JP2022174677A - インモールドラベル付ボトル及びインモールドラベル - Google Patents

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Abstract

【課題】ラベルが十分に接着し、かつリサイクルが容易なポリエチレンテレフタレート樹脂製のボトルを提供する。【解決手段】ボトルは、ポリエチレンテレフタレート樹脂からなるボトル本体と、ボトル本体に接着したインモールドラベルとを備える。前記インモールドラベルは、合成樹脂を含有する支持体と、前記支持体上に接着層と、前記接着層と前記ボトル本体との間に不活性層とを有する。前記接着層は、前記ボトル本体に接着する接着剤を含有する。前記不活性層は、前記接着層の表面の面積に対して20~90%の面積割合で設けられる。【選択図】図1

Description

本発明は、ボトル本体がポリエチレンテレフタレート樹脂からなるインモールドラベル付ボトル及びインモールドラベルに関する。
従来、飲料等のボトルとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のボトルが広く使用されている。このようなPET製のボトルには、ボトルの胴部に巻き付ける帯状のラベル又は熱収縮により胴部の周囲に密着するシュリンクラベルが用いられる。また、インモールドラベルが使用されることもある。インモールドラベルは、ボトルの成形に用いる金型内にセットされ、成形時の熱によってボトルの表面に接着する(例えば、特許文献1参照)。
ボトルのラベルには、抽選券等が印刷されることがある。帯状のラベル等はボトルから容易に剥がすことができるため、ラベルから抽選券等を切り離して使用できるが、ボトルに接着したインモールドラベルはボトルとの接着強度が強く、剥がすことが難しい。したがって、一部が剥がれるように構成されたインモールドラベルも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2002-258752号公報 特開2004-264825号公報
PET製のボトルは、ブロー成形されることが多く、ボトルからラベルに伝わる熱量で十分に接着するようにインモールドラベルを設計する必要がある。
一方で、PET製のボトルはリサイクルされることが一般的である。リサイクルのためにラベルをすべて剥がす必要があるが、いったん接着したインモールドラベルは手で剥がすことが困難である。上述のように一部が剥がれるように構成されていたとしても、残りを剥がすときにラベルが破れてしまうことがある。
本発明は、ラベルが十分に接着し、かつリサイクルが容易なポリエチレンテレフタレート製のボトルを提供することを目的とする。
本発明者らが上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、PET用の接着層とその接着強度を調整する不活性層とを設けることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)ポリエチレンテレフタレート樹脂からなるボトル本体に、インモールドラベルが接着したボトルであって、
前記インモールドラベルが、合成樹脂を含有する支持体と、前記支持体上に接着層と、前記接着層と前記ボトル本体との間に不活性層とを有し、
前記接着層が、前記ボトル本体に接着する接着剤を含有し、
前記不活性層が、前記接着層の表面の面積に対して20~90%の面積割合で設けられた、ボトル。
(2)前記合成樹脂が、ポリエチレンテレフタレート樹脂である
上記(1)に記載のボトル。
(3)前記不活性層の形状が、ストライプ状、格子状、ドット状又は螺旋状である
上記(1)又は(2)に記載のボトル。
(4)前記接着剤の融点が120℃以下である
上記(1)~(3)のいずれかに記載のボトル。
(5)ポリエチレンテレフタレート樹脂からなるボトル用のインモールドラベルであって、
合成樹脂を含有する支持体と、
前記支持体上に接着層と、
前記接着層上に不活性層と、を有し、
前記接着層が、前記ボトルに接着する接着剤を含有し、
前記不活性層が、前記接着層の表面の面積に対して20~90%の面積割合で設けられた、インモールドラベル。
