファイル。 実施例及び比較例に係る各試験用接合体を超音波顕微鏡を用いて撮影した画像の一例であり、(a)はDCB基板側から撮影した接合界面画像A(画像A)を、(b)はCu基板側から撮影した接合界面画像B(画像B)を表わす。 実施例及び比較例に係る各試験用接合体(冷熱衝撃サイクル後)を超音波顕微鏡を用いて撮影した画像の一例であり、(a’)はDCB基板側から撮影した接合界面画像A’(画像A’)を、(b’)はCu基板側から撮影した接合界面画像B’(画像B’)を表わす。 実施例及び比較例に係る各試験用接合体を超音波顕微鏡を用いて撮影した画像の一例であり、(c)はSiチップ側から撮影した接合界面画像C(画像C)を表わす。 実施例及び比較例に係る各試験用接合体をDCB基板側からX線検査装置を用いて撮影した画像の一例である。
以下、本発明のはんだ合金、はんだ接合材、ソルダペースト及び接合構造体の一実施形態について詳細に説明する。なお、本発明がこれらの実施形態に限定されないことは、もとよりである。
1.はんだ合金
本発明のはんだ合金は、Cuを1.1質量%以上8質量%以下と、Sbを6質量%以上20質量%以下と、Niを0.01質量%以上0.8質量%以下と、Coを0.001質量%以上1質量%以下とを含み、残部がSnからなる。
本実施形態のはんだ合金は、Cuを1.1質量%以上8質量%以下含むことにより、形成されるはんだ接合部内にSn、Ni及びCoとの金属間化合物、例えば、CuSn金属間化合物、(Cu,Ni)Sn金属間化合物、(Cu,Co)Sn金属間化合物及び(Cu,Co,Ni)Sn金属間化合物等を析出させることができる。
これらの金属間化合物のうち、CuSn金属間化合物は、はんだ接合部の強度向上に寄与するものである。本実施形態のはんだ合金は、この金属間化合物をバランスよくはんだ接合部内に析出させることができる。
そのため、本実施形態のはんだ合金は、はんだ接合部に熱負荷、熱応力及び冷熱負荷がかかる場合であっても、はんだ接合部内の亀裂の発生を抑制することができる。
即ち、例えば、自動車のエンジンルーム内に実装される電子機器や電子制御装置は、エンジンのON-OFFの切り替え等により、その使用環境が高温から低温、低温から高温へと大きく変化する。そのため、このような電子機器等、また、これらに組み込まれる電子回路実装基板には、繰り返しの冷熱負荷が与えられ続ける。この冷熱負荷は、電子回路実装基板上に存在するはんだ接合部にも大きな負荷を与え、はんだ接合部内の亀裂発生の要因となり得る。また、繰り返しの冷熱負荷は、はんだ接合部に応力を生じさせる。この応力は、発生した亀裂の進展を促進させ、電子回路実装基板とこれに実装される電子部品、即ち、被接合材同士の剥離を引き起こす虞がある。このように、はんだ接合部内に生じる亀裂とその進展は、はんだ接合部の信頼性を大きく低下させる。
また、例えば、半導体素子のように、動作のON-OFFの切り替えにより、発熱と冷却を繰り返す電子部品の場合にも、これと基板とを接合するはんだ接合部には、繰り返しの冷熱負荷が与えられ続ける。そのため、このようなはんだ接合部内でも、亀裂の発生やその進展と、これに伴う半導体素子と基板との剥離は発生し易い。半導体素子が組み込まれた半導体パッケージ内での基板と冷熱基板とを接合するはんだ接合部も同様である。特に、パワー半導体素子や、SiC素子、GaN素子及びGa素子といった次世代パワー半導体素子を使用する場合には、このような現象は更に生じ易い。
このように、使用環境や動作環境が高温-低温間で変化する環境下に置かれる基板及び電子部品等の被接合材を接合するはんだ接合部には、その内部に発生する亀裂及びその進展の抑制が求められる。
一方、本実施形態のはんだ合金は、上述の通り、CuSn金属間化合物をはんだ接合部内にバランスよく析出させることができるため、はんだ接合部内の亀裂の発生を抑制することができる。
また、上述する金属間化合物のうち、(Cu,Ni)Sn金属間化合物、(Cu,Co)Sn金属間化合物及び(Cu,Co,Ni)Sn金属間化合物(以下、これらを纏めて「Cu、Ni、Co系金属間化合物」という。)は、微細な構造を有する。そのため、はんだ接合部内に亀裂が発生した場合であっても、その進展を抑制することができる。
更には、例えば、被接合材として、裏面電極にTi膜及びNi膜が成膜される半導体素子、特にパワー半導体素子を用いる場合、上述のように、パワー半導体素子に接するはんだ接合部には、繰り返しの冷熱負荷が与えられ続ける。この冷熱負荷は、上記Ni膜のはんだ接合部内への拡散を促進する。
ここで、上記Ni膜は、パワー半導体素子とはんだ接合部との接合強度を向上させるために成膜されるものである。即ち、Ni膜よりもパワー半導体素子側に成膜されるTi膜は、はんだ接合部の形成に用いられるはんだ合金に主として含まれるSnとは金属間化合物を析出し難い。そのため、パワー半導体素子とはんだ接合部との接合を容易にするために、上記Ni膜が成膜される。
しかし、上述のように、上記Ni膜がはんだ接合部内に拡散してしまうと、パワー半導体素子とはんだ接合部とを接合する成分が消失してしまうため、パワー半導体素子とはんだ接合部とが、その界面において剥離し易くなる。この剥離現象は、パワー半導体素子を組み込んだ半導体パッケージ(パワー半導体パッケージ)の信頼性を大きく低下させる。
