JP2023080652A - 基板処理装置および基板処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】処理のスループットの低下を抑制しつつ、基板へのパーティクル要素の再付着を低減させることができる技術を提供する。【解決手段】基板処理装置1は基板保持部2と処理液ノズル4とリンス液ノズル5とスプラッシュガード6とを備える。基板保持部2は基板Wを保持しつつ基板Wを回転させる。処理液ノズル4は斜め下方の第1吐出方向に沿って処理液を吐出する。リンス液ノズル5は、斜め下方の第2吐出方向に沿ってリンス液を吐出する。スプラッシュガード6は、基板Wの周縁から飛散する処理液およびリンス液を受け止める。第1吐出方向と水平面との間の角度θ1は、第2吐出方向と水平面との間の角度θ2よりも小さい。平面視において第1吐出方向と第2吐出方向との間の角度は30度以下である。基板Wの上面における処理液の第1着液位置と、リンス液の第2着液位置との間隔は50mm以下である。【選択図】図1
Description
本開示は、基板処理装置および基板処理方法に関する。
従来から、基板を処理する基板処理装置が提案されている(例えば特許文献1)。特許文献1では、基板処理装置は、基板保持部と、ノズルと、スクラブブラシとを含む。基板保持部は基板を水平姿勢で保持して基板を回転させる。ノズルは基板よりも鉛直上方に設けられており、斜め下方向に処理液を吐出して、基板の上面の中央部に処理液を供給する。処理液は薬液およびリンス液を含んでおり、ノズルは薬液およびリンス液を選択的に吐出する。スクラブブラシは、基板の上面に接触しつつ回転することで、基板に対して物理的に洗浄処理を行う。
特許文献1では、基板処理装置は洗浄処理の後にリンス処理を行う。洗浄処理では、ノズルから回転中の基板の上面に向けて洗浄用の薬液を吐出しながら、スクラブブラシが基板の上面に接触して回転する。リンス処理では、同ノズルから回転中の基板の上面に向けてリンス液を吐出して、基板の上面の薬液をリンス液で流し去る。
基板処理装置には、スプラッシュガードが設けられる。スプラッシュガードは、基板を取り囲む筒状の形状を有しており、基板から飛散した処理液を受け止める。
薬液処理において基板から飛散した薬液はスプラッシュガードの内周面で受け止められる。この薬液には、基板の上面から除去された不純物が含まれていたり、薬液由来の化学結晶が含まれていたりするので、スプラッシュガードの内周面には、不純物および化学結晶などのパーティクル要素が付着し得る。
リンス処理において基板から飛散したリンス液もスプラッシュガードの内周面で受け止められる。このとき、リンス液がスプラッシュガードの内周面のパーティクル要素に衝突して跳ね返ると、パーティクル要素がリンス液と共に基板に付着し得る。このパーティクル要素は基板においてパーティクルとなる。
また、スプラッシュガードに残留するパーティクル要素の量は、基板を処理するたびに増加する傾向にあるので、パーティクル要素が基板へ再付着する可能性は、基板の処理枚数の増加に応じて高くなる。そこで、例えば基板の所定枚数の処理ごとに、基板の処理を中断し、スプラッシュガードを洗浄する処理を実行する。これにより、スプラッシュガードのパーティクル要素の量を低減させることができる。
しかしながら、このような洗浄は基板の処理を中断させるので、処理のスループットの低下を招く。
そこで、本開示は、処理のスループットの低下を抑制しつつ、基板へのパーティクル要素の再付着を低減させることができる技術を提供することを目的とする。
第1の態様は、基板処理装置であって、基板を保持しつつ前記基板を回転させる基板保持部と、斜め下方の第1吐出方向に沿って処理液を吐出して前記基板の上面に前記処理液を供給する処理液ノズルと、斜め下方の第2吐出方向に沿ってリンス液を吐出して前記基板の前記上面に前記リンス液を供給するリンス液ノズルと、前記基板保持部を囲う筒形状を有し、前記基板の周縁から飛散する前記処理液および前記リンス液を受け止めるスプラッシュガードとを備え、前記第1吐出方向と水平面との間の角度は、前記第2吐出方向と水平面との間の角度よりも小さく、平面視において前記第1吐出方向と前記第2吐出方向との間の角度は30度以下であり、前記基板の前記上面における前記処理液の第1着液位置と、前記リンス液の第2着液位置との間隔は50mm以下である。
第2の態様は、第1の態様にかかる基板処理装置であって、前記リンス液ノズルは前記処理液ノズルよりも高い位置に設けられる。
第3の態様は、第1または第2の態様にかかる基板処理装置であって、前記第2着液位置は前記第1吐出方向において前記第1着液位置よりも前方にある。
第4の態様は、第1から第3のいずれか一つの態様にかかる基板処理装置であって、前記リンス液ノズルの吐出口の面積は、前記処理液ノズルの吐出口の面積よりも小さい。
第5の態様は、第1から第4のいずれか一つの態様にかかる基板処理装置であって、リンス液供給管を通じて前記リンス液ノズルへ供給される前記リンス液の流量は、処理液供給管を通じて前記処理液ノズルへ供給される前記処理液の流量よりも大きい。
第6の態様は、第1から第5のいずれか一つの態様にかかる基板処理装置を用いた基板処理方法であって、前記基板保持部が第1回転速度で前記基板を回転させながら、前記処理液ノズルが前記処理液を吐出して前記基板の前記上面に前記処理液を供給する処理工程と、前記処理工程の後に、前記基板保持部が前記第1回転速度よりも高い第2回転速度で前記基板を回転させながら、前記リンス液ノズルが前記リンス液を吐出して前記基板の前記上面に前記リンス液を供給するリンス工程とを備える。
第7の態様は、第1から第5のいずれか一つの態様にかかる基板処理装置を用いた基板処理方法であって、処理時間に亘って、前記基板保持部が前記基板を回転させながら、前記処理液ノズルが前記処理液を吐出して前記基板の前記上面に前記処理液を供給する処理工程と、前記処理工程の後に、前記処理時間よりも長いリンス時間に亘って、前記基板保持部が前記基板を回転させながら、前記リンス液ノズルが前記リンス液を吐出して前記基板の前記上面に前記リンス液を供給するリンス工程とを備える。
第8の態様は、第1から第5のいずれか一つの態様にかかる基板処理装置を用いた基板処理方法であって、前記基板保持部が前記基板を回転させながら、前記処理液ノズルが前記処理液を吐出して前記基板の前記上面に前記処理液を供給する処理工程と、前記処理工程の後に、前記処理液および前記リンス液を前記基板に供給しない状態で前記基板保持部が前記基板を回転させる空回し工程と、前記空回し工程の後に、前記基板保持部が前記基板を回転させながら、前記リンス液ノズルが前記リンス液を吐出して前記基板の前記上面に前記リンス液を供給するリンス工程とを備える。
第9の態様は、第8の態様にかかる基板処理方法であって、前記空回し工程における前記基板の回転速度は、前記処理工程における前記基板の回転速度よりも高い。
第1の態様によれば、基板の上面で跳ね返った処理液の液滴群はより低い位置でスプラッシュガードの内周面に衝突する。処理液中には基板の上面の不純物および処理液由来の化学結晶等のパーティクル要素が含まれているところ、パーティクル要素も低い位置でスプラッシュガードの内周面に付着する。基板の上面で跳ね返ったリンス液の液滴群はより高い位置でスプラッシュガードの内周面に衝突する。よって、リンス処理において、リンス液の液滴群はスプラッシュガードの内周面においてパーティクル要素には衝突しにくい。したがって、基板に再付着するパーティクル要素の量を低減させることができる。
また、基板に再付着するパーティクル要素を低減させることができるので、基板の処理の中断を伴うスプラッシュガードの洗浄処理を行う必要性も低い。つまり、スループットの低下を抑制できる。
第2の態様によれば、リンス液がより高くまで基板の上面から跳ね返るので、より確実にリンス液の液滴群を処理液の液滴群よりも上方で飛散させることができる。
第3の態様によれば、処理液およびリンス液の両方が吐出される期間において、リンス液は、基板の上面から跳ね返った直後の処理液の液滴群を覆い被さるように、基板の上面に着液する。よって、処理液の液滴群をさらに低い位置でスプラッシュガードの内周面に衝突させることができる。
