JP2023074431A - 調光シート - Google Patents

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Keisuke Fukuhara
敦弘 加藤
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Abstract

【課題】調光シートの意匠性を高めることを可能とした調光シートを提供する。【解決手段】調光シート10は、第1透明電極層12Aと、第2透明電極層12Bと、第1透明電極層12Aと第2透明電極層12Bとの間に位置する調光層11と、第1透明電極層12Aに対して調光層11とは反対側に位置する第1透明支持層13Aであって、第1透明電極層12Aを支持する支持面130を備えた第1透明支持層13Aとを備える。第1透明電極層12Aは、支持面130に沿って延び、かつ、第1透明電極層12Aを貫通する溝120と、溝120に挟まれた溝間領域を備える。溝間領域と第2透明電極層12Bとの間における剥離強度が、0.01N以上である。【選択図】図3

Description

本発明は、調光シートに関する。
調光シートは、液晶組成物を含む調光層と、調光層を挟む一対の透明電極層とを備えている。一対の透明電極層間には、駆動電圧が印加される。透明電極層間の電位差に応じて液晶分子の配向状態が変わり、これによって、調光シートの拡散透過率が変わる。例えば、液晶分子の長軸方向が調光層の厚さ方向に沿う状態であるとき、調光シートの拡散透過率は相対的に低く、調光シートは透明を呈する。これに対して、液晶分子の長軸方向が調光層の厚さ方向と交差する状態であるとき、調光シートの拡散透過率は相対的に高く、調光シートは不透明を呈する(例えば、特許文献1参照)。
特開2018-45135号公報
調光シートは、空間を仕切る部材、例えば、建物の窓ガラス、パーティションなどの建材、または車両の窓ガラスなどに貼り付けられ、これによって、空間を仕切る部材の一部として利用される。近年では調光シートの付加価値を高めるため、調光シートの意匠性が着目されている。調光シートにおける意匠性の向上は、調光シートの適用範囲を大きく拡張させ得ると共に、調光される空間に新たな需要を創出し得る。このため、意匠性を高めることを可能とする調光シートが求められている。
上記課題を解決するための調光シートは、第1透明電極層と、第2透明電極層と、前記第1透明電極層と前記第2透明電極層との間に位置する調光層と、前記第1透明電極層に対して前記調光層とは反対側に位置する第1透明支持層であって、前記第1透明電極層を支持する支持面を備えた前記第1透明支持層と、を備える。前記第1透明電極層は、前記支持面に沿って延び、かつ、前記第1透明電極層を貫通する溝と、前記溝に挟まれた溝間領域を備える。前記溝間領域と前記第2透明電極層との間における剥離強度が、0.01N以上である。
上記調光シートによれば、溝間領域と第2透明電極層との間における剥離強度が0.01N以上であるから、調光シートのうち、溝間領域を含む部分での剥離を抑えることが可能である。これにより、第1透明電極層に溝に挟まれた溝間領域が形成されるように、第1透明電極層のパターニングを行った場合でも、剥離に起因した導通の不良を抑えることができ、これによって、調光シートの意匠性を高めることが可能である。
上記調光シートにおいて、前記溝間領域は、前記第1透明電極層のなかで前記溝間領域を画定する前記溝によって括れた狭窄部であり、前記狭窄部の幅が2mm以上であり、前記狭窄部の幅方向での単位長さ当たりにおける前記狭窄部と前記第2透明電極層との間での剥離強度が、0.1N/10mm以上であってもよい。
上記調光シートによれば、単位長さ当たりにおける狭窄部と第2透明電極層との間ので剥離強度が0.1N/10mm以上であるから、調光シートが2mm以上の幅を有した狭窄部を有する場合に、狭窄部を含む部分での剥離が抑えられる。
上記調光シートにおいて、前記溝間領域は、前記第1透明電極層のなかで前記溝間領域を画定する前記溝によって括れた狭窄部であり、前記第1透明電極層は、駆動電極要素と、浮遊電極要素とを含み、前記溝は、前記浮遊電極要素の外縁を取り囲み、これによって、前記浮遊電極要素が、前記駆動電極要素から絶縁され、前記溝と前記浮遊電極要素とが、非駆動要素を構成し、前記駆動電極要素は、前記非駆動要素によって画定される領域である第2駆動電極要素と、前記非駆動要素外に位置し、前記第2駆動電極要素に接続された第1駆動電極要素を含み、前記狭窄部が、前記第1駆動電極要素に前記第2駆動電極要素を接続していてもよい。
上記調光シートにおいて、前記溝間領域は、前記第1透明電極層のなかで前記溝間領域を画定する前記溝によって括れた狭窄部であり、前記第1透明電極層は、前記溝によって囲まれた領域である第2駆動電極要素と、前記溝外に位置し、前記第2駆動電極要素に接続された第1駆動電極要素とを含み、前記狭窄部が、前記第1駆動電極要素に前記第2駆動電極要素を接続していてもよい。
上記調光シートによれば、調光シートが第1駆動電極要素を含む部分と、第2駆動電極要素を含む部分とから構成される図柄を表示することが可能である。
上記調光シートにおいて、前記溝は、第1溝部と第2溝部とが屈曲点で折り返された溝屈曲部を備え、前記溝間領域は、前記第1溝部と前記第2溝部とに挟まれた領域であってもよい。
上記調光シートによれば、調光シートのうち、溝屈曲部によって挟まれた溝間領域を含む部分において生じる剥離を抑えることが可能である。これにより、透明電極層間への電圧の印加の有無により、溝間領域を含む部分の光学特性を変えることが可能であるから、調光シートの意匠性を高めることが可能である。
上記調光シートにおいて、前記溝間領域は、前記溝間領域の幅が2mm以上である部分を含み、前記幅が2mm以上である前記部分において、前記溝間領域の幅方向の単位長さ当たりにおける前記溝間領域と前記第2透明電極層との間の剥離強度が、0.1N/10mm以上であってもよい。
上記構成によれば、調光シートのうち、溝間領域を含む部分の少なくとも一部において溝間領域と第2透明電極層との間での剥離が抑えられる。これにより、調光シートのうち、溝間領域を含む部分の少なくとも一部では、透明電極層間への電圧の印加の有無により、光学特性が変わるから、調光シートの意匠性を高めることが可能である。
上記調光シートにおいて、前記調光層は、液晶組成物を含み、前記溝は、前記調光シートの厚さ方向において、前記第1透明電極層を貫通し、かつ、前記第1透明支持層の途中まで延び、前記溝内に、前記液晶組成物が位置してもよい。
上記調光シートにおいて、前記調光層は、液晶組成物を含み、前記溝は、前記調光シートの厚さ方向において、前記第1透明電極層と前記第1透明支持層とを貫通し、前記溝内に、前記液晶組成物が位置してもよい。
上記調光シートによれば、溝内に液晶組成物が位置するから、透明電極層間に電圧が印加されていない場合に、調光シートにおいて、溝と溝以外の部分における拡散透過率の差を抑えることが可能である。これにより、溝が視認されることが抑えられる。
本発明によれば、調光シートの意匠性を高めることができる。
第1実施形態におけるノーマル型の調光シートの正面図である。 図1が示すII‐II線に沿う断面図である。 図1が示すIII‐III線に沿う断面図である。 図1が示す調光シートの一部を拡大して示す平面図である。 図1が示す調光シートの一部を拡大して示す平面図である。 図1が示す調光シートの一部を拡大して示す平面図である。 同実施形態の調光シートの製造方法を模式的に示す図である。 同実施形態における非駆動状態の調光シートの正面図である。 第2実施形態の調光シートの断面図である。 変更例の調光シートの正面図である。 変更例のリバース型の調光シートの正面図である。 変更例の調光シートの断面図である。 変更例の調光シートの断面図である。 変更例の調光シートの断面図である。 変更例の調光シートの正面図である。 変更例の調光シートの正面図である。 抵抗値を測定するための測定サンプルの形状を示す平面図である。 試験例の抵抗値を示す表である。 試験例の実効電圧を示す表である。 試験例の剥離強度を示す表である。 試験片の剥離強度と単位長さ当たりの剥離強度との関係を示すグラフである。
[第1実施形態]
図1から図8を参照して、調光シートの第1実施形態を説明する。本実施形態の調光シート10の型式は、ノーマル型である。ノーマル型の調光シート10は、調光シート10に電圧信号が印加されていないときに駆動対象の領域における入射光を散乱性を上昇させ、調光シート10に電圧信号が印加されたときに散乱性を低下させる。
[調光シート]
図1を参照して調光シート10の平面構造を説明する。
図1が示すように、調光シート10は、第1面11Fと、第1面11Fとは反対側の面である第2面11Rとを有する。調光シート10は、駆動領域20と、非駆動領域21とを有する。
調光シート10は積層構造を有する。駆動領域20は、駆動電極要素30を積層構造の一部として含む領域である。駆動電極要素30は、調光シート10の駆動時に電圧信号が印加される電極要素である。駆動電極要素30への電圧信号の印加状態に応じて、駆動領域20の拡散透過率が変わる。駆動電極要素30は、第1電極要素の一例である。非駆動領域21は、浮遊電極要素31を積層構造の一部として含む領域である。浮遊電極要素31は、調光シート10の駆動時に電圧信号が印加されない電極要素である。浮遊電極要素31は、第2電極要素の一例である。調光シート10への電圧信号の印加状態に応じて駆動領域20の拡散透過率が変わる一方、調光シート10への電圧信号の印加状態に応じて非駆動領域21の拡散透過率は変化しない。図1が示す例では、非駆動領域21は、図柄に沿って設けられている。図柄は、例えば、文字、数字、記号、図形、絵柄、模様などのうちの1つまたは2つ以上の組み合わせである。
図1が示す非駆動領域21は、細長い線のような形状を有する。非駆動領域21は、第1端部21Aと第2端部21Bとの間における複数の箇所において屈曲している。非駆動領域21は、駆動領域20を、所定の図柄の形状を有する第2駆動領域20Bと、第2駆動領域20B外に位置する第1駆動領域20Aとに画定している。また、非駆動領域21では、第1端部21Aと第2端部21Bとの間において、非駆動領域21の一部と他の一部とが接触したり交差したりすることがなく、非駆動領域21の全体において、非駆動領域21の一部と他の一部との間に所定距離以上の間隔が保たれている。図1が示す例では、非駆動領域21の一部が他の一部に近接した領域101においても、非駆動領域21の一部と他の一部との間に間隔が保たれている。
