JP2023077619A - 多孔質延伸フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】環境負荷が少ない多孔質延伸フィルムを提供する。【解決手段】多孔質延伸フィルム(Bio)又は(Re)は、熱可塑性樹脂とフィラーとを含有する。多孔質延伸フィルム(Bio)又は(Re)の空孔率は35%以上である。多孔質延伸フィルム(Bio)において、熱可塑性樹脂は、バイオマス由来のオレフィン系樹脂を含む。多孔質延伸フィルム(Re)において、熱可塑性樹脂は、リサイクルされたオレフィン系樹脂を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、多孔質延伸フィルムに関する。
従来、樹脂フィルムを用いた合成紙が幅広く利用されている。樹脂フィルムは、パルプ紙に比べて耐水性及び耐久性に優れることから、屋外での使用が多いポスターやラベル、包装紙、公告等の印刷用紙としての需要が特に高い。
合成紙としては、例えばポリオレフィン系樹脂と無機微細粉末を含有する基材層に表面層等が積層された多層樹脂延伸フィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。無機微細粉末を含有する基材層は、延伸により内部にボイドが形成されて白色度が高まるため、パルプ紙のような外観の合成紙を提供できる。
特開2001-277449号公報
樹脂フィルムの主原料である樹脂は、石油由来であることがほとんどである。しかし、地球温暖化等の環境問題への意識が高まっており、石油依存から脱却して二酸化炭素ガスの排出量が少ない環境作りが望まれている。
本発明は、環境負荷が少ない多孔質延伸フィルムの提供を目的とする。
本発明者らが上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、樹脂材料の使用量を減らしつつ、二酸化炭素ガスの排出が少ない樹脂材料を使用すれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]熱可塑性樹脂とフィラーとを含有する多孔質延伸フィルムであって、
空孔率が35%以上であり、
前記熱可塑性樹脂が、バイオマス由来のオレフィン系樹脂を含む
多孔質延伸フィルム。
[2]熱可塑性樹脂とフィラーとを含有する多孔質延伸フィルムであって、
空孔率が35%以上であり、
前記熱可塑性樹脂が、リサイクルされたオレフィン系樹脂を含む
多孔質延伸フィルム。
[3]第1表面層、基材層及び第2表面層をこの順に備え、
前記基材層の空孔率が40%以上であり、
前記第1表面層及び前記第2表面層の空孔率が、前記基材層よりも5%以上少ない
上記[1]又は[2]に記載の多孔質延伸フィルム。
[4]前記多孔質延伸フィルムの厚みに対する前記基材層の厚みの割合が、40%以上である
上記[3]に記載の多孔質延伸フィルム。
[5]前記第1表面層中のフィラーの含有量及び前記第2表面層中のフィラーの含有量が、それぞれ40質量%以上である
上記[3]又は[4]に記載の多孔質延伸フィルム。
本発明によれば、環境負荷が少ない多孔質延伸フィルムを提供することができる。
以下、本発明の多孔質延伸フィルムについて詳細に説明する。以下の説明は、本発明の一例(代表例)であり、本発明はこれに限定されない。
以下の説明において、「(メタ)アクリル」の記載は、アクリルとメタクリルの両方を示す。
(多孔質延伸フィルム)
本発明の多孔質延伸フィルムは、熱可塑性樹脂とフィラーとを含有する。本発明の多孔質延伸フィルムの空孔率は35%以上である。
本発明の多孔質延伸フィルムは、熱可塑性樹脂とフィラーを含有する樹脂フィルムの延伸によってフィラーを核とする多数の空孔が内部に形成され、フィルム中の樹脂成分が内部の空孔によって二酸化炭素排出係数がゼロの空気に置き換えられている。本発明においては、その空孔率を35%以上と比較的高くすることにより、二酸化炭素ガスの排出量を減らしているため、環境負荷が低い多孔質延伸フィルムを提供できる。
本発明の多孔質延伸フィルムにおいて、上記熱可塑性樹脂はバイオマス由来のオレフィン系樹脂を含む。
バイオマス由来のオレフィン系樹脂は、石油由来のオレフィン系樹脂と比べて二酸化炭素ガス排出係数が小さい。そのため、多孔質延伸フィルムの単位体積あたりの二酸化炭素ガスの排出量を減らすことができ、環境負荷をさらに減らすことができる。
上記バイオマス由来のオレフィン系樹脂に代えて、リサイクルされたオレフィン系樹脂を用いることにより、環境負荷を減らすこともできる。よって、本発明のもう1つの多孔質延伸フィルムにおいて、上記熱可塑性樹脂はリサイクルされたオレフィン系樹脂を含む。リサイクルされたオレフィン系樹脂の使用は新規原料の使用量の削減につながるため、新規原料の製造過程に排出される分の二酸化炭素ガスを減らすことができる。
本明細書において、バイオマス由来のオレフィン系樹脂を含有する多孔質延伸フィルムを多孔質延伸フィルム(Bio)といい、リサイクルされたオレフィン系樹脂を含有する多孔質延伸フィルムを多孔質延伸フィルム(Re)ということがある。
以下、本発明の多孔質延伸フィルム(Bio)及び(Re)の材料について説明する。
