JP2023081216A - 総義歯用咬合採得装置及び咬合採得方法 - Google Patents

総義歯用咬合採得装置及び咬合採得方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡単な操作で適切な咬合採得を行うことができる簡易な構造の総義歯用咬合採得装置及びそれを用いた咬合採得方法を提供する。【解決手段】上下一対のロウ堤12a,12bと、上下の一方のロウ堤12の左右両側に固定される左右一対のバイトリム13,13と、を備え、上下一対のロウ堤12a,12bは、前歯部14a,14b及び臼歯部15a,15bを有し、バイトリム13は、一方のロウ堤12bにおける臼歯部15bに固定する固定部13aと、固定部13aから他方のロウ堤12a側に突出する複数の印記突部13bと、を備え、固定部13aは、臼歯部15bの頂部に裏面が密着する基板部13cと、基板部13cの裏面に設けられて臼歯部15bに埋設される係止突起13dと、を備え、複数の印記突部13bは、基板部13cの表面に間隔を空けて同じ高さで突設され、一対のロウ堤12a,12bは、常温下で所定の圧痕17を形成可能なロウ材により形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、歯科治療において総義歯を製作するために使用する咬合採得装置とこの咬合採得装置を用いた咬合採得方法に関する。
歯科治療において総義歯を製作する場合、通常、患者から採取した作業模型が作られ、この作業模型をもとにして適正な噛み合わせの位置を決定することになる。このため、パラフィンワックスなどからなるロウ堤を用いて咬合採得が行われる。従来、この咬合採得のために様々な器具が提案されている。
例えば特許文献1には、総義歯製作時にレジン製基礎床上にU字型のパラフィンワックス製の咬合堤を配置し、このパラフィンワックス製咬合堤の左右臼歯相当部位に固定する剛性プレートが開示されており、この剛性プレートに、第1小臼歯、第2小臼歯、第1大臼歯、第2大臼歯の模擬的立体形状の上部形状が突出形成され、裏面ないし下部には咬合堤に固定するための固定手段が設けられたものが提案されている。
特許文献1記載の技術によれば、咬合堤へ固定するための固定手段を設けたことで、剛性プレートを咬合堤に確実に固定でき上下の位置ずれなく正確に位置決めして、模擬的立体形状の上部形状が前後左右でバランス良く付くように調整しながら咬合採得を行うことができるとされ、咬合採得の精度が従来の方法に比べて向上するというものである。
ところで、パラフィンワックスなどのロウ堤を用いた従来の一般的な咬合採得の方法では、ロウ堤を加熱して軟化しなければならないことが咬合採得を難しくしていた。まずロウ堤を加熱して軟化する際には大きな範囲を均一に軟化しなければならない。また加熱して軟化している僅か数分の間に一回で迅速に印記を完了しなければならず、術者、患者ともに時間的な余裕がなかった。一方で、作業時間を長く確保するために硬化を遅くするには、加熱温度を上げるか、採得の途中で一旦ロウ堤を外してやり直すなどの必要があり、火傷のおそれや手技に時間を要している。またロウ堤同士を当接させて印記する方法もあるが、面と面での作業になり、そもそも平面が合っていないとロウ堤が患者の顎堤から浮き上がったり外れたりすることもあって、これも咬合採得を難しくしている要因となっていた。
さらに特許文献2、3では、パラフィンワックスを用いた下顎咬合堤の左右臼歯部に対応する位置に接着する下側部材と、上顎基礎床の下側部材に対向する位置に接着する上側部材とを備え、上側部材には下側部材に当接して摺動可能な複数の凸部を備えた3D調整具が提案されている。このような3D調整具を用いて、上側部材の複数の凸部を軟化状態のロウ堤ではなく下側部材に当接させることで、術者の技術等によらず下顎の位置合わせを行うように工夫しているが、装置構造が複雑になり操作に手間を要する。