非駆動領域21によって画定された各駆動領域20A,20Bは、溝120(図3参照)に挟まれた、すなわち、溝120の第1の部分と第2の部分との間に位置する狭窄部30Aを介して電気的に導通されている。狭窄部30Aは、溝間領域の一例である。換言すると、駆動電極要素30は、導通部26に含まれる狭窄部30Aを備える。導通部26は、溝120および浮遊電極要素31を含む非駆動領域21における第1の部分と第2の部分とに挟まれ、かつ、第1駆動領域20Aに第2駆動領域20Bを接続している。導通部26の幅、すなわち狭窄部30Aの幅は、駆動領域20A,20Bの幅に比べて狭い。非駆動領域21および導通部26は、第2駆動領域20Bを囲んでいる。第1駆動領域20Aは外側領域の一例であり、第2駆動領域20Bは内側領域の一例である。
調光シート10は、2つの接続領域24を備えている。接続領域24は、駆動領域20に電圧信号を印加するための領域である。接続領域24には、外部配線25が接続される。接続領域24と駆動領域20とは互いに隣り合い、これによって、駆動領域20は接続領域24に接続されている。
一方の接続領域24は、第1接続領域24Aであり、他方の接続領域24は第2接続領域24Bである。第2接続領域24Bは、調光シート10の第1面11Fと対向する視点から見て、調光シート10の外部に露出している。第1接続領域24Aは、調光シート10の第2面11Rと対向する視点から見て、調光シート10の外部に露出している。第1接続領域24Aと第2接続領域24Bとは、調光シート10の縁に沿って並んでいる。第1接続領域24Aと第2接続領域24Bとが並ぶ方向が、第1方向である。
接続領域24を介して調光シート10に電圧信号が印加されると、調光シート10に電圧信号が印加されていない状態に比べて、駆動領域20A,20Bの拡散透過率が低くなる。一方、調光シート10に電圧信号が印加されても、非駆動領域21の拡散透過率は変化しない。このため、調光シート10に、線状の非駆動領域21によって画定される図柄100が浮かび上がる。このとき、非駆動領域21によって囲まれた第2駆動領域20Bでは拡散透過率が低められるため、いわゆる「白抜き」の図柄100が表示される。なお、図1が示す調光シート10は、非駆動領域21によって1つの図柄を表示するものであるが、複数の図柄を表示してもよい。つまり、調光シート10は、それぞれ接続せずに独立した非駆動領域21を複数備えていてもよい。
図2および図3を参照して調光シート10の積層構造を説明する。図2は、図1におけるII‐II線に沿った断面図であり、駆動領域20の一部および接続領域24での調光シート10の断面構造を示す。なお、図2における各層の厚さの比は、説明のため便宜的に示すものであり、各層の厚さの比は図に示す厚さの比に限定されない。
図2が示すように、調光シート10は、調光層11、第1透明電極層12A、第2透明電極層12B、第1透明支持層13A、および、第2透明支持層13Bを有する。調光層11は、第1透明電極層12Aと第2透明電極層12Bとに挟まれている。第1透明支持層13Aは、第1透明電極層12Aのうち、調光層11に接する面とは反対側の面を単一の連続面である支持面130で支持している。第2透明支持層13Bは、第2透明電極層12Bのうち、調光層11に接する面とは反対側の面を支持している。なお、調光層11は、単層構造を有してもよいし、多層構造を有してもよい。多層構造の調光層11は、例えば、調光機能を有する機能層と、機能層と第1透明電極層12Aとの間、機能層と第2透明電極層12Bとの間の密着性を高める機能層とを備えていてもよい。
さらに、調光シート10は、保護層44を備えている。保護層44は、第1透明支持層13Aに対して第1透明電極層12Aとは反対側に位置する。保護層44は、図示しない粘着層を介して第1透明支持層13Aに固定されていてもよい。
調光シート10の第1面11Fは、保護層44における第1透明支持層13Aに向かい合う面とは反対側の面である。調光シート10の第2面11Rは、第2透明支持層13Bにおける第2透明電極層12Bに向かい合う面とは反対側の面である。第2面11Rは、図示しない粘着層を介して、ガラスや樹脂などからなる透明板に貼り付けられる。透明板は、例えば、住宅、店舗、駅、空港などの各種の建物が備える窓ガラス、オフィスに設置されたパーティション、店舗に設置されたショーウインドウ、または車両や航空機などの移動体が備える窓ガラスやウインドシールドである。透明板の各表面は、平面であってもよいし、曲面であってもよい。
接続領域24は、上述したように、第1接続領域24Aと第2接続領域24Bとを含む。第1接続領域24Aには、第1透明電極層12Aに電圧信号を印加するための外部配線25が接続される。第2接続領域24Bには、第2透明電極層12Bに電圧信号を印加するための外部配線25が接続される。
第1接続領域24Aには、調光層11、第2透明電極層12B、および第2透明支持層13Bが位置せず、これにより、第1透明電極層12Aの一部が外部に露出している。第1接続領域24Aにおいて露出した第1透明電極層12Aの一部に、第1端子部50Aが接続されている。すなわち、駆動電極要素30は、駆動領域20から第1接続領域24Aまで延び、かつ、第1接続領域24Aにおいて、駆動電極要素30に第1端子部50Aが接続されている。すなわち、第1透明電極層12Aは、駆動電極要素30を含み、かつ、駆動領域20が駆動電極要素30の一部を含み、第1接続領域24Aが駆動電極要素30の他の一部を含んでいる。
第2接続領域24Bには、調光層11、第1透明電極層12A、第1透明支持層13A、および保護層44が位置せず、これにより、第2透明電極層12Bの一部が露出している。第2接続領域24Bにおいて露出した第2透明電極層12Bの一部に、第2端子部50Bが接続されている。
第1端子部50Aと第2端子部50Bとの各々には、外部配線25が接続されている。各外部配線25は、制御部50に接続されている。制御部50は、第1端子部50Aを通じて、第1透明電極層12Aの駆動電極要素30に電圧信号を印加し、第2端子部50Bを通じて、第2透明電極層12Bに電圧信号を印加する。これにより、制御部50は、駆動領域20における第1透明電極層12Aと第2透明電極層12Bとの間の電位差を制御する。第2透明電極層12Bは、例えば、グランド電位に制御される。調光シート10と制御部50とから、調光装置が構成される。
調光層11は、透明高分子層と液晶組成物とを備えている。透明高分子層は、液晶組成物が充填される空隙を有している。液晶組成物は、透明高分子層が有する空隙に充填されている。液晶組成物は液晶分子を含む。液晶分子の一例は、シッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、ビフェニル系、ターフェニル系、安息香酸エステル系、トラン系、ピリミジン系、シクロヘキサンカルボン酸エステル系、フェニルシクロヘキサン系、および、ジオキサン系から構成される群から選択されるいずれかである。なお、調光層11が単層構造である場合には、調光層11は透明高分子層と液晶組成物とを備える機能層のみからなる。
液晶組成物の保持型式は、高分子ネットワーク型、高分子分散型、および、カプセル型のいずれかである。高分子ネットワーク型は、3次元の網目状を有した透明な高分子ネットワークを備える。網目の空隙は相互に連通し、網目が有する空隙のなかに液晶組成物が保持される。高分子ネットワークは、透明高分子層の一例である。高分子分散型は、孤立した多数の空隙を透明高分子層のなかに備え、高分子層に分散した空隙のなかに液晶組成物を保持する。カプセル型は、カプセル状を有した液晶組成物を透明高分子層のなかに保持する。なお、液晶組成物は、上述した液晶分子以外に、透明高分子層を形成するためのモノマー、および、二色性色素などを含んでもよい。なお、図2が示す例では、調光層11は、スペーサー15を含んでいる。スペーサー15は、調光層11の厚さを一定の範囲内に保持する。
第1透明電極層12Aおよび第2透明電極層12Bの各々は、導電性を有し、可視領域の光に対して透明である。第1透明電極層12Aおよび第2透明電極層12Bを形成するための材料は、例えば、酸化インジウムスズ、フッ素ドープ酸化スズ、酸化スズ、酸化亜鉛、カーボンナノチューブ、ポリ(3,4‐エチレンジオキシチオフェン)などである。
第1透明支持層13Aおよび第2透明支持層13Bの各々は、可視領域の光に対して透明な基材である。第1透明支持層13Aおよび第2透明支持層13Bを形成するための材料の一例は、合成樹脂、または、無機化合物であってよい。合成樹脂は、例えば、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリオレフィンなどである。ポリエステルは、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどである。ポリアクリレートは、例えば、ポリメチルメタクリレートなどである。無機化合物は、例えば、二酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素などである。
第1端子部50A、および、第2端子部50Bの各々は、例えば、導電性接着層と、配線基板とを備える。導電性接着層は、例えば、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)、等方性導電フィルム(ICF:Isotropic Conductive Film)、等方性導電ペースト(ICP:Isotropic Conductive Paste)などから形成される。配線基板は、例えば、フレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Printed Circuit)である。あるいは、第1端子部50A、および、第2端子部50Bの各々は、導電性テープなどの導電性材料であってよい。第1端子部50Aおよび第2端子部50Bが導電性テープである場合には、第1端子部50Aおよび第2端子部50Bに対して外部配線25がはんだ付けされてよい。