なお、パワー半導体素子の種類によっては、上記Ni膜上に、更にAgやAuからなる薄膜を成膜されるものも存在する。しかし、Ag、Auとも、はんだ接合部内に拡散し易い元素であることから、これらの薄膜の存在によって上記Ni膜の拡散を抑制することは難しい。
更には、上記Ti膜は、パワー半導体素子の作製条件によっては酸化状態(TiO膜)となっているものもある。TiO膜は、Ti膜よりも更にSnとの金属間化合物を析出し難い。そのため、この場合、上記剥離現象は更に生じ易くなる。
しかし、本実施形態のはんだ合金により形成されるはんだ接合部の場合、上述するCu、Ni、Co系金属間化合物の存在が、上記Ni膜のはんだ接合部内への拡散を抑制し得る。即ち、これらの金属間化合物は、はんだ接合時に半導体素子とはんだ接合部との界面及びその付近に析出し易く、また、上述の通り、微細な構造を有するため、上記Ni膜の拡散を抑制する働きを有するものと推察される。
そのため、本実施形態のはんだ合金は、上述するパワー半導体素子とはんだ接合部との、その界面での剥離の発生も抑制することができる。
好ましいCuの含有量は、1.5質量%以上7質量%以下、2質量%以上6.5質量%以下である。更に好ましいCuの含有量は、3質量%以上6質量%以下、3質量%以上4質量%以下である。Cuの含有量をこの範囲とすることで、はんだ接合部の強度を更に向上させることができる。
また、本実施形態のはんだ合金は、Sbを6質量%以上20質量%以下含むことにより、はんだ接合部内におけるSbの固溶強化を向上させるとともに、当該はんだ接合部内にSbSn金属間化合物(例えば、SbSn金属間化合物)を析出させることができる。これにより、はんだ接合部の強度を向上させ、上述するはんだ接合部内での亀裂発生、特に、高い熱負荷がかかる環境下における亀裂発生と、その進展を抑制することができる。
好ましいSbの含有量は、6質量%以上15質量%以下、7質量%以上15質量%以下、7質量%以上14質量%以下である。更に好ましいSbの含有量は、8質量%以上13質量%以下、9質量%以上12質量%以下、10質量%以上11質量%以下である。Sbの含有量をこの範囲とすることで、はんだ接合部内の上記Sbの固溶強化を更に向上させ、また、上記金属間化合物をバランスよく析出させることができ、はんだ接合部の強度を更に向上させることができる。
また、本実施形態のはんだ合金は、Niを0.01質量%以上0.8質量%以下含むことにより、上述のように、はんだ接合部内にSn、Cu、Coとの金属間化合物、例えば、(Cu,Ni)Sn金属間化合物及び(Cu,Co,Ni)Sn金属間化合物を析出させることができる。上述するように、これらの金属間化合物は微細な構造を有するため、はんだ接合部内に発生する亀裂の進展を抑制することができる。
好ましいNiの含有量は、0.02質量%以上0.4質量%以下、0.025質量%以上0.35質量%以下、0.03質量%以上0.3質量%以下である。更に好ましいNiの含有量は、0.035質量%以上0.2質量%以下である。Niの含有量をこの範囲とすることで、はんだ接合部内に発生する亀裂の進展を更に抑制することができる。
また、本実施形態のはんだ合金は、Coを0.001質量%以上1質量%以下含むことにより、上述のように、はんだ接合部内にSn、Ni、Cuとの金属間化合物、例えば、(Cu,Co)Sn金属間化合物及び(Cu,Co,Ni)Sn金属間化合物を析出させることができる。上述するように、これらの金属間化合物は微細な構造を有するため、はんだ接合部内に発生する亀裂の進展を抑制することができる。
好ましいCoの含有量は、0.002質量%以上0.9質量%以下、0.003質量%以上0.8質量%以下、0.004質量%以上0.8質量%以下である。更に好ましいCoの含有量は、0.005質量%以上0.6質量%以下である。特に好ましいCoの含有量は、0.006質量%以上0.5質量%以下、0.007質量%以上0.4質量%以下、0.007質量%以上0.3質量%以下である。Coの含有量をこの範囲とすることで、はんだ接合部内に発生する亀裂の進展を更に抑制することができる。
本実施形態のはんだ合金は、Snを含むはんだ合金に、Cu及びSbを所定量添加することにより、はんだ接合部内にSn、Cu、Sbの金属間化合物として、CuSn金属間化合物及びSbSn金属間化合物を析出させることができる。
また、本実施形態のはんだ合金は、Snを含むはんだ合金にCu、Ni及びCoを所定量添加することにより、はんだ接合部内に、微細な構造を有するCu、Ni、Co系金属間化合物を析出させることができる。
そして、本実施形態のはんだ合金は、上述する金属間化合物をバランスよくはんだ接合部内に析出させることにより、はんだ接合部内の亀裂の発生とその進展を抑制し得ると考えられる。
また、本実施形態のはんだ合金は、上述の通り、Ni膜を有する半導体素子(特に、パワー半導体素子)における、Ni膜のはんだ接合部内への拡散も抑制し得る。