特開2011-62473号公報 特開2018-23404号公報 国際公開第2017/134875号公報
そこで本発明では、簡単な操作で適切な咬合採得を行うことができる簡易な構造の総義歯用咬合採得装置とこの咬合採得装置を用いた咬合採得方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決する本発明の総義歯用咬合採得装置は、上顎部及び下顎部に互いに対向するように装着される上下一対のロウ堤と、上下ロウ堤のうち一方のロウ堤の左右両側の頂部に固定される左右一対のバイトリムと、を備え、上下一対のロウ堤は、前歯部及び臼歯部を含む平面視略U字形状を有し、左右一対のバイトリムは、一方のロウ堤における臼歯部に固定する固定部と、この固定部から他方のロウ堤側に突出する複数の印記突部と、を有し、
バイトリムの固定部は、臼歯部の頂部に裏面が密着する基板部と、基板部の裏面に設けられて臼歯部に埋設する係止突起と、で構成し、複数の印記突部は、基板部の表面に互いに間隔を空けて同じ高さで突設され、一対のロウ堤は、常温下で臼歯部に印記突部が咬合力により圧接されることで圧痕を形成可能なロウ材により形成されることを特徴とする。
一方のロウ堤は、好ましくは、バイトリムを固定した臼歯部と前歯部との間に基板部の厚みより大きい高低差を有し、複数の印記突部の頂部が前歯部よりも突出している。
本発明の総義歯用咬合採得装置において、バイトリムの係止突起は、好ましくは基板部の裏面における軸線上の位置に設けられ、複数の印記突部は基板部の表面における軸線上の位置に一列に突設されている。バイトリムの複数の印記突部は、好ましくはそれぞれ基板部の表面と直交する軸を中心にした回転体形状を有している。
本発明の総義歯用咬合採得装置では、上下一対のロウ堤を形成するロウ材がJIS-T6502に準拠した軟質乃至硬質の歯科用パラフィンワックスからなり、タッピングの咬合力により1.0mm以上の深さの圧痕を形成可能である。
本発明の総義歯用咬合採得装置を用いた咬合採得方法は、上記の総義歯用咬合採得装置を用いて咬合採得を行う方法であって、患者の上顎部及び下顎部に一対のロウ堤を装着するとともに一方のロウ堤における左右両側の臼歯部にバイトリムを固定し、常温下でタッピングすることで他方のロウ堤における左右両側の臼歯部に、複数の印記突部による圧痕を形成して総義歯用咬合採得を行うことを特徴とする。
本発明の総義歯用咬合採得装置及び咬合採得方法によれば、上下一対のロウ堤が互いに対向するように上顎部及び下顎部に装着され、上及び下の何れか一方のロウ堤の臼歯部に固定されるバイトリムが、臼歯部の頂部に密着する基板部の裏面に係止突起を有するとともに、基板部の表面に複数の印記突部が同じ高さで突出して設けられている。ロウ堤の臼歯部にバイトリムの係止突起を埋設することで、バイトリムをロウ堤に強固に固定することができ、軟化されていない他方のロウ堤の臼歯部に複数の印記突部を圧接させても、安定して均等に押し付けることができる。これにより適切な複数の圧痕を確実に形成させることが可能で、精度よく咬合採得を行うことができる。
さらに上下一対のロウ堤が、常温下で臼歯部に印記突部を咬合力により圧接することで所定の圧痕が記録される硬さのロウ材によって形成されるので、咬合採得を行う際、臼歯部を加熱して軟化させる必要がなく操作が簡単で、しかも繰り返しタッピングを行うことができるので、適度な圧痕を形成でき容易に適切な咬合位置を印記することができる。従って、簡単な操作で適切な咬合採得を行うことができる簡易な構造の総義歯用咬合採得装置とそれを用いた咬合採得方法が得られる。