駆動領域20において、調光層11のうち駆動領域20に含まれる部分では、第1透明電極層12Aおよび第2透明電極層12Bの間において生じる電圧の変化を受けて、液晶分子の配向が変わる。液晶分子における配向の変化は、調光層11に入る可視光の散乱度合い、吸収度合い、および、透過度合いを変える。具体的には、駆動領域20の第1透明電極層12Aおよび第2透明電極層12Bに電圧信号が印加されていないとき、液晶分子の長軸方向の向きは不規則である。そのため、調光層11に入射した光の散乱度合いは大きくなり、駆動領域20は濁って見える。すなわち、調光層11に電圧信号が印加されていないとき、駆動領域20は不透明である。一方、第1透明電極層12Aおよび第2透明電極層12Bに電圧信号が印加され、第1透明電極層12Aと第2透明電極層12Bとの間に所定値以上の電位差が生じると、液晶分子が配向され、液晶分子の長軸方向が第1透明電極層12Aおよび第2透明電極層12B間の電界方向に沿う。結果として、調光層11を光が透過しやすくなり、すなわち調光層11での拡散が抑えられるから、駆動領域20は透明を呈する。
図3は、図1におけるIII‐III線に沿った断面構造を示している。当該断面構造は、非駆動領域21の断面構造を含む。
図3が示すように、駆動領域20は、第1透明電極層12Aの一部である駆動電極要素30を含む。また、非駆動領域21は、浮遊電極要素31が位置する浮遊領域22と、溝120が位置する境界領域23とを含む。溝120は、浮遊電極要素31の外縁を取り囲んでいる。境界領域23には、駆動電極要素30および浮遊電極要素31が含まれない。浮遊領域22は、溝120からなる境界領域23によって画定されている。また、駆動電極要素30と浮遊電極要素31とは、第1透明支持層13Aの支持面130に沿って並ぶ別々の層状体である。第1透明電極層12Aにおいて、溝120と浮遊電極要素31とが、非駆動要素を構成している。駆動電極要素30のうち、第1駆動領域20Aに含まれる部分が、第1駆動電極要素であり、第2駆動領域20Bに含まれる部分が、第2駆動電極要素である。
駆動電極要素30と浮遊電極要素31とは、溝120によって分離されている。本実施形態において、溝120は、第1透明電極層12Aにおいて調光層11に接する面に開口部122を有している。溝120は、第1透明電極層12Aを貫通し、かつ、第1透明支持層13Aの厚さ方向における途中まで延びている。駆動電極要素30と浮遊電極要素31とは、溝120で分離されることによって互いに絶縁されている。
溝120の幅L2は、スペーサー15の直径よりも小さくてもよい。これにより、溝120にスペーサー15が入り込むことが抑制される。また、溝120には、液晶組成物が充填されている。液晶組成物は溝120の一部に充填されていればよく、溝120全体に充填されていなくてもよい。溝120に液晶組成物が充填されることにより、調光シート10の非駆動時において、第1面11Fと対向する視点から、または第2面11Rと対向する視点から調光シート10が視認された場合に、溝120が目立ち難い。すなわち、溝120内に液晶組成物が位置するから、透明電極層12A,12B間に電圧が印加されていない場合に、調光シート10において、溝120と溝120以外の部分における拡散透過率の差を抑えることが可能である。これにより、溝120が視認されることが抑えられる。
図4および図5を参照して、非駆動領域21について説明する。図4は、図1における領域101を拡大した図である。
図4が示すように、狭窄部30Aを含む導通部26は、非駆動領域21の第1の部分と第2の部分とを接続するように位置してもよい。あるいは、導通部26は、第1端部21Aと第2端部21Bとの間に設けられてもよい。非駆動領域21外の第1駆動領域20Aと、非駆動領域21内の第2駆動領域20Bとの導通性を確保する観点では、導通部26が含む狭窄部30Aの幅L1は、1mm以上であってよい。
図4が示す例では、非駆動領域21の第1端部21Aと、非駆動領域21のうち、第1端部21Aからの距離が最も小さい対向部とが並ぶ方向において、第1端部21Aと対向部との間の幅L1が1mm以上であってよい。すなわち、非駆動領域21において、第1の部分と第2の部分とは、駆動領域20の一部によって互いから隔てられている。駆動領域20のうち、非駆動領域21の第1の部分と第2の部分とを隔てる部分が、狭窄部30Aを含む導通部26である。狭窄部30Aは、第1の部分が含む浮遊電極要素31の一部を囲む溝120の一部と、第2の部分が含む浮遊電極要素31の一部を囲む溝120の一部との間に位置している。
狭窄部30Aの幅L1が1mm以上であることによって、狭窄部30Aの抵抗値が上昇することが抑えられ、これによって、駆動電圧が印加された場合に、駆動領域20A,20Bにおける拡散透過率が等しくならないことが抑えられる。例えば、駆動電圧が印加されても、第2駆動領域20Bが不透明な状態から透明な状態に変化しないことが抑えられる。また、図1が示すような白抜きの図柄100を調光シート10に表示する場合、意匠性を高める観点では、狭窄部30Aの幅L1は30mm以下であってよい。狭窄部30Aの幅L1が30mm以下であることによって、所望の図柄が表示されやすい。
狭窄部30Aは、溝間領域の一例であり、第1透明電極層12Aのなかで狭窄部30Aを画定する溝120によって括れた部分である。狭窄部30Aと第2透明電極層12Bとの間での剥離強度が、0.01N以上であってよい。剥離強度は、JIS A 5759:2016「建築窓ガラス用フィルム」の6.9.3 a)180度引き剥がし試験に準じて測定された値である。狭窄部30Aと第2透明電極層12Bとの間における剥離強度が0.01N以上であるから、調光シート10のうち、狭窄部30Aを含む部分での剥離を抑えることが可能である。これにより、第1透明電極層12Aに溝120に挟まれた狭窄部30Aが形成されるように、第1透明電極層12Aのパターニングを行った場合でも、剥離に起因した導通の不良を抑えることができ、これによって、調光シート10の意匠性を高めることが可能である。
狭窄部30Aの幅が2mm以上である場合には、狭窄部30Aの幅方向での単位長さ当たりにおける狭窄部30Aと第2透明電極層12Bとの間での剥離強度が、0.1N/10mmであってよい。このように、単位長さ当たりにおける狭窄部30Aと第2透明電極層12Bとの間ので剥離強度が0.1N/10mm以上であるから、調光シート10が2mm以上の幅を有した狭窄部30Aを有する場合に、狭窄部30Aを含む部分での剥離が抑えられる。
なお、溝間領域と第2透明電極層との間の剥離強度は、例えば、調光層11が含む透明高分子層の機械的な強度を変えることによって変わる。調光シート10は、透明高分子層の機械的な強度が高いほど剥離強度が高い傾向を有する。透明高分子層の機械的な強度は、調光層11を形成する際の調光材において、液晶の質量に対する重合性組成物の質量の比を大きくすることによって、透明高分子層の機械的な強度を高めることが可能である。また、調光シート10は、透明高分子層と透明電極層を含む透明フィルムとの間の密着性が高いほど剥離強度が高い傾向を有する。
また、非駆動領域21は、図柄100に応じて屈曲部102を有する。屈曲部102は、湾曲したり折れ曲がったりした部分である。図4が示すように、非駆動領域21の屈曲部102が湾曲している場合、屈曲部102のうち、第1接線105と第2接線106とが形成する第1角度θ1の最小値は、10度以上であってよい。なお、第1接線105は、屈曲部102の外側において屈曲部102における第1の部分に接する接線であり、第2接線106は、屈曲部102の外側において屈曲部102における第2の部分に接する接線である。第1の部分と第2の部分とは、屈曲部102が含む屈曲点を挟むように、屈曲部に設定される。また、第1の部分と第2の部分とは、第1の部分と第2の部分との間に駆動領域20の一部を挟まないように設定される。
図5が示すように、非駆動領域21は、屈曲点を挟む2つの直線状の部分によって構成される屈曲部102を含んでもよい。2つの直線上の部分は、第1直線部と第2直線部である。当該屈曲部102において、第1直線部と第2直線部との間には、駆動領域20の一部が挟まれている。第1直線部と第2直線部とが形成する第2角度θ2の最小値は、10度以上であってよい。なお、第2角度θ2は、第1直線部が含む溝120の一部と、第2直線部が含む溝120の一部とが、屈曲部102の内側において形成する角度である。
第1角度θ1および第2角度θ2が10度未満であると、溝120を形成する工程または形成した後に、第1透明支持層13Aおよび第1透明電極層12Aがこれらと隣り合う層から剥離する可能性がある。これに対して、第1角度θ1および第2角度θ2が10度以上である場合には、第1透明支持層13Aおよび第1透明電極層12Aの剥離を抑制し、また、非駆動領域21によって描かれる図柄を明瞭にすることができる。
図5が示す屈曲部102に囲まれる領域において、溝120は、溝屈曲部120GBを備えている。溝屈曲部120GBは、溝120のうち、第1溝部GB1と第2溝部GB2とが屈曲点GB3で折り返された部分である。溝屈曲部120GBは、溝屈曲部120GBの幅、すなわち溝間領域の幅が1mm以上である部分を含んでよい。
溝間領域の幅は、以下のように定義される。図5が示す例によるように、第1溝部GB1と第2溝部GB2とが直線状を有する場合には、まず、第1溝部GB1に沿う第1仮想線と、第2溝部GB2の沿う第2仮想線とを定める。第1仮想線と第2仮想線とによって形成される三角形の頂角を二等分する二等分線と直交する方向における第1仮想線と第2仮想線との間の距離が、溝間領域の幅である。
これに対して、第1溝部GB1および第2溝部GB2の少なくとも一方が曲線状を有する場合には、曲線状を有した溝部の法線方向に延びる直線上における第1溝部GB1と第2溝部GB2との間の距離が、溝間領域の幅である。
溝屈曲部120GBにおいて、狭窄部30Aと同様に、溝間領域と第2透明電極層12Bとの間における剥離強度が、0.01N以上であってよい。溝間領域と第2透明電極層12Bとの間での剥離強度が0.01N以上であることによって、調光シート10のうち、溝屈曲部120GBによって挟まれた溝間領域を含む部分において生じる剥離を抑えることが可能である。
