JP2023074557A - ポリカーボネート樹脂用酸化防止剤及びポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂用酸化防止剤及びポリカーボネート樹脂組成物 Download PDF

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宏美 林
Hiromi Hayashi
渉 赤塚
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Abstract

【課題】良好な色相と耐熱変色性を与えるポリカーボネート樹脂用酸化防止剤。【解決手段】トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト酸化防止剤(A)であって、上記(A)を溶媒へ溶解させた後に水を加えて分液操作をし、水中へ抽出させた際に水中で検出されるHPO42―で示されるアニオンの量が、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト酸化防止剤(A)の質量基準で、0.04ppm以下であることを特徴とするポリカーボネート樹脂用酸化防止剤。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂用酸化防止剤及びポリカーボネート樹脂組成物に関し、詳しくは、ポリカーボネート樹脂に良好な色相と優れた耐熱変色性を付与するポリカーボネート樹脂用酸化防止剤、これを含有するポリカーボネート樹脂組成物及びその成形体に関する。
ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性等の機械的特性に優れ、且つ耐熱性、透明性等にも優れるので、各種光学部品、電気・電子機器部品、自動車内外装部品、OA機器部品、シート、機械部品、建材などの多くの用途に広く用いられている。
しかし、ポリカーボネート樹脂は成形過程で受ける熱で劣化することにより、得られる成形品が僅かながら黄色味を帯びることがあり、製品の用途によっては致命的となる。特に光学部品、電気・電子機器部品、OA機器部品等においては、小型化、軽量化、高機能化等を目的としてその成形品は年々薄肉化されており、より高い成形性を得るために成形温度を上げ、また滞留時間が延びる傾向にあるため、ポリカーボネート樹脂は黄変が起こり所望の色相(YI:イエローインデックス)の成形品が得られないという課題を有している。
ポリカーボネート樹脂の熱劣化を防止するためにはリン系酸化防止剤が有効であり、例えば特許文献1では、リン酸トリメチル、亜リン酸エステル及び亜リン酸を配合すること、亜リン酸エステルとして、特にトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト酸化防止剤が好ましいことが記載されている。
特開平10-60247号公報
トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト酸化防止剤を配合したポリカーボネート樹脂組成物は色相が良好にはなるが、近年の高性能・高機能化の流れの中では、さらに良好な色相と耐熱変色性が所望される。
本発明者らは、上記課題を達成すべく、鋭意検討を行い、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト酸化防止剤(A)に各種検討を重ねた結果、これを溶媒に溶解し分液操作した際、溶出イオンとして、HPO 2-、HPO 2―等が検出されるが、この中で特にHPO 2―イオンが特定の量であるものが、上記課題を解決することを見出した。また、さらに、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト酸化防止剤(A)を加水分解処理した際にトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト以外の量が特定以下のものが、より良好な色相を有し、耐熱変色性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下のポリカーボネート樹脂用酸化防止剤、ポリカーボネート樹脂組成物及び成形体に関する。
1.トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト酸化防止剤(A)であって、上記(A)を溶媒へ溶解させた後に水を加えて分液操作をし、水中へ抽出させた際に水中で検出されるHPO 2―で示されるアニオンの量が、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト酸化防止剤(A)の質量基準で、0.04ppm以下であることを特徴とするポリカーボネート樹脂用酸化防止剤。
2.前記酸化防止剤(A)は、温度60℃、湿度95%、168時間の条件で処理した後に、ガスクロマトグラフィーで分析した際のトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト以外の量がガスクロマトグラフィーの面積%で1%未満である上記1に記載のポリカーボネート樹脂用酸化防止剤。
3.上記1または2に記載のポリカーボネート樹脂用酸化防止剤を、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、0.005~0.5質量部含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
4.上記3に記載のポリカーボネート樹脂組成物の成形体。
本発明のトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト酸化防止剤(A)を配合したポリカーボネート樹脂組成物は、良好な色相を有し、且つ耐熱変色性に優れる。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明する。