上述のように、本発明の多孔質延伸フィルム(Bio)及び(Re)は、熱可塑性樹脂とフィラーを含有する。熱可塑性樹脂は機械的強度に優れたオレフィン系樹脂を含むため、コシ又は剛度に優れた多孔質延伸フィルム(Bio)及び(Re)を提供できる。
<オレフィン系樹脂>
オレフィン系樹脂の具体的な例としては、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂、又はポリメチル-1-ペンテン等が挙げられる。
プロピレン系樹脂としては、主なモノマーにプロピレンが用いられるのであれば特に限定されない。例えば、プロピレンを単独重合させたアイソタクティック重合体又はシンジオタクティック重合体等が挙げられる。また、主成分となるプロピレンと、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、又は1-オクテン等のα-オレフィンとの共重合体である、プロピレン-α-オレフィン共重合体等を使用することもできる。共重合体は、モノマー成分が2元系でも3元系以上の多元系でもよく、ランダム共重合体でもブロック共重合体でもよい。また、プロピレン単独重合体とプロピレン共重合体とを併用してもよい。
エチレン系樹脂としては、例えば密度が0.940~0.965g/cmの高密度ポリエチレン、密度が0.920~0.935g/cmの中密度ポリエチレン、密度が0.900g/cm以上0.920g/cm未満の直鎖線状低密度ポリエチレン、エチレン等を主体とし、プロピレン、ブテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、4-メチルペンテン-1等のα-オレフィンを共重合させた共重合体、マレイン酸変性エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-環状オレフィン共重合体、又はマレイン酸変性ポリエチレン等が挙げられる。
オレフィン系樹脂としては、その樹脂フィルムの接着性又は成形性の向上の観点から、そのグラフト変性物を必要に応じて使用することもできる。グラフト変性には公知の手法を用いることができる。
オレフィン系樹脂としては、上記の中から1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。防湿性、成形性、機械的強度又はコスト等の観点からは、オレフィン系樹脂としては、プロピレン系樹脂又はエチレン系樹脂が使用されることが好ましく、プロピレン系樹脂がより好ましい。プロピレン系樹脂のなかでも、プロピレン単独重合体がフィルムの成形性に優れ、好ましい。
プロピレン系樹脂の樹脂フィルムには、フィルム成形性の観点から、プロピレン単独重合体と融点が同等程度以下の樹脂を併用することが可能である。そのような樹脂としてはエチレン系樹脂、具体的には高密度又は低密度のポリエチレンが挙げられる。エチレン系樹脂の配合量は、例えば2~25質量%とすることができる。プロピレン系樹脂にエチレン系樹脂を併用すると、フィラーの配合によりフィルム中にフィブリル状の空孔が形成されやすく、好ましい。
<<バイオマス由来のオレフィン系樹脂>>
本発明の多孔質延伸フィルム(Bio)において、上記オレフィン系樹脂は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができるが、その一部又は全部がバイオマス由来のオレフィン系樹脂である。本発明においてバイオマスとは、動物由来又は植物由来の資源を意味するが、流通又は品質の安定性の観点からは、植物由来であることが好ましい。バイオマスは、原料である動物又は植物そのものから、これらを原料として得られる油及び糖まで含み得る。
多孔質延伸フィルム(Bio)又は(Re)中のバイオマス由来の原料の割合は、バイオマス由来の原料に含まれるが石油由来の原料には含まれない炭素原子14Cの存在量を測定することによって求めることができる。炭素原子14Cの存在量は、ASTM 6866-21に準拠して測定される。
原料として使用される植物としては、例えば菜種、大豆、油ヤシの果実、油ヤシの種子、ひまわりの種子、綿実(綿の種子)、落花生、オリーブの果実、トウモロコシの胚芽、ココナツの胚乳、胡麻、荏胡麻、亜麻仁、ひまし、米ぬか、紅花の種子、又はぶどうの種子等から搾油して得られる植物油等が挙げられる。
使用できるバイオマス由来のプロピレン系樹脂としては、バイオマス由来のプロピレンを原料として含む重合体であって、フィルムやシートが成形できるものであれば、特に限定されない。
バイオマス由来のプロピレンのコモノマー、例えば上述したα-オレフィンやエチレンもまた、バイオマスに由来して製造されたモノマーであってもよく、石油由来のモノマーでもよく、これらの混合物であってもよい。
バイオマス度向上の観点からは、バイオマス由来のオレフィン系樹脂は、少なくともバイオマス由来のプロピレンの単独重合体を含むことが好ましい。
プロピレン系樹脂の原料となるバイオマス由来のプロピレンは、例えばトウモロコシ、サトウキビ、又はソルゴー等の植物に由来するバイオマスの発酵により生成した糖から、解糖系のプロセスを含む発酵プロセスによってイソプロパノールを生成し、次いで同イソプロパノールを脱水反応することによって、製造することができる。発酵により生成した糖としては、例えばマルトース、スクロース、グルコース及びフルクトースが挙げられる。発酵プロセスでは、これら糖にクロストリジウム属細菌又はクロストリジウム属細菌由来の遺伝子を導入した大腸菌や酵母等が作用する。