また、溝間領域は、溝間領域の幅が2mm以上である部分を含んでよい。当該部分では、溝間領域の幅方向での単位長さ当たりにおける溝間領域と第2透明電極層12Bとの間での剥離強度が、0.1N/10mmであってよい。調光シート10のうち、溝間領域を含む部分の少なくとも一部において溝間領域と第2透明電極層12Bとの間での剥離が抑えられる。これにより、調光シート10のうち、溝間領域を含む部分の少なくとも一部では、透明電極層12A,12B間への電圧の印加の有無により、光学特性が変わるから、調光シート10の意匠性を高めることが可能である。
一方で、第1透明電極層12Aは、溝120と溝間領域に加えて、導電領域を備えている。導電領域は、溝間領域よりも広い領域である。すなわち、導電領域は、溝間領域の幅よりも小さい幅を有した部分を含まない領域である。図5が示す例では、第1透明電極層12Aのうち、第1駆動領域20Aに含まれる部分が、導電領域である。導電領域と第2透明電極層12Bとの間における剥離強度は、0.38N/25mm以上であってよい。
導電領域と第2透明電極層12Bとの間での剥離強度が0.38N/25mmであるから、導電領域よりも幅の狭い溝間領域においても、第2透明電極層12Bとの間での剥離が抑えられる。これにより、調光シートのうち、剥離に起因した導通の不良が抑えられるから、調光シートの意匠性を高めることが可能である。
図6は、調光シート10における第1接続領域24Aと、非駆動領域21の一部とを含む領域を拡大して示している。
図6が示すように、第1接続領域24Aは、第1透明電極層12Aに電圧を印加する第1端子部50Aを含んでいる。第1接続領域24Aは、第1透明電極層12Aのなかで、調光層11から露出する部分に縁取られている。なお、第2接続領域24Bも、第1接続領域24Aと同様に、第2透明電極層に電圧を印加する第2端子部50Bを含んでいる(図2参照)。第2接続領域24Bは、第1接続領域24Aと同様に、第2透明電極層12Bのなかで調光層11から露出する部分に縁取られている。
第1接続領域24Aと第2接続領域24Bとが並ぶ第1方向に沿って延び、かつ、第1接続領域24Aを通る直線が第1直線SL1である。第1方向に沿って溝を通る直線が第2直線SL2である。第1直線SL1と第2直線SL2との間における最短距離Dは、5mm以上50mm以下であってよい。
第1接続領域を通る第1直線SL1と、溝120を通る第2直線SL2との間における最短距離Dが5mm以上である。そのため、最短距離Dが50mm以下である第1接続領域24Aの近傍に浮遊電極要素31を配置した場合であっても、駆動電極要素30のうち、第1接続領域24Aと浮遊電極要素31との間に位置する部分での抵抗値の上昇が抑えられる。これにより、駆動電極要素30のうち、第1接続領域24Aからの距離が浮遊電極要素31よりも大きい部分に対して印加される実効電圧が小さくなることが抑えられる。これにより、透明電極層12A,12B間への電圧の印加の有無によって、調光シート10の全体における光学特性の変更が可能であるから、調光シート10の意匠性を高めることが可能である。
第1透明電極層12Aにおいて、第1接続領域24Aと隣り合う領域が、単位領域である。単位領域は、第1方向に沿って延び、かつ、第1接続領域24Aを通る第1直線SL1によって第1接続領域24Aから区切られる。第1方向における単位領域の長さが100mmであり、かつ、第1方向に直交する第2方向における単位領域の長さが100mmである。単位領域において、駆動電極要素30の面積(A1)と浮遊電極要素31の面積(A2)との総和(A1+A2)に対する、浮遊電極要素31の面積の百分率{100×A2/(A1+A2)}が30%以上であってよい。これにより、第1接続領域24Aを通る第1直線SL1と、溝120を通る第2直線SL2との間における最短距離Dが5mm以上であることの実効性を高めることが可能である。
[調光シートの製造方法]
図7を参照して、調光シート10の製造方法の一例について説明する。
まず、第1フィルム51Aと第2フィルム51Bとを準備する。第1フィルム51Aは、第1透明電極層12Aおよび第1透明支持層13Aを備えている。第2フィルム51Bは、第2透明電極層12Bおよび第2透明支持層13Bを備えている。
このうち、第1フィルム51Aに対し、第1透明電極層12Aにおいて、第1透明支持層13Aに接する面から、カッティングプロッターを用いて溝120を形成する。カッティングプロッターに接続された制御装置は、予め制御装置に入力された図柄に沿ってカッティングプロッターを動作させ、これによって、第1透明電極層12Aを貫通し、かつ、第1透明支持層13Aにおける厚さ方向の途中まで延びる溝120を形成する。
なお、カッティングプロッター以外の装置を用いて溝120を形成してもよい。例えば、カッティングプロッター以外の刃物、あるいは、レーザー切断装置を用いて、第1透明電極層12Aに溝120を形成してもよい。レーザー切断装置は、例えばCOレーザーを備えたレーザーなどであってよい。レーザ切断装置を用いる場合には、第1透明電極層12Aおよび第1透明支持層13Aのうち、レーザ光を照射した箇所を直接的に破壊し、これによって、溝120を形成することができる。
次に、ジビニルベンゼンなどを主材料とするスペーサー15と、スペーサー15を分散させるための分散媒とを含む液状体を準備する。そして、第1フィルム51Aにおける第1透明電極層12Aと、第2フィルム51Bにおける第2透明電極層12Bとに液状体を塗布する。これによって、第1透明電極層12Aおよび第2透明電極層12Bにスペーサー15を散布する。さらに、スペーサー15を散布したフィルム51A,51Bを加熱し、これによって液状体中の分散媒を除去する。なお、第1フィルム51Aおよび第2フィルム51Bのいずれかのみにスペーサー15を散布してもよい。
そして、第1透明電極層12Aと第2透明電極層12Bとに、液晶組成物および透明高分子層を形成するための重合性組成物を含む調光材を塗布する。さらに、フィルム51A,51Bに対し、窒素雰囲気下で紫外線照射を行い、これによって、調光層11A,11Bを形成する。次いで、調光層11A,11Bが互いに接するように第1フィルム51Aに第2フィルム51Bを積層して得られる積層体に所定の大きさの圧力をかけながら、第1フィルム51Aに第2フィルムを51Bを貼合する。これにより、溝120に少なくとも液晶組成物の一部が充填される。溝120には、透明高分子層の一部と液晶組成物の一部との両方が充填されてもよい。
調光シート10の製造方法は、ロールツーロール方式でもよいし、枚葉方式でもよい。ロールツーロール方式では、上流側のロールから引き出したフィルムを搬送している間に、フィルムに対して各種の処理を行った後に、処理後のフィルムを下流側のロールに巻き取る。枚葉方式では、所定の大きさに切断したフィルムに対して各種の処理を行う。いずれの場合も、第1フィルム51Aに溝120を形成する工程は、調光層11を介して第1フィルム51Aに第2フィルム51Bを貼り付ける工程よりも前に行われる。
次に、所定の大きさを有した調光シート10に対して、第2面11Rの隅部に切り込みを入れることによって、第2透明支持層13Bの一部および第2透明電極層12Bの一部を剥離する。これによって、調光層11の一部が外部に露出する。さらに、調光層11のうち、外部に露出した部分を除去し、第1透明電極層12Aの一部を露出させ、これによって第1接続領域24Aを形成する。同様にして、第1面11Fの隅部にも、第2接続領域24Bを形成する。そして、第1端子部50Aを第1接続領域24Aに形成し、かつ、第2端子部50Bを第2接続領域24Bに形成する。次いで、外部配線25を各端子部50A,50Bに接続する。さらに、接続領域24をエポキシ樹脂などにより封止する。なお、第1透明支持層13Aに保護層44を貼り合わせる工程は、1対のフィルム51A,51Bを貼り合わせた後に行われてもよいし、フィルム51A,51Bの貼り合わせ前に行われてもよい。
このように、溝120は、第1透明電極層12Aおよび第1透明支持層13Aを切断することによって形成される。そのため、例えば、パターニングに要するレジストマスクの形成、エッチング、レジストマスクの除去、および、洗浄などの工程を含む製造方法に比べ、溝120を簡便に形成することができる。
[作用]
図1および図8を参照して、本実施形態の作用について説明する。図8は、調光シート10の非駆動時、すなわち、第1透明電極層12Aおよび第2透明電極層12Bに電圧信号が印加されていないときの調光シート10の透明度合いを模式的に示す。
図8が示すように、調光シート10の非駆動時において、駆動領域20と非駆動領域21とは、いずれも不透明である。それゆえに、調光シートの10の全面が、例えば白っぽく濁って見えるから、非駆動領域21が構成する文字や絵柄などの像は視認されない。
また、溝120は、第1透明電極層12Aを貫通し、かつ、第1透明支持層13Aを貫通しない深さを有するため、調光シート10が第1面11Fおよび第2面11Rのいずれから視認されても、溝120が目立たない。加えて、溝120に調光材のうち、少なくとも液晶組成物が充填されることにより、調光シート10の非駆動時において、溝120をさらに視認されにくくすることができる。これにより、図柄を表示していない状態での調光シート10の美観が高められる。
図1が示すように、調光シート10の駆動時には、駆動領域20が透明を呈する一方、非駆動領域21は、不透明である。それゆえ、非駆動領域21のみが、例えば白っぽく濁って見えるから、非駆動領域21が構成する文字や絵柄などの図柄の像が視認可能である。このとき、非駆動領域21によって囲まれる第2駆動領域20Bと、非駆動領域21外の第1駆動領域20Aとに電圧信号が印加され、これによって、駆動領域20A,20Bが透明を呈する。
このように、本実施形態の調光シート10によれば、調光シート10の面内に、拡散透過率の互いに異なる領域が形成され、かつ、これらの領域における拡散透過率の差は、調光シート10の駆動時にのみ現れる。したがって、調光シート10の駆動時には、非駆動領域21が構成する文字や絵柄などの像が視認される。それゆえ、調光シート10の意匠性の向上が可能である。
また、調光シート10が表示する像によって、調光シート10が配設されている空間の装飾が可能である。さらに、調光シート10の駆動と非駆動との切り換えによって、上記像の出現の有無を切り換えることができるため、空間の装飾状態を動的に変化させることができる。
以上説明したように、第1実施形態によれば以下に列挙する効果を得ることができる。