本発明の総義歯用咬合採得装置において、バイトリムを固定したロウ堤の臼歯部と前歯部との間に基板部の厚みより大きい高低差が設けられ、複数の印記突部の頂部が前歯部よりも突出するように設定されていれば、咬合採得を行う際、一対のロウ堤を互いに近接させることで、バイトリムの基板部の表面を他方のロウ堤の臼歯部に当接することなく、複数の印記突部の頂部と他方のロウ堤の臼歯部とを確実に圧接でき、印記突部の頂部により十分な圧痕を形成できる。
本発明の総義歯用咬合採得装置において、バイトリムの係止突起が基板部の裏面で軸線上の位置に設けられ、複数の印記突部が基板部の表面で軸線上の位置に一列に突設されていれば、一方のロウ堤の臼歯部にバイトリムの係止突起を埋設固定することで、他方のロウ堤の臼歯部の当接可能な位置に複数の印記突部を安定して配置することができ、ロウ提とバイトリムとの位置関係の調整が容易である。また複数の印記突部がそれぞれ基板部の表面と直交する軸を中心にした回転体形状に形成されていれば、各印記突部に方向性がないため、繰り返しタッピングを行う際、形成された各圧痕により各印記突部が誘導されて不適切な位置に記録が形成されることを防止できる。
本発明の実施形態に係る総義歯用咬合採得装置の展開状態の平面図である。 図1の総義歯用咬合採得装置の側面図である。 下方のロウ堤にバイトリムを装着した状態を示す斜視図である。 上下のロウ堤を展開した状態で示す平面図である。 上下のロウ堤を対向させた状態で示す側面図である。 本発明の実施形態に係るバイトリムを示し、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)は底面図である。 上方のロウ堤の臼歯部に圧痕が形成された状態を示す平面図である。
以下、本発明の実施形態について図を用いて詳細に説明する。
本実施形態の総義歯用咬合採得装置10は、図1乃至図3に示すように上顎部11a及び下顎部11bに互いに対向するように装着される上下一対のロウ堤12a,12bと、一方のロウ堤、図示では下方のロウ堤12bの左右両側に固定される左右一対のバイトリム13,13と、を備えている。
本実施形態では、上顎部11a及び下顎部11bは患者の顎部であっても、患者の顎部に対応した形状に型取りして作製した石膏等の作業模型であってもよい。上下一対のロウ堤12a,12bは上顎部11a及び下顎部11bに直接装着されるものであっても、樹脂や金属などにより形成されたベース部材に一体的に支持されて装着されるものであってもよい。
上下一対のロウ堤12a,12bは、図4及び図5に示すように、上顎部11a及び下顎部11bにそれぞれ装着されたときに、互いに対向する方向に突出するように形成された成形体であり、前歯部14a,14b及び臼歯部15a,15bを含む平面視略U字形状部分を有している。ここで前歯部14a,14bとは前歯用の人工歯(義歯)が配列される領域であり、臼歯部15a,15bとは臼歯用の人工歯(義歯)が配列される領域である。前歯部14aと臼歯部15aとは明確な境が無く連続している。この上下一対のロウ堤12a,12bは特定のロウ材により成形されている。ロウ材については後述する。
各ロウ堤12a,12bの底部は、各顎部11a,11bに安定して支持されるように各顎部11a,11bに対応した形状を有する。各ロウ堤12a,12bの頂部は、上顎部11a及び下顎部11bに装着されて上顎部11aと下顎部11bとを閉じたとき、上下の前歯部14a,14bの頂部同士が互いに対向するとともに、上下の臼歯部15a,15bの頂部同士が互いに対向する形状を有する。
本実施形態では、上顎部11aに装着されるロウ堤12aの前歯部14a及び臼歯部15aの頂部は、連続した略平面状に形成されている。下顎部11bに装着されるロウ堤12bでは、前歯部14bの頂部は上顎部11aの平面状の前歯部14aと略全体で当接可能な略平面形状に形成されている。臼歯部15bの頂部は、装着状態で上顎部11aのロウ堤12aの臼歯部15bと対向近接させたときに離間して対向する面形状、好ましくは略平行に対向可能な面形状に形成されている。