第4および第5の態様によれば、リンス液ノズルから吐出されるリンス液の流速を増加させることができる。これによれば、リンス液がより高く跳ね返るので、より確実にリンス液の液滴群を処理液の液滴群よりも上方で飛散させることができる。
第6の態様によれば、リンス工程において、基板はより高い第2回転速度で回転する。これによれば、リンス液がより高くまで基板の上面で跳ね返るので、より確実にリンス液の液滴群を処理液の液滴群よりも上方で飛散させることができる。
第7の態様によれば、リンス工程は、より長いリンス時間に亘って行われる。このため、リンス工程におけるリンス効果を向上させることができ、基板上のパーティクルの量を低減させることができる。
第8の態様によれば、空回し工程によって、基板上の処理液の量を低減させることができる。よって、基板上の処理液が少ない状態でリンス工程が開始される。したがって、リンス液が基板の上面に着液したときに、リンス液と処理液との衝突に起因した処理液の跳ね上がりを抑制することができる。
第9の態様によれば、基板上の処理液の量をさらに低減させることができる。
以下、添付の図面を参照しながら、実施の形態について説明する。なお、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本開示の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法または数が誇張または簡略化して図示されている場合がある。
相対的または絶対的な位置関係を示す表現(例えば「一方向に」「一方向に沿って」「平行」「直交」「中心」「同心」「同軸」など)が用いられる場合、該表現は、特に断らない限り、その位置関係を厳密に表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる範囲で相対的に角度または距離に関して変位された状態も表すものとする。等しい状態であることを示す表現(例えば「同一」「等しい」「均質」など)が用いられる場合、該表現は、特に断らない限り、定量的に厳密に等しい状態を表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる差が存在する状態も表すものとする。形状を示す表現(例えば、「四角形状」または「円筒形状」など)が用いられる場合、該表現は、特に断らない限り、幾何学的に厳密にその形状を表すのみならず、同程度の効果が得られる範囲で、例えば凹凸または面取りなどを有する形状も表すものとする。一の構成要素を「備える」「具える」「具備する」「含む」または「有する」という表現が用いられる場合、該表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的表現ではない。「A,BおよびCの少なくともいずれか一つ」という表現が用いられる場合、該表現は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A,BおよびCのうち任意の2つ、ならびに、A,BおよびCの全てを含む。
<基板処理装置>
図1は、基板処理装置1の構成の一例を概略的に示す側面図であり、図2は、基板処理装置1の構成の一例を概略的に示す斜視図である。基板処理装置1は基板Wに対して処理(例えば洗浄処理)を行う。基板Wは、例えば、半導体基板であり、円板形状を有する。基板Wのサイズは特に制限されないものの、基板Wの直径は例えば200mmから300mm程度である。なお、基板Wは必ずしも半導体基板に限らず、他の基板であってもよい。
図1は、基板処理装置1の構成の一例を概略的に示す側面図であり、図2は、基板処理装置1の構成の一例を概略的に示す斜視図である。基板処理装置1は基板Wに対して処理(例えば洗浄処理)を行う。基板Wは、例えば、半導体基板であり、円板形状を有する。基板Wのサイズは特に制限されないものの、基板Wの直径は例えば200mmから300mm程度である。なお、基板Wは必ずしも半導体基板に限らず、他の基板であってもよい。
基板処理装置1は、基板保持部2と、処理液ノズル4と、リンス液ノズル5と、スプラッシュガード6とを含んでいる。なお、図2では、スプラッシュガード6の図示を省略している。以下では、各構成を概説し、その後、各構成の一例を詳述する。
基板保持部2は基板Wを水平姿勢で保持しつつ、基板Wを回転軸線Q1のまわりで回転させる。ここでいう水平姿勢とは、基板Wの厚み方向が鉛直方向に沿う姿勢である。回転軸線Q1は、基板Wの中心部を通り、かつ、鉛直方向に沿う軸である。このような基板保持部2はスピンチャックとも呼ばれる。
処理液ノズル4は、基板保持部2によって保持された基板Wの上面よりも高い位置に設けられる。処理液ノズル4は処理液を斜め下方に吐出して、基板保持部2によって保持された基板Wの上面に処理液を供給する。図1の例では、処理液ノズル4は、回転軸線Q1から径方向に離れた第1処理位置から基板Wの中央部に向けて処理液を吐出する。図1では、処理液ノズル4から吐出される処理液を模式的に破線の矢印で示している。
処理液は例えば、基板Wの上面に存在する除去対象を化学的に除去可能な薬液を含む。薬液としては、特に制限されないものの、例えば、アンモニア水およびアンモニア過酸化水素水などのアルカリ性液体を採用することができる。
基板保持部2が基板Wを回転させながら、処理液ノズル4が処理液を吐出すると、処理液は回転中の基板Wの上面の中央部に着液する。処理液の一部は基板Wの上面で跳ね返って基板Wよりも上方を飛散し、他の一部は遠心力を受けて基板Wの上面に沿って広がり、基板Wの周縁から外側に飛散する。このとき、処理液が基板Wの上面に作用し、処理液に応じた処理(例えば洗浄処理)が基板Wの上面に対して行われる。
リンス液ノズル5は、基板保持部2によって保持された基板Wの上面よりも高い位置に設けられる。リンス液ノズル5はリンス液を斜め下方に吐出して、基板保持部2によって保持された基板Wの上面にリンス液を供給する。図1の例では、リンス液ノズル5は、回転軸線Q1から径方向に離れた第2処理位置から基板Wの中央部に向けて処理液を吐出する。図1では、リンス液ノズル5から吐出されるリンス液も模式的に破線の矢印で示している。リンス液は例えば純水(脱イオン水)を含む。
基板保持部2が基板Wを回転させながら、リンス液ノズル5がリンス液を吐出すると、リンス液は回転中の基板Wの上面の中央部に着液する。リンス液の一部は基板Wの上面で跳ね返って基板Wよりも上方を飛散し、他の一部は遠心力を受けて基板Wの上面に沿って広がり、基板Wの周縁から外側に飛散する。リンス液は例えば基板W上の薬液を基板Wよりも外側に押し流すことができる。
スプラッシュガード6は基板保持部2を囲み、基板Wの周縁から飛散する液体を受け止める。スプラッシュガード6によって受け止められた液体は鉛直下方に流下して、排液部8から排出される。
基板処理装置1には制御部9も設けられる。制御部9は基板処理装置1の各種構成に制御信号を出力して、これらを制御する。図3は、制御部9のハードウェア構成の一例を概略的に示すブロック図である。制御部9は電子回路であって、例えばデータ処理部901および記憶部902を有している。図3の具体例では、データ処理部901と記憶部902とはバス90を介して相互に接続されている。データ処理部901は例えばCPU(Central Processor Unit)などの演算処理装置であってもよい。記憶部902は非一時的な記憶部(例えばROM(Read Only Memory)またはハードディスク)903および一時的な記憶部(例えばRAM(Random Access Memory))904を有していてもよい。非一時的な記憶部903には、例えば制御部9が実行する処理を規定するプログラムが記憶されていてもよい。データ処理部901がこのプログラムを実行することにより、制御部9が、プログラムに規定された処理を実行することができる。もちろん、制御部9が実行する処理の一部または全部が専用の論理回路などのハードウェアによって実行されてもよい。
<基板保持部>