このように、本実施形態のはんだ合金は、使用環境や動作環境が高温-低温間で変化する環境下に置かれる基板及び電子部品等、基板と半導体素子、半導体パッケージ内の基板と放熱基板といった被接合材の接合に、特に好適に用いることができる。
また、本実施形態のはんだ合金のCu及びNiの含有量は、下記式(A)を満たすことが好ましい。
Ni/(Cu+Ni)<0.1 … (A)
本実施形態のはんだ合金が、この範囲でCu及びNiを含有する場合、はんだ接合部内に発生する亀裂とその進展を更に抑制することができる。
なお、本実施形態のはんだ合金のCu及びNiの含有量は、下記式(A’)を満たすことが更に好ましい。
0.03<Ni/(Cu+Ni)<0.09 … (A’)
なお、上記式(A)及び(A’)については、小数第3位を四捨五入して算出する。
また、本実施形態のはんだ合金は、更にAgを0.1質量%以上3質量%未満含むことができる。この場合、はんだ接合部内にAgSn金属間化合物を析出させ、はんだ接合部内の残留応力を低減させることができる。また、これにより、はんだ接合部の機械的強度を向上させることができる。
また、このようなはんだ合金をソルダぺーストに用いる場合、そのボイド発生抑制効果を向上させることができる。
好ましいAgの含有量は、0.2質量%以上2.9質量%以下、0.2質量%以上2.5質量%以下、0.2質量%以上2質量%以下である。更に好ましいAgの含有量は、0.5質量%以上1.5質量%以下である。Agの含有量をこの範囲とすることで、はんだ接合部の機械的強度を更に向上させることができる。
また、本実施形態のはんだ合金には、更にAl、Ti、Si、Fe及びGeの少なくともいずれかを含有させることができる。この場合、はんだ接合部の強度を更に向上させることができる。
Al、Ti、Si、Fe及びGeの少なくともいずれかの合計含有量は、0.003質量%以上0.5質量%以下であることが好ましく、0.005質量%以上0.3質量%以下であることが更に好ましい。これらの合計含有量をこの範囲内とすることで、はんだ接合部の強度を更に向上させることができる。
なお、本実施形態のはんだ合金は、その残部がSnからなる。なお、当該はんだ合金には、当然ながら不可避不純物が含まれる。
2.はんだ接合材
本実施形態のはんだ接合材は、上述する実施形態のはんだ合金を用いたものであり、例えば、以下のものが挙げられる。
・ソルダプリフォーム
ソルダプリフォームとしては、シート状のものであればよく、その形状は問わない。例えば、ディスク状、角状、テープ状等のものを使用することができる。また、前記ソルダプリフォームの作製にあたっては、例えば、上述する実施形態のはんだ合金からなるインゴットを圧延機を用いて圧延する方法等、公知の作製方法を用いることができる。前記ソルダプリフォームの形状、大きさ及び厚みは、使用する基板、半導体素子等の種類等によって適宜調整し得る。好ましいその厚みは、10μm以上500μm以下であり、更に好ましいその厚みは、30μm以上300μm以下である。
また、前記ソルダプリフォームの表面に後述するフラックスを塗布してはんだ接合を行うこともできる。また、ソルダプリフォームの表面に有機酸等を予めフラックスコートしてはんだ接合を行うこともできる。更には、当該ソルダプリフォームは、例えば、還元性雰囲気のギ酸リフローや水素リフロー等を用いてはんだ接合を行うこともできる。
・はんだ接合層を有する接合材
はんだ接合層を有する接合材としては、例えば、以下の構造を有する接合材が挙げられる。
即ち、前記はんだ接合層を有する接合材は、例えば、強化層と、はんだ層とを有する。このはんだ層は、前記強化層の上面及び下面に熱間圧延方法等を用いて積層される。前記はんだ層は、上述する実施形態のはんだ合金を用いて形成される。
また、前記強化層は、コア基材を有する。このコア基材は、例えば、CuMo、Mo等からなる。なお、必要に応じ、当該コア基材の両面に金属層を設けてもよい。この金属層としては、例えば、Ni、Sn、Cu、Au及びAgの少なくともいずれかからなる層や、これらの合金元素由来の金属間化合物を有する層や、これらの組み合わせであってよい。前記金属層は、例えば、めっき処理等により形成される。
・ソルダペースト
本実施形態のソルダペーストについては、以下の3.にて詳述する。
なお、本実施形態のはんだ接合材は、ソルダプリフォーム、後述するソルダペースト以外にも、被接合材同士の接合に用いることができるものであれば、どのような態様であってもよい。
そして、本実施形態のはんだ接合材は、上述する実施形態のはんだ合金を用いるため、上述のように所定の金属間化合物をバランスよくはんだ接合部内に析出させることができる。そのため、はんだ接合部に熱負荷、熱応力及び冷熱負荷がかかる場合であっても、はんだ接合部内の亀裂の発生とその進展を抑制し得ると考えられる。これにより、本実施形態のはんだ接合材は、被接合材同士の剥離現象を抑制することができる。
また、本実施形態のはんだ接合材は、上述の通り、Ni膜を有する半導体素子における、Ni膜のはんだ接合部内への拡散も抑制し得る。
このように、本実施形態のはんだ接合材は、使用環境や動作環境が高温-低温間で変化する環境下に置かれる被接合材の接合に、特に好適に用いることができる。