さらに下顎部11bに装着されるロウ堤12bでは、臼歯部15bと前歯部14bとの間に段差状に高低差が設けられている。段差状の高低差は、後述するバイトリム13の基板部13cの厚みよりも大きく、且つ基板部13cの裏面から複数の印記突部13bの先端までの突出高さより小さく設定されている。印記突部13bの頂部を前歯部14bよりも突出させるためである。
このような上下のロウ堤12a,12bの形状は上顎部11a及び下顎部11bに装着した後に形成される。これは上顎部11a及び下顎部11bの形状及び相対位置、上下のロウ堤12a,12bの各位置及び向きなどが患者毎に異なるためであり、特に総義歯の場合、上顎部11aと下顎部11bとの相対位置、相対向き、相対角度などを咬合採得前に特定することができないためである。
そのため、このような上下のロウ堤12a,12bの形状は、仮に設定された上顎部11aと下顎部11bとの関係に基づいて形成された形状であってもよく、上下のロウ堤12a,12bを上顎部11a及び下顎部11bに装着した状態で、各ロウ堤12a,12bにロウ材を適宜追加又は除去して調整することで実現される形状であってもよい。
左右一対のバイトリム13,13は、図3及び図6(a)乃至(c)に示すように、下顎部11bに装着されるロウ堤12bの臼歯部15bに固定される固定部13aと、固定部13aから上顎部11aに装着されるロウ堤12a側に突出する複数の印記突部13bと、を有する。
固定部13aは、臼歯部15bの頂部に裏面が密着する基板部13cと、基板部13cの裏面に突出して設けられて臼歯部15bに埋設される係止突起13dと、を有する。基板部13cは、一定の厚みで一軸L1方向に延びた板形状を有し、両端が円弧形状に形成されている。基板部13cの軸線L1方向の長さ及び幅はロウ堤12bの臼歯部15bの頂部と略同等であり、基板部13cの略全体が臼歯部15bの頂部の平面内に配置されるのがよい。本実施形態では、基板部13cが大きい場合にはロウ堤12bにロウ材を適宜追加して臼歯部15bの頂部を広げてもよい。
係止突起13dは、基板部13cの軸線L1上の位置に裏面から突出して複数形成されている。係止突起13dの数、形状などは適宜に設定可能であるが、本実施形態では印記突部13bより小径の円柱等の柱状形状を有し、印記突部13bと同数の係止突起13dが印記突部13bと同軸に設けられている。基板部13cの裏面が臼歯部15bの頂部に密着した状態で、複数の係止突起13dがロウ堤12bのロウ材内に埋設されることで、バイトリム13の固定部13aがロウ堤12bの臼歯部15bに強固に固定される。
複数の印記突部13bは、基板部13cの軸線L1上の位置に表面から互いに同じ高さで突設されていて、互いに間隔を空けて一列に配列している。本実施形態では3個の印記突部13bが等間隔に間隔を開けて並設されている。左右のバイトリム13にそれぞれ3個の印記突部13bを設けることで、咬合採得時に上下のロウ提12a,12b間の相対位置にずれが生じていても、左右それぞれで少なくとも2個の印記突部13bによる圧痕17を形成可能にしている。
複数の印記突部13bは、それぞれ基板部13cの表面と直交する軸L2を中心にした回転体形状を有するのが好ましく、例えば円柱形状、円錐形状、球形状などであってもよい。特に各印記突部13bの頂部の先端は、半球形状乃至球冠形状を有すると好適である。このように頂部が湾曲状に膨出していると、咬合採得の際に各印記突部13bの頂部が対向するロウ堤12aの臼歯部15aに圧接した際、圧力が周囲に均等に負荷されるため、印記突部13bの形状により咬合位置が誘導されることがなく、また圧力が過剰に集中して頂部がロウ堤12aの臼歯部に過剰に進入することを防止できる。ここで、半球状乃至球冠形状の曲率半径が過剰に大きいと、適度な深さの圧痕を形成し難くなり、一方過剰に小さいと、ロウ堤12aに突き刺さってしまうため好ましくなく、例えば半径2.5~3.5mmとするのが好ましい。