バイオマス由来のエチレン系樹脂は、原料がバイオマスであるエチレンをモノマーとして用いたエチレン重合体であり、例えば植物の発酵により生成したエタノールの脱水により製造することができる。バイオマス由来のエチレンのコモノマーとして使用されるα-オレフィンは、バイオマスを原料として製造されたα-オレフィンでもよく、石油由来のα-オレフィンでもよい。
<<リサイクルされたオレフィン系樹脂>>
本発明の多孔質延伸フィルム(Re)においても、上記オレフィン系樹脂は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができるが、その一部又は全部がリサイクルされたオレフィン系樹脂である。
上記リサイクルされたオレフィン系樹脂は、オレフィン系樹脂からなる容器、又はフィルムのような使用済みの樹脂製品等の回収物を原料として製造されたリサイクル樹脂である。例えば、リサイクル樹脂は、回収物をチップ状に破砕するか、又は溶融してペレット状に成形することにより、製造される。このようなプラスチック廃棄物から再生したリサイクル樹脂は様々な用途に再利用される。なかでも、消費者が購入、利用した上で廃棄されたプラスチックから再生した樹脂はPCR(ポストコンスーマレジン)と呼ばれる。環境汚染を低減する要請の高まりから、PCRを用いたリサイクルシートの利用を促進するための技術はより強く求められている。
なお、リサイクルされたオレフィン系樹脂を含むのであれば、オレフィン系樹脂からなるリサイクル樹脂だけでなく、オレフィン系樹脂とその他の樹脂成分を含むリサイクル樹脂を使用することもできる。品質安定性の観点からは、オレフィン系樹脂を主成分とするリサイクル樹脂を使用することが好ましく、オレフィン系樹脂以外の樹脂成分及び不純物を含まないリサイクル樹脂が好ましく、新規原料の投入量の計算を容易にする観点からは、含有する成分とその含有量が特定されているリサイクル樹脂を使用することが好ましい。
なお、多孔質延伸フィルム(Bio)において、バイオマス由来のオレフィン系樹脂とともにリサイクルされたオレフィン系樹脂が使用されてもよい。多孔質延伸フィルム(Re)においても、リサイクルされたオレフィン系樹脂とともにバイオマス由来のオレフィン系樹脂が使用されてもよい。併用により環境負荷をさらに低減することができる。
<オレフィン系樹脂以外の樹脂>
熱可塑性樹脂としてオレフィン系樹脂のみが用いられてもよいし、本発明の効果を阻害しない範囲でオレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂が配合されていてもよいが、機械的強度の観点からは、主成分がオレフィン系樹脂であることが好ましい。本明細書において、主成分とは、フィルム中の含有量が50質量%を超えることをいう。
併用できる熱可塑性樹脂としては、例えば、ナイロン-6、ナイロン-6,6等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレートあるいはその共重合体、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート又はポリ乳酸等の脂肪族ポリエステル等の熱可塑性ポリエステル系樹脂;ポリカーボネート;アタクティックポリスチレン又はシンジオタクティックポリスチレン等のスチレン系樹脂等が挙げられる。
<フィラー>
本発明に使用できるフィラーとしては、例えば無機フィラー又は有機フィラー等が挙げられる。上述のようにフィラーの配合により樹脂フィルムが多孔質化され、二酸化炭素ガスの排出量を減らせるとともに軽量化が可能となり、フィルムの白色度又は不透明度の調整も容易となる。
なかでも、環境負荷の低減の観点からは、無機フィラーが好ましい。無機フィラーの配合により、フィルム中の樹脂が樹脂よりも二酸化炭素排出係数が小さい無機フィラーに置き換えられる。よって、フィルムの製造過程における二酸化炭素ガスの排出を、多孔質化によって減らすだけでなく、材料の置き換えによっても減らすことができる。
<<無機フィラー>>
無機フィラーとしては、例えば炭酸カルシウム、焼成クレイ、シリカ、けいそう土、白土、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、アルミナ、ゼオライト、マイカ、セリサイト、ベントナイト、セピオライト、バーミキュライト、ドロマイト、ワラストナイト、又はガラスファイバー等の無機粒子を使用することができ、なかでも炭酸カルシウムが好ましい。無機フィラーのレーザー回折による粒度分布計で測定した平均粒径は、通常は0.01~15μmであり、好ましくは0.1~5μmである。
<<有機フィラー>>
有機フィラーとしては、主成分であるオレフィン系樹脂とは異なる種類の樹脂を選択することが好ましい。そのような有機フィラーとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン-6、ナイロン-6,6、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、又はポリメタクリレート等のポリマーであって、オレフィン系樹脂の融点よりも高い融点(例えば170~300℃)又は高いガラス転移温度(例えば170~280℃)を有し、かつ非相溶の有機粒子を使用できる。