図1の例では、基板保持部2は、ベース21と、複数のチャックピン22と、回転機構23とを含む。ベース21は、例えば、回転軸線Q1を中心とした円板形状を有し、その上面には複数のチャックピン22が立設されている。複数のチャックピン22は基板Wの周縁に沿って等間隔で設けられる。チャックピン22は、基板Wの周縁に当接するチャック位置と、基板Wの周縁から離れた解除位置の間で変位可能である。複数のチャックピン22がそれぞれのチャック位置で停止した状態で、複数のチャックピン22が基板Wの周縁を保持する。複数のチャックピン22がそれぞれの解除位置で停止した状態では、基板Wの保持が解除される。複数のチャックピン22を駆動する不図示のチャック駆動部は例えばリンク機構および磁石等により構成され、制御部9によって制御される。
図1の例では、基板保持部2は、ベース21と、複数のチャックピン22と、回転機構23とを含む。ベース21は、例えば、回転軸線Q1を中心とした円板形状を有し、その上面には複数のチャックピン22が立設されている。複数のチャックピン22は基板Wの周縁に沿って等間隔で設けられる。チャックピン22は、基板Wの周縁に当接するチャック位置と、基板Wの周縁から離れた解除位置の間で変位可能である。複数のチャックピン22がそれぞれのチャック位置で停止した状態で、複数のチャックピン22が基板Wの周縁を保持する。複数のチャックピン22がそれぞれの解除位置で停止した状態では、基板Wの保持が解除される。複数のチャックピン22を駆動する不図示のチャック駆動部は例えばリンク機構および磁石等により構成され、制御部9によって制御される。
回転機構23はモータ231を含んでいる。モータ231はシャフト232を介してベース21の下面に連結されており、制御部9によって制御される。モータ231がシャフト232およびベース21を回転軸線Q1のまわりで回転させることにより、複数のチャックピン22によって保持された基板Wも回転軸線Q1のまわりで回転する。
なお、基板保持部2は必ずしもチャックピン22を含む必要はない。基板保持部2は例えば吸引力または静電力により基板Wを保持してもよい。
<処理液ノズル>
処理液ノズル4は例えば円筒形状を有する。処理液ノズル4はその下端面に吐出口4aを有している。処理液ノズル4の内部流路4bは斜め下方に延在し、その下端開口が吐出口4aに相当する。吐出口4aは例えば円形状を有し、処理液ノズル4は吐出口4aから液柱状の処理液を吐出する。
処理液ノズル4は例えば円筒形状を有する。処理液ノズル4はその下端面に吐出口4aを有している。処理液ノズル4の内部流路4bは斜め下方に延在し、その下端開口が吐出口4aに相当する。吐出口4aは例えば円形状を有し、処理液ノズル4は吐出口4aから液柱状の処理液を吐出する。
処理液ノズル4は移動不能に設けられてもよく、不図示のノズル移動機構によって移動可能に設けられてもよい。ノズル移動機構が設けられる場合、処理液ノズル4はノズル移動機構によって第1処理位置と第1待機位置との間を移動する。第1処理位置は、処理液ノズル4が処理液を吐出する位置である。図1とは異なるものの、第1処理位置は、例えば基板Wと鉛直方向において対向する位置であってもよい。第1待機位置は、例えば基板Wの周縁よりも径方向外側の位置である。ノズル移動機構は例えば後述のブラシ駆動機構70と同様のアーム旋回機構を有する。
処理液ノズル4には処理液供給管41の一端が接続される。処理液供給管41の他端は処理液供給源44に接続される。処理液供給源44は、例えば処理液を貯留するタンクを含む。処理液供給管41にはバルブ42および流量調整部43が介装されている。
バルブ42は制御部9によって制御され、バルブ42が開くことで、処理液が処理液供給源44から処理液供給管41の内部を流れて処理液ノズル4に供給される。この処理液は処理液ノズル4の吐出口4aから基板Wの上面に向かって吐出される。バルブ42が閉じると、処理液ノズル4の吐出口4aからの処理液の吐出が停止する。
流量調整部43は制御部9によって制御され、処理液供給管41を流れる処理液の流量を調整する。流量調整部43は例えばバルブであって、具体的な一例としてマスフローコントローラを含む。
<リンス液ノズル>
リンス液ノズル5は例えば円筒形状を有する。リンス液ノズル5はその下端面に吐出口5aを有している。リンス液ノズル5の内部流路5bは斜め下方に延在し、その下端開口が吐出口5aに相当する。吐出口5aは例えば円形状を有し、リンス液ノズル5は吐出口5aから液柱状のリンス液を吐出する。
リンス液ノズル5は例えば円筒形状を有する。リンス液ノズル5はその下端面に吐出口5aを有している。リンス液ノズル5の内部流路5bは斜め下方に延在し、その下端開口が吐出口5aに相当する。吐出口5aは例えば円形状を有し、リンス液ノズル5は吐出口5aから液柱状のリンス液を吐出する。
リンス液ノズル5は移動不能に設けられてもよく、不図示のノズル移動機構によって移動可能に設けられてもよい。ノズル移動機構が設けられる場合、リンス液ノズル5はノズル移動機構によって第2処理位置と第2待機位置との間を移動する。第2処理位置は、リンス液ノズル5がリンス液を吐出する位置である。図1とは異なるものの、第2処理位置は、例えば基板Wと鉛直方向において対向する位置であってもよい。第2待機位置は、例えば基板Wの周縁よりも径方向外側の位置である。ノズル移動機構は例えば後述のブラシ駆動機構70と同様のアーム旋回機構を有する。
リンス液ノズル5にはリンス液供給管51の一端が接続される。リンス液供給管51の他端はリンス液供給源54に接続される。リンス液供給源54は、例えばリンス液を貯留するタンクを含む。リンス液供給管51にはバルブ52および流量調整部53が介装されている。
バルブ52は制御部9によって制御され、バルブ52が開くことで、リンス液がリンス液供給源54からリンス液供給管51の内部を流れてリンス液ノズル5に供給される。このリンス液はリンス液ノズル5の吐出口5aから基板Wの上面に向かって吐出される。バルブ52が閉じると、リンス液ノズル5の吐出口5aからの処理液の吐出が停止する。
流量調整部53は制御部9によって制御され、リンス液供給管51を流れるリンス液の流量を調整する。流量調整部53は例えばバルブであって、より具体的な一例としてマスフローコントローラを含む。
<スプラッシュガード>
スプラッシュガード6は基板保持部2および基板Wを囲み、基板Wから飛散する液体を受け止める。スプラッシュガード6は、例えば、回転軸線Q1を中心とした筒形状を有する。スプラッシュガード6の上端6aは、基板保持部2によって保持された基板Wの上面よりも鉛直上方に位置する。基板Wの周縁から飛散した液体は、スプラッシュガード6の内周面に衝突する。該液体はスプラッシュガード6の内周面を鉛直下方に流下して、排液部8から排出される。
スプラッシュガード6は基板保持部2および基板Wを囲み、基板Wから飛散する液体を受け止める。スプラッシュガード6は、例えば、回転軸線Q1を中心とした筒形状を有する。スプラッシュガード6の上端6aは、基板保持部2によって保持された基板Wの上面よりも鉛直上方に位置する。基板Wの周縁から飛散した液体は、スプラッシュガード6の内周面に衝突する。該液体はスプラッシュガード6の内周面を鉛直下方に流下して、排液部8から排出される。
図1に例示するように、スプラッシュガード6は単層の筒形状を有していてもよい。この場合、スプラッシュガード6は多重の筒部材を有していないので、基板Wから飛散した液体はその種類に依らず、共通のスプラッシュガード6の内周面で受け止められる。
<スクラブブラシ>
図1の例では、基板処理装置1にはスクラブブラシ7が設けられている。スクラブブラシ7は、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)からなるスポンジ状のスクラブ部材である。
図1の例では、基板処理装置1にはスクラブブラシ7が設けられている。スクラブブラシ7は、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)からなるスポンジ状のスクラブ部材である。
スクラブブラシ7はブラシ駆動機構70によって駆動される。ブラシ駆動機構70は制御部9によって制御され、水平移動機構71と、昇降機構72と、ブラシ回転機構73とを含む。水平移動機構71はスクラブブラシ7を基板Wの中心部と周縁部との間で水平に移動させる。図2の例では、水平移動機構71はアーム旋回機構を有しており、具体的には、アーム711と、支持軸712と、揺動機構713とを含む。アーム711の先端にはスクラブブラシ7が取り付けられ、アーム711の基端には支持軸712が取り付けられる。揺動機構713は例えばモータを含み、支持軸712をその中心軸線Q2まわりで回転させる。これにより、アーム711が水平面内で旋回し、スクラブブラシ7が水平方向に沿って移動する。
