JP2023080996A - 金属の製造方法 - Google Patents

金属の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023080996A
JP2023080996A JP2021194622A JP2021194622A JP2023080996A JP 2023080996 A JP2023080996 A JP 2023080996A JP 2021194622 A JP2021194622 A JP 2021194622A JP 2021194622 A JP2021194622 A JP 2021194622A JP 2023080996 A JP2023080996 A JP 2023080996A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phosphorus
metal
iron
partial pressure
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2021194622A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7476872B2 (ja
Inventor
和哉 南谷
Kazuya Minamitani
憲治 中瀬
Kenji Nakase
由枝 中井
Yoshie Nakai
直樹 菊池
Naoki Kikuchi
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2021194622A priority Critical patent/JP7476872B2/ja
Publication of JP2023080996A publication Critical patent/JP2023080996A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7476872B2 publication Critical patent/JP7476872B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Landscapes

  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)
  • Manufacture Of Iron (AREA)

Abstract

【課題】リンを含有する金属酸化物から、リンを短時間かつ低コストで効果的に低減させる方法を提案する。【解決手段】金属製錬用または金属精錬用の主原料もしくは副原料として用いられる、リンを含有する金属酸化物を、処理温度T1、および酸素分圧PO2,1の調整下で還元性ガスと反応させ、金属を含む固体を生成する金属化処理工程と、金属化処理された前記固体を、温度T2および酸素分圧PO2,2の調整下で還元性ガスと反応させ、前記固体中のリンを気相へ除去するリン除去処理工程と、を含み、リン濃度の低い金属を得る、金属の製造方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、金属製錬用または金属精錬用の主原料もしくは副原料として用いられるリンを含有する金属酸化物から、リン濃度の低い金属を製造する方法に関する。
近年、製鉄業における冷鉄源(鉄スクラップ等)の使用拡大の需要が高まっている。循環型社会の構築のために、鉄源リサイクルは必要不可欠であるうえ、昨今のCO削減の需要からも冷鉄源使用量増大は不可欠である。冷鉄源は酸化鉄(Fe)である鉄鉱石と異なり、溶製プロセスに還元工程を要さないためCO排出量の低減が可能であり、冷鉄源の使用量は増加の一途をたどっている。
高炉-転炉法は原料である鉄鉱石(Fe)を還元材であるコークスとともに高炉へ装入、C濃度が4.5-5.0%程度の溶銑を溶製し、その溶銑を転炉に装入して不純物成分であるC、Si、Pなどを酸化除去する製鋼プロセスである。高炉での溶銑製造時には鉄鉱石の還元などのために溶銑1トンあたり、500kg程度の炭素源を必要とし、約2トン程度のCOガスが発生する。一方、冷鉄源、たとえば、鉄スクラップを原料として溶鋼を製造する場合には、鉄鉱石の還元に必要とされる炭素源が不要となり、鉄スクラップを溶解するために必要なエネルギーを考慮しても、1トンの溶銑を1トンの鉄スクラップに置き換えることで、約1.5トンのCOガス削減につながる。上記のことから、温室効果ガスの排出量の削減と生産活動の維持の両立のためには冷鉄源の使用量を増やしていくことが必要である。