3.ソルダペースト
本実施形態のソルダペーストは、例えば、上述する実施形態のはんだ合金を粉末状にしたもの(はんだ合金からなる粉末)と、フラックスとを混練し、ペースト状にすることにより作製される。
前記はんだ合金からなる粉末は、上述する実施形態のはんだ合金を公知の方法で粉末状とすることにより得られる。前記はんだ合金からなる粉末の粒径(動的光散乱法により測定)は、例えば、1μm以上40μm以下とすることができる。また、この粒径を5μm以上35μm以下、10μm以上30μm以下としてもよい。
また前記フラックスとしては、例えば、樹脂と、チクソ剤と、活性剤と、溶剤とを含むフラックスが用いられる。
前記樹脂としては、例えば、ロジン系樹脂;アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸の各種エステル、メタクリル酸の各種エステル、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸のエステル、無水マレイン酸のエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、塩化ビニル、酢酸ビニル等の少なくとも1種のモノマーを重合してなるアクリル樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂等が挙げられる。これらは、単独でまたは複数を組合せて用いることができる。
前記ロジン系樹脂としては、例えば、トール油ロジン、ガムロジン、ウッドロジン等のロジン類;水添ロジン(部分水添、完全水添)、重合ロジン、不均一化ロジン、アクリル酸変性ロジン、マレイン酸変性ロジン、ホルミル化ロジン等のロジン系変性樹脂;並びにこれらの誘導体等が挙げられる。これらは、単独でまたは複数を組合せて使用することができる。
前記樹脂の酸価は、例えば、10mgKOH/g以上250mgKOH/g以下とすることができる。また、前記樹脂の配合量は、例えば、フラックス全量に対して10質量%以上90質量%以下とすることができる。
前記チクソ剤としては、例えば、硬化ひまし油、ビスアマイド系チクソ剤(飽和脂肪酸ビスアマイド、不飽和脂肪酸ビスアマイド、芳香族ビスアマイド等)、ジメチルジベンジリデンソルビトール等が挙げられる。これらは、単独でまたは複数を組合せて使用することができる。前記チクソ剤の配合量は、例えば、フラックス全量に対して3質量%以上15質量%以下とすることができる。
前記活性剤としては、例えば、有機酸、ハロゲンを含む化合物、アミン系活性剤等が挙げられる。これらは、単独でまたは複数を組合せて使用することができる。
有機酸としては、例えば、モノカルボン酸、ジカルボン酸、その他の有機酸が挙げられる。
モノカルボン酸としては、例えば、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、グリコール酸等が挙げられる。
ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、エイコサン二酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、ジグリコール酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
その他の有機酸としては、例えば、ダイマー酸、レブリン酸、乳酸、アクリル酸、安息香酸、サリチル酸、アニス酸、クエン酸、ピコリン酸、アントラニル酸等が挙げられる。
ハロゲンを含む化合物としては、例えば、非解離性のハロゲン化合物(非解離型活性剤)及び解離性のハロゲン化合物(解離型活性剤)が挙げられる。
非解離型活性剤としては、ハロゲン原子が共有結合により結合した非塩系の有機化合物が挙げられる。当該有機化合物は、例えば、塩素化物、臭素化物、ヨウ素化物、フッ化物のように塩素、臭素、ヨウ素、フッ素の各単独元素が共有結合した化合物でもよく、また2以上の異なるハロゲン原子が共有結合で結合した化合物でもよい。また当該有機化合物は、水性溶媒に対する溶解性を向上させるために、例えばハロゲン化アルコールのように水酸基等の極性基を有することが好ましい。
アミン系活性剤としては、例えば、アミン類、アミン塩類、アミノ酸類、アミド系化合物等が挙げられる。
前記活性剤の配合量は、フラックス全量に対して5質量%以上15質量%以下とすることができる。また、その配合量を、フラックス全量に対して7質量%以上13質量%以下や、9質量%以上11質量%以下とすることもできる。
前記溶剤としては、例えば、アルコール系、ブチルセロソルブ系、グリコールエーテル系、エステル系等が挙げられる。これらは、単独でまたは複数を組合せて使用することができる。
前記溶剤の配合量は、フラックス全量に対して20質量%以上50質量%以下とすることができる。また、その配合量を、フラックス全量に対して20質量%以上40質量%以下や、35質量%以上40質量%以下とすることもできる。