本発明によれば、ラベルが十分に接着し、かつリサイクルが容易なポリエチレンテレフタレート製のボトルを提供することができる。
インモールドラベルの一例を示す断面図である。
以下、本発明のインモールドラベルについて詳細に説明する。以下は本発明の一例(代表例)であり、本発明はこれに限定されない。
以下の説明において、「(メタ)アクリル」の記載は、アクリルとメタクリルの両方を示す。
[ボトル]
本発明のボトルは、ポリエチレンテレフタレートからなるボトル本体にインモールドラベルが接着したボトルである。以下、ポリエチレンテレフタレートをPET、ボトル本体がポリエチレンテレフタレートからなるボトルをPETボトルということがある。本発明において、インモールドラベルは、支持体と、当該支持体上に接着層と、当該接着層とボトル本体との間に不活性層と、を有する。
接着層は、PET製のボトル本体と接着する接着剤を含有し、ボトル本体との接着強度を高める。一方、接着層とボトル本体との間には、接着層の接着性を不活性化する不活性層が介在する。この不活性層は、接着層の表面積に対して20~90%の面積割合で設けられる。この範囲内で不活性層を接着層とボトル本体との間に均一に分散して存在させることにより、インモールドラベルの強い接着強度を、手で剥がすことができる程度に調整することができる。
(インモールドラベル)
図1は、インモールドラベルの一例を示す。
図1に例示するインモールドラベル10は、支持体1、接着層2及び不活性層3をこの順に有する。支持体1の接着層2と反対側の表面には、印刷によって文字、絵柄等の印刷層4が設けられ得る。
インモールドラベル10は、接着層2によってボトル本体5に接着するが、接着層2のボトル本体5側の表面上には不活性層3が設けられる領域と設けられない領域とがある。
以下、各層について説明する。
<支持体>
支持体は、合成樹脂を含有する樹脂フィルムである。合成樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
合成樹脂は通常石油由来であり、フィルム成形が可能であれば特に限定されないが、成形性に優れた熱可塑性樹脂が好ましい。使用できる熱可塑性樹脂としては、例えばオレフィン系樹脂;エステル系樹脂;ナイロン-6、ナイロン-6,6等のアミド系樹脂;ポリカーボネート、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン等が挙げられる。
成形を容易にする観点からは、合成樹脂として、ボトル本体のPETと同じエステル系樹脂を用いることが好ましく、なかでもPETがより好ましい。成形性、機械的強度又はコスト等の観点からは、オレフィン系樹脂を好ましく用いることができる。
エステル系樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、その共重合体、ポリブチレンテレフタレート、又は脂肪族ポリエステル等が挙げられる。
オレフィン系樹脂の具体的な例としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、メチル-1-ペンテン等のオレフィン類の単独重合体;これらオレフィン類の2種類以上からなる共重合体;スチレン、α-メチルスチレン、酢酸ビニル、ビニルアルコール、アクリル酸誘導体、ビニルエーテル類等の官能基含有モノマーとの共重合体等が挙げられる。これらオレフィン系樹脂のなかでは、プロピレン系樹脂が、耐薬品性、コスト、又はラベル剥離時の比重差による分離しやすさ等の観点から好ましい。
プロピレン系樹脂としては、主なモノマーにプロピレンが用いられるのであれば特に限定されない。例えば、プロピレンを単独重合させたアイソタクティック重合体又はシンジオタクティック重合体等が挙げられる。また、主成分となるプロピレンと、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、又は1-オクテン等のα-オレフィンとの共重合体である、プロピレン-α-オレフィン共重合体等を使用することもできる。共重合体は、モノマー成分が2元系でも3元系以上の多元系でもよく、ランダム共重合体でもブロック共重合体でもよい。また、プロピレン単独重合体とプロピレン共重合体とを併用してもよい。