昨今、鉄スクラップ、特に高級鋼製造に不可欠な高品位の鉄スクラップの需給が逼迫していることから、冷鉄源としてスクラップに換えて還元鉄のニーズが高まっている。還元鉄は鉄鉱石を還元して製造され、高炉-転炉法の様に生成した鉄中のC濃度を高位とする必要がない。還元剤として、過剰なC源を使用しない分、鉄1トン当たり約0.2トンのCOガス低減につながる。また、還元剤をC源でなく、水素または天然ガス等の炭化水素系ガスとすることで、更なるCO排出量の低減も可能である。
還元鉄を使用する際の課題の一つとして、還元鉄にはリンが含まれる点が挙げられる。鉄鋼製品中のリンは熱間脆性などの品質低下を及ぼすため、要求品質に応じたリン濃度まで低減する必要がある。電気炉法で還元鉄を溶解して溶鋼を製造する場合には、還元鉄中のリンの大部分が溶鋼中に入る(復リンともいう)。そのため、現状の還元鉄は鉄鉱石中のリン濃度が低い高品位鉄鉱石(リン濃度約0.01質量%)により製造され、還元鉄としてのリン濃度は約0.02質量%程度である。
一方で、リン濃度が低い高品位鉄鉱石の枯渇が予想されており、今後はリン濃度の高い低品位鉄鉱石を使用した還元鉄を原料とした溶鋼製造が求められる。現行の高炉法で使用されている鉄鉱石中のリン濃度は0.05~0.10質量%(還元鉄としてのリン濃度に換算すると0.10~0.15質量%)であり、今後更なるリン濃度増加が予想されている。このリン濃度は前記リン濃度が低い高品位鉄鉱石で製造した還元鉄のリン濃度の5~10倍以上である。このような還元鉄を用いて、鉄鋼製品中のリンによる品質低下を防ぐためには、リン濃度が高い還元鉄を溶解して溶鋼を製造する際にリン除去するか、リン濃度の高い鉄鉱石から還元鉄を製造する際にリン除去する必要がある。このようなリン除去に関し、いくつかの技術が提案されている。
特許文献1には、アーク炉単独で比較的短時間に低濃度まで溶鋼中のリンを除去するための、酸化カルシウムを主成分とし、酸化アルミニウムが5ないし15質量%、酸化鉄が25ないし35質量%および残部が不可避的不純物からなるアーク炉での脱リン精錬用フラックスが提案されている。
また、特許文献2には、鉄鉱石を還元する際に金属鉄が生成しない条件でリンを還元し気化除去を行った後、金属鉄まで還元する方法が提案されている。
また、特許文献3には、リン含有物質を窒素含有ガスと反応させることでリンを除去する方法が提案されている。
特開平8-120322号公報 特開2020-20010号公報 国際公開第2019/131128号
しかしながら、上記従来技術には以下の問題がある。
特許文献1の技術では、スクラップ等のリン濃度が低い鉄源を想定しており、溶鋼中のリン濃度を0.020質量%から0.005質量%まで低減するため、溶鋼量7000gに対してフラックスを350g添加している。還元鉄中のリン濃度が0.15質量%だと仮定すると、リン濃度を鉄鋼製品程度の0.01質量%まで低減するのに必要なフラックス量は、溶鋼1t当たり230kgとなる。したがって、電気炉のアーク炉内でフラックスが占める体積割合が大きくなって溶鋼処理量が減少し、製造効率が悪化するという課題がある。
また、特許文献2の方法は、鉱石中にアパタイトCa(PO)(F,OH)、ストレンジャイトFe(PO)・2(HO)、ウェイベライトAl(PO(F,OH)・5HO等様々な化学形態で存在するリンを還元する必要があるため、脱リン工程での脱リン率が40~60%と低いという課題がある。
特許文献3の方法は、金属が生成しない温度、酸素分圧での処理であり、リンを除去した後の酸化物を再還元して金属化が必要という課題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、湿式処理を行わず、金属製錬用または金属精錬用の主原料もしくは副原料として用いられるリンを含有する金属酸化物から、リンを短時間かつ低コストで効果的に低減させるための、金属酸化物からのリン濃度の低い金属を製造する方法を提案することである。
上記課題を有利に解決する本発明にかかる金属の製造方法は、金属製錬用または金属精錬用の主原料もしくは副原料として用いられるリンを含有する金属酸化物を、処理温度T、および酸素分圧PO2,1の調整下で還元性ガスと反応させ、金属を含む固体を生成する金属化処理工程と、金属化処理された前記固体を、温度Tおよび酸素分圧PO2,2の調整下で還元性ガスと反応させ、前記金属中のリンを気相へ除去するリン除去処理工程と、を含み、リン濃度の低い金属を得るものである。
なお、本発明にかかる金属の製造方法は、
(ア)前記金属化処理工程では、前記処理温度T(℃)が750℃以上1100℃以下であり、前記酸素分圧PO2,1(atm)が下記の式(1)の条件を満たし、前記リン除去処理工程では、前記処理温度T2(℃)が1000℃以上前記固体の融点Tm(℃)以下であり、前記酸素分圧PO2,2(atm)が下記の式(2)の条件を満たすこと、
(イ)前記リン除去処理工程では、前記酸素分圧PO2,2(atm)が下記の式(3)の条件を、さらに満たすこと、