このようなバイトリム13は、常温下における上下一対のロウ堤12a,12bを構成するロウ材に圧接することで圧痕を形成可能な強度及び硬さを有することが必要であり、ロウ堤以上の硬さを備えて口腔内で使用可能な安全性を有する材料により形成されているのが好ましい。
このようなバイトリム13を構成する材料としては、ステンレスなどの各種金属、アクリル樹脂などの各種樹脂等を挙げることができる。樹脂を用いる場合には、バイトリム全体が一体に成形された樹脂成形品であってもよい。
一対のロウ堤12a,12bは、このようなバイトリム13の印記突部13bの頂部を常温下で患者の咬合力に応じて、タッピングにより複数回繰り返して臼歯部15aに圧接する。このようなタッピンクによって、バイトリム13の複数の印記突起13bの頂部に対応した形状で適度な深さを有する窪み形状の圧痕17を形成できる。タッピングの際、ロウ材は、各ロウ堤12a,12bが破壊されない硬度で周囲に過剰な変形が生じない程度の硬さ及び靭性を有するロウ材により形成されている。
ここで常温とは、患者の口腔内に装着した状態において、咬合力によりバイトリム13の印記突部13bの頂部を臼歯部15aに圧接する作業の開始前に各ロウ堤12a,12bを加熱軟化させない温度であって、例えば体温程度あるいは35~40℃の温度範囲としてもよい。また患者の咬合力とは、上顎部11aと下顎部11bとを閉じる方向に加圧する力であり、強く噛みしめる際の力ではなく、患者が軽い力で反復して噛むタッピング時の咬合力である。本実施形態では、例えば4Kg~9Kg程度の荷重であり、概略1個の印記突部13bに負荷される力が0.5Kg~2.5Kg程度の力としてもよい。
本実施形態では、咬合採得の際に患者の口腔内に本実施形態の咬合採得装置を装着した状態でタッピングする。このタッピングによって、ロウ堤12aの臼歯部15aに患者の咬合力によりバイトリム13の印記突部13bを圧接させ、圧痕17を形成させる。この圧痕17の深さは、1.0mm以上が好ましく、口腔外に取り出して安定して咬合器に装着できるように2.0mm以上3.0mm以下の深さにするのが好適である。
このような上下一対のロウ堤12a,12bを構成するためのロウ材は、例えばJIS-T6502に準拠した軟質乃至硬質の歯科用パラフィンワックスから構成される。軟質の歯科用パラフィンワックス及び硬質の歯科用パラフィンワックスのいずれか一方でもよいが、患者に応じてこれらを各種の割合で混合して適宜な硬さのロウ材として使用することが好ましい。ロウ材が過剰に硬いと、患者が咬合力によりバイトリム13の印記突部13bを対向する臼歯部15aにタッピングしても十分な圧痕17を形成できない。一方、過剰に柔らかいと、タッピングすることで、患者の咬合力によっては上顎部11aのロウ堤12aの臼歯部15aが破損することがあり、適切な咬合位置を印記することが困難になる。
本実施形態の総義歯用咬合採得装置10を用いて咬合採得を行うには、例えば印象採得を行うなどして形成された石膏等の作業模型上で行う。
図4及び図5のように、総義歯用咬合採得装置10の上下一対のロウ堤12a,12bを患者の上顎部11a及び下顎部11bに装着して各部を調整する。次いで、下顎部11bの臼歯部15bの頂部にバイトリム13を固定する。このとき必要に応じて一対のロウ堤12a,12bのロウ材を常温で或いは加熱して、適宜削除、追加、変形することで患者に適した形状に調整する。