プロピレン系樹脂としては、その樹脂フィルムの接着性又は成形性の向上の観点から、そのグラフト変性物を必要に応じて使用することもできる。
グラフト変性には公知の手法を用いることができる。具体的には、グラフトモノマーとして不飽和カルボン酸又はその誘導体を用いたグラフト変性物を挙げることができる。上記不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、又はシトラコン酸等を挙げることができる。上記不飽和カルボン酸の誘導体としては、上記不飽和カルボン酸の酸無水物、エステル化物、アミド化物、イミド化物、又は金属塩等を挙げることができる。
グラフトモノマーは、プロピレン系樹脂に対して、通常0.005~10質量%、好ましくは0.01~5質量%用いることができる。
<<フィラー>>
支持体は、フィラーを含有することができる。フィラーとしては、無機フィラー又は有機フィラー等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。フィラーにより、支持体の不透明性又は白色度の調整が容易となる。また、支持体内部に空孔が形成されやすく、インモールドラベルの軽量化が可能となる。支持体が多孔質フィルムであると、インモールドラベルの断熱性も向上しやすい。
無機フィラーとしては、例えば重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、焼成クレイ、シリカ、けいそう土、白土、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、アルミナ、ゼオライト、マイカ、セリサイト、ベントナイト、セピオライト、バーミキュライト、ドロマイト、ワラストナイト、又はガラスファイバー等が挙げられる。コストの観点からは、重質炭酸カルシウムが好ましい。
有機フィラーとしては、主成分である熱可塑性樹脂とは異なる種類の樹脂を選択することが好ましい。例えば、支持体がオレフィン系樹脂フィルムである場合には、有機フィラーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン-6、ナイロン-6,6、環状オレフィン、ポリスチレン、又はポリメタクリレート等の重合体であって、オレフィン系樹脂の融点よりも高い融点(例えば170~300℃)又はガラス転移温度(例えば170~280℃)を有し、かつ非相溶性の樹脂からなるものを使用することができる。
強度を維持しつつ、パルプ紙のような白色度又は不透明度を得る観点から、支持体におけるフィラーの含有量は、20~60質量%であることが好ましい。同フィラーの含有量は、白色度又は不透明度を高める観点からは30質量%以上がより好ましく、強度低下を抑える観点からは50質量%以下がより好ましい。
フィラーのレーザー回折による粒度分布計で測定した平均粒径は、通常は0.01~15μmであり、空孔形成の観点からは0.1~5μmが好ましい。
<<その他の成分>>
支持体は、必要に応じて、熱安定剤(酸化防止剤)、光安定剤、分散剤、滑剤、又は核剤等の添加剤をさらに含有することができる。
熱安定剤としては、例えば立体障害フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、又はアミン系酸化防止剤等を、通常0.001~1質量%の範囲内で使用することができる。
光安定剤としては、例えば立体障害アミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系光安定剤、又はベンゾフェノン系光安定剤を、通常0.001~1質量%の範囲内で使用することができる。
分散剤又は滑剤としては、例えばシランカップリング剤、オレイン酸又はステアリン酸等の高級脂肪酸、金属石鹸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸又はそれらの塩等が挙げられる。これらは、例えばフィラーを分散させる目的で、通常0.01~4質量%の範囲内で使用することができる。
<<層構成>>
支持体は、単層構造であってもよく、2層又は3層以上の多層構造のものであってもよい。多層化により、機械特性、筆記性、耐擦過性又は2次加工適性等の様々な機能を支持体に付与することが可能となる。