(ウ)前記金属酸化物が鉄鉱石またはマンガン鉱石であること、
などが好ましい解決手段になり得るものと考えられる。
Figure 2023080996000002
Figure 2023080996000003
Figure 2023080996000004
本発明によれば、金属製錬用または金属精錬用の主原料もしくは副原料として用いられ、リンを含有する鉄鉱石やマンガン鉱石などの金属酸化物に対し、加熱して還元性ガスと反応させ、金属を含む固体を生成する金属化処理工程と、金属化処理された前記固体中のリンを気相へガスとして直接除去するリン除去処理工程と、を含む方法により、短時間かつ低コストで効果的にリン濃度の低い金属を製造することが可能となる。
リンをPガスとして気相へ除去する反応(a)、酸化鉄から金属鉄への還元反応(b)についてFeO活量を1としてそれぞれの反応の平衡が成り立つときの温度(T)と酸素分圧(logPO2)の関係を示すグラフである。 リンをPガスとして気相へ除去する反応(a)、酸化鉄から金属鉄への還元反応(b)についてFeO活量を0.6としてそれぞれの反応の平衡が成り立つときの温度(T)と酸素分圧(logPO2)の関係を示す図である。 表2-1~2-4に示す中でリン除去処理工程の処理温度Tが1148℃以上1152℃以下、リン除去処理工程の酸素分圧Po2,2が1.07×10-13以上1.30×10-13以下でほぼ一定の条件である処理No.1~16、処理No.33~51において、金属化処理工程の処理温度T、酸素分圧Po2、1とリン除去率の関係を示す図である。 表2-1~2-4に示す中でリン除去処理工程の処理温度Tが1048℃以上1052℃以下、リン除去処理工程の酸素分圧Po2,2が3.53×10-16以上4.70×10-16以下でほぼ一定の条件である処理No.17~32、処理No.52~70において、金属化処理工程の処理温度T、酸素分圧Po2,1とリン除去率の関係を示す図である。 表3-1および3-2に示すリン除去処理工程の処理温度Tと酸素分圧PO2、2とがリン除去率に与える影響を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法を例示するものであり、構成を下記のものに特定するものでない。すなわち、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
本発明の開発にあたり、発明者らは、金属製錬用または金属精錬用の主原料もしくは副原料として、リン濃度が高く安価な物質に着目し、そうした金属酸化物、たとえば、鉄鉱石やマンガン鉱石から、リン濃度が金属酸化物より低い金属を製造する方法について研究をすすめた。
金属鉄製錬用原料として用いられる鉄鉱石中のリンは、主としてアパタイトCa5(PO4)(F,OH)、ストレンジャイトFe(PO)・2(HO)、ウェイベライトAl(PO(F,OH)・5HO等の酸化物として含有しており、その他にCaOやSiO、MgO、Al、MnO、Mn、FeO、Feなどの金属酸化物が含まれているのが普通である。
このように、鉄鉱石は、様々な金属酸化物によって構成されている。ところで、リンは、カルシウム(Ca)および珪素(Si)と比較して酸素との親和力が弱いことから、鉄鉱石を、炭素、珪素、アルミニウムなどを使って還元した場合、鉄鉱石中のリン酸化物は容易に還元されることが知られている。一方で、多くの製鉄用原料中には、鉄がFeOやFeの形態の酸化物(以下、まとめて「FexO」と記す)で含有しており、これらの鉄酸化物は酸素との親和力がリンと同等であることから、鉄鉱石を、炭素や珪素、アルミニウムなどで還元すると、同時にFexOも還元されることになる。
ただ、リンは鉄中への溶解度が高く、とくに還元により生成したリンは、還元により生成した鉄中に溶解し、高リン含有鉄となる。そのため金属鉄が存在する条件では還元により生成したリンが金属鉄に取り込まれてしまうことが課題となる。
発明者らは、この問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、鉄などの原料の酸化物を金属まで還元する過程で、原料中の脈石(SiOやAl等の不純物)と必要に応じて添加するCaO源により生成するスラグ相にリンが濃化することに着目し、金属鉄生成段階では鉄中へリンを移行させる事なくスラグ相にリンを濃化し、リンが濃化したスラグ相から効率的にリンを還元して気化除去することにより、金属鉄にリンが取り込まれることを抑制しつつ金属鉄を生成することが可能であることを見出した。この知見は、還元されるリンの挙動が鉄と類似するマンガン鉱石においても、適用できることを確認している。