前記フラックスには、酸化防止剤を配合することができる。この酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、ビスフェノール系酸化防止剤、ポリマー型酸化防止剤等が挙げられる。これらの中でも特にヒンダードフェノール系酸化防止剤が、好ましく用いられる。
前記酸化防止剤の種類はこれらに限定されるものではなく、またその配合量も特に限定されるものではない。その一般的な配合量は、フラックス全量に対して0.5質量%から5質量%程度である。
前記フラックスには、更につや消し剤、消泡剤等の添加剤を加えてもよい。この添加剤の配合量は、フラックス全量に対して10質量%以下とすることができ、また、5質量%以下とすることもできる。
本実施形態のソルダペーストを作製する場合の、前記はんだ合金からなる粉末とフラックスとの配合比(質量%)は、はんだ合金からなる粉末:フラックスの比で65:35から95:5とすることができる。また、例えば、その配合比を、85:15から93:7や、87:13から92:8とすることもできる。
本実施形態のソルダペーストを用いて被接合材同士を接合する場合、上述するはんだ接合部内の亀裂とその進展による被接合材同士の剥離現象を抑制することができると共に、はんだ接合部内のボイド発生を抑制することができる。そのため、更に信頼性の高いはんだ接合部を提供することができる。
4.接合構造体
上述する実施形態のはんだ合金、はんだ接合材及びソルダペーストを用いて作製される接合構造体と、これを含む構造の一例を、図1及び図2を用いて説明する。
図1は、上述する実施形態のはんだ接合材(ソルダペーストを含む。)を用いて作製される電子回路実装基板の概略断面図である。
電子回路実装基板100は、基板110と、電子部品120と、はんだ接合部130と、フラックス残さ140とを有する。
基板110の表面上には、電極112と、絶縁層114とが形成されている。
はんだ接合部130は、上述する実施形態のはんだ接合材を用いて形成される。なお、基板110と電子部品120との接合にあたってフラックスを用いる場合、基板110上にはフラックス残さ140が形成される。このフラックス残さ140は、接合後の洗浄により除去される場合もある。
なお、電子部品120としては、高い耐熱性を有するものが好ましく用いられる。
電子回路実装基板100においては、被接合材は、基板110と電子部品120である。従って、本実施形態においては、接合構造体は、基板110、電子部品120及びはんだ接合部130を指す。
電子回路実装基板100は、例えば以下の方法にて作製される。
即ち、基板110の電極112上に上述する実施形態のはんだ接合材を載置(ソルダペーストの場合は塗布)し、その上に電子部品120を載置する。そして、所定の温度条件にてリフロー装置を用いてこれらを接合する。この接合方法は、公知の方法を用いることができる。また、加熱温度等のリフロー条件は、適宜変更することができる。
そして、上述の通り、はんだ接合部130は、上述する実施形態のはんだ接合材を用いて形成される。そのため、はんだ接合部130に熱負荷、熱応力及び冷熱負荷がかかる場合であっても、はんだ接合部130内の亀裂の発生とその進展を抑制し得る。これにより、基板110と電子部品120との剥離現象を抑制することができ、信頼性の高い接合構造体を提供できる。
なお、電子部品120のリードフレームや下面電極にNiめっきが施されている場合(Niめっきに更に他のめっきが施されている場合も含む)、このNiめっきのはんだ接合部130内への拡散も抑制することができるため、この場合にあっても、信頼性の高い接合構造体を提供できる。
このように、本実施形態の接合構造体を有する電子回路実装基板100は、高い信頼性を確保することができる。
また、使用するはんだ接合材がソルダペーストの場合、即ち、上述する実施形態のソルダペーストを用いてはんだ接合部130を形成する場合、はんだ接合部130内におけるボイドの発生を抑制することもできるため、更に信頼性の高いはんだ接合部130と、これを含む接合構造体及び電子回路実装基板100を提供することができる。
また、図2は、上述する実施形態のはんだ接合材(ソルダペーストを含む。)を用いて作製される半導体パッケージの概略断面図である。
半導体パッケージ1000は、基板1100と、接合部1200と、半導体素子1300と、ワイヤ1400と、リードフレーム1500と、はんだ部1600と、Cuベース基板1700と、筐体1800と、モールド樹脂1900とを有する。半導体素子1300の裏面電極には、半導体素子1300側から順にTi膜及びNi膜が成膜されている(図示せず)。
接合部1200は、上述する実施形態のはんだ接合材を用いて形成される。接合部1200は、基板1100と半導体素子1300とを接合するものであって、基板1100と半導体素子1300とに挟着されている。
基板1100は、例えばCu基板、両面にCu層を有するDBC(Direct Bonded Copper)基板や、両面にAl層を有するDBA(Direct Bonded Aluminum)基板が好ましく用いられる。
半導体素子1300の種類は特に限定されず、Si素子、SiC素子、GaN素子、Ga素子等を使用することができる。