なお、本明細書において、「~」とは、特に断りがない場合、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本発明のポリカーボネート樹脂用酸化防止剤は、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト酸化防止剤(A)であって、溶媒へ溶解させた後に水を加えて分液操作をし、水中へ抽出させた際に水中で検出されるHPO 2―で示されるアニオンの量が、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト酸化防止剤(A)の質量基準で、0.04ppm以下であることを特徴とする。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂用酸化防止剤に対し、上記ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、0.005~0.5質量部含有することを特徴とする。
[トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト酸化防止剤(A)]
本発明のポリカーボネート樹脂用酸化防止剤は、溶媒へ溶解させた後に水を加えて分液操作をし、水中へ抽出させた際に水中で検出されるHPO 2―で示されるアニオンの量が、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト酸化防止剤(A)の質量基準で、0.04ppm以下であるトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト酸化防止剤(A)である。
HPO 2―のアニオン量は、酸化防止剤(A)を溶媒、例えば好ましくはヘキサンに溶解させ、純水を加えて分液操作をし、ろ液を得た後、イオンクロマトグラフィーにて、ろ液中のHPO 2―アニオンの濃度を定量し、酸化防止剤(A)を質量基準とするHPO 2―アニオン量(質量ppm)を算出することにより行う。
HPO 2―アニオンの量は、0.04ppm以下である。このような量にあることで、これを配合したポリカーボネート樹脂組成物の成形品は、良好な色相を有し、且つ耐熱変色性に優れる。HPO 2―アニオンの量は、好ましくは0.03ppm以下、より好ましくは0.02ppm以下、さらに好ましくは0.01ppm以下であり、特に好ましくは0.01ppm未満である。
また、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト酸化防止剤(A)は、温度60℃、湿度95%、168時間の条件で処理した後に、ガスクロマトグラフィーで分析した際のトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト以外の量が、ガスクロマトグラフィーの面積%で1%未満であることが好ましい。すなわち、このような条件で処理した後に、ガスクロマトグラフィーで測定した際、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトが、ガスクロマトグラフィーの面積比で、99%以上であることが好ましい。1%未満である他の成分としては、例えば、2,4-tert-ブチルフェノール、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、モノ(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、あるいは下記式で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2023074557000001
トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトは、常法により、例えばリン酸と2,4-ジ-tert-ブチルフェノールの脱水縮合、あるいは、塩化ホスホリルと2,4-ジ-tert-ブチルフェノールとを塩基の作用により縮合させる等の方法で得られるが、得られた生成物は、例えば良溶媒に溶解させた後、貧溶媒を加えて沈殿させて再結晶させた後に乾燥させる等も好ましい。酸化防止剤(A)は、例えば好ましくは精製を強化する等によって得られたものを使用する方法、あるいは、市販品の中から前記規定を満たすものを選択することによっても可能である。
本発明のトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト酸化防止剤(A)はポリカーボネート樹脂に配合することにより、ポリカーボネート樹脂組成物は良好な色相を有し、且つ耐熱変色性に優れる。
トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト酸化防止剤(A)の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、0.005~0.5質量部であり、より好ましくは0.007質量部以上、さらに好ましくは0.008質量部以上、特に好ましくは0.01質量部以上であり、また、より好ましくは0.4質量部以下、さらに好ましくは0.3質量部以下、中でも好ましくは0.2質量部以下、特には0.1質量部以下である。酸化防止剤(A)の含有量が0.005質量部未満の場合は、色相、耐熱変色性の改良効果が不十分となりやすく、含有量が0.5質量部を超える場合は、耐熱変色性がかえって悪化する場合がある。
[ポリカーボネート樹脂]
ポリカーボネート樹脂は、特に限定されず、種々のものが用いられる。ポリカーボネート樹脂は、炭酸結合に直接結合する炭素がそれぞれ芳香族炭素である芳香族ポリカーボネート樹脂、及び脂肪族炭素である脂肪族ポリカーボネート樹脂に分類できるが、いずれを用いることもできる。中でも、ポリカーボネート樹脂としては、耐熱性、機械的物性、電気的特性等の観点から、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、芳香族ジヒドロキシ化合物の例を挙げると、
1,2-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシベンゼン(即ち、レゾルシノール)、1,4-ジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類;
2,5-ジヒドロキシビフェニル、2,2’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類;
2,2’-ジヒドロキシ-1,1’-ビナフチル、1,2-ジヒドロキシナフタレン、1,3-ジヒドロキシナフタレン、2,3-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;