以下、金属酸化物の例として鉄鉱石を例に説明する。すなわち、発明者らは、鉄鉱石中に酸化物として存在するリンを、金属化処理においては下記の化学式1に示す反応(a)は進行させずに鉄鉱石に含まれる鉄酸化物が還元されて金属鉄となる下記の化学式2に示す反応(b)を進行させ、金属鉄相から分離することを実験的検討で確認した。また、リン除去処理においては下記の化学式1に示す反応(a)を進行させ、気相へリン除去することを実験的検討で確認した。
Figure 2023080996000005
Figure 2023080996000006
化学式1や2の上記反応(a)や(b)について、平衡が成り立つときの温度と酸素分圧の関係を図1に示す。実線が反応(a)、破線が反応(b)を示す。ここで、P活量を0.001、FeO活量を1、P分圧を0.001atmとした。処理を受ける装入物中に酸化鉄が存在していることを想定し、FeO活量を1とした。なお、図1のグラフは上記条件において、各物質の活量および分圧における温度Tと酸素分圧PO2の平衡関係であり、原料である鉄鉱石の種類や、添加する副原料の種類および量によって変化する。また、鉄以外の金属が主となる場合、たとえばマンガン鉱石では、その主となる金属の還元反応を反応(b)に置き替えることで適用できる。
図1において、反応(a)や(b)それぞれの線より下側の温度と酸素分圧の領域において、反応(a)や(b)がそれぞれ右側に進行する。つまり、金属化処理において反応(a)のリン還元を抑制し、反応(b)による金属鉄の生成が進行するのは、反応(a)の線の上側かつ反応(b)の線の下側であり、ハッチング部である。具体的には酸素分圧を750℃では3.17×10-22atm以上かつ5.49×10-21atm以下、850℃では2.95×10-19atm以上かつ1.66×10-18atm以下、950℃では4.39×10-17atm以上かつ1.09×10-16atm以下、1050℃では1.04×10-15atm以上かつ1.54×10-15atm以下であると好適である。
上記の温度と酸素分圧における金属化処理において、70%以上の高い金属化率と共に、大部分のリンがスラグ相に濃化し、金属鉄中にリンがほとんど存在しないことを確認した。ここで、化学式1および2の上記反応(a)および(b)について、P活量が0.001、FeO活量が0.6、P分圧が0.001atmの場合の温度と酸素分圧の平衡関係を図2に示す。FeO活量を0.6としたのは、金属化処理により装入物中に純粋な酸化鉄がほとんど残っていないことを考慮したことによる。原料や処理条件に応じた適切な値を設定することが好ましい。金属化処理後の鉄鉱石に対し、反応(a)の線の下側となる温度と酸素分圧で処理を行うことで、金属鉄中へのリンの移行を抑制することが可能であった。上述の様に、リンは鉄中への溶解度が高いので、金属鉄の付近で反応(a)によって気化リンが生成しても、金属鉄に吸収されてしまう。しかし、本実施形態では、金属化処理の過程でスラグ相が生成して、凝集・粗大化し、金属鉄との分離が進行する。このため、金属鉄と接触していないスラグ相から金属鉄に吸収されずにリンが気化除去されたと考えられる。また、本実施形態のリン除去処理は還元性ガスを供給して行うものであり、気化したリンは直ちに還元性ガスにより希釈されるので、金属鉄と接触しているスラグ相から生成した気化リンも金属鉄への吸収が起こりにくかったものと考えられる。ただし、リン除去処理の処理温度1000℃未満においてはリン除去がわずかであった。リン酸化物の気化反応を促進するために1000℃以上の高温での処理が好ましい。また1370℃以上においてはリン除去がわずかであり、処理後の金属鉄は、気孔および金属鉄間の間隙が閉塞していたことから、還元性ガスとリン酸化物の接触面積が減少したことが原因と考えられる。示差熱分析法により測定した金属鉄の融点(Tm)は1370℃であり、1300℃では高いリン除去率が得られたため、金属鉄の融点Tm(℃)以下とすることがリン除去のための反応界面積確保の上で好ましいと考えられる。すなわちリンを気相へ除去するためには図2の斜線部においてリン除去処理を行うことが好ましい。
なお、前記融点Tmは、固体試料が液体に変化する温度のことであり、下記第1~第3のいずれかの方法で決定することが簡易的であり好ましいが、これらの方法に限定するものではない。
第1の方法は、るつぼ等の容器に固体試料を装入し、対象とするガス雰囲気下において、電気抵抗炉などにより毎分5℃、望ましくは毎分1℃以下で昇温しながら容器内の試料を連続的に観察し、固体試料の粒同士の隙間が消失し、表面に平滑面が生じた温度を融点とする方法である。
第2の方法は、対象とするガス雰囲気下において、示差熱分析法により毎分5℃、望ましくは毎分1℃以下で昇温して測定した際の、吸熱ピークの極小点の温度を融点とする方法である。ここで、吸熱ピークが複数生じる場合、それぞれの吸熱ピークが生じた温度で測定を止めて、測定試料の外観を観察し、固体試料の粒同士の隙間が消失し、表面に平滑面が生じた温度の中で最も低温の吸熱ピークの極小点の温度を融点とする方法である。