昇降機構72はスクラブブラシ7を鉛直方向に沿って昇降させる。図2の例では、昇降機構72は支持軸712を昇降させることにより、スクラブブラシ7を昇降させる。昇降機構72は例えばボールねじ機構とモータとを含む。ブラシ回転機構73は例えばモータを含み、鉛直方向に沿う自転軸線まわりでスクラブブラシ7を自転させる。
昇降機構72はスクラブブラシ7を下降させてスクラブブラシ7の下端を基板Wの上面に当接させる。この状態で、ブラシ回転機構73がスクラブブラシ7を自転させつつ、水平移動機構71が回転中の基板Wの中央部と周縁部との間でスクラブブラシ7を往復移動させる。これにより、スクラブブラシ7が基板Wの上面を擦って物理的に洗浄できる。
<処理液ノズルとリンス液ノズルとの位置関係>
次に、処理液ノズル4とリンス液ノズル5との位置関係の一例を詳述する。ここでは、角度θ1および角度θ2を導入する(図1も参照)。角度θ1は、処理液ノズル4の第1吐出方向が水平面に対してなす角度である。処理液ノズル4の第1吐出方向とは、吐出口4a近傍での内部流路4bの延在方向、つまり、吐出口4aの開口軸と平行な方向である。角度θ2は、リンス液ノズル5の第2吐出方向が水平面に対してなす角度である。リンス液ノズル5の第2吐出方向とは、吐出口5a近傍での内部流路5bの延在方向、つまり、吐出口5aの開口軸と平行な方向である。
次に、処理液ノズル4とリンス液ノズル5との位置関係の一例を詳述する。ここでは、角度θ1および角度θ2を導入する(図1も参照)。角度θ1は、処理液ノズル4の第1吐出方向が水平面に対してなす角度である。処理液ノズル4の第1吐出方向とは、吐出口4a近傍での内部流路4bの延在方向、つまり、吐出口4aの開口軸と平行な方向である。角度θ2は、リンス液ノズル5の第2吐出方向が水平面に対してなす角度である。リンス液ノズル5の第2吐出方向とは、吐出口5a近傍での内部流路5bの延在方向、つまり、吐出口5aの開口軸と平行な方向である。
本実施の形態では、角度θ2が角度θ1よりも大きくなるように、処理液ノズル4およびリンス液ノズル5が設けられる。角度θ1は例えば25度から35度程度であり、角度θ1と角度θ2との差は例えば20度以下である。
また図1の例では、リンス液ノズル5は処理液ノズル4よりも高い位置に設けられている。具体的には、リンス液ノズル5の吐出口5aは処理液ノズル4の吐出口4aよりも高くに位置している。各吐出口の高さ位置としては、特に制限されないものの、例えば吐出口の中心の高さ位置を採用することができる。吐出口4aと吐出口5aとの高さ位置の差は例えば数mmから数十mm程度に設定され得る。
図4および図5は、基板Wに対する処理液ノズル4およびリンス液ノズル5の位置関係の一例を概略的に示す平面図である。
ここで、角度φ0を導入する。角度φ0は、処理液ノズル4の第1吐出方向がリンス液ノズル5の第2吐出方向に対して平面視においてなす角度である。角度φ0が例えば30度以下となるように、処理液ノズル4およびリンス液ノズル5が設けられる。角度φ0はより好ましくは20度以下、さらに好ましくは15度以下である。この角度φ0の数値範囲の技術的意義については後に述べる。なお、処理液ノズル4およびリンス液ノズル5が移動可能に設けられている場合には、角度φ0は、処理液ノズル4およびリンス液ノズル5がそれぞれ第1処理位置および第2処理位置で停止した状態での、第1吐出方向と第2吐出方向との間の角度である。
図5では、処理液が基板Wの上面に着液する着液位置P1(第1着液位置に相当)、および、リンス液が基板Wの上面に着液する着液位置P2(第2着液位置に相当)とが示されている。着液位置としては、特に制限されないものの、例えば、液柱状の液体が基板Wの上面に着液する範囲の重心を採用することができる。本実施の形態では、着液位置P1と着液位置P2との間隔Δpが50mm以下となるように、処理液ノズル4およびリンス液ノズル5の位置ならびに処理液およびリンス液の流量が設定される。着液位置P1と着液位置P2との間隔Δpはより好ましくは30mm以下である。この間隔Δpの数値範囲の技術的意義については後に述べる。
なお、上述の例では、着液位置P1および着液位置P2を用いて処理液ノズル4およびリンス液ノズル5の位置を説明したが、次に説明する第1位置および第2位置を用いて説明することも可能である。第1位置は、処理液ノズル4の第1吐出方向に沿う仮想線が基板Wの上面と交差する位置であり、第2位置は、リンス液ノズル5の第2吐出方向に沿う仮想線が基板Wの上面と交差する位置である。第1位置および第2位置は、それぞれ、処理液およびリンス液が直線的に放出されると仮定したときの着液位置P1および着液位置P2に相当する。処理液ノズル4およびリンス液ノズル5は、第1位置と第2位置との間隔が50mm以下、より好ましくは30mm以下となるように設けられる。
<基板処理装置の動作の一例>
図6は、基板処理装置1の動作の一例を示すフローチャートである。まず、基板保持部2が基板Wを保持する(ステップS1:保持工程)。具体的には、外部の搬送ロボット(不図示)が基板Wを基板保持部2に渡し、基板保持部2が基板Wを保持する。
図6は、基板処理装置1の動作の一例を示すフローチャートである。まず、基板保持部2が基板Wを保持する(ステップS1:保持工程)。具体的には、外部の搬送ロボット(不図示)が基板Wを基板保持部2に渡し、基板保持部2が基板Wを保持する。
次に、基板保持部2が基板Wを回転軸線Q1のまわりで回転させ始める(ステップS2:回転開始工程)。後述の各ステップにおいて、基板保持部2は必要に応じて基板Wの回転を停止させてもよいものの、ここでは一例として、基板Wに対する乾燥処理の終了まで基板Wの回転を継続する。
次に、基板Wに対する薬液処理が行われる(ステップS3:処理工程)。具体的には、制御部9はバルブ42に制御信号を出力してバルブ42を開く。これにより、処理液(例えば薬液)が処理液ノズル4の吐出口4aから吐出されて、基板Wの上面に供給される。処理液が基板Wの上面に着液すると、その一部(以下、第1部分)が基板Wの上面で跳ね返って飛散し、残りの一部(以下、第2部分)が遠心力を受けて基板Wの上面に沿って径方向外側に流れる。
図7は、処理液の流れの様子の一例を概略的に示す平面図である。基板Wの上面に着液した処理液の第2部分は着液位置P1から、基板Wの回転に応じて円弧状に流れ、基板Wの周縁から外側に飛散する。基板Wの周縁から飛散した処理液はスプラッシュガード6の内面で受け止められる。このように処理液が基板Wの上面に沿って流れることにより、処理液が基板Wの上面に作用し、処理液に応じた処理(例えば洗浄処理)が基板Wに対して行われる。
一方、基板Wの上面に着液した処理液の第1部分は着液位置P1で基板Wの上面から跳ね返る。基板Wの上面で跳ね返った処理液の液滴群は、基板Wの上方空間を広がりながら飛散する。より具体的には、液滴群の飛散領域R1は平面視においておおむね扇状となる。飛散領域R1の広がり角φ1(中心角に相当)はおおよそ30度である。液滴群は基板Wの回転にはあまり依存せず飛散するので、飛散領域R1の広がり角φ1の二等分線は平面視において、おおむね処理液ノズル4の第1吐出方向に沿う。つまり、平面視において、液滴群は第1吐出方向を中心方向として広がりながら飛散する。
図7の例では、液滴を模式的にハッチング付きの円で示しているものの、実際には、液滴群は非常に微細な液滴を含む。この液滴群の一部は基板Wの上面に落下し得るものの、他の一部は基板Wの上方空間を移動し、スプラッシュガード6の内周面で受け止められる。処理液には、基板Wの上面の除去対象が含まれていたり、処理液自体の化学成分の結晶が含まれていたりするので、スプラッシュガード6の内周面には、除去対象および結晶などのパーティクル要素が付着する。
以上のように、薬液処理により基板Wの上面に処理(ここでは洗浄処理)を行うことができる一方で、スプラッシュガード6の内周面にはパーティクル要素が付着し得る。
ところで、薬液処理の一例としては、処理液のみならず、リンス液を基板Wの上面に供給しても構わない。具体的には、制御部9はバルブ52にも制御信号を出力してバルブ52を開く。これにより、リンス液(ここでは純水)がリンス液ノズル5の吐出口5aから基板Wの上面に供給される。リンス液が基板Wの上面に着液すると、その一部が上面で跳ね返って飛散し、残りの一部が遠心力を受けて基板Wの上面に沿って径方向外側に流れる。