2,2’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルエーテル、1,4-ビス(3-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン等のジヒドロキシジアリールエーテル類;
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールC)、
2,2-ビス(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
α,α’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ジイソプロピルベンゼン、
1,3-ビス[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)(4-プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-ナフチルエタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)デカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ドデカン、
等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,4-ジメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,5-ジメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-プロピル-5-メチルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-tert-ブチル-シクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-tert-ブチル-シクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-フェニルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-フェニルシクロヘキサン、
等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;
9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、
9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;
4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;
4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;
4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;
等が挙げられる。
なお、芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
上記の中ではビス(ヒドロキシアリール)アルカン類が好ましく、中でもビス(4-ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性、耐熱性の点から2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールC)が好ましく、これらの単独重合体、又は両者を併せて使用した共重合体、あるいはこれら(共)重合体を混合したものが好ましい。
ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、カーボネート前駆体の例を挙げると、カルボニルハライド、カーボネートエステル等が使用される。なお、カーボネート前駆体は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
カルボニルハライドとしては、具体的には例えば、ホスゲン;ジヒドロキシ化合物のビスクロロホルメート体、ジヒドロキシ化合物のモノクロロホルメート体等のハロホルメート等が挙げられる。
カーボネートエステルとしては、具体的には例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;ジヒドロキシ化合物のビスカーボネート体、ジヒドロキシ化合物のモノカーボネート体、環状カーボネート等のジヒドロキシ化合物のカーボネート体等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。これらの中では、界面重合法、溶融エステル交換法によるものが耐熱変色性の向上効果がより高い点から好ましい。
ポリカーボネート樹脂の分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量(Mv)で、好ましくは10000~50000であり、より好ましくは10000~40000,中でも10000~30000、特に10000~28000が好ましい。粘度平均分子量を上記範囲の下限値以上とすることにより、ポリカーボネート樹脂組成物の機械的強度をより向上させることができ、粘度平均分子量を上記範囲の上限値以下とすることにより、ポリカーボネート樹脂組成物の流動性低下を抑制して改善でき、成形加工性を高めて成形加工を容易に行えるようになる。
なお、粘度平均分子量の異なる2種類以上のポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよく、この場合には、粘度平均分子量が上記の好適な範囲外であるポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
なお、粘度平均分子量[Mv]とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度25℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10-4Mv0.83から算出される値を意味する。また、極限粘度[η]とは、各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[ηsp]を測定し、下記式により算出した値である。
Figure 2023074557000002