フィラーとしては、上記無機フィラー及び有機フィラーをそれぞれ単独で用いることもできるし、併用することもできる。
多孔質延伸フィルム(Bio)又は(Re)におけるフィラーの含有量(無機フィラーと有機フィラーを併用する場合は、その合計量)は、空孔率を高めて二酸化炭素ガスの排出量の削減を図る観点から、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、35質量%以上がさらに好ましい。一方、多孔質延伸フィルム(Bio)又は(Re)の強度を高める観点からは、上記フィラーの含有量は、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましい。
<その他の成分>
多孔質延伸フィルム(Bio)及び(Re)は、必要に応じて、熱安定剤(酸化防止剤)、光安定剤、分散剤、滑剤、又は核剤等をさらに含有することができる。
熱安定剤としては、例えば立体障害フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、又はアミン系酸化防止剤等を、通常0.001~1質量%の範囲内で使用することができる。
光安定剤としては、例えば立体障害アミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系光安定剤、又はベンゾフェノン系光安定剤を、通常0.001~1質量%の範囲内で使用することができる。
分散剤又は滑剤としては、例えばシランカップリング剤、オレイン酸やステアリン酸等の高級脂肪酸、金属石鹸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸又はそれらの塩等が挙げられる。これらは、例えばフィラーを分散させる目的で、通常0.01~4質量%の範囲内で使用することができる。
<空孔率>
本発明の多孔質延伸フィルム(Bio)及び(Re)の空孔率は、35%以上であり、環境負荷をより減らす観点からは、37%以上がより好ましい。空孔同士の連通を減らし、十分な機械的強度を維持する観点からは、上記空孔率は通常70%以下であり、好ましくは50%以下である。
上記空孔率は、電子顕微鏡で観察したフィルムの断面の一定領域において、空孔が占める面積の比率より求めることができる。
<厚み>
本発明の多孔質延伸フィルム(Bio)及び(Re)の厚み(多層構造の場合は全層の厚みの合計)は、10μm以上であることが好ましく、20μm以上がより好ましく、40μm以上がさらに好ましい。厚みが上記下限値以上であれは、十分な剛度やコシが得られやすい。上記厚みは、300μm以下であることが好ましく、200μm以下がより好ましく、100μm以下がより好ましい。厚みが上記上限値以下であれば、多孔質延伸フィルム(Bio)及び(Re)の柔軟性が高まりやすく、包装材料等として使用しやすく、また、樹脂使用量が減らせるため環境負荷も抑えられる。
<層構造>
本発明の多孔質延伸フィルム(Bio)又は(Re)は、単層構造であってもよく、2層以上の多層構造であってもよい。多層化により、各層に機械特性、筆記性、耐擦過性又は2次加工適性等の様々な機能を付与することが可能となる。
多層構造の場合、各層が上述した熱可塑性樹脂及びフィラーを含有し、多孔質延伸フィルム(Bio)及び(Re)の空孔率が全体として35%以上であれば、1層以上が熱可塑性樹脂としてバイオマス由来のオレフィン系樹脂か、又はリサイクルされたオレフィン系樹脂を含有し得るが、好ましくは全層が含有することがより好ましい。バイオマス由来か又はリサイクルされたオレフィン系樹脂を含有する層が多いほど、製造過程における二酸化炭素ガスの排出量が少ない多孔質延伸フィルム(Bio)及び(Re)を提供することができる。
多孔質延伸フィルム(Bio)及び(Re)が多層構造である場合、各層の延伸軸数は、1軸/1軸、1軸/2軸、2軸/1軸、1軸/1軸/2軸、1軸/2軸/1軸、2軸/1軸/1軸、1軸/2軸/2軸、2軸/2軸/1軸、又は2軸/2軸/2軸であってもよい。
なかでも、多孔質延伸フィルム(Bio)又は(Re)は、多孔質化と強度の両立の観点から、第1表面層、基材層及び第2表面層をこの順に備えることが好ましい。第1表面層、基材層及び第2表面層は、いずれも熱可塑性樹脂及びフィラーを含有する樹脂フィルムであって、延伸により多孔質化されている。第1表面層、基材層及び第2表面層のうちの1層以上に、バイオマス由来のオレフィン系樹脂か、又はリサイクルされたオレフィン系樹脂が含まれるが、環境負荷の低減の観点からは、全層において含まれることが好ましい。
多孔質延伸フィルム(Bio)又は(Re)全体の空孔率が35%以上であれば、一部の層の空孔率が35%より少なくてもよい。多孔質化と強度の両立の観点から、基材層の空孔率が40%以上であり、第1表面層及び第2表面層の空孔率が基材層よりも5%以上少ないことが好ましい。多孔質延伸フィルム(Bio)又は(Re)の支持体となる基材層は、他の層に比べて厚く設計されることが通常である。このように厚みがある基材層の空孔率を大きくすることで、効果的に全体の空孔率を大きくすることができ、また、比較的薄い第1表面層及び第2表面層の空孔率を小さくすることにより、全体としての強度と各表面層の強度を高めることができる。