支持体は、少なくとも1軸方向に延伸された延伸フィルムを含むことが好ましく、延伸によって内部に空孔を有する多孔質フィルムを含むことがより好ましい。延伸フィルムを含む支持体は、寸法安定性及び機械的強度が高く、厚みの均一性に優れているため、後加工性に優れたインモールドラベルを得ることができる。
支持体が多層構造である場合、各層の延伸軸数は、1軸/1軸、1軸/2軸、2軸/1軸、1軸/1軸/2軸、1軸/2軸/1軸、2軸/1軸/1軸、1軸/2軸/2軸、2軸/2軸/1軸、又は2軸/2軸/2軸であってもよい。
<<空孔率>>
軽量化又は白色化等の観点からは、支持体の空孔率は、10%以上である一方、60%以下が好ましく、40%以下がより好ましい。空孔率が60%以下であれば、強度を維持しやすい。
上記空孔率は、電子顕微鏡で観察したフィルムの断面の一定領域において、空孔が占める面積の比率より求めることができる。
<接着層>
接着層は、PET製のボトル本体に接着する接着剤を含有し、インモールドラベルにヒートシール性を付与する。接着層を介してインモールドラベルをボトル本体に接着することができる。接着剤は、1種類を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
接着剤の融点は、少ない熱量での接着を容易にする観点から、120℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましい。夏場の高温条件下で接着層が軟化して、保管時におけるインモールドラベル同士のブロッキングを抑える観点からは、接着剤の融点が60℃以上であることが好ましい。
ボトル本体の成形方法としては、ブロー成形(中空成形と称される場合がある)が代表的である。ブロー成形には、樹脂のパリソンを用いるダイレクトブロー成形と、樹脂のプリフォームを用いるストレッチブロー成形とがある。ダイレクトブロー成形は、原料樹脂を当該樹脂の融点以上まで加熱して、当該原料樹脂が溶融した状態でパリソンを形成し、当該パリソンを圧縮空気で膨らませて成形する手法である。一方、ストレッチブロー成形は、原料樹脂の軟化点までプリフォームを加熱して、当該原料樹脂が変形可能な状態でプリフォームをロッドで延伸した後、圧縮空気で膨らませて成形する手法である。
ダイレクトブロー成形及びストレッチブロー成形は、同一の樹脂を原料として用いる場合であっても、成形時の原料樹脂の状態が異なる。すなわち、ダイレクトブロー成形では溶融状態であり、ストレッチブロー成形では軟化状態である。そのため、原料樹脂に加えられる熱量も大きく異なる。
PET製のボトル本体は、一般にストレッチブロー成形されるが、ストレッチブロー成形の場合、軟化状態のプリフォームがラベルに対して与える熱量が、溶融状態にあるパリソンよりも少ない。そのため、接着剤によっては溶融活性化しにくく、ダイレクトブロー成形に比べて接着強度が得られにくいことがある。しかし、上記融点を有する接着剤であれば、ストレッチブロー成形において与えられる熱量によっても溶融活性化しやすく、接着が容易になる。
接着剤としては、PET製のボトル本体に接着し、十分な接着強度が得られるのであれば特に限定されず、例えばオレフィン系樹脂、エステル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂等のヒートシール性の樹脂が挙げられる。なかでも、PETとの接着強度の観点から、オレフィン系樹脂又はエステル系樹脂が好ましい。
接着剤として使用されるオレフィン系樹脂の具体例としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(アルキル基の炭素数は1~8)、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体の金属塩(例えばZn、Al、Li、K、Naから選択される金属との塩)等の樹脂が挙げられる。これらのなかでも、PETとの接着強度を高める観点から、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、又はメタロセン触媒を用いて重合したポリエチレン(メタロセン系ポリエチレン)が好ましく、低密度ポリエチレン又はメタロセン系ポリエチレンがより好ましい。