また、成形体の外観の向上や流動性の向上を図るため、ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネートオリゴマーを含有していてもよい。このポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量[Mv]は、通常1500以上、好ましくは2000以上であり、また、通常9500以下、好ましくは9000以下である。さらに、含有されるポリカーボネートオリゴマーは、ポリカーボネート樹脂(ポリカーボネートオリゴマーを含む)の30質量%以下とすることが好ましい。
さらにポリカーボネート樹脂は、バージン原料だけでなく、使用済みの製品から再生されたポリカーボネート樹脂(いわゆるマテリアルリサイクルされたポリカーボネート樹脂)であってもよく、バージン原料とリサイクル樹脂の両方を含有することも好ましく、リサイクルポリカーボネート樹脂を含有する場合、ポリカーボネート樹脂中のリサイクルポリカーボネート樹脂の割合は好ましくは40質量%以上、中でも50質量%以上、60質量%以上、70質量%、特に80質量%以上が好ましい。
[ポリアルキレングリコール]
ポリカーボネート樹脂組成物は、ポリアルキレングリコールを含有することも好ましい。ポリアルキレングリコールを含有することで、さらに色相を向上させ光線透過率を良好にすることができる。
ポリアルキレングリコールとしては、テトラメチレングリコールユニット、(2-メチル)エチレングリコールユニット、トリメチレングリコールユニット及びエチレングリコールユニットから選ばれる少なくとも1または2以上のユニットを有するものが好ましく、少なくとも2以上のユニットを共重合した共重合体として含むことが好ましい。
また、ポリアルキレングリコールは、その末端基はヒドロキシル基であることが好ましい。加えて、その片末端あるいは両末端がアルキルエーテル、アリールエーテル、アラルキルエーテル、脂肪酸エステル、アリールエステルなどで封鎖されたような誘導体でもその性能発現に影響はなく、エーテル化物またはエステル化物が同様に使用できる。
アルキルエーテルを構成するアルキル基としては、直鎖状又は分岐状のいずれも使用でき、炭素数1~22のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、ラウリル基、ステアリル基等であり、ポリアルキレングリコールのメチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル、ラウリルエーテル、ステアリルエーテル等が好ましく例示できる。
アリールエーテルを構成するアリール基としては、好ましくは炭素数6~22、より好ましくは炭素数6~12、さらに好ましくは炭素数6~10のアリール基が好ましく、例えばフェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられ、フェニル基、トリル基等が好ましい。
アラルキルエーテルを構成するアラルキル基としては、好ましくは炭素数7~23、より好ましくは炭素数7~13、さらに好ましくは炭素数7~11のアラルキル基が好ましく、例えばベンジル基、フェネチル基等が挙げられ、ベンジル基が特に好ましい。
脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、直鎖状又は分岐状のいずれも使用でき、飽和脂肪酸であってもよく不飽和脂肪酸であってもよい。
脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、炭素数1~22の1価又は2価の脂肪酸、例えば、1価の飽和脂肪酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、ベヘン酸や、1価の不飽和脂肪酸、例えば、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸、また炭素数10以上の二価の脂肪酸、例えば、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、タプシア酸及びデセン二酸、ウンデセン二酸、ドデセン二酸である。
アリールエステルを構成するアリール基としては、好ましくは炭素数6~22、より好ましくは炭素数6~12、さらに好ましくは炭素数6~10のアリール基が好ましく、例えばフェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられ、フェニル基、トリル基等が好ましい。末端封止する基は、アラルキル基であってもポリカーボネートと良好な相溶性を示すことから、アリール基と同様の作用を発現でき、アラルキル基としては、好ましくは炭素数7~23、より好ましくは炭素数7~13、さらに好ましくは炭素数7~11のアラルキル基が好ましく、例えばベンジル基、フェネチル基等が挙げられ、ベンジル基が特に好ましい。
ポリアルキレングリコールの数平均分子量としては、200~10000であることが好ましく、500~5000がより好ましく、さらに好ましくは800以上、中でも1000以上、特に好ましくは1500以上であり、より好ましくは4500以下、さらに好ましくは4000以下、中でも3500以下、3000以下、特に2500以下が好ましい。上記範囲の上限を超えると、相溶性が低下するので好ましくなく、上記範囲の下限を下回ると成形時にガスが発生するので好ましくない。
なお、本明細書中、ポリアルキレングリコールの数平均分子量はJIS K1577に準拠して測定する水酸基価に基づいて算出される値として定義される。
ポリアルキレングリコールを含有する場合の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、好ましくは0.1~4質量部である。ポリアルキレングリコールの含有量が4質量部を超えるとポリカーボネート樹脂の白濁により透過率が低下しやすい。ポリアルキレングリコールの含有量は、好ましくは0.15質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上であり、好ましくは3.5質量部以下、より好ましくは3.0質量部以下、特には2.5質量部以下である。
[エポキシ化合物]
ポリカーボネート樹脂組成物は、エポキシ化合物を含有することも好ましい。エポキシ化合物を含有することで、さらに色相、耐熱変色性を向上させることができる。