このリンス液の流れも処理液と同様である。つまり、基板Wの上面に着液したリンス液の一部は着液位置P2で基板Wの上面から跳ね返り、他の一部は着液位置P2から基板Wの上面に沿って円弧状に流れ、基板Wの周縁から外側に飛散する。このとき、基板Wの上面ではリンス液および処理液が混ざり合いながら流れる。処理液は主として除去対象を基板Wの上面から取り除き、リンス液は主として基板Wの上面の処理液および基板Wの上面から取り除かれた除去対象を押し流す。
図8は、処理液およびリンス液が基板Wの上面で跳ね返る様子の一例を概略的に示す側面図である。なお、図8の例では、実施の形態の理解を助けるために、処理液およびリンス液の跳ね返りを誇張して示しており、これに伴って、スプラッシュガード6の高さも誇張して示している。
図8に示すように、処理液ノズル4についての角度θ1はリンス液ノズル5についての角度θ2よりも小さい。よって、処理液は比較的に小さい衝突角度で基板Wの上面に着液し、リンス液は比較的に大きい衝突角度で基板Wの上面に着液する。なお、ここでいう衝突角度とは、液体が基板Wの上面に着液する際の液体の移動方向と基板Wの上面との間の角度である。リンス液についての衝突角度が大きいので、基板Wの上面で跳ね返ったリンス液の液滴群は比較的に高い位置で空間中を飛散する。一方、処理液についての衝突角度は小さいので、基板Wの上面で跳ね返った処理液の液滴群は、比較的に低い位置で空間中を飛散する。
さて、上述のように、処理液ノズル4の第1吐出方向とリンス液ノズル5の第2吐出方向との間の角度φ0は30度以下である(図4も参照)。液滴群の広がり角φ1は30度程度であるので、角度φ0は広がり角φ1以下である、ともいえる。さらに、処理液の着液位置P1とリンス液の着液位置P2との間隔Δpは50mm以下である(図5も参照)。
このような構成によれば、基板Wの上面で跳ね返った処理液およびリンス液の液滴群の少なくとも一部は平面視において重なり合う(例えば図4を参照)。具体的には、処理液の液滴群が飛散する飛散領域R1と、リンス液の液滴群が飛散する飛散領域R2との重複領域R12において、処理液およびリンス液の液滴群が平面視において重なり合う。この重複領域R12において、処理液の液滴群の直上にはリンス液の液滴群が存在する(図8を参照)ので、該リンス液の液滴群が該処理液の液滴群の上昇を抑制することができる。よって、該処理液の液滴群をスプラッシュガード6の内周面に対してより低い位置で衝突させることができる。したがって、該処理液に含まれるパーティクル要素はより低い位置でスプラッシュガード6の内周面に付着する。
一方、重複領域R12において、リンス液の液滴群は処理液の液滴群よりも鉛直上方を移動するので、パーティクル要素よりも高い位置でスプラッシュガード6の内周面に受け止められる。そして、このリンス液の液滴群がスプラッシュガード6の内周面を流下することで、処理液およびパーティクル要素を鉛直下方に押し流すことができ、排液部8から排出させることができる。よって、スプラッシュガード6の内周面に付着するパーティクル要素の位置をより鉛直下方に移動させることができるとともに、スプラッシュガード6の内周面に付着したパーティクル要素の量を低減させることができる。
なお、上述の例では、薬液処理においてスクラブブラシ7による物理洗浄が行われていないものの、必要に応じて、スクラブブラシ7による物理洗浄が行われてもよい。これにより、基板Wに対する洗浄効率を向上させることができる。
基板Wに対する薬液処理が十分に完了すると、基板Wに対するリンス処理が行われる(ステップS4:リンス工程)。例えば制御部9は、薬液処理の開始からの経過時間を計測し、経過時間が所定の処理時間以上になったときに、リンス処理を行う。上述の具体例では、薬液処理において処理液およびリンス液の両方が基板Wに供給されるので、制御部9はバルブ52を開いたままでバルブ42を閉じる。これにより、リンス液の供給が維持されつつ、処理液の供給が停止する。なお、薬液処理においてスクラブブラシ7による物理洗浄が行われている場合には、ブラシ駆動機構70はスクラブブラシ7をブラシ待機位置に移動させる。
このリンス処理により、基板Wの上面の処理液がリンス液によって基板Wよりも外側に押し流される。そして、基板Wから飛散したリンス液はスプラッシュガード6の内周面で受け止められる。リンス液がスプラッシュガード6の内周面で跳ね返ると、その一部の液滴が基板Wに再衝突し得る。このとき、スプラッシュガード6の内周面に付着したパーティクル要素がリンス液の衝突によって基板W側に飛び散ることがある。このパーティクル要素が基板Wに再付着することは望ましくない。本実施の形態では、後に詳述するように、基板Wに再付着するパーティクル要素の量を低減させることができる。
基板Wに対するリンス処理が十分に完了すると、基板Wに対する乾燥処理を行う(ステップS5)。例えば制御部9はリンス処理の開始からの経過時間を計測し、経過時間が所定のリンス時間以上になったときに、乾燥処理を行う。具体的な一例として、基板保持部2が基板Wの回転速度を増加させて、基板Wを乾燥させる(いわゆるスピンドライ)。
次に、基板保持部2が基板Wの回転を終了し、外部の搬送ロボットが基板保持部2から処理済みの基板Wを取り出す。以上のように、基板処理装置1は基板Wに対して処理を行うことができる。
<実施の形態の効果>
本実施の形態によれば、処理液ノズル4についての角度θ1はリンス液ノズル5についての角度θ2よりも小さい。よって、上述のように、薬液処理(ステップS3)において処理液中のパーティクル要素は比較的低い位置でスプラッシュガード6の内周面に付着する。低い位置でスプラッシュガード6の内周面に付着したパーティクル要素は、リンス液の衝突によって基板W側に飛び散ったとしても、基板Wには再付着しにくい。このため、その後のリンス処理(ステップS4)において、パーティクル要素がリンス液の衝突によって基板W側に飛散しても、基板Wに再付着しにくい。つまり、リンス処理における基板Wへのパーティクル要素の再付着を抑制することができる。
本実施の形態によれば、処理液ノズル4についての角度θ1はリンス液ノズル5についての角度θ2よりも小さい。よって、上述のように、薬液処理(ステップS3)において処理液中のパーティクル要素は比較的低い位置でスプラッシュガード6の内周面に付着する。低い位置でスプラッシュガード6の内周面に付着したパーティクル要素は、リンス液の衝突によって基板W側に飛び散ったとしても、基板Wには再付着しにくい。このため、その後のリンス処理(ステップS4)において、パーティクル要素がリンス液の衝突によって基板W側に飛散しても、基板Wに再付着しにくい。つまり、リンス処理における基板Wへのパーティクル要素の再付着を抑制することができる。
また上述の具体例では、薬液処理において、処理液のみならずリンス液も基板Wの上面に供給される。しかも、処理液ノズル4とリンス液ノズル5との間の角度φ0は30度以下であり、リンス液ノズル5の角度θ2は処理液ノズル4の角度θ2よりも大きく、リンス液は着液位置P1の近傍の着液位置P2に着液する。このため、基板Wの上面で跳ね返ったリンス液の液滴群は、重複領域R12(図4を参照)において、基板Wの上面で跳ね返った処理液の液滴群の直上に位置し(図8参照)、処理液の液滴群の上昇を抑制する。
上述の例では、リンス液ノズル5は処理液ノズル4よりも高い位置に設けられているので、リンス液の液滴群をより確実に処理液の液滴群よりも高い位置で飛散させることができる。
このように、該処理液の液滴群はより低い位置でスプラッシュガード6の内周面に受け止められるので、パーティクル要素もより低い位置でスプラッシュガード6の内周面に付着する。このため、その後のリンス処理において、基板Wに再付着するパーティクル要素の量をさらに低減させることができる。
一方、薬液処理において、重複領域R12内を飛散するリンス液の液滴群は、スプラッシュガード6の内周面に対して、該パーティクル要素の直上に衝突する。該リンス液がスプラッシュガード6の内周面を流下すると、該パーティクル要素を下方へ押し流すことができるので、該パーティクル要素の位置をさらに低くすることができる。また、スプラッシュガード6の内周面に付着するパーティクル要素の量を低減させることもできる。これによっても、その後のリンス処理において基板Wに再付着するパーティクル要素の量を低減させることができる。