調整した一対のロウ堤12a,12bを患者に装着した状態で、患者が咬合力により上顎部11aと下顎部11bとの開閉動作を繰り返してタッピングを行う。このタッピングにより、上顎部11aの臼歯部15aに下顎部11bのバイトリム13における印記突部13bによって図7に示すような十分な圧痕17を印記する。具体的にはロウ堤12a,12bの表面に左右に3箇所ずつ圧痕17がつくまで患者に繰り返しタッピングを行なってもらう。咬合器にロウ堤12a,12bが安定して装着できるように、上下の位置ズレなどが生じたとしても少なくても左右2箇所ずつ圧痕17がつくようにする。
このとき一箇所のみ深く圧痕17がつく時には、その圧痕17付近のロウ材を削除し、他の圧痕17と略同等の深さの圧痕17がつくように調整する。また以前に使用していた義歯の咬合高径や、患者の顔貌などを参考にし、さらに患者による高さの感触を確認しつつタッピング及び削除を繰り返す。
最終的に得られる圧痕17としては、ロウ堤12a,12bを口腔外に取り出して、上下のロウ堤12a,12bを手に持って対向当接したとき安定する深さにする。このようにして咬合採得を終了し、上下一対のロウ堤12a,12bの咬合位置が印記された状態で、基準線などを適宜記録した上で、上顎部11a及び下顎部11bに上下一対のロウ堤12a,12bを離脱させ、総義歯の作製に供することができる。
以上のような本実施形態の総義歯用咬合採得装置10によれば、上下一対のロウ堤12a,12bが互いに対向するように上顎部11a及び下顎部11bに装着される。ここで一方のロウ堤12bの臼歯部15bに固定されるバイトリム13は、臼歯部15bの頂部に密着する基板部13cの裏面に係止突起13dが形成され、且つ、基板部13cの表面には複数の印記突部13bが同じ高さで突出して形成されている。
そのため、ロウ堤12bの臼歯部15bにバイトリム13の係止突起13bを埋設することで、バイトリム13をロウ堤12bに強固に固定することができる。そして、常温下で軟化されていない他方のロウ堤12aの臼歯部15aに複数の印記突部13bを圧接させても、安定して均等に押し付けることができる。これにより適切な複数の圧痕を確実に形成させることが可能で、精度よく咬合採得を行うことができる。
さらに上下一対のロウ堤12a,12bは所定の硬さを有するロウ材で形成される。すなわち、常温下でのロウ材の硬さが、臼歯部に印記突部13bを患者の咬合力により圧接することで所定の圧痕17を記録し得る硬さとすると共に、過剰な変形が生じない硬度のロウ材により形成されるので、咬合採得を行う際、臼歯部15aを加熱して軟化させる必要がない。また、繰り返しタッピングを行うことができるので、適度な圧痕を形成でき、容易に適切な咬合位置を印記することができる。従って簡易な構造の総義歯用咬合採得装置を用いることで、簡単、かつ再現性のある操作で、上下の顎間関係を記録することができる。
この総義歯用咬合採得装置10は、バイトリム13が固定される臼歯部15bと前歯部14bとの間に基板部13cの厚みより大きい高低差を有し、複数の印記突部13bの頂部が前歯部14bよりも突出して形成されている。そのため咬合採得を行う際、一対のロウ堤12a,12bを互いに近接させることで、バイトリム13の基板部13cの表面を他方のロウ堤12aの臼歯部15aに当接することなく、複数の印記突部13bの頂部と他方のロウ堤12aの臼歯部15aとを確実に圧接でき、印記突部13bの頂部により十分な圧痕を形成できる。
また、この総義歯用咬合採得装置10は、バイトリム13の係止突起13dが、基板部13cの裏面における軸線L1上の位置に設けられ、印記突部13bが基板部13cの表面における同軸線L1上の位置に一列に突出して設けられる。そのため、一方のロウ堤12bの臼歯部15bにバイトリム13の係止突起13dを埋設して固定することで、他方のロウ堤12aの臼歯部15aに安定して当接可能な位置に複数の印記突部13bを配置することができ、ロウ提とバイトリムとの位置関係の調整が容易である。