接着剤として使用されるエステル系樹脂としては、例えばフタル酸エステル系樹脂、非フタル酸エステル系樹脂等が挙げられる。このうち、フタル酸エステル系樹脂は、水系塗工液を調製しやすく、粘度又は乾燥温度の調整が容易である点で好ましい。
上記接着剤のなかでも、ディレード接着剤として機能する接着剤を好ましく用いることができる。本明細書においてディレード接着剤とは、融解熱量が10~55J/gである接着剤をいう。この融解熱量はヒートシール性樹脂を用いた接着剤のなかでも特に小さい値であり、このような融解熱量を有するディレード接着剤は、熱で活性化した後、一定期間粘着力を保持でき、低熱量でも活性化できる。したがって、ディレード剤によれば、ストレッチブロー成形時にも十分に溶融活性化でき、ボトル本体との十分な接着強度が得られやすい。
ディレード接着剤の融解熱量は、15J/g以上が好ましく、20J/g以上がより好ましい一方、45J/g以下が好ましく、30J/g以下がより好ましい。融解熱量が上記下限値以上であれば、夏場のような高温条件下での活性化を抑え、ラベル保管時にラベル同士が貼り付くブロッキングの発生を抑えやすい。一方、融解熱量が上記上限値以下であれば、低温下でも十分な接着強度が得られやすい。
上記融点及び融解熱量は、示差走査熱量計により測定される。具体的には、示差走査熱量計により測定される吸熱曲線の最大ピーク温度(Tm)が融点として測定される。また、吸熱ピークの面積が融解熱量として測定される。
接着層は、その機能を阻害しない範囲で、接着剤以外の熱可塑性樹脂又は支持体と同様の添加剤を含有してもよい。ヒートシール加工の観点からは、接着層は、接着剤からなるフィルムであることが好ましい。
<不活性層>
不活性層は、接着層とボトル本体間の強い接着強度を不活性化する。これにより、PETボトルの使用時には剥がれにくく、使用後は剥がれやすいように、PETボトルからのラベルの剥離性を調整することができる。
<<面積割合>>
不活性層が設けられる接着層の表面の面積に対して不活性層が占める面積の割合は、ボトル使用後のラベルの剥離を容易にする観点から、20%以上であり、30%以上であることが好ましい。ボトル使用時のラベルの剥がれを抑える観点からは、同不活性層の面積割合は90%以下であり、80%以下であることが好ましい。
このような特定の面積割合を有する不活性層は、例えば接着層上に不活性化剤を用いて印刷することにより、形成することができる。不活性層の面積割合が上記特定の範囲となるように、ドット状又は格子状等の特定形状のパターンが印刷されてもよい。また、不活性層は、不活性化剤を含む塗工液を接着層上に塗工することによって、形成することもできる。塗工時には不活性層の面積割合が上記特定の範囲となるようにマスキングが行われてもよい。
不活性化剤としては、各種印刷用インク、剥離ニス又はワックス等を使用することができる。これらは、PETとの接着強度が接着層よりも低い成分を含み、接着層の接着性を低下させることができる。インクとしては、例えばオフセットインク、UVオフセットインク、グラビアインク、シルクスクリーンインク、フレキソインク、又はUVフレキソインク等が挙げられる。剥離ニスとしては、例えばシリコン樹脂が添加されたニス、フッ素化合物が添加されたニス等が挙げられる。剥離性の観点からは、不活性層は、ニス由来の成分を含有することが好ましく、なかでもシリコン樹脂が添加されたニス由来の成分を含有することがより好ましい。
<<形状>>
接着層の表面上に均一に分散させる観点から、不活性層の形状は、ストライプ状、格子状、ドット状又は螺旋状であることが好ましい。
<印刷層>
印刷層は、支持体の接着層と反対側の表面に、文字、図画等の印刷を施すことによって設けられる。印刷層は、印刷により転写されたインク成分からなる層である。
<インモールドラベルの特性>
(厚み)
支持体の厚みは、5μm以上であることが好ましく、10μm以上がより好ましい。支持体の厚みが上記下限値以上であれは、目的の剛度又はコシのインモールドラベルが得られやすい傾向がある。一方で、支持体の厚みは、300μm以下であることが好ましく、150μm以下がより好ましい。支持体の厚みが上記上限値以下であれば、インモールドラベルの柔軟性が高まりやすく、ボトル本体の形状に追従しやすい。