エポキシ化合物としては、1分子中にエポキシ基を1個以上有する化合物が用いられる。具体的には、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、t-ブチルフェニルグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシ-6’-メチルシクロヘキシルカルボキシレート、2,3-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4-(3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシル)ブチル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-エポキシシクロヘキシルエチレンオキシド、シクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-6’-メチルシクロヘキシルカルボキシレート、ビスフェノール-Aジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノール-Aグリシジルエーテル、フタル酸のジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸のジグリシジルエステル、ビス-エポキシジシクロペンタジエニルエーテル、ビス-エポキシエチレングリコール、ビス-エポキシシクロヘキシルアジペート、ブタジエンジエポキシド、テトラフェニルエチレンエポキシド、オクチルエポキシフタレート、エポキシ化ポリブタジエン、3,4-ジメチル-1,2-エポキシシクロヘキサン、3,5-ジメチル-1,2-エポキシシクロヘキサン、3-メチル-5-t-ブチル-1,2-エポキシシクロヘキサン、オクタデシル-2,2-ジメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、N-ブチル-2,2-ジメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、シクロヘキシル-2-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、N-ブチル-2-イソプロピル-3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシルカルボキシレート、オクタデシル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、2-エチルヘキシル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,6-ジメチル-2,3-エポキシシクロヘキシル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,5-エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、3-t-ブチル-4,5-エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、ジエチル4,5-エポキシ-シス-1,2-シクロヘキシルジカルボキシレート、ジ-n-ブチル-3-t-ブチル-4,5-エポキシ-シス-1,2-シクロヘキシルジカルボキシレート、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油などを好ましく例示することができる。
これらのうち、脂環族エポキシ化合物が好ましく用いられ、特に3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレートが好ましい。
[オキセタン化合物]
ポリカーボネート樹脂組成物は、オキセタン化合物を含有することも好ましい。オキセタン化合物を含有することで、より色相、耐熱変色性を向上させることができる。
オキセタン化合物としては、分子内に1以上のオキセタン基を有する化合物であればいずれも使用することができ、分子中にオキセタン基を1個有するモノオキセタン化合物、および分子中にオキセタン基を2個以上有する2官能以上のポリオキセタン化合物のいずれをも使用することができる。
モノオキセタン化合物としては、3-ヒドロキシメチル-3-メチルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-エチルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-プロピルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-ノルマルブチルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-プロピルオキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン等が好ましく挙げられる。
ポリオキセタン化合物としては、ビス(3-メチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3-プロピル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3-ブチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、3-エチル-3{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン、4,4’-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン等を好ましく挙げることができる。
オキセタン化合物は、単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
<エポキシ化合物及び/又はオキセタン化合物の含有量>
ポリカーボネート樹脂組成物がエポキシ化合物及び/又はオキセタン化合物を含む場合、その含有量(エポキシ化合物とオキセタン化合物を含む場合はその合計の含有量)は、好ましくは0.005~0.5質量%、より好ましくは0.005~0.3質量%、特に好ましくは0.005~0.2質量%である。エポキシ化合物及び/又はオキセタン化合物の含有量が上記下限未満の場合は、エポキシ化合物及び/又はオキセタン化合物を含むことによる色相の向上効果を十分に得ることができず、上記上限を超えるとかえって色相が低下し、また湿熱安定性も低下する傾向がある。