さらに、この実施形態の総義歯用咬合採得装置10は、複数の印記突部13bが基板部13cの表面と直交する軸を中心にした回転体形状を有している。従って、複数の印記突部13bにそれぞれ方向性がなく、繰り返しタッピングを行う際、形成された各圧痕17によって各印記突部13bが誘導されて不適切な位置にずれて圧痕が形成されることを防止できる。
なお上記各実施形態は、本発明の範囲内において適宜変更可能である。
例えば上記では、バイトリム13について一例を示したが、バイトリムの印記突部13b、基板部13c、係止突起13cの形状、材質、数などは何ら限定されず適宜変更可能である。その場合、口腔内で使用されるので、便宜性を考慮して、消毒、滅菌などが可能な材質を選択するのがよい。
10 総義歯用咬合採得装置
11a 上顎部
11b 下顎部
12a,12b ロウ堤
13 バイトリム
13a 固定部
13b 印記突部
13c 基板部
13d 係止突起
14a,14b 前歯部
15a,15b 臼歯部
17 圧痕
L1,L2 軸

Claims (6)

  1. 上顎部及び下顎部に互いに対向するように装着される上下一対のロウ堤と、上下のロウ堤のうち一方のロウ堤の左右両側の頂部に固定される左右一対のバイトリムと、を備えた総義歯用咬合採得装置において、
    前記上下一対のロウ堤が、前歯部及び臼歯部を含む平面視略U字形状を有し、
    前記左右一対のバイトリムが、前記一方のロウ堤における前記臼歯部に固定する固定部とこの固定部から他方のロウ堤側に突出する複数の印記突部とを有し、
    前記バイトリムの固定部は、前記臼歯部の頂部に裏面が密着する基板部と、前記基板部の裏面に設けられて前記臼歯部に埋設する係止突起と、で構成され、
    前記複数の印記突部は、前記基板部の表面に互いに間隔を空けて同じ高さに突設され、
    前記一対のロウ堤は、常温下で前記臼歯部に前記印記突部が咬合力により圧接されることで圧痕を形成可能なロウ材により形成されていることを特徴とする、総義歯用咬合採得装置。
  2. 前記一方のロウ堤は、前記バイトリムを固定した前記臼歯部と前記前歯部との間に前記基板部の厚みより大きい高低差を有し、前記複数の印記突部の頂部が前記前歯部よりも突出していることを特徴とする、請求項1に記載の総義歯用咬合採得装置。
  3. 前記バイトリムの係止突起は前記基板部の裏面における軸線上の位置に設けられ、前記複数の印記突部は前記基板部の表面における前記軸線上の位置に一列に突設されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の総義歯用咬合採得装置。
  4. 前記バイトリムの複数の印記突部は、それぞれ前記基板部の表面と直交する軸を中心にした回転体形状を有していることを特徴とする、請求項1乃至3の何れかに記載の総義歯用咬合採得装置。
  5. 前記上下一対のロウ堤を形成するロウ材は、JIS-T6502に準拠した軟質乃至硬質の歯科用パラフィンワックスからなり、タッピングの咬合力により1.0mm以上の深さの前記圧痕を形成可能であることを特徴とする、請求項1乃至4の何れかに記載の総義歯用咬合採得装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の総義歯用咬合採得装置を用いて咬合採得を行う方法であって、患者の上顎部及び下顎部に前記一対のロウ堤を装着するとともに一方のロウ堤における左右両側の臼歯部に前記バイトリムを固定し、常温下でタッピングすることで他方の前記ロウ堤における左右両側の前記臼歯部に、前記複数の印記突部による前記圧痕を形成して総義歯用咬合採得を行うことを特徴とする、咬合採得方法。
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