第3の方法は、電子計算機の熱力学計算ソフトを用い、試料組成を入力して温度を変化させて液相率を計算し、計算液相率が95%を超える温度を融点とする方法である。
還元処理のための還元剤としては、還元性ガスを用いる。固体炭素や金属Al、金属Si等の固体還元剤は極めて強い還元能力を有しているため、処理温度と酸素分圧を本実施形態で定める適正な条件とすることが困難である。一方で、還元性ガスであれば、ガス成分を調整することで、上述の処理温度と酸素分圧を適正条件とすることが容易である。さらに、気孔率および比表面積が増大した鉄鉱石を効率的に還元することが可能となり、短時間での処理が期待される。還元性ガスのガス種は特に限定されず、CO、H、CH等の還元成分を少なくとも1種以上含むガスであれば使用することが出来る。また、還元性ガスは天然に採掘されるガスに限らず、高炉炉頂ガスやコークス炉ガス等の副生ガス、および水の電気分解により生成したHガス等を、単独または混合して用いることが可能である。また、上記例では、鉄鉱石を用い、金属鉄を生成することを例に説明したが、マンガン鉱石などにも適用可能である。
(実施例1)
処理に用いた鉄鉱石の組成を表1に示す。示差熱分析法により測定した金属鉄の融点(Tm)は1370℃である。5トン/hr規模の回転炉床炉に鉄鉱石を装入し、加熱バーナーによって鉄鉱石を加熱した。このとき加熱バーナーに供給する炭化水素、酸素ガスの流量を制御して処理温度を調整し、炭化水素と酸素の比および流量を制御することにより酸素分圧を調整して金属化処理を実施し、金属鉄を生成した。装入から排出までの時間が90分となるように炉床の移動速度を設定した。次いで、5トン/hr規模の別の回転炉床炉に金属化処理後の金属鉄を装入し、加熱バーナーによって金属鉄を加熱した。このとき加熱バーナーに供給する炭化水素、酸素ガスの流量を制御して処理温度を調整し、炭化水素と酸素の比および流量を制御することにより酸素分圧を調整してリン除去処理を実施した。装入から排出までの時間が90分となるように炉床の移動速度を設定した。金属化処理、リン除去処理の処理温度、処理ガス組成はそれぞれの装入から処理時間の2分の1の時点で存在する箇所での温度測定、ガス組成分析を行って調製した。燃焼反応は下記化学式3に示す反応(c)によって代表され、酸素分圧はガス組成分析の測定値から下記式(4)および(5)より算出した。式(4)は反応(c)のギブズ自由エネルギーΔG°を表し、式(5)は反応(c)の平衡定数Kを表す。式(4)および式(5)中、Tは測定した温度(K)、Rは気体定数(cal/(K・mol))、PCOおよびPCO2はガス組成分析におけるCOおよびCOの分圧である。
Figure 2023080996000007
Figure 2023080996000008
Figure 2023080996000009
金属化処理工程では、温度およびガス組成条件を変更して、雰囲気の酸素分圧を制御した。リン除去処理工程では、処理温度T=1150℃程度、PCO/PCO2=4程度、および、処理温度T=1050℃程度、PCO/PCO2=11.4程度の2水準を選んだ。各処理条件を表2-1~2-4に記載する。質量基準の百分率で表す、リン除去率ΔP=[1-{(リン除去処理後P濃度)/(リン除去処理後T.Fe濃度)}/{(リン除去処理前P濃度)/(リン除去処理前T.Fe濃度)}]×100(%)および金属化率=(リン除去処理後M.Fe濃度)/(リン除去処理後T.Fe濃度)×100(%)をそれぞれ表2-1~2-4に併記する。ここで、T.Fe濃度は試料中の全鉄濃度の分析値であり、M.Fe濃度は試料中の金属鉄濃度の分析値である。
Figure 2023080996000010
Figure 2023080996000011
Figure 2023080996000012
Figure 2023080996000013
表2-1~2-3に示す、リン除去処理条件が処理温度T=1148℃~1152℃の範囲および酸素分圧logPO2,2(atm)=-13.0~-12.9の範囲にある処理No.1~16および33~51について、金属化処理の温度T、酸素分圧PO2,1とリン除去率ΔPの関係を図3に図示した。図3中に、処理No.1~16を●の記号で、処理No.33~51を×の記号でプロットした。
表2-1~2-4に示す、リン除去処理条件が処理温度T=1048℃~1052℃の範囲および酸素分圧logPO2,2(atm)=-15.4~-15.3の範囲にある処理No.17~32および52~70について、金属化処理の温度T、酸素分圧PO2,1とリン除去率ΔPの関係を図4に図示した。図4中に、処理No.17~32を●の記号で、処理No.52~70を×の記号でプロットした。