ワイヤ1400は、半導体素子1300表面に形成された電極(図示せず)と、リードフレーム1500とを電気的に接続するものである。
はんだ部1600は、Cuベース基板1700と基板1100とを接合するものである。はんだ部1600も、上述する実施形態のはんだ接合材を用いて形成される。
Cuベース基板1700は、放熱性を有するものであり、放熱基板としての役割を果たす。
また半導体パッケージ1000は筐体1800で覆われており、内部にモールド樹脂1900が充填されている。
このように、半導体パッケージ1000は、少なくとも以下の接合構造体を有することとなる。
・被接合材が基板1100と半導体素子1300であり、これらを接合する接合部が接合部1200である接合構造体。
・被接合材が基板1100とCuベース基板1700であり、これらを接合する接合部がはんだ部1600である接合構造体。
半導体パッケージ1000は、例えば以下の方法にて作製される。
即ち、基板1100上に上述する実施形態のはんだ接合材を載置(ソルダペーストの場合は、塗布)し、その上に半導体素子1300を配置し、所定の荷重をかけてリフロー装置を用いてこれらを接合する。その後、ワイヤ1400を用いて半導体素子1300とリードフレーム1500とを接合する。次いで、半導体素子1300が実装された基板1100とCuベース基板1700とを上述する実施形態のはんだ接合材を用いて接合し、筐体1800でこれらを覆う。その後、その内部にモールド樹脂1900を充填し、これを硬化させることにより、半導体パッケージ1000が作製される。
半導体パッケージ1000内の接合部1200は、上述の通り、上述する実施形態のはんだ接合材を用いて形成される。そのため、接合部1200に熱負荷、熱応力及び冷熱負荷がかかる場合であっても、接合部1200内の亀裂の発生とその進展を抑制し得ると考えられる。これにより、基板1100と半導体素子1300との剥離現象を抑制することができ、信頼性の高い接合構造体を提供できる。
また、接合部1200は、Ni膜を有する半導体素子1300における、Ni膜の接合部1200内への拡散も抑制し得るため、信頼性の高い接合構造体を提供できる。
また、半導体パッケージ1000内のはんだ部1600も、上述の通り、上述する実施形態のはんだ接合材を用いて形成される。そのため、はんだ部1600に熱負荷、熱応力及び冷熱負荷がかかる場合であっても、はんだ部1600内の亀裂の発生とその進展を抑制し得ると考えられる。これにより、基板1100とCuベース基板1700との剥離現象を抑制することができ、信頼性の高い接合構造体を提供できる。また、半導体素子1300から生じる熱を長時間に亘り、効率的に外部に排出することができる。
このように、本実施形態の接合構造体を有する半導体パッケージ1000は、高い信頼性を確保することができる。
また、使用するはんだ接合材がソルダペーストの場合、即ち、上述する実施形態のソルダペーストを用いてはんだ接合部1300及びはんだ部1600を形成する場合、これらの内部におけるボイドの発生を抑制することもできるため、更に信頼性の高い接合構造体及び半導体パッケージ1000を提供することができる。
このように、本実施形態の接合構造体は、使用環境や動作環境が高温-低温間で変化する環境下に置かれる場合であっても、高い信頼性を確保することができる。
なお、電子回路実装基板100及び半導体パッケージ1000は上記形態に限定されるものではなく、その効果を阻害しない範囲において種々の変更が可能である。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳述する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
ソルダプリフォーム
表1に記載の各はんだ合金を用い、各ソルダプリフォームA(40mm×30mm、厚さ300μm)を作製した。
なお、表1に記載の各はんだ合金のNi/(Ni+Cu)の値は、小数第3位を四捨五入して算出した。
Figure 2023081231000002
(1)剥離発生確認試験
以下の用具を用意した。
・DCB基板(サイズ:43mm×33mm、層間材:Si4、厚み0.3mm、上側Cuランド厚み0.2mm、下側Cuランド厚み0.3mm)
・Cu基板(Cu板、サイズ:50mm□、厚み:3mm)
前記各ソルダプリフォームAにフラックス(製品名:EC-19S-8、(株)タムラ製作所製)を塗布乾燥後、前記Cu基板上に各ソルダプリフォームAを載置した。そして、前記各ソルダプリフォームA上(中央部)に前記DCB基板をそれぞれ載置した。
そして、これらを以下の条件下でリフローし、前記Cu基板と、前記DCB基板と、これらを接合する接合部を有する各試験用接合体を作製した。
・リフロー条件
リフロー装置(製品名:SMT Scope SK-5000、山陽精工(株)製)を用いて、図3に示す温度プロファイル条件(ピーク温度:350℃)に基づき、リフローを行った。