図9は、実施の形態の効果を説明するための棒グラフであり、実施の形態および比較例ごとの実験結果(ここではパーティクル数)を示している。本実施の形態と比較例との相違点は、処理液ノズル4とリンス液ノズル5との間の位置関係である。比較例では、処理液ノズル4をリンス液ノズル5よりも高い位置に設け、角度θ1を角度θ2よりも大きく設定した。
またここでは、効果を分かりやすくするために、スプレイノズル(不図示)によるスプレイリンス処理を行った。具体的には、スプレイノズルを基板Wよりも上方で走査させながら、回転中の基板Wの上面に対して、スプレイノズルからミスト状のリンス液を供給した(スプレイリンス処理)。ミスト状のリンス液は周囲に飛散しやすいので、スプラッシュガード6の内周面にもより多くのリンス液の液滴が衝突し、より多くのパーティクル要素が基板Wへ再付着する。つまり、スプラッシュガード6の内周面に付着したパーティクル要素をミスト状のリンス液で飛散させて基板Wに再付着させ、その基板Wの上面のパーティクル数を計測した。このパーティクル数は、スプラッシュガード6に付着したパーティクル要素の、基板Wへの再付着のしやすさを示している、といえる。
図9から理解できるように、本実施の形態によれば、比較例に比べて、基板Wに再付着するパーティクル要素の量を低減させることができる。図9の具体例では、本実施の形態でのパーティクル数は比較例でのパーティクル数のおおよそ半分である。
以上のように、本実施の形態では、基板Wの上面で跳ね返る処理液の液滴群に着目し、処理液ノズル4とリンス液ノズル5の位置関係を工夫することで、この液滴群に起因した基板Wへのパーティクル要素の再付着を抑制した。
本実施の形態によれば、基板Wへのパーティクル要素の再付着を抑制できるので、基板Wの処理を中断したスプラッシュガード6の洗浄処理を実行する必要性は低い。つまり、基板Wの処理の中断を伴う洗浄処理の頻度を低減させることもでき、処理のスループットの低下を抑制することもできる。
<角度φ0>
次に角度φ0について述べる。図4から理解できるように、角度φ0が小さいほど、処理液の液滴群が飛散する飛散領域R1と、リンス液の液滴群が飛散する飛散領域R2とが平面視において重複する重複領域R12は広くなる。上述のように、重複領域R12では、処理液の液滴群の上昇をリンス液の液滴によって抑制することができるので、角度φ0が小さいほど、基板Wへ再付着するパーティクル要素の量を低減させることができる。角度φ0はより好ましくは20度以下であり、さらに好ましくは15度以下である。
次に角度φ0について述べる。図4から理解できるように、角度φ0が小さいほど、処理液の液滴群が飛散する飛散領域R1と、リンス液の液滴群が飛散する飛散領域R2とが平面視において重複する重複領域R12は広くなる。上述のように、重複領域R12では、処理液の液滴群の上昇をリンス液の液滴によって抑制することができるので、角度φ0が小さいほど、基板Wへ再付着するパーティクル要素の量を低減させることができる。角度φ0はより好ましくは20度以下であり、さらに好ましくは15度以下である。
<着液位置>
次に、処理液の着液位置P1とリンス液の着液位置P2との位置関係のより具体的な一例を述べる。図5を参照して、リンス液の着液位置P2は処理液の着液位置P1よりも第1吐出方向の前方に位置するとよい。より具体的な一例として、着液位置P2は、平面視において、後述の円領域R0と飛散領域R1とが重なり合う領域内に位置するとよい。円領域R0は、着液位置P1を中心とした円領域であり、その半径は50mm以下、より好ましくは30mm以下である。飛散領域R1は、着液位置P1で跳ね返った処理液の液滴群が広がって移動する領域であり、例えば、次のように定義できる。すなわち、飛散領域R1は、例えば、着液位置P1を頂点とした扇形形状の領域であって、その扇形形状の中心角が広がり角φ1(例えば30度程度)であり、処理液の第1吐出方向に沿う仮想線が該中心角の二等分線となる領域である。
次に、処理液の着液位置P1とリンス液の着液位置P2との位置関係のより具体的な一例を述べる。図5を参照して、リンス液の着液位置P2は処理液の着液位置P1よりも第1吐出方向の前方に位置するとよい。より具体的な一例として、着液位置P2は、平面視において、後述の円領域R0と飛散領域R1とが重なり合う領域内に位置するとよい。円領域R0は、着液位置P1を中心とした円領域であり、その半径は50mm以下、より好ましくは30mm以下である。飛散領域R1は、着液位置P1で跳ね返った処理液の液滴群が広がって移動する領域であり、例えば、次のように定義できる。すなわち、飛散領域R1は、例えば、着液位置P1を頂点とした扇形形状の領域であって、その扇形形状の中心角が広がり角φ1(例えば30度程度)であり、処理液の第1吐出方向に沿う仮想線が該中心角の二等分線となる領域である。
これによれば、リンス液の少なくとも一部は、着液位置P1で跳ね返った直後の処理液の液滴群を覆い被さるように基板Wの上面に着液する。よって、処理液の液滴群の上昇をさらに効果的に抑制することができる。ひいては、リンス処理における基板Wへ再付着するパーティクル要素の量をさらに低減させることができる。
<基板処理装置の動作の変形例>
上述の例では、薬液処理(ステップS3)において、処理液およびリンス液の両方を基板Wに供給した。しかしながら、必ずしもこれに限らない。例えば、薬液処理においてリンス液ノズル5がリンス液を吐出せずに、処理液ノズル4が処理液を吐出してもよい。つまり、制御部9はバルブ52を閉じたままバルブ42を開いてもよい。
上述の例では、薬液処理(ステップS3)において、処理液およびリンス液の両方を基板Wに供給した。しかしながら、必ずしもこれに限らない。例えば、薬液処理においてリンス液ノズル5がリンス液を吐出せずに、処理液ノズル4が処理液を吐出してもよい。つまり、制御部9はバルブ52を閉じたままバルブ42を開いてもよい。
本実施の形態によれば、処理液ノズル4についての角度θ1は比較的に小さいので、薬液処理においてリンス液が供給されなくても、着液位置P1で跳ね返った処理液の液滴群は比較的に低い位置でスプラッシュガード6の内周面に衝突する。よって、パーティクル要素もより低い位置でスプラッシュガード6の内周面に付着する。したがって、その後のリンス処理(ステップS4)における基板Wへのパーティクル要素の再付着を抑制することができる。
また、リンス処理では、角度θ2の大きなリンス液ノズル5からリンス液が吐出されるので、着液位置P2で跳ね返ったリンス液の液滴群は比較的高い位置でスプラッシュガード6の内周面に衝突する。つまり、リンス液の液滴群はパーティクル要素が付着していない領域(パーティクル要素よりも上方の領域)に衝突しやすく、パーティクル要素を飛散させにくい。しかも、該リンス液がスプラッシュガード6の内周面を流下することで、パーティクル要素を下方に押し流すことができる。このため、リンス処理において基板Wに再付着するパーティクル要素の量を低減させることができる。
また、薬液処理(ステップS3)からリンス処理(ステップS4)への遷移時のみにおいて、処理液およびリンス液の両方が吐出されてもよい。つまり、制御部9は薬液処理においてバルブ42を開いてバルブ52を閉じ、遷移時には、バルブ42を閉じる前にバルブ52を開き、その後、リンス液においてバルブ42を閉じてもよい。この動作例によっても、リンス処理において基板Wに再付着するパーティクル要素の量を低減させることができる。
<流速>
リンス液ノズル5から吐出されるリンス液の吐出流速は、処理液ノズル4から吐出される処理液の吐出流速よりも高く設定されてもよい。流速が高いほど、液体は基板Wの上面からより高い位置まで跳ね返るからである。つまり、リンス液の吐出流速が処理液の吐出流速よりも高く設定されていれば、リンス液の液滴群をより確実に処理液の液滴群よりも上方まで飛散させることができる。