フィルム全体の空孔率が35%以上となるように、各層のフィラーの配合量と厚みにより各層の空孔率を調整することができる。
基材層の空孔率を大きく調整する観点からは、多孔質延伸フィルム(Bio)又は(Re)の全層の厚みに対する基材層の厚みの割合が、40%以上であることが好ましい。
印刷適性の観点および空孔率を大きく調整する観点からは、第1表面層中のフィラー及び第2表面層中のフィラーの含有量が、40質量%以上であることが好ましい。当該含有量が40質量%以上であると、表面に凹凸が形成されやすい。投錨効果により、インクとの密着性が高まり、印刷適性が向上しやすい。
(インク受容層)
本発明の多孔質延伸フィルム(Bio)及び(Re)は、印刷用紙として使用されたときの印刷適性を高める観点から、表面にインク受容層を備えてもよい。このようなインク受容層は、インクとの密着性を高めるためのアンカー剤を含むインク受容層形成用の塗工液を調製し、当該塗工液を多孔質延伸フィルム(Bio)及び(Re)の表面、例えば第1表面層又は第2表面層上に塗工することにより、形成することができる。使用できるアンカー剤としては、エチレンイミン系樹脂等が挙げられる。また、アンカー剤としては、ウレタン系樹脂、オレフィン系共重合体又はスチレン系樹脂等の樹脂粒子のエマルジョンも使用できる。
<エチレンイミン系樹脂>
インク受容層は、エチレンイミン系樹脂に由来する成分を含むことが好ましい。エチレンイミン系樹脂は、各種のインクとの親和性が高く、インク受容層表面のインクとの密着性を高める作用を有すると推測される。
塗工液中のエチレンイミン系樹脂の含有量は、固形分換算で、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましい一方、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。同含有量が上記下限値以上であれば、インク密着性が向上しやすく、上記上限値以下であれば多孔質延伸フィルム(Bio)及び(Re)のブロッキングを減らしやすい。
<樹脂粒子のエマルジョン>
樹脂粒子のエマルジョンは、分散媒中に微粒子状の樹脂粒子が乳化又は分散した液体である。インク受容層は、このエマルジョン由来の成分、つまり塗工液中のエマルジョンの分散媒が揮発した後の残留成分を含有していてもよい。エマルジョン由来の成分はインク受容層を形成する過程で変性した変性体を含んでいてもよい。残留成分中の樹脂粒子は、インク受容層において粒子状に存在するが、印刷時の加熱によって溶融し、変形することがある。
エマルジョンに含まれる樹脂粒子の種類としては、例えばウレタン系樹脂;エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)等のオレフィン系共重合体;スチレン系樹脂等が挙げられる。成膜性の観点から、樹脂粒子の体積平均粒径は、0.01~3.0μmであることが好ましい。樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザー回折型粒度分布測定装置(島津製作所製:SALD-2200)を用いて測定される。
インクとの密着性向上の観点から、エマルジョンにおける樹脂粒子の含有量(固形分量)は、4~30質量%とすることができる。同様の観点から、インク受容層におけるエマルジョンに由来する成分の固形分の含有量は、インク受容層の固形分全量に対して30~95質量%とすることができる。
エマルジョンには、樹脂粒子を均一に分散させてインク受容層表面の平滑性を高める観点から、必要に応じて分散剤が添加されていてもよい。分散剤としては、例えば非イオン性界面活性剤、非イオン性水溶性高分子、カチオン性界面活性剤及びカチオン性水溶性高分子が挙げられる。
インク受容層は、必要に応じて帯電防止剤等のその他の添加剤を、印刷適性を損なわない範囲で含有してもよい。
<帯電防止剤>
帯電防止剤は、フィルム表面の帯電による埃の付着、又は印刷時の静電気によるトラブル等を減らすことができる。
帯電防止剤としては、特に限定されるものではなく、カチオン型、アニオン型、両性型、又はノニオン型の帯電防止剤等を用いることができる。また、低分子量型の帯電防止剤であってもよく、高分子(ポリマー)型の帯電防止剤であってもよい。
カチオン型の帯電防止剤としては、アンモニウム塩構造、又はホスホニウム塩構造等を有する帯電防止剤が例示できる。
アニオン型の帯電防止剤としては、スルホン酸、リン酸、又はカルボン酸等のアルカリ金属塩の構造を有する帯電防止剤が例示できる。
帯電防止剤として、好ましくは窒素含有ポリマー型帯電防止剤が用いられ、より好ましくは第三級窒素又は第四級窒素含有アクリル系樹脂が用いられる。
これらの帯電防止剤は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
塗工液における帯電防止剤の添加量は、3質量%以上であることが好ましい一方、60質量%以下であることが好ましく、35質量%以下であることがより好ましい。帯電防止剤の添加量が上記範囲内であれば、印刷時に十分なインク転移性が得られやすい。
<厚み>
インク受容層の厚みは、0.01μm以上が好ましく、0.1μm以上がより好ましい一方、5μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましい。厚みがこの範囲内であれば、一般的な印刷用紙に似た風合いの多孔質延伸フィルム(Bio)及び(Re)を得ることができる。