なお、リフローにおいては、酸素濃度100ppmの雰囲気下及び大気圧下で加熱を開始し、リフロー温度が240℃に到達した時点で真空引きを開始し、フロー装置内の圧力を100Paまで減圧し、これを維持した。そしてリフロー温度が350℃に到達した後、30秒間温度を維持した後に減圧を解除し、リフロー装置内の圧力を大気圧まで戻し、冷却を行った。温度プロファイルに伴うリフロー装置内の圧力の変化(点線で表示)を併せて図3に示す。
そして、各試験用接合体について超音波顕微鏡(製品名:C-SAM Gen6、ノードソン・アドバンスト・テクノロジー社製)を用いて、前記DCB基板側から撮影した接合界面画像(画像A、図4(a)参照)と、前記Cu基板側から撮影した接合界面画像(画像B、図4(b)参照)とを取得した。
そして、画像A上で前記DCB基板と前記接合部とが重複して見える領域Aのうち両者が接合している領域の面積と、画像B上で前記Cu基板と前記接合部とが重複して見える領域Bのうち両者が接合している領域の面積との合計値(面積X1)を以下の方法にて算出した。
即ち、領域Aの面積及び領域Bの面積の合計値(面積Y1)と、領域A及び領域Bにおける未接合部分(図4(a)の領域A及び図4(b)の領域Bにおいて白色を示す部分)の面積の合計値(面積Z1)とを算出し、面積Y1から面積Z1を引いた値を面積X1とした。
そして、算出した面積X1を面積Y1にて割った値を接合率1とした。
次いで、-55℃(15分間)から175℃(15分間)の条件に設定した冷熱衝撃試験装置(製品名:ES-76LMS、日立アプライアンス(株)製)を用い、冷熱衝撃サイクルを200サイクル繰り返す環境下に前記各試験用接合体を晒した後これを取り出した。この冷熱衝撃サイクル後の前記各試験用接合体について、超音波顕微鏡(製品名:C-SAM Gen6、ノードソン・アドバンスト・テクノロジー社製)を用いて、前記DCB基板側から撮影した接合界面画像(画像A’、図5(a’)参照)と、前記Cu基板側から撮影した接合界面画像(画像B’、図5(b’)参照)とを取得した。そして、上記と同様の方法で接合率(接合率2)を算出した。
接合率1と接合率2との差分、即ち未接合部分の増加率を剥離率として、以下の基準に基づき評価した。その結果を表2に示す。
○:剥離率が10%未満
△:剥離率が10%以上20%未満
×:剥離率が20%以上
(2)Ni喰われ確認試験
表1に記載の各はんだ合金を用い、各ソルダプリフォームB(6mm×6mm、厚さ60μm)を作製した。
また、以下の用具を用意した。
・Siチップ(サイズ:5mm□、厚み:0.3mm、接合面側にTi成膜(0.1μm)とNi成膜(0.5μm)が順次積層されているもの)
・基板(電解NiメッキCu板、サイズ:20mm□、厚み:1mm、Niメッキの厚み:5μm)
前記基板上(中央部)に、フラックス(製品名:EC-19S-8、(株)タムラ製作所製)を塗布乾燥した各ソルダプリフォームBを載置した。そして、各ソルダプリフォームB上(中央部)に前記Siチップをそれぞれ載置した。
そして、上記(1)剥離確認試験と同じ条件でリフローし、前記基板と、前記Siチップと、これらを接合する接合部を有する各試験用接合体を作製した。
そして、各試験用接合体について、超音波顕微鏡(製品名:C-SAM Gen6、ノードソン・アドバンスト・テクノロジー社製)を用いて、前記Siチップ側から撮影した接合界面画像(画像C、図6(c)参照)を取得した。
そして、画像C上、前記Siチップと接合部とが重複して見える領域Cのうち、両者が接合している領域の面積(X2)を以下の方法にて算出した。
即ち、領域Cの面積(面積Y2)と、領域Cにおける未接合部分(図6(c)に示す領域C内で白色を示す部分)の面積(面積Z2)とを算出し、面積Y2から面積Z2を引いた値を面積X2とした。
そして、算出した面積X2を面積Y2にて割った値を接合率1’とした。
次いで、各試験用接合体について、送風定温恒温器(製品名:DKN402、ヤマト科学(株)製)を用い、210℃で500時間加熱した。そして加熱後の各試験用接合体について、上記と同様の方法で接合率(接合率2’)を算出した。
接合率1’と接合率2’との差分、即ち未接合部分の増加率をNi喰われ率として、以下の基準に基づき評価した。その結果を表2に示す。
◎:Ni喰われ率が5%未満
○:Ni喰われ率が5%以上10%未満
△:Ni喰われ率が10%以上20%未満
×:Ni喰われ率が20%以上
ソルダペースト
以下の各成分を調整し、フラックスを得た。
樹脂:KE-604(アクリル変性水添ロジン 荒川化学工業(株)製) 50質量%
活性剤:スベリン酸 2質量%、マロン酸 0.5質量%、ジブロモブテンジオール 1質量%
溶剤:ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(DEH) 38.5質量%
チクソ剤:ヒマコウ(12-ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド ケイエフ・トレーディング(株)製) 5質量%
添加剤:イルガノックス245(ヒンダードフェノール系酸化防止剤 BASFジャパン(株)製) 3質量%