接着層の厚みは、1μm以上であることが好ましい。接着層の厚みが上記下限値以上であれば、十分な接着強度が得られやすい。一方で、接着層の厚みは、50μm以下であることが好ましい。接着層の厚みが上記上限値以下であれば、ベタツキが減るとともに、インモールドラベルをカットしやすくなるため、インモールドラベルの加工性が高まる傾向がある。
不活性層の厚みは、ボトル使用後にラベルの剥離を容易にする観点からは、0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上がより好ましい。ボトル使用時のラベルの剥がれを減らす観点からは、不活性層の厚みは、10μm以下であることが好ましく、5μm以下がより好ましい。
(インモールドラベルの製造方法)
本発明のインモールドラベルの製造方法は特に限定されない。例えば、本発明のインモールドラベルは、支持体及び接着層のフィルムを形成して積層した後、接着層上に不活性化剤を印刷又は塗工することにより製造することができる。
<支持体及び接着層の形成>
支持体及び接着層のフィルムの成形方法としては、例えばスクリュー型押出機に接続された単層又は多層のTダイ、Iダイ等により溶融樹脂をシート状に押し出すキャスト成形、カレンダー成形、圧延成形、インフレーション成形等を用いることができる。樹脂と有機溶媒又はオイルとの混合物を、キャスト成形又はカレンダー成形した後、溶媒又はオイルを除去することにより、フィルムが成形されてもよい。
フィルムの積層方法としては、共押出法、押出ラミネーション法、塗工法等が挙げられ、これらを組み合わせることもできる。共押出法は、別々の押出機において溶融混練された各層の樹脂組成物をフィードブロック又はマルチマニホールド内で積層して押し出し、フィルム成形と積層を並行に行う。押出ラミネーション法は、予め形成されたフィルム上に樹脂組成物を押出してもう1つのフィルムを形成及び積層する。塗工法は、樹脂の溶液、エマルジョン又はディスパージョンをフィルム上に塗工して乾燥することにより、もう1つのフィルムを形成及び積層する。
<延伸>
各層は、積層前に個別に延伸されていてもよいし、積層後にともに延伸されてもよい。また、無延伸層と延伸層とが積層された後に再び延伸されてもよい。
使用できる延伸方法としては、例えばロール群の周速差を利用した縦延伸法、テンターオーブンを利用した横延伸法、これらを組み合わせた逐次二軸延伸法、圧延法、テンターオーブンとパンタグラフの組み合わせによる同時二軸延伸法、テンターオーブンとリニアモーターの組み合わせによる同時二軸延伸法等が挙げられる。また、スクリュー型押出機に接続された円形ダイを使用して溶融樹脂をチューブ状に押し出し成形した後、これに空気を吹き込む同時二軸延伸(インフレーション成形)法等も使用できる。
延伸を実施するときの延伸温度は、フィルムに使用する熱可塑性樹脂が、非結晶性樹脂の場合は当該熱可塑性樹脂のガラス転移点温度以上の範囲であることが好ましい。また、熱可塑性樹脂が結晶性樹脂の場合の延伸温度は、当該熱可塑性樹脂の非結晶部分のガラス転移点以上であって、かつ当該熱可塑性樹脂の結晶部分の融点以下の範囲内であることが好ましく、具体的には熱可塑性樹脂の融点よりも2~60℃低い温度が好ましい。
延伸速度は、特に限定されるものではないが、安定した延伸成形の観点から、20~350m/分の範囲内であることが好ましい。
また、延伸倍率についても、使用する熱可塑性樹脂の特性等を考慮して適宜決定することができる。例えば、プロピレンの単独重合体又はその共重合体を含む樹脂フィルムを一方向に延伸する場合、その延伸倍率は、通常は1.2倍以上であり、好ましくは2倍以上である一方、通常は12倍以下であり、好ましくは10倍以下である。二軸延伸する場合の延伸倍率は、面積延伸倍率で、通常は1.5倍以上であり、好ましくは10倍以上である一方、通常は60倍以下であり、好ましくは50倍以下である。
なお、接着層のフィルムは塗工法によって形成することもできる。具体的には、接着剤を用いて塗工液を調製し、この塗工液を支持体上に塗工した後、乾燥することにより、接着層が形成される。
<不活性層の形成>
不活性層は、接着層上に不活性化剤を印刷又は塗工することにより、形成することができる。