(多孔質延伸フィルム(Bio)又は(Re)の製造方法)
本発明の多孔質延伸フィルム(Bio)又は(Re)は、上述した熱可塑性樹脂とフィラーを含有する樹脂組成物のフィルムを成形し、延伸することにより製造することができる。
<フィルム成形>
フィルムの成形方法としては、例えばスクリュー型押出機に接続された単層又は多層のTダイ、Iダイ等により溶融樹脂をシート状に押し出すキャスト成形、カレンダー成形、圧延成形、又はインフレーション成形等を用いることができる。熱可塑性樹脂と有機溶媒又はオイルとの混合物を、キャスト成形又はカレンダー成形した後、溶媒又はオイルを除去することにより、フィルムが成形されてもよい。
多層構造の場合、各層のフィルムを積層すればよい。フィルムの積層方法としては、共押出法、押出ラミネーション法、又は塗工法等が挙げられ、これらを組み合わせることもできる。共押出法は、別々の押出機において溶融混練された各層の樹脂組成物をフィードブロック又はマルチマニホールド内で積層して押し出し、フィルム成形と積層を並行に行う。押出ラミネーション法は、予め形成されたフィルム上に樹脂組成物を押出成形してフィルムを積層する。塗工法は、樹脂の溶液、エマルジョン又はディスパージョンをフィルム上に塗工して乾燥することにより、フィルムを形成及び積層する。
<延伸>
各層は、積層前に個別に延伸されていてもよいし、積層後にともに延伸されてもよい。また、無延伸層と延伸層とが積層された後に再び延伸されてもよい。機械的強度の観点からは、基材層は2軸延伸フィルムであることが好ましい。
フィルムを延伸する場合の延伸方法としては、例えばロール群の周速差を利用した縦延伸法、テンターオーブンを利用した横延伸法、これらを組み合わせた逐次二軸延伸法、圧延法、テンターオーブンとパンタグラフの組み合わせによる同時二軸延伸法、テンターオーブンとリニアモーターの組み合わせによる同時二軸延伸法等が挙げられる。また、スクリュー型押出機に接続された円形ダイを使用して溶融樹脂をチューブ状に押し出し成形した後、これに空気を吹き込む同時二軸延伸(インフレーション成形)法等も使用できる。
延伸を実施するときの延伸温度は、フィルムに使用する熱可塑性樹脂が、非結晶性樹脂の場合は当該熱可塑性樹脂のガラス転移点温度以上の範囲であることが好ましい。また、熱可塑性樹脂が結晶性樹脂の場合の延伸温度は、当該熱可塑性樹脂の非結晶部分のガラス転移点以上であって、かつ当該熱可塑性樹脂の結晶部分の融点以下の範囲内であることが好ましく、具体的には熱可塑性樹脂の融点よりも2~60℃低い温度が好ましい。
延伸速度は、特に限定されるものではないが、安定した延伸成形の観点から、20~350m/分の範囲内であることが好ましい。
また、延伸倍率についても、使用する熱可塑性樹脂の特性等を考慮して適宜決定することができる。例えば、プロピレンの単独重合体又はその共重合体を含む樹脂フィルムを一方向に延伸する場合、その延伸倍率は、下限が通常は1.2倍以上であり、好ましくは2倍以上である一方、上限が通常は12倍以下であり、好ましくは10倍以下である。二軸延伸する場合の延伸倍率は、面積延伸倍率で、下限が通常は1.5倍以上であり、好ましくは10倍以上である一方、上限が通常は60倍以下であり、好ましくは50倍以下である。
<表面処理>
多孔質延伸フィルム(Bio)又は(Re)は、インク受容層との密着性を高める観点から、表面処理が施されて表面が活性化していることが好ましい。
表面処理としては、コロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理、グロー放電処理、又はオゾン処理等が挙げられ、これら処理は組み合わせることができる。なかでも、コロナ放電処理又はフレーム処理が好ましく、コロナ処理がより好ましい。
コロナ放電処理を実施する場合の放電量は、好ましくは600J/m(10W・分/m)以上であり、より好ましくは1,200J/m(20W・分/m)以上である一方、好ましくは12,000J/m(200W・分/m)以下であり、より好ましくは10,800J/m(180W・分/m)以下である。フレーム処理を実施する場合の放電量は、好ましくは8,000J/m以上であり、より好ましくは20,000J/m以上である一方、好ましくは200,000J/m以下であり、より好ましくは100,000J/m以下である。
<インク受容層の形成>
インク受容層は、塗工法により形成することができる。インク受容層形成用の塗工液は、アンカー剤に必要に応じて帯電防止剤等を配合することにより、調製できる。
塗工液の固形分濃度は、塗工液全量に対して0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、また、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。
塗工には、例えば、ロールコーター、ブレードコーター、バーコーター、エアーナイフコーター、サイズプレスコーター、グラビアコーター、ダイコーター、リップコーター、スプレーコーター等の塗工装置を用いることができる。