リンス液ノズル5から吐出されるリンス液の吐出流速は、処理液ノズル4から吐出される処理液の吐出流速よりも高く設定されてもよい。流速が高いほど、液体は基板Wの上面からより高い位置まで跳ね返るからである。つまり、リンス液の吐出流速が処理液の吐出流速よりも高く設定されていれば、リンス液の液滴群をより確実に処理液の液滴群よりも上方まで飛散させることができる。
このため、薬液処理において処理液およびリンス液の両方を供給する場合には、リンス液の液滴群がより確実に処理液の液滴群の上昇を抑制することができる。したがって、スプラッシュガード6に付着するパーティクル要素の位置をより確実に低くすることができる。
薬液処理においてリンス液が供給されない場合であっても、処理液の吐出流速は低いので、処理液の液滴群を低い位置でスプラッシュガード6の内周面に衝突させることができる。一方、リンス処理においては、リンス液の吐出流速が高いので、リンス液の液滴群をより確実に高い位置でスプラッシュガード6の内周面に衝突させることができる。したがって、リンス処理において、より多くのリンス液の液滴群を、パーティクル要素の付着していない領域でスプラッシュガード6の内周面に衝突させることができる。
ところで、ノズルから吐出される液体の吐出流速は、ノズルに供給される液体の流量が大きいほど高い。そこで、リンス液の吐出流速が処理液の吐出流速よりも高くなるように、リンス液の流量を処理液の流量よりも大きく設定してもよい。つまり、制御部9はリンス液の流量が処理液の流量よりも大きくなるように、流量調整部43および流量調整部53を制御する。処理液ノズル4の吐出口4aの面積がリンス液ノズル5の吐出口5aの面積と同程度である場合、リンス液の流量が処理液の流量よりも大きくなると、リンス液の吐出流速は処理液の吐出流速よりも高くなる。
また、吐出流速は、ノズルの吐出口の面積が小さいほど高い。そこで、リンス液ノズル5の吐出口5aの面積を、処理液ノズル4の吐出口4aの面積よりも小さくしてもよい。図10は、処理液ノズル4およびリンス液ノズル5の構成の一例を概略的に示す図である。図10の例では、リンス液ノズル5の吐出口5aの面積は処理液ノズル4の吐出口4aの面積よりも小さい。吐出口4aおよび吐出口5aが円形状を有している場合には、吐出口5aの直径は吐出口4aの直径よりも小さい。ここでは、処理液ノズル4の内部流路4bおよびリンス液ノズル5の内部流路5bは円柱形状を有し、図10の例では、内部流路5bの直径は内部流路4bの直径よりも小さい。
このような構造によれば、処理液およびリンス液の流量が同程度である場合、リンス液ノズル5からのリンス液の吐出流速を処理液ノズル4からの処理液の吐出流速よりも高くすることができる。
<回転速度>
次に基板Wの回転速度について述べる。リンス処理(ステップS4)における基板Wの回転速度は、薬液処理(ステップS3)における回転速度以上に設定されてもよい。つまり、基板保持部2は、リンス処理(ステップS4)において、薬液処理(ステップS3)における回転速度以上の回転速度で、基板Wを回転させてもよい。
次に基板Wの回転速度について述べる。リンス処理(ステップS4)における基板Wの回転速度は、薬液処理(ステップS3)における回転速度以上に設定されてもよい。つまり、基板保持部2は、リンス処理(ステップS4)において、薬液処理(ステップS3)における回転速度以上の回転速度で、基板Wを回転させてもよい。
図11は、基板Wの回転速度の時間的な変化の一例を概略的に示すグラフである。図11の例では、基板保持部2は薬液処理において第1回転速度ω1で基板Wを回転させ、リンス処理において第2回転速度ω2で基板Wを回転させる。図11の例では、第2回転速度ω2は第1回転速度ω1よりも高い。ここでいう第1回転速度ω1は、薬液処理における基板Wの回転速度の平均値あるいは定常値であってもよいし、あるいは、薬液処理における基板Wの回転速度の目標値であってもよい。第2回転速度ω2も同様である。第1回転速度ω1は例えば100rpm以上かつ1000rpm以下に設定され、第2回転速度ω2は例えば2400rpm以上かつ3000rpm以下に設定される。
図11の例では、乾燥処理における基板Wの回転速度が第3回転速度ω3で示されている。図11の例では、第2回転速度ω2は第3回転速度ω3よりも低い。ここでいう第3回転速度ω3は、乾燥処理における基板Wの回転速度の平均値あるいは定常値であってもよいし、あるいは、乾燥処理における基板Wの回転速度の目標値であってもよい。
さて、基板Wの回転速度が高いほど、液体はより高い位置まで基板Wの上面から跳ね返る。図11の例では、第2回転速度ω2が第1回転速度ω1よりも高いので、リンス処理においてリンス液の液滴群はより高い位置まで基板Wの上面から跳ね返ることができる。つまり、リンス液の液滴群をより確実にパーティクル要素よりも高い位置でスプラッシュガード6の内周面に衝突させることができる。
また、回転速度が高いほど、基板Wに対するリンス効果(水洗効果ともいう)が高くなると考えられるので、リンス効果によっても基板W上のパーティクルの量を低減させることができる。
図12は、リンス処理における基板Wの回転速度ごとのパーティクル数を示す棒グラフである。図12から理解できるように、リンス処理における第2回転速度ω2が高くなるほど、基板Wの上面のパーティクル数は少なくなる。
<リンス時間>
リンス処理のリンス時間は、薬液処理の処理時間以上に設定されてもよい。図13は、薬液処理の処理時間T1とリンス処理のリンス時間T2の一例を概略的に示す図である。図13の例では、リンス時間T2は処理時間T1よりも長い値に予め設定される。例えば制御部9は、薬液処理の開始からの経過時間が処理時間T1以上となったときに、バルブ42を閉じて薬液処理を終了し、リンス処理の開始からの経過時間がリンス時間T2以上となったときに、バルブ52を閉じてリンス処理を終了する。
リンス処理のリンス時間は、薬液処理の処理時間以上に設定されてもよい。図13は、薬液処理の処理時間T1とリンス処理のリンス時間T2の一例を概略的に示す図である。図13の例では、リンス時間T2は処理時間T1よりも長い値に予め設定される。例えば制御部9は、薬液処理の開始からの経過時間が処理時間T1以上となったときに、バルブ42を閉じて薬液処理を終了し、リンス処理の開始からの経過時間がリンス時間T2以上となったときに、バルブ52を閉じてリンス処理を終了する。
リンス時間T2が長いので、より長時間に亘って基板Wの上面にリンス液が供給され続ける。よって、リンス液が基板Wの上面のパーティクルを基板Wよりも外側に押し流す可能性を向上させることができる。つまり、リンス時間T2を長くすることで、リンス液によるリンス効果を高めることができ、基板Wの上面のパーティクルを低減させることができる。
<空回し工程>
図14は、基板処理装置1の動作の他の一例を示すフローチャートである。図6と比較して、薬液処理(ステップS3)とリンス処理(ステップS4)との間で、空回し処理(ステップS10:空回し工程)が行われる。
図14は、基板処理装置1の動作の他の一例を示すフローチャートである。図6と比較して、薬液処理(ステップS3)とリンス処理(ステップS4)との間で、空回し処理(ステップS10:空回し工程)が行われる。
空回し処理とは、基板Wの上面への液体の供給を停止した状態で、基板Wを回転させる処理である。つまり、制御部9は、ステップS3の薬液処理が十分に完了したと判断したときに、バルブ42を閉じて薬液処理を終了し、基板保持部2に基板Wの回転を継続させる。なお、薬液処理においてリンス液が供給されていた場合には、制御部9はバルブ52も閉じる。これにより、空回し処理が行われる。
この空回し処理では、基板Wの上面の処理液(およびリンス液)が回転に伴う遠心力を受けて基板Wよりも外側に飛散するので、基板W上の処理液(およびリンス液)の量が時間の経過とともに低減する。
空回し処理が十分に行われると、リンス処理が行われる(ステップS4)。例えば制御部9は空回し処理の開始からの経過時間を計測し、経過時間が所定の空回し時間以上になると、バルブ52に制御信号を出力してバルブ52を開く。これにより、空回し処理が終了し、リンス液ノズル5の吐出口5aから基板Wの上面に向けてリンス液が吐出される。空回し時間は例えば予め設定され、具体的な一例として10秒程度に設定される。