不活性化剤の印刷方法には特に制限はなく、凸版印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、又はスクリーン印刷等の印刷方法が使用可能である。塗工方法についても特に制限はなく、公知の塗工装置を用いて、必要に応じてマスキングすればよい。
<印刷層の形成>
支持体の接着層と反対側の表面に印刷を施すことにより、印刷層を形成することができる。
使用できる印刷方式としては、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、レタープレス印刷、スクリーン印刷、インクジェット記録方式、感熱記録方式、熱転写記録方式、又は電子写真記録方式等種々の公知の手法を用いることが可能である。これらのなかでも、耐候性と耐水性が優れた印刷物を得やすいオフセット印刷、グラビア印刷、又はフレキソ印刷方式が好ましく、パッケージ用途としてはグラビア印刷が好ましい。さらに印刷インクとしては、油性インク、水性インク又は紫外線硬化型インク等を用いることが可能である。
<インモールドラベルの加工>
本発明のインモールドラベルは、カット又は打抜き等により、ボトル本体への貼着に必要な形状又はサイズに加工されてもよい。
(ボトル本体)
ボトル本体は、ポリエチレンテレフタレートを用いてボトル状に成形される。ボトル本体の胴体は、断面が必ずしも真円である必要はなく、例えば楕円形や矩形であってもよい。断面が矩形である場合は角が曲率を有するものであることが好ましい。強度の点からは、胴体の断面は真円か真円に近い楕円形であることが好ましく、真円であることがもっとも好ましい。
<ブロー成形>
ボトル本体の成形法は特に限定されないが、通常はPETのプリフォームを用いたストレッチブロー成形法が選択される。ストレッチブロー成形によって、ボトル本体を成形すると同時にボトル本体の表面にラベルを貼着することができる。これにより、ラベル付きPETボトルを簡便かつ短時間で製造することができる。
ストレッチブロー成形においては、プリフォームを通常95~120℃、好ましくは100~110℃に予熱しておくことが好ましい。金型の温度は、通常10~50℃であり、好ましくは20~45℃である。ブロー圧力は、通常5~40kg/cm、好ましくは10~30kg/cmである。ブロー時間は、通常0.5~10秒であり、好ましくは1~6秒である。
ブロー成形の際には通常、ラベルが貼着するボトル本体の胴体部分の厚みが特定の範囲になるように条件を調整する。ラベルが貼着するボトル本体の胴体部分の厚みは、50~300μmであることが好ましく、70~200μmであることがより好ましく、90~150μmであることがさらに好ましい。ボトル本体の胴体部分の厚みが50μm以上であると、ブロー成形時の破裂が少なく、成形しやすい。ボトル本体の胴体部分の厚みが300μm以下であると、ボトルを軽量化しやすい。
ラベルが貼着しないボトル本体の胴体部分の厚みは、70~500μmであることが好ましく、80~3000μmであることがより好ましく、100~200μmであることがさらに好ましい。また、ボトル本体の胴体以外の部分(例えば底部、肩部等)の厚みは、100~300μmであることが好ましく、130~240μmであることがより好ましく、180~230μmであることがさらに好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」、「%」等の記載は、断りのない限り、質量基準の記載を意味する。
[原料]
実施例及び比較例にて使用した原料は以下のとおりである。
(支持体)
<合成樹脂(a)>
ポリエチレンテレフタレート(融点:250℃)
(接着層)
<接着剤(b)>
EVA系接着剤(商品名:エコブリッドTM-100(ダイセルファインケム社製))
(不活性層)
<不活性化剤(c)>
シリコン樹脂添加のニス(商品名:FV-IML-S、T&KTOKA製)
[インモールドラベルの製造]
100質量部の合成樹脂(a)(ポリエチレンテレフタレート)を、押出機にて溶融混練した。その後、押出ダイに供給してシート状に押し出し、これを冷却装置により60℃まで冷却して無延伸シートを得た。この無延伸シートを150℃に加熱し、縦方向に5倍延伸、横方向に8.5倍延伸し、支持体を形成した。