(1‐1)溝間領域と第2透明電極層12Bとの間における剥離強度が0.01N以上であるから、調光シート10のうち、溝間領域を含む部分での剥離を抑えることが可能である。
(1‐2)単位長さ当たりにおける狭窄部30Aと第2透明電極層12Bとの間での剥離強度が0.1N/10mm以上であるから、調光シート10が2mm以上の幅を有した狭窄部30Aを有する場合に、狭窄部30Aを含む部分での剥離が抑えられる。
(1‐3)調光シート10のうち、溝屈曲部120GBによって挟まれた溝間領域を含む部分において生じる剥離を抑えることが可能である。
(1‐4)溝屈曲部120GBによって画定される溝間領域を含む部分の少なくとも一部において溝間領域と第2透明電極層12Bとの間での剥離が抑えられる。
(1‐5)導電領域と第2透明電極層12Bとの間での剥離強度が0.38N/25mmであるから、導電領域よりも幅の狭い溝間領域においても、第2透明電極層12Bとの間での剥離が抑えられる。
(1‐6)第1接続領域24Aの近傍に浮遊電極要素31を配置した場合であっても、駆動電極要素30のうち、第1接続領域24Aと浮遊電極要素31との間に位置する部分での抵抗値の上昇が抑えられる。これにより、駆動電極要素30のうち、第1接続領域24Aからの距離が浮遊電極要素31よりも大きい部分に対して印加される実効電圧が小さくなることが抑えられる。
(1‐7)駆動電極要素30に設けられた狭窄部30Aの幅は1mm以上であるため、溝120の形成工程または溝120の形成後において、第1透明電極層12Aまたは第1透明支持層13Aの剥離などが生じにくい。
(1‐8)狭窄部30Aの幅が1mm以上であるから、狭窄部30Aにおける抵抗の増大に起因する導通不良を抑制し、これによって、第1駆動領域20Aおよび第2駆動領域20Bの拡散透過率を適切に制御することができる。したがって、調光シート10に図柄を明瞭に表示させることができるため、調光シート10の意匠性を高めることができる。
(1‐9)第1駆動領域20Aと、非駆動領域21によって囲まれた第2駆動領域20Bが狭窄部30Aを含む導通部26によって導通されるため、駆動電極要素30に対する電圧信号の印加状態によって、駆動領域20A,20Bの拡散透過率の変化を同期させることができる。
(1‐10)非駆動領域21の屈曲部102の角度または屈曲部102の接線105,106同士がなす角度が10度以上である。そのため、溝120の形成工程において、第1透明電極層12Aまたは第1透明支持層13Aの剥離などが生じにくく、これによって、駆動電極要素30および浮遊電極要素31を所望の形状に形成することが容易になる。このため、調光シート10に図柄を明瞭に表示させることができる。
(1‐11)駆動領域20および非駆動領域21を区画する溝120は、第1透明電極層12Aを貫通し第1透明電極層12Aを貫通しない深さを有する。そのため、第1透明支持層13Aの中で支持面130とは反対側の面では溝120による光の散乱が抑えられる。結果として、少なくとも支持面130とは反対側の面と対向する位置から調光シート10を第1透明電極層12A側から見たときに溝120を目立たなくすることができる。このため、調光シート10の美観を向上することができる。
[第2実施形態]
図9を参照して、調光シートの第2実施形態を説明する。なお、第2実施形態では、調光シート10の積層構造が第1実施形態の調光シート10と相違する。以下、第1実施形態と同様の部分については同一符号を付すことによって、その詳細な説明を省略する。
図9は、調光シート10の断面構造を示している。
図9が示すように、第1透明電極層12Aが含む駆動電極要素30と浮遊電極要素31とは、溝120によって分離されている。溝120は、第1透明電極層12Aの厚さ方向に沿って延びている。本実施形態において、溝120は、第1透明電極層12Aおよび第1透明支持層13Aを貫通している。溝120は、第1透明電極層12Aにおいて調光層11に接する面に位置する開口部122と、第1透明支持層13Aのうち、第1透明電極層12Aに接する面とは反対側の面に位置する開口部124とを有している。駆動電極要素30と浮遊電極要素31とは、溝120で分離されることによって互いに絶縁されている。
調光シート10は、粘着層45と保護層44とをさらに備えている。溝120内には、粘着層45の一部が充填されている。粘着層45は、保護層44と第1透明支持層13Aとを接合可能であって、透光性を有する材料から形成されていればよい。例えば、粘着層45は、透明性接着フィルム(Optical Clear Adhesive Film)であり、第1透明支持層13Aと保護層44とを接合する。
本実施形態の調光シート10においても、第1実施形態における調光シート10と同様に、狭窄部30Aと第2透明電極層12Bとの間での剥離強度が、0.01N以上であってよい。また、狭窄部30Aの幅が2mm以上である場合には、狭窄部30Aの幅方向での単位長さ当たりにおける狭窄部30Aと第2透明電極層12Bとの間での剥離強度が、0.1N/10mmであってよい。また、溝屈曲部120GBの溝間領域と第2透明電極層12Bとの間における剥離強度が、0.01N以上であってよい。また、溝間領域は、溝間領域の幅が2mm以上である部分を含んでよい。当該部分では、溝間領域の幅方向での単位長さ当たりにおける溝間領域と第2透明電極層12Bとの間での剥離強度が、0.1N/10mmであってよい。
[調光シートの製造方法]
調光シート10の製造方法の一例について説明する。
第1実施形態と同様に、第1透明電極層12Aおよび第1透明支持層13Aを備えた第1フィルム51Aと、第2透明電極層12Bおよび第2透明支持層13Bを備えた第2フィルム51Bとを準備する。さらに、各フィルム51A,51Bにスペーサー15を散布し、次いで、重合性組成物および液晶組成物を含む調光材を塗布する。調光材から調光層11A,11Bを形成した後、1対のフィルム51A,51Bを積層した状態で、一対のフィルム51A,51Bに所定の大きさの圧力をかけながら、第1フィルム51Aに第2フィルム51Bを貼合する。
こうして形成された積層体のうち、第1透明支持層13Aの支持面130とは反対側の表面131(図9参照)から調光層11に達するまで切り込みを入れる。これによって、第1透明支持層13Aと第1透明電極層12Aとを貫通する溝120を形成する。なお、第1実施形態と同様の方法によって、溝120を形成することが可能である。その後、第1透明支持層13Aの表面131に、粘着層45および保護層44を重ねる。
このように、第1透明電極層12A、第2透明電極層12B、調光層11、および、第1透明支持層13Aを備える調光シート10を形成した後に、調光シート10に対して溝120が形成される場合には、調光シート10が以下を満たしてもよい。すなわち、調光シート10が、2mm以上の幅を有した溝間領域が形成されるための調光シートであって、調光シート10における剥離強度が、0.38N/25mm以上であってよい。溝間領域は、上述したように、狭窄部30Aでもよいし、溝屈曲部120GBに囲まれる領域でもよい。
この場合には、調光シート10が備える第1透明電極層12Aが、溝間領域を有するようにパターニングされても、調光シート10のうち、溝間領域を含む部分において剥離が生じることが抑えられる。これにより、剥離に起因した導通の不良を抑えることが可能であるから、調光シート10の意匠性を高めることが可能である。
なお、溝120は、フィルム51A,51Bで調光層11を挟んだ積層体を形成した後に形成しなくてもよい。例えば、溝120は、積層体を形成する工程のうち、以下のいずれかの工程間において形成されてもよい。すなわち、第1フィルム51Aにスペーサー15を散布する工程の前、スペーサー15を散布する工程と調光材を塗布する工程との間、調光層11Aを形成する工程とフィルム51A,51Bを積層する工程との間などにおいて溝120が形成されてよい。
第2実施形態によれば、上述した(1‐1)から(1‐10)の効果に加えて、以下の効果が得られる。
(2‐1)調光シート10が備える第1透明電極層12Aが、溝間領域を有するようにパターニングされても、調光シート10のうち、溝間領域を含む部分において剥離が生じることが抑えられる。
(2‐2)溝120は第1透明支持層13Aおよび第2透明支持層を貫通する深さを有するため、第1透明支持層13A、第1透明電極層12A、調光層11、第2透明電極層12Bおよび第2透明支持層13Bを積層した後に、溝120を形成することが可能である。また、各層を形成する工程間において溝120を形成することも可能である。このため、調光シート10の製造工程における自由度を高めることができる。
[変更例]
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。また、以下の各変形例は、組み合わせて実施してもよい。
[非駆動領域の数]
・各実施形態では、1つの線状を有した非駆動領域21で囲まれた第2駆動領域20Bと、非駆動領域21の外側に位置する第1駆動領域20Aとを、狭窄部30Aを含む導通部26で接続しているが、調光シート10が非駆動領域21の数は、1つに限定されない。
図10は、複数の非駆動領域21が設けられた調光シート10の一例を示す。
図10が示すように、非駆動領域21は、浮遊領域22と境界領域23とを備えている。境界領域23は枠状を有している。境界領域23は、閉じた領域である浮遊領域22を画定している。図10が示す例では、調光シート10が備える境界領域23は、星型を有する浮遊領域22を囲んでいる。言い換えれば、中空の星型を有する境界領域23によって、浮遊領域22が画定されている。
調光シート10は、互いに独立した異なる非駆動領域21を2つ備えている。2つの非駆動領域21の間には、互いに異なる2つの溝120に挟まれた狭窄部30Aが位置している。狭窄部30Aは、第1透明電極層12Aにおいて、互いに異なる2つの溝120同士が近接することで、幅が狭められた部分である。調光シート10において、狭窄部30Aを含む部分が導通部27であり、導通部27は、導通部27の周辺に位置する駆動領域20を導通させる。