空回し処理における基板Wの第4回転速度ω4は薬液処理における基板Wの第1回転速度ω1以上に設定されてもよい。図15は、基板Wの回転速度の時間変化の一例を概略的に示すグラフである。図15の例では、基板保持部2は薬液処理において第1回転速度ω1で基板Wを回転させ、空回し処理において第4回転速度ω4で基板Wを回転させ、リンス処理において第2回転速度ω2で基板Wを回転させる。第4回転速度ω4は、空回し処理における基板Wの回転速度の平均値あるいは定常値であってもよいし、あるいは、空回し処理における基板Wの回転速度の目標値であってもよい。
図15の例では、第4回転速度ω4は第1回転速度ω1よりも高く、例えば1000rpm程度に設定される。
第4回転速度ω4が第1回転速度ω1よりも高く設定されることにより、空回し処理において、より多くの処理液を基板Wの周縁から飛散させることができる。これにより、基板W上の処理液の量をさらに低減させることができる。
以上のように、空回し処理によって基板W上の処理液の量を低減できるので、基板W上の処理液の量が少ない状態でリンス処理を開始させることができる。よって、リンス処理の開始時にリンス液が着液位置P2で処理液と衝突しても、基板Wの上面から跳ね上がる処理液の量も少ない。
さて、着液位置P2で跳ね上がった処理液の液滴群の一部は比較的高い位置でスプラッシュガード6の内周面に付着し得る。しかしながら、空回し処理によって基板W上の処理液の量を低減させているので、着液位置P2で跳ね上がる処理液の量も低減させることができ、ひいては、スプラッシュガード6の内周面の比較的高い位置に付着するパーティクル要素を低減させることができる。
したがって、リンス液がスプラッシュガード6の内周面に衝突して基板Wに向かって跳ね返ったとしても、基板Wにパーティクル要素が付着する可能性を低減させることができる。
図16は、空回し処理の有無ごとのパーティクル数を示す棒グラフである。空回し処理なしでは、薬液処理における基板Wの回転速度を100rpmとし、リンス処理における基板Wの回転速度を3000rpmとした。空回し処理ありでは、薬液処理における基板Wの回転速度を100rpmとし、空回し処理における基板Wの回転速度を1000rpmとし、リンス処理における基板Wの回転速度を3000rpmとした。また、空回し処理の空回し時間を10秒に設定した。
図16から理解できるように、空回し処理によって、基板Wの上面のパーティクル数を低減させることができる。
また上述の例では、第4回転速度ω4は第2回転速度ω2よりも低く設定されている。このため、リンス処理において、基板Wの上面で跳ね返った処理液の液滴群をより確実に高い位置で飛散させることができる。
以上のように、基板処理装置1および基板処理方法は詳細に説明されたが、上記の説明は、全ての局面において、例示であって、これらがそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態および各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
1 基板処理装置
2 基板保持部
4 処理液ノズル
41 処理液供給管
4a,5a 吐出口
5 リンス液ノズル
51 リンス液供給管
6 スプラッシュガード
9 制御部
P1 第1着液位置(着液位置)
P2 第2着液位置(着液位置)
S10 空回し工程(ステップ)
S3 処理工程(ステップ)
S4 リンス工程(ステップ)
W 基板
Δp 間隔
θ1,θ2,φ0 角度
2 基板保持部
4 処理液ノズル
41 処理液供給管
4a,5a 吐出口
5 リンス液ノズル
51 リンス液供給管
6 スプラッシュガード
9 制御部
P1 第1着液位置(着液位置)
P2 第2着液位置(着液位置)
S10 空回し工程(ステップ)
S3 処理工程(ステップ)
S4 リンス工程(ステップ)
W 基板
Δp 間隔
θ1,θ2,φ0 角度
Claims (9)
- 基板を保持しつつ前記基板を回転させる基板保持部と、
斜め下方の第1吐出方向に沿って処理液を吐出して前記基板の上面に前記処理液を供給する処理液ノズルと、
斜め下方の第2吐出方向に沿ってリンス液を吐出して前記基板の前記上面に前記リンス液を供給するリンス液ノズルと、
前記基板保持部を囲う筒形状を有し、前記基板の周縁から飛散する前記処理液および前記リンス液を受け止めるスプラッシュガードと
を備え、
前記第1吐出方向と水平面との間の角度は、前記第2吐出方向と水平面との間の角度よりも小さく、
平面視において前記第1吐出方向と前記第2吐出方向との間の角度は30度以下であり、
前記基板の前記上面における前記処理液の第1着液位置と、前記リンス液の第2着液位置との間隔は50mm以下である、基板処理装置。 - 請求項1に記載の基板処理装置であって、
前記リンス液ノズルは前記処理液ノズルよりも高い位置に設けられる、基板処理装置。 - 請求項1または請求項2に記載の基板処理装置であって、
前記第2着液位置は前記第1吐出方向において前記第1着液位置よりも前方にある、基板処理装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の基板処理装置であって、
前記リンス液ノズルの吐出口の面積は、前記処理液ノズルの吐出口の面積よりも小さい、基板処理装置。 - 請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の基板処理装置であって、
リンス液供給管を通じて前記リンス液ノズルへ供給される前記リンス液の流量は、処理液供給管を通じて前記処理液ノズルへ供給される前記処理液の流量よりも大きい、基板処理装置。 - 請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の基板処理装置を用いた基板処理方法であって、
前記基板保持部が第1回転速度で前記基板を回転させながら、前記処理液ノズルが前記処理液を吐出して前記基板の前記上面に前記処理液を供給する処理工程と、
前記処理工程の後に、前記基板保持部が前記第1回転速度よりも高い第2回転速度で前記基板を回転させながら、前記リンス液ノズルが前記リンス液を吐出して前記基板の前記上面に前記リンス液を供給するリンス工程と
を備える、基板処理方法。 - 請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の基板処理装置を用いた基板処理方法であって、
処理時間に亘って、前記基板保持部が前記基板を回転させながら、前記処理液ノズルが前記処理液を吐出して前記基板の前記上面に前記処理液を供給する処理工程と、
前記処理工程の後に、前記処理時間よりも長いリンス時間に亘って、前記基板保持部が前記基板を回転させながら、前記リンス液ノズルが前記リンス液を吐出して前記基板の前記上面に前記リンス液を供給するリンス工程と
を備える、基板処理方法。 - 請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の基板処理装置を用いた基板処理方法であって、
前記基板保持部が前記基板を回転させながら、前記処理液ノズルが前記処理液を吐出して前記基板の前記上面に前記処理液を供給する処理工程と、
前記処理工程の後に、前記処理液および前記リンス液を前記基板に供給しない状態で前記基板保持部が前記基板を回転させる空回し工程と、
前記空回し工程の後に、前記基板保持部が前記基板を回転させながら、前記リンス液ノズルが前記リンス液を吐出して前記基板の前記上面に前記リンス液を供給するリンス工程と
を備える、基板処理方法。 - 請求項8に記載の基板処理方法であって、
前記空回し工程における前記基板の回転速度は、前記処理工程における前記基板の回転速度よりも高い、基板処理方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021194117A JP2023080652A (ja) | 2021-11-30 | 2021-11-30 | 基板処理装置および基板処理方法 |
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Publications (1)
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Family Applications (1)
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