図1の検討、図3および4の結果から金属化処理工程における、処理温度Tが750℃以上1100℃以下の範囲、かつ、処理温度T、酸素分圧PO2,1が下記式(1a)および(1b)を満たすときに72%以上の高いリン除去率ΔPおよび85%以上の高い金属化率が得られていることがわかる。
logPO2,1≧-2.49×10-5 +0.0861T-84.1 (1a)
logPO2,1≦-2.08×10-5 +0.0720T-72.4 (1b)
表2-1~2-4において、金属化処理工程の評価欄において、Aは処理温度Tが750℃以上1100℃以下の範囲にあり、酸素分圧PO2,1が上記式(1a)および式(1b)を満たすもの、Bは処理温度T1が750℃以上1100℃以下の範囲にあり、酸素分圧PO2,1が上記式(1a)および式(1b)のいずれかを満たさないもの、Cは処理温度Tが750℃以上1100℃以下の範囲になく、酸素分圧PO2,1が上記式(1a)および式(1b)を満たすもの、Dは処理温度T1が750℃以上1100℃以下の範囲になく、酸素分圧PO2,1が上記式(1a)および式(1b)のいずれかを満たさないものを表す。リン除去処理工程の評価については後述する。
表2-1~2-2に示す処理No.1~32は、金属化処理工程の評価およびリン除去処理工程の評価がいずれもAであり、72%以上の高いリン除去率ΔPおよび85%以上の高い金属化率が得られている。
(実施例2)
次に、実施例1と同様の原料および設備を用い、リン除去処理工程では、温度およびガス組成条件を変更して、雰囲気の酸素分圧を制御した。金属化処理工程では、処理温度T=900℃程度、PCO/PCO2=3程度のほぼ一定とした。各処理条件を表3-1~3-2に記載し、実施例1と同様、リン除去率ΔPおよび金属化率を併記した。
Figure 2023080996000014
Figure 2023080996000015
表3-1および3-2の結果を、リン除去処理の温度T、酸素分圧PO2,2とリン除去率ΔPの関係で整理し、図5に図示した。図5中の記号◆はリン除去率ΔPが80%以上かつ金属化率が85%以上の処理No.71,72,74,75,77,78,80,81,83,84,86,87、89,90,92,93を表す。図5中の記号■はリン除去率ΔPが72%以上80%未満かつ金属化率が85%以上の処理No.73、76、79、82、85、88、91、94を表す。図5中でその他の条件を記号×とした。
表3-1および表3-2の処理No.71~94の結果ならびに図5から明らかなように、リン除去処理工程では、処理温度Tが1000℃以上金属の融点T以下の範囲で、Tおよび酸素分圧PO2,2が下記式(2)の関係を満たすときに、72%以上のリン除去率ΔPおよび85%以上の金属化率が得られることがわかる。
logPO2,2≦-1.05×10-5 +0.0408T-45.5 (2)
さらに、上記条件に加えて、リン除去処理工程で、処理温度Tおよび酸素分圧PO2,2が下記式(3)の関係を満たすときに、80%以上のリン除去率ΔPおよび85%以上の金属化率が得られることがわかる。
logPO2,2≧-0.823×10-5 +0.0339T-41.4 (3)
なお、リン除去処理工程の評価欄において、Aは処理温度Tが1000℃以上金属の融点T以下の範囲にあり、酸素分圧PO2,2が上記式(2)および(3)を満たすもの、Bは処理温度Tが1000℃以上金属の融点T以下の範囲にあり、酸素分圧PO2,2が上記式(2)を満たし、上記式(3)を満たさないもの、Cは処理温度Tが1000℃以上金属の融点T以下の範囲になく、酸素分圧PO2,2が上記式(2)および(3)を満たすもの、Dは処理温度Tが1000℃以上金属の融点T以下の範囲にあり、酸素分圧PO2,2が上記式(2)を満たさないもの、Eは処理温度Tが1000℃以上金属の融点T以下の範囲になく、酸素分圧PO2,2が上記式(2)を満たし、上記式(3)を満たさないもの、を表す。
処理No.95は、処理温度Tが1000℃より低く、リン除去率ΔPは2%であった。リン除去反応が進行するために必要な温度に達していなかったと考えられる。処理No.96~103は、酸素分圧PO2,2が上記式(2)を満たしておらず、リン除去率ΔPは5%以下であった。リン酸化物を還元するために十分な低い酸素分圧となっていなかったと考えられる。処理No.104および105は、処理温度Tが別途測定した金属鉄の融点Tm~1370℃より高く、リン除去率ΔPは5%以下であった。金属鉄が溶融した結果、気孔が閉塞し、気相へ除去されるリンが減少したと考えられる。
本発明の金属の製造方法は、短時間かつ低コストで効果的にリン濃度の低い金属を製造することができるので、特に鉄鋼製錬・精錬に適用して、炭酸ガス排出量抑制に寄与し、産業上有用である。