[離型剤]
ポリカーボネート樹脂組成物は離型剤を含有することも好ましい。
離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200~15000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、例えば、飽和または不飽和の脂肪族一価、二価または三価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中で好ましい脂肪族カルボン酸は、炭素数6~36の一価または二価カルボン酸であり、炭素数6~36の脂肪族飽和一価カルボン酸がさらに好ましい。かかる脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、例えば、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、例えば、飽和または不飽和の一価または多価アルコールが挙げられる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の一価または多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族飽和一価アルコールまたは脂肪族飽和多価アルコールがさらに好ましい。なお、ここで脂肪族とは、脂環式化合物も包含する用語として使用される。
かかるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2-ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
なお、上記のエステルは、不純物として脂肪族カルボン酸及び/又はアルコールを含有していてもよい。また、上記のエステルは、純物質であってもよいが、複数の化合物の混合物であってもよい。さらに、結合して一つのエステルを構成する脂肪族カルボン酸及びアルコールは、それぞれ、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
数平均分子量200~15000の脂肪族炭化水素としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャ-トロプシュワックス、炭素数3~12のα-オレフィンオリゴマー等が挙げられる。なお、ここで脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。また、これらの炭化水素は部分酸化されていてもよい。
これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスまたはポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスがさらに好ましい。
また、前記の脂肪族炭化水素の数平均分子量は、好ましくは5000以下である。
なお、脂肪族炭化水素は、単一物質であってもよいが、構成成分や分子量が様々なものの混合物であっても、主成分が上記の範囲内であれば使用できる。
ポリシロキサン系シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル、フッ素化アルキルシリコーン等が挙げられる。
なお、上述した離型剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
離型剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常2質量部以下、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下である。離型剤の含有量が前記範囲の下限値未満の場合は、離型性の効果が十分でない場合があり、離型剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染などが生じる可能性がある。
[添加剤等]
ポリカーボネート樹脂組成物は、上記した以外のその他の添加剤、例えば、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト酸化防止剤(A)以外の他の酸化防止剤や熱安定剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、顔料、染料、難燃剤、滴下防止剤(ポリテトラフルオロエチレン等)、耐衝撃改良剤、可塑剤、相溶化剤などの添加剤を含有することができる。これらの添加剤は一種又は二種以上を含有してもよい。
また、ポリカーボネート樹脂以外の他の樹脂を含有してもよい。その他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、ABS樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)などのスチレン系樹脂;メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン共重合体(MBS)、メチルメタクリレート-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(MABS)、メチルメタクリレート-ブタジエン共重合体(MB)、メチルメタクリレート-アクリル・ブタジエンゴム共重合体、メチルメタクリレート-アクリル・ブタジエンゴム-スチレン共重合体等のエラストマー;アクリル樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリメタクリレート樹脂等が挙げられる。その他の樹脂としては、特にABS樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂が好ましい。
以下、本発明を実施例により、更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の例に限定して解釈されるものではない。
以下の実施例及び比較例で使用した原料成分は、以下の表1の通りである。
Figure 2023074557000003
上記(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト酸化防止剤のHPO 2-アニオン等の測定方法は、前記した通りである。
ガスクロマトグラフ測定の詳細は以下の通りである。
試料: 10mg-ジクロロメタン溶解-GC