塗工液の塗工量は、乾燥後の固形分量として0.05g/m以上であることが好ましく、0.10g/m以上であることがより好ましく、0.15g/m以上であることが特に好ましく、また、1.40g/m以下であることが好ましく、0.50g/m以下であることがより好ましく、0.30g/m以下であることがより好ましく、0.24g/m以下であることが特に好ましい。
塗工量が上記下限値以上であれば、一般的に密着性が乏しいとされるオフセット印刷用紫外線硬化型インクとの密着性が向上しやすい。一方、塗工量が上記上限値以下であれば、塗工液の粘着性が高くない場合に多すぎる塗工量によるオフセット印刷用インクの密着性の低下を抑えることができる。
インク受容層の形成は、ロール・トゥ・ロール法によって連続的に行うことが好ましい。これにより、多孔質延伸フィルム(Bio)又は(Re)の生産性を向上させることができる。また、ロール・トゥ・ロール法では、インク受容層の厚さを比較的容易に調整することができるので、印刷適性を維持しながらインク受容層の厚さを薄くするなど、希望する風合いの多孔質延伸フィルム(Bio)又は(Re)を容易に製造することができる。
また、インク受容層の形成は、インク受容層以外の各層を形成するためのラインと同じラインで行ってもよいし、別のラインで行ってもよい。
<印刷>
本発明の多孔質延伸フィルム(Bio)又は(Re)のインク受容層の表面に印刷することにより、印刷層が形成され得る。
使用できる印刷方式としては、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、レタープレス印刷、スクリーン印刷、インクジェット記録方式、感熱記録方式、熱転写記録方式、又は電子写真記録方式等種々の公知の手法を用いることが可能である。これらのなかでも、耐候性と耐水性が優れた印刷物を得やすいオフセット印刷、グラビア印刷、又はフレキソ印刷方式が好ましく、パッケージ用途としてはグラビア印刷が好ましい。さらに印刷インクとしては、油性インク、水性インク又は紫外線硬化型インク等を用いることが可能である。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」、「%」等の記載は、断りのない限り、質量基準の記載を意味する。
(原料)
表1は、実施例及び比較例にて使用した原料の一覧である。
Figure 2023077619000001
(インク受容層形成用の塗工液(E))
下記エチレンイミン系樹脂溶液(e1)を0.5質量%と、下記帯電防止剤(e2)を0.5質量%とを含む水溶液を調製し、インク受容層形成用の塗工液として用いた。なお、上記各成分の濃度は、塗工液全体に対する各成分の固形分濃度を表す。
<エチレンイミン系樹脂溶液(e1)>
撹拌機、環流冷却器、温度計及び窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、ポリエチレンイミン(商品名:エポミン P-1000、日本触媒社製)25質量%水溶液100質量部、1-クロロブタン(和光純薬工業社製の試薬)10質量部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(和光純薬工業社製の試薬)10質量部を導入した。次いで、窒素気流下で撹拌し、80℃の温度で20時間変性反応を行った。この溶液に水を添加して固形分濃度が20質量%のエチレンイミン系樹脂の溶液(e1)を調製した。
<帯電防止剤の溶液(e2)>
N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート(三菱ガス化学社製)35質量部、エチルメタクリレート(和光純薬工業社製の試薬)20質量部、シクロヘキシルメタクリレート(和光純薬工業社製の試薬)20質量部、ステアリルメタクリレート(和光純薬工業社製、試薬)25質量部、エチルアルコール150質量部と、2,2'-アゾビス(イソブチロニトリル)(和光純薬工業社製の試薬)1質量部を、撹拌装置、還流冷却管(コンデンサー)、温度計、及び滴下ロートを備えた四つ口フラスコに導入した。系内を窒素置換し、窒素気流下にて80℃で6時間重合反応を行った。次いで3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドの50質量%水溶液85質量部(和光純薬工業社製の試薬)を加えた。更に80℃で15時間反応させた後、水を滴下しながらエチルアルコールを留去し、固形分濃度20質量%の第四級アンモニウム塩型共重合体からなる帯電防止剤の溶液(e2)を調製した。
(実施例1)
40質量部の石油由来のプロピレン単独重合体(商品名:ノバテックPP FY-4、日本ポリプロ社製)と、25質量部のバイオマス由来のプロピレン単独重合体(商品名:HC101BF、ボレリアス社製、植物油を原料として製造されたプロピレン単独重合体)と、10質量部の石油由来の高密度ポリエチレン(商品名:ノバテックHD HJ580N、日本ポリエチレン社製)と、25質量部の重質炭酸カルシウム(商品名:ソフトン1800、備北粉化学工業社製、平均粒子径:1.2μm)とを混合し、基材層形成用の樹脂組成物(a)を調製した。
上記樹脂組成物(a)を230℃に設定した押出機にて溶融混練した。その後、250℃に設定した押出ダイに供給してシート状に押し出し、これを冷却装置により60℃まで冷却して無延伸シートを得た。この無延伸シートを135℃に加熱し、ロール群の周速差を利用して縦方向に5倍延伸し、基材層のシートを形成した。