Claims (4)

  1. 金属製錬用または金属精錬用の主原料もしくは副原料として用いられる、リンを含有する金属酸化物を、処理温度T、および酸素分圧PO2,1の調整下で還元性ガスと反応させ、金属を含む固体を生成する金属化処理工程と、
    金属化処理された前記固体を、温度Tおよび酸素分圧PO2,2の調整下で還元性ガスと反応させ、前記固体中のリンを気相へ除去するリン除去処理工程と、
    を含み、リン濃度の低い金属を得る、金属の製造方法。
  2. 前記金属化処理工程では、前記処理温度T(℃)が750℃以上1100℃以下であり、前記酸素分圧PO2,1(atm)が下記の式(1)の条件を満たし、
    前記リン除去処理工程では、前記処理温度T2(℃)が1000℃以上前記固体の融点Tm(℃)以下であり、前記酸素分圧PO2,2(atm)が下記の式(2)の条件を満たす、請求項1に記載の金属の製造方法。
    Figure 2023080996000016
    Figure 2023080996000017
  3. 前記リン除去処理工程では、前記酸素分圧PO2,2(atm)が下記の式(3)の条件を、さらに満たす請求項2に記載の金属の製造方法。
    Figure 2023080996000018
  4. 前記金属酸化物が鉄鉱石またはマンガン鉱石である請求項1~3のいずれか1項に記載の金属の製造方法。
JP2021194622A 2021-11-30 2021-11-30 金属の製造方法 Active JP7476872B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021194622A JP7476872B2 (ja) 2021-11-30 2021-11-30 金属の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021194622A JP7476872B2 (ja) 2021-11-30 2021-11-30 金属の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2023080996A true JP2023080996A (ja) 2023-06-09
JP7476872B2 JP7476872B2 (ja) 2024-05-01