装置: Nexis GC-2030(島津製作所社製)
カラム UA-1(MS/HT)0.25mmI.D.×15m
カラム温度: 100℃から350℃まで12.5℃/minで昇温後5分保持
また、温度60℃、湿度95%、168時間で処理後(表1中、「処理後」と略記)のトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトとその他の量の測定は、前述の方法で行った。
イオンクロマトグラフ測定の詳細は以下の通りである。
試料20gをヘキサン250mLに溶解し、純水20mLに溶解し、液液抽出し、イオンクロマトグラフィー装置(「Dionex ICS―1600」、サーモサイエンティフィック社製)で測定した。
(実施例1~4、比較例1~3)
表1に記載した各成分を、後記表2に記した割合(質量部)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、スクリュー径40mmのベント付単軸押出機(田辺プラスチック機械社製「VS-40」)により、シリンダー温度を240~260℃で溶融混練し、押出したストランドをカット(ペレッタイズ)することにより、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
[色相および耐熱変色性の評価]
<3mm厚プレート状試験片の製造>
上記で得られたペレットを120℃で5時間、熱風循環式乾燥機によって乾燥させた後、射出成形機(日本製鋼所社製「J55AD-6H」)にて、鋼材金型を使用し、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、射出速度100mm/secの条件で、射出成形を行い、3mm厚みのプレート状試験片を作製した。
<初期YI(3mmt)>
上記プレート状試験片(厚さ3.0mm)について、厚み方向のYI(初期YI)を測定した。測定は、JIS K7105に基づき、日本電色工業社製色差計「SE-6000」を使用して行った。なお、光源はC、視野は2度に設定した。
<ΔYI(3mmt)>
次いで、このプレート状試験片(厚さ3.0mm)を、温度120℃、100%RH、0.1MPa、100時間の条件で、プレッシャークッカー試験処理をした後、同様にしてYIを測定し、処理後のYI値と初期YI値の差ΔYIを求めた。
<ΔHaze(単位:%)>
上記プレート状試験片(厚さ3.0mm)について、JIS K7105に準拠し、日本電色工業社製「NDH-2000型」ヘイズメーターで初期Haze(単位:%)を測定した。次いで、このプレート状試験片(厚さ3.0mm)を、温度120℃、100%RH、0.1MPa、100時間の条件で、プレッシャークッカー試験処理をした後、同様にしてHazeを測定し、処理後のHazeと初期Hazeの差ΔHazeを求めた。
以上の結果を、下記表2に示す。
Figure 2023074557000004
(実施例5~8、比較例4~6)
表1に記載した各成分を、後記表3に記した割合(質量部)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、スクリュー径40mmのベント付単軸押出機(田辺プラスチック機械社製「VS-40」)により、シリンダー温度を240℃で溶融混練し、押出したストランドをカット(ペレッタイズ)することにより、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
[色相および耐熱変色性の評価]
<300mm光路長成形品の製造>
上記で得られたペレットを、120℃で5時間、熱風循環式乾燥機によって乾燥させた後、射出成形機(Sodick社製「HSP100A」)に供給し、シリンダー温度340℃、金型温度80℃で射出成形して、縦300mm×横7mm×厚さ4mmの長光路成形品を成形した。射出成形は、シリンダー温度を340℃、金型温度は80℃とした。
<YI(300mm)>
上記長光路成形品について、300mmの光路長のYIを測定した。測定は、JIS Z8722に基づき、長光路分光透過色計(日本電色工業社製「ASA 1」)を使用し、C光源、2°視野で行った。
<加熱処理後YI(300mm、95℃、1000h)>
次いで、この長光路成形品を、温度95℃で1000時間処理した後、上記と同様にして、処理後のYI値と初期YI値の差ΔYIを求めた。
以上の評価結果を、下記表3に示す。
Figure 2023074557000005
本発明のトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト酸化防止剤(A)はポリカーボネート樹脂に配合することで、良好な色相を有し耐熱変色性に優れたポリカーボネート樹脂組成物となるので、各種の成形品に好適に利用できる。

Claims (4)

  1. トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト酸化防止剤(A)であって、上記(A)を溶媒へ溶解させた後に水を加えて分液操作をし、水中へ抽出させた際に水中で検出されるHPO 2―で示されるアニオンの量が、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト酸化防止剤(A)の質量基準で、0.04ppm以下であることを特徴とするポリカーボネート樹脂用酸化防止剤。
  2. 前記酸化防止剤(A)は、温度60℃、湿度95%、168時間の条件で処理した後に、ガスクロマトグラフィーで分析した際のトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト以外の量がガスクロマトグラフィーの面積%で1%未満である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂用酸化防止剤。
  3. 請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂用酸化防止剤を、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、0.005~0.5質量部含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 請求項3に記載のポリカーボネート樹脂組成物の成形体。
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