前記フラックス11.0質量%と、表1に記載の各はんだ合金の粉末(粉末粒径20μmから38μm)89.0質量%とを混合し、実施例及び比較例に係る各ソルダペーストを作製した。
(3)ボイド発生確認試験
上記(1)剥離発生確認試験で用いたものと同じ用具と、メタルマスク(開口部:40mm×30mm、厚み:0.6mm)とを用意した。
前記Cu基板上(中央部)に、前記メタルマスクを用いて各ソルダペーストを印刷した。次いで印刷された各ソルダペーストの表面(中央)に前記DCB基板をそれぞれ載置した。
これらを、上記(1)剥離発生確認試験と同じ条件でリフローし、前記Cu基板と、前記DCB基板と、これらを接合する接合部を有する各試験用接合体を作製した。
そして、前記各試験用接合体の表面状態を上面(前記DCB基板側)からX線検査装置(製品名:XD7600NT Diamond、ノードソン社製)で観察し(図7参照)、前記各試験用接合体の前記DCB基板と前記接合部が重複する領域の面積及び接合部に発生したボイドの面積を計測した。
そして、前記各試験用接合体について、以下の式に基づき、ボイド面積率を算出した。
接合部に発生したボイドの総面積/前記DCB基板と接合部とが重複する領域の面積×100(%)
そして、算出した前記各試験用接合体のボイド面積率について、以下の基準に基づき評価した。その結果を表2に示す。
◎:1%未満
○:1%以上3%未満
△:3%以上5%未満
×:5%以上
Figure 2023081231000003
以上から、実施例に係るソルダプリフォームを用いて形成された接合部は、高い温度が負荷される場合においても、接合部内に発生する亀裂とその進展による被接合材(本実施例においては、基板とDCB基板)の剥離を抑制することができることが分かる。そのため、このような接合部を含む接合構造体を有する半導体パッケージにおいては、半導体素子から生じる熱を長時間に亘り、効率的に外部に排出することができる。
また、実施例に係るソルダプリフォームは、SiチップのNi膜の接合部内への拡散も抑制できることが分かる。
このように、実施例に係るソルダプリフォームは、被接合材同士の剥離の発生を抑制でき、信頼性の高い接合部及び接合構造体を提供することができる。
また、本実施例に係るソルダペーストは、これを用いて形成される接合部内のボイド発生を抑制することができるため、更に信頼性の高い接合部及び接合構造体を提供することができる。
一方、Cu、Sb、Ni、Co及びSnを含むものの、各合金元素の含有量が所定の範囲外であるはんだ合金を用いた比較例のソルダプリフォーム及びソルダペーストの場合、上記試験結果の少なくともいずれかが×となっていることが分かる。
従って本発明のはんだ合金、はんだ接合体、ソルダペーストは、使用環境や動作環境が高温-低温間で変化する環境下に置かれる被接合材の接合に、特に好適に用いることができる。また、このような接合部を有する接合構造体は、高い信頼性を確保することができる。
100 … 電子回路実装基板
110 … 基板
112 … 電極
114 … 絶縁層
120 … 電子部品
130 … はんだ接合部
140 … フラックス残渣
1100 … 半導体パッケージ
1100 … 基板
1200 … 接合部
1300 … 半導体素子
1400 … ワイヤ
1500 … リードフレーム
1600 … はんだ部
1700 … Cuベース基板
1800 … 筐体
1900 … モールド樹脂

Claims (8)

  1. Cuを1.1質量%以上8質量%以下と、Sbを6質量%以上20質量%以下と、Niを0.01質量%以上0.8質量%以下と、Coを0.001質量%以上1質量%以下とを含み、残部がSnからなる、はんだ合金。
  2. Cu及びNiの含有量は、下記式(A)を満たす、請求項1に記載のはんだ合金。
    Ni/(Cu+Ni)<0.1 … (A)
  3. 更に0.1質量%以上3質量%未満のAgを含む、請求項1または請求項2に記載のはんだ合金。
  4. 更にAl、Ti、Si、Fe及びGeの少なくともいずれかを合計で0.003質量%以上0.5質量%以下含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のはんだ合金。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のはんだ合金を用いる、はんだ接合材。
  6. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のはんだ合金からなる粉末と、フラックスとを含む、ソルダペースト。
  7. 第1の被接合材と、第2の被接合材とを接合する接合部を有する接合構造体であって、
    前記接合部は、請求項5に記載のはんだ接合材を用いて形成されたものである、接合構造体。
  8. 第1の被接合材と、第2の被接合材とを接合する接合部を有する接合構造体であって、
    前記接合部は、請求項6に記載のソルダペーストを用いて形成されたものである、接合構造体。

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