狭窄部30Aの幅L3は、1mm以上であってよい。つまり、互いに異なる2つの非駆動領域21の間における距離は、1mm以上であってよい。狭窄部30Aの幅L3が1mm以上であることによって、狭窄部30Aにおける導通性の低下が抑えられ、これによって、狭窄部30Aを介して接続する駆動領域20における拡散透過率が等しくなりやすい。なお、図10に示す調光シート10は2つの非駆動領域21を有しているが、調光シート10は、3つ以上の非駆動領域21を有していてもよい。
・各実施形態において、溝120は、浮遊電極要素31を囲む閉じた枠状を有する。これに代えて、溝120は、第1透明支持層13Aの支持面130に沿って延び、かつ、以下を満たす場合に、浮遊電極要素31を囲む閉じた枠状を有していなくてもよい。例えば、溝120は、矩形状を有した調光シート10が備える四辺のうち、一つの辺における第1の端部に位置する始点から、浮遊領域22の外周を通り、第2の端部に位置する終点まで延びていてもよい。第2の端部は、調光シート10が備える四辺のうち、第1の端部と同じ辺に位置していてもよく、異なる辺に位置していてもよい。また、調光シート10が矩形状ではない場合でも、溝120の始点および終点が調光シート10の端部に位置し、かつ、溝120が延びる途中において、浮遊領域22の外周を通っていればよい。
[調光シートの型式]
・調光シート10の型式は、リバース型でもよい。リバース型の調光シート10では、透明電極層12A,12B間に電圧信号が印加されていないときに、入射光を透過させ、これによって拡散透過率を低め、かつ、電圧信号が印加されたときに、入射光を散乱させ、これによって拡散透過率を高める。
図11は、リバース型の調光シート10における一例を示す。
図11が示すように、リバース型の調光シート10は、透明高分子層と液晶組成物とを備える機能層111、第1配向層112、および、第2配向層113を備える。機能層111、第1配向層112および第2配向層113は、調光層11を構成する。第1配向層112は、機能層111と第1透明電極層12Aとの間に位置し、かつ、これらの層と接する。第2配向層113は、機能層111と第2透明電極層12Bとの間に位置し、かつ、これらの層と接する。
第1配向層112、および、第2配向層113の各々は、例えば、垂直配向膜である。垂直配向膜は、調光層11の厚さ方向に沿って、液晶分子の長軸方向を配向させる。このように、第1配向層112および第2配向層113は、調光層11が含む複数の液晶分子における配向を規制する。
第1配向層112、および、第2配向層113の各々を形成するための材料は、有機化合物、無機化合物、および、これらの混合物である。有機化合物は、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール、シアン化化合物などである。無機化合物は、例えば、シリコン酸化物、酸化ジルコニウムなどである。なお、第1配向層112および第2配向層113を形成するための材料は、シリコーンであってもよい。シリコーンは、無機性の部分と有機性の部分とを有する化合物である。
溝120は、第1配向層112のうち、調光層11に接する面に開口部122を有し、かつ、第1配向層112および第1透明電極層12Aを貫通する一方で、第1透明支持層13Aは貫通しない。つまり、溝120の深さは、第1配向層112の厚さ、第1透明電極層12Aの厚さおよび第1透明支持層13Aの厚さの和よりも小さい。溝120には、調光層11の一部が充填される。また、溝120は、第2実施形態の調光シート10が備える溝120と同様に、第1透明支持層13Aを貫通していてもよい。
調光シート10が第1配向層112および第2配向層113を備える場合、駆動領域20において、第1透明電極層12Aおよび第2透明電極層12Bに電圧信号が印加されていないとき、液晶分子の長軸方向の向きは調光層11の厚さ方向に沿う。したがって、駆動領域20は透明である。一方、駆動領域20において、第1透明電極層12Aおよび第2透明電極層12Bに電圧信号が印加されているとき、液晶分子の長軸方向の向きは調光層11の厚さ方向と交差する。したがって、駆動領域20は、濁って見える、言い換えれば不透明を呈する。調光シート10が第1配向層112および第2配向層113を備える場合、浮遊領域22および境界領域23では、液晶分子における長軸方向の向きが常に調光層11の厚さ方向に沿うため、非駆動領域21は、常に透明である。
それゆえ、調光シート10の非駆動時において、駆動領域20は、いずれも透明であり、非駆動領域21が構成する文字や絵柄などの像は視認されない。一方、調光シート10の駆動時には、駆動領域20が不透明になる一方、非駆動領域21は透明であるため、非駆動領域21が構成する文字や絵柄などの像が視認可能となる。
このように、調光シート10が第1配向層112および第2配向層113を備える場合であっても、調光シート10の面内に、拡散透過率の互いに異なる領域が形成され、かつ、これらの領域の拡散透過率の差は、調光シート10の駆動時にのみ現れる。したがって、調光シート10の意匠性の向上が可能である。
また、図11が示す例では、溝120は第1配向層112を貫通するが、第1透明電極層12Aおよび第1透明支持層13Aからなる積層体に溝120を形成した後、第1配向層112を形成してもよい。この場合には、溝120の底面および側面に沿うように第1配向層112が形成される。この場合であっても、調光シートの第1面11Fまたは第2面11Rと対向する視点から調光シート10が視認された際に、溝120を目立ち難くすることができる。
[溝の位置]
・図10が示すように、調光シート10が複数の溝120を備える場合には、それらの溝120は、調光シート10を構成する各層の積層方向、すなわち調光シート10の厚さ方向において、同じ深さに位置してよい。これに代えて、複数の溝120は、積層方向における互いに異なる深さに位置してもよい。図12から図14にその例を列挙するが、それらの例の各々において、溝120の形成方法は、上述した各実施形態の方法を用いることができる。また、以下ではノーマル型の調光シート10について説明しているが、以下に示す例は、リバース型の調光シート10に適用されてもよい。さらに、図12から図14が示す例では、溝120に調光材が充填されていないが、溝120の少なくとも一部には調光材が充填されていてもよい。
図12が示すように、第1溝120Aは、第1透明支持層13Aおよび第1透明電極層12Aを貫通している。これに対して、第2溝120Bは、第2透明電極層12Bのみを貫通している。第2溝120Bは、第2透明支持層13Bを介して第2透明電極層12Bに形成されてもよい。この場合には、例えばレーザー切断装置を用いて第2溝120Bを形成してよい。
図13が示すように、複数の溝120は、第1透明支持層13Aから、少なくとも第1透明支持層13Aおよび第1透明電極層12Aに切り込みを入れることにより形成されている。第1溝120Aは、第1透明支持層13Aおよび第1透明電極層12Aを貫通している。第2溝120Bは、第1透明支持層13Aおよび第1透明電極層12Aに加え、調光層11および第2透明電極層12Bを貫通している。
図14が示すように、第1溝120Aは、第1透明支持層13Aおよび第1透明電極層12Aを貫通している。第2溝120Bは、第2透明支持層13Bおよび第2透明電極層12Bを貫通している。
・図12から図14が示す例の各々では、調光シート10の第1面11Fと対向する平面視において、第1溝120Aに対して第2溝120Bが重なっていない。各溝120A,120Bが位置する領域は、境界領域23である。また、第1溝120Aおよび第2溝120Bが、調光シート10の積層方向における同一の位置において、互いに接近するように形成された場合には、溝120A,120Bに挟まれた領域やその付近の強度が低下しやすい。この点、上述したように、溝120A,120Bの各々を積層方向における異なる位置に形成することにより、溝120A,120Bが互いに接近するように形成されても、調光シート10の強度の低下を抑えることができる。
[浮遊電極要素]
・各実施形態では、第1電極要素である駆動電極要素30に電圧信号が印加され、第2電極要素である浮遊電極要素31には電圧信号が印加されない。これに代えて、第1電極要素と第2電極要素とに別々に電圧信号が印加されてもよい。この場合、第2電極要素の端部には、第2電極要素に電圧信号を印加するための配線が接続される。第1電極要素に接続される端子部と、第2電極要素に接続される端子部とは、電圧信号ごとの別々の端子部である。
上述したように、第2電極要素が調光シート10の端部に位置する場合には、第2電極要素への配線の接続が容易である。例えば、第1電極要素の位置する第1領域は、第1電極要素への電圧信号の印加状態の切り換えによって、透明と不透明との間で切り替えられる。そして、第2電極要素の位置する第2領域は、第2電極要素への電圧信号の印加状態の切り換えによって、第1領域とは独立して、透明と不透明との間で切り替えられる。
この場合には、調光シート10が有する状態を、以下の4つの状態の間において切り替えることが可能である。すなわち、第1領域と第2領域とが共に不透明な第1状態、第1領域が不透明で第2領域が透明な第2状態、第1領域が透明で第2領域が不透明な第3状態、および第1領域と第2領域とが共に不透明な第4状態の間において、調光シート10の状態を切り替えることが可能である。したがって、調光シート10による空間の装飾状態をより多様に変化させることができるため、調光シート10の意匠性の更なる向上が可能である。
・第1領域と第2領域との少なくとも一方における拡散透過率が、透明と不透明との間に対応する拡散透過率に制御されてもよい。液晶組成物を含む調光層11を備える調光シート10においては、第1透明電極層12Aおよび第2透明電極層12B間の電位差が所定の範囲内である場合に、電位差の変化に伴って調光シート10の拡散透過率が徐々に変化する。そのため、第1領域あるいは第2領域において、第1透明電極層12Aおよび第2透明電極層12B間の電位差を、各領域が透明となる電位差と各領域が不透明となる電位差との間の値に制御することによって、各領域を透明と不透明との間の拡散透過率を有する状態である半透明に制御することができる。
具体的には、例えば、第1領域は、第1電極要素への電圧信号の印加状態の切り換えによって、透明と不透明との間で切り替えられる一方で、第2領域は、第2電極要素への電圧信号の印加状態の切り換えによって、半透明と不透明との間で切り替えられる。また例えば、第1領域が透明であるときには、第2領域は半透明に制御される。これにより、第1領域と第2領域とが共に不透明な状態と、第1領域が不透明であり、かつ、第2領域が半透明である状態との間での切り替えが可能である。これによっても、調光シート10の意匠性の向上が可能である。