一方、30質量部の石油由来のプロピレン単独重合体(商品名:ノバテックPP FY-4)と、20質量部のバイオマス由来のプロピレン単独重合体(商品名:HC101BF)と、5質量部の石油由来の高密度ポリエチレン(商品名:ノバテックHD HJ580N)と、45質量部の重質炭酸カルシウム(商品名:ソフトン1800)とを混合し、第1表面層及び第2表面層形成用の樹脂組成物(b)を調製した。
次いで、樹脂組成物(b)を250℃に設定した2台の押出機によりそれぞれ溶融混練した後、上記基材層のシートの両面に溶融押出しした。これにより、樹脂組成物(a)からなる基材層の一方の面に樹脂組成物(b)からなる第1表面層が積層され、他方の面に樹脂組成物(b)からなる第2表面層が積層された3層シートが得られた。
上記3層シートを冷却装置により60℃まで冷却した後、テンターオーブンを用いて3層シートを約150℃に加熱して横方向に8.5倍延伸した。160℃まで加熱して熱処理を行った後、60℃まで冷却し、耳部をスリットした。
連続塗工設備を用い、3層シートの第1表面層の表面にコロナ放電処理を施した。コロナ放電処理には、コロナ放電処理装置(春日電気社製、HF400F)を用いた。長さ0.8mのアルミニウム製放電電極と絶縁ロールとのギャップを5mm、ライン処理速度を15m/分、印加エネルギー密度を4200J/mに設定した。コロナ放電処理された第1表面層上にインク受容層形成用の塗工液(E)を塗工し、60℃の熱風送風乾燥設備において乾燥して、インク受容層を形成した。乾燥後のインク受容層の固形分は、0.23g/mであった。
次いで、ロール巻取装置により巻き取り、インク受容層/第1表面層/基材層/第2表面層の順に積層された4層構造の多孔質延伸フィルム(全層厚み:80μm、各層厚み:-/20μm/40μm/20μm)、各層の延伸軸数:-/1軸/2軸/1軸)を得た。
(実施例2)
基材層、第1表面層及び第2表面層に用いたバイオマス由来のプロピレン単独重合体(商品名:HC101BF)を、リサイクルされたプロピレン単独重合体(商品名:KWR-620WT、KW Plastics社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして実施例2の多孔質延伸フィルムを製造した。
(比較例1)
基材層、第1表面層及び第2表面層に、バイオマス由来のプロピレン単独重合体(商品名:HC101BF)を配合せず、石油由来のプロピレン単独重合体(商品名:ノバテックPP FY-4)の配合量を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして比較例1の多孔質延伸フィルムを製造した。
(空孔率の測定)
各多孔質延伸フィルムの空孔率(%)を次のようにして測定した。
フィルムの任意の一部を切り取り、エポキシ樹脂で包埋して固化させた後、ミクロトームを用いてフィルムの面方向に垂直に切断し、その切断面が観察面となるように観察試料台に貼り付けた。観察面に金又は金-パラジウム等を蒸着し、電子顕微鏡にて観察しやすい任意の倍率(例えば、500倍~3000倍の拡大倍率)において空孔を観察し、観察した領域の画像データを生成した。画像解析装置にて画像データを画像処理し、観察領域を占める空孔部分の面積率(%)を測定した。任意の10箇所以上の測定値を平均して、フィルム全体の空孔率とした。観察領域において各層の外観の違いから各層の境界を判別し、上記と同様に各層内の空孔を観察して各層の空孔率(%)を求めた。
表2は、各多孔質延伸フィルムの成分及び空孔率の一覧である。
Figure 2023077619000002
表2に示すように、実施例1及び2の多孔質延伸フィルムの空孔率は35%を超えている。実施例1及び2の多孔質延伸フィルムは、35%より小さい比較例1に比べて空孔に置き換えられた樹脂成分の割合が多いため、環境負荷が少ないことが分かる。

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂とフィラーとを含有する多孔質延伸フィルムであって、
    空孔率が35%以上であり、
    前記熱可塑性樹脂が、バイオマス由来のオレフィン系樹脂を含む
    多孔質延伸フィルム。
  2. 熱可塑性樹脂とフィラーとを含有する多孔質延伸フィルムであって、
    空孔率が35%以上であり、
    前記熱可塑性樹脂が、リサイクルされたオレフィン系樹脂を含む
    多孔質延伸フィルム。
  3. 第1表面層、基材層及び第2表面層をこの順に備え、
    前記基材層の空孔率が40%以上であり、
    前記第1表面層及び前記第2表面層の空孔率が、前記基材層よりも5%以上少ない
    請求項1又は2に記載の多孔質延伸フィルム。
  4. 前記多孔質延伸フィルムの厚みに対する前記基材層の厚みの割合が、40%以上である
    請求項3に記載の多孔質延伸フィルム。
  5. 前記第1表面層中のフィラーの含有量及び前記第2表面層中のフィラーの含有量が、それぞれ40質量%以上である
    請求項3又は4に記載の多孔質延伸フィルム。

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