次いで、100質量部の接着剤(b)(EVA系接着剤)を上記支持体上に、ダイコーターを使用して塗工速度40m/minで塗工し、45℃のオーブン中を12秒で通過させることにより乾燥して固形分濃度を7g/mの接着層を形成した。これにより、接着層/支持体の順に積層された2層シートを得た。次いで、耳部をスリットした。これをロール巻取装置により巻き取り、延伸が施された、接着層/支持体の順に積層された2層シートを得た。
次いで、2層シートを巻き出し、シリコン樹脂を添加した不活性化剤(c)(FV-IML-S)を用いて、接着面となる接着層の表面にドット状のパターン(いわゆる網点パターン)を印刷し、不活性層を形成した。印刷にはオフセット印刷機を用いた。ドット状のパターンは、不活性層の厚みが1μm、不活性層の面積が接着層の表面積の70%の割合となるように印刷した。不活性化剤(c)の接着層との接着性は良好であった。
これにより、不活性層(C)/接着層(B)/支持体(A)の順に積層された積層シート(全層厚み:90μm、各層厚み:1μm/290μm/60μm、各層の延伸軸数:-/-/2軸)を得た。この積層シートを、10cm×6cm のサイズに打抜き、実施例のインモールドラベルを得た。
[ラベル付きPETボトルの製造]
インモールドラベルを、真空を利用してブロー成形用割型の一方に固定した。このとき、支持体側が金型と接するようにインモールドラベルを固定した。一方、ポリエチレンテレフタレートのプリフォームを110℃に予熱し、同プリフォームを、ラベルを設置した金型内部表面温度が20~45℃の金型にて、ブロー圧力をそれぞれ調整しながら5~40kg/cm2で1秒間ストレッチブロー成形することによりラベル付きPETボトルを製造した。製造したボトルの胴体は、高さ12cm、直径6cmで厚みが110μm(ラベル貼着部以外)の円筒体であった。また、ラベル貼着部におけるボトルの厚みは平均120μmであった。
[評価]
実施例のインモールドラベル付きPETボトルについて、剥離性を次のようにして評価した。
<剥離性>
上記ラベル付きPETボトルから、ラベル部分の端部を爪で剥がした後、剥がれた部分を手でつかみ、PETボトルの表面に対して角度180°の位置からラベルを剥がした。このとき、ラベルがどのように剥がれるのかを確認し、以下の基準にしたがって手による剥離性を評価した。
○(良):ラベルを全てPETボトルから剥がすことができ、PETボトルにラベル由来の破片等が残らなかった
×(不可):ラベルを全てPETボトルから剥がすことができず、PETボトルにラベル由来の破片等が残った
結果としては、人の手でスムーズにラベルを剥がすことができ、剥離後のPETボトルにはラベルの残留物は見られなかった。よって、評価は○(良)であった。
10・・・インモールドラベル、1・・・支持体、2・・・接着層、3・・・不活性層、4・・・印刷層、5・・・ボトル本体

Claims (5)

  1. ポリエチレンテレフタレート樹脂からなるボトル本体に、インモールドラベルが接着したボトルであって、
    前記インモールドラベルが、合成樹脂を含有する支持体と、前記支持体上に接着層と、前記接着層と前記ボトル本体との間に不活性層とを有し、
    前記接着層が、前記ボトル本体に接着する接着剤を含有し、
    前記不活性層が、前記接着層の表面の面積に対して20~90%の面積割合で設けられた、ボトル。
  2. 前記合成樹脂が、ポリエチレンテレフタレート樹脂である
    請求項1に記載のボトル。
  3. 前記不活性層の形状が、ストライプ状、格子状、ドット状又は螺旋状である
    請求項1又は2に記載のボトル。
  4. 前記接着剤の融点が120℃以下である
    請求項1~3のいずれか一項に記載のボトル。
  5. ポリエチレンテレフタレート樹脂からなるボトル用のインモールドラベルであって、
    合成樹脂を含有する支持体と、
    前記支持体上に接着層と、
    前記接着層上に不活性層と、を有し、
    前記接着層が、前記ボトルに接着する接着剤を含有し、
    前記不活性層が、前記接着層の表面の面積に対して20~90%の面積割合で設けられた、インモールドラベル。

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