[狭窄部の数]
・第1実施形態では、非駆動領域21によって画定された駆動領域20A,20Bは、1つの狭窄部30Aを介して互いに電気的に導通する。これに代えて、非駆動領域21によって画定された駆動領域20A,20Bは、複数の狭窄部30Aを介して互いに電気的に導通してもよい。言い換えれば、調光シート10は、非駆動領域21に挟まれた導通部26を複数備えてもよい。各狭窄部30Aは、第1実施形態における狭窄部30Aと同様の構成を有する。例えば、図15が示すように、駆動領域20A,20Bは、2つの狭窄部30Aを介して互いに電気的に導通してもよい。各狭窄部30Aの幅は、例えば1mm以上であってよい。この場合には、調光シート10は、2つの非駆動領域21を備え、かつ、各非駆動領域21が第1端部21Aと第2端部21Bとを備えている。図15が示す例では、一方の狭窄部30Aが、第1の非駆動領域21の第2端部21Bと、第2の非駆動領域21の第1端部21Aとの間に位置している。
[狭窄部の幅]
・狭窄部30Aの幅L1は、1mm未満であってもよい。この場合であっても、狭窄部30Aの幅L1が1mm以上である場合に比べて、透明電極層12A,12B間に印加される電圧を高くすることによって、狭窄部30Aを含む導通部26によって接続された第1駆動領域20Aと第2駆動領域20Bとの間における拡散透過率の差を抑えることが可能である。あるいは、狭窄部30Aの幅が1mm以上である場合に比べて、狭窄部30Aを含む導通部26の接続先である第2駆動領域20Bの面積を小さくすることによって、第1駆動領域20Aと第2駆動領域20Bとの間における拡散透過率の差を抑えることが可能である。
[非駆動領域]
・調光シート10は、第1電極要素および溝120Cを備える一方で、第2電極要素を備えていなくてもよい。溝120Cは、調光シート10の第1面11Fと対向する視点から調光シート10が視認された場合に、溝120Cの形状を観察者が認識できる程度に広い幅を有している。図15が示す例では、調光シート10は、第1電極要素および溝120Cを備える一方で、溝120Cによって第1電極要素から絶縁された第2電極要素を備えていない。調光シート10のうち、第1電極要素を含む部分は、電圧信号の印加状態に応じて拡散透過率を変える。溝120Cは、調光シート10を貫通しない凹部であってよい。
図16が示す例では、溝120Cは、C字状を有している。調光シート10において、溝120Cが形成された領域は、電極要素を含まない。溝120Cには、透明高分子層および液晶組成物の少なくとも一方が充填されている。または、溝120Cには、透明高分子層および液晶組成物以外の物質が充填されていてもよく、あるいは、溝120Cは、物質が充填されない領域である空隙であってもよい。
なお、溝120Cに液晶組成物および透明高分子層の少なくとも一方が充填される場合には、溝120Cは散乱性を有する。この場合には、調光シート10の非駆動時において、溝120Cが形成されていない駆動領域20と溝120Cとは、いずれも不透明である。一方、調光シート10の駆動時には、駆動領域20が透明を呈する一方、溝120Cは、不透明を呈した状態を維持する。それゆえに、溝120Cのみが、例えば白っぽく、言い換えれば濁って見え、これにより、溝120Cが形成する文字や絵柄などの図柄の像が視認可能である。図16が示す例では、「C」の文字が視認可能となる。
これに対して、例えば、透明高分子および液晶組成物以外の物質であって、液晶組成物および透明高分子層よりも散乱性が低い物質が溝120Cに充填される場合には、また、溝120Cが空隙である場合にも、溝120は透明を呈する。この場合には、調光シート10の駆動時において、溝120Cが形成されていない駆動領域20と溝120Cとは、いずれも透明である。一方、調光シート10の非駆動時には、駆動領域20が不透明を呈する一方、溝120Cは、透明を呈した状態を維持する。それゆえに、溝120Cが形成する文字や絵柄などの図型の像が視認可能である。
また、調光シート10が複数の溝120Cを有する場合、複数の溝120Cによって画定される狭窄部30Aの幅L30は、1mm以上であってよい。また、一つの溝120Cが形成する狭窄部30Aの幅L10は、1mm以上であってよい。第1透明電極層12Aのうち、溝120Cによって囲まれた領域が第2駆動電極要素であり、溝120C外に位置し、第2駆動電極要素に接続された領域が、第1駆動電極要素である。
[試験例]
図17から図21を参照して、試験例を説明する。
[抵抗値]
[試験例1‐1]
図17が示すように、透明電極層140と透明支持層141とを有する基材に、矩形状の抵抗値測定領域143を形成した。抵抗値測定領域143は、50mm×25mmの大きさとした。また、幅L4が50mm、長さL5が100mmの狭窄部144(導通部)を介して二つの抵抗値測定領域143を接続し、これによって測定サンプルを作製した。この際に、各抵抗値測定領域143の長辺を狭窄部144によって接続するように、測定サンプルを作製した。さらに、2つの抵抗値測定領域143にテスターをつなげ抵抗値を測定した。
[試験例1‐2]
試験例1‐1において狭窄部144の幅L4を20mmとした以外は、試験例1‐1と同様の方法で試験例1‐2の測定サンプルを作製した。
[試験例1‐3]
試験例1‐1において狭窄部144の幅L4を10mmとした以外は、試験例1‐1と同様の方法で試験例1‐3の測定サンプルを作製した。
[試験例1‐4]
試験例1‐1において狭窄部144の幅L4を5mmとした以外は、試験例1‐1と同様の方法で試験例1‐4の測定サンプルを作製した。
[試験例1‐5]
試験例1‐1において狭窄部144の幅L4を2mmとした以外は、試験例1‐1と同様の方法で試験例1‐5の測定サンプルを作製した。
[試験例1‐6]
試験例1‐1において狭窄部144の幅L4を1mmとした以外は、試験例1‐1と同様の方法で試験例1‐6の測定サンプルを作製した。
[試験例1‐7]
試験例1‐1において狭窄部144の幅L4を0.5mmとした以外は、試験例1‐1と同様の方法で試験例1‐7の測定サンプルを作製した。
[測定方法および評価結果]
各測定サンプルにおける抵抗値の測定には、デジタルマルチメータ(横河計測株式会社製,TY530)を用いた。
図18が示すように、試験例1‐1から1‐6の測定サンプルにおける抵抗値(Ω)は、順に494Ω、719Ω、1,225Ω、2,259Ω、5,220Ω、10,900Ωであり、狭窄部144の幅L4が小さくなるにつれて上昇することが認められた。試験例1‐7の測定サンプルでは、抵抗値が26,800Ωであり、試験1‐1から1‐6に比べて飛躍的に大きくなることが認められた。
[実効電圧]
次に、1対の基材の間に調光層を挟んだ調光シートにおいて実効電圧を測定した。
[試験例1‐8]
図2が示す調光シート10と同様の積層構造を有する調光シートを準備した。また、50mm×25mmの矩形状の特性測定領域を互いに離れた二箇所に確保し、これらの特性測定領域を狭窄部を含む導通部で接続した。導通部および狭窄部の幅を50mmに設定し、狭窄部の長さを100mmに設定した。
さらに、図2が示す調光シート10に接続領域を形成する方法と同様の方法で、各特性測定領域に2つの接続領域を形成した。すなわち、各特性測定領域について、一方の面である第2面の隅部に切り込みを入れ、透明支持層および透明電極層を剥離した後、液晶を除去して接続領域を形成した。同様に、他方の面である第1面の隅部に切り込みを入れ、透明支持層および透明電極層を剥離した後、液晶を除去して接続領域を形成した。そして、これらの接続領域に外部配線を接続した。これにより、一方の特性測定領域に印加される電圧の制御を可能とし、かつ、他方の特性測定領域に対する実効電圧の測定器の接続を可能とした。
[試験例1‐9]
狭窄部の幅を20mmとした以外は、試験例1‐8と同様に測定サンプルを作製した。
[試験例1‐10]
狭窄部の幅を10mmとした以外は、試験例1‐8と同様に測定サンプルを作製した。
[試験例1‐11]
狭窄部の幅を5mmとした以外は、試験例1‐8と同様に測定サンプルを作製した。
[試験例1‐12]
狭窄部の幅を2mmとした以外は、試験例1‐8と同様に測定サンプルを作製した。
[試験例1‐13]
狭窄部の幅を1mmとした以外は、試験例1‐8と同様に測定サンプルを作製した。
[試験例1‐14]
狭窄部の幅を0.5mmとした以外は、試験例1‐8と同様に測定サンプルを作製した。
[測定方法および評価結果]
一方の特性測定領域に、電源装置(凸版印刷株式会社製、LP1-RS232)を接続した。そして、電源装置を用いて、40Hzの周波数を有し、かつ、矩形波状を有した80Vの電圧を印加した。そして、他方の特性測定領域に上述したデジタルマルチメータを接続し、デジタルマルメーターを用いて、実効電圧を測定した。
図19に示すように、導通部の幅が1.0mm以上である試験例1‐8から試験例1‐13では、実効電圧が79.7V以上81.4V以下であることが認められた。試験例1‐8から試験例1‐13では、導通部が含む狭窄部の幅が狭くなるにつれて実効電圧が小さくなったものの、実効電圧に大きな変化が無いことが認められた。これに対して、導通部が含む狭窄部の幅が0.5mmである試験例1‐14では、実効電圧が7.9Vであることが認められた。すなわち、狭窄部の幅が1mm未満である場合に、実効電圧が大幅に低下することが認められた。また、試験例1‐14では、電圧の印加の開始と停止とを繰り返すことによって、導通不良が生じることが認められた。
[剥離強度]
[試験例2‐1]
酸化インジウムスズ製の透明電極層と、透明電極層を支持する透明支持層であって、ポリエチレンテレフタレートから形成される透明支持層とを含む第1透明フィルムおよび第2透明フィルムを準備した。次いで、アクリル系モノマーと液晶とを含む塗液を準備した。透明電極層に対して透明支持層が外側に位置するように、第1透明フィルムと第2透明フィルムとを対向させ、かつ、第1透明フィルムと第2透明フィルムとの間に塗液を挟んだ。そして、第1透明フィルムおよび第2透明フィルムを通じて塗液に紫外線を照射することによって、液晶と透明樹脂層とを相分離することによって、調光層を形成した。これにより、試験例2‐1の調光シートを得た。