Family

ID=86656325

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021194622A Active JP7476872B2 (ja) 2021-11-30 2021-11-30 金属の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7476872B2 (ja)

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU2010207300B2 (en) 2009-01-23 2013-05-09 Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho Process for manufacturing granular iron
CN104451016B (zh) 2014-11-25 2017-11-03 神雾科技集团股份有限公司 从含磷铁矿石中分离金属铁的方法
JP7099149B2 (ja) 2018-08-02 2022-07-12 日本製鉄株式会社 高燐鉄鉱石の還元方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP7476872B2 (ja) 2024-05-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5326475B2 (ja) クロム含有スラグからのクロム回収方法
CN103695768B (zh) 一种钨钼铁合金及其制备方法
KR101189182B1 (ko) 바나듐 함유 용탕으로부터 바나듐을 선별하는 방법
WO2020261767A1 (ja) リン含有物質からのリンの除去方法、金属製錬用原料または金属精錬用原料の製造方法および金属の製造方法
JP3966156B2 (ja) 極低燐ステンレス鋼の溶製方法
JP2023080996A (ja) 金属の製造方法
JP2004520478A (ja) フェロアロイの製造
WO2017187973A1 (ja) 鉄鋼ダストの処理方法、亜鉛の生産方法、鉄鋼原料の生産方法、及び鉄鋼原料
KR101189183B1 (ko) 석유탈황 폐촉매 중 유가금속 회수방법
JP6052191B2 (ja) 製鋼スラグの資源化方法
WO2023100707A1 (ja) 金属鉄の製造方法
RU2639396C1 (ru) Способ пирометаллургической переработки окисленной никелевой руды
TWI842235B (zh) 金屬鐵的製造方法
JP2023080726A (ja) 金属の製造方法
US20220372591A1 (en) Method for removing phosphorus from phosphorus-containing substance, method for manufacturing raw material for metal smelting or raw material for metal refining, and method for manufacturing metal
US20230032245A1 (en) Liquid feed for a basic oxygen furnace
KR102606028B1 (ko) 금속성 공급원료 물질의 제련 방법
KR20240090639A (ko) 금속철의 제조 방법
JP2024014004A (ja) 含ニッケル酸化鉱石の製錬方法
KR20110010484A (ko) 전기로를 이용한 페로망간슬래그의 처리방법
Biswal et al. Reduction Behavior of Hematite‐Biowaste Composite Pellets at Melting Temperature
US2830889A (en) Process for the production of ferromanganese from high-grade manganese-bearing materials
Habashi A short history of electric furnaces in iron and steel making. Part 2 Induction and smelting
KR101677341B1 (ko) 고효율 용선예비처리방법
JP2021147667A (ja) クロム含有ダストの処理方法、製鉄原料の製造方法および含クロム溶鉄の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230627

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20240315

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240319

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240401

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7476872

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150