[試験例2‐2]
試験例2‐1において、塗液における液晶の質量に対するモノマーの質量の比を小さくした以外は、試験例2‐1と同様の方法によって、試験例2‐2の調光シートを得た。
[試験例2‐3]
試験例2‐2において、塗液における液晶の質量に対するモノマーの質量の比を小さくした以外は、試験例2‐2と同様の方法によって、試験例2‐3の調光シートを得た。
[試験例2‐4]
試験例2‐1において、塗液が含むアクリル系モノマーを各透明フィルムに対する密着性がより低いアクリル系モノマーに変更した以外は、試験例2‐1と同様の方法によって、試験例2‐4の調光シートを得た。
[試験例2‐5]
試験例2‐3において、塗液における液晶の質量に対するモノマーの質量の比を小さくした以外は、試験例2‐3と同様の方法によって、試験例2‐5の調光シートを得た。
[試験例2‐6]
試験例2‐1において、塗液に紫外線を照射する時間を短くした以外は、試験例2‐1と同様の方法によって、試験例2‐6の調光シートを得た。
[試験例2‐7]
試験例2‐5において、塗液が含むアクリル系モノマーを各透明フィルムに対する密着性がより低いアクリル系モノマーに変更した以外は、試験例2‐5と同様の方法によって、試験例2‐7の調光シートを得た。
[試験例2‐8]
試験例2‐6において、塗液に紫外線を照射する時間を短くした以外は、試験例2‐6と同様の方法によって、試験例2‐8の調光シートを得た。
[測定方法および評価結果]
各試験例の調光シートから、2mmの幅を有する第1試験片、5mmの幅を有する試験片、10mmの幅を有する試験片、15mmの幅を有する試験片、20mmの幅を有する試験片、および、25mmの幅を有する試験片を切り出した。そして、JIS A 5759:2016「建築窓ガラス用フィルム」の6.9.3 a)180度引き剥がし試験に準じた方法によって、各試験例の剥離強度を測定した。剥離強度の評価結果は、図20に示す通りであった。なお、剥離強度の測定には、小型卓上試験機(株式会社島津製作所製、EZ‐LX)を用いた。
各試験例と同一の方法で調光シートを作製した後に、第1透明フィルムにおいて、調光層に対向する面とは反対側の面から、カッティングプロッターを用いて、透明電極層を貫通する溝を形成した。これにより、以下の幅を有する狭窄部を1つずつ形成した。すなわち、第1透明フィルムが備える透明電極層に対して、2mmの幅を有する狭窄部、5mmの幅を有する狭窄部、10mmの幅を有する狭窄部、15mmの幅を有する狭窄部、20mmの幅を有する狭窄部、および、25mmの幅を有する狭窄部を形成した。これにより、調光シートに対して、接続領域と隣り合う1つの第1駆動領域と、狭窄部を含む導通部と、導通部ごとに1つの第2駆動領域とを形成した。なお、第2駆動領域は、その第2駆動領域が接続される導通部を通じて第1駆動領域に接続される一方で、調光シートにおけるそれ以外の領域には、電気的に接続されていない。
図20が示すように、各試験例において、試験片の幅が大きいほど試験片における剥離強度が大きいことが認められた。試験例2‐1では、剥離強度が0.022N以上0.616N以下の範囲内に含まれ、試験例2‐2では、剥離強度が0.025N以上0.610N以下の範囲内に含まれることが認められた。試験例2‐3では、剥離強度が0.021N以上0.530N以下の範囲内に含まれ、試験例2‐4では、剥離強度が0.019N以上0.469N以下の範囲内に含まれることが認められた。試験例2‐5では、剥離強度が0.014N以上0.400N以下の範囲内に含まれ、試験例2‐6では、剥離強度が0.015N以上0.380N以下であることが認められた。試験例2‐7では、剥離強度が0.007N以上0.200N以下の範囲内に含まれ、試験例2‐8では、剥離強度が0.002N以上0.060N以下であることが認められた。
狭窄部が形成された調光シートのそれぞれに対して、第1透明フィルムが備える透明電極層と、第2透明フィルムが備える透明電極層との間に電圧を印加することによって、第2駆動領域の拡散透過率が変化するか否かを評価した。試験例2‐1から試験例2‐6の調光シートでは、第1駆動領域を第2駆動領域に接続する導通部が含む狭窄部の幅に関わらず、透明電極層間に電圧が印加されている状態と印加されていない状態との間において、全ての第2駆動領域において拡散透過率が変化することが認められた。
これに対して、試験例2‐7の調光シートでは、狭窄部の幅が5mm以上25mm以下の範囲では、第2駆動領域において拡散透過率が変化することが認められる一方で、狭窄部の幅が2mmである場合には、第2駆動領域において拡散透過率が変化しないことが認められた。また、試験例2‐8の調光シートでは、狭窄部の幅が10mm以上25mm以下の範囲では、第2駆動領域において拡散透過率が変化することが認められる一方で、狭窄部の幅が5mm以下である場合には、第2駆動領域において拡散透過率が変化しないことが認められた。
試験例2‐7および試験例2‐8において、導通部の断面構造を確認したところ、試験例2‐7では、狭窄部の幅が2mmである場合に、導通部において剥離が生じていることが認められた。また、試験例2‐8では、狭窄部の幅が2mmである場合、および、狭窄部の幅が5mmである場合に、導通部において剥離が生じていることが認められた。そのため、第2駆動領域の拡散透過率が変化しないことは、狭窄部を含む部分での剥離によって生じたといえる。すなわち、調光シートにおいて、第1透明電極層が含む狭窄部と第2透明電極層との間に剥離強度が0.01N以上であることによって、狭窄部での剥離を抑え、これによって、剥離に起因する導通の不良を抑えることが可能であるといえる。
また、剥離強度の測定結果から明らかなように、調光シートの剥離強度が0.380N/mm以上であれば、2mmの幅を有した狭窄部を形成する場合であっても、狭窄部の剥離が生じないといえる。
図21は、各試験例において10mmの幅を有する試験片での剥離強度と、その試験例において5mmの幅を有する試験片の剥離強度との関係、および、各試験例において10mmの幅を有する試験片での剥離強度と、その試験例において2mmの幅を有する試験片での剥離強度との関係を示している。
図21が示すように、また上述したように、狭窄部の幅に関わらず、狭窄部と第2透明電極層との間における剥離強度が0.01N以上であることによって、狭窄部を含む部分における剥離を抑えることが可能であることが認められた。さらには、単位長さである10mm当たりにおける剥離強度が0.100N以上であれば、2mmの幅を有した狭窄部を形成する場合であっても、狭窄部における剥離を抑えることが可能であることが認められた。
10…調光シート
12A…第1透明電極層
12B…第2透明電極層
13A…第1透明支持層
13B…第2透明支持層
26,27…導通部
30…駆動電極要素
30A…狭窄部
31…浮遊電極要素
120…溝
122,124…開口部

Claims (8)

  1. 第1透明電極層と、
    第2透明電極層と、
    前記第1透明電極層と前記第2透明電極層との間に位置する調光層と、
    前記第1透明電極層に対して前記調光層とは反対側に位置する第1透明支持層であって、前記第1透明電極層を支持する支持面を備えた前記第1透明支持層と、を備え、
    前記第1透明電極層は、前記支持面に沿って延び、かつ、前記第1透明電極層を貫通する溝と、前記溝に挟まれた溝間領域を備え、
    前記溝間領域と前記第2透明電極層との間における剥離強度が、0.01N以上である
    調光シート。
  2. 前記溝間領域は、前記第1透明電極層のなかで前記溝間領域を画定する前記溝によって括れた狭窄部であり、
    前記狭窄部の幅が2mm以上であり、
    前記狭窄部の幅方向での単位長さ当たりにおける前記狭窄部と前記第2透明電極層との間での剥離強度が、0.1N/10mm以上である
    請求項1に記載の調光シート。
  3. 前記溝間領域は、前記第1透明電極層のなかで前記溝間領域を画定する前記溝によって括れた狭窄部であり、
    前記第1透明電極層は、駆動電極要素と、浮遊電極要素とを含み、
    前記溝は、前記浮遊電極要素の外縁を取り囲み、これによって、前記浮遊電極要素が、前記駆動電極要素から絶縁され、
    前記溝と前記浮遊電極要素とが、非駆動要素を構成し、
    前記駆動電極要素は、前記非駆動要素によって画定される領域である第2駆動電極要素と、前記非駆動要素外に位置し、前記第2駆動電極要素に接続された第1駆動電極要素を含み、
    前記狭窄部が、前記第1駆動電極要素に前記第2駆動電極要素を接続している
    請求項1に記載の調光シート。
  4. 前記溝間領域は、前記第1透明電極層のなかで前記溝間領域を画定する前記溝によって括れた狭窄部であり、
    前記第1透明電極層は、前記溝によって囲まれた領域である第2駆動電極要素と、前記溝外に位置し、前記第2駆動電極要素に接続された第1駆動電極要素とを含み、
    前記狭窄部が、前記第1駆動電極要素に前記第2駆動電極要素を接続している
    請求項1に記載の調光シート。
  5. 前記溝は、第1溝部と第2溝部とが屈曲点で折り返された溝屈曲部を備え、
    前記溝間領域は、前記第1溝部と前記第2溝部とに挟まれた領域である
    請求項1に記載の調光シート。
  6. 前記溝間領域は、前記溝間領域の幅が2mm以上である部分を含み、
    前記幅が2mm以上である前記部分において、前記溝間領域の幅方向の単位長さ当たりにおける前記溝間領域と前記第2透明電極層との間の剥離強度が、0.1N/10mm以上である
    請求項5に記載の調光シート。
  7. 前記調光層は、液晶組成物を含み、
    前記溝は、前記調光シートの厚さ方向において、前記第1透明電極層を貫通し、かつ、前記第1透明支持層の途中まで延び、
    前記溝内に、前記液晶組成物が位置する
    請求項1から6のいずれか一項に記載の調光シート。
  8. 前記調光層は、液晶組成物を含み、
    前記溝は、前記調光シートの厚さ方向において、前記第1透明電極層と前記第1透明支持層とを貫通し、
    前記溝内に、前記液晶組成物が位置する
    請求項1から6のいずれか一項に記載の